説明

タナプロゲットの精製形態

ミクロ化タナプロゲット、精製タナプロゲット形態I、およびミクロ化精製タナプロゲット形態Iが提供される。また、1つ以上の調製されたタナプロゲット形態を含む組成物、1つ以上の調製されたタナプロゲット形態を使用する方法、および1つ以上の調製されたタナプロゲット形態を備えるキットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
細胞内レセプター(IR)は、「リガンド依存性転写因子」として公知の構造的に関連する遺伝子調節因子のクラスを形成する。ステロイドレセプターファミリーはIRファミリーの一部分集合であり、プロゲステロンレセプター(PR)、エストロゲンレセプター(ER)、アンドロゲンレセプター(AR)、グルココルチコイドレセプター(GR)、およびミネラルコルチコイドレセプター(MR)が挙げられる。
【0002】
PRに対する天然のホルモンまたはリガンドは、ステロイドのプロゲステロンであるが、合成化合物(例えば、酢酸メドロキシプロゲステロンまたはレボノルゲストレル)が作製されており、これらもまたリガンドとして役立つ。一旦リガンドが細胞を囲む流体中に存在すると、このリガンドは受動拡散を介して細胞膜を通過し、IRに結合してレセプター/リガンド複合体を形成する。この複合体は細胞のDNAに存在する特異的な遺伝子プロモーターに結合する。一旦DNAに結合すると、この複合体はその遺伝子によってコードされるmRNAおよびタンパク質の生産を調節する。
【0003】
IRに結合し、そして天然のホルモンの作用を模倣する化合物は、アゴニストと称され、一方、そのホルモンの作用を阻害する化合物はアンタゴニストである。
【0004】
PRアゴニスト(天然物および合成物)は、女性の健康に重要な役割を果たすことが公知である。PRアゴニストは、代表的にERアゴニストの存在下で出生管理組成物(birth control composition)において使用されるか、あるいはそれらアゴニストはPRアンタゴニストと組合せて使用され得る。ERアゴニストは、更年期症状を処置するために使用されるが、子宮に対する増殖効果を伴っており、この増殖効果は子宮癌のリスク増大を導き得る。PRアゴニストの同時投与は、このリスクを低減/除去する。
【0005】
タナプロゲット(tanaproget)、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1H−ピロール−2−カルボニトリルは、プロゲステロンレセプター調節因子であり、避妊、ホルモン補充療法、ならびに癌および腺癌、機能不全性出血、子宮平滑筋種(uterine leiomyomata)、子宮内膜症、および多嚢胞性卵巣症候群を処置するのに効果的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医薬組成物における使用のためのタナプロゲットの他の形態が、当該分野で必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
1局面において、ミクロ化タナプロゲット形態Iが提供される。
【0008】
別の局面において、精製タナプロゲット形態Iが提供される。
【0009】
さらなる局面において、精製タナプロゲット形態I;および哺乳動物被験体への投与に適したキャリアを備えるキットが提供される。
【0010】
さらに別の局面において、精製タナプロゲット形態Iの参照標準が提供される。
【0011】
なおさらなる局面において、精製タナプロゲット形態Iを含む医薬組成物を調製する方法が提供される。
【0012】
他の局面および利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明にさらに記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
ミクロ化タナプロゲット形態I、精製タナプロゲット形態I、ならびにミクロ化および精製タナプロゲット形態Iを含む医薬組成物が、本明細書中に提供され、考察される。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「タナプロゲット」は、5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルを指す。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「精製された」は、好ましくは約1%未満の不純物を含むタナプロゲットを指す。1例において、精製タナプロゲットは約0.5%未満の不純物を含む。別の例において、精製タナプロゲットは0.36%以下の不純物を含む。望ましくは、精製タナプロゲットは約99.5%の純度である。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「溶媒」は、タナプロゲットが受容可能な溶解性、中程度の溶解性、良好な溶解性、または完全な溶解性を有する溶媒を指す。同様に、本明細書中で使用される場合、用語「アンチ溶媒(anti−solvent)」は、タナプロゲットが溶解性を制限されるか、低減されるか、または溶解性を有さない溶媒を指す。
【0017】
(A.ミクロ化タナプロゲット)
タナプロゲット形態Iは、窒素下、かつ非ミクロ化プロゲットに適用される従来のミクロ化技術で(例えば、Trostまたはジェットミルを用いて)ミクロ化することができる。非ミクロ化ナノプロゲットの調製の1つの方法は、米国特許第6,436,929号、そして一般には米国特許出願公開第US−2005−0272702−A1号に記載される。これらは本明細書により参考として援用される。しかしながら、このミクロ化タナプロゲットは、非ミクロ化タナプロゲット形態Iが作製される方法に制限されない。
【0018】
ミクロ化タナプロゲット形態Iは、代表的に、約20μm未満、望ましくは約15μm未満、そしてより望ましくは約10μm未満のメジアン粒子サイズを有する。具体的には、マルバーン(Malvern)の方法によって決定される場合、90%の粒子は約20μm以下であり、そして50%は約15μm以下である。このことは、当業者に容易に理解される。
【0019】
1実施形態において、組成物は、単位用量の総重量に基づき、ミクロ化タナプロゲットと組成物の他の成分とを乾燥混合することによって調製される。
【0020】
本明細書中以下で参照される場合、用語「wt/wt」とは、組成物の総重量に基づく1つの成分の重量を指す。代表的にこの比は、利用される場合、カプセルの重量、そのカプセル中に使用される任意の充填剤の重量、およびシールコーティングの重量を含まない。
【0021】
1実施形態において、約20μm未満の粒子サイズを有するミクロ化5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル形態Iが提供される。
【0022】
(B.タナプロゲットの精製)
また、投与により適切である精製タナプロゲット形態Iは、医薬組成物に提供される。代表的に、未精製タナプロゲットは、精製前にミクロ化される。
【0023】
本発明者らは、本明細書中に提供される精製タナプロゲット形態Iが安定であり、精製タナプロゲット形態Iのみの保存の間、または他の薬剤/賦形剤と組合せて保存する間のどちらでも別の同質異像(polymorph)へと転換する可能性が低いことを見出した。
【0024】
1実施形態において、タナプロゲット形態Iは、米国特許出願公開第US−2005−0272702−A1号に記載されるように精製される。これは本明細書により参考として援用される。しかしながらこの形態Iは、非ミクロ化タナプロゲット形態Iが生産される方法に制限されない。
【0025】
別の実施形態において、タナプロゲット形態Iは再結晶によって精製される。再結晶は、溶媒または溶媒系を使用して実施することができる。いくつかの溶媒を利用してタナプロゲット形態Iを精製し得、そして酢酸エチル、アセトン、またはこれらの組合せを含み得る。あるいは、溶媒系を利用することができ、ここでこの溶媒系の1試薬はタナプロゲット形態Iを溶解し得る溶媒であり、この溶媒系の第二の試薬はアンチ溶媒である。有用である望ましい溶媒/アンチ溶媒系としては、非限定的に、アセトン/テトラヒドロフラン、アセトン/メタノール、アセトン/トルエン、およびアセトン/水が挙げられる。望ましくは、タナプロゲット形態Iは、アセトン/水から再結晶によって精製される。
【0026】
代表的に、タナプロゲット形態Iは、熱アセトン中に未精製タナプロゲットを溶解して溶液を形成することによって精製され、このアセトン溶液は濃縮され、この濃縮アセトン溶液と水が混合され、そしてこの濃縮アセトン/水の溶液が室温まで冷却される。
【0027】
さらなる実施形態において、タナプロゲット形態Iは、アセトンに溶解され、そしてこの溶液が約45℃〜約51℃に加熱される。カーボンフィルターを介して少なくとも約4時間、加熱溶液を循環させた後、当業者に公知の手順を使用して濾過溶液が濃縮される。濃縮溶液に水を添加した後、望ましくは還流しているアセトン溶液を冷却しない速度で、アセトン/水の溶液を約−6℃〜約0℃に冷却する。望ましくは、アセトン/水の溶液は、毎分約0.5℃未満の速度で冷却される。冷却された溶液を少なくとも約3時間その低温で保持した後、析出した精製タナプロゲット形態Iを、濾過を使用して収集する。この収集された固形物を水/アセトン混合物により洗浄する。望ましくはこの固形物を1:1の水/アセトン混合物により2回洗浄する。次いで、洗浄した精製タナプロゲット形態Iを35℃未満で約4時間乾燥させる。約50℃未満でのさらなる乾燥を実施して、分光学的方法により測定されるアセトン/水残渣を除去する。
【0028】
代表的に、精製タナプロゲット形態Iに未だ存在する不純物としては、残渣のアセトン、イソプロピルアルコールまたは水が挙げられる。1例において、精製タナプロゲット形態Iは、約0.1%未満の水を含む。別の例において、精製タナプロゲット形態Iは約0.07%以下の水を含む。
【0029】
1実施形態において、T開始が約230℃である吸熱温度(endotherm)を有する示差走査熱量測定サーモグラフ;および約6.6°、10.3°、14.4°、19.8°、23.8°、26.3°、および29.1°の2θにおけるピークを含むX線回折ピークパターンを有する5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態Iが、提供される。
【0030】
(C.精製タナプロゲットの特徴付け)
精製タナプロゲット形態Iは、いくつかの分光学的技術を使用して特徴付けすることができ、その技術としては、とりわけ、核磁気共鳴(プロトンおよび炭素)、質量分析、赤外線分光学、クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー)、X線回折、および示差走査熱量測定が挙げられる。望ましくは、これらの技術を使用して精製タナプロゲット形態Iについて得られるスペクトルは、精製タナプロゲット形態Iが1%未満の不純物を含むことの証拠を提供する。
【0031】
1実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、図1Aのプロトン(1H)核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび図1Bの炭素(13C)NMRスペクトルを提供する。望ましくは、H1−NMRスペクトル(d6−ジメチルスルホキシド)は、約δ3.7、7.0、6.4、7.5、7.15、7.5、1.7および12.3におけるピークを含む。より望ましくは、1H−NMRスペクトル(d6−ジメチルスルホキシド)は、δ3.72(s)、7.04(d,J=4.0Hz)、6.38(d,J=4.0Hz)、7.48(m)、7.15(d,J=8.4Hz)、7.47(m)、1.69(s)および12.31(s)におけるピークを含む。望ましくは、13C−NMRスペクトル(d6−ジメチルスルホキシド)は、δ33.8、104.8、114.1、119.5、109.8、139.0、127.0、124.0、127.0、131.7、114.6、129.3、83.3、27.2および182.8におけるピークを含む。より望ましくは、13C−NMRスペクトル(d6−ジメチルスルホキシド)は、δ33.79、104.79、114.12、119.46、109.75、139.07、126.97、123.98、127.00、131.65、114.57、129.33、83.26、27.24および182.84におけるピークを含む。
【0032】
別の実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、図2のスペクトルを有する質量スペクトル(MS)を提供する。これにより、精製タナプロゲット形態IのMSは、296.0において[M−H]-ピークを含む。
【0033】
さらなる実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、図3のフーリエ変換赤外線スペクトル(IR)を提供する。
【0034】
なお別の実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、図4の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)スペクトルを提供する。これにより、HPLCスペクトルは、t=0.56分(0.10% wt/wt)、t=0.67分(0.227% wt/wt)およびt=1.13分(0.025% wt/wt)においてマイナーな不純物ピークを含む。
【0035】
なおさらなる実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、図5のパターンを有するX線回折パターンを提供する。このXRDは、約6.6°、10.3°、14.4°、19.8°、23.8°、26.3°、および29.1°の2θにおけるピークを含むX線回折ピークパターンを含む。
【0036】
別の実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、図6のサーモグラフを有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを提供する。このDSCサーモグラフは、T開始が約230℃である吸熱温度を有する。
【0037】
さらにさらなる実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、約228℃〜約231℃の融点を有する。望ましくは、融点は約229℃〜約230℃である。より望ましくは、融点は約230℃である。
【0038】
(D.精製タナプロゲットを含む組成物)
また、精製タナプロゲット形態Iを単独で含むかまたは未精製のタナプロゲットと組合せて含む、組成物、好ましくは医薬組成物が、提供される。組成物は代表的に、薬学的に受容可能なキャリアを含むが、他の適切な成分も含み得る。代表的に、追加の成分は不活性であり、組成物の必要成分の機能を阻害しない。従って組成物はさらに、とりわけ、他のアジュバント、シロップ、エリキシル、希釈剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、造粒剤、分解剤(disintegrating agent)、軟化剤、金属キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、充填剤、崩壊剤(disintegrant)、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
アジュバントとしては、非限定的に、調味剤、着色剤、保存剤、および補助的な酸化防止剤が挙げられ得、これらとしては、ビタミンE、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられ得る。
【0040】
結合剤としては、非限定的に、とりわけ、ポビドン、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶性セルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、ゼラチン、アラビアゴムおよびアカシアゴム、ポリエチレングリコール、デンプン、糖(例えば、ショ糖、カオリン、デキストロースおよびラクトース)、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、デキストレート、デキストリン、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、ポリビニルアルコール、およびゼラチンが挙げられ得る。1実施形態において、結合剤はポビドンである。
【0041】
滑沢剤としては、とりわけ、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリルフマル酸ナトリウム(sodium stearyl furamate)が挙げられ得る。1実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0042】
造粒剤としては、非限定的に、とりわけ、二酸化ケイ素、デンプン、炭酸カルシウム、ペクチン、クロスポビドン、およびポリプラスドンが挙げられ得る。
【0043】
分解剤または崩壊剤としては、とりわけ、デンプン、カルボキシメチルセルロース、置換ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファー化デンプン、またはクロスポビドンが挙げられ得る。
【0044】
軟化剤としては、非限定的に、ステアリルアルコール、ミンクオイル、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ポリエチレングリコール、オリーブ油、ワセリン(Petroleum jelly)、パルミチン酸、オレイン酸、およびミリスチン酸ミリスチルが挙げられ得る。
【0045】
界面活性剤としては、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロキサマー、またはラウリル硫酸ナトリウムが挙げられ得る。1実施形態において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0046】
金属キレート剤としては、生理学的に受容可能なキレート剤が挙げられ得、エデト酸、リンゴ酸、またはフマル酸が挙げられる。1実施形態において、金属キレート剤はエデト酸である。
【0047】
また、pH調整剤を利用して、精製タナプロゲット形態Iを含む溶液のpHを約4から約6に調製することができる。1実施形態において、精製タナプロゲット形態Iを含む溶液のpHを約4.6に調整することができる。pH調整剤としては、生理学的に受容可能な薬剤が挙げられ得、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸、またはリンゴ酸、およびこれらの塩が挙げられる。1実施形態において、pH調整剤はクエン酸である。
【0048】
使用され得るさらなる充填剤としては、マンニトール、リン酸カルシウム、予めゼラチン化したデンプン、またはショ糖が挙げられる。
【0049】
(E.精製タナプロゲットを使用する方法)
精製タナプロゲット形態Iを患者に送達する方法がさらに提供される。ここでこの方法は、精製タナプロゲット形態Iを投与する工程を含む。
【0050】
精製タナプロゲット形態Iの必要投薬量は、提示される症状の重篤度および処置されるべき特定の被験体に基づき変動し得る。処置は、精製タナプロゲット形態Iの最適用量未満の小さな投薬量で開始され得る。その後、この投薬量は、その状況下での最適な効果が達されるまで増加される。正確な投薬量は、個々の被験体が処置される体験に基づき、投与する医者により決定される。一般に、精製タナプロゲット形態Iは、最も望ましくは、許容不能な損害性の(harmful)副作用も有害な(deleterious)副作用も引き起こすことなく有効な結果を概ねもたらす濃度にて投与される。例えば、精製タナプロゲット形態Iの有効量は一般に、例えば、約0.05mg〜約1mg、約0.05mg〜約0.3mg、約0.05mg、約0.075mg、約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、または約0.3mgである。
【0051】
従って、精製タナプロゲット形態Iは、避妊およびホルモン補充療法において有用である。精製タナプロゲット形態Iはまた、避妊ならびに以下の処置および/または予防に有用である:子宮筋層類線維腫(uterine myometrial fibroid)、良性前立腺肥大、良性および悪性の新生物疾患、機能不全性出血、子宮平滑筋種、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、ならびに下垂体、子宮内膜、腎臓、卵巣、乳房、結腸および前立腺の癌および腺癌、ならびに他のホルモン依存性腫瘍。精製タナプロゲット形態Iのさらなる使用としては、食物摂取の刺激が挙げられる。
【0052】
精製タナプロゲット形態Iは、薬学的有効量の精製タナプロゲット形態Iを使用して、所望の送達経路に適した任意の形態に処方され得る。例えば、精製タナプロゲット形態Iは、経口、経皮、気管支内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、腹腔内、鼻腔内、膣、結腸、舌下、頭蓋内、硬膜外、気管内のような経路によって、または徐放性放出により送達することができる。好ましくは、送達は経口である。
【0053】
例えば、精製タナプロゲット形態Iは、錠剤、カプセル、ミクロカプセル、分散性粉末、顆粒、または懸濁剤(例えば、約0.05%〜5%の懸濁剤を含む)、シロップ(例えば、約10%〜50%の糖を含む)、およびエリキシル(約20%〜50%のエタノールを含む)、などのような形態で、経口投与のために処方することができる。調製および投与の容易さの観点から好ましい医薬組成物は、固形組成物、特に錠剤および硬質充填カプセルまたは液体充填カプセルである。
【0054】
精製タナプロゲット形態Iはまた、非経口で投与されてもよいし、腹腔内に投与されてもよい。遊離塩基または薬学的に受容可能な塩としての精製タナプロゲット形態Iの溶液もしくは懸濁液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と適切に混合された水中で調製することができる。分散剤もまた、オイル中のグリセロール、液体、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物において調製することができる。保存および使用の通常条件下では、これらの調製物は微生物の増殖を防ぐために保存剤を含む。代表的に、そのような滅菌の注射可能な溶液または懸濁液は、等張媒体中で約0.05%〜5%の懸濁剤を含む。そのような医薬調製物は、例えば、約25%〜約90%の活性成分を、通常は約5重量%〜60重量%の間のキャリアと組合せて含み得る。
【0055】
別の実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、静脈内、筋肉内、皮下、非経口または腹腔内に、滅菌注射可能な溶液、懸濁物、分散物および粉末の形態で送達され、これら形態は、容易なシリンジ能(syringe ability)が存在する範囲まで流体である。このような注射可能な組成物は、滅菌されており、製造および保存の条件下で安定であり、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用がない。
【0056】
キャリアは、例えば、水、エタノール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、オイルおよびこれらの混合物を含む、溶液または分散媒体であり得る。好ましくは、液体キャリアは水である。1実施形態において、オイルは植物油である。必要に応じて、液体キャリアは懸濁剤を含む。別の実施形態において、液体キャリアは等張媒体であり、0.05%〜約5%の懸濁剤を含む。
【0057】
さらなる実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、従来の坐薬形態で直腸に送達される。
【0058】
別の実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、従来の坐剤、クリーム、ゲル、リング、またはコーティングされた子宮内デバイス(IUD)の形態で膣に送達される。
【0059】
なお別の実施形態において、精製タナプロゲット形態Iはエアロゾルの形態で鼻腔内または気管支内に送達される。
【0060】
さらなる実施形態において、精製タナプロゲット形態Iは、精製タナプロゲット形態Iおよび任意のキャリアを含む経皮パッチの使用を介して、経皮的または徐方性放出により送達され、このキャリアは、精製タナプロゲット形態Iに対して不活性であり皮膚に対して無毒性であり、そして血流中への全身性吸収のための精製タナプロゲット形態Iの送達を可能にする。このようなキャリアは、クリーム、軟膏、ペースト、ゲルまたは閉塞性デバイスであり得る。これらのクリームおよび軟膏は、粘性液体または半固形エマルジョンであり得る。ペーストは、ワセリンまたは親水ワセリン中に分散された吸収性粉末を含む。さらに、種々の閉塞性デバイスは、精製タナプロゲット形態Iを血流中に放出するように利用され得、そして活性試薬を収容するレザバまたは反応性試薬を収容するマトリクスを覆う半透膜を備え得る。
【0061】
徐方性送達デバイスの使用は、患者が1日ベースで医薬を摂取する必要性を避けるため、望ましくあり得る。用語「徐方性送達」とは、本明細書中で使用される場合、送達環境に配置された後、続くその後の薬剤の徐方性放出まで活性剤(すなわち、精製タナプロゲット形態I)の放出を遅延させることを指す。多くの徐方性送達デバイスが当該分野で公知であり、これらとしては以下が挙げられる:ヒドロゲル(米国特許第5,266,325号;同第4,959,217号;同第5,292,515号)、浸透圧ポンプ(とりわけ、米国特許第4,295,987号および同第5,273,752号および欧州特許第314,206号);疎水性膜材料(例えば、エチレンメタクリル酸(EMA)およびエチレン酢酸ビニル(EVA));生体吸収性ポリマー系(国際特許公開第WO98/44964号および米国特許第5,756,127号および同第5,854,388号);および他の生体吸収性移植デバイス(例えば、ポリエステル、ポリ無水物、または乳酸/グリコール酸コポリマー(米国特許第5,817,343号)を含む)。このような徐方性送達デバイスにおける使用のため、精製タナプロゲット形態Iは、本明細書中に記載されるように処方することができる。米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;および同第4,008,719号を参照のこと。
【0062】
好ましくは、精製タナプロゲット形態Iは、患者への送達に適切な投薬量単位に形成される。適切な投薬量単位としては、経口投薬量単位(例えば、直接圧縮錠、カプセル、粉末、懸濁物、ミクロカプセル、分散性粉末、顆粒、懸濁物、シロップ、エリキシルおよびエアロゾル)が挙げられる。好ましくは、精製タナプロゲット形態Iは、錠剤へと圧縮され、これは必要に応じてカプセルに加えられるか、または精製タナプロゲット形態Iは、カプセルに直接加えられる。精製タナプロゲット形態Iはまた、他の適切な経路によって送達することができる。これらの投薬量単位は、本明細書中に記載される方法および当業者に公知の方法を使用して、容易に調製される。
【0063】
固体形態(精製タナプロゲット形態Iを含む錠剤、カプレット、およびカプセルが挙げられる)は、上記の成分と一緒に精製タナプロゲット形態Iを乾燥混合(dry blend)することによって、形成することができる。1実施形態において、カプセルとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル、ヒプロメロースカプセル、またはハードシェルゼラチンカプセルが挙げられる。タナプロゲットを含む錠剤またはカプレットは、必要に応じてフィルムコーティングされる。適切なフィルムコーティングは当業者に公知である。例えば、フィルムコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせのようなポリマーの中から選択することができる。
【0064】
精製タナプロゲット形態Iの薬学的有効量は、送達される組成物の他の成分、送達様式、処置される状態の重篤度、患者の外的病原因子(agent)および体重、ならびにその組成物中に使用される他の任意の活性成分に依存して、変動し得る。投薬量レジメンもまた、最適な治療応答をもたらすように調節することができる。いくつかの分割用量(例えば、1日あたり2〜4回の分割用量)が毎日送達され得るか、または単回用量が送達され得る。しかしながら、この用量は、治療状態の緊急性によって必要性が示される場合、比率を低減されても増加されてもよい。1実施形態において、送達は毎日ベース、1週間ベース、または1ヶ月ベースである。別の実施形態において、送達は、毎日の送達である。しかしながら、毎日の投薬量は、定期的な送達に基づき、低下されても上昇されてもよい。
【0065】
精製タナプロゲット形態Iが避妊またはホルモン補充療法において使用される場合、精製タナプロゲット形態Iは、とりわけ、1つ以上の他のプロゲステロンレセプターアゴニスト、エストロゲンレセプターアゴニスト、プロゲステロンレセプターアンタゴニスト、および選択的エストロゲンレセプター調節因子と組合せて投与され得ることが企図される。
【0066】
新生物疾患、癌および腺癌を処置するために利用される場合、精製タナプロゲット形態Iは、当業者により容易に選択され得る1つ以上の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。
【0067】
(F.精製タナプロゲットを備えるキット)
また、精製タナプロゲット形態Iを備えるキットまたは包装物が提供される。キットは、精製タナプロゲット形態Iを備え得るか、または純度のより低い形態と、上記で考察した哺乳動物被験体への投与に適したキャリアとの組み合わせで備え得る。代表的に、錠剤またはカプセルは、ブリスターパックに包装され、好ましくはUltrxTM2000ブリスターパックに包装される。
【0068】
精製タナプロゲット形態Iを備えるキットまたは包装物は、本明細書中に記載されるレジメンにおける使用のために設計される。好ましくは、これらのキットは、とりわけ21日サイクル、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルにわたる毎日の経口送達のため、そしてより好ましくは1日あたり1回の経口送達のために設計される。精製タナプロゲット形態Iが連続的に送達され得る場合、包装物またはキットは、それぞれの錠剤中に精製タナプロゲット形態Iを備え得る。精製タナプロゲット形態Iが定期的な中止期間を伴って送達され得る場合、包装物またはキットは、精製タナプロゲット形態Iが送達されない日におけるプラセボを備え得る。
【0069】
さらなる成分を精製タナプロゲット形態Iと同時投与することができ、それらとしては、妊娠誘発剤、エストロゲン、および選択的エストロゲンレセプター調節因子が挙げられ得る。
【0070】
好ましくは、キットはまた、サイクルのそれぞれの日に投与されるべき単一の経口処方物または経口処方物の組み合わせを示すように構成される。好ましくは、各々の特定の日において投与されるべき経口錠剤を備え、より好ましくは、1経口錠は、表示される毎日の組み合せ各投薬量を含む。
【0071】
1実施形態において、キットは、21日サイクル、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルにわたる、精製タナプロゲット形態Iの1日投薬量について単一のフェーズ(phase)を含み得る。あるいは、キットは、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルのうちの最初の21日にわたる、精製タナプロゲット形態Iの1日投薬量について単一のフェーズを含み得る。キットはまた、30日サイクルまたは31日サイクルのうちの最初の28日にわたる、精製タナプロゲット形態Iの1日投薬量について単一のフェーズを含み得る。
【0072】
さらなる実施形態において、キットは、21日サイクル、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルにわたる、精製タナプロゲット形態Iおよび妊娠誘発剤の1日投薬量について単一の組合せのフェーズを含み得る。あるいは、キットは、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルの最初の21日にわたる、精製タナプロゲット形態Iおよび妊娠誘発剤の1日投薬量について単一の組合せのフェーズを含み得る。キットはまた、30日サイクルまたは31日サイクルの最初の28日にわたる、精製タナプロゲット形態Iおよび妊娠誘発剤の1日投薬量について単一の組合せのフェーズを含み得る。
【0073】
別の実施形態において、28日キットは、精製タナプロゲット形態Iの14〜28回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の1〜11回の1日用量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、このサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0074】
なおさらなる実施形態において、28日キットは、精製タナプロゲット形態Iの14〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、そのサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0075】
別の実施形態において、28日キットは、精製タナプロゲット形態Iの18〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の1〜7回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、その28日サイクルの残りの0〜9日の各日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボを含み得る。
【0076】
なおさらなる実施形態において、28日キットは、精製タナプロゲット形態Iの21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の22〜24日目の間の3回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、25〜28日目の各日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの4回の1日投薬量単位の第三フェーズを含み得る。
【0077】
別の実施形態において、28日キットは、約35〜約150μgのレボノルゲストレルと妊娠誘発活性が等しい、妊娠誘発剤の14〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;精製タナプロゲット形態Iの1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、抗プロゲスチンもプロゲスチンもエストロゲンも投与されないそのサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0078】
さらなる実施形態において、28日キットは、約35〜約100μgのレボノルゲストレルと妊娠誘発活性が等しい、妊娠誘発剤の14〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;精製タナプロゲット形態Iの1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、抗プロゲスチンもプロゲスチンもエストロゲンも投与されないそのサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0079】
好ましくは、精製タナプロゲット形態Iの1日投薬量は、それが投与される特定の各フェーズの中で固定されたままである。さらに好ましくは、記載される1日用量単位が記載される順番で送達され得、この第一フェーズの後には第二フェーズおよび第三フェーズが順に続けられる。各々のレジメンのコンプライアンスを容易にするのを助けるため、キットがサイクルの最終日に対して記載されるプラセボを備えることも好ましい。
【0080】
経口使用のための医薬品を分配する際に使用するための多くの包装またはキットが、当該分野で公知である。好ましくは、包装は28日のサイクルの各日に対する指標を有し、より好ましくは包装は標識されたブリスター包装であるか、ダイヤル式ディスペンサー包装であるか、またはボトルである。
【0081】
キットはさらに、精製タナプロゲット形態Iを投与するための指示書を備え得る。
【0082】
(G.参照標準)
さらに、5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態Iの参照標準が提供される。望ましくは、参照標準は、製造条件および保存条件の下で安定であり、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用がない。参照標準はまた、必要に応じて、上記のように精製形態Iタナプロゲットが溶解性である溶媒を含む。望ましくは、タナプロゲット形態Iは、その溶媒に受容可能な溶解性、中程度の溶解性、良好な溶解性、または完全な溶解性を有する。
【0083】
これにより、参照標準は、種々の目的に有用である。具体的には、参照標準は、当業者に公知の分析技術を使用して、とりわけ、タナプロゲット形態Iサンプルの検証、タナプロゲット形態Iサンプルの純度決定、タナプロゲット形態Iサンプルの標準化、タナプロゲット形態Iサンプルの品質管理、およびタナプロゲット形態Iサンプルの特徴づけのための器具の検定に有用である。参照標準を利用し得る分析技術としては、非限定的に、とりわけ、核磁気共鳴(プロトンおよび炭素)、質量分析、赤外線分光計、クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー)、X線回折、および示差走査熱量測定が挙げられる。
【0084】
先に記載されるように、5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態Iの参照標準を備えるキットもまた提供される。参照標準を備えるキットは、必要に応じて、とりわけ溶媒および/またはこのキットを実施するための指示書を備える。
【0085】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を制限しない。当業者は、特定の試薬および条件が以下の実施例に概説されているが改変がなされ得、これら改変が本発明の本質および範囲に包含されると意味されることを、理解する。
【実施例】
【0086】
(実施例1−ミクロ化タナプロゲットの調製)
米国仮特許出願第60/647,656号および米国特許出願公開第US−2005−0272702−A1号に従って調製されたタナプロゲットを、U−10 Comilミルを使用して粉砕し、これによってE−Z(商標)FH−1.4フィーダーを取付けたJetmill(登録商標)MC50 Jetpharma Micronizerを使用してミクロ化した。粒子サイズを、約15μm未満、望ましくは約10μm未満の粒子サイズについて定期的に試験して、サンプルの50%にわたって分布付けた。ミクロ化タナプロゲットを、三重ポリ袋のファイバードラム中に詰めた。乾燥剤を最外側のバッグと窒素ガスに置換したバッグ中の大気との間に挿入した。
【0087】
(実施例2−溶媒を使用するタナプロゲットの精製)
残留パラジウムを含むタナプロゲットを、高温の表1に記載される溶媒のアリコートに溶解し、次いで低温まで冷却した。このバッチを低温で少なくとも約3時間保持した後、析出した精製タナプロゲットを濾過により収集し、乾燥させた。
【表1】

【0088】
(実施例3−溶媒系を使用するタナプロゲットの精製)
残留パラジウムを含むタナプロゲットを、高温のアセトンのアリコートに溶解した。次いで、表2のアンチ溶媒をそのアセトンに添加した。濁り時点(cloudiness point)を観察した後、このバッチを高温に加熱して、溶解を完全にした。加熱したマントルを冷却バッチに置き換え、アセトン/アンチ溶媒の溶液を冷却した。このバッチを低温で少なくとも約3時間保持した後、析出した精製タナプロゲットを濾過により収集し、乾燥させた。
【表2】

【0089】
(実施例4−濃縮を伴わないタナプロゲットの大規模精製)
残留パラジウム(21ppm)を含むタナプロゲット(250g)を、46〜50℃のアセトン(2.3L)に溶解した。この加熱溶液を少なくとも約4時間炭素フィルターを通して循環させた後、ポンプおよび移送ラインをアセトン(400mL)を用いてリアクターの中へとリンスした。併せたアセトン溶液を約55℃(±2℃)に加熱し、水(850mL)を90mL/分の速度でポンプ輸送した。濁り時点を観察した後、このバッチを加熱して還流させ(57〜60℃)、溶解を完全にさせた。加熱したマントルを冷却バッチに置き換えて、アセトン/水溶液を、約0.5℃/分未満の速度で約−6℃〜0℃に冷却した。このバッチを低温で少なくとも約3時間保持した後、析出した精製タナプロゲットを濾過を使用して収集した。精製タナプロゲットを1:1のアセトン/水混合物で2回洗浄し(2×150mL)、次いで35℃未満で約4時間乾燥させた。約50℃未満でさらなる乾燥(5torrに吸引)を実施して、残りのアセトン/水(0.02%)を除去した。精製タナプロゲットを192gと秤量した(収率76.8%、HPLC面積%による純度99.42%、融点228〜229℃、Pd<1ppm)。
【0090】
(実施例5−濃縮を伴うタナプロゲットの大規模精製)
タナプロゲット(83g)を、55℃のアセトン(820mL)に溶解した。この溶液を45℃に冷却し、Darco(登録商標)G66チャコール(4g)を加え、そしてこの混合物を再加熱して還流させ、還流を15分間保った。このバッチを焼結ガラス漏斗上のセライト(登録商標)試薬の層を通して濾過した。フラスコをアセトン(100mL)によりリンスし、漏斗に移した。フィルターケークをアセトン(3×150mL)により洗浄した。併せた濾液を蒸留セットに移し、溶媒(800mL)の一部を収集した。濃縮物を55℃に冷却して、認識可能な濁りを観察するまで温度を維持しながら水(120mL)を滴下で添加した。このバッチを再加熱して還流させ、溶解を完全にした。この溶液を周囲温度まで冷却した。約40℃で開始する結晶化を観察した。このバッチをさらに−5℃に冷却し、この温度で1時間撹拌した。固形物を焼結ガラスを通して濾過し、1:1容量のアセトン:水(2×50mL)により洗浄した。このケークを6時間風乾させ、さらに減圧オーブン中で45℃で一定量まで乾燥させた(67.2g、収率81%、HPLC面積%による純度99.4%、融点229.2〜230.5℃、Pdは検出されない)。
【0091】
本明細書に引用される全ての刊行物は、本明細書中に参考として援用される。本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して記載されているが、本発明の本質から逸脱することなく改変がなされ得ることが理解されよう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内に帰することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、精製タナプロゲット形態Iのサンプルのプロトン核磁気共鳴スペクトルを提供する。
【図2】図2は、精製タナプロゲット形態Iのサンプルの質量スペクトルを提供する。
【図3】図3は、精製タナプロゲット形態Iのサンプルのフーリエ変換赤外線スペクトルを提供する。
【図4】図4は、精製タナプロゲット形態Iのサンプルの高速液体クロマトグラフィースペクトルを提供する。
【図5】図5は、精製タナプロゲット形態IのサンプルのX線回折パターンを提供する。
【図6】図6は、精製タナプロゲット形態Iのサンプルの示差走査熱量測定サーモグラフを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物のミクロ化形態であって、該化合物が5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル形態Iであり、約20μm未満のメジアン粒子サイズを有する、ミクロ化形態。
【請求項2】
約15μm未満のメジアン粒子サイズを有する、請求項1に記載のミクロ化形態。
【請求項3】
約10μm未満のメジアン粒子サイズを有する、請求項1に記載のミクロ化形態。
【請求項4】
T開始が約230℃である吸熱温度を有する示差走査熱量測定サーモグラムを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のミクロ化形態。
【請求項5】
約6.6°、10.3°、14.4°、19.8°、23.8°、26.3°、および29.1°の2θにおけるピークを含むX線回折ピークパターンを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のミクロ化形態。
【請求項6】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態Iであって、以下:
(i)T開始が約230℃である吸熱温度を有する示差走査熱量測定サーモグラフ;および
(ii)約6.6°、10.3°、14.4°、19.8°、23.8°、26.3°、および29.1°の2θにおけるピークを含むX線回折ピークパターン
を有する、精製形態I。
【請求項7】
未精製の5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルをアセトンおよび水から再結晶させることによって得られる、請求項6に記載の精製形態I。
【請求項8】
未精製の5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルがミクロ化される、請求項7に記載の精製形態I。
【請求項9】
未精製の5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルが熱アセトンに溶解されて溶液を形成し、該アセトン溶液が濃縮され、該濃縮アセトン溶液と水が混合され、そして該濃縮アセトン/水の溶液が室温まで冷却される、請求項7または8に記載の精製形態I。
【請求項10】
約1%未満の不純物を含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項11】
約0.5%未満の不純物を含む、請求項10に記載の精製形態I。
【請求項12】
前記不純物がアセトン、イソプロピルアルコールまたは水を含む、請求項10または11に記載の精製形態I。
【請求項13】
約0.1%未満の水を含む、請求項12に記載の精製形態I。
【請求項14】
プロトン核磁気共鳴スペクトルが図1のスペクトルを含む、請求項6〜13のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項15】
質量スペクトルが図2のスペクトルを含む、請求項6〜14のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項16】
フーリエ変換赤外線スペクトルが図3のスペクトルを含む、請求項6〜15のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項17】
高速液体クロマトグラフィースペクトルが図4のスペクトルを含む、請求項6〜16のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項18】
X線回折パターンが図5のパターンを含む、請求項6〜17のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項19】
示差走査熱量測定サーモグラフが図6のサーモグラフを含む、請求項6〜18のいずれか1項に記載の精製形態I。
【請求項20】
以下:
(i)5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル;および
(ii)哺乳動物被験体への投与に適したキャリア
を備える、キット。
【請求項21】
前記5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルがミクロ化される、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態Iの参照標準。
【請求項23】
溶媒をさらに含む、請求項22に記載の参照標準。
【請求項24】
請求項22または23に記載の参照標準を備える、キット。
【請求項25】
前記参照標準を使用するための指示書をさらに備える、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態Iを含む医薬組成物を調製する方法であって、5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルの精製形態I、ならびに以下:
(i)金属キレート剤;
(ii)pH調節剤;
(iii)界面活性剤;
(iv)少なくとも1つの充填剤;
(v)結合剤;
(vi)崩壊剤;および
(vii)滑沢剤
のうちの1つ以上を混合する工程を含む、方法。
【請求項27】
5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルがミクロ化される、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−539254(P2008−539254A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509080(P2008−509080)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/015813
【国際公開番号】WO2006/116498
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】