説明

ダビガトランを含有する医薬組成物の製造方法

本発明は、式Iの有効成分ダビガトランエテキシラートの新しい医薬製剤を、そのメタンスルホン酸塩の形で、及びその新しい医薬製剤それ自体を調製するための、改良された方法に関する。


I

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iに示す有効成分ダビガトランエテキシラートの新規医薬製剤を、新規医薬製剤それ自体に加え、任意に医薬上許容されるその塩の形で調製するための、改良流動床方法に関する。
【化1】

I
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
式1に示す化合物は、先行技術により公知であり、国際公開第98/37075号によって最初に開示されたものである。例えば、深部静脈血栓症の術後予防、及び脳卒中の予防、特に心房細動に罹患する患者に対し、脳卒中を予防するために使用してもよい、有効なトロンビン阻害剤である。国際公開第03/074056号では、ダビガトランエテキシラート(すなわちダビガトランエテキシラートメタンスルホネート)のメタンスルホン酸添加塩が特に有効であると開示されている。
化合物は通常経口投与される。特に、例えば国際公開第03/074056号で開示されるとおり、いわゆるペレット製剤を使用してもよい。これらの剤形は、結合剤と、任意に分離剤を含み、コア物質を覆う有効成分層を、医薬上許容される有機酸から成る、または含んだ、実質的に球状のコア物質へ適合させた組成物である。コア層と有効成分層は、いわゆる分離層により互いに分離される。このような有効成分製剤の構造は、国際公開第03/074056号図1に図示されている。
本発明は、ダビガトランを含む有効成分ペレットの調製に工業的規模で使用してよく、製剤の大量生産を可能にする方法に関する。本発明のさらなる目的は、製剤を再現可能な品質で製造することを実現する方法を提供することである。
国際公開第05/028468号によれば、ダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸添加塩は、異なる多形体の形状に存在する。本発明のさらなる目的は、有効成分ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体をひとつだけ含む医薬製剤の製造を可能にする製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0003】
(発明の詳細な説明)
国際公開第05/028468号によると、ダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸添加塩は異なる多形体に存在する。驚くべきことに、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体Iは、結晶化の特性の点から、多形体IIより有利であることが判明している。これにより、多形体Iは有効成分の製造工程中及びその後も、容易に分離及び取り扱うことが可能となる。従って、当該発明によれば、多形体Iは好ましい多形体である。
原則として、物質の異なる多形体の形状は、異なる特性(安定性、効力、製造中の処理特性を含むが、これに限定されるわけではない)により特徴づけてよい。それゆえ、原則として、本質的にただひとつの多形体を含む医薬組成物を製造することが賢明である。その結果として、本発明は、有効成分ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体Iを本質的に含む医薬製剤の製造を可能にする製造方法に関する。
【0004】
本発明の方法は、一連の部分的な工程により特徴づけられる。第一に、コア1は医薬上許容される有機酸から製造される。本発明の権利範囲内において、コア1の調製に酒石酸を使用する。従って、得られたコア物質1は、分離懸濁液2へ噴霧することにより、いわゆる分離酒石酸コア3へ変換する。続いて調製したダビガトラン懸濁液4を、これらの被覆コア3へ、被覆方法により一以上の方法工程において噴霧する。最後に、得られた有効成分ペレット5を好適なカプセルへ充填する。
分離酒石酸コア3は、均一の、準球状の形状を有するべきである。さらに、付随体(satellites)が原因で起こる分離において、潜在的な小さな欠陥のみ有するべきである。いわゆる付随体とは、他の球状のペレットの外側に付着し、ペレットの他の準球状形状から減じた小さな粒子である。理想的な球状の形状及び表面粗度の低さは、酸感応有効成分に特に重要である。前記酸感応有効成分は、例えばダビガトランエテキシラートが挙げられ、離れた付随体により、または酒石酸粉末の大きすぎる粒子の極端に粗い表面により発生する分離が、保存安定性を極端に損ない、完成品の耐久性を奪うことにつながりかねない。
このため、酸感応有効成分は、高い再現性及び一貫して高い品質を有する分離層それ自体を適用することが不可欠である。
【0005】
コア1は、粒径が0.2〜0.8mm、好ましくは0.3〜0.7mm、特に好ましくは0.4〜0.6mm(エアジェットふるいにより測定)の範囲である酒石酸粒子から調製され、表面に酒石酸及び結合剤の溶液を噴霧する。以下の方法は、溶液の調製のために用いられる。まず、酒石酸を好適な結合剤、好ましくはアカシア(アラビアゴム)と高温で水に溶解する。温度範囲は好ましくは30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。好ましくは、0.1〜0.3kg、特に好ましくは0.15〜0.25kg、特におよそ0.2kgのアカシアを投入した酒石酸kg当たりに使用する。水の量は、投入した酒石酸kgにつき、好ましくは0.6〜1.0kg、好ましくは0.7〜0.9kg、特におよそ0.8kgである。
本発明によれば、好ましくは、まずアカシアを溶解させた透明な溶液を、上述の温度で調製する。透明な溶液が得られたら、攪拌を続けながら、酒石酸を好ましくは一定温度で加える。加えたのち、混合物を少なくとも1時間、好ましくは3〜10、特に好ましくは4〜8、特に好ましくは5〜6時間攪拌する。
得られた溶液を粒径0.2〜0.8mm、好ましくは0.3〜0.7mm、特に好ましくは0.4〜0.6mmの酒石酸粒子へ噴霧する。上述の粒径を有する粒子の割合は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも97%であるべきである。このため、酒石酸粒子は好適な容器へ入れるべきである。容器は、回転させることにより中の粒子が混合し動き回るパンが好ましい。パンの種々のデザインは従来技術により公知であり、ドラムコーターと呼んでも良い。これに関しては、例えば欧州特許第80199号、国際公開第83/03052号、国際公開第95/19713号または国際公開第06/134133号の開示を参照できる。本発明の範囲内においては、本発明の方法において使用してよいパンは、水平パンとして知られている。
【0006】
上述に記載した方法により調製した酸ゴム溶液を、回転により動き続ける粒子へ噴霧する。
本発明の範囲内において、噴霧に供給した物質は、任意にペレット床と呼ばれる。ペレットという用語は、本発明の範囲内において、粒子またはコアという用語と同義であると解釈する。
本発明に従い、上述の酸ゴム溶液の好ましくは0.8〜1.6kg、特に好ましくは1.0〜1.4kg、特に好ましくは1.2kgを、供給した酒石酸粒子kgにつき噴霧する。
本発明の方法における供給空気の量は、バッチサイズにより決定する。本発明により供給された酒石酸コアkg当たりの供給空気の標準量は、好ましくは0.5〜2(m3/h)/kg、好ましくは0.75〜1.5(m3/h)/kg、特に好ましくは0.9〜1.1(m3/h)/kgの範囲である。供給空気の量とは、回転ペレット床へ一時間当たりに流れ込む乾燥空気の量を意味する。
【0007】
例えば、酒石酸コア1000kgをひとつのバッチへおくと、1.0(m3/h)kgの供給空気の標準量は、1000m3/hの供給空気の実際の量に一致する。本発明の乾燥のために投入した供給空気の温度は、好ましくは90℃より低く、特に好ましくは80℃より低い。理想的には、供給空気の温度は35℃〜75℃の範囲であるべきである。
本発明のペレット温度(生成したペレット床の温度)は、好ましくは30℃〜50℃の範囲、特に好ましくは36℃〜44℃、理想的には38℃〜42℃である。
差圧は好ましくは1〜3mバール、特に好ましくは1.5〜2.5mバール、特に好ましくは1.8〜2.2mバールである。差圧は、パンの圧力と室温圧力の圧力の差である。パンは、酸性塵が漏れないよう減圧の状態であるべきである。
噴霧は、一定の噴霧率で行う。噴霧率とは、回転ペレット床へ噴霧する、1時間当たりの酸ガム溶液の量を意味する。噴霧率は、本発明の方法におけるバッチサイズにより決定する。本発明の、供給された酒石酸結晶のkg当たりの標準噴霧率は、好ましくは0.2〜0.4(kg/h)/kg、好ましくは0.25〜0.35(kg/h)/kg、特に好ましくは0.28〜0.32(kg/h)/kgの範囲である。例えば、酒石酸結晶1000kgをひとつのバッチへ置くと、0.3(kg/h)/kgの標準噴霧率は、300kg/hの実際の噴霧率に相当する。
【0008】
酸ガム溶液の最初の部分を粒径0.2〜0.8mmの酒石酸粒子へ噴霧し、溶液を、パンを回転させることにより分布したのち、細かい酒石酸粉末を、湿った酒石酸粒子上に散在させる。酒石酸粉末は、粒径<100、好ましくは<75、特に好ましくは<50ミクロン(エアジェットふるいにより測定)の細かい酒石酸粒子から成る。上述の粒径の粒子の割合は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも94%であるべきである。本発明では、上述の酒石酸粉末は、好ましくは0.4〜1.2kg、特に好ましくは0.6〜1.0kg、特に好ましくは0.8kgを、供給した酒石酸粒子のkgにつき使用する。上述の酒石酸粉末を散在させたあと、噴霧用の物質を、製品温度がおよそ30〜50℃、好ましくはおよそ40℃に達するまで乾燥させる。この後、酸ガム溶液を再び噴霧させる。
球状粒子を均一に生成させるため、酸ガム溶液への噴霧及び酒石酸粉末の散在は、交互に実行する。酸ガム溶液及び酒石酸粉末の総量は、同様のサイズの少なくとも100、好ましくは150〜350、特に好ましくは200〜300、特に好ましくはおよそ250バッチを供給し、以下に記載した工程を相当する回数だけ繰り返す。
工程が終了したら、得られたコア1を乾燥させる。乾燥は、好ましくは50〜70℃、好ましくは55〜65℃の温度で、24〜72時間、好ましくは36〜60時間にわたり実行する。
酒石酸コア1の調製後、いわゆるコア物質の分離が必要となる。分離層は酒石酸コアの周辺に用い、完成する製品において、酒石酸コアと有効成分が干渉しあうことを防ぐ。
コア物質は、分離懸濁液2を、上述の工程により得られた酒石酸コア1へ噴霧することにより分離する。分離懸濁液2の調製のため、エタノールをバッチ容器へ入れ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びジメチルポリシロキサンを加え、攪拌しながら溶解させ、その後タルクを加え懸濁させる。
【0009】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びタルクを使用することは、例えばアラビアゴム及びタルクを使用する場合よりも都合が良いことが証明されている。ヒドロキシプロピルメチルセルロースをタルクと共に使用することにより、一定の品質を有する分離層を、再現可能な方法で生産することが可能となる。前記品質及び再現可能性は、工業規模でテストされている。
分離懸濁液2を調製するため、好ましくは0.04〜0.06kg、特に好ましくは0.046〜0.05kgのヒドロキシプロピルメチルセルロースをエタノールkgにつき使用する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用に加え、本発明では、発泡を防ぐため、ジメチルポリシロキサンを分離懸濁液2へ加えることが特に好ましいと証明されている。分離懸濁液2の調製へ、攪拌しながら加えるジメチルポリシロキサンの量は、エタノールkg当たりにつき、0.6〜1.2gが好ましく、0.8〜0.9gが特に好ましい。最後に、タルクを加え、攪拌しながら懸濁させる。好ましくは0.04〜0.06kg、特に好ましくは0.046〜0.05kgのタルクをエタノールkgにつき使用することが好ましい。
こうして調製した分離懸濁液2を、継続した噴霧工程において、通常の水平コーターにて、あらかじめ調製した酒石酸ペレット1へ噴霧する。0.5〜0.8kg、好ましくは0.55〜0.75kg、特に好ましくは0.6〜0.7kgの分離懸濁液を供給された酒石酸コア1のkg当たりに噴霧する。
【0010】
噴霧は一定の噴霧率にて行う。噴霧率とは、ペレット1へ噴霧する分離懸濁液2の一時間当たりの量を意味する。本発明の方法における噴霧率は、バッチサイズにより決定する。本発明の標準噴霧率は、供給された酒石酸ペレット1のkg当たりにつき、0.01〜0.1(kg/h)/kg、好ましくは0.02〜0.04(kg/h)/kg、特に好ましくは0.025〜0.035(kg/h)/kgであることが好ましい。例えば、酒石酸コア1200kgを一つのバッチへ置くと、0.027(kg/h)/kgの標準噴霧率は32kg/hの実際の噴霧率に相当する。例えば、酒石酸コア600kgを一つのバッチへ入れると、0.035(kg/h)/kgの標準噴霧率は21kg/hの実際の噴霧率に相当する。
前記の連続的な工程の間、コアは空気の供給により70℃まで、好ましくは25〜70℃まで、連続的に乾燥させる。
供給する空気の量とは、回転ペレット床へ流れ込む一時間当たりの乾燥空気の量を意味する。本発明の方法において、供給する空気の量はバッチサイズにより決定する。本発明の、供給する空気の標準量は、好ましくは1.0〜2.5(m3/h)/kgの範囲である。当初供給した酒石酸コア2のkg当たりにつき、好ましくは、1.2〜2.0(m3/h)/kg、特に好ましくは1.40〜1.85(m3/h)/kgである。例えば、酒石酸コア2を600kg一つのバッチへ入れると、供給する空気の標準量1.83(m3/h)/kgは、1100m3/hの供給する空気の実際の量に相当する。例えば、酒石酸コア3を1200kg一つのバッチへ入れると、1.42(m3/h)/kgの供給する空気の標準量は、1700m3/hの供給する空気の実際の量に相当する。
【0011】
有効成分を含むペレット5は、有効成分懸濁液4を上述の方法により得る分離酒石酸コア3へ噴霧することにより調製する。有効成分懸濁液4の均質性及び温度の双方ともが、有効成分を含有するペレットの品質に関係するため、有効成分懸濁液4の調製は本発明においてきわめて重要である。
有効成分懸濁液4は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートを、多形体Iの形で用いることにより調製する。多形体Iは、とりわけ融点Tmp.=180±3℃により特徴づけられる(DSCにより測定;ピーク最大値を用い評価;加熱率:10℃/分)。多形体Iの目標とする生成物は、例えば国際公開第05/028468号(特に実施例1参照)に記載された方法を用いて生成可能となる。有効成分という用語は、本発明の範囲内において使用される場合、特に言及されない限り、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体Iについての言及として解釈されるべきである。
有効成分懸濁液4の調製のため、イソプロピルアルコールを用い、窒素雰囲気下で12〜22℃の温度範囲へ適応させる。次に、ヒドロキシプロピルセルロースを、真空で、または攪拌しながら循環分散させ、調製した物質へ吸引させる。好ましくは、調製は特殊な分散装置を用いて実行する(ローター・ステーター原理;例えばJahnke & Kunkel社製Ultra Turrax(登録商標)またはYstral GmbH社製CONTI TDS4(登録商標))。循環分散は、分散装置をバッチ容器へ接続し、調製したイソプロピルアルコールを、分散剤を用いて循環させる。ローター・ステーター原理は、固形での吸引に必要な吸引真空を生成する。液体と固体は、別々の経路で分散チャンバーに入り、吸引工程の間チャンバー内で湿らせる。循環している間に当工程が発生した場合は、循環分散と称する。
【0012】
当工程が発生するバッチ容器は、つぎに混合機を備え、エネルギーの投入を抑えてダビガトランエテキシラート懸濁液の最適な攪拌措置を実現させる(例えばVisco Jet社製のVisco Jet(登録商標)攪拌システムまたはエアジェット混合機)。さらに、バッチ容器は二重被覆を備えていてもよい。イソプロピルアルコールは、実質的に無水の形(99.5%)で使用することが好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースは、真空により、または2000〜4000rpm、好ましくは2900rpmの循環分散により吸引し、攪拌して混合する。バッチ容器の混合機の攪拌パフォーマンスは、例えば600rpmである。
30〜60分後、溶解工程が完了する。その後、有効成分ダビガトランエテキシラートメタンスルホネート及び賦形剤タルクの摂取を、再度真空または好ましくは循環分散を用いて開始する。
循環工程における分散の結果、本発明の懸濁液4を、通常の攪拌技術を用いる場合に比べて著しく時間を短縮して調製することが可能である。
有利に、有効成分は、懸濁液を調製する前に粉にしておくことが好ましい。有効成分の好ましい粒径分布は14μmより小さいX90である。特性値X90は、個々の粒子の容量による分配に関する粒子の量の90%が見られる、粒径以下の中央値を示す。粒径は、本発明の範囲内において、例えばレーザー回折(フラウンホーファー回折)により測定してよい。
次に、混合機を攪拌速度400〜800rpm、好ましくは600rpmで作動させる攪拌及び膨潤段階が、30分間継続する。その後、懸濁液を2000〜4000rpm、好ましくは2900rpmの循環工程で3〜10分間分散させる。分散攪拌サイクルは、6回まで繰り返してもよい。
【0013】
懸濁液4の調製のため、投入したイソプロピルアルコールkgにつき、有効成分を0.05〜0.5kg、好ましくは0.1〜0.3kg、特に好ましくは0.15〜0.25kgを使用する。使用するヒドロキシプロピルセルロースの量は、投入したイソプロピルアルコールkgにつき、0.01〜0.1kg、好ましくは0.02〜0.07kg、特に好ましくは0.03〜0.05kgである。使用するタルクの量は、投入したイソプロピルアルコールkgにつき、0.005〜0.07kg、好ましくは0.01〜0.05kg、特に好ましくは0.02〜0.04kgである。
本発明の有効成分懸濁液中の二つの成分の質量に関し、ヒドロキシプロピルセルロースに対する有効成分の割合は好ましくは3:1〜7:1、好ましくは4:1〜6:1であり、およそ5:1の範囲が特に好ましい。タルクに対する有効成分の割合は、本発明の有効成分懸濁液における二つの成分の質量に関し、好ましくは4:1〜8:1、好ましくは5:1〜7:1であり、6:1〜6.5:1の範囲が特に好ましい。
本発明の有効成分懸濁液中、有効成分の濃度は、10〜25%(w/w)が好ましく、11〜20%(w/w)が好ましく、12〜19%(w/w)が特に好ましい。構成有効成分の全濃度、本発明の有効成分懸濁液におけるヒドロキシプロピルセルロース及びタルクは、14〜40%(w/w)が好ましく、15〜30%(w/w)が好ましく、16〜25%(w/w)が特に好ましい。
本発明の範囲内において、特に言及のない限り、濃度は常に質量または質量パーセントによるパーセントとして示す。
【0014】
驚くべきことに、懸濁液4の調製に選択される温度は、最終生成物の特性に関し決定的な作用を有する。製造工程が、有効成分の限定された多形体を有する生成物を再現可能にさせることを保証するため、全製造工程を通し、温度は30℃より低く保たれるべきであることが判明した。懸濁液4が高すぎる温度で製造、及び保存までされると、有効成分の多形体を変化させる可能性があり、最終製剤の有効性に悪影響を及ぼしかねない。製造工程の温度は、特に好ましくは0〜30℃の範囲、特に好ましくは5〜30℃の範囲である。
沈殿を防ぐため、懸濁液は噴霧工程を含む製造工程全体を通して攪拌する。バッチ容器中の混合機の攪拌力は、好ましくは300〜500rpm、特に好ましくは400rpmである。
製造後、有効成分懸濁液4は、工程が実行されるまで、30℃より低い温度で保存される。好ましくは、懸濁液4は48時間より短い工程で処理する。懸濁液が22℃で調製し保存された場合、例えば、60時間以内でさらに処理することが好ましい。
【0015】
ある局面において、本発明はイソプロピルアルコール中ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体Iの懸濁液4の調製方法に関し、懸濁液の製造及び保存中の温度が常に30℃より低く、好ましくは0〜30℃の範囲、特に好ましくは5〜30℃の範囲であることが特徴であり、懸濁液の成分は循環分散により加える。
別の局面において、本発明は、上述の製造工程により得てもよい、イソプロピルアルコール中のダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体Iの懸濁液4に関する。
別の局面において、本発明は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの医薬製剤を調製するための、イソプロピルアルコール中のダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体Iの懸濁液4の出発材料としての使用に関する。
別の局面において、本発明は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの医薬製剤の調製のための、本発明の有効成分懸濁液4の出発材料としての使用に関し、懸濁液4は30℃より低い保存温度で48時間以内で反応させた。
別の局面において、本発明は、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの医薬製剤の調製のための、本発明の有効成分懸濁液4の出発材料としての使用に関し、懸濁液4は22℃より低い保存温度で60時間以内で反応させた。
最終有効成分製剤5を調製するため、上述の工程により得られた有効成分懸濁液4を、前記分離酒石酸コア3へ噴霧する。
別の局面において、本発明は、本発明の有効成分懸濁液4を分離酒石酸コア3へ噴霧することを特徴とする、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネート5の医薬製剤の調製のための工程に関する。
別の局面において、本発明は、本発明の有効成分懸濁液4を分離酒石酸コア3へ噴霧することにより得ることができる、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネート5の医薬製剤に関する。
【0016】
流動床方法による本発明の有効成分ペレット5の次の調製は、三つの工程に分けられる。
1. 始動ペレット3の予熱
2. 噴霧段階(有効成分の適用)
3. 有効成分ペレット5の乾燥
これらの三つの工程は、流動床装置内で実行する。本発明において流動床装置とは、被覆する生成物が、それを通過する流体、好ましくは空気を有することを意味する。投入した物質は、前記流体により動き始め、動き続ける。動きの性質は、異なる装置特殊インサート(equipment-specific inserts)により制御される。好適な流動床装置はGPCG(Glatt Particle Coater Granulator)、Precision Coater(Aeromatic)、Kugelcoater(Huettlin)が挙げられ、またはAircoater(Innojet)を用いて実行する。例えば、EP0711593号に記載されている、いわゆるWurster Coaterは、本発明の流動床方法の実行に特に好適であることが証明されている。
【0017】
調製においては、分離酒石酸始動ペレットを製品容器に設置し、工程空気を用いて流動し、同時に予熱する。工程空気は換気扇を備えた下流(真空方法)により発生するが、加圧方法によっても発生しうる。必要とされる供給空気は、外気から直接送り込まれ、調節により特定な水分レベルまたは含水率まで加熱または調整してよい。供給空気の水分レベルは、3g/kgに調整するのが好ましい。
製品容器は、供給空気領域における多孔ベースプレートにより閉鎖する。排気領域において、濾布またはふるいの挿入により、ペレットが製品チャンバから漏れるのを防ぐ。所望の製品温度に達すると、噴霧段階が開始する。
ベースプレートには1以上の噴霧ノズルが存在する。噴霧ノズル領域のベースプレートの穿孔の値が高いと、噴霧される酒石酸始動ペレットが上昇し、それにより、本発明の並流原則に基づき、有効成分懸濁液で噴霧する。ペレットは、一以上の管(Wurster-CoaterまたはPrecision-Coater)を通して垂直に導かれる気流により強制的に運ばれてよく、また製品容器及び緩和ゾーン(KugelcoaterまたはAircoater)において、工程空気のらせん状または環状の動きに従ってもよい。噴霧したペレットが後退する前またはその間、揮発性成分は乾燥または除去される。有効成分層は、ペレットの循環する動きにより統一した構造が実現する。酒石酸始動ペレットは工程当初は比較的小さいため、初めは噴霧圧力を低くし、噴霧率も低くする。工程の途中、供給空気量及び供給空気温度に加え、噴霧率及び噴霧圧力のパラメーターは、段階的に増加させ、ペレットの最適な動き及び最適な製品温度を実現する。
【0018】
得られた有効成分ペレット5を均一及び均等にさせるためには、供給空気の製品温度、噴霧圧力、噴霧率、供給空気の温度及び量を、特に特定の範囲内に保つべきである。本発明のこれらのパラメーターを観察することにより、有効成分の分解を限定させ、ペレット5中の有効成分の量を再現可能なものとし、付随する噴霧のロスを抑え、及びマルチプル(いくつかのペレットの塊)の製剤を減少させることが確実となる。有効成分ペレット5の最終ふるいの間、塊が切り離されるため、マルチプルの製剤を減少させることは収率に直接影響する。
製品気温とは、ペレット床中のp、ダイに普及する気温を意味する。製品容器は、まず、上述の分離酒石酸ペレット3で充填し、当該分離酒石酸ペレット3を加熱する。好ましくは、30〜50℃、好ましくは30〜48℃、特に好ましくは34〜44℃まで加熱することが好ましい。この温度に達したら、上述の有効成分懸濁液4を噴霧する。
本発明の供給された空気の温度は、好ましくは90℃より低く、特に好ましくは80℃より低い。理想的には、供給空気の温度は40〜80℃の範囲、特に好ましくは55〜75℃の範囲であるべきである。
【0019】
噴霧圧力とは、有効成分懸濁液4を噴霧するノズルにおける、微粒化(霧化)のために使用する圧縮空気の圧力を意味する。本発明の噴霧圧力は、好ましくは1.0〜4.0バール、好ましくは1.5〜4.0バール、特に好ましくは2.0〜4.0バールの範囲を意味する。
噴霧率は、流動ペレット床へ噴霧する有効成分懸濁液4の、一時間当たりの量を意味する。噴霧率は、本発明の方法におけるバッチサイズにより決定する。供給された分離酒石酸ペレット3のkg当たりの本発明の標準噴霧率は、好ましくは2〜30(g/min)/kg、好ましくは4.5〜30(g/min)/kg、特に好ましくは6〜26(g/min)/kgの範囲である。例えば、酒石酸ペレット3を270.56kgバッチへ置くと、7.39(g/min)/kgの標準噴霧率は、およそ2000g/minの実際の噴霧率に相当する。
供給空気の量とは、流動ペレット床へ投入する乾燥空気の一時間当たりの量を意味する。供給空気の量は、本発明の方法におけるバッチサイズにより決定する。本発明の供給された分離酒石酸ペレット3のkg当たりの供給された空気の標準量は、好ましくは10〜30(m3/h)/kg、好ましくは14〜30(m3/h)/kg、特に好ましくは18〜28(m3/h)/kgの範囲にあることが好ましい。
例えば、酒石酸ペレット3を270.56kg一つのバッチへ置くと、20(m3/h)/kgの供給された空気の標準量は、供給された空気5411 m3/hの実際の量に相当する。
【0020】
すべての有効成分懸濁液を噴霧した後、有効成分ペレットを規定の時間の長さ、好ましくは10〜30分間、特に好ましくは20分間乾燥させる。製品温度は、好ましくは乾燥中20〜40℃の間で調整すべきである。乾燥中、継続的な流動化が実現する。
工程の終了後、製品容器を重量測定的に空にし、ダビガトランエテキシラートペレットを好適なふるい、例えば振動ふるい(メッシュサイズ1600μm)でふるいにかける。
一般的な条件下で、噴霧した有効成分懸濁液4の量は、懸濁液4中の有効成分濃度だけでなく、供給された分離酒石酸ペレット3のバッチサイズ、及び最終的な有効成分ペレット(いわゆる装填)当たりの有効成分の所望の量により決定する。有効成分ペレット5当たりの有効成分は、15〜50%(w/w)の範囲が特に好ましい。本発明の特に好ましい有効成分ペレット5は、20〜45%(w/w)、特に好ましくは36〜42%(w/w)の有効成分の装填を有する。
およそ15%(w/w)の有効成分濃度を有する特に好ましい有効成分懸濁液4、及び構成要素である有効成分、およそ25%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース及びタルクの全体的な濃度が本発明により使用される場合、例えば分離酒石酸ペレット3を1kg供給した有効成分ペレット5当たりの有効成分40%の所望の充填は、本発明の有効成分懸濁液4をおよそ4.83kg使用することが必要となる。発生しうる噴霧のロスを補うため、有効成分懸濁液4を5%まで超過して使用することが意味をなす可能性がある。
分離酒石酸ペレット5のより大きな装填の場合、バッチの総量、本件においては、有効成分懸濁液4の噴霧の間、特に容量は自然と増加し続ける。例えば、有効成分を有する分離酒石酸ペレット3を40%装填することにより、噴霧5の物質の全総量がおよそ倍増し、ほぼ1.4の要因による嵩密度の増加(すなわち質量に対する容量のより大きな増加)につながる。質量におけるこの急激な増加、及び特に噴霧5に対する物質の容量の増加は、例えば、噴霧物質5の均一な乾燥は容易に、または複雑な技術手順なしで達成することができないため、大規模な工業的バッチにおける噴霧工程に悪影響を及ぼしかねない。
【0021】
別の側面では、本発明は、本発明の有効成分懸濁液4を、上述の方法により分離酒石酸コア3へ噴霧することにより得られる、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネート5の医薬製剤に関する。
生成したかもしれない塊を除去するには、得られた有効成分ペレットを規定のメッシュサイズを有するふるいでふるいにかける。自然に選択されたメッシュサイズは、各々の有効成分ペレットの装填によって決定する。より低い装填には、より細かなメッシュのふるいを使用してよい。
最後に、得られた有効成分ペレットを、商業的に入手できるカプセル、好ましくは商業的に入手できるHPMCカプセルへ充填する。
以下に示す実施例は、本発明をより詳細に例証するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
エアジェットふるいによる酒石酸粒径の測定
測定装置及び設定
測定装置: エアジェットふるい、例えば Alpine A 200 LS
ふるい: 規定どおり
投入量: 10g/ふるい
継続時間: 1分間/ふるい、その後、0.1gの最大質量ロスまで1分間ごと
サンプルの調製/製品の供給
物質を乳鉢へ移し、強力な打撃を加えて存在する塊を破壊する。ラバーシール及びふたをしたふるいを天秤へ置き、ゼロへ合わせ、粉々になった物質10.0gをふるいへ計量する。
ふるいを、内容物とラバーシール、及び蓋と共に装置へ置く。タイマーを1分間に合わせ、物質をエアジェットふるいで処理する。その後、残留物を量り分け、記録に残す。この工程を、エアジェットふるいが<0.1g後、残留物の質量が減少するまで繰り返す。
【0023】
実施例1-始動ペレットの調製
水480kgを50℃まで加熱し、アカシア(アラビアゴム)120kgを、末端がくぼみ、及び攪拌器を有する通常の混合容器へ攪拌しながら加える。攪拌を、透明な溶液が得られるまで恒温で継続する。透明な溶液が得られたら(通常1〜2時間後)、酒石酸600kgを攪拌しながら加える。攪拌を継続している間、酒石酸を恒温で加える。すべて加えた後、混合物をさらにおよそ5〜6時間攪拌する。
酒石酸1000kgを、噴霧装置及び粉末塗布装置を備えたゆっくり回転する(1分間につき3回転)穴の空いていない水平なパン(例えばDriamat2000/2.5)へ加える。噴霧開始前に、酸のサンプルをふるい分析のために取り出す。当該酸は、粒径が0.4〜0.6mmの範囲の酒石酸粒子である。
上述の方法により得られた酸ゴム溶液を、提供された酒石酸粒子へ噴霧する。噴霧の間、供給された空気の量は1000 m3/h、35〜75℃に調整する。差圧は2mバールであり、パンの回転速度は1分間につき9回転である。ノズルは充填材から350〜450mmの距離に配置すべきである。
【0024】
酸ゴム溶液は以下の工程で変質させることにより噴霧する。酸ゴム溶液およそ4.8kgを粒径0.4〜0.6mmの酒石酸粒子上へ噴霧し、溶液を分散散布させた後、酒石酸粉末およそ3.2kgを湿った酒石酸粒子上に散在させる。当該酒石酸粉末は粒径<50ミクロンの細かい酒石酸粒子から成る。合計で、酒石酸粉末800kgを必要とする。前記酒石酸粉末を散在させ分散散布させた後、噴霧物質を、製品温度がおよそ40℃に達するまで乾燥させる。さらには、酸ゴム溶液へ噴霧する。
このサイクルを酸ゴム溶液がなくなるまで繰り返す。工程完了後、パンの中で酸ペレットを240分間3rpmで乾燥させる。乾燥完了後のケーキングを防ぐため、間欠性プログラムを毎時間3分間ごとに3rpmで回転させる。本事例において、パンは1時間間隔で3分間3rpmで回転し、その後スタンドへ戻す。酸ペレットは乾燥機へ移す。その後、60℃で48時間の間乾燥させる。最終的に、粒径分布をふるい分析で測定する。直径0.6〜0.8mmの粒径が製品に一致する。この留分は>85%を占める。
【0025】
実施例2―始動ペレットの分離
分離懸濁液の調製のため、エタノール666.1(347.5)kgを混合容器に置き、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(33.1(17.3)kg)をおよそ600rpmで攪拌しながら加え、溶解させる。その後、同じ条件下で、ジメチコン0.6(0.3)kgを加える。使用寸前に、タルク(33.1(17.3)kg)を加え、再び攪拌し、懸濁させる。
酸ペレット1200(600)kgを被覆装置(例えばGS-Coater Mod.600/Mod.1200)へ注ぎ、混合物1200kgにつき32kg/hまたは混合物600kgにつき21kg/hの噴霧率で数時間継続する継続噴霧工程において、回転パン中で上述の分離懸濁液で噴霧する。また、ペレットは、空気を供給し70℃までで乾燥し続ける。
GS-Coaterが空になると、分離始動ペレットはふるいにより細分する。直径≦1.0mmの製品留分を保存し、さらに使用する。
【0026】
実施例3-ダビガトランエテキシラート懸濁液の調製
バッチ容器は窒素で不活性化(inertised)し、かつ窒素は工程全体を通じて無視する(passed over)。
イソプロピルアルコール1028.325kgをバッチ容器へ計りとる。ヒドロキシプロピルセルロース(klucel EF)50.416kgを加え始める前に、イソプロピルアルコールは12〜22℃でなければならない。分散装置(Ystral GmbH製CONTI TDS 4(登録商標))により、ヒドロキシプロピルセルロースを循環分散により調製した物質へ吸い上げる。バッチ容器内での攪拌速度は600rpmである。30分後、サンプル(100ml)をヒドロキシプロピルセルロースから取り出し、250μmのふるいで通過させる。溶液が透明でなく、認識できる粒子がまだ含まれている場合、溶解工程は15分間ずつ二回延長してもよい。溶液が透明で塊がなくなれば、有効成分ダビガトランエテキシレートメタンスルホネートを加え始めてよい。有効成分252.006kg及びタルク40.359kgを、循環分散により連続的に吸収する。攪拌段階を30分間経過後、有効成分懸濁液を10分間まで2900rpmで分散させる。有効成分懸濁液の品質により、分散拡散サイクルは6回まで繰り返してよい。有効成分懸濁液の品質は、それぞれの分散拡散サイクル後、500μmふるいをとおして有効成分懸濁液100mlを加えることにより観察する。懸濁液の温度は、全工程をとおして30℃を超えるべきではない。
完成した有効成分懸濁液の保管及び噴霧温度は<18℃へ調整する。懸濁液を30℃より低い温度で保管し、長くて48時間以内でさらなる処理を行う。例えば、懸濁液を製造し22℃で保管した場合、60時間以内でさらなる処理を行うべきである。懸濁液を、例えば35℃で保管した場合、長くて24時間以内にさらなる処理を行うべきである。
沈殿を防止するため、有効成分懸濁液を、全製造及び噴霧工程を通じて攪拌する。
【0027】
実施例4―ダビガトランエテキシラート有効成分ペレットの調製
流動床装置を使用する(GPCG PRO 300)。噴霧は直径2.2mmのノズルを通じて実行する。
製品容器は、実施例2により得られる酒石酸ペレット270.561kgで装填し、ペレット床を加熱させる。ペレット床の温度が39℃に達すると、噴霧を開始させる。実施例3に従って調製した懸濁液を、噴霧段階において7〜10分間(seven 10)、120kg/h〜420kg/hの増加噴霧率で噴霧する。
懸濁液を終始攪拌する。供給空気の温度は75℃より低い。供給空気の量は、およそ7500 m3/hである。噴霧圧力は、3〜4バールの範囲である。
その後、ペレットを供給空気温度が少なくとも20℃、高くて70℃の製品容器で、およそ20分間の間、6000m3/hの供給空気の量で乾燥させる。
乾燥ペレットは1.6mmの振動ふるいを用いふるいにかけ、さらなる工程において必要となるまで乾燥剤を有する容器に保管する。
【0028】
実施例5-製剤例
以下の製剤例は、実施例4により得られた有効成分ペレットから、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルへ充填することにより得られる。

(1) 遊離有効成分塩基75mgに一致する
(2) 遊離有効成分塩基110mgに一致する
(3) カプセルサイズの質量はおよそ60mg
(4) カプセルサイズの質量はおよそ70mg
さらなる局面において、本発明は上述の医薬製剤それ自体の一つに関する。
さらなる局面において、本発明は式Iのダビガトランエテキシラートを60〜90mg、好ましくは70〜80mg、特に好ましくはおよそ75mg含む医薬製剤に関する。別の局面において、本発明は式Iのダビガトランエテキシラートを90〜130mg、好ましくは100〜120mg、好ましくは105〜115mg、特に好ましくはおよそ110mgを含む医薬製剤に関する。
さらなる局面において、本発明は式Iのダビガトランエテキシラートを60〜90mg、好ましくは70〜80mg、特に好ましくはおよそ75mg、メタンスルホネートの多形体Iの形で含む医薬製剤に関する。さらなる局面において、本発明は式Iのダビガトランエテキシラートを90〜130mg、好ましくは100〜120mg、好ましくは105〜115mg、特に好ましくはおよそ110mg、メタンスルホネートの多形体Iの形で含む医薬製剤に関する。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、メタンスルホネートの多形体Iの形である、式Iのダビガトランエテキシラートに加え、ヒドロキシメチルプロピルセルロースをも含む医薬製剤に関する。
さらなる局面において、本発明は、メタンスルホネートの多形体Iの形である、式Iのダビガトランエテキシラートに加え、ジメチルポリシロキサンをも含む医薬製剤に関する。
さらなる局面において、本発明は、メタンスルホネートの多形体Iの形である、式Iのダビガトランエテキシラートに加え、ヒドロキシプロピルセルロース、さらにアラビアゴム、酒石酸、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ジメチルポリシロキサン、タルクを構成要素として同様に含む医薬製剤に関する。
さらなる局面において、本発明は、メタンスルホネートの多形体Iの形である、式Iのダビガトランエテキシラートに加え、ヒドロキシプロピルセルロース、さらにアラビアゴム、酒石酸、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ジメチルポリシロキサン及びタルクを構成要素として限定的に含む医薬製剤に関する。
さらなる局面において、本発明は、深部静脈血栓症の術後予防、及び脳卒中の予防、特に心房細動に罹患する患者に対する脳卒中の予防のための、式Iのダビガトランエテキシラートを60〜90mg、好ましくは70〜80mg、特に好ましくはおよそ75mg含有する医薬製剤に関する。さらなる局面において、本発明は、深部静脈血栓症の術後予防、及び脳卒中の予防、特に心房細動に罹患する患者に対する脳卒中の予防のための、式Iのダビガトランエテキシラートを90〜130mg、好ましくは100〜120mg、好ましくは105〜115mg、特に好ましくはおよそ110mg含有する医薬製剤に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点Tmp.=180±3℃(DSCにより測定;加熱率:10℃/分)を特徴とするダビガトランエテキシラートメタンスルホネート多形体Iが、イソプロピルアルコール中のヒドロキシプロピルセルロースの溶液中で、タルクと懸濁し、
懸濁液の調製を、循環分散工程により、30℃を超えない温度で実行することを特徴とする、式Iのダビガトランエテキシラートのメタンスルホン酸塩の多形体Iの懸濁液4の調製方法。
【化1】

I
【請求項2】
最初に、ヒドロキシプロピルセルロースをイソプロピルアルコールへ溶解させ、その後、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートの多形体I及びタルクを、この溶液中で懸濁することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
投入したイソプロピルアルコールkgにつき、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネート0.05〜0.5kgを使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
投入したイソプロピルアルコールkgにつき、ヒドロキシプロピルセルロース0.01〜0.1kgを使用することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
投入したイソプロピルアルコールkgにつき、タルク0.005〜0.07kgを使用することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法により得ることができる、懸濁液4。
【請求項7】
有効成分の濃度が10〜25%(w/w)であることを特徴とする、請求項6記載の懸濁液4。
【請求項8】
構成要素の有効成分、ヒドロキシプロピルセルロース及びタルクの全体の濃度が14〜40%(w/w)であることを特徴とする、請求項6又は7記載の懸濁液4。
【請求項9】
ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5の調製のための出発材料としての、請求項6から8のいずれか1項に記載の懸濁液4の使用。
【請求項10】
請求項6から8のいずれか1項に記載の懸濁液4を、流動床方法により、分離酒石酸コア3上へ噴霧することを特徴とする、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5の調製方法。
【請求項11】
供給されたペレット3の製品温度を30〜50℃に調整することを特徴とする、請求項10記載のダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5の調製方法。
【請求項12】
投入された供給空気の温度が90℃より低く、特に好ましくは80℃より低く、理想的には40〜80℃の範囲であり、特に好ましくは55〜75℃の間であることを特徴とする、請求項10または11記載のダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5の調製方法。
【請求項13】
有効成分懸濁液4を、酒石酸ペレット3へ噴霧する標準噴霧率が、使用する酒石酸ペレット3のkgにつき4〜45g/分の範囲であることを特徴とする、請求項10、11または12記載のダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5の調製方法。
【請求項14】
本発明の供給空気の標準量が、使用する酒石酸ペレット3のkgにつき、好ましくは10〜35(m3/h)の範囲である、請求項10、11、12または13に記載のダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5の調製方法。
【請求項15】
請求項10から14記載の方法により得ることができる、ダビガトランエテキシラートメタンスルホネートペレット5。

【公表番号】特表2011−527318(P2011−527318A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517176(P2011−517176)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058900
【国際公開番号】WO2010/007016
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】