説明

タッチセンシング用フィルム、それを含むタッチセンサー組立体及びタッチセンサー組立体の製造方法

タッチセンサーが立体面に形成されたタッチセンサー組立体及びタッチセンサー組立体の製造方法を提示する。そのための本発明の実施形態によるタッチセンサー組立体は、立体面を含むベース部材と、外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層が炭素ナノチューブからなり、ベース部材の立体面に一体形成されたタッチセンシング用フィルムと、を含む。これにより、タッチセンシング用フィルムが、ベース部材の立体面と一体に形成される過程で圧力と熱とを受けて反っても、タッチセンシング用フィルムの面抵抗のような電気的特性はほとんど変化されず、タッチセンシング用フィルムに熱変形が発生しない。また、透明導電層にクラックが発生せず、製造社の設計によって特定形状に変形されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に命令を入力することができるタッチセンサー組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器や現金自動預け払い機など多様な電子機器のボタンやディスプレイパネルには、指を接触させることで機器に命令を入力することができるタッチセンサーが設けられている。このようなタッチセンサーは、ボタンの本体やディスプレイパネル上に接着層を形成し、前記接着層上にタッチセンサーを配置することが一般的である。
【0003】
タッチセンサーの一例として、抵抗膜方式と静電容量方式などが提示される。
【0004】
抵抗膜方式タッチセンサーは、一定距離離隔した導電層間が外部の接触によって当接して変化された抵抗値を測定して、接触有無と接触位置とを検出する。
【0005】
静電容量方式のタッチセンサーは、静電容量の変化によって接触有無と接触位置とを検出する。このような静電容量方式のタッチセンサーは、基板と、透明導電層と、保護層及び電極端子とを含む。ここで、従来の静電容量方式のタッチセンサーを構成する透明導電層としては、通常、ITO(Indium Tin Oxide)を使う。
【0006】
ITOは、100nm以下の薄膜でコーティングしても、優れた導電性を表わし、可視光線領域の光透過性などの光学的特性と、耐環境性などに優れた長所がある。しかし、ITO透明導電層は、ITO自体の柔軟性が弱い性質がある。
【0007】
一方、凸状、あるいは凹状の立体面からなるボタンの外面に、前記タッチセンサーを形成させる場合、圧力と熱とによってタッチセンサーに変形が発生しながら壊れる現象が発生しうる。
【0008】
また、ITO透明導電層は、製造過程で真空蒸着、化学エッチングなど、高価の装備を使わなければならないために、経済性が低く、かつ真空蒸着過程、化学エッチング過程を経なければならないために、製造工程が複雑な問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、立体面に接触可能なタッチセンシング用フィルムを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、タッチセンサーが立体面に形成されたタッチセンサー組立体を提供することである。
【0011】
本発明のまた他の目的は、タッチセンシング用フィルムとベース部材とが一体形成されるタッチセンサー組立体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のタッチセンシング用フィルムは、立体面を含むベース部材に接触されて外部の接触を感知するタッチセンシング用フィルムであって、基底層と、透明導電層と、少なくとも一つの電源供給端子と、を含む。
【0013】
基底層は、軟性でありながら絶縁性である素材からなるものであって、前記ベース部材の立体面に接触するように、前記立体面と対応する形状からなる。透明導電層は、前記基底層に形成されて外部の接触による静電容量の変化を感知する。少なくとも一つの電源供給端子は、前記透明導電層と電気的に連結されて、前記透明導電層に電源を供給する。
【0014】
本発明の他の側面でのタッチセンサー組立体は、立体面を含むベース部材と、外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層が炭素ナノチューブからなり、前記ベース部材の立体面に一体形成されたタッチセンシング用フィルムと、を含む。
【0015】
本発明のまた他の側面でのタッチセンサー組立体の製造方法は、炭素ナノチューブ層を透明導電層とするフィルム状の静電容量方式タッチセンシング用フィルムを提供する。射出成形機の金型のうち何れか一つの内面に、前記タッチセンシング用フィルムを密着する。前記金型を結合させる。前記金型の内部の射出空間に溶融された樹脂を射出させてベース部材を形成しながら、前記ベース部材と前記タッチセンシング用フィルムとを一体に形成する。
【0016】
本発明のさらに他の側面でのタッチセンシング用フィルムは、立体面を含むベース部材に接触されて外部の接触を感知するタッチセンシング用フィルムであって、基底層と、透明導電層と、発光素子と、少なくとも一つの第1電源供給端子と、少なくとも一つの第2電源供給端子と、を含む。基底層は、軟性でありながら絶縁性である素材からなるものであって、前記ベース部材の立体面に接触するように、前記立体面と対応する形状からなる。透明導電層は、前記基底層に形成されて外部の接触による静電容量の変化を感知する。発光素子は、前記透明導電層と電気的に連結されて外部の接触時に発光する。第1電源供給端子は、前記透明導電層と電気的に連結されて、前記透明導電層に電源を供給する。第2電源供給端子は、前記透明導電層と電気的に連結されて、前記発光素子に電源を供給する。
【0017】
本発明のまた他の側面でのタッチセンサー組立体は、立体面を含むベース部材と、前記ベース部材の立体面に一体形成されたものであって、外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層が炭素ナノチューブからなり、前記透明導電層と電気的に連結されて外部の接触時に発光する発光素子と、を含む。
【0018】
本発明のさらに他の側面でのタッチセンサー組立体の製造方法は、炭素ナノチューブ層を透明導電層とし、前記透明導電層に発光素子が電気的に連結されたフィルム状の静電容量方式タッチセンシング用フィルムを提供する。射出成形機の金型のうち何れか一つの内面に、前記タッチセンシング用フィルムを密着する。前記金型を結合させる。前記金型の内部の射出空間に溶融された樹脂を射出させてベース部材を形成しながら、前記ベース部材と前記タッチセンシング用フィルムとを一体に形成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるタッチセンシング用フィルムは、透明導電層が炭素ナノチューブからなることによって、立体面上に形成される。
【0020】
本発明によるタッチセンサー組立体は、タッチセンシング用フィルムがベース部材の立体面と一体に形成される過程で圧力と熱とを受けて反っても、タッチセンシング用フィルムの面抵抗のような電気的特性はほとんど変化されず、タッチセンシング用フィルムに熱変形が発生しない。また、透明導電層にクラックが発生せず、製造社の設計によって特定形状に変形されうる。
【0021】
また、本発明によるタッチセンサー組立体は、CNTを用いて透明導電層を形成するので、真空蒸着、化学エッチングなど、高価の装備を使わなくても良く、経済性が高く、かつ真空蒸着過程、化学エッチング過程を経なくても良いために、製造工程が単純になって製造コストが減少しうる。
【0022】
また、本発明によるタッチセンサー組立体は、外部の接触時に発光素子を発光させて接触が認識されたことをユーザに知らせうる。
【0023】
そして、本発明のタッチセンサー組立体の製造方法は、タッチセンシング用フィルムが外力によってベース部材から分離されず、強く結合され、粘着剤を塗布するか、両面テープなどでタッチセンサーとベース部材とを結合させる方法より製造工程が簡素化されうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体を示した斜視図である。
【図2】本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体の平面図である。
【図3】本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体でタッチセンシング用フィルムとベース部材とをそれぞれ示した斜視図である。
【図4】図1のIV−IV’ラインに沿って切り取った断面図である。
【図5】本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体の分解斜視図である。
【図6】本発明の他の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体を示した斜視図である。
【図7】図6でタッチセンシング用フィルムとベース部材とをそれぞれ示した斜視図である。
【図8】図7に示されたタッチセンシング用フィルムで透明導電層の形状の一例を示した図である。
【図9】図6のIX−IX’ラインに沿って切り取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体を示した斜視図であり、図2は、本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体の平面図であり、図3は、本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体でタッチセンシング用フィルムとベース部材とをそれぞれ示した斜視図である。
【0027】
図1ないし図3を参照すると、本発明の望ましい一実施形態によるタッチセンサー組立体100は、ベース部材110と、タッチセンシング用フィルム120とを含む。
【0028】
ベース部材110は、立体面を含む。ベース部材110は、タッチセンサー組立体100の本体を形成する。前記ベース部材110は、後述するタッチセンシング用フィルム120の下側に配されて、前記タッチセンシング用フィルム120を支持する。前記ベース部材110の素材の一例として、アクリル樹脂、熱硬化性樹脂などが使われる。但し、これに限定せず、ベース部材110の素材として前記タッチセンシング用フィルム120を支持できるものであれば、如何なるものを使っても良い。但し、ベース部材110が、透明な素材からなりうる。これにより、後述するタッチセンシング用フィルム120とベース部材110とが透明な素材からなることによって、前記タッチセンサー組立体100の全体が透明になる。このような透明なタッチセンサー組立体100は、電子機器に適用可能である。例えば、電子機器の一側に透明なタッチセンサー組立体100を配置して、ユーザが透明な操作ボタン、すなわち、前記タッチセンサー組立体100を操作させる。このようなタッチセンサー組立体100によって電子機器の外観が美麗になる。
【0029】
一方、立体面とは、突出した曲面、引き込まれた曲面、段付けられた面など平面ではないあらゆる形態の面を含みうる。
【0030】
タッチセンシング用フィルム120は、前記ベース部材110の立体面と一体に形成される。このようなタッチセンシング用フィルム120は、外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層122が炭素ナノチューブからなるものである。炭素ナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)は、炭素原子が六角形の蜂の巣状に結合された板状の黒鉛シートが直径が数nmから数百nm程度であるチューブ形態で巻回されているナノ素材である。このようなCNTをプラスチックやフィルムに薄い導電膜で形成すれば、可視光線領域で高い透過度と導電性とを表わすので、透明電極として使用が可能である。
【0031】
前記CNTからなる透明導電層122は、ITOからなる透明導電層より柔軟性と耐久性とに優れた特性がある。これにより、前記タッチセンシング用フィルム120が、ベース部材110の立体面と一体に形成される過程で反っても、タッチセンシング用フィルム120に熱変形がほとんど発生しない。また、透明導電層にクラックが発生せず、製造社の設計によってタッチセンシング用フィルム120を特定形状に変形することができる。
また、前記タッチセンサー組立体100では、CNTを用いて透明導電層122を形成するので、真空蒸着、化学エッチングなど、高価の装備を使わなくても良く、経済性が高く、かつ真空蒸着過程、化学エッチング過程を経なくても良いために、製造工程が単純になって製造コストが減少しうる。
【0032】
また、前記タッチセンサー組立体100でタッチセンシング用フィルム120は、打抜き工程を通じて特定形状及び単位長さで切断して製造することができる。例えば、タッチセンシング用フィルム120を1平方メートル面積に一定の間隔で配列する。そして、製造社の設計によってタッチセンシング用フィルム120が切断されるように、刃の形状を特定形状に形成し、前記刃を同一な間隔で複数個配置して刃組立体を完成する。次いで、前記刃組立体で前記タッチセンシング用フィルムの一面に瞬間的な力を加えて圧着させる。すなわち、タッチセンシング用フィルム120を1m製造した後、刃が10cm間隔ごとに配された刃組立体でタッチセンシング用フィルム120の一面に瞬間的に力を加えて押すようになる。前記タッチセンシング用フィルム120は、前記刃組立体によって一定の間隔と同じ形状に10cmずつ切断される。このような方法は、タッチセンシング用フィルム120の透明導電層122が、CNTからなって切断過程で前記透明導電層122が壊れない特性のために可能である。
【0033】
一方、本発明の一実施形態によるタッチセンシング用フィルム120は、基底層121と、前述した透明導電層122と、少なくとも一つの電源供給端子123とを含みうる。
【0034】
特に、図3を参照すると、基底層121は、軟性でありながら絶縁性である素材からなるものである。このような基底層121の一面は、ベース部材110の立体面と接触する。そして、基底層121の他面には、透明導電層122が形成される。基底層121の素材としては、透明PETフィルムのように透光度及び軟性に優れた素材が使われる。
【0035】
電源供給端子123は、透明導電層122と電気的に連結されて、前記透明導電層122に電源を供給する。このような電源供給端子123の素材は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などからなりうる。この場合、前記銅及びアルミニウムは、エポキシによって透明導電層122に接着されうる。このような電源供給端子123の他の例として、シルバーペーストであり得る。これとは違って、電源供給端子123は、導電性透明重合体からなりうる。前記導電性透明重合体の一例として、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアミン、及びポリアセチレンのうち何れか一つであり得る。これにより、外部から前記電源供給端子123が透明に見えることによって、前記タッチセンシング用フィルム120の全体が透明に見える。
【0036】
前記電源供給端子123は、ユーザがほとんど接触しないタッチセンシング用フィルム120のエッジ部分に位置されうる。タッチセンサー組立体100が、未図示された電子機器に配される場合、電源供給端子123は、電子機器の電源供給部と電気的に連結され、電源供給端子123は、電子機器のハウジングに隠れて外部に露出されないこともある。
【0037】
前記のような構造からなるタッチセンシング用フィルム120は、電源供給端子123を通じて透明導電層122に電源が供給された状態で、ユーザが透明導電層122を接触すれば、透明導電層122は、前記接触による静電容量の変化を感知して、ユーザがタッチセンサー組立体100の特定領域に接触したか否かを判断する。
【0038】
従来のタッチセンサーは、平面からなることが一般的であり、反りに脆弱であるので、立体面が形成された所に接着しにくかったが、前記タッチセンシング用フィルム120は、透明導電層122が炭素ナノチューブからなるので、立体面に形成される。
【0039】
一方、前記タッチセンシング用フィルム120には、前記透明導電層122を分画する少なくとも1本の分画用溝124が形成される。前記分画用溝124は、透明導電層122に一定間隔または不規則的な間隔で形成される。このような分画用溝124を透明導電層122に形成する方法の一例として、ドライ化学エッチング(Dry etching)が使われる。ドライ化学エッチングは、レーザビームまたはガスプラズマによる反応を利用した工程で、ウェット化学エッチング(wet etching)で使われる化学薬品を使わないので、乾式エッチングとも言う。
【0040】
前記のような方法によって形成された分画用溝124は、一つの透明導電層122を複数個に分画させる。図3に示されたように、一つのタッチセンシング用フィルム120に3本の分画用溝124が形成されて、透明導電層122が、4のタッチ区域A、B、C、Dに分画され、それぞれのタッチ区域A、B、C、Dは、電気的に連結されなくなる。この場合、前記電源供給端子は、前記分画された透明導電層122のそれぞれに一対一対応して形成されたことが望ましい。これは、分画された透明導電層122のそれぞれに電流を供給させるためである。
【0041】
このようなタッチセンシング用フィルム120でユーザの接触が認識されることは、図4に概略的に図示する。図4に示されたように、ユーザが、Aタッチ区域に指を接触させれば、隣接したBタッチ区域では、ユーザの接触が感知されない。
【0042】
一方、前記ベース部材110には、前記分画された透明導電層122のそれぞれと対応する文字、絵及びパターンのうち何れか一つが形成される。このようなタッチセンシング用フィルム120は、透明な素材からなっているので、ユーザは、透明なタッチセンシング用フィルム120を通じてベース部材110に形成された文字、絵及びパターンを確認することができる。ベース部材110に示された絵は、未図示された電子機器を操作するための“後ろ向き111a、前向き111b、分画用溝124に向き111c、電源on/off111d”であり、このような絵は、製造社の設計によって変更されうる。ユーザは、前記絵を見て複数のタッチ区域A、B、C、Dのうちいずれか1つのタッチ区域を接触すれば、未図示された電子機器に如何なる命令が入力されるかが分かる。
【0043】
一方、前記タッチセンシング用フィルム120とベース部材110は、インモールド射出方法によって一体化して形成される。
【0044】
図3及び図5を参照して、前記インモールド射出方法を説明する。
【0045】
まず、炭素ナノチューブ層を透明導電層122とするフィルム状の静電容量方式タッチセンシング用フィルム120を提供する。次いで、射出成形機の金型のうち何れか一つの内面に、前記タッチセンシング用フィルム120を密着する。ここで、タッチセンシング用フィルム120が密着される金型の内壁に複数の通孔を形成し、前記通孔と吸入ポンプとを連通させ、前記吸入ポンプを動作させてタッチセンシング用フィルム120を金型に密着させうる。この過程で、タッチセンシング用フィルム120は、図3に示された平らな状態120aで、図5に示されたように、金型の内面の形状と対応して反った状態120bで変形される。ここで、前記タッチセンシング用フィルム120は、透明導電層122がCNTからなっているので、熱変形や壊れが発生しない。
【0046】
次いで、前記金型を結合させて金型の内部を外部から密閉させる。
【0047】
最後に、タッチセンシング用フィルム120が密着されていない金型に形成されたホールを通じて射出装置に前記金型の内部の射出空間に溶融された樹脂を射出させてベース部材110を形成しながら、前記ベース部材110と前記タッチセンシング用フィルム120とを一体形成する。
【0048】
前記のような方法によって製造されたタッチセンサー組立体100では、タッチセンシング用フィルム120とベース部材110とが一体形成されて、前記タッチセンシング用フィルム120が外力によってベース部材110から分離されず、強く結合され、粘着剤を塗布するか、両面テープなどでタッチセンシング用フィルムと既製造されたベース部材とを結合させる方法より製造工程が簡素化されうる。
【0049】
本発明の他の実施形態によるタッチセンサー組立体200は、図6及び図7に示されたように、タッチセンシング用フィルム220が、前記基底層121と、透明導電層222と、発光素子225と、少なくとも一つの第1電源供給端子223と、少なくとも一つの第2電源供給端子226とを含む。
【0050】
この場合、前記基底層121は、図1ないし図5に示された基底層121と機能及び構造が同一なので、これについての詳細な説明は省略する。
【0051】
また、前記透明導電層222は、外部の接触による静電容量の変化を感知するものであって、炭素ナノチューブからなる。前記透明導電層222の材質についての説明は、図1ないし図5に示された透明導電層122と同一なので、これについての詳細な説明は省略する。
【0052】
発光素子225は、LED(Light Emitting Diode)、レーザダイオード(Lasar Diode)、OLED(Organic Light Emitting Diodes)、LCD(Liquid Crystal Device)、FED(Field Emission Device)のように発光することができるあらゆる種類の発光素子が適用可能である。前記発光素子225は、透明導電層に導電性接着剤によって接着されうる。このような発光素子225は、タッチセンシング用フィルム220にユーザの身体一部が接触する場合に発光する。ユーザは、発光した光を見てタッチセンシング用フィルム220が自身の接触を感知したことが分かる。すなわち、前記タッチセンシング用フィルム220には、発光素子225が備えられることによって、タッチセンシング用フィルム220で接触を認識したことをユーザに知らせるために、振動を発生させる別途の接触報知モジュールをタッチセンサー組立体200または前記タッチセンサー組立体200が設けられる電子機器に設置しなくても良い。
【0053】
第1電源供給端子223は、前記透明導電層222に電気的に連結されて、前記透明導電層222に電源を供給する。
【0054】
第2電源供給端子226は、前記透明導電層222に電気的に連結されて、前記発光素子225に電源を供給する。このような第2電源供給端子226は、第1電源供給端子223に隣接して位置して電子機器の電源供給部と電気的に連結されうる。
【0055】
この場合、第1及び第2電源供給端子223、226は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などからなりうる。この場合、前記銅及びアルミニウムは、エポキシによって透明導電層122に接着されうる。このような第1及び第2電源供給端子223、226の他の例として、シルバーペーストであり得る。これとは違って、第1及び第2電源供給端子223、226は、導電性透明重合体からなりうる。前記導電性透明重合体の一例として、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアミン、及びポリアセチレンのうち何れか一つであり得る。これにより、外部から前記第1及び第2電源供給端子223、226が透明に見えることによって、前記タッチセンシング用フィルム220の全体が透明に見える。
【0056】
前記第1及び第2電源供給端子223、226は、ユーザがほとんど接触しないタッチセンシング用フィルム220のエッジ部分に位置されうる。タッチセンサー組立体200が、未図示された電子機器に配される場合、第1及び第2電源供給端子223、226は、電子機器の電源供給部と電気的に連結され、第1及び第2電源供給端子223、226は、電子機器のハウジングに隠れて外部に露出されないこともある。
【0057】
一方、第1電源供給端子223と第2電源供給端子226は、それぞれ電気的に連結されないことが望ましい。これは、前記発光素子225が、第1電源供給端子223と電気的に連結されて、常に発光することを防止し、前記発光素子225の負端子と正端子とをそれぞれ分離させるためである。
【0058】
このために、図7ないし図8に示されたように、透明導電層222は、3個の領域に分画されてなされたことが望ましい。前記透明導電層222は、タッチ領域222aと、負端子領域222bと、正端子領域222cとからなりうる。前記タッチ領域222aと、負端子領域222bと、正端子領域222cとの間には、溝が形成されて互いに電気的に連結されない。前記溝は、エッチング方法によって形成され、透明導電層222を電気的に分画することができる方法であれば、如何なる方法を使っても良い。タッチ領域222aには、未図示された電子機器が動作する場合、常に電気が印加されてユーザの接触を認識する領域である。負端子領域222bは、発光素子225の負端子と第2電源供給端子226の負端子226aとを電気的に連結する。正端子領域222cは、発光素子225の正端子と第2電源供給端子226の正端子226bとを電気的に連結する。前記透明導電層222の分画された形状は、タッチ領域222aと、負端子領域222bと、正端子領域222cとが互いに電気的に分離されうる形状であれば、如何なる形状からなっても良い。
【0059】
前記のような構造からなるタッチセンシング用フィルム220は、第1電源供給端子223を通じて透明導電層222に電源が供給された状態で、ユーザが透明導電層222を接触すれば、透明導電層222は、前記接触による静電容量の変化を感知して、ユーザがタッチセンサー組立体200の特定領域に接触したか否かを判断する。これと同時に、未図示された電子機器の制御部は、第2電源供給端子226を通じて電源を供給して発光素子225を発光させる。ユーザは、発光した光を見てタッチセンサー組立体が自身の接触を認識して、未図示された電子機器に入力信号を伝送したことを確認することができる。一方、ユーザの周辺が暗い所では、発光素子225が常に発光しており、ユーザがタッチセンシング用フィルム220に身体一部を接触させる場合、接触した位置に対応する発光素子225が点滅されることも可能である。
【0060】
一方、タッチセンシング用フィルム220と発光素子225は、それぞれ独立して動作することも可能である。例えば、ユーザの接触とは無関係に複数の発光素子225が、左側端から右側端まで発光するか、一方、右側端から左側端まで順次に発光しうる。そして、複数の発光素子225は、交互に発光し、発光素子225の全体が同時に発光と点滅とを反復することができる。また、前記電子機器が、音楽ファイルを再生することができる装置である場合、音楽音と連動されて発光することも可能である。このように動作するタッチセンサー組立体200は、電子機器の一側に備えられて多様な方法で発光することによって、ユーザに審美的な効果を感じさせる。
【0061】
一方、前記タッチセンシング用フィルム220にも、図3に示された分画用溝124のように、前記透明導電層222を分画する少なくとも1本の分画用溝224が形成される。前記分画用溝224は、透明導電層222に一定間隔または不規則的な間隔で形成される。
【0062】
前記のような方法によって形成された分画用溝224は、一つの透明導電層222を複数個に分画させる。図7に示されたように、一つのタッチセンシング用フィルム220に3本の分画用溝224が形成されて、透明導電層222が、4のタッチ区域A、B、C、Dに分画され、それぞれのタッチ区域A、B、C、Dは、電気的に連結されない。これにより、ユーザが、Aタッチ区域に指を接触させれば、隣接したBタッチ区域では、ユーザの接触が感知されない。
【0063】
この場合、発光素子225は、前記分画された透明導電層222のそれぞれに一対一対応して形成されたことが望ましい。これは、ユーザが、複数のタッチ区域のうち何れか一つを接触する場合、前記タッチ区域でユーザの接触を感知したことを知らせるためである。例えば、ユーザが、Aタッチ区域に指を接触する場合、Aタッチ区域の発光素子225を発光させる。このような発光素子225は、ユーザに接触を感知したことを知らせる役割を果たす。
【0064】
そして、前記第1及び第2電源供給端子223、226は、前記分画された透明導電層222のそれぞれに一対一対応して形成されたことが望ましい。これは、分画された透明導電層222及び発光素子225のそれぞれに電流を供給させるためである。
【0065】
また、図7に示されたベース部材110には、前記分画された透明導電層222のそれぞれと対応する文字、絵及びパターンのうち何れか一つが形成される。例えば、前記ベース部材110に示された絵は、未図示された電子機器を操作するための“後ろ向き111a、前向き111b、分画用溝224に向き111c、電源on/off(111d)”であり、このような絵は、製造社の設計によって変更されうる。ユーザは、前記絵を見て複数のタッチ区域A、B、C、Dのうちいずれか1つのタッチ区域を接触すれば、未図示された電子機器に如何なる命令が入力されるかが分かる。
【0066】
以上、本発明の望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれるものと解析しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、タッチセンシング用フィルム、それを含むタッチセンサー組立体及びタッチセンサー組立体の製造方法関連の分野に利用されうる。
【符号の説明】
【0068】
100 タッチセンサー組立体
110 ベース部材
120 タッチセンシング用フィルム
121 基底層
122 透明導電層
123 電源供給端子
124 分画用溝
200 タッチセンサー組立体
220 タッチセンシング用フィルム
222 透明導電層
222a タッチ領域
222b 負端子領域
222c 正端子領域
224 分画用溝
225 発光素子
226a 負端子
226b 正端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体面を含むベース部材に接触されて外部の接触を感知するタッチセンシング用フィルムにおいて、
軟性でありながら絶縁性である素材からなるものであって、前記ベース部材の立体面に接触するように、前記立体面と対応する形状からなる基底層と、
前記基底層に形成されて外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層と、
前記透明導電層と電気的に連結されて、前記透明導電層に電源を供給する少なくとも一つの電源供給端子と、
を含むことを特徴とするタッチセンシング用フィルム。
【請求項2】
前記透明導電層を分画する少なくとも1本の分画用溝が形成され、
前記電源供給端子は、前記分画された透明導電層のそれぞれに一対一対応して形成されたことを特徴とする請求項1に記載のタッチセンシング用フィルム。
【請求項3】
立体面を含むベース部材と、
外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層が炭素ナノチューブからなり、前記ベース部材の立体面に一体形成されたタッチセンシング用フィルムと、
を含むことを特徴とするタッチセンサー組立体。
【請求項4】
前記タッチセンシング用フィルムは、
軟性でありながら絶縁性である素材からなり、一面はベース部材の立体面と接触し、他面には前記透明導電層が形成される基底層と、
前記透明導電層と電気的に連結されて、前記透明導電層に電源を供給する少なくとも一つの電源供給端子と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のタッチセンサー組立体。
【請求項5】
前記タッチセンシング用フィルムとベース部材は、インモールド射出方法で一体化して形成されたことを特徴とする請求項3に記載のタッチセンサー組立体。
【請求項6】
前記タッチセンシング用フィルムには、前記透明導電層を分画する少なくとも1本の分画用溝が形成され、
前記電源供給端子は、前記分画された透明導電層のそれぞれに一対一対応して形成され、
前記ベース部材には、前記分画された透明導電層のそれぞれと対応する文字、絵及びパターンのうち何れか一つが形成されたことを特徴とする請求項3に記載のタッチセンサー組立体。
【請求項7】
炭素ナノチューブ層を透明導電層とするフィルム状の静電容量方式タッチセンシング用フィルムを提供する段階と、
射出成形機の金型のうち何れか一つの内面に、前記タッチセンシング用フィルムを密着する段階と、
前記金型を結合させる段階と、
前記金型の内部の射出空間に溶融された樹脂を射出させてベース部材を形成しながら、前記ベース部材と前記タッチセンシング用フィルムとを一体に形成する段階と、
を含むことを特徴とするタッチセンサー組立体の製造方法。
【請求項8】
立体面を含むベース部材に接触されて外部の接触を感知するタッチセンシング用フィルムにおいて、
軟性でありながら絶縁性である素材からなるものであって、前記ベース部材の立体面に接触するように、前記立体面と対応する形状からなる基底層と、
前記基底層に形成されて外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層と、
前記透明導電層と電気的に連結されて外部の接触時に発光する発光素子と、
前記透明導電層と電気的に連結されて、前記透明導電層に電源を供給する少なくとも一つの第1電源供給端子と、
前記透明導電層と電気的に連結されて、前記発光素子に電源を供給する少なくとも一つの第2電源供給端子と、
を含むことを特徴とするタッチセンシング用フィルム。
【請求項9】
前記透明導電層を分画する少なくとも1本の分画用溝が形成され、
前記発光素子は、前記分画された透明導電層のそれぞれに一対一対応して形成され、
前記第1及び第2電源供給端子は、前記分画された透明導電層のそれぞれに一対一対応して形成されたことを特徴とする請求項8に記載のタッチセンシング用フィルム。
【請求項10】
立体面を含むベース部材と、
前記ベース部材の立体面に一体形成されたものであって、外部の接触による静電容量の変化を感知する透明導電層が炭素ナノチューブからなり、前記透明導電層と電気的に連結されて外部の接触時に発光する発光素子を含むタッチセンシング用フィルムと、
を含むことを特徴とするタッチセンサー組立体。
【請求項11】
前記タッチセンシング用フィルムは、
軟性でありながら絶縁性である素材からなり、一面はベース部材の立体面と接触し、他面には前記透明導電層が形成される基底層と、
前記透明導電層に電気的に連結されて、前記透明導電層に電源を供給する少なくとも一つの第1電源供給端子と、
前記透明導電層に電気的に連結されて、前記発光素子に電源を供給する少なくとも一つの第2電源供給端子と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載のタッチセンサー組立体。
【請求項12】
前記タッチセンシング用フィルムには、前記透明導電層を分画する少なくとも1本の分画用溝が形成され、
前記発光素子は、前記分画された透明導電層のそれぞれに一対一対応して形成され、
前記第1及び第2電源供給端子は、前記分画された透明導電層のそれぞれに一対一対応して形成され、
前記ベース部材には、前記分画された透明導電層のそれぞれと対応する文字、絵及びパターンのうち何れか一つが形成されたことを特徴とする請求項10に記載のタッチセンサー組立体。
【請求項13】
前記タッチセンシング用フィルムとベース部材は、インモールド射出方法で一体化して形成されたことを特徴とする請求項10に記載のタッチセンサー組立体。
【請求項14】
炭素ナノチューブ層を透明導電層とし、前記透明導電層に発光素子が電気的に連結されたフィルム状の静電容量方式タッチセンシング用フィルムを提供する段階と、
射出成形機の金型のうち何れか一つの内面に、前記タッチセンシング用フィルムを密着する段階と、
前記金型を結合させる段階と、
前記金型の内部の射出空間に溶融された樹脂を射出させてベース部材を形成しながら、前記ベース部材と前記タッチセンシング用フィルムとを一体に形成する段階と、
を含むことを特徴とするタッチセンサー組立体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−524323(P2012−524323A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505808(P2012−505808)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002200
【国際公開番号】WO2010/120070
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(509189020)トップ・ナノシス・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】