説明

タイヤ構成部材の供給装置、未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法

【課題】幅広い範囲のサイズ切り替えに対応すること。
【解決手段】タイヤ構成部材Mをドラム2に搬送する搬送コンベア11と、該搬送コンベア11をドラム2に対して水平方向に進退させる進退機構12と、ドラム2の回転軸L1方向に延在する揺動軸L2回りに搬送コンベア11を揺動させることにより、搬送コンベア11の前端部11aをドラム2の外周面2a側に対して鉛直方向に進退させる揺動機構13と、を備え、搬送コンベア11は、揺動機構13を介して進退機構12に連結されているタイヤ構成部材の供給装置10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能に支持されたドラムに帯状のタイヤ構成部材を供給するタイヤ構成部材の供給装置、未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のタイヤ構成部材の供給装置として、例えば下記特許文献1に示されるような構成が知られている。該供給装置は、タイヤ構成部材を搬送させる供給コンベアと、供給コンベアをドラムの上部・下部の貼付位置に上下動させる揺動手段と、タイヤ構成部材の前端部をドラムの貼付位置に当接可能となるようスライド移動させる移動手段と、を備えている。
前記タイヤ構成部材の供給装置によりドラムにタイヤ構成部材を供給する際には、供給コンベアを揺動手段により上方または下方へ揺動させ所定位置に停止させた後、移動手段により、供給コンベアをスライド移動させ、タイヤ構成部材の前端部をドラムの上部または下部の貼付位置に到達させて、その前端部をドラムの表面に当接させる。そして、ドラムを、タイヤ構成部材の送り方向と同じ方向に回転させて、ドラムにタイヤ構成部材を巻き付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−62916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のタイヤ構成部材の供給装置では、ドラムで形成するタイヤのサイズが切り替えられて、例えばドラムが変更されて外径が大きくなったり小さくなったりする等し、タイヤ構成部材の前端部の貼付位置が変更された場合、該貼付位置にタイヤ構成部材の前端部を到達させることが困難であり、幅広い範囲のサイズ切り替えには対応し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、幅広い範囲のサイズ切り替えに対応することができるタイヤ構成部材の供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るタイヤ構成部材の供給装置は、回転可能に支持されたドラムに帯状のタイヤ構成部材を供給するタイヤ構成部材の供給装置であって、前記タイヤ構成部材を前記ドラムに搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアを前記ドラムに対して水平方向に進退させる進退機構と、前記ドラムの回転軸方向に延在する揺動軸回りに前記搬送コンベアを揺動させることにより、前記搬送コンベアの前端部を前記ドラムの外周面側に対して鉛直方向に進退させる揺動機構と、を備え、前記搬送コンベアは、前記揺動機構を介して前記進退機構に連結されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、タイヤ構成部材をドラムに供給する際に、まず、搬送コンベアによりタイヤ構成部材を搬送し、タイヤ構成部材の前端部を搬送コンベアの前端部に位置させる。また、進退機構により搬送コンベアをドラムに対して進退させるとともに、揺動機構により搬送コンベアを揺動軸回りに揺動させ、ドラムの外周面側に搬送コンベアの前端部を接近移動させる。そして、ドラムを回転させながら、該ドラムに搬送コンベアの前端部からタイヤ構成部材を供給することで、タイヤ構成部材をドラムの外周面側に巻き付ける。
【0008】
ここで搬送コンベアが、揺動機構を介して進退機構に連結されているので、進退機構により搬送コンベアを進退させることで、揺動軸の位置をドラムに対して進退させることができる。したがって、搬送コンベアの前端部からタイヤ構成部材をドラムに供給する際に、進退機構および揺動機構を作動させることで、ドラムの外径の大きさによらず、ドラムに対する搬送コンベアの前端部の位置、およびドラムの外周面側に対する搬送コンベアの前端部の角度を多様に変更することができる。これにより、外径が異なる多様なドラムに対して、その外周面側の所定の位置に所定の角度からタイヤ構成部材を供給することが可能になり、幅広い範囲のサイズ切り替えに対応することができる。
【0009】
また、前記搬送コンベアは、表面上に供給された前記タイヤ構成部材を搬送するコンベアベルトと、該コンベアベルトの前端部における裏面側に配設された弾性体と、を備えていてもよい。
【0010】
この場合、コンベアベルトが、表面上に供給されたタイヤ構成部材を搬送するので、タイヤ構成部材を搬送する搬送時に、タイヤ構成部材がコンベアベルトの表面に密着し易く、タイヤ構成部材が蛇行するのを規制することができる。
またその後、タイヤ構成部材をドラムに供給する供給時には、まず進退機構および揺動機構を作動させ、コンベアベルトの前端部によりタイヤ構成部材の前端部をドラムの外周面側に押し当てる。そして、コンベアベルトの前端部によりタイヤ構成部材をドラムの外周面側に押し当てた状態を維持しつつ、ドラムを回転させながら該ドラムにタイヤ構成部材を供給する。これにより、タイヤ構成部材を、コンベアベルトの表面上に位置させた状態で搬送コンベアからドラムの外周面側に受け渡すことが可能になり、供給時にタイヤ構成部材が蛇行するのを規制することもできる。
以上により、搬送時から供給時までタイヤ構成部材が蛇行するのを規制することができる。
【0011】
さらに弾性体が、コンベアベルトの前端部における裏面側に配設されているので、前述のように、タイヤ構成部材をコンベアベルトの前端部によりドラムの外周面側に押し当てても、弾性体が、タイヤ構成部材の外表面に追従して変形することにより、タイヤ構成部材が押し潰されて変形するのを抑制することができる。
【0012】
以上のように、搬送時から供給時までタイヤ構成部材が蛇行するのを規制し、かつタイヤ構成部材が押し潰されて変形するのを抑制することができるので、形状が高精度に維持されたタイヤ構成部材をドラムに供給することができる。したがって、ドラムに巻き付けられるタイヤ構成部材のセット精度を向上させることができる。
【0013】
なお、例えばタイヤ構成部材が、収縮率が異なる複数の帯状部材を貼り合わされてなる構成である場合、収縮率の違いに起因してタイヤ構成部材が蛇行して形状が変化し易いため、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0014】
また、前記搬送コンベアは、当該タイヤ構成部材の供給装置の上面視において、該搬送コンベアが前記タイヤ構成部材を搬送する方向に交差する方向に複数配置され、複数の前記搬送コンベア間の間隔は、間隔調整機構により調整可能であってもよい。
【0015】
この場合、搬送コンベアが複数配置されているので、複数のタイヤ構成部材を同時に供給することができる。
また、複数の搬送コンベア間の間隔が、間隔調整機構により調整可能なので、該複数のタイヤ構成部材をドラムの外周面側に供給する際に、複数のタイヤ構成部材同士の間隔を、タイヤのサイズに応じて異ならせることができる。これにより、複数のタイヤ構成部材を同時に貼り付ける場合であっても、幅広い範囲のサイズ切り替えに確実に対応することができる。
【0016】
また、本発明に係る未加硫タイヤの製造装置は、回転可能に支持されたドラムと、前記タイヤ構成部材の供給装置と、を備え、前記ドラムを回転させながら、該ドラムに前記タイヤ構成部材を供給することで、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付けて未加硫タイヤを形成することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、前記タイヤ構成部材の供給装置を備えているので、幅広い範囲のサイズのタイヤを製造することができる。
【0018】
また、本発明に係る未加硫タイヤの製造方法は、回転可能に支持されたドラムを回転させながら、該ドラムに帯状のタイヤ構成部材を供給することで、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する未加硫タイヤの製造方法であって、前記未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを形成することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを形成するので、幅広い範囲のサイズのタイヤを製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、幅広い範囲のサイズ切り替えに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置の側面図である。
【図2】図1に示す未加硫タイヤの製造装置の上面図である。
【図3】図1に示す未加硫タイヤの製造装置における揺動機構の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置を説明する。
図1に示すように、未加硫タイヤの製造装置1は、回転可能に支持された成型ドラム(ドラム)2と、該成型ドラム2に帯状のタイヤ構成部材Mを供給するタイヤ構成部材の供給装置10と、を備えている。そして、この未加硫タイヤの製造装置1は、成形ドラム2を回転させながら、該成型ドラム2にタイヤ構成部材Mを供給することで、タイヤ構成部材Mを成型ドラム2の外周面2a側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する。
【0023】
タイヤ構成部材の供給装置10は、タイヤ構成部材Mを成型ドラム2に搬送する搬送コンベア11と、該搬送コンベア11を成型ドラム2に対して水平方向に進退させる進退機構12と、成型ドラム2の回転軸L1が延在する左右方向に延びる揺動軸L2回りに搬送コンベア11を揺動させることにより、搬送コンベア11の前端部11aを成型ドラム2の外周面2a側に対して鉛直方向に進退させる揺動機構13と、を備えている。なお本実施形態では、回転軸L1と揺動軸L2とは平行になっている。
【0024】
図2に示すように、搬送コンベア11は、左右方向に2つ(複数)配置されており、各搬送コンベア11は、当該タイヤ構成部材の供給装置10の上面視において、左右方向に直交する前後方向にタイヤ構成部材Mを搬送する。
【0025】
各搬送コンベア11は、前後方向に延在するとともに左右方向に間隔をあけて配置された一対のコンベアフレーム14と、該一対のコンベアフレーム14の前端部14a同士および後端部同士の間に各別に配設された前プーリ15および後プーリ16と、これらのプーリ15、16の間に巻回され、表面17b上に供給されたタイヤ構成部材Mを搬送するコンベアベルト17と、該コンベアベルト17の前端部17aにおける裏面17c側に配設された弾性ローラ(弾性体)18と、を備えている。
コンベアベルト17の表面17bは平滑に形成され、該表面17b上にはタイヤ構成部材Mが密着可能となっている。
【0026】
弾性ローラ18は、一対のコンベアフレーム14の前端部14a同士の間のうち、前プーリ15よりも後側に位置する部分に回転可能に配設されているとともに、例えばスポンジ部材などにより形成されている。
また、一対のコンベアフレーム14の各前端部14aのうち、弾性ローラ18の両側端が連結された各部分の上面には、成型ドラム2の外周面2a側が進入可能な凹曲面状の進入凹部19が形成されている。
【0027】
また各搬送コンベア11は、前後方向から見た正面視で上方に向けて開口するU字状に形成されたブラケット20の内側に配設されている。ブラケット20は、搬送コンベア11の各コンベアフレーム14の前後方向の中央部に左右方向の外側から連結されている。
また、2つの搬送コンベア11間の間隔は、間隔調整機構21により調整可能となっており、本実施形態では、間隔調整機構21は、前記ブラケット20を介して2つの搬送コンベア11を左右方向に沿って各別にスライド移動させる。
【0028】
また図1に示すように、両搬送コンベア11は、いずれも揺動機構13により揺動可能に支持されている。揺動機構13は、天板部がブラケット20および間隔調整機構21を下方から支持する前記正面視逆U字状の支持フレーム22と、左右方向に延在するとともに両側端が支持フレーム22の側板部に連結された軸部材23と、該軸部材23を回転可能に支持する土台部24と、前端部が土台部24に回転可能に支持された前後方向に伸縮可能な伸縮手段25と、伸縮手段25の後端部と軸部材23との間に設けられたリンク部材26と、を備えている。
伸縮手段25は、例えばボールジャッキ等により構成されており、支持フレーム22と土台部24との間の空間に配置されている。
【0029】
ここで前記揺動機構13は、伸縮手段25が伸縮することにより、搬送コンベア11を軸部材23の中心軸である揺動軸L2回りに揺動させる。本実施形態では、伸縮手段25が最も収縮した状態では、搬送コンベア11が、後方から前方に向かうに従い漸次、下方に向けて傾斜している。そして図3に示すように、伸縮手段25を伸長させると、伸縮手段25からリンク部材26を介して軸部材23に回転力が加えられることにより、搬送コンベア11が揺動軸L2回りに揺動させられる。なお、伸縮手段25が最も伸長した状態では、搬送コンベア11が、後方から前方に向かうに従い漸次、上方に向けて傾斜することとなる。
【0030】
そして本実施形態では、搬送コンベア11は、揺動機構13を介して進退機構12に連結されている。図示の例では、進退機構12は、揺動機構13の土台部24を前後方向に進退可能に支持しており、前記上面視において、搬送コンベア11がタイヤ構成部材Mを搬送する方向と、進退機構12が搬送コンベア11を進退させる方向と、が一致している。
【0031】
次に、以上のように構成された未加硫タイヤの製造装置1を用いて未加硫タイヤを製造する未加硫タイヤの製造方法について説明する。
なお、成型ドラム2の外周面2a側にタイヤ構成部材Mを巻き付ける前に、未加硫タイヤの一部を構成する筒状部材が成型ドラム2に予め外装されていても良い。
【0032】
はじめに図1に示すように、2つのタイヤ構成部材Mを、2つの搬送コンベア11のコンベアベルト17の表面17b上に各別に供給した後、図示しないコンベア駆動部により各コンベアベルト17を前プーリ15および後プーリ16間で走行させ、タイヤ構成部材Mを後方から前方へ搬送する。このとき、タイヤ構成部材Mの前端部M1が、搬送コンベア11の前端部11aに到達するまで、タイヤ構成部材Mを前方へ搬送する。
【0033】
また、間隔調整機構21により複数のタイヤ構成部材Mの間隔を、タイヤのサイズに応じて調整し、かつ進退機構12により搬送コンベア11を成型ドラム2に対して進退させるとともに、揺動機構13により搬送コンベア11を揺動軸L2回りに揺動させ、成型ドラム2の外周面2a側に搬送コンベア11の前端部11aを接近移動させる。
【0034】
このとき、タイヤ構成部材Mの前端部M1を、コンベアベルト17の前端部17aの表面17b上に位置させた状態で、コンベアベルト17の前端部17aによりタイヤ構成部材Mの前端部M1を成型ドラム2の外周面2a側に下方から押し当てる。すると、成型ドラム2の外周面2a側が、コンベアフレーム14の前端部14aに形成された前記進入凹部19に進入するとともに、コンベアベルト17の前端部17aの裏面17c側に配置された前記弾性ローラ18が、タイヤ構成部材Mの外表面に追従して変形する。
【0035】
そして、コンベアベルト17の前端部17aによりタイヤ構成部材Mを成型ドラム2の外周面2a側に押し当てた状態を維持しつつ、成型ドラム2を回転させながら、該成型ドラム2に搬送コンベア11の前端部11aからタイヤ構成部材Mを供給することで、タイヤ構成部材Mを成型ドラム2の外周面2a側に巻き付ける。これにより、タイヤ構成部材Mが、コンベアベルト17の表面17b上に位置した状態で、搬送コンベア11から成型ドラム2の外周面2a側に受け渡されることとなる。
【0036】
なおこのとき、例えば各搬送コンベア11により搬送されるタイヤ構成部材Mのコンベアベルト17への密着性などに応じて、各搬送コンベア11のコンベア速度を互いに異ならせてもよい。
その後、例えば図示しない他のタイヤ構成部材Mを組み合わせる等の後工程を行って未加硫タイヤを形成する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るタイヤ構成部材の供給装置10によれば、搬送コンベア11が、揺動機構13を介して進退機構12に連結されているので、進退機構12により搬送コンベア11を進退させることで、揺動軸L2の位置を成型ドラム2に対して進退させることができる。したがって、搬送コンベア11の前端部11aからタイヤ構成部材Mを成型ドラム2に供給する際に、進退機構12および揺動機構13を作動させることで、成型ドラム2の外径の大きさによらず、成型ドラム2に対する搬送コンベア11の前端部11aの位置、および成型ドラム2の外周面2a側に対する搬送コンベア11の前端部11aの角度を多様に変更することができる。これにより、外径が異なる多様な成型ドラム2に対して、その外周面2a側の所定の位置に所定の角度からタイヤ構成部材Mを供給することが可能になり、幅広い範囲のサイズ切り替えに対応することができる。
【0038】
また、搬送コンベア11が複数配置されているので、複数のタイヤ構成部材Mを同時に供給することができる。
さらに、複数の搬送コンベア11間の間隔が、間隔調整機構21により調整可能なので、該複数のタイヤ構成部材Mを成型ドラム2の外周面2a側に供給する際に、複数のタイヤ構成部材M同士の間隔を、タイヤのサイズに応じて異ならせることができる。これにより、複数のタイヤ構成部材Mを同時に貼り付ける場合であっても、幅広い範囲のサイズ切り替えに確実に対応することができる。
【0039】
また、コンベアベルト17が、表面17b上に供給されたタイヤ構成部材Mを搬送するので、タイヤ構成部材Mを搬送する搬送時に、タイヤ構成部材Mがコンベアベルト17の表面17bに密着し易く、タイヤ構成部材Mが蛇行するのを規制することができる。
またその後、タイヤ構成部材Mを成型ドラム2に供給する供給時には、タイヤ構成部材Mを、コンベアベルト17の表面17b上に位置させた状態で成型ドラム2の外周面2a側に受け渡すことで、タイヤ構成部材Mが蛇行するのを規制することができる。
以上により、搬送時から供給時までタイヤ構成部材Mが蛇行するのを規制することができる。
【0040】
さらに弾性ローラ18が、コンベアベルト17の前端部17aにおける裏面17c側に配設されているので、前述のように、タイヤ構成部材Mをコンベアベルト17の前端部17aにより成型ドラム2の外周面2a側に押し当てても、弾性ローラ18が、タイヤ構成部材Mの外表面に追従して変形することにより、タイヤ構成部材Mが押し潰されて変形するのを抑制することができる。
【0041】
以上のように、搬送時から供給時までタイヤ構成部材Mが蛇行するのを規制し、かつタイヤ構成部材Mが押し潰されて変形するのを抑制することができるので、形状が高精度に維持されたタイヤ構成部材Mを成型ドラム2に供給することができる。したがって、成型ドラム2に巻き付けられたタイヤ構成部材Mのセット精度を向上させることができる。
【0042】
なお、例えばタイヤ構成部材Mが、収縮率が異なる複数の帯状部材を貼り合わされてなる場合、収縮率の違いに起因してタイヤ構成部材Mが蛇行して形状が変化し易いため、前述の作用効果が顕著に奏功されることとなる。
【0043】
また、本実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置1によれば、前記タイヤ構成部材の供給装置10を備えているので、幅広い範囲のサイズのタイヤを製造することができる。
さらに、本実施形態に係る未加硫タイヤの製造方法によれば、前記未加硫タイヤの製造装置1を用いて未加硫タイヤを形成するので、幅広い範囲のサイズのタイヤを製造することができる。
【0044】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記間隔調整機構21はなくても良い。また、搬送コンベア11は1つであってもよく、3つ以上あってもよい。さらに前記実施形態では、2つの搬送コンベア11は、左右方向に配置されているものとしたが、これに限られるものではなく、前記上面視において、搬送コンベア11がタイヤ構成部材Mを搬送する方向に交差する方向に複数配置されていればよい。
【0045】
また前記実施形態では、前記上面視において、搬送コンベア11がタイヤ構成部材Mを搬送する方向と、進退機構12が搬送コンベア11を進退させる方向と、が一致しているものとしたが、異なっていてもよい。
また前記実施形態では、回転軸L1と揺動軸L2とが平行になっているものとしたが、これに限られない。
【0046】
また前記実施形態では、コンベアベルト17の前端部17aによりタイヤ構成部材Mを成型ドラム2の外周面2a側に押し当てた状態を維持しつつ、タイヤ構成部材Mを成型ドラム2に供給するものとしたが、これに限られるものではなく、タイヤ構成部材Mを押し当てずに供給しても良い。
例えば、タイヤ構成部材Mの前端部M1が、搬送コンベア11の前端部11aから前方に突出するまで、タイヤ構成部材Mを前方に搬送するとともに、進退機構12および揺動機構13を作動させて搬送コンベア11の前端部11aを成型ドラム2に上方から接近させ、その後、タイヤ構成部材Mの前端部M1を成型ドラム2の外周面2a側に貼り付けた後、成型ドラム2にタイヤ構成部材Mを巻き付けさせてもよい。
【0047】
また進退機構12は、前記実施形態に示したものに限られず、揺動機構13を介して搬送コンベア11をドラムに対して進退させるものであれば、適宜変更することが可能である。
また揺動機構13は、前記実施形態に示したものに限られず、ドラム2の回転軸L1方向に延在する揺動軸L2回りに搬送コンベア11を揺動させるものであれば、適宜変更することが可能である。
【0048】
さらに搬送コンベア11は、前記実施形態に示したものに限られず、タイヤ構成部材Mをドラム2に搬送するものであれば、適宜変更することが可能である。例えば、前記弾性ローラ18に代えて、回転不能な弾性体を備えた構成であってもよい。また、コンベアベルト17はスチールコンベアであってもよい。さらに、搬送コンベア11が複数のローラを備え、これらのローラ上をタイヤ構成部材Mが搬送される構成であってもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 未加硫タイヤの製造装置
2 ドラム
2a 外周面
10 タイヤ構成部材の供給装置
11 搬送コンベア
11a 搬送コンベアの前端部
12 進退機構
13 揺動機構
17 コンベアベルト
17a コンベアベルトの前端部
17b 表面
17c 裏面
18 弾性ローラ(弾性体)
21 間隔調整機構
L1 回転軸
L2 揺動軸
M タイヤ構成部材
M1 タイヤ構成部材の前端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されたドラムに帯状のタイヤ構成部材を供給するタイヤ構成部材の供給装置であって、
前記タイヤ構成部材を前記ドラムに搬送する搬送コンベアと、
該搬送コンベアを前記ドラムに対して水平方向に進退させる進退機構と、
前記ドラムの回転軸方向に延在する揺動軸回りに前記搬送コンベアを揺動させることにより、前記搬送コンベアの前端部を前記ドラムの外周面側に対して鉛直方向に進退させる揺動機構と、を備え、
前記搬送コンベアは、前記揺動機構を介して前記進退機構に連結されていることを特徴とするタイヤ構成部材の供給装置。
【請求項2】
請求項1記載のタイヤ構成部材の供給装置であって、
前記搬送コンベアは、表面上に供給された前記タイヤ構成部材を搬送するコンベアベルトと、該コンベアベルトの前端部における裏面側に配設された弾性体と、を備えていることを特徴とするタイヤ構成部材の供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタイヤ構成部材の供給装置であって、
前記搬送コンベアは、当該タイヤ構成部材の供給装置の上面視において、該搬送コンベアが前記タイヤ構成部材を搬送する方向に交差する方向に複数配置され、
複数の前記搬送コンベア間の間隔は、間隔調整機構により調整可能であることを特徴とするタイヤ構成部材の供給装置。
【請求項4】
回転可能に支持されたドラムと、
請求項1から3のいずれか1項に記載のタイヤ構成部材の供給装置と、を備え、
前記ドラムを回転させながら、該ドラムに前記タイヤ構成部材を供給することで、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付けて未加硫タイヤを形成することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項5】
回転可能に支持されたドラムを回転させながら、該ドラムに帯状のタイヤ構成部材を供給することで、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する未加硫タイヤの製造方法であって、
請求項4記載の未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを形成することを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121226(P2012−121226A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273602(P2010−273602)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】