説明

タフト付きラミネートウェブ

第一及び第二の前駆体ウェブを含むラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側及び第二の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブと少なくとも1つの離散タフトとを含み、離散タフトのそれぞれは、長手方向軸線を画定する線状の向きを有し、第一の前駆体ウェブの一体延長部であって第二の前駆体ウェブを貫いて延びる複数のタフト化された繊維を含み、第二の側は第一の前駆体ウェブを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム並びに繊維性織布及び不織布ウェブなどのウェブに関する。特に、この発明は、機械的形成により処理して柔軟性又は嵩特性を増加した、そのようなウェブの積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム及び繊維性ウェブなどのウェブの積層体は、当技術分野で周知である。例えば、不織布ウェブは、ポリマーフィルムと積層されて、例えば使い捨て吸収性おむつ上のバックシートなどの使い捨て製品中の材料として有用なようにされることが多い。そのような積層体では、不織布部分が柔軟性を提供することができ、一方、フィルム部分が流体不透過性を提供することができる。
【0003】
多数の用途において、ウェブの積層体は、嵩高の質感及び/又は柔軟性を有することが望ましい。それに加えて、ウェブの積層体は、ウェブの両側上で異なる質感及び柔軟性を有することが望ましい。すなわち、ウェブは、1つの側上では質感のある比較的粗い表面を有し、他方の側上で柔軟な比較的滑らかな表面を有することができる。このことは、接着剤又は熱接着手段などにより2つの異なるウェブを共に積層することにより達成可能である。例えば、タフト付き不織布ウェブをタフト無し不織布ウェブに接着剤により接合して、非常に異なる質感及び柔軟性特性の両面を有するラミネートウェブを作成することができる。
【0004】
それに加えて、2つの不織布材を積層体に組み合わせて、異なる材料の効果を単一ラミネートウェブで得ることが知られている。例えば、不織布ウェブ(複数)をニードルパンチして、一体に結合及び交絡した不織布ウェブを作り出すことが既知である。このプロセスは、単に「ニードル加工」と呼ばれることが多い。例えば、米国特許第5,080,951号(グスリー(Guthrie)、1992年1月14日付与)には、繊維のあるものが布地の全厚さを貫いてさらに表面を越えて延ばされ、これによりフィラメントの短い区分がウェブ外面から突き出して残る、ニードル加工により結合された複数層からなる不織布ウェブが開示されている。水流交絡を使用して、2つの繊維性不織布ウェブを同様に交絡達成することも多い。ニードル加工は、流体交絡と同じく、不織布ウェブの製造には、特に使い捨て物品用途を意図されるウェブには、比較的低速及びしたがってコスト高の加工法である。
【0005】
一般に、フィルム及び繊維性ウェブの積層体を作成して少なくともその1つの側上に嵩高又はタフト付き質感を有するための現在の方法は、そのようなウェブの多数の用途には比較的コスト高であるか、又は得られるウェブが接着剤若しくは熱接着の適用に起因して堅すぎるかいずれかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、タオル地様特性を有する低コストラミネートウェブが必要とされる。
それに加えて、タフト付き領域を有する不織布とフィルム又は別の不織布層とが接合可能である、好ましくは積層状態を維持するための接着剤又は熱接着を必要としない手段により可能である、ラミネートウェブが必要とされる。
それに加えて、層が接合されているばかりでなく、互いのいたるところ一体化されている、ラミネートウェブが必要とされる。
それに加えて、タオル地様特性を有するラミネートウェブを、比較的安価に作成する方法が必要とされる。
更に、フィルム、織物、及び/又は不織布材料の柔軟で嵩高な多孔質ラミネートウェブを、低コストで作成する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一及び第二の前駆体ウェブを含むラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側及び第二の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブと少なくとも1つの離散タフトとを含み、離散タフトのそれぞれは、長手方向軸線を画定する線状の向きを有し、第一の前駆体ウェブの一体延長部であって第二の前駆体ウェブを貫いて延びる複数のタフト化された繊維を含み、第二の側は第一の前駆体ウェブを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明のラミネートウェブ1を示し、以降では単にウェブ1と呼ぶ。ウェブ1は、少なくとも2つの層を含む。その層は、本明細書において、概ね平面状の二次元前駆体ウェブ、例えば第一の前駆体ウェブ20及び第二の前駆体ウェブ21などと呼ばれる。いずれの前駆体ウェブも、フィルム、不織布、又は織物ウェブとすることができる。前駆体ウェブ20及び21(及びいずれかの追加ウェブ)は、接着剤、熱接着、超音波結合などにより接合可能であるが、好ましくは、接着剤又は他の結合形態を使用せずに接合される。以降で開示するように、ウェブ1の構成前駆体ウェブは、タフト6の形成の結果として生じる機械的かみ合い係合により接合することができる。
【0009】
ウェブ1は、第一の側3及び第二の側5を有する。用語「側」は、概ね平らな状態にある時に2つの側を有する紙及びフィルムなどの、概ね平面状二次元ウェブについての普通の使用法で使用される。それぞれの前駆体ウェブ20及び21は、第一の表面12及び13をそれぞれ、並びに第二の表面14及び15をそれぞれ有する(図3に示す)。ウェブ1は、ウェブ製造技術において通常知られているように、機械方向(MD)及び機械横方向(CD)を有する。本発明はポリマーフィルム及び織物ウェブと共に実施可能であるが、好ましい実施形態においては、第一の前駆体ウェブ20は、実質的にランダムに配向された繊維からなる不織布ウェブである。「実質的にランダムに配向された」により、前駆体ウェブのプロセス条件に起因してCDよりMDに配向された繊維が多くあっても、又はその逆でもよいことを意味する。例えば、スパンボンド及びメルトブローイングプロセスの連続繊維ストランドは、MDに移動する支持体上に堆積される。スパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブの繊維配向を真に「ランダム」にしようとする努力にもかかわらず、通常は僅かに高い率の繊維が、CDに対向するMDに配向される。好ましい実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、第一の前駆体ウェブ20に類似の不織布ウェブか、又はポリエチレンフィルムなどのポリマーフィルム若しくは孔あきポリマーフィルムである。
【0010】
一実施形態では、ウェブ1の第一の側3は、第二の前駆体ウェブ21の第一の表面13の露出部分と、第一の前駆体ウェブ20の不織布繊維の一体延長部である少なくとも1つ好ましくは複数の離散タフト6とにより画定される。図3に示すように、各タフト6は、第二の前駆体ウェブ21を貫いてその第一の表面13から外向きに延びる、複数のループ状整列繊維8を含むことができる。別の実施形態では、各タフト6は、第一の表面13から外向きに延びる、複数の(図3に示すような)非ループ状繊維18を含むことができる。
【0011】
本明細書で使用する時、用語「不織布ウェブ」は、個々の繊維又は糸の構造体を有するウェブであって、相互にさし込みはするが、通常はランダム配向の繊維は有さない織物又は編み布地のような繰返しパターンではないものを指す。不織ウェブ又は布は、例えば、メルトブローイングプロセス、スパンボンドプロセス、水流交絡、エアレイ、及びカード加工熱接着を含むカードウェブ結合プロセスなど、多数のプロセスで形成されてきた。不織布の坪量は通常、平方メートル当りグラム(gsm)で表わされる。ラミネートウェブの坪量は、構成層及びいずれか他の追加構成要素の合計坪量である。繊維直径は通常ミクロンで表わされるが、繊維サイズはデニールで表わすこともでき、これは繊維長さ当りの重量の単位である。本発明で使用するのに好適なラミネートウェブの坪量は、ウェブ1の最終用途にもよるが、10gsm〜500gsmの範囲とすることができる。例えば、ハンドタオルとして使用する場合、第一の前駆体ウェブ20及び第二の前駆体ウェブ21両方は、25gsm〜100gsmの間の坪量を有する不織布ウェブとすることができる。バスタオルとして使用する場合、第一の前駆体ウェブ20及び第二の前駆体ウェブ21両方は、125gsm〜250gsmの間の坪量を有することができる。浸食防止ライナーなどのグラウンドカバーとして使用する場合、350gsm〜500gsm又はそれ以上の間の積層体坪量が適切であり得る。
【0012】
不織布前駆体ウェブ20又は21の構成繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びこれらのブレンドなどのポリマーからなることができる。その繊維は、セルロース、レーヨン、木綿、若しくは他の天然繊維、又はポリマーと天然材料のブレンドを含むことができる。その繊維はまた、ポリアクリレート又は好適な材料のいずれかの組み合わせなどの、超吸収性材料を含むことができる。その繊維は、単構成要素、複合、及び/又は二成分、非円形(例えば、毛管チャネル繊維)とすることができ、並びに0.1〜500ミクロンの範囲の断面主寸法(例えば、円形繊維の場合は直径)を有することができる。例えば、不織布ウェブに好適な1つのタイプの繊維には、ナノファイバが含まれる。ナノファイバは、1ミクロン未満の平均径を有する繊維として記述される。ナノファイバは、不織布ウェブ中の繊維の全てか、又は不織布ウェブ中の繊維の一部を含むことができる。不織布前駆体ウェブの構成繊維はまた、化学種(例えば、PE及びPP)、構成要素(単及び2)、デニール(マイクロデニール及び>20デニール)、形状(すなわち、毛管及び円形)などのような特徴が異なる、異なる繊維タイプの混合物であってもよい。構成繊維は、約0.1デニール〜約100デニールの範囲とすることができる。
【0013】
本明細書で使用する時、「スパンボンド繊維」とは、溶融した熱可塑性樹脂材料を、押し出したフィラメント直径の微細で通常は円形をした複数の紡糸口金の毛管から、フィラメントとして押し出して、その後急激に縮小することにより形成される小径繊維を指す。スパンボンド繊維は、一般に、集積表面に堆積される時には粘着性がない。スパンボンド繊維は、一般に連続であり、及び7ミクロンより大きい、更に具体的には約10〜40ミクロンの間の(少なくとも10本のサンプルの)平均径を有する。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「メルトブローイング」とは、溶融した熱可塑性樹脂材料を、微細で通常は円形をした複数の金型毛管を通して、高速で通常は加熱された集束するガス(例えば空気)流の中へ、溶融した糸又はフィラメントとして押し出し、このガス流によって溶融した熱可塑性樹脂材料のフィラメントを細くして、マイクロファイバー直径にもなり得る直径に縮小することにより、繊維が形成されるプロセスを指す。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流によって運ばれて、集積表面上に堆積され、多くはまだ粘着性のままで、ランダムに分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続でも非連続でもよいマイクロファイバーであり、一般に平均径が10ミクロン未満である。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「ポリマー」には、一般的に、ホモポリマーと、例えばブロック、グラフト、ランダム、及び交互性コポリマーなどのコポリマーと、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び修飾物が含まれるが、これらに限定されない。しかも、特に異なって限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料のあらゆる可能な幾何学的形態を含む。その形態には、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及び任意対称性が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「単構成要素」繊維とは、ただ1つのポリマーを使用して1つ以上の押出機により形成される繊維を指す。これは、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために少量の添加物を追加された1つのポリマーから形成される繊維を除外することを意味しない。これらの添加物、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に約5重量%未満、より典型的には約2重量%未満の量で存在する。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「複合繊維」は、別個の押出機から押出されるが共に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2つの異なるポリマーで形成された繊維を指す。複合繊維はまた、コンジュゲート繊維又は多構成要素繊維と呼ばれることもある。ポリマーは、複合繊維の断面を横切って実質的に一定に位置する異なる領域に配置され、及び複合繊維の長さに沿って連続的に延びる。そのような複合繊維の構成は、例えば1つのポリマーがもう1つに包囲されるシース/コア配置であってもよく、あるいは並列配置、パイ形配置、又は「海島型」配置であってもよい。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「二成分繊維」は、同一押出機からブレンドとして押し出される少なくとも2つのポリマーで形成された繊維を指す。二成分繊維は、繊維の断面域を横切って比較的一定に位置する異なる領域に配置された様々なポリマー構成要素は有さず、及び様々なポリマーは、通常は繊維の全長に沿って連続ではなく、通常その代わりランダムに開始して終了するフィブリルを形成する。二成分繊維はまた、多成分繊維と呼ばれることもある。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「非円形繊維」は、非円形断面を有する繊維を記述し、並びに「形状付き繊維」及び「毛管チャネル繊維」を含む。そのような繊維は、中実にも中空にもすることができ、3葉(tri-lobal)、デルタ形状とすることができ、及び好ましくはその外側表面上に毛管チャネルを有する繊維である。毛管チャネルは、「U形状」、「H形状」、「C形状」、及び「V形状」など、様々な断面形状とすることができる。1つの好ましい毛管チャネル繊維には、テネシー州ジョンソンシティー(Johnson City,TN)のファイバー・イノベイション・テクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手可能な4DG繊維として表記されるT−401がある。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
【0020】
本明細書で使用する時、「一体延長部」にあるような用語「一体」は、タフト6について使用される時、第一の前駆体ウェブ20の繊維から始まったタフト6の繊維について言う。したがって、タフト6のループ状繊維8及び非ループ状繊維18は、塑性的に変形されて伸びる第一の前駆体ウェブ20の繊維とすることができ、したがって、第一の前駆体ウェブ20と一体である。本明細書で使用する時、「一体」は、例えば従来型カーペット作成で通常なされるような、タフト作成の目的で別個の前駆体ウェブに導入された又は加えられた繊維とは区別されるべきである。
【0021】
タフト6の数、間隔、及び寸法は、ウェブ1の第一の側3に変化する肌ざわりを付与するように変更可能である。例えば、タフト6が充分に密な間隔である場合、ウェブ1の第一の側3は、タオル地様の感触を有することができる。別の方法としては、タフト6は、線群又は充満した形状などのパターンの配置とし、ラミネートウェブの一部をより大きな肌ざわり、柔軟性、嵩、吸収性、又は視覚デザイン魅力を有するように作り出すことができる。例えば、タフト6が線(単数又は複数)のパターンで配置される場合、タフトは、縫い目の外観を有することができる。タフト6は、デザイン、単語、又はロゴなどの特定の形状を形成するように配置も可能である。そのような形状は、例えばホテルのバスタオル又はローブに有用な積層体に使用することができ、これらが、その上に形成されたホテルの名称又はロゴを有することができる。同様に、個々のタフト6の高さ、長さ、及び幅などのサイズ寸法は、変化可能である。単一タフトは、長さを約3cmにも長くすることができ、及び一本だけ作成又は様々なサイズのタフトに混じって分散が可能である。
【0022】
第一の前駆体ウェブ20は、以降で更に充分に説明するように、一部をタフト6に形成するのに充分な伸び特性を有する繊維を含む、繊維性織物又は不織布とすることができる。タフトは、第一の前駆体ウェブ20の離散した局所的な一部において、繊維をZ方向へ面外に強制することにより形成される。面外への強制は、繊維の変位に帰因することができ、すなわち、繊維は他の繊維に相対的に移動可能であり、及び面外にいわば「引張り」可能である。しかしながら、大部分の不織布の第一前駆体ウェブ20の場合、より多くにおいて、面外への強制は、タフト6の繊維が少なくとも部分的に塑性的に伸張されて永久的に変形しタフト6が形成されたことに帰因する。したがって、一実施形態では、不織布の第一前駆体ウェブ20の構成繊維は、タフト6の所望の高さにもよるが、少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、及びより好ましくは少なくとも約100%の破断伸びを示すことができる。破断伸びは、単純引張り試験により、例えばインストロン引張り試験設備の使用により決定可能であり、及び一般にそのような繊維又はウェブの供給元からの材料データシート上で見出すことができる。
【0023】
好適な不織布の第一前駆体ウェブ20は、ループ状繊維8を形成するために、充分な塑性変形及び引張り伸びを受けることが可能な繊維を含むか、又は充分な繊維移動が可能とすべきであると理解することができる。しかしながら、第一の前駆体ウェブ20の第一の表面12の平面外に強制された繊維のあるパーセントは、ループを形成するのではなく、破断して緩み端部を形成することが理解される。そのような繊維は、本明細書において、図3に示すように、「緩み」繊維又は「緩み繊維端部」18と呼ぶ。緩み繊維端部18は、本発明にとって必ずしも望ましくないものではなく、及び幾つかの実施形態においては、タフト6の繊維の大部分又は全てを緩み繊維端部18とすることができる。緩み繊維端部18はまた、切断短繊維からなる又はこれを含む不織布ウェブからタフト6を形成することの結果でもあり得る。そのような場合、ウェブ中の短繊維数、短繊維切断長、及びタフトの高さなどのようなものに依存して、短繊維端部のある数が、タフト6の中へ突き出すことがある。場合によっては、前駆体ウェブ中に異なる長さの繊維のブレンドを使用するか、又は異なる層中に異なる長さの繊維を使用するのが望ましいこともある。これによって、より短い繊維からより長い繊維を選択的に分離することが可能になり得る。より長い繊維が、主にタフト6を形成し、一方、より短い繊維が、タフト6を形成しないウェブの部分に主に残ることができる。繊維長さの代表的な混合は、より長い繊維については約2〜8cmの繊維を、より短い繊維については約1cm未満の繊維を含むことができる。
【0024】
第一の前駆体ウェブ20は、弾性又はエラストマー繊維を含む繊維性の織物又は不織布ウェブとすることができる。弾性又はエラストマー繊維は、少なくとも約50%伸張されて、元の寸法の10%以内に戻ることができる。タフト6は、繊維が不織布内の繊維移動性のために単に変位する場合、又は繊維が弾性限界を超えて伸張されて塑性変形する場合は、弾性繊維から形成可能である。
【0025】
第二の前駆体ウェブ21は、実質上いかなるウェブ材料にもすることができ、要求事項は、以降で説明する加工により積層体に形成するのに充分な一体性を有すること、及び第一の前駆体ウェブ20が第二の前駆体ウェブ21の方向へ面外に強制されることからの繊維のひずみを受けた時に、第二の前駆体ウェブ21が例えば引張り破壊に起因する引裂きなどにより破裂し、第一の前駆体ウェブ20の一部が第二の前駆体ウェブ21を貫いて伸び(すなわち、いわば「突き抜け」)て、ウェブ1の第一の側3上にタフト6を形成することができるように、第一の前駆体ウェブ20と比較して充分に小さい伸び特性を有することだけである。一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21はポリマーフィルムである。第二の前駆体ウェブ21はまた、織物ウェブ、不織布ウェブ、ポリマーフィルム、孔あきポリマーフィルム、紙ウェブ(例えばティッシュペーパー)、金属箔(例えば、アルミニウムラップフォイル)、発泡体(例えば、ウレタン発泡シート)などとすることができる。
【0026】
図1に示すウェブ1の実施形態の代表的なタフト6を、図2に更なる拡大図で示す。タフト6は、図2又は3に示すように、実質的に整列した複数のループ状繊維8を含んで、明瞭な線状の向き及び長手方向軸線Lを有するようなふうになっている。タフト6はまた、MD−CD平面内で長手方向軸線Lに概ね直交する、横断方向軸線Tを有する。図1及び2に示される実施形態では、長手方向軸線Lは、MDに平行である。一実施形態では、間隔が離れる全てのタフト6は、概ね平行な長手方向軸線Lを有する。ウェブ1の単位面積当りのタフト6の数、すなわちタフト6の面積密度は、単位面積例えば平方センチメートル当り1つのタフトから、平方センチメートル当り100タフトにも多くまで変化可能である。最終用途によって、平方センチメートル当り少なくとも10、又は少なくとも20のタフト6とすることができる。一般に、面積密度は、ウェブ1の全面積にわたって均一である必要はなく、タフト6は、ウェブ1のある領域だけ、例えば線、ストライプ、バンド、円等のような予め定めた形状を有する領域などとすることができる。
【0027】
本明細書の説明により理解できるように、ウェブ1の多数の実施形態において、第二の前駆体ウェブ21の開口部4は、明瞭な線状の向きと、対応するタフト6の長手方向軸線Lに平行に向く長手方向軸線とを有する。同様に、開口部4は、MD−CD平面内で長手方向軸線に概ね直交する横断方向軸線も有する。
【0028】
図1〜4に示すように、タフト6は、第二の前駆体ウェブ21内の開口部4を通って延びる。開口部4は、以降で詳細に説明される加工により、第二の前駆体ウェブ21を局所的に破裂させることによって形成される。破裂は、開口部4が単純な二次元開口として残るような、第二の前駆体ウェブ21を単に切り開いた開口部を含んでもよい。しかしながら、ポリマーフィルムのような幾つかの材料の場合、第二の前駆体ウェブ21の一部が、面(すなわち第二の前駆体ウェブ21の平面)外に撓ませられ又は強制されて、本明細書でフラップ(単数又は複数)7と呼ばれるフラップ様構造体を形成することが可能である。フラップ7の形体及び構造は、第二の前駆体ウェブ21の材料特性に強く依存する。フラップ7は、図1及び2に示されるような1つ以上のフラップの一般構造を有することができる。別の実施形態では、フラップ7は、タフト6がフラップ7からあたかも噴火しているような、より火山様構造を有することができる。
【0029】
一実施形態では、フラップ7は、タフト6の材料に著しい影響を与えることがなく、特にタフト6の触覚品質に著しい影響を与えない。したがって、一実施形態では、ラミネートウェブ1は、少なくとも2つの層(すなわち、前駆体ウェブ20及び21)を含むが、層の少なくとも1つ(すなわち、図1〜4の前駆体ウェブ21)は、タフト6の触覚品質に著しく影響を与えない。
【0030】
一実施形態では、フラップ7は、面外に著しく、いわばタフト6そのものに匹敵する高さにさえ延びてもよい。この実施形態では、フラップ7は、タフト6をより弾力性にする、及び圧縮又は曲げ力のために平坦化する傾向を減少させることができる。したがって、一実施形態では、ラミネートウェブ1は、少なくとも2つの層(すなわち、前駆体ウェブ20及び21)を含んで、両方の層が、タフト6の触覚品質に影響を及ぼす。
【0031】
タフト6は、ある意味では、第二の前駆体ウェブ21を「突き抜け」、及び開口部4との摩擦係合により適所に「固定」可能である。例えば、幾つかの実施形態では、開口部4の横幅(すなわち、横断方向軸線に平行に測定する寸法)は、(以下に説明するプロセスにより)開口部を形成した歯の最大幅未満のことがある。このことは、開口部におけるある量の回復を示し、これによりタフト6の開口部4を通る引き戻しが抑制される傾向となる。タフトと開口部の摩擦係合が、接着剤又は熱接着無しに形成可能な永久的なタフト形成を1つの側上に有する、ラミネートウェブ構造を提供する。
【0032】
幾つかの実施形態においては、層の少なくとも1つ(例えば、図1〜4の比較的伸びが低いポリマーフィルム又はティッシュペーパーの第二の前駆体ウェブ21)は、(図1〜4に示される実施形態でのような)タフト6の材料に著しく寄与しないので、不織布の第一の前駆体ウェブ20を含むウェブ1は、不織布の第一の前駆体ウェブ20だけにより寄与された繊維でウェブ1の両側上で優勢的に繊維性であると特徴付けることができる。したがって、タフト6は、ウェブ1の第一の側3を有効に覆うために、充分に密接した間隔とすることができる。そのような実施形態では、ウェブ1の両側が不織布であって、2つの側3と5の間の差は表面の肌ざわりの差であるように見える。したがって、一実施形態では、本発明は、2つ以上の前駆体ウェブのラミネート材料であって、ラミネートウェブの両側が前駆体ウェブの片方だけからの繊維により実質的に覆われているものと記述することができる。
【0033】
図1〜4に示すように、タフト6の1つの特徴は、繊維8又は18の優勢な方向整列とすることができる。例えば、ループ状整列繊維8は、Z−CD平面に平行に有意又は主要ベクトル成分を有すると記述することができ、ループ状繊維8は、図4でのような平面図で見る時、横断方向軸線Tに関して実質的に均一に整列している。「ループ状」繊維8により、第一の前駆体ウェブ20と一体であり、これらから始まってこれらで終わるが、第二の前駆体ウェブ21の第一の表面13からZ方向へ外向きに延びる繊維8を意味する。タフト6のループ状繊維8に関して「整列」により、ループ状繊維8全てが一般に、図4でのような平面図で見る場合、ループ状繊維8のそれぞれが横断方向軸線Tに平行に有意なベクトル成分を有し、好ましくは横断方向軸線Tに平行に主要ベクトル成分を有するように、向いていることを意味する。
【0034】
対照的に、非ループ状繊維18は、第一の前駆体ウェブ20と一体ではあるが、これらから始まるだけであり、第二の前駆体ウェブ21の第一の表面13からZ方向へ外向きに延びる自由端部を有する。緩み繊維18もまた、Z−CD平面に平行に有意又は主要ベクトル成分を有すると記述されるような、概ね均一の整列を有することができる。
ループ状繊維8及び緩み繊維18両方について、整列は、ロール上への巻き付け又は製造物品における使用中の圧縮に起因するいずれかの製造後変形の前の、タフト6の特徴である。
【0035】
本明細書で使用する時、図4のような平面図で見る時に長手方向軸線Lから45度より大きい角度で向くループ状繊維8は、横断方向軸線Tに平行に有意ベクトル成分を有する。本明細書で使用する時、図4のような平面図で見る時に長手方向軸線Lから60度より大きい角度で向くループ状繊維8は、横断方向軸線Tに平行に主要ベクトル成分を有する。好ましい実施形態では、タフト6の繊維8の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、及びより好ましくは少なくとも90%が、横断方向軸線Tに平行な有意の、及びより好ましくは主要ベクトル成分を有する。繊維配向は、必要な場合は、好適な測定スケールを備えた顕微鏡などの拡大手段の使用により決定可能である。一般に、平面図で見て繊維の非直線セグメントについては、長手方向軸線L及びループ状繊維8両方の直線近似が、ループ状繊維8の長手方向軸線Lからの角度を決定するために使用可能である。例えば、図4に示すように、1つの繊維8aが太線により強調して示され、その直線近似8bが破線として示される。この繊維は、長手方向軸線と約80度の角度を作る(Lから反時計方向に測定して)。
【0036】
タフト6中のループ状繊維8の配向は、第一の前駆体ウェブ20の繊維組成及び配向とは対比されるべきであり、これらは、不織布ウェブについてであり、実質的にランダムに向く繊維配列を有すると記述されるのが最も良い。織物ウェブの実施形態では、タフト6中のループ状繊維8の配向は、上述のものと同一であり得るが、第一の前駆体ウェブ20の繊維は、ウェブを作成するのに使用された特定の織り方法例えば平織りパターンに関連する配向を有する。
【0037】
図1に示す実施形態では、タフト6の長手方向軸線Lは、概ねMDに整列する。タフト6及びしたがって長手方向軸線Lは、原理的には、MD又はCDに関していずれの向きにも整列することができる。したがって、一般的には、各タフト6について、ループ状の整列した繊維8は、横断方向軸線Tに平行に有意ベクトル成分を有し、及びより好ましくは横断方向軸線Tに平行に主要ベクトル成分を有するようなふうに、長手方向軸線Lに概ね直交して整列すると言うことができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、支配的にはループ状であり整列する繊維8を含むタフト6の別の特徴は、以降で説明するようなタフト6を形成する好ましい方法に起因して、図2及び3に示すような、タフト6の内部に画定された開放空隙領域10により特徴付けられる、その概ね開いた構造とすることができる。空隙領域10は、タフト6の遠位端部31においてより広い又はより大きい、及びタフト6の基部17においてより狭い形状を有することができる。これは、タフト6を形成するのに使用される歯の形状とは反対である。「空隙領域」により、繊維が全く無い領域とは意味しておらず、その用語は、タフト6の一般的な外観の一般的な記述としての意味である。したがって、幾つかのタフト6においては、単数又は複数の緩み繊維18が空隙領域10の中にあってもよいことがある。「開放」空隙領域により、タフト6の2つの長手方向端部が概ね開放であって繊維が無く、タフト6が、図3に示すような、非圧縮状態の「トンネル」構造様のものを形成できるようになっていることを意味する。
【0039】
更に加えて、ウェブ1を作成する好ましい方法の結果として、ウェブ1の第二の側5は、概ね線状の窪みにより特徴付けられる不連続部16を示しており、これは、第一の前駆体ウェブ20の第二の表面14の以前は無秩序の繊維が、以降で詳細に説明する形成構造の歯によりタフト6の中へ方向的に(すなわち、図1及び3に示すように、MD−CD平面に概ね直交する「Z方向」へ)強制されたことにより画定されたものである。第一の前駆体ウェブ20の以前はランダムに配向されていた繊維により示される配向の急激な変化が、不連続部16を画定し、タフト6の長手方向軸線Lに概ね平行な長手方向軸線を有すると記述可能であるような直線性を示す。第一の前駆体ウェブ20として有用な多数の不織布ウェブの性質に起因して、不連続部16は、タフト6ほどには明瞭に知覚可能ではないことがある。この理由から、ウェブ1の第二の側5上の不連続部16は、見過ごし可能であり、ウェブ1を近くで検査しない限り一般に検知されないことがある。そのようなものであるから、ウェブ1の第二の側5は、タフトが無い第一の前駆体ウェブ20の外観及び感触を有することができる。このようにして幾つかの実施形態では、ウェブ1は、第一の側3上ではタオル地の肌ざわりの外観と感触を有して、第二の側5上では比較的滑らかな柔らかい外観と感触を有することができ、両側とも、同一の不織布ウェブすなわち第一の前駆体ウェブ20からの繊維からなる。別の実施形態では、不連続部16は、開口として見える可能性があり、トンネル様のタフト6の端部によりウェブ1を貫通する穴のこともある。
【0040】
不織布の第一の前駆体ウェブ20を含むウェブ1の説明から、タフト6の繊維8又は18は、第一の前駆体ウェブ20の第一の表面12又は第二の表面14のいずれかから始まって延びることができるのが分る。もちろん、タフト6の繊維8又は18は、第一の前駆体ウェブ20の内部28からも延びることができる。図3に示すように、タフト6の繊維8又は18は、第一の前駆体ウェブ20の概ね二次元平面の外部へ強制された(すなわち、図3に示されるように「Z方向」に強制された)ことが原因で延びる。一般に、タフト6の繊維8又は18は、第一の前駆体ウェブ20の繊維と一体であってこれから延びる繊維を含む。
【0041】
したがって、上の説明から、一実施形態では、ウェブ1は、少なくとも第一及び第二の前駆体ウェブを選択的に機械的変形をすることにより形成されるラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側及び第二の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブ及び複数の離散タフトを含み、離散タフトのそれぞれは第一の前駆体ウェブの一体延長部であって第二の前駆体ウェブを貫いて延びる複数のタフト化された繊維を含み、第二の側は第一の前駆体ウェブを含むと、記述できることが理解される。
【0042】
繊維8又は18の伸張は、繊維の塑性変形とポアッソン比効果に起因する繊維断面寸法(例えば円形繊維の場合は直径)の全体的減少に付随して起き得る。したがって、タフト6の整列ループ状繊維8は、第一の前駆体ウェブ20の繊維の平均繊維直径より小さい平均繊維直径を有することができる。繊維直径のこの減少が、第一の前駆体ウェブ20の材料特性によっては綿タオル地に匹敵可能な柔軟性のこともある、ウェブ1の第一の側3の知覚される柔軟性に寄与していると考えられる。繊維断面寸法の減少は、タフト6の基部17と遠位部分31の中間で最も大きいことが判明した。このことは、以降で更に充分に説明するような好ましい作成方法が原因であると考えられる。端的には、図3に示すように、タフト6の基部17及び遠位部分31における繊維の部分は、以降で更に充分に説明されるロール104の歯110の先端部に隣接していて、加工中に摩擦固定されて移動不能であると考えられる。したがって、タフト6の中間部分は、より自由に伸張又は伸び、及びそれ故に、対応する繊維断面寸法の減少が起こり得る。第一の前駆体ウェブ20の繊維の幾分かは、タフト6の基部17を横方向に絞ることもある。タフト6の基部17は、更に閉じられる(タフト6からの繊維が互いに充分に近い場合は接触する)こともあり、開いたままのこともある。一般に、基部17のどの開口部も、狭い。基部17におけるその他の繊維が閉じる、狭まる、又は絞られることが、タフト6及び第二の前駆体ウェブ21の安定化を助けることができる。
【0043】
図5を参照すると、本発明のウェブ1を作成する装置及び方法が示されている。装置100が、対の噛み合うロール102及び104を備えており、そのそれぞれは軸線Aの周りを回転し、軸線Aは同一平面内で平行である。ロール102は、複数のロール102の全円周を破断なく延びる、隆起部106と対応する溝部108を有する。ロール104は、ロール102と類似であるが、全円周を破断なく延びる隆起部を有するよりも、ロール104の少なくとも一部の周りを間隔をおいた関係で延びる円周上に間隔のある歯110の列であるように変更された、複数列の円周に広がる隆起部を有する。ロール104の歯110の個々の列は、対応する溝部112により分離される。運転中には、ロール102と104は、ロール102の隆起部106がロール104の溝部112の中へ延びて、ロール104の歯110がロール102の溝部108の中へ延びるように噛み合う。噛合いは、以下で説明する図6の断面図で更に詳細に示される。ロール102及び104の両方又はいずれかは、熱油を満たされたローラー又は電気加熱ローラーの使用など、当技術分野において既知の手法により加熱可能である。
【0044】
図5では、装置100が、1つのパターン付きロール例えばロール104と1つのパターン無し溝付きロール102とを有する好ましい構成で示される。しかしながら、ある実施形態では、同一か又は異なるいずれかのパターンをそれぞれのロールの同一又は異なる対応領域内に有する、2つのパターン付きロール104を使用するのが好ましいことがある。そのような装置は、ウェブ1の両側から突き出すタフト6を有するウェブを生産することができる。同一ロール上で反対方向を指す歯を有する装置も設計可能である。これにより、ウェブの両側上にタフト6が作り出されたウェブという結果になる。
【0045】
本発明のウェブ1を商業的に実行可能な連続加工で作成する方法が、図5に示されている。ウェブ1は、第一及び第二の前駆体ウェブ20及び21などの前駆体ウェブを機械的に変形することにより作成され、そのそれぞれは、図5に示される装置による加工の前は、概ね平面状で二次元的と記述することができる。「平面状」及び「二次元的」により、ウェブが、タフト6の形成に起因して明瞭な面外のZ方向三次元性を有する仕上りウェブ1と比較して、概ね平らな状態で加工を開始することを単に意味する。「平面状」及び「二次元的」は、いずれか特定の平面度、平滑度、又は次元数を含意することは指さない。
【0046】
本発明の方法及び装置は、米国特許第5,518,801号、名称「弾性様挙動を示すウェブ材料(Web Materials Exhibiting Elastic-Like Behavior)」に記載及び「SELF」ウェブとして引き続く特許文献中で言及される方法に多くの点で類似している。SELFとは「構造的に弾性様のフィルム」の略である。しかしながら、本発明の装置及び方法と第5,518,801号特許に開示された装置及び方法との間には著しい差があり、その差はこれらにより生産されるそれぞれのウェブで明白である。本質的にウェブの変形であるのとは対照的に、以降で説明するように、ロール104の歯110は、歯が前駆体ウェブ20、21を本質的に「突き」通すことを可能にする、前縁及び後縁に付随された独特の形状を有する。2層ラミネートウェブ1では、歯110は、第一の前駆体ウェブ20からの繊維を面外に強制すると同時に第二の前駆体ウェブ21を貫き、後者は歯110が繊維8を押し通すことによりいわば刺されて、タフト6が形成される。したがって、本発明のウェブ1は、第一の側3の表面13を貫いてこれから遠くへ延びる緩み繊維端部18のタフト6及び/又はループ状整列繊維8の「トンネル様」タフト6を有することができるものであり、関連付けられた連続側壁すなわち連続「推移領域」をそのそれぞれが有する、及び1つの層の他の層を貫く相互貫通を示さない、SELFウェブの「テント様」あばら骨様の要素とは違う。
【0047】
前駆体ウェブ20及び21は、それぞれのウェブ製造プロセスから直接にか、又は供給ロール(図示せず)から間接的いずれかで提供されて、逆回転する噛み合いロール102及び104のニップ116に向いて機械方向へ移動する。前駆体ウェブは、好ましくは、ニップ16へ概ね平坦化状態で進入するために、ウェブハンドリング技術分野で周知の手段により、充分なウェブ張力に保持される。各前駆体ウェブ20、21がニップ116を通過する時、ロール102の溝部108と噛み合うロール104の歯110が、第一の前駆体ウェブ20の一部を第一の前駆体ウェブ20の平面外へ強制すると同時に第二の前駆体ウェブ21を貫いて、タフト6を形成する。実際には、歯110は、第一の前駆体ウェブ20の繊維を「押し」又は「突いて」、第二の前駆体ウェブ21を貫く。
【0048】
歯110の先端が第一及び第二の前駆体ウェブ20、21を押し抜けると、第一の前駆体ウェブ20の繊維の歯110を横切ってCDに優勢に配向された部分が、歯110により第一の前駆体ウェブ20の平面外に強制される。繊維は、繊維移動性があるので面外に強制可能であり、あるいはZ方向への伸張及び/又は塑性変形することにより面外に強制可能である。歯110により面外に強制された第一の前駆体ウェブ20の一部が、第二の前駆体ウェブ21を押し通して、後者は、その比較的低い伸張性のために破裂し、これによりウェブ1の第一の側3上にタフト6を形成するという結果になる。長手方向軸線Lすなわち図1に示される前駆体ウェブ20のMDに概ね平行に優勢に配向された第一の前駆体ウェブ20の繊維は、歯110により広げて離されるだけであって、実質的にその元のランダム配向状態のままである。これが、何故ループ状繊維8が、図1〜4に示されるものなどの実施形態において、タフト6の横断方向軸線Tに平行な有意又は主要ベクトル成分を有する各タフト6の繊維が高いパーセンテージである、独特の繊維配向を示すことができるかの理由である。
【0049】
これまでの説明により、ウェブ1が本発明の装置及び方法により作成される時、前駆体ウェブ20、21が、破壊例えば引張応力による破壊の前の前駆体ウェブの伸び能力に関して、異なる材料特性を持つべきであるのを理解することができる。特に、不織布の第一の前駆体ウェブ20は、第二の前駆体ウェブ21と比較してより大きい繊維移動性及び/又はより大きい繊維伸び特性を有して、その繊維がタフト6を形成するのに充分に移動又は伸張することができ、一方、第二の前駆体ウェブ21が破壊すなわちタフトを形成するのに必要な程度までは伸張しないようにすることができる。
【0050】
不織布前駆体ウェブの繊維が塑性変形なしで面外に伸びることができる程度は、前駆体ウェブの繊維間結合の程度によって決まり得る。例えば、不織布前駆体ウェブの繊維が互いに非常に緩く交絡しているだけの場合、互いに滑る(すなわち、レプテイション(reptation)によって隣接繊維に相対的に移動する)ことがより可能であり、したがって、より容易に面外に伸びてタフトを形成する。これに対して、例えば高いレベルの熱点結合や水流交絡などでより強く結合した不織布前駆体ウェブの繊維は、面外タフトに伸びるのにより大きい程度の塑性変形を必要としがちである。したがって、一実施形態では、第一の前駆体ウェブ20は比較的低い繊維間結合を有する不織布ウェブとし、及び第二の前駆体ウェブ21は比較的高い繊維間結合を有する不織布ウェブとして、第一の前駆体ウェブの繊維は面外に伸びることができて、第二の前駆体ウェブ21の繊維はできないようにすることができる。第一の前駆体ウェブ21に充分な力が付加されると、その中の繊維は伸びる傾向となり、一方、第二の前駆体ウェブの繊維は、伸び得なくて破断する傾向である。
【0051】
所与の最大ひずみ(例えば、装置100の歯110により課されるひずみ)に対して、第二の前駆体ウェブ21は、課されたひずみにより作り出される引張り荷重下で実際に破壊しなければならない。すなわち、本発明のタフト6がウェブ1の第一の側3上に配置されるためには、第二の前駆体ウェブ21は、局所的に(すなわち、ひずみ領域内で)張力により破壊し、これによりタフト6が通って伸びることができる開口部4を作り出すように、(有る場合でも)充分に低い繊維移動性及び/又は比較的低い破断伸びを有さなければならない。第二の前駆体ウェブ21が誘起されたひずみの領域内で変形又は伸張するのみであって、実際に破壊することにより開口部4をその中に作り出さない場合には、タフト6という結果にはなり得ない。一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、1%〜5%の範囲の破断伸びを有する。実際に必要な破断伸びはウェブ1を形成するために誘起されるべきひずみによって決まるが、大部分の実施形態の場合、第二の前駆体ウェブ21は、6%、7%、8%、9%、10%、又はより多くのウェブ破断伸びを示すことができると理解される。実際の破断伸びはひずみ速度に依存し得るものであり、これは、図5に示される装置の場合、ライン速度の関数であることも理解される。本発明で使用されるウェブの破断伸びは、インストロンMTSスィングアルバート(Instron,MTS,Thwing-Albert)などにより製造されるもののような標準引張り試験装置を使用する標準引張り試験方法によるなどの、当技術分野において既知の手段により測定可能である。
【0052】
更に、第二の前駆体ウェブ21は、タフト6程度まで面外に伸びるよりも、タフト6の形成によって例えば装置100の歯110によって作り出されるひずみ下の張力で破壊するように、第一の前駆体ウェブ20と比較して、(有る場合でも)より低い繊維移動性及び/又はより低い破断伸び(すなわち、個々の繊維の破断伸び、又はフィルムの場合はフィルムの破断伸び)を有すべきである。一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、開口部4のフラップ7がタフト6に相対的に(有る場合でも)僅かに面外に伸びるだけであるように、第一の前駆体ウェブ20と比較して充分に低い破断伸びを示す。一般に、第二の前駆体ウェブ21は、第一の前駆体ウェブ20より少なくとも10%少ない、好ましくは少なくとも30%少ない、より好ましくは少なくとも50%少ない、更により好ましくは第一の前駆体ウェブ20より少なくとも約100%少ない破断伸びを有すべきであると考えられる。本発明で使用されるウェブの相対破断伸び値は、インストロンMTSスィングアルバート(Instron,MTS,Thwing-Albert)などにより製造されるもののような標準引張り試験装置を使用する標準引張り試験方法によるなどの、当技術分野において既知の手段により測定可能である。
【0053】
一実施形態では、第二の前駆体ウェブ21は、CDに配向された繊維が実質的にないような、例えばトウ繊維など実質的に全てMD配向の繊維を含むことができる。ウェブ1のそのような実施形態の場合、第二の前駆体ウェブ21の繊維は、タフト6が通って伸びる開口部4において、分離することだけができる。したがって、この実施形態では、材料の破壊又は破裂が開口部4を形成する態様ではないので、第二の前駆体ウェブ21は、いかなる最小破断伸びも有する必要がない。
【0054】
タフト6の数、間隔、及び大きさは、歯110の数、間隔、及び大きさを変更、並びにロール104及び/又はロール102に必要な対応する寸法変更を行うことにより、変更可能である。この変更によって、前駆体ウェブ20、21に可能な変更とあいまって、数多くの目的のために、多数の様々なウェブ1が作成可能となる。例えば、MD及びCDに織られた塑性的に伸張可能な糸を有する比較的大きい坪量の織物を含む第一の前駆体ウェブ20と、比較的大きい坪量の伸張性が比較的低い合成ポリマー不織布材料を含む第二の前駆体ウェブ21とから作成されるウェブ1は、傾斜路の悪化を低減するのに有用であり及び不安定な土中で自生植物の生長を可能にする浸食防止具のような、強くて多孔質のグラウンドカバーになり得る。塑性的に伸張可能なポリマー繊維からなる比較的小さい坪量のスパンボンド不織布ウェブを含む第一の前駆体ウェブ20と、伸張性が比較的低い合成ポリマーフィルムを含む第二の前駆体ウェブ21とから作成されるウェブ1は、PCT国際公開特許WO01/76523に記載されているように、半耐久性若しくは耐久性衣料又はパーソナルケア品目用のタオル地様布地として使用可能である。以降で更に充分に説明するように、不織布/フィルムの第一前駆体ウェブ/第二前駆体ウェブの組み合わせを含むウェブ1も、使い捨て吸収性物品内の構成要素として使用可能である。
【0055】
図6は、噛み合うロール102及び104、並びに隆起部106及び歯110の一部を断面で示す。示されるように、歯110は、歯高さTH(THは隆起部高さにも適用可能であり、好ましい実施形態では歯高さと隆起部高さが等しいことに留意)と、ピッチPと呼ばれる歯対歯の間隔(又は隆起部対隆起部の間隔)とを有する。示されるように、係合の深さEは、ロール102及び104の噛み合いのレベルの度合いであり、隆起部106の先端から歯110の先端までで測定される。係合の深さE、歯高さTH、及びピッチPは、前駆体ウェブ20、21の特性及びウェブ1の所望の特性に従って、望むように変更可能である。例えば、一般に、係合のレベルEが大きければ大きい程、より大きな必要伸び又は繊維対繊維の移動特性を、第一の前駆体ウェブ20の繊維が持たなければならない。また、所望のタフト6の密度(ウェブ1の単位面積当りのタフト6)が大きければ大きい程、以降で説明するように、より小さなピッチとすべきであり、並びにより短い歯長さTL及び歯距離TDとすべきである。
【0056】
図7は、約60gsm〜100gsmの間の、好ましくは約80gsmの坪量を有する不織布の第一の前駆体ウェブ20と、約0.91〜0.94の密度及び約20gsmの坪量を有するポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)の第二の前駆体ウェブ21とからタオル地様ウェブ1を作成するのに有用な、複数の歯110を有するロール104の1つの実施形態を示す。
【0057】
歯110の拡大図を図8に示す。ロール104のこの実施形態では、歯110は、概ね歯先端部111において前縁LEから後縁TEまでで測定される均一な円周長さ寸法TL約1.25mmを有し、距離TD約1.5mmにより相互に均一に円周的に間隔が離れる。約60〜約100gsmの範囲の総坪量を有するウェブ1からタオル地ウェブ1を作成するために、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの範囲の長さTL及び約0.5mm〜約3mmの範囲の間隔TDと、約0.5mm〜約5mmの範囲の歯高さTHと、約1mm(0.040インチ)及び約5mm(0.200インチ)の間のピッチPとを有することができる。係合の深さEは、約0.5mm〜約5mm(歯高さTHに等しい最大値まで)とすることができる。もちろん、E、P、TH、TD、及びTLは、タフト6の所望の大きさ、間隔、及び面積密度(ウェブ1の単位面積当りのタフト6の数)を達成するために、相互に独立に変更可能である。
【0058】
図8に示すように、各歯110は、先端部111、前縁LE、及び後縁TEを有する。歯先端部111は、細長く、並びにタフト6及び不連続部16の長手方向軸線Lに対応する概ね長手方向の向きを有する。タオル地様であると記述可能なウェブ1のタフト化されたループ状タフト6を得るためには、LE及びTEは、ロール104の局所円周表面120に対して殆ど直交すべきであると考えられる。なおその上、先端部111からLE又はTEとの推移部は、歯110がLE及びTEにおいて第二の前駆体ウェブ21を押し抜けるように、充分に小さな曲率半径を有する、直角などの鋭い角度とすべきである。理論に束縛されるものではないが、歯110の先端部とLE及びTEとの間に比較的鋭い角度の先端推移部を有すると、歯110が前駆体ウェブ20、21を「きれいに」すなわち局所的及び明瞭に突き抜けることが可能になり、その結果、得られたウェブ1の第一の側3は、「変形された」よりも「タフト化された」と記述可能になると考えられている。そのように加工される時、ウェブ1は、前駆体ウェブ20及び21が当初持っていることがあるものを超える、いかなる特定の弾力性も付与されていない。前駆体ウェブ21を突き抜けると、ウェブ21の小さな部分が、「コンフェティ(訳注、パーティなどでまかれる細かくちぎった色紙)」又は小片を形成するという結果になることがある。
【0059】
より早いライン速度、すなわち回転するロール102及び104のニップを通るウェブの比較的より早い速度の加工では、同じ材料が、タフト6の非常に異なる構造を示すことがある。図9に示されるタフト6は、図2に示されるタフトと構造が似ているが、非常に異なる構造、スパンボンド不織布材料を比較的速い速度すなわち早いひずみ速度で加工してタフト6を形成する際に典型的に見られる構造を示す。この構造に典型的なのは、タフト6の近位部分すなわち基部17とタフト6の遠位部分すなわち頂部31との間の破断繊維と、タフト6の頂部における繊維の「マット」19と見えるものである。マット19は、未破断ループ状繊維8を含み、及びこれによりタフト6の頂部に支持され、及び又もはや第一の前駆体ウェブ20と一体ではない破断繊維11の部分を含む。すなわち、マット19は、以前は前駆体ウェブ20と一体であったが、図5に関して説明した加工で充分早いライン速度例えば毎分30メートルのライン速度で加工の後では、前駆体ウェブ20から完全に分離している繊維部分を含む。
【0060】
したがって、上の説明から、一実施形態では、ウェブ1は、少なくとも第一及び第二の前駆体ウェブを選択的に機械的変形をすることにより形成されるラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブと複数の離散タフトとを含み、離散タフトのそれぞれは、第一の前駆体ウェブと一体であってこれから伸びた繊維と、第一の前駆体ウェブと一体でもなければこれから伸びてもいない繊維とを含むと、記述できることが理解される。
【0061】
タフト6の遠位部分31において観察される明瞭な繊維配向例えばマット19は主として加工速度に起因すると考えられるが、その他のパラメータ、例えば第一の前駆体ウェブ20の繊維タイプと坪量、並びに繊維対繊維の結合の程度に影響を及ぼし得る加工温度などにも影響されていることが考えられる。繊維のマット化は、加工中にロール104の歯110の先端部と関連するタフト6の部分上に生じると考えられる。歯の先端部における繊維の摩擦係合が、繊維を定位置に「固定」し、これにより、タフト6の形成を可能にしていると考えられる2つのメカニズム、繊維の伸び及び/又は繊維の移動が制限されると考えられる。したがって、一旦定位置にいわば固定されると、歯110の先端部に隣接する繊維が破断することがあり、並びに前駆体ウェブのランダム交絡と圧力及び摩擦に起因する繊維の冷間圧接の可能性とが原因になって、破断繊維11が、タフト6の遠位端部31におけるマット19中に留まって残る。
【0062】
比較的大きい坪量を有する第一の前駆体ウェブ20は、一般に、マット19中に比較的より多く繊維11部分を有する。ある意味では、製造中に歯先端部110に直近する第一の前駆体ウェブ20の繊維含量の大部分が、あたかもタフト6の遠位部分31へZ方向に単に変位されて、マット19という結果になるように見える。伸びが比較的低い繊維又は繊維対繊維の移動性が比較的低い(例えば、繊維のレプテイションの可能性が比較的制限された)繊維を含む第一の前駆体ウェブ20は、タフト6の遠位端部31におけるマット19中に留まって残る繊維が比較的少ないという結果になるようである。繊維対繊維の移動性は、繊維対繊維の結合を減少又は排除することにより増加可能である。ある種の不織布ウエブでは、熱接着を完全に排除(すなわち熱接着をやめることにより回避)又は著しく減少して、繊維対繊維の移動性を増加することが可能である。同様に、水流絡合ウェブは、交絡を少なくして、繊維対繊維の移動性を増加することが可能である。いずれの前駆体ウェブ20の場合でも、本明細書で開示するように加工の前に潤滑することによっても、繊維対繊維の移動性を増加することが可能である。例えば、鉱物油潤滑剤を、ロール102及び104のニップ116へ入る前の第一の前駆体ウェブ20に適用可能である。更に、ワセリンのような柔軟化剤を、ポリエチレン又はポリエチレンとポリプロピレンのウェブなどの幾つかの合成繊維ウェブに適用して、伸張性増加が可能である。
【0063】
マット19が存在する結果として、ウェブ1は、その片面上で僅かにより粗い質感の印象となり、例えば更なる擦り使用感が望ましい拭取り布に有用である。ある意味では、比較的低い速度の加工条件で作成される時に柔軟なタオル地様触感を有するウェブが、同一ではあるが比較的より早いライン速度条件で加工される時には、比較的研磨性の感触を有することができる。繊維性ウェブ上のこの粗い質感の触感は、幾つかの用途に、例えば硬質表面洗浄用拭取り布又は剥脱用顔拭取り布などに有用であり得る。したがって、ウェブ1が、身体炎症部に塗られる粘着性物質例えば湿布と共に使用するために柔軟な布地様であるのが望まれるのか、又は金属曲面から錆び及び酸化物を穏やかに取り除くために順応性があって半耐久性の軽研磨材としてかどうかで、タフト6の形成速度は、必要な質感が付与されるように調整可能である。
【0064】
理論に束縛されるものではないが、第一の前駆体ウェブの繊維が非常に曲線形状を有する例えばカールした繊維である場合、結果として得られるタフト6は、より直線状繊維の組織と比較する時、ループ状繊維8をより多く及び破断繊維18をより少なく有すると考えられている。そのような繊維組織では、2つの隣接する歯の間で橋絡する機会がより少なく、結果として、その破断点を超えて伸張される傾向が少なく、ひいては、完全なループ構造を形成する機会をより多く有すると考えられる。その上、そのような曲線形状繊維は、ポリエチレン及びナイロンからなる複合繊維のような偏心複合繊維又は並列複合繊維の使用により製造可能である。
【0065】
ステープル長さの繊維を含むカードウェブなどのある種の不織布ウェブは、第一の前駆体ウェブ20として使用される時、タフト6中に非常に少ないループ状繊維8しか作り出さず、その結果、これらのウェブ中に作り出されたタフト6は、図1〜4に関して上で説明したように、複数のループ状整列繊維8を含むとは記述できないことが判明した。その代わり、カード不織布ウェブは、(有るとしても)少ないループ状整列繊維8しか有さない、及び(全部ではないとしても)多数の非整列繊維及び/又は破断繊維18を有する、タフト6を作り出すことができる。カードウェブから作成されたタフト6中の繊維の非整列性は、部分的には、カードウェブの繊維内容物の性質が原因であると考えられる。短繊維は、「無限」ではなく、むしろ、約15mm〜約100mm、より典型的には約40mm〜約80mm程度の予め定められた長さを有する。したがって、カードウェブが図5に関して説明した装置により加工される時、緩み繊維端部がタフト6の近傍にあることから、タフト6中に非ループ状繊維端部を作り出す可能性が、はるかにより大きいと考えられる。その上、短繊維は、例えばスパンボンド又はメルトブローン繊維と同一の伸び特性を有さないことが多い。しかしながら、タフト6がループ状繊維を有さない場合でも、その繊維性タフトは、それにもかかわず、柔軟性効果を提供して、タオル地様特性を有するウェブを作り出すことができる。
【0066】
したがって、上の説明から、一実施形態では、ウェブ1は、少なくとも第一及び第二の前駆体ウェブを選択的に機械的変形をすることにより形成されたラミネートウェブであって、少なくとも第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、ラミネートウェブは第一の側を有し、第一の側は第二の前駆体ウェブと複数の離散タフトとを含み、タフトは前記第一の領域と一体であってこれから伸びる複数の繊維を含むと、記述できることが理解される。
【0067】
織物の第一の前駆体ウェブ20が使用される場合、タフト6の形成及び構造は、不織布ウェブから形成されるタフト6により示されるものとほぼ同一になり得る。例えば、織物の第一の前駆体ウェブ20が機械横方向に優勢に配向された伸張性の縦及び/又は横糸を有する場合、上で説明した装置100により加工されると、歯110は、機械方向(縦又は横いずれかの)糸を分離して、機械横方向の糸だけを面外に強制する傾向になる。このようにして、織物の第一の前駆体ウェブ20から作り出されたウェブ1は、タオル地布地に非常によく似た外観及び感触になり得る。
【0068】
好ましい実施形態では、第一の前駆体ウェブ20は、最小限の繊維対繊維結合しか存在しない不織布ウェブである。例えば、前駆体ウェブは、不織布ウェブ技術分野で普通に知られる離散熱点結合のパターンを有する不織布ウェブとすることができる。しかしながら、一般に、タフト6の形成中に最大限の繊維移動及び変位を可能にするために、結合点の数を最小限に、及び間隔を最大限にすることが望ましい。一般に、比較的大きい直径、及び/又は比較的大きい破断伸び、及び/又は比較的大きい繊維移動性を有する繊維を使用すると、より良く及び明瞭に形成されたタフト6という結果が得られる。
【0069】
ウェブ1は、2つの前駆体ウェブから作成される2つの層のウェブとしての好ましい実施形態で開示されるが、2つの層に限定される必要はない。例えば、3つの前駆体ウェブから、前駆体ウェブの1つが伸びて別の層に開口部を押し抜いてタフトを形成することができる限り、3層以上の積層体が作成可能である。例えば、ウェブ1は、衛生用製品のトップシート、二次トップシート、及びコアを含むこともできる。一般に、接着剤又は他の結合手段を使用して、ラミネートウェブ1を作成することは必要でない。
【0070】
ウェブ1の構成層(例えば、前駆体ウェブ20及び21及びいずれかの他の層)は、第二の前駆体ウェブ21中の開口部4を通って伸びるタフト6の「固定」効果のために、向かい合わせに積層された関係に保持可能である。幾つかの実施形態では、ウェブ1の最終使用の用途次第で、接着剤又は熱接着又は他の結合手段を使用するのが望ましいこともある。例えば、複合繊維の不織布ウェブを含むウェブ1は、タフト6の形成の後で通気結合して、より大きい剥離強度のための層対層の接合を提供することができる。更に加えて、前駆体ウェブの1つの少なくとも一部に接着剤を適用するのが望ましいこともある。例えば、幾つかの実施形態では、層間の接着剤、化学結合、樹脂又は粉体接着、又は熱接着が、前駆体ウェブのある領域に選択的に又は全体に適用可能である。接着剤適用の場合、接着剤は、例えば、スロットコーティングなどによる連続法で、又はスプレー、押出しなどによる不連続法で塗布可能である。接着剤の不連続塗布は、ストライプ、バンド、液滴などの形態とすることができる。
【0071】
ウェブ1は、好ましい実施形態において不織布の第一の前駆体ウェブを含むとして開示されるが、実際は、前駆体ウェブのいずれもが、不織布ウェブ、ポリマーフィルム、織物ウェブ、又は紙ウェブとすることができる。もちろん、ウェブの同定には関係なく、第一の前駆体ウェブは、局所的に変形して離散タフトになるために、伸張性及び降伏対破断などの充分な材料特性を有さなければならない。同様に、第二の前駆体ウェブは、本明細書で開示される方法によって加工される時に破裂するように、比較的より少ない伸張性又は降伏対破断値を有さなければならない。
【0072】
多層ウェブ1においては、各前駆体ウェブは、異なる材料特性を有して、これにより有益な特性を有するウェブ1を提供することができる。例えば、2つ(又はそれ以上)の前駆体ウェブ、例えば第一及び第二の前駆体ウェブを含むウェブ1は、以降で更に十分に説明するように、使い捨て吸収性物品上のトップシートとして使用するために有益な流体ハンドリング特性を有することができる。より優れた流体ハンドリングを得るためには、例えば、第一の前駆体ウェブ20は、比較的親水性の繊維からなることができる。第二の前駆体ウェブ21は、例えばポリエチレンフィルムなどのポリマーフィルムとすることができ、疎水性である又は疎水性にすることができる。そのようなウェブのタフト6は、上側層、すなわち使い捨て吸収性物品上のトップシートとして使用する時に身体に接触する層を形成することができる。上側の比較的親水性のタフトに付着した流体は、第二のフィルム前駆体ウェブ層の下側にある第一の前駆体ウェブの部分へ、比較的疎水性のフィルムから離れて速やかに移送される。観察される速やかな流体移送の1つの理由は、タフト6の概ね整列した繊維8、18により形成される毛管構造である。繊維8、18は、隣接繊維間で方向的に整列した毛管を形成しており、及び毛管作用は、タフト6の基部17近くで繊維が概して集束することにより強められる。
【0073】
流体の速やかな移送は、流体がループ状タフト6により画定される空隙10を介してウェブ1へ進入することができるので、更に増加されると考えられる。ウェブ1の構造によりもたらされるこの「横進入」能力、及び/又は毛管作用、及び/又は親水性勾配が、ウェブ1を使い捨て吸収性物品用の最適流体ハンドリングのための理想的な材料にしている。特に、多層ウェブ1は、流体ハンドリング特性の更により大きな改良を提供可能である。
【0074】
本発明のウェブ1は、使用する前駆体ウェブ20及び21並びに歯110を含むロールの寸法パラメータにもよるが、広範な物理特性を示すことができる。ウェブ1は、柔軟性から荒さまで範囲するような主体的に経験される肌ざわり範囲、非吸収性から非常に吸収性まで範囲する吸収性、比較的低い嵩から比較的高い嵩まで範囲する嵩高性、低引裂き強さから高引裂き強さまで範囲する引裂き強さ、非弾性から少なくとも100%弾性的延伸性まで範囲する弾性、考慮する化学種に依存するが比較的低耐性から高耐性まで範囲する耐化学性を示すことができ、並びに遮蔽性能、耐アルカリ性、不透明性、拭取り性能、水吸収性、油吸収性、湿気透過性、断熱性能、耐候性、高強度、高引裂き力、磨耗耐性、静電制御性、垂れ性、染料エフィニティ(effinity)、安全性などと一般に記述される、多数の他の可変パラメータを示すことができる。一般に第一の前駆体ウェブ20の伸び特性に依存するが、装置100の寸法を変化させて、(図3に示される)高さh及び(タフト6の面積密度を含む)間隔を含む、変更タフト6に関連する広範囲の寸法を有するウェブ1を作り出すことができる。更に加えて、タフトは、ロール104上の歯110で表わされる所望の模様を有することにより、線、べた形状、及びラミネートウェブの選択領域に、容易に模様化可能である。
【0075】
ウェブ1は、多種多様な用途に使用可能であり、エアフィルター、バグフィルター、液体フィルター、真空フィルター、水ドレーンフィルター、及び細菌遮蔽フィルターなどの様々なフィルターシート;コンデンサー分離紙及びフロッピーディスク包装材料などの様々な電気機器用シート;粘着性接着テープ基布、油吸収材、及び紙フェルトなどの様々な産業用シート;家庭用、業務用、及び医療処置用ワイパー、印刷ロールワイパー、コピー機洗浄ワイパー、乳幼児ワイパー、及び光学装置用ワイパーなどの様々なワイパーシート;手術衣、ガウン、カバー布地、キャップ、マスク、シート、タオル、ガーゼ、湿布用基布、おむつ、おむつライナー、おむつカバー、女性用ナプキンカバー、女性用ナプキン又はおむつ用獲得層(カバーライナーの下にある)、おむつコア、タンポンライナー、絆創膏基布、ウェットタオル、及びティッシュなどの様々な医療及び衛生用シート;パッド布地、パッド、ジャンパーライナー、及び使い捨て下着などの様々な衣料用シート;人造皮革及び合成皮革用基布、テーブルトップ、壁紙、ブラインド、包み材、乾燥剤包装、買い物袋、スーツカバー、及び枕カバーなどの様々な生活材料シート;グラウンドカバー及び浸食防止具、冷却及び日光遮断布、ライニングカーテン、全体カバー用シート、光遮断シート、農薬包装材料、実生用ポット下敷き紙などの様々な農業用シート;防煙マスク及び防塵マスク、実験衣、及び防塵衣などの様々な防護シート;ハウスラップ、ドレーン材料、フィルター媒体、分離材料、上張り、屋根材料、タフト及びカーペット基布、壁内装材料、防音又は振動減少シート、及びキュアリングシートなどの様々な土木工学建造物用シート;並びに、アルカリ電池内分離紙に加えて、床マット及びトランクマット、成型天井材料、ヘッドレスト、及びライニングクロスなどの様々な自動車内装シートなどが挙げられる。その他の用途には、乳幼児拭取り布、顔拭き若しくは拭取り布、又は体拭きなどの、個人清浄又は衛生のための拭取り布としてウェブ1を使用することが含まれる。
【0076】
一実施形態では、ウェブ1又はウェブ1を含む複合体が、糞便貯留要素として使用可能である。ウェブ1は、孔あきウェブ又はフィルムの下側に配置される時に、二次トップシート又は幅層として使用可能であり、低粘性糞便又は排便の後で着用者の皮膚から離れる粘性体外排泄物を受入れて保持する。ウェブ内又はタフト6の間により大きな三次元総容積を有する本発明の実施形態が、一般に、低粘性糞便貯留のためのより大きな容積を提供する。そのような糞便貯留要素又は副層を使用する吸収性物品は、他にもある中で、米国特許第5,941,864号、第5,957,906号、第6,018,093号、第6,010,491号、第6,186,992号、及び第6,414,215号に記載されている。
【0077】
一実施形態では、ウェブ1は、平均径が33ミクロンのポリエチレン/ポリプロピレン(シース/コア)複合繊維を含んで約80gsmの坪量を有するスパンボンド不織布を含む不織布の第一前駆体ウェブ20と、20gsmの坪量を有するポリエチレンフィルムを含む第二の前駆体ウェブとを有する。この実施形態では、ウェブ1は平方センチメートル当り約24のタフト6を有し、タフト6は複数のループ状整列繊維8を有し、そのそれぞれは約18ミクロンの平均繊維直径を有する。このタイプのウェブは、図10に関して以下で示すように、使い捨て吸収性物品用のトップシートとして有益に使用可能である。例えば、そのようなウェブ1は、タフト6の領域を除いて流体不透過性であり、タフト6はウェブ1の第一の側3から第二の側5へ流体を吸い上げることができる。
【0078】
図10は、本発明のウェブ1をその構成要素の1つとして有する生理用ナプキンの、一部を切り欠いた平面図を示す。一般的に、生理用ナプキン200は、バックシート202と、トップシート206と、トップシート206とバックシート202の間に配置された、周辺部210周りで接合可能な吸収性コア204とを含む。生理用ナプキン1は、生理用ナプキン1のユーザーのパンティの股領域の側を包むように設計された、通常「ウィング」208と呼ばれる側延長部を有することができる。身体面表面として使用するためのトップシートを含む生理用ナプキンは、当技術分野において周知であり、様々な代替及び任意の設計の詳細説明は不用である。生理用ナプキンに加えて、ウェブ1は、おむつ若しくは成人用失禁製品又は他の使い捨て衛生用製品内でも使用可能である。しかしながら、ウェブ1が、バックシート、コア材料、トップシート、二次トップシート、又はウィング材料の1つ以上として、又はその構成要素として使用可能であることを特記する。ウェブ1はまた、多層を有する、及びトップシート、二次トップシート、コア、バックシート、又は任意数の層を含むことができる。
【0079】
ウェブ1は、生理用ナプキン200のトップシート206として使用するのに特に有用である。ウェブ1は、優れた流体獲得及び吸収性コア204への分配と、使用時にトップシート206の身体面表面の優れた再湿潤防止との組み合わせのために、生理用ナプキンのトップシート206として特に有益である。再湿潤は、少なくとも2つの原因:(1)生理用ナプキン200上への圧力に起因する吸収された流体の絞り出し、及び/又は(2)トップシート206内又は上に捕捉された濡れ、の結果であり得る。好ましいトップシート206においては、2つの特性は、流体獲得及び流体保持が最大限であり、並びに再湿潤が最小限である。違う言い方をすれば、好ましいトップシートは、高率の流体獲得と、低レベルの再湿潤とを示す。
【0080】
トップシート206は、不織布の第一の前駆体ウェブ20と流体不透過性のポリエチレンフィルムの第二の前駆体ウェブ21との使用により、作成可能である。構成要素ウェブの坪量は変化可能であるが、一般に、コストと効果の考察から、約20gsm〜80gsmの間の総坪量が、ウェブ1に望ましい。フィルム/不織布の積層体として作成される時、ウェブ1は、繊維タフトの柔軟性及び流体毛管現象と、流体不透過性ポリマーフィルムの再湿潤防止とを兼ね備える。ウェブ1を含むトップシート206を有する生理用ナプキンが使用されて、第一の側3が身体に面する側であり、第二の側5が下側にある吸収性コアと流体連通する時、流体は、ウェブ1の第一の側3上のタフト6により獲得されて、第二の前駆体ウェブ21を通ってウェブ1の第二の側5へ吸上げ可能であり、次に吸収性コア204へ向けて脱着可能である。タフト6が、離散的であって間隔が離れており、及び流体不透過性の第二の前駆体ウェブ21により分離されているので、再湿潤は最小限になり得る。別の方法として、ウェブ1は、第一の側3が流体連通側、第二の側5が身体に面する側としても使用可能である。これにより、流体のタフト6中への又はこれを通る移送が、不連続部16によって可能になり得る。
【0081】
図11は、本発明のウェブ1をその構成要素の1つとして有する、月経用タンポン300の一部を切り欠いた斜視図を示す。一般に、タンポン300は、圧縮された吸収性コア302と、吸収性コア302を覆う流体透過性のカバーラップ304とを含む。カバーラップ304は、吸収性コア302の1つの端部を越えて延びて、スカート部分306を形成してもよい。例えば紐308などの取外し手段を設けて、使用後のタンポンの取外しを容易にすることができる。身体接触面として使用するためのカバーラップを含むタンポンは、当技術分野において周知であり、様々な代替及び任意の設計の詳細説明は不要である。しかしながら、ウェブ1が、カバーラップ、吸収性コア材料、又は取外し手段材料の1つ以上として、又はその構成要素として、使用可能であることを特記する。
【0082】
下表1は、本発明よるウェブ1の代表例を、本明細書で開示されたような、それらを作成する加工に使用される装置100に関する寸法と共に示す。記載された各サンプルの簡単な説明が表1に続く。
【0083】
【表1】

図12は、サンプル1の顕微鏡写真である。サンプル1の第一の前駆体ウェブは、平方メートル当り145グラム(gsm)の坪量を有するPETカード不織布ウェブであって、テネシー州ジョンソンシティー(Johnson City,TN)のFIT(ファイバー・イノベイション・テクノロジーズ社(Fiber Innovation Technology Inc.))からの、38mm(1.5インチ)ステープル長さのポリエステル/コポリエステルの3葉(tri-lobal)形状繊維タイプF30Aから手でカード加工した。サンプル1の第二の前駆体ウェブは、オハイオ州キャロルトン(Carrolton OH)のハンツマンフィルムプロダクツ社(Huntsman Film Products Co.)によりX420の表記で製造された、0.1mm(0.004インチ)のキャリパーを有する低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムであった。サンプル1は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約3メートル(毎分10フィート)のライン速度で生産された。図12に示されるように、フラップ7が、第二の前駆体ウェブ(すなわちフィルム層)の面外にかなり延びて、タフト6のほぼ半分を覆っている。上記のように、これは、より堅い弾力性のあるタフト6を所望する場合に望ましいことがある。
【0084】
図13は、サンプル2の顕微鏡写真である。サンプル2の第一の前駆体ウェブは、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville SC)のBBAにより製造された、坪量30gsmを有するPE/PP・50/50・コア/シースのスパンボンド不織布ウェブであった。サンプル2の第二の前駆体ウェブは、オハイオ州ペインスビル(Painesville OH)のアベリーデニソン(Avery Dennison)USスペシャルティ・テープ・ディビジョン(U.S.Specialty Tape Division)からの、ファッソン(Fasson:登録商標)1803アルミニウムフォイルテープの接着剤を取り除いて(すなわち、擦って)得たアルミニウムフォイルであった。サンプル2は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約3メートル(毎分10フィート)のライン速度で生産された。図13に示されるように、アルミニウムフォイルは、フラップ7の塑性変形が非常に少なく、分割されて開く傾向である。
【0085】
図14は、サンプル3の顕微鏡写真である。サンプル3の第一の前駆体ウェブは、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville SC)のBBAにより製造された、坪量30gsmを有するPE/PP・50/50・コア/シースのスパンボンド不織布である。サンプル3の第二の前駆体ウェブは、クラフト紙のいずれかの供給元例えばイリノイ州ワウケガン(Waukegan,IL)のUラインシッピングサプライズ(Uline Shipping Supplies)から入手可能な、100%リサイクル13.6kg(30ポンド)褐色クラフト包装紙であった。サンプル3は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約3メートル(毎分10フィート)のライン速度で生産された。図14に示されるように、クラフト紙の第二の前駆体ウェブは、火山形状開口に類似する開口部4及びフラップ7という結果になることがある。
【0086】
図15は、サンプル4の顕微鏡写真であり、これは3層の前駆体ウェブを含む。サンプル4の第一及び第三の前駆体ウェブは、ペンシルバニア州ハクスルトン(Haxleton,PA)のファーストクオリティ・ノンウーブンス(First Quality Nonwovens)からのNW30と表記された、坪量13.5gsmのポリプロピレン・スパンボンド不織布であった。第一及び第三の前駆体ウェブは、第二の前駆体ウェブを挟む外側層であり、第二の前駆体ウェブは、ポリエステル繊維とPE/PP・50/50・コア/シース・不織布用複合バインダー繊維とを80/20繊維重量比でそれぞれ含む、44mm(1.75インチ)長さ短繊維から作成された緩い結合のエアレイド不織布ウェブであった。ポリエステル繊維はタイプ1311繊維であって、PE/PP繊維はタイプ」851607繊維であり、両繊維とも、テネシー州ジョンソンシティー(Johnson City,TN)のFIT(ファイバー・イノベイション・テクノロジーズ社(Fiber Innovation Technology Inc.))から入手可能なものであった。サンプル4は、図5に関して上で説明したような装置により、毎分約30メートル(毎分100フィート)のライン速度で生産された。図15に示されるように、ウェブ1の幾つかの実施形態では言う程のフラップ7は無いこともあるが、開口部の回りに第二の前駆体ウェブの僅かな崩壊物だけがあり、これを通ってタフト6が延びる。図15に示されるタフト6は、2つの繊維タイプを含むのを見ることができる。中央の挟まれたエアレイドウェブと外側層の1つとの両方からの繊維が、タフト6に寄与する。
【0087】
本発明のウェブ1及び装置100についての上の説明から理解できるように、ウェブ1の多数の様々な構造が、付随する請求項で請求するような本発明の範囲から逸脱することなく、作成可能である。例えば、ウェブ1は、ローション、薬剤、洗浄流体、抗菌溶液、エマルション、芳香剤、界面活性剤でコーティング又は処理可能である。同様に、装置100は、ウェブ1の一部上に単にタフト6を形成するように、又は変化する大きさ若しくは面積密度のタフト6を形成するように、構成可能である。
【0088】
本発明のウェブを生産する説明したプロセスの別の利点は、他のウェブを生産する設備とインラインで、又は使い捨て吸収性物品の生産設備とインラインで、ウェブが生産可能なことである。更に加えて、本発明の加工の前又は後いずれかで使用可能な、他の固体状態形成プロセスがあってもよい。例えば、ウェブは、本発明により加工してから、米国特許第5,658,639号(キュロ(Curro)ら)に記載されるような伸張プロセスで孔あきにすることもできる。別の方法としては、材料は、様々なプロセスで、例えば米国公開特許出願2003/028,165A1(キュロ(Curro)ら)に記載されるようなプロセス、又は例えば米国特許第5,167,897号(ウェーバー(Weber)ら)に記載されるようなリングロール加工で複合材に作成されてから、本発明による加工も可能である。このようにして得られるウェブは、これらの複数材料の改良型の組み合わせ効果を示すことができる。
【0089】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものと解釈すべきではない。
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のウエブの斜視図。
【図2】図1に示すウェブの一部の拡大図。
【図3】図2の断面3−3の断面図。
【図4】図3で4−4により示される、ウェブの一部の平面図。
【図5】本発明のウェブを形成する装置の斜視図。
【図6】図5に示す装置の一部の断面図。
【図7】本発明の一実施形態のウェブを形成する装置の一部の斜視図。
【図8】本発明のウェブを形成する装置の一部の拡大斜視図。
【図9】本発明のウェブの別の実施形態の一部分の拡大図。
【図10】本発明の生理用ナプキンの一部を切り欠いた平面図。
【図11】本発明のタンポンの一部を切り欠いた斜視図。
【図12】本発明のウェブの顕微鏡写真。
【図13】本発明のウェブの顕微鏡写真。
【図14】本発明のウェブの顕微鏡写真。
【図15】本発明のウェブの顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の前駆体ウェブを含むラミネートウェブであって、少なくとも前記第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、前記ラミネートウェブは第一の側及び第二の側を有し、前記第一の側は前記第二の前駆体ウェブと少なくとも1つの離散タフトとを含み、前記離散タフトのそれぞれは、長手方向軸線を画定する線状の向きを有し、前記第一の前駆体ウェブの一体延長部であり及び前記第二の前駆体ウェブを貫いて延びる複数のタフト化された繊維を含み、前記第二の側は前記第一の前駆体ウェブを含むものであることを特徴とする、ラミネートウェブ。
【請求項2】
前記ウェブが複数の離散タフトを含むことを特徴とする、請求項1のラミネートウェブ。
【請求項3】
前記第一の前駆体ウェブが、実質的にランダムに配向された繊維の不織布ウェブを含むことを特徴とする、請求項1のラミネートウェブ。
【請求項4】
前記繊維が非円形繊維を含むことを特徴とする、請求項1のラミネートウェブ。
【請求項5】
それぞれの前記タフトの一部分が、前記タフトの内部への開放空隙領域を画定することを特徴とする、請求項1のラミネートウェブ。
【請求項6】
請求項1の前記ラミネートウェブを含むことを特徴とする拭取り布。
【請求項7】
第一及び第二の前駆体ウェブを含むラミネートウェブであって、少なくとも前記第一の前駆体ウェブは繊維を含む不織布ウェブであり、前記ラミネートウェブは第一の側を有し、前記第一の側は前記第二の前駆体ウェブと複数の離散タフトとを含み、前記離散タフトのそれぞれは、前記第一の前駆体ウェブと一体であるがこれから延びている繊維と、前記第一の前駆体ウェブと一体でもなくこれから延びてもいない繊維とを含むことを特徴とする、ラミネートウェブ。
【請求項8】
前記繊維が非円形繊維を含むことを特徴とする、請求項7のラミネートウェブ。
【請求項9】
請求項7の前記ラミネートウェブを含むことを特徴とする拭取り布。
【請求項10】
使い捨て吸収性物品であって、前記物品は、第一及び第二の前駆体ウェブを含むラミネートウェブを含む少なくとも1つの構成要素を有し、少なくとも前記第一の前駆体ウェブは不織布ウェブであり、前記ラミネートウェブは第一の側及び第二の側を有し、前記第一の側は前記第二の前駆体ウェブと少なくとも1つの離散タフトとを含み、前記離散タフトのそれぞれは、長手方向軸線を画定する線状の向きを有し、前記第一の前駆体ウェブの一体延長部であり及び前記第二の前駆体ウェブを貫いて延びる複数のタフト化された繊維を含み、前記第二の側は前記第一の前駆体ウェブを含むことを特徴とする、使い捨て吸収性物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−512514(P2006−512514A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509990(P2005−509990)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/040228
【国際公開番号】WO2004/059061
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
フロッピー
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】