説明

チェンジレバーの位置検出装置、これを備えたチェンジレバーユニット、およびチェンジレバーの位置検出方法

【課題】より簡単の構造でチェンジレバーの位置を精度よく検出する。
【解決手段】チェンジレバーのシフト方向の3つのレンジとチェンジレバーのセレクト方向の3つのレンジとにおけるマグネット2の磁気に対応して出力するホール素子3の電気的シフト位置信号値および電気的セレクト位置信号値をセンサ特性値としてホール素子のメモリに記録する。各レンジ間においては、ホール素子3は、隣接する電気的シフト位置信号値どうしを結ぶシフト側仮想直線および隣接する電気的セレクト位置信号値どうしを結ぶセレクト側仮想直線を用いてセンサ特性値として、ホール素子3の位置に対応した電気的シフト位置信号値および電気的セレクト位置信号値を補完出力する。これにより、種々のばらつきが生じていても、チェンジレバーの位置を精度よく検出可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機の変速制御を行うために操作されるチェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出装置、これを備えたチェンジレバーユニット、およびチェンジレバーの位置検出方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の変速機においては、チェンジレバーユニットのチェンジレバーがセレクト方向およびこのセレクト方向と直交するシフト方向に操作されることにより、変速機のレンジが設定されるとともに、設定されたレンジで変速機が変速制御される。このため、チェンジレバーユニットには、レンジが設定されたときのチェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出装置が設けられている。
【0003】
従来のチェンジレバーの位置検出装置として、4つのホールICをチェンジレバーに設けられたマグネットに対向して配置し、チェンジレバーの操作でマグネットが移動することにより4つのホールICがそれぞれ出力する出力信号の組合わせを用いて、チェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−138235号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のチェンジレバーの位置検出装置では、4つのホールICと1つのマグネットが必要になる。このため、必然的に4つのホールICのレイアウトが制限され、また、配線が複雑になるとともに、4つのホールICと1つのマグネットを用いるためコストの低減が阻害されることが考えられる。そこで、これらの問題を解決するために、4つのホールICに代えて3DホールICを採用することが考えれる。
【0006】
しかしながら、4つのホールICを3DホールICを単に置き換えるだけでは、チェンジレバーの位置検出装置の組立後つまりチェンジレバーユニットの組立後に、組立精度のばらつきや、ホールICとマグネットの公差等によるホールICにおけるマグネットの磁気のばらつきが生じる。このため、3DホールICは電気的シフト位置信号を正確に発生しなくなり、チェンジレバーの位置を精度よく検出することは難しいという問題が考えられる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、より簡単な配線でチェンジレバーの位置を精度よく検出することができる安価なチェンジレバーの位置検出装置、これを備えたチェンジレバーユニット、およびチェンジレバーの位置検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明に係るチェンジレバーの位置検出装置は、セレクト方向およびシフト方向にそれぞれ設定された複数のレンジの1つのレンジに選択的に設定されるチェンジレバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの磁気を検出して、
前記チェンジレバーの前記セレクト位置に対応する電気的セレクト位置信号および前記チェンジレバーの前記シフト位置に対応する電気的シフト位置信号をともに出力するとともにメモリを有するホール素子とを備え、前記ホール素子が、前記セレクト方向の複数のレンジのうち、任意の第1の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記マグネットのセレクト側の磁気を検出して出力する電気的セレクト位置信号値をセレクト側のセンサ特性値として前記メモリに記録するとともに、前記シフト方向の複数のレンジのうち、任意の第2の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記マグネットのシフト側の磁気を検出して出力する電気的シフト位置信号値をシフト側のセンサ特性値として前記メモリに記録し、記録された前記電気的セレクト位置信号値および前記電気的シフト位置信号値に基づいて、前記セレクト方向のレンジ間および前記第1の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的セレクト位置信号値を補完して出力するとともに、前記シフト方向のレンジ間および前記第2の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的シフト位置信号値を補完して出力することを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るチェンジレバーの位置検出装置は、前記ホール素子が、隣接する前記電気的セレクト位置信号値どうしを結んだセレクト側仮想直線および前記セレクト側仮想直線のセレクト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記セレクト方向のレンジ間および前記第1の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的セレクト位置信号値を補完して出力するとともに、隣接する前記電気的シフト位置信号値どうしを結んだシフト側仮想直線および前記シフト側仮想直線のシフト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記シフト方向のレンジ間および前記第2の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的シフト位置信号値を補完して出力することを特徴としている。
【0010】
一方、本発明に係るチェンジレバーユニットは、互いに直交して設けられたシフト回動軸およびセレクト回動軸と、前記シフト回動軸および前記セレクト回動軸のいずれか一方が回動可能に設けられたユニット本体と、前記シフト回動軸および前記セレクト回動軸のいずれか他方に取り付けられたチェンジレバーと、前記チェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出装置とを少なくとも備え、前記チェンジレバーの位置検出装置は請求項1または2に記載のチェンジレバーの位置検出装置であることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係るチェンジレバーの位置検出方法は、セレクト方向およびシフト方向にそれぞれ設定された複数のレンジの1つのレンジに選択的に設定されるチェンジレバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの磁気により、前記チェンジレバーが設定された前記セレクト方向のレンジに応じた電気的セレクト位置信号および前記チェンジレバーが設定された前記シフト方向のレンジに応じた電気的シフト位置信号を出力するホール素子とにより、前記チェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出方法であって、前記セレクト方向の複数のレンジのうち、任意の第1の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記ホール素子が出力する電気的セレクト位置信号値をセレクト側のセンサ特性値として前記ホール素子のメモリに記録し、前記シフト方向の複数のレンジのうち、任意の第2の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記ホール素子が出力する電気的シフト位置信号値をシフト側のセンサ特性値として前記ホール素子の前記メモリに記録し、隣接する前記電気的セレクト位置信号値どうしを結んだセレクト側仮想直線および前記セレクト側仮想直線のセレクト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記セレクト方向のレンジ間および前記第1の所定数のレンジ以外のレンジでの電気的セレクト位置信号値を補完して出力し、隣接する前記電気的シフト位置信号値どうしを結んだシフト側仮想直線および前記シフト側仮想直線のシフト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記シフト方向のレンジ間および前記第2の所定数のレンジ以外のレンジでの電気的シフト位置信号値を補完して出力することにより、前記チェンジレバーの位置を検出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された本発明に係るチェンジレバーの位置検出装置、チェンジレバーユニット、およびチェンジレバーの位置検出方法によれば、ホール素子のセンサ特性を、チェンジレバーユニットの組立後に、チェンジレバーのセレクト方向の第1の所定数のレンジにおけるホール素子が出力する各電気的セレクト位置信号値およびチェンジレバーのシフト方向の第2の所定数のレンジにおけるホール素子が出力する各電気的シフト位置信号値をメモリに記録してメモリ内のデータを補正するとともに、これらの補正された電気的セレクト位置信号値および電気的シフト位置信号値に基づいて、チェンジレバーの他のレンジ(セレクト方向の第1の所定数のレンジおよびシフト方向の第2の所定数のレンジ以外)およびチェンジレバーの各レンジ間におけるホール素子が出力する電気的シフト位置信号値および電気的セレクト位置信号値を補完したセンサ特性にしている。これにより、チェンジレバーユニット毎に所望のセンサ特性を個別に得ることが可能となる。
【0013】
また、このように個別にセンサ特性が得られることから、チェンジレバー等の個々の部品が有するばらつきやチェンジレバーユニットの組立時に発生する位置関係のずれなどによるばらつきで発生するセンサの性能不良を低減させることが可能となる。これにより、チェンジレバーの位置検出装置の歩留まり(つまり、不良率の低減)が向上する。
【0014】
更に、このようなばらつきが生じても、ホール素子のセンサ特性を容易にかつ高精度に調整することが可能となる。これにより、ホール素子のセンサ特性の調整時間の短縮化を図ることができるとともに、位置検出精度の向上を効果的に図ることができる。しかも、ホール素子に3Dホール素子を用いることが可能となり、ホール素子のレイアウトの自由度が向上し、また、配線が簡単になるとともに、コストの低減を図ることが可能となる。
【0015】
更に、マグネットとホール素子との位置関係にかかわらず,容易にホール素子のセンサ特性を所望の特性に容易に変更することが可能となる。これにより、製品の仕様変更が生じても、その仕様変更に対応して学習するパラメータを変更することで、この製品の仕様変更に柔軟に対応することが可能となる。したがって、変速機4の制御プログラムの変更を最小限に押さえることができる。
【0016】
更に、補正された電気的セレクト位置信号値および電気的シフト位置信号値に基づいた近似の仮想直線およびそれらの延長線を用いることにより、検出した磁気に対応して電気的位置信号を出力するホール素子のセンサ特性をより一層簡単に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るチェンジレバーの位置検出装置の実施の形態の一例を備える変速機の変速制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るチェンジレバーユニットの実施の形態の一例を示す、シフト回動軸の中心を通る縦断面図である。
【図3】図2に示す例のチェンジレバーユニットにおけるセレクト回動軸の中心を通る縦断面図である。
【図4】(a)はチェンジレバーの操作を説明する図、(b)はチェンジレバーユニットのシフトパターンを示す図である。
【図5】磁気に対応する電気的信号を出力するセンサ特性の補正および補正されたセンサ特性に基づく磁気に対応する電気的信号の補完出力を説明する図である。
【図6】図5に示す補正および補完の各処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明に係るチェンジレバーの位置検出装置の実施の形態の一例を備える変速機の変速制御装置を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、変速機の変速制御装置1は、マグネット2と、ホール素子3と、変速機4の電子制御部(TCU:Transmission Control Unit)5とを備える。また、ホー
ル素子3はメモリ6を有するとともに、TCU5は、レンジ位置信号入力部7および変速制御信号出力部8を有する。そして、マグネット2およびホール素子3により、チェンジレバーの位置検出装置9が構成される。なお、この例の変速制御装置1では、レンジ位置信号入力部7がTCU5に配置されているが、本発明は、レンジ位置信号入力部7がチェンジレバーの位置検出装置9内に配置することもできる。
【0020】
チェンジレバーおよびその位置検出装置9は変速機のチェンジレバーユニット(CLU:Change Lever Unit)に設けられる。図2はチェンジレバーユニットの一例を示し、シ
フト回動軸の中心を通る縦断面図、図3はこの例のチェンジレバーユニットのセレクト回動軸の中心を通る縦断面図である。
図2および図3に示すように、この例のCLU10は、ユニット本体11と、このユニット本体11の上端開口を閉塞するようにユニット本体11の上端に着脱可能に取り付けられるケース12とを備えている。
【0021】
ユニット本体11内にはシフト回動軸13がその中心軸線まわりに回動可能に設けられている。また、このシフト回動軸13には、セレクト回動軸14がシフト回動軸13を直交するように貫通して設けられている。更に、このセレクト回動軸14に、チェンジレバー15の一端部が回動可能に取り付けられている。したがって、チェンジレバー15はシフト回動軸13を中心に回動可能となっているとともに、セレクト回動軸14を中心に回動可能となっている。
【0022】
ケース12の上端部には、この例のCLU10のシフトパターンに対応して形成されかつチェンジレバー15が貫通するシフトパターン孔16が設けられている。このシフトパターン孔16は、チェンジレバー15が操作されるときこのチェンジレバー15が通過する通路となっている。図4(a)および(b)に示すように、この例のシフトパターン17は、所定間隔を置いて互いに平行に配置された2つの第1のシフト列Si1および第2のシフト列Si2と、1つのセレクト列Seとを有する。その場合、第1および第2のシフト列Si1,Si2とセレクト列Seとは互いに直交している。
【0023】
第1のシフト列Si1には、パーキング(P)、ニュートラル(N)およびリバース(R)の3つのレンジがこれらの順に一列に配置されている。また、第2のシフト列Si2には、シフトアップ(UP)、ドライブ(D)、およびシフトダウン(DOWN)の3つのレンジがこれらの順に一列に配置されている。更に、セレクト列Seには、ニュートラル(N)、ドライブ(D)およびドライブ保持(A/M)の3つのレンジがこれらの順に一列に配置されている。なお、第1のシフト列Si1のNレンジはセレクト列SeのNレンジと同じであり、また第2のシフト列Si2のDレンジはセレクト列SeのDレンジと同じである。そして、シフトパターン孔16は、これらの第1および第2のシフト列Si1,Si2とセレクト列Seとに対応した形状に形成されている。
【0024】
図2および図3に示すように、シフト回動軸13には、パーキングレバー18がチェンジレバー15の隣りに配設されている。このパーキングレバー18は、チェンジレバー15が第1のシフト列Si1内で操作されるときチェンジレバー15の移動に連動して回動するようになっている。図示しないが、パーキングレバー18はパーキングケーブルを介して自動変速機等の変速機(TM)を機械的にロックする変速機ロック手段に連結されて
いる。そして、チェンジレバー15がPレンジに設定されたとき、パーキングレバー18が連動して回動することでパーキングケーブルを介して変速機ロック手段が作動し、変速機が機械的にロックされる。
【0025】
また、パーキングレバー18は、チェンジレバー15が第1のシフト列Si1のNレンジにから第2のシフト列Si2のDレンジの方へ移動したときチェンジレバー15から分離されるようになっている。したがって、チェンジレバー15は第1のシフト列Si1以外で操作されるときチェンジレバー15の移動に連動しない。更に、パーキングレバー18がチェンジレバー15から分離したとき、パーキングレバー18はパーキングレバーロック手段19によって分離した位置に保持されるようにロックされる。パーキングレバーロック手段19によるパーキングレバー18のロックは、パーキングレバーロック手段19にソレノイド19aによって作動されるロック部材19bがパーキングレバー18のロック孔に進入してパーキングレバー18に回動方向に係合することで行われる(図2にロック部材19bによるパーキングレバー18のロック状態を二点鎖線で示す)。
【0026】
図2に示すように、チェンジレバー位置検出装置9のマグネット2は、チェンジレバー15の下端(チェンジレバー15のユニット本体11側の端)に設けられている。また、チェンジレバー位置検出装置9のホール素子3はユニット本体11に、マグネット2が対向可能に設けられている。その場合、ホール素子3は、その中心がセレクト回動軸14の中心を通りかつシフト回動軸13と直交する直線上に位置するように設けられている。そして、チェンジレバー15がシフト回動軸13と直交する位置のとき、マグネット2の中心がホール素子3の中心に対向するようになっている。したがって、CLU10はこの例のチェンジレバー位置検出装置9を備えている。このホール素子3は、チェンジレバー15の位置に応じて変化するマグネット2の磁気を検出し、検出した磁気に対応して電気的セレクト位置信号および電気的シフト位置信号を出力する。これらの電気的セレクト位置信号および電気的シフト位置信号としては、電圧信号、PWM信号、あるいはシリアル通信信号等が用いられる。
【0027】
この例のホール素子3は3DホールICであり、チェンジレバー15のセレクト方向の位置に応じた電気的セレクト位置信号およびチェンジレバー15のシフト方向の位置に応じた電気的シフト位置信号をそれぞれ出力する。そして、これらの電気的セレクト位置信号および電気的シフト位置信号はホール素子3のメモリ6に記録可能となっている。
【0028】
この例のチェンジレバーの位置検出装置9においては、組付け前のホール素子3単体においてメモリ6に記録されている各電気的セレクト位置信号値および各電気的シフト位置信号値は、チェンジレバーの位置検出装置9の組立後つまりCLU10の組立後に次のようにセンサ特性値として補正される。図5は磁気に対応する電気的信号を出力するセンサ特性の補正および補正されたセンサ特性に基づく磁気に対応する電気的信号の補完出力を説明する図、図6はこれらの補正および補完の各処理のフローを示す図である。
【0029】
図5に示すように、CLU10の組立後にまずチェンジレバー15のセレクト方向の任意の3つ(本発明の第1の所定数に相当)の各レンジで、ホール素子3がマグネット2の磁気を検出して電気的セレクト位置信号値を出力する。また、チェンジレバー15のシフト方向の任意の3つ(本発明の第2の所定数に相当)の各レンジで、ホール素子3がマグネット2の磁気を検出して電気的シフト位置信号値を出力する。
【0030】
すなわち、例えば図5に示す例では、セレクト方向において、Dレンジ、A/Mレンジ
、およびNレンジの3つのレンジにおいて、ホール素子3がそれぞれマグネット2の磁気A、B、Cを検出し、検出した磁気A、B、Cに対応して電気的セレクト位置信号値a、b、cを出力する。これらの3つの電気的セレクト位置信号値a、b、cはセンサ特性値
としてホール素子3のメモリ6に記録される。
【0031】
また、シフト方向において、Dレンジ、DOWNレンジ、およびUPレンジの3つのレンジにおいて、ホール素子3がそれぞれマグネット2の磁気D、E、Fを検出し、検出した磁気D、E、Fに対応して電気的シフト位置信号値d、e、fを出力する。これらの3つの電気的シフト位置信号値d、e、fはセンサ特性値としてホール素子3のメモリ6に記録される。
このようにして、ホール素子3が組み付けられる前の単体でメモリ6に記憶されているデータが新たに記憶された電気的セレクト位置信号値a、b、cおよび電気的シフト位置信号値d、e、fに補正される。
【0032】
そして、セレクト方向の3つのDレンジ、A/Mレンジ、およびNレンジ間のチェンジ
レバー15の位置においては、この例のホール素子3は次のようにして電気的セレクト位置信号値をセンサ特性値として補完出力する。この補完出力にあたっては、まず、ホール素子3のメモリ6内の演算子(不図示)が、隣接する電気的セレクト位置信号値a,bを
第1のセレクト側仮想直線β1で結ぶとともに、隣接する電気的セレクト位置信号値a,cを第2のセレクト側仮想直線β2で結ぶ。このとき、第1のセレクト側仮想直線β1の傾きは第2のセレクト側仮想直線β2の傾きより大きい。このようにして、磁気に対応して電
気的信号を出力するホール素子3のセレクト側のセンサ特性が第1および第2のセレクト側仮想直線β12によるセンサ特性に補正される。そして、チェンジレバー15がセレ
クト方向の各レンジ間に位置するときにホール素子3がマグネット2の磁気を検出して出力する電気的セレクト位置信号値は、これらの第1および第2のセレクト側仮想直線β12によるセンサ特性を用いてセンサ特性値として補完されて出力される。
【0033】
前述のようにセレクト方向では傾きの異なる2つの第1および第2の仮想直線β12
が用いられるが、その理由は、一般に3DホールIC形のホール素子3では、出力される電気的位置信号値は、各レンジ間が等しいがほぼ等しい場合には、リニアまたはほぼリニアに変化する。しかし、この例のセレクト方向のDレンジとA/Mレンジとの間の距離が
DレンジとNレンジとの間の距離に比べてきわめて短いことから、3つの電気的位置信号値a、b、cが1つの仮想直線上に位置するようにすると、ホール素子3の良好な分解能が得られなくなる。そこで、この例では傾きの異なる2つの仮想直線が用いられる。なお、ホール素子3の良好な分解能が得られるようにDレンジとA/Mレンジとの間の距離が
設定される場合には、1つの仮想直線を用いることもできる。
【0034】
また、シフト方向の3つのDレンジ、DOWNレンジ、およびUPレンジの各レンジ間のチェンジレバー15の位置、シフト方向の他の3つのPレンジ、Nレンジ、Rレンジの各レンジ間のチェンジレバー15の位置、および他の3つのPレンジ、Nレンジ、Rレンジのチェンジレバー15の位置においても、ホール素子3は次のようにして電気的セレクト位置信号値をセンサ特性値として補完出力する。まず、ホール素子3のメモリ6内の演算子(不図示)が、隣接する電気的セレクト位置信号値d,eを第1のシフト側仮想直線
で結ぶとともに、隣接する電気的セレクト位置信号値d,fを第2のシフト側仮想直線で
結ぶ。このとき、DレンジとDOWNレンジとの間の距離およびDレンジとUPレンジとの間の距離が互いに等しくされているかほぼ等しくされているため、第1および第2のシフト側仮想直線の傾きが同じであるため、これらの第1および第2のシフト側仮想直線は1つのシフト側仮想直線αで形成される。その場合、チェンジレバー15のPレンジおよびRレンジで出力される電気的シフト位置信号の領域に直線αが存在しないので、この領域では直線αの延長線α′が形成される。このようにして、磁気に対応して電気的信号を出力するホール素子3のシフト側のセンサ特性がシフト側仮想直線αおよびその延長線α′によるセンサ特性に補正される。そして、チェンジレバー15がシフト方向の各レンジ間または他の3つのPレンジ、Nレンジ、Rレンジに位置するときにホール素子3がマグ
ネット2の磁気を検出して出力する電気的セレクト位置信号値は、これらのシフト側仮想直線αおよびその延長線α′によるセンサ特性を用いてセンサ特性値として補完されて出力される。
【0035】
このようにして、CLU10の組立後に、セレクト方向の所定数のレンジおよびシフト方向の所定数のレンジにおいてホール素子3が出力する電気的セレクト位置信号値および電気的シフト位置信号値をセンサ特性として記録してメモリ6内のデータが補正される。そして、ホール素子3は、補正された電気的セレクト位置信号値および補正された電気的シフト位置信号値に基づくセンサ特性を用いて学習し、他の電気的セレクト位置信号値および他の電気的シフト位置信号値をセンサ特性値として補完出力する。
【0036】
次に、この例のチェンジレバー位置検出方法での学習によるチェンジレバー15の各レンジにおけるホール素子3の電気的セレクト位置信号値および電気的シフト位置信号値の補完出力方法について説明する。
【0037】
CLU10の組立後、図6に示すようにステップS1でチェンジレバー15がDレンジに設定される。すると、ホール素子3はDレンジでのマグネット2のセレクト側の磁気Aおよびシフト側の磁気Dを検出して電気的セレクト位置信号値aおよび電気的シフト位置信号値dを出力する。そして、これらの電気的セレクト位置信号値aおよび電気的シフト位置信号値dがセンサ特性値としてホール素子3のメモリ6に記録されて、メモリ6内に記録されているデータが補正される。
【0038】
次に、ステップS2でチェンジレバー15がA/Mレンジに設定される。すると、ホール素子3はA/Mレンジでのマグネット2のセレクト側の磁気Bを検出して電気的セレクト位置信号値bを出力する。そして、この電気的セレクト位置信号値bがホール素子3のメモリ6にセンサ特性値として記録されて、メモリ6内に記録されているA/Mレンジでのデータが補正される。
【0039】
次に、ステップS3でチェンジレバー15がNレンジに設定される。すると、ホール素子3はNレンジでのマグネット2のセレクト側の磁気Cを検出して電気的セレクト位置信号値cを出力する。そして、この電気的セレクト位置信号値cがホール素子3のメモリ6にセンサ特性値として記録されて、メモリ6内に記録されているNレンジでのデータが補正される。
【0040】
次に、ステップS4でチェンジレバー15がDOWNレンジに設定される。すると、ホール素子3はDOWNレンジでのマグネット2のシフト側の磁気Eを検出して電気的シフト位置信号値eを出力する。そして、この電気的シフト位置信号値eがホール素子3のメモリ6にセンサ特性値として記録されて、メモリ6内に記録されているDOWNレンジでのデータが補正される。
【0041】
次に、ステップS5でチェンジレバー15がUPレンジに設定される。すると、ホール素子3はUPレンジでのマグネット2のシフト側の磁気Fを検出して電気的シフト位置信号値fを出力する。そして、この電気的シフト位置信号値fがホール素子3のメモリ6にセンサ特性値として記録されて、メモリ6内に記録されているUPレンジでのデータが補正される。
【0042】
次に、ステップS6で、補正された電気的セレクト位置信号値のうち、隣接する電気的セレクト位置信号値a,bが第1のセレクト側仮想直線β1で結ばれるとともに、隣接する電気的セレクト位置信号値a,cが第2のセレクト側仮想直線β2で結ばれる。そして、チェンジレバー15がセレクト方向の各レンジ間に位置するときにホール素子3がマグネッ
ト2の磁気を検出して出力する電気的セレクト位置信号値は、これらの第1および第2のセレクト側仮想直線β12のいずれか一方を用いて補完されてセンサ特性値として出力
される。また、補正された電気的シフト位置信号値のうち、隣接する電気的シフト位置信号値d,eが第1のシフト側仮想直線で結ばれるとともに、隣接する電気的セレクト位置
信号値d,fが第2のシフト側仮想直線で結ばれる。このとき、DレンジとDOWNレン
ジとの間の距離およびDレンジとUPレンジとの間の距離が互いに等しくされているかほぼ等しくされているため、第1および第2のシフト側仮想直線は同じ傾きで1つのシフト側仮想直線αで形成される。そして、チェンジレバー15が各レンジ間あるいは、Dレンジ、DOWNレンジ、およびUPレンジ以外のシフト方向のレンジであるPレンジおよびRレンジに位置するときにホール素子3がマグネット2の磁気を検出して出力する電気的シフト位置信号値は、シフト側仮想直線αあるいはこのシフト側仮想直線αの延長線α′を用いて補完されてセンサ特性値として出力される。なお、図6に示すフローのステップS1ないしS5の各処理の手順は順不同であり、任意の順序に設定できる。
【0043】
次に、この例のCLU1の作動について説明する。
車両の停止時には、一般にチェンジレバー15はPレンジに設定されている。したがって、チェンジレバー位置検出装置9のホール素子3のメモリ6からPレンジに対応した電気的セレクト位置信号および電気的シフト位置信号がTCU5のレンジ位置信号入力部7に入力される。TCU5は入力されたホール素子3の電気的セレクト位置信号および電気的シフト位置信号に基づいて変速制御信号出力部8から、Pレンジに対応した制御信号を変速機4に出力する。これにより、変速機4の変速シフトがPレンジに設定される。なお、この状態では、チェンジレバー15とパーキングレバー18は回転方向に係合しており、パーキングレバー18はチェンジレバー15のPレンジに対応した位置に回動している。したがって、このパーキングレバー18の回動により、変速機4が機械的にロックされている。
【0044】
この状態で、車両を運転するために、チェンジレバー15がPレンジから他のレンジに操作される。このとき、ブレーキペダルが踏み込まれてチェンジレバーロック手段によるチェンジレバー15のロックが解除され、チェンジレバー15がPレンジから移動可能となる。同時に、パーキングレバーロック手段19のソレノイド19aが励磁されてロック部材19bが非ロック位置となる。チェンジレバー15が第1のシフト列Si1のNレンジまで回動操作されると、パーキングレバー18もチェンジレバー15と一体的に回動し、変速機の機械的ロックが解除される。チェンジレバー15がNレンジになると、パーキングレバー18のロック孔がロック部材19bに対向する位置となる。
【0045】
車両を発進させるために、チェンジレバー15がNレンジからセレクト方向にDレンジの方へ操作されると、ソレノイド19aが非励磁となってロック部材19bがパーキングレバー18のロック孔に進入した図2に二点鎖線で示すロック位置となる。これにより、パーキングレバー18の回動がロックされ、パーキングレバー18はその回動位置に保持される。また、チェンジレバー15とパーキングレバー18は分離して互いに回転的に自由となる。そして、チェンジレバー15が、例えばDレンジを保持するA/Mレンジに設定される。すると、チェンジレバー位置検出装置9のホール素子3がA/Mレンジでのセ
レクト側の磁気に対応して電気的セレクト位置信号値bを出力するとともに、A/Mレン
ジでのシフト側の磁気に対応して電気的シフト位置信号値d(Dレンジでの電気的シフト位置信号値dと同じ)を出力する。これらの電気的セレクト位置信号および電気的シフト位置信号は、A/Mレンジに対応するレンジ位置信号としてTCU5のレンジ位置信号入
力部7に入力される。TCU5は入力されたホール素子3のレンジ位置信号に基づいて変速制御信号出力部8から、A/Mレンジに対応した制御信号を変速機4に出力する。これにより、変速機4の変速シフトがA/Mレンジに設定され、車両が発進可能となる。
【0046】
車両を停止して降車するために、チェンジレバー15がDレンジからセレクト方向にNレンジの方へ操作されると、チェンジレバー15とパーキングレバー18は回転方向に係合される。また、ソレノイド19aが励磁されてロック部材19bが非ロック位置となる。これにより、パーキングレバー18が回動可能となる。チェンジレバー15がNレンジになり更に第1のシフト列Si1に沿って回動してPレンジに設定されると、パーキングレバー18もチェンジレバー15と一体的に回動する。このパーキングレバー18の回動により、変速機ロック手段が作動して変速機4が機械的にロックされる。
【0047】
この例のチェンジレバー15の位置検出装置9、これを備えたCLU10、およびチェンジレバー15の位置検出方法によれば、ホール素子のセンサ特性を、CLU10の組立後に、チェンジレバー15のセレクト方向の3つのレンジにおけるホール素子3が出力する各電気的セレクト位置信号値およびチェンジレバー15のシフト方向の3つのレンジにおけるホール素子3が出力する各電気的シフト位置信号値をメモリ6に記録してメモリ6内のデータを補正するとともに、これらの補正された電気的セレクト位置信号値および電気的シフト位置信号値に基づいた近似の仮想直線α,α′,β12によりチェンジレバー
15の他のレンジ(セレクト方向の3つのレンジおよびシフト方向の3つのレンジ以外)およびチェンジレバー15の各レンジ間におけるホール素子3が出力する電気的シフト位置信号値および電気的セレクト位置信号値を補完したセンサ特性にしている。これにより、CLU10毎に所望のセンサ特性を個別に得ることが可能となる。
【0048】
また、このように個別にセンサ特性が得られることから、チェンジレバー15等の個々の部品が有するばらつきやCLU10の組立時に発生する位置関係のずれなどによるばらつきで発生するセンサの性能不良を低減させることが可能となる。これにより、チェンジレバー15の位置検出装置9の歩留まり(つまり、不良率の低減)が向上する。
【0049】
更に、このようなばらつきが生じても、ホール素子3のセンサ特性を容易にかつ高精度に調整することが可能となる。これにより、ホール素子3のセンサ特性の調整時間の短縮化を図ることができるとともに、位置検出精度の向上を効果的に図ることができる。しかも、ホール素子3に3Dホール素子を用いることが可能となり、ホール素子3のレイアウトの自由度が向上し、また、配線が簡単になるとともに、コストの低減を図ることが可能となる。
【0050】
更に、マグネット2とホール素子3との位置関係にかかわらず,容易にホール素子3のセンサ特性を所望の特性に容易に変更することが可能となる。これにより、製品の仕様変更が生じても、その仕様変更に対応して学習するパラメータを変更することで、この製品の仕様変更に柔軟に対応することが可能となる。したがって、変速機4の制御プログラムの変更を最小限に押さえることができる。
【0051】
なお、本発明は前述の例に限定されることはなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前述の例では、検出つまり学習するレンジの数がシフト位置およびセレクト位置でそれぞれ3つのレンジに設定しているが、シフト方向およびセレクト方向に前述の例以外の複数のレンジを有するシフトパターンの場合には、検出つまり学習するレンジの数はシフト方向およびセレクト方向ともにそれぞれ2以上の任意の複数のレンジに設定することもできる。その場合、検出つまり学習する複数のレンジは、複数のレンジのすべてにおいて、これらの複数のレンジの内、1つのレンジと他のレンジの少なくとも1つが互いに隣接するように設定することが望ましい。また、これらのレンジの数はシフト位置とセレクト位置とで異ならせることもできる。要は、特許請求の範囲に記載された技術事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るチェンジレバーの位置検出装置、これを備えたチェンジレバーユニット、およびチェンジレバーの位置検出方法は、車両の変速機の変速制御を行うために操作されるチェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出装置、これを備えたチェンジレバーユニット、およびチェンジレバーの位置検出方法の技術分野に関するものである。
【符号の説明】
【0053】
1…変速制御装置、2…マグネット、3…ホール素子、4…変速機、5…電子制御部(TCU)、6…メモリ、7…レンジ位置信号入力部、8…変速制御信号出力部、9…チェンジレバーの位置検出装置、10…チェンジレバーユニット(CLU)、11…ユニット本体、12…ケース、13…シフト回動軸、14…セレクト回動軸、15…チェンジレバー、16…シフトパターン孔、17…シフトパターン、Si1…第1のシフト列、Si2…第2のシフト列、Se…セレクト列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セレクト方向およびシフト方向にそれぞれ設定された複数のレンジの1つのレンジに選択的に設定されるチェンジレバーに設けられたマグネットと、
前記マグネットの磁気を検出して、前記チェンジレバーの前記セレクト位置に対応する電気的セレクト位置信号および前記チェンジレバーの前記シフト位置に対応する電気的シフト位置信号をともに出力するとともにメモリを有するホール素子とを備え、
前記ホール素子は、前記セレクト方向の複数のレンジのうち、任意の第1の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記マグネットのセレクト側の磁気を検出して出力する電気的セレクト位置信号値をセレクト側のセンサ特性値として前記メモリに記録するとともに、前記シフト方向の複数のレンジのうち、任意の第2の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記マグネットのシフト側の磁気を検出して出力する電気的シフト位置信号値をシフト側のセンサ特性値として前記メモリに記録し、記録された前記電気的セレクト位置信号値および前記電気的シフト位置信号値に基づいて、前記セレクト方向のレンジ間および前記第1の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的セレクト位置信号値を補完して出力するとともに、前記シフト方向のレンジ間および前記第2の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的シフト位置信号値を補完して出力することを特徴とするチェンジレバーの位置検出装置。
【請求項2】
前記ホール素子は、隣接する前記電気的セレクト位置信号値どうしを結んだセレクト側仮想直線および前記セレクト側仮想直線のセレクト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記セレクト方向のレンジ間および前記第1の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的セレクト位置信号値を補完して出力するとともに、隣接する前記電気的シフト位置信号値どうしを結んだシフト側仮想直線および前記シフト側仮想直線のシフト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記シフト方向のレンジ間および前記第2の所定数のレンジ以外のレンジで出力する電気的シフト位置信号値を補完して出力することを特徴とする請求項1に記載のチェンジレバーの位置検出装置。
【請求項3】
互いに直交して設けられたシフト回動軸およびセレクト回動軸と、
前記シフト回動軸および前記セレクト回動軸のいずれか一方が回動可能に設けられたユニット本体と、
前記シフト回動軸および前記セレクト回動軸のいずれか他方に取り付けられたチェンジレバーと、
前記チェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出装置とを少なくとも備え、
前記チェンジレバーの位置検出装置は請求項1または2に記載のチェンジレバーの位置検出装置であることを特徴とするチェンジレバーユニット。
【請求項4】
セレクト方向およびシフト方向にそれぞれ設定された複数のレンジの1つのレンジに選択的に設定されるチェンジレバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの磁気により、前記チェンジレバーが設定された前記セレクト方向のレンジに応じた電気的セレクト位置信号および前記チェンジレバーが設定された前記シフト方向のレンジに応じた電気的シフト位置信号を出力するホール素子とにより、前記チェンジレバーの位置を検出するチェンジレバーの位置検出方法であって、
前記セレクト方向の複数のレンジのうち、任意の第1の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記ホール素子が出力する電気的セレクト位置信号値をセレクト側のセンサ特性値として前記ホール素子のメモリに記録し、
前記シフト方向の複数のレンジのうち、任意の第2の所定数のレンジに前記チェンジレバーが設定されたときの前記ホール素子が出力する電気的シフト位置信号値をシフト側のセンサ特性値として前記ホール素子の前記メモリに記録し、
隣接する前記電気的セレクト位置信号値どうしを結んだセレクト側仮想直線および前記セレクト側仮想直線のセレクト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記セレクト方向のレンジ間および前記第1の所定数のレンジ以外のレンジでの電気的セレクト位置信号値を補完して出力し、
隣接する前記電気的シフト位置信号値どうしを結んだシフト側仮想直線および前記シフト側仮想直線のシフト側仮想延長線の少なくとも1つを用いて、前記シフト方向のレンジ間および前記第2の所定数のレンジ以外のレンジでの電気的シフト位置信号値を補完して出力することにより、
前記チェンジレバーの位置を検出することを特徴とするチェンジレバーの位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−86658(P2012−86658A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234608(P2010−234608)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】