説明

チオフェン−2−カルボキサミド誘導体、これらの調製およびこれらの治療的使用

本発明の主題は式(I)に相当する化合物であり、式中、RおよびRはこれらが結合する窒素原子と共に、好ましくは置換される、4から7個の原子を含有する飽和複素環ラジカルを構成し、2つの置換基RおよびRの一方は基Y−A−Rであり、Yは酸素原子または−S(O)n’−、もしくは−OSO基であり、Aは非置換(C−C)アルキレン基であり、Rは−OR19、−CH、−CF、−NR1920、−CONR1920、−NR15COR19、−S(O)21または−NR18SO21基であり、−R10は水素原子または(C−C)アルキル基である。本発明は式(I)の化合物の調製方法および治療的使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は4,5−ジアリールチオフェン−2−カルボキサミド誘導体、これらの調製およびこれらの治療的適用である。
【背景技術】
【0002】
CBカンナビノイド受容体に対する親和性を示すジフェニルピラゾール誘導体が、特に特許US 5 624 941、EP 0 576 357、EP 0 656 354およびEP 1 150 961に、記述されている。
【0003】
5,6−ジフェニル−2−ピラジンカルボキサミド誘導体が国際出願WO 03/051850においてCB受容体アンタゴニストとして記載される。
【0004】
1,2−ジフェニル−4−イミダゾールカルボキサミド誘導体が国際出願WO 03/027076においてCB受容体のアゴニスト、部分的アゴニストまたはアンタゴニストとして記載される。
【0005】
鎮痛特性を有する4,5−ジアリールチオフェン誘導体が国際出願WO 91/19708に記載される。
【0006】
他の4,5−ジアリールチオフェン誘導体が国際出願WO 2005/035488においてCB受容体アンタゴニストとして記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5624941号明細書
【特許文献2】欧州特許第0576357号明細書
【特許文献3】欧州特許第0656354号明細書
【特許文献4】欧州特許第1150961号明細書
【特許文献5】国際公開第03/051850号
【特許文献6】国際公開第03/027076号
【特許文献7】国際公開第91/19708号
【特許文献8】国際公開第2005/035488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
中枢レベルおよび末梢レベルでのCBカンナビノイド受容体に対するアンタゴニスト特性を有する、特定の置換基をアリール基の一方に坦持する新規4,5−ジアリールチオフェン−2−カルボキサミド誘導体がいまや見出されている。特に、これらの新規誘導体は末梢CBに対するアンタゴニスト特性を有し、脳内における低い透過性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の主題は式(I):
【0010】
【化1】

(式中、RおよびRは、これらが結合する窒素原子と共に、以下を形成し、
非置換であるか、またはフェニル、ベンジル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキソリルメチル、テトラヒドロフラニルカルボニル、−COR11および/もしくは−CHCOR11基によって置換される2個の窒素原子を含む、5から7原子の飽和複素環ラジカルであって、フェニル基はそれ自体非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される飽和複素環ラジカル、
または、非置換であるか、もしくは以下のものから各々独立に選択される置換基によって1回もしくは2回置換される窒素原子を含む、4から7原子の飽和複素環ラジカル、
シアノ、−COR11、−CHNHR12、−(C−C)シクロアルキル、−CHCOR11、−NR1213、−NHCOR14、−SO14および/もしくは−SONR1213基、
並びに/またはフェニル、ベンジルもしくはピリジニル基;前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルもしくはアゼチジン−1−イル基、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはフェニルアミノもしくはベンジルアミノ基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/または非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキルおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換されるアミノ(C−C)アルキル基、
並びに/または非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換されるアミノ(C−C)シクロアルキル基、前記(C−C)アルキル基は非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される、
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−S(O)14、−OSO14もしくは(C−C)アルキル基および/または(C−C)アルコキシ基を表し、前記基は非置換であるか、または、2つの置換基RおよびRの一方がY−A−R基を表すという条件の下で、フッ素原子によって1回以上置換され、
Yは酸素原子または−S(O)n’−もしくは−OSO−基を表し、
Aは、非置換であるか、または(C−C)アルキル基および/もしくはフッ素原子によって1回以上置換される、(C−C)アルキレン基を表し、
は−OR19、−CN、−CH、−CF、−NR1920、−CO19、−CONR1920、−NR15COR19、−CONHNH、−CONHOH、−CONHSO21、−S(O)21、−SONR1920、−NR18SO21または−NR15SONR1920基を表し、
10は水素原子または(C−C)アルキル基、好ましくは、水素原子を表し、
11は以下を表し、
(C−C)アルキル、フェニル、ベンジル、(C−C)アルコキシまたは(C−C)アルキレン−O−(C−C)アルキル基、前記基は非置換であるか、または(C−C)アルコキシ基および/もしくはヒドロキシル基から各々独立に選択される置換基並びに/または1以上のフッ素原子によって置換される、
並びに/または−NR1617基、
12およびR13は、各々独立に、水素原子または、場合によりフッ素原子、−OH基および/もしくは−OR14基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される(C−C)アルキル基を表し、
または、R12およびR13は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素もしくはイオウ原子から選択される第2へテロ原子を含むことができる4から7員複素環ラジカルを形成し、
nは0、1または2を表し、
n’は0、1または2を表し、
14は、非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基を表し、
15は水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
16およびR17は、各々独立に、以下を表し、
水素原子、
並びに/または、非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、ベンジル基、
並びに/または、場合によりハロゲン原子または−OHおよび/もしくは−OR14基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基、
18は水素原子または、非置換であるか、もしくはフッ素原子によって1回以上置換される(C−C)アルキル基を表し、
19およびR20は、各々独立に、水素原子または、場合によりフッ素原子、−OH基および/もしくは−OR14基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基を表し、
またはR19およびR20は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素もしくはイオウ原子から選択される第2へテロ原子を含むことができる、4から7員複素環ラジカルを形成し、
21は、非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基を表す。)
に相当する化合物であって、塩基(=これらの化合物の遊離形態に相当する。)並びにこれらの医薬的に許容される塩または前記式(I)の化合物の精製および/もしくは単離において許容される塩の形態にあるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
式(I)の化合物は1個以上の非対称炭素原子を含むことができる。従って、これらは鏡像異性体またはジアステレオ異性体の形態で存在し得る。これらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体および、ラセミ混合物を含むこれらの混合物は本発明に入る。
【0012】
式(I)の化合物は塩基(即ち、例えば、これらの遊離形態)、酸との付加塩または塩基との付加塩の形態で存在することができる。これらの塩は、有利には、医薬的に許容される塩で調製される;例えば、式(I)の化合物の精製または単離において有用である、他の酸の塩も本発明に入る。
【0013】
アルキル基は直鎖または分岐鎖炭素含有ラジカル、例えば、特に:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシルまたはイソヘキシルを意味するものと理解される。(C−C)アルキルおよび(C−C)アルキルにはメチル基が好ましい。
【0014】
アミノアルキル基は直鎖または分岐鎖炭素含有ラジカル、例えば:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチルまたはイソヘプチルに結合するアミノ基を意味するものと理解される。
【0015】
アルキレン基は直鎖二価炭素含有ラジカル、例えば、−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CH−または−(CH−を意味するものと理解される。
【0016】
(C−C)アルコキシおよび(C−C)アルコキシは、それぞれ、1から4個の炭素原子の、および1から6個の炭素原子の、直鎖または分岐鎖炭素含有ラジカルに結合する酸素原子、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシまたはヘキシルオキシラジカルを意味するものと理解され、メトキシ基が好ましい。
【0017】
ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味するものと理解され、フッ素、塩素または臭素原子が好ましい。
【0018】
シクロアルキル基はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル炭素含有ラジカルを意味するものと理解される。
【0019】
アミノシクロアルキル基は環状炭素含有ラジカル、例えば:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルに結合するアミノ基を意味するものと理解される。
【0020】
1または2個の窒素原子を含む飽和4から7員複素環ラジカルは、特に、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、イミダゾリン−1−イル、ピペラジン−1−イルおよび1,4−ジアゼパン−1−イルのようなラジカルを意味するものと理解される。
【0021】
本発明によると、以下が区別される:
Yが酸素原子を表す式(IA)の化合物;
Yが−S(O)n’−基を表す式(IB)の化合物;
Yが−O(SO)−基を表す式(IC)の化合物;
他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである。
【0022】
式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物のうちでは、特に、以下が区別される:
置換基がY−A−R基を表し、およびR置換基が水素原子、ハロゲン原子、−CN、−S(O)14もしくは−OSO14基、(C−C)アルキル基または(C−C)アルコキシ基を表し、前記基は非置換であるか、または1以上のフッ素原子で置換される化合物;
並びに、R置換基がY−A−R基を表し、およびR置換基が水素原子、ハロゲン原子、−CN、−S(O)14もしくは−OSO14基、(C−C)アルキル基または(C−C)アルコキシ基を表し、前記基は非置換であるか、または1以上のフッ素原子で置換される化合物;
他の置換基は式(I)の化合物について上で定義される通りである。
【0023】
好ましくは、R置換基がY−A−R基を表す化合物について、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−CN基および/または(C−C)アルキル基を表し、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される。
【0024】
好ましくは、R置換基がY−A−R基を表す化合物について、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−CN基および/または(C−C)アルキル基を表し、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される。
【0025】
これらの好ましい形態の両者について、他の置換基は式(I)の化合物について上で定義される通りである。
【0026】
置換基がY−A−R基を表す化合物について、R置換基および/またはR置換基は、好ましくは、水素原子に相当する。より好ましくは、Rはフェニルの4位に存在する。本発明による式(I)の化合物のこの代替形態については、加えて、Rが水素もしくはハロゲン原子、例えば、塩素もしくはフッ素に相当し、Rがハロゲン原子、好ましくは、塩素原子に相当し、およびRが水素原子に相当することが好ましい。
【0027】
本発明によると:
Aが非置換(C−C)アルキレン基を表し;
が−OR19、−CH、−CF、−NR1920、−CONR1920、−NR15COR19、−S(O)21または−NR18SO21基を表し;
および他の置換基が式(I)の化合物について上で定義される通りである、
式(I)の化合物が好ましい。
【0028】
特に、Yについて、酸素原子またはイオウ原子が好ましい。
【0029】
特に、Rについて、−OR19、−NR1920、−CONR1920、−S(O)21または−NR18SO21基が好ましい。
【0030】
本発明によると:
およびRが、これらが結合する窒素原子と共に、ホモピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルを形成し、前記ラジカルは以下から各々独立に選択される置換基によって1回または2回置換され:
シアノ、−COR11、−NR1213、−NHCOR14、−CHCOR11、−SO14および/もしくは−SONR1213基;
並びに/またはフェニル、ベンジルもしくはピリジニル基;前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される;
並びに/またはピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルもしくはアゼチジン−1−イル基、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される;
並びに/またはフェニルアミノもしくはベンジルアミノ基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/またはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される;
並びに/または、非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換されるアミノ(C−C)アルキル基;
並びに/または、非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換され、前記(C−C)アルキル基は非置換であるか、もしくはフッ素原子によって1回以上置換される、アミノ(C−C)シクロアルキル基;
他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
式(I)の化合物が好ましい。
【0031】
特に:
およびRが、これらが結合する窒素原子と共に、ホモピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルを形成し、前記ラジカルは二置換され(gem−disubstituted):
前記ラジカルの第1置換基はシアノ、−COR11、−NHCOR14または−SO14基から選択され;
前記ラジカルの第2置換基は以下から選択され:
NR1213
並びに/またはフェニル基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される;
並びに/またはピペリジン−1−イル基、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される;
並びに/またはベンジルアミノ基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される;
他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
式(I)の化合物が好ましい。
【0032】
より詳細には、RおよびRが、これらが結合する窒素原子と共に、ピペリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルを形成する式(I)の化合物が好ましい。この場合:
ピペリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルの第1置換基は、好ましくは、−COR11であり;
およびピペリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルの第2置換基は、好ましくは、−NR1213、フェニル基、ベンジルアミノ基またはピペリジン−1−イル基から選択され、前記ピペリジン−1−イル基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換され;
他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである。
【0033】
本発明による化合物のうち、以下の化合物をそのままで、および、その上、これらの塩として挙げることができる:
【0034】
【表1】










【0035】
本発明の別の主題は本発明による化合物の調製方法である。
【0036】
この方法は、式(III)の酸またはこの式(II)の酸の機能的誘導体:
【0037】
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、RおよびR10は(I)について定義される通りであり、Y−A−R基はY−A−R基の化学的前駆体であるZ基で置き換えられる。)
を式(III)のアミンHNR(式中、RおよびRは(I)について定義される通りである。)で処理することを特徴とする。
【0038】
Z基は、当業者に公知の1以上の反応段階の後に、Y−A−R基を生じる化学基を意味するものと理解される。例えば、Z前駆体基はY−H、ハロゲン原子またはY−A−OH、Y−A−Cl、Y−A−COAlk、Y−A−S−Alk、Y−Alk、Y−A−OPrもしくはY−A−NHPg基に相当する。Alkラジカルは、特に1から6個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖炭素含有ラジカルに相当し、好ましくは、メチルラジカルに相当する。Pg基はアミン官能基の保護基、例えば、tert−ブチルオキシカルボニルに相当する。Pg保護基の他の例は「Protective Groups in Organic Synthesis」,Green et al.,4th edition,John Wiley&Sons Inc.,New York、2007に示される。Pr基はアルコール官能基の保護基、例えば、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラブチルジメチルシリル(TBDMS)およびトリメチルシリル(TMS)に相当する。
【0039】
次に様々な手順によって得られる式(I)の化合物は反応媒体から分離し、従来の方法に従って、例えば、結晶化またはクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0040】
このようにして得られる式(I)の化合物を、場合により、この塩のうちの1つに変換する。
【0041】
酸(II)の機能的誘導体として、酸塩化物、無水物、混合無水物、アルキルが直鎖もしくは分岐鎖であるC−Cアルキルエステル、ベンジルエステル、活性化エステル、例えば、p−ニトロフェニルエステル、または、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、{ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ}トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、{ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ}トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)もしくはO−{ベンゾトリアゾル−1−イル}−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)のようなカップリング剤で適切に活性化された、遊離酸を用いることができる。
【0042】
従って、本発明による方法においては、Chem.Comm.,1988,475−477に従って0℃で行われる塩化チオニルまたは1−クロロ−N,N−2−トリメチル−1−プロペン−1−アミンと式(II)の酸との反応によって得られる、式(II)の酸の塩化物を、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはクロロホルム)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランもしくはジオキサン)またはアミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)のような不活性溶媒中、不活性雰囲気下、0℃から周囲温度の温度、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンもしくはピリジンのような三級アミンの存在下で、アミンHNRと反応させることができる。
【0043】
代替形態は、トリエチルアミンのような塩基の存在下でエチルクロロホルメートを式(II)の酸と反応させることによって式(II)の酸の混合無水物を調製し、これをアミンHNRとジクロロメタンなどの溶媒中、不活性雰囲気下、周囲温度、トリエチルアミンのような塩基の存在下で反応させることからなる。
【0044】
式(II)の化合物は下記スキーム1に従って調製することができる。
【0045】
この調製方法について、Z前駆体基は:
化合物(IV)内に存在する;この場合、RがZ基を表す;
または化合物(V)内に存在する;この場合、RがZ基を表す。
【0046】
【化3】

式(VI)の化合物の調製は、式(IV)および(V)の化合物から出発して、ナトリウムヘキサメチルジシラザン(NaHMDS)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、ナトリウムジシクロヘキシルアミド(LiNCy)またはリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のような強塩基の存在下で行う。
【0047】
段階(b1)における1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンとの反応の後、化合物(VII)を三塩化ホスホリルと反応させ、次いでテトラヒドロフラン−水またはジオキサン−水のような溶媒−水混合液の存在下で加水分解する。
【0048】
段階(d1)におけるメチルメルカプトアセテートでの環化は、ヒンダードアミン:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)または1,3−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカン(DBN)のような塩基の存在下で行う。次に、得られる式(IX)の化合物を水酸化ナトリウムで処理し、式(II)の化合物を生成する。
【0049】
式(II)の化合物および酸(II)の機能的誘導体は国際出願WO 2005/035488に記載される調製方法(特に、第4頁、第31行から第9頁、第32行を参照)に従って調製することもできる。
【0050】
次に、これらの式(II)の化合物および酸(II)の機能的誘導体は、1以上の段階において、本発明による式(I)の化合物を生じる。
【0051】
従って、下記スキーム2によると、出発物質はRがZ基で置き換えられている式(IIa)の酸である。この酸を式(III)HNR(RおよびRは(I)について定義される通りである。)のアミンで処理する。式(Xa)のアミドが得られる。
【0052】
次に、式(I)の化合物を生成するため、得られる式(Xa)の化合物のZ基を、1以上の段階において、当業者に公知の方法の1つによってY−A−R基に変換する。
【0053】
【化4】

【0054】
さもなければ、下記スキーム2’に従い、出発物質はRがZ基で置き換えられている式(IIb)の酸である。この酸を式(III)HNR(RおよびRは(I)について定義される通りである。)のアミンで処理する。式(Xb)のアミドが得られる。
【0055】
次に、式(I)の化合物を生成するため、得られる式(Xb)の化合物のZ基を、1以上の段階において、当業者に公知の方法の1つによってY−A−R基に変換する。
【0056】
【化5】

【0057】
例として、Yが酸素原子に相当し、RがOR19、CO19、CONR1920、NR1920、NR18SO21またはS(O)21基を表す式(I)の化合物を、R3がZで置き換えられ、ZがY−Alkに相当し、Alkが直鎖または分岐鎖炭素含有ラジカル、好ましくは、メチルラジカルである式(IIb)の化合物から得ることができる。
【0058】
スキーム3によると、化合物(IIb)およびアミンHNRの反応によって得られる化合物(XI)を段階(b3)において三臭化ホウ素で処理した後、化合物(XII)を段階(c3)において、アルカリ性媒体(例えば:炭酸カリウムまたは炭酸セシウム)中で、式Cl−A−OHのクロロアルカノールまたは式Br−A−OHのブロモアルカノールで処理し、Rが−OHラジカルに相当する、式(I)の化合物を生じる。
【0059】
【化6】

【0060】
反応スキーム3の最後に得られる式(I)の化合物、参照(I’)は、式(I)の他の化合物を生じ得る。
【0061】
特に、スキーム4によると、化合物(I’)はY−A−RがY−A−S−R21に相当する式(I)の化合物を調製することを可能にする。段階(a4)において、式(I’)の化合物を例えばトリエチルアミンのようなアミンの存在下で塩化メシルで処理する。その後、得られる化合物を式R21SNaのナトリウムチオアルコキシドで処理し、Rが−S−R21ラジカルに相当する式(I’’)の化合物を生成する。
【0062】
【化7】

【0063】
スキーム5との取り決めにおいて、反応スキーム4の最後に得られる式(I)の化合物、参照(I’’)を次に3−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)で処理し、Rが−S(O)n’−R21ラジカル(n’は1または2に等しい。)に相当する式(I’’’)の化合物を生成することができる。
【0064】
【化8】

式(XII)の化合物は式(I)の他の化合物を生成することができる。例えば、−Rが−NHラジカルに相当する式(I)の化合物を得るため、第1段階においてtert−ブチル(3−ブロモプロピル)カルバメートを式(XII)の化合物に添加した後、第2段階においてTFAを添加する。
【0065】
式(II)の化合物は、Yが二価−S(O)n’−ラジカルに相当し、−Rが−OR19、−CHまたは−CFラジカルを表す式(I)の化合物を生成することも可能にする。
【0066】
例えば、出発物質はZがBr原子に相当する式(IIb)の化合物である。
【0067】
スキーム6によると、ZがBrに相当する式(IIb)の化合物を式HS−A−OR19の反応体および水素化ナトリウムと接触させる。次に、式(XIII)の化合物に到達するため、Pd(dba)のような触媒および有機リン化合物キサンホスのような配位子を添加する。この式(XIII)の化合物は−Y−A−Rが−S−A−OR19である式(I)の化合物に相当する。
【0068】
【化9】

【0069】
スキーム7によると、スキーム6の手順によって得られる化合物(XIII)を次にMCPBAで処理し、フェニルの側鎖に存在するイオウを酸化して−Y−A−Rが−(SO)−A−OR19(以下、式(XIV)の化合物)または−SO−A−OR19(以下、式(XV)の化合物)である式(I)の化合物を生成することができる。
【0070】
【化10】

【0071】
スキーム6の反応系列において反応体HS−A−OR19を式HS−A−CHまたはHS−A−CFの反応体に置き換えることにより、n’’が0、1または2に等しい式(XIII’)および(XIII’’)の化合物が調製される:
【0072】
【化11】

【0073】
またはRがZに相当し、ZがOAlkである式(IX)の化合物は、下記反応スキーム8により、Y−A−RがO−A−OHまたはO−A−NHR19に相当する式(I)の化合物を生成することも可能にする。
【0074】
従って、スキーム8によると、出発物質は、以下で(XVI)と参照される、RがZに相当し、ZがOAlkである式(IX)の化合物である。
【0075】
その代わりに、RがZに相当し、ZがOAlkである式(IX)の化合物から出発することも可能である。この場合、最終化合物の官能化ラジカルY−A−Rはチオフェンの5位のフェニル上に存在する。
【0076】
【化12】

【0077】
スキーム8によると、式(XVI)の化合物をBBrで処理する。得られる式(XVII)の化合物を、ZがO−A−OPrになる式(XVIII)の中間化合物を得るため、HalがBrまたはClに等しい式Hal−A−OPrのハロゲン化誘導体でアルキル化する。
【0078】
例えばNaOHで、ケン化した後、段階(d8)において、式(XIX)の酸を例えばTBTUのようなカップリング剤の存在下で式HNRのアミンで処理する。次に、得られる化合物を酸性媒体中で処理し、式(I’)の化合物を生成する。
【0079】
段階(b8)において、Hal−A−OPrをHal−A−NR19Pgに置き換えることができる。この場合、ケン化の後、式(XXI)の中間化合物が得られ、次にY−A−RがO−A−NHR19に相当する式(I)の化合物が生じる。
【0080】
【化13】

【0081】
段階(b8)において、Hal−A−OPrは、R19およびR20が水素原子以外であるHal−A−NR1920と置き換えることもできる。この場合、ケン化の後、式(XXIII)の中間化合物が得られ、次いでY−A−RがO−A−NR1920に相当する式(I)の化合物が生じる。
【0082】
【化14】

【0083】
加えて、式(XVIII)の化合物から開始して、以下の反応スキーム11により、Y−A−RがO−A−SR21に相当する式(I)の化合物を調製することが可能である。
【0084】
段階(b11)の最後に、式(XXV)の中間化合物を3−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)で処理し、−Rが−S(O)n’−R21ラジカル(n’は1または2に等しい。)に相当する中間化合物(XXV’)を生成することができる。次に、これらの化合物(XXV)は段階(c11)および(d11)に従い、Y−A−Rが−O−A−S(O)n’−R21−に相当する式(I’’’)の化合物を生じる。
【0085】
【化15】

式(XXVII)の化合物から出発して、以下の反応スキーム12により、Y−A−RがS−A−OR19に相当する式(I)の化合物を調製することが可能である。段階(a12)は反応スキーム6のものに類似する条件下で行い、ケン化段階(b12)、次いでカップリング段階(c12)は反応スキーム8の段階(c8)および(d8)のものに類似する条件下で行う。
【0086】
【化16】

式(III)HNRのアミンは公知であるか、または公知法、例えば、J.Med.Chem.,7,1964,619−622に記載されるものによって調製される。
【0087】
式(XXII)、(XXIII)、(XXV)、(XXVI)、(XXVIII)および(XXIX)の中間化合物は新規であり、式(I)の化合物の調製に用いられる。
【0088】
式(XXVII)の中間化合物はRが臭素原子に相当する式(IX)の化合物に相当する。これらの式(XXVII)の化合物は反応スキーム1に従って調製される。
【0089】
本発明の別の主題は、特に式(XXII)、(XXIII)、(XXV)、(XXVI)、(XXVIII)および(XXIX)の化合物を含む、式(XXX)、(XXXI)および(XXXII)の化合物である。これらの化合物は式(I)の化合物の調製に用いられ、以下の式に相当する:
【0090】
【化17】

(式中:
Wは(C−C)アルコキシ基、好ましくは、メトキシ基、ハロゲン、好ましくは、塩素原子またはヒドロキシルラジカルを表し、
および他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである。)
Wが(C−C)アルコキシ基を表すとき、式(I)の化合物を調製するため、式(XXX)、(XXXI)または(XXXII)の化合物は例えばNaOHのようなケン化剤、次いでRおよびRが(I)について定義される通りである式(III)HNRのアミンで処理する。
【0091】
Wがヒドロキシルラジカルまたは塩素原子を表すとき、式(I)の化合物を調製するため、式(XXX)、(XXXI)または(XXXII)の化合物はRおよびRが(I)について定義される通りである式(III)HNRのアミンで処理する。
【0092】
以下の例は本発明による幾つかの化合物の調製を記述する。これらの例は本発明を限定するものではなく、本発明の説明のみに役立つ。
【0093】
これらの例においては、以下の略語が用いられる:
AcOEt:酢酸エチル
AcONH:酢酸アンモニウム
BBr:三臭化ホウ素
CHCl:ジクロロメタン
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
EtN:トリエチルアミン
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LiHMDS:リチウムヘキサメチルジシラザン
MeOH:メタノール
MCPBA:3−クロロペルオキシ安息香酸
MsCl:塩化メシル
NaHMDS:ナトリウムヘキサメチルジシラザン
NH:アンモニア
NHOH:アンモニア水
Pd(dba):ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
Pd(dba):トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
POCl:三塩化ホスホリル
P(tBu):トリ(tert−ブチル)ホスフィン
AT:周囲温度
TBTU:O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
M.p.:融点
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
UPLC:超高速液体クロマトグラフィー(ultra performance liquid chromatography)
Xantphos:
【0094】
【化18】

【0095】
核磁気共鳴スペクトルはd−DMSO中、250MHzまたは400MHzで記録する。スペクトルの解釈においては以下の略語を用いる:s:一重項、d:二重項、t:三重項、q:四重項、qui:五重項、m:非分解ピーク、bs:ブロード一重項、sd:分裂二重項。
【0096】
本発明による化合物は連結LC/UV/MS(液体クロマトグラフィー/UV検出/質量分析)によって分析する。特徴的な分子ピーク(MH)および分(分)での保持時間(rt)を測定する。
【0097】
化合物は連結HPLC−UV−MS、さもなければUPLC−UV−MS(液体クロマトグラフィー/UV検出/質量検出)によって分析する。
【0098】
分析条件は以下の通りである:
条件A(HPLC):
Symmetry C18(50×2.1mm;3.5μm)カラムを用いる
溶離液A:約pH3.1の水中に0.005%のトリフルオロ酢酸(TFA)
溶離液B:アセトニトリル中に0.005%のTFA
勾配:
【0099】
【表2】

カラム温度:30℃;流速:0.4ml/分
検出:λ=210nm−220nm
条件B(HPLC):
XTerra MS C18(50×2.1mm;3.5μm)カラムを用いる
溶離液A:約pH7の10mM AcONH
溶離液B:アセトニトリル
勾配:
【0100】
【表3】

カラム温度:30℃;流速:0.4ml/分
検出:λ=220nm
条件C(UPLC):
Acquity BEH C18(50×2.1mm;1.7μm)カラムを用いる
溶離液A:約pH3.1の水中に0.005%のTFA/アセトニトリル(97/3)
溶離液B:アセトニトリル中に0.035%のTFA
勾配:
【0101】
【表4】

カラム温度:40℃;流速:1ml/分
検出:λ=220nm
質量分析条件
質量スペクトルは、分析される化合物のプロトン化から生じるイオン(MH)またはNa、Kなどのような他のカチオンとの付加物の形成から生じるイオンを観察するため、正イオンエレクトロスプレー(ESI)モードで記録する。
【0102】
調製
調製1:4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピペリジン−4−カルボキサミド。
【0103】
(i)tert−ブチル4−カルバモイル−4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキレート。
【0104】
10gのtert−ブチル4−アミノ−4−カルバモイルピペリジン−1−カルボキシレート、4.42gの3,3,3−トリフルオロプロピオンアルデヒド、17.61gの水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムおよび4.51mlの酢酸をATで250mlのCHClに添加した後、この混合物を3時間撹拌する。水を添加し、期待化合物をCHClで抽出し、有機相を飽和NaHCO溶液、次いで水で洗浄する。有機相の乾燥、濾過および蒸発乾固の後、13gの期待化合物が得られる。
【0105】
(ii)4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピペリジン−4−カルボキサミド
(i)において得られる化合物13gを25mlのMeOH中で撹拌した後、30mlのエーテル性塩酸(2M)を添加し、この混合物を一晩撹拌したままにする。濾過および乾燥の後、9.57gの期待化合物が得られる。
【0106】
調製2:4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0107】
(i)1−ベンジル−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0108】
10gの1−ベンジル−4−フェニルピペリジン−4−カルボニトリルを77mlの濃硫酸に添加した後、混合物を100℃で1時間加熱する。次に、この反応混合物を氷に添加した後、NHOHで塩基性化する。生成物をCHClで抽出し、抽出物を乾燥させて蒸発させる。この塩酸塩をエーテルから結晶化した後、5.7gの期待生成物が得られる。
【0109】
(ii)4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0110】
(i)において得られる生成物5.6g、6.7gのシクロヘキサジエンおよび0.5gの10%パラジウム付着木炭を70mlのMeOHに添加し、この反応混合物を還流温度で6時間加熱する。セライトを通して結晶を濾別し、濾液を蒸発乾固する。エーテル−イソプロピルエーテル混合液から結晶化した後、3gの期待生成物が得られる。
【0111】
調製3:3−フェニルアゼチジン−3−カルボキサミドホルメート。
【0112】
(i)1−ベンジル3−メチル1,3−アゼチジンジカルボキシレート。
【0113】
10gのアゼチジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、次いで23mlのトリエチルアミンを150mlのCHClに添加する。この混合物を冷却し、13.5gのベンジルクロロホルメートを添加する。ATで一晩放置した後、水、次いでHCl(N)で洗浄を行う。乾燥、濃縮乾固およびシリカでのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン−AcOEt(0%から50%までの勾配))による精製の後、13.1gの期待化合物が得られる。
【0114】
(ii)1−ベンジル3−メチル3−フェニル−1,3−アゼチジンジカルボキシレート。
【0115】
5.11mlのブロモベンゼン、次いで0.5gのPd(dba)、ヘキサン中のトリ(tert−ブチル)ホスフィン(P(tBu))の10%溶液2.15ml、次に8.4gのLiHMDSを40mlのトルエンに添加する。トルエン10ml中の前段階(i)において得られた化合物11gを、15から20℃の温度を維持しながら添加する。一晩放置した後、この混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、エーテルで抽出を行い、抽出物をMgSOで乾燥させ、濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン−AcOEt(0%から30%までの勾配))による精製の後、3.25gの期待化合物が得られる。
【0116】
(iii)3−フェニルアゼチジン−1,3−ジカルボン酸のベンジルエステル。
【0117】
前段階(ii)において得られた化合物3.7g、次いで3mlの30%水酸化ナトリウム溶液を40mlのメタノールに添加する。この混合物を還流温度で1時間加熱した後、濃縮乾固させる。この残滓を水に溶解し、エーテルで洗浄を行い、濃HClで酸性化を行う。エーテルでの抽出、乾燥、濃縮乾固およびペンタンからの結晶化の後、2.87%の期待化合物が得られる。
【0118】
(iv)3−カルバモイル−3−フェニルアゼチジン−1−カルボン酸のベンジルエステル。
【0119】
前段階(iii)において得られた化合物2.87g、2.4mlのDIPEA、次いで3.3gのTBTUを60mlのCHClに添加する。25℃の温度を維持しながらNHを媒体に散布する。この混合物をATで一晩撹拌する。これを濃縮乾固して残滓を酢酸エチルに溶解し、水、次いでHCl(N)、最後に10%NaHCO水溶液で洗浄を行う。
【0120】
乾燥、濃縮乾固、次いでエーテルからの結晶化の後、1.51gの期待化合物が得られる。
【0121】
(v)3−フェニルアゼチジン−3−カルボキサミドホルメート。
【0122】
前段階(iv)において得られた化合物1.51g、1.57gのアンモニウムホルメート、次いで0.15gの10%パラジウム付着木炭を30mlのエタノールに添加する。この混合物をATで3時間撹拌する。触媒を濾別し、濾液を濃縮乾固する。アセトンからの結晶化の後、0.985gの期待化合物が得られる。
【0123】
実施例
【実施例1】
【0124】
1−({5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0125】
1A)1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタノン。
【0126】
367mlのNaHMDS(THF中2M)を250mlのTHFに添加し、この混合物を−70℃に冷却する。次に、54gの(4−メトキシフェニル)酢酸を添加する;この混合物を2時間撹拌したままにした後、49gのメチル2,4−ジクロロベンゾエートを添加する。反応混合物を10℃に戻して2リットルの氷冷HCl(2N)に注ぎ、生成物をエーテルで抽出する。飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで飽和NaCl溶液で乾燥させた後、有機相を乾燥させて蒸発させ、生成物をヘプタンから結晶化する;32gの期待生成物が得られる。
【0127】
1B)(2E)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)−2−(4−メトキシフェニル)プロプ−2−エン−1−オン。
【0128】
1A)において得られた化合物15gおよび33.76mlの1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンを100mlのTHFに添加し、この混合物を80℃で一晩加熱する。この反応混合物を蒸発乾固した後、水を添加し、エーテルで抽出を行う。抽出物を乾燥させて蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン−AcOEt(0%から30%までの勾配))による精製の後、18gの期待化合物が得られる。
【0129】
1C)(2E)−3−クロロ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)アクリルアルデヒド。
【0130】
1B)において得られた化合物18gおよび12mlのPOClを100mlのCHClに添加し、この混合物を45℃で3時間加熱する。ATで一晩放置した後、混合物を蒸発乾固し、残滓をTHFに溶解した後、50mlの水を添加する。エーテルで抽出を行い、抽出物を水、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄する。MgSOで脱水させて濃縮乾固した後、15.5gの期待化合物が得られる。
【0131】
1D)メチル5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキシレート。
【0132】
1C)において得られた化合物11gおよび7.2mlのメチルメルカプトアセテートを80mlのアセトニトリル中で混合する。この混合物を60℃に加熱し、DBUを添加する。反応媒体の温度を60℃で維持し、この温度を一晩でATに戻す。この混合物を蒸発乾固し、1N HCl溶液を添加して化合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン−AcOEt(0%から30%までの勾配))による精製の後、6.3gの期待化合物が得られる。
【0133】
1E)5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボン酸。
【0134】
段階1D)において得られた化合物7.2gおよび1.83gのNaOHを50−50ジオキサン−メタノール混合液に添加する。この反応混合物を50℃で一晩加熱する。これを蒸発乾固し、蒸留水を添加して有機残滓をエーテルで抽出する。濃HClで水相を酸性化した後、酸をエーテルで抽出する。有機相を乾燥させた後、蒸発させる。5.6gの期待化合物が得られる。
【0135】
1F)1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド
段階1E)において得られた化合物2g、1.27gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(調製2)、2.22mlのEtNおよび1.86gのTBTUを40mlのCHClに添加する。この混合物をATで3時間撹拌する。これを蒸発乾固し、水を添加して酢酸エチルで抽出を行う。有機相を乾燥させ、次いで蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン−AcOEt(0%から30%までの勾配))による精製の後、2.8gの期待化合物が得られる。
【0136】
1G)1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0137】
段階1F)において得られた化合物2.8gおよびCHCl中のBBrの1M溶液19.8mlを融氷温度で70mlのCHClに添加する。3時間にわたって撹拌を継続しながら温度をATまで上昇させる。次に、反応媒体を水に注いで有機相を回収し、乾燥させた後、蒸発させる。エーテル−酢酸エチル混合液からの結晶化の後、1.8gの期待化合物が得られる。
【0138】
1H)1−({5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0139】
段階1G)において得られた化合物1.65g、0.57gのKCOおよび0.83gの3−クロロプロパン−1−オールを10mlのDMFに添加する。この反応媒体を90℃で3時間加熱する。次に、反応媒体を蒸留水に注ぎ、期待化合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。酢酸エチル中での結晶化の後、1.2gの期待化合物が得られる。
【実施例2】
【0140】
1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−{3−[(メチルスルホニル)アミノ]−プロポキシ}フェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0141】
2A)3−(4−{5−[(4−カルバモイル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−2−(2,4−ジクロロフェニル)チエン−3−イル}フェノキシ)プロピルメタンスルホネート。
【0142】
0.07mlのMsCl、次いで0.02mlのEtNを10mlのCHClに入れた段階1H)において得られた化合物1.5gに添加する。この混合物を1時間撹拌したままにする。これを蒸発乾固し、0.1N HCl溶液を添加して期待化合物を酢酸エチルで抽出する。乾燥および蒸発の後、0.15gの期待化合物が得られる。
【0143】
2B)1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−{3−[(メチルスルホニル)アミノ]プロポキシ}−フェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0144】
0.029gのメタンスルホンアミドおよび0.016gの水素化ナトリウムを5mlのDMFに添加した後、この混合物を5分間攪拌する。次に、2mlのDMFに溶解した、段階2A)において得られた化合物0.14gを添加し、混合物を2時間撹拌する。この反応媒体を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出を行う。抽出物を乾燥させ、蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から3%までの勾配)による精製の後、0.035gの期待化合物が得られる。
【実施例3】
【0145】
1−({5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−[4−(3−(ピロリジン−1−イル)プロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0146】
0.12mlのピロリジンを5mlのDMF中の段階2A)において得られた化合物0.2gに添加した後、混合物を70℃に2時間加熱する。この反応媒体を蒸留水に注ぎ、化合物を酢酸エチルで抽出する。抽出物を乾燥させ、蒸発させる。エーテルでの洗浄および濾過の後、0.1gの期待化合物が得られる。
【実施例4】
【0147】
1−({4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0148】
4A)1−{[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0149】
4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボン酸を、段階1A)から1E)において用いた手順に従い、(2,4−ジクロロフェニル)酢酸およびメチル4−メトキシベンゾエートから調製する。3.8gの4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボン酸、2.53gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド(調製2)、0.72mlのEtNおよび3.53gのTBTUをATで100mlのCHClに添加する。この混合物を一晩撹拌する。これを蒸発乾固し、水を添加し、得られた化合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発乾固する。結晶化、エチルエーテルでの洗浄、濾過、次いで乾燥の後、5.1gの期待化合物が得られる。
【0150】
4B)1−{[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0151】
段階4A)から生じる化合物5g、次いでCHCl中のBBrの1M溶液35.37mlを融氷温度で100mlのCHClに添加する。反応媒体の温度を一晩でATに戻す。次に、反応媒体を蒸留水に注ぎ、得られた化合物をCHClで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。エチルエーテルからの結晶化の後、3.1gの期待化合物が得られる。
【0152】
4C)1−({4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0153】
段階4B)において得られた化合物1g、0.376gの炭酸カリウムおよび0.223gの3−クロロプロパン−1−オールを6mlのDMFに添加する。この反応媒体を110℃で3時間加熱する。次に、反応媒体を蒸留水に注ぎ、得られた化合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から4%までの勾配))による精製の後、0.6gの期待化合物が得られる。
【実施例5】
【0154】
1−({5−[4−(3−アミノプロポキシ)フェニル]−4−(2,4−ジクロロフェニル)チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0155】
5A)tert−ブチル[3−(4−{5−[(4−カルバモイル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−3−(2,4−ジクロロフェニル)チエン−2−イル}フェノキシ)プロピル]カルバメート。
【0156】
段階4B)において得られた化合物1g、0.504gの炭酸カリウムおよび0.868gのtert−ブチル(3−ブロモプロピル)カルバメートを60mlのアセトンに添加した後、この反応媒体を還流温度で4時間加熱する。不溶性物質を濾別し、濾液を蒸発乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から7%までの勾配))による精製の後、0.6gの期待化合物が得られる。
【0157】
5B)1−({5−[4−(3−アミノプロポキシ)フェニル]−4−(2,4−ジクロロフェニル)チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0158】
5A)において得られた化合物0.4gおよび1.28gのTFAを5mlのCHClに添加し、この混合物をATで1時間撹拌したままにする。これを蒸発乾固し、1N水酸化ナトリウム溶液を添加して化合物をCHClで抽出する。有機相を乾燥させた後、塩を形成するため、エーテル性塩酸を添加する。蒸発乾固および真空下での乾燥の後、0.28gの期待化合物が得られる。
【実施例6】
【0159】
1−{[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−{3−[(メチルスルホニル)アミノ]−プロポキシ}フェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0160】
5B)において得られた化合物0.19g、0.063mlのEtN、次いで0.03mlのMsClを10mlのCHClに添加し、この混合物を2時間撹拌したままにする。これを蒸発乾固し、水酸化ナトリウム溶液を添加した後、化合物をCHClで抽出する。抽出物を乾燥させ、蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から5%までの勾配))による精製の後、0.085gの期待化合物が得られる。
【実施例7】
【0161】
1−{[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}−チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0162】
7A)3−(4−{5−[(4−カルバモイル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−3−(2,4−ジクロロフェニル)チエン−2−イル}フェノキシ)プロピルメタンスルホネート。
【0163】
4C)において得られた化合物0.8g、0.37mlのEtNおよび0.12mlのMsClをATで20mlのCHClに添加した後、この混合物を1時間撹拌したままにする。これを蒸発乾固し、0.1N HCl溶液を添加して化合物を酢酸エチルで抽出する。乾燥および蒸発の後、0.79gの期待化合物が得られる。
【0164】
7B)1−{[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0165】
7A)において得られた化合物0.79gおよび0.097gのナトリウムチオメトキシドを4mlのDMFに添加した後、この混合物をATで4時間撹拌したままにする。次に、この反応混合物を蒸留水に注ぎ、化合物を酢酸エチルで抽出する。抽出物を乾燥させ、蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から5%までの勾配))による精製の後、0.55gの期待化合物が得られる。
【実施例8】
【0166】
1−{[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−{4−[3−(メチルスルホニル)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0167】
7B)において得られた化合物0.27gおよび0.26gの70% MCPBAを20mlのCHClにATで添加した後、この混合物を一晩撹拌したままにする。次に、10% NaCO溶液を添加し、混合物を30分間激しく撹拌する。有機相を分離して乾燥させ、蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から4%までの勾配))による精製の後、0.07gの期待化合物が得られる。
【実施例9】
【0168】
1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−{4−[(4−ヒドロキシブチル)チオ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0169】
9A)1−{[4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0170】
4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)チオフェン−2−カルボン酸を、段階1A)から1E)において用いた手順に従い、(4−ブロモフェニル)酢酸およびメチル2,4−ジクロロベンゾエートから調製する。7gの4−(4−ブロモフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)チオフェン−2−カルボン酸、3.94gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩(調製2)、6.83mlのEtNおよび5.77gのTBTUをATで100mlのCHClに添加した後、この混合物を一晩撹拌する。これを蒸発乾固し、水を添加して期待化合物を酢酸エチルで抽出する。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過して蒸発乾固する。結晶化、エチルエーテルでの洗浄、濾過および乾燥の後、8.41gの期待化合物が得られる。
【0171】
9B)1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−{4−[(4−ヒドロキシブチル)チオ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0172】
0.455gの4−メルカプトブタン−1−オールおよび0.072gの水素化ナトリウムを、アルゴンを用いて0℃で15分間予め脱気した25mlのキシレンに添加した後、この反応混合物を、ATに戻しながら、1時間撹拌したままにする。9A)において得られた化合物1g、0.119gのPd(dba)および0.087gのキサントホスを添加する。次に、反応媒体を150℃で一晩加熱する。反応媒体を蒸発乾固して水および酢酸エチルを添加し、不溶性物質を濾別し、有機相を水で洗浄し、有機相を乾燥させ、濾過して濃縮する。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から3%までの勾配))による精製の後、0.35gの期待化合物が得られる。
【実施例10】
【0173】
1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−{4−[(4−ヒドロキシブチル)スルフィニル]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0174】
9B)において得られた化合物0.23gおよび0.109gの70% MCPBAを20mlのCHClにATで添加した後、この混合物を一晩撹拌したままにする。次に、10% NaCO溶液を添加した後、この混合物を15分間撹拌する。有機相を分離し、乾燥させて蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から4%までの勾配))による精製の後、0.14gの期待化合物が得られる。
【実施例11】
【0175】
1−{[5−{2,4−ジクロロフェニル}−4−{4−[(4−ヒドロキシブチル)スルホニル]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル]−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0176】
実施例10において得られた化合物0.16gおよび0.121gの70% MCPBAを20mlのCHClにATで添加した後、この混合物を一晩撹拌したままにする。次に、10% NaCO溶液を添加した後、この混合物を15分間撹拌する。有機相を分離し、乾燥させて蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から4%までの勾配))による精製の後、0.05gの期待化合物が得られる。
【実施例12】
【0177】
4−{5−[(4−カルバモイル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−2−(2−クロロフェニル)チエン−3−イル}フェニルプロパン−1−スルホネート。
【0178】
12A)5−(2−クロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボン酸。
【0179】
5−(2−クロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボン酸を、段階1A)から1E)において用いた手順に従い、(4−メトキシフェニル)酢酸およびメチル2−クロロベンゾエートから調製する。この手順の最終段階において、5gのメチル5−(2−クロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−2−チオフェンカルボキシレートおよび1.11gの水酸化ナトリウムペレットを30mlのメタノールおよび3mlのジオキサンに添加する。この反応媒体を50から60℃で5時間加熱する。これを蒸発乾固して水を添加し、不純物をエーテルで抽出する。水相を酸性化し、期待化合物をエーテルで抽出する。乾燥および蒸発の後、3.5gの期待化合物が得られる。
【0180】
12B)1−{[5−(2−クロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0181】
12A)において得られた化合物1.5g、1.047gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩、1.83mlのEtNおよび1.56gのTBTUをATで100mlのCHClに添加した後、この混合物を一晩撹拌する。これを蒸発乾固して水を添加し、期待化合物を酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥させ、濾過して蒸発乾固する。結晶化した化合物をエチルエーテルで洗浄した後、濾別して乾燥させる。2gの期待化合物が得られる。
【0182】
12C)1−{[5−(2−クロロフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0183】
段階12B)において得られた化合物1.7g、次いでCHCl中のBBrの1M溶液12.8mlを50mlのCHClに融氷温度で添加し、反応媒体の温度を一晩でATに戻す。次に、この反応媒体を蒸留水に注ぎ、期待化合物をCHClで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。化合物がエチルエーテルから結晶化する。1.2gの期待化合物が得られる。
【0184】
12D)4−{5−[(4−カルバモイル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−2−(2−クロロフェニル)チエン−3−イル}フェニルプロパン−1−スルホネート。
【0185】
12C)において得られた化合物0.3g、0.29mlのEtN、次いで0.207gの塩化プロパン−1−スルホニルをATで30mlのCHClに添加する。3時間後、反応媒体を蒸留水に注ぎ、化合物を抽出する。乾燥、蒸発、次いでエーテルでの洗浄の後、0.13gの期待化合物が得られる。
【実施例13】
【0186】
4−{5−[(4−カルバモイル−4−フェニルピペリジン−1−イル)カルボニル]−2−(2−クロロフェニル)チエン−3−イル}フェニル3,3,3−トリフルオロプロパン−1−スルホネート。
【0187】
段階12C)において得られた化合物0.3g、0.29mlのEtN,次いで0.28gの塩化3,3,3−トリフルオロプロパン−1−スルホニルを30mlのCHClにATで添加する。3時間後、この混合物を蒸発乾固する。水および酢酸エチルを添加した後、この合わせた混合物を撹拌する。濾過、エーテルでのすすぎ、次いで乾燥の後、0.13gの期待化合物が得られる。
【実施例14】
【0188】
1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−{4−[(4,4,4−トリフルオロブチル)チオ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0189】
0.455gの4,4,4−トリフルオロブタン−1−チオールおよび0.072gの水素化ナトリウムを、予めアルゴンで15分間脱気された、0℃のキシレン25mlに添加した後、ATに戻しながらこの混合物を1時間撹拌したままにする。次に、9A)において得られた化合物1g、0.119gのPd(dba)および0.087gのキサントホスを添加する。続いて、この反応媒体を150℃で一晩加熱する。反応媒体を蒸発乾固して水および酢酸エチルを添加し、不溶性物質を濾別し、有機相を水で洗浄し、有機相を乾燥させ、濾過して濃縮する。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から4%までの勾配))による精製の後、0.16gの期待化合物が得られる。
【実施例15】
【0190】
1−{[5−(2,4−ジクロロフェニル)−4−{4−[(4,4,4−トリフルオロブチル)スルホニル]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0191】
実施例14において得られた化合物0.36gおよび0.385gの70% MCPBAを20mlのCHClにATで添加した後、この混合物を一晩撹拌したままにする。次に10% NaCO溶液を添加し、この混合物を30分間激しく撹拌する。有機相を分離し、乾燥させて蒸発させる。シリカでのクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−MeOH(0%から4%までの勾配))による精製の後、0.19gの期待化合物が得られる。
【実施例16】
【0192】
1−({5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0193】
16A)1−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタノン。
【0194】
THF中のNaHMDSの2M溶液230mlを窒素の下で250mlのTHFに導入する。この溶液を−60℃に冷却した後、THF 120ml中に30.5gの(4−メトキシフェニル)酢酸をこの温度で添加する。−60℃で1時間30分後、33gのメチル2−クロロ−4−フルオロベンゾエートを添加し、この混合物を−60℃で45分間撹拌した後、0℃に戻す。反応媒体を500mlの氷冷2N HClに注いでエーテルで抽出し、抽出物を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。乾燥、濃縮乾固、次いでペンタンからの結晶化の後、27.4gの期待化合物が得られる。
【0195】
16B)(2E)−1−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)−2−(4−メトキシフェニル)プロプ−2−エン−1−オン
16A)において得られた化合物27.4gおよび35gの1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンを100mlのTHFに添加し、この混合物を3時間還流する。濃縮乾固、次いでイソプロピルエーテルからの結晶化の後、24.7gの期待化合物が得られる。
【0196】
16C)(2E)−3−クロロ−3−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)アクリルアルデヒド。
【0197】
段階16B)において得られた化合物24.7g、次いで17.3gのPOClを200mlのCHClに添加する。この混合物を45℃で一晩加熱した後、濃縮乾固する。この残滓をTHFに溶解した後、50mlの水を添加する。エーテルで抽出を行い、抽出物を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。乾燥および濃縮乾固の後、24gの期待化合物が得られる。
【0198】
16D)メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキシレート。
【0199】
16C)において得られた化合物24g、次いで16.5mlのメチルメルカプトアセテートを240mlのアセトニトリルに添加する。この混合物を60℃に加熱し、12mlのDBUを添加する。この混合物を60℃で2時間維持、次いでATで一晩維持する。これを濃縮乾固し、残滓を酢酸エチルに溶解して1N HCl、次いで水で洗浄する。乾燥、濃縮乾固、次いでメタノールからの結晶化の後、20.6gの期待化合物が得られる。
【0200】
16E)メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−カルボキシレート。
【0201】
段階16D)において得られた化合物を100mlのCHClに添加して、−50℃への冷却を行い、CHCl中のBBrの1M溶液40mlを添加する。温度を20℃に戻した後、20mlのメタノールを添加する。この混合物を濃縮乾固して残滓をCHClに溶解し、水で洗浄し、MgSO、濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン/AcOEt 75/25まで)による精製の後、4.8gの期待化合物が得られる。
【0202】
16F)メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボキシレート。
【0203】
段階16E)において得られた化合物4.8g、3.6gの2−(3−ブロモプロポキシ)テトラヒドロ−2H−ピランおよび2.2gの炭酸カリウムを30mlのDMFに添加した後、この混合物を60℃で7時間加熱する。これを氷冷水に注ぎ、エーテルで抽出を行い、抽出物を乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(ヘプタン、次いでヘプタン/AcOEt:90/10)による精製の後、6.2gの期待化合物が得られる。
【0204】
16G)5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボン酸。
【0205】
段階16F)において得られた化合物3.1g、次いで800mgの水酸化ナトリウムペレットを30mlのメタノールおよび1mlの水に添加する。この反応混合物を2時間還流する。これを濃縮乾固し、残滓をpH2のバッファ溶液500mlに溶解してエーテルで抽出を行い、抽出物を乾燥させて濃縮乾固する。ペンタンから結晶化される、3gの期待化合物が得られる。
【0206】
16H)1−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0207】
段階16G)において得られた化合物0.5g、0.25gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩、0.43mlのEtNおよび0.36gのTBTUを10mlのCHClに添加した後、ATで2時間反応させる。濃縮乾固、水/エーテル混合液中での残滓の溶解および濾過の後、0.6gの期待化合物が得られる。
【0208】
16I)1−({5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0209】
段階16H)において得られた化合物0.6gおよび2mlの2Nエーテル性塩酸を15mlのメタノールに添加する。ATで2時間後、期待化合物を濾別する。0.385gの期待化合物が得られる。
【実施例17】
【0210】
1’−({5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2−チエニル}カルボニル)−4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド塩酸塩。
【0211】
17A)1’−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド。
【0212】
段階16G)において得られた化合物0.5g、0.33gの4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド(出願WO2008/068423の第23頁、調製5に記載)、0.57mlのEtNおよび0.36gのTBTUを10mlのCHClに添加する。ATで2時間、濃縮乾固、水/エーテル混合液中での残滓の溶解および濾過の後、0.63gの期待化合物が得られる。
【0213】
17B)1’−({5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド塩酸塩。
【0214】
段階17A)において得られた化合物0.63gおよび2mlの2Nエーテル性塩酸を15mlのメタノールに添加する。ATで1時間、濃縮乾固、次いでAcOEtからの結晶化の後、0.612gの期待化合物が得られる。
【実施例18】
【0215】
1−({5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0216】
18A)1−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピペリジン−4−カルボキサミド。
【0217】
段階16G)において得られた化合物0.5g、0.41gの4−(3,3,3−トリフルオロプロピルアミノ)ピペリジン−4−カルボキサミド(調製1)、0.71mlのEtNおよび0.36gのTBTUを10mlのCHClに添加する。ATで3時間後、この混合物を濃縮乾固し、残滓をエーテルに溶解して水で洗浄し、乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶出勾配:ヘプタン/AcOEt 90/10から純粋AcOEtまで)による精製の後、0.7gの期待化合物が得られる。
【0218】
18B)1−({5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−[(3,3,3−トリフルオロプロピル)アミノ]ピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩。
【0219】
段階18A)において得られた化合物0.7gおよび3mlの2Nエーテル性塩酸を15mlのメタノールに添加する。ATで2時間、濃縮乾固、エーテル中での残滓の溶解、次いで濾過の後、0.57gの期待化合物が得られる。
【実施例19】
【0220】
1−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0221】
19A)メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チオフェン−2−カルボキシレート。
【0222】
段階16F)において得られた化合物3.1gおよび1mlのAmberlyst 15樹脂を40mlのメタノールに添加する。この混合物を2時間還流して樹脂を濾別し、濾液を濃縮乾固する。この残滓をエーテルに溶解し、水で洗浄して乾燥させた後、濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶出勾配:ヘプタンからヘプタン/AcOEt 60/40まで)による精製の後、2.0gの期待化合物が得られる。
【0223】
19B)メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−(4−{3−[(メチルスルホニル)オキシ]プロポキシ}フェニル)チオフェン−2−カルボキシレート。
【0224】
19A)において得られた化合物2g、次いで0.79mlのEtNを40mlのCHClに添加する。この混合物を0℃に冷却した後、0.44mlのMsClを添加する。15分後、水で洗浄を行い、有機相を乾燥させて濃縮乾固する。2.38gの期待化合物が得られる。
【0225】
19C)メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボキシレート。
【0226】
19B)において得られた化合物2.38gおよび0.83gのナトリウムチオメトキシドを12mlのDMFに添加し、この混合物をATで2時間撹拌する。この混合物を水に注いでエーテルで抽出を行い、抽出物をHClで洗浄して水で希釈し、乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶出勾配:ヘプタンからヘプタン/AcOEt 93/7まで)による精製の後、1.68gの期待化合物が得られる。
【0227】
19D)5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボン酸。
【0228】
19C)において得られた化合物1.68g、次いで0.45gのNaOHを20mlのMeOHおよび1mlの水に添加する。この混合物を2時間還流した後、濃縮乾固する。この残滓を水に溶解して2N HClで酸性化を行い、エーテルで抽出を行い、抽出物を乾燥させて濃縮乾固する。1.51gの期待化合物が得られる。
【0229】
19E)1−{[5−{2−クロロ−4−フルオロフェニル}−4−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル]−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0230】
19D)において得られた化合物0.5g、0.28gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩(調製2)、0.48mlのEtNおよび0.405gのTBTUを10mlのCHClに添加する。ATで2時間後、この混合物を濃縮乾固し、残滓を水/エーテル混合液に溶解して濾過を行う。0.635gの期待化合物が得られる。
【実施例20】
【0231】
1−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルスルホニル)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0232】
段階19E)において得られた化合物0.43gおよび0.425gのMCPBAを10mlのCHClに添加し、この混合物をATで3時間撹拌する。これを重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶出勾配:CHClからCHCl/MeOH 98/2まで)による精製の後、0.216gの期待化合物が得られる。
【実施例21】
【0233】
1’−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルチオ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド塩酸塩。
【0234】
段階19D)において得られた化合物0.5g、0.51gの4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド(出願WO2008/068423の第23頁、調製5に記載)、0.8mlのEtNおよび0.405gのTBTUを10mlのCHClに添加する。ATで3時間後、この混合物を濃縮乾固し、エーテルに溶解して水で洗浄し、乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶出勾配:CHClからCHCl/MeOH 98/2まで)による精製の後、得られた化合物をCHClに溶解し、エーテル性塩酸を添加して1のpHまで低下させた後、混合物を濃縮乾固する。この残滓をエーテルに溶解して濾過した後、0.723gの期待化合物が得られる。
【実施例22】
【0235】
1’−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルスルホニル)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド塩酸塩。
【0236】
22A)5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルスルホニル)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボン酸。
【0237】
段階19D)において得られた化合物0.5gおよび0.62gのMCPBAを15mlのCHClに添加し、この混合物をATで4時間撹拌する。濃縮、濾過およびイソプロピルエーテルでのすすぎの後、0.585gの期待化合物が得られる。
【0238】
22B)1’−{[5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−{4−[3−(メチルスルホニル)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4,4−ジフルオロ−1,4−ビピペリジン−4’−カルボキサミド塩酸塩。
【0239】
段落22A)において得られた化合物0.3g、0.3gの4,4−ジフルオロ−1,4’−ビピペリジン−4’−カルボキサミド(出願WO 2008/068423の第23頁、調製5に記載)、0.45mlのEtNおよび0.25gのTBTUを10mlのCHClに添加する。ATで3時間後、この混合物を濃縮乾固し、残滓をAcOEtに溶解して水で洗浄し、乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(溶出勾配:CHClからCHCl/MeOH 98/2まで)による精製の後、得られた化合物をCHClに溶解し、エーテル性塩酸を添加して1のpHまで低下させた後、混合物を濃縮乾固する。0.28gの期待化合物が得られる。
【実施例23】
【0240】
1−({5−(2−クロロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0241】
23A)1−(2−クロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタノン。
【0242】
THF中のNaHMDSの2M溶液230mlを窒素の下で250mlのTHFに導入する。この溶液を−60℃に冷却した後、THF 120ml中に30.5gの(4−メトキシフェニル)酢酸をこの温度で添加する。−60℃で1時間30分後、29.8gのメチル2−クロロベンゾエートを添加し、この混合物を−60℃で45分間撹拌した後、0℃に戻す。この反応媒体を500mlの氷冷2N HClに注ぎ、エーテルで抽出を行い、抽出物を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。乾燥および濃縮乾固の後、シリカでのクロマトグラフィー(勾配:ヘプタンからヘプタン/AcOEt 80/20まで)によって精製を行う。7.3gの期待化合物が得られる。
【0243】
23B)(2E)−1−(2−クロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)−2−(4−メトキシフェニル)プロプ−2−エン−1−オン。
【0244】
23A)において得られる化合物7.3gおよび9.5gの1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミンを25mlのTHFに添加し、この混合物を3時間還流する。濃縮乾固の後、シリカでのクロマトグラフィー(勾配:CHClからCHCl/AcOEt 80/20まで)によって精製を行う。9.2gの期待化合物が得られる。
【0245】
23C)(2E)−3−クロロ−3−(2−クロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)アクリルアルデヒド。
【0246】
段階23B)において得られた化合物9.2g、次いで6.8gのPOClを75mlのCHClに添加する。この混合物を45℃で一晩加熱した後、濃縮乾固する。この残滓をTHFに溶解し、20mlの水を添加する。エーテルで抽出を行い、抽出物を水、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。乾燥および濃縮乾固の後、9.1gの期待化合物が得られる。
【0247】
23D)メチル5−(2−クロロフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)チオフェン−2−カルボキシレート。
【0248】
23C)において得られた化合物9.1g、次いで6.62mlのメチルメルカプトアセテートを90mlのアセトニトリルに添加する。この混合物を60℃に加熱し、4.83mlのDBUを添加する。この混合物を60℃で2時間、次いでATで一晩維持する。これを濃縮乾固し、残滓を酢酸エチルに溶解して1N HCl、次いで水で洗浄する。乾燥、濃縮乾固、次いでメタノールからの結晶化の後、7.8gの期待化合物が得られる。
【0249】
23E)メチル5−(2−クロロフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−カルボキシレート。
【0250】
段階23D)において得られた化合物5gを100mlのCHClに添加し、−50℃で冷却を行い、CHCl中のBBrの1M溶液41.8mlを添加する。温度を20℃に戻した後、20mlのメタノールを添加する。この混合物を濃縮乾固し、残滓をCHClに溶解して水で洗浄し、MgSOで脱水させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(ヘプタンからヘプタン/AcOEt 75/25まで)による精製の後、4.57gの期待化合物が得られる。
【0251】
23F)メチル5−(2−クロロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボキシレート。
【0252】
段階23E)において得られた化合物2.3g、1.95gの2−(3−ブロモプロポキシ)テトラヒドロ−2H−ピランおよび1.2gの炭酸カリウムを15mlのDMFに添加した後、この混合物を60℃で7時間加熱する。これを氷冷水に注ぎ、エーテルで抽出を行い、抽出物を乾燥させて濃縮乾固する。シリカでのクロマトグラフィー(ヘプタン、次いでヘプタン/AcOEt 80/20)による精製の後、3.1gの期待化合物が得られる。
【0253】
23G)5−(2−クロロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チオフェン−2−カルボン酸。
【0254】
段階23F)において得られた化合物3.1g、次いで800mgの水酸化ナトリウムペレットを30mlのメタノールおよび1mlの水に添加する。この反応混合物を2時間還流する。これを濃縮乾固し、残滓をpH2のバッファ溶液500mlに溶解してエーテルで抽出を行い、抽出物を乾燥させて濃縮乾固する。イソプロピルエーテル/ペンタン混合液から結晶化する、2.8gの期待化合物が得られる。
【0255】
23H)1−{[5−(2−クロロフェニル)−4−{4−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロポキシ]フェニル}チエン−2−イル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0256】
段階23G)において得られる化合物0.5g、0.26gの4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド塩酸塩、0.44mlのEtNおよび0.38gのTBTUを15mlのCHClに添加した後、ATで2時間反応させる。濃縮乾固、水/エーテル混合液中での残滓の溶解および濾過の後、0.45gの期待化合物が得られる。
【0257】
23I)1−({5−(2−クロロフェニル)−4−[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]チエン−2−イル}カルボニル)−4−フェニルピペリジン−4−カルボキサミド。
【0258】
段階23H)において得られた化合物0.45gおよび2mlの2Nエーテル性塩酸を10mlのメタノールに添加する。ATで2時間後、期待化合物を濾別する。0.26gの期待化合物が得られる。
【0259】
幾つかの本発明による化合物の化学構造およびこれらの物理的特性(連結LC/UV/MS:液体クロマトグラフィー/UV検出/質量分析による測定)を表1および2に示す。これらの化合物は上述の例に示されるか、または例(実施例1から23)に示される化合物のものに類似する手順に従って調製される。
【0260】
表1および2において、Meはメチル基を表す。
【0261】
【表5】


【0262】
【表6】






【0263】
化合物6、8、13、27、31および45に対してNMRによって行われた分析を以下に示す:
化合物6:H NMR:d−DMSO(250MHz):δ(ppm):1.67−1.90:m:2H;2.39−2.58:m:2H;3.13−3.38:m:2H;3.63:q:2H;3.91:t:2H;4.03−4.22:m:2H;4.81:t:1H;6.86:d:2H;7.00−7.12:m:3H;7.15−7.47:m:9H;7.68:d:1H。
【0264】
化合物8:H NMR:d−DMSO(250MHz):δ(ppm):1.60−2.04:m:4H;2.37−2.62:m:2H;3.15−3.41:m:2H;3.48:q:2H;3.94:t:2H;4.02−4.21:m:2H;4.46:t:1H;6.80:d:2H;6.97−7.13:m:3H;7.14−7.25:m:2H;7.27−7.41:m:4H;7.44:s:2H;7.55:s:1H;7.68:s:1H。
【0265】
化合物13:H NMR:d−DMSO(250MHz):δ(ppm):1.31−1.66:m:4H;1.76−1.97:m:2H;2.48−2.63:m:2H;3.19−3.50:m:6H;4.10−4.25:m:2H;4.42:t:1H;7.12:s:1H;7.20−7.60:m:10H;7.75:d:2H;7.82:d:2H。
【0266】
化合物27:H NMR:d−DMSO(250MHz):δ(ppm):1.77−2.02:m:2H;2.46−2.62:m:2H;3.20−3.53:m:2H;3.68:q:2H;3.95:t:2H;4.10−4.25:m:2H;4.83:t:1H;6.85:d:2H;7.07−7.17:m:3H;7.22−7.30:m:2H;7.32−7.47:m:4H;7.49:d:2H;7.61:s:1H;7.73:t:1H。
【0267】
化合物31:H NMR:d−DMSO(400MHz):δ(ppm):1.00:t:3H;1.71−1.85:m:2H;1.84−1.95:m:2H;2.53:d:2H;3.32−3.44:m:2H;3.47:t:2H;4.15:d:2H;7.09:s:1H;7.20−7.32:m:6H;7.34:t:2H;7.41:d:2H;7.48:dd:1H;7.52:d:1H;7.67:s:1H;7.73:d:1H。
【0268】
化合物45:H NMR:d−DMSO(250MHz):δ(ppm):1.70−1.99:m:4H;2.45−2.63:m:2H;3.31:brs:2H;3.53:q:2H;3.98:t:2H;4.17:dt:2H;4.51:t:1H;6.82:d:2H;7.06−7.18:m:3H;7.20−7.65:m:11H。
【0269】
式(I)の化合物は、M.Rinaldi−Carmonaら(FEBS Letters,1994,350,240−244)によって記述される実験条件下で、CBカンナビノイド受容体に対する非常に良好なイン・ビトロ親和性(IC50≦5×10−7M)を有する。
【0270】
M.Bouaboula et al.,J.Biol.Chem.,1995,270,13973−13980、M.Rinaldi−Carmona et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,278,871−878およびM.Bouaboula et al.,J.Biol.Chem.,1997,272,22330−22339に記載されるアデニレートサイクラーゼの阻害のモデルにおいて得られる結果により、式(I)の化合物のアンタゴニスト性がイン・ビトロで示された。
【0271】
血液脳脊髄関門(HEB)での式(I)の化合物の低い透過を、イン・ビボで、以下によって評価した:
測定(1):LC−MS/MS分析技術を用いる、静脈内(iv、3mg/kg)または経口投与後のマウス脳サンプルにおける式(I)の化合物(非荷電)の定量。
【0272】
0.2未満の(脳内に存在する量)/(血漿中に存在する量)比が脳に関する化合物の低透過を反映する。
【0273】
測定(2):M.Rinaldi−Carmona et al.,FEBS Letters,1994,350,240−244、M.Rinaldi−Carmona et al.,Life Sciences,1995,56,1941−1947およびM.Rinaldi−Carmona et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,2004,310,905−914に記述される、静脈内投与(10mg/kg)後の生体外[H]−CP55940(CBアゴニスト)結合アッセイを用いる、式(I)の化合物とマウスの脳内に存在するCB受容体との相互作用の測定。
【0274】
10mg/kgで50%未満の脳に関する[H]−CP55940の結合の阻害パーセンテージが脳に関する低透過を反映する。好ましくは、このパーセンテージは40%未満、より好ましくは、30%未満である。
【0275】
測定(3):M.Rinaldi−Carmona et al.,JPET,2004,310,905−914に記述される、静脈内投与(10mg/kg)後にCB受容体のアゴニスト(CP55940)によって誘発される体温低下効果の、式(I)の化合物による遮断の測定。
【0276】
10mg/kgで60%以下の、CP55940体温低下効果の復帰のパーセンテージが脳に関する低透過を反映する。好ましくは、このパーセンテージは40%未満、より好ましくは、30%未満である。
【0277】
本発明による式(I)の化合物と末梢に存在するCB受容体との相互作用が、M.Rinaldi−Carmona et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,2004,310,905−914に記述される、経口投与(po、10mg/kg)後に胃腸管(GIT)に対してCP55940によって誘発される阻害効果の遮断の測定により、マウスにおいて示された。
【0278】
10mg/kgで50%を上回る、CP55940の体温低下効果の復帰のパーセンテージが、末梢に存在するCB受容体に関する著しいアンタゴニスト力を反映する。好ましくは、復帰のパーセンテージは70%から100%である。
【0279】
例として、表3の化合物8および45に対して以下の測定を行った。
【0280】
【表7】

【0281】
式(I)の化合物は医薬としての使用に適合する。
【0282】
従って、この態様の別のものによると、本発明の主題は、式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される酸もしくは塩基との後者の付加塩を含むヒト用の医薬または獣医学上の医薬である。
【0283】
従って、本発明による化合物は、ヒトまたは動物において(特に、イヌ、ネコ、ウマ、ウシまたはヒツジを限定なしに含む、哺乳動物において)、CBカンナビノイド受容体が関与する疾患の治療および/または予防において用いることができる。
【0284】
例えば、限定なしに、式(I)の化合物は向精神薬として、特に、不安、うつ、気分障害、不眠症、妄想障害、強迫障害、精神病一般、統合失調症または多動児における注意欠陥多動性障害(ADHD)を含む精神障害の治療および/または予防、並びに、特に物質の乱用および/またはアルコール依存およびニコチン依存を含む物質に対する依存の場合における、向精神性物質の使用に関連する障害の治療および/または予防において有用である。
【0285】
本発明による式(I)の化合物は医薬として、片頭痛、ストレス、心身起源の疾患、パニック発作、てんかん、運動障害、特に、ジスキネジアまたはパーキンソン病、振戦およびジストニアの治療および/または予防において用いることができる。
【0286】
本発明による式(I)の化合物は医薬として、記憶障害または認知障害の治療および/または予防、特に、老年性認知症またはアルツハイマー病の治療および/または予防、並びに注意もしくは警戒の障害の治療および/または予防において用いることもできる。
【0287】
さらに、式(I)の化合物は神経保護剤として、虚血、脳外傷の治療並びに、舞踏病、ハンチントン舞踏病もしくはトゥーレット症候群を含む、急性もしくは慢性神経変性疾患の治療および/または予防において有用であり得る。
【0288】
本発明による式(I)の化合物は医薬として、特に、神経障害痛、急性末梢痛、炎症起源の慢性痛または抗癌治療によってもたらされる疼痛を含む、疼痛の治療および/または予防において用いることができる。
【0289】
本発明による式(I)の化合物は、ヒトまたは獣医学における医薬として、代謝、食欲、(糖、炭水化物、薬物、アルコールまたはあらゆる食欲を促す物質に対する)欲求および/または摂食行動の障害の治療および/または予防において、特に、肥満もしくは過食症の治療および/または予防に加えて、糖尿病、特に、II型糖尿病もしくは非インスリン依存性糖尿病の治療および/または予防並びに脂質異常症もしくはメタボリックシンドロームの治療および/または予防において用いることができる。従って、本発明による式(I)の化合物は肥満および肥満に関連する危険性、特に、心血管系の危険性の治療および/または予防において有用である。
【0290】
さらに、本発明による式(I)の化合物は、医薬として、胃腸障害、下痢、潰瘍、嘔吐、膀胱および尿障害、アルコールもしくは非アルコール起源の肝疾患、例えば、慢性肝硬変、線維症、肝脂肪変性もしくは脂肪性肝炎に加えて、内分泌起源の障害、心血管障害、低血圧、アテローム性動脈硬化、出血性ショック、敗血性ショック、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、レイノー症候群、緑内障、受胎障害、早産、妊娠中絶、炎症性の現象、免疫系の疾患、特に、自己免疫および神経炎症性疾患、例えば、関節リウマチ、反応性関節炎、脱随をもたらす疾患、多発性硬化症、感染性もしくはウイルス性疾患、例えば、脳炎、または脳卒中の治療および/または予防において、並びに抗癌化学療法のための医薬として、ギラン・バレー症候群の治療において、骨障害および骨粗鬆症の治療および/または予防において用いることができる。
【0291】
さらに、本発明による式(I)の化合物は、医薬によって誘発される心臓毒性に対するこれらの保護効果に用いることができる。
【0292】
本発明によると、式(I)の化合物は、精神障害、特に、統合失調症、注意および警戒の障害または多動児における注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療および/または予防;記憶障害および認知障害の治療および/または予防;物質への依存および物質からの離脱、特に、アルコール依存、ニコチン依存、アルコール離脱およびタバコ離脱;または急性もしくは慢性神経変性疾患の治療および/または予防において有用である医薬の調製において非常に格別に有用である。
【0293】
本発明によると、式(I)の化合物は、食欲の障害、欲求の障害、代謝障害、肥満、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、脂質異常症、胃腸障害、炎症性現象、免疫系の疾患、精神障害、アルコール依存またはニコチン依存の治療および/または予防において有用である医薬の調製においても非常に格別に有用である。
【0294】
この態様の1つによると、本発明は、上に示される障害および疾患の治療および/または予防における式(I)の化合物およびこの医薬的に許容される塩の使用に関する。
【0295】
この態様の別のものによると、本発明は、本発明による式(I)の化合物を活性主成分として含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、有効用量の少なくとも1種類の本発明による化合物または前記化合物の1種類の医薬的に許容される塩および少なくとも1種類の医薬的に許容される賦形剤を含む。
【0296】
前記賦形剤は、医薬形態および望ましい投与方法に従い、当業者に公知である通常の賦形剤から選択される。
【0297】
本発明による医薬組成物は、式(I)の化合物に加えて、1種類(以上)の、上で示される障害および疾患の治療および/または予防において有用である他の活性主成分を含むことができる。
【0298】
従って、本発明の別の主題は、本発明による式(I)の化合物を以下の治療範疇のうちの1つから選択される1種類(以上)の活性主成分との組み合わせで含む医薬組成物である:
CBカンナビノイド受容体の別のアンタゴニストまたはアロステリック調節因子;
CBカンナビノイド受容体の調節因子;
アンギオテンシンII AT受容体アンタゴニスト;
変換酵素阻害剤;
カルシウムアンタゴニスト;
利尿剤;
ベータ−ブロッカー
抗脂質異常症薬または高コレステロール血症抑制剤;
抗糖尿病薬;
別の抗肥満剤または代謝障害に対して有効な薬剤;
ニコチンアゴニストまたは部分的ニコチンアゴニスト;
抗うつ剤、抗精神病剤または抗不安剤;
抗新生物薬または抗増殖剤;
オピオイドアンタゴニスト;
および:
記憶を改善する薬剤;
アルコール依存症または離脱の症状の治療において有用な薬剤;
骨粗鬆症の治療において有用な薬剤;
非ステロイド性またはステロイド性抗炎症剤;
抗感染剤;
鎮痛剤;
抗喘息薬。
【0299】
本発明の別の態様によると、式(I)の化合物、この医薬的に許容される塩のうちの1つおよび他の関連活性主成分を同時に、別々に、または長時間にわたって分けて(spread out over time)投与することができる。
【0300】
「同時使用」は、同一の医薬形態内に含められる本発明による組成物の化合物の投与を意味するものと理解される。
【0301】
「別々の使用」は、各々が別の医薬形態内に含められる、本発明による組成物の2種類の化合物の同時投与を意味するものと理解される。
【0302】
「長時間にわたって分けられた使用」は、医薬形態内に含められる本発明による組成物の第1化合物、次いで別の医薬形態内に含められる本発明による組成物の第2化合物の連続投与を意味するものと理解される。この場合、本発明による組成物の第1化合物の投与と本発明による同じ組成物の第2化合物の投与との間で経過する期間は、一般には、24時間を超えることがない。
【0303】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所(topical)、局所(local)、気管内、鼻内、経皮または直腸投与用の本発明の医薬組成物において、上記式(I)の活性主成分またはこの場合による塩を、単位投与形態で、従来の医薬賦形剤との混合物として、上記障害または疾患の予防、治療および/または阻止のため、動物および人間に投与することができる。
【0304】
適切な単位投与形態には経口形態、例えば、錠剤、ソフトもしくはハードゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口溶液もしくは懸濁液、舌下、頬、気管内、眼内または鼻内投与形態、吸入による投与のための形態、局所、経皮、皮下、筋肉内、または静脈内投与形態、直腸投与形態およびインプラントが含まれる。局所塗布については、本発明による化合物をクリーム、ゲル、軟膏またはローション中で用いることができる。
【0305】
例として、錠剤形態にある本発明による化合物の単位投薬形態は以下の成分を含むことができる:
本発明による化合物 : 50.0mg
マンニトール : 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム : 6.0mg
トウモロコシデンプン : 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース : 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム : 3.0mg
経口で、毎日投与される活性主成分の用量は、すべてを一度に、または1日にわたって分けて摂取して、0.01から100mg/kg、好ましくは、0.02から50mg/kgに到達し得る。
【0306】
より多い、またはより少ない投薬量が適切である特定の場合が存在し得る;このような投薬量が本発明の範囲から逸脱することはない。通常の実務によると、各々の患者に適する投薬量は、医師が、投与方法並びに前記患者の体重および応答に従って決定する。
【0307】
本発明は、この態様の別のものによると、上に示される病理の治療および/または予防のための方法であって、有効用量の本発明による化合物またはこの医薬的に許容される塩のうちの1種類を患者に投与することを含む方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはこの塩、
【化1】

(式中、RおよびRは、これらが結合する窒素原子と共に、以下を形成し、
非置換であるか、またはフェニル、ベンジル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキソリルメチル、テトラヒドロフラニルカルボニル、−COR11および/もしくは−CHCOR11基によって置換される2個の窒素原子を含む、5から7原子の飽和複素環ラジカルであって、フェニル基はそれ自体非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される飽和複素環ラジカル、
または、非置換であるか、もしくは以下のものから各々独立に選択される置換基によって1回もしくは2回置換される窒素原子を含む、4から7原子の飽和複素環ラジカル、
シアノ、−COR11、−CHNHR12、−(C−C)シクロアルキル、−CHCOR11、−NR1213、−NHCOR14、−SO14および/もしくは−SONR1213基、
並びに/またはフェニル、ベンジルもしくはピリジニル基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルもしくはアゼチジン−1−イル基、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはフェニルアミノもしくはベンジルアミノ基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/または非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキルおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換されるアミノ(C−C)アルキル基、
並びに/または非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換されるアミノ(C−C)シクロアルキル基、前記(C−C)アルキル基は非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される、
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−S(O)14、−OSO14もしくは(C−C)アルキル基および/または(C−C)アルコキシ基を表し、前記基は非置換であるか、または、2つの置換基RおよびRの一方がY−A−R基を表すという条件の下で、フッ素原子によって1回以上置換され、
Yは酸素原子または−S(O)n’−もしくは−OSO−基を表し、
Aは、非置換であるか、または(C−C)アルキル基および/もしくはフッ素原子から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、(C−C)アルキレン基を表し、
は−OR19、−CN、−CH、−CF、−NR1920、−CO19、−CONR1920、−NR15COR19、−CONHNH、−CONHOH、−CONHSO21、−S(O)21、−SONR1920、−NR18SO21または−NR15SONR1920基を表し、
10は水素原子または(C−C)アルキル基、好ましくは、水素原子を表し、
11は以下を表し、
(C−C)アルキル、フェニル、ベンジル、(C−C)アルコキシまたは(C−C)アルキレン−O−(C−C)アルキル基、前記基は非置換であるか、または(C−C)アルコキシ基および/もしくはヒドロキシル基から各々独立に選択される置換基並びに/または1以上のフッ素原子によって置換される、
並びに/または−NR1617基、
12およびR13は、各々独立に、水素原子または、場合によりフッ素原子、−OH基および/もしくは−OR14基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される(C−C)アルキル基を表し、
または、R12およびR13は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素もしくはイオウ原子から選択される第2へテロ原子を含むことができる4から7員複素環ラジカルを形成し、
nは0、1または2を表し、
n’は0、1または2を表し、
14は、非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基を表し、
15は水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
16およびR17は、各々独立に、以下を表し、
水素原子、
並びに/または、非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、ベンジル基、
並びに/または、場合によりハロゲン原子または−OHおよび/もしくは−OR14基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基、
18は水素原子または、非置換であるか、もしくはフッ素原子によって1回以上置換される(C−C)アルキル基を表し、
19およびR20は、各々独立に、水素原子または、場合によりフッ素原子、−OH基および/もしくは−OR14基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基を表し、
またはR19およびR20は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素もしくはイオウ原子から選択される第2へテロ原子を含むことができる、4から7員複素環ラジカルを形成し、
21は、非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換される、(C−C)アルキル基を表す。)
【請求項2】
Yが酸素原子を表す式(IA)の請求項1に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項3】
Yが−S(O)n’−基を表す式(IB)の請求項1に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項4】
Yが−O(SO)−基を表す式(IC)の請求項1に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項5】
がY−A−R基を表し、
が水素原子、ハロゲン原子、−CN、−S(O)14または−OSO14基、(C−C)アルキル基または(C−C)アルコキシ基を表し、前記基は非置換であるか、または1個以上のフッ素原子で置換され、
並びに、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項6】
がY−A−R基を表し、
が水素原子、ハロゲン原子、−CN、−S(O)14もしくは−OSO14基、(C−C)アルキル基または(C−C)アルコキシ基を表し、前記基は非置換であるか、または1個以上のフッ素原子によって置換され、
並びに、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項7】
がY−A−R基を表し、
、R、R、RおよびRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−CN基および/または(C−C)アルキル基を表し、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換され、
並びに、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項8】
がY−A−R基を表し、
、R、R、RおよびRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、−CN基および/または(C−C)アルキル基を表し、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子によって1回以上置換され、
並びに、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から4および6のいずれか一項に記載の化合物、またはこの塩。
【請求項9】
Aが非置換(C−C)アルキレン基を表し、
および他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの塩。
【請求項10】
が−OR19、−CH、−CF、−NR1920、−CONR1920、−NR15COR19、−S(O)21または−NR18SO21基を表し、
および他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの塩。
【請求項11】
Yが酸素原子またはイオウ原子を表し、
および他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの塩。
【請求項12】
およびRが、これらが結合する窒素原子と共に、ホモピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルを形成し、前記ラジカルは以下から各々独立に選択される置換基によって1回または2回置換され、
シアノ、−COR11、−NR1213、−NHCOR14、−CHCOR11、−SO14および/もしくは−SONR1213基、
並びに/またはフェニル、ベンジルもしくはピリジニル基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルもしくはアゼチジン−1−イル基、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはフェニルアミノもしくはベンジルアミノ基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/またはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/または、非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換されるアミノ(C−C)アルキル基、
並びに/または、非置換であるか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換され、前記(C−C)アルキル基は非置換であるか、もしくはフッ素原子によって1回以上置換される、アミノ(C−C)シクロアルキル基、
並びに、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの塩。
【請求項13】
およびRが、これらが結合する窒素原子と共に、ホモピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルを形成し、前記ラジカルは二置換され、
第1置換基はシアノ、−COR11、−NHCOR14または−SO14基から選択され、
第2置換基は以下から選択され、
NR1213
並びに/またはフェニル基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはピペリジン−1−イル基、前記基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに/またはベンジルアミノ基、前記基は非置換であるか、またはハロゲン原子もしくは(C−C)アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシおよび/もしくはシアノ基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換される、
並びに他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項12に記載の式(I)の化合物またはこの塩。
【請求項14】
およびRが、これらが結合する窒素原子と共に、ピペリジン−1−イルまたはアゼチジン−1−イルラジカルを形成し、前記ラジカルは二置換され、
第1置換基は−COR11であり、
並びに、第2置換基は−NR1213、フェニル基、ベンジルアミノ基またはピペリジン−1−イル基から選択され、前記ピペリジン−1−イル基は非置換であるか、またはフッ素原子もしくは(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシル、トリフルオロメチルおよび/もしくはOCF基から各々独立に選択される置換基によって1回以上置換され、
並びに、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである、
請求項13に記載の式(I)の化合物、またはこの塩。
【請求項15】
式(I)の化合物の調製方法であって、式(XXX)、(XXXI)または(XXXII)、
【化2】

(式中、Wは(C−C)アルコキシ基、好ましくは、メトキシ基を表し、
並びに他の置換基R、R、R、R、R、R19、R20およびR21は請求項1および5から8のいずれか一項において定義される通りである。)
の化合物のうちの1つを、RおよびRが請求項1および12から14のいずれか一項において定義される通りである、ケン化剤HNRで処理することを特徴とする方法。
【請求項16】
式(I)の化合物の調製方法であって、式(XXX)、(XXXI)または(XXXII)、
【化3】

(式中、Wはヒドロキシルラジカルまたは塩素を表し、
並びに他の置換基R、R、R、R、R、R19、R20およびR21は請求項1および5から8のいずれか一項において定義される通りである。)
の化合物のうちの1つを、RおよびRが請求項1および12から14のいずれか一項において定義される通りである、式HNRのアミンで処理することを特徴とする方法。
【請求項17】
式(XXX)、(XXXI)または(XXXII)の化合物、
【化4】

(式中、Wは(C−C)アルコキシ基、好ましくは、メトキシ基、ハロゲン、好ましくは、塩素原子またはヒドロキシルラジカルを表し、
および、他の置換基は式(I)の化合物について定義される通りである。)
【請求項18】
請求項1から14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)のこの化合物と医薬的に許容される酸もしくは塩基との付加塩を含むことを特徴とする医薬
【請求項19】
請求項1から12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)のこの化合物と医薬的に許容される酸との付加塩および少なくとも1種類の医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項20】
精神障害、物質への依存および物質からの離脱、認知障害、注意および警告の障害、または急性および慢性神経変性疾患の治療および/または予防を目的とする医薬の調製における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
代謝障害、食欲の障害、欲求の障害、肥満、過食症、糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の治療および/または予防を目的とする医薬の調製における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
疼痛、神経障害痛、急性末梢痛、炎症起源の慢性痛または抗癌治療によってもたらされる疼痛の治療および/または予防を目的とする医薬の調製における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
胃腸障害、嘔吐、下痢、潰瘍または肝疾患の治療および/または予防を目的とする医薬の調製における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
炎症現象、免疫系の疾患、関節リウマチ、脱随をもたらす疾患、多発性硬化症、骨疾患および骨粗鬆症の治療および/または予防を目的とする医薬の調製における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
運動疾患および障害、特に、ジスキネジアまたはパーキンソン病、老年性認知症およびアルツハイマー病の治療および/または予防を目的とする医薬の調製における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−529871(P2011−529871A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520572(P2011−520572)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051540
【国際公開番号】WO2010/012964
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】