説明

タッチパネル及びその製造方法

【課題】 X軸電極及びY軸電極が形成された透明電極板同士を対向させて外周部を樹脂材によって封止する際、この封止領域と前記X軸電極及びY軸電極から延びる端子電極部が交差する部分において、前記透明電極板の表面にうねりや撓みが生じない封止構造を備えたタッチパネルを提供することである。
【解決手段】 Y軸電極を有する下透明基板24とX軸電極を有する上透明基板26とを対向させ、前記下透明基板24と上透明基板26の外周部を粒状のスペーサ部材33が含有された第1封止材32aによって所定の間隔を保持して封止されるタッチパネルにおいて、前記外周部のうち、X軸電極及びY軸電極から外部にそれぞれ引き出される端子電極部28c,28d,29c,29dと交差する領域Aを前記スペーサ部材33の厚みと同じになるようにして、熱硬化性樹脂による第2封止材32bで封止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATM、カーナビゲーション等の各種電子機器の表示及び入力画面に搭載される抵抗膜式のタッチパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の抵抗膜式のタッチパネルは、可撓性を有する透明絶縁基板の下側に上透明電極板及びこの上透明電極板に接続する端子電極部が形成された上基板と、上側に下透明電極板及びこの下透明電極板に接続する端子電極部が形成され、前記下透明電極板の上面にドットスペーサを一定間隔に配設した下基板とを備え、前記上透明電極板と下透明電極板とが所定の間隔を有して対向させた構造となっている。このような構造のタッチパネルは、液晶表示装置等の表示画面の上面に載置される。入力操作は、前記タッチパネル上の任意のポイントを指またはペンで押圧することによって行われる。この押圧によって、上透明電極板が下透明電極板に接触し、その位置座標の電気抵抗が検知される。このようにして、前記表示画面上に示されている情報の選択及び入力を行うようになっている。
【0003】
上記従来のタッチパネルの構造を図6乃至図8に示す。このタッチパネル1は、図6及び図7に示されるように、四角形状の下基板2と、この下基板2と同じように四角形状で可撓性を有する上基板3とによって構成されている。前記下基板2は、板厚が1.1mmの透明なガラスからなる下透明基板4と、この下透明基板4の上面に形成される下透明電極板5と、この下透明電極板5の上辺及び下辺に対向して設けられる一対のY軸電極8a,8bと、前記下透明基板4の端部に設けられ、前記Y軸電極8a,8bの一端と導通する端子電極部8c,8dと、前記下透明電極板5上にマトリックス状に配設される複数のドットスペーサ11とによって構成される(特許文献1参照)。なお、必要に応じて、前記上基板3の上面には偏光板15が配設され、下基板2の下面には位相差板16が配設される。
【0004】
上基板3は、板厚が0.2mmの可撓性を有した透明な方形状のマイクロガラスからなる上透明基板6と、この上透明基板6の下方に形成される上透明電極板7と、この上透明電極板7の左辺と右辺に対向して設けられる一対のX軸電極9a,9bと、前記下透明基板4の端部に設けられ、前記X軸電極9a,9bの一端と導通する端子電極部9c,9dとによって構成される。
【0005】
なお、前記Y軸電極8a,8b及びX軸電極9a,9bから延びる端子電極部8c,8d,9c,9dが形成された下透明基板4の端部は、外部から接続されるフレキシブル基板(FPC)14の取付部となっている。
【0006】
前記下基板2と上基板3は、下透明電極板5と上透明電極板7とが10μm前後の隙間を持たせて対向させた状態で外周部20が封止樹脂材12によって封止される。
【0007】
上記構成からなるタッチパネル1において、下基板2を構成する下透明基板4は、ソーダガラス、石英ガラス、アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、普通板ガラス等の透明なガラスが用いられ、反りや撓みが起きない程度の厚さ、例えば、0.7〜1.1mmのものが選択される。上基板3を構成する上透明基板6は、可撓性を必要とするところであるので、薄い透明な板ガラスや柔軟性のある透明なプラスチックフィルム等が用いられる。特に、耐熱性が求められる機器(例えば、カーナビゲーション等)には、ガラス材が使用される。なお、上記従来例では、耐熱性や衝撃性にも強く、且つ可撓性も有する0.2mm厚のマイクロガラスを使用している。
【0008】
前記下透明電極板5及び上透明電極板7は、錫をドープした酸化インジウムのITO(Indium Tin Oxide)であり、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、印刷法等によって形成されている。この下透明電極板5及び上透明電極板7は、電圧勾配が高いことと、高抵抗値であることが求められるため、250〜500Åの範囲で薄く形成する。このITOの層は、下透明基板4及び上透明基板6の全面に形成したものをフォトリソグラフィにより不要部分を除去し、必要な部分をパターンとして残して形成する。
【0009】
前記Y軸電極8a,8b、X軸電極9a,9b及び端子電極部8c,8d,9c,9dは、前記下透明電極板5、上透明電極板7に電圧を印加するために形成されたもので、銀粉や銅粉等の高導電性金属粒子を熱硬化性のエポキシ樹脂等に混ぜ合わせてインク化したものをスクリーン印刷し、熱または紫外線を照射して硬化することによって形成される。このY軸電極8a,8b、X軸電極9a,9b及び端子電極部8c,8d,9c,9dは、前記下透明電極板5及び上透明電極板7の抵抗値に比べて100分の1以下の低い値に設計する必要があり、そのために、前記Y軸電極8a,8b及びX軸電極9a,9bの印刷幅や厚みを大きくするなどして抵抗値を小さく抑えている。
【0010】
ドットスペーサ11は、下透明電極板5と上透明電極板7とが通常の状態において、接触しないように一定間隔の隙間を保持すると共に、所定のポイントをタッチした際には、他の部分が接触しないようにして誤動作を防ぐために設けられる。このドットスペーサ11は、透明なアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、その他の透明な樹脂材料をスクリーン印刷によってドットマトリックス状に所定間隔ごとに配列形成し、その後、熱または紫外線を照射して硬化させる。このドットスペーサ11は、タッチパネル面から目立たないように、直径が30〜60μm、厚みが2〜5μmで、隣接するドットスペーサ11の間隔が1〜8mmの範囲で形成される。
【0011】
封止樹脂材12は、図8に示すように、下基板2及び上基板3の対向間隔を確保する目的で、一定厚みの粒状のスペーサ部材13を分散させたエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等をスクリーン印刷等の方法を用いて形成する。この印刷によって、厚みが30μm、幅が0.5mm位にすると、下基板2及び上基板3を10μm前後の隙間に仕上げたときに1.5mm前後位の幅になる。ここで使用されるスペーサ部材13は、所定の大きさ及び厚みの絶縁性を有した粒状のプラスチックボールやガラスファイバ等が利用される。このスペーサ部材13のサイズは、上透明基板6の材質や厚みによって異なるが、0.2mmのマイクロガラスを使用した場合は、概ね10μm前後の粒径のものが選択される。このスペーサ部材13を含有させた封止樹脂材12は、下基板2または上基板3とを位置合わせして、一定の圧力をかけて貼り合わせ、加熱処理を施して硬化させる。このように封止樹脂材12によって封止することで、下基板2と上基板3を固定すると共に、下透明電極板5及び上透明電極板7の内部に水分やゴミ等の侵入を防止する効果を備えている。
【0012】
図6に示したように、前記封止樹脂材12は、外周部20に沿って塗布形成されるが、その際、前記Y軸電極8a,8b及びX軸電極9a,9bからFPC14の取付部に延びる端子電極部8c,8d,9c,9dの一部と交差することになる。
【特許文献1】特開2004−199541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したような従来構造のタッチパネル1は、外周部20全体に亘って前記封止樹脂材12を印刷塗布した下基板2と上基板3を対向させ、加圧・焼成しながら貼り合わせる。この加圧・焼成したときの下透明電極板5と上透明電極板7との間隙は、封止樹脂材12に分散されているスペーサ部材13の厚みに等しく、10μm程度となる。これは前記端子電極部8c,8d,9c,9dの厚みと同等若しくは若干少ない寸法となる。このとき、前記端子電極部8c,8d,9c,9dと封止樹脂材12とが交差する部分においては、下基板2及び上基板3の間隔が他の部分より端子電極部8c,8d,9c,9dの厚み分だけ広がるので、この部分の封止樹脂材12はより多く圧迫されることになる。
【0014】
しかしながら、封止樹脂材12は、接着剤を含む樹脂中にスペーサ部材13を分散したもので構成しているので、封止樹脂材12の圧迫によってスペーサ部材13と接着剤が端子電極部8c,8d,9c,9dの表面から外側に押し出されるため、端子電極部8c,8d,9c,9dの幅は前述のように1.0〜2.0mmと広く、また、その印刷上面も決して平坦な面とはならない。このため、図8に示したように、下基板2及び上基板3を加圧して貼り合わせても封止樹脂材12と交差する部分のスペーサ部材13は、端子電極部8c,8d,9c,9d上から完全に排除されることはなく、ある割合で残ってしまうといった問題があった。
【0015】
この状態で封止樹脂材12を加圧・焼成した場合、図8に示したように、スペーサ部材13が残っている部分の上基板3が盛り上がり、凸状のうねりが発生してしまう。このうねりが発生すると、周辺のガラス面にニュートンリングの模様が現れ、視認性を妨げることになる。また、このようなうねりが生じた状態のままであると、上基板3に過剰な力、振動、衝撃が加わった場合に割れたり、ひびが入ったりする場合があった。
【0016】
そこで、本発明の第1の目的は、X軸電極及びY軸電極が形成された透明電極板同士を対向させて外周部を封止樹脂材によって封止する際に、前記X軸電極及びY軸電極から延びる端子電極部の一部が交差する部分において、前記透明電極板の表面にうねりや撓みが生じないように封止する封止部構造を備えたタッチパネルを提供することである。
【0017】
また、本発明の第2の目的は、前記端子電極部が交差する部分の封止を行う際に、スペーサ部材を含有しない熱硬化樹脂を用いて形成することで、一定の隙間を保持すると共に、外周部の封止部分を全体に亘って平坦面に仕上げることのできるタッチパネルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明に係るタッチパネルは、一方にX軸電極、他方にY軸電極が形成された一対の透明電極板と、これら一対の透明電極板を対向させて配置する際に、前記透明電極板の外周部に沿った略全周部に塗布され、且つ、前記一対の透明電極板を所定の間隔に保持する粒状のスペーサ部材を含有した封止樹脂材と、前記X軸電極及びY軸電極と導通し、前記封止樹脂材の一部と交差するようにして配設される端子電極部とを備えたタッチパネルにおいて、前記端子電極部と交差する部分の封止樹脂材には、粒状のスペーサ部材が含有されていないことを特徴とする。
【0019】
また、本発明のタッチパネルの製造方法は、一方にX軸電極、他方にY軸電極が形成された一対の透明電極板を対向させて配置する工程と、前記X軸電極及びY軸電極から延びる端子電極部が通る透明電極板の外周部の一部に熱硬化性樹脂を塗布して半硬化させる一次焼成工程と、前記熱硬化性樹脂が塗布された部分を除いた外周部に沿って粒状のスペーサ部材を含有させた樹脂材を塗布する工程と、前記一対の透明電極板同士を接合する工程と、前記一対の透明電極板の接合部を焼成することによって、外周部全体を封止する二次焼成工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のタッチパネルによれば、X軸電極が形成された透明電極板とY軸電極が形成された透明電極板とを所定間隔を保持して封止する際に、前記X軸電極及びY軸電極から延び、FPCと接続するための端子電極部と交差する封止部にはスペーサ部材が含有されていない熱硬化性樹脂を用い、それ以外の部分には粒状のスペーサ部材が含有された樹脂材によって封止されるので、前記端子電極部と交差する部分でのうねりや撓みが発生しない。このため、温度変化や外部からの衝撃や振動が加わった場合でも透明電極板及びその上のガラス製の透明基板にひびが入ったり、割れたりすることがない。また、表示面となる上側の透明基板が平坦面となり、ニュートンリングのような縞模様が現れないので、良好な視認性を維持することができる。
【0021】
また、本発明のタッチパネルの製造方法によれば、前記端子電極部が交差する部分の封止を熱硬化性樹脂によって、半硬化を行う一次焼成工程を行った後、他の外周部に対して粒状のスペーサ部材を含有させた樹脂材で印刷してから上下の透明電極板同士を圧着し、完全硬化を行う二次焼成を行うことで、外周部全体を均一な間隔を保持した状態で確実に密着させて封止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のタッチパネルの実施形態を図1乃至図5に基づいて詳細に説明する。ここで、図1は本発明のタッチパネルの操作側から見た平面図、図2は前記タッチパネルのB−B断面図、図3は前記タッチパネルの下基板の平面図、図4は前記タッチパネルの上基板の平面図、図5は前記タッチパネルのC−C断面図である。
【0023】
本実施形態のタッチパネル21は、図1乃至図4に示すように、四角形状の下基板22と、この下基板22と同じく四角形状の可撓性を有する上基板23とを所定間隔の隙間を設けて対向配置させて構成されている。前記下基板22は、板厚が1.1mmの透明なガラスからなる下透明基板24と、この下透明基板24の上面に形成される下透明電極板25と、この下透明電極板25の上辺及び下辺に対向して設けられる一対のY軸電極28a,28bと、前記下透明基板24の端部に設けられ、前記Y軸電極28a,28bの一端と導通する端子電極部28c,28dと、前記下透明電極板25上にマトリックス状に配設される複数のドットスペーサ31とを備えている。
【0024】
上基板23は、図2及び図4に示されるように、板厚が0.2mmの可撓性を有した透明な四角形状のマイクロガラスからなる上透明基板26と、この上透明基板26の下方に形成される上透明電極板27と、この上透明電極板27の左辺及び右辺に対向して設けられる一対のX軸電極29a,29bと、前記下透明基板24の端部に設けられ、前記X軸電極29a,29bの一端と導通する端子電極部29c,29dとを備えている。
【0025】
前記下基板22と上基板23は、下透明電極板25と上透明電極板27との隙間が10μm前後に保持されるように、前記Y軸電極28a,28b及びX軸電極29a,29bの外周部30が封止樹脂材32によって封止される。このとき、前記Y軸電極28a,28b及びX軸電極29a,29bから延びる端子電極部28c,28d,29c,29dには、外周部30を封止する封止樹脂材32の一部と図1中の破線で囲われた領域Aにおいて交差することになる。この端子電極部28c,28d,29c,29dには、外部から電圧を印加させるための電極線がパターン形成されたフレキシブル基板(FPC)34が接続される。
【0026】
前記外周部30のうち、前記領域Aにかかる部分を除いた第1封止部30aは、図5に示すように、所定厚みの粒状のスペーサ部材33を分散させたエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等からなる第1封止材32aをスクリーン印刷して形成される。この第1封止材32aによるスクリーン印刷は、厚みが30μm、幅が0.5mm位にすると、下基板22及び上基板23を10μm前後の隙間に仕上げたときに1.5mm前後位の幅になる。ここで使用されるスペーサ部材33は、所定の大きさの絶縁性を有したプラスチックボールやガラスファイバ等が利用される。このスペーサ部材33の大きさは、上透明基板24の材質や厚みによって異なるが、0.2mmのマイクロガラスを使用した場合は、概ね10μm前後の粒径のものが選択される。このスペーサ部材33が含有された封止樹脂材32aを介して、下基板22と上基板23とを位置合わせして重ね合わせ、加圧した後、所定の温度で加熱処理を施して接合される。
【0027】
前記外周部30のうち、端子電極部28c,28d,29c,29dにかかる第2封止部30bは、図5に示したように、スペーサ部材33を含有しない熱硬化性樹脂のみによる第2封止材32bで、前記第1封止部30aと同様な厚みに形成している。この第2封止部30bは、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を下透明基板24の領域Aに塗布して半硬化状態にしておき、前記第1封止部30aに第1封止材32aをスクリーン印刷した後、下基板22と上基板23を重ね合わせて熱圧着して接合する際に完全硬化される。なお、前記第2封止部30bの厚みは、端子電極部28c,28d,29c,29dの厚みと略同じになる。
【0028】
このように、前記端子電極部28c,28d,29c,29dが交差する領域Aにおける第2封止部30bにはスペーサ部材33が含有されていない熱硬化性樹脂のみによる第2封止材32bを用いているため、従来のように、端子電極部28c,28d,29c,29d上にスペーサ部材33が定着して、その部分だけ厚みが増すことがない。したがって、下基板22と上基板23とを圧着して接合した際に、前記領域Aが上方に盛り上がってうねりを生じることがなく、外周部30が一様に平坦面に形成することができる。
【0029】
なお、図2に示したように、必要に応じて、前記上基板23の上面には偏光板35、下基板22の下面には位相差板36が配設される。
【0030】
次に、前記タッチパネル21の外周部30における封止方法について説明する。最初にY軸電極28a,28b及び端子電極部28c,28d,29c,29dが形成された下透明基板24の領域Aにて、第2封止材32bである熱硬化性のエポキシ樹脂を所定の厚みになるように塗布する。そして、ここで塗布されたエポキシ樹脂を80℃の温度で約30分間かけて半硬化状態となるように一次焼成を行う。この一次焼成を行っている間に、前記端子電極部28c,28d,29c,29dにかかる部分を除く第1封止部30aに前記スペーサ部材33を含有させた樹脂による第1封止材32aを外周部30に沿ってスクリーン印刷する。このようにして、第1封止材32a及び第2封止材32bの塗布が終了した後、X軸電極29a,29bが形成された面を下向きにした上基板23を位置決めして、下基板22上に重ね合わせる。そして、上基板23の上から所定の圧力をかけてプレスすると共に、前記端子電極部28c,28d,29c,29dにかかるエポキシ樹脂による第2封止材32bを120℃の温度で約1時間かけて二次焼成して完全に硬化させる。これによって、下基板22及び上基板23の外周部30が全周に亘って均一な厚みで封止することができる。
【0031】
以上、説明したように、本発明のタッチパネルの封止構造及び封止方法によれば、X軸電極及びY軸電極が形成された下透明電極板と上透明電極板とを所定の間隔を保持して封止する際に、この封止箇所とX軸電極及びY軸電極に外部から電圧を印加する端子電極部とが交差する部分の樹脂材の厚み差によって大きなうねりを生じることがない。また、前記第1封止部30aは、第1封止材32aに含まれる粒状のスペーサ部材33の厚みで、第2封止部30bにあっては、前記スペーサ部材33の代わりに端子電極部28c,28d,29c,29dの厚み自体によって、下基板22と上基板23とを一定の間隔に保持することができる。このように、表示面となる上基板23が平坦面になるため、視認性を妨げるニュートンリング現象の発生を防止することができる。また、上基板23には変形によるストレスがなくなるので、過剰な力や振動、衝撃が加わった場合でも割れたり、ひびが入ったりしなくなる。さらに、下基板22及び上基板23の外周部30の隙間がなくなるので、外部の温度変化などによるストレスがかかった場合でも容易に剥離するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るタッチパネルの平面図である。
【図2】上記タッチパネルの断面図である。
【図3】上記タッチパネルの下基板の平面図である。
【図4】上記タッチパネルの上基板の平面図である。
【図5】上記タッチパネルの端子電極部の封止部における断面図である。
【図6】従来のタッチパネルの平面図である。
【図7】上記従来のタッチパネルの断面図である。
【図8】上記従来のタッチパネルの端子電極部の封止部における断面図である。断面図である。
【符号の説明】
【0033】
21 タッチパネル
22 下基板
23 上基板
24 下透明基板
25 下透明電極板
26 上透明基板
27 上透明電極板
28a,28b Y軸電極
28c,28d 端子電極部
29a,29b X軸電極
29c,29d 端子電極部
30 外周部
30a 第1封止部
30b 第2封止部
31 ドットスペーサ
32 封止樹脂材
32a 第1封止材
32b 第2封止材
33 スペーサ部材
34 FPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方にX軸電極、他方にY軸電極が形成された一対の透明電極板と、
これら一対の透明電極板を対向させて配置する際に、前記透明電極板の外周部に沿った略全周部に塗布され、且つ、前記一対の透明電極板を所定の間隔に保持する粒状のスペーサ部材を含有した封止樹脂材と、
前記X軸電極及びY軸電極と導通し、前記封止樹脂材の一部と交差するようにして配設される端子電極部とを備えたタッチパネルにおいて、
前記端子電極部と交差する部分の封止樹脂材には、粒状のスペーサ部材が含有されていないことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記端子電極部と交差する部分の封止樹脂材には、熱硬化性樹脂が用いられている請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記端子電極部と交差する部分における一対の透明電極板間の間隔は、前記端子電極部の厚みによって規定される請求項1記載のタッチパネル。
【請求項4】
一方にX軸電極、他方にY軸電極が形成された一対の透明電極板を対向させて配置する工程と、
前記X軸電極及びY軸電極から延びる端子電極部が通る透明電極板の外周部の一部に熱硬化性樹脂を塗布して半硬化させる一次焼成工程と、
前記熱硬化性樹脂が塗布された部分を除いた外周部に沿って粒状のスペーサ部材を含有させた樹脂材を塗布する工程と、
前記一対の透明電極板同士を接合する工程と、
前記一対の透明電極板の接合部を焼成することによって、外周部全体を封止する二次焼成工程とを備えたことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を用い、前記一次焼成工程では、約30分間80度の温度で前記エポキシ樹脂を半硬化させ、二次焼成工程では、前記エポキシ樹脂を約1時間120度の温度で完全硬化させて形成することを特徴とする請求項4記載のタッチパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−134729(P2006−134729A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323041(P2004−323041)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】