説明

ダンボールテープ貼付機

【課題】 ダンボール箱の搬送方向後面に貼り付けられる粘着テープの長さを適宜調節できる。
【解決手段】 ダンボールテープ貼付機1は、ダンボール箱Bを搬送可能な搬送路2と、該搬送路2の上方に配設され、粘着テープTを貼り付けるとともに、該粘着テープTをカッタ34により切断するように構成された封緘部3とが上下方向への相対位置を調節可能に機体4に装備されている。カッタ34は、搬送方向後側が支軸54で軸支されることにより搬送方向前側に延びる遊端部が上下に揺動自在に設けられたカッタアーム55と、該カッタアーム55の遊端部から前記支軸側へ間隔をおいて設けられたカッタ刃56と、該カッタアーム55が下方に揺動するように付勢するカッタ付勢手段57とを備え、前記カッタアーム55は、カッタ刃56よりも前記遊端部側におけるアーム長方向への突出量を調節可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンボール箱を粘着テープで封緘するダンボールテープ貼付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンボール箱Bの封緘は、図12に示すように、内フラップFi,Fiを内側に折り込まれるとともに、その上から外フラップFo,Foが内側に折り込こまれた状態で、左右外フラップFoの接合線Lの上から粘着テープTが貼り付けられることによりなされる。
【0003】
従来のダンボールテープ貼付機として、特許文献1記載のダンボール箱の封緘装置を例示する。この装置は、図13に示すように、左右一対の上蓋フラップを内側に折り込んだ状態のダンボール箱Bを左右上蓋フラップの接合線と平行に一定方向に搬送する搬送装置と、粘着テープTを繰り出すテープ繰出部と、ダンボール箱Bの天面Btを前記接合線に沿って転動しつつ、その外周面で前記テープ繰出部から繰り出される粘着テープTを粘着面側が左右上蓋フラップの両方にまたがって密着するように押し付ける押圧ローラ113,114と、前記テープ繰出部から繰り出される粘着テープTを所定長さに切断するカッタ115と、押圧ローラ113,114をダンボール箱Bの進行方向後面に沿って転動させる駆動手段と、押圧ローラ114がダンボール箱Bの進行方向後面を転動する時に左右上蓋フラップが浮き上がらないように上から押える押え具116とを備えている。
【0004】
この封緘装置は、天面封緘時、カッタ支持体129の下面が天面Btを摺動する状態となり、カッタ115が天面Btから浮上しており、カッタ支持体129の下面が天面Btから外れると、テンションスプリング125の張力によってカッタ支持体129が前方に回動し、カッタ115が天面Btの後端部から後方に所定距離の位置で粘着テープTを切断する。そして、粘着テープTの切断端部は、ダンボール箱Bの後面に圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−215316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の封緘装置は、カッタ115が天面Btの後端部から後方に所定距離の位置で粘着テープTを切断するので、ダンボール箱Bの後面に貼り付けられる粘着テープTの長さが所定長となってしまう。このため、ダンボール箱Bの後面の上部に文字、図形、模様等の表示がある場合に、これらが粘着テープTにより見えなくなってしまうことがあるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明のダンボールテープ貼付機は、
左右一対の外フラップを内側に折り込んだ状態のダンボール箱を左右外フラップの接合線と平行に一定方向へ搬送可能な搬送路と、該搬送路の上方に配設され、前記接合線に沿って貼付手段により粘着テープを貼り付けるとともに、該粘着テープをカッタにより切断するように構成された封緘部とが上下方向への相対位置を調節可能に機体に装備されたダンボールテープ貼付機であって、
前記カッタは、搬送方向後側が支軸で軸支されることにより搬送方向前側に延びる遊端部が上下に揺動自在に設けられたカッタアームと、該カッタアームの遊端部から前記支軸側へ間隔をおいて設けられたカッタ刃と、該カッタアームが下方に揺動するように付勢するカッタ付勢手段とを備え、
前記カッタアームは、前記カッタ刃よりも前記遊端部側におけるアーム長方向への突出量を調節可能に構成されており、
前記搬送路上を移動する前記ダンボール箱の天面に前記遊端部が乗り上がることにより、該天面に貼り付けられた粘着テープの上方で前記カッタ刃が退避し、該天面の搬送方向後端部から前記遊端部が外れて下降することにより、前記カッタ刃が粘着テープを切断するように構成されている。
【0008】
この構成によれば、前記カッタアームは、前記カッタ刃よりも前記遊端部側におけるアーム長方向への突出量を調節可能に構成されているので、該突出量を調節することにより、前記天面の後端部から後方における粘着テープの切断位置を調節することができる。このため、ダンボール箱の後面に貼り付けられる粘着テープの長さを適宜調節することができる。さらに、前記搬送路及び前記封緘部の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱の天面と前記封緘部との相対位置を調節すれば、ダンボール箱の前面に貼り付けられる粘着テープの長さを適宜調節することができる。
【0009】
第2の発明のダンボールテープ貼付機としては、第1の発明において、
前記カッタは、前記貼付手段に対する前記支軸の上下位置が調節可能に構成された態様を例示する。
【0010】
粘着テープを切断するときの該粘着テープ表面に対する前記カッタ刃の角度は90°であることが好ましいが、この構成によれば、前記搬送路及び前記封緘部の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱の天面と前記封緘部との相対位置を調節した際に、該天面に対する前記支軸の高さ位置を調節することにより、粘着テープを切断するときに該粘着テープの表面に対する前記カッタ刃の角度が90°に近づくように適宜調節することができる。
【0011】
第3の発明のダンボールテープ貼付機としては、第1又は2の発明において、
前記封緘部における前記搬送方向後側には、該封緘部の底部とダンボール箱の天面との隙間を狭めるために、該封緘部の下側へ張り出すように形成されたカバーが設けられており、
該カバーは、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された態様を例示する。
【0012】
この構成によれば、前記搬送路及び前記封緘部の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱の天面と前記封緘部との相対位置を調節した際に、それに合わせて該天面に対する前記カバーの高さを調節できる。
【0013】
第4の発明のダンボールテープ貼付機としては、第3の発明において、
前記カッタの支軸と前記カバーとは、互いに連動して、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された態様を例示する。
【0014】
この構成によれば、前記カッタの支軸及び前記カバーが互いに連動して上下するので、これらを個別に調節する手間を省くことができる。
【0015】
第5の発明のダンボールテープ貼付機としては、第1〜4のいずれかの発明において、
左右上蓋フラップが浮き上がらないように上から押さえる押止具を備え、
該押止具は、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、前記搬送路及び前記封緘部の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱の天面と前記封緘部との相対位置を調節した際に、それに合わせて該天面に対する前記押止具の高さ位置を調節することができる。
【0017】
第6の発明のダンボールテープ貼付機としては、第5の発明において、
前記押止具と前記支軸又は/及び前記カバーとは、互いに連動して、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された態様を例示する。
【0018】
この構成によれば、前記押止具と前記支軸又は/及び前記カバーとが互いに連動して上下するので、これらを個別に調節する手間を省くことができる。
【0019】
第7の発明のダンボールテープ貼付機としては、第1〜6のいずれかの発明において、
前記粘着テープは、それが巻き付けられてなるとともに中心が回転自在に軸支されたテープロールから引き出され、前記封緘部に供給されるように構成されており、
該テープロールの回転に抵抗を付与するように構成されたテープ抵抗部を備えており、
該テープ抵抗部は、テープロールの略径方向に移動可能に、且つ、テープロールの周面に対して表面が接触可能に支持された抵抗体と、該抵抗体の表面がテープロールの周面に接触するように該抵抗体を付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段は、テープロールが大径のときに該テープロールの周面に対する前記抵抗体の押し当て力が強く、テープロールの径が小さくなるにつれて該押し当て力が弱くなるように構成された請求項1〜6のいずれか一項に記載のダンボールテープ貼付機。
【0020】
この構成によれば、封緘作業に応じて断続的に粘着テープが引き出されたときに、テープロールの径が大きいほどテープロールが必要以上に回転してしまうということがあるという問題の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る手動式ダンボールテープ貼付機によれば、ダンボール箱の搬送方向後面に貼り付けられる粘着テープの長さを適宜調節することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態に係るダンボールテープ貼付機の側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII矢視図である。
【図4】同テープ貼付機の封緘部の側断面図であって、ダンボール箱の前後面における粘着テープの貼付長さを50mmに調節した状態を示す図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI矢視図である。
【図7】同封緘部の側面図であって、ダンボール箱の前後面における粘着テープの貼付長さ20mmに調節した状態を示す図である。
【図8】同封緘部の動作を段階ごとに示す図である。
【図9】本発明を具体化した第二実施形態に係るダンボールテープ貼付機の要部の側面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】ダンボール箱の構成を示す斜視図である。
【図13】従来のダンボール箱の封緘装置を搬送路の入口側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図8は本発明を具体化した第一実施形態のダンボールテープ貼付機1を示しており、各図において、矢印Cは搬送路の搬送方向前側であって、機体前側を指し示している。本例の封緘対象のダンボール箱Bは、背景技術において説明したもの(図12参照)と同じものとする。図1〜図3に示すように、このテープ貼付機1は、左右一対の外フラップFo,Foを内側に折り込んだ状態のダンボール箱Bを左右外フラップFo,Foの接合線Lと平行に一定方向へ搬送可能な搬送路2と、該搬送路2の上方に配設され、接合線Lに沿って貼付手段3aにより粘着テープTを貼り付けるとともに、該粘着テープTをカッタ34により切断するように構成された封緘部3とが機体4に装備されており、ダンボール箱Bが封緘部3に対して相対移動する力を利用して、該封緘部3が接合線Lに沿って粘着テープTを貼り付けるように構成されている。
【0024】
機体4は、4本の支柱10,10,12,12により四隅が支持された基台13を備えている。基台13における後側の両支柱10,10の下端には、高さ調節可能に構成された支持脚14が設けられ、同前側の両支柱12,12の下端には、車輪15が設けられている。基台13には、その上側に、平行運動機構16を介して搬送路2が上下高さ調節可能に支持されている。この高さ調節は、基台後側に設けられた上下ハンドル17により行うようになっている。基台13における後側の支柱10,10は、平行運動機構16により最高位置に調節された搬送路2の上面よりも高い位置まで延設されており、上端には前後方向に延びる下側フレーム26b及び上側フレーム26aが取り付けられている。下側フレーム26b及び上側フレーム26aは互いに着脱可能、かつ、水平方向における相対位置調節可能に取り付けられている。両上側フレーム26aには、それぞれ上フレーム18が立設されており、該両上フレーム18には、左右方向に延びる横フレームの両端部がそれぞれ支持されている。封緘部3の前半部かつ上半部が、該横フレーム19に設けられたフランジ部19aを介して支持されている。このように搬送路2及び封緘部3は、上下方向への相対位置を調節可能に機体4に装備されている。
【0025】
搬送路2は、機体4の後側から前側に向けてダンボール箱Bを搬送するためのローラコンベア24と、該ローラコンベア24上のダンボール箱Bの向きをガイドするガイド部25とを備えている。ガイド部25は、各上側フレーム26aの機体内方に平行運動機構27を介して支持されたガイド棒28を備えている。各上側フレーム26aの後端側には、機体4を持ち上げて移動させるためのハンドル29が設けられている。両ガイド棒28は互いに平行に支持されており、ダンボール箱Bの側面を左右両側から挟持するようにしてダンボール箱Bの向きをガイドするようになっている。両ガイド棒28の間隔は搬送するダンボール箱Bに合わせて平行運動機構27により調節可能となっている。
【0026】
封緘部3は、搬送路2の幅方向のサイズが同方向における封緘対象のダンボール箱Bのサイズよりも小さく形成されているとともに、封緘部3の前半部かつ上半部が、該横フレーム19に設けられたフランジ部19aを介して支持されている。このように封緘部3は、その下部両側部が機体4に支持されておらず、該両側部以外の部位が機体4に支持されるように構成されることにより、該両側部の近傍に一対の空間S,Sが形成されるようになっている。そして、図3に示すように、作業者が、搬送路2の入口側に載置されたダンボール箱Bにおける搬送方向後側の両上角近傍を両手H,Hでそれぞれ持ったまま、該一対の空間S,Sに該両手H,Hを押し込むと、該ダンボール箱Bが搬送路2の出口側に押し出されるように構成されている。
【0027】
封緘部3は、図4〜図7に示すように、粘着テープTを繰り出すテープ繰出部31と、ダンボール箱Bの天面Btを接合線Lに沿って転動しつつ、その外周面でテープ繰出部31から繰り出される粘着テープTを粘着面側が左右外フラップFoの両方にまたがって密着するように押し付ける前後2個の押圧ローラ32,33と、テープ繰出部31から繰り出される粘着テープTを切断するカッタ34と、押圧ローラ33がダンボール箱Bの進行方向後面を転動するときに左右外フラップFoが浮き上がらないように上から押さえる押止具としての押止ローラ35と、搬送方向後側に設けられたカバー30とが、封緘部フレーム39に装備されている。封緘部フレーム39は、フレーム本体45と、該フレーム本体45に対する上下位置を調節可能に、該フレーム本体45の前後にそれぞれ設けられた前側フレーム46及び後側フレーム47とを備えている。本例では、前側フレーム46及び後側フレーム47は、それぞれ上下に延びる長孔46a,47aを有しており、該長孔46a,47aを介して締結手段48(本例ではボルト及びナット)でフレーム本体45に取り付けられることにより、該フレーム本体45に対する上下位置が調節可能になっている。フレーム本体45にはテープ繰出部31、押圧ローラ32,33等が、前側フレーム46にはカッタ34、カバー30等が、後側フレーム47には、押止ローラ35等が、それぞれ装備されている。
【0028】
テープ繰出部31は、フレーム本体45に立設されたテープ支持輪ステー50の上端部にテープ支持軸51を介して回転自在に軸支されたテープ支持輪52と、該テープ支持輪52に装着されたテープロールRから繰り出される粘着テープTを押圧ローラ32の直前部まで案内するガイドローラ40,41と、該直前部で、粘着テープTの先端を挟持するテープ案内板42及びテープ押さえ板43とを備えており、押圧ローラ32の直前部に対し、粘着面側を前方に向けた状態で粘着テープTを供給するようになっている。
【0029】
前後2個の押圧ローラ32,33は、支軸36a,37aを支点にして回動自在なアーム36,37の下端部にそれぞれ取り付けられており、両アーム36,37は連動して互いに逆向きに回動するように連結ロッド38で連結されるとともに、両アーム36,37の間隔が開く方向に付勢手段(図示略)により付勢されている。貼付手段3aは、これらの構成要素32,33,36,36a,37,37a,38からなっている。
【0030】
カッタ34は、前側フレーム46に搬送方向後側が支軸54で軸支されることにより搬送方向前側に延びる遊端部が上下に揺動自在に設けられたカッタアーム55と、該カッタアーム55の遊端部から前記支軸側へ間隔をおいて設けられたカッタ刃56と、該カッタアーム55が下方に揺動するように付勢するカッタ付勢手段57とを備えている。カッタ刃56は、先端が鋸刃状に形成されており、両押圧ローラ32,33の間に位置している。カッタアーム55は、アーム本体58と、該アーム本体58の先端に、該アーム本体58の長手方向に突出するように取り付けられた左右一対の突片59とを備えている。アーム本体58は、一端側が支軸54に軸支され、他端にカッタ刃56が取り付けられている。突片59は、その突出方向に延びる長孔59aを有しており、該長孔59aを介して締結手段60(本例ではボルト及びナット)でアーム本体58に取り付けられている。一対の突片59の突出量を調節することにより、カッタ刃56よりも遊端部側におけるアーム長方向への突出量を調節可能に構成されている。支軸54は、前側フレーム46を介してフレーム本体45に取り付けられており、これにより、カッタ34は、貼付手段3aに対する支軸54の上下位置が調節可能に構成されている。
【0031】
押止具としての押止ローラ35は、周面の下端がダンボール箱Bの天面Btとほぼ同じ高さに位置するように設けられている。押止ローラ35は、後側フレーム47を介して封緘部3のフレーム本体45に取り付けられており、これにより、押止ローラ35は、貼付手段3aに対する上下位置が調節可能に構成されている。
【0032】
カバー30は、封緘部3の下部よりも下側及び左右両側に張り出した形状に形成されている。カバー30における下側への張り出し部は、封緘部3の底部とダンボール箱Bの天面Btとの隙間を狭めるようになっている。カバー30の下縁は、ダンボール箱Bの天面Btを傷付けないように、搬送方向前側に湾曲した形状となっている。カバー30における左右両側への張り出し部は、封緘部3の前記下部両側部に存在する突部(各支軸の端部等)のなかで側方への突出長さが最長のものと同等以上に側方へ張り出すように形成されている。カバー30は、前側フレーム46を介して封緘部3のフレーム本体45に取り付けられており、貼付手段3aに対する上下位置が調節可能に構成されている。
【0033】
次に、このテープ貼付機1の使用方法について説明する。
(1)封緘作業を始める前の調節方法について説明すると、まず、ダンボール箱Bの搬送方向前後面に貼り付けられる粘着テープTの長さに応じて、前側フレーム46及び後側フレーム47の上下位置と、カッタ34の突片59の突出量とを適宜調節する。図4は前後面の貼付長さを50mmにする場合を、図7は前後面の貼付長さを20mmにする場合を、それぞれ示している。これらの図に示すように、50mmにする場合は、20mmにする場合と比較して、前側フレーム46及び後側フレーム47を30mm上昇させた位置に調節するとともに、突片59を約30mm突出させた位置に調節する。図示していないが、前後面の貼付長さに応じた前側フレーム46及び後側フレーム47、並びに突片59の調節位置については、それぞれフレーム本体45、並びにアーム本体58に目盛が設けられている。次いで、封緘対象のダンボール箱Bを内フラップFi,Fi及び外フラップFo,Foが内側に折り込まれた状態にし、搬送路2に載せ、カバー30の下縁がダンボール箱Bの天面Btの直ぐ上に位置するように、搬送路2の高さを調節するとともに、ダンボール箱Bの両側面に軽く接する程度に左右のガイド棒28の間隔を調整する。
【0034】
(2)封緘作業の方法について図8を参照しながら説明すると、まず、作業者が機体後側に立ち、ダンボール箱Bを搬送路2の入口に載せ、ダンボール箱Bを内フラップFi,Fi及び外フラップFo,Foが内側に折り込まれた状態にし、該ダンボール箱Bの搬送方向後側における両上角付近を両手でそれぞれ持ち、搬送路2の出口側へ向けてダンボール箱Bを押し込んで行く。このとき、封緘部3にはカバー30が設けられているので、作業者の手H,Hが封緘部3の両側部に接近しすぎたり、封緘部3の底部とダンボール箱Bの天面Btの間に入り込んだりすることがない。このダンボール箱Bが所定位置に到達すると、テープロールRから所定長さ繰り出されている粘着テープTの先端部の粘着面にダンボール箱Bの前面上部が接触する(同図(a)参照)。この粘着テープTの先端部は、その搬送方向前側に位置している押圧ローラ32によってダンボール箱Bに押し付けられる。ダンボール箱Bが前進するのに伴って、押圧ローラ32が粘着テープTを押圧しながらダンボール箱Bの前面を上向きに転動した後、左右外フラップFoの接合線Lに沿ってダンボール箱Bの天面Btを転動することにより天面Btの封緘を行う。このとき、連結ロッド38により押圧ローラ32と連動して押圧ローラ33も天面Btの高さまで上昇しており、押圧ローラ32に追随して押圧ローラ33も天面Btの封緘を行う(同図(b)参照)。また、このときカッタ34はダンボール箱Bの天面Btに遊端部が乗り上がることにより、天面Btに貼り付けられた粘着テープTの上方でカッタ刃56が退避しているが、押圧ローラ32が天面Btから外れた後、該天面Btの搬送方向後端部から遊端部が外れて下降することにより、カッタ刃56が粘着テープTを切断するようになっている(同図(c)参照)。その後、押圧ローラ33がダンボール箱Bの天面Btに引き続いて後面を下方に転動し、粘着テープTをその先端まで後面に圧着する(同図(d)参照)。このとき、押止ローラ35によって左右外フラップFo,Foが天面Btの高さに押さえられ、左右外フラップFo,Foがダンボール箱Bの本体から浮き上がることなく封緘される。この状態となるまで、作業者がダンボール箱Bを搬送路2の出口側へ押し込むと、搬送路2の出口側に封緘されたダンボール箱Bが送り出される。
【0035】
以上のように構成された本例のダンボールテープ貼付機1によれば、カッタアーム55は、カッタ刃56よりも遊端部側におけるアーム長方向への突出量を調節可能に構成されているので、該突出量を調節することにより、ダンボール箱Bの天面Btの後端部から後方における粘着テープTの切断位置を調節することができる。このため、ダンボール箱Bの後面に貼り付けられる粘着テープTの長さを適宜調節することができる。さらに、搬送路2及び封緘部3の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱Bの天面Btと封緘部3との相対位置を調節することにより、ダンボール箱Bの前面に貼り付けられる粘着テープTの長さも、前記後面に貼り付けられる長さに合わせて調節することができるようになっている。
【0036】
また、粘着テープTを切断するときの該粘着テープ表面に対するカッタ刃56の角度は90°であることが好ましいが、カッタ34は、貼付手段3aに対する支軸54の上下位置が調節可能に構成されているので、該搬送路2の上を搬送されるダンボール箱Bの天面Btと封緘部3との相対位置を調節した際に、該天面Btに対する支軸54の高さ位置を調節することにより、粘着テープTを切断するときに該粘着テープTの表面に対するカッタ刃56の角度が90°に近づくように適宜調節することができる。
【0037】
また、カバー30は、貼付手段3aに対する上下位置が調節可能に構成されているので、搬送路2及び封緘部3の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱Bの天面Btと封緘部3との相対位置を調節した際に、それに合わせて該天面Btに対するカバー30の高さを調節できる。
【0038】
また、カッタ34の支軸54とカバー30とは、前側フレーム46を介してフレーム本体45に取り付けられることにより、互いに連動して貼付手段3aに対する上下位置が調節可能に構成されているので、これらを個別に調節する手間を省くことができる。
【0039】
また、左右上蓋フラップFo,Foが浮き上がらないように上から押さえる押止ローラ35を備え、該押止ローラ35は、貼付手段3aに対する上下位置が調節可能に構成されているので、搬送路2及び封緘部3の上下方向への相対位置を調節することにより、該搬送路上を搬送されるダンボール箱Bの天面Btと封緘部3との相対位置を調節した際に、それに合わせて該天面Btに対する押止ローラ35の高さ位置を調節することができる。
【0040】
次に、図9〜図11は本発明を具体化した第二実施形態を示している。このダンボールテープ貼付機1は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0041】
本例のダンボールテープ貼付機1は、テープロールRの回転に抵抗を与えるためのテープ抵抗部80を備えている。このテープ抵抗部80は、上端部が前後に揺動自在となるように下端部が封緘部3のフレーム本体45にテープ抵抗アーム軸81で軸支されたテープ抵抗アーム82と、該テープ抵抗アーム82の上端部にテープ抵抗ローラ軸83で回転自在に軸支されたテープ抵抗ローラ84と、テープ抵抗ローラ84の周面がテープロールRの周面に接触するように、テープ抵抗アーム82をテープロール側に付勢する付勢手段としてのテープ抵抗バネ85と、テープ抵抗ローラ84の周面がテープロールRの周面に接触しないように、テープ抵抗アーム82が反テープロール側に離れた退避位置に係止する係止部86とを備えている。
【0042】
テープ抵抗ローラ軸83の一端部とテープ抵抗ローラ84との間には、抵抗手段としての圧縮バネ87が介挿されており、これによりテープ抵抗ローラ84に回転抵抗が付与されるようになっている。テープ抵抗ローラ軸83の一端部とテープ抵抗ローラ84との間隔は調節可能になっており、これにより、回転抵抗の強さが調節可能になっている。
【0043】
テープ抵抗アーム82は、テープ抵抗アーム軸81に対して、該軸の軸長方向へも遊動可能に軸支されるとともに、テープ抵抗アーム軸81の一端部とテープ抵抗アーム82との間には、該軸長方向への遊動を阻止する阻止手段としての圧縮バネ88が介挿されている。封緘部3のフレーム本体45における天板には、機体前後方向に延びる長孔89が形成されており、テープ抵抗アーム82は、該長孔89により動作がガイドされるようになっている。この長孔89の反テープロールR側は、略ステップ状に幅広に形成されており、この部分にテープ抵抗アーム82を退避位置に係止するための係止部86が設けられている。そして、テープ抵抗アーム82をテープ抵抗バネ85に反して反テープロールR側に回動させるとともに、阻止手段としての圧縮バネ88に反して係止部86に係合させると、退避位置に固定することができるようになっている。
【0044】
本例のダンボールテープ貼付機1は、テープ支持軸51の一端部とテープ支持輪52との間に、抵抗手段としての圧縮バネ53が介挿されており、これによりテープ支持輪52に回転抵抗が付与され、テープロールRから余分な粘着テープが引き出されないようにしている。テープ支持軸51の一端部とテープ支持輪52との間隔は調節可能になっており、これにより、回転抵抗の強さが調節可能になっている。この構成は、第一実施形態のダンボールテープ貼付機1の説明において記載していないが、本例と同様に備えている。
【0045】
ところで、テープロールRからの粘着テープTの引き出し時、テープロールRの径が大きいほどテープロールRの回転時の慣性モーメントが大きくなるため、封緘作業に応じて断続的に粘着テープTが引き出されたときに、テープロールRの径が大きいほどテープロールRが必要以上に回転してしまうという問題が発生する。ダンボール箱Bの移動を機械で駆動する構成の場合、ダンボール箱Bの移動速度がほぼ一定で、しかも急に勢いよく移動されることがないため、第一実施形態のように、テープロールRからの余分な粘着テープTの引き出しを防止する手段が、テープ支持軸51の一端部とテープ支持輪52との間に介挿された抵抗手段としての圧縮バネ53だけであったとしても、テープロールRの径が最大のときに粘着テープTが必要以上に引き出されないように該抵抗手段(圧縮バネ53)の強さを調節しておくことで対応が可能である。しかしながら、本発明のようにダンボール箱Bを手動で移動させる構成の場合、ダンボール箱Bの移動のさせ方は、作業者ごとに個人差があるし、同じ作業者でもその体調等によって異なるし、移動速度も一定ではないため、この問題が発生し易い。この問題に対応するために、テープロールRの径が大きい場合に、前記抵抗手段(圧縮バネ53)の強さを強めに調節しておくことも可能であるが、そうすると、テープロールRの径が小さくなったときに、回転抵抗が大きすぎてしまうことになる。このため、テープロールRが大径の時は前記抵抗手段(圧縮バネ53)による抵抗が強くなるように調節し、小径の時は弱くなるように調節する必要があり、手間がかかるという課題がある。
【0046】
本例のダンボールテープ貼付機1では、粘着テープTは、それが巻き付けられてなるとともに中心が回転自在に軸支されたテープロールRから引き出され、封緘部3に供給されるように構成されている。そして、テープロールRの回転に抵抗を付与するように構成されたテープ抵抗部80を備えている。このテープ抵抗部80は、テープロールRの略径方向に移動可能に、且つ、テープロールRの周面に対して表面(本例ではテープ抵抗ローラ84の周面)が接触可能に支持された抵抗体(本例では、回転抵抗が付与された回転体としてのテープ抵抗ローラ84。非回転体が接触し摩擦力で抵抗を付与する構成でもよい。)と、該抵抗体の表面がテープロールRの周面に接触するように該抵抗体を付勢する付勢手段(本例ではテープ抵抗バネ85)とを備えている。そして、この付勢手段(テープ抵抗バネ85)は、テープロールRが大径のときに該テープロールRの周面に対する前記抵抗体の押し当て力が強く、テープロールRの径が小さくなるにつれて該押し当て力が弱くなるように構成されている。このため、テープロールRの回転に対し、該テープロールRの径に応じた抵抗を付与することができ、第一実施形態の構成における圧縮バネ53の調節の手間を省くことができる。
【0047】
また、本例のダンボールテープ貼付機1は、係止部86を備えているので、テープロールRを取り付けるときは、テープ抵抗ローラ84がテープロールRより離れた退避位置で固定できる。
【0048】
本例のダンボールテープ貼付機1によれば、第一実施形態と同様の効果に加え、前記した本例独自の効果を得ることができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)本発明を、例えば搬送装置のような動力源(モータ、エンジン等)を含む構成を備えたダンボールテープ貼付機に適用すること。
(2)押止具としての押止ローラ35と、支軸54又は/及びカバー30とは、互いに連動して、貼付手段3aに対する上下位置が調節可能に構成された態様にすること。この構成によれば、押止具としての押止ローラ35と、支軸54又は/及びカバー30とが互いに連動して上下するので、これらを個別に調節する手間を省くことができる。
(3)押止具を別の形態に構成すること。具体的には、左右上蓋フラップFo,Foが浮き上がらないように上から押さえる橇状に形成することを例示する。
(4)カバー30の形状を適宜変更すること。
【符号の説明】
【0050】
1 ダンボールテープ貼付機
2 搬送路
3 封緘部
3a 貼付手段
4 機体
30 カバー
31 テープ繰出部
32 押圧ローラ
33 押圧ローラ
34 カッタ
35 押止ローラ
36 アーム
36a 支軸
37 アーム
37a 支軸
38 連結ロッド
39 封緘部フレーム
45 フレーム本体
46 前側フレーム
46a 長孔
47 後側フレーム
47a 長孔
48 締結手段
50 テープ支持輪ステー
51 テープ支持軸
52 テープ支持輪
53 圧縮バネ
54 支軸
55 カッタアーム
56 カッタ刃
57 カッタ付勢手段
58 アーム本体
59 突片
59a 長孔
60 締結手段
80 テープ抵抗部
81 テープ抵抗アーム軸
82 テープ抵抗アーム
83 テープ抵抗ローラ軸
84 テープ抵抗ローラ
85 テープ抵抗バネ
86 係止部
87 圧縮バネ
88 圧縮バネ
89 長孔
B ダンボール箱
Bt ダンボール箱の天面
C 搬送方向前側、機体前側
Fi 内フラップ
Fo 外フラップ
H 作業者の手
L 接合線
R テープロール
S 空間
T 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の外フラップを内側に折り込んだ状態のダンボール箱を左右外フラップの接合線と平行に一定方向へ搬送可能な搬送路と、該搬送路の上方に配設され、前記接合線に沿って貼付手段により粘着テープを貼り付けるとともに、該粘着テープをカッタにより切断するように構成された封緘部とが上下方向への相対位置を調節可能に機体に装備されたダンボールテープ貼付機であって、
前記カッタは、搬送方向後側が支軸で軸支されることにより搬送方向前側に延びる遊端部が上下に揺動自在に設けられたカッタアームと、該カッタアームの遊端部から前記支軸側へ間隔をおいて設けられたカッタ刃と、該カッタアームが下方に揺動するように付勢するカッタ付勢手段とを備え、
前記カッタアームは、前記カッタ刃よりも前記遊端部側におけるアーム長方向への突出量を調節可能に構成されており、
前記搬送路上を移動する前記ダンボール箱の天面に前記遊端部が乗り上がることにより、該天面に貼り付けられた粘着テープの上方で前記カッタ刃が退避し、該天面の搬送方向後端部から前記遊端部が外れて下降することにより、前記カッタ刃が粘着テープを切断するように構成されたダンボールテープ貼付機。
【請求項2】
前記カッタは、前記貼付手段に対する前記支軸の上下位置が調節可能に構成された請求項1記載のダンボールテープ貼付機。
【請求項3】
前記封緘部における前記搬送方向後側には、該封緘部の底部とダンボール箱の天面との隙間を狭めるために、該封緘部の下側へ張り出すように形成されたカバーが設けられており、
該カバーは、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された請求項1又は2記載のダンボールテープ貼付機。
【請求項4】
前記カッタの支軸と前記カバーとは、互いに連動して、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された請求項3記載のダンボールテープ貼付機。
【請求項5】
左右上蓋フラップが浮き上がらないように上から押さえる押止具を備え、
該押止具は、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された請求項1〜4のいずれか一項に記載のダンボールテープ貼付機。
【請求項6】
前記押止具と前記支軸又は/及び前記カバーとは、互いに連動して、前記貼付手段に対する上下位置が調節可能に構成された請求項5記載のダンボールテープ貼付機。
【請求項7】
前記粘着テープは、それが巻き付けられてなるとともに中心が回転自在に軸支されたテープロールから引き出され、前記封緘部に供給されるように構成されており、
該テープロールの回転に抵抗を付与するように構成されたテープ抵抗部を備えており、
該テープ抵抗部は、テープロールの略径方向に移動可能に、且つ、テープロールの周面に対して表面が接触可能に支持された抵抗体と、該抵抗体の表面がテープロールの周面に接触するように該抵抗体を付勢する付勢手段とを備え、
前記付勢手段は、テープロールが大径のときに該テープロールの周面に対する前記抵抗体の押し当て力が強く、テープロールの径が小さくなるにつれて該押し当て力が弱くなるように構成された請求項1〜6のいずれか一項に記載のダンボールテープ貼付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−163174(P2010−163174A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5253(P2009−5253)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】