タイヤのルブリケータ装置
【課題】 塗布ローラの原単位を低減し得るタイヤのルブリケータ装置を提供する。
【解決手段】 タイヤの軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤを載置して所定方向に搬送する搬送手段3と、この搬送手段3の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段4と、当該位置決め位置においてタイヤをその軸心回りに回動させる回動手段3と、その回動するタイヤのビード部に潤滑油を塗布する塗布手段5と、を備えたタイヤのルブリケータ装置1において、前記塗布手段5が塗布ローラ15を具備し、その塗布ローラ15が、短尺塗布ローラ43の複数個を積層状態に回転体41に設けてなる。
【解決手段】 タイヤの軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤを載置して所定方向に搬送する搬送手段3と、この搬送手段3の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段4と、当該位置決め位置においてタイヤをその軸心回りに回動させる回動手段3と、その回動するタイヤのビード部に潤滑油を塗布する塗布手段5と、を備えたタイヤのルブリケータ装置1において、前記塗布手段5が塗布ローラ15を具備し、その塗布ローラ15が、短尺塗布ローラ43の複数個を積層状態に回転体41に設けてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのルブリケータ装置に関し、詳細にはタイヤをタイヤ試験機などのラインに供給する際に予めタイヤのビード部に潤滑剤を塗布するタイヤのルブリケータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平8−257460号公報(特許文献1)には、タイヤのビード部に潤滑剤を塗布するためのルブリケータ装置が提案されている。
【0003】
図8〜図11は、上記特許文献1に示されている図1〜図3と図5をそれぞれ引用して示すものであって、この図8〜図11に示すタイヤのルブリケータ装置は、同特許文献1の段落[0016]〜[0027]に説明されている通りの構成からなる。即ち、タイヤ61の軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤ61を載置して図示矢印62方向に搬送する搬送手段63と、該搬送手段63の前後方向中央部に前記タイヤ61を位置決めする位置決め手段64と、該位置決め手段64において該タイヤ61を軸心回りに回動させる回動手段65と、該回動するタイヤ61のビード部66に潤滑剤を塗布する塗布手段67とを有する。
【0004】
なお、図示矢印62の搬送方向下流側を「前」、その反対方向を「後」、搬送方向に直交する水平方向を「左右」という。前記搬送手段63は、ローラコンベヤ装置からなる。該コンベヤ装置はコンベヤフレーム68を有する。該フレーム68の上部に、左右方向の水平横軸姿勢の複数のコンベヤローラが回動自在に支持されている。
【0005】
前記コンベヤローラは、フレーム68の後部に配置された前後3本の第1ローラ69と、該第1ローラ69の前方の右側に配置された前後2本の第2ローラ70と、同左側に配置された前後2本の第3ローラ71と、該第2、第3ローラ70、71の前方に配置された前後2本の第4ローラ72と、該第4ローラ72の間とその前方に配置された前後2本の第5ローラ73と、該第5ローラ73の前方に配置された第6ローラ74とからなる。
【0006】
前記第1、第2、第4、及び、第6ローラ69、70、72、74は、軸方向に沿って一体もののローラからなり、第1ローラ69は遊転自在とされ、第2、第4、第6ローラ70、72、74は、駆動ローラとされている。前記第3ローラ71及び第5ローラ73の各々は、軸方向に沿って分割されたベアリングローラからなり、軸方向に相隣接する各ベアリングローラは相互に遊転自在に設けられている。
【0007】
第2ローラ70と第4ローラ72は、図示省略の昇降装置により、各々独立して昇降自在に設けられている。第2ローラ70と第4ローラ72の上昇位置において、第1〜第6ローラ69、70、71、72、73、74の全ての上面は、同一水平搬送面に位置する。第2及び第4ローラ70、72の下降位置において、その上面は搬送面の下方に位置する。
【0008】
前記第2、第4、及び、第6ローラ70、72、74を駆動するための駆動装置は、前記フレーム68に取付けられたモータ75と、該モータ75の動力を第6と第2ローラ74、70に伝達する第1ベルト76と、該第1ベルト76を掛け渡す複数のプーリ77と、並びに、第6ローラ74の回転を第4ローラ72に伝達する第2ベルト78と、該第2ベルト78を掛け渡す複数のプーリ79とからなる。前記第1ベルト76と第2ベルト78は、前記フレーム68の左右両側にそれぞれ配置されている。
【0009】
前記第1ベルト76と第2ベルト78は、第2、第4、及び、第6ローラ70、72、74の下面に圧接することにより動力を伝達可能としている。前記位置決め手段64は、前記搬送手段63の搬送経路に出退自在となってタイヤ61に係脱自在に係合するストッパを有している。このストッパは、塗布ローラ80から構成されている。この塗布ローラ80は、タイヤビード部66に潤滑剤を塗布するものであり、前記塗布手段67を構成する。即ち、位置決め手段64と塗布手段67とは塗布ローラ80により兼用されており、これら各手段64、67は、前記左右の第2及び第3ローラ70、71の間に配置されており、その詳細が図11に示されている。
【0010】
図11において、潤滑剤貯溜用タンク81が前記コンベヤフレーム68に上方開放状に設けられている。このタンク81の中心部にガイドチューブ82が上下方向に貫通して設けられている。このガイドチューブ82の下端にエアシリンダ83が固定されている。このエアシリンダ83のピストンロッド84が前記ガイドチューブ82に上下動自在に貫挿されている。該ピストンロッド84の上端は、ガイドチューブ82から上方に突出し、該突出部にベアリングハウジング85が回動自在に套嵌されている。このベアリングハウジング85に筒体86が固定され、該筒体86は前記ガイドチューブ82に所定間隙を介して同心状に外嵌している。この筒体86に前記塗布ローラ80が同心状に外嵌されている。
【0011】
前記塗布ローラ80は、耐摩耗材料により形成されている。また、塗布ローラ80は、エアシリンダ83により上昇したとき、前記コンベヤ63の搬送面から上方に突出し、下降したとき、搬送面よりも下方に位置して前記タンク81内に潤滑剤に浸漬自在とされている。前記塗布ローラ80が搬送面より上方に突出したとき、該塗布ローラ80は、コンベヤ63上のタイヤ61の中心孔に突出自在とされ、該タイヤ61のビード部66に当接可能とされている。
【0012】
しかして、前記塗布ローラ80は、タイヤ61のビード部66に係合して、該タイヤ61の搬送方向の移動を防止する位置決め手段64を構成すると共に、ビード部66に接触して潤滑剤を塗布する塗布手段67を構成している。前記回動手段65は、前記第2、第3、第5ローラ70、71、73からなる。即ち、搬送手段63上のタイヤ61の中心孔に前記塗布ローラ80が挿入されることにより、塗布ローラ80とタイヤビード部66とが係合し、タイヤ61の搬送が防止される。このとき、第4ローラ72は搬送面よりも下方に下降する。従って、タイヤ61には、右側に配置された第2ローラ70の回転力が伝達され、そのとき該タイヤ61は塗布ローラ80によりその搬送方向の移動が防止されているので、タイヤ61はその軸心回りに回動しようとする。この回動は、第3及び第5ローラ71、73が遊転自在なローラからなるため、許容され、該タイヤ61はその軸心回りに回動し、塗布ローラ80は、タイヤビード部66に接触して回転し、ビード部66に潤滑剤を塗布する。
【0013】
その後、第2ローラ70が下降し、第4ローラ72が上昇し、且つ、塗布ローラ80が搬送面よりも下方に降下することにより、タイヤ61は、第4及び第6ローラ72、74により搬送方向に搬送される。前記構成の実施例によれば、タイヤ61は、水平状態を維持して回動され、垂直軸姿勢の塗布ローラ80によりそのビード部66に潤滑剤が塗布されるので、上下のビード部66に均一に潤滑剤を塗布することができる。
【0014】
また、前記塗布ローラ80の上昇高さを調整自在とすることにより、ビード部との接触位置を変更することができるので、常に一定位置で接触するものに比べ、摩耗の分散が図れる。
【0015】
ところで、上述の構成のタイヤのルブリケータ装置において塗布手段67で用いている塗布ローラ80は、塗布ローラ80自体を筒体86に外嵌したものを、ピストンロッド84の上端にベアリングハウジング85を介して設けた構成のもので、筒体86と共に長尺な1本のローラに構成したものである。一方、特開平7−39796号公報(特許文献2)においても、上記特許文献1と同様の長尺な1本のローラ形式の塗布体を用いたタイヤビード部用潤滑剤塗布装置が例示されている。
【0016】
上記のような塗布ローラを用いてタイヤのビード部に塗布する場合、タイヤのサイズが同じ場合には塗布ローラの同一個所がタイヤのビードシートにより擦られ、塗布ローラが部分的に消耗する。このように部分消耗した場合には、均一なタイヤへの塗布ができなくなるため交換を余儀なくされ、塗布ローラの寿命が短く、タイヤのルブリケータ装置における塗布ローラの原単位が高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開平8−257460号公報(段落0017〜0022、図1、図2)
【特許文献2】特開平7−39796号公報(段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、塗布ローラの原単位を低減し得るタイヤのルブリケータ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係るタイヤのルブリケータ装置は、タイヤの軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤを載置して所定方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段と、当該位置決め位置においてタイヤをその軸心回りに回動させる回動手段と、その回動するタイヤのビード部に潤滑油を塗布する塗布手段と、を備えたタイヤのルブリケータ装置において、前記塗布手段が塗布ローラを具備し、その塗布ローラが、短尺塗布ローラの複数個を積層状態に回転体に設けてなることを特徴とするタイヤのルブリケータ装置。
【0019】
上記構成では、塗布ローラを、短尺塗布ローラの複数個を積層状態に回転体に設けて形成するので、摩耗した部分の短尺塗布ローラのみを交換することができ、塗布ローラを安価にできると共に、全体として塗布ローラの寿命を長くでき、タイヤのルブリケータ装置における塗布ローラの原単位を低減することができる。即ち、タイヤへの潤滑剤の塗布コストを低減することができる。なお、本発明のタイヤのルブリケータ装置においては、塗布ローラを昇降させる支持フレームの昇降量を段階的に規制するための回転するストッパを備えてあってもよい。
【0020】
本発明(請求項2)に係るタイヤのルブリケータ装置は、上記請求項1記載のタイヤのルブリケータ装置において、更に、塗布手段が塗布ローラをタイヤのビード部へ押圧する押圧手段を具備し、その押圧手段が、一端部に塗布ローラを昇降可能に支持する支持フレームが固設され、他端部が搬送手段のフレームに回動自在に設けられた回動アームと、この回動アームと搬送手段のフレームとの間に回動アームを回動させるための回動駆動用シリンダとを備えてなるものである。このように構成することにより、更に、回動アームの回転力を調整して塗布ローラをタイヤのビード部に僅かな押圧力を掛けて押圧することができ、タイヤのビード部への均一な塗布ができる。
【0021】
本発明(請求項3)に係るタイヤのルブリケータ装置は、上記請求項1又は2記載のタイヤのルブリケータ装置において、塗布手段が、塗布ローラの側部に塗布ローラと平行なガイドローラを備え、該ガイドローラと塗布ローラをベルトで回転可能に連結し、ガイドローラを回転するタイヤの内側に押し当てることにより塗布ローラを回転させて潤滑剤を塗布するものである。このように構成することにより、更に、塗布ローラをタイヤのビード部に均一に僅かな押圧力を掛けて押圧することができ、タイヤのビード部への均一な塗布ができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るタイヤのルブリケータ装置によれば、塗布ローラを安価にできると共に、全体として塗布ローラの寿命を長くでき、塗布ローラの原単位を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るタイヤのルブリケータ装置の全体平面図、図2は、図1の塗布手段の拡大平面図、図3は、図2の正面図、図4は、図3の右側面図、図5は、図2のA−A断面図、図6は、図5のB部拡大詳細図、図7は、図3のガイドローラの拡大詳細図である。
【0024】
タイヤのルブリケータ装置1は、支持フレーム2、タイヤを搬送する搬送手段と回動手段を兼ねたローラコンベヤ3、ローラコンベヤ3の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段4、塗布手段5を備えて構成されている。支持フレーム2は、鋼材を用いて組み立てた架台である。
【0025】
ローラコンベヤ3は、長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7を備え、両側のコンベヤフレーム8に支持されて長尺駆動コンベヤローラ6が取付けられ、また、両側のコンベヤフレーム8と短尺駆動コンベヤローラ用のコンベヤフレーム9とに支持されて短尺駆動コンベヤローラ7が取付けられている。このローラコンベヤ3は、上記支持フレーム2の上部横フレーム上にコンベヤフレーム8、9を載置して固設されており、本例では、長尺駆動コンベヤローラ6の端部と短尺駆動コンベヤローラ7の端部に設けた歯付きベルト用プーリ10に歯付きベルト(図示せず)を巻付け、図1における上側の長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7を共用して駆動する駆動モータ(図示せず)と、下側の短尺駆動コンベヤローラ7を駆動する駆動モータ(図示せず)とにより駆動され、タイヤを搬送する搬送手段とする場合には同方向に回転駆動させ、タイヤを塗布のため1方向に回転する回動手段とする場合には、上側の短尺駆動コンベヤローラ7と下側の短尺駆動コンベヤローラ7を異方向に回転駆動させる。
【0026】
位置決め手段4は、上側と下側の各短尺駆動コンベヤローラ7の間の各2箇所に2本ずつ計4本の垂直軸に回転可能に設けられたフリーローラ11からなる。上側2本と下側2本の各ローラ11は、昇降可能で且つタイヤ搬送方向と直交する方向に進退可能に設けられおり、タイヤが所定位置に搬送されてくると、上側2本と下側2本の各ローラ11が上昇、進出してタイヤを所定位置(塗布位置)に拘束して位置決めし、塗布中はタイヤが逃げないように接触して拘束する。塗布後は下降、後退し、タイヤの搬送が円滑に行えるようにする。
【0027】
塗布手段5は、一端を支持フレーム2に回動可能に取り付けられた回動アーム12と、この回動アームの他端に取り付けられた支持フレーム13と、前記回動アーム12を回動駆動する回動駆動用シリンダ14と、前記支持フレーム13に昇降可能に取り付けられた塗布ローラ15とを備えて構成されており、以下にその構成の詳細構造を説明する。なお、回動駆動用シリンダ14は、塗布ローラ15をタイヤのビード部に押圧することができ、押圧手段としての機能を兼ねる。
【0028】
回動アーム12は、支持フレーム2の側面にベースプレート16をボルトで固定し、該ベースプレート16の上下にピローブロック17を取り付け、このピローブロック17に1端を回動(揺動)可能に取り付けられている。回動アーム12の他端には、ベースプレート18にシリンダブラケット19を介して昇降用エアシリンダ20が垂直に固定され、その上端のロッド先端と支持フレーム13とが接続されている。
【0029】
支持フレーム13は、細長のウェブ板21の上下端にフランジ板22、23を有し、ウェブ板21の上部に設けたブラケット24を介して上記昇降用エアシリンダ20のロッド先端と接続されている。また、フランジ板22、23にはシャフトホルダ25が設けられ、そのシャフトホルダ25に、昇降用エアシリンダ20の両側に平行にガイドシャフト27が固定され、このガイドシャフト27に、ベースプレート18の上下の左右に固定されたライナブッシュ28で上下方向に摺動可能に嵌合されており、前記昇降用エアシリンダ20の作動により支持フレーム13が昇降可能となっている。なお、下側のフランジ板23には、支持フレームを昇降させる際に昇降用エアシリンダ20が挿通する孔が中央部に設けられている。
【0030】
支持フレーム13の上記昇降用エアシリンダ20の取り付け面とは反対の面(以下背面という)には、その上部と中間部の位置に塗布ローラ15を着脱可能に設置するための取付板29、30が張り出して設けられている。上部取付板29は、支持フレーム13の背面に設けた突起部26にボルト31により着脱可能に設けられ、その上部取付板29には、シャフト32を内輪に嵌合して有する軸受33の外輪をハウジング34に嵌合させ、そのハウジング34が下からボルト(図示せず)で取付けられている。また更に、シャフト32の下面には、スペーサ35を介在させて段付き軸からなるボス36がボルト37により取付けられている。一方、中間部取付板30は、支持フレーム13の背面に溶接により張り出して設けられている。この中間部取付板30にはその上部側から、塗布ローラ15を着脱可能に設置するための円盤体38が軸受39と軸40を介して回転自在に取付けられている。
【0031】
塗布ローラ15は、図5に示すように、下端が上記円盤体38に嵌合して取付けられ、上端が上記ボス36の段付き軸に嵌合して取り付けられるインナパイプ(回転体)41と、このインナパイプ41の外周に積層状態に設けられた、本例では5個に分割された短尺塗布ローラ42とで構成されている。短尺塗布ローラ42は、樹脂やステンレスなどの短尺円筒体43の外周面に樹脂ブラシなどの毛44を取り付けて構成されており、また短尺円筒体43には積層した際に相互に非回転となるように上端面と下端面とに対応させて凹凸が形成されている。なお、この凹凸を形成せず短尺円筒体43をキーやビスなどでインナパイプ41に非回転となるように取り付けることもできる。
【0032】
上記のように構成された塗布ローラ15は、インナパイプ41の下端を、中間部取付板30の円盤体38に嵌合して取付けるとともに、上端に上部取付板29のボス36の段付き軸を嵌合して取り付けた後、上部取付板29を支持フレーム13の背面に設けた突起部26にボルト31により取り付けることで、支持フレーム13に着脱可能に設けられる。従って、塗布ローラ15を構成する短尺塗布ローラ42の一部が潤滑油の塗布で摩耗した場合には、その摩耗した短尺塗布ローラ42を他の摩耗していない短尺塗布ローラ42と入れ替えるか、あるいは新規の短尺塗布ローラ42と交換することで使用が継続でき、塗布ローラ15を安価にできると共に、全体として塗布ローラ15の寿命を従来のものより長くでき、塗布ローラ15の原単位を低減することができる。なお、本例では、塗布ローラ15の側部に塗布ローラ15と平行なガイドローラ45が設けられている。このガイドローラ45と塗布ローラ15の下部にタイミングプーリ(Vベルトプーリでもよい)46、47を設け、タイミングベルト48(またはVベルト)で回転を伝達し、ガイドローラ45を、回転するタイヤ内径側からビードシートに押し当てることにより塗布ローラ15を駆動して潤滑油を塗布することができる。
【0033】
また、支持フレーム13の下端部にはストッパブラケット49が取り付けられ、このストッパブラケット49の幅中央部に水平軸を溶接固定し、この水平軸にストッパ50が設けられている。ストッパ50は、前記水平軸に回転自在に嵌合するボスの一端に溶接固定した、ボス孔の軸心から90度毎に段階的に長さの異なるストッパ片(長方形状の板)51と、他端に溶接固定した、ストッパ片51の位置決め板52とを有する。位置決め板52は該当するストッパ位置でロックピン53により回転が防止される。一方、ストッパ50の垂直上方には回動アーム12から溶接で張り出した板にラバブロック54がボルトで固定されており、昇降用エアシリンダ20の上昇作動で支持フレーム13が上昇すると前記ストッパ片51がラバブロック54に当たり、塗布ローラ15の上昇ストロークを規制する。なお、ストッパ50の回転により上昇ストロークの規制位置を数段階(本図では3段階)に分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るタイヤのルブリケータ装置の全体平面図である。
【図2】図1の塗布手段の拡大平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3の右側面図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】図5のB部拡大詳細図である。
【図7】図3のガイドローラの拡大詳細図である。
【図8】従来のタイヤのルブリケータ装置の平面図である。
【図9】図8の一部断面側面図である。
【図10】図8の正面図である。
【図11】従来の塗布手段の断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1:ルブリケータ装置 2:支持フレーム 3:ローラコンベヤ
4:位置決め手段 5:塗布手段
6:長尺駆動コンベヤローラ 7:短尺駆動コンベヤローラ
8、9:コンベヤフレーム 10:歯付きベルト用プーリ
11:フリーローラ 12:回動アーム 13:支持フレーム
14:回動駆動用シリンダ 15:塗布ローラ
16:ベースプレート 17:ピローブロック 18:ベースプレート
19:シリンダブラケット 20:昇降用エアシリンダ
21:ウェブ板 22、23:フランジ板
24:ブラケット 25:シャフトホルダ 26:突起部
27:ガイドシャフト 28:ライナブッシュ 29、30:取付板
31:ボルト 32:シャフト 33:軸受
34:ハウジング 35:スペーサ 36:ボス
37:ボルト 38:円盤体 39:軸受
40:軸 41:インナパイプ 42:短尺塗布ローラ
43:短尺円筒体 44:毛 45:ガイドローラ
46、47:タイミングプーリ 48:タイミングベルト
49:ストッパブラケット 50:ストッパ
51:ストッパ片 52:位置決め板 53:ロックピン
54:ラバブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのルブリケータ装置に関し、詳細にはタイヤをタイヤ試験機などのラインに供給する際に予めタイヤのビード部に潤滑剤を塗布するタイヤのルブリケータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平8−257460号公報(特許文献1)には、タイヤのビード部に潤滑剤を塗布するためのルブリケータ装置が提案されている。
【0003】
図8〜図11は、上記特許文献1に示されている図1〜図3と図5をそれぞれ引用して示すものであって、この図8〜図11に示すタイヤのルブリケータ装置は、同特許文献1の段落[0016]〜[0027]に説明されている通りの構成からなる。即ち、タイヤ61の軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤ61を載置して図示矢印62方向に搬送する搬送手段63と、該搬送手段63の前後方向中央部に前記タイヤ61を位置決めする位置決め手段64と、該位置決め手段64において該タイヤ61を軸心回りに回動させる回動手段65と、該回動するタイヤ61のビード部66に潤滑剤を塗布する塗布手段67とを有する。
【0004】
なお、図示矢印62の搬送方向下流側を「前」、その反対方向を「後」、搬送方向に直交する水平方向を「左右」という。前記搬送手段63は、ローラコンベヤ装置からなる。該コンベヤ装置はコンベヤフレーム68を有する。該フレーム68の上部に、左右方向の水平横軸姿勢の複数のコンベヤローラが回動自在に支持されている。
【0005】
前記コンベヤローラは、フレーム68の後部に配置された前後3本の第1ローラ69と、該第1ローラ69の前方の右側に配置された前後2本の第2ローラ70と、同左側に配置された前後2本の第3ローラ71と、該第2、第3ローラ70、71の前方に配置された前後2本の第4ローラ72と、該第4ローラ72の間とその前方に配置された前後2本の第5ローラ73と、該第5ローラ73の前方に配置された第6ローラ74とからなる。
【0006】
前記第1、第2、第4、及び、第6ローラ69、70、72、74は、軸方向に沿って一体もののローラからなり、第1ローラ69は遊転自在とされ、第2、第4、第6ローラ70、72、74は、駆動ローラとされている。前記第3ローラ71及び第5ローラ73の各々は、軸方向に沿って分割されたベアリングローラからなり、軸方向に相隣接する各ベアリングローラは相互に遊転自在に設けられている。
【0007】
第2ローラ70と第4ローラ72は、図示省略の昇降装置により、各々独立して昇降自在に設けられている。第2ローラ70と第4ローラ72の上昇位置において、第1〜第6ローラ69、70、71、72、73、74の全ての上面は、同一水平搬送面に位置する。第2及び第4ローラ70、72の下降位置において、その上面は搬送面の下方に位置する。
【0008】
前記第2、第4、及び、第6ローラ70、72、74を駆動するための駆動装置は、前記フレーム68に取付けられたモータ75と、該モータ75の動力を第6と第2ローラ74、70に伝達する第1ベルト76と、該第1ベルト76を掛け渡す複数のプーリ77と、並びに、第6ローラ74の回転を第4ローラ72に伝達する第2ベルト78と、該第2ベルト78を掛け渡す複数のプーリ79とからなる。前記第1ベルト76と第2ベルト78は、前記フレーム68の左右両側にそれぞれ配置されている。
【0009】
前記第1ベルト76と第2ベルト78は、第2、第4、及び、第6ローラ70、72、74の下面に圧接することにより動力を伝達可能としている。前記位置決め手段64は、前記搬送手段63の搬送経路に出退自在となってタイヤ61に係脱自在に係合するストッパを有している。このストッパは、塗布ローラ80から構成されている。この塗布ローラ80は、タイヤビード部66に潤滑剤を塗布するものであり、前記塗布手段67を構成する。即ち、位置決め手段64と塗布手段67とは塗布ローラ80により兼用されており、これら各手段64、67は、前記左右の第2及び第3ローラ70、71の間に配置されており、その詳細が図11に示されている。
【0010】
図11において、潤滑剤貯溜用タンク81が前記コンベヤフレーム68に上方開放状に設けられている。このタンク81の中心部にガイドチューブ82が上下方向に貫通して設けられている。このガイドチューブ82の下端にエアシリンダ83が固定されている。このエアシリンダ83のピストンロッド84が前記ガイドチューブ82に上下動自在に貫挿されている。該ピストンロッド84の上端は、ガイドチューブ82から上方に突出し、該突出部にベアリングハウジング85が回動自在に套嵌されている。このベアリングハウジング85に筒体86が固定され、該筒体86は前記ガイドチューブ82に所定間隙を介して同心状に外嵌している。この筒体86に前記塗布ローラ80が同心状に外嵌されている。
【0011】
前記塗布ローラ80は、耐摩耗材料により形成されている。また、塗布ローラ80は、エアシリンダ83により上昇したとき、前記コンベヤ63の搬送面から上方に突出し、下降したとき、搬送面よりも下方に位置して前記タンク81内に潤滑剤に浸漬自在とされている。前記塗布ローラ80が搬送面より上方に突出したとき、該塗布ローラ80は、コンベヤ63上のタイヤ61の中心孔に突出自在とされ、該タイヤ61のビード部66に当接可能とされている。
【0012】
しかして、前記塗布ローラ80は、タイヤ61のビード部66に係合して、該タイヤ61の搬送方向の移動を防止する位置決め手段64を構成すると共に、ビード部66に接触して潤滑剤を塗布する塗布手段67を構成している。前記回動手段65は、前記第2、第3、第5ローラ70、71、73からなる。即ち、搬送手段63上のタイヤ61の中心孔に前記塗布ローラ80が挿入されることにより、塗布ローラ80とタイヤビード部66とが係合し、タイヤ61の搬送が防止される。このとき、第4ローラ72は搬送面よりも下方に下降する。従って、タイヤ61には、右側に配置された第2ローラ70の回転力が伝達され、そのとき該タイヤ61は塗布ローラ80によりその搬送方向の移動が防止されているので、タイヤ61はその軸心回りに回動しようとする。この回動は、第3及び第5ローラ71、73が遊転自在なローラからなるため、許容され、該タイヤ61はその軸心回りに回動し、塗布ローラ80は、タイヤビード部66に接触して回転し、ビード部66に潤滑剤を塗布する。
【0013】
その後、第2ローラ70が下降し、第4ローラ72が上昇し、且つ、塗布ローラ80が搬送面よりも下方に降下することにより、タイヤ61は、第4及び第6ローラ72、74により搬送方向に搬送される。前記構成の実施例によれば、タイヤ61は、水平状態を維持して回動され、垂直軸姿勢の塗布ローラ80によりそのビード部66に潤滑剤が塗布されるので、上下のビード部66に均一に潤滑剤を塗布することができる。
【0014】
また、前記塗布ローラ80の上昇高さを調整自在とすることにより、ビード部との接触位置を変更することができるので、常に一定位置で接触するものに比べ、摩耗の分散が図れる。
【0015】
ところで、上述の構成のタイヤのルブリケータ装置において塗布手段67で用いている塗布ローラ80は、塗布ローラ80自体を筒体86に外嵌したものを、ピストンロッド84の上端にベアリングハウジング85を介して設けた構成のもので、筒体86と共に長尺な1本のローラに構成したものである。一方、特開平7−39796号公報(特許文献2)においても、上記特許文献1と同様の長尺な1本のローラ形式の塗布体を用いたタイヤビード部用潤滑剤塗布装置が例示されている。
【0016】
上記のような塗布ローラを用いてタイヤのビード部に塗布する場合、タイヤのサイズが同じ場合には塗布ローラの同一個所がタイヤのビードシートにより擦られ、塗布ローラが部分的に消耗する。このように部分消耗した場合には、均一なタイヤへの塗布ができなくなるため交換を余儀なくされ、塗布ローラの寿命が短く、タイヤのルブリケータ装置における塗布ローラの原単位が高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開平8−257460号公報(段落0017〜0022、図1、図2)
【特許文献2】特開平7−39796号公報(段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、塗布ローラの原単位を低減し得るタイヤのルブリケータ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係るタイヤのルブリケータ装置は、タイヤの軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤを載置して所定方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段と、当該位置決め位置においてタイヤをその軸心回りに回動させる回動手段と、その回動するタイヤのビード部に潤滑油を塗布する塗布手段と、を備えたタイヤのルブリケータ装置において、前記塗布手段が塗布ローラを具備し、その塗布ローラが、短尺塗布ローラの複数個を積層状態に回転体に設けてなることを特徴とするタイヤのルブリケータ装置。
【0019】
上記構成では、塗布ローラを、短尺塗布ローラの複数個を積層状態に回転体に設けて形成するので、摩耗した部分の短尺塗布ローラのみを交換することができ、塗布ローラを安価にできると共に、全体として塗布ローラの寿命を長くでき、タイヤのルブリケータ装置における塗布ローラの原単位を低減することができる。即ち、タイヤへの潤滑剤の塗布コストを低減することができる。なお、本発明のタイヤのルブリケータ装置においては、塗布ローラを昇降させる支持フレームの昇降量を段階的に規制するための回転するストッパを備えてあってもよい。
【0020】
本発明(請求項2)に係るタイヤのルブリケータ装置は、上記請求項1記載のタイヤのルブリケータ装置において、更に、塗布手段が塗布ローラをタイヤのビード部へ押圧する押圧手段を具備し、その押圧手段が、一端部に塗布ローラを昇降可能に支持する支持フレームが固設され、他端部が搬送手段のフレームに回動自在に設けられた回動アームと、この回動アームと搬送手段のフレームとの間に回動アームを回動させるための回動駆動用シリンダとを備えてなるものである。このように構成することにより、更に、回動アームの回転力を調整して塗布ローラをタイヤのビード部に僅かな押圧力を掛けて押圧することができ、タイヤのビード部への均一な塗布ができる。
【0021】
本発明(請求項3)に係るタイヤのルブリケータ装置は、上記請求項1又は2記載のタイヤのルブリケータ装置において、塗布手段が、塗布ローラの側部に塗布ローラと平行なガイドローラを備え、該ガイドローラと塗布ローラをベルトで回転可能に連結し、ガイドローラを回転するタイヤの内側に押し当てることにより塗布ローラを回転させて潤滑剤を塗布するものである。このように構成することにより、更に、塗布ローラをタイヤのビード部に均一に僅かな押圧力を掛けて押圧することができ、タイヤのビード部への均一な塗布ができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るタイヤのルブリケータ装置によれば、塗布ローラを安価にできると共に、全体として塗布ローラの寿命を長くでき、塗布ローラの原単位を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るタイヤのルブリケータ装置の全体平面図、図2は、図1の塗布手段の拡大平面図、図3は、図2の正面図、図4は、図3の右側面図、図5は、図2のA−A断面図、図6は、図5のB部拡大詳細図、図7は、図3のガイドローラの拡大詳細図である。
【0024】
タイヤのルブリケータ装置1は、支持フレーム2、タイヤを搬送する搬送手段と回動手段を兼ねたローラコンベヤ3、ローラコンベヤ3の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段4、塗布手段5を備えて構成されている。支持フレーム2は、鋼材を用いて組み立てた架台である。
【0025】
ローラコンベヤ3は、長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7を備え、両側のコンベヤフレーム8に支持されて長尺駆動コンベヤローラ6が取付けられ、また、両側のコンベヤフレーム8と短尺駆動コンベヤローラ用のコンベヤフレーム9とに支持されて短尺駆動コンベヤローラ7が取付けられている。このローラコンベヤ3は、上記支持フレーム2の上部横フレーム上にコンベヤフレーム8、9を載置して固設されており、本例では、長尺駆動コンベヤローラ6の端部と短尺駆動コンベヤローラ7の端部に設けた歯付きベルト用プーリ10に歯付きベルト(図示せず)を巻付け、図1における上側の長尺駆動コンベヤローラ6と短尺駆動コンベヤローラ7を共用して駆動する駆動モータ(図示せず)と、下側の短尺駆動コンベヤローラ7を駆動する駆動モータ(図示せず)とにより駆動され、タイヤを搬送する搬送手段とする場合には同方向に回転駆動させ、タイヤを塗布のため1方向に回転する回動手段とする場合には、上側の短尺駆動コンベヤローラ7と下側の短尺駆動コンベヤローラ7を異方向に回転駆動させる。
【0026】
位置決め手段4は、上側と下側の各短尺駆動コンベヤローラ7の間の各2箇所に2本ずつ計4本の垂直軸に回転可能に設けられたフリーローラ11からなる。上側2本と下側2本の各ローラ11は、昇降可能で且つタイヤ搬送方向と直交する方向に進退可能に設けられおり、タイヤが所定位置に搬送されてくると、上側2本と下側2本の各ローラ11が上昇、進出してタイヤを所定位置(塗布位置)に拘束して位置決めし、塗布中はタイヤが逃げないように接触して拘束する。塗布後は下降、後退し、タイヤの搬送が円滑に行えるようにする。
【0027】
塗布手段5は、一端を支持フレーム2に回動可能に取り付けられた回動アーム12と、この回動アームの他端に取り付けられた支持フレーム13と、前記回動アーム12を回動駆動する回動駆動用シリンダ14と、前記支持フレーム13に昇降可能に取り付けられた塗布ローラ15とを備えて構成されており、以下にその構成の詳細構造を説明する。なお、回動駆動用シリンダ14は、塗布ローラ15をタイヤのビード部に押圧することができ、押圧手段としての機能を兼ねる。
【0028】
回動アーム12は、支持フレーム2の側面にベースプレート16をボルトで固定し、該ベースプレート16の上下にピローブロック17を取り付け、このピローブロック17に1端を回動(揺動)可能に取り付けられている。回動アーム12の他端には、ベースプレート18にシリンダブラケット19を介して昇降用エアシリンダ20が垂直に固定され、その上端のロッド先端と支持フレーム13とが接続されている。
【0029】
支持フレーム13は、細長のウェブ板21の上下端にフランジ板22、23を有し、ウェブ板21の上部に設けたブラケット24を介して上記昇降用エアシリンダ20のロッド先端と接続されている。また、フランジ板22、23にはシャフトホルダ25が設けられ、そのシャフトホルダ25に、昇降用エアシリンダ20の両側に平行にガイドシャフト27が固定され、このガイドシャフト27に、ベースプレート18の上下の左右に固定されたライナブッシュ28で上下方向に摺動可能に嵌合されており、前記昇降用エアシリンダ20の作動により支持フレーム13が昇降可能となっている。なお、下側のフランジ板23には、支持フレームを昇降させる際に昇降用エアシリンダ20が挿通する孔が中央部に設けられている。
【0030】
支持フレーム13の上記昇降用エアシリンダ20の取り付け面とは反対の面(以下背面という)には、その上部と中間部の位置に塗布ローラ15を着脱可能に設置するための取付板29、30が張り出して設けられている。上部取付板29は、支持フレーム13の背面に設けた突起部26にボルト31により着脱可能に設けられ、その上部取付板29には、シャフト32を内輪に嵌合して有する軸受33の外輪をハウジング34に嵌合させ、そのハウジング34が下からボルト(図示せず)で取付けられている。また更に、シャフト32の下面には、スペーサ35を介在させて段付き軸からなるボス36がボルト37により取付けられている。一方、中間部取付板30は、支持フレーム13の背面に溶接により張り出して設けられている。この中間部取付板30にはその上部側から、塗布ローラ15を着脱可能に設置するための円盤体38が軸受39と軸40を介して回転自在に取付けられている。
【0031】
塗布ローラ15は、図5に示すように、下端が上記円盤体38に嵌合して取付けられ、上端が上記ボス36の段付き軸に嵌合して取り付けられるインナパイプ(回転体)41と、このインナパイプ41の外周に積層状態に設けられた、本例では5個に分割された短尺塗布ローラ42とで構成されている。短尺塗布ローラ42は、樹脂やステンレスなどの短尺円筒体43の外周面に樹脂ブラシなどの毛44を取り付けて構成されており、また短尺円筒体43には積層した際に相互に非回転となるように上端面と下端面とに対応させて凹凸が形成されている。なお、この凹凸を形成せず短尺円筒体43をキーやビスなどでインナパイプ41に非回転となるように取り付けることもできる。
【0032】
上記のように構成された塗布ローラ15は、インナパイプ41の下端を、中間部取付板30の円盤体38に嵌合して取付けるとともに、上端に上部取付板29のボス36の段付き軸を嵌合して取り付けた後、上部取付板29を支持フレーム13の背面に設けた突起部26にボルト31により取り付けることで、支持フレーム13に着脱可能に設けられる。従って、塗布ローラ15を構成する短尺塗布ローラ42の一部が潤滑油の塗布で摩耗した場合には、その摩耗した短尺塗布ローラ42を他の摩耗していない短尺塗布ローラ42と入れ替えるか、あるいは新規の短尺塗布ローラ42と交換することで使用が継続でき、塗布ローラ15を安価にできると共に、全体として塗布ローラ15の寿命を従来のものより長くでき、塗布ローラ15の原単位を低減することができる。なお、本例では、塗布ローラ15の側部に塗布ローラ15と平行なガイドローラ45が設けられている。このガイドローラ45と塗布ローラ15の下部にタイミングプーリ(Vベルトプーリでもよい)46、47を設け、タイミングベルト48(またはVベルト)で回転を伝達し、ガイドローラ45を、回転するタイヤ内径側からビードシートに押し当てることにより塗布ローラ15を駆動して潤滑油を塗布することができる。
【0033】
また、支持フレーム13の下端部にはストッパブラケット49が取り付けられ、このストッパブラケット49の幅中央部に水平軸を溶接固定し、この水平軸にストッパ50が設けられている。ストッパ50は、前記水平軸に回転自在に嵌合するボスの一端に溶接固定した、ボス孔の軸心から90度毎に段階的に長さの異なるストッパ片(長方形状の板)51と、他端に溶接固定した、ストッパ片51の位置決め板52とを有する。位置決め板52は該当するストッパ位置でロックピン53により回転が防止される。一方、ストッパ50の垂直上方には回動アーム12から溶接で張り出した板にラバブロック54がボルトで固定されており、昇降用エアシリンダ20の上昇作動で支持フレーム13が上昇すると前記ストッパ片51がラバブロック54に当たり、塗布ローラ15の上昇ストロークを規制する。なお、ストッパ50の回転により上昇ストロークの規制位置を数段階(本図では3段階)に分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るタイヤのルブリケータ装置の全体平面図である。
【図2】図1の塗布手段の拡大平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3の右側面図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】図5のB部拡大詳細図である。
【図7】図3のガイドローラの拡大詳細図である。
【図8】従来のタイヤのルブリケータ装置の平面図である。
【図9】図8の一部断面側面図である。
【図10】図8の正面図である。
【図11】従来の塗布手段の断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1:ルブリケータ装置 2:支持フレーム 3:ローラコンベヤ
4:位置決め手段 5:塗布手段
6:長尺駆動コンベヤローラ 7:短尺駆動コンベヤローラ
8、9:コンベヤフレーム 10:歯付きベルト用プーリ
11:フリーローラ 12:回動アーム 13:支持フレーム
14:回動駆動用シリンダ 15:塗布ローラ
16:ベースプレート 17:ピローブロック 18:ベースプレート
19:シリンダブラケット 20:昇降用エアシリンダ
21:ウェブ板 22、23:フランジ板
24:ブラケット 25:シャフトホルダ 26:突起部
27:ガイドシャフト 28:ライナブッシュ 29、30:取付板
31:ボルト 32:シャフト 33:軸受
34:ハウジング 35:スペーサ 36:ボス
37:ボルト 38:円盤体 39:軸受
40:軸 41:インナパイプ 42:短尺塗布ローラ
43:短尺円筒体 44:毛 45:ガイドローラ
46、47:タイミングプーリ 48:タイミングベルト
49:ストッパブラケット 50:ストッパ
51:ストッパ片 52:位置決め板 53:ロックピン
54:ラバブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤを載置して所定方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段と、当該位置決め位置においてタイヤをその軸心回りに回動させる回動手段と、その回動するタイヤのビード部に潤滑油を塗布する塗布手段と、を備えたタイヤのルブリケータ装置において、前記塗布手段が塗布ローラを具備し、その塗布ローラが、短尺塗布ローラの複数個を積層状態に回転体に設けてなることを特徴とするタイヤのルブリケータ装置。
【請求項2】
更に、塗布手段が塗布ローラをタイヤのビード部へ押圧する押圧手段を具備し、その押圧手段が、一端部に塗布ローラを昇降可能に支持する支持フレームが固設され、他端部が搬送手段のフレームに回動自在に設けられた回動アームと、この回動アームと搬送手段のフレームとの間に回動アームを回動させるための回動駆動用シリンダとを備えてなる請求項1記載のタイヤのルブリケータ装置。
【請求項3】
塗布手段が、塗布ローラの側部に塗布ローラと平行なガイドローラを備え、該ガイドローラと塗布ローラをベルトで回転可能に連結し、ガイドローラを回転するタイヤの内側に押し当てることにより塗布ローラを回転させて潤滑剤を塗布する請求項1又は2記載のタイヤのルブリケータ装置。
【請求項4】
塗布ローラを昇降させる支持フレームの昇降量を段階的に規制するための回転するストッパを備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤのルブリケータ装置。
【請求項1】
タイヤの軸心が縦軸姿勢となるようにタイヤを載置して所定方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段の所定位置に前記タイヤを位置決めする位置決め手段と、当該位置決め位置においてタイヤをその軸心回りに回動させる回動手段と、その回動するタイヤのビード部に潤滑油を塗布する塗布手段と、を備えたタイヤのルブリケータ装置において、前記塗布手段が塗布ローラを具備し、その塗布ローラが、短尺塗布ローラの複数個を積層状態に回転体に設けてなることを特徴とするタイヤのルブリケータ装置。
【請求項2】
更に、塗布手段が塗布ローラをタイヤのビード部へ押圧する押圧手段を具備し、その押圧手段が、一端部に塗布ローラを昇降可能に支持する支持フレームが固設され、他端部が搬送手段のフレームに回動自在に設けられた回動アームと、この回動アームと搬送手段のフレームとの間に回動アームを回動させるための回動駆動用シリンダとを備えてなる請求項1記載のタイヤのルブリケータ装置。
【請求項3】
塗布手段が、塗布ローラの側部に塗布ローラと平行なガイドローラを備え、該ガイドローラと塗布ローラをベルトで回転可能に連結し、ガイドローラを回転するタイヤの内側に押し当てることにより塗布ローラを回転させて潤滑剤を塗布する請求項1又は2記載のタイヤのルブリケータ装置。
【請求項4】
塗布ローラを昇降させる支持フレームの昇降量を段階的に規制するための回転するストッパを備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤのルブリケータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−110524(P2006−110524A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303342(P2004−303342)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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