説明

タッチパネルに適用される透明導電構造及びその製造方法

【課題】タッチパネルに適用される透明導電構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板10を有する基板ユニット1と、透明基板10の上表面に形成された第1の被覆層20を有する第1の被覆ユニット2と、第1の被覆層20の上表面に形成された透明導電層30を有し、透明導電層30に、所定の回路パターンPに配列形成された複数の導電回路300が設けられた透明導電ユニット3と、透明導電層30の上表面に形成されるとともに複数の導電回路300を被覆するための第2の被覆層40を有し、第2の被覆層40の頂端に操作子(例えばユーザの指F等)がタッチ可能なタッチ表面400が設けられた第2の被覆ユニット4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電構造及びその製造方法に関し、特にタッチパネルに適用される透明導電構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にタッチパネルは、その検出原理によって電気抵抗型、容量型、圧電型、赤外線型、超音波型に大別され、このうち、容量型のタッチパネルは、ガラス表面に透明導電材料膜がインナーリード線としてメッキされ、ガラス周縁の金属リード線を介して信号を外部のフレキシブル板又はリジッド板上の集積回路(IC)に伝送するタッチセンサー(touch sensor)と呼ばれる構造がある。この構造に外部の回路板及び最上方の保護カバーを貼り付けるとタッチパネルとなる。使用時において、電界が均一であるガラス表面をユーザが指先でタッチすると、静電気が発生し、指と電界との間に容量の変化が生じ、この変化に基づいて入力点位置の座標を位置決めすることができる。
【0003】
図1は、タッチパネルに適用される透明導電構造の従来技術を開示しており、その構造は、PET基板1aと、PET基板1aの上表面に形成された硬質コーティング2aと、PET基板1aの下表面に形成された複数の導電回路3aと、前記複数の導電回路3aの保護のために前記複数の導電回路3aを被覆するための保護層4aとを備える。しかしながら、上述した構造において、前記複数の導電回路3aが硬質コーティング2aの上表面20a(即ちユーザがタッチパネルを操作する場合に接触する接触表面)よりかなり離れているため、前記複数の導電回路3aは、電気伝導度(導電範囲)が0.3オーム/平方(Ω/□)よりも低い超低導電材料を利用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、タッチパネルに適用される透明導電構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つの透明基板を有する基板ユニットと、前記少なくとも1つの透明基板の上表面に形成された少なくとも1つの第1の被覆層を有する第1の被覆ユニットと、前記少なくとも1つの第1の被覆層の上表面に形成された少なくとも1つの透明導電層を有し、前記透明導電層に、所定の回路パターンに配列形成された複数の導電回路が設けられた透明導電ユニットと、前記少なくとも1つの透明導電層の上表面に形成されるとともに前記複数の導電回路を被覆するための少なくとも1つの第2の被覆層を有し、前記少なくとも1つの第2の被覆層の頂端に操作子がタッチ可能なタッチ表面が設けられた第2の被覆ユニットと、を備えることを特徴とするタッチパネルに適用される透明導電構造を提供する。
【0006】
また、本発明は、少なくとも1つの透明基板を有する基板ユニットを用意する工程と、前記少なくとも1つの透明基板の上表面に、少なくとも1つの第1の被覆層を形成する工程と、前記少なくとも1つの第1の被覆層の上表面に、所定の回路パターンに配列形成された複数の導電回路を有する少なくとも1つの透明導電層を形成する工程と、前記少なくとも1つの透明導電層の上表面に、頂端に操作子がタッチ可能なタッチ表面が設けられるとともに前記複数の導電回路を被覆するための少なくとも1つの第2の被覆層を形成する工程と、を備えることを特徴とするタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る透明導電構造及びその製造方法は、操作子がタッチ可能なタッチ表面と前記所定の回路パターンとの距離を近接させるように構成されているため、前記複数の導電回路を超低導電材料で製造する必要がなく、導電範囲が0.8〜3オーム/平方である回路パターンを得ることができ、タッチパネルに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来のタッチパネルに適用される透明導電構造の側面断面模式図を示す。
【図2】本発明に係るタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法のフローを示す。
【図2A】ステップS100乃至ステップS102が完了した本発明に係るタッチパネルに適用される透明導電構造の側面断面模式図を示す。
【図2B】ステップS104が完了した本発明に係るタッチパネルに適用される透明導電構造の側面断面模式図を示す。
【図2C】ステップS106が完了した本発明に係るタッチパネルに適用される透明導電構造の側面断面模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2は、本発明に係る製造方法のフローを、図2A乃至図2Cは、本発明に係る製造方法のフローの各ステップが完了した透明導電構造の側面断面模式図をそれぞれ示している。これらの図に示すように、本発明に係るタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法は、少なくとも以下のステップ(図2に示すステップS100乃至ステップS106参照)を有する。
【0010】
図2及び図2Aに示すように、ステップS100において、少なくとも1つの透明基板10を有する基板ユニット1を用意する。前記少なくとも1つの透明基板10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene Terephthalate、PET)、ポリカーボネート(Poly Carbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリ塩化ビニル(Poly Vinyl Chloride、PVC)、ポリプロピレン(Poly Propylene、PP)、ポリスチレン(Poly Styrene、PS)、又はポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate、PMMA)のいずれから選択され、厚さは、50μm〜125μmであってよい。言い換えれば、設計者は、異なる需要に応じて、異なる材料を利用して前記少なくとも1つの透明基板10を製造することができる。透明基板10の製造材料には制限がなく、透明基板10を製造可能な材料(例えばプラスチック、ガラス等)であれば、いずれも本発明に適用することができる。
【0011】
ステップS102において、少なくとも1つの第1の被覆層20を前記少なくとも1つの透明基板10の上表面に形成する。前記少なくとも1つの第1の被覆層20は、例えば、硬質材料からなる硬質被覆層であってもよい。言い換えれば、設計者は、異なる需要に応じて、異なる硬質材料を利用して前記少なくとも1つの第1の被覆層20を製造することができる。例えば、硬質材料が紫外線硬化材料である場合、該硬質被覆層は、紫外線硬化被覆層となる。しかしながら、第1の被覆層20の製造材料には制限がなく、第1の被覆層20を製造可能な材料であれば、いずれも本発明に適用することができる。
【0012】
図2及び図2Bに示すように、ステップS104において、所定の回路パターンPに配列形成された複数の導電回路300を有する少なくとも1つの透明導電層30を、前記少なくとも1つの第1の被覆層20の上表面に形成する。前記複数の導電回路300は、例えば、横向きに延伸する複数のX軸方向軌跡回路(図示せず)と、縦向きに延伸するとともに前記複数のX軸方向軌跡回路と互いに直交する複数のY軸方向軌跡回路(図示せず)とから成り、異なる需要に応じて、銀材料からなる銀回路、アルミニウム材料からなるアルミニウム回路、銅材料からなる銅回路、又はその他の導電材料からなる導電回路であってよい。前記複数の導電回路300は、酸化インジウム錫(ITO)導電層の構成のために、前記少なくとも1つの透明導電層30の上表面に形成されてもよい。また、前記複数の導電回路300は、超低導電材料で製造する必要がなく、導電範囲(電気伝導度)が0.8〜3オーム/平方である前記所定の回路パターンPを得ることができる。言い換えれば、設計者は、所定の回路パターンP及び所定の導電範囲に応じて、複数の導電回路300を前記少なくとも1つの透明導電層30の上表面に配列形成することができる。
【0013】
図2及び図2Cに示すように、ステップS106において、前記少なくとも1つの透明導電層30の上表面に、頂端にユーザの指F又はタッチペン等がタッチ可能なタッチ表面400が設けられるとともに前記複数の導電回路300を被覆するための少なくとも1つの第2の被覆層40を形成する。前記少なくとも1つの第2の被覆層40は、例えば、硬質材料からなる硬質保護層であり、該硬質保護層は、厚さが3μm〜5μmである酸化物保護層であり、酸化シリコン材料からなる酸化シリコン層(例えば二酸化シリコン(SiO2)からなる二酸化シリコン層)又は酸化アルミニウム材料からなる酸化アルミニウム層(例えばアルミナ(Al2O3)からなるアルミナ層)であってもよい。
【0014】
ステップS100〜ステップS106が完了した後、本発明は、少なくとも1つの透明基板10を有する基板ユニット1と、前記少なくとも1つの透明基板10の上表面に形成された少なくとも1つの第1の被覆層20を有する第1の被覆ユニット2と、前記少なくとも1つの第1の被覆層20の上表面に形成された少なくとも1つの透明導電層30を有し、前記透明導電層30が複数の導電回路300を有し、前記複数の導電回路300が所定の回路パターンPに配列形成された透明導電ユニット3と、前記少なくとも1つの透明導電層30の上表面に形成されるとともに前記複数の導電回路300を被覆するための少なくとも1つの第2の被覆層40を有し、前記少なくとも1つの第2の被覆層40の頂端にユーザの指F又はタッチペン等の操作子がタッチ可能なタッチ表面400が設けられた第2の被覆ユニット4と、を備えることを特徴とするタッチパネルに適用される透明導電構造を提供する。
【0015】
前記少なくとも1つの透明基板10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene Terephthalate、PET)、ポリカーボネート(Poly Carbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリ塩化ビニル(Poly Vinyl Chloride、PVC)、ポリプロピレン(Poly Propylene、PP)、ポリスチレン(Poly Styrene、PS)、又はポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate、PMMA)のいずれから選択され、厚さは、50μm〜125μmであってよい。また、前記少なくとも1つの第1の被覆層20は、硬質被覆層であり、該硬質被覆層は、紫外線硬化被覆層であってもよい。前記複数の導電回路300は、銀回路、アルミニウム回路、銅回路又はその他の導電材料からなる導電回路であり、前記少なくとも1つの透明導電層30の上表面に形成されてもよい。前記所定の回路パターンPは、導電範囲が0.8〜3オーム/平方であってもよい。前記少なくとも1つの第2の被覆層40は、硬質材料からなる硬質保護層であり、該硬質保護層は、厚さが3μm〜5μmである酸化物保護層であり、該酸化物保護層は、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層であってもよい。
【0016】
上述のように、本発明に係る透明導電構造及びその製造方法は、ユーザの指F又はタッチペン等の操作子がタッチ可能なタッチ表面400と前記所定の回路パターンPとの距離を近接させるように構成されているため、前記複数の導電回路300を超低導電材料で製造する必要がなく、導電範囲が0.8〜3オーム/平方である回路パターンPを得ることができ、タッチパネルに適用することができる。
【0017】
上述したものは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲に記載された構造、特徴及び原理に基づいてなされる均等な変更又は修正は、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0018】
1 基板ユニット
10 透明基板
2 第1の被覆ユニット
20 第1の被覆層
3 透明導電ユニット
30 透明導電層
300 導電回路
P 回路パターン
4 第2の被覆ユニット
40 第2の被覆層
400 タッチ表面
F 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの透明基板を有する基板ユニットと、
前記少なくとも1つの透明基板の上表面に形成された少なくとも1つの第1の被覆層を有する第1の被覆ユニットと、
前記少なくとも1つの第1の被覆層の上表面に形成された少なくとも1つの透明導電層を有し、前記透明導電層に、所定の回路パターンに配列形成された複数の導電回路が設けられた透明導電ユニットと、
前記少なくとも1つの透明導電層の上表面に形成されるとともに前記複数の導電回路を被覆するための少なくとも1つの第2の被覆層を有し、前記少なくとも1つの第2の被覆層の頂端に操作子がタッチ可能なタッチ表面が設けられた第2の被覆ユニットと、
を備えることを特徴とするタッチパネルに適用される透明導電構造。
【請求項2】
前記所定の回路パターンは、導電範囲が0.8〜3オーム/平方であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の被覆層は、硬質被覆層であり、該硬質被覆層は、紫外線硬化被覆層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造。
【請求項4】
前記複数の導電回路は、銀回路、アルミニウム回路又は銅回路であり、前記少なくとも1つの透明導電層の上表面に形成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造。
【請求項5】
前記少なくとも1つの透明基板は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene Terephthalate、PET)、ポリカーボネート(Poly Carbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリ塩化ビニル(Poly Vinyl Chloride、PVC)、ポリプロピレン(Poly Propylene、PP)、ポリスチレン(Poly Styrene、PS)、又はポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate、PMMA)のいずれから選択され、厚さが50μm〜125μmであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2の被覆層は、硬質保護層であり、該硬質保護層は、厚さが3μm〜5μmである酸化物保護層であり、該酸化物保護層は、酸化シリコン層又は酸化アルミニウム層であることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造。
【請求項7】
少なくとも1つの透明基板を有する基板ユニットを用意する工程と、
前記少なくとも1つの透明基板の上表面に、少なくとも1つの第1の被覆層を形成する工程と、
前記少なくとも1つの第1の被覆層の上表面に、所定の回路パターンに配列形成された複数の導電回路を有する少なくとも1つの透明導電層を形成する工程と、
前記少なくとも1つの透明導電層の上表面に、頂端に操作子がタッチ可能なタッチ表面が設けられるとともに前記複数の導電回路を被覆するための少なくとも1つの第2の被覆層を形成する工程と、
を備えることを特徴とするタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法。
【請求項8】
前記所定の回路パターンは、導電範囲が0.8〜3オーム/平方であることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の被覆層は、硬質材料からなる硬質被覆層であり、該硬質被覆層は、紫外線硬化被覆層であることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法。
【請求項10】
前記複数の導電回路は、銀材料からなる銀回路、アルミニウム材料からなるアルミニウム回路又は銅材料からなる銅回路であり、前記少なくとも1つの透明導電層の上表面に形成されることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの透明基板は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene Terephthalate、PET)、ポリカーボネート(Poly Carbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリ塩化ビニル(Poly Vinyl Chloride、PVC)、ポリプロピレン(Poly Propylene、PP)、ポリスチレン(Poly Styrene、PS)、又はポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate、PMMA)のいずれから選択され、厚さが50μm〜125μmであることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2の被覆層は、硬質材料からなる硬質保護層であり、該硬質保護層は、厚さが3μm〜5μmである酸化物保護層であり、該酸化物保護層は、酸化シリコン材料からなる酸化シリコン層又は酸化アルミニウム材料からなる酸化アルミニウム層であることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルに適用される透明導電構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公開番号】特開2012−243280(P2012−243280A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116202(P2011−116202)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(507103606)智盛全球股フン有限公司 (16)
【Fターム(参考)】