説明

タンクローリー

【課題】タンク上部の防護枠内で安全に作業が行えるように手摺りを設けたタンクローリーを提供する。
【解決手段】タンクの上部周辺に設けた防護枠2の内側に、防護枠2よりも高い位置に突出する手摺り3を防護枠2の内側に折り畳み可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種液体を充填して輸送するタンクローリーに関するもので、特にタンク上部での高所作業の安全性を確保し得るタンクローリーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタンクローリーとしては例えば下記特許文献1に記載されたようなものがある。このタンクローリーには、タンクの上部周辺に矩形枠状の防護枠が設けてあって、作業者がタンク上部のマンホールの蓋部の開閉作業や底弁の開閉操作をする際に、タンク上部で過って足が滑っても滑り落ちることがないようになっている。
【特許文献1】実開昭60−43592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載のような防護枠は、防護枠の高さが低いことから、タンク上部で作業者が立ったまま作業を行う時に手や体を支えるところがなく、足を滑らせるなどして倒れるような状態となった時などに非常に危険であった。本発明は、そのような危険性を回避することのできるタンクローリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明のタンクローリーは、タンク1の上部周辺に設けた防護枠2の内側に、防護枠2よりも高い位置に突出する手摺り3を防護枠2の内側に折り畳み可能に設けてなることを特徴とする。
【0005】
請求項2は、請求項1に記載のタンクローリーにおいて、手摺り3は、防護枠2の少なくとも一方側のサイド枠部4の基板部7上にタンク長手方向に一定間隔おきに設けられた支柱受け10と、各支柱受け10に枢着されて、基板部7上面に近接するように折り畳み可能な複数本の手摺支柱11と、各手摺支柱11の上端部をつなぐように各手摺支柱11の上端部に枢支連結されて、手摺支柱11と平行に折り畳み可能な手摺杆12と、各手摺支柱11を直立位置に固定する支柱固定手段13とからなることを特徴とする。
【0006】
請求項3は、請求項2に記載のタンクローリーにおいて、手摺り3には、各手摺支柱11が基板部7上面に近接するように折り畳まれると共に手摺杆12が手摺支柱11と平行に折り畳まれた位置で手摺杆12を固定する手摺杆固定手段14を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明のタンクローリーによれば、タンク1の上部周辺に設けた防護枠2の内側に、防護枠2よりも高い位置に突出する手摺り3を折り畳み可能に設けたから、防護枠2内でのマンホール蓋部の開閉作業や底弁の開閉操作を安全に行うことができる。即ち、防護枠2内で作業者が立ったまま作業を行っている時に作業者は手摺り3の手摺杆12で手を支えることができるため、安心して作業が行えると共に、足を滑らせるなどして倒れる状態になっても、手や体の一部を手摺り3の手摺杆12や手摺支柱11にあずけることができるので、防護枠2から落下する危険性を回避することができる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、防護枠2の少なくとも一方側のサイド枠部4の基板部7上にタンク長手方向に一定間隔おきに設けられた支柱受け10と、各支柱受け10に枢着されて、基板部7上面に近接するように折り畳み可能な複数本の手摺支柱11と、各手摺支柱11の上端部をつなぐように各手摺支柱11の上端部に枢支連結されて、手摺支柱11と平行に折り畳み可能な手摺杆12と、各手摺支柱11を直立位置に固定する支柱固定手段13とからなるため、防護枠2内の片側にコンパクトに折り畳んでおけると共に、手摺り使用時には使用可能な状態に迅速容易にセットすることができる。
【0009】
請求項3に係る発明によれば、手摺支柱11が基板部7上面に近接するように折り畳まれると共に手摺杆12が手摺支柱11と平行に折り畳まれた位置で手摺杆12を固定する手摺杆固定手段14を設けたから、折り畳んだ手摺り3の手摺杆12を固定しておけば、タンクローリーの走行中に手摺り3が振動でガタついたり、またそのガタツキによって部材が破損するようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は本発明に係るタンクローリーの上部側をその前方から見た斜視図であり、図2の(a) は同タンクローリーの上部側を側方から見た概略側面図、(b) はタンクローリーの前部側から見た一部端面図である。これらの図面において、1はタンクローリーの車体(図示せず) に搭載されたタンクで、このタンク1の上部周辺には防護枠2が設置されており、この防護枠2内側に、防護枠2よりも高い位置に突出する手摺り3が折り畳み可能に設けられている。
【0011】
防護枠2は、図1に示すように、タンク長手方向に延びる左右両側のサイド枠部4,4と、両サイド枠部4,4の前後端部をつなぐ前後枠部5,6とにより矩形枠状に形成されたもので、タンク1の頂部1oに設けられた夫々複数のマンホールの蓋部8や底弁操作部9等を取り囲むようにタンク1の上部周辺に設置されている。また、左右サイド枠部4,4の内側部下端からは基板部7,7が夫々防護枠2の内方へ直角に延設され、両基板部7,7はタンク1の頂部1oを挟んでその両側部に接するように取り付けられている(図4の(a) 及び図6参照)。
【0012】
手摺り3は、図1及び図3から分かるように、防護枠2の一方側のサイド枠部4の基板部7上にタンク長手方向に一定間隔おきに設けられた支柱受け10と、各支柱受け10に枢着されて、基板部7上面に近接するようにタンク長手方向に折り畳み可能な複数本の手摺支柱11と、各手摺支柱11の上端部をつなぐように各手摺支柱11の上端部に枢支連結されて、手摺支柱11と平行に折り畳み可能な手摺杆12と、各手摺支柱11を直立位置に固定する支柱固定手段13と、各手摺支柱11が防護枠2の基板7に近接するように折り畳まれると共に手摺杆12が手摺支柱11と平行に折り畳まれた位置で手摺杆12を固定する手摺杆固定手段14とからなる。
【0013】
上記手摺り3の構造について詳しく説明すると、手摺支柱11の下端枢着金具15が支柱受け10にピン18で枢着されると共に、手摺支柱11の上端枢着金具16が手摺杆12の下側部に固着された取付金具17にピン19で枢着されており、しかして各手摺支柱11は、図2の(a) に示すように基板7上に伏するように前方側へ折り畳まれると共に、手摺杆12は、手摺支柱11と平行に折り畳まれるようになっている。
【0014】
支柱固定手段13は、図4から分かるように、サイド枠部4の内側面所要部の手摺支柱直立位置に取り付けられた取付ブラケット20と、このブラケット20にヒンジ30によって枢着され、手摺支柱11に外嵌可能な半割パイプ状の掴み部材21と、この掴み部材21の先端部と取付ブラケット20とにわたって介設されたパッチン錠22,23とからなるもので、図4の(c) に示すように手摺支柱11を取付ブラケット20の内側端面に当接させた直立位置で掴み部材21を待機位置から回動させて手摺支柱11に嵌合した後、パッチン錠22,23で掴み部材21を取付ブラケット20に施錠することによって、手摺支柱11を直立位置に固定することができる。
【0015】
上記支柱固定手段13は、全ての手摺支柱11に対して設ける必要はなく、例えば図1に示すように手摺り3の一つ置きに設ければよい。
【0016】
手摺杆固定手段14は、図5の(a) に示すように各手摺支柱11が防護枠2の基板部7に近接するように直角に折り畳まれると共に手摺杆12が手摺支柱11と平行するように折り畳まれた折り畳み位置で手摺杆12を固定するもので、手摺杆12の前後端部に夫々横向きに突設した固定ピン24を、基板部7の所要部に設けたロック金具25のロック溝26に挿入してロックするようになっている。
【0017】
上記ロック金具25は、図5の(b)〜(d) に示すように、基板部7上に固定されたL字形取付金具27の片面側上部に取り付けてあって、手摺杆12の固定ピン24が上方より嵌合するロック溝26を有し、このロック溝26の入口には、常時はバネ(図示せず)の付勢力により図5の(d) に示すようにロック溝26を閉鎖するロック爪28が設けられ、このロック爪28は、操作レバー29A又は29Bをバネの付勢力に抗して図5の(d) の実線図示位置から仮想線図示位置へと揺動操作することにより、ロック溝26の入口から退避してロック溝26を開放するようになっている。
【0018】
しかして、手摺杆12を固定するときは、操作レバー29A又は29Bを揺動操作してロック爪28を退避させた状態で、手摺支柱11及び手摺杆12を折り畳みながら、手摺杆12の前後端部にある固定ピン24をロック金具25のロック溝26に嵌合し、操作レバー29A又は29Bを元の位置へ戻すことにより、ロック爪28をロック溝26の入口に進入させて固定ピン24をロック溝26にロックし、それにより手摺杆12を固定することができる。
【0019】
尚、ロック金具25は、図2の(a) 及び図5の(a) に示すように基板部7の前後両端部側に設けているため、使用に際しては、両ロック金具25の両操作レバー29A(又は29B)を同時に操作する必要があるが、そのためには例えば、一方のロック金具25の操作レバー29Aと他方のロック金具25の操作レバー29Aとをワイヤー又はロッドにより連動連結しておけばよい。
【0020】
次に、上記のように構成されるタンクローリーの手摺り3の作用について説明すると、手摺り3は、タンク上部の防護枠2内で作業を行う時以外は、折り畳んで、手摺杆固定手段13により手摺杆12を固定しておく。このように、折り畳んだ手摺り3の手摺杆12を固定しておけば、タンクローリーの走行中に手摺り3が振動でガタついたり、またそのガタツキによって部材が破損するようなことがない。
【0021】
しかして、タンク上部の防護枠2内においてマンホール蓋部の開閉作業や底弁の開閉操作等を行う際は、手摺杆固定手段13による手摺杆12の固定を解除して、手摺杆12を持ち上げ、各手摺支柱11を直立させた状態で、所定の手摺支柱11を支柱固定手段13により固定することによって、手摺り3を使用可能な状態に設置する。
【0022】
このようにタンク上部の防護枠2内に手摺り3を設置することによって、防護枠2内でのマンホール蓋部の開閉作業や底弁の開閉操作等を安全に行うことができる。即ち、防護枠2内で作業者が立ったまま作業を行っている時に作業者は手摺り3の手摺杆12で手を支えることができるため、安心して作業が行えると共に、足を滑らせるなどして倒れる状態になっても、手や体の一部を手摺り3の手摺杆12や手摺支柱11にあずけることができるので、防護枠2から落下する危険性を回避することができる。
【0023】
また、手摺り3は、防護枠2の一方側のサイド枠部4の基板部7上にタンク長手方向に一定間隔おきに設けられた支柱受け10と、各支柱受け10に枢着されて、基板部7上面に近接するように折り畳み可能な複数本の手摺支柱11と、各手摺支柱11の上端部をつなぐように各手摺支柱11の上端部に枢支連結されて、手摺支柱11と平行に折り畳み可能な手摺杆12と、各手摺支柱11を直立位置に固定する支柱固定手段13とからなるため、防護枠2内の片側にコンパクトに折り畳んでおけると共に、手摺り使用時には使用可能な状態に迅速容易にセットすることができる。
【0024】
上述した実施形態の説明では、手摺り3を、防護枠2の一方のサイド枠部4に沿った位置にのみに設けたが、防護枠2の両サイド枠部4,4側に夫々設けてもよい。また、実施形態に示した支柱固定手段13は、一例であって、ここに示した以外の構成よりなるものを採用することができる。また手摺杆固定手段14も、この実施形態によって説明したもの以外の構成よりなる手摺杆固定手段を採用することができる。但し、この実施形態に示した支柱固定手段13及び手摺杆固定手段14は、何れも構造が簡単でコンパクトで、安価に製作が可能となる上に、使用が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るタンクローリーの上部側をその前方から見た斜視図である。
【図2】同タンクローリーの上部側を側方から見た概略側面図である。
【図3】(a) は手摺りの一部拡大正面図、(b) は手摺りの一部拡大側面図である。
【図4】(a) は支柱固定手段の一部拡大側面図、(b) は支柱固定手段の一部拡大平面図で、手摺支柱を固定した状態を示し、(c) は手摺支柱の固定を解除した状態を示す。
【図5】(a) は手摺杆の上下両端部を固定した状態の手摺杆固定手段の拡大正面図、(b) は手摺杆固定手段の正面図、(c) は手摺杆固定手段の側面図、(d) はロック金具の正面図である。
【図6】図5の(a) のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 タンク
2 防護枠
3 手摺り
4 防護枠のサイド枠部
5 防護枠の基板部
10 支柱受け
11 手摺支柱
12 手摺杆
13 支柱固定手段
14 手摺杆固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの上部周辺に設けた防護枠の内側に、防護枠よりも高い位置に突出する手摺りを防護枠の内側に折り畳み可能に設けてなることを特徴とするタンクローリー。
【請求項2】
手摺りは、防護枠の少なくとも一方側のサイド枠部の基板部上にタンク長手方向に一定間隔おきに設けられた支柱受けと、各支柱受けに枢着されて、基板部上面に近接するように折り畳み可能な複数本の手摺支柱と、各手摺支柱の上端部をつなぐように各手摺支柱の上端部に枢支連結されて、手摺支柱と平行に折り畳み可能な手摺杆と、各手摺支柱を直立位置に固定する支柱固定手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のタンクローリー。
【請求項3】
手摺りには、各手摺支柱が基板部上面に近接するように折り畳まれると共に手摺杆が手摺支柱と平行に折り畳まれた位置で手摺杆を固定する手摺杆固定手段を設けてなることを特徴とする請求項2に記載のタンクローリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−290570(P2008−290570A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138023(P2007−138023)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(592042358)有限会社東田鉄工 (4)
【Fターム(参考)】