説明

タイヤ埋め込み型自己給電式半受動的なRFIDトランスポンダ

【課題】タイヤトランスポンダのシステムエネルギー消費量を比較的少なく維持しながら、二方向の通信および高速の更新レートを可能にする。
【解決手段】車両において、半受動的なトランスポンダシステムを提供するための装置および方法が開示されている。バックスキャッター技術を使用する半受動的なモジュールには、内部エネルギーソースが設けられており、この内部エネルギーソースは、モジュール作動回路の少なくとも一部のための作動エネルギーを供給し、対応するインテロゲータデバイスのエネルギー条件を低減する。モジュールと車両上の中心に位置するインテロゲータモジュールとの間で双方向の通信を確立できるように、モジュールと車両に取り付けられたタイヤとを関連付けることができる。内部エネルギーソースは、バッテリー、燃料電池、再充電可能なデバイス、エネルギー収集デバイスまたは同様なデバイスに対応し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の要旨は、タイヤ内に取り付けられたトランスポンダに関する。より詳細には、本発明の要旨は、車両に装着されたタイヤ内に取り付けられたバックスキャッタートランスポンダシステムのために、基板上のエネルギーでアシストされた通信をするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、車両と回転中のタイヤとの間でデータを伝送するための多くの方式が提案されているが、現在使用されている方法には、コストおよび性能の点で大きな制約がある。従来技術で見られる共通するアーキテクチャ、すなわち送信機および中央受信機のアーキテクチャは、車両上または車両内部に取り付けられた中央受信機と通信する、タイヤ内に組み込まれた能動的送信機から成る。このアプローチの1つの利点は、車輪のウェル内に電子回路がないので、システム全体のコストが比較的低いということである。しかしながら、タイヤから車両までの一方向通信だけに限られていること、送信機をオンにできる時間が限定されていること、データの更新レートが限られていること、能動的なRFソースの認証の違いを含む、世界的な規模の無線周波数の規制に違いがあることなどの欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
二方向の通信が必要とされる状況では、タイヤモジュール内に別個の受信機を設けることは、複雑にする1つの要因となってる。これら複雑さが生じる原因は、車両側のトランシーバがいつ送信するかが受信機には分からないので、受信機は長期間オン状態のままでなければならず、このためエネルギーの条件が非現実的となるからである。更に、例えば120℃まで機能する自動車グレードの受信機を設けるには費用がかかるからである。
【0004】
現在使用されている共通する別のアーキテクチャ、すなわちイニシエータアーキテクチャは、各車輪のウェル内に取り付けられた局部的無線周波数(RF)ソースから給電されるタイヤの電子回路から成る。この解決方法は、技術的に良好に作動し、二方向の通信および高速のデータ更新レートを可能にする。しかしながら、車両側アーキテクチャは、各車輪のウェル内に電子回路およびケーブルが必要であることに起因し、高価となる。更に、車輪のウェルの電子回路に関し、最大作動温度の仕様を120℃としているOEMもある。このような作動温度の条件は、特殊なコンポーネントを必要とするので、システム全体のコストを高めてしまう。
【0005】
これまで知られているアーキテクチャに関連するこれら公知の問題に鑑み、エネルギー消費量を比較的少なく維持しながら、二方向の通信および高速の更新レートを可能にする新しいアーキテクチャを開発できれば有利となる。
【0006】
これまでタイヤトランスポンダシステムの種々の実現例が開発されているが、以下に説明する、本発明の要旨の技術に従う所望する特徴のすべてを一般に含むような設計は存在しない。
【0007】
従来技術で生じ、本発明の要旨によって解決される、認識される特徴に鑑み、車両に取り付けられたバックスキャッタートランシーバシステム内で改良された通信を行うための改良された方法および装置が開発された。
【0008】
本発明の要旨の特定の実施形態は、車両と、前記車両に関連した少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターモジュールと、インテロゲータモジュールとを備える、車両に搭載された半受動的なトランスポンダシステムに関する。所定の実施形態では、インテロゲータは、車両上に位置でき、別の実施形態では、インテロゲータシステムは、ハンドヘルドデバイスまたはデバイスによるドライブに対応し得る。半受動的なモジュールは、アンテナと、アンテナインピーダンス変調器と、データエンコーダと、データデコーダと、メモリと、内部エネルギーソースとを備え、内部エネルギーソースは、少なくとも前記アンテナインピーダンス変調器に給電するように構成されている。
【0009】
本発明の要旨に係わる方法は、車両を設け、アンテナ、アンテナインピーダンス変調器、データエンコーダ、データデコーダ、メモリ、および少なくとも前記アンテナインピーダンスの変調器にエネルギーを供給するための内部エネルギーソースを設けることによって、半受動的なバックスキャッターモジュールを設け、少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターと車両とを関連付けし、車両にインテロゲータモジュールを位置決めし、インテロゲータモジュールを車両に結合することによって、車両に取り付けられたバックスキャッタートランシーバシステムのための、改良された通信を行うための方法を含む。本発明の要旨の別の実施形態では、インテロゲータモジュールを車両に取り付けるのではなく、ハンドヘルドデバイスまたはデバイスによるドライブとして設けることができる。
【0010】
別の特定の実施形態では、内部エネルギーソースは、バッテリーと、燃料電池と、放射線ソースと、スーパーコンデンサと、再充電可能なバッテリーに対応し得る。更に別の実施形態では、エネルギーソースは、ピエゾ電気トランスジューサと、熱電気トランスジューサと、RFエネルギー収集デバイスを含むエネルギー収集デバイスに対応することができ、エネルギー車両デバイスは、内部デバイスと車両の車輪のウェル内に取り付けられたイニシエータ、ハンドヘルドタイプのデバイスおよびユニットによるドライブとの組み合わせを含む。
【0011】
更に別の特定の実施形態では、半受動的なバックスキャッターモジュールは、データエンコーダ/デコーダデバイス、メモリデバイス、マイクロコントローラ、センサおよび内部エネルギーソースから作動エネルギーの全体または一部を供給できるその他のかかるコンポーネントを含む他の内部コンポーネントを含むことができる。
【0012】
本発明の要旨の別の目的および利点を記載するが、当業者が次の詳細な説明を読めば、これら目的および利点が明らかとなろう。更に、本発明の要旨および範囲から逸脱することなく、本発明の種々の実施形態および使用において、特別に図示し、参照し、記載した、本発明の特徴および要素について、種々の変形および変更を実施できることも更に理解できよう。これら変形は、図示し、参照し、または記載する変形例に対する均等な手段、特徴部またはステップの置換、およびこれら種々の部品、特徴部、ステップなどの機能上、作動上または位置上の反転も含むことができるが、これらだけに限定されない。
【0013】
更に、本発明の要旨の異なる実施形態だけでなく、現時点で好ましい異なる実施形態は、現時点で開示する特徴部、ステップまたは要素、もしくはそれらの均等物(図面には明瞭には示されておらず、かかる図の詳細な説明に明瞭には記載されていない、本発明の要旨の特徴部、部品またはステップもしくはコンフィギュレーションの組み合わせを含む)の種々の組み合わせまたはコンフィギュレーションを含むことができると理解すべきである。発明の概要の章では必ずしも記載していない、本発明の要旨の別の実施形態は、上記概要を記載した目的において参照した特徴部、コンポーネントまたはステップ、および/または本願において別の章に記載した他の特徴部、コンポーネントまたはステップの様相の種々の組み合わせも含むことができる。当業者が本明細書の他の部分を検討すれば、かかる実施形態およびその他の実施形態の特徴および様相を良好に理解できよう。
【0014】
添付図面を参照する明細書には、当業者に向けた本発明の最良の態様を含む、本発明の完全で、実施を可能にする開示を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本技術に係わるトランスポンダ通信システムを示す。
【図2】中央に位置するトランシーバおよび各々が1つのトランスポンダを含む4つのタイヤを有する車両を示す。
【図3】外部ソースから作動電力を誘導するように構成された、これまで使用されている受動的なトランスポンダを示す。
【図4】本技術に係わるエンコーダおよびアンテナ変調器を示す。
【図5】本技術に係わるローカルエネルギーソースを含む半受動的なトランスポンダを示す。 本発明の同一または類似する特徴部または要素を示すために、本明細書および添付図面にわたって参照符号を繰り返し使用する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明が解決しようとする課題の章に説明したように、本発明の要旨は、特に車両に関連する半受動的なトランスポンダシステムに関する。
【0017】
本明細書に開示する技術の特徴の選択された組み合わせは、本発明の複数の異なる実施形態に対応する。本明細書に示し、説明する実施形態の各々は、本発明の要旨の限界を示唆するものではないと理解すべきである。一実施形態の一部として図示し、説明する特徴またはステップは、別の実施形態の特徴と組み合わせて使用し、更に別の実施形態を生じさせることができる。更に、所定の特徴事項は、同一または類似の機能を奏する、明瞭には言及しない同様なデバイスまたは特徴事項と交換できる。
【0018】
以下、本発明の要旨である自己給電式の半受動的なRFIDトランスポンダ装置および方法の現時点で好ましい実施形態を詳細に参照する。次に図面を参照する。図1は、本技術に係わるトランスポンダ通信システム100を示す。作動時にインテロゲータ110は、アンテナ112を介し、バックスキャッターモジュール120のアンテナ122へ、一般に信号116によって示される情報を送信する。コンフィギュレーションの一例では、この情報は、850〜950MHzの範囲の工業用、科学用、医療用(ISM)周波数バンドで送信できる。バックスキャッターモジュール120は、インテロゲータ110からの送信信号を受信すると、反射信号126の振幅および/または位相を変えるよう、変調器により、アンテナ122のインピーダンスを変調することによって応答する。
【0019】
以下、更に説明するように、インテロゲータ110は、車両に取り付けられたデバイスに対応してもよいし、またはリモートまたはよりローカルなデータ収集デバイスまたはシステムに結合できるハンドヘルドデバイスまたはデバイスによるドライブに対応してもよい。ハンドヘルドデバイスを使用する実施形態では、ハンドヘルドデバイスは、データを後に使用したり、および/またはローカルまたはリモートデータ収集および/または処理デバイスもしくはシステムへ転送したりするために、バックスキャッターモジュール120からデータを読みだし、記憶するように構成できる。インテロゲータによるドライブに関連する本発明の要旨の実施形態は、ローカルまたはリモート使用のためのデータを記憶し、および/または処理してもよいし、または単なる処理のためにリモートロケーションへデータを送信するように構成してもよい。
【0020】
このシステムは、受動的なRFIDシステムに類似するように機能するが、バックスキャッターモジュール120に給電するのに必要なエネルギーをインテロゲータ110の搬送波から得ていない点が異なる。搬送波から得るのではなく、ローカルエネルギーソース130から電力を得ている。コンフィギュレーションの一例では、ローカルエネルギーソース130は、バッテリー、燃料電池、放射線ソース、スーパーコンデンサー、エネルギー収集デバイスまたはこれらの組み合わせに対応し得る。別のコンフィギュレーション例では、エネルギー収集デバイスはピエゾ電気トランスジューサ、熱電気トランスジューサおよび無線周波数(RF)エネルギー収集デバイスのうちの1つに対応し得る。
【0021】
従来技術から知られているように、受動的なRFIDシステムの読み出しレンジは、入射ビームエネルギーからRFIDタグに給電する能力に限定されている。計算によれば、タグを附勢するのに必要な電力は、バックスキャッターデータ通信に必要とされる電力よりも30dB、すなわち100倍多いことが分かっている。本発明の要旨のエネルギーアシスト方法を使用することにより、この30dBは、順方向リンク割り当て電力に戻すことのできる利得となっている。この30dBは、受動的なタグの場合の約2mと比較し、エネルギーでアシストされたタグでは、約100mの自由スペース内の読み出し距離に変換できる。
【0022】
この余分なリンクマージンは、中央車両インテロゲータと通信するための読み出し距離を長くすること、環境における減衰ファクターに対する耐性を大きくすることおよび妨害を低減させるか、またはより厳格なRF規制を満たすために、インテロゲータの送信機の電力を低減することを含む数種の態様で利用できる。
【0023】
更に図1を参照すると、バックスキャッターモジュール120は、エンコーダ/デコーダモジュール128と、バックスキャッターモジュール120の全体の作動を制御するためのコントローラ140とを含むことができると理解できよう。アンテナインピーダンス変調器124、エンコーダ/デコーダモジュール128およびコントローラ140を含む、バックスキャッターモジュール120の種々のコンポーネントのうちの1つ以上に作動電力を供給するように、ローカルエネルギーソース130を構成できる。当業者であれば、このエンコーダ/デコーダモジュール120は、別個のエンコードデバイスおよびデコードデバイスに対応し得ることが理解できよう。更にコントローラ140は、マイクロコントローラ、ステートマシンまたはマイクロプロセッサに対応することができ、更に、センサ、メモリデバイス、シリアルデバイスまたは他のデバイスへの1つ以上のインターフェースも含むことができる。152、154、156で示されているようなセンサは、例えばタイヤの温度または圧力をモニタするよう、バックスキャッターモジュール120に対し、外部でインターフェースされたセンサと、選択されたモジュールに関連するパラメータをモニタするためのバックスキャッターモジュール120に対し、内部でインターフェースされた、番号156で示されたセンサとに対応し得る。
【0024】
次に図2を参照すると、ここには中心に位置するトランシーバ210および4つのタイヤ220、222、224、226を有する車両200が示されており、タイヤの各々は図示されていないトランスポンダを含む。トランシーバ210は、アンテナ212によりタイヤ220、222、224、226内のモジュールと通信するように構成されている。
【0025】
本技術に係わる半受動的なアーキテクチャは、いくつかの利点を有する。予備的事項として、妥当な割り当てエネルギー限度内で二方向の通信を行うことができる。更に、更新レートを高くすることも可能である。コンフィギュレーションの一例では、数秒ごとに更新を行うことが可能である。好ましいことに、タイヤ内には能動的なRFソースはない。バックスキャッターモジュール120は、タイヤレベルではなく、インテロゲータのレベルで、国ごとにRF規則に準拠することが保証され、よって多数の国に対する種々のコンフィギュレーションを供給するために、多数のタイヤモジュールのコンフィギュレーションが不要となるように、バックスキャッターモジュール120は、インテロゲータ110の周波数で作動する。当然ながら、バックスキャッター用電子回路を設けるほうが、送信機用電子回路と受信機用電子回路を設けるよりも簡単である。最後に、インテロゲータは、必要なときはいつもタイヤモジュールからの情報をリクエストできるという点で、通信のマスターデバイスとなる。車両側アーキテクチャで使用されるときの本発明の要旨の別の利点は、受動的なデバイスに基づく車両側アーキテクチャは、インテロゲータのアンテナをタイヤに接近(車輪のウェル内に位置決めされることが多い)させなければならないことである。このことは、1)車両のシステムアーキテクチャが高価になること、2)インテロゲータのアンテナが石または他の障害物によって破壊されやすくなること、3)アンテナおよびそれに関連する車輪ウェル内の電子回路が120℃までの温度で作動しなければならないことを理由として、いくつかの点で好ましくない。
【0026】
次に図3を参照する。ここには、タグアンテナコネクタ310、312に結合されたアンテナにより、外部ソースから作動電力を誘導するように構成された、これまで使用されている受動的なトランスポンダ300が示されている。このトランスポンダ300は、例えばインテロゲータ(図1)からデータを受信し、インテロゲータによりアンテナコネクタに送信されるRFエネルギーから電力を抽出するようになっている。AC−DCコンバータ320は、受信したRF信号を整流し、フィルタにかけ、RF成分を除く。この結果得られたDCエネルギーは、電力制御回路322を介し、タグ上の半導体回路に給電するのに使用される。かかる半導体回路として、復調器330、デコーダ332、変調器334、エンコーダ336、命令シーケンスデバイス340およびメモリデバイス342が挙げられる。これらデバイスの各々は、通常、当業者が予想するような機能を実行する。これらデバイスのうちの所定のデバイス、例えば命令シーケンスデバイス340は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ステートマシンおよびその他の同様な制御デバイスに対応することが当業者には理解できよう。
【0027】
図3に示されるように構成されたタグは、バックスキャッター変調技術を使用することにより、リーダーまたはインテロゲータへデータを送信する。(図3には示されていないが、図1のアンテナ122に類似する)タグのアンテナが、エネルギーの一部を反射し、インテロゲータに戻す。
【0028】
次に図4を参照する。ここには、本発明の技術に係わるエンコーダ436とアンテナ変調器434とが示されている。ここから理解できるように、アンテナターミナル410、412は、図3に示された同様なターミナル(310、312)に対応し、これらターミナルはタグアンテナのための接続ポイントとして使用される。変調器434は、エンコーダ436の制御により、アンテナターミナルを周期的に短絡することにより、ターミナル310、312に結合されたアンテナのインピーダンスを変調する電子的なスイッチに対応する。ターミナル410、412に結合されたアンテナの終端インピーダンスを変える結果、これに対応して、反射信号の振幅および/または位相が変化する。インテロゲータ(リーダー)は、タグからのデータを受信するよう、信号に対する変調を中止させる。当業者であれば、タグがRFエネルギーを発生しなくても、タグはインテロゲータ(リーダー)から入射する反射エネルギーのレベルを変調することにより通信できることが理解できよう。
【0029】
UHFの受動的なタグに対する作動距離は、数メートルから5メートルの間である。これらタイプのタグは、自らの回路を附勢するために10〜500マイクロワットのRF電力を必要とするので、リーダーに近い距離で作動しなければならない。この電力は、リーダーのアンテナから送信されるRF信号から得なければならない。リーダーとタグとの間のパス損失、すなわちパス内のRF吸収材料またはRF反射材料、およびRFノイズは、タグから見た電力を減少させる。このパス損失量は、距離の二乗に比例するので、その結果、距離はRFIDで得ることが最も困難であるパラメータの1つとなる。
【0030】
受動的なタグは一般に、パワーアップするのに最低−10dBm(100μW)を必要とし、最小条件よりもたった7dB大きい信号しか受信できない。この7dBのマージンは、現実世界の状況に対しては、一般に適当ではない。RFノイズまたはRF吸収、または反射は、このマージンを容易に超え得る。例えば水が存在する場合、タイヤのタグに進入し、これを読み出すのに約25dBが必要である。
【0031】
車両環境における本発明の要旨に係わるローカルエネルギーでアシストされた受動的なタグは、単なる受動的なタグよりも長い距離および信頼性を提供する。タグ内の回路に対するDC電力のローカルエネルギーソースは、インテロゲータ(リーダー)のRFエネルギーからすべての作動電力をタグが抽出しなくてもよいようにする。次に図5を参照すると、ここにはローカルエネルギーソース520を含む半受動的なトランスポンダ500が示されている。このトランスポンダ500は、本技術によれば、これまでの技術の欠点を解決するよう、車両環境で使用できる。
【0032】
図5に示されるように、半受動的なタグ500は、アンテナターミナル510、512と、復調器530と、デコーダ532と、変調器534と、エンコーダ536と、命令シーケンスデバイス540と、メモリデバイス542とを含み、これらの各々は、これまで図3を参照して図示し、説明したような同様な番号のついた、同様に機能するコンポーネントに、機能上対応する。しかしながら、タグ500は、受信した信号を増幅し、よって増幅器の感度を高めるように構成された、復調器530とデコーダ532との間の利得ブロック、すなわち増幅器534を含む。この増幅器により、これら半受動的なデバイスの読み出し距離が延び、信頼性が大幅に高まる。
【0033】
更にローカルエネルギーソース520は、命令シーケンス(ロジック)デバイス540、メモリ542および外部センサおよび内部センサ(図5には示されていないが、図1には例として示されている)を含むタグ上に支持されているか、またはタグによって支持された他の任意の機能実行するための電力を供給する。当業者であれば、ローカルエネルギーソース520は本明細書では標準的なバッテリー記号を使用して、示されているが、かかる表示は本技術を限定するものでないと理解できよう。上記のように、ローカルエネルギーソース520は、バッテリー、燃料電池、放射線ソース、スーパーコンデンサまたは再充電可能なバッテリーに対応し得る。更に、ローカルエネルギーソース520は、エネルギー収集デバイスに対応することができ、このエネルギー収集デバイスは、ピエゾ電気デバイス、熱電気トランスジューサ、およびRFエネルギー収集デバイスを含み、RFエネルギー収集デバイスは、内部デバイスと車両の車輪のウェル内に取り付けられたイニシエータ、ハンドヘルドタイプのデバイスおよびフィルタによるドライブの組み合わせを含む。
【0034】
更に図5を参照すると、受動的なタグと同じバックスキャッター技術を使ってインテロゲータ(リーダー)へデータが送られると理解すべきである。(例えば米国における連邦通信委員会(FCC)および他の国における同様な機関からの)政府の認証を必要とする、実際に送信機である能動的なタグとは異なり、ローカルソースでアシストされたタグまたは半受動的なタグが、インテロゲータ(リーダー)によって送られた信号を反射する。タグでは、RFエネルギーは発生されない。更にローカル電源はタグを形成し、可能な場合にはタグに関連する内外のセンサを形成する種々の半導体デバイス(チップ)に給電するためにしか使用されない。
【0035】
車両取り付けシステムと共に、本発明の技術を使用する結果、ローカルソースで使用された受動的なタグに対する増加したリンクマージンに基づくいくつかの利点が得られる。第1の利点は、タグの距離が大幅に延びることに対応する。バックスキャッター送信からインテロゲータ(リーダー)までのタグの読み出し距離は、受動的なタグと半受動的なタグの双方で実質的に同じであるが、本発明の技術に係わる半受動的なタグは、(例えばインテロゲータからタグへの)大幅に延びた順方向のリンクを提供し、この余分な電力により、作動距離を、標準的な受動的なタグの作動距離の20倍長い距離まで長くすることができる。好ましくないRF吸収またはノイズの多い環境において、正確な読み出しおよび書き込みを保証するのにこの追加されたリンクマージンを使用できる。更に、インテロゲータのRF電力、従って同じスペクトルを共用する他の無線システムの潜在的な干渉を減らし、100m未満の距離だけ離間したタグとの通信を行うことができる。更に、長くされた読み出し距離により、車両上の集中インテロゲータを使用することが可能となる。これによって、1)システム全体のコストを低減できる、および2)高温および道路の障害物によってユニットが破損し得るような車輪のウェルから離間した状態で、車両の保護された部品内の中心に車両用インテロゲータを位置させることが可能となるという利点がある。
【0036】
本発明の特定の実施形態に関連し、本発明の要旨について詳細に説明したが、当業者がこれまでの記載を理解できれば、かかる実施形態の変形、変更および均等物を容易に想到できると理解できよう。従って、本開示の範囲は、発明を限定するためではなく、単なる例にすぎず、本開示は、当業者には容易に明らかとなる本発明の要旨のかかる変形、変更および/または追加を否定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、
前記車両に関連した少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターモジュールと、
インテロゲータモジュールとを備え、
前記半受動的なバックスキャッターモジュールは、アンテナと、アンテナインピーダンス変調器と、データエンコーダと、データデコーダと、メモリと、内部エネルギーソースとを備え、
前記内部エネルギーソースは、少なくとも前記アンテナインピーダンス変調器に給電する、半受動的なトランスポンダシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターモジュールは、前記車両内に取り付けられた少なくとも1つのタイヤ内に位置する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記内部エネルギーソースは、バッテリーと、燃料電池と、放射線ソースと、スーパーコンデンサと、エネルギー収集デバイスと、これらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギー収集デバイスは、ピエゾ電気トランスジューサと、熱電気トランスジューサと、無線周波数(RF)エネルギー収集デバイスのうちの1つを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記インテロゲータモジュールは、少なくとも1つのアンテナと、トランシーバと、データエンコーダと、データデコーダとを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記車両に関連すると共に、前記少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターモジュールとインターフェースされた少なくとも1つの周辺デバイスを更に備え、
よって前記インテロゲータモジュールへ追加データを送信できる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記周辺デバイスは、センサと、マイクロコントローラのうちの1つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記内部エネルギーソースは、前記データエンコーダ、前記データデコーダおよび前記メモリに更に給電する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記インテロゲータは、前記車両に取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記インテロゲータは、ハンドヘルドデバイスとして構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記インテロゲータは、デバイスによるドライブとして構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
車両に取り付けられたバックスキャッタートランシーバシステムにおいて、改良された通信を行うための方法であって、
車両を設けるステップと、
アンテナ、アンテナインピーダンス変調器、データエンコーダ、データデコーダ、メモリ、少なくとも前記アンテナインピーダンスの変調器にエネルギーを供給するための内部エネルギーソースを設けることによって、半受動的なバックスキャッターモジュールを設けるステップと、
前記少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターと前記車両とを関連付けるステップと、
前記半受動的なバックスキャッターモジュールとの通信を開始するためのインテロゲータモジュールを設けるステップとを備える方法。
【請求項13】
少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターモジュールと前記車両とを関連付ける前記ステップは、
タイヤを設けることと、
前記少なくとも半受動的なバックスキャッターモジュールと前記タイヤとを関連付けることと、
前記タイヤを前記車両に取り付けること、とを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
内部エネルギーソースを設ける前記ステップは、バッテリーと、燃料電池と、放射線ソースと、スーパーコンデンサと、エネルギー収集デバイスと、これらの組み合わせのうちの1つを設けることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エネルギー収集デバイスを設ける前記ステップは、
ピエゾ電気トランスジューサと、熱電気トランスジューサと、無線周波数(RF)エネルギー収集デバイスのうちの1つを設けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
インテロゲータモジュールを設ける前記ステップは、少なくとも1つのアンテナ、トランシーバ、データエンコーダ、データデコーダを設けることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの周辺デバイスを設けるステップと、
前記少なくとも1つの周辺デバイスと前記車両とを関連付けるステップと、
前記少なくとも1つの周辺デバイスと少なくとも1つの半受動的なバックスキャッターモジュールとをインターフェースするステップとを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
周辺デバイスを設ける前記ステップは、センサおよびマイクロコントローラのうちの1つを設けることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記内部エネルギーソースから、前記データエンコーダ、前記データレコーダ、前記メモリ、これらの組み合わせのうちの1つ以上にエネルギーを供給するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記インテロゲータを前記車両に取り付けるステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記インテロゲータをハンドヘルドデバイスとして設ける、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記インテロゲータをデバイスによるドライブとして設ける、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−516332(P2011−516332A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502910(P2011−502910)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/058860
【国際公開番号】WO2009/123607
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【Fターム(参考)】