説明

チタン化合物およびイミンのシアノ化プロセス

本発明は、チタンアルコキシドおよび配位子を含む反応混合物を水と接触させることにより製造される合成反応のためのチタン触媒に関し、配位子は一般式(e)によって表され、この式中のR、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基などであり、ならびに(A)は、炭素原子数2以上の基である。該チタン触媒を固体形態で単離することができ、保管することができる。さらに、本発明は、イミンのシアノ化プロセスに関し、このプロセスは、チタン触媒の存在下でイミンとシアノ化剤を反応させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン化合物、およびそのようなチタン化合物を使用するイミンの不斉シアノ化反応による光学活性α−アミノニトリルの製造プロセスに関する。光学活性α−アミノニトリルは、医薬および精密化学製品の合成における中間体として有用である。
【背景技術】
【0002】
α−アミノ酸の最も古く、最も効率的で経済的な合成方法の1つは、シアン化物源の存在下でのアルデヒドまたはケトンとアンモニア(または等価物)の三成分ストレッカー反応の使用である。図1Aにおける反応によって示されるように、結果として得られるアミノニトリルのその後の加水分解により対応するα−アミノ酸が得られる。図1Bは、改良型ストレッカー反応を示すものであり、これは、アンモニアの代わりにアミンを使用し、イミンの予備形成の後にヒドロシアノ化する、α−アミノ酸の一般に普及しており広く用いられている代替合成経路である。
【0003】
ストレッカー反応の効率の良さおよび多様性にもかかわらず、この反応の触媒不斉バージョンまたはイミンの触媒不斉ヒドロシアノ化は、1990年代半ばまで報告されなかった。それ以来、光学活性α−アミノ酸、とりわけ非タンパク質構成α−アミノ酸、の合成のための効率的な不斉プロセスの開発は、相当な進歩を遂げている。有機金属触媒と有機触媒の両方も、適するシアン化物源の存在下で対応するキラルα−アミノニトリルを製造するためのイミンの不斉ヒドロシアノ化に使用されてきた。良い結果が報告されているものの、これらの触媒系の多くは、多段階合成によって調製される高価な配位子および触媒、ならびに低温などの厳密な条件を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、イミンの不斉ヒドロシアノ化のための改善された化合物および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態において、本発明は、一般式(d)によって表されるチタンアルコキシド:
【0006】
【化1】

【0007】
(この式中、R'は、同じまたは異なることがあり、および置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール基であり;Yは、同じまたは異なることがあり、およびハロゲン原子、アシル基またはアセチルアセトナート基であり;ならびにxは、0〜4の整数である)と式(e)によって表される配位子:
【0008】
【化2】

【0009】
(この式中、R、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、シロキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成してもよく、この環は置換基を有してもよく;ならびに(A)は、炭素原子数2以上の基を表す)
とから調製された錯体と水を接触させることによって製造されるチタン触媒を提供する。
【0010】
一部の事例では、本発明は、一般式(f)によって表される化合物
【0011】
【化3】

(式中、R'は、同じまたは異なることがあり、および置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール基であり;Yは、同じまたは異なることがあり、およびハロゲン原子、アシル基またはアセチルアセトナート基であり;mは1より大きい整数であり;nおよびqは、同じでありまたは異なり、および0以上の整数であり;p、rおよびsは、同じでありまたは異なり、および0以上の整数であり;ならびにLは、一般式(e)によって表される配位子である。
【0012】
【化4】

【0013】
上記式中、R、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、シロキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成してもよく、この環は置換基を有してもよく;ならびに(A)は、炭素原子数2以上の基を表す)
を含む、合成反応のための単離されたチタン触媒を提供する。
【0014】
一部の実施形態において、上記単離されたチタン触媒は、以下の式のいずれか1つによって表されるような化合物を含む。
【0015】
【化5】

【0016】
一部の実施形態において、上記単離されたチタン触媒は、以下の式のいずれか1つによって表されるような化合物を含む。
【0017】
【化6】

【0018】
本発明はまた、本発明のチタン触媒の存在下でのイミンとシアノ化剤の反応を含む、イミンの不斉シアノ化のためのプロセスも提供する。一部の実施形態において、上記イミンは、一般式(c):
【0019】
【化7】

(式中、RおよびR10は、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環式基または非芳香族複素環式基であり、これらのそれぞれが置換基を有してもよく、およびRは、R10と異なり;RおよびR10は、互いに連結されて環を形成してもよく、およびこの環は、置換基を有してもよく;R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環式基もしくは非芳香族複素環式基、ホスホナート、ホスフィノイル、ホスフィンオキシド、アルコキシカルボニル、スルフィニル、またはスルホキシ基であり、これらのそれぞれが置換基を有してもよく;ならびにR11は、炭素鎖によりRまたはR10に連結されて環を形成してもよく、およびこの環は、置換基を有してもよい)
によって表される。
【0020】
イミンの不斉シアノ化のためのプロセスは、触媒の存在下でイミンとシアノ化剤を反応させて光学活性α−アミノニトリルを形成することを含むことがあり、この場合の触媒は、そのイミンに対して約0.5から30mol%の量で存在する。一部の実施形態において、上記触媒は、上記イミンに対して、約10mol%未満(例えば、2.5から5.0mol%)の量で存在する。上記プロセスは、個々の用途に適する任意の温度および任意の反応時間で行うことができる。一部の実施形態において、上記プロセスは、−78℃と80℃の間の反応温度で行われる。一部の実施形態において、上記プロセスは、触媒の存在下、室温での、および/または6時間未満もしく2時間未満の反応時間での、および高収率での、イミンとシアノ化剤の反応であって、光学活性α−アミノニトリルが良ないし優良なエナンチオマー過剰度(例えば、少なくとも90%)で得られる反応を含むことがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】ストレッカー反応によるα−アミノ酸の合成および結果として得られたアミノニトリルのその後の加水分解を示す。
【図1B】改良型ストレッカー反応によるα−アミノ酸の合成および結果として得られたアミノニトリルのその後の加水分解を示す。
【図2A】チタンアルコキシド−配位子前触媒の合成を示す。
【図2B】チタンアルコキシド−配位子前触媒経由でのチタン触媒の合成の非限定的な例を示す。
【図2C】チタンアルコキシド−配位子前触媒経由でのチタン触媒の合成の非限定的な例を示す。
【図3A】本発明の一実施形態による、本発明の光学活性チタン触媒、トリメチルシリルシアニド、およびn−ブタノールの存在下でのベンズヒドリルイミンの不斉シアノ化を示す。
【図3B】本発明の一実施形態による、本発明の光学活性チタン触媒、トリメチルシリルシアニド、およびn−ブタノールの存在下でのベンジルイミンの不斉シアノ化を示す。
【図4A】一部の実施形態による、妥当と思われる構造フラグメントの質量分析データおよび一部の非限定的な例を示す。
【図4B】一部の実施形態による、妥当と思われる構造フラグメントの質量分析データおよび一部の非限定的な例を示す。
【図5】実施例4から得たSCTC−Bn材料についての熱重量測定データのグラフを示す。
【図6】実施例5から得たSCTC−iPr材料についての熱重量測定データのグラフを示す。
【図7】実施例6から得たSCTC−t−Bu材料についての熱重量測定データのグラフを示す。
【図8】Bn−配位子(上部)および実施例4から得たSCTC−Bn材料(上部)についてのIRスペクトルを示す。
【図9】iPr−配位子(上部)および実施例5から得たSCTC−iPr材料(下部)についてのIRスペクトルを示す。
【図10】t−Bu−配位子(上部)および実施例6から得たSCTC−t−Bu材料(下部)についてのIRスペクトルを示す。
【図11】Ind−配位子(上部)および実施例85から得たSCTC−Ind材料(下部)についてのIRスペクトルを示す。
【図12】実施例4から得たSCTC−Bn材料のSEM像を示す。
【図13】実施例85から得たSCTC−Ind材料のSEM像を示す。
【図14】実施例4から単離したSCTC材料についてのXPSデータのグラフを示す。
【図15】1つの実施例による、リガンドの様々な配位状態の例を示す。
【0022】
本発明の他の態様、実施形態および特徴は、これらの添付の図面と共に考慮すると、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるだろう。これらの添付の図面は略図であり、一律の縮尺に従って描くことを意図したものではない。明瞭さのために、すべての図においてすべての成分を表示しているとは限らず、また当業者が本発明を理解するために例証が必要でない場合には本発明のそれぞれの実施形態のすべての成分も示していない。参照により本願に取り入れられているすべての特許出願および特許は、それら全体が参照により取り入れられている。矛盾のある場合には、定義を含めて、本明細書が支配することとなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、チタン化合物、およびそのようなチタン化合物を使用するイミンのシアノ化反応によるα−アミノニトリルの製造プロセスに関する。本発明の一部の実施形態は、チタン化合物、およびそのようなチタン化合物を使用するイミンの不斉シアノ化反応による光学活性α−アミノニトリルの製造プロセスに関する。
【0024】
本発明の化合物(例えば、触媒)および方法は、炭素−炭素結合形成反応をはじめとする合成反応(例えば、不斉合成反応)に有用なチタン触媒を伴う。一部の実施形態において、本発明は、光学活性α−アミノニトリルの合成のためのイミンの不斉シアノ化などの不斉ストレッカー型反応のための触媒および関連方法を提供する。本発明は、容易に入手できる構成単位から誘導される安価で安定な配位子に基づく効率的な触媒を提供する。本発明の触媒および方法を室温などの穏やかな反応条件下および/または周囲条件下で有利に用いて、高収率(例えば、>90%、>95%、>98%、>99%)および優良なエナンチオ選択性(例えば、>90%、>95%、>98%)を達成することができる。
【0025】
一部の実施形態では、触媒を(例えば、固体として)単離することもできる。例えば、触媒を固体キラルチタン化合物として単離することができる。一部の事例では、固体触媒は、例えば部分的に加水分解される本質的に同一の触媒と比べて、改善された安定性を示すこともある。一部の事例では、触媒を長期間(例えば、>1日、>1ヶ月、>6ヶ月、>1年など)にわたって保管することができる。一部の実施形態において、固体触媒形は、空気および相対湿度に対する改善された安定性を有することがある。
【0026】
一部の事例では、本願に記載する触媒を有利に再循環させることができる、すなわち、反応時に回収し、その後、別の反応で再使用することができる。例えば、触媒を、使用後に反応混合物から容易に分離することができ、一部の実施形態では、最初の使用に比べて触媒性能が実質的に変わることなく、1回より多く、5回より多く、10回より多く、またはそれより多くの回数、効率的に再循環させることができる。
【0027】
本発明は、以前の方法に比べて少ない量の触媒および短い反応時間を伴う効率的な触媒および関連方法を用いて、高い収率および高い光学純度で光学活性α−アミノニトリルを製造することができるという発見に関する。光学活性α−アミノニトリルは、医薬、精密化学製品などの合成において中間体として有用である。一部の実施形態において、光学活性α−アミノニトリルは、α−アミノ酸の合成における有用な中間体である。特定のセットの実施形態において、本発明は、例えば三座N−サリチル−β−アミノアルコールなどの光学活性配位子を含むチタン触媒を使用する、光学活性α−アミノニトリルの合成のためのイミンの不斉シアノ化に関する。本願に記載するとおり、本発明は、不斉合成反応のためのチタン触媒を提供する。このチタン触媒は、チタンアルコキシドと配位子(例えば、光学活性配位子)を化合させてチタンアルコキシド−配位子前触媒を作り、その後、それを水と接触させてチタン触媒を作ることによって製造することができる。
【0028】
以下の用語は、別の指示がない限り、本発明において言及する任意の群を指す。
【0029】
用語「アルキル基」は、1から20個の炭素原子を有する線状、分岐または環状アルキル基を指す。本発明の一実施形態において、アルキル基は、1から15個の炭素原子、例えば1から10個の炭素原子を有してもよい。線状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、n−デシル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。分岐アルキル基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、アミル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。環状アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0030】
用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在する、2から20個の炭素原子、例えば1から10個の炭素原子を有する線状、分岐または環状アルケニル基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、クロチル基、シクロヘキセニル基、イソプロペニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0031】
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合が存在する、2から20個の炭素原子、例えば2から10個の炭素原子を有するアルキニル基を指す。例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0032】
用語「アルコキシ」は、負の電荷を有する酸素原子にアルキル基が結合している、1から20個の炭素原子、例えば1から10個の炭素原子を有する線状、分岐または環状アルコキシ基を指す。例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0033】
用語「アリール基」は、6から20個の炭素原子を有する単純芳香族環から誘導される任意の官能基または置換基を指すアリール基を指す。本発明の一実施形態において、アリール基は、6から10個の炭素原子を有してもよい。例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0034】
用語「アリールオキシ基」は、負の電荷を有する酸素原子にアリール基が結合している、6から20個の炭素原子、例えば6から10個の炭素原子を有するアリールオキシ基を指す。例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0035】
用語「芳香族複素環式基」は、3から20個の炭素原子、例えば1から10個の炭素原子を有する芳香族複素環式基であって、該芳香族基の少なくとも1個の炭素原子が窒素、酸素または硫黄などのヘテロ原子により置換されている基を指す。例としては、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0036】
用語「非芳香族複素環式基」は、4から20個の炭素原子、例えば4から10個の炭素原子を有する非芳香族複素環式基であって、該非芳香族基の少なくとも1個の炭素原子が窒素、酸素または硫黄などのヘテロ原子により置換されている基を指す。例としては、ピロリジル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0037】
用語「アシル基」は、2から20個の炭素原子、例えば1から10個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、および6から20個の炭素原子、例えば1から10個の炭素原子を有するアリールカルボニル基を指す。
【0038】
用語「アルキルカルボニル基」は、アセチル基、プロピニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などを指すが、それらに限定されない。
【0039】
用語「アリールカルボニル基」は、ベンゾイル基、ナフトイル(napththoyl)基、アントリルカルボニル基などを指すが、それらに限定されない。
【0040】
用語「アルコキシカルボニル基」は、2から20個の炭素原子、例えば2から10個の炭素原子を有する線状、分岐または環状アルコキシカルボニル基を指す。例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、L−メンチルオキシカルボニル基、D−メンチルオキシカルボニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0041】
用語「アリールオキシカルボニル基」は、7から20個の炭素原子、例えば7から15個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニル基を指す。例としては、フェノキシカルボニル基、α−ナフチルオキシカルボニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0042】
用語「アミノカルボニル基」は、水素原子と、アルキル基と、アリール基と、窒素原子に結合しているカルボニル基以外の2個の置換基であって互いに連結されて環を形成してもよいものとを有する、アミノカルボニル基を指す。例としては、イソプロピルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、tert−ブチルアミノカルボニル基、tert−アミルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジイソプロピルアミノカルボニル基、ジイソブチルアミノカルボニル基、ジシクロヘキシルアミノカルボニル基、tert−ブチルイソプロピルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ピロリジルカルボニル基、ピペリジルカルボニル基、インドールカルボニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0043】
用語「アミノ基」は、主要原子として窒素を含有する、有機化合物および官能基のタイプを指す。この用語は、水素原子、線状、分岐もしくは環状アルキル基を有するアミノ基、またはアリール基を有するアミノ基を指す。窒素原子に結合している2つの置換基は、互いに連結されて環を形成してもよい。アルキル基またはアリール基を有するアミノ基の例としては、イソプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、tert−アミルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、インドール基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0044】
用語「ハロゲン原子」は、F、Cl、Br、I、などを指す。
【0045】
用語「シリル基」は、アルキルのケイ素類似体とみなすことができる、2から20個の炭素原子を有するシリル基を指す。例としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0046】
用語「シロキシ基」は、2から20個の炭素原子を有するシロキシ基を指す。例としては、トリメチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、tert−ブチルジフェニルシロキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0047】
上で言及した基のすべてが1つ以上の置換基で置換されていてもよい。本発明に関連して「1つ以上の置換基を有すること」とは、上の化合物の少なくとも1個の水素原子が、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO、NH、SO、アルキル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基などによって置換されていることがあることを意味する。
【0048】
酸素含有基の例としては、1から20個の炭素原子を有するもの、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。窒素含有基の例としては、1から20個の炭素原子を有するアミノ基、1から20個の炭素原子を有するアミド基、ニトロ基、シアノ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。ケイ素含有基の例としては、1から20個の炭素原子を含有するもの、例えば、シリル基、シリルオキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0049】
置換アルキル基の例としては、クロロメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、過フルオロエチル基、過フルオロヘキシル、置換または非置換アラルキル基、例えばベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、4−メトキシベンジル基、2−フェニルエチル基、クミル基、α−ナフチルメチル、2−ピリジルメチル基、2−フルフリル基、3−フルフリル基、2−チエニルメチル基、2−テトラヒドロフルフリル基、3−テトラヒドロフルフリル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、イソプロポキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、L−メンチルオキシメチル基、D−メンチルオキシメチル基、フェノキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、アセチルオキシメチル基、2,4,6−トリメチルベンゾイルオキシメチル、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジフェニルアミノ)プロピル基、2−(トリメチルシロキシ)エチル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0050】
置換アルケニル基の例としては、2−クロロビニル基、2,2−ジクロロビニル基、3−クロロイソプロペニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0051】
置換アルキニル基の例としては、3−クロロ−1−プロピニル基、2−フェニルエチニル基、3−フェニル2−プロピニル基、2−(2−ピリジルエチニル)基、2−テトラヒドロフリルエチニル基、2−メトキシエチニル基、2−フェノキシエチニル基、2−(ジメチルアミノ)エチニル基、3−(ジフェニルアミノ)プロピニル基、2−(トリメチルシロキシ)エチニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0052】
置換アルコキシ基の例としては、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、2−ピリジルメトキシ基、フルフリルオキシ基、2−チエニルメトキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0053】
置換アリール基の例としては、4−フルオロフェニル基、ぺンタフルオロフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、例えば3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジイソプロポキシフェニル基、2,4,6−トリイソプロポキシフェニル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、4−(ジメチルアミノ)フェニル基、4−ニトロフェニル基、3,5−ビス(トリメチルシリル)フェニル基、3,5−ビス(トリメチルシロキシ)フェニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0054】
置換アリールオキシ基の例としては、ペンタフルオロフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジメトキシフェノキシ基、2,6−ジイソプロポキシフェノキシ基、4−(ジメチルアミノ)フェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、2,6ビス(トリメチルシリル)フェノキシ基、2,6−ビス(トリメチルシロキシ)フェノキシ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0055】
置換芳香族複素環式基の例としては、N−メチルイミダゾリル基、4,5−ジメチル−2−フリル基、5−ブトキシカルボニル−2−フリル基、5−ブチルアミノカルボニル−2−フリル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0056】
置換非芳香族複素環式基の例としては、3−メチル−2−テトラヒドロフラニル基、N−フェニル−4−ピペリジル基、3−メトキシ−2−ピロリジル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0057】
置換アルキルカルボニル基の例としては、トリフルオロアセチル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0058】
置換アリールカルボニル基の例としては、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,6−ジイソプロポキシベンゾイル基、4−(ジメチルアミノ)ベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、2,6−ビス(トリメチルシリル)ベンゾイル基、2,6−ビス(トリメチルシロキシ)ベンゾイル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0059】
ハロゲン原子を有するアルコキシカルボニル基の例としては、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2−フェニルエトキシカルボニル基、クミルオキシカルボニル基、α−ナフチルメトキシカルボニル基、2−ピリジルメトキシカルボニル基、フルフリルオキシカルボニル基、2−チエニルメトキシカルボニル基、テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル基、などがある。
【0060】
置換アリールオキシカルボニル基の例としては、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基、2,6−ジメチルフェノキシカルボニル基、2,4,6−トリメチルフェノキシカルボニル基、2,6−ジメトキシフェノキシカルボニル基、2,6−ジイソプロポキシフェノキシカルボニル基、4−(ジメチルアミノ)フェノキシカルボニル基、4−シアノフェノキシカルボニル基、2,6−ビス(トリメチルシリル)フェノキシカルボニル基、2,6−ビス(トリメチルシロキシ)フェノキシカルボニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0061】
置換アミノカルボニル基の例としては、2−クロロエチルアミノカルボニル基、過フルオロエチルアミノカルボニル基、4−クロロフェニルアミノカルボニル基、ペンタフルオロフェニルアミノカルボニル基、ベンジルアミノカルボニル基、2−フェニルエチルアミノカルボニル基、α−ナフチルメチルアミノカルボニルおよび2,4,6−トリメチルフェニルアミノカルボニル基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0062】
置換アミノ基の例としては、2,2,2−トリクロロエチルアミノ基、過フルオロエチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、2−フェニルエチルアミノ基、α−ナフチルメチルアミノ、2,4,6−トリメチルフェニルアミノ基などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0063】
1つの態様において、本発明は、イミンのシアノ化などの合成反応のためのチタン化合物(例えば、触媒)に関する。チタン触媒は、チタンアルコキシドと配位子(例えば、光学活性配位子)とを含む反応混合物を水と接触させることによって製造することができる。チタンアルコキシドと配位子とを含む反応混合物は、チタンアルコキシドと、配位子と、自由選択の追加の成分、例えば溶剤、添加剤などとを併せることによって得ることができる。一部の実施形態において、チタンアルコキシドは、配位子と会合し、チタンアルコキシド−配位子前触媒、すなわち「前触媒」、を形成してもよい。本願において用いる場合、「前触媒」は、活性化すると反応中に活性触媒種を生成することができる化学種を指すことがある。例えば、チタンアルコキシド−配位子前触媒を水と接触させて、チタン触媒(例えば、チタンクラスター化合物)を作ることができる。本願において用いる場合、用語「触媒」は、反応に関与する触媒の活性形態、ならびにインサイチューでその触媒の活性形態へと転化することができる触媒前駆体(例えば、前触媒)を含む。
【0064】
一部の実施形態において、チタン触媒の調製に使用されるチタンアルコキシドは、一般式(d)によって表される化合物であり得る。
【0065】
【化8】

【0066】
上記式中、R'は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく;Yは、同じまたは異なることがあり、およびハロゲン原子、アシル基またはアセチルアセトナート基であり;ならびにxは、0〜4の整数である。一実施形態において、xは、4である。一部の実施形態において、R'は、アルキル基、例えば、エチル、n−ブチル、n−プロピル、イソプロピル、などである。例えば、使用されるチタンアルコキシドは、Ti(OMe)、Ti(OEt)、Ti(On−Pr)、Ti(Oi−Pr)、Ti(On−Bu)、TiCl(Oi−Pr)、または[EtOCOCH=C(O)Me]Ti(Oi−Pr)であることがある。一部の実施形態において、R'は、アリール基である。
【0067】
本発明のチタン化合物(例えば、触媒)は、チタンアルコキシド単量体と配位子を併せることによって得られるチタンアルコキシド−配位子前触媒と水を接触させることによって製造することができる。配位子は、一般式(e)によって表すことができる。
【0068】
【化9】

【0069】
上記式中、R、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、シロキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成してもよく、この環は置換基を有してもよく;ならびに(A)は、炭素原子数2以上の基を表す。一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成してもよく、この環は置換基を有してもよい。
【0070】
一部の実施形態において、配位子は、光学活性配位子であることがある。一部の事例では、光学活性配位子は、一般式(a)によって表すことができ、この式中、R、R、RおよびRは、本願に記載するとおりであり;ならびに(A)は、不斉炭素原子または軸不斉を有する炭素原子数2以上の基を表す。
【0071】
【化10】

【0072】
一部の事例では、R、R、RまたはRは、1つ以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることがある。さらに、R、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成してもよい。この環は、脂肪族炭化水素環でもよく、または芳香族炭化水素でもよい。形成された環がそれぞれ縮合されて、環を形成してもよい。一部の実施形態において、脂肪族炭化水素環は、10員以下の環、例えば、3から7員環、または5もしくは6員環である。脂肪族炭化水素環は、不飽和結合を有してもよい。芳香族炭化水素環は、フェニル環などの6員環であることがある。例えば、R、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて−(CH−または−CH=CH−CH=CH−を形成するとき、それぞれ、(脂肪族炭化水素環に含まれる)シクロヘキセン環または(芳香族炭化水素環に含まれる)フェニル環を形成してもよい。環は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基およびシリルオキシ基、などをはじめとする、1つ以上の置換基を有することがある。
【0073】
1セットの実施形態において、RおよびRは、水素原子であり、ならびにRおよびRは、互いに連結されてフェニル環を形成し、このフェニル環は、1つ以上の置換基を有することがある。
【0074】
一般式(a)において、(A)は、不斉炭素原子または軸不斉を有する炭素原子数2以上、好ましくは炭素原子数2から40の光学活性基を表し、置換基を有してもよい。(A)の例としては、以下の構造が挙げられ、この場合、(N)および(OH)として示されている部分は(A)に属さず、ならびに上の一般式(a)において(A)が結合しているものにそれぞれ対応するアミノ基およびヒドロキシル基を表す。
【0075】
【化11】

【0076】
一部の事例では、光学活性配位子は、一般式(b)によって表される。
【0077】
【化12】

【0078】
上記式中、R、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基もしくはアミノカルボニル基を表し、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成してもよく、この環は、置換基を有してもよく;R、R、RおよびRの少なくとも1つは、異なる基であり;として示されている炭素原子の両方または少なくとも1個が不斉中心となり;ならびに(NH)および(OH)として示されている部分は、(A)に属さず、ならびに一般式(a)において(A)が結合しているものにそれぞれ対応するアミノ基およびヒドロキシル基を表し;R、R、RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基またはシロキシ基であり、これらのそれぞれが互いに結合して環を形成してもよい。
【0079】
一部の事例では、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、またはベンジルであり、ならびにR、R、およびRは、水素原子である。
光学活性配位子の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
【化13】

【0081】
一部の事例では、配位子Lがチタンアルコキシドに配位すると、該配位子は、該配位子の1つ以上の位置で脱プロトン化されることとなり、その結果、イオン種になることがある。一部の実施形態において、配位子Lは、一価イオン、二価イオン、または三価イオンであることがある。1セットの実施形態において、配位子Lは、二価イオンである。例えば、1つのヒドロキシル基からプロトンが失われることがあり、その配位子Lは、一価イオンとして錯体中に存在することがある。一部の事例では、2つのヒドロキシル基からプロトンが失われることがあり、その配位子Lは、二価イオンとして錯体中に存在することがある。別のセットの実施形態では、2つのヒドロキシル基から、およびアミン基から、プロトンが失われることがあり、その配位子Lは、三価イオンとして錯体中に存在することがある。図15は、チタン錯体中に一価イオン(L1)、二価イオン(L2)または三価イオン(L3)として存在することがある配位子Lの実例となる実施形態を示す。
【0082】
本発明のチタン触媒は、上に記載したような、チタンアルコキシドと一般式(e)または(a)によって表される配位子とを含む反応混合物を例えば水と接触させることによって製造することができる。チタン触媒の調製は、有機溶剤などの溶剤の使用をさらに含むことがある。例えば、有機溶剤中でチタンアルコキシドと配位子を併せることによって、反応混合物を得ることができる。チタンアルコキシド、水、および一般式(e)または(a)によって表される配位子のモル比は、1.0:0.1:0.1から1.0:3.0:3.0の範囲であり得る。任意のモル比を、上記範囲内にすることにより、本発明での使用に適することができる。
【0083】
一部の実施形態において、チタン触媒の調製プロセスは、i)(例えば、本願に記載するとおりの)一般式(d)によって表されるチタンアルコキシドと(例えば、本願に記載するとおりの)一般式(e)または(a)によって表される配位子とから調製された錯体を含む溶液を作る工程と;ii)溶液と水を接触させて、触媒の溶液または懸濁液を得る工程と;iii)触媒の溶液または懸濁液から溶剤を除去する工程とを含む。上述の工程を本願の中でさらに論ずる。
【0084】
一般式(a)によって表される配位子を含むチタン触媒が本願において単なる例として論じられていること、および他の配位子(例えば、一般式(e)または(b)によって表される配位子)を本発明に関連して使用できることに留意すべきである。
【0085】
一部の実施形態において、チタン触媒は、先ず、チタンアルコキシド(例えば、チタンテトラアルコキシド)化合物と一般式(a)または(e)によって表される配位子とを有機溶剤中で反応させてチタンアルコキシド−配位子前触媒を作ることによって調製される。チタン−アルコキシド前触媒は、チタン原子と、一般式(a)または(e)によって表される少なくとも1つの配位子と、1つ以上のアルコキシド(例えば、その前触媒を調製するために使用されたチタンアルコキシド)とを含むことがある。一部の実施形態において、チタンアルコキシド−配位子前触媒は、単量体チタンアルコキシド−配位子前触媒であることがあり、この場合、該前触媒は、1個のチタン原子、該チタン原子と会合している1つの配位子、および該チタン原子と会合している少なくとも2つのアルコキシドを含む。図2Aは、単量体チタンアルコキシド−配位子前触媒の形成の非限定的な例を示す。チタンアルコキシドの配位子に対するモル比は、1:0.1から1:3の範囲であり得る。一部の実施形態において、モル比は、約1.0対約1.0、約1.0対約2.0、または約2.0対約1.0である。
【0086】
本発明での使用に適する有機溶剤の例としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶剤;例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;例えば酢酸エチルなどのエステル溶剤;ならびに、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどの他の溶剤、などが挙げられる。一部の実施形態では、ハロゲン化溶剤または芳香族炭化水素溶剤が使用される。チタンアルコキシドと配位子を混合する配合の際に使用される溶剤の総量は、チタンアルコキシドの1ミリモルに基づき、約1から500mL、または約10から50mLであり得る。
【0087】
チタンアルコキシドを配位子と併せる温度は、溶剤を凍結させない任意の温度であり得る。例えば、反応をほぼ室温、例えば15から30℃、で行うことができる。反応は、使用している溶剤の沸点に依存して、より高い温度で(例えば加熱によって)行うこともある。反応に必要な時間は、一般的な条件、例えば、添加される水の量、反応温度などに依存して異なる。一部の実施形態において、チタンアルコキシド−配位子前触媒の形成を果たすために攪拌に必要とされる時間は、約1時間である。
【0088】
次に、その後、そのチタンアルコキシド−配位子前触媒をある量の加水分解剤、例えば水、と接触させてチタン触媒を作ることができる。図2Bおよび2Cは、チタンアルコキシド−配位子前触媒経由でのチタン触媒の合成の非限定的な例を示す。添加時、チタンアルコキシド−配位子前触媒を、溶剤に溶解するおよび/もしくは懸濁させることがあり、ならびに/または水を添加しながら攪拌することがある。一部の事例では、チタンアルコキシド−配位子前触媒を有機溶剤に溶解し、水を添加しながら攪拌する。水をその混合物(例えば、溶液、懸濁液など)に直接添加することがあり、または添加前に溶剤(例えば、THF)で希釈することがある。溶剤を使用するとき、その溶剤は、チタンアルコキシドと配位子を併せる上述の工程で用いた溶剤と同じ場合があり、または異なる場合がある。ミスト形態での水の添加、および/または高効率攪拌機を装備した反応器の使用、などをはじめとする、様々な方法を用いて水を直接添加することができる。他の水性溶剤(例えば、アルコールなど)を本願に記載する方法で使用できること、および水の使用が単なる例として記載されていることは理解されるはずである。
【0089】
本願に記載する溶剤のいずれかを、1ミリモルのチタン原子に基づき約1から約5.0mLまたは約1から約500mLの量で添加することができる。水は、時間をかけて、例えば、約1秒と約1時間の間、またはその範囲内の任意の適する時間をかけて、チタンアルコキシド−配位子前触媒に添加することができる。一部の事例では、15分の時間をかけて水を添加する。添加される水の量は、反応の第一の工程において供給されたチタンアルコキシドの量に基づくだろう。例えば、添加される水の量は、チタンアルコキシドの水に対する比が1:0から1:3、またはその範囲内の任意のモル比になるような量であり得る。
【0090】
一部の事例では、水和材料を生じさせることによりチタンアルコキシド−配位子前触媒に(例えば、前触媒を含む溶液に)水を添加することができる。本願において用いる場合の「水和材料」は、吸着水などの水を含む材料である。水和材料は、吸着水を含むことができる、および/または(例えば、チタンアルコキシド−配位子前触媒を含む溶液への暴露に基づき)吸着水を放出することができる任意の材料である。例えば、水和材料は、吸着水を含むモレキュラーシーブであり得る。一部の実施形態において、水和材料は、反応成分、チタン触媒を形成する反応、および/または触媒反応に実質的に干渉しない。
【0091】
チタンアルコキシド−配位子前触媒を水と反応させる温度は、溶剤を凍結させない任意の温度であり得る。例えば、反応をほぼ室温、例えば15から30℃、で行うことができる。反応は、使用している溶剤の沸点に依存して、より高い温度で(例えば加熱によって)行うこともある。当業者は、用いる溶剤との組み合わせで適切な温度を選択することができよう。一部の事例では、室温より高い温度、例えば約15℃と約150℃の間で攪拌することにより、チタン触媒を製造することができる。水の添加後、その反応物を約5分から約5時間、または約1分から約3時間、所望の温度で攪拌することがある。一部の事例では、その反応物を約1時間、約2時間、約3時間、または約4時間攪拌する。
【0092】
水の添加およびチタン触媒の形成後、該チタン触媒を単離することができる。すなわち、一切の溶剤および/または不純物が実質的にない触媒を単離することができる。一部の事例では、水の添加後、揮発成分(例えば、水、溶剤、触媒の形成中に放出されるアルコールなど)を触媒から除去して、固体触媒を生じさせることができる。一部の事例では、触媒の溶液または懸濁液から溶剤を除去することにより触媒を単離することができる。当業者に公知の方法を用いて、例えば、蒸発(例えば、加熱を伴うもしくは伴わない)、共沸、真空下での乾燥により、および/または懸濁液の濾過により、揮発成分(例えば、溶液)を除去することができる。チタン触媒は、固体、半固体、またはゲルとして単離することができる。一部の事例では、チタン触媒は、固体(例えば、粉末)として単離することができる。チタン触媒を乾燥前に溶剤で少なくとも1回洗浄することがあり、またはしないことがある。単離されたチタン触媒には、少なくとも約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、約99.9%、または約100%不純物がないだろう。
【0093】
一部の実施形態において、チタン触媒は、少なくとも1個のチタン原子と、該チタン原子と会合しており、一般式(a)または(e)によって表される少なくとも1つの配位子とを含む。配位子は、1つ以上の結合(例えば、共有結合、イオン結合、水素結合など)の形成によりチタン原子と会合していることがある。一部の事例において、チタンアルコキシド(例えば、Ti(OR')(4−x))を使用して調製されるチタン触媒は、一般式を有する。
【0094】
【化14】

【0095】
上記式中、R'は、同じまたは異なることがあり、本願に記載するとおりの(例えば、上でTi(OR')(4−x)に関して定義したとおりの)基であり;Lは、一般式(a)または(e)によって表される配位子であり;Yは、同じまたは異なることがあり、およびハロゲン原子、アシル基、またはアセチルアセトナート基であり;mは、1より大きい整数(例えば、2、3、4、5、6など)であり;nおよびqは、同じでありまたは異なり、および0以上の整数(例えば、1、2、3、4、5、6など)であり;p、rおよびsは、同じでありまたは異なり、および0以上の整数(例えば、0、1、2、3、4、5、6など)である。一部の事例では、1つ以上の配位子(例えば、(O)、(OH)、(OR')など)により2個以上のチタン原子間に架橋が形成されてもよい。
【0096】
一部の実施形態において、チタン触媒は、以下の式のいずれか1つによって表されるような化合物を含む。
【0097】
【化15】

【0098】
チタン触媒は、任意の数、例えば1、2、3、4など、のチタン原子を含むことがある。単離されたチタン触媒は、次の非限定的な式:Ti(OR')、Ti(OH)(OR')、TiL(OR')、Ti(OH)、Ti(OH)、Ti(O)(OH)、Ti(OR')(OH)、およびTi(OR')、の1つ以上によって表すことができ、これらの式中、R'は、その触媒を形成するために使用したTi(OR')(4−x)化合物からのR'を表し、およびLは、例えば、一般式(a)によって表される配位子の一般構造を表す。下記式中の(A)、R、R、RおよびRは、本願の中で説明する。
【0099】
【化16】

【0100】
単離されたチタン触媒は、異なる化学式を有するチタン触媒の混合物を含むことがある。例えば、単離されたチタン触媒は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの異なるタイプのチタン触媒、すなわち、異なる化学式を有する触媒、を含むことがある。チタン触媒中のチタン原子は、配位子中のさらなる原子と会合していることがある。例えば、チタン原子は、一般式(a)または(e)によって表される配位子からの窒素原子と会合していることがある。
【0101】
一部の事例では、本発明のチタン化合物の製造を周囲条件下で有利に行うことができる。しかし、本発明のチタン化合物の製造が、乾燥および/もしくは不活性ガス雰囲気下で行われることがあり、または乾燥および不活性条件に厳格に従わずに行われることがあることも理解されるはずである。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
【0102】
一部の実施形態では、チタン触媒を再循環させることができる。例えば、イミンの第一のシアノ化反応においてチタン触媒を使用することがあり、その後、単離して、イミンの少なくとも第二のシアノ化反応、または他の反応において使用することがある。触媒は、その触媒性能の最低限の相違もしくは減少で、またはその触媒性能の相違もしくは減少を本質的に伴わずに、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、またはそれより多くの回数、再使用することができる。すなわち、第一の反応におけるイミンのシアノ化の結果(例えば、収率、エナンチオマー過剰度など)は、その第一の反応から単離された触媒を使用する第二の反応のものと実質的に異ならないだろう(例えば、触媒性能は、最初の使用と少なくとも2回目の使用との間で有意に低下しないだろう)。一部の事例において、イミンのシアノ化の収率および/またはエナンチオマー過剰度は、本質的に同一の条件下で同じ触媒を使用する以前のシアノ化反応の収率および/またはエナンチオマー過剰度の約100%、約99.9%、約99.7%、約99.5%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%であるだろう。
【0103】
当業者に公知の方法を用いて反応混合物からチタン触媒を単離することができる。例えば、反応混合物を遠心分離機にかけ、その後、デカント、ピペッティングまたは任意の他の一般的な技術により非固体成分(例えば、流体)を除去することによって、触媒を単離することができる。もう1つの例として、触媒を濾過によって単離することができる。一部の事例では、触媒を、後続の反応において使用する前に、少なくとも1回、洗浄することがある。
【0104】
本願に記載するとおり、1つ以上の溶剤をチタン触媒の調製において使用することがある。一部の事例では、溶剤の使用は、チタン化合物の形成を助長することがある。触媒の形成を助長するためにチタンアルコキシド、配位子、他の成分のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを溶解するように溶剤を選択することができる。溶剤の例としては、例えばジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶剤;例えばクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶剤;例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;例えば酢酸エチルなどのエステル溶剤;ならびに例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル溶剤、などが挙げられる。一部の実施形態では、ハロゲン化炭化水素溶剤または芳香族炭化水素溶剤を使用することがある。一部の実施形態では、上述の溶剤の混合物を使用することもある。
【0105】
本願に記載するとおり、一部の実施形態は、単離された固体触媒を提供する。一部の実施形態において、固体触媒は、粒子、または粒子(例えば、マイクロスフェア、ナノスフェア)の凝集物を含むことがある。粒子は、球状形態を含めて、1つ以上の形態を示すことがある。一部の実施形態において、固体触媒は、実質的に球形を有する粒子を含むことがある。一部の実施形態において、固体触媒は、マイクロスフェアを含むことがある。本願において用いる場合、用語「マイクロスフェア」は、約100nm以上の平均粒径を有する粒子を指す。一部の実施形態において、固体触媒は、ナノスフェアを含むことがある。本願において用いる場合、用語「ナノスフェア」は、約100nm以下の平均粒径を有する粒子を指す。代表粒子数の平均断面寸法(例えば、実質的に球状の粒子については直径)を測定することによって粒子の平均粒径を決定できることは、理解されるはずである。例えば、実質的に球状の粒子の平均断面寸法はその直径であり;および非球状粒子の平均断面寸法は、その3つの断面寸法(例えば、長さ、幅、厚み)の平均である。走査型電子顕微鏡または他の従来の技術を用いて粒径を測定することができる。
【0106】
一部の実施形態において、触媒は、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nm、約1000nm、またはそれより大きい平均粒径を有するマイクロスフェアを含むことがある。一部の実施形態において、触媒は、約100nmから約400nmの平均粒径を有するマイクロスフェアを含むことがある。一部の実施形態において、触媒は、約300nmの平均粒径を有するマイクロスフェアを含むことがある。
【0107】
一部の実施形態において、触媒は、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、または約100nmの平均粒径を有するナノスフェアを含むことがある。一部の実施形態において、触媒は、約10nmから約100nmの平均粒径を有するマイクロスフェアを含むことがある。一部の実施形態において、触媒は、約10nmから約50nmの平均粒径を有するマイクロスフェアを含むことがある。一定の実施形態において、平均粒径は、さらに小さい、すなわち10nm未満である、ことがある。
【0108】
本発明の1つの有利な特徴は、上述のように製造したチタン化合物(例えば、触媒)を単離することができる、および/または長期間にわたって保管することができることである。チタン触媒を任意の形態で、例えば、固体、半固体、ゲル、スラリー、懸濁液、溶液などとして、保管することができる。チタン触媒を、少なくとも約1日、少なくとも約10日、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、または少なくとも約1年、容器内に保管することができる。反応を(例えば、保管前および保管後に)実質的に同様の条件下で行えば、チタン触媒を、保管前におよび/または保管後、反応を触媒するために使用して、実質的に同様の結果を得ることができる。チタン触媒は、周囲条件下で保管することができ、乾燥および/または不活性条件下(例えば、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどのもとで)保管することができる。
【0109】
本発明のチタン触媒をイミンのシアノ化のために使用することができる。一部の事例では、チタン触媒をイミンの不斉シアノ化のために使用することができる。一部の実施形態において、反応のエナンチオ選択性は、アキラル配位子とは対照的に、光学活性配位子(例えば、一般式(a)によって表される配位子)を含むチタン触媒を使用すると、増加することがある。しかし、一部の事例において、アキラル配位子(例えば、一般式(e)によって表される配位子)を含むチタン触媒は、エナンチオマー的に濃縮された反応生成物を生じさせることがある。不斉シアノ化反応が本願において単なる例として論じられていること、および本願に記載する触媒を使用してアキラルシアノ化反応を行うこともできることは理解されるはずである。
【0110】
本発明の一部の実施形態は、α−アミノニトリル(例えば、光学活性α−アミノニトリル)を製造するためのプロセスを提供する。本発明の方法では、イミン基質を出発原料として使用することがある。この方法は、本願に記載するチタン触媒の存在下、場合により、溶剤、添加剤などの存在下で、イミン基質とシアノ化剤を反応させることを含むだろう。一部の事例において、イミンは非対称イミンである、すなわち、このイミンは、C=N結合の炭素上に少なくとも2つの異なる置換基を有する。一部の事例において、イミンは、プロキラル化合物であり、およびイミンの不斉シアノ化による所望の光学活性α−アミノニトリル生成物に対応するように適切に選択することができる。非限定的な例として、図3は、本発明の光学活性チタン触媒、トリメチルシリルシアニド、およびn−ブタノールの存在下でのベンズヒドリルイミンの不斉シアノ化を示す。
【0111】
一部の事例において、本発明のプロセスは、一般式(c)によって表されるイミンの使用を含んでもよい。
【0112】
【化17】

【0113】
上記式中、RおよびR10は、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環式基または非芳香族複素環式基であり、これらのそれぞれが置換基を有してもよく、およびRは、R10と異なり;RおよびR10は、互いに連結されて環を形成してもよく、およびこの環は、置換基を有してもよく;R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環式基もしくは非芳香族複素環式基、ホスホナート、ホスフィノイル、ホスフィンオキシド、アルコキシカルボニル、スルフィニル、またはスルホキシ基であり、これらのそれぞれが置換基を有してもよく;R11は、炭素鎖によりRまたはR10のいずれかに連結されて環を形成してもよく、およびこの環は、置換基を有してもよい。
【0114】
一部の実施形態において、Rは、アルキル基またはアリール基であり、R10は、水素原子であり、およびR11は、アルキル基またはアリール基である。一部の実施形態において、Rは、水素原子であり、ならびにR10およびR11は、独立して、アルキル基またはアリール基である。
【0115】
およびR10の例としては、水素原子、フェニル、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、2−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−ニトロフェニル、フラニル、ピリジル、シンナミル、2−フェニルエチル、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0116】
11の例としては、ベンジル、ベンズヒドリル、9−フルオレニル、2−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、アリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ジフェニルホスフィノイル、p−トリルスルフィニル、p−トルエンスルホニル、メシチレンスルホニルなどが挙げられる。R11は、3,4−ジヒドロイソキノリンなどの場合のように環の一部でもよい。
【0117】
本願に記載するイミン基質は、当分野において公知の方法によって、例えば、対応するイミン基質を生成するためのアルデヒドまたはケトンとアミンの縮合によって、合成することができる。
【0118】
プロセスは、シアノ化反応におけるシアン化物イオン源としてのシアノ化剤の使用を含む。本発明での使用に適するシアノ化剤の例としては、シアン化水素、トリアルキルシリルシアニド、アセトンシアノヒドリン、シアノギ酸エステル、シアン化カリウム−酢酸、シアン化カリウム−無水酢酸、トリブチルすずシアニド、などが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態において、シアノ化剤は、トリアルキルシリルシアニドである。一部の実施形態において、シアノ化剤は、トリアルキルシリルシアニドとシアン化水素の混合物である。例えば、シアン化水素ガスを溶剤と併用で(例えば、溶剤に溶解したガスとして)反応容器に添加してもよい。一部の事例では、シアノ化剤を、反応において、1モルのイミン基質に基づき、0.1から3モル、0.5から3モル(例えば、0.5から2.5モル)、1から3モル、1.05から2.5モル、または、一部の事例では1.5から2.5モルの量で使用する。一部の実施形態では、イミン基質に基づき、1.1当量のシアノ化剤を使用してもよい。一部の実施形態では、イミン基質に基づき、1.5当量のシアノ化剤を使用してもよい。シアノ化剤は、時間をかけて、例えば、5分から10時間、10分から5時間、または一部の事例では30分から1時間かけて、反応容器に添加してもよい。
【0119】
一部の実施形態において、プロセスは、シアン化水素などの安価で容易に入手できるシアノ化剤を有利に用いる。例えば、プロセスは、触媒量のトリアルキルシリルシアニド、例えばTMSCN、の存在下でシアン化水素をシアノ化剤として用いることができる。
【0120】
本願に記載するとおり、イミンのシアノ化の際に1つ以上の溶剤を使用することがある。溶剤の例としては、例えばジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶剤;例えばクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶剤;例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;例えば酢酸エチルなどのエステル溶剤;例えば酢酸エチルなどのエステル溶剤;ならびに、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル溶剤、などが挙げられる。一部の実施形態において、溶剤は、ハロゲン化炭化水素溶剤または芳香族炭化水素溶剤である。溶剤を単独で使用する場合があり、または溶剤の混合物として併用する場合がある。一部の実施形態において、使用される溶剤の総量は、基質としてのイミン1mmolに基づき、約0.1〜5mL、または一部の事例では0.2〜1mLであり得る。
【0121】
本願に記載する反応は、本願に記載する方法を用いてチタン触媒を調製し、その後、そのチタン触媒にイミン基質およびシアノ化剤を添加することによって行うことができる。結果として得た混合物を任意の反応温度で、例えば−78℃から80℃、またはそれより高い温度で、約15分から6時間、攪拌して、α−アミノニトリル生成物を生成することができる。一部の実施形態では、混合物を約0〜30℃の反応温度で攪拌する。
【0122】
一部の実施形態において、本発明の方法は、チタン原子の点からみてイミン1モルに基づき0.01から30モル%、0.25から10モル%、2.5から10モル%、または2.5から5.0モル%の量での反応におけるチタン触媒の使用を含む。一部の実施形態では、チタン触媒を、チタン原子換算で、イミン1モルに基づき約1mol%以下である量で、使用することがある。一部の事例では、より大量の触媒を使用する反応に比べてエナンチオ選択性が実質的に変化する(例えば、減少する)ことなく少量(例えば1mol%以下)で固体触媒を使用することができる。
【0123】
シアノ化反応を行う温度は、触媒、イミン基質、シアノ化剤または他の自由選択成分(溶剤および添加剤を含む)をはじめとする反応成分を凍結させない任意の温度であり得る。一部の事例では、反応をほぼ室温、例えば15から35℃、で行うことができる。反応は、使用している溶剤の沸点に依存して、より高い温度で(例えば加熱によって)行うこともある。反応に必要な時間は、一般的な条件、例えば、反応温度などに依存して異なる。一部の事例では、反応時間は6時間以下、4時間以下、2時間以下、1時間以下、45分以下、30分以下、または一部の事例では15分以下である。一部の実施形態において、高い収率および高いエナンチオ選択性での光学活性α−アミノニトリルの形成を果たすために攪拌に必要とされる時間は、約15〜60分である。
【0124】
一部の事例では、シアノ化反応を周囲条件下で有利に行うことができる。しかし、本発明のチタン化合物の製造を乾燥および/もしくは不活性ガス雰囲気下で行うことがあり、または乾燥および不活性条件に厳密に従わずに行うことがあることも理解されるはずである。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。反応混合物の攪拌の後、光学活性α−アミノニトリル生成物を得ることができる。
【0125】
一部の実施形態では、イミンのシアノ化の際に添加剤を使用してもよい。例えば、チタン触媒、イミン基質、シアノ化剤および/または溶剤を含む混合物に添加剤を添加してもよい。添加剤は、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む化学種(例えば、水、アルコール、ジオール、ポリオールなど)とすることができる。一部の実施形態において、添加剤は、水である。一部の実施形態において、添加剤は、アルコールである。添加剤としての使用に適するアルコールの例としては、脂肪族アルコールおよび芳香族アルコール(これらのそれぞれは、置換基を有してもよい)ならびに/またはこれらの組み合わせが挙げられる。一部の事例では、アルコールは、10個以下の炭素原子を有する線状、分岐または環状アルキルアルコールをはじめとするアルキルアルコールである。アルキルアルコールの一部の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールなどが挙げられる。アルキルアルコールは、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などをはじめとする、1つ以上の置換基を有してもよい。ハロゲン原子を有するアルキルアルコールの例としては、10個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキルアルコール、例えばクロロメタノール、2−クロロエタノール、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、過フルオロエタノール、過フルオロヘキシルアルコールなどが挙げられる。
【0126】
一部の事例において、アルコールは、6から20個の炭素原子を有するアリールアルコールをはじめとする、芳香族アルコールとしてもよい。アリールアルコールの一部の例としては、フェノール、ナフトールなどが挙げられる。アリールアルコールは、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など、または20個以下の炭素原子を有するアルキル基をはじめとする1つ以上の置換基をそのアリール基上に有してもよい。ハロゲン原子を有するアリールアルコールの例としては、6から20個の炭素原子を有するハロゲン化アリールアルコール、例えばペンタフルオロフェノールなどが挙げられる。アルキル基を有するアリールアルコールの例としては、ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、イソプロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、tert−ブチルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。
【0127】
一部の事例において、添加剤は、1つより多くのヒドロキシル基を含んでもよい。例えば、添加剤は、ジオールまたはポリオールとしてもよい。
【0128】
一部の事例では、添加剤を、イミン基質の量に基づき、0.25当量、0.5当量、1.0当量、1.5当量、2.0当量であるまたはそれより多い量で添加することがある。
【0129】
一部の事例では、添加剤をニートの試薬として添加してもよく、または溶剤中の溶液として添加してもよい。一部の事例において、添加剤は、1つ以上の化合物としてもよい。
【0130】
1セットの実施形態では、本願に記載するチタン触媒を使用するイミンの不斉シアノ化において水またはアルコール、例えばn−ブタノール、を添加剤として使用したとき、高い触媒活性およびエナンチオ選択性を観察することができる。一部の実施形態では、所望の光学活性α−アミノニトリルへのイミン基質の実質的に完全な転化を、1.0当量のn−ブタノールの添加を用いて15分以内に達成することができる。一部の事例では、少なくとも80%ee、少なくとも85%ee、少なくとも90%ee、少なくとも95%ee、少なくとも98%eeのエナンチオ選択性を観察することができる。特定の実施形態では、室温で、本願に記載するとおりのチタン触媒2.5から5モル%を用いてイミンの不斉シアノ化を行って、15分間に、収率>99%で、最大98%eeを有する生成物を生成することができる。
【0131】
一部の実施形態において、上述の組成物(例えば、チタン触媒)の1つ以上を含有するキットを提供することができる。本願において用いる場合の「キット」は、本発明の組成物のおよび/または例えば前に説明したような、本発明と会合している他の組成物の1つ以上を含む、パッケージまたは集まりを概して定義するものである。キットの各組成物を液体形態で(例えば溶液で)、固体形態(例えば、乾燥粉末)などで提供することができる。上記組成物を周囲または乾燥および/または不活性条件下(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス下)で提供することができる。本発明のキットは、一部の事例では、任意の形態の説示を含むことがあり、この説示は、この説示を本発明の組成物と関係づけることができることが当業者にわかるように本発明の組成物と共に提供される。例えば、上記説示は、上記組成物および/またはそのキットに付随する他の組成物の使用、修飾、混合、希釈、保存、投与、組み立て、保管、包装および/または調製についての説示を含むことがある。これらの説示は、当業者が認識できる任意の形態で、任意の手段で備えつけられるそのような説示を備えることに適する伝達手段、例えば、書かれたもしくは出版された、言葉による、可聴(例えば、電話による)、デジタル、光学的、可視(例えば、ビデオテープ、DVDなど)または電子通信(インターネットもしくはウェブに基づく通信を含む)として、備えつけることができる。
【0132】
本発明の幾つかの実施形態を本願において説明し、例証したが、当業者は、それらの機能を果たすためのならびに/または本願に記載する結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に思い描くことができるであろう。そのような変型および/または修飾のそれぞれが、本発明の範囲内であると考えられる。より一般的には、本願に記載するすべてのパラメータ、寸法、材料および配座が、例示を意図したものであること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料および/または配座が、本発明の技術を用いる特定の用途(単数または複数)に依存するであろうことは、当業者には容易に理解されるであろう。当業者は、常例的実験以上のものを用いることなく、本願に記載する本発明の特定の実施形態の多くの等価物がわかる、または突き止めることができるであろう。従って、上述の実施形態が単なる例として提示されているものであること、ならびに添付の請求項およびそれらの等価物の範囲内で、本発明を、具体的に説明し請求項に記載するものとは別様に実施できることは、理解されるはずである。本発明は、本願に記載する個々の特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法それぞれに関する。加えて、2つ以上のそのような特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法のいずれの組み合わせも、そのような特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾しないならば、本発明の範囲に含まれる。
【0133】
不定冠詞「a」および「an」は、本願において明細書および請求項の中で用いる場合、相反する明確な指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると解するべきである。
「および/または」という句は、本願において明細書および請求項の中で用いる場合、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、一部の事例では連言的に存在するおよび他の事例では離接的に存在する要素、を意味すると解するべきである。相反する明確な指示がない限り、「および/または」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素が、具体的に特定されたそれらの要素に関係があろうと、無関係であろうと、場合により存在することがある。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などの、範囲を設定しない言葉と共に用いるとき、一実施形態ではBを伴わないA(B以外の要素を場合により含む);もう1つの実施形態ではAを伴わないB(A以外の要素を場合により含む);さらにもう1つの実施形態では、AとBの両方(他の要素を場合により含む);などを指す場合がある。
【0134】
本願において明細書および請求項の中で用いる場合、「または」は、上で定義したような「および/または」と同じ意味を有すると解するべきである。例えば、リストの中の項目を分けるとき、「または」あるいは「および/または」は、包括的である、すなわち、多数の要素または要素のリストの少なくとも1つを含むが1つより多くも含み、場合により追加の列挙されていない要素も含む、と解釈するものとする。相反することを明確に指示する唯一の用語、例えば「の1つだけ」もしくは「の厳密に1つ」または、本請求項の中で用いるときの「から成る」は、多数の要素または要素のリストの厳密に1つの要素の包含を指す。一般に、本願において用いる場合の用語「または」は、排他性の用語、例えば「いずれか」、「の1つ」、「の1つだけ」または「の正確に1つ」の前にあるとき、排他的選択肢(すなわち、「両方ではなく一方または他方」)を示すともっぱら解釈するものとする。本請求項の中で用いるときの「から本質的に成る」は、特許法の分野において用いられる場合のその通常の意味を有するものとする。
【0135】
本願において明細書および請求項の中で用いる場合、1つ以上の要素のリストに関して「少なくとも1つ」という句は、要素リスト中の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、その要素リスト内に具体的に列挙されているそれぞれのおよびあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、その要素リスト中の要素の任意の組み合わせを除外しないと解するべきである。この定義は、「少なくとも1つ」という句が指す要素リスト内の具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定されたそれらの要素に関係があろうと、無関係であろうと、場合により存在することがあることも許容する。従って、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(およびB以外の要素を場合により含む)少なくとも1つの(1つより多くを場合により含む)A;もう1つの実施形態では、Aが存在しない(およびA以外の要素が場合により存在する)少なくとも1つの(1つより多くを場合により含む)B;さらにもう1つの実施形態では、少なくとも1つの(1つより多くを場合により含む)Aおよび少なくとも1つの(1つより多くを場合により含む)B(および他の要素を場合により含む);などを指す場合がある。
【0136】
上の明細書においてばかりでなく請求項においも、すべての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」などは、範囲を設定しない、すなわち、含むがそれらに限定されないことを意味すると解すべきである。米国特許庁特許審査手続便覧2111項03(the United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03)に示されているように、「から成る」および「から本質的に成る」という移行句だけが、それぞれ、排他的または半排他的移行句であるものとする。
【実施例】
【0137】
以下、下の実施例を参照して本発明をさらに具体的に例証する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されない。
[実施例1]
【0138】
次の実施例は、(本願では「方法1」と呼ぶ」)第一の方法を用いるチタン化合物(例えば、触媒)の調製を説明するものである。チタンアルコキシド(1.0当量)および光学活性配位子(1.0当量)をバイアル内で、乾燥トルエン中で併せた。その反応混合物をおおよそ1時間攪拌した。その溶液に15分間かけて水(0.5当量)をテトラヒドロフラン中の1〜0.5M溶液として添加した。その溶液を約90℃でおおよそ2時間加熱した。溶液中に存在する(例えば、チタンアルコキシド錯体から放出された)一切のアルコールを共沸し、その反応混合物を高真空下で乾燥させた。得られた黄色粉末を無水ペンタンで洗浄し、乾燥させて、チタン触媒を得た。
[実施例2]
【0139】
次の実施例は、(本願では「方法2」と呼ぶ」)第二の方法を用いるチタン化合物(例えば、触媒)の調製を説明するものである。チタンアルコキシド(1.0当量)および光学活性配位子(1.0当量)をバイアル内で、乾燥ジクロロメタン中で併せた。その反応混合物をおおよそ1時間攪拌した。15分間かけて水(0.5当量)をその溶液に直接またはテトラヒドロフラン中の1〜0.5M溶液として添加した。その溶液を室温で約2時間攪拌した。その反応混合物を乾燥させた。得られた粉末を無水ペンタンで洗浄し、乾燥させて、チタン触媒を得た。
[実施例3]
【0140】
次の実施例は、上の実施例1または2においてそれぞれ説明したとおりの方法1または方法2を用いて調製したチタン触媒の一般分析を説明するものである。単離したチタン触媒をNMR、IR、および質量分光技術によって分析した。形成されたすべての錯体が、オリゴマーまたはクラスタータイプの化合物の混合物を示すことができる広幅NMRシグナルを示した。
[実施例4]
【0141】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例5]
【0142】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例6]
【0143】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例7]
【0144】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例8]
【0145】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例9]
【0146】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例10]
【0147】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例2において説明した方法2に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例11]
【0148】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例2において説明した方法2に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例12]
【0149】
チタンアルコキシドの水に対する比が1:1であったことを除き、表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例13]
【0150】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例14]
【0151】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
[実施例15]
【0152】
表1に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例1において説明した方法1に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を実施例3に従って分析した。それらの質量分光分析結果を表1に示す。
表1:チタン触媒の質量分析
【0153】
【表1】

【0154】
[実施例16]
同じ光学活性配位子を使用した場合、実施例6および実施例8において合成した化合物を比較することができる。しかし、異なるチタンアルコキシドを使用しても、類似した質量分光結果が得られた。理論により拘束されることを望まないが、これは、質量分光サンプルを調製するために使用したメタノールからのメトキシド基とアルコキシド基の交換のためであり得る。表2は、実施例6および実施例8において調製した触媒についてのESI質量分析結果を示すものである。図4Aおよび4Bは、適当な構造フラグメントの一部の例を示すものであり、質量分光データと相関し得る。
表2:実施例6および8において調製したチタン触媒についてのESI質量分析結果
【0155】
【表2】

[実施例17]
【0156】
上で調製したチタン触媒を、次の手順に従ってイミンの不斉シアノ化において使用した。この実施例では、表3に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、上の実施例1において説明した方法1を用いて、触媒を調製した。触媒(10mg)をフラスコに入れ、そのチタン触媒を含む溶液に、ベンズヒドリルイミン(1当量)、添加剤としてトリメチルシリルシアニド(そのイミン基質に対して1.5当量)およびブタノール(そのイミン基質に対して1当量)をこの順番で添加した(図3A)。この反応を、専らトルエン中で行った。得られた材料を室温で1時間攪拌し、NMRおよびHPLC分析を行ってその生成物の収率およびエナンチオマー過剰度(ee)を決定した。結果を表3に示す。
[実施例18]
【0157】
使用した光学活性配位子を表3に示すことを除き、実施例17の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例19]
【0158】
5mgの触媒を使用したことおよび反応物を2時間攪拌したことを除き、実施例18の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例20]
【0159】
2.5mgの触媒を使用したことを除き、実施例19の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例21]
【0160】
使用した光学活性配位子を表3に示すことを除き、実施例20の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例22]
【0161】
使用した光学活性配位子を表3に示すことを除き、実施例20の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例23]
【0162】
1mgの触媒を使用したことを除き、実施例18の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例24]
【0163】
1mgの触媒をフラスコに入れたことを除き、実施例21の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例25]
【0164】
使用したチタンアルコキシドを表3に示すことを除き、実施例24の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例26]
【0165】
使用したチタンアルコキシドを表3に示すことを除き、実施例23の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例27]
【0166】
実施例2において説明したとおりの方法2を用いて触媒を調製したことを除き、実施例25の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
[実施例28]
【0167】
実施例2において説明したとおりの方法2を用いて触媒を調製したことを除き、実施例26の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表3に示す。
表3:チタン触媒を使用するベンズヒドリルイミンのシアノ化
【0168】
【表3】

[実施例29]
【0169】
以下の実施例では、表4に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、上の実施例1において説明した方法1を用いて、チタン触媒を調製した。得られたチタン触媒をベンズヒドリルイミンの不斉シアノ化(図3A)において使用した。触媒(1mg)をフラスコに入れ、ベンズヒドリルイミン(1当量)、添加剤としてトリメチルシリルシアニド(そのイミン基質に対して1.5当量)およびブタノール(そのイミン基質に対して1当量)をこの順番で添加した。この反応を、専らトルエン中で行った。得られた材料を室温で2時間攪拌し、NMRおよびHPLC分析を行って、その生成物の収率およびエナンチオマー過剰度(ee)を決定した。結果を表4に示す。
[実施例30]
【0170】
チタン触媒の調製の際に使用したチタンアルコキシドの水に対する比が1:1であったことを除き、実施例29の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例31]
【0171】
チタン触媒の調製の際に使用したチタンアルコキシドの水に対する比が1:1.5であったことを除き、実施例29の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例32]
【0172】
触媒の調製に使用したチタンアルコキシドが表4に与えるとおりであることを除き、実施例29の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例33]
【0173】
実施例2において説明したとおりの方法2を用いてチタン触媒を調製したことを除き、実施例29の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例34]
【0174】
チタン触媒の調製の際に使用したチタンアルコキシドの水に対する比が1:1であったことおよびチタンアルコキシドの配位子に対する比が2:1であったことを除き、実施例32の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例35]
【0175】
チタンアルコキシドの配位子に対する比が1:2であったことを除き、実施例34の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
[実施例36]
【0176】
触媒の調製に使用した光学活性配位子が表4に与えるとおりであることを除き、実施例29の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表4に示す。
表4:ベンズヒドリルイミンのシアノ化に対する触媒調製中の水および配位子の比率の影響
【0177】
【表4】

[実施例37]
【0178】
以下の実施例では、表5に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、上の実施例1において説明した方法1を用いて、チタン触媒を調製した。得られたチタン触媒を、実施例29において説明したようにベンジルイミンの不斉シアノ化(図3B)において使用した。NMRおよびHPLC分析を行って、その生成物の収率およびエナンチオマー過剰度(ee)を決定した。結果を表5に示す。
[実施例38]
【0179】
実施例2において説明したとおりの方法2を用いてチタン触媒を調製したことを除き、実施例37の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表5に示す。
[実施例39]
【0180】
チタン触媒の調製の際に用いたチタンアルコキシドの水に対する比が1:1であったことを除き、実施例38の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表5に示す。
[実施例40]
【0181】
触媒の調製に用いた光学活性配位子が表5に与えるとおりであることを除き、実施例37の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表5に示す。
[実施例41]
【0182】
チタン触媒の調製の際に用いたチタンアルコキシドの水に対する比が1:1であったことを除き、実施例40の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表5に示す。
表5:チタン触媒を使用するベンジルイミンのシアン化
【0183】
【表5】

[実施例42]
【0184】
次の実施例では、次の一般手順に従って不斉シアノ化反応を行った。実施例8において説明した方法1に従って光学活性チタン触媒を調製した。その後、イミンの不斉シアノ化においてその光学活性チタン触媒を直接使用した。その光学活性チタン触媒(およそ1〜2mg)をフラスコに入れ、表6に示すイミン(0.2mmol)、トリメチルシリルシアニド(そのイミン基質に対して1.5当量)、および添加剤としてブタノール(そのイミン基質に対して1.0当量)を順番に添加した。得られた材料を室温で15〜60分間攪拌し、NMRおよびHPLC分析を行ってその生成物の収率およびエナンチオマー過剰度(ee)を決定した。結果を表6に示す。
[実施例43]
【0185】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例44]
【0186】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例45]
【0187】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例46]
【0188】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例47]
【0189】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例48]
【0190】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例49]
【0191】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例50]
【0192】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例51]
【0193】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例52]
【0194】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例53]
【0195】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例54]
【0196】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例55]
【0197】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例56]
【0198】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例57]
【0199】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例58]
【0200】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例59]
【0201】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
[実施例60]
【0202】
表6に示すとおりのイミン基質を使用したことを除き、実施例42の場合と同じ手法で不斉シアノ化反応を行った。結果を表6に示す。
表6:イミンの不斉シアノ化のための基質範囲
【0203】
【表6】

[実施例60]
【0204】
実施例4に従って調製した触媒を、次の手順に従って不斉シアノ化反応において使用した。その触媒(5mg)をトルエンに分散させ、ボルテックスにかけて微細懸濁液を生成し、遠心分離機にかけ、その液をデカントすることにより可溶性部分を分離した。固体成分を新たなトルエンで2回、再度洗浄した。
【0205】
その触媒に700μLのトルエン、0.2mmolのベンズヒドリルイミン、1.5当量のTMSCN、1.0当量のn−BuOHを投入し、室温で2時間、反応を行った(図3A)。2時間後、その反応混合物を遠心分離機にかけて反応混合物から固体触媒を分離した。液体成分をセライトに通し、ジクロロメタンで洗浄した。揮発成分を蒸発させ、その生成物をHPLCによって分析して生成物のエナンチオマー過剰度(ee)を決定し、およびNMRによって分析して転化率を決定した。結果を表7に示す。
【0206】
単離された固体触媒を再循環させ、実施例61において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再度使用した。
[実施例61]
【0207】
実施例60から単離した、単離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を、実施例62において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例62]
【0208】
実施例61から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例63において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例63]
【0209】
実施例62から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例64において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例64]
【0210】
実施例63から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例65において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例65]
【0211】
実施例64から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例63において説明したようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例66]
【0212】
実施例65から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例67において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例67]
【0213】
実施例66から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例68において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例68]
【0214】
実施例67から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例69において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例69]
【0215】
実施例68から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例70において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例70]
【0216】
実施例69から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。
[実施例71]
【0217】
実施例5に従って調製した触媒を使用して、実施例60に従って不斉シアノ化反応を行った。結果を表7に示す。単離された固体触媒を再循環させ、実施例72において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例72]
【0218】
実施例71から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例73において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例73]
【0219】
実施例72から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例74において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例74]
【0220】
実施例73から単離した、分離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表7に示す。
表7.再循環されたチタン触媒を使用するベンズヒドリルイミンのシアノ化
【0221】
【表7】

[実施例75]
【0222】
次の実施例は、(本願では「方法3」と呼ぶ」)第三の方法を用いるチタン化合物(例えば、触媒)の調製を説明するものである。チタンアルコキシド(Ti(Oi−Pr))(1.0当量)および光学活性配位子(1.0当量)をバイアル内で、乾燥トルエン中で併せた。その反応混合物をおおよそ1時間攪拌した。15分間かけて水(0.5当量)をその溶液にテトラヒドロフラン中の1〜0.5M溶液として添加した。その溶液を約90℃でおおよそ2時間攪拌し、続いて還流させながら1時間攪拌した。その反応混合物を室温に冷却し、沈殿を濾過し、トルエンで洗浄し、真空下で乾燥させた。触媒を黄色粉末として単離した。
[実施例76]
【0223】
実施例4の表1に示したチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例75において説明した方法3に従って、チタン触媒を合成した。
単離された触媒を、実施例60において説明した手順に従って不斉シアノ化に使用した。生成物をHPLCによって分析してその生成物のエナンチオマー過剰度(ee)を決定し、およびNMRによって分析して転化率を決定した。結果を表8に示す。その反応混合物から単離した触媒を再循環させ、実施例77において説明したようなベンズヒドリルアミンのシアノ化において再び使用した。
[実施例77]
【0224】
実施例76から単離した、単離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表8に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例78において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例78]
【0225】
実施例77から単離した、単離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表8に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例79において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例79]
【0226】
実施例78から単離した、単離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表8に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例80において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例80]
【0227】
実施例79から単離した、単離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表8に示す。その単離された固体触媒を再循環させ、実施例81において説明するようなベンズヒドリルイミンのシアノ化に再び使用した。
[実施例81]
【0228】
実施例79から単離した、単離された固体触媒に、実施例60において説明したように新たな反応物および溶剤を投入した。結果を表8に示す。
表8.再循環されたチタン触媒を使用するベンズヒドリルイミンのシアノ化
【0229】
【表8】

[実施例82]
【0230】
表9に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例75において説明した方法3に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を、実施例60において説明した手順に従って不斉シアノ化に使用した。結果を表9に示す。
[実施例83]
【0231】
表9に示すチタンアルコキシドおよび光学活性配位子を使用して、実施例75において説明した方法3に従って、チタン触媒を合成した。単離された触媒を、実施例60において説明した手順に従って不斉シアノ化に使用した。結果を表9に示す。
表9.チタン触媒を使用するベンズヒドリルイミンのシアノ化
【0232】
【表9】

[実施例84]
【0233】
次の実施例は、単離された固体材料が活性触媒であるかどうか、および/または溶液中の成分が活性触媒であるかどうかを判定するための方法を説明するものである。実施例75において単離した固体触媒を、実施例60において説明した手順に従って不斉シアノ化に使用した。遠心分離によって反応混合物から固体触媒を単離した。その触媒形成反応からの溶液の小分割量をHPLCおよびNMRによって分析した。結果を表10に示す。残りの溶液を、実施例85において説明するようなさらなるシアノ化反応に付した。
[実施例85]
【0234】
実施例84からの残りの溶液に、ベンズヒドリルイミン(0.2mmol)、TMSCN(1.5当量)、ブタノール(1.0当量)およびトルエン(500μL)を添加した。2時間後、溶剤を蒸発させ、生成物をHPLCおよびNMRによって分析してその生成物のエナンチオマー過剰度(ee)および転化率をそれぞれ決定した。結果を表10に示す。
[実施例86]
【0235】
実施例75において単離した固体触媒に、ベンズヒドリルイミン(0.2mmol)、ブタノール(1.0当量)およびトルエン(500μL)を添加した。2時間後、遠心分離によってその反応混合物から固体触媒を分離した。その反応混合物の液体成分に、TMSCN(1.5当量)を添加し、実施例60において説明したようにシアノ化反応を行った。結果を表10に示す。
表10.ベンズヒドリルイミンのシアノ化
【0236】
【表10】

[実施例87]
【0237】
実施例4において単離した固体触媒を空気下での熱重量分析によって分析して(図5)、チタン含有率を決定した。このチタン含有率は、チタン含有率が14.20%であるTi(C1617NO(OH)またはチタン含有率が14.245%であるTi(C1617NO(O)(OH)の分子式にぴったりと一致する14%であると判明した。
[実施例88]
【0238】
実施例5において単離した固体触媒を空気下での熱重量分析によって分析して(図6)、チタン含有率を決定した。このチタン含有率は、チタン含有率が18.26%であるTi(C1219NO(CO)(OH)の分子式にぴったりと一致する18%であると判明した。
[実施例89]
【0239】
実施例6において単離した固体触媒を空気下での熱重量分析によって分析して(図7)、チタン含有率を決定した。このチタン含有率は、チタン含有率が15.79%であるTi(C1319NO(OH)またはチタン含有率が15.84%あるTi(C1321NO(O)(OH)の分子式にぴったりと一致する15.5%であると判明した。
[実施例90]
【0240】
実施例4において単離した固体触媒をIR分光法により4000〜400cm−1の範囲で分析し、遊離配位子と比較した(図8)。触媒が形成されると配位子中の遊離OH基が消失した。遊離配位子の3318cm−1と比較して3258cm−1へのNH振動のシフトが、窒素もTiに配位していることを示した。約940cm−1にピークがないことが、末端Ti=O結合の不在を示した。703cm−1のピークは、Ti−O−Ti構造の存在を示唆している。
[実施例91]
【0241】
実施例5において単離した固体触媒をIR分光法により4000〜400cm−1の範囲で分析し(図9)、遊離配位子と比較した。触媒が形成されると配位子中の遊離OH基が消失した。遊離配位子の3302cm−1と比較して3259cm−1へのNH振動のシフトが、窒素もTiに配位していることを示した。約940cm−1にピークがないことが、末端Ti=O結合の不在を示した。705cm−1のピークは、Ti−O−Ti構造の存在を示唆している。
[実施例92]
【0242】
実施例6において単離した固体触媒をIR分光法により4000〜400cm−1の範囲で分析し、遊離配位子と比較した(図10)。触媒が形成されると配位子中の遊離OH基が消失した。遊離配位子の3263cm−1と比較して3281cm−1へのNH振動のシフトが、窒素もTiに配位していることを示した。約940cm−1にピークがないことが、末端Ti=O結合の不在を示した。712cm−1のピークは、Ti−O−Ti構造の存在を示唆している。
[実施例93]
【0243】
実施例85において単離した固体触媒をIR分光法により4000〜400cm−1の範囲で分析し(図11)、遊離配位子と比較した。触媒が形成されると配位子中の遊離OH基が消失した。遊離配位子の3422cm−1および3321cm−1と比較して3413cm−1および3265cm−1へのNH振動のシフトが、窒素もTiに配位していることを示した。約940cm−1にピークがないことが、末端Ti=O結合の不在を示した。695cm−1のピークは、Ti−O−Ti構造の存在を示唆している。
[実施例94]
【0244】
実施例4において単離した固体触媒を走査型電子顕微鏡法(SEM)分析によって分析した。図12に示すSEM像は、それらの粒子が約10〜50nmのサイズの不定形ナノスフェアの凝集体であることを示している。
[実施例95]
【0245】
実施例83において単離した固体触媒を走査型電子顕微鏡法(SEM)分析によって分析した。図13に示すSEM像は、その材料が300nmのサイズの定形マイクロスフェア構造を有することを示している。
[実施例96]
【0246】
実施例4において単離した固体触媒を、図14に示すように、X線電子分光法(XPS)によって分析した。観察されたピークは、C(1s)、287.4eV;N(1s)、402.2eV;O(1s)、533.85eV;ならびにTi(2p)、460.9eVおよび466eVであった。
[比較例1]
【0247】
1mol%のキラルアミノアルコール配位子(0.3mLのトルエン中の、0.5mgのt−Bu配位子、N−(2'−ヒドロキシ−3'−エトキシ−フェニル)メチル−(S)−2−アミノ−3,3−ジメチル−ブタノール)と、トルエン中の水 0.11から0.15当量(0.65mL、190ppmの水分)の存在下でTi(OnBu)単量体を処理することによって得た1mol%の部分的に加水分解されたTi(OnBu)(PHTA、従来の触媒、の0.05Mトルエン溶液 0.05mL)とから、キラルチタン触媒を調製した。このキラル触媒溶液に、N−ベンジリデン−1−フェニルメタンアミン(0.2mmol)を添加し、その後、1.5当量のTMSCNおよび1当量のn−BuOHを添加した。1時間の反応の後、50%収率および42%eeが観察された。この触媒を反応混合物から分離せず、従って、再循環させなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(d)によって表されるチタンアルコキシド:
【化1】

(一般式(d)中、
R'は、同じまたは異なることがあり、および置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール基であり;
Yは、同じまたは異なることがあり、およびハロゲン原子、アシル基またはアセチルアセトナート基であり;ならびに
xは、0〜4の整数である。)
と一般式(e)によって表される配位子:
【化2】

(一般式(e)中、
、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、シロキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成することがあり、この環は置換基を有してもよく;ならびに
(A)は、炭素原子数2以上の基を表す。)
とから調製された錯体と水を接触させることによって製造されるチタン触媒。
【請求項2】
一般式(f)によって表される化合物:
【化3】

(一般式(f)中、
R'は、同じまたは異なることがあり、および置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアリール基であり;
Yは、同じまたは異なることがあり、およびハロゲン原子、アシル基またはアセチルアセトナート基であり;
mは、1より大きい整数であり;
nおよびqは、同じでありまたは異なり、および0であるか0より大きい整数であり;
p、rおよびsは、同じでありまたは異なり、および0であるか0より大きい整数であり;ならびに
Lは、一般式(e)によって表される配位子であり、
【化4】

一般式(e)中、
、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、シロキシ基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成することがあり、この環は置換基を有してもよく;ならびに
(A)は、炭素原子数2以上の基を表す。)
を含む、合成反応のための単離されたチタン触媒。
【請求項3】
前記化合物が、以下の式のいずれか1つによって表される、請求項2に記載の単離されたチタン触媒。
【化5】

【請求項4】
前記化合物が、以下の式のいずれか1つによって表される、請求項3に記載の単離されたチタン触媒。
【化6】

【請求項5】
チタンに配位しているとき、Lが、一価イオン、二価イオン、または三価イオンである、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【請求項6】
チタンに配位しているとき、Lが二価イオンである、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【請求項7】
(A)が、不斉炭素原子または軸不斉を有する炭素原子数2以上の基を表す、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【請求項8】
前記チタン錯体が、固体として単離される、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【請求項9】
a)一般式(d)によって表されるチタンアルコキシドと一般式(e)によって表される配位子とから調製された錯体を含む溶液を作る工程と;
b)前記溶液と水を接触させて、前記触媒の溶液または懸濁液を得る工程と;
c)前記触媒の溶液または懸濁液から溶剤を除去する工程と
を含む、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒の調製のためのプロセス。
【請求項10】
前記一般式(e)によって表される配位子が、一般式(a):
【化7】

(一般式(a)中、
、R、RおよびRは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アシル基、アルコキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基であり、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成することがあり、この環は置換基を有してもよく;ならびに
(A)は、不斉炭素原子または軸不斉を有する炭素原子数2以上の基である。)
によって表される、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【請求項11】
前記一般式(e)のよって表される配位子が、一般式(b):
【化8】

(一般式(b)中、
、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基もしくはアミノカルボニル基を表し、これらのそれぞれは置換基を有してもよく、またはR、R、RおよびRの2つ以上が互いに連結されて環を形成することがあり、この環は、置換基を有してもよく;R、R、RおよびRの少なくとも1つは、異なる基であり;として示されている炭素原子の両方または少なくとも1個が不斉中心となり;ならびに(NH)および(OH)として示されている部分は、(A)に属さず、ならびに前記一般式(a)において(A)が結合しているものにそれぞれ対応するアミノ基およびヒドロキシル基を表し;ならびに
、R、RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基またはシロキシ基であり、これらは置換基を有してもよく、これらのそれぞれが互いに結合して環を形成することがある。)
によって表される、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【請求項12】
が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、またはベンジルであり、ならびにR、RおよびRが、水素原子である、請求項11に記載のチタン触媒。
【請求項13】
前記配位子が、下記の構造を有する、前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒。
【化9】

【請求項14】
前記いずれかの請求項に記載のチタン触媒の存在下でイミンとシアノ化剤を反応させることを含む、イミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項15】
請求項2〜8および10〜13のいずれか一項に記載のチタン触媒の存在下での不斉反応である、イミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項16】
少なくとも1つのヒドロキシル基を有する添加剤の存在下で行われる、前記いずれかの請求項に記載のイミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項17】
前記イミンが、一般式(c):
【化10】

(一般式(c)中、
およびR10は、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環式基または非芳香族複素環式基であり、これらのそれぞれが置換基を有してもよく、およびRは、R10と異なり;
およびR10は、互いに連結されて環を形成することがあり、およびこの環は、置換基を有してもよく;
11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環式基もしくは非芳香族複素環式基、ホスホナート、ホスフィノイル、ホスフィンオキシド、アルコキシカルボニル、スルフィニル、またはスルホキシ基であり、これらのそれぞれが置換基を有してもよく;ならびに
11は、炭素鎖によりRまたはR10に連結されて環を形成することがあり、およびこの環は、置換基を有することがある。)
によって表される、前記いずれかの請求項に記載のイミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項18】
前記シアノ化剤が、シアン化水素、トリアルキルシリルシアニド、アセトンシアノヒドリン、シアノギ酸エステル、シアン化カリウム−酢酸、シアン化カリウム−無水酢酸、またはトリブチルすずシアニドである、前記いずれかの請求項に記載のイミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項19】
前記シアノ化剤が、トリアルキルシリルシアニドである、前記いずれかの請求項に記載のイミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項20】
前記シアノ化剤が、トリアルキルシリルシアニドとシアン化水素の混合物である、前記いずれかの請求項に記載のイミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項21】
前記添加剤が、アルコール、ジオール、ポリオール、または水である、請求項15に記載のイミンのシアノ化のためのプロセス。
【請求項22】
前記いずれかの請求項に記載の組成物を含む、キット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−517344(P2012−517344A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550098(P2011−550098)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/SG2010/000052
【国際公開番号】WO2010/093336
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】