説明

ゾピクロンおよびその多形相の新規製造方法

i)アセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルの混合物中にゾピクロンを懸濁し、生じた固体を濾過し、次いで乾燥させ;ii)工程i)における固体をN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解して透明な溶液を得て;iii)加熱し、次いで固体を沈殿させ;iv)固体を濾過し、乾燥させて結晶ゾピクロンを得ることを含む結晶ゾピクロンの製造方法。結晶ゾピクロン形態C。少なくとも14.8、19.8、21.3、27.3°2θ±0.2°2θの2シータ値を有するピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる結晶ゾピクロン形態D。ゾピクロンをN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し、濾過し;透明な濾液をアルカリ溶液で洗浄し;有機層を分離し、濃縮し、それにイソプロピルアルコールを添加し、さらに濃縮してスラリーを得て;スラリーを濾過し、生じた固体を乾燥させて結晶ゾピクロン形態Dを得ることを含む、結晶ゾピクロン形態Dの製造方法。ゾピクロンの結晶形態を含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度のゾピクロンの製造方法に関する。また本発明は、ゾピクロンの多形相、それらの製造方法、およびそれらの医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゾピクロンは睡眠鎮静剤である。不眠症のごとき睡眠障害およびてんかんのごとき痙攣性疾患の治療に用いられる極めて強力な薬剤である。
【0003】
その製造方法は、米国特許第3862149号に開示されるように、6−(5−クロロ−2−ピリジニル)−5−ヒドロキシ−7−オキソ−5,6−ジヒドロピロロ「3,4−b」ピラジンを得るための前駆体としての1−クロロカルボニル−4−メチル−ピペラジンを用いるものであり、該ピペラジンは、クロロギ酸フェニル、次いで3−アミノ−6−メチルピリダジンとの反応によりゾピクロンを生じる。
【0004】
’149号特許の方法により得られたゾピクロンは、いくぶんかの不純物を含み、それが生成物の収量および純度の低下を招く。高純度の生成物を得るためには、収量に影響することなくゾピクロンを精製するプロセスが必要である。このプロセスは、少ない工程と容易に利用可能な試薬をもちいる簡便なものとすべきである。さらに’149号特許においてはゾピクロンの多形相について教示はなく、また、’149号特許の方法により得られた生成物に関して利用可能な特徴付けのデータもない。
【0005】
薬剤物質は、粒径、硬度、ガラス転移点、安定性および溶解度のごとき一定の特性において実質的差異を有する異なった多形相として存在することがあり、それらの特性は、薬剤物質の薬理学的作用に重要となりうる。
【0006】
Terblancheらにより公表された論文、Drug Development and industrial Pharmacy, 26(5), 531-537 (2000)には、ゾピクロンの3つの結晶多層系、すなわち、無水形態A、二水和物形態Bおよび形態AとBの両方の混合物、ならびにゾピクロンの物理化学的特性に及ぼすそれらの形態の影響について記載されている。これらの形態はすべて、X線回折、示差走査熱量分析(DSC)、赤外スペクトル測定および粒径により特徴付けられる。’149号特許の方法により得られたゾピクロンは形態Aの特徴を有する。
【0007】
ゾピクロン形態Aは不安定であり、熱力学的に安定な二水和物形態Bに変換されることが見出されている。
【0008】
この文脈において、本発明は、高純度のゾピクロンの新規製造方法、新規なゾピクロン多形相、およびこれらの医薬組成物を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3862149号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Terblancheら、Drug Development and industrial Pharmacy, 26(5), 531-537 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
99.5%よりも高い純度のゾピクロンの製造方法を提供することが、本発明の1の目的である。
【0012】
以下において形態Cおよび形態Dと称されるゾピクロンの多形相を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0013】
ゾピクロンの多形相および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供することが、本発明のさらにもう1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも99.5%の純度のゾピクロンが提供される。
【0015】
本発明の1の態様によれば、ゾピクロンの製造方法であって、下記工程:
i. 無水ピリジンの存在下において、6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−ヒドロキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンをクロロギ酸フェニルとカップリングさせて6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−フェノキシカルボニルオキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンを得て;
ii. 適当な有機溶媒の存在下において、6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−フェノキシカルボニルオキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンを1−メチルピペラジンと反応させてゾピクロンを得る
を含む方法が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、形態Cと称されるゾピクロンの新規な結晶形態であって、少なくとも5.47、5.80、6.25、10.31、12.47、13.50、13.84、15.68、15.72、16.12、16.39、18.79、19.77、20.24、20.38、20.47、23.70、23.80、24.78、24.81、24.93、25.69、26.79、26.90、27.59、27.76、27.87、28.10、29.22、29.29、31.01、31.12、31.40、31.48、33.18、35.50、35.78の2シータ値(±0.2)のピークを含むX線粉末回折パターンを有することにより特徴付けられる結晶形態が提供される。
【0017】
1の具体例において、ゾピクロン形態Cは、下記の表1に示されるピークを有するXRPDパターンを有するものとして特徴付けられる。
【0018】
1の具体例において、ゾピクロン形態Cは、図1に示されるXRPDパターンを有するものとして特徴付けられる。
【0019】
ゾピクロン形態Cはまた、IRスペクトルにおける3496、3388、2973、2937、2937、2850、2794cm−1に特徴的なピークを有する赤外(IR)吸収スペクトル分析により特徴付けられてもよい。
【0020】
1の具体例において、ゾピクロン形態Cは、図2に示されるIRスペクトルを示すことにより特徴付けられる。
【0021】
本発明の別の態様によると、下記工程:
i. ゾピクロンを適当な有機溶媒中で撹拌し、次いで濾過し、洗浄し、次いで濃縮して残渣を得て;
ii. 工程(i)の残渣をジエチルエーテル中で撹拌し、次いで濾過し;
iii. 工程(ii)からの固体をジクロロメタン中に溶解し、不溶物を濾過し;
iv. 有機層を、アルカリ溶液、次いで水で洗浄し、減圧下で部分的に濃縮し;
v. 上記物にイソプロピルアルコールを添加し、さらに濃縮して残渣を得て;
vi. (v)にアセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルの混合物を添加し、生じた固体を濾過し;
vii (vi)からの固体を、50〜80℃の温度で加熱することによりN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解して透明な溶液を得て、次いで活性炭濾過し;
viii. 透明な濾液を50〜80℃まで加熱し、同じ温度で水を添加して固体を沈殿させ、次いで生じた懸濁物を除々に冷却し;
ix. (viii)からの固体を濾過し、次いで溶媒またはN,N−ジメチルホルムアミドと水のごとき溶媒の混合物で洗浄し、さらに乾燥させて結晶ゾピクロン形態Cを得る:
を含むゾピクロン形態Cの製造方法が提供される。
【0022】
この方法により製造されたゾピクロン形態Cは、上記のごとき形態であってもよい。
【0023】
本発明の別の態様によると、形態Dと称されるゾピクロンの新規な結晶無水形態が提供される。
【0024】
1の具体例において、ゾピクロンの結晶形態Dは、少なくとも9.34、9.95、10.14、10.94、11.24、12.03、12.40、12.65、14.87、15.48、15.92、16.77、17.18、19.82、20.12、20.68、21.34、22.35、22.77、23.05、24.78、25.40、25.64、26.91、27.38、28.26、28.54、28.69、30.25、30.37、30.69、31.08、31.59、33.22、33.71、34.33、35.02、35.91、36.29、37.88、38.00の2シータ値(±0.2)のピークを含むX線粉末回折パターンを有することにより特徴付けられる。
【0025】
1の具体例において、ゾピクロン形態Dは、下記の表2に示されるピークを有するXRPDパターンを有するものとして特徴付けられる。
【0026】
1の具体例において、ゾピクロン形態Dは、図3に示されるXRPDパターンを有するものとして特徴付けられる。
【0027】
ゾピクロン形態Dはまた、IRスペクトルにおける3109、3077、2973、2929、2848、2797、2747cm−1に特徴的なピークを有する赤外(IR)吸収スペクトル分析により特徴付けられる。
【0028】
1の具体例において、ゾピクロン形態Dは、図4に示されるIRスペクトルを有することにより特徴付けられる。
【0029】
本発明の別の態様によると、下記工程:
i. 適当な有機溶媒の存在下において、6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−フェノキシカルボニルオキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンを1−メチルピペラジンと5−20℃の温度で反応させ;
ii. 反応物を0〜10℃まで冷却した後に水を添加し、次いで生じた固体を濾過し;
iii. (ii)からの固体を適当な有機溶媒中に溶解し、不溶物を濾過し;
iv. (iii)からの濾液を、アルカリ溶液、次いで水で洗浄し、減圧下で部分的に濃縮し;
v. イソプロピルアルコールを添加し、さらに濃縮してスラリーを得て;
vi. (v)からのスラリーを濾過し、適当な溶媒または溶媒の混合物で洗浄し、次いで乾燥させて結晶ゾピクロン形態Dを得る
を含むゾピクロン形態Dの製造方法が提供される。
【0030】
本発明のゾピクロン形態Dは、空気への露出時でさえ水分を捕捉しないため、安定で、かつ非吸湿性である。
【0031】
本発明の別の態様によると、1つまたはそれ以上の医薬上許容される賦形剤と一緒に、上記のゾピクロンの形態CおよびDを含む医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ゾピクロン形態CのX線回折スペクトルを示す。
【図1A】図1Aは、図1の2θ値を示す。
【図2】図2は、ゾピクロン形態Cの赤外吸収スペクトルを示す。
【図3】図3は、ゾピクロン形態DのX線回折スペクトルを示す。
【図3A】図3Aは、図3の2θ値を示す。
【図4】図4は、ゾピクロン形態Dの赤外吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
ゾピクロンは、市販されている6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−ヒドロキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンを前駆体として用いて以下の方法により製造される。この方法は以下にように説明できる:
a)無水ピリジンの存在下において、6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−ヒドロキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンをクロロギ酸フェニルとカップリングさせて6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−フェノキシカルボニルオキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンを得て;
b)アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、最も好ましくはアセトニトリルのごとき適当な有機溶媒の存在下において、さらに1−メチルピペラジンと反応させてゾピクロンを得て、これを精製し、このことにより本発明の別の態様を得る。
【0034】
この態様において、ゾピクロンを、アセトン、アセトニトリル、二塩化エチレン、ジクロロメタンのごときハロゲン化溶媒、クロロホルム、より好ましくはアセトニトリルのごとき適当な溶媒中で撹拌し、同じ溶媒で洗浄し、次いで濃縮して残渣を得る。残渣をジイソプロピルエーテル中で撹拌し、生じた固体を濾過する。固体を、さらにジクロロメタン中に溶解し、不溶物を濾別する。有機層を、アルカリ溶液、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄する。さらに、有機層を分離し、減圧下で部分的に濃縮する。これにイソプロピルアルコールを添加し、さらに濃縮して残渣を得る。アセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルの混合物を添加し、撹拌する。生じた固体を濾過し、乾燥する。
【0035】
固体は、50〜80℃の温度、好ましくは60〜65℃で加熱することによりN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解されて透明な溶液が得られ、活性炭濾過される。透明な濾液を50〜80℃、好ましくは60〜65℃で加熱し、それに同じ温度で水を添加して固体を沈殿させる。生じた懸濁物は25〜30℃の温度まで除々に冷却される。
【0036】
固体は濾過され、溶媒またはN,N−ジメチルホルムアミドと水のごとき溶媒の混合物で洗浄される。さらに、固体は85〜95℃の温度で乾燥されて結晶ゾピクロンが得られる(HPLC純度:99.9%)。
【0037】
本発明の方法により得られたゾピクロンは、純粋な形態であり、無機不純物および全ての他の不純物を含まない。驚くべきことに、本発明者らは、上記方法により得られたゾピクロンが新規な多形相の形態であることを見出した。それは特徴付けられ、ゾピクロン形態Cと命名される。
【0038】
なお別の態様において、本発明のゾピクロンの新規な結晶形態Cは、表1に示されるX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴付けられる。ゾピクロン形態CのXRPDは、銅−Kα−1放射線源を用いるRigakuのminiflex advance粉末X線回折装置で測定された。ゾピクロン形態Cの特徴的なXRPDスペクトルは、少なくとも下記の表1に表されるピークを有することにより特徴付けられる:
【0039】
【表1】

【0040】
本発明のゾピクロン形態Cは、IRスペクトルの3496、3388、2973、1937、2850、2794cm−1に特徴的なピークを有する赤外(IR)吸光光度分析により特徴付けられる。
【0041】
形態Cはまた、熱力学的に不安定であり、より安定なゾピクロンの水和物形態に変換されることが見出される。
【0042】
なお別の好ましい態様において、本発明は、安定で非吸湿性の無水結晶ゾピクロン形態Dを提供する。それは、X線粉末回折、および赤外吸光光度分析により特徴付けられる。X線粉末回折(XRPD)パターンは、図2に示されるごときである。ゾピクロン形態DのXRPDは、銅−Kα−1放射線源を用いるRigakuのminiflex advance粉末X線回折装置で測定された。ゾピクロン形態Dの特徴的なXRPDスペクトルは、少なくとも下記の表2に表されるピークを有することにより特徴付けられる:
【0043】
【表2−1】

【0044】
【表2−2】

【0045】
本発明のゾピクロン形態Dは、IRスペクトルの3109、3077、2973、2929、2848、2797、2747cm−1に特徴的なピークを有する赤外(IR)吸収スペクトル分析により特徴付けられる。
【0046】
本発明の結晶形態であるCおよびDの両方の特徴は、その他の公知のゾピクロンの多形相から明確に異なるものである。
【0047】
さらに1つの態様において、本発明は、以下を含むゾピクロン形態Dの製造方法を提供する:
アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、最も好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドのごとき適当な溶媒の存在下において、6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−フェノキシカルボニルオキシ−7−オキソ−5,6−ジ−ヒドピロロ[3,4,b]ピラジンを1−メチルピペラジンと5〜20℃の温度で反応させ、反応物をさらに0〜10℃まで冷却する。撹拌しながら水を添加し、生じた固体を濾過する。濾過濾別された固体をアセトニトリル、アセトン、二塩化エチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、最も好ましくはジクロロメタンのごとき適当な溶媒中に溶解し、不純物を濾別する。
【0048】
透明な濾液を、アルカリ溶液、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄する。さらに、有機層を分離し、減圧下で部分的に濃縮する。これに、イソプロピルアルコールを添加し、さらに濃縮してスラリーを得る。このスラリーを撹拌し、濾過し、次いで適当な溶媒または溶媒の混合物で洗浄する。溶媒の混合物は、より好ましくはアセトニトリルとジイソプロピルエーテルの混合物である。固体は85〜95℃の温度、最も好ましくは90℃で乾燥して結晶ゾピクロン形態Dを得る。
【0049】
さらに1つの形態において、本発明は、1つまたはそれ以上の医薬担体と混合されうるゾピクロンの多形相の1つを含む医薬組成物を本発明の範囲内に含む。医薬組成物は、液体もしくは懸濁液、エマルションのごとき経口投薬形態、錠剤、カプセル、粉末、顆粒のごとき固体投薬形態、エアロゾルもしくは注射剤のごとき吸入製剤あるいは非経口投薬形態、経皮投与ならびにこれらの類似形態であってもよい。
【0050】
以下に、本発明の非限定的な説明を目的とする実施例が続く。
【実施例1】
【0051】
ジクロロメタン(400ml)を反応槽に入れた。それに、6−(5−クロロピリド−2−イル)−5−ヒドロキシ−7−オキソ−5,6−ジヒドロピロロ−[3,4,b]ピラジン(100グラム)を撹拌しながら添加した。反応物を0℃に冷却し、ジクロロメタン(200ml)中に希釈したクロロギ酸フェニル(72ml)を、0〜5℃の温度を保ちながら1〜1.5時間滴下した。反応温度を除々に25〜30℃に上げ、2〜2.5時間撹拌した。反応物を0〜5℃に冷却し、氷冷した水(500ml)を添加した。これを0〜10℃で30〜45分間撹拌した。得られた固体を濾過し、冷却した水(100l)、次いでアセトニトリル(70ml)で洗浄し、乾燥させた。固体をジイソプロピルエーテル(400ml)中において25〜30℃で撹拌し、濾過した。ジイソプロピルエーテル(100ml)で洗浄を行い、60〜70℃で乾燥させた。
収量=125グラム
【実施例2】
【0052】
a)実施例1から得た化合物(100グラム)を槽に入れた。アセトニトリル(1000ml)をアルゴン下において25〜30℃で添加した。N−メチルピペラジン(60ml)を15〜20℃の温度で滴下し、15〜20℃で3〜4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、ジイソプロピルエーテル(30ml)で洗浄した。これを25〜30℃で濃縮し、ジイソプロピルエーテル(200ml)で撹拌した。これを濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し(2x25ml)、次いで乾燥させて固体を得た。
収量=87グラム
【0053】
b)不溶物質を取り除くために、工程a)から得た生成物を、ジクロロメタン(700ml)にて室温で処理した。不溶物質を濾過し、ジクロロメタン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(3x100ml)、続いて水(2x500ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。これを最小容積のジクロロメタン中に濃縮し、イソプロピルアルコール(3x100ml)で揮散させた。固体をアセトニトリルとジイソプロピルエーテル(5:95)の混合物中で単離し、乾燥させた。
収量=55グラム。
【実施例3】
【0054】
実施例2の工程b)から得た生成物の55グラムを、N,N−ジメチルホルムアミド(220ml)中に溶解し、60〜65℃の温度で加熱して透明な溶液を得た。この溶液を5.5グラムの活性炭で処理し、60〜65℃で少なくとも30分間加熱した。これを温ハイフロ(hyflo)上で濾過し、N,N−ジメチルホルムアミド(55ml)で洗浄した。透明な濾液を60〜65℃の温度で加熱し、水(275ml)を30分で添加して固体を得た。固体を25〜30℃に除々に冷却し、濾過し、N,N−ジメチルホルムアミドと水の1:1混合物で洗浄した(2x25ml)。最後にこれを水で洗浄し(3x200ml)、90〜93℃で乾燥させて結晶ゾピクロンを得た。
収量=51グラム。
【実施例4】
【0055】
a)実施例1から得た化合物の20グラムを槽に入れた。N,N−ジメチルホルムアミド(80ml)をアルゴン下で添加し、10〜15℃に冷却した。N−メチルピペラジン(9ml)を10〜15℃の温度にて15〜30分間で滴下し、3時間撹拌した。反応物を0〜5℃まで冷却し、次いで0〜5℃の温度を保ちながら水(80ml)を添加した。反応物を10〜30℃の温度で1時間撹拌し、濾過した。濾過した反応物を水で洗浄し(2x100ml)、乾燥させた。
【0056】
b)工程a)から得た生成物の38グラムをジクロロメタン(140ml)で処理し、30分間撹拌した。不溶物を濾過し、有機層を最小容積のジクロロメタンで洗浄した。有機層を、5%水酸化ナトリウム水溶液(3x20ml)、続いて水(4x100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。これを最小容積のジクロロメタン中に濃縮し、イソプロピルアルコール(3x20ml)で揮散させてスラリーを得た。スラリーをアセトニトリル(8ml)で15分間撹拌し、次いで152mlのジイソプロピルエーテルを添加した。上記スラリーを25〜30℃で1時間撹拌した。反応物を濾過し、アセトニトリルとジイソプロピルエーテル(5:95)の5%混合物で洗浄し、減圧下で90〜95℃の温度で乾燥させた。
収量=11.0〜11.5グラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶ゾピクロンの製造方法であって、下記工程:
i) ゾピクロンをアセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルの混合物中に懸濁し、濾過し、得られた固体を乾燥させ;
ii) 工程i)における固体をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して透明な溶液を得て;
iii) 加熱し、次いで固体を沈殿させ;
iv) 固体を濾過し、乾燥させて結晶ゾピクロンを得る
を含む方法。
【請求項2】
工程i)に用いられるゾピクロンが不溶性不純物を含まない、請求項1の記載の方法。
【請求項3】
得られた結晶ゾピクロンが、少なくとも99.5%の純度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
結晶ゾピクロン形態C。
【請求項5】
少なくとも5.8、6.2、16.1、19.7および25.6°2θ±0.2°2θの2シータ値を有するピークを含むX線粉末回折パターンを有することにより特徴づけられる、請求項4記載の結晶ゾピクロン形態C。
【請求項6】
さらに、10.3、12.4、13.5、13.8、16.3および18.7°2θ±0.2°2θにおけるさらなるピークを含むX線粉末回折パターンを有することにより特徴づけられる、請求項4記載の結晶ゾピクロン形態C。
【請求項7】
5.8、6.2、10.3、12.4、13.5、13.8、16.1、16.3、18.7および19.7°2θ±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンを有することにより特徴づけられる、請求項4〜6のいずれかに記載の結晶ゾピクロン形態C。
【請求項8】
図1に示されるごときXRPDパターンを有することにより特徴づけられる、請求項4〜7のいずれかに記載の結晶ゾピクロン形態C。
【請求項9】
約3496、3388、2973、2937、2850、2794cm−1に特徴的なピークを含む赤外吸収スペクトル(IR)を有することにより特徴づけられる、請求項4〜8のいずれかに記載の結晶ゾピクロン形態C。
【請求項10】
図2に示されるごときIRスペクトルにより特徴づけられる、請求項4〜9のいずれかに記載の結晶ゾピクロン形態D。
【請求項11】
少なくとも14.8、19.8、21.3、27.3°2θ±0.2°2θの2シータ値を有するピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、結晶ゾピクロン形態D
【請求項12】
9.9、10.1、14.8、15.9、17.1、19.8、20.6、21.34、24.7、26.9および27.3°2θ±0.2°2θにおけるピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、結晶ゾピクロン形態D。
【請求項13】
図3に示されるごときXRPDパターンにより特徴づけられる、請求項12記載のゾピクロン形態D。
【請求項14】
約3109、3077、2973、2929、2848、2797、2747cm−1における特徴的なピークを含む赤外吸収スペクトルにより特徴づけられる、ゾピクロン形態D。
【請求項15】
図4に示されるごときIRスペクトルにより特徴づけられる、ゾピクロン形態D。
【請求項16】
結晶ゾピクロン形態Dの製造方法であって、下記工程:
i) ゾピクロンをN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解し、濾過し;
ii) 透明な濾液をアルカリ溶液で洗浄し;
iii) 有機層を分離し、濃縮し、それにイソプロピルアルコールを添加し、さらに濃縮してスラリーを得て;
iv) スラリーを濾過し、生じた固体を乾燥させて結晶ゾピクロン形態Dを得る
を含む方法。
【請求項17】
上記請求項のいずれかに記載のゾピクロンの結晶形態を、1つまたはそれ以上の医薬上許容される賦形剤と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項18】
実施例に関して本明細書に実質的に記載されるごとき結晶ゾピクロンの製造方法。
【請求項19】
実施例に関して本明細書に実質的に記載されるごとき結晶ゾピクロン形態C。
【請求項20】
実施例に関して本明細書に実質的に記載されるごとき結晶ゾピクロン形態C。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−506427(P2011−506427A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537602(P2010−537602)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000829
【国際公開番号】WO2009/087667
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】