説明

タービン監視制御装置

【課題】近年のマスタコントローラの演算処理モジュールは、処理能力が向上し、システムコントローラが実行する機能をマスタコントローラにて実現することが可能となったが、システムコントローラの機能をマスタコントローラにて実現しようとした場合には、■マスタコントローラ21a〜21cの状態を判断する手段がなくなる。■タービン監視装置3にとって必要なシステム情報を得るために、マスタコントローラ21a〜21cの状態判断手段に基づいて個別の制御演算情報を編集する手段がなくなる。といったことが懸念される。
【解決手段】システムコントローラの機能をコントローラ及びタービン監視装置にそれぞれ分担させることにより、従来用いていたシステムコントローラを不要とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タービン機器の監視および制御を行うタービン監視制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図7ないし図10を参照して従来の技術を説明する。まず図7を参照して従来のタービン監視制御システムの概要について説明する。図7で示すように、タービン監視制御システムは、タービン機器1を制御するタービン制御装置2と監視するタービン監視装置3とから構成されている。
【0003】前記監視・制御対象であるタービン機器1は、タービンや発電機等の本体と、これら本体を運転するための蒸気加減弁や補助機器などで構成されるプロセス系とで構成されている。また、タービン制御装置2は、マスタコントローラA系21a、マスタコントローラB系21b、マスタコントローラC系21c及びシステムコントローラ22から構成されている。
【0004】前記マスタコントローラ21a〜21cはそれぞれ演算処理モジュール24a〜24c及び入出力モジュール25a〜25cを備えて多重化構成されており、前記タービン機器1の回転速度制御、蒸気弁位置制御、負荷制御などといった高速なシーケンス制御演算処理と、入出力処理とを行う第1の制御(以下、タービン1次制御とする)をそれぞれ非同期に行うように構成されている。
【0005】また、システムコントローラ22はマスタコントローラと同様に演算処理モジュール26及び入出力モジュール27を備え前述したようなシーケンス制御などのように高速な制御演算処理及び入出力処理を行わない所謂第2の制御(以下、タービン2次制御とする)を実行するとともに、後で述べるタービン監視装置3とのインターフェイス機能と前記マスタコントローラ21a〜21cの状態監視機能とを実行するように構成されている。
【0006】一方、タービン監視装置3は、前記タービン機器1及びタービン制御装置2の状態表示とタービン制御操作の入力を実行するヒューマンマシンコントローラ31、CRT32、マウス33及びキーボード34から構成されている。
【0007】次に、図8を参照して前記マスタコントローラ21a〜21cの内部構成について説明する。マスタコントローラ21a〜21cは、プロセス入出力部212と、タービン1次制御演算部211と、システムコントローラ間伝送入出力部213とから構成されており、前記したタービン1次制御を実行するようになっている。
【0008】更に、図9を参照して前記システムコントローラ22の内部構成図について説明する。システムコントローラ22は前記タービン機器1から入力したプロセス信号を用いてタービン2次制御演算を行うタービン2次制御演算部221と、後述するマスタコントローラ制御演算情報編集手段224内の回路から得られる信号から全てのマスタコントローラ21a〜21cの状態を判断するマスタコントローラ状態判断手段226と、このマスタコントローラ状態判断手段226の状態判断結果にもとづいて各マスタコントローラ21a〜21cから取り込んだ制御演算情報の中から最適な制御演算情報をシステム情報として選択し編集するマスタコントローラ制御演算情報編集手段224とを備えている。
【0009】この編集手段224により編集されたシステム情報及び各マスタコントローラの個別制御演算情報は、制御用ネットワーク伝送入出力部223及び制御用ネットワーク4を介してタービン監視装置3に向けて出力される。なお、222はプロセス入出力部、225はマスタコントローラ間伝送入出力部である。
【0010】更に、図10を参照して前記タービン監視装置3の内部構成について説明する。タービン監視装置3はシステムコントローラ22から入力したシステム情報及びタービン制御装置2の個別制御演算情報即ち各マスタコントローラ21a〜21cの制御演算情報を表示するための監視画面表示部311及び表示装置32と、運転員によるタービン制御操作情報を入力するためのマウス33、キーボード34等の入力装置と、この入力装置によって入力された操作情報を前記システムコントローラ22に出力するための制御操作入力部312と、制御用ネットワーク伝送入力部313とから構成されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来の装置においては、マスタコントローラ21a〜21cをタービン監視装置3に直接接続していない。その理由は従来のマスタコントローラ内の演算処理モジュールの処理能力ではシステムコントローラの機能を実現できなかったことが大きい。
【0012】しかしながら、近年の半導体製造技術、ソフトウェア技術の向上により、マスタコントローラの演算処理モジュールの処理能力は向上したため、システムコントローラの処理機能をマスタコントローラにて実現しようとすることが提案されている。しかし、システムコントローラの機能をマスタコントローラにて実現しようとした場合には、以下のような課題を解決しなければならない。
【0013】■.マスタコントローラ21a〜21cの状態を判断する手段がなくなる。
■.タービン監視装置3にとって必要なシステム情報を得るために、マスタコントローラ21a〜21cの状態判断手段に基づいて個別の制御演算情報を編集する手段がなくなる。
■.点数が多いシステムコントローラの入出力処理をマスタコントローラの入出力モジュールにて処理する必要があるため、多重化されている分だけ入出力点数が増加して、入出力モジュールのコストがアップする。
【0014】本発明は、以上述べた課題に鑑みてなされたもので、従来のシステムコントローラの機能の一部をマスタコントローラに持たせることにより、システムコントローラを不要としたタービン監視制御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1に係るタービン監視制御装置の発明は、タービン機器から状態信号を入力して、タービン機器の制御演算を実行し、前記タービン機器に制御信号を出力する処理を互いに非同期に実行する複数のコントローラを多重化してなるタービン制御装置と、このタービン制御装置に制御用ネットワークを介して接続され、前記各コントローラの状態を判断するコントローラ状態判断手段、このコントローラ状態判断手段の状態判断結果に基づいて各コントローラより得られる制御演算情報の中から最適な制御演算情報をシステム情報として選択し出力する制御演算情報編集手段、及び前記システム情報または各コントローラより得られる個別の制御演算情報をタービン機器監視画面に表示する画面表示手段を有するタービン監視装置と、からなる。
【0016】この発明によれば、従来システムコントローラによって実現していた機能のうち、タービン2次制御機能を新たに設けたコントローラ、従来のマスタコントローラの状態判断機能及び各制御演算情報の編集機能を新たなタービン監視装置にて実現させるように構成したので、システムコントローラを必要としない分、より低コストなシステムが実現でき、またコントローラを多重化して制御機能を実行させ、制御用ネットワークに直接接続するようにしたので、コントローラの故障によるタービン2次制御機能及びタービン監視機能の喪失を防止することができ、システム全体の信頼性を向上させることができる。
【0017】また、請求項2に係るタービン監視制御装置の発明は、タービン機器から状態信号を入力して、タービン機器の制御演算を実行し、前記タービン機器に制御信号を出力する処理を互いに非同期に実行する複数のコントローラを多重化構成したものであって、前記コントローラ毎に設けられ、自コントローラの状態を判断するコントローラ状態判断手段、前記各コントローラ相互間でコントローラ個別制御演算情報を通信する制御演算情報通信手段、及び前記コントローラ状態判断手段の状態判断結果に基づいて前記制御演算情報通信手段より得られる全てのコントローラの制御演算情報の中から予め定めた優先順位に基づいて選択した制御演算情報をシステム情報として選択し出力する制御演算情報編集手段を備えたタービン制御装置と、制御用ネットワークを介してこのタービン制御装置に接続され、前記選択されたシステム情報及び個別の制御演算情報をタービン機器監視画面に表示する画面表示手段を有するタービン監視装置と、からなる。
【0018】この発明によれば、タービン制御装置側でシステム情報及び各制御演算情報を編集するように構成したので、タービン監視装置に対して情報を出力するコントローラの優先順番を予め定めておくことにより、多重化されたコントローラが同一の情報を重複して出力することにより、制御用ネットワークの伝送負荷量が増加するのを防止することができる。
【0019】更に請求項3に係るタービン監視制御の発明は、請求項1または請求項2において、前記各コントローラ内で高速な制御演算処理及び入出力処理を必要とする第1の制御を実行するために使用される入出力モジュールと独立して、高速な制御演算処理及び入出力処理を必要としない第2の制御を実行するために使用される入出力モジュールを前記制御用ネットワークに接続したことを特徴とする。
【0020】この発明によれば、システムコントローラが実行していたタービン2次制御機能をコントローラが担当し、タービン2次制御で使用する入出力信号を処理するための入出力モジュールを個別に設けて、コントローラ間で共用するので、タービン1次制御で使用する入出力モジュールの入出力点数が必要以上に増加することを防止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、従来の技術の構成図と対応する部分には、同一符号または関連符号を付して対応関係を明瞭にし、重複する説明は極力避けるものとする。
【0022】(第1の実施の形態)図1及び図2に基づいて第1の実施の形態について説明する。図1はタービン監視制御装置のシステム構成図、図2はタービン監視制御装置の内部構成図を示す。
【0023】まず図1において、タービン制御装置2Aはタービン機器1内の複数の制御対象を3重化されたコントローラ21a〜21cにより制御されるように構成されている。ここで、各コントローラ21a〜21cはそれぞれ制御演算モジュール及び入出力モジュールの対で構成されており、タービン機器1の制御対象から抽出した状態信号を入力してタービン1次制御演算及びタービン2次制御演算を実行し、制御信号を出力する処理を行う。なお、タービン1次制御演算、タービン2次制御演算及び制御信号を出力する処理は、互いに非同期に実行するように構成されている。そして、これら各コントローラ21a〜cは、いずれも制御用ネットワーク4を介してタービン監視装置3Aに接続されている。
【0024】タービン監視装置3Aは、運転員とのインターフェイス機能を実行するヒューマンマシンコントローラ31A、タービン機器の監視画面及び操作画面を表示するCRTまたは液晶板等の表示装置32、マウス33、キーボード34等の入力装置によって構成されており、このタービン制御装置2Aから出力された状態信号、制御信号及び演算結果などの各種情報を、制御用ネットワーク4を介して入力しタービン機器監視画面を表示するとともに、運転員によるタービン制御操作入力をタービン制御装置2Aに対して出力するような機能を有している。
【0025】次に、図2を参照してタービン制御装置2Aならびにタービン監視装置3Aについて説明する。まずタービン制御装置2Aから説明する。本発明のタービン制御装置2Aは3個のコントローラ21a〜21cで構成されている。なお、このコントローラ21a〜21cは従来のマスタコントローラの機能のほかに新たに従来のシステムコントローラの機能の一部も併せて有している。この3個のコントローラの内部構成は同じなので、21aで代表説明する。
【0026】コントローラ21aは、タービン機器1の制御対象からプロセス入出力部212に入力された状態信号をもとにタービン1次制御演算部211及びタービン2次制御演算部221により、それぞれ前述したタービン1次制御及びタービン2次制御を演算処理し、これらの演算結果をプロセス入出力部212からタービン機器1の制御対象に対して制御信号として出力する。
【0027】なお、プロセス入出力部212は、3重化された制御出力信号を選択処理する必要がある場合には、選択処理のみを別に実行する出力選択回路を設ける場合もある。この場合の出力選択回路は、デジタル情報については3入力による多数決(2 out of3)で、アナログ情報については中間値を選択し出力する。
【0028】一方、前記各コントローラ21a〜21cが所有する状態信号、制御信号及び演算結果などの制御演算情報の中で、タービン機器監視のためにタービン監視装置3Aが必要とする信号は、タービン制御装置2A内の制御用ネットワーク伝送入出力部223より出力され、制御用ネットワーク4を介してタービン監視装置3Aに入力されるようになっている。
【0029】タービン監視装置3Aは、マウス33、キーボード34による運転員の操作を制御操作入力部312にて処理し、制御用ネットワーク伝送入出力部313よりタービン制御装置2Aに対して操作情報として出力する。
【0030】また、タービン監視装置3A内の制御演算情報編集部224は、前記コントローラ状態判断部226による判断結果に基づいて各コントローラ21a〜21cから入力した各制御演算情報の中からタービン機器監視画面に表示すべきシステム情報を選択する。この結果、選択されたシステム情報及び各制御演算情報は、監視画面表示部311を介して表示装置32のタービン機器監視画面に表示される。
【0031】前記コントローラ状態判断部226は、各コントローラ21a〜21cから出力された制御演算情報によって、その情報が正常であるかまたは異常状態であるかを監視する機能を有している。このコントローラ状態判断部226によって異常と判断した場合、制御演算情報編集部224はその制御演算情報を加工したうえで出力する。制御演算情報がデジタル情報の場合、3入力による多数決(2 out of3)により出力し、アナログ情報の場合、中間値を選択し出力する。
【0032】このように、第1の実施の形態によれば、従来のシステムコントローラ2によって実現していた機能のうち、タービン2次制御機能を新たに設けたコントローラ2Aにて実現させ、従来のマスタコントローラ2の状態判断機能及び各制御演算情報の編集機能を新たに設けたタービン監視装置3Aにて実現させることによって、従来のシステムコントローラ2を必要としない低コストのタービン監視制御装置を提供することができる。
【0033】更に、システムコントローラ2を削除するとともに、コントローラ2Aを制御用ネットワーク4を介して直接多重化したので、従来に比べシステム全体の信頼性を向上させることができる。
【0034】(第2の実施の形態)次に、図3及び図4に基づいて本発明の第2の実施の形態について説明する。図3はタービン監視制御装置のシステム構成図、図4R>4はタービン監視制御装置の内部構成図を示す。
【0035】まず図3において、本実施の形態におけるタービン制御装置2Bは、タービン機器1から状態信号を入力して、タービン1次制御演算と、タービン2次制御演算と、タービン機器1へ制御信号を出力する処理とを互いに非同期に実行するように構成されている。
【0036】しかも、各コントローラ21a’〜21c’は前述の実施の形態と同様、制御演算モジュールと入出力モジュールが1対となって構成されており、制御演算モジュール24a、24b、24cと入出力モジュール25a、25b、25cがともに3重化されている。
【0037】また、これらコントローラ21a’〜21c’は、いずれも制御用ネットワーク4に直接接続されるとともに、コントローラ間制御演算情報通信手段(以下、コントローラ間データ伝送路という)28a〜28cにより相互間で情報の授受が可能となるように接続されている。タービン監視装置3自体は、従来の技術におけるタービン監視装置3と同じなので説明を省略する。
【0038】次に、図4を参照してタービン監視制御部の内部構成について説明する。タービン制御装置2Bを構成する各コントローラ21a’〜21c’は、タービン機器1からプロセス入出力部212に入力された状態信号をもとに、タービン1次制御演算部211及びタービン2次制御演算部221でそれぞれの制御演算を実行し、その演算結果を制御信号としてプロセス入出力部212からタービン機器1の制御対象に出力する。なお、3重化された制御信号を選択処理する必要がある場合には、第1の実施の形態と同様にして選択し出力する。
【0039】さて、各コントローラ21a’〜21c’が所有する状態信号、制御信号及び演算信号などの制御演算情報の中で、タービン機器監視のためにタービン監視装置3が必要とする情報は、各コントローラ21a’〜21c’がすべて正常な場合、各コントローラ21a’〜21c’のコントローラ状態判断部226で予め定めた優先順位に従って選択される。そしてこの選択された制御演算情報は制御用ネットワーク入出力部223より出力され、制御用ネットワーク4を介してタービン監視装置3に入力される。
【0040】なお、各コントローラ21a’〜21c’が正常であるか否かを判断するためにコントローラ状態判断部226は、従来技術と同様、それぞれのコントローラ毎に設けた制御演算情報編集部224から得られる制御演算情報に基づいて行う。例えば、コントローラ状態判断部226が有する優先順位がコントローラ21a→21b→21cの順になっている場合、コントローラ21a’〜21c’がいずれも正常であれば、最も優先順位の高いコントローラ21a’より制御演算情報が出力され、もしコントローラ21a’が異常であれば次に優先順位が高いコントローラ21b’より情報が出力されるようになっている。
【0041】また、タービン制御装置2Bは、各コントローラ21a’〜21c’相互間にコントローラ間データ伝送路28を設けており、このデータ伝送路28により他の制御部から制御演算情報を受け取ってシステム情報を編集する。
【0042】なお、コントローラ状態判断部226で、異常と判断された制御演算情報については、制御演算情報編集部224において制御演算情報を加工したうえで、デジタル情報については2 out of3、アナログ情報については中間値を選択してシステム情報を編集する。
【0043】タービン監視装置3は、3重化されたコントローラ21a〜21cのいずれかの制御部よりシステム情報及び各制御演算情報を受け取って、監視画面表示部311にて表示装置32のタービン機器監視画面上に情報を表示する。
【0044】このように、第2の実施の形態によれば、タービン制御装置2B側でシステム情報及び各制御演算情報を編集するようにしたので、タービン監視装置3に対して情報を出力するコントローラの優先順番を予め定めておくことにより、多重化されたコントローラが同一の情報を重複して出力することによる制御用ネットワーク4の伝送負荷量を増加するのを防止することができる。
【0045】(第3の実施の形態)以下、図5及び図6を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。図5はタービン監視制御装置のシステム構成図を、図6はタービン監視制御装置の内部構成図を示す。
【0046】まず図5において、タービン制御装置2Cはタービン機器1内の複数の制御対象を個々に制御するコントローラ21a''〜21c''を3重化構成するとともに、タービン2次制御演算用入出力モジュール27を設けている。
【0047】ここで、各コントローラ21a''〜21c''はそれぞれ制御演算モジュール24a〜24c及び入出力モジュール25a〜25cの対で構成され、タービン機器1の制御対象から抽出した状態信号を入力してタービン1次制御演算及びタービン2次制御演算を実行し、制御信号を出力する処理を互いに非同期に実行するように構成されている。
【0048】更に、これら各コントローラ21a''〜21c''は、いずれも制御用ネットワーク4を介して図2と同様のタービン監視装置3Aに接続されている。タービン2次制御演算用入出力モジュール27は、タービン機器1の制御対象から抽出した状態信号を入力して制御用ネットワーク4に出力する。
【0049】次に、図6を参照してこの第3の実施の形態に係るタービン監視制御装置の内部構成について説明する。第3の実施の形態の特徴は、個々のコントローラ21a''〜21c''の入出力モジュール25a〜25cが担っていたタービン2次制御用の処理をやめ、代わりにタービン2次制御用の入出力モジュール27を各コントローラに共通するタービン制御装置2C内に独立して設けたことにあり、その他については第1の実施の形態に係るタービン監視制御装置と同様であることから構成の説明を省略する。
【0050】タービン制御装置2Cにおいて、高速な制御演算処理及び入出力処理を必要としないタービン2次制御演算部221で使用するタービン機器1の状態信号は、タービン1次制御用の3重化されたプロセス入出力部212に入力するのではなく、タービン2次制御用プロセス入出力部222に入力される。入力された状態信号は、プロセス入出力部222より制御用ネットワーク4、更に制御用ネットワーク伝送入出力部223を経由して各タービン2次制御演算部221に送られ、制御演算が実行される。
【0051】各タービン2次制御演算部221によって演算された制御信号は、制御用ネットワーク伝送入出力部223,制御用ネットワーク4を経由して再びプロセス入出力部222に戻り、制御信号を選択処理(デジタル情報については3入力による多数決(2out of3)で、アナログ情報については中間値を選択)して外部に出力される。
【0052】このように、第3の実施の形態によれば、高速な制御演算処理及び入出力処理を必要としないタービン2次制御用の処理を、独立して設けた入出力モジュールで処理することによって、コントローラの入出力モジュールの入出力点数が必要以上に増加することを防止できる。この実施の形態は多重化するコントローラが多い程有利である。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、第1の発明では、従来システムコントローラによって実現していた機能のうち、タービン2次制御機能を新たに設けたコントローラ、従来のマスタコントローラの状態判断機能及び各制御演算情報の編集機能を新たなタービン監視装置にて実現させるように構成したので、システムコントローラを必要としない分、より低コストなシステムが実現できる。また、コントローラを多重化して制御機能を実行させるとともに、制御用ネットワークに直接接続するようにしたので、コントローラの故障によるタービン2次制御機能及びタービン監視機能の喪失を防止することができ、システム全体の信頼性を向上させることができる。
【0054】また、第2の発明では、タービン制御装置側でシステム情報及び各制御演算情報を編集するように構成したので、タービン監視装置に対して情報を出力するコントローラの優先順番を予め定めておくことにより、多重化されたコントローラが同一の情報を重複して出力することにより、制御用ネットワークの伝送負荷量が増加するのを防止することができる。
【0055】更に、第3の発明では、各コントローラの入出力モジュールが担っていたタービン2次制御用の処理をやめ、代わりにタービン制御装置内に独立したタービン2次制御用の入出力モジュールを設け、この入出力モジュールにより従来システムコントローラの入出力モジュールが担当していた処理を行わせるようにしたので、多重化した場合にコントローラの入出力モジュールの入出力点数が必要以上に増加することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るタービン監視制御装置のシステム構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るタービン監視制御装置の内部構成図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るタービン監視制御装置のシステム構成図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るタービン監視制御装置の内部構成図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るタービン監視制御装置のシステム構成図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るタービン監視制御装置の内部構成図。
【図7】従来の技術によるタービン監視制御装置のシステム構成図。
【図8】従来の技術によるマスタコントローラの内部構成図。
【図9】従来の技術によるシステムコントローラの内部構成図。
【図10】従来の技術によるタービン監視装置の内部構成図。
【符号の説明】
1…タービン機器、2A、2B、2C…タービン制御装置、3、3A、…タービン監視装置、4…制御用ネットワーク、21a…コントローラA系、21b…コントローラB系、21c…コントローラC系、24a,24b,24c…コントローラ演算処理モジュール、25a,25b,25c…コントローラ入出力モジュール、27…システムコントローラ入出力モジュール、28,28a,28b,28c…制御演算情報通信手段、31…ヒューマンマシンコントローラ、32…表示装置(CRT)、33…マウス、34…キーボード、221…タービン2次制御演算部、222…プロセス入出力部、223…制御用ネットワーク伝送入出力部、224…制御演算情報編集部、225…マスタコントローラ間伝送入出力部、226…コントローラ状態判断部、211…タービン1次制御演算部、212…プロセス入出力部、213…システムコントローラ間伝送入出力部、311…監視画面表示部、312…制御操作入力部、313…制御用ネットワーク伝送入出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 タービン機器から状態信号を入力して、タービン機器の制御演算を実行し、前記タービン機器に制御信号を出力する処理を互いに非同期に実行する複数のコントローラを多重化してなるタービン制御装置と、このタービン制御装置に制御用ネットワークを介して接続され、前記各コントローラの状態を判断するコントローラ状態判断手段、このコントローラ状態判断手段の状態判断結果に基づいて各コントローラより得られる制御演算情報の中から最適な制御演算情報をシステム情報として選択し出力する制御演算情報編集手段、及び前記システム情報または各コントローラより得られる個別の制御演算情報をタービン機器監視画面に表示する画面表示手段を有するタービン監視装置と、からなるタービン監視制御装置。
【請求項2】 タービン機器から状態信号を入力して、タービン機器の制御演算を実行し、前記タービン機器に制御信号を出力する処理を互いに非同期に実行する複数のコントローラを多重化構成したものであって、前記コントローラ毎に設けられ、自コントローラの状態を判断するコントローラ状態判断手段、前記各コントローラ相互間でコントローラ個別制御演算情報を通信する制御演算情報通信手段、及び前記コントローラ状態判断手段の状態判断結果にもとづいて前記制御演算情報通信手段より得られる全てのコントローラの制御演算情報の中から予め定めた優先順位に基づいて選択した制御演算情報をシステム情報として選択し出力する制御演算情報編集手段を備えたタービン制御装置と、制御用ネットワークを介してこのタービン制御装置に接続され、前記選択されたシステム情報及び個別の制御演算情報をタービン機器監視画面に表示する画面表示手段を有するタービン監視装置と、からなるタービン監視制御装置。
【請求項3】 前記各コントローラ内で高速な制御演算処理及び入出力処理を必要とする第1の制御を実行するために使用される入出力モジュールと独立して、高速な制御演算処理及び入出力処理を必要としない第2の制御を実行するために使用される入出力モジュールを前記制御用ネットワークに接続したことを特徴とする請求項1または2記載のタービン監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−247401(P2003−247401A)
【公開日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−47381(P2002−47381)
【出願日】平成14年2月25日(2002.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】