説明

タッチパネル付EL表示装置

【課題】外光があっても良好な表示を行ない得るタッチパネル付EL表示装置を提供する。
【解決手段】EL素子を用いた表示装置であって、外側より順番に偏光板111、波長板112、113、タッチパネル120及びEL表示部130を積層して配置したタッチパネル付EL表示装置とする。前記波長板112,113が1/2波長板112と1/4波長板113を積層したものである。前記タッチパネル120が空間部を介して対向している透明電極から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置としてタッチパネルを有するEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EL素子は自己発光素子であり、発光層厚みが薄いために面発光源として期待される。視認性も高く表示素子および液晶表示装置などのバックライトに実用化されている。
【0003】
発光材料として有機化合物を用いた有機EL素子は、発光材料として無機化合物を用いた無機EL素子に比べて印加電圧の大幅低下や材料設計の自由度の高さなどから活発に検討されている。そして、有機EL素子を面光源として用いるべく種々の改良が行われている。青色発光素子の開発などによりカラー表示も実用段階となっている。例えば、C.Adachi,S.Tokito,T.Tsutsui,S.Saito.,Jpn.J.App1.Phy.,Vol.27,L269(1988)(非特許文献1)には、発光層と陰極との間にフェニルビフェニルオキサジアゾールのような電子輸送層を設置する方法が報告され、特開平7−90260号公報(特許文献1)には、RGB3色を発光させて白色光を得る方法が提案されている。
【0004】
また、P.Dyrek1ev et a1,Adv.Mater.,8,146(1995),J.H.Wendorff et al,Liquid Crysta1,Vo1.21,No.6,903(1996)(非特許文献2)などには、電界発光層を一方向に配向させて偏光発光を得る方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−90260号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】C.Adachi,S.Tokito,T.Tsutsui,S.Saito.,Jpn.J.App1.Phy.,Vol.27,L269(1988)
【非特許文献2】P.Dyrek1ev et a1,Adv.Mater.,8,146(1995),J.H.Wendorff et al,Liquid Crysta1,Vo1.21,No.6,903(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近では、前記EL素子を用いた表示装置と入出力装置としてのタッチパネルを組み合わせて用いるようになった。この入出力装置としてのタッチパネルは、一般的には一対の透明な基板の片面に透明電極を形成し、この透明電極を内側にして対向させることによって形成していた。このとき、透明電極の間には密着を防ぐための透明なスペーサーが形成されていることもある。この場合、透明電極は、通常インジウム・スズ酸化物(ITO)等の透明導電薄膜が用いられるが、その屈折率は約2.0以上である。ところが、これらの透明導電膜はタッチパネルとしての機能上、接触によって位置検出を行なうため、空気に直接触れる状態で設けられており、例えばEL素子パネルの表面に比べて光の反射率が非常に大きく、またEL表示装置の前面に用いられるために、さらに単純に界面数も増大し、その光反射によってEL素子パネルの表示コントラストを大きく低下させるといった問題があった。
【0008】
図3は、従来のタッチパネル付EL表示装置の断面図である。図中で、タッチパネル部320は、上側タッチパネル用透明電極321、下側タッチパネル用透明電極322、スぺーサー323、上側ガラス板324、下側ガラス板325から形成されている。また、中層部310は、偏光板311、1/2波長板312、1/4波長板313から形成されている。更に、EL表示部330は、ガラス透明基材331、ITO電極332、正孔輸送層333、蛍光層334、背面電極335、防湿フィルム336から形成されている。そして、タッチパネル部320、中層部310、EL表示部330によりタッチパネル付EL表示装置300を構成している。この従来のタッチパネル付EL表示装置では、タッチパネル部320が表層部にあるため、外光αは、タッチパネル部320でα1、α2として強く反射され、表示光βに強く影響し、表示を著しく見にくくする。
【0009】
そこで、基板の表面に反射防止処理を施したり、透明電極の下に所定の厚みで低屈折率層を設けることで表面反射を押さえる試みがなされてきたが、反射を効果的に押さえることはできず、コストの上昇を招くこととなった。
【0010】
本発明は、タッチパネルの光反射である表面反射によるギラツキやコントラストの低下を抑えて、見やすい表示を実現するタッチパネル付EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明のタッチパネル付EL表示装置は、EL素子を用いた表示装置であって、外側より順番に偏光板、波長板、タッチパネル及びEL表示部を積層して配置したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のタッチパネル付EL表示装置は、前記波長板が、1/2波長板と1/4波長板を積層したものであることが好ましい。
【0013】
本発明のタッチパネル付EL表示装置は、EL表示装置が黒表示を行なうために用いられている偏光板、波長板を利用してタッチパネル機能を付与するものであり、タッチパネルに用いられる透明電極等の界面の反射も偏光板、2種の波長板の組み合せによって著しく減少でき、それにより生じるコントラストの低下やギラギラとした反射が発生せず、表示品位の低下を無くすることができる。また、本発明の構成部材も特殊なものは使用しないため、軽量化薄層化も同時に可能となる。
【0014】
また、本発明のタッチパネル付EL表示装置は、前記タッチパネルが、空間部を介して対向している透明電極から形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明のタッチパネルの上側電極は、波長板に直接形成されても、又は光学等方性フィルムであって位相差値が30nm以下のフィルムに形成して接着材又は粘着剤等で貼り合わせても良い。また、下側電極についても特に限定はしないが、EL基板に用いられるガラス板やプラスチック板の上に導電性の薄膜が形成されているものや、電極が別のフィルムに形成されてガラス板やプラスチック基板に粘着剤等で貼り合わされていてもよい。
【0016】
また、本発明のタッチパネル付EL表示装置は、前記波長板が、外側より順番に1/2波長板と1/4波長板を積層して形成され、前記偏光板の光軸と1/2波長板の遅相軸の角度をθとすると、θが15°±5°であり、且つ前記偏光板の光軸と1/4波長板の遅相軸の角度が(2θ+45°)±10°であることが好ましい。
【0017】
また、本発明のタッチパネル付EL表示装置は、前記波長板が、外側より順番に1/4波長板と1/2波長板を積層して形成され、前記偏光板の光軸と1/4波長板の遅相軸の角度をθとすると、θが45°±5°であり、且つ1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸の角度が90°±10°であることが好ましい。
【0018】
本発明の1/2波長板及び1/4波長板の材質としては、特に限定は無く、透明性に優れるものが望ましく、例えば、ポリカーボネート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテル系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子、ノルボルネン系高分子などが挙げられる。
【0019】
但し、前記波長板が、外側より順番に偏光板、1/4波長板、1/2波長板を積層して形成される場合は、前記波長板の厚さをd、光の波長λ=550nmの屈折率をn550、光の波長λ=400nmの屈折率をn400とするとき、1/2波長板の位相差の比△n400d/△n550dが、1/4波長板の位相差の比△n400d/△n550dより小さいことが好ましい。即ち、1/2波長板は波長分散性の低い(各波長での屈折率差が小さい)ものとし、1/4波長板は波長分散性の高いものが好ましい。
【0020】
具体的には、波長板の厚さをd、光の波長λ=550nmでの屈折率をn550、光の波長λ=400nmでの屈折率をn400とするとき、1/2波長板の位相差の比△n400d/△n550dは1.1以下が好ましく、例えばノルボルネン系高分子であれば、その比が1.03の製品が市販されている。また、1/4波長板の位相差の比△n400d/△n550dは1.1以上が好ましく、例えばポリカーボネート系で1.16、ポリスルホン系で1.2の製品が市販されている。このように外側より順番に偏光板、1/4波長板、1/2波長板とする際には、位相差の異なる互いの遅相軸を交差させて積層することにより、各波長における位相差を重畳ないし加減制御でき、広い波長領域に渡って所定の位相差を得ることができ、理想的な円偏光を作り出すことが可能となる。
【0021】
1/4波長板、1/2波長板の延伸においては特に限定はないが、自由端一軸延伸、固定端一軸延伸、二軸延伸、例えば特許第2818983号に記載の厚み方向延伸等を用いることができる。また、1/2波長板、1/4波長板は延伸フィルムでなくともよく、高分子液晶等の配向膜を塗布した基材であってもよい。更に、無機結晶を用いたものでもよい。
【0022】
また、この発明に用いられる偏光板は特に限定はしない。例えば、通常の二色性物質含有のポリビニルアルコールフィルムを延伸配向した偏光フィルムが好ましく用いられる。また、液晶ポリマーによる偏光素子を使用したもの等であってもよい。透過率が高いものほど明るい表示が得られるため好ましい。
【発明の効果】
【0023】
以下のように本発明は、外側より順番に偏光板、波長板、タッチパネル及びEL表示部を積層して配置しているので、タッチパネルの光反射である表面反射によるギラギラやコントラストの低下を抑えて、外光があっても良好な表示を行ない得るタッチパネル付EL表示装置を提供でき、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のタッチパネル付EL表示装置の実施形態1の断面図である。
【図2】本発明のタッチパネル付EL表示装置の実施形態2の断面図である。
【図3】従来のタッチパネル付EL表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図を例示して説明する。
【0026】
(実施態様1)
図1に本発明のタッチパネル付EL表示装置の実施形態1の断面図を示す。図1では有機EL表示装置の場合の例を示す。図1で100が本発明のタッチパネル付EL表示装置である。図中、最表面より111が偏光板、112が1/2波長板、113が1/4波長板であり、これらが積層されて表層部110を形成している。次に、121がITOの導電膜からなる上側タッチパネル用透明電極、122がITOの導電膜からなる下側タッチパネル用透明電極であり、その間にスペーサー123を配置してタッチパネル部120が形成されている。更に、131がガラス透明基材、132がITO電極、133がN,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(3−メチルフェニル)−(1,1'−ビフェニル)−4,4'−ジアミン(以下、TPDという)からなる正孔輸送層、134がトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、A1qという)からなる蛍光層、135が背面電極、136が防湿フィルムであり、これらによりEL表示部130が形成されている。表層部110、タッチパネル部120、EL表示部130を組み合わせてタッチパネル付EL表示装置100が形成されている。また、背面電極135としては銀マグネシウム合金のような金属薄膜層が好ましく用いられる。
【0027】
背面電極は一般的には反射率の高い金属薄膜が用いられるので、発光時以外でも外光を強く反射し、良好な黒表示を得ることが難しい。そこで、偏光板と1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて、EL表示装置の表面に外側からこの順番で設置することによって、この外光反射を顕著に防止することができる。
【0028】
図1で、外光αがEL表示装置100に入射したとき、外側の偏光板111の吸収によって外光αは直線偏光となり、1/2波長板112及び1/4波長板113を通過してほぼ完全な円偏光へ変換される。EL表示装置の背面電極135は光反射層として作用するので、その反射によって円偏光が反転し、反対の位相の円偏光として反射される。その際、1/4波長板113、1/2波長板112を通過する際に偏光板111の透過方向に対して直交方向の直線偏光となるため、反射光α3はほとんどが偏光板111に吸収される。また、タッチパネル部120の電極表面による反射光α1、α2は既に偏光板及び2枚の波長板により円偏光となっている。よって、同様に2枚の波長板及び偏光板まで到達した反射光α1、α2は直線偏光となっているが、偏光板111の光軸と90°位相が生じているため、偏光板111により吸収されてしまう。従って、外側からは反射光α1、α2はほとんど観測されない。この様に、外光αは偏光板111の表面での反射以外発生しないので、良好な黒状態を形成できる。よって、EL素子発光部分のみが実質的に表示光βとして利用可能となる。この円偏光の反射面での偏光反転は、良好な円偏光ほど効果が高い。一般に1/4波長板の位相差にはコーシーの分散式で近似できる波長分散があるので、全ての波長で良好な円偏光にはならない。これを改善するためには特開平5−100114号公報のように、1/4波長板と1/2波長板を組み合わせて設けることによってほとんどの可視光波長域で良好な円偏光を得ることができる。この場合、1/4波長板の遅相軸を異なる角度で設ける方法と異なる波長分散を持つフィルムを用いる方法、あるいはこれらを併用する方法がある。
【0029】
(実施態様2)
図2に本発明のタッチパネル付EL表示装置の実施形態2の断面図を示す。図2でも有機EL表示装置の場合の例を示す。図2で200が本発明のタッチパネル付EL表示装置である。図中、最表面より211が偏光板、214が1/4波長板、212が1/2波長板であり、これらが積層されて表層部210を形成している。次に、221がITOの導電膜からなる上側タッチパネル用透明電極、222がITOの導電膜からなる下側タッチパネル用透明電極であり、その間にスペーサー223を配置してタッチパネル部220が形成されている。更に、231がガラス透明基材、232がITO電極、233がTPDからなる正孔輸送層、234がA1qからなる蛍光層、235が背面電極、236が防湿フィルムであり、これらによりEL表示部230が形成されている。表層部210、タッチパネル部220、EL表示部230を組み合わせてタッチパネル付EL表示装置200が形成されている。また、背面電極235としては銀マグネシウム合金のような金属薄膜層が好ましく用いられる。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素にて処理し、延伸温度60℃、延伸倍率6.0倍の条件で一軸延伸して偏光版を得た。次に、厚さ100μmのノルボルネン系高分子フィルムを延伸温度170℃、延伸倍率1.7倍で一軸延伸処理し複屈折光に基づいて波長550nmの光に対して1/2波長の位相差を与える1/2波長板を得た。更に、厚さ50μmのノルボルネン系高分子フィルムを延伸温度170℃、延伸倍率1.7倍で一軸延伸処理し、波長550nmの光に対して1/4波長の位相差を与える1/4波長板を得た。
【0031】
上記で得られた1/4波長板をAr雰囲気中でプラズマ処理を施し、ITO薄膜をスパッタリングにて形成し、上側タッチパネル用透明電極基板を作成した。
【0032】
次に、ガラス基板を所定の形状に切り出した後、Ar雰囲気中でプラズマ処理を施し、厚さ100nmのITO薄膜をスパッタリングにて形成し、ELパネル基板を作成した。あらかじめ一方の基板の透明電極は、エッチングによって2分割している。
【0033】
また、同様に下側タッチパネル用透明電極として前記ガラス基板の反対面に厚さ25nmのITO薄膜をスパッタリングにて形成した。このガラス基板を超音波洗浄および紫外線オゾン洗浄した後、抵抗加熱型の真空蒸着装置内に入れ、同装置内に配置されたモリブデン性加熱ボートにTPDを入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlqを入れて、真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧した。
【0034】
次に、TPDの抵抗加熱ボートを220℃まで加熱し、前記ガラス基板の100μmのITO薄膜上に蒸着させて、膜厚60nmの正孔輸送層を成膜した。引き続きAlqを入れた前記抵抗加熱ボートを275℃まで加熱し、Alqを正孔輸送層上に蒸着して、膜厚60nmのAlq層を成膜した。次に、モリブデン製抵抗加熱ボートにマグネシウムを入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに銀を入れて、真空チャンバー内を2×10-4Paまで減圧し、マグネシウムと銀の合金電極を2元同時蒸着法によって膜厚140nmとなるように蒸着して背面電極を形成した。マグネシウムと銀の原子比は9:1とした。すべての蒸着は基板温度が室温になるように保持した。また、この蒸着膜はマスキングによりあらかじめ2分割している。
【0035】
このようにして、EL表示部を作成した。なお、得られたEL表示部は緑色(主波長513nm)の光を発した。
【0036】
次に、上下タッチパネル用透明電極のITO面に銀電極を印刷した後、スペーサーを介して透明導電フィルムの電極側を対向させて配置し、偏光板の光軸に対し1/2波長板の遅相軸が15°、1/4波長板の遅相軸が75°になるように貼り合わせタッチパネルを作成し、タッチパネル付EL表示装置を作成した。
【0037】
(実施例2)
実施例1の波長板の積層する順番を外側より、1/4波長板、1/2波長板に変え、且つ、1/4波長板を厚さ50μmのポリカーボネートフィルムを延伸温度150℃、延伸倍率1.05倍で延伸処理し、複屈折光に基づいて波長550nmの光に対して1/4波長の位相差を与えるものへと変更した。その際、偏光板の光軸に対して1/4波長板の遅相軸が45°、1/4波長板の遅相軸に対して1/2波長板の遅相軸が90°になるように調整する。上側タッチパネル用透明電極は、実施例1では1/4波長板にITO薄膜をスパッタリングして形成していたが、この実施例2では1/2波長板に同様にして形成した。その他は、実施例1と同様の方法でタッチパネル付EL表示装置を作成した。
【0038】
(比較例1)
実施例1と同様の操作で外側より偏光板、波長板、EL表示部を順次積層した。その上に外側より、銀ペ一ストを印刷したITO薄膜とポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる透明電極を粘着剤を介してガラス板に貼りつけ、そのガラス板2枚をスペーサーを介してその透明電極側を対向させて配置してタッチパネルを作成し、タッチパネル付EL表示装置を作成した。
【0039】
(評価試験)
光源として、パネル正面から20°の位置になるように蛍光灯をパネルから1mの間隔で1灯配置した。2分割した一方の電極に電界を印可して発光部の緑を半分表示するようにして、表示状態を観察して比較した。
【0040】
まず、タッチパネル部を外して観察したところ、実施例1、実施例2及び比較例1ともに問題にならないレベルで良好な表示を行なうことができた。
【0041】
次に、タッチパネル部を装着して観察を行なった。その結果、実施例1、実施例2では表示状態は全く変化が無く、良好であった。しかし、比較例1ではタッチパネルヘの蛍光灯の映り込みが特に正反射近傍で大きく、その反射光によって特に黒表示が阻害され、非常に見にくかった。また、視点を正反射方向から外しても、観察者自身の顔の映り込み等があって、非常に見にくかった。実施例1、2では、発光部は非常にくっきりと緑表示が観察され、非常に良好であった。また、実施例1、2ではタッチパネルが原因と思われる反射光も有効に防止でき、正反射でも反射光はパネル表面の反射防止膜の反射のみが見えて表示品位は良好であった。
【0042】
なお、タッチパネルは、実施例1、実施例2及び比較例1ともに全く問題無く機能した。
【符号の説明】
【0043】
100 タッチパネル付EL表示装置
110 表層部
111 偏光板
112 1/2波長板
113 1/4波長板
120 タッチパネル部
121 上側タッチパネル用透明電極
122 下側タッチパネル用透明電極
123 スペーサー
130 EL表示部
131 ガラス透明基材
132 ITO電極
133 正孔輸送層
134 蛍光層
135 背面電極
136 防湿フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EL素子を用いた表示装置であって、外側より順番に偏光板、波長板、タッチパネル及びEL表示部を積層して配置したことを特徴とするタッチパネル付EL表示装置。
【請求項2】
前記波長板が、1/2波長板と1/4波長板を積層したものである請求項1に記載のタッチパネル付EL表示装置。
【請求項3】
前記タッチパネルが、空間部を介して対向している透明電極から形成されているタッチパネル付EL表示装置。
【請求項4】
前記波長板が、外側より順番に1/2波長板と1/4波長板を積層して形成され、前記偏光板の光軸と1/2波長板の遅相軸の角度をθとすると、θが15°±5°であり、且つ前記偏光板の光軸と1/4波長板の遅相軸の角度が(2θ+45°)±10°である請求項1に記載のタッチパネル付EL表示装置。
【請求項5】
前記波長板が、外側より順番に1/4波長板と1/2波長板を積層して形成され、前記偏光板の光軸と1/4波長板の遅相軸の角度をθとすると、θが45°±5°であり、且つ1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸の角度が90°±10°である請求項1に記載のタッチパネル付EL表示装置。
【請求項6】
前記波長板の厚さをd、光の波長λ=550nmの屈折率をn550、光の波長λ=400nmの屈折率をn400とするとき、1/2波長板の位相差の比△n400d/△n550dが、1/4波長板の位相差の比△n400d/△n550dより小さい請求項5に記載のタッチパネル付EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−138144(P2011−138144A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16938(P2011−16938)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【分割の表示】特願2001−13722(P2001−13722)の分割
【原出願日】平成13年1月22日(2001.1.22)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】