説明

タグ装置及び格納物品装置

【課題】比較的薄い格納物品でも、なるべく大きな受光面積を持つ光発電素子を設けて、その受光面で外部からの光を受光することができるようにすることを目的とする。
【解決手段】並列状に格納される板状の格納物品に取付けられるタグ装置40であって、外部からの信号を受信する受信部と、受信部で受信された信号に基づいて管理動作を実行するタグ制御部と、平面状に拡がる受光面50aを有し、前記タグ制御部に電力を供給する光発電素子50とを備え、光発電素子50は、受光面50aを、板状の格納物品に対して斜め姿勢でかつ格納物品が格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢で、格納物品に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の物品を格納棚等の格納部に格納し管理する物品管理システム用のタグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタグ装置として、例えば、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1は、ファイルの背表紙に取付けられるタグ装置に、充電用光電素子を取付けた技術が開示されている。この充電用光電素子は、例えば、その受光面を前記背表紙に沿って配設した外向き姿勢で、前記ファイルに取付けられる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−48317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、格納物品として、CD(Compact Disc)ケースやDVD(Digital Versatile Disc)ケース等を想定した場合、格納部から外方に露出する背面部分は非常に細い。このため、特許文献1に開示の技術では、大きな面積を持つ充電用光電素子を設けることは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、比較的薄い格納物品でも、なるべく大きな受光面積を持つ光発電素子を設けて、その受光面で外部からの光を受光することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るタグ装置は、並列状に格納される板状の格納物品に取付けられるタグ装置であって、外部からの信号を受信する受信部と、前記受信部で受信された信号に基づいて管理動作を実行するタグ制御部と、平面状に拡がる受光面を有し、前記受光面で受光した光により発電して前記タグ制御部に電力を供給する光発電素子とを備え、前記光発電素子は、前記受光面を、前記板状の格納物品に対して斜め姿勢でかつ前記格納物品が記格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢で、前記格納物品に取付可能とされたものである。
【0008】
第2の態様に係るタグ装置は、前記光発電素子の受光面に対して反対側に光反射面を呈する光反射部材をさらに備えたものである。
【0009】
第3の態様に係るタグ装置は、第1の態様又は第2の態様に係るタグ装置であって、前記タグ制御部は、前記受信部で受信された信号に含まれる呼出用の識別符号が、予め記憶された固有の識別符号と一致するか否かを判定し、一致と判断された場合に、一致した旨を、報知部を通じて外部に報知する動作を実行するものである。
【0010】
上記課題を解決するため、第4の態様に係る格納物品装置は、並列状に格納される格納物品装置であって、板状の格納物品と、外部からの信号を受信する受信部と、前記受信部で受信された信号に基づいて管理動作を実行するタグ制御部と、平面状に拡がる受光面を有し、その受光面を、前記板状の格納物品に対して斜め姿勢でかつ前記格納物品が記格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢で前記格納物品に取付けられ、前記受光面で受光した光により発電して前記タグ制御部に電力を供給する光発電素子と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この第1の態様に係るタグ装置によると、前記光発電素子の受光面は、前記板状の格納物品に対して斜め姿勢であるため、格納物品の背面部分の大きさにあまり制約されず、なるべき大きな受光面積をもつ光発電素子を設けることができる。また、前記光発電素子の受光面は、当該斜め姿勢でかつ前記格納物品が記格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢であるため、複数の格納物品を並列状に格納した状態でも、外部からの光を受光面で受光できる。
【0012】
第2の態様に係るタグ装置によると、格納物品の光反射面で反射された反射光が、隣の格納物品の光発電素子の受光面に入射し、より大きな発電量を期待できる。
【0013】
さらに、第3の態様に係るタグ装置によると、呼出用の識別符号が一致したタグ装置から、一致した旨報知されるため、そのタグ装置を認識できる。
【0014】
この第4の態様に係る格納物品装置によると、前記光発電素子の受光面は、前記板状の格納物品に対して斜め姿勢であるため、格納物品の背面部分の大きさにあまり制約されず、なるべき大きな受光面積をもる光発電素子を設けることができる。また、前記光発電素子の受光面は、当該斜め姿勢でかつ前記格納物品が記格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢であるため、複数の格納物品を並列状に格納した状態でも、外部からの光を受光面で受光できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施形態に係るタグ装置及び格納物品装置について説明する。
【0016】
まず、本タグ装置及び格納物品装置が適用される物品管理システムについて説明する。図1は物品管理システムの全体構成を示す図である。
【0017】
この物品管理システムは、格納部としての格納棚10と、格納棚10に並列状に格納される格納物品装置30と、呼出装置としての携帯用呼出装置20とを備えている。
【0018】
格納棚10は、複数の棚段12を有しており、各棚段12に格納物品装置30が並列状に格納される。格納棚10の棚段12は、1段であってもよく、また、任意の複数段であってもよい。また、格納棚10が複数設けられていてもよい。
【0019】
格納物品装置30は、2つの主面を有する板状、より具体的には、略方形板状に形成されている。そして、複数の格納物品装置30が、その主面同士をほぼ完全に重なり合うように隣設させた並列状で、各棚段12に格納可能とされている。このような格納物品装置30としては、例えば、CDケースやDVDケース等のディスクケース、用紙を保持するファイルやフォルダ、書籍等を用いた例が想定される。また、この格納物品装置30には、タグ装置40が組込まれている。この格納物品装置30については、ディスクケースを適用した例で、後に詳述する。
【0020】
図2は携帯用呼出装置20を示す図である。携帯用呼出装置20は、呼出制御部22,入力部24,表示部26、送信部28a、受信部28bとを備えており、これらは可搬性あるケースに組込まれている。
【0021】
入力部24は、テンキー等によって構成されており、呼出用の識別符号や呼出指令等を入力可能とされる。表示部26は、液晶表示器等によって構成されており、入力された識別符号等の情報を表示可能に構成されている。送信部28aは、赤外線LED等によって構成されており、呼出制御部22からの電気信号を赤外光信号として送信する。また、受信部28bは、フォートダイオード等によって構成されており、受光された赤外光信号を電気信号に変換してこれを呼出制御部22に与える。
【0022】
この携帯用呼出装置20による動作には、各格納物品装置30に取付けられたタグ装置40に対する下記呼出動作が含まれる。
【0023】
すなわち、上記入力部24を通じて呼出用の識別符号が入力されると、当該呼出用の識別符号を一時的に記憶する。この状態で、入力部24を通じて呼出指令が入力されると、当該記憶された識別符号を含む信号を送信部28aにより赤外光信号として送信するように構成されている。
【0024】
なお、携帯用呼出装置20から識別符号を含む赤外光信号が送信されると、当該識別符号を割当てられたタグ装置40が後述する報知動作を実行する。これにより、本システムの利用者は、当該報知動作を手がかりとして、所望の格納物品装置30の所在位置を知り、当該所望の格納物品装置30を取出せるようになる。
【0025】
格納物品装置30についてより詳細に説明する。図3は格納物品装置30を示す正面図であり、図4は格納物品装置30を示す背面図である。
【0026】
格納物品装置30は、格納物品32と、タグ装置40とを備えている。
【0027】
格納物品32の外形状は、格納物品装置30の外形状と略同一であり、板状に形成されて並列状に格納可能とされている。
【0028】
より具体的には、格納物品32は、CDケース又はDVDケースとして用いられるディスクケースである。この格納物品32は、樹脂等(ここでは透明樹脂)で形成されており、ディスク収納部34と、背部36とを有している。ディスク収納部34の内部には、CD又はDVD等のディスクを収納する収納空間部34aが形成されている。背部36は、格納物品32を格納棚10に格納した状態で、開口側(外方側)に配設される部分であり、またここでは、ディスク収納部34を開閉する際のヒンジとなる部分である。また、この背部36は、中空でかつ扁平な略直方体筺状に形成されており、この内部にタグ装置40の光発電素子50等が収容される。
【0029】
図5(a)はタグ装置40の要部を示す平面図であり、図5(b)はタグ装置40の要部を示す側面図であり、図5(c)はタグ装置40の要部を示す底面図である。
【0030】
タグ装置40は、所定の回路が形成された基板42に、送信部44a及び受信部44bと、タグ制御部として機能するタグ制御用IC46と、報知部としての発光素子48とが実装固定されると共に、当該基板42に光発電素子50と、充電素子52とが取付固定された構成とされている。
【0031】
基板42は、一般的なプリント配線基板等によって構成されており、細長い板状に形成されている。この基板42の一端部よりの部分にタグ制御用IC46が実装固定されると共に、その一端縁部に送信部44a及び受信部44bが外方に対して光の送信又は受信を可能な姿勢で実装固定されている。また、基板42の一側部に外部から視認可能な態様で発光素子48(ここでは2つの発光素子48)が実装固定されている。
【0032】
また、基板42の一側部の長手方向略中間部には、凹状に切り欠かれた切欠部42aが形成されており、当該切欠部42aに光発電素子50が取付固定されている。光発電素子50は、平面状に拡がる受光面50aを有し、当該受光面50aで光を受光して起電力を生じる素子であり、一般的な太陽電池等によって構成されている。ここでは、光発電素子50は、細長板状に形成されており、その一主面に細長方形状の受光面50aを有している。そして、光発電素子50の一側部を上記基板42の切欠部42a内に配設すると共に、光発電素子50の他側部を基板42の切欠部42a外に延びるようにして、受光面50aを基板42に対して斜めにした姿勢で、光発電素子50が基板42に対して取付固定されている。
【0033】
また、基板42の他端部に円孔42hが形成されており、この円孔42h内に充電素子52が配設されている。充電素子52としては、静電容量によって電気エネルギーを蓄えるキャパシタや、電気化学反応によって電気エネルギーを蓄える二次電池等、上記光発電素子50からの電力供給を受けて電気エネルギーとして蓄え得る素子が用いられる。
【0034】
このタグ装置40の基板42は、それに実装固定又は取付固定された部品と共に、背部36内に収容固定される。基板42は、背部36内で格納物品32(主面の方向)に対して略平行姿勢で固定される。これにより、光発電素子50は、その受光面50aを格納物品32に対して斜め(板状の格納物品32の主面に対して斜め)にした姿勢で、かつ、格納物品32が格納された状態で受光面50aを外方に向けた姿勢で、格納物品32に取付けられる(図8参照)。つまり、受光面50aは、格納物品32を並列状に格納した状態で、外方から一方主面側に傾いた方向を向いている。
【0035】
また、このタグ装置40は、光反射部材56を備えている。光反射部材56は、光発電素子50の受光面50aに対して反対側に光反射面を呈するように取付けられる。ここでは、背部36のうち他方主面側で光反射面を呈する(図5(c)参照)。換言すれば、上記光発電素子50の受光面50aが、背部36の外方及びその一方主面側からの光を受光可能に取付けられている場合において、光反射部材56は、その反対側の面である背部36の他方主面側で反射面を呈するようになっている。そして、複数の格納物品装置30が並列状に配置された状態で、所定の格納物品装置30の受光面50aに対して、隣の格納物品装置30の光反射部材56の光反射面が対向して配設されるようになっている。
【0036】
図6は、タグ装置40の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、このタグ装置40は、光発電素子50と、充電素子52と、逆電流防止用のダイオード60と、電源制御部62と、スイッチング素子64と、アンプ66と、タグ制御用IC46と、送信部44a及び受信部44bと、報知部としての発光素子48とを備えている。なお、図6で示す電気的要素のうち図5で図示されない電気的要素は、実際には基板42に実装されており、これについては図5では省略している。
【0037】
光発電素子50は、上記のように光を受光して発電する素子であり、この発電起電力により生じた電圧が、逆電流防止用のダイオード60を介して充電素子52やタグ制御用IC46等に印加され、これにより、充電素子52が充電され、また、タグ制御用IC46が動作するようになっている。つまり、このタグ装置40では、光発電素子50又は充電素子52からの電力供給を受けて電源制御部62やタグ制御用IC46等が動作する。充電素子52に蓄えられた電気エネルギーは光発電素子50から与えられた電気エネルギーなので、光発電素子50は、タグ制御用IC46等に対して直接的又は間接的に電力を供給している。
【0038】
電源制御部62は、充電素子52の電圧検出機能等を有しており、充電素子52及び光発電素子50からの電圧を検出して、その電圧がタグ制御用IC46等を動作させるのに十分な一定電圧以上であるときに、電源オン信号を出力してスイッチング素子64をオンにする。これにより、光発電素子50の供給電圧又は充電素子52の放電電圧がタグ制御用IC46に加えられ、そのタグ制御用IC46が後述する動作を実行するようになる。
【0039】
受信部44bは、外部からの信号としての赤外光信号を受光してこれを電気信号に変換する光電素子であり、この受信部44bから出力された電気信号は、アンプ66に入力されて増幅された後、タグ制御用IC46に入力される。
【0040】
タグ制御用IC46は、CPU46a、ROM及びRAM等の記憶部46d、並びに入力部46b、出力部46cを備える一般的なマイクロコンピュータである。このタグ制御用IC46は、予め格納されたソフトウェアプログラムによって、受信部44bで受信された信号に基づいて管理動作(後述する)を含む所定の動作を行う。なお、記憶部46dは、タグ制御部としてのタグ制御用IC46に内蔵された構成であっても、別途設けられた構成であってもよい。
【0041】
送信部44aは、赤外線発光ダイオード等によって構成されており、タグ制御用IC46に接続されている。そして、当該タグ制御用IC46から出力された電気信号を光信号に変換して、外部、例えば、携帯用呼出装置20に向けて送信するようになっている。
【0042】
また、報知部としての発光素子48は、可視光発光ダイオード等によって構成されており、タグ制御用IC46に接続されている。そして、当該タグ制御用IC46から出力された電気信号に応じて所定の発光パターンで発光するようになっている。ここでは、2つの発光素子48を備えている。
【0043】
このタグ装置40の管理動作について説明する。図7は本タグ装置40の管理動作を示すフローチャートである。
【0044】
まず、このタグ装置40の記憶部46dにおける不揮発領域には、固有の識別符号が記憶されている。記憶部46dに対する固有の識別符号の書込は、製造当初に専用の書込装置を用いて行われるものであってもよいし、又は、製造後に、光通信装置を持つ書込装置によって、送信部44a及び受信部44b、または、別個設けられた書込み用の端子等を通じて書込まれるものであってもよい。要するに、格納物品装置30が格納される段階で、固有の識別符号が記憶されていればよい。
【0045】
また、本タグ装置40は、ある程度の光を受光できて充電素子52に動作上支障ない程度に十分に充電される環境下にあるものとする。
【0046】
そして、動作開始後、ステップS1において、入力信号の有無が判断される。ここで、受信部44bからの入力信号が無いと判別された場合には、ステップS1を繰返す。一方、携帯用呼出装置20から所定の識別符号を含む光信号が送信されると、この光信号が受信部44bで受信され、アンプ66で増幅されてタグ制御用IC46に入力される。これにより、入力信号有りと判断され、ステップS2に進む。
【0047】
ステップS2では、当該入力信号に含まれる呼出用の識別符号が、予め記憶された自己の固有の識別符号と一致するか否かが判定される。一致していないと判断された場合には、ステップS1に戻る。一方、一致していると判断された場合には、ステップS3に進む。
【0048】
ステップS3では自己の所在位置を外部に報知する報知動作を実行する。ここでは、報知動作として、出力部46cを通じて報知用の発光素子48に電流を流して、当該発光素子48を所定の発光パターンで発光させる。この後、ステップS1に戻る。
【0049】
ところで、このタグ装置40は、光発電素子50からの電力供給を受けて動作する。このため、光発電素子50が如何に効率よく外部光を受光できるかが重要となる。そこで、この光発電素子50が外部光を受光する動作について説明する。図8は、格納物品装置30が並列状に格納された状態で、光発電素子50が外部光を受光する状態を示す図である。
【0050】
すなわち、複数の格納物品装置30が並列状に格納された状態では、複数の背部36も並列状に配置される。この状態では、光発電素子50の受光面50aは、その並列方向Aに沿う方向に対して傾斜しつつ、外方に向いている。従って、並列方向Aに略直交する外方向からの光Laや、当該方向から受光面50aの法線方向側に傾斜する方向からの光Lbは、受光面50aに入射し、発電に寄与することができる。
【0051】
また、並列方向Aに略直交する方向から受光面50aの法線方向とは反対側に傾斜する方向からの光Lcについては、直接受光面50aに入射し難い。しかしながら、このような光Lcは、隣の格納物品装置30に設けられた光反射部材56で反射し、受光面50aに入射するので、発電に寄与することができる。
【0052】
この物品管理システムにおける格納物品装置30の取出作業について説明する。
【0053】
図9は格納物品装置30の取出作業手順を示すフローチャートである。
【0054】
なお、初期状態において、各格納物品装置30のタグ装置40には固有の識別符号が記憶されており、各格納物品装置30が並列状態で格納されている。
【0055】
この状態で、ステップS11において、利用者は、取出そうとする格納物品装置30に対応する識別符号を携帯用呼出装置20に入力する。
【0056】
ここで、識別符号が無意味な符号であれば、取出そうとする格納物品装置30の識別符号を入力するのは困難である。そこで、格納物品装置30の名称と識別符号とを対応づけたデータを、別のパソコン等に登録して管理しておいてもよい。そして、当該パソコンを参照して取出そうとする格納物品装置30に対応する識別符号を知ることができるようにしてもよい。もちろん、このような機能は携帯用呼出装置20に実装されていてもよい。また、当該パソコンと携帯用呼出装置20とを通信可能に構成し、パソコンを参照して特定された識別符号を、直接的に携帯用呼出装置20に指定できるようにしてもよい。
【0057】
ステップS12では、利用者が携帯用呼出装置20を格納棚10の手前に構えて呼出指令を入力する。すると、携帯用呼出装置20から格納棚10内の各タグ装置40に向けて呼出用の識別符号を含む信号が送信される。
【0058】
すると、ステップS13において、各タグ装置40の中から、前記呼出用の識別符号と一致する固有の識別符号が割当てられたタグ装置40が発光する。
【0059】
ステップS14では、タグ装置40の発光により、当該固有の識別符号が割当てられた所望の格納物品装置30の格納位置が容易に特定できるので、その発光したタグ装置40が取付けられた物品を取出す。このようにして、取出し作業が終了する。
【0060】
以上のように構成されたタグ装置40及び格納物品装置30によると、光発電素子50の受光面50aは、板状の格納物品32に対して斜め姿勢であるため、格納物品32の背部36等の大きさ(特に幅)にあまり制約されないで、なるべく大きな受光面50aを持つ光発電素子50を設けることができる。また、光発電素子50の受光面50aは、上記斜め姿勢で、かつ、格納物品32が格納された状態で外方に向いた姿勢であるため、複数の格納物品32を並列状に格納した状態でも、外部からの光を有効に受光できる。
【0061】
また、光発電素子50の受光面50aに対して反対側に光反射面を呈する光発電素子50を有しているため、格納物品32が並列配置された状態で、所定の格納物品32の光反射面で反射された反射光が、隣の格納物品32の光発電素子50の受光面50aに入射し、より大きな発電量を期待できる。また、このような光反射部材56は、受光面50aに対して反対側に存在するので、特に、格納物品装置30が単独で存在する場合に、外部光が受光面50aに入射することを妨げにくい。
【0062】
また、タグ装置40は、呼出用の識別符号が一致した場合に、当該一致した旨が報知されるため、当該報知を手がかりとして所望の格納物品32の位置を特定して、容易に取出し作業することができる。
【0063】
{変形例}
なお、本実施形態では、タグ装置40は、外部からの信号として、光信号を受信する例で説明したが、電波信号等の無線信号を受信するものであってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、タグ装置40は、格納物品32の背部36に一体的に組込まれた例で説明したが、タグ装置40は、格納物品32に後付可能な構成、或は、取付後に分離可能な構成であってもよい。
【0065】
タグ装置40を格納物品32に内蔵する場合、少なくともタグ装置40の光発電素子50や基板42等を保護するため、これらを格納物品32のケース状部分(上記実施形態では背部36)内に収納するとよい。この場合、格納物品32のケース状部分のうち少なくとも光発電素子50の受光面50aに対応する部分が透明又は半透明とされていればよい。つまり、上記実施形態では、ディスク収納部34の一部又は全部が不透明であってもよい。更に、タグ装置40を内蔵する格納物品は、用紙を保持するファイルやフォルダの一部として形成してもよいし、別体に形成したファイルやフォルダに取付可能に構成することもできる。
【0066】
また、本実施形態では、報知動作として発光素子48による発光を行わせたが、その他、液晶表示や音等による報知を用いてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、携帯用呼出装置20から呼出用の識別符号を含む光信号を送信しているが、呼出用の識別符号を含む光信号を送信する装置は上記例に限られない。例えば、格納棚10又は棚段12毎に呼出用の識別符号を含む光信号を送信可能な送受信装置を設置し、当該送受信装置を介して識別符号を含む光信号を各タグ装置40に向けて送信するようにしてもよい。更に、格納棚10又は棚段12毎に取付ける送受信装置に携帯用呼出装置20と通信できる手段を設け、携帯用呼出装置20と各タグ装置40とが間接的に送受信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態に係る物品管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】携帯用呼出装置を示す図である。
【図3】格納物品装置を示す正面図である。
【図4】格納物品装置を示す背面図である。
【図5】図5(a)はタグ装置の要部を示す平面図であり、図5(b)はタグ装置の要部を示す側面図であり、図5(c)はタグ装置の要部を示す底面図である。
【図6】タグ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】タグ装置の管理動作を示すフローチャートである。
【図8】格納物品装置の光発電素子が外部光を受光する状態を示す図である。
【図9】格納物品装置の取出作業手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10 格納棚
20 携帯用呼出装置
30 格納物品装置
32 格納物品
36 背部
40 タグ装置
44a 送信部
44b 受信部
46 タグ制御用IC
46d 記憶部
48 発光素子
50 光発電素子
50a 受光面
56 光反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列状に格納される板状の格納物品に取付けられるタグ装置であって、
外部からの信号を受信する受信部と、
前記受信部で受信された信号に基づいて管理動作を実行するタグ制御部と、
平面状に拡がる受光面を有し、前記受光面で受光した光により発電して前記タグ制御部に電力を供給する光発電素子と、
を備え、
前記光発電素子は、前記受光面を、前記板状の格納物品に対して斜め姿勢でかつ前記格納物品が記格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢で、前記格納物品に取付可能なタグ装置。
【請求項2】
請求項1記載のタグ装置であって、
前記光発電素子の受光面に対して反対側に光反射面を呈する光反射部材をさらに備えたタグ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のタグ装置であって、
前記タグ制御部は、前記受信部で受信された信号に含まれる呼出用の識別符号が、予め記憶された固有の識別符号と一致するか否かを判定し、一致と判断された場合に、一致した旨を、報知部を通じて外部に報知する動作を実行する、タグ装置。
【請求項4】
並列状に格納される格納物品装置であって、
板状の格納物品と、
外部からの信号を受信する受信部と、
前記受信部で受信された信号に基づいて管理動作を実行するタグ制御部と、
平面状に拡がる受光面を有し、その受光面を、前記板状の格納物品に対して斜め姿勢でかつ前記格納物品が記格納部に格納された状態で外方に向けた姿勢で前記格納物品に取付けられ、前記受光面で受光した光により発電して前記タグ制御部に電力を供給する光発電素子と、
を備えた格納物品装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−12885(P2009−12885A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174023(P2007−174023)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【出願人】(595043170)アドバンテック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】