説明

タブリードの作製方法、タブリード、及びタブリード連続体

【課題】特性バラツキの少ないタブリードを、比較的短い加工時間で作製できるタブリードの作製方法を提供する。
【解決手段】タブリードの作製方法は、金属テープ1の長手方向中央部に所定の間隔で複数の開口部2を形成し(S1)、複数の各開口部2の一部を塞ぐように開口部2よりも幅の小さい絶縁テープ3を金属テープ1の両面から貼り合わせてタブリード連続体10を作製し(S2,S3)、作製したタブリード連続体10の複数の開口部2それぞれの位置で、タブリード連続体10を幅方向に横切って金属テープ1及び絶縁テープ3を切断して個々のタブリード10′を作製する(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質蓄電デバイス等に使用されるタブリードを作製する方法、該方法により作製されるタブリード、及びタブリード連続体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化と共に電源としての電池の小型化、軽量化が求められている。また、高エネルギー密度化、高エネルギー効率化に対する要求もあり、このような要求を満たすものとして、リチウムイオン電池などの非水電解質電池への期待が高まっている。
【0003】
図5は、従来の非水電界質電池の構成例を示す斜視図である。図5(A)は積層電極群を外装ケースから取り外した状態を示した図で、図5(B)は積層電極群を外装ケースに装着した状態を示した図である。非水電解質電池101は、積層電極群102、正極リード103、負極リード104、樹脂フィルム(樹脂シート)105,106、並びに外包体としての外装ケース107を備える。正極リード103及び負極リード104に相当するタブリードの作製方法の従来例について下記の図6、図7(特許文献1を参照)に基づいて説明する。
【0004】
図6に示すように、ニッケルメッキ軟銅箔等で構成された金属テープ111を切断位置mで切断して金属テープ片111′を切り出し、切り出した金属テープ片111′の両面から絶縁テープ(絶縁フィルムともいう)112を貼り合わせた後に、絶縁テープ112を切断位置nで切断することにより、1つのタブリードが作製される。
【0005】
また、図7は、特許文献1に記載された従来のタブリードの作製方法を説明するための図である。タブリード連続体120は、タブリード用の導体である金属テープ121の長手方向に沿って、金属テープ121の両面に所定の間隔で絶縁テープ片122を接着または溶着等により貼り合わせたものである。絶縁テープ片122は、図5の樹脂フィルム105,106に相当するものである。そして、絶縁テープ片122を貼り合わせた金属テープ121をライン(切断位置)pで切断することにより、タブリードが作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−218752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6の方法では、タブリードを1つ1つ作製するために、加工時間が長くかかってしまう。また、金属テープ片の所定位置に対して絶縁テープを精度良く貼り付けることは難しいという問題がある。
【0008】
また、図7(特許文献1)の方法では、長尺の金属テープに対して、所定の間隔で絶縁テープ片を1つ1つ貼り合わせるが、この場合も、金属テープの所定位置に絶縁テープ片を精度良く貼り付けることは難しく、貼り付け位置が少しずれた状態となる。そして、長尺の金属テープを切断位置pで所定長に切り分けてタブリードを作製した場合、絶縁テープ片が少しずれた状態で貼り合わされているため、タブリード毎に絶縁テープの位置にバラツキが生じてしまう。
【0009】
上記の問題を回避するためには、絶縁テープ片の位置を個々に検出しながら、それに合わせて、金属テープを切断していく必要があるが、これには時間がかかり過ぎるという問題がある。
【0010】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、特性バラツキの少ないタブリードを、比較的短い加工時間で作製できるタブリードの作製方法、タブリード、及びタブリード連続体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるタブリードの作製方法は、金属テープの長手方向中央部に所定の間隔で複数の開口部を形成し、長手方向に沿って複数の各開口部の一部を塞ぐように開口部よりも幅の小さい絶縁テープを金属テープの両面から貼り合わせてタブリード連続体を作製し、作製したタブリード連続体の複数の開口部それぞれの位置で、タブリード連続体を幅方向に横切って金属テープ及び絶縁テープを切断して個々のタブリードを作製する。
【0012】
また、より望ましくは、金属テープの表面及び複数の開口部の側面がメッキされている。
金属テープの切断位置間の距離は、絶縁テープの切断位置間の距離よりも短い。
金属テープには、複数の開口部とは別の位置に、複数の開口部と同じ間隔で、複数の貫通孔が設けられている。
また、本発明は、上記のタブリードの作製方法により作製されたタブリードである。
【0013】
また、金属テープの両面に絶縁テープが貼り合わされてなるタブリード連続体であって、金属テープの長手方向中央部に、所定の間隔で複数の開口部が形成され、絶縁テープは、複数の開口部よりも幅が小さく、金属テープの長手方向に沿って、金属テープの両面から複数の各開口部の一部を塞ぐように貼り合わされている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金属テープの長手方向中央部に所定の間隔で形成された複数の開口部を横切るように、長尺の絶縁テープを金属テープの両面から貼り合わせてタブリード連続体を作製し、このタブリード連続体の複数の開口部それぞれの位置で、タブリード連続体の幅方向に金属テープ及び絶縁テープを切断して個々のタブリードを作製するため、絶縁テープの位置のバラツキの少ないタブリードを、比較的短い加工時間で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるタブリードの作製方法の一例を説明するための図である。
【図2】金属テープに形成される複数の開口部の形状の一例を示す図である。
【図3】タブリード連続体を構成する金属テープ及び絶縁テープの切断位置の他の例を示す図である。
【図4】タブリード連続体の他の構成例を示す図である。
【図5】従来の非水電界質電池の構成例を示す斜視図である。
【図6】従来技術を説明するための図である。
【図7】特許文献1に記載された従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のタブリードの作製方法、該方法により作製されたタブリード、及びタブリード連続体に係る好適な実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明によるタブリードの作製方法の一例を説明するための図である。まず、金属テープ1の長手方向中央部に所定の間隔で複数の開口部2を形成する(S1)。そして、ローラRを用いて長尺の絶縁テープ3を金属テープ1の両面から貼り合わせて接着し(S2)、タブリード連続体10を作製する(S3)。
【0018】
この金属テープ1としては、例えば、ニッケルメッキされた軟銅箔やアルミ箔などが用いられる。また、絶縁テープ3としては、例えば、無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムで形成された熱可塑性層と、架橋された低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる架橋樹脂フィルムで形成された架橋層とを貼り合わせた2相構造のものが用いられる。なお、金属テープ1、絶縁テープ3の材料はこれらに限定されるものではなく、従来から非水電界質蓄電デバイスに用いられている材料であればよい。
【0019】
また、絶縁テープ3の幅Wiは、図1に示すように、複数の開口部2の幅Waよりも小さくなっている。絶縁テープ3を金属テープ1の両面に貼り合わせる場合、長尺の金属テープ1の幅方向にずれないようにガイドして貼り合わせることが望ましい。また、絶縁テープ3の位置を検出し、ガイドを修正しながら貼り合わせるとより精度良く貼り合わせることができる。
【0020】
本例の金属テープ1が軟銅箔である場合、その表面及び複数の開口部2の側面はニッケルメッキされていることが好ましい。このように複数の開口部2の側面までメッキされている場合、銅が外部に露出することがなく、複数の開口部2の位置で貼り合わされる絶縁テープ3が銅害により劣化することがない。絶縁テープ3が銅害で劣化してしまうと、タブリードを電池デバイスに組み込んだときの密閉性が悪くなり、液漏れするなどの弊害が出る恐れがあるが、これを防止することができる。
【0021】
このように、金属テープ1の長手方向中央部に所定の間隔で形成された複数の各開口部2の一部を塞ぐように、換言すれば、複数の開口部2を横切るように、複数の開口部2よりも幅の小さい絶縁テープ3を金属テープ1の両面から貼り合わせてタブリード連続体10が形成される。
【0022】
次に、このタブリード連続体10の複数の開口部2それぞれの切断位置jで、タブリード連続体10を幅方向に横切って金属テープ1及び絶縁テープ3を切断して個々のタブリード10′を作製する(S4)。この切断位置jは、例えば、各開口部2の中心を通る位置にセットされる。タブリード連続体10はこの切断位置jで一定長に切り分けられ、個々のタブリード10′が作製される。なお、個々のタブリード10′に切り出したときに、金属テープ1の切断面はメッキされていないが、この切断面は絶縁テープ3が接触しない箇所であるため、銅害の恐れはないと考えられる。
【0023】
このように、個々のタブリード10′を切り出す前に、長尺の金属テープ1に対して長尺の絶縁テープ3を連続的に貼り合わせるため、前述の図6あるいは図7の方法に比べて、正確な位置に絶縁テープ3を貼ることができる。また、絶縁テープ3を貼ってから切り分けるので個片になったときに絶縁テープ3が貼られている箇所が同じ位置になる。また、絶縁テープ3の位置を個々に検出する必要がなく、タブリード連続体10を一定長で切り分けることができるため、比較的短時間でタブリード10′を作製することができる。
【0024】
図2は、金属テープ1に形成される複数の開口部2の形状の一例を示す図である。図2(A)に示すように、開口部2は矩形状とすることが望ましいが、図2(B)に示すように、直線部分と曲線部分とを組み合わせた形状としてもよく、また、図2(C)に示すように、全体的に曲線で形成された形状としてもよい。
【0025】
図3は、タブリード連続体10を構成する金属テープ1及び絶縁テープ3の切断位置の他の例を示す図である。図3(A)に示すように、金属テープ1の切断位置をk1とし、絶縁テープ3の切断位置をk2とすると、金属テープ1の切断位置k1間の距離d1は、絶縁テープ3の切断位置k2間の距離d2よりも短くなっている。本例の場合、金属テープ1の切断位置k1間の距離d1を、各開口部2の隣り合う長辺間の距離とし、絶縁テープ3の切断位置k2間の距離d2を、各開口部2の隣り合う長辺間の距離よりも長くしている。このように、金属テープ1と絶縁テープ3の切断位置を異ならせることで、個々のタブリード10′を図3(B)のような矩形の金属テープに矩形の絶縁テープが貼られた形状とすることができる。すなわち、前述の図6あるいは図7の方法で作製した場合の従来のタブリードと同様の形状とすることができる。
【0026】
図4は、タブリード連続体10の他の構成例を示す図である。本例のタブリード連続体10の場合、金属テープ1には、複数の開口部2とは別の位置に、複数の開口部2と同じ間隔で、複数の貫通孔4が設けられている。つまり、図4(A)の例では、開口部2の中心間の距離をd3とし、貫通孔4の中心間の距離をd4とすると、d3とd4とが同じ距離となる。このように、各開口部2に対して同じ位置関係になるように小径の貫通孔4を設けておくことで、個々のタブリード10′に切り分けたときに、図4(B)に示すように、貫通孔4が一定箇所に位置することになる。
【0027】
貫通孔4の中心と、絶縁テープ3の中心との距離をLとすると、切り分けられた各個片間でこの距離Lが一定となる。金属テープを個片に切り分けてから絶縁テープを貼ると、絶縁テープの位置がずれて貫通孔4の中心と絶縁テープ3の中心との距離Lが個片間でばらついてしまうが、本発明ではそのようなことがない。貫通孔4は、タブリードを集電体からのリードに接続するときの位置決め手段として使用されたり、タブリード同士を接続するときに位置決め手段として使用される。
【0028】
このように本発明によれば、金属テープの長手方向中央部に所定の間隔で形成された複数の開口部を横切る、つまり、長手方向に沿って端から端に渡るように、長尺の絶縁テープを金属テープの両面から貼り合わせてタブリード連続体を作製し、このタブリード連続体の複数の開口部それぞれの位置で、タブリード連続体の幅方向に金属テープ及び絶縁テープを切断して個々のタブリードを作製するため、絶縁テープの位置のバラツキの少ないタブリードを、比較的短い加工時間で作製することができる。
【符号の説明】
【0029】
1,111,121…金属テープ、2…開口部、3,112…絶縁テープ(絶縁フィルム)、4…貫通孔、10,120…タブリード連続体、101…非水電界質電池、102…積層電極群、103…正極リード、104…負極リード、105,106…樹脂フィルム、107…外装ケース、122…絶縁テープ片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属テープの長手方向中央部に所定の間隔で複数の開口部を形成し、
前記長手方向に沿って前記複数の各開口部の一部を塞ぐように開口部よりも幅の小さい絶縁テープを前記金属テープの両面から貼り合わせてタブリード連続体を作製し、
該作製したタブリード連続体の前記複数の開口部それぞれの位置で、該タブリード連続体を幅方向に横切って前記金属テープ及び前記絶縁テープを切断して個々のタブリードを作製することを特徴とするタブリードの作製方法。
【請求項2】
前記金属テープは、該金属テープの表面及び前記複数の開口部の側面がメッキされていることを特徴とする請求項1に記載のタブリードの作製方法。
【請求項3】
前記金属テープの切断位置間の距離は、前記絶縁テープの切断位置間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載のタブリードの作製方法。
【請求項4】
前記金属テープには、前記複数の開口部とは別の位置に、該複数の開口部と同じ間隔で、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタブリードの作製方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のタブリードの作製方法により作製されたタブリード。
【請求項6】
金属テープの両面に絶縁テープが貼り合わされてなるタブリード連続体であって、
前記金属テープの長手方向中央部に、所定の間隔で複数の開口部が形成され、
前記絶縁テープは、前記複数の開口部よりも幅が小さく、前記金属テープの長手方向に沿って、該金属テープの両面から前記複数の各開口部の一部を塞ぐように貼り合わされていることを特徴とするタブリード連続体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54976(P2013−54976A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193484(P2011−193484)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】