説明

チップを備えた非接触チケットの製造方法

【課題】 本発明は、非接触チケットまたは非接触カードを複数のステップで製造する方法に関し、前記チケットまたは非接触カードは、紙の担体上のアンテナ(10)に接続されたチップ(24)を備える。
【解決手段】 本発明の方法は、次のステップからなる。すなわち、スクリーン印刷用インクを用いて紙ストリップにアンテナを連続して印刷するステップと、チップの接合パッドをアンテナの接合パッド(14、16)に接続することによりチップを各チケットに固定するステップと、スクリーン印刷したアンテナおよびそれに対応するチップを備えた紙ストリップを接着性の細長い紙ストリップで被覆するステップとからなる。各ステップ後に、紙担体ストリップは、次のステップを開始する前に巻き上げられる。また本発明の方法は、各ステップ後に続き紙担体ストリップを巻き上げている間にスクリーン印刷のインクが紙担体ストリップの裏側に転写されないように、スクリーン印刷されたアンテナを保護層(12)で被覆することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップおよびスクリーン印刷されたアンテナを備えるチケットの製造方法に関し、詳細には、非接触チケットの製造方法および本方法により製造したチケットに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触可読チケットまたは非接触可読タグとして周知である非接触の無線周波数識別(RFID)型電子チケットは、アンテナとそのアンテナに接続された電子チップの形を取る集積回路とを装備し、このユニットは、フレキシブルな支持体上に製造される。非接触型チケットは、チケットのアンテナがそれとは別のアンテナを装備したリーダを使用することによる誘導結合を介し、データの遠隔交換および遠隔伝送をすることができる。フレキシブルな支持体は、紙製か、カード製またはプラスチック製である。チケットの経済的な実施形態では、アンテナは、スクリーン印刷によって印刷される。スクリーン印刷は、アンテナコイルを電気的な絶縁性基板に印刷することからなる。基板は好適には紙製であり、例えば主に銀粉で構成した導電性のインクを使用して印刷する。スクリーン印刷したアンテナを備えるチケットを製造するのに連続的な製造方法を用いることが可能である。
【0003】
このため、出願人は、自ら製造方法を開発した。この製造方法では、切れ目のない1枚の紙ストリップのストリップ面にアンテナをスクリーン印刷する。この紙ストリップの幅では、1枚または複数枚のチケットを製造することが可能である。紙ストリップのアンテナを担持する側に対して裏側に、各チケットに相応する領域でチケットの列となり得る場所を紙ストリップの幅の中で定めることができるように、印刷マークまたは孔で構成されたマーカーを紙ストリップの給紙方向に作る。このマーカーは、チケットの連続的製造方法に必要不可欠である。実際、2つの製造ステップ間で紙ストリップを処理し、保管できるように、チケットの各製造段階では紙ストリップを完全には巻戻さずに後でまた巻くので、各チケットの正確な位置を定める。このように、非接触チケットを連続的に製造する方法は、多数のステップに分けられ、このステップは、顧客の挿絵を印刷し、アンテナを印刷し、チップを取り付け、最終的にラミネートすることからなり、ラミネートは、チケットのアンテナを担持する側に顧客の挿絵を予め印刷した層とチップとを溶着することからなる。アンテナの印刷には、いくつかの作業段階が必要である。実際にアンテナの製造は、導電性の螺旋を形成するアンテナコイルの印刷、コイルに垂直な誘電体ストリップの形成、チップとの電気的接続に使われる接続端子にアンテナの一端を接続できるように誘電体ストリップ上に導電性インクのブリッジを印刷することからなる。
【0004】
電子チップをチケット上のアンテナを接続するために設けた場所に位置合わせすることからなるステップは、チケットの製造において最も重要なステップであり、高い精度が求められる。チップは、アンテナの支持体の反対側に設定しておいたマーカと、マーカを光学検出することとによって、結果的に所望の位置に正確に置かれる。しかし、位置合わせを誤って行うこともあり、その場合、アンテナへのチップの接続は不良となる。また、マーカは、紙ストリップを一枚づつのチケットに切断するのにも使用される。
【0005】
この種の連続的製造方法の主に不利な点は、連続した巻き上げと巻き戻しを行う間に、アンテナを構成している銀インクが、摩擦のために紙ストリップの裏に転写されてしまうことである。紙ストリップの裏側にあらかじめ顧客の挿絵が印刷されている場合、肉眼で見て取れるマークが顧客の挿絵の上に現れ、そのためチケットの仕上がりの美的品質が損なわれる。さらに、マーカーがアンテナの領域にある場合、インクが転写することによって、紙ストリップの裏側が覆われてしまい、そのためチケットの製造ステップおよび分配ステップ中に行う光学的な位置合せが妨害される可能性がある。そのためチップを位置合わせし、チケットを切断することからなるステップは失敗し、チケットの生産高を低下させかねない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、切れ目のない1枚のストリップ上に非接触チケットを連続製造し、摩擦によってインクがストリップの裏に転写されず、またチケットの製造ステップを追加せずに、導電性インクをスクリーン印刷することによってアンテナの製造を可能にする方法を提供することによって、この不利な点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の対象は、紙支持体上のアンテナに接続されたチップを備え非接触チケットまたは非接触カードの複数ステップの製造方法であって、スクリーン印刷用インクを用いて紙支持ストリップ上にアンテナを連続的に印刷するステップと、アンテナの接合パッドにチップの接合パッドを接続することにより各チケットにチップを固定するステップと、スクリーン印刷したアンテナおよびそれに対応するチップを備えた紙ストリップを接着性紙ストリップで被覆するステップとからなり、各ステップ後、次のステップに移る前に紙支持ストリップを巻く製造方法である。本方法は、各ステップ後、引き続いて紙支持ストリップを巻いている間に、その裏にスクリーン印刷用インクが転写されることを防止するためにそれぞれのスクリーン印刷したアンテナを保護層で被覆するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の目的、対象、および特徴は、図面を参照した以下の説明を読むことで一層明確になる。
【0009】
発明による非接触チケットの製造方法において、各ステップは、切れ目のない1枚のストリップに同一の動作を行うことからなり、ストリップの幅は、1枚または複数枚のチケット(例えば6枚のチケット)を同時に製造することが可能である。全ステップを実行すると、個々のチケットを得るために、切断を行う。
【0010】
製造方法の最初のステップの前に、何らかの長さである無地の紙ストリップのリールを製造機に取り付ける。図1に示した銀ベースのインクを使用してスクリーン印刷することによってアンテナ10を製造することからなる最初のステップを行うために、リールは巻戻される。
【0011】
次のステップは、やはりスクリーン印刷によって、アンテナ10を覆う保護層12を蒸着させることからなる。図2に示す好適実施形態において、保護層12は、アンテナ10を覆うように、アンテナ10の表面全体に塗布される。しかし、保護層12がアンテナのターンのみを覆う、つまりまさに印刷部のみを覆う実施形態を設計することもできる。さらに、好適実施形態によれば、保護層は、誘電体層である。
【0012】
この保護層の目的は、スクリーン印刷ステップに続き、ストリップの巻上げ中に、紙ストリップ上に固着されたばかりのアンテナ10を構成するインクが摩擦により転写されるのを防止することである。
【0013】
上述したように、このような転写はチケットの美的品質を損ね、またストリップの裏に設定したマーカーを被覆し、そのためマーカの位置を光学的に定めることを妨げる可能性がある。
【0014】
この誘電体層は、2つの特徴を有する。第1に、チップとの接続に使用するアンテナの端部14および16を覆ってはならない。第2に、誘電体をスクリーン印刷するこの単一のステップは、その次のステップで、チップの接合パッドにアンテナの接続端部14をチップの接合パッドに接続するために、導電ストリップを印刷する矩形18のスクリーン印刷とは同じではない。
【0015】
誘電体層12は、アンテナをスクリーン印刷するのと同じステップで印刷されるのが好ましく、そうすることにより、チケットの裏にインクが転写されるのを防止する。しかし、このような誘電体層の印刷は、後続ステップで行うこともできる。すなわち、アンテナをスクリーン印刷したばかりのストリップを巻いた後で誘電体層の印刷を行うこともできる。
【0016】
既に述べたように誘電体層の印刷は、アンテナのコイルを被覆する矩形18については異なる。実際、アンテナ全体を被覆する誘電体層の唯一の目的は、インクがチケットの裏側に転写されるのを防止することであるのに対し、矩形18の誘電体層の目的は、図3に示した導電ストリップ20からアンテナのコイルを絶縁することである。そのため、この矩形は、電気的に完全に絶縁性でなくてはならず、これは保護目的で製造する誘電体層のすべてが必要であるとは限らないということである。好適な手法の1つは、印刷スクリーンを使用することからなり、矩形18に相当する部分以外のスクリーンの大部分は、ハーフトーン印刷され、矩形18に相当する部分は、フルトーンスクリーンである。これによって100%の誘電体で矩形18を被覆し、残りの誘電体層12を30%だけの誘電体で被覆することができる。
【0017】
ストリップを再度巻いた後、本方法は、アンテナからチップへの接続をスクリーン印刷することからなる次のステップへと進む。アンテナからチップへの接続とはつまり、導電ストリップ20からアンテナ10の端部14への接続と、導電ストリップ22からアンテナ10の端部16への接続のことである。図3に示すように、これによって次のステップで、チップ24の接合パッドを導電ストリップ20および22の端部に固定することによってチップを接続することができる。
【0018】
保護誘電体層12を印刷した後で、導電ストリップ20および22をスクリーン印刷するのに、アンテナと同様のインク転写の問題をがないことに留意されたい。実際に、アンテナの縦長のコイルは、巻いた後のリールの中で互いに重なり、これにより余分な厚みができ、その結果、この余分な厚みによって生じた圧力が原因で、摩擦によってチケットの裏にインクが転写するリスクが高くなる。これとは対照的に、小さな寸法の導電ストリップ20および22は、ストリップを巻いてもリールの中で同じ場所に位置することはない。従って余分な厚みがなく、その結果、摩擦によってチケットの裏にインクが転写するリスクがほとんどない。
【0019】
紙のチケットの製造を参照して、本発明による方法を説明したが、この方法は、スクリーン印刷を使用してアンテナを製造する非接触カードや他のあらゆる非接触型の対象物(ラベル、タグなど)の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】スクリーン印刷用インクを印刷することによって製造した非接触チケットのアンテナを示す図である。
【図2】本発明の原理に従って製造した誘電体保護層で覆われたアンテナを示す図である。
【図3】アンテナの端部に接続することによってチップを固定するステップに続き、誘電体層で覆ったスクリーン印刷したアンテナを有するチケットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙支持体上のアンテナ(10)に接続されたチップ(24)を含む非接触チケットあるいは非接触カードの複数ステップ製造方法であって、スクリーン印刷用インクを用いて連続的に前記紙支持体ストリップ上にアンテナを印刷するステップと、各チケット上でチップの接合パッドをアンテナの接合パッド(14、16)に接続することによりチップを固定するステップと、スクリーン印刷したアンテナおよびそれに対応するチップを備えた前記紙ストリップを接着性紙ストリップで被覆するステップとを含み、各ステップは、各ステップ後、次のステップに移る前に前記紙支持体ストリップを巻くことを含み、
前記方法は、印刷、特にスクリーン印刷を適用した保護層で、前記スクリーン印刷したアンテナそれぞれを被覆するステップを含み、前記保護層は、各ステップに続き、紙支持体ストリップを巻いている間に、スクリーン印刷のインクがその支持体ストリップの裏面に転写されないよう防止するために設けられることを特徴とする非接触チケットまたは非接触カードの製造方法。
【請求項2】
前記保護層は、誘電体層であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘電体層は、紙支持体上にアンテナをスクリーン印刷することからなるステップ中に、スクリーン印刷用インクを使用して印刷されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スクリーン印刷したアンテナ(10)の端部をチップ(24)の接合パッドに接続する導電ストリップを受ける前記誘電体層(12)の部分(18)は、残りの前記誘電体層より大きいことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記導電ストリップを受ける誘電体層(12)の前記部分(18)は、100%が誘電体で構成される一方、残りの前記誘電体層は、30%が誘電体で構成されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記誘電体層(12)を製造するために使用する前記印刷スクリーンは、前記導電ストリップを受ける前記部分(18)に対応するフルトーンスクリーンを備える一方、残りの前記誘電体層は、ハーフトーンで印刷することを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−502475(P2007−502475A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530381(P2006−530381)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001299
【国際公開番号】WO2004/107260
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(505438443)
【氏名又は名称原語表記】ASK.S.A.
【Fターム(参考)】