説明

タイヤ用プライ材料の製造装置

【課題】タイヤ用プライ材料を高精度でかつ効率よく形成する。
【解決手段】第1のロボットアームの先端に、搬入位置の切断片の第1の接続用端縁部を把持する第1の把持具を設けた第1の把持移動装置と、第2のロボットアームの先端に、第2の接続用端縁部を把持する第2の把持具を設けた第2の把持移動装置とを具える。前記第1の把持具は、第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向一方側の端部分を把持する一方の把持手段と、他方側の端部分を把持する他方の把持手段とをコード長さ方向に沿って近離移動しうる張設手段を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付けコンベヤ上の貼付け位置にて切断片を順次接合し、例えばカーカスプライ用、ベルトプライ用等の長尺なタイヤ用プライ材料を高精度で効率よく形成するタイヤ用プライ材料の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカーカスプライ用、ベルトプライ用等のタイヤ用プライ材料10は、図11に概念的に示すように、平行に引き揃えられたタイヤコード11の配列体がゴム被覆された長尺帯状体12を原反として形成される。詳しくは、前記長尺帯状体12を、その先端側から、タイヤコード11のコード長さ方向に対して所定の角度θ(カーカスプライの場合には通常約90゜、ベルトプライの場合には通常10〜40°)で順次切断することにより平行四辺形状の切断片13を形成するとともに、この切断片13のうちで、コード長さ方向と平行な両側の端縁部E1、E2同士を、図12(A)〜(C)に示すように、順次接合することで、前記長尺なタイヤ用プライ材料10を形成している。
【0003】
そして、切断片13同士を順次接合してタイヤ用プライ材料10を形成する装置として、図13(A)、(B)に示す構造のものが、下記の特許文献1、2に記載されている。同図において、符号aは搬送装置であって、前記長尺帯状体12をコード長さ方向に沿って搬送する。符号bは切断装置であって、搬送される前記長尺帯状体12を、その先端側からコード長さ方向に対して所定の角度θで順次切断して平行四辺形状の切断片13を形成する。なお切断された切断片13は、前記搬送装置aにより、搬入位置P1まで搬送される。符号cは移載装置であって、前記搬入位置P1の切断片13を、貼付けコンベヤd上の貼付け位置P2まで移動し、この切断片13の端縁部E1を、先に移動された切断片13の貼付けコンベヤ搬送方向後方側の端縁部E2に順次接合する。又前記貼付けコンベヤdは、コード長さ方向に対して前記角度θと等しい角度αで傾いて配置され、前記切断片13の切断方向巾に応じた間隔Wでピッチ送りすることにより、前記貼付け位置P2にて切断片13を順次接合しうる。
【0004】
又前記移載装置cは、ベルト下面を吸着面csとした昇降自在なベルトコンベアであって、前記搬入位置P1にて受け取った切断片13を、貼り付け位置P2の上方まで移送しかつ下降することにより、この切断片13の端縁部E1を、貼付けコンベヤd上で待機する切断片13の端縁部E2に順次貼り付ける。
【0005】
しかしこの移載装置cでは、磁力によって切断片13を吸着して運ぶため、タイヤコードが有機繊維コード等の非磁性体で形成される場合、及び切断片13が広面である場合には、その取り扱いが困難になるなど使用が大きく制限される。又切断片13の切断角度θを変更する毎に、貼付けコンベヤdの配置角度αを変更する必要が生じるなど、汎用性に劣る。
【0006】
そのため、タイヤコードが有機繊維コードからなりかつ切断片13が広面である場合にも、切断片13を搬入位置P1から貼付け位置P2まで精度良く移送して貼り付けでき、しかも前記切断角度θを変更する場合にも、貼付けコンベヤdの配置角度αの変更を不要としうる新規な切断片移送用の装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−17499号公報
【特許文献2】特開2004−18187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、タイヤコードが有機繊維コードからなりかつ切断片が広面である場合にも、切断片を搬入位置から貼付け位置まで精度良く移送して貼り付けしうるとともに、切断角度の変更に際しても、貼付けコンベヤの配置角度の変更を不要とし、カーカスプライ用、ベルトプライ用等の各種のタイヤ用プライ材料を高精度でかつ効率よく形成しうるタイヤ用プライ材料の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、搬入位置に搬送された切断片を、貼付けコンベヤ上の貼付け位置まで把持して移動し、この切断片の第1の接続用端縁部を、先に移動された切断片の貼付けコンベヤ搬送方向後方側となる第2の接続用端縁部に順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料を形成するプライ材料の製造装置であって、
前記切断片は、平行に引き揃えられたタイヤコードの配列体がゴム被覆された長尺帯状体を、その先端側からタイヤコードのコード長さ方向と交差する向きに順次切断することによって形成される平行四辺形状をなし、かつ各切断片は、四辺のうちのコード長さ方向と平行な両側の辺を前記第1、第2の接続用端縁とし、この第1、第2の接続用端縁を含む第1、第2の接続用端縁部同士が順次接合されるとともに、
前記製造装置は、
第1のロボットアームの先端に、前記搬入位置の切断片における前記第1の接続用端縁部を把持する第1の把持具を設けた第1の把持移動装置と、第2のロボットアームの先端に、前記搬入位置の切断片における第2の接続用端縁部を把持する第2の把持具を設けた第2の把持移動装置とを具え、
しかも少なくとも前記第1の把持具は、
前記第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向一方側の端部分を把持する一方の把持手段と、
前記第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向他方側の端部分を把持する他方の把持手段と、
前記一方、他方の把持手段をコード長さ方向に沿って近離移動でき、かつ離間により、把持した前記第1の接続用端縁部をコード長さ方向両側に引っ張って張設させる張設手段とを具えることを特徴としている。
【0010】
また請求項2では、前記一方、他方の把持手段は、昇降移動できかつ上昇により前記第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向一方側又は他方側の端部分を吸着して持ち上げる真空パッドを有する持上げ具と、前記真空パッドにより持ち上げられた端部分を把持する端部把持具とを具えることを特徴としている。
【0011】
また請求項3では、前記第1の把持具は、前記貼付け位置に移動された切断片の第1の接続用端縁部を、先に移動された切断片の第2の接続用端縁部に押し付ける押し付けローラを有することを特徴としている。
【0012】
また請求項4では、前記第2の把持具は、前記第2の接続用端縁に沿って並列される複数の真空パッドを有し、前記第2の接続用端縁部を吸着して保持する吸着保持具を具えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は叙上の如く、切断片における第1の接続用端縁部を把持する第1の把持具を第1のロボットアームの先端に設けた第1の把持移動装置と、第2の接続用端縁部を把持する第2の把持具を第2のロボットアームの先端に設けた第2の把持移動装置とを具える。従って、タイヤコードが有機繊維コードからなりかつ切断片が広面である場合にも、切断片を、その両側の端縁部(第1、第2の接続用端縁部)を把持して持ち上げながら、搬入位置から貼付け位置まで自在に移送することができる。又各把持具がそれぞれロボットアームの先端に設けられるため、切断角度が変更された場合にも、切断片を向き替えして貼付け位置に移送でき、貼付けコンベヤの配置角度の変更を不要とすることができる。
【0014】
又前記第1の把持具は、一方の把持手段と他方の把持手段とをコード長さ方向に近離移動させる張設手段を具える。従って、把持手段の離間移動により、把持した第1の接続用端縁部をコード長さ方向両側に引っ張って張設させることがきる。これは、タイヤコードが有機繊維コードの場合、さらには切断片が広面である場合には、切断片の腰が弱すぎとなり、移送中に皺や変形が生じる他、貼り付け時に位置ずれを招くなど、タイヤ用プライ材料の形成精度を低下させる傾向となる。これに対して、第1の接続用端縁部を張設することで、前記移送中の皺や変形の発生、及び貼り付け時の位置ずれ等を抑制することができ、タイヤ用プライ材料を高精度で形成しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のタイヤ用プライ材料の製造装置の一実施例を概念的に示す平面図である。
【図2】(A)、(B)は、搬入位置における切断片の接続用端縁部の位置を検出する検出手段を概念的に示す側面図及び平面図である。
【図3】検出手段による接続用端縁部の位置の認識方法を提示する概念図である。
【図4】第1の把持移動装置を示す斜視図である。
【図5】第1の把持移動装置を示す正面図である。
【図6】(A)、(B)は、把持手段が第1の接続用端縁部の端部分を把持する動作を説明する部分拡大図である。
【図7】(A)、(B)は、把持手段が第1の接続用端縁部の端部分を把持する動作を、さらに説明する部分拡大図である。
【図8】第2の把持移動装置を示す斜視図である。
【図9】第2の把持移動装置を示す正面図である。
【図10】押し付けローラの動作を示す概念図である。
【図11】タイヤ用プライ材料の形成方法を例示する概念図である。
【図12】(A)〜(C)は切断片間の接合方法を説明する拡大断面図である。
【図13】(A)は従来のタイヤ用プライ材料の製造装置を示す概念図、(B)はそれに使用される移送装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態のタイヤ用プライ材料の製造装置1(以下にプライ材料製造装置1という場合がある。)は、図1に示すように、第1のロボットアーム2の先端に、前記搬入位置P1の切断片13における前記第1の接続用端縁部E1を把持する第1の把持具3を設けた第1の把持移動装置4と、第2のロボットアーム5の先端に、前記搬入位置P1の切断片13における第2の接続用端縁部E2を把持する第2の把持具6を設けた第2の把持移動装置7とを具える。
【0017】
そして前記プライ材料製造装置1は、例えばベルトコンベア等の搬送装置16によって搬入位置P1まで搬送された切断片13を、貼付けコンベヤ17上の貼付け位置P2まで把持して移動し、この切断片13の第1の接続用端縁部E1を、先に移動された切断片13の貼付けコンベヤ搬送方向後方側となる第2の接続用端縁部E2に順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料10を形成する。
【0018】
ここで前記切断片13は、前記図11に示すように、平行に引き揃えられたタイヤコード11の配列体がゴム被覆された長尺帯状体12を、その先端側からタイヤコード11のコード長さ方向に対して角度θで順次切断することによって平行四辺形状に形成される。各切断片13では、その四辺のうちのコード長さ方向と平行な両側の辺を前記第1、第2の接続用端縁e1、e2とし、この第1、第2の接続用端縁e1、e2を含む端縁部分を、前記第1、第2の接続用端縁部E1、E2と呼ぶ。又本明細書では、前記四辺のうちの非切断となる両側の辺を第1、第2の側縁fa、fbと呼び、この第1、第2の側縁fa、fbを含む側縁部分を、第1、第2の側縁部Fa、Fbと呼ぶ場合がある。
【0019】
又本例の切断片13は、前記図12(B)に示すように、前記第1、第2の接続用端縁部E1、E2の各端面Esが斜面をなし、この斜面同士を重ね合わせることにより互いに接合されるが、図12(C)に示すように、端面Esを段差面とし、この段差面同士を重ね合わせることにより互いに接合することもできる。又図12(A)に示すように、第1、第2の接続用端縁部E1、E2を、段差状に重ね合わせて接合することもできる。
【0020】
次に、本実施形態のプライ材料製造装置1には、図2に示すように、前記搬入位置P1における切断片13の第1、第2の接続用端縁部E1、E2の位置を検出するための検出手段9が配される。この検出手段9は、本例では、撮影手段9Aと位置認識手段9Bとを含んで構成される。具体的には、前記撮影手段9Aは、搬入位置P1の上方に設置されたカメラ9A1であって、前記搬入位置P1で停止する切断片13の第1、第2の接続用端縁部E1、E2を撮影し、その画像データをうる。前記カメラ9A1として、静止画撮影用のCCDカメラが使用され、撮影された画像データは、コンピュター15に取り込まれる。なお第1、第2の接続用端縁部E1、E2は、1つのカメラ9A1で同時に撮影しても良く、又2つのカメラ9A1を用いて別々に撮影することもできる。
【0021】
又前記位置認識手段9Bは、本例では前記コンピュター15の演算装置であって、前記画像データを2値化処理し、第1、第2の接続用端縁部E1、E2の輪郭線を求める。図3には、第1の接続用端縁部E1の輪郭線が代表して示される。
【0022】
そして第1の接続用端縁部E1の輪郭線から、第1の側縁faの輪郭が直線となる第1側縁直線部faxと、前記第2の側縁fbの輪郭が直線となる第2側縁直線部fbxと、前記第1の接続用端縁e1の輪郭が直線となる第1接続用端縁直線部e1xとを検出するとともに、この第1側縁直線部faxの延長線と、第1接続用端縁直線部e1xの延長線とが交わる交点を第1の接続用端縁部E1の第1頂点Q1aとして認識し、かつ前記第2側縁直線部fbxの延長線と、第1接続用端縁直線部e1xの延長線とが交わる交点を第1の接続用端縁部E1の第2頂点Q1bとして認識する。
【0023】
又同様の手法により、第2の接続用端縁部E2の輪郭線から、前記図2(B)に示すように、第2の接続用端縁部E2の第1頂点Q2a、及び第2頂点Q2bを認識する。又同様の手法により、先に移動され前記貼付けコンベヤ17上で待機する切断片13における第2の接続用端縁部E2における第1、第2頂点Q2a’、Q2b’も認識する。
【0024】
このような検出手段9では、前記切断片13のエッジ部分に、カール状の変形が発生した場合にも、そのカールを平らに引き延ばした時の各エッジ部分の頂点位置を正確に検出することが可能となり、接続用端縁部E1、E2間の接合を精度良く行いうる。
【0025】
又本実施形態のプライ材料製造装置1では、前記検出手段9によって得た前記データに基づき前記第1、第2の把持移動装置4、7を制御する。これにより、前記搬入位置P1における切断片13の第1、第2の接続用端縁部E1、E2を、正確に把持しうる。又把持した切断片13を、その第1、第2頂点Q1a、Q1bの位置が、前記貼付けコンベヤ17上の切断片13の第1、第2頂点Q2a’、Q2b’の位置と合う位置まで正確に移動させることができ、切断片13同士の接合を高精度で行いうる。
【0026】
次に、前記プライ材料製造装置1の第1の把持移動装置4は、図4、5に示すように、第1のロボットアーム2の先端に第1の把持具3を具える。この第1の把持具3は、前記第1の接続用端縁部E1におけるコード長さ方向一方側の端部分E1aを把持する一方の把持手段20と、コード長さ方向他方側の端部分E1bを把持する他方の把持手段21と、この一方、他方の把持手段20、21をコード長さ方向に沿って近離移動させる張設手段22とを具える。
【0027】
具体的には、前記第1の把持具3は、前記第1のロボットアーム2の先端に、例えばコ字状の取付け金具23を介して取り付く支持台24を具える。前記支持台24は、前記第1の接続用端縁e1と平行にのびる横長をなすとともに、この支持台24には、その長手方向K両側で向き合う一対の移動台25、25が互いに近離移動可能に配される。
【0028】
本例では、前記支持台24の例えば上面に、前記長手方向Kにのびる例えば案内溝状の直線軸受け部26が形成される。又前記支持台24には、前記直線軸受け部26と平行なボールネジ軸28が回転自在に枢着される。本例のボールネジ軸28は、その中央部が、前記取付け金具23に固定のモータMにギヤー連結されるとともに、前記中央部の一方側には左ネジ部が、又他方側には右ネジ部がそれぞれ形成される。
【0029】
各前記移動台25は、本例では、前記支持台24に外挿される角筒状をなし、その上片部24Uの下面には、前記直線軸受け部26に案内されるスライド部が形成されるとともに、前記上片部24Uの上面には、前記ボールネジ軸28と螺合するナット部29が形成される。これにより前記移動台25、25は、前記モータMの回転により自在な距離を、長手方向Kに近離移動することができる。本例では、前記モータM、直線軸受け部26、ボールネジ軸28、及び移動台25により、前記張設手段22が構成される。
【0030】
又前記移動台25には、一方、他方の把持手段20、21が取り付く。この一方、他方の把持手段20、21は実質的に同構成であり、従って、一方の把持手段20を代表して以下に説明する。前記把持手段20は、図6(A)に拡大して示すように、前記移動台25の下端に取り付く取付板30に、持上げ具31と端部把持具32とを設けている。本例の取付板30は、前記移動台25に取り付く基板部30aの長手方向Kの外端に、下向きの折曲げ部を介して長手方向Kの外側にのびる副板部30bを設けたZ字状をなす。
【0031】
そして前記基板部30aには、昇降移動できかつ上昇により前記第1の接続用端縁部E1における端部分E1a又はE1bを吸着して持ち上げる真空パッド33を有する前記持上げ具31が取り付く。この持上げ具31は、本例では、ロッド34aを下向きとして前記基板部30aに固定される第1のシリンダ34と、該第1のシリンダ34のロッド下端に取付け金具35を介して取り付き、かつ吸着部33aを下方に向けた真空パッド33とを具える。
【0032】
又前記取付板30の副板部30bには端部把持具32が取り付く。この端部把持具32は、ロッド36aを長手方向Kの内方に向けて前記副板部30bに固定される第2のシリンダ36と、該第2のシリンダ36のロッド先端に取り付き長手方向Kに進退しうる横移動台37とを具える。
【0033】
前記横移動台37には、前記真空パッド33によって持ち上げられた端部分E1a又はE1bの下面を受ける受け板38が水平に突設される。又前記横移動台37には、ロッド39aを下方に向けた第3のシリンダ39が、前記受け板38の上方側に取り付くとともに、該第3のシリンダ39のロッド下端には、押さえ板40が取り付く。
【0034】
このように、前記第1の把持具3は、図6(A)、(B)に示すように、持上げ具31の真空パッド33によって前記切断片13の端部分E1a、E1bを吸着した後、第1のシリンダ34による真空パッド33の上昇により、前記端部分E1a、E1bを持ち上げうる。又第2のシリンダ36により端部把持具32が長手方向K内方に前進することで、前記持ち上げた端部分E1a、E1bの下方に、受け板38を差し込みうる。しかる後、図7(A)に示すように、第3のシリンダ39により押さえ板40が下降することで、前記受け板38と押さえ板40との間で、前記端部分E1a、E1bを挟んで把持しうる。又モータMによって各移動台25を長手方向外側に移動し、一方、他方の把持手段20、21を離間させることにより、図7(B)に示すように、把持した前記第1の接続用端縁部E1をコード長さ方向両側に引っ張って張設することができる。
【0035】
なお本例の第1の把持具3は、前記図4、5に示すように、前記一方、他方の把持手段20、21の間の中央位置に、前記第1の接続用端縁部E1の中央を吸着して保持する保持手段41が配される。前記保持手段41は、本例では、ロッド42aを下向きとして前記基板部30aに固定される第4のシリンダ42と、該第4のシリンダ42のロッド下端に取付け金具44を介して取り付く真空パッド45とを具える。
【0036】
次に、前記プライ材料製造装置1の第2の把持移動装置7は、図8、9に示すように、第2のロボットアーム5の先端に第2の把持具6を具える。この第2の把持具6は、本例では、前記第2のロボットアーム5の先端に取付け金具46を介して取り付く支持台47と、この支持台47に支持される吸着保持具48とを具える。前記支持台47は、前記第2の接続用端縁e2と平行にのびる横長をなす。又前記吸着保持具48は、前記第2の接続用端縁e2に沿って並列される複数の真空パッド49を具え、前記第2の接続用端縁部E2を吸着して保持しうる。なお前記第2の把持具6は、前記第1の把持具3と同構造で構成することもできる。
【0037】
このようなプライ材料製造装置1は、前記第1、第2の把持移動装置4、7を具えるため、切断片13の第1、第2の接続用端縁部E1、E2を把持しながら、該切断片13を搬入位置P1から貼付け位置P2まで移動させることができる。このとき、前記第1の把持移動装置4が張設手段22を有するため、把持した第1の接続用端縁部E1をコード長さ方向両側に引っ張って張設しうる。そのため、タイヤコード11が有機繊維コードからなるなど切断片13の腰が弱い場合にも、皺や変形等を招くことなく切断片13を移送することができる。又第1の接続用端縁部E1にカールなどの変形がある場合にも、平らに引き延ばされるため、前記貼付けコンベヤ17上で待機する切断片13の第2の接続用端縁部E2に、位置ずれを招くことなく正確に重ね合わせて接合でき、接合精度を向上させるることができる。又各把持具3、6が、それぞれロボットアーム2、5の先端に設けられるため、切断片13の切断の角度θが変更された場合にも、切断片13を向き替えして貼付け位置P2まで移送でき、貼付けコンベヤ17の配置角度の変更を不要とすることができる。
【0038】
又本例のプライ材料製造装置1には、図10に示すように、前記第1の把持具3に、前記貼付け位置P2に移動された切断片13の第1の接続用端縁部E1を、貼付けコンベヤ17上で待機する切断片13の第2の接続用端縁部E2に押し付ける押し付けローラ50が配される。この押し付けローラ50は、前記コード長さ方向、即ち前記長手方向Kに向く軸心を有するローラであって、本例では前記支持台24の一側面に取り付くローラホルダ51を介して枢支される。なお前記第1の把持具3は、前記支持台24が水平をなす通常状態Y1から、支持台24が傾き、前記押し付けローラ50が第1の把持具3の他の部位よりも下方(最下位置)となる傾動状態Y2まで前記第1のロボットアーム2によって傾動しうる。そして第1のロボットアーム2により、前記傾動状態Y2のまま第1の把持具3全体が下降することにより、前記最下位置の押し付けローラ50が接合部Jを押し付けて接合を確実化しうる。
【0039】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0040】
1 製造装置
2 第1のロボットアーム
3 第1の把持具
4 第1の把持移動装置
5 第2のロボットアーム
6 第2の把持具
7 第2の把持移動装置
10 タイヤ用プライ材料
11 タイヤコード
12 長尺帯状体
13 切断片
17 貼付けコンベヤ
20 一方の把持手段
21 他方の把持手段
22 張設手段
31 持上げ具
32 端部把持具
33 真空パッド
45 真空パッド
48 吸着保持具
50 押し付けローラ
E1、E2 第1、第2の接続用端縁部
E1a、E1b 端部分
e1、e2 第1、第2の接続用端縁
P1 搬入位置
P2 貼付け位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入位置に搬送された切断片を、貼付けコンベヤ上の貼付け位置まで移動し、この切断片の第1の接続用端縁部を、先に移動された切断片の貼付けコンベヤ搬送方向後方側となる第2の接続用端縁部に順次接合して長尺なタイヤ用プライ材料を形成するプライ材料の製造装置であって、
前記切断片は、平行に引き揃えられたタイヤコードの配列体がゴム被覆された長尺帯状体を、その先端側からタイヤコードのコード長さ方向と交差する向きに順次切断することによって形成される平行四辺形状をなし、かつ各切断片は、四辺のうちのコード長さ方向と平行な両側の辺を前記第1、第2の接続用端縁とし、この第1、第2の接続用端縁を含む第1、第2の接続用端縁部同士が順次接合されるとともに、
前記製造装置は、
第1のロボットアームの先端に、前記搬入位置の切断片における前記第1の接続用端縁部を把持する第1の把持具を設けた第1の把持移動装置と、第2のロボットアームの先端に、前記搬入位置の切断片における第2の接続用端縁部を把持する第2の把持具を設けた第2の把持移動装置とを具え、
しかも少なくとも前記第1の把持具は、
前記第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向一方側の端部分を把持する一方の把持手段と、
前記第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向他方側の端部分を把持する他方の把持手段と、
前記一方、他方の把持手段をコード長さ方向に沿って近離移動でき、かつ離間により、把持した前記第1の接続用端縁部をコード長さ方向両側に引っ張って張設させる張設手段とを具えることを特徴とするタイヤ用プライ材料の製造装置。
【請求項2】
前記一方、他方の把持手段は、昇降移動できかつ上昇により前記第1の接続用端縁部におけるコード長さ方向一方側又は他方側の端部分を吸着して持ち上げる真空パッドを有する持上げ具と、前記真空パッドにより持ち上げられた端部分を把持する端部把持具とを具えることを特徴とする請求項1記載のタイヤ用プライ材料の製造装置。
【請求項3】
前記第1の把持具は、前記貼付け位置に移動された切断片の第1の接続用端縁部を、先に移動された切断片の第2の接続用端縁部に押し付ける押し付けローラを有することを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ用プライ材料の製造装置。
【請求項4】
前記第2の把持具は、前記第2の接続用端縁に沿って並列される複数の真空パッドを有し、前記第2の接続用端縁部を吸着して保持する吸着保持具を具えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ用プライ材料の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−107285(P2013−107285A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254159(P2011−254159)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】