説明

タイミングコントロール回路およびそれを用いた表示装置および電子機器

【課題】液晶パネルを備える電子機器を小型化する。
【解決手段】受信インタフェース回路10は、色ごとの輝度信号およびクロック信号をそれぞれ入力信号として受ける。タイミング制御部12は、受信インタフェース回路10が受信した輝度信号を受け、そのタイミングおよびフォーマットをドライバに適合するように制御する。送信インタフェース回路14は、タイミングコントローラIC100により生成された信号を、ドライバに対して送信する。タイミングコントローラIC100は長方形のパッケージに内蔵される。受信インタフェース回路10は、パッケージの第1の短辺S1側に配置され、送信インタフェース回路14は、パッケージの第2の短辺S2側に配置される。画像データは第1の短辺S1側の入力端子から入力され、送信インタフェース回路14の出力信号は、第2の短辺S2側の出力端子から出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルのドライバに駆動信号を供給するタイミングコントロール回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なラップトップ型PC(Personal Computer)は、プロセッサが搭載される筐体と、液晶パネルが搭載される筐体を備え、それらがヒンジなどの可動機構を介して接続されている。図1(a)、(b)は、一般的なラップトップ型PCの構成を示す図である。なお、各図に示される部材の大きさや形状は適宜拡大縮小されている。PC300は、ヒンジ構造などで接続された第1筐体310と第2筐体320を備える。第1筐体310側には、画像データを生成するプロセッサ(グラフィックチップ)312に加えて、図示しないキーボードやCPU(Central Processing Unit)、USB(Universal Serial Bus)インタフェースなどが搭載される。第2筐体320側には、液晶パネル322、ゲートドライバ324、ソースドライバ326、図示しないバックライトやその駆動回路(インバータ)などが搭載される。
【0003】
プロセッサ312により生成された画像データは、送信チップ314によって、ヒンジなどの可動機構330の内部に設けられたFPC(フレキシブルプリント基板)上のバスを介して第2筐体320側へと送信される。第2筐体320には、送信チップ314からの画像データを受信し、タイミングを制御するとともに、ゲートドライバおよびソースドライバに適したデータ形式に変換するタイミングコントローラIC328が設けられる。
【特許文献1】特開平6−273788号公報
【特許文献2】特開2003−173150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1(b)に示すように、タイミングコントローラIC328は、プリント基板329上に実装されている。プリント基板329には、タイミングコントローラIC328の周辺回路部品が実装され、それに加えて入力側の配線(バス)BUS1と、出力側のバスBUS2が形成される。出力バスBUS1はコネクタ325を介して、送信チップ314からの画像データを受け取る。従来、送信チップ314からのデータは、液晶パネル322と反対側の一辺から入力され、液晶パネル322側から出力される構成となっていた。したがって、バスBUS1、BUS2および回路部品の実装領域327の影響により、プリント基板329の幅dが大きくなっていた。プリント基板329が大きくなると、第2筐体320の大きな部分を占有し、第2筐体320の小型化を妨げる要因となっていた。かかる問題は、ラップトップ型PC以外の電子機器においても生じうる。
【0005】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、液晶パネルを備える機器の小型化にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、液晶パネルに出力すべき画像データを受け、液晶パネルのドライバへと出力するタイミングコントロール回路に関する。このタイミングコントロール回路は、色ごとの輝度信号およびクロック信号をそれぞれ入力信号として受ける受信インタフェース回路と、受信インタフェース回路が受信した輝度信号を受け、そのタイミングおよびフォーマットをドライバに適合するように制御するタイミング制御部と、タイミングコントロール回路により生成された信号を、ドライバに対して送信する送信インタフェース回路と、を備え、長方形のパッケージに内蔵される。受信インタフェース回路は、パッケージの第1の短辺側に配置され、送信インタフェース回路は、パッケージの第1の短辺と反対の第2の短辺側に配置される。画像データは、パッケージの第1の短辺側の入力端子から入力され、送信インタフェース回路の出力信号は、パッケージの第2の短辺側の出力端子から出力される。
【0007】
この態様によると、画像データは、長方形の第1の短辺から入力され、その内部を通過して反対側の第2の短辺から出力される。したがって、長辺側からドライバに対するデータを伝送するためのバスを引き出さずに済むため、半導体装置が実装される基板の幅を狭くすることができ、これにより電子機器を小型化できる。
【0008】
本発明の別の態様は、表示装置である。この装置は、液晶パネルと、液晶パネルを駆動するゲートドライバおよびソースドライバと、液晶パネルの一辺に沿って配置されたプリント基板と、プリント基板上に実装され、液晶パネルに表示すべき画像データを伝送するためのケーブルが着脱されるコネクタと、プリント基板上に実装される上述のタイミングコントロール回路と、プリント基板上に形成され、コネクタとタイミングコントロール回路の第1の短辺側の入力端子の間を接続する入力バスと、プリント基板上に形成され、タイミングコントロール回路の第2の短辺側の出力端子とゲートドライバおよびソースドライバそれぞれの間を接続する出力バスと、を備える。入力バスは、プリント基板上の第1の短辺側に形成され、出力バスは、プリント基板上の第2の短辺側に形成される。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、可動機構で接続される第1筐体と第2筐体を備える。第1筐体は、液晶パネルに表示すべき画像データを生成するプロセッサと、画像データを送信する送信回路と、を含む。第2筐体は、液晶パネルと、液晶パネルを駆動するゲートドライバおよびソースドライバと、液晶パネルの一辺に沿って配置されたプリント基板と、プリント基板上に実装され、液晶パネルに表示すべき画像データを伝送するためのケーブルが着脱されるコネクタと、プリント基板上に実装される上述のタイミングコントロール回路と、プリント基板上に形成され、コネクタとタイミングコントロール回路の第1の短辺側の入力端子の間を接続する入力バスと、プリント基板上に形成され、タイミングコントロール回路の第2の短辺側の出力端子とゲートドライバおよびソースドライバそれぞれの間を接続する出力バスと、を含む。入力バスは、プリント基板上の第1の短辺側に形成され、出力バスは、プリント基板上の第2の短辺側に形成される。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様のタイミングコントロール回路によれば、電子機器を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
図2は、実施の形態に係るタイミングコントローラIC(制御ICともいう)100およびその周辺を示す図である。このタイミングコントローラIC100は、図1のタイミングコントローラIC328と同様の機能を有しているため、機能に関する説明は簡略化する。
【0014】
タイミングコントローラIC100は、液晶パネル(不図示)に出力すべき画像データをプロセッサから受け、必要に応じて所定の信号処理、たとえばスケーリング処理やインタレース化、非インタレース化処理を施し、複数のゲートドライバおよび複数のソースドライバに、適切なタイミングで駆動信号を出力する。
【0015】
タイミングコントローラIC100は、受信インタフェース回路10、タイミング制御部12、送信インタフェース回路14を備え、長方形のパッケージに内蔵されている。好ましくはタイミングコントローラIC100はBGA(Ball Grid Array)構造を有しており、その裏面にマトリクス状に配置された裏面電極(端子)を備えている。
【0016】
受信インタフェース回路10は、プロセッサから、色ごとの輝度信号およびクロック信号をそれぞれ入力信号として受ける。入力信号は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)をはじめとする差動信号形式で入力される。
【0017】
タイミング制御部12は、受信インタフェース回路10が受信した輝度信号を受け、そのタイミングおよびフォーマットを、複数のソースドライバ(不図示)および複数のゲートドライバ(不図示)に適合するように制御する。
【0018】
送信インタフェース回路14は、タイミング制御部12により生成された信号を、ゲートドライバおよびソースドライバに対して送信する。
【0019】
受信インタフェース回路10は、パッケージの第1の短辺S1側に配置され、送信インタフェース回路14は、パッケージの第1の短辺と反対の第2の短辺S2側に配置される。プロセッサからの画像データは、パッケージの第1の短辺S1側の端子から入力される。この画像データは、プリント基板20の内部を横方向に伝搬し、送信インタフェース回路14の出力信号は、パッケージの第2の短辺S2側の端子から出力される。
【0020】
タイミングコントローラIC100は、プリント基板20上に実装される。このプリント基板20は、液晶パネル(不図示)の一辺に沿って、その近傍に配置される。コネクタ26は、プリント基板20上に実装され、液晶パネルに表示すべき画像データを伝送するためのケーブルが着脱される。コネクタ26は、プリント基板20の外周部にタイミングコントローラIC100の第1の短辺S1と平行に設けられる。
【0021】
入力バス24は、プリント基板20上に形成され、コネクタ26とタイミングコントローラIC100の第1の短辺S1側に設けられた入力端子(裏面電極)の間を接続する。
【0022】
コネクタ26はタイミングコントローラIC100の長辺と平行に設けられてもよい。この場合、入力バス24は、L字型に折れ曲がるように形成される。
【0023】
出力バス22a、22b、・・・は、プリント基板20上に形成され、タイミングコントローラIC100の第2の短辺S2側の出力端子とゲートドライバおよびソースドライバそれぞれの間を接続する。各出力バス22a、22b・・・は、複数の配線を含んでいる。出力バス22は、出力先のゲートドライバおよびソースドライバの個数に応じた本数だけ設けられる。
【0024】
入力バス24は、プリント基板20上の第1の短辺S1と隣接する領域に形成され、出力バス22は、プリント基板20上の第2の短辺S2と隣接する領域に形成される。
【0025】
タイミングコントローラIC100の周辺回路部品は、第1の短辺S1と隣接する領域28に実装される。
【0026】
以上が実施の形態に係るタイミングコントローラIC100の周辺の構成である。実施の形態に係るタイミングコントローラIC100によれば、画像データが第1の短辺S1側から入力され、第2の短辺S2側から出力される。したがってタイミングコントローラIC100の長辺側に引き出される配線をプリント基板20上に形成しなくてよいため、もしくはその数を減らすことができるため、プリント基板20の幅を図1(b)に示す従来のプリント基板329に比べて狭めることができる。
【0027】
たとえば図1(b)において、入力バスBUS1が10本の配線を含み、出力バスBUS2がそれぞれ10本の配線を含むと仮定する。さらに、各配線の幅が0.1mm、配線間隔が0.1mmと仮定すると、タイミングコントローラIC328の入力側には、配線が占める領域として、10×0.1mm、配線間のスペースが占める領域として(10−1)×0.1mm、合計として
d2=10×0.1mm+9×0.1mm=1.9mm
の幅のスペースが必要となる。出力側にも同様に、幅d3=1.9mmのスペースが必要となる。したがってプリント基板329の幅は、タイミングコントローラIC328の幅よりも、3.8mm以上広くなってしまう。
【0028】
これに対して図2のタイミングコントローラIC100によれば、タイミングコントローラIC100の短辺から、横方向に入力バス24および出力バス22を引き出すため、縦方向に引き出される配線のいくつかが不要となり、プリント基板20の幅dを、タイミングコントローラIC100の幅d1に近づけることができ、図1(b)に比べて、3.8mm狭めることができる。プリント基板20の面積が削減されることにより、プリント基板20が実装されるセットを小型化することができ、またプリント基板20のコストを下げることが可能となる。
【0029】
図3(a)、(b)はそれぞれ、図2のタイミングコントローラIC100を利用した表示装置および電子機器の構成を示す図である。
【0030】
図3(a)の表示装置40は、液晶ディスプレイや液晶テレビである。表示装置40は、液晶パネル322と、液晶パネル322を駆動するゲートドライバ324およびソースドライバ326と、液晶パネル322の一辺に沿って配置されたプリント基板20と、を備える。プリント基板20上には、液晶パネル322に表示すべき画像データGDを伝送するケーブルが着脱されるコネクタ26が設けられる。またプリント基板20上には、図2のタイミングコントローラIC100が実装される。
【0031】
プリント基板20は、液晶パネル322のいずれかの一辺に沿って配置される。図3(a)のように、プリント基板20を液晶パネル322の下側に配置した場合、プリント基板20の幅dが短くなった分、表示装置40の筐体の高さHを小さくできる。プリント基板20を液晶パネル322の左右いずれかの辺に沿って配置した場合、プリント基板20の幅dが短くなった分、表示装置40の筐体の幅Wを小さくできる。
【0032】
図3(b)の電子機器50は、たとえばラップトップ型(ノート型)のPCである。電子機器50は、可動機構330で接続される第1筐体310と第2筐体320を備える。図3(b)の電子機器50は、図1(a)のPC300と基本的に同様に構成される。
【0033】
図3(b)の電子機器50によれば、プリント基板20の幅dが図1(b)のプリント基板329のそれより狭まったことにより、第2筐体320を小型化することができる。
【0034】
実施の形態にもとづき、本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を離脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1(a)、(b)は、一般的なラップトップ型PCの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るタイミングコントローラICおよびその周辺を示す図である。
【図3】図3(a)、(b)はそれぞれ、図2のタイミングコントローラICを利用した表示装置および電子機器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
100…タイミングコントローラIC、10…受信インタフェース回路、12…タイミング制御部、14…送信インタフェース回路、20…プリント基板、22…出力バス、24…入力バス、26…コネクタ、28…チップ部品実装領域、S1…第1の短辺、S2…第2の短辺、40…表示装置、50…電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルに出力すべき画像データを受け、前記液晶パネルのドライバへと出力するタイミングコントロール回路であって、
色ごとの輝度信号およびクロック信号をそれぞれ入力信号として受ける受信インタフェース回路と、
前記受信インタフェース回路が受信した前記輝度信号を受け、そのタイミングおよびフォーマットを前記ドライバに適合するように制御するタイミング制御部と、
前記タイミングコントロール回路により生成された信号を、前記ドライバに対して送信する送信インタフェース回路と、
を備え、長方形のパッケージに内蔵されており、
前記受信インタフェース回路は、前記パッケージの第1の短辺側に配置され、前記送信インタフェース回路は、前記パッケージの前記第1の短辺と反対の第2の短辺側に配置され、画像データが前記パッケージの前記第1の短辺側の入力端子から入力され、前記送信インタフェース回路の出力信号が、前記パッケージの前記第2の短辺側の出力端子から出力されることを特徴とするタイミングコントロール回路。
【請求項2】
液晶パネルと、
前記液晶パネルを駆動するゲートドライバおよびソースドライバと、
前記液晶パネルの一辺に沿って配置されたプリント基板と、
前記プリント基板上に実装され、前記液晶パネルに表示すべき画像データを伝送するためのケーブルが着脱されるコネクタと、
前記プリント基板上に実装される請求項1に記載のタイミングコントロール回路と、
前記プリント基板上に形成され、前記コネクタと前記タイミングコントロール回路の前記第1の短辺側の入力端子の間を接続する入力バスと、
前記プリント基板上に形成され、前記タイミングコントロール回路の前記第2の短辺側の出力端子と前記ゲートドライバおよび前記ソースドライバそれぞれの間を接続する出力バスと、
を備え、
前記入力バスは、前記プリント基板上の前記第1の短辺側に形成され、前記出力バスは、前記プリント基板上の前記第2の短辺側に形成されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
可動機構で接続される第1筐体と第2筐体を備え、
前記第1筐体は、
液晶パネルに表示すべき画像データを生成するプロセッサと、
前記画像データを送信する送信回路と、
を含み、
前記第2筐体は、
液晶パネルと、
前記液晶パネルを駆動するゲートドライバおよびソースドライバと、
前記液晶パネルの一辺に沿って配置されたプリント基板と、
前記プリント基板上に実装され、前記液晶パネルに表示すべき画像データを伝送するためのケーブルが着脱されるコネクタと、
前記プリント基板上に実装される請求項1に記載のタイミングコントロール回路と、
前記プリント基板上に形成され、前記コネクタと前記タイミングコントロール回路の前記第1の短辺側に設けられた受信インタフェース回路の間を接続する入力バスと、
前記プリント基板上に形成され、前記タイミングコントロール回路の前記第2の短辺側に設けられた送信インタフェース回路と、前記ゲートドライバおよび前記ソースドライバそれぞれの間を接続する出力バスと、
を備え、
前記入力バスは、前記プリント基板上の前記第1の短辺側に形成され、前記出力バスは、前記プリント基板上の前記第2の短辺側に形成されることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−91686(P2010−91686A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260064(P2008−260064)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】