タイヤの製造方法
【課題】ユニフォミティ及び操縦安定性に優れる空気入りタイヤの提供。
【解決手段】このタイヤの製造方法は、(1)コードをトッピングゴムとともに押し出しして、リボン44が得られる工程、(2)ドラムにシートが巻回され、ベルト22が得られる工程、(3)リボン44が上記ヘッドから送り出され、このリボン44の先端50がベルト22に積層される工程、(4)ヘッドをベルト22の端42bに向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、リボン44が螺旋状に巻回される工程及び(5)ドラムの回転を維持しつつベルト22の端42bにおいてヘッドの移動を停止させることにより、リボン44が周方向に巻回される工程を含む。このリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θsは、360°以上である。
【解決手段】このタイヤの製造方法は、(1)コードをトッピングゴムとともに押し出しして、リボン44が得られる工程、(2)ドラムにシートが巻回され、ベルト22が得られる工程、(3)リボン44が上記ヘッドから送り出され、このリボン44の先端50がベルト22に積層される工程、(4)ヘッドをベルト22の端42bに向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、リボン44が螺旋状に巻回される工程及び(5)ドラムの回転を維持しつつベルト22の端42bにおいてヘッドの移動を停止させることにより、リボン44が周方向に巻回される工程を含む。このリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θsは、360°以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのベルトは、通常はバンドで覆われる。バンドは、コードを含んでいる。コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンドは、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンドは、ベルトを拘束する。これにより、ベルトのリフティングが抑制される。
【0003】
バンドは、リボンが螺旋状に巻回されることにより形成される。リボンは、コードとトッピングゴムとからなる。バンドを有するタイヤ及びその製造方法について、様々な検討がなされている。この検討例が、特開2009−051417公報、特開2001−063311公報及び特開2002−019415公報に開示されている。
【0004】
図12に示されているのは、従来の製造方法におけるバンド2の形成状況である。この図12において、左右方向がタイヤの軸方向に相当し、上下方向がこのタイヤの周方向に相当する。図12中、一点鎖線CLはタイヤの赤道面を表している。このタイヤのバンド2は、リボン4が筒状のカーカスプライ6に積層されたベルト8の第一端10aから第二端10bに向かって螺旋状に巻回されることにより、形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−051417公報
【特許文献2】特開2001−063311公報
【特許文献3】特開2002−019415公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12に示されているように、リボン4は周方向に対して傾斜している。このため、このリボン4の巻き終わりの部分にあたるベルト8の第二端10bの部分には、リボン4により拘束されている箇所と、そうでない箇所とが混在している。このため、このベルト8の第二端10bの部分におけるバンド2の拘束力は十分でない。この混在は、タイヤのロードノイズ(R/N)及びラジアルランアウト(RR)に影響する。
【0007】
ベルト8の全体をバンド2で覆うために、このバンド2の幅を拡張することがある。この場合、タイヤのユニフォミティ及びコニシティが低下するという問題がある。さらにこのタイヤでは、ベルト8の端10の部分が過剰に拘束される。この過剰な拘束は、接地形状のラウンド化を招来する。このラウンド化は、ロードノイズ(R/N)及びラジアルランアウト(RR)に影響する上に、操縦安定性を低下させてしまう。
【0008】
本発明の目的は、ユニフォミティ及び操縦安定性に優れるタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るタイヤの製造方法は、回転可能な円筒状のドラムと、軸方向に移動可能なヘッドとを備えたフォーマーにおいて実施される。この製造方法は、
(1)コードをトッピングゴムとともに押し出しして、リボンが得られる工程、
(2)上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程、
(3)このリボンが上記ヘッドから送り出され、このリボンの先端がこのベルトに積層される工程、
(4)このヘッドをこのベルトの端に向かって軸方向に移動させつつこのドラムを回転させることにより、このリボンが螺旋状に巻回される工程
及び
(5)このドラムの回転を維持しつつこのベルトの端においてこのヘッドの移動を停止させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程
を含む。上記ヘッドの移動停止によりこのリボンが周方向に巻回される工程における、上記ドラムの回転角θsは、360°以上である。
【0010】
好ましくは、このタイヤの製造方法では、
(6)上記リボンの先端が上記ベルトに積層された後、上記ヘッドを移動させることなく上記ドラムを回転させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程を
さらに含む。この工程におけるこのドラムの回転角θfは、360°以上である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る製造方法によれば、ユニフォミティ及び操縦安定性に優れるタイヤが得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法で得られる空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
【図2】図2は、図1に示されたタイヤのバンドの形成に用いられるリボンの一部が示された断面斜視図である。
【図3】図3は、図1に示されたタイヤの製造状況が模式的に示された平面図である。
【図4】図4は、図3とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図5】図5は、図4の側面図である。
【図6】図6は、図4とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図7】図7は、図6とは別の製造状況が模式的に示された側面図である。
【図8】図8は、図7とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係る製造方法で得られた空気入りタイヤのバンドが示された平面図である。
【図10】図10は、図9に示されたバンドの形成状況が示された平面図である。
【図11】図11は、図10とは別の形成状況が示された平面図である。
【図12】図12は、従来の製造方法で得られた空気入りタイヤのバンドが示された平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1に示されたタイヤ12は、トレッド14、サイドウォール16、ビード18、カーカス20、ベルト22、バンド24、インナーライナー26及びチェーファー28を備えている。このタイヤ12は、チューブレスタイプである。このタイヤ12は、乗用車に装着される。
【0015】
図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ12は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ12の赤道面を表す。
【0016】
トレッド14は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド14は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド14は、トレッド面30を備えている。このトレッド面30は、路面と接地する。トレッド面30には、溝32が刻まれている。この溝32により、トレッドパターンが形成されている。トレッド14に溝32が刻まれなくてもよい。
【0017】
サイドウォール16は、トレッド14の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール16は、架橋ゴムからなる。サイドウォール16は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール16は、カーカス20の外傷を防止する。
【0018】
ビード18は、サイドウォール16よりも半径方向略内側に位置している。ビード18は、コア34と、このコア34から半径方向外向きに延びるエイペックス36とを備えている。コア34は、リング状である。コア34は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア34にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス36は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス36は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0019】
カーカス20は、カーカスプライ38からなる。カーカスプライ38は、両側のビード18の間に架け渡されており、トレッド14及びサイドウォール16の内側に沿っている。カーカスプライ38は、コア34の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
【0020】
図示されていないが、カーカスプライ38は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス20はラジアル構造を有する。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカス20が採用されてもよい。
【0021】
ベルト22は、カーカス20の半径方向外側に位置している。ベルト22は、カーカス20と積層されている。ベルト22は、カーカス20を補強する。ベルト22は、内側層40a及び外側層40bからなる。図示されていないが、内側層40a及び外側層40bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層40aのコードの傾斜方向は、外側層40bのコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
【0022】
バンド24は、トレッド14の半径方向内側に位置している。バンド24は、ベルト22を覆っている。このタイヤ12では、バンド24は赤道面からベルト22の端42に向かって延在している。このバンド24は、ベルト22の第一端42aからその第二端42bに向かって軸方向に延在している。このバンド24は、フルバンドである。図示されていないが、このバンド24は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンド24は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト22が拘束されるので、ベルト22のリフティングが抑制される。
【0023】
このタイヤ12では、コードは通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。このコードとして、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたハイブリッドコードが用いられてもよい。このコードとして、その材質がスチールとされたコードが用いられてもよい。
【0024】
このタイヤ12では、コードの外径は0.5mm以上が好ましく、1.5mm以下が好ましい。このコードが有機繊維からなる場合、このコードの中間伸度は0.8%以上が好ましく、15%以下が好ましい。
【0025】
本明細書では、コードの中間伸度は、JIS L 1017−8.7項「一定荷重時伸び率」に準拠して計測される。この中間伸度の計測に際して、試験温度は25℃とされ、コードには50Nの荷重が掛けられる。
【0026】
このタイヤ12では、バンド24は図2に示されたリボン44を用いて形成される。このリボン44は、複数のコード46とトッピングゴム48とからなる。これらコード46のそれぞれは、このリボン44の長さ方向に延在している。図示されているように、このタイヤ12のバンド24の形成に用いられたリボン44は10本のコード46を含んでいる。このリボン44に含まれるコード46の本数は、タイヤ12の仕様、加工性等が考慮され適宜決められる。
【0027】
図2において、両矢印RWはリボン44の幅を表している。この製造方法では、リボン44の幅RWは7.0mm以上22mm以下が好ましい。この幅RWが7.0mm以上に設定されることにより、バンド24の形成に要する時間のタイヤ12の生産性への影響が抑制される。この製造方法は、良好な生産性を有する。この観点から、この幅RWは10mm以上がより好ましい。この幅RWが22mm以下に設定されることにより、ベルト22を適切に拘束しうるバンド24が得られうる。このバンド24を有するタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この観点から、この幅RWは15mm以下がより好ましい。
【0028】
このタイヤ12は、次のようにして製造される。複数のコード46をトッピングゴム48とともに押し出しして、リボン44が得られる。リボン44は、他の部材とともにフォーマー(図示されず)に供給される。
【0029】
フォーマーは、円筒状のドラム及びヘッドを備えている。ドラムは、回転可能である。ヘッドは、リボン44を送り出すとともに軸方向に移動可能である。
【0030】
この製造方法では、ドラムを回転させることにより、カーカスプライ38がこのドラムに巻回される。これにより、筒状のカーカスプライ38が得られる。筒状のカーカスプライ38に第一シートが巻回され、ベルト22の一部をなす内側層40aが形成される。この内側層40aに第二シートが巻回され、ベルト22の他の一部をなす外側層40bが形成される。これにより、ベルト22が得られる。このベルト22上にリボン44が巻回され、バンド24が形成される。
【0031】
図3には、バンド24の形成開始の状態が示されている。この図3において、左右方向がタイヤ12の軸方向に相当し、上下方向がタイヤ12の周方向に相当する。この製造方法では、ヘッドからリボン44が送り出されると、このリボン44の先端50がベルト22に積層される。図示されているように、この製造方法では、リボン44の先端50はベルト22の第一端42aに合わせられる。より詳細には、このリボン44は、その先端50におけるベルト22の第一端42a側の縁52a(以下、第一縁)がこのベルト22の第一端42aに一致するようにベルト22に積層される。これにより、バンド24の形成が開始される。
【0032】
リボン44の先端50がベルト22に積層されると、ドラムの回転が開始される。この製造方法では、このドラムが3/4周回転したとき、ヘッドの移動が開始される。この状態が図4に示されている。図4中、矢印Aで示された方向がドラムの回転方向である。矢印Bで示された方向がヘッドの移動方向である。この図4においては、左右方向がタイヤ12の軸方向に相当し、上下方向がタイヤ12の周方向に相当する。ドラムの回転方向は、タイヤ12の周方向と一致する。ヘッドの移動方向は、タイヤ12の軸方向に一致する。
【0033】
図5に示されているのは、図4の側面図である。この図4において、符号Dで示されているのはフォーマーの一部をなすドラムである。符号Raで示されているのは、このドラムDの回転軸である。このフォーマーは、このドラムDが回転軸Raを中心に矢印Aで示された方向に回転するように構成されている。このフォーマーでは、この回転方向AがドラムDの正転方向である。
【0034】
この製造方法では、ヘッドはリボン44を送り出しながらベルト22の第二端42bに向かって軸方向に移動させられる。この移動とともにドラムDが回転させられるので、リボン44はベルト22上を螺旋状に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ヘッドをベルト22の第二端42bに向かって軸方向に移動させつつドラムDを回転させることにより、リボン44が螺旋状に巻回される。
【0035】
図6には、形成途中にあるバンド24が示されている。この図6において、左右方向がタイヤ12の軸方向に相当し、上下方向がタイヤ12の周方向に相当する。この製造方法では、リボン44の巻回しのピッチはこのリボン44の幅と一致している。この巻回しにおいては、積層されるリボン44の第一縁52aは、既に積層されているこのリボン44の、ベルト22の第二端42b側の縁52b(以下、第二縁)に合わせられる。この製造方法では、巻回しのピッチを調整し、積層されるリボン44の一部が、既に積層されているこのリボン44の一部と重ね合わされるように巻回されてもよい。この巻回しのピッチは、製造されるタイヤ12の仕様等が考慮され適宜決められる。
【0036】
この製造方法では、リボン44の第二縁52bがベルト22の第二端42bに到達するとヘッドの移動が停止される。ドラムDの回転は維持されるので、リボン44は周方向に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ドラムDの回転を維持しつつこのベルト22の第二端42bにおいてヘッドの移動を停止させることにより、リボン44が周方向に巻回される。
【0037】
図6において、符号Pで示されているのは、リボン44の第二縁52bがベルト22の第二端42bに合わせられた位置である。この位置Pは、リボン44の周方向への巻回しが開始される基準位置BPでもある。
【0038】
図7には、ベルト22の第二端42bにおいてリボン44が周方向に巻回されている状況が示されている。この図7においては、ドラムDは図6の状態から矢印Aで示された方向にさらに回転している。これにより、位置Pは基準位置BPよりも回転方向前方に移動している。図7中、符号θsは、ドラムDの回転軸Raと基準位置BPとを結ぶ線分と、この回転軸Raと位置Pとを結ぶ線分とが挟む中心角である。この中心角θsが、ヘッドの移動停止によりリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角である。
【0039】
この製造方法では、リボン44の終端が基準位置BPに到達する、又は、この基準位置BPよりも回転方向後方に到達したときに、このリボン44の周方向への巻回しは終了する。より詳細には、ヘッドの移動停止によりリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムDの回転角θsは360°以上である。これにより、ベルト22の第二端42bの部分に、リボン44により拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止される。この製造方法では、周方向においてバンド24がベルト22の第二端42bを一様に拘束する。このバンド24は、ベルト22のリフティングを効果的に抑制する。この製造方法により得られるタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト22の第二端42bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θsは720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。
【0040】
この製造方法では、ベルト22の第二端42bにおけるリボン44の周方向への巻回しが終了すると、このリボン44の巻回しは完了する。これにより、バンド24が得られる。この状態が、図8に示されている。この図8に示されたバンド24では、リボン44の後端54は周方向において基準位置BPの位置と一致している。このバンド24では、リボン44の第二縁52bがベルト22の第二端42bに到達しヘッドの移動が停止された後、リボン44を周方向に巻回すために、ドラムは1回転されている。換言すれば、この図8に示されたバンド24においては、ヘッドの移動停止によりリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムDの回転角θsは360°とされている。
【0041】
この製造方法では、バンド24の形成が完了すると、トレッド14等の部材がさらに組み合わされる。これにより、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
【0042】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ12が得られる。
【0043】
前述したように、この製造方法で得られるタイヤ12のベルト22の第二端42bの部分では、リボン44により拘束されている箇所とそうでない箇所との混在が防止される。この製造方法では、バンド24によるベルト22の拘束状態に特異な部分は形成されない。このバンド24は、ベルト22を十分に拘束する。このバンド24は、ベルト22のリフティングを効果的に抑えうる。このため、この製造方法で得られるタイヤ12のラジアルランアウト(RR)は適切である。このタイヤ12では、ロードノイズ(R/N)が低減される。このタイヤ12は、静粛性に優れる。
【0044】
この製造方法では、バンド24によりベルト22を十分に拘束するために、このバンド24の幅を過剰に拡げる必要がない。この製造方法で得られるタイヤ12では、そのバンド24は適切な幅を有している。このタイヤ12では、その接地形状は適正である。このタイヤ12は、操縦安定性に優れる。
【0045】
前述したように、この製造方法では、リボン44の先端50がベルト22に積層されると、ドラムの回転が開始される。このドラムが3/4周回転したとき、ヘッドの移動が開始される。この製造方法は、リボン44の先端50がベルト22に積層された後、このヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボン44が周方向に巻回される工程を含んでいる。
【0046】
この製造方法では、リボン44は、その巻き始めにおいても、周方向に巻回される。ベルト22の第一端42aの部分においても、リボン44により拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止されるという観点から、リボン44の先端50をベルト22に積層した後、ドラムを1回転以上回転させてから、ヘッドの移動が開始されるのが好ましい。言い換えれば、リボン44の先端50がベルト22に積層された後、このヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θfは360°以上が好ましい。このようにして形成されたバンド24は、周方向においてベルト22の第一端42aを一様に拘束しうる。このバンド24は、ベルト22のリフティングを効果的に抑制しうる。このバンド24を有するタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト22の第一端42aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θfは720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。
【0047】
本発明では、タイヤ12の各部材の寸法及び角度は、タイヤ12が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ12に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ12には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ12が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ12が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ12の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
【0048】
図9には、本発明の他の実施形態に係る製造方法で得られたタイヤのバンド56が示されている。図示されていないが、このタイヤは、バンド56が第一リボン58a及び第二リボン58bを用いて形成された以外は図1に示されたタイヤ12と同等の構成を有している。この図9において、左右方向がタイヤの軸方向に相当し、上下方向がタイヤの周方向に相当する。図中、一点鎖線CLはタイヤの赤道面を表している。
【0049】
この製造方法では、バンド56は次のようにして形成される。複数の第一コードがトッピングゴムとともに押し出され、第一リボン58aが得られる。この第一リボン58aは、図2に示されたリボン44と同等の構成を有している。複数の第二コードがトッピングゴムとともに押し出され、第二リボン58bが得られる。この第二リボン58bは、図2に示されたリボン44と同等の構成を有している。第一リボン58a及び第二リボン58bは、フォーマー(図示されず)に供給される。
【0050】
フォーマーは、円筒状のドラム、第一ヘッド及び第二ヘッドを備えている。ドラムは、回転可能である。第一ヘッドは第一リボン58aを送り出す。第一ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第一ヘッドは、第一リボン58aを送り出すとともに軸方向に移動可能である。第二ヘッドは、第二リボン58bを送り出す。第二ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第二ヘッドは、第二リボン58bを送り出すとともに軸方向に移動可能である。
【0051】
この製造方法では、ドラムを回転させることにより、カーカスプライ60がこのドラムに巻回される。これにより、筒状のカーカスプライ60が得られる。筒状のカーカスプライ60に第一シートが巻回され、ベルト62の一部をなす内側層が形成される。この内側層に第二シートが巻回され、ベルト62の他の一部をなす外側層が形成される。これにより、ベルト62が得られる。このベルト62上に第一リボン58a及び第二リボン58bが巻回され、バンド56が形成される。
【0052】
図10に示されているように、この製造方法では、第一リボン58aの先端64a及び第二リボン58bの先端64bは、赤道面においてベルト62に積層される。図示されているように、第一リボン58aは、その先端64aにおけるベルト62の第二端66b側の縁68b(以下、第二縁)が赤道面に一致するようにベルト62に積層される。第二リボン58bは、その先端64bにおけるベルト62の第一端66a側の縁70a(以下、第一縁)が赤道面に一致するようにベルト62に積層される。
【0053】
第一リボン58aの先端64a及び第二リボン58bの先端64bがベルト62に積層されると、ドラムの回転が開始される。図10中、矢印Aで示された方向がこのドラムの回転方向である。この製造方法では、このドラムが3/4周回転したとき、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動が開始される。図10中、矢印B1で示された方向が第一ヘッドの移動方向であり、矢印B2で示された方向が第二ヘッドの移動方向である。この製造方法では、ドラムの回転方向はタイヤの周方向と一致している。第一ヘッド及び第二ヘッドの移動方向は、タイヤの軸方向に一致している。
【0054】
この製造方法では、第一ヘッドは第一リボン58aを送り出しながら赤道面からベルト62の第一端66aに向かって軸方向に移動させられる。この移動とともにドラムが回転させられるので、第一リボン58aはベルト62上を螺旋状に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、第一ヘッドをベルト62の第一端66aに向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、第一リボン58aが螺旋状に巻回される。この第一リボン58aが巻回されている状況が図11に示されている。
【0055】
この製造方法では、第二ヘッドは第二リボン58bを送り出しながら赤道面からベルト62の第二端66bに向かって軸方向に移動させられる。この移動とともにドラムが回転させられるので、第二リボン58bはベルト62上を螺旋状に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、第二ヘッドをベルト62の第二端66bに向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、第二リボン58bが螺旋状に巻回される。この第二リボン58bが巻回されている状況が図11に示されている。
【0056】
この製造方法では、第一リボン58aの巻回しのピッチはこの第一リボン58aの幅と一致している。この巻回しにおいては、積層される第一リボン58aの第二縁68bは、既に積層されているこのリボン44の、ベルト62の第一端66a側の縁68a(以下、第一縁)に合わせられる。この製造方法では、巻回しのピッチを調整し、積層される第一リボン58aの一部が、既に積層されているこの第一リボン58aの一部と重ね合わされるように巻回されてもよい。
【0057】
この製造方法では、第二リボン58bの巻回しのピッチはこの第二リボン58bの幅と一致している。この巻回しにおいては、積層される第二リボン58bの第一縁70aは、既に積層されているこの第二リボン58bの、ベルト62の第二端66b側の縁70b(以下、第二縁)に合わせられる。この製造方法では、巻回しのピッチを調整し、積層される第二リボン58bの一部が、既に積層されているこの第二リボン58bの一部と重ね合わされるように巻回されてもよい。
【0058】
この製造方法では、第一リボン58aの第一縁68aがベルト62の第一端66aに到達すると第一ヘッドの移動が停止される。ドラムの回転は維持されるので、第一リボン58aは周方向に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ドラムの回転を維持しつつこのベルト62の第一端66aにおいてヘッドの移動を停止させることにより、第一リボン58aが周方向に巻回される。
【0059】
図11において、符号P1で示されているのは、第一リボン58aの第一縁68aがベルト62の第一端66aに合わせられた位置である。この位置P1は、第一リボン58aの周方向への巻回しが開始される基準位置BP1でもある。
【0060】
図示されていないが、この製造方法では、ドラムが正転方向にさらに回転すると、位置P1は基準位置BP1よりも回転方向前方に移動する。この移動状態において、ドラムの回転軸Raと基準位置BP1とを結ぶ線分と、この回転軸Raと位置P1とを結ぶ線分とが挟む中心角θs1が、第一ヘッドの移動停止により第一リボン58aが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角である。
【0061】
この製造方法では、第一リボン58aの後端が基準位置BP1に到達する、又は、この基準位置BP1よりも回転方向後方に到達したときに、この第一リボン58aの周方向への巻回しは終了する。より詳細には、第一ヘッドの移動停止により第一リボン58aが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs1は360°以上である。これにより、ベルト62の第一端66aの部分に、第一リボン58aにより拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止される。この製造方法では、周方向においてバンド56がベルト62の第一端66aを一様に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑制する。この製造方法により得られるタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト62の第一端66aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θs1は720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。
【0062】
この製造方法では、第二リボン58bの第二縁70bがベルト62の第二端66bに到達すると第二ヘッドの移動が停止される。ドラムの回転は維持されるので、第二リボン58bは周方向に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ドラムの回転を維持しつつこのベルト62の第二端66bにおいてヘッドの移動を停止させることにより、第二リボン58bが周方向に巻回される。
【0063】
図11において、符号P2で示されているのは、第二リボン58bの第二縁70bがベルト62の第二端66bに合わせられた位置である。この位置P2は、第二リボン58bの周方向への巻回しが開始される基準位置BP2でもある。
【0064】
図示されていないが、この製造方法では、ドラムが正転方向にさらに回転すると、位置P2は基準位置BP2よりも回転方向前方に移動する。この移動状態において、ドラムの回転軸Raと基準位置BP2とを結ぶ線分と、この回転軸Raと位置P2とを結ぶ線分とが挟む中心角θs2が、第二ヘッドの移動停止により第二リボン58bが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角である。
【0065】
この製造方法では、第二リボン58bの後端が基準位置BP2に到達する、又は、この基準位置BP2よりも回転方向後方に到達したときに、この第二リボン58bの周方向への巻回しは終了する。より詳細には、第二ヘッドの移動停止により第二リボン58bが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs2は360°以上である。これにより、ベルト62の第二端66bの部分に、第二リボン58bにより拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止される。この製造方法では、周方向においてバンド56がベルト62の第二端66bを一様に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑制する。この製造方法により得られるタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト62の第二端66bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θs2は720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。この製造方法では、第一リボン58aの巻回しと第二リボン58bの巻回しとは同時に実施されるので、この回転角θs2は回転角θs1と同等である。
【0066】
この製造方法では、ベルト62の第一端66aにおける第一リボン58aの周方向への巻回しが終了し、このベルト62の第二端66bにおける第二リボン58bの周方向への巻回しが終了すると、この第一リボン58a及び第二リボン58bの巻回しが完了する。これにより、バンド56が得られる。この状態が、図9に示されている。この図9に示されたバンド56では、第一リボン58aの後端72aは周方向において基準位置BP1の位置と一致している。第二リボン58bの後端72bは、周方向において基準位置BP2の位置と一致している。このバンド56では、第一リボン58aの第一縁68aがベルト62の第一端66aに到達し第一ヘッドの移動が停止された後、第一リボン58aを周方向に巻回すために、ドラムは1回転されている。第二リボン58bの第二縁70bがベルト62の第二端66bに到達し第二ヘッドの移動が停止された後、第二リボン58bを周方向に巻回すために、ドラムは1回転されている。換言すれば、この図9に示されたバンド56においては、第一ヘッドの移動停止により第一リボン58aが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs1は360°とされている。第二ヘッドの移動停止により第二リボン58bが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs2は360°とされている。
【0067】
この製造方法では、バンド56の形成が完了すると、トレッド等の部材がさらに組み合わされる。これにより、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
【0068】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
【0069】
前述したように、この製造方法で得られるタイヤのベルト62の第一端66aの部分では、第一リボン58aにより拘束されている箇所とそうでない箇所との混在が防止される。この製造方法では、バンド56によるベルト62の拘束状態に特異な部分は形成されない。このバンド56は、ベルト62を十分に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑えうる。このため、この製造方法で得られるタイヤのラジアルランアウト(RR)は適切である。このタイヤでは、ロードノイズ(R/N)が低減される。このタイヤは、静粛性に優れる。
【0070】
前述したように、この製造方法で得られるタイヤのベルト62の第二端66bの部分では、第二リボン58bにより拘束されている箇所とそうでない箇所との混在が防止される。この製造方法では、バンド56によるベルト62の拘束状態に特異な部分は形成されない。このバンド56は、ベルト62を十分に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑えうる。このため、この製造方法で得られるタイヤのラジアルランアウト(RR)は適切である。このタイヤでは、ロードノイズ(R/N)が低減される。このタイヤは、静粛性に優れる。
【0071】
この製造方法では、バンド56によりベルト62を十分に拘束するために、このバンド56の幅を過剰に拡げる必要がない。この製造方法で得られるタイヤでは、そのバンド56は適切な幅を有している。このタイヤでは、その接地形状は適正である。このタイヤは、操縦安定性に優れる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0073】
[実施例1]
図1に示された構造を備えた空気入りタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、「175/65R14 82T」である。この製作に際しては、コードをトッピングゴムとともに押し出しして、その幅RWが15mmのリボンを形成した。コードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。コードの径は、1.0mmとされた。コードの中間伸度は、10%であった。円筒状のドラムと、ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、ドラムにシートが巻回され、ベルトが形成された。リボンがヘッドから送り出され、このリボンの先端がこのベルトに積層された。この積層に際しては、このリボンの第一縁がベルトの第一端に合わせられた。積層後ドラムを3/4周回転させた後、ヘッドの移動が開始された。ヘッドをベルトの第二端に向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、このリボンが螺旋状に巻回された。ドラムの回転を維持しつつベルトの第二端においてヘッドの移動を停止させて、リボンが周方向に巻回された。このとき、ドラムの回転角θsは360°とされた。
【0074】
前述したように、この実施例1では、リボンを積層後ドラムを3/4周回転させた後、ヘッドの移動が開始されている。したがって、この実施例1では、リボンの先端がベルトに積層された後、このヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボンが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θfは270°である。このことが、表中、回転角θfの欄に記載されている。
【0075】
[実施例2−6]
リボンの幅RWを下記の表1及び2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0076】
[比較例2及び3]
回転角θsを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0077】
[実施例7]
回転角θfを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0078】
[比較例1]
従来の製造方法である。この比較例1では、リボンがベルトの第二端に到達すると、ヘッドの移動を停止するとともにドラムの回転も停止された。この比較例1では、このベルトの第二端において、リボンは周方向に巻回されていない。
【0079】
[実施例8]
図1に示された構造を備えた空気入りタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、「175/65R14 82T」である。この製作に際しては、コードをトッピングゴムとともに押し出しして、その幅RWが15mmのリボンを2本形成した。コードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。コードの径は、1.0mmとされた。コードの中間伸度は、10%であった。円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、ドラムにシートが巻回され、ベルトが形成された。第一リボンが第一ヘッドから送り出され、この第一リボンの先端がこのベルトに積層された。この積層に際しては、この第一リボンの第二縁が赤道面に合わせられた。第二リボンが第二ヘッドから送り出され、この第二リボンの先端がこのベルトに積層された。この積層に際しては、この第二リボンの第一縁が赤道面に合わせられた。第一リボン及び第二リボンの積層後ドラムを3/4周回転させた後、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動が開始された。第一ヘッドをベルトの第一端に向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、この第一リボンが螺旋状に巻回された。ドラムの回転を維持しつつベルトの第一端において第一ヘッドの移動を停止させて、第一リボンが周方向に巻回された。このとき、ドラムの回転角θs1は360°とされた。第二ヘッドをベルトの第二端に向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、この第二リボンが螺旋状に巻回された。ドラムの回転を維持しつつベルトの第二端において第二ヘッドの移動を停止させて、第二リボンが周方向に巻回された。このとき、ドラムの回転角θs2は360°とされた。
【0080】
前述したように、この実施例1では、リボンを積層後ドラムを3/4周回転させた後、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動が開始されている。したがって、この実施例8では、第一リボンの先端がベルトに積層された後、この第一ヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボンが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θf1は270°である。このことが、表3中、回転角θf1の欄に記載されている。この実施例8では、第二リボンの先端がベルトに積層された後、この第二ヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、第二リボンが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θf2も270°である。このことが、表3中、回転角θf2の欄に記載されている。
【0081】
[比較例4]
従来の製造方法である。この比較例4では、第一リボンがベルトの第一端に到達し第二リボンがベルトの第二端に到達すると、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動を停止させるとともにドラムの回転を停止させた他は実施例8と同様にして、タイヤが製作された。この比較例4では、このベルトの第一端において、第一リボンは周方向に巻回されていない。このベルトの第二端においても、第二リボンは周方向に巻回されていない。
【0082】
[ユニフォミティ]
「JASO C607:2000」に規定されたユニフォーミティ試験の条件に準拠して、ラテラル・フォース・バリエーション(LFV)、ラジアル・ラン・アウト(RR)及びコニシティ(CON)を測定した。20本のタイヤを測定した結果の平均値が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0083】
[静粛性]
台上ロードノイズ(R/N)試験機にて、R/Nを計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1及び表2に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0084】
[操縦安定性]
フラットベルト試験機にて、コーナリングパワー(CP)を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0085】
[生産性]
単位時間当たりに生産できるタイヤの本数を計測した。その結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
表1、表2及び表3に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明された方法は、種々の車両の製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0091】
2、24、56・・・バンド
4、44、58、58a、58b・・・リボン
6、38、60・・・カーカスプライ
8、22、62・・・ベルト
12・・・タイヤ
14・・・トレッド
16・・・サイドウォール
18・・・ビード
20・・・カーカス
50、64a、64b・・・先端
52a、52b、68a、68b、70a、70b・・・縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのベルトは、通常はバンドで覆われる。バンドは、コードを含んでいる。コードは、実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンドは、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンドは、ベルトを拘束する。これにより、ベルトのリフティングが抑制される。
【0003】
バンドは、リボンが螺旋状に巻回されることにより形成される。リボンは、コードとトッピングゴムとからなる。バンドを有するタイヤ及びその製造方法について、様々な検討がなされている。この検討例が、特開2009−051417公報、特開2001−063311公報及び特開2002−019415公報に開示されている。
【0004】
図12に示されているのは、従来の製造方法におけるバンド2の形成状況である。この図12において、左右方向がタイヤの軸方向に相当し、上下方向がこのタイヤの周方向に相当する。図12中、一点鎖線CLはタイヤの赤道面を表している。このタイヤのバンド2は、リボン4が筒状のカーカスプライ6に積層されたベルト8の第一端10aから第二端10bに向かって螺旋状に巻回されることにより、形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−051417公報
【特許文献2】特開2001−063311公報
【特許文献3】特開2002−019415公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12に示されているように、リボン4は周方向に対して傾斜している。このため、このリボン4の巻き終わりの部分にあたるベルト8の第二端10bの部分には、リボン4により拘束されている箇所と、そうでない箇所とが混在している。このため、このベルト8の第二端10bの部分におけるバンド2の拘束力は十分でない。この混在は、タイヤのロードノイズ(R/N)及びラジアルランアウト(RR)に影響する。
【0007】
ベルト8の全体をバンド2で覆うために、このバンド2の幅を拡張することがある。この場合、タイヤのユニフォミティ及びコニシティが低下するという問題がある。さらにこのタイヤでは、ベルト8の端10の部分が過剰に拘束される。この過剰な拘束は、接地形状のラウンド化を招来する。このラウンド化は、ロードノイズ(R/N)及びラジアルランアウト(RR)に影響する上に、操縦安定性を低下させてしまう。
【0008】
本発明の目的は、ユニフォミティ及び操縦安定性に優れるタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るタイヤの製造方法は、回転可能な円筒状のドラムと、軸方向に移動可能なヘッドとを備えたフォーマーにおいて実施される。この製造方法は、
(1)コードをトッピングゴムとともに押し出しして、リボンが得られる工程、
(2)上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程、
(3)このリボンが上記ヘッドから送り出され、このリボンの先端がこのベルトに積層される工程、
(4)このヘッドをこのベルトの端に向かって軸方向に移動させつつこのドラムを回転させることにより、このリボンが螺旋状に巻回される工程
及び
(5)このドラムの回転を維持しつつこのベルトの端においてこのヘッドの移動を停止させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程
を含む。上記ヘッドの移動停止によりこのリボンが周方向に巻回される工程における、上記ドラムの回転角θsは、360°以上である。
【0010】
好ましくは、このタイヤの製造方法では、
(6)上記リボンの先端が上記ベルトに積層された後、上記ヘッドを移動させることなく上記ドラムを回転させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程を
さらに含む。この工程におけるこのドラムの回転角θfは、360°以上である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る製造方法によれば、ユニフォミティ及び操縦安定性に優れるタイヤが得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法で得られる空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
【図2】図2は、図1に示されたタイヤのバンドの形成に用いられるリボンの一部が示された断面斜視図である。
【図3】図3は、図1に示されたタイヤの製造状況が模式的に示された平面図である。
【図4】図4は、図3とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図5】図5は、図4の側面図である。
【図6】図6は、図4とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図7】図7は、図6とは別の製造状況が模式的に示された側面図である。
【図8】図8は、図7とは別の製造状況が模式的に示された平面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係る製造方法で得られた空気入りタイヤのバンドが示された平面図である。
【図10】図10は、図9に示されたバンドの形成状況が示された平面図である。
【図11】図11は、図10とは別の形成状況が示された平面図である。
【図12】図12は、従来の製造方法で得られた空気入りタイヤのバンドが示された平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1に示されたタイヤ12は、トレッド14、サイドウォール16、ビード18、カーカス20、ベルト22、バンド24、インナーライナー26及びチェーファー28を備えている。このタイヤ12は、チューブレスタイプである。このタイヤ12は、乗用車に装着される。
【0015】
図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ12は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ12の赤道面を表す。
【0016】
トレッド14は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド14は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド14は、トレッド面30を備えている。このトレッド面30は、路面と接地する。トレッド面30には、溝32が刻まれている。この溝32により、トレッドパターンが形成されている。トレッド14に溝32が刻まれなくてもよい。
【0017】
サイドウォール16は、トレッド14の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール16は、架橋ゴムからなる。サイドウォール16は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール16は、カーカス20の外傷を防止する。
【0018】
ビード18は、サイドウォール16よりも半径方向略内側に位置している。ビード18は、コア34と、このコア34から半径方向外向きに延びるエイペックス36とを備えている。コア34は、リング状である。コア34は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、コア34にスチール製ワイヤーが用いられる。エイペックス36は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス36は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0019】
カーカス20は、カーカスプライ38からなる。カーカスプライ38は、両側のビード18の間に架け渡されており、トレッド14及びサイドウォール16の内側に沿っている。カーカスプライ38は、コア34の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
【0020】
図示されていないが、カーカスプライ38は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス20はラジアル構造を有する。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカス20が採用されてもよい。
【0021】
ベルト22は、カーカス20の半径方向外側に位置している。ベルト22は、カーカス20と積層されている。ベルト22は、カーカス20を補強する。ベルト22は、内側層40a及び外側層40bからなる。図示されていないが、内側層40a及び外側層40bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層40aのコードの傾斜方向は、外側層40bのコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
【0022】
バンド24は、トレッド14の半径方向内側に位置している。バンド24は、ベルト22を覆っている。このタイヤ12では、バンド24は赤道面からベルト22の端42に向かって延在している。このバンド24は、ベルト22の第一端42aからその第二端42bに向かって軸方向に延在している。このバンド24は、フルバンドである。図示されていないが、このバンド24は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンド24は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト22が拘束されるので、ベルト22のリフティングが抑制される。
【0023】
このタイヤ12では、コードは通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。このコードとして、複数の有機繊維が組み合わされて構成されたハイブリッドコードが用いられてもよい。このコードとして、その材質がスチールとされたコードが用いられてもよい。
【0024】
このタイヤ12では、コードの外径は0.5mm以上が好ましく、1.5mm以下が好ましい。このコードが有機繊維からなる場合、このコードの中間伸度は0.8%以上が好ましく、15%以下が好ましい。
【0025】
本明細書では、コードの中間伸度は、JIS L 1017−8.7項「一定荷重時伸び率」に準拠して計測される。この中間伸度の計測に際して、試験温度は25℃とされ、コードには50Nの荷重が掛けられる。
【0026】
このタイヤ12では、バンド24は図2に示されたリボン44を用いて形成される。このリボン44は、複数のコード46とトッピングゴム48とからなる。これらコード46のそれぞれは、このリボン44の長さ方向に延在している。図示されているように、このタイヤ12のバンド24の形成に用いられたリボン44は10本のコード46を含んでいる。このリボン44に含まれるコード46の本数は、タイヤ12の仕様、加工性等が考慮され適宜決められる。
【0027】
図2において、両矢印RWはリボン44の幅を表している。この製造方法では、リボン44の幅RWは7.0mm以上22mm以下が好ましい。この幅RWが7.0mm以上に設定されることにより、バンド24の形成に要する時間のタイヤ12の生産性への影響が抑制される。この製造方法は、良好な生産性を有する。この観点から、この幅RWは10mm以上がより好ましい。この幅RWが22mm以下に設定されることにより、ベルト22を適切に拘束しうるバンド24が得られうる。このバンド24を有するタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この観点から、この幅RWは15mm以下がより好ましい。
【0028】
このタイヤ12は、次のようにして製造される。複数のコード46をトッピングゴム48とともに押し出しして、リボン44が得られる。リボン44は、他の部材とともにフォーマー(図示されず)に供給される。
【0029】
フォーマーは、円筒状のドラム及びヘッドを備えている。ドラムは、回転可能である。ヘッドは、リボン44を送り出すとともに軸方向に移動可能である。
【0030】
この製造方法では、ドラムを回転させることにより、カーカスプライ38がこのドラムに巻回される。これにより、筒状のカーカスプライ38が得られる。筒状のカーカスプライ38に第一シートが巻回され、ベルト22の一部をなす内側層40aが形成される。この内側層40aに第二シートが巻回され、ベルト22の他の一部をなす外側層40bが形成される。これにより、ベルト22が得られる。このベルト22上にリボン44が巻回され、バンド24が形成される。
【0031】
図3には、バンド24の形成開始の状態が示されている。この図3において、左右方向がタイヤ12の軸方向に相当し、上下方向がタイヤ12の周方向に相当する。この製造方法では、ヘッドからリボン44が送り出されると、このリボン44の先端50がベルト22に積層される。図示されているように、この製造方法では、リボン44の先端50はベルト22の第一端42aに合わせられる。より詳細には、このリボン44は、その先端50におけるベルト22の第一端42a側の縁52a(以下、第一縁)がこのベルト22の第一端42aに一致するようにベルト22に積層される。これにより、バンド24の形成が開始される。
【0032】
リボン44の先端50がベルト22に積層されると、ドラムの回転が開始される。この製造方法では、このドラムが3/4周回転したとき、ヘッドの移動が開始される。この状態が図4に示されている。図4中、矢印Aで示された方向がドラムの回転方向である。矢印Bで示された方向がヘッドの移動方向である。この図4においては、左右方向がタイヤ12の軸方向に相当し、上下方向がタイヤ12の周方向に相当する。ドラムの回転方向は、タイヤ12の周方向と一致する。ヘッドの移動方向は、タイヤ12の軸方向に一致する。
【0033】
図5に示されているのは、図4の側面図である。この図4において、符号Dで示されているのはフォーマーの一部をなすドラムである。符号Raで示されているのは、このドラムDの回転軸である。このフォーマーは、このドラムDが回転軸Raを中心に矢印Aで示された方向に回転するように構成されている。このフォーマーでは、この回転方向AがドラムDの正転方向である。
【0034】
この製造方法では、ヘッドはリボン44を送り出しながらベルト22の第二端42bに向かって軸方向に移動させられる。この移動とともにドラムDが回転させられるので、リボン44はベルト22上を螺旋状に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ヘッドをベルト22の第二端42bに向かって軸方向に移動させつつドラムDを回転させることにより、リボン44が螺旋状に巻回される。
【0035】
図6には、形成途中にあるバンド24が示されている。この図6において、左右方向がタイヤ12の軸方向に相当し、上下方向がタイヤ12の周方向に相当する。この製造方法では、リボン44の巻回しのピッチはこのリボン44の幅と一致している。この巻回しにおいては、積層されるリボン44の第一縁52aは、既に積層されているこのリボン44の、ベルト22の第二端42b側の縁52b(以下、第二縁)に合わせられる。この製造方法では、巻回しのピッチを調整し、積層されるリボン44の一部が、既に積層されているこのリボン44の一部と重ね合わされるように巻回されてもよい。この巻回しのピッチは、製造されるタイヤ12の仕様等が考慮され適宜決められる。
【0036】
この製造方法では、リボン44の第二縁52bがベルト22の第二端42bに到達するとヘッドの移動が停止される。ドラムDの回転は維持されるので、リボン44は周方向に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ドラムDの回転を維持しつつこのベルト22の第二端42bにおいてヘッドの移動を停止させることにより、リボン44が周方向に巻回される。
【0037】
図6において、符号Pで示されているのは、リボン44の第二縁52bがベルト22の第二端42bに合わせられた位置である。この位置Pは、リボン44の周方向への巻回しが開始される基準位置BPでもある。
【0038】
図7には、ベルト22の第二端42bにおいてリボン44が周方向に巻回されている状況が示されている。この図7においては、ドラムDは図6の状態から矢印Aで示された方向にさらに回転している。これにより、位置Pは基準位置BPよりも回転方向前方に移動している。図7中、符号θsは、ドラムDの回転軸Raと基準位置BPとを結ぶ線分と、この回転軸Raと位置Pとを結ぶ線分とが挟む中心角である。この中心角θsが、ヘッドの移動停止によりリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角である。
【0039】
この製造方法では、リボン44の終端が基準位置BPに到達する、又は、この基準位置BPよりも回転方向後方に到達したときに、このリボン44の周方向への巻回しは終了する。より詳細には、ヘッドの移動停止によりリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムDの回転角θsは360°以上である。これにより、ベルト22の第二端42bの部分に、リボン44により拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止される。この製造方法では、周方向においてバンド24がベルト22の第二端42bを一様に拘束する。このバンド24は、ベルト22のリフティングを効果的に抑制する。この製造方法により得られるタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト22の第二端42bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θsは720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。
【0040】
この製造方法では、ベルト22の第二端42bにおけるリボン44の周方向への巻回しが終了すると、このリボン44の巻回しは完了する。これにより、バンド24が得られる。この状態が、図8に示されている。この図8に示されたバンド24では、リボン44の後端54は周方向において基準位置BPの位置と一致している。このバンド24では、リボン44の第二縁52bがベルト22の第二端42bに到達しヘッドの移動が停止された後、リボン44を周方向に巻回すために、ドラムは1回転されている。換言すれば、この図8に示されたバンド24においては、ヘッドの移動停止によりリボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムDの回転角θsは360°とされている。
【0041】
この製造方法では、バンド24の形成が完了すると、トレッド14等の部材がさらに組み合わされる。これにより、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
【0042】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ12が得られる。
【0043】
前述したように、この製造方法で得られるタイヤ12のベルト22の第二端42bの部分では、リボン44により拘束されている箇所とそうでない箇所との混在が防止される。この製造方法では、バンド24によるベルト22の拘束状態に特異な部分は形成されない。このバンド24は、ベルト22を十分に拘束する。このバンド24は、ベルト22のリフティングを効果的に抑えうる。このため、この製造方法で得られるタイヤ12のラジアルランアウト(RR)は適切である。このタイヤ12では、ロードノイズ(R/N)が低減される。このタイヤ12は、静粛性に優れる。
【0044】
この製造方法では、バンド24によりベルト22を十分に拘束するために、このバンド24の幅を過剰に拡げる必要がない。この製造方法で得られるタイヤ12では、そのバンド24は適切な幅を有している。このタイヤ12では、その接地形状は適正である。このタイヤ12は、操縦安定性に優れる。
【0045】
前述したように、この製造方法では、リボン44の先端50がベルト22に積層されると、ドラムの回転が開始される。このドラムが3/4周回転したとき、ヘッドの移動が開始される。この製造方法は、リボン44の先端50がベルト22に積層された後、このヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボン44が周方向に巻回される工程を含んでいる。
【0046】
この製造方法では、リボン44は、その巻き始めにおいても、周方向に巻回される。ベルト22の第一端42aの部分においても、リボン44により拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止されるという観点から、リボン44の先端50をベルト22に積層した後、ドラムを1回転以上回転させてから、ヘッドの移動が開始されるのが好ましい。言い換えれば、リボン44の先端50がベルト22に積層された後、このヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボン44が周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θfは360°以上が好ましい。このようにして形成されたバンド24は、周方向においてベルト22の第一端42aを一様に拘束しうる。このバンド24は、ベルト22のリフティングを効果的に抑制しうる。このバンド24を有するタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト22の第一端42aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θfは720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。
【0047】
本発明では、タイヤ12の各部材の寸法及び角度は、タイヤ12が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ12に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ12には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ12が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ12が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ12の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
【0048】
図9には、本発明の他の実施形態に係る製造方法で得られたタイヤのバンド56が示されている。図示されていないが、このタイヤは、バンド56が第一リボン58a及び第二リボン58bを用いて形成された以外は図1に示されたタイヤ12と同等の構成を有している。この図9において、左右方向がタイヤの軸方向に相当し、上下方向がタイヤの周方向に相当する。図中、一点鎖線CLはタイヤの赤道面を表している。
【0049】
この製造方法では、バンド56は次のようにして形成される。複数の第一コードがトッピングゴムとともに押し出され、第一リボン58aが得られる。この第一リボン58aは、図2に示されたリボン44と同等の構成を有している。複数の第二コードがトッピングゴムとともに押し出され、第二リボン58bが得られる。この第二リボン58bは、図2に示されたリボン44と同等の構成を有している。第一リボン58a及び第二リボン58bは、フォーマー(図示されず)に供給される。
【0050】
フォーマーは、円筒状のドラム、第一ヘッド及び第二ヘッドを備えている。ドラムは、回転可能である。第一ヘッドは第一リボン58aを送り出す。第一ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第一ヘッドは、第一リボン58aを送り出すとともに軸方向に移動可能である。第二ヘッドは、第二リボン58bを送り出す。第二ヘッドは、軸方向に移動しうる。この第二ヘッドは、第二リボン58bを送り出すとともに軸方向に移動可能である。
【0051】
この製造方法では、ドラムを回転させることにより、カーカスプライ60がこのドラムに巻回される。これにより、筒状のカーカスプライ60が得られる。筒状のカーカスプライ60に第一シートが巻回され、ベルト62の一部をなす内側層が形成される。この内側層に第二シートが巻回され、ベルト62の他の一部をなす外側層が形成される。これにより、ベルト62が得られる。このベルト62上に第一リボン58a及び第二リボン58bが巻回され、バンド56が形成される。
【0052】
図10に示されているように、この製造方法では、第一リボン58aの先端64a及び第二リボン58bの先端64bは、赤道面においてベルト62に積層される。図示されているように、第一リボン58aは、その先端64aにおけるベルト62の第二端66b側の縁68b(以下、第二縁)が赤道面に一致するようにベルト62に積層される。第二リボン58bは、その先端64bにおけるベルト62の第一端66a側の縁70a(以下、第一縁)が赤道面に一致するようにベルト62に積層される。
【0053】
第一リボン58aの先端64a及び第二リボン58bの先端64bがベルト62に積層されると、ドラムの回転が開始される。図10中、矢印Aで示された方向がこのドラムの回転方向である。この製造方法では、このドラムが3/4周回転したとき、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動が開始される。図10中、矢印B1で示された方向が第一ヘッドの移動方向であり、矢印B2で示された方向が第二ヘッドの移動方向である。この製造方法では、ドラムの回転方向はタイヤの周方向と一致している。第一ヘッド及び第二ヘッドの移動方向は、タイヤの軸方向に一致している。
【0054】
この製造方法では、第一ヘッドは第一リボン58aを送り出しながら赤道面からベルト62の第一端66aに向かって軸方向に移動させられる。この移動とともにドラムが回転させられるので、第一リボン58aはベルト62上を螺旋状に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、第一ヘッドをベルト62の第一端66aに向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、第一リボン58aが螺旋状に巻回される。この第一リボン58aが巻回されている状況が図11に示されている。
【0055】
この製造方法では、第二ヘッドは第二リボン58bを送り出しながら赤道面からベルト62の第二端66bに向かって軸方向に移動させられる。この移動とともにドラムが回転させられるので、第二リボン58bはベルト62上を螺旋状に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、第二ヘッドをベルト62の第二端66bに向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、第二リボン58bが螺旋状に巻回される。この第二リボン58bが巻回されている状況が図11に示されている。
【0056】
この製造方法では、第一リボン58aの巻回しのピッチはこの第一リボン58aの幅と一致している。この巻回しにおいては、積層される第一リボン58aの第二縁68bは、既に積層されているこのリボン44の、ベルト62の第一端66a側の縁68a(以下、第一縁)に合わせられる。この製造方法では、巻回しのピッチを調整し、積層される第一リボン58aの一部が、既に積層されているこの第一リボン58aの一部と重ね合わされるように巻回されてもよい。
【0057】
この製造方法では、第二リボン58bの巻回しのピッチはこの第二リボン58bの幅と一致している。この巻回しにおいては、積層される第二リボン58bの第一縁70aは、既に積層されているこの第二リボン58bの、ベルト62の第二端66b側の縁70b(以下、第二縁)に合わせられる。この製造方法では、巻回しのピッチを調整し、積層される第二リボン58bの一部が、既に積層されているこの第二リボン58bの一部と重ね合わされるように巻回されてもよい。
【0058】
この製造方法では、第一リボン58aの第一縁68aがベルト62の第一端66aに到達すると第一ヘッドの移動が停止される。ドラムの回転は維持されるので、第一リボン58aは周方向に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ドラムの回転を維持しつつこのベルト62の第一端66aにおいてヘッドの移動を停止させることにより、第一リボン58aが周方向に巻回される。
【0059】
図11において、符号P1で示されているのは、第一リボン58aの第一縁68aがベルト62の第一端66aに合わせられた位置である。この位置P1は、第一リボン58aの周方向への巻回しが開始される基準位置BP1でもある。
【0060】
図示されていないが、この製造方法では、ドラムが正転方向にさらに回転すると、位置P1は基準位置BP1よりも回転方向前方に移動する。この移動状態において、ドラムの回転軸Raと基準位置BP1とを結ぶ線分と、この回転軸Raと位置P1とを結ぶ線分とが挟む中心角θs1が、第一ヘッドの移動停止により第一リボン58aが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角である。
【0061】
この製造方法では、第一リボン58aの後端が基準位置BP1に到達する、又は、この基準位置BP1よりも回転方向後方に到達したときに、この第一リボン58aの周方向への巻回しは終了する。より詳細には、第一ヘッドの移動停止により第一リボン58aが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs1は360°以上である。これにより、ベルト62の第一端66aの部分に、第一リボン58aにより拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止される。この製造方法では、周方向においてバンド56がベルト62の第一端66aを一様に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑制する。この製造方法により得られるタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト62の第一端66aにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θs1は720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。
【0062】
この製造方法では、第二リボン58bの第二縁70bがベルト62の第二端66bに到達すると第二ヘッドの移動が停止される。ドラムの回転は維持されるので、第二リボン58bは周方向に巻回される。言い換えれば、この製造方法では、ドラムの回転を維持しつつこのベルト62の第二端66bにおいてヘッドの移動を停止させることにより、第二リボン58bが周方向に巻回される。
【0063】
図11において、符号P2で示されているのは、第二リボン58bの第二縁70bがベルト62の第二端66bに合わせられた位置である。この位置P2は、第二リボン58bの周方向への巻回しが開始される基準位置BP2でもある。
【0064】
図示されていないが、この製造方法では、ドラムが正転方向にさらに回転すると、位置P2は基準位置BP2よりも回転方向前方に移動する。この移動状態において、ドラムの回転軸Raと基準位置BP2とを結ぶ線分と、この回転軸Raと位置P2とを結ぶ線分とが挟む中心角θs2が、第二ヘッドの移動停止により第二リボン58bが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角である。
【0065】
この製造方法では、第二リボン58bの後端が基準位置BP2に到達する、又は、この基準位置BP2よりも回転方向後方に到達したときに、この第二リボン58bの周方向への巻回しは終了する。より詳細には、第二ヘッドの移動停止により第二リボン58bが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs2は360°以上である。これにより、ベルト62の第二端66bの部分に、第二リボン58bにより拘束されている箇所とそうでない箇所とが混在することが防止される。この製造方法では、周方向においてバンド56がベルト62の第二端66bを一様に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑制する。この製造方法により得られるタイヤ12は、ユニフォミティに優れ、適切なコニシティを有する。このタイヤ12は、乗り心地及び操縦安定性に優れる。この製造方法では、ベルト62の第二端66bにおける剛性が適切に維持されうるという観点から、この回転角θs2は720°以下が好ましく、540°以下がより好ましく、450°以下がさらに好ましく、405°以下が特に好ましい。この製造方法では、第一リボン58aの巻回しと第二リボン58bの巻回しとは同時に実施されるので、この回転角θs2は回転角θs1と同等である。
【0066】
この製造方法では、ベルト62の第一端66aにおける第一リボン58aの周方向への巻回しが終了し、このベルト62の第二端66bにおける第二リボン58bの周方向への巻回しが終了すると、この第一リボン58a及び第二リボン58bの巻回しが完了する。これにより、バンド56が得られる。この状態が、図9に示されている。この図9に示されたバンド56では、第一リボン58aの後端72aは周方向において基準位置BP1の位置と一致している。第二リボン58bの後端72bは、周方向において基準位置BP2の位置と一致している。このバンド56では、第一リボン58aの第一縁68aがベルト62の第一端66aに到達し第一ヘッドの移動が停止された後、第一リボン58aを周方向に巻回すために、ドラムは1回転されている。第二リボン58bの第二縁70bがベルト62の第二端66bに到達し第二ヘッドの移動が停止された後、第二リボン58bを周方向に巻回すために、ドラムは1回転されている。換言すれば、この図9に示されたバンド56においては、第一ヘッドの移動停止により第一リボン58aが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs1は360°とされている。第二ヘッドの移動停止により第二リボン58bが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θs2は360°とされている。
【0067】
この製造方法では、バンド56の形成が完了すると、トレッド等の部材がさらに組み合わされる。これにより、ローカバー(未架橋タイヤとも称される)が得られる。
【0068】
この製造方法では、ローカバーはモールド(図示されず)に投入される。これにより、ローカバーの外面がモールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
【0069】
前述したように、この製造方法で得られるタイヤのベルト62の第一端66aの部分では、第一リボン58aにより拘束されている箇所とそうでない箇所との混在が防止される。この製造方法では、バンド56によるベルト62の拘束状態に特異な部分は形成されない。このバンド56は、ベルト62を十分に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑えうる。このため、この製造方法で得られるタイヤのラジアルランアウト(RR)は適切である。このタイヤでは、ロードノイズ(R/N)が低減される。このタイヤは、静粛性に優れる。
【0070】
前述したように、この製造方法で得られるタイヤのベルト62の第二端66bの部分では、第二リボン58bにより拘束されている箇所とそうでない箇所との混在が防止される。この製造方法では、バンド56によるベルト62の拘束状態に特異な部分は形成されない。このバンド56は、ベルト62を十分に拘束する。このバンド56は、ベルト62のリフティングを効果的に抑えうる。このため、この製造方法で得られるタイヤのラジアルランアウト(RR)は適切である。このタイヤでは、ロードノイズ(R/N)が低減される。このタイヤは、静粛性に優れる。
【0071】
この製造方法では、バンド56によりベルト62を十分に拘束するために、このバンド56の幅を過剰に拡げる必要がない。この製造方法で得られるタイヤでは、そのバンド56は適切な幅を有している。このタイヤでは、その接地形状は適正である。このタイヤは、操縦安定性に優れる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0073】
[実施例1]
図1に示された構造を備えた空気入りタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、「175/65R14 82T」である。この製作に際しては、コードをトッピングゴムとともに押し出しして、その幅RWが15mmのリボンを形成した。コードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。コードの径は、1.0mmとされた。コードの中間伸度は、10%であった。円筒状のドラムと、ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、ドラムにシートが巻回され、ベルトが形成された。リボンがヘッドから送り出され、このリボンの先端がこのベルトに積層された。この積層に際しては、このリボンの第一縁がベルトの第一端に合わせられた。積層後ドラムを3/4周回転させた後、ヘッドの移動が開始された。ヘッドをベルトの第二端に向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、このリボンが螺旋状に巻回された。ドラムの回転を維持しつつベルトの第二端においてヘッドの移動を停止させて、リボンが周方向に巻回された。このとき、ドラムの回転角θsは360°とされた。
【0074】
前述したように、この実施例1では、リボンを積層後ドラムを3/4周回転させた後、ヘッドの移動が開始されている。したがって、この実施例1では、リボンの先端がベルトに積層された後、このヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボンが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θfは270°である。このことが、表中、回転角θfの欄に記載されている。
【0075】
[実施例2−6]
リボンの幅RWを下記の表1及び2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0076】
[比較例2及び3]
回転角θsを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0077】
[実施例7]
回転角θfを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製作した。
【0078】
[比較例1]
従来の製造方法である。この比較例1では、リボンがベルトの第二端に到達すると、ヘッドの移動を停止するとともにドラムの回転も停止された。この比較例1では、このベルトの第二端において、リボンは周方向に巻回されていない。
【0079】
[実施例8]
図1に示された構造を備えた空気入りタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、「175/65R14 82T」である。この製作に際しては、コードをトッピングゴムとともに押し出しして、その幅RWが15mmのリボンを2本形成した。コードには、ナイロン繊維からなるコードが用いられた。コードの径は、1.0mmとされた。コードの中間伸度は、10%であった。円筒状のドラムと、第一ヘッドと、第二ヘッドとを備えたフォーマーにおいて、ドラムにシートが巻回され、ベルトが形成された。第一リボンが第一ヘッドから送り出され、この第一リボンの先端がこのベルトに積層された。この積層に際しては、この第一リボンの第二縁が赤道面に合わせられた。第二リボンが第二ヘッドから送り出され、この第二リボンの先端がこのベルトに積層された。この積層に際しては、この第二リボンの第一縁が赤道面に合わせられた。第一リボン及び第二リボンの積層後ドラムを3/4周回転させた後、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動が開始された。第一ヘッドをベルトの第一端に向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、この第一リボンが螺旋状に巻回された。ドラムの回転を維持しつつベルトの第一端において第一ヘッドの移動を停止させて、第一リボンが周方向に巻回された。このとき、ドラムの回転角θs1は360°とされた。第二ヘッドをベルトの第二端に向かって軸方向に移動させつつドラムを回転させることにより、この第二リボンが螺旋状に巻回された。ドラムの回転を維持しつつベルトの第二端において第二ヘッドの移動を停止させて、第二リボンが周方向に巻回された。このとき、ドラムの回転角θs2は360°とされた。
【0080】
前述したように、この実施例1では、リボンを積層後ドラムを3/4周回転させた後、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動が開始されている。したがって、この実施例8では、第一リボンの先端がベルトに積層された後、この第一ヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、リボンが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θf1は270°である。このことが、表3中、回転角θf1の欄に記載されている。この実施例8では、第二リボンの先端がベルトに積層された後、この第二ヘッドを移動させることなくドラムを回転させることにより、第二リボンが周方向に巻回される工程における、ドラムの回転角θf2も270°である。このことが、表3中、回転角θf2の欄に記載されている。
【0081】
[比較例4]
従来の製造方法である。この比較例4では、第一リボンがベルトの第一端に到達し第二リボンがベルトの第二端に到達すると、第一ヘッド及び第二ヘッドの移動を停止させるとともにドラムの回転を停止させた他は実施例8と同様にして、タイヤが製作された。この比較例4では、このベルトの第一端において、第一リボンは周方向に巻回されていない。このベルトの第二端においても、第二リボンは周方向に巻回されていない。
【0082】
[ユニフォミティ]
「JASO C607:2000」に規定されたユニフォーミティ試験の条件に準拠して、ラテラル・フォース・バリエーション(LFV)、ラジアル・ラン・アウト(RR)及びコニシティ(CON)を測定した。20本のタイヤを測定した結果の平均値が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0083】
[静粛性]
台上ロードノイズ(R/N)試験機にて、R/Nを計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1及び表2に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0084】
[操縦安定性]
フラットベルト試験機にて、コーナリングパワー(CP)を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0085】
[生産性]
単位時間当たりに生産できるタイヤの本数を計測した。その結果が、比較例1を100とした指数値で、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
表1、表2及び表3に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明された方法は、種々の車両の製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0091】
2、24、56・・・バンド
4、44、58、58a、58b・・・リボン
6、38、60・・・カーカスプライ
8、22、62・・・ベルト
12・・・タイヤ
14・・・トレッド
16・・・サイドウォール
18・・・ビード
20・・・カーカス
50、64a、64b・・・先端
52a、52b、68a、68b、70a、70b・・・縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な円筒状のドラムと、軸方向に移動可能なヘッドとを備えたフォーマーにおいて、
コードをトッピングゴムとともに押し出しして、リボンが得られる工程と、
上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程と、
このリボンが上記ヘッドから送り出され、このリボンの先端がこのベルトに積層される工程と、
このヘッドをこのベルトの端に向かって軸方向に移動させつつこのドラムを回転させることにより、このリボンが螺旋状に巻回される工程と、
このドラムの回転を維持しつつこのベルトの端においてこのヘッドの移動を停止させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程と
を含んでおり、
上記ヘッドの移動停止によりこのリボンが周方向に巻回される工程における、上記ドラムの回転角θsが360°以上である、タイヤの製造方法。
【請求項2】
上記リボンの先端が上記ベルトに積層された後、上記ヘッドを移動させることなく上記ドラムを回転させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程をさらに含んでおり、
この工程におけるこのドラムの回転角θfが、360°以上である請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項1】
回転可能な円筒状のドラムと、軸方向に移動可能なヘッドとを備えたフォーマーにおいて、
コードをトッピングゴムとともに押し出しして、リボンが得られる工程と、
上記ドラムにシートが巻回され、ベルトが得られる工程と、
このリボンが上記ヘッドから送り出され、このリボンの先端がこのベルトに積層される工程と、
このヘッドをこのベルトの端に向かって軸方向に移動させつつこのドラムを回転させることにより、このリボンが螺旋状に巻回される工程と、
このドラムの回転を維持しつつこのベルトの端においてこのヘッドの移動を停止させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程と
を含んでおり、
上記ヘッドの移動停止によりこのリボンが周方向に巻回される工程における、上記ドラムの回転角θsが360°以上である、タイヤの製造方法。
【請求項2】
上記リボンの先端が上記ベルトに積層された後、上記ヘッドを移動させることなく上記ドラムを回転させることにより、このリボンが周方向に巻回される工程をさらに含んでおり、
この工程におけるこのドラムの回転角θfが、360°以上である請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−43298(P2013−43298A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180653(P2011−180653)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]