説明

チェーンゲート

【課題】停電時にチェーン類を下限位置まで確実に降下させることができる、ボールねじを利用してチェーン類の昇降動作を行うチェーンゲートを提供する。
【解決手段】門柱2内にボールねじ5を立設し、ボールねじ軸6の上下端部を軸受21,22により支持するとともに該上端部に駆動装置31を連結し、ボールねじ軸6の回転により昇降するボールねじナット7とともに昇降する連結具3にチェーン類を連結し、駆動装置31によりボールねじ軸6を回転させることにより、チェーン類を昇降させて車両の通行を制限するチェーンゲート1であって、停電時にボールねじナット7が下限位置に移動するように、ボールねじ軸6の下端部を渦巻ばねにより付勢する弾性付勢装置10を備えた。停電時にボールねじナット7が下限位置まで移動し、チェーン類が下限位置まで確実に降下するため、車両等の通行を妨げることが無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動を直線運動に変換するボールねじを利用してチェーン類の昇降動作を行うチェーンゲートの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不特定車両の通過を制限する必要のある車両出入口、例えば住宅団地内若しくはマンション等の専用駐車場出入口、又は、重要施設等の構内への出入口等に設けられる、従来のチェーンゲートの構成として、門柱内の上部に配設された電動モータの下方に突出する駆動軸に、上下方向に延び、その上下端部を軸受により支持されたボールねじのねじ軸の上端を連結し、該ボールねじのナットを、上下方向に延びるガイドシャフトにより支持されたスライドブロックに固定し、該スライドブロックの端面に、シャーフックを介してチェーン又はロープ等のチェーン類を連結し、前記電動モータを駆動して前記ねじ軸を回転させることにより前記ナットとともに前記チェーン類を昇降させるもの(例えば、特許文献1参照。)がある。
【0003】
【特許文献1】実開平3−32613号公報(第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような回転運動を直線運動に変換するボールねじを利用してチェーン類の昇降動作を行うチェーンゲートは、その構成を比較的簡素にすることができるという特徴がある。しかし、電動モータの小型軽量化及びチェーン類の昇降速度の適正化等の目的で、電動モータとねじ軸との間には減速機が用いられるとともにボールねじのリードが比較的小さいものが用いられること等から、停電時にチェーン類が車両等を通行させることが可能な下限位置まで降下しないため、該チェーン類が通行の妨げになるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、停電時等の非通電時にチェーン類を下限位置まで確実に降下させることができる、ボールねじを利用してチェーン類の昇降動作を行うチェーンゲートを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るチェーンゲートは、前記課題解決のために、所定距離を隔てて対向配置された一対の門柱内にボールねじを立設し、ボールねじ軸の上下端部を軸受により支持するとともに該上端部に駆動装置を連結し、前記ボールねじ軸の回転により昇降するボールねじナットとともに昇降する連結具にチェーン類を連結し、前記駆動装置により前記ボールねじ軸を回転させることにより、前記門柱間で前記チェーン類を昇降させて車両の通行を制限するチェーンゲートであって、停電等の非通電時に前記ボールねじナットが下限位置に移動するように、前記ボールねじ軸若しくは前記ボールねじナット若しくは該ナットとともに昇降する部材を弾性体により付勢する弾性付勢装置、又は、前記ボールねじナット若しくは該ナットとともに昇降する部材に取り付けられた錘を備えたものである。
【0007】
ここで、前記弾性体が垂直軸まわりの渦巻ばねであり、その内側端が固定された巻心となるボビンを前記ボールねじ軸の下端部に連結し、前記渦巻ばねの外側端を収容ケース又は前記下端部まわりの軸受ハウジングに固定して前記弾性付勢装置を構成してなると好ましい。
【0008】
また、上下方向に直動可能に支持されたスライダーに前記連結具を取り付け、前記スライダーを前記ボールねじナットの上下にフランジを設けた移動体に対して連結固定せずに、前記スライダーのフレームを前記上下のフランジ間に遊びを設けて位置させてなると好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るチェーンゲートによれば、前記課題解決のために、所定距離を隔てて対向配置された一対の門柱内にボールねじを立設し、ボールねじ軸の上下端部を軸受により支持するとともに該上端部に駆動装置を連結し、前記ボールねじ軸の回転により昇降するボールねじナットとともに昇降する連結具にチェーン類を連結し、前記駆動装置により前記ボールねじ軸を回転させることにより、前記門柱間で前記チェーン類を昇降させて車両の通行を制限するチェーンゲートであって、停電等の非通電時に前記ボールねじナットが下限位置に移動するように、前記ボールねじ軸若しくは前記ボールねじナット若しくは該ナットとともに昇降する部材を弾性体により付勢する弾性付勢装置、又は、前記ボールねじナット若しくは該ナットとともに昇降する部材に取り付けられた錘を備えたので、回転運動を直線運動に変換するボールねじを利用してなる比較的簡素な構成であるチェーンゲートにおいて、停電等の非通電時に弾性付勢装置の付勢力又は錘の重力によりボールねじナットが下限位置まで移動するため、該ナット及び連結具とともにチェーン類も下限位置まで確実に降下する。よって、停電等の非通電時において、チェーン類が車両等の通行を妨げることが無い。
【0010】
また、前記弾性体が垂直軸まわりの渦巻ばねであり、その内側端が固定された巻心となるボビンを前記ボールねじ軸の下端部に連結し、前記渦巻ばねの外側端を収容ケース又は前記下端部まわりの軸受ハウジングに固定して前記弾性付勢装置を構成してなると、前記効果に加え、狭いスペースに多くのエネルギーを蓄えることができる渦巻ばねを利用し、該渦巻ばねをボールねじ軸の下端部に連結してそのまわりに収容することにより、弾性付勢装置を簡素かつコンパクトに構成することができるとともにコスト低減化を図ることができる。
【0011】
さらに、上下方向に直動可能に支持されたスライダーに前記連結具を取り付け、前記スライダーを前記ボールねじナットの上下にフランジを設けた移動体に対して連結固定せずに、前記スライダーのフレームを前記上下のフランジ間に遊びを設けて位置させてなると、前記効果に加え、スライダーの昇降動作により移動体に水平方向の力が作用しないため、ボールねじの回転運動を直線運動に変換する動作が円滑になる。よって、上記のように弾性付勢装置又は錘によりボールねじナット等を下限位置まで移動させる動作の信頼性を長期間にわたって維持することができる。その上、スライダーの昇降動作により移動体に水平方向の力が作用しないため、スライダー及び該スライダーを上下方向に直動可能に支持するガイドの精度を高くする必要がなく、これら構成部品のコスト低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、所定距離を隔てて対向配置された各門柱において、他方の門柱に向かう方向を前方、その反対方向を後方とし、前方に向かって左右を左右方向とする。
【0013】
図1〜図10は、本発明の実施の形態に係るチェーンゲートの構成を示す説明図であり、図1はチェーンゲート全体の外観を示す斜視図、図2は門柱の外観を示す斜視図、図3は門柱の側カバーを外した状態の一部縦断側面図、図4は門柱の横断平面図、図5は門柱の分解斜視図、図6は移動体の分解斜視図、図7はスライダー及び連結具の分解斜視図、図8は移動体とスライダーとの位置関係を示す斜視図、図9は弾性付勢装置の構成を示す分解斜視図、図10は弾性付勢装置の動作を示す平面図である。なお、図10(a)は渦巻ばねの自由状態(ボールねじナットが下限位置にある状態)を、図10(b)は渦巻ばねの弾性変形状態(ボールねじナットが上限位置にある状態)を示している。
【0014】
図1に示すように、チェーンゲート1は、所定距離を隔てて対向配置された一対の門柱2,2間に、リンクチェーン等のチェーン又はワイヤーロープ等のロープ等により構成されるチェーン類4を架設し、チェーン類4を昇降させて車両の通行を制限するものであり、チェーン類4の昇降動作は、図示しないワイヤレスリモコン等の発信機の信号を受信機により受信した図3に示す制御部30により駆動装置31を駆動することにより行われる。また、照明灯37,37は夜間におけるチェーンゲート1の視認性を高めるためのものであり、警告灯38,38はチェーンの昇降動作時に例えば点滅して該動作を知らせるためのものである。
【0015】
図2〜図5に示すように、門柱2は、図示しないアンカーボルトを通孔16A,…に挿通することにより路面の適宜箇所に設置固定される基板16上に、前後のフレーム11,12及び後フレーム12の後側に連結される背板13、前後のフレーム11,12に掛止される左右の側カバー14,14、並びに、前フレーム11及び背板14の上端部に固定される天板15等からなる外観が略矩形柱状のものである。
【0016】
前フレーム11は、その下部の通孔11C,…を通してボルト25,…を、基板16上面に固定された下部軸受ハウジング18の前面の螺孔20A,…に螺合させることにより、基板16上に固定され、後フレーム12は、その下部の通孔12A,…を通してボルト25,…を、下部軸受ハウジング18の後面の螺孔20A,…に螺合させることにより、基板16上に固定される。また、図3〜図5に示すように、前フレーム11のボールねじ軸6が位置する高さに相当する範囲は、後面を開口してなる平面視略コ字状とされ、後方に延びる側板の後端を左右方向の外方に折り曲げた形状とされるため、強度及び剛性が確保されるとともに、後述するスライダー9をガイドする機能を有している。
【0017】
背板13は、後フレーム12の通孔12B,12B…及び12C,12Cを通してボルト26,26…及び27,27を、螺孔13A,13A…及び13B,13Bに螺合させることにより、後フレーム12と背板13との間に後述する側カバー14を掛止するための隙間が設けられた状態で、後フレーム12に連結される。また、側カバー14,14は、前フレーム11の前面板の後側上下左右に設けられた掛止片11E,…並びに後フレーム12及び背板13との隙間の上下左右のボルト26,…に、掛止爪14,…を掛止することにより容易に掛止される。
【0018】
側カバー14,14の上側には前記照明灯37が載置され、さらにその上側には、天板15が、ボルト28,28を、前フレーム11上端部左右の通孔11D,11D及び天板15の通孔15A,15Aを通して、背板13上端部左右の螺孔13C,13Cに螺合することにより固定される。このようにすることにより、前記のとおり側カバー14,14は前記掛止片14A,…により容易に取り付けることができるが、組立完了後には容易に取り外すことができない。
【0019】
次に、ボールねじ軸6を駆動する駆動装置31及びその制御部30、チェーン類4の端末が連結される連結具3及び連結具3を支持するスライダー9、並びに、スライダー9を昇降させる、ボールねじナット7等からなる移動体8等の構成について説明する。
【0020】
下部軸受ハウジング18内の軸受22によりボールねじ軸6の下端部6Bが支持され、後フレーム12の前側の上下方向中央よりも上側に固定された上部軸受ハウジング17内の軸受21によりボールねじ軸6の上端部6Aが支持され、ボールねじ軸6は垂直軸まわりに回転可能となる。そして、ボールねじ軸6の回転により昇降するボールねじナット7には後述する上下のフランジ41,42(図6参照。)が連結固定され、これらにより移動体8が構成される。該移動体8の上下のフランジ41,42間に遊びをもって挿入される左右のスライダーフレーム45,46(図4参照。)を有し、ローラー50,…が前後に設けられたスライダー9の前側にある上下及び左右のローラー50,50間には、前記チェーン類4の端末が連結される連結具3の後端部が支持され、連結具3の前側部分が前フレーム11のスリット11Aを通って外部に露出する。また、前記警告灯38が前フレーム11の開口11Bから外部に露出する。
【0021】
上部軸受ハウジング17の上面には、モータ32及び減速機33からなる駆動装置31が固定され、その出力軸35がカップリング36によりボールねじ軸6の上端部6Aに連結される。また、モータ32の回転軸には制動装置である励磁作動形のブレーキ34が連結される。そして、これら駆動装置31及び制動装置であるブレーキ34並びに前記照明灯37及び警告灯38は、駆動装置31の上側の位置する制御部30により制御される。
【0022】
図3及び図4に示すように、スライダー9には、その前後にローラー50,…が設けられており、前側上下左右のローラー50,…は前フレーム11の後面の垂直ガイド面11Fにより、後側左右のローラー50,50は、前フレーム11の後面の垂直ガイド面11G及び後フレーム12の前面の垂直ガイド面12Dによりガイドされる。また、図4に示すように、スライダー9の右スライダーフレーム45が前フレーム11の右側後方に延びる側板の内側面及びボールねじナット7間に位置し、スライダー9の左スライダーフレーム46が前フレーム11の左側後方に延びる側板の内側面及びボールねじナット7間に位置するため、スライダー9の左右方向の移動が規制される。このような高価なリニアガイドを用いない簡素な構成により、スライダー9は上下方向に移動可能に支持され、後述するように移動体8(ボールねじナット7)とともに昇降する。
【0023】
次に、移動体8の構成の詳細について説明する。図6に示すように、ボールねじナット7の円筒部を下フランジ42の嵌合孔42Aに内嵌し、下フランジ42上にスペーサーである中空軸43,…を立設し、さらにボールねじナット7の円筒部を上フランジ41の嵌合孔41Aに内嵌し、ボルト44,…を、上側から上フランジ41の通孔41B,…、中空軸43の通孔及び下フランジ42の通孔42B,…を通してボールねじナット7のフランジ部の螺孔7A,…に螺合することにより、上フランジ41及びその下側に離間した下フランジ42を有する移動体8が構成される。このようにして一体化された移動体8の平面視略矩形のフランジ41,42は、図4に示すように、前記平面視略コ字状の前フレーム11の後方に延びる左右の側板間に位置するため、移動体8の垂直軸まわりの回転が規制され、ボールねじ軸6が回転すると移動体8は回転せずに昇降する。
【0024】
次に、スライダー9及び連結具3の構成の詳細について説明する。図7に示すように、右スライダーフレーム45及び左スライダーフレーム46は、その前側部分が上下方向に延び、該前側部分の上下方向の中間部分が後方へ延びる側面視略T字状の板部材であり、右スライダーフレーム45の後端部において右側に突出する軸45Aに外嵌する、例えば深溝玉軸受であるローラー50が座金48A及びボルト48Bにより取り付けられ、左スライダーフレーム46の後端部において左側に突出する軸46Aに外嵌するローラー50が座金48A及びボルト48Bにより取り付けられる。
【0025】
また、右スライダーフレーム45と左スライダーフレーム46との間には、これらスライダーフレーム45,46の前側部分の上下に、スペーサー47,47が、左右の軸47A,47Aにローラー50,50を外嵌した状態で、右スライダーフレーム45の上下の通孔45B,45B及び左スライダーフレーム46の上下の通孔46B,46Bに挿通されるボルト49,…により取り付けられる。
【0026】
連結具3は、一端部に左右方向に突出する軸51Aが設けられ、他端部に通孔51Bが形成された支持片51と、該支持片の他端部に連結されるフック52とからなり、該フック52後端部の通孔52A、前記支持片51の通孔51Bにシャーボルト53を挿通して、フック52後端部の螺孔52Bに螺合することにより、支持片51にフック52が取り付けられる。また、前記支持片51の左右の軸51A,51Aが、スライダーフレーム45,46の前側部分の上下方向中央部の通孔45C,46Cに内嵌され、連結具3は左右方向軸51Aまわりに回動可能にスライダー9により支持される。ここで、連結具3のフック52のチェーン挿通孔52Cにチェーン類4の端部が連結されるが(図1参照。)、該チェーン類4に車両等が当たって過大な張力がチェーン類4に作用した際には、断面積が小さいシャーボルト53に剪断力が作用して該シャーボルト53が破断し、チェーン類4が連結具3から分離するため、門柱2内の機構部品には過大な応力が作用しない構成となっている。
【0027】
図8に示すように、スライダー9は、そのスライダーフレーム45,46の後方へ延びる部分が、移動体8の上フランジ41と下フランジ42との間に位置するように移動体8に組み付けられるので、移動体8とともに昇降する。また、スライダー9は、移動体8に連結固定されずに、スライダーフレーム45,46と上下のフランジ41,42との間に例えば2〜5mm程度の隙間が形成され、すなわち遊びが設けられている。さらに、図4に示すように、スライダー9は前記のとおり移動体8により左右方向の移動が規制されるが、この左右方向にも例えば2〜5mm程度の隙間が形成され、すなわち遊びが設けられている。したがって、スライダー9が前記のとおりガイドされて昇降しても、移動体8には水平方向の力が作用しないため、ボールねじ5の回転運動を直線運動に変換する動作が円滑になる。その上、スライダー9の昇降動作により移動体8に水平方向の力が作用しないため、スライダー9及び該スライダー9を上下方向に直動可能に支持するガイド(本実施の形態では、垂直ガイド面11F、11G及び12D)の精度を高くする必要がなく、これら構成部品(本実施の形態では、前記垂直ガイド面が形成された前フレーム11及び後フレーム12)のコスト低減化を図ることができる。
【0028】
次に、弾性付勢装置10及びそのまわりの構成の詳細について説明する。図9に示すように、基板16上に固定される下部軸受ハウジング18は、水平板部19とその前後から下方に延びる脚部20,20からなり、水平板部19の中央には軸受ケース保持孔19Aが形成されている。該軸受ケース保持孔19Aには、軸受22が内嵌された軸受ケース23の下部が内嵌される。また、ボールねじ軸6の下端部6Bには、樹脂又はゴム等からなる円筒状の緩衝体24が外嵌され、その下側には前記軸受22が外嵌されるため、前記のとおり、ボールねじ軸6の下端部6Bは下部軸受ハウジング18内の軸受22により支持されて垂直軸まわりに回転可能となる。
【0029】
弾性付勢装置10は、停電等の非通電時に(駆動装置31を駆動してボールねじネット7を下限位置まで下降させることができなくなった際に)、ボールねじナット7が下限位置に移動するように、ボールねじ軸6を弾性体により付勢するものであり、図9には、該弾性体が薄い板状の細長い板を垂直軸まわりに渦巻状に巻いた渦巻ばね56である場合を示している。
【0030】
すなわち、渦巻ばね56の内側端40には通孔56B,56Bが形成されており、ボルト59,59を通孔56B,56Bを通してボビン57の螺孔57B,57Bに螺合することにより、渦巻ばね56の内側端40は巻心となるボビン57に固定される。また、渦巻ばね56の外側端39には通孔56Aが形成されており、渦巻ばね56を収容ケース54に収容した状態で、ボルト58Aを収容ケース54の通孔55、渦巻ばね56の通孔56Aを通してナット58Bに螺合することにより、渦巻ばね56の外側端39は収容ケース54に固定される。なお、渦巻ばね56の外側端39は、下部軸受ハウジング18に固定してもよい。
【0031】
収容ケース54を下部軸受ハウジング18の水平板部19の下側にあてがい、ボルト29,29を水平板部19の通孔19B,19Bを通して収容ケース54の側部に固定されたナット54A,54Aに螺合することにより、前記のように渦巻ばね56及びボビン57を収容した状態の収容ケース54が水平板部19の下側に固定される。また、前記のようにボールねじ軸6の下端部6Bを軸受22により支持した状態では、該下端部6Bはボビン57の嵌合孔57Aに嵌合する。ボビン57の下部は収容ケース54の下端から下側に露出しているため、セットねじ60をボビン57の下部の螺孔57Cに容易に螺合することができ、セットねじ60の先端をボールねじ軸6の下端部6Bに形成した平面6Cに圧接することにより、ボビン57はボールねじ軸6の下端部6Bに連結固定される。
【0032】
以上のように、狭いスペースに多くのエネルギーを蓄えることができる渦巻ばね56を利用し、該渦巻ばね56をボールねじ軸6の下端部6Bに連結してそのまわりに収容することにより、弾性付勢装置10を簡素かつコンパクトに構成することができるとともにコスト低減化を図ることができる。
【0033】
次に、チェーンゲート1の動作について説明する。図1〜図3に示す移動体8の上限位置では、励磁作動形のブレーキ34が作動状態であり、駆動装置31は非作動状態となっている。この状態で、ワイヤレスリモコン等の発信機からチェーン類4を降下する信号が発信されると、制御部30の受信機が受信し、制御部30がブレーキ34を非作動状態とし、駆動装置31を駆動してボールねじ軸6を回転させ、ボールねじナット7を降下させる。したがって、移動体8とともにスライダー9及び連結具3が降下するため、チェーン類4が降下する。そして、図示しないリミットスイッチ等の位置センサにより下限位置を検出すると、制御部30により駆動装置31が非作動状態とされ、ブレーキ34が作動状態とされるため、該位置が確実に保持される。この下限位置では、弾性付勢装置10は、図10(a)に示すように渦巻ばね56が弾性変形していない自由状態となっている。
【0034】
そして、予め設定した車両通過時間の経過後又は発信機からチェーン類4を上昇させる信号が発信されると、制御部30が、ブレーキ34を非作動状態とし、駆動装置31を駆動してボールねじ軸6を回転させ、ボールねじナット7を上昇させる。したがって、移動体8とともにスライダー9及び連結具3が上昇するため、チェーン類4が上昇する。そして、図示しないリミットスイッチ等の位置センサにより上限位置を検出すると、制御部30により駆動装置31が非作動状態とされ、ブレーキ34が作動状態とされるため、該位置が確実に保持される。この上限位置では、弾性付勢装置10は、図10(a)に示す状態から図中矢印Aのようにボビン57が回転するため渦巻ばね56が弾性変形し、図10(b)に示す弾性変形状態となっている。
【0035】
次に、弾性付勢装置10の動作について説明する。停電等の非通電時には、ブレーキ34が励磁作動形であるため非作動状態となり、駆動装置31も非作動状態となる。移動体8、スライダー9、連結具3及びチェーン類4が下限位置にはない位置、例えば図1〜図3のような上限位置で非通電状態となった場合には、弾性付勢装置10は上記のとおり図10(b)の弾性変形状態となっているため、その復元力により図中矢印Bのようにボビン57とともにボールねじ軸6が図10(a)の自由状態になるまで回転する。したがって、ボールねじナット7が下限位置まで降下するため、移動体8、スライダー9、連結具3及びチェーン類4が確実に降下し、チェーン類4が車両等の通行を妨げることが無い。なお、このような降下動作時において、ボールねじナット7のフランジ部の下面が、図3、図5及び図9に示す緩衝体24に当接するため、下限で停止する際の衝撃が緩和される。
【0036】
また、停電等の非通電状態となった際に、チェーン類4が下降途中又は上昇途中であった場合も、その高さ位置に対応して弾性付勢装置10の渦巻ばね56が弾性変形し、渦巻ばね56が所要のエネルギーを蓄積するので、該エネルギーが解放され、上記と同様に、ボールねじナット7、移動体8、スライダー9、連結具3及びチェーン類4が確実に降下するため、チェーン類4が車両等の通行を妨げることが無い。
【0037】
さらに、上記のとおり、スライダー9を移動体8に対して連結固定せずに、スライダーフレーム45,46を移動体8の上下のフランジ41,42間に遊びを設けて位置させているので、ボールねじ5の回転運動を直線運動に変換する動作が円滑になるため、弾性付勢装置10によりボールねじナット7等を下限位置まで移動させる動作の信頼性を長期間にわたって維持することができる。
【0038】
以上の説明においては、弾性付勢装置10が、停電等の非通電時に駆動装置31が非作動状態となった際に、ボールねじナット7を下限位置に移動するようにボールねじ軸6を付勢する構成である場合について説明したが、ボールねじ5は機械的効率が高く、負荷側(ボールねじナット7側)からボールねじ軸6を動かすことができるため、弾性付勢装置10はボールねじナット7又は該ナット7とともに昇降する部材(例えば移動体8)を弾性体により付勢するものであってもよい。例えば前記弾性体として引張コイルばねを用い、該引張コイルばねの弾性変形による復元力によりボールねじナット7(移動体8)を下方に付勢するように構成すれば、停電等の非通電時に駆動装置31が非作動状態となった際に、ボールねじ軸6が回転しながらボールねじナット7(移動体8)が下限位置まで移動する。このようなボールねじナット7又は該ナット7とともに昇降する部材を弾性体により付勢する構成を採用する場合においては、ボールねじ5としてリードの大きいもの(例えばボールねじ軸6の軸径の2倍程度のリードのもの)を使用した方が弾性体の弾性係数(引張コイルばねのばね定数)を小さくすることができるためより好ましい。
【0039】
さらに、弾性付勢装置10ではなく、停電等の非通電時に前記ボールねじナットが下限位置に移動するように定めた重量の錘をボールねじナット7又は該ナット7とともにとともに昇降する部材に取り付けてもよい。このような錘を取り付ける構成を採用する場合においても、ボールねじ5としてリードの大きいもの(例えばボールねじ軸6の軸径の2倍程度のリードのもの)を使用した方が錘の重量を小さくすることができるためより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係るチェーンゲート全体の外観を示す斜視図である。
【図2】門柱の外観を示す斜視図である。
【図3】門柱の側カバーを外した状態の一部縦断側面図である。
【図4】門柱の横断平面図である。
【図5】同じく分解斜視図である。
【図6】移動体の分解斜視図である。
【図7】スライダー及び連結具の分解斜視図である。
【図8】移動体とスライダーとの位置関係を示す斜視図である。
【図9】弾性付勢装置の構成を示す分解斜視図である。
【図10】弾性付勢装置の動作を示す平面図であり、(a)は渦巻ばねの自由状態(ボールねじナットが下限位置にある状態)を、(b)は渦巻ばねの弾性変形状態(ボールねじナットが上限位置にある状態)を示している。
【符号の説明】
【0041】
1 チェーンゲート
2 門柱
3 連結具
4 チェーン類
5 ボールねじ
6 ボールねじ軸
6A,6B 端部
7 ボールねじナット
8 移動体
9 スライダー
10 弾性付勢装置
17 上部軸受ハウジング
18 下部軸受ハウジング
21,22 軸受
23 軸受ケース
30 制御部
31 駆動装置
32 モータ
33 減速機
34 ブレーキ(制動装置)
35 出力軸
39 外側端
40 内側端
41 上フランジ
42 下フランジ
45 右スライダーフレーム
46 左スライダーフレーム
47 スペーサー
50 ローラー
51 支持片
52 フック
54 収容ケース
56 渦巻ばね
57 ボビン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定距離を隔てて対向配置された一対の門柱内にボールねじを立設し、ボールねじ軸の上下端部を軸受により支持するとともに該上端部に駆動装置を連結し、前記ボールねじ軸の回転により昇降するボールねじナットとともに昇降する連結具にチェーン類を連結し、前記駆動装置により前記ボールねじ軸を回転させることにより、前記門柱間で前記チェーン類を昇降させて車両の通行を制限するチェーンゲートであって、
停電等の非通電時に前記ボールねじナットが下限位置に移動するように、前記ボールねじ軸若しくは前記ボールねじナット若しくは該ナットとともに昇降する部材を弾性体により付勢する弾性付勢装置、又は、前記ボールねじナット若しくは該ナットとともに昇降する部材に取り付けられた錘を備えたことを特徴とするチェーンゲート。
【請求項2】
前記弾性体が垂直軸まわりの渦巻ばねであり、その内側端が固定された巻心となるボビンを前記ボールねじ軸の下端部に連結し、前記渦巻ばねの外側端を収容ケース又は前記下端部まわりの軸受ハウジングに固定して前記弾性付勢装置を構成してなる請求項1記載のチェーンゲート。
【請求項3】
上下方向に直動可能に支持されたスライダーに前記連結具を取り付け、前記スライダーを前記ボールねじナットの上下にフランジを設けた移動体に対して連結固定せずに、前記スライダーのフレームを前記上下のフランジ間に遊びを設けて位置させてなる請求項1又は2記載のチェーンゲート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−190208(P2008−190208A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25472(P2007−25472)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(392014117)シー・ティ・マシン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】