説明

タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、新規なクラスの化合物、そのような化合物を含む医薬組成物ならびに異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性に関係する疾患または障害、特に、疾患Abl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBキナーゼの異常な活性化を伴う疾患または障害を処置または予防するためにかかる化合物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願番号第60/582,467号(2004年6月23日出願)および米国仮特許出願番号第60/588,563号(2004年7月15日出願)に優先権の利益を主張する。これらの出願の開示内容全体は、それらの全体および全ての目的に関して参照により本明細書に包含される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、新規なクラスの化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、および異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性に関係する疾患または障害、特にAbl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBキナーゼの異常な活性化を伴う疾患または障害を処置または予防するためにかかる化合物を使用する方法を提供する。
【0003】
背景
プロテインキナーゼは、多様な細胞過程の調節および細胞機能の制御の維持に中心的な役割を果たすタンパク質の大きなファミリーを意味する。一部の、非限定的なこれらのキナーゼのリストには、血小板由来増殖因子受容体(PDGF−R)キナーゼ、神経増殖因子受容体キナーゼ、trkBキナーゼおよび線維芽細胞増殖因子受容体キナーゼ、FGFR3キナーゼのような受容体型チロシンキナーゼ;Ablおよび融合キナーゼBCR−Abl、Lck、Csk、Fes、Bmxおよびc−srcのような非受容体型チロシンキナーゼ;ならびに、c−RAF、sgk、MAPキナーゼ(例えば、MKK4、MKK6など)およびSAPK2αおよびSAPK2αのようなセリン/スレオニンキナーゼが含まれる。異常なキナーゼ活性は、良性および悪性増殖性疾患、ならびに免疫および神経系の不適切な活性から生じる疾患を含む多くの疾患状態において観察されている。
【0004】
本発明の新規化合物は、1個以上のプロテインキナーゼの活性を阻害し、それにより、キナーゼ関連疾患の処置に有用であると期待される。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
第一の局面において、本発明は、式I:
【化1】

[式中、
Yは、C、P(O)、およびS(O)から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;
は、水素およびC1−6アルキルから選択されるか;または
およびRは、それらが結合する窒素原子と共に、C3−10ヘテロシクロアルキルまたはC5−10ヘテロアリールを形成し;
ここで、Rの任意のアルキルは、所望によりハロ、C1−6アルコキシおよび−XNR(ここで、Xは、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;
ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル、またはRおよびRの組み合わせは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、−XOXNRおよび−XR10(ここで、Xは、結合またはC1−6アルキレンであり;RおよびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;そして、R10は、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−10シクロアルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R10の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルコキシおよび−XNRラジカル(ここで、Xは、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;
およびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−4アルキルおよびハロ置換C1−4アルコキシから選択され;
は、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−10シクロアルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルコキシ、−XNR、−XNRXNR、−XNRC(O)R、−XC(O)OR、−XNRS(O)、−XNRS(O)R、−XNRSRおよび−XR11(ここで、XおよびRは、上記に定義の通りであり、そしてR11は、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルからなる群から選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R11の任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、所望により、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキルおよび−C(O)ORからなる群から選択されるラジカルで置換されていてよい。]
で示される化合物、ならびにそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体の混合物;ならびに、かかる化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば、水和物)を提供する。
【0006】
第二の局面において、本発明は、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体の混合物;または、その薬学的に許容される塩を、1個以上の適する賦形剤と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0007】
第三の局面において、本発明は、動物において、キナーゼ活性、特にAbl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、Sykおよび/またはTrkB活性の阻害が、疾患の病状および/または徴候を予防、阻止または緩和し得る疾患を処置する方法であって、式Iの化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体の混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の治療的有効量を前記動物に投与することを含む方法を提供する。
【0008】
第四の局面において、本発明は、動物において、キナーゼ活性、特にAbl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、Sykおよび/またはTrkB活性が、疾患の病状および/または徴候に関与する疾患を処置するための医薬の製造における式Iの化合物の使用を提供する。
【0009】
第五の局面において、本発明は、式Iの化合物、ならびにそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体の混合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩を製造する方法を提供する。
【0010】
発明の詳細な説明
定義
基および他の基の構造要素としての“アルキル”、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシは、直鎖または分枝鎖のどちらかであり得る。C1−4アルコキシには、メトキシ、エトキシなどが含まれる。ハロ置換アルキルには、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが含まれる。
【0011】
“アリール”は、6個から10個の環炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環集合を意味する。例えば、アリールは、フェニルまたはナフチルであってよく、好ましくはフェニルである。“アリーレン”は、アリール基から誘導された二価ラジカルを意味する。
【0012】
“ヘテロアリール”は、上記アリールについて定義される通りであり、ここで環メンバーの1個以上がヘテロ原子である。例えば、ヘテロアリールには、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどが含まれる。
【0013】
“シクロアルキル”は、示された数の環原子を含む、飽和または部分的不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環集合を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
【0014】
“ヘテロシクロアルキル”は、本明細書で定義される通りであって、ただし示された環炭素の1個以上が、O、N=、NR、C(O)、S、S(O)またはS(O)〔ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である。〕から選択される部分により置換される、シクロアルキルを意味する。例えば、本発明の化合物を表す本明細書で用いられるC3−8ヘテロシクロアルキルには、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルなどが含まれる。
【0015】
“ハロゲン”(または、ハロ)は、好ましくは、クロロまたはフルオロを示すが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0016】
“キナーゼパネル”は、Abl(ヒト)、Abl(T315I)、JAK2、JAK3、ALK、JNK1α1、ALK4、KDR、オーロラ−A、Lck、Blk、MAPK1、Bmx、MAPKAP−K2、BRK、MEK1、CaMKII(ラット)、Met、CDK1/サイクリンB、p70S6K、CHK2、PAK2、CK1、PDGFRα、CK2、PDK1、c−kit、Pim−2、c−RAF、PKA(h)、CSK、PKBα、cSrc、PKCα、DYRK2、Plk3、EGFR、ROCK−I、Fes、Ron、FGFR3、Ros、Flt3、SAPK2α、Fms、SGK、Fyn、SIK、GSK3β、Syk、IGF−1R、Tie−2、IKKβ、TrKB、IR、WNK3、IRAK4、ZAP−70、ITK、AMPK(ラット)、LIMK1、Rsk2、Axl、LKB1、SAPK2β、BrSK2、Lyn(h)、SAPK3、BTK、MAPKAP−K3、SAPK4、CaMKIV、MARK1、Snk、CDK2/サイクリンA、MINK、SRPK1、CDK3/サイクリンE、MKK4(m)、TAK1、CDK5/p25、MKK6(h)、TBK1、CDK6/サイクリンD3、MLCK、TrkA、CDK7/サイクリンH/MAT1、MRCKβ、TSSK1、CHK1、MSK1、Yes、CK1d、MST2、ZIPK、c−Kit(D816V)、MuSK、DAPK2、NEK2、DDR2、NEK6、DMPK、PAK4、DRAK1、PAR−1Bα、EphA1、PDGFRβ、EphA2、Pim−1、EphA5、PKBβ、EphB2、PKCβI、EphB4、PKCδ、FGFR1、PKCη、FGFR2、PKCθ、FGFR4、PKD2、Fgr、PKG1β、Flt1、PRK2、Hck、PYK2、HIPK2、Ret、IKKα、RIPK2、IRR、ROCK−II(ヒト)、JNK2α2、Rse、JNK3、Rsk1(h)、PI3 Kγ、PI3 KδおよびPI3 Kβを含むキナーゼのリストである。本発明の化合物は、キナーゼパネル(その野生型および/または変異体)に対してスクリーニングされ、そして該パネルメンバーの少なくとも1個の活性を阻害する。
【0017】
“BCR−Ablの変異体”は、野生型配列から1個または複数個のアミノ酸が変化したものを意味する。BCR−ABLにおける変異は、タンパク質と阻害剤(例えば、グリベック(Gleevec)など)の重要な接点を破壊することにより、よりしばしば、不活性状態から、活性状態、すなわちBCR−ABLおよびグリベックが結合不可能である構造への移行を誘導することにより作用する。臨床試料の分析により、耐性表現型に関係して発見される変異の種類(repertoire)は、徐々にだが、時間の経過とともにいや応なく増加している。変異は、4個の主な領域に集中しているように見える。変異の第一群(G250E、Q252R、Y253F/H、E255K/V)には、ATPのためのリン酸塩結合ループ(P−ループとしても公知)を形成するアミノ酸が含まれる。第二群(V289A、F311L、T315I、F317L)は、グリベック結合部位に発見され得、そして水素結合またはファンデルワールス相互作用により阻害剤と直接相互作用する。変位の第三群(M351T、E355G)は、触媒ドメインの近接域に集中する。変異の第四群(H396R/P)は、活性ループ内に位置し、それらの構造は、キナーゼ活性化/不活性化を制御する分子スイッチである。CMLおよびALL患者において検出されるグリベック耐性に関係するBCR−ABL点変異には、下記:M224V、L248V、G250E、G250R、Q252R、Q252H、Y253H、Y253F、E255K、E255V、D276G、T277A、V289A、F311L、T315I、T315N、F317L、M343T、M315T、E355G、F359V、F359A、V379I、F382L、L387M、L387F、H396P、H396R、A397P、S417Y、E459KおよびF486S(アミノ酸の位置(一文字表記で示される)は、GenBank sequence受託番号AAB60394のものであり、ABL type 1a;Martinelli et al., Haematologica/The Hematology Journal, 2005, April;90−4に対応する)が含まれる。本発明について他に記載がない限り、Bcr−Ablは、前記酵素の野生型および変異型を示す。
【0018】
“処置する”、“処置”および“処置法”は、疾患および/またはその付帯症状を緩和または軽減する方法を示す。
【0019】
好ましい態様の説明
融合タンパク質BCR−Ablは、Abl癌原遺伝子とBcr遺伝子を融合させる相互転座の結果生じる。次いで、BCR−Ablは、細胞分裂活性の増加によりB細胞を形質転換することができる。この増加は、アポトーシスへの感受性の減少、ならびに接着の変化およびCML前駆細胞のホーミング(homing)をもたらす。本発明は、化合物、組成物ならびにキナーゼ関連疾患、特にAbl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBキナーゼ関連疾患の処置のための方法を提供する。例えば、BCR−Ablに関係する白血病および他の増殖性疾患を、Bcr−Ablの野生型および変異形態の阻害を介して処置することができる。
【0020】
1つの態様において、式Iの化合物に関して、YがCであり;Rが、水素、C1−6アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;Rが、水素およびC1−6アルキルから選択されるか;または、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と共に、C3−10ヘテロシクロアルキルを形成し;ここで、Rの任意のアルキルが、所望によりC1−6アルコキシおよび−XNR(ここで、Xが、結合またはC1−6アルキレンであり;そしてRおよびRが、水素およびC1−6アルキルから独立して選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル、またはRおよびRの組み合わせは、所望により、ヒドロキシ、C1−6アルキル、−XOXNRおよび−XR10(ここで、Xが、結合またはC1−6アルキレンであり;RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;そしてR10が、C6−10アリールおよびC3−10ヘテロシクロアルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R10の任意のアリールまたはヘテロシクロアルキルが、所望により、ハロ、C1−6アルキルおよび−XNRラジカル(ここで、Xが、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよい。
【0021】
他の態様において、R、RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;そして、Rが、所望により、ハロ置換C1−6アルキルおよび−XR11(ここで、Xが上記に定義の通りであり、そしてR11が、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルからなる群から選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよいC6−10アリールであり;ここで、R11の任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルが、所望により、C1−6アルキルで置換されていてよい。
【0022】
他の態様において、Rは、水素、メチル、エチル、6−メチル−ピリジン−3−イル、3−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−プロピル、ピリジン−3−イル、3−メチル−イソチアゾール−5−イル、メトキシ−エチル、イソプロピル、メチル−フェニル、モルホリノ−エチル、シクロプロピル、ジエチル−アミノ−エチル、ピロリジニル−エチル、ピリジニル−メチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、4−モルホリノ−フェニル、3−ジメチルアミノ−フェニル、4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニルおよびジエチル−アミノ−エトキシから選択され;Rが、水素、メチルおよびエチルから選択されるか;または、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と共に、4−エチル−ピペラジニルまたは4−(3−アミノ−フェニル)−ピペラジン−1−イルを形成する。
【0023】
さらなる態様において、Rがメチルであり、Rがメチルであり、Rが水素であり、そしてRが、所望により、トリフルオロメチル、モルホリノ、メチル−イミダゾリル、メチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニルおよびメチル−ピペラジニルから選択される1から2個のラジカルで置換されていてよいフェニルである。
【0024】
好ましい化合物は、下記:N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−モルホリン−4−イル−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−(6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−[8−メチル−2−[4−(モルホリン−4−イル)フェニルアミノ]−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル]−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−ジメチルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(3−{2−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−イソプロピルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−7−オキソ−2−p−トリルアミノ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−シクロプロピルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(2−ジエチルアミノ−エチルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(4−メチル−3−{8−メチル−7−オキソ−2−[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−ジエチルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(3−{2−[4−(3−アミノ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(3−ジメチルアミノ−フェニルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(4−メチル−3−{8−メチル−2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニルアミノ]−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(3−{2−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[2−メチルアミノ−8−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(4−メチル−3−{8−メチル−7−オキソ−2−[3−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−プロピルアミノ]−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(3−メチル−イソチアゾール−5−イルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(2,6−ジメチル−ピリジン−3−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(4,6−ジメチル−ピリジン−3−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−モルホリン−4−イル−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;およびN−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドから選択される。
【0025】
本発明のさらに好ましい化合物を、下記の実施例および表Iに詳しく記載する。
【0026】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、キナーゼの活性を調節し、それ自体、キナーゼが疾患の病状および/または徴候に寄与する疾患または障害を処置するのに有用である。本明細書に記載の化合物および組成物により阻害され、ならびに本明細書に記載の方法が有用であるキナーゼの例には、Abl、BCR−Abl(野生型および変異体)、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBが含まれるが、それらに限定されない。
【0027】
アベルソンチロシンキナーゼ(すなわち、Abl、c−Abl)は、細胞周期の制御、遺伝毒性ストレスに対する細胞応答、およびインテグリンシグナル伝達を介する細胞環境についての情報の伝達に関与する。概して、Ablタンパク質は、様々な細胞外および細胞内起源からのシグナルを統合し、かつ細胞周期およびアポトーシスに関する決定に影響を与える細胞モジュールとして複雑な役割を果たすことが明らかである。アベルソンチロシンキナーゼには、脱制御されたチロシンキナーゼ活性を有するキメラ融合(癌タンパク質)BCR−Ablまたはv−Ablのようなサブタイプ誘導体が含まれる。BCR−Ablは、慢性骨髄性白血病(CML)の95%および急性リンパ性白血病の10%の病因において重要である。STI−571(グリベック)は、発癌性BCR−Ablチロシンキナーゼの阻害剤であり、慢性骨髄性白血病の処置に用いられる。しかしながら、CMLの急性転化状態にある数人の患者は、BCR−Ablキナーゼにおける変異のためにSTI−571に対して耐性である。22個以上の変異が、これまでに報告されており、最も一般的には、G250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tである。
【0028】
本発明の化合物は、ablキナーゼ、とりわけv−ablキナーゼを阻害する。本発明の化合物はまた、野生型BCR−Ablキナーゼおよび変異体BCR−Ablキナーゼを阻害し、それ故に、Bcr−abl−陽性癌および白血病(とりわけ慢性骨髄性白血病および急性リンパ芽球性白血病、そこでとりわけアポトーシス作用機序が発見される。)のような腫瘍疾患の処置に適しており、また、白血病性幹細胞のサブグループへの効果、ならびに該細胞の除去(例えば、骨髄除去)後のこれらの細胞のインビトロ精製および癌細胞を除去された細胞の再移植(例えば、精製骨髄細胞の再移植)の可能性を示す。
【0029】
PDGF(血小板由来増殖因子)は、非常に一般的に生じる増殖因子であり、それは、血管の平滑筋細胞の癌発症および疾患、例えばアテローム性動脈硬化症および血栓症に見られるような、正常な増殖、また病的細胞増殖の両方に重要な役割を果たす。本発明の化合物は、PDGF受容体(PDGFR)活性を阻害し得、それ故に、神経膠腫、肉腫、前立腺腫瘍、ならびに結腸、胸部および卵巣の腫瘍のような腫瘍疾患の処置に適する。
【0030】
本発明の化合物を、例えば小細胞肺癌において腫瘍を阻害する物質としてだけでなく、アテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症のような非悪性増殖性疾患の処置のため、ならびに幹細胞の保護のため、例えば喘息における5−フルオロウラシルのような化学療法剤の血液毒作用に対処するための薬剤としても使用可能である。本発明の化合物を、とりわけPDGF受容体キナーゼの阻害に応答する疾患の処置に使用することができる。
【0031】
本発明の化合物は、移植、例えば同種移植の結果として生じる疾患、とりわけ閉塞性細気管支炎(OB)、すなわち同種肺移植の慢性拒絶のようなとりわけ組織拒絶の処置に有用な効果を示す。OBのない患者とは対照的に、OBを有する患者はしばしば、気管支肺胞洗浄液中の高濃度PDGFを示す。
【0032】
本発明の化合物はまた、再狭窄およびアテローム性動脈硬化症のような、血管平滑筋細胞の移動および増殖(ここで、PDGFおよびPDGF−Rがまた、しばしば役割を果たす。)に関係する疾患において有効である。血管平滑筋細胞のインビトロおよびインビボでの増殖または移動に対するこれらの効果およびその結果を、本発明の化合物を投与すること、およびまた、インビボでの機械的損傷後に起こる血管内膜の肥厚へのその効果を調査することにより証明し得る。
【0033】
本発明の化合物はまた、幹細胞因子(SCF、c−kitリガンドまたはスチール因子(steel factor)としても公知)受容体(kit)自己リン酸化およびMAPKキナーゼ(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)のSCFにより刺激される活性化を阻害するような、SCFに関係する細胞過程を阻害する。MO7e細胞は、ヒト前巨核球細胞白血病細胞株であり、それは、増殖のためにSCFに依存する。本発明の化合物は、SCF受容体の自己リン酸化を阻害し得る。
【0034】
ニューロトロフィン受容体(trkA、trkB、trkC)のtrkファミリーは、神経および非神経組織の生存、増殖および分化を促進する。TrkBタンパク質は、神経内分泌型細胞、小腸および結腸、膵臓のアルファ細胞、リンパ節および脾臓の単球およびマクロファージ、ならびに表皮の顆粒層で発現される(Shibayama and Koizumi, 1996)。TrkBタンパク質の発現は、ウイルムス腫瘍および神経芽腫の望まれない進行と関係している。TkrBはさらに、癌性前立腺細胞で発現されるが、正常細胞では発現されない。trk受容体のシグナル伝達経路下流は、Shc、活性化Ras、ERK−1およびERK−2遺伝子、ならびにPLC−γ伝達経路を介するMAPK活性化のカスケードに関係する(Sugimoto et al., 2001)。
【0035】
キナーゼであるc−Srcは、多くの受容体の発癌シグナルを伝達する。例えば、腫瘍におけるEGFRまたはHER2/neuの過剰発現は、c−srcの恒常的活性化をもたらし、それは悪性細胞に特徴的であり、正常細胞には存在しない。一方、c−srcの発現を欠くマウスは、破骨細胞機能におけるc−srcの重要な関与および関連疾患に関与する可能性を示す骨硬化症表現型を表す。
【0036】
TecファミリーキナーゼであるBmx(非受容体型タンパク質−チロシンキナーゼ)は、哺乳動物上皮癌細胞の増殖を制御する。
【0037】
線維芽細胞増殖因子受容体3は、骨増殖における負の調節作用および軟骨細胞増殖の阻害に影響することが示された。致死性異形成症は、線維芽細胞増殖因子受容体3における様々な変異によりもたらされ、1つの変異であるTDII FGFR3は、細胞周期阻害剤の発現、増殖停止および異常な骨の発達をもたらす、転写因子Stat1を活性化する恒常的チロシンキナーゼ活性を有する(Su et al., Nature, 1997, 386, 288−292)。FGFR3はまた、しばしば、多発性骨髄腫型癌で発現される。
【0038】
血清およびグルココルチコイドにより調節されるキナーゼ(SGK)の活性は、不安定なイオンチャネル活性、特にナトリウムおよび/またはカリウムチャネルの活性に関係し、本発明の化合物は、高血圧の処置に有用であり得る。
【0039】
Lin et al (1997) J. Clin. Invest. 100, 8: 2072−2078およびP. Lin (1998) PNAS 95, 8829−8834は、腫瘍増殖および血管形成の阻害、ならびにまた、乳癌および黒色腫異種移植モデルにおけるTie−2(Tek)の細胞外ドメインのアデノウイルス感染または注入の間の肺転移の減少を示している。Tie2阻害剤を、血管形成が適当に起こる(すなわち、糖尿病性網膜症、慢性炎症、乾癬、カポジ肉腫、黄斑変性、リウマチ性関節炎、小児血管腫および癌による慢性血管形成において)状態において用いることができる。
【0040】
Lckは、T細胞シグナル伝達において役割を果たす。Lck遺伝子を欠くマウスは、胸腺細胞の発達能力が低い。T細胞シグナル伝達の正のアクチベーターとしてのLckの機能は、Lck阻害剤が、リウマチ性関節炎のような自己免疫性疾患を処置するために有用であり得ることを示唆する。
【0041】
JNKは、他のMAPKと共に、癌、トロンビンにより誘導される血小板凝集、免疫不全疾患、自己免疫性疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症および心臓疾患に対する細胞応答を仲介する役割を有している。JNK経路の活性化に関係する治療標的には、慢性骨髄性白血病(CML)、リウマチ性関節炎、喘息、変形性骨関節炎、虚血、癌および神経変性疾患が含まれる。肝臓疾患または肝虚血の発症と関係するJNK活性化の重要性の結果として、本発明の化合物はまた、様々な肝疾患の処置に有用であり得る。心筋梗塞またはうっ血性心不全のような心臓血管疾患におけるJNKの役割はまた、JNKが、様々な形態の心臓ストレスに対する肥大性応答を仲介することを示しているとして報告されている。JNKカスケードはまた、IL−2プロモーターの活性化を含む、T細胞活性化に役割を果たすことが証明されている。従って、JNKの阻害剤は、病的に変化した免疫応答における治療的価値を有し得る。様々な癌におけるJNK活性化の役割もまた、確立されており、癌におけるJNK阻害剤の利用可能性を示唆している。例えば、恒常的に活性化されたJNKは、HTLV−1により仲介される腫瘍形成と関係する[Oncogene 13:135−42 (1996)]。JNKは、カポジ肉腫(KS)において役割を果たし得る。血管内皮増殖因子(VEGF)、IL−6およびTNFαのような、KS増殖に関わる他のサイトカインの他の増殖作用はまた、JNKにより仲介され得る。さらに、p210 BCR−ABL形質転換細胞におけるc−jun遺伝子の制御は、JNKの活性化と一致し、慢性骨髄性白血病(CML)の処置におけるJNK阻害剤の役割を示唆する[Blood 92:2450−60 (1998)]。
【0042】
ある異常な増殖性状態は、raf発現と関係すると考えられ、それ故に、raf発現の阻害に応答すると考えられる。異常に高レベルのrafタンパク質の発現はまた、形質転換および異常な細胞増殖に関与する。これらの異常な増殖性状態も、raf発現の阻害に応答すると考えられる。例えば、c−rafタンパク質の発現は、全ての肺癌細胞株の60%が、異常に高いレベルのc−raf mRNAおよびタンパク質を発現することが報告されているため、異常な細胞増殖に役割を果たすと考えられる。異常な増殖状態のさらなる例は、癌、腫瘍、過形成、肺線維症、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症および血管形成術後の狭窄または再狭窄のような血管における平滑筋細胞増殖のような高増殖性疾患である。rafが一部である細胞シグナル伝達経路はまた、例えば組織移植拒絶、内毒素性ショック、および糸球体腎炎のようなT細胞増殖(T細胞活性化および増殖)により特徴付けられる炎症性疾患に関与する。
【0043】
ストレスにより活性化されるプロテインキナーゼ(SAPK)は、c−jun転写因子の活性化およびc−junにより制御される遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路において最後から2番目の工程を示すプロテインキナーゼのファミリーである。特に、c−junは、遺伝毒性作用(genotoxic insult)により損傷を受けたDNAの修復に関与するタンパク質をコード化する遺伝子の転写に関与する。故に、細胞においてSAPK活性を阻害する薬物は、DNA修復を妨げ、そしてDNA損傷を誘導する薬物に対して細胞を感受性にするか、またはDNA合成を阻害し、そして細胞のアポトーシスを誘導するか、または細胞増殖を阻害する。
【0044】
マイトジェン−活性化プロテインキナーゼ(MAPK)は、様々な細胞外シグナルに応答する転写因子、翻訳因子および他の標的分子を活性化する、保存されたシグナル伝達経路のメンバーである。MAPKは、マイトジェン−活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MKK)による配列Thr−X−Tyrを有する二重リン酸化モチーフのリン酸化により活性化される。高等真核生物において、MAPKシグナル伝達の生理学的役割は、増殖、腫瘍形成、発達および分化のような細胞事象と相関している。従って、これらの経路を介する(特に、MKK4およびMKK6を介する)シグナル伝達の制御能は、炎症性疾患、自己免疫性疾患および癌のようなMAPKシグナル伝達と関係するヒト疾患の処置法および予防療法の発展をもたらし得る。
【0045】
Sykは、マスト細胞の脱顆粒および好酸球活性に重要な役割を果たすチロシンキナーゼである。従って、Sykキナーゼは、様々なアレルギー性疾患、特に喘息に関与する。Sykは、N末端SH2ドメインを介してFcεR1受容体のリン酸化γ鎖に結合し、そして顆粒のシグナル伝達に必須であることが示されている。
【0046】
好酸球アポトーシスの阻害は、喘息における血液および組織の好酸球増加の発生の重要なメカニズムとして提案されている。IL−5およびGM−CSFは、喘息において上方制御され、そして好酸球アポトーシスの阻害により血液および組織の好酸球増加を引き起こすことが提案される。好酸球アポトーシスの阻害は、喘息における血液および組織の好酸球増加の発生の重要なメカニズムとして提案されている。Sykキナーゼは、サイトカインによる好酸球アポトーシスの予防(アンチセンスを用いる)に必要であることが報告されている[Yousefi, et al., J. Exp. Med. 1996, 183, 1407]。
【0047】
ヒトリボソームS6プロテインキナーゼのファミリーは、少なくとも8個のメンバー(RSK1、RSK2、RSK3、RSK4、MSK1、MSK2、p70S6Kおよびp70S6 Kb)から成る。リボソームタンパク質であるS6プロテインキナーゼは、重要な多面的機能を果たし、中でも、タンパク質生合成の間のmRNAの翻訳制御において重要な役割を果たす(Eur. J. Biochem 2000 November;267(21): 6321−30, Exp Cell Res. Nov. 25, 1999;253 (1):100−9, Mol Cell Endocrinol. May 25, 1999;151(1−2):65−77)。S6リボソームタンパク質のp70S6によるリン酸化はまた、細胞移動(Immunol. Cell Biol. 2000 August;78(4):447−51)および細胞増殖(Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol., 2000;65:101−27)の制御に関与しており、それ故に、腫瘍転移、免疫応答および組織修復、ならびに他の疾患状態において重要であり得る。
【0048】
SAPK’s(“jun N末端キナーゼ”または“JNK’s”とも称される)は、c−jun転写因子の活性化およびc−junにより制御される遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路における最後から2番目の工程を表す、プロテインキナーゼのファミリーである。特に、c−junは、遺伝毒性作用により損傷を受けたDNAの修復に関与するタンパク質をコード化する遺伝子の転写に影響を与える。細胞においてSAPK活性を阻害する薬剤は、DNA修復を妨げ、そしてDNA損傷を誘導することにより作用する癌療法モダリティに対して細胞を感受性にする。
【0049】
上記に従い、本発明はさらに、そのような処置を必要とする対象において、上記の疾患または障害の何れかを予防または処置するための方法であって、治療的有効量(下記の“投与および医薬組成物”を参照のこと)の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、該対象に投与することを含む方法を提供する。上記の使用の全てに関して、必要な投与量は、投与方法、処置されるべき特定の状態および望まれる効果に依存して変わるだろう。
【0050】
投与および医薬組成物
一般的に、本発明の化合物は、常套法および当技術分野で公知の許容される方法の何れかにより、単独でかまたは1個以上の治療剤と組み合わせて、治療的有効量で投与され得る。治療的有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康度、用いる化合物の効力および他の因子に広く依存して変わるかもしれない。一般的に、満足のいく結果は、体重1kg当たり約0.03から2.5mgの1日投与量で全身的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおける指示される1日投与量は、約0.5mgから約100mgの範囲で、都合よくは、例えば1日4回までの分割用量でまたは遅延形態で投与される。経口投与について適する単位投与量には、約1から50mgの活性成分が含まれる。
【0051】
本発明の化合物を、何らかの慣用的経路で、特に経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、非経腸的に、例えば注射溶液または懸濁液の形態で、または局所的に、例えばローション、ジェル、軟膏またはクリームの形態、または経鼻形態もしくは坐剤形態で、医薬組成物として投与することができる。遊離型または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を、少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤と合わせて含む医薬組成物を、混合、造粒またはコーティング法により常套的方法で製造することができる。例えば、経口組成物は、活性成分を、a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えばシリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコールと共に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得、錠剤についてはまた、c)結合剤、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;要すれば、d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡剤;および/またはe)吸収剤、着色剤、風味剤および甘味剤が含まれる。注射用組成物は、水性等張液または懸濁液であり得、そして坐剤を、脂肪エマルジョンまたは懸濁液から調製することができる。前記組成物は、滅菌され得、および/または保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤のようなアジュバント、溶液プロモーター(solution promoter)、浸透圧を制御するための塩および/または緩衝液を含む。さらに、それらは、他の治療的に価値のある物質を含んでいてもよい。経皮投与に適する剤形には、有効量の本発明の化合物と担体が含まれる。担体には、宿主の皮膚を通過するのを助けるために、吸収性の薬理学的に許容される溶媒が含まれる。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により長時間制御された予定速度で宿主の皮膚へ化合物を送達するため速度制御バリアを含む包帯形態であり、そして皮膚にそのデバイスを固定する手段である。マトリックス経皮製剤を、用いることもできる。例えば皮膚および眼への局所適用に適する製剤は、好ましくは、当技術分野で周知の水溶液、軟膏、クリームまたはジェルである。そのようなものには、溶解剤、安定化剤、等張性増強剤、緩衝液および保存剤が含まれ得る。
【0052】
本発明の化合物を、治療的有効量で、1個以上の治療剤(薬学的組合せ剤)と合わせて投与することができる。例えば相乗効果が、他の免疫調節剤または抗炎症物質と共に、例えばシクロスポリン、ラパマイシン、もしくはアスコマイシン、またはその免疫抑制類似体、例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシン、もしくは同程度の化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスパガリン、免疫抑制抗体、とりわけ白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58もしくはそれらのリガンド、またはCTLA41gのような他の免疫調節化合物と組み合わせて用いるとき、生じ得る。本発明の化合物を他の治療剤と合わせて投与するとき、共投与される化合物の投与量は、もちろん、用いる共薬剤の種類、用いる特定の薬剤、処置される状態などに依存して変わるだろう。
【0053】
本発明はまた、薬学的組合せ剤、例えば、a)遊離型または薬学的に許容される塩形態の、本明細書中に開示される本発明の化合物である第一の薬物、およびb)少なくとも1個の共薬剤を含むキットを提供する。前記キットは、その投与のための説明書を含み得る。
【0054】
本明細書で用いる用語“共投与”または“併用投与”などは、一人の患者に対して選択された複数の治療剤の投与を含むことを意味し、前記薬物が、同じ投与経路でまたは同時に投与されることを要しない処置レジメンを含むことを意図する。
【0055】
本明細書で用いる用語“薬学的組合せ剤”は、2個以上の活性成分の混合または組み合わせの結果もたらされる製品を意味し、活性成分の固定された組合せ剤および非固定の組合せ剤の両方を含む。用語“固定された組合せ剤”は、活性成分、例えば式Iの化合物および共薬物の両方が、患者に対して単一体または単一投与量の形態で同時に投与されることを意味する。用語“非固定の組合せ剤”は、活性成分、例えば式Iの化合物および共薬物の両方が、患者に対して別個のものとして、同時に、共にまたは特定の時間制限なく連続して投与されることを意味し、かかる投与は、患者の体内に治療的有効量の2個の化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3個以上の活性成分の投与にも適用される。
【0056】
本発明の化合物の製造方法
本発明はまた、本発明の化合物の製造のための方法を含む。記載される反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基が最終産物中に望まれるとき、反応におけるそれらの望まれない参加を避けるために、その保護が必要とされ得る。慣用の保護基を、標準的方法(例えばT.W. GreeneおよびP. G. M. Wutsの、“Protective Groups in Organic Chemistry”、John Wiley and Sons, 1991を参照のこと)に従い、用いることができる。
【0057】
式Iの化合物を、下記の反応スキームIに記載の通りに製造することができる:
【化2】

式中、Y、R、R、R、R、RおよびRは、発明の概要に記載の式Iに定義の通りである。式Iの化合物を、式2の化合物と式3の化合物を、適するカップリング剤(例えば、HATUなど)および適する溶媒(例えばTHF、DMFなど)の存在下で反応させることにより製造することができる。反応を、およそ室温から約80℃の範囲の温度で行い、約20時間までで完了し得る。
【0058】
式Iの化合物を、下記の反応スキーム2に記載の通りに製造することができる:
【化3】

式中、Y、R、R、R、R、RおよびRは、発明の概要に記載の式Iに定義の通りである。式Iの化合物を、式4の化合物と式5の化合物を3工程で反応させることにより製造することができる。ヘテロアリールアミンまたはアリールアミンについて、反応を、適する触媒(例えば、Pd(II)塩など)および適する溶媒(例えば、1,4−ジオキサンなど)の存在下で、約80から約150℃の温度範囲にて行い、約20時間までで完了し得る。アルキルアミン置換についての反応条件には、式4の化合物と5−10当量のアミンを、適する溶媒(例えば、DMSO、DMFなど)中で加熱することが含まれる。式4の化合物とアリールアミンとの縮合について、これらは、酸(例えば、TsOH、HOAc、HClなど)の存在下で、適当な溶媒(例えば、DMSO、DMF、アルコールなど)中で行われるのがよい。
【0059】
式Iの化合物の合成の詳細な例は、下記の実施例に記載されている。
【0060】
本発明の化合物のさらなる製造方法
本発明の化合物を、遊離塩基形態の化合物と薬学的に許容される無機または有機酸を反応させることにより薬学的に許容される酸付加塩として製造することができる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離酸形態の化合物と薬学的に許容される無機または有機塩基を反応させることにより製造することができる。
【0061】
あるいは、本発明の化合物の塩形態を、出発物質または中間体の塩を用いて製造することができる。
【0062】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基を、対応する塩基付加塩形態または酸付加塩形態からそれぞれ製造することができる。例えば、酸付加塩形態の本発明の化合物を、適する塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)と処理することにより、対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形態の本発明の化合物を、適する酸(例えば、塩酸など)と処理することにより、対応する遊離酸に変換することができる。
【0063】
非酸化形態の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、適する不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、含水ジオキサンなど)中、0から80℃にて、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)と処理することにより製造することができる。
【0064】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を、当業者に公知の方法により製造することができる(例えば、さらに詳しくは、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを、本発明の非誘導体化化合物を適するカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロライデート(acyloxyalkylcarbanochloridate)、パラ−ニトロフェニルカルボネートなど)と反応させることにより製造することができる。
【0065】
本発明の化合物の被保護誘導体を、当業者に公知の方法で作製することができる。保護基の構築およびそれらの除去に用い得る技術の詳細な説明は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に記載されている。
【0066】
本発明の化合物を、本発明の方法中、溶媒和物(例えば、水和物)として都合よく製造、または形成することができる。本発明の化合物の水和物を、水性/有機溶媒混合物から、ダイオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を用いて再結晶することにより都合よく製造することができる。
【0067】
本発明の化合物を、本化合物のラセミ混合物と光学活性分解剤を反応させ、一対のジアステレオ異性体化合物を形成させ、そのジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、その個々の立体異性体として製造することができる。エナンチオマーの分解を、本発明の化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を用いて行い得るとき、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)を有し、そしてこれらの相違を利用して直ぐに分離され得る。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解性の相違をもとにした分離/分解技術により分離され得る。その後、光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化をもたらすことのない何らかの実用的手段により、分解剤と共に回収する。それらのラセミ混合物からの化合物の立体異性体の分解に適用可能な技術のより詳細な説明は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, RacematesおよびResolutions”, John Wiley and Sons, Inc., 1981に記載されている。
【0068】
まとめると、式Iの化合物を、下記:
(a)反応スキームIおよびIIの工程;および
(b)所望により、本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換する工程;
(c)所望により、本発明の化合物の塩形態を非塩形態に変換する工程;
(d)所望により、本発明の化合物の非酸化形態を薬学的に許容されるN−オキシドに変換する工程;
(e)所望により、本発明の化合物のN−オキシド形態をその非酸化形態に変換する工程;
(f)所望により、異性体の混合物から本発明の化合物の個々の異性体に分化する工程;
(g)所望により、本発明の非誘導体化化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換する工程;ならびに
(h)所望により、本発明の化合物のプロドラッグ誘導体をその非誘導体化形態に変換する工程
を含む方法により作製することができる。
【0069】
出発物質の製造について特に記載がない限り、前記化合物は公知であるか、または当技術分野で公知の方法と同様にもしくは下記の実施例に記載の通りに製造することができる。
【0070】
当業者は、上記の変換は、本発明の化合物の製造方法の単なる典型であること、および他のよく知られた方法を、同様に用いることができることを理解する。
【実施例】
【0071】
実施例
本発明は、本発明の式Iの化合物の製造を説明する下記の実施例によりさらに説明されるが、それらに限定されない。
【0072】
実施例1
N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−モルホリン−4−イル−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化4】

【0073】
2−クロロ−4−(メチル−アミノ)−5−ニトロピリミジン
【化5】

2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(7.26g、37.4mmol)のTHF溶液(100mL)を、−78℃に冷却する。メチルアミンの溶液(メタノール中8M、9.35mL、74.8mmol)を滴下する。その混合物を室温まで温め、濃縮する。残渣を、酢酸エチルと水の間に分配させる。層を分離させ、水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過および濃縮し、表題生成物を得る(7.0g)。(特記:産物には、5%の位置異性体、2−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロピリミジンが含まれる)。残渣を、さらに精製することなく次工程に用いる。
【0074】
2,4−(ジメチルアミノ)−5−ニトロピリミジン
【化6】

2−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロピリミジン(0.644g、3.42mmol、上記の方法により合成された)のエタノール溶液(20mL)に、THF中2Mメチルアミン(10mL)を添加する。室温で3時間撹拌後、溶媒を減圧下で除去する。固体を水で洗浄し、乾燥させ、表題化合物を得る(620mg、99%)。
【0075】
5−アミノ−2,4−(ジメチルアミノ)−ピリミジン
【化7】

パラジウム炭素(Pd/C)、1atm Hで2,4−(ジメチルアミノ)−5−ニトロピリミジンを水素化した後、表題化合物を、HCl塩形態とし、そしてさらに精製することなく次反応に用いる。
【0076】
N−アセチル−3−ブロモ−4−メチルアニリン
【化8】

3−ブロモ−4−メチルアニリン(1.27g、6.82mmol)のDCM溶液(20mL)に、0℃にて、無水酢酸(0.676mL、7.16mmol)を滴下する。30分後、混合物を、DCMと飽和炭酸ナトリウム溶液の間に分配させる。層を分離させ、水層をDCMで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、次いで濃縮し、表題化合物を得る(1.55g、99%)。残渣を、さらに精製することなく次工程に用いる。
【0077】
エチル2−(5−アセチルアミノ−2−メチルフェニル)−2−オキソアセテート
【化9】

N−アセチル−3−ブロモ−4−メチルアニリン(1.43g、6.27mmol)のTHF溶液(50mL)に、−78℃にて、ペンタン中2M BuLi(7.83mL、15.66mmol)を滴下する。さらに1時間後、シュウ酸ジエチル(4.26mL、31.3mmol)を添加する。−78℃にて4時間撹拌後、反応混合物を、飽和NHCl溶液でクエンチする。混合物を、酢酸エチルと水の間に分配させる。層を分離させ、そして水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、次いで濃縮する。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン 1/1から2/1を用いて溶出)により精製し、表題化合物を得る(0.82g、52%)。
【0078】
6−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−8−メチル−2−メチルアミノ−8H−ペトリジン−7−オン
【化10】

エタノール(20mL)中、エチル2−(5−アセチルアミノ−2−メチルフェニル)−2−オキソアセテート(223mg、0.85mol)、5−アミノ−2,4−(ジメチルアミノ)−ピリミジン(211mg、HCl塩)の混合物を、密閉管中、100℃で加熱する。1日加熱後、イソプロパノール中5N HCl(5mL)を添加し、そして混合物を、溶媒を真空下で除去する6時間前に、加熱還流する。その後、混合物を、飽和炭酸ナトリウム溶液を用いて塩基性にする。固体をろ過し、乾燥させ、緑−黄色粉末として表題化合物120mgを得る。ろ液をEtOAcで抽出する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン 1/1から酢酸エチルを用いて溶出)によりさらに精製し、他の形態の表題化合物80mgを得る。
【0079】
6−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−8−メチル−2−メチルアミノ−8H−ペトリジン−7−オン(19.8mg、0.067mmol)、3−(4−モルホリン−4−イル)−5−トリフルオロメチル安息香酸(22mg、0.08mmol)、およびDIEA(46μL、0.26mmol)のDMF溶液(3mL)に、HATU(30mg、0.08mmol)を添加する。室温で1時間撹拌後、溶媒を減圧下で除去する。残渣をDMSO(1mL)中に溶解する。得られる溶液を、逆相LC−MSにより精製し、表題化合物を得る;1H NMR 400 MHz (DMSO−d6) δ 10.37 (s, 1H), 8.76 (s, 0.3H), 8.68 (s, 0.7 H), 8.04 (s, 0.7 H), 7.94 (s, 0.3 H), 7.77 (dd, 1H, J=8.3, 3.0 Hz), 7.75 7.73 (m, 2H), 7.67 (s, 1H), 7.39 (s, 1H), 7.27 (d, 1H, J=8.8 Hz), 3.77 (t, 4H, J=4.4 Hz), 3.65 (s, 3H), 3.30 (t, 4H, J=4.4 Hz), 2.94 (s, 3H), 2.19 (s, 3H);MS m/z 554.2 (M+1)。
【0080】
実施例2
N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−(6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化11】

【0081】
5−アミノ−2−クロロ−4−(メチルアミノ)−ピリミジン
【化12】

エタノール(200mL)中、2−クロロ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロピリミジン(3.76g、20mmol、上記の方法により合成された)、塩化錫(II)二水和物(18.0g、80mmol)の混合物を、80℃で加熱する。2時間撹拌後、反応混合物を室温まで冷却し、濃縮する。酢酸エチルおよびセライトを残渣に添加し、そして混合物を、飽和炭酸ナトリウム溶液を用いて、pH9−10まで塩基性にする。混合物をセライトパッドを通してろ過し、酢酸エチルで洗浄する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、次いで濃縮する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチルを用いて溶出)によりさらに精製し、表題化合物(1.72g、54%)を得る。
【0082】
N−[4−メチル−3−(2−クロロ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化13】

イソプロパノール(15mL)中、エチル2−[5−(3−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ)−2−メチルフェニル)−2−オキソアセテート(840mg、2.21mmol)、5−アミノ−2−クロロ−4−(メチルアミノ)−ピリミジン(702mg、4.42mmol)、酢酸(1mL)の混合物を、密閉管中、110℃で加熱する。32時間加熱後、溶媒を減圧下で除去する。その後、残渣を、酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム溶液の間に分配させる。層を分離させ、水層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮する。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン勾配を用いて溶出)により精製し、表題化合物を得る(550mg、52%)。
【0083】
Smithバイアル(2−5mL)に、N−[4−メチル−3−(2−クロロ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(31mg、0.065mmol)、5−アミノ−2−メチルピリジン(14mg、0.13mmol)、Pd(OAc)(1.5mg、0.0065mmol)、Xantphos(5.7mg、0.01mmol)、CsCO(43mg、0.13mmol)および1,4−ジオキサン(2mL)を入れる。アルゴンでパージ後、そのバイアルを密閉し、Smith合成装置中、150℃で15分間放射線照射する。固体をろ過して除去し、アセトンで洗浄する。合わせたろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチルを用いて溶出)により精製し、表題化合物を得る;1H NMR 400 MHz (DMSO−d6) δ 10.92 (s, 1H), 10.58 (s, 1H), 9.25 (s, 1H), 9.02 (s, 1 H), 8.58 (d, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.80 (m, 3H), 7.33 (d, 1H), 3.67 (s, 3H), 2.69 (s, 3H), 2.24 (s, 3H);MS m/z 546.10 (M+1)。
【0084】
実施例3
N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化14】

【0085】
Smithバイアル(2−5mL)に、N−[4−メチル−3−(2−クロロ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(15mg、0.032mmol)、THF中2Mメチルアミン溶液(160μL、0.32mmol)およびDMSO(0.5mL)を入れる。アルゴンでパージ後、そのバイアルを密閉し、Smith合成装置中、100℃で45分間放射線照射する。得られる溶液を逆相LC−MSにより精製し、表題化合物を得る;1H NMR 400 MHz (DMSO−d6) δ 10.51 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.26 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.02 (bs, 1H), 7.96 (d, J=7.2 Hz, 1H), 7.80−7.76 (m, 3H), 7.27 (d, J=8.2 Hz, 1H), 3.56 (s, 3H), 2.94 (s, 3H), 2.19 (s, 3H);MS m/z 469.3 (M+1)。
【0086】
実施例4
N−[4−メチル−3−[8−メチル−2−[4−(モルホリン−4−イル)フェニルアミノ]−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル]−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化15】

【0087】
Smithバイアル(2−5mL)に、N−[4−メチル−3−(2−クロロ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(12mg、0.025mmol)、4−モルホリン−4−イル−フェニルアミン(14mg、0.078mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(5mg、0.026mmol)、およびDMSO(0.5mL)を入れる。アルゴンでパージ後、そのバイアルを密閉し、Smith合成装置中、100℃で1.5時間放射線照射する。得られる溶液を逆相LC−MSにより精製し、表題化合物を得る;1H NMR 400 MHz (DMSO−d6) δ 10.53 (s, 1H), 10.16 (bs, 1H), 8.83 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.27 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.96 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.84−7.81 (m, 1H), 7.81−7.75 (m, 2H), 7.75−7.69 (m, 2H), 7.29 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.02 (d, J=8.8 Hz, 2H), 3.76 (t, J=4.8 Hz, 4H), 3.62 (s, 3H), 3.12 (t, J=4.8 Hz, 4H), 2.22 (s, 3H); MS m/z 616.4 (M+1)。
【0088】
上記の実施例に記載の方法を、適当な出発物質を用いて繰り返すことにより、表1に定義される下記の式Iの化合物が得られる。
【化16】

【化17】

【0089】
【化18】

【化19】

【0090】
【化20】

【化21】

【0091】
【化22】

【化23】

【0092】
【化24】

【化25】

【0093】
【化26】

【化27】

【0094】
【化28】

【化29】

【0095】
【化30】

【化31】

【0096】
分析
本発明の化合物を、親32D細胞と比較して、BCR−Ablを発現する32D細胞(32D−p210)の増殖を選択的に阻害する能力について分析する。これらのBCR−Abl形質転換した細胞の増殖を選択的に阻害する化合物を、野生型またはBcr−abl変異体のどちらかを発現するBa/F3細胞における抗増殖活性について試験する。さらに、化合物を、FGFR3(酵素および細胞分析において)、FLT3、PDGFRβ、trkB、c−SRC、BMX、SGK、Tie2、Lck、JNK2α2、MKK4、c−RAF、MKK6、SAPK2αおよびSAPK2βキナーゼを阻害するそれらの能力を測定するために分析する。
【0097】
細胞性BCR−Abl依存的増殖の阻害(ハイスループット法)
用いるマウス細胞株は、BCR−Abl cDNA(32D−p210)を用いて形質転換した32D造血性前駆細胞株である。これらの細胞を、ペニシリン50μg/mL、ストレプトマイシン50μg/mLおよびL−グルタミン200mMを添加したRPMI/10%ウシ胎仔血清(RPMI/FCS)中に維持する。非形質転換32D細胞を、同様に、IL3源として15%のWEHI成らし培地を添加した培地で維持する。
【0098】
32Dまたは32D−p210細胞懸濁物50μlを、Greiner 384ウェルマイクロプレート(黒)に、5000細胞/ウェルの密度で播く。50nlの試験化合物(DMSO原液中1mM)を、各ウェルに添加する(STI571は、陽性対照として含まれる。)。細胞を、37℃、5%COで、72時間インキュベートする。10μlの60% Alamar Blue溶液(Tek diagnostics)を、各ウェルに添加し、そして細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(530nmで励起、580nmで放射)を、Acquest(商標)システム(Molecular Devices)を用いて定量する。
【0099】
細胞性BCR−Abl依存的増殖の阻害
32D−p210細胞を、96ウェルTCプレートに、15,000細胞/ウェルの密度で播く。試験化合物の2倍段階希釈液50μL(Cmaxは、40μMである。)を、各ウェルに添加する(STI571は、陽性対照として含まれる。)。37℃、5%COで48時間細胞をインキュベート後、15μLのMTT(Promega)を各ウェルに添加し、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmの吸光度を、分光光度法で定量し、IC50値(50%阻害に必要な化合物の濃度)を用量反応曲線から決定する。
【0100】
細胞周期分布の効果
32Dおよび32D−p210細胞を、6ウェルTCプレートに、5mlの培地中2.5x10細胞/ウェルで播き、そして試験化合物を1または10μMで添加する(STI571は、対照として含まれる。)。その後、細胞を、37℃、5%COにて24時間または48時間インキュベートする。2mlの細胞懸濁液をPBSで洗浄し、70%EtOHで1時間固定し、そしてPBS/EDTA/RNase Aで30分間処理する。ヨウ化プロピジウム(Cf=10μg/ml)を添加し、蛍光強度を、FACScalibur(商標)システム(BD Biosciences)のフローサイトメトリーにより定量する。本発明の試験化合物は、32D−p210細胞にアポトーシス効果を示すが、32D親細胞にアポトーシスを誘導しないことが示される。
【0101】
細胞性BCR−Abl自己リン酸化の効果
BCR−Abl自己リン酸化を、c−abl特異的捕捉抗体および抗ホスホチロシン抗体を用いて捕捉ELISA(capture Elisa)で定量する。32D−p210細胞を、96ウェルTCプレートに、50μLの培地中2x10細胞/ウェルで播く。試験化合物の2倍段階希釈液50μL(Cmaxは、10μMである。)を、各ウェルに添加する(STI571が、陽性対照として含まれる。)。細胞を、37℃、5%COで90分間インキュベートする。その後、細胞を、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む溶解緩衝液150μL(50mM トリスHCl、pH7.4、150mM NaCl、5mM EDTA、1mM EGTAおよび1%NP−40)を用いて氷上で1時間処理する。50μLの細胞溶解物を、抗abl特異的抗体で予めコートした96ウェル発光用プレート(optiplate)に加え、そしてブロッキングする。そのプレートを4℃で4時間インキュベートする。TBSトゥイーン20緩衝液で洗浄後、アルカリホスファターゼ共役ホスホチロシン抗体50μLを加え、その後プレートを、4℃でさらに一晩インキュベートする。TBSトゥイーン20緩衝液で洗浄後、発光基質90μLを加え、発光を、Acquest(商標)システム(Molecular Devices)を用いて定量する。BCR−Ablを発現する細胞の増殖を阻害する本発明の試験化合物は、細胞性BCR−Abl自己リン酸化を用量依存的に阻害する。
【0102】
Bcr−abl変異体を発現する細胞の増殖の効果
本発明の化合物を、野生型またはSTI571に対する耐性もしくは低下した感受性を与えるBCR−Abl変異体(G250E、E255V、T315I、F317L、M351T)のどちらかを発現するBa/F3細胞の抗増殖効果について試験する。変異BCR−Ablを発現する細胞および非形質転換細胞におけるこれらの化合物の抗増殖効果を、上記の通り10、3.3、1.1および0.37μM(IL3不含有培地中)で試験した。非形質転換細胞における毒性のない化合物のIC50値を、上記の通り得られた用量反応曲線から決定する。
【0103】
FGFR3(酵素的分析)
精製FGFR3(Upstate)のキナーゼ活性分析を、キナーゼ緩衝液(30mM トリス−HCl、pH7.5、15mM MgCl、4.5mM MnCl、15μM NaVOおよび50μg/mL BSA)中0.25μg/mLの酵素、および基質(5μg/mL ビオチン−ポリ−EY(Glu、Tyr)(CIS-US, Inc.)および3μM ATP)を含む10μLの最終容量で行う。2個の溶液を、下記の通り:キナーゼ緩衝液中FGFR3酵素を含む第一溶液5μlを、384−フォーマットProxiPlate(登録商標)(Perkin-Elmer)に分配し、次いでDMSOに溶解した化合物50nLを添加し、その後、キナーゼ緩衝液中基質(ポリ−EY)およびATPを含む第二溶液5μlを各ウェルに添加した。反応を、室温で1時間インキュベートし、30mM トリス−HClpH7.5、0.5M KF、50mM ETDA、0.2mg/mL BSA、15μg/mL ストレプトアビジン−XL665(CIS-US, Inc.)および150ng/mL クリプテート共役抗ホスホチロシン抗体(CIS-US, Inc.)を含むHTRF検出混合物10μLを添加して停止させる。ストレプトアビジン−ビオチン相互作用を可能にするため室温で1時間インキュベート後、時間分解性蛍光シグナルをAnalyst GT(Molecular Devices Corp.)で読み取る。IC50値を、12個の濃度(50μMから0.28nMの1:3希釈)での各化合物の阻害率の線形回帰分析により計算する。この分析において、本発明の化合物は、10nMから2μMの範囲のIC50を有する。
【0104】
FGFR3(細胞分析)
本発明の化合物を、FGFR3細胞キナーゼ活性に依存する形質転換したBa/F3−TEL−FGFR3細胞増殖を阻害するそれらの能力について試験する。Ba/F3−TEL−FGFR3を、培養培地として10%ウシ胎仔血清を添加したRPMI1640を用いて、懸濁液中800,000細胞/mLまでで培養する。細胞を、384ウェルフォーマットプレートに、50μL培養培地中5000細胞/ウェルで播く。本発明の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解および希釈する。12個の1:3段階希釈液をDMSOを用いて作製し、典型的に10mMから0.05μMの濃度勾配範囲とする。細胞を、50nLの希釈化合物と共に加え、そして細胞培養インキュベーター中で48時間インキュベートする。増殖細胞により作られる還元環境を観測するために用い得るAlamarBlue(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)を、終濃度10%で細胞に添加する。37℃の細胞培養インキュベーター中でさらに4時間インキュベート後、還元AlamarBlue(登録商標)(530nmで励起、580nmで放射)からの蛍光シグナルを、Analyst GT(Molecular Devices Corp.)で定量する。IC50値を、12個の濃度での各化合物の阻害率の線形回帰分析により計算する。
【0105】
FLT3およびPDGFRβ(細胞分析)
本発明の化合物のFLT3およびPDGFRβの細胞活性に対する効果を、Ba/F3−TEL−FGFR3を用いる変わりに、Ba/F3−FLT3−ITDおよびBa/F3−Tel−PDGFRβをそれぞれ用いる以外、FGFR3細胞活性について上記の同様の方法を用いて行う。
【0106】
Upstate社のKinaseProfiler(商標)−放射能測定−酵素的フィルター結合分析
本発明の化合物を、キナーゼパネルの個々のメンバーを阻害するそれらの能力について評価する。化合物を、この一般的プロトコールに従い終濃度10μMにてデュプリケートで試験する。キナーゼ緩衝液組成および基質は、“Upstate社のKinaseProfiler(商標)”パネルに含まれる異なるキナーゼに関して変わることを特記する。キナーゼ緩衝液中、キナーゼ緩衝液(2.5μL、10x−必要なときMnClを含む)、活性キナーゼ(0.001−0.01単位;2.5μL)、特異的またはポリ(Glu4−Tyr)ペプチド(5−500μMまたは0.01mg/ml)、およびキナーゼ緩衝液(50μM;5μL)を、氷上でエッペンドルフ中にて混合する。Mg/ATP混合物(10μL;67.5(または33.75)mM MgCl、450(または225)μM ATPおよび1μCi/μl[γ−32P]−ATP(3000Ci/mmol))を添加し、そして反応をm30℃で約10分間インキュベートする。反応混合物を、2cm×2cm P81(ホスホセルロース、正荷電ペプチド基質について)またはWhatman No.1(ポリ(Glu4−Tyr)ペプチド基質について)四角ペーパー上にスポットする(20μL)。分析する四角形を、0.75%リン酸を用いて4回、各5分間洗浄し、アセトンを用いて1回、5分間洗浄する。分析する四角形を、シンチレーションバイアルに移し、5mlのシンチレーションカクテルを加え、そして32Pのペプチド基質への取り込み(cpm)を、Beckmanシンチレーションカウンターを用いて定量する。阻害率を、各反応について計算する。
【0107】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物は、例えば本明細書中で記載のインビトロ試験により示される通り、薬理学的に有益な特性を示す。例えば、式Iの化合物は、好ましくは野生型BCR−AblおよびG250E、E255V、T315I、F317LおよびM351T BCR−Abl変異体について1×10−10から1×10−5Mの範囲、好ましくは50nM未満のIC50値を示す。式Iの化合物は、好ましくは10μM濃度で、Abl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBキナーゼに対して、好ましくは50%より大きい、好ましくは約70%より大きい阻害率を示す。
【0108】
例えば:
a)N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(実施例2)は、野生型、G250E、E255V、T315I、F317LおよびM351T Bcr−ablについて、それぞれ<0.5nM、23nM、13nM、55nM、<0.5nMおよび<0.5nMのIC50を有し;そして
【0109】
b)N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(実施例2)は、10μMの濃度にて、かっこ内に示した率で下記のキナーゼを阻害する(例えば、100%は、完全な阻害を意味し、0%は、非阻害を示す):Bmx(100%)、c−RAF(100%)、CSK(98%)、Fes(100%)、FGFR3(98%)、Flt3(64%)、GSK3β(53%)、IR(60%)、JNK1α1(98%)、JNK2α2(99%)、Lck(98%)、MKK4(92%)、MKK6(97%)、p70S6K(98%)、PDGFRα(76%)、Rsk1(90%)、SAPK2α(95%)、SAPK2β(99%)、Syk(76%)およびTrkB(96%)。
【0110】
本明細書で記載の実施例および態様は、説明のみを目的とすること、ならびにその様々な修飾または軽微な変更は、当業者により提案され、かつ本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的に関して参照により本明細書中に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Yは、C、P(O)、およびS(O)から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;
は、水素およびC1−6アルキルから選択されるか;または
およびRは、それらが結合する窒素原子と共に、C3−10ヘテロシクロアルキルまたはC5−10ヘテロアリールを形成し;
ここで、Rの任意のアルキルは、所望によりハロ、C1−6アルコキシおよび−XNR(ここで、Xは、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;
ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル、またはRおよびRの組み合わせは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、−XOXNRおよび−XR10(ここで、Xは、結合またはC1−6アルキレンであり;RおよびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;そして、R10は、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−10シクロアルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R10の任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルコキシおよび−XNRラジカル(ここで、Xは、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;
およびRは、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−4アルキルおよびハロ置換C1−4アルコキシから選択され;
は、C6−10アリール、C5−10ヘテロアリール、C3−10シクロアルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルコキシ、−XNR、−XNRXNR、−XNRC(O)R、−XC(O)OR、−XNRS(O)、−XNRS(O)R、−XNRSRおよび−XR11(ここで、XおよびRは、上記に定義の通りであり、そしてR11は、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルからなる群から選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R11の任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、所望により、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキルおよび−C(O)ORからなる群から選択されるラジカルで置換されていてよい。]
で示される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および異性体。
【請求項2】
Yが、Cであり;
が、水素、C1−6アルキル、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−10シクロアルキル−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから選択され;
が、水素およびC1−6アルキルから選択されるか;または、
およびRが、それらが結合する窒素原子と共に、C3−10ヘテロシクロアルキルを形成し;
ここで、Rの任意のアルキルが、C1−6アルコキシおよび−XNR(ここで、Xが、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;
ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル、またはRおよびRの組み合わせが、所望により、ヒドロキシ、C1−6アルキル、−XOXNRおよび−XR10(ここで、Xが、結合またはC1−6アルキレンであり;RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;そして、R10が、C6−10アリールおよびC3−10ヘテロシクロアルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R10の任意のアリールまたはヘテロシクロアルキルが、所望により、ハロ、C1−6アルキルおよび−XNRラジカル(ここで、Xが、結合またはC1−6アルキレンであり;そして、RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択される。)から選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;
、RおよびRが、独立して、水素およびC1−6アルキルから選択され;
が、所望によりC6−10アリールハロ置換C1−6アルキルおよび−XR11(ここで、Xが、上記に定義の通りであり、そしてR11が、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−10ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルからなる群から選択される。)から独立して選択される1から3個のラジカルにより置換されていてよく;ここで、R11の任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルが、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素、メチル、エチル、6−メチル−ピリジン−3−イル、3−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−プロピル、ピリジン−3−イル、3−メチル−イソチアゾール−5−イル、メトキシ−エチル、イソプロピル、メチル−フェニル、モルホリノ−エチル、シクロプロピル、ジエチル−アミノ−エチル、ピロリジニル−エチル、ピリジニル−メチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、ベンゾ[1,3]ジオキソl−5−イル、4−モルホリノ−フェニル、3−ジメチルアミノ−フェニル、4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニルおよびジエチル−アミノ−エトキシから選択され;Rが、水素、メチルおよびエチルから選択されるか;または、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と共に、4−エチル−ピペラジニルまたは4−(3−アミノ−フェニル)−ピペラジン−1−イルを形成する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がメチルであり、Rがメチルであり、そしてRが水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、所望により、トリフルオロメチル、モルホリノ、メチル−イミダゾリル、メチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニルおよびメチル−ピペラジニルから選択される1から2個のラジカルで置換されていてよいフェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−モルホリン−4−イル−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−(6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−[8−メチル−2−[4−(モルホリン−4−イル)フェニルアミノ]−7−オキソ−7,8−ジヒドロプテリジン−6−イル]−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−ジメチルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(3−{2−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−イソプロピルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−7−オキソ−2−p−トリルアミノ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−シクロプロピルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(2−ジエチルアミノ−エチルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(4−メチル−3−{8−メチル−7−オキソ−2−[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−ジエチルアミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(ベンゾ[1,3]ジオキソl−5−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(3−{2−[4−(3−アミノ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(3−ジメチルアミノ−フェニルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(4−メチル−3−{8−メチル−2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニルアミノ]−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(3−{2−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−4−メチル−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[2−メチルアミノ−8−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−(4−メチル−3−{8−メチル−7−オキソ−2−[3−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−プロピルアミノ]−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル}−フェニル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−7−オキソ−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(3−メチル−イソチアゾール−5−イルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(8−メチル−2−メチルアミノ−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−フェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(2,6−ジメチル−ピリジン−3−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[8−メチル−2−(2−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{3−[2−(4,6−ジメチル−ピリジン−3−イルアミノ)−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−モルホリン−4−イル−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;およびN−[3−(2−アミノ−8−メチル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−プテリジン−6−イル)−4−メチル−フェニル]−4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
治療的有効量の請求項1に記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項8】
動物において、キナーゼ活性の阻害が、疾患の病状および/または徴候を予防、阻止または緩和し得る疾患を処置するための方法であって、動物に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項9】
前記キナーゼが、Abl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
動物において、Abl、Bcr−abl、Bmx、c−RAF、CSK、Fes、FGFR3、Flt3、GSK3β、IR、JNK1α1、JNK2α2、Lck、MKK4、MKK6、p70S6K、PDGFRα、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SykおよびTrkBのキナーゼ活性が、疾患の病状および/または徴候に関与する疾患を処置するための医薬の製造を目的とした、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−504281(P2008−504281A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518308(P2007−518308)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/022463
【国際公開番号】WO2006/002367
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】