説明

タッチ位置検出装置

【課題】 タッチ位置検出装置を提供すること。
【解決手段】 タッチ位置検出能力を向上させるためのタッチ位置検出装置が開示される。タッチ位置検出装置は、積分器、アナログ−デジタルコンバータ、及びデジタルプロセッシング回路を含む。積分器は、センシング部から検出されたリードアウト電流を積分する。アナログ−デジタルコンバータは積分器によって積分されたリードアウト電圧をデジタルデータに変換する。デジタルセンシング回路はデジタル変換されたリードアウト電圧データの変動を補正してセンシング部のタッチ有無を判別する。これによって、タッチパネルに具備されるトランジスタの閾値電圧またはセンサーギャップ変動などによって起因されるリードアウト電圧の変動を補正するため、間違ったタッチ判別を防ぐことができる。これによって、タッチ位置検出能力を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ位置検出装置に関する。より詳しくはタッチ位置検出能力を向上させるためのタッチ位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タッチパネルは表示装置の画面上に示される指示内容を人の手または物体などのオブジェクト(Object)を通じて選択することができるように、表示装置の最上部に具備される。タッチパネルに手または物体が接触された位置を検出し、表示装置は接触された位置に応じて指示される内容を入力信号として受け、入力信号に従って駆動される。タッチパネルは、第1基板、第1基板から所定の間隔ほど離隔された第2基板、第1基板及び第2基板が互いに対向する面に各々形成される第1透明電極及び第2透明電極からなる。
【0003】
タッチパネルを有する表示装置は、キーボード及びマウスのような表示装置に接続されて動作する別途の入力装置を必要としないため、その使用が増大している。
【0004】
タッチパネルは、表示パネルと別体になっている場合、表示パネルの上部に具備されて表示装置の全体的な厚さが増加する。このような問題を解決するために最近では外部から加わる刺激に反応して位置情報を出力するタッチパネル一体形の表示パネルが開発された。
【0005】
ところで、タッチパネルから検出されるリードアウト電圧は、比較器で基準電圧と比較されてタッチ状態が判別される。リードアウト電圧が基準電圧より大きいとタッチ状態と判断され、リードアウト電圧が小さいかまたは同一であるとノータッチ状態と判断される。
【0006】
しかし、タッチ判別のために固定された1つの基準電圧が用いられるため、間違ったタッチ判別が行われることが発生し得る。例えば、相対的に高いレベルの基準電圧が利用されると、正常にタッチ判別が行われる。相対的に低いレベルの基準電圧が利用されると、全てのポイントがタッチとして判断されることが発生して多くのノータッチポイントもやはりタッチとして判断されることが生じる。
【0007】
リードアウト電圧の変動は、トランジスタの閾値電圧またはセンサーギャップ変動(sensor gap variation)のような多様な要素によって起因される。また、タッチ時間内でリードアウト電圧のドリフト(drift)を誘発する他の要因として、例えば、トランジスタ電流または液晶キャパシタの温度依存性、バイアスストレスに起因するトランジスタの閾値電圧シフトなどが存在する。これによって、タッチ状態が誤って判別される問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的課題はこのような従来の問題を解決するためで、本発明の目的はタッチ状態判別の際に間違ったタッチ判別を防いでタッチ位置検出能力を向上させるためのタッチ位置検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の本発明の目的を実現するために一実施形態によるタッチ位置検出装置は、積分器、アナログ−デジタルコンバータ、及びデジタルプロセッシング回路を含む。積分器はセンシング部から検出されたリードアウト電圧を積分する。アナログ−デジタルコンバータは、積分器によって積分されたリードアウト電圧をデジタルデータに変換する。デジタルプロセッシング回路は、デジタル変換されたリードアウト電圧データの変更を補正してセンシング部のタッチ有無を判別する。
【0010】
本発明の実施形態において、デジタルプロセッシング回路は、メモリ、制御信号生成部、及びデジタル比較器を含んでもよい。メモリは、基準データを保存する。制御信号生成部は、積分器にリセット信号を提供し、アナログ−デジタルコンバータにラッチパルスを提供する。デジタル比較器は、タッチ有無を判別するために制御信号生成部から提供される制御信号に応答して、アナログ−デジタルコンバータから提供される現在データと基準データメモリから提供される基準データとの差と、閾値データを比較する。
【0011】
本発明の実施形態において、センシング部は、基準キャパシタ、センシングキャパシタ、ライティングトランジスタ、及びリセットトランジスタを含んでもよい。基準キャパシタは、一端が現在ゲート配線(current gate line)よりも一つ前のゲート配線(previous gate line)に接続する。センシングキャパシタは、タッチ動作によってキャパシタンスが変動する。ライティングトランジスタは、ゲートがセンシングキャパシタの一端及び基準キャパシタの他端に接続され、ソースがバイアス電圧を伝達するバイアス電圧配線に接続され、ドレインがセンシング電圧を伝達するセンシング電圧配線に接続される。リセットトランジスタはゲートが現在ゲート配線に接続され、ソースがリセット電圧を伝達するリセット電圧配線に接続され、ドレインがセンシングキャパシタの一端、基準キャパシタの他端、及びライティングトランジスタのゲートに接続される。
【発明の効果】
【0012】
このようなタッチ位置検出装置によると、タッチパネルに具備されるトランジスタの閾値電圧またはセンサーギャップ変動などによって起因されるリードアウト電圧の変動を補正するため、間違ったタッチ判別を防ぐことができる。従って、タッチ位置検出能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるタッチスクリーン表示装置の平面図である。
【図2】図1のタッチスクリーン表示装置のセンシング部に対する等価回路図である。
【図3】図2のタッチスクリーン表示装置に提供されるゲート信号の波形図の第一例である
【図4】図2のタッチスクリーン表示装置に提供されるゲート信号の波形図の第二例である。
【図5】図1に示した「A」部分を拡大したタッチスクリーン表示基板の平面図である。
【図6】図5のI−I’線に沿って切断したタッチスクリーン表示装置の断面図である。
【図7】図1に示したタッチスクリーン表示装置の一例を説明するためのブロック図である。
【図8】1つのセンサーラインから検出されるリードアウト電圧に基づくタッチ判別を説明するための波形図である。
【図9】図8に示したアルゴリズムを有するセンサーのタッチ判別を説明するための波形図である。
【図10】正の差動データセンシングアルゴリズム(Positive Differential−Data Sensing Algorithm:PDSA)を説明するためのデジタル計算回路のブロック図である。
【図11】図10のデジタル比較器から出力される信号によってタッチまたはノータッチの判別を説明するための波形図である。
【図12】図10のデジタル比較器から出力される信号によってタッチまたはノータッチの判別を説明するための波形図である。
【図13】図10のデジタル比較器から出力される信号によってタッチまたはノータッチの判別を説明するための波形図である。
【図14】本発明による正の差動データセンシングアルゴリズムを有するセンサーのタッチ判別を説明するための波形図である。
【図15】本発明による正の差動データセンシングアルゴリズムPDSAを有するタッチスクリーン装置のタッチ判別を説明するブロック図である。
【図16】正の差動データセンシングアルゴリズムPDSAを説明するための波形図である。
【図17】図1に示したタッチスクリーン表示装置の他の例を説明するためのブロック図である。
【図18】リセット電圧の自動調整を説明するためのシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の表示装置の望ましい実施例をより詳しく説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、本明細書に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物、ないしは代替物を含むことと理解されるべきである。
【0015】
各図面を説明しながら類似する参照符号を、類似する構成要素に対して使用した。添付図面において、構造物のサイズは本発明の明確性に基づかせるために実際より拡大して示した。
【0016】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するにあたって使用することができるが、各構成要素は使用される用語によって限定されるものではない。各用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用されるものであって、例えば、明細書中において、第1構成要素を第2構成要素に書き換えることも可能であり、同様に第2構成要素を第1構成要素とすることができる。単数表現は文脈上、明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0017】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを表そうとするものであって、1つまたはそれ以上の別の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0018】
また、別に定義しない限り、技術的或いは科学的用語を含み、ここにおいて使用される全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書において定義する用語と同じ用語は関連技術の文脈上に有する意味と一致する意味を有することと理解されるべきで、本明細書において明白に定義しない限り、理想的或いは形式的な意味として解釈されない。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるタッチスクリーン表示装置の平面図である。図2は、図1のタッチスクリーン表示装置のセンシング部に対する等価回路図である。
【0020】
図1及び図2を参照すると、タッチスクリーン表示装置は、画像を表示する複数の画素部P、タッチをセンシングする複数のセンシング部SP、及びリードアウト(Read−Out)部ROを含む。
【0021】
画素部は、マトリックス構造を有し、各画素部Pは複数のカラー画素を含む。例えば、画素部は第1方向に互いに隣接するように配列された赤色画素R、緑色画素G、及び青色画素Bを含む。例えば、第1方向は水平方向であってもよい。
【0022】
複数の画素部は、複数の第1画素列(Hi,Hi+1)と複数の第2画素列(Vq,…,Vq+3)を含む。以下、第1画素列は水平列と称し、第2画素列は垂直列と称する。
【0023】
例えば、i番目水平列(Hi)は、3k−1番目ゲート配線(GL3k−1)と電気的に接続された画素部を含み、i+1番目の水平列は3k番目ゲート配線GL3kと電気的に接続される画素部を含む。i及びqは、自然数である。
【0024】
センシング部は、隣接する水平列間に第2方向に連続して配列された複数の画素部に対応する領域毎に配置される。例えば、第2方向は垂直方向であってもよい。センシング部は2種類の第1センシング部SP1及び第2センシング部SP2を含む。図示したように、第1センシング部SP1は、第1画素部P1と第2画素部P2との間に、第1画素部P1及び第3画素部P3に対応する領域で配置される。
【0025】
図示したように、一対の第1センシング部SP1と一対の第2センシング部SP2が順次に配置される。隣接する垂直列(Vq,…,Vq+3)間に2つの水平列(Hi,Hi+1)に対応する長さで配置され、第1センシング部SP1、第1センシング部SP1、第2センシング部SP2、及び第2センシング部SP2の順番に配置される。
【0026】
第1センシング部SP1は、3k−2番目ゲート配線GL3k−2に印加されたハイレベルのゲート信号に応答して駆動され、3k−1番目ゲート配線GL3k−1に印加されたハイレベルのゲート信号に応答してリセットされる。第2センシング部SP2は3k−1番目ゲート配線GL3k−1に印加されたハイレベルのゲート信号に応答して駆動され、3k番目ゲート配線GL3kに印加されたハイレベルのゲート信号に応答してリセットされる。「k」は自然数である。
【0027】
図2に示したように、第1センシング部SP1は、基準キャパシタCref、センシングキャパシタClc、スイッチング素子SW、及びリセット素子RSを含む。
【0028】
基準キャパシタCrefは、3k−2番目ゲート配線GL3k−2と接続された第1電極と、センシングキャパシタClcと接続された第2電極とを含む。センシングキャパシタClcは、基準キャパシタCrefの第2電極と接続されたタッチ電極と、共通電圧Vcomが印加される共通電極とを含む。スイッチング素子SWは、電源信号Vddが印加されるj番目電圧配線VLjと接続された入力電極と、基準キャパシタCrefとセンシングキャパシタClcとに接続された制御電極と、センシング信号を出力する出力電極とを含む。スイッチング素子SWの出力電極は、j番目センシング配線SLjと接続される。リセット素子RSは、3k−1番目ゲート配線GL3k−1と接続された制御電極と、リセット信号Vresetが印加されるj番目リセット配線RLjと接続された入力電極と、スイッチング素子SWの制御電極と接続された出力電極とを含む。jは、自然数である。
【0029】
第2センシング部SP2は、基準キャパシタCref、センシングキャパシタClc、スイッチング素子SW、及びリセット素子RS2を含む。
【0030】
基準キャパシタCrefは、3k−1番目ゲート配線GL3k−1と接続された第1電極と、センシングキャパシタClcと接続された第2電極とを含む。センシングキャパシタClcは、基準キャパシタCrefの第2電極と接続されたタッチ電極と、共通電圧Vcomが印加される共通電極とを含む。スイッチング素子SWは、電源信号Vddが印加されるj+2番目電圧配線VLj+2と接続された入力電極と、基準キャパシタCrefとセンシングキャパシタClcとに接続された制御電極と、センシング信号を出力する出力電極とを含む。スイッチング素子SWの出力電極は、j+2番目センシング配線SLj+2と接続される。リセット素子RSは、3k番目ゲート配線GL3kと接続された制御電極と、リセット信号Vresetが印加されるj+2番目リセット配線RLj+2と接続された入力電極と、スイッチング素子SWの制御電極と接続された出力電極とを含む。スイッチング素子SWのチャネル幅W対チャネル長Lの比(W/L)は所定の大きさに設定される。スイッチング素子SWのチャネル幅W対チャネル長Lの比(W/L)は、100/4.5〜400/4.5である。例えば、スイッチング素子SWのチャネル幅Wは約275μmで、チャネル長Lは約4.5μmであり、スイッチング素子SWの寄生キャパシタンス(Cgd(スイッチング素子SWのゲートとドレイン間の寄生キャパシタンス)+Cgs(スイッチング素子SWのゲートとソース間の寄生キャパシタンス))は、約0.22pFである。スイッチング素子SWの大きさが大きくなるにつれ、基準キャパシタCref及びセンシングキャパシタClcの容量も大きく設定される。例えば、本発明の一例として、基準キャパシタCrefのキャパシタンスは、約1pF以上、センシングキャパシタClcのキャパシタンスは、約0.15pF以上である。
【0031】
第1及び第2センシング(SP1、SP2)の駆動方式は同一で、以下においては第1センシング部SP1の駆動方式を例として説明する。
【0032】
3k−2番目ゲート配線GL3k−2にハイレベルVgのゲート信号が印加されると、基準キャパシタCrefとセンシングキャパシタClc間の連結ノードにノード電圧Vnが形成される。センシングキャパシタClcにタッチイベントが発生する場合、センシングキャパシタClcの値が変更されることによってノード電圧Vnが変更される。変更されたノード電圧Vnに応答してスイッチング素子SWは、ターン・オンされ、変更されたノード電圧Vnに対応するセンシング信号をj番目センシング配線SLjに出力する。一方、3k−1番目ゲート配線GL3k−1にハイレベルVgのゲート信号が印加されると、リセット素子RSがターン・オンされてj番目リセット配線RLjから伝達されたリセット信号Vresetをスイッチング素子SWに出力する。これによって、スイッチング素子SWはリセットされる。リセット信号VresetはローレベルVgのゲート信号と実質的に同一信号である。
【0033】
スイッチング素子SWの特性が秀れていればいるほど、スイッチング素子SWは、高感度(High Sensitivity)のセンシング信号を出力することができる。スイッチング素子SWの特性は、ゲート電圧に対してドレイン電流が大きいほど秀れており、ドレイン電流の大きさは、チャネル幅対チャネル長の比(W/L)に比例する。従って、スイッチング素子SWの大きさ、即ち、チャネル幅対チャネル長の比(W/L)が大きいほど高感度のセンシング信号を出力することができる。
【0034】
また、センシング信号は、ノード電圧Vnの変動範囲が 大きいほど、高感度のセンシング信号を出力することができる。ノード電圧Vnは、次の数式1のように定義することができる。
【0035】
【数1】


ここで、Vgは、ゲート信号のハイ電圧、Vgは、ゲート信号のロー電圧、Cgdはスイッチング素子SWのゲートとドレイン間の寄生キャパシタンス、Cgsはスイッチング素子SWのゲートとソース間の寄生キャパシタンスである。
【0036】
数式1によると、ノード電圧Vnは、スイッチング素子SWの寄生キャパシタンス(Cgd+Cgs)が小さいほど、基準キャパシタCrefのキャパシタンスが増加するほど、増加する。従って、センシング部の面積を拡張することによってセンシング部に配置されるセンシングキャパシタClc及び基準キャパシタCrefの大きさを大きく形成して、ノード電圧Vnの変動範囲を増加させることができる。ノード電圧Vnの変動範囲が増加すると、ノード電圧Vnに応答して生成されるセンシング信号の変動範囲が増加するため、センシング部のセンシング特性を向上させることができる。
【0037】
従って、スイッチング素子SWは、チャネル幅W対チャネル長Lの比を大きくし、基準キャパシタCrefとセンシングキャパシタClcのキャパシタンスを大きくすることにより、センシング特性を向上させることができる。
【0038】
リードアウト部ROは、複数の増幅器を含む。各増幅器OPは、複数のセンシング配線から提供されるセンシング信号が入力される。増幅器OPは、互いに異なるゲート配線に接続されたリセット素子RSを含むセンシング部(SP1,SP2)のセンシング信号を出力するセンシング配線と接続される。
【0039】
例えば、増幅器OPは、3k−2番目ゲート配線にハイレベルの信号が印加される1H(H:水平周期)の間、センシング配線SLj+1を通じて伝達されるセンシング信号に応答してリードアウト信号Voを出力し、3k−1番目ゲート配線にハイレベルの信号が印加される1Hの間、センシング配線SLj+2を通じて伝達されるセンシング信号に応答してリードアウト信号Voを出力する。従って、増幅器OPは1Hを周期にリードアウト信号Voを出力する。
【0040】
図3は、図2のタッチスクリーン表示装置に提供されるゲート信号の波形図の第一例である。
【0041】
図2及び図3を参照すると、タッチスクリーン表示装置に提供されるゲート信号(Gn,Gn+1,Gn+2)の各々は、1フレームの間に2つの第1及び第2ゲートパルス(g1,g2)を有する。ここで「n」は自然数である。
【0042】
例えば、3k−2番目ゲート配線GL3k−2には第1ゲート信号Gnが印加され、3k−1番目ゲート配線GL3k−1には第2ゲート信号Gn+1が印加され、3k番目ゲート配線GL3kには第3ゲート信号Gn+2が印加される。
【0043】
第1センシング部SP1のスイッチング素子SWは、第1ゲート信号Gnの第1及び第2ゲートパルス(g1,g2)によって駆動され、第1センシング部SP1のリセット素子RSは、第2ゲート信号Gn+1の第1及び第2ゲートパルス(g1,g2)によってリセットされる。第2センシング部SP2のスイッチング素子SWは、第2ゲート信号Gn+1の第1及び第2ゲートパルス(g1,g2)によって駆動され、第2センシング部SP2のリセット素子RSは、第3ゲート信号Gn+2の第1及び第2ゲートパルス(g1,g2)によってリセットされる。
【0044】
図示したように、同一時間に3k−2番目ゲート配線GL3k−2に第1ゲート信号Gnの第2パルスg2が印加され、3k番目ゲート配線GL3kに第3ゲート信号Gn+1の第1ゲートパルスg1が印加される。従って、3k−2番目ゲート配線GL3k−2に接続された第1センシング部SP1のスイッチング素子SWと3k番目ゲート配線GL3kに接続された第1センシング部SP1のスイッチング素子SWが駆動される。これによって、同一時間に増幅器OPに入力されるセンシング信号の電流量を2倍に増加することができる。
【0045】
図4は、図2のタッチスクリーン表示装置に提供されるゲート信号の波形図の第二例である。
【0046】
図2及び図4を参照すると、タッチスクリーン表示装置に提供されるゲート信号(Gn,Gn+1,Gn+2,…,Gn+6)各々は1フレームの間に4つの第1、第2、第3、及び第4ゲートパルス(g1,g2,g3,g4)を有する。ここで、「n」は自然数である。
【0047】
例えば、第1ゲート配線には第1ゲート信号Gnが印加され、第2ゲート配線には第2ゲート信号Gn+1が印加され、第3ゲート配線には第3ゲート信号Gn+2が印加され、同じ方式で第7ゲート配線には第7ゲート信号Gn+6が印加される。
【0048】
第1〜第7ゲート配線は図2に示した構造のように第1及び第2センシング部(SP1,SP2)に接続される。例えば、第1、第3、第5、及び第7ゲート配線は、第1センシング部SP1のスイッチング素子SWと接続されて第1センシング部SP1のスイッチング素子SWを制御し、第2、第4、及び第6ゲート配線は第1センシング部SP1のリセット素子RSと接続されて第1センシング部SP1のリセット素子RSを制御する。また、第2、第4、及び第6ゲート配線は第2センシング部SP2のスイッチング素子SWと接続されて第2センシング部SP2のスイッチング素子SWを制御し、第3、第5、及び第7ゲート配線は第2センシング部SP2のリセット素子RSと接続されて第2センシング部SP2のリセット素子RSを制御する。
【0049】
図示したように、第1ゲート信号Gnの第4ゲートパルスg4と、第3ゲート信号Gn+2の第3ゲートパルスg3と、第5ゲート信号Gn+4の第2ゲートパルスg2、及び第7ゲート信号Gn+6の第1ゲートパルスg1は同一時間に第1、第3、第5、及び第7ゲート配線に提供される。
【0050】
従って、同一時間に第1、第3、第5、及び第7ゲート配線に接続された第1センシング部SP1のスイッチング素子SWが駆動される。これによって、同一時間に増幅器OPに入力されるセンシング信号の電流量を、4倍に増加することができる。
【0051】
図3及び図4において説明したように、ゲート信号は偶数のゲートパルスを含むことができる。しかし、ゲートパルスの個数が多いほどセンシング特性が低下することがあるため、ゲートパルスの個数は、適用事例に基づいて設定されてもよい。
【0052】
図5は、図1に示した「A」部分を拡大したタッチスクリーン表示基板の平面図である。図6は、図5のI−I’線に沿って切断したタッチスクリーン表示装置の断面図である。
【0053】
図1、図5、及び図6を参照すると、タッチスクリーン表示装置は、タッチスクリーン表示基板100、対向基板200、及び液晶層290を含む。
【0054】
タッチスクリーン表示基板100は、複数のゲート配線(GL3k−2,GL3k−I,GL3k)、複数のデータ配線(DLm,DLm+1)、複数の電圧配線VLj、複数のリセット配線RLj、及び複数のセンシング配線SLjを含む。ゲート配線(GL3k−2,GL3k−1,GL3k)は、第1方向に延長される。データ配線(DLm,DLm+1)、電圧配線VLj、リセット配線RLj、及びセンシング配線SLjは、第2方向に延長される。
【0055】
例えば、第1画素部P1の青色画素B1は、3k−1番目ゲート配線GL3k−1とm番目データ配線DLmに接続された第1駆動素子TR1と、第1駆動素子TR1と電気的に接続された第1画素電極PE1とを含む。第1駆動素子TR1がターン・オンされると第1画素電極PE1に画素電圧が印加される。青色画素B1は、第1画素電極PE1と、液晶層290と、対向基板200の共通電極210によって形成される液晶キャパシタとを含む。液晶キャパシタは、第1画素電極PE1及び共通電極210によって形成される電場によって、液晶層の配列を制御して画像の青色階調を表示する。
【0056】
第2画素部P2の赤色画素R2は、3k−1番目ゲート配線GL3k−1とm+1番目データ配線DLm+1に接続された第2駆動素子TR2と、第2駆動素子TR2と電気的に接続された画素電極PE2とを含む。赤色画素R2は、第2画素電極PE2と、液晶層290と、対向基板200の共通電極210によって形成される液晶キャパシタとを含む。
【0057】
第3画素部P3の青色画素B3は、3k番目ゲート配線GL3kとm番目データ配線DLmに接続された第3駆動素子TR3と、第3駆動素子TR3と電気的に接続された第3画素電極PE3とを含む。青色画素B3は、第3画素電極PE3と、液晶層290と、対向基板200の共通電極210によって形成される液晶キャパシタとを含む。
【0058】
第4画素部P4の赤色画素R4は、3k番目ゲート配線GL3kとm+1番目データ配線DLm+1に接続された第4駆動素子TR4と、第4駆動素子TR4と電気的に接続された第4画素電極PE4とを含む。赤色画素R4は、第4画素電極PE4と、液晶層290と、対向基板200の共通電極210によって形成される液晶キャパシタとを含む。
【0059】
第1センシング部SP1は、第1画素部P1の青色画素B1と第2画素部P2の赤色画素R2との間、及び第3画素部P3の青色画素B3と第4画素部P4の赤色画素R4との間に配置される。第1センシング部SP1は、センシング領域SAと回路領域CAとに分けられる。センシング領域SAは、第1及び第2画素部(P1,P2)間の第1領域として形成され、回路領域CAは、第3及び第4画素部(P3,P4)間の第2領域として形成される。
【0060】
第1センシング部SP1は、基準キャパシタCref、センシングキャパシタClc、リセット素子RS、及びスイッチング素子SWを含む。基準キャパシタCref及びセンシングキャパシタClcはセンシング領域CAに配置される。
【0061】
基準キャパシタCrefの第1電極112は、3k−2番目ゲート配線GL3k−2から突出して延びセンシング領域SAに配置され、第2電極は第1画素電極PE1と同一物質で、第1電極112とオーバーラップされた透明電極172に形成される。基準キャパシタCrefは、互いにオーバーラップされた第1電極112、透明電極172、及び第1電極112と透明電極172との間に介在する絶縁層(120,150)からなる。
【0062】
第1電極112の面積は、約200μm×40μmで、絶縁層(120,150)の厚さは、約0.47μmで、絶縁層(120,150)の誘電率εは、約6.6である。このとき、基準キャパシタCrefのキャパシタンスは、約1pFである。
【0063】
センシングキャパシタClcのタッチ電極は、基準キャパシタCrefの第1電極112とオーバーラップされていない透明電極172からなる。センシングキャパシタClcは、タッチ電極、液晶層290、及び対向基板200に形成された共通電極210からなる。
【0064】
センシングキャパシタClcのタッチ電極の面積は、約155μm×40μm、液晶層290の厚さは、約0.9μmで、液晶層290の誘電率εは、約7である。このとき、基準キャパシタCrefのキャパシタンスは、約0.43pFである
【0065】
リセット素子RS及びスイッチング素子SWは、回路領域CAに配置される。リセット素子RSは、3k−1番目ゲート配線GL3k−1と接続された制御電極111と、j番目リセット配線RLjと接続された入力電極141と、入力電極141と離隔された出力電極142とを含む。また、制御電極111上に配置された半導体層131を含む。
【0066】
スイッチング素子SWは、リセット素子RSの出力電極142と電気的に接続された制御電極113と、j番目電圧配線VLjと接続された入力電極143と、j番目センシング配線SLjと接続された出力電極144とを含む。また、制御電極113上に配置された半導体層133をさらに含む。図示したように、スイッチング素子SWは、入力電極143及び出力電極144をジグザグ構造に形成することによって、チャネル幅Wが大きく形成される。例えば、スイッチング素子SWは、約275μmのチャネル幅Wと、約4.5μmのチャネル長Lを有する。
【0067】
結果的に第2方向に隣接した2つの画素領域に対応して1つのセンシング部を配置することによってスイッチング素子の大きさを大きく形成することができ、また、センシングキャパシタ及び基準キャパシタの電極面積を大きく形成することができる。これによってセンシング特性を向上させることができる。
【0068】
図7は、図1に示したタッチスクリーン表示装置の一例を説明するブロック図である。
【0069】
図7を参照すると、一例によるタッチスクリーン表示装置はタッチパネル200及びタッチパネル200から提供されるリードアウト電流に基づきタッチパネル200のタッチ座標を演算するタッチ位置検出部300を含む。
【0070】
タッチパネル200は、センシング部を含む。センシング部は、液晶表示パネルに具備される単位画素領域に隣接して別途に配置されてもよい。例えば、レッド、グリーン、及びブルーの単位画素領域が液晶表示パネルに配置される際、センシング部は、レッド、グリーン、及びブルーの単位画素領域のうち、少なくとも何れか1つに隣接して配置されてもよい。従って、液晶表示パネルがタッチ機能を有する場合は、タッチパネルとして形成されてもよい。センシング部は、図2において説明したため、その詳細な説明は省略する。
【0071】
タッチ位置検出部300は、積分器310、アナログ−デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)320、及びデジタルプロセッシング回路330を含む。
【0072】
積分器310は、センシング部から検出されたリードアウト電流を積分し、積分されたリードアウト電圧VroをA/Dコンバータ320に提供する。
【0073】
A/Dコンバータ320は、積分器310によって積分されたリードアウト電圧Vroをデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータをデジタルプロセッシング回路330に提供する。
【0074】
デジタルプロセッシング回路330は、基準データメモリ332、制御信号生成部334、及びデジタル比較器336を含み、デジタル変換されたリードアウト電圧データの変動を補正してセンシング部のタッチ有無を判別する。
【0075】
基準データメモリ332は、基準データ(Reference Data)D(r)を保存する。
【0076】
制御信号生成部334は、積分器310にリセット信号を提供し、A/Dコンバータ320にラッチパルス(Latch Pulse)を提供する。
【0077】
デジタル比較器336は、タッチ有無を判別するために制御信号生成部334から提供される制御信号に応答して、A/Dコンバータ320から提供される現在データD(n)と基準データメモリ332から提供される基準データD(r)との差と、閾値データTthとを比較して、タッチ信号またはノータッチ信号を出力する。デジタル比較器336から出力されるタッチ信号またはノータッチ信号は、別途のタッチデータメモリに出力されてもよい。
【0078】
本発明の一実施形態によるタッチスクリーン装置のタッチ位置検出部300はノイズ減少のために空間フィルタ(Spacial Filter)340をさらに含んでもよい。
【0079】
タッチパネル200に具備されるセンシング部は、n×mセンサーピクセルに分割され、n×mセンサーピクセルが1つのグループにグルーピングされてもよい。従って、空間フィルタ340は、複数のデジタル比較器336の各々から提供されるタッチ信号またはノータッチ信号の提供を受けて、特定のグループがタッチ状態であるかまたはノータッチ状態であるかを判別する。
【0080】
n×mセンサーピクセルのうち、p個以上がタッチ状態と判断されると、空間フィルタ340は、グループをタッチ状態と判断する。例えば、n=2、m=4、p=5であるとき、即ち、2×4センサーピクセルから5個のピクセルがタッチと判断されると、全ての2×4センサーピクセルはタッチと判断される。しかし、2×4センサーピクセルで5個未満のピクセルがタッチと判断されると、全ての2×4ピクセルはノータッチと判断される。
【0081】
動作の際に、リードアウト電圧Vroは、nビット(n−bit)データとしてA/Dコンバータ320に入力され、変換されたnビットデータはデジタルプロセッシング回路330に入力される。ここで、初期データが、基準データD(r)として基準データメモリ332に保存され、フレーム毎に現在データD(n)が、基準データD(r)と比較される。基準データD(r)と現在データD(n)との差dDが閾値データTthより大きければ(dD>Tth)、タッチ状態と判断される。
【0082】
1つのセンサーラインから検出されるリードアウト電圧Vroとタッチ判別との関係を図8に示す。
【0083】
図8は、1つのセンサーラインから検出されるリードアウト電圧Vroに基づくタッチ判別を説明するための波形図である。
【0084】
図8を参照すると、ノータッチリードアウト電圧Vroは、A/D変換されて、ノータッチに対応する基準データD(r)として、基準データメモリ332に保存され、VLSB(Voltage difference of a Least Significant Bit)ステップである。ここで、VLSBは最下位ビットLSB(Least Significant Bit)の電圧差である。A/D変換されたタッチリードアウト電圧Vroが、ノータッチに対応する基準データD(r)と閾値Tthとの合計よりも大きいと、タッチ状態と判断される。
【0085】
図8において、閾値Tthは2VLSBである。従って、全てのタッチイベントはノータッチリードアウト電圧Vroが大きく変わっても検出される。ここで、閾値Tthは正の値である。しかし、閾値Tthは、センサーモードに応じて負の値が選択されてもよい。閾値Tthはタッチパネルのタッチ感度、ノイズレベル、適用されるタッチスクリーン製品などに基づいて最適化されてもよい。閾値Tthは、タッチパネルに具備されるセンサーの最大ノイズ電圧より大きくなるように設定されることが望ましい。
【0086】
閾値Tthのビット数はタッチスクリーン装置のアプリケーションまたはその製造原価に基づいて、4ビット〜6ビットのうち、何れか1つが設定されてもよい。例えば、高基準電圧と低基準電圧間の差(VrefH−VrefL)が5Vで、閾値Tthのビット数が5ビットである場合、VLSB=0.156Vであってもよい。基準データD(r)はタッチスクリーン装置がターン・オンされるときに、常に現在データD(n)に更新(rewrite)されてもよい。周期的な基準データD(r)のリセットは例えば、60個のフレーム毎に実行されてもよい。
【0087】
液晶表示装置用タッチスクリーンパネルで、リードアウト電圧Vroの応答速度は遅い。例えば、タッチ状態からノータッチ状態に戻るときに遅いという応答特性がある。これは、液晶セルギャップ及び液晶配向の戻りが遅いことが起因する。例えば、指によるフィンガータッチでは、減衰時間(decay time)は略2秒〜5秒である。
【0088】
図9は、図8に示したアルゴリズムを有するセンサーのタッチ判別を説明するための波形図である。
【0089】
図9を参照すると、図8に示したアルゴリズムと同一のアルゴリズムが適用されるとき、ノータッチ状態であっても長い減衰時間の間タッチ状態と判断されることがわかる。これは、タッチが完了されたとしてもタッチ状態と引き続き判断してしまうためであり、次のタッチイベントを正確に検出し難い。
【0090】
このような問題を解決するために、正の差動データセンシングアルゴリズム(Positive Differential−Data Sensing Algorithm:PDSA)が、図10及び図11に図示される。
【0091】
図10は、正の差動データセンシングアルゴリズム(Positive Differential−Data Sensing Algorithm)を説明するためのデジタル計算回路のブロック図である。図11〜図13は、図10のデジタル比較器から出力される信号によってタッチまたはノータッチの判別を説明するための波形図である。
【0092】
図10〜図13を参照すると、タッチスクリーン装置の基本回路は図7に示したものと同一であり、デジタルプロセッシング回路の具体的部分のみが相違するものである。
【0093】
タッチ状態は、正の差動データから判別される。
【0094】
A/Dコンバータ320から提供される現在データD(n)と基準データメモリ332から提供される基準データD(r)とのデータ差dDが、正のタッチ閾値データTthpより大きいとき(dD>Tthp)、図12に示したように、タッチ状態と判断される。タッチ状態と判断されたタッチ状態データは、タッチデータメモリ338に保存され、q−フレーム(q−frame)の間、タッチ状態に維持される。ここで、qは8、16、24などの自然数である。
【0095】
A/Dコンバータ320から提供される現在データD(n)と基準データメモリ332から提供される基準データD(r)とのデータ差dDが正のタッチ閾値データTthpより小さいか、または同一であるとき(dD≦Tthp)、図11に示したように、ノータッチ状態と判断される。ノータッチ状態と判断されたタッチ状態データは、タッチデータメモリ338に保存される。
【0096】
また、データ差dDが正のタッチ閾値データTthpより大きいか(dD>Tthp)、またはデータ差dDが負のリセット閾値データRthnより小さいとき(dD<Rthn)、基準データD(r)は現在データD(n)として更新される。
【0097】
このようなアルゴリズムを適用すると、大きな正の変動(Large Positive Change)を有するリードアウト電圧Vroが検出されるとタッチ状態と判断され(図12に図示)、図11に示したように小さな正の変動(Small Positive Change)を有するリードアウト電圧Vroが検出されるか、または図13に示したように負の変動(Negative Change)を有するリードアウト電圧Vroが検出されるとノータッチと判断される。
【0098】
タッチデータは、タッチデータメモリ338に保存され、q−フレーム周期の間、タッチ状態が維持される。ここで、qは例えば、8または16フレームである。従って、タッチデータが入力される周期の間、タッチ状態が続く。このとき、ノータッチデータがq−フレームの間に入力されると、前述のタッチ状態はノータッチ状態に変更される。詳しいタイミング図は、図14に示す。
【0099】
図14は、本発明による正の差動データセンシングアルゴリズムを有するセンサーのタッチ判別を説明するための波形図である。
【0100】
図14を参照すると、基準データD(r)は後続のリードアウト電圧Vroの変動によって更新され、タッチ判別(Touch Judging)は、リードアウト電圧Vroの絶対値ではなく、リードアウト電圧Vroの差動要素に基づいて行われる。
【0101】
即ち、タッチ判別は、正の差動データによって行われる。従って、タッチイベントの間のタッチ判別は、リードアウト電圧Vroが上昇する期間にのみ行われる。
【0102】
このとき、タッチ判別が16×tFのような基準データのリフレッシング周期(Reference Data Refreshing Period)内で発生すると、タッチ判別以後、8×tF周期まで、持続的なタッチとして認識される。ここで、tFはラッチパルスの周期である。このようなアルゴリズムを利用してフレーム毎にタッチ判別が行われないときは、持続的なタッチとして認識される。
【0103】
16×tFのような基準データのリフレッシング周期より長く更新されない場合は、基準データD(r)が現在データD(n)に更新される。このような、基準データD(r)の更新は、一定のタッチ期間の減衰期間の間に、速いダブルクリックのような再タッチをセンシングするために重要である。
【0104】
正の値を有するタッチ閾値データTthp、任意値を有するリセット閾値データRthn、及びq値は、タッチパネルのセンシング感度、リードアウト電圧の応答速度、ノイズレベル、または、適用されるタッチスクリーン製品に基づいて最適化されてもよい。
【0105】
基準データD(r)が負の電圧ノイズに更新されると、タッチイベントが無くてもタッチ状態と誤って判断されることがある。従って、m回(mは、2より大きい自然数)の持続的なタッチ判別によりタッチイベントとして認識されるとすると、負の電圧ノイズに起因する誤動作は効果的に回避することができる。
【0106】
続いて、以下においてタッチ状態の終了を定める他の方法について説明する。
【0107】
図15は、本発明による正の差動データセンシングアルゴリズムPDSAを有するタッチスクリーン装置のタッチ判別を説明するためのブロック図である。図16は、PDSAを説明するための波形図である。
【0108】
図15及び図16を参照すると、タッチ状態の終了は、タッチイベント以後、現在データD(n)と基準データD(r)との間の差dDが負のリセット閾値データRthnより小さいとき(dD<Rthn)、1番目のタイミングを用いて定められる。ここで、dD<Rthnのタイミングで、タッチ終了信号はタッチデータメモリ338に入力される。タッチデータは、タッチデータメモリ338に保存され、タッチ状態はタッチ終了信号が入力されるときまで維持される。即ち、前述の状態は持続的タッチと認識される。
【0109】
上述の説明では、タッチ検出は、正の差動データから判別される。しかし、タッチ検出は、タッチパネルのデザインまたはセンサーの特性、適用されるタッチスクリーン製品によって、負の差動データからタッチ検出を判別することもできるため、正の差動データ及び負の差動データからタッチ検出を判別することもできる。
【0110】
タッチパネルが長時間作動されると、リードアウト電圧は、タッチパネルに具備されるトランジスタまたはキャパシタの熱の影響による特性変動、DCバイアスストレスによるトランジスタの閾値電圧シフト(Vth shift)などが起因して変動することがある。
【0111】
タッチパネルの作動の際、10時間の間に温度が25℃から60℃に変動されると、リードアウト電圧Vroの全体的な変動は3Vと予測される。このようなリードアウト電圧Vroの大きな変動を抑制するためにリセット電圧Vresetにより調整することができる。リセット電圧Vresetは、リセット電圧配線RLを経由して全てのリセットトランジスタRSのソースに印加される。
【0112】
以下において、リセット電圧Vresetの自動調整機能を有するタッチスクリーン装置を説明する。
【0113】
図17は、図1に示したタッチスクリーン表示装置の他の例を説明するブロック図である。
【0114】
図17を参照すると、タッチスクリーン装置はタッチパネル200、タッチ位置検出部300、及びリセット電圧調整部400を含む。図7と比較すると、同一構成要素に対して、同一符号を与えており、その詳しい説明は省略する。
【0115】
リセット電圧調整部400は、演算部410、電圧分配部420、及びバッファアンプ430を含む。
【0116】
演算部410は、基準データメモリ332に保存された全ての基準データD(r)の平均値A(r)に基づいて現在リセット調整電圧(current reset adjustment voltage)VR(n)を演算する。リードアウト電圧Vroの平均値A(r)は基準データメモリ332から得てもよい。
【0117】
演算部410は、下記の数式2に従って現在リセット調整電圧VR(n)を得て電圧分配部420に提供する。
【0118】
【数2】

ここで、VR(n)は現在リセット調整電圧、VR(n−1)は現在リセット調整電圧よりも一つ前のリセット調整電圧(previous reset adjustment voltage)、A(r)は全ての基準データD(r)の平均値、aは補正係数(compensation coefficient)である。
【0119】
電圧分配部420は、第1抵抗R1及び可変抵抗VRを含んで、演算部410から提供される現在リセット調整電圧VR(n)に応答して電圧を分配する。
【0120】
第1抵抗R1は、一端がグラウンド電圧に接続され、他端が第2ノードN2を経由してバッファアンプ430に接続される。
【0121】
可変抵抗VRは、一端が負の電圧(例えば、−5V)に接続され、他端が第2ノードN2に接続され、現在リセット調整電圧VR(n)に従って変動された負の電圧を第2ノードN2に提供する。
【0122】
バッファアンプ430の出力はリセット電圧Vresetとしてリセット電圧配線RLを経由してセンシング部140に具備されるリセットトランジスタRSのソースに提供される。
【0123】
リセット電圧Vresetが増加すると、リードアウト電流は増加し、ラッチされたリードアウト電圧Vroは減少する。
【0124】
従って、全ての基準データD(r)の平均値A(r)が基準データD(t)より大きいと、現在リセット調整電圧VR(n)が増加する。
【0125】
一方、全ての基準データD(r)の平均値A(r)と基準データD(t)が同一であるとき(A(r)=D(t))、現在リセット調整電圧VR(n)は変動しない(VR(n)=VR(n−1))。
【0126】
補正係数(a)が大きいと、リードアウト電圧Vroは、オーバーシュート(overshoot)するか或いはアンダーシュート(undershoot)または振動(vibration)する。
【0127】
補正係数(a)が小さいと補正がなされず、リードアウト電圧Vroが変動しない。
【0128】
タッチスクリーン装置の動作の際に60分間、温度が28℃から46℃に変動されるときの、シミュレーション結果の一例を図18に示す。シミュレーションにおいて、初期可変抵抗VRは12kオーム、第1抵抗R1は30kオーム、補正係数(a)は5、目標リードアウト電圧Vroは1.5Vである。
【0129】
図18は、リセット電圧の自動調整を説明するためのシミュレーション結果を示す。
【0130】
図18を参照すると、元のリードアウト電圧Vroは3.6Vであり、リセット電圧Vresetは−3.6Vである。しかし、目標値まで2分間調整されて、調整されたリードアウト電圧Vroは1.5V、調整されたリセット電圧Vresetは、−1.75Vとなる。
【0131】
タッチスクリーン装置の動作温度が46℃に増加すると、リセット電圧Vresetは−1.75Vから−3.6Vに調整されてリードアウト電圧Vroは目標電圧1.5Vを維持する。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
【産業上の利用可能性】
【0133】
前述の説明のように、本発明によると、タッチパネルに具備されるトランジスタの閾値電圧またはセンサーギャップの変更などによって起因されるリードアウト電圧の変動を補正することによって、間違ったタッチ判別を防ぐことができる。これによって、タッチ位置検出能力を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシング部から検出されたリードアウト電流を積分する積分器と、
前記積分器によって積分されたリードアウト電圧をデジタルデータに変換するアナログ−デジタルコンバータと、
デジタル変換されたリードアウト電圧データの変動を補正して前記センシング部のタッチ有無を判別するデジタルプロセッシング回路と、を含むタッチ位置検出装置。
【請求項2】
前記デジタルプロセッシング回路は、
基準データを保存する基準データメモリと、
前記積分器にリセット信号を提供し、前記アナログ−デジタルコンバータにラッチパルスを提供する制御信号生成部と、
タッチ有無を判別するために前記制御信号生成部から提供される制御信号に応答して、前記アナログ−デジタルコンバータから提供される現在データと前記基準データメモリから提供される基準データとの差と、閾値データとを比較するデジタル比較器と、を含むことを特徴とする請求項1記載のタッチ位置検出装置。
【請求項3】
前記デジタル比較器は、前記現在データと前記基準データとの差が負のリセット閾値データより小さいとき、前記基準データメモリに前記現在データを前記基準データとして更新することを特徴とする請求項2記載のタッチ位置検出装置。
【請求項4】
前記デジタル比較器は、前記現在データと前記基準データとの差が正のタッチ閾値データより大きいとき、前記センシング部のタッチ状態と判断してタッチ状態データを出力し、前記基準データメモリに前記現在データを前記基準データとして更新することを特徴とする請求項2記載のタッチ位置検出装置。
【請求項5】
前記デジタル比較器から提供される前記タッチ状態データを保存し、保存された前記タッチ状態データに従って一定数のフレームの間、タッチ状態を維持するかまたはノータッチ状態を維持するタッチデータメモリをさらに含むことを特徴とする請求項4記載のタッチ位置検出装置。
【請求項6】
前記デジタルプロセッシング回路は、前記現在データと前記基準データとの差が正の閾値データより大きいとき、タッチ状態と判断されることを特徴とする請求項2記載のタッチ位置検出装置。
【請求項7】
前記センシング部は、
一端が現在ゲート配線よりも一つ前のゲート配線に接続された基準キャパシタと、
タッチ動作に従ってキャパシタンスが変動されるセンシングキャパシタと、
ゲートが前記センシングキャパシタの一端及び前記基準キャパシタの他端に接続され、ソースがバイアス電圧を伝達するバイアス電圧配線に接続され、ドレインがセンシング電圧を伝達するセンシング電圧配線に接続されるライティングトランジスタと、
ゲートが前記現在ゲート配線に接続され、ソースがリセット電圧を伝達するリセット電圧配線に接続され、ドレインが前記センシングキャパシタの一端、前記基準キャパシタの他端、及び前記ライティングトランジスタのゲートに接続されたリセットトランジスタと、を含むことを特徴とする請求項1記載のタッチ位置検出装置。
【請求項8】
前記リセットトランジスタに供給されるリセット電圧を調整するリセット電圧調整部をさらに含み、
前記リセット電圧調整部は、
前記基準データメモリに保存された全ての基準データの平均値に基づいて現在リセット調整電圧を演算する演算部と、
前記演算部から提供される前記現在リセット調整電圧に応答して電圧を分配する電圧分配部と、
前記電圧分配部から提供される分配された前記電圧に応答して調整されたリセット電圧を前記リセットトランジスタに提供するバッファアンプを含むことを特徴とする請求項7記載のタッチ位置検出装置。
【請求項9】
前記演算部は、VR(n)=VR(n−1)+(A(r)−D(T))×a(ここで、VR(n)は、前記現在リセット調整電圧、VR(n−1)は前記現在リセット調整電圧よりも一つ前のリセット調整電圧、A(r)は全ての前記基準データの平均値、aは補正係数)とする式に基づいて前記現在リセット調整電圧を前記電圧分配部に提供することを特徴とする請求項8記載のタッチ位置検出装置。
【請求項10】
前記センシング部は、複数個にグルーピングされ、
前記デジタルプロセッシング回路は、前記デジタル比較器の各々から提供されるタッチ信号またはノータッチ信号の提供を受けて前記グルーピングされた前記センシング部がタッチ状態であるかまたはノータッチ状態であるかを判別する空間フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項2記載のタッチ位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−152864(P2010−152864A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167379(P2009−167379)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】