説明

チップオンフィルム型半導体パッケージ

【課題】別の絶縁テープがなくてもドライバー集積回路チップの高い放熱効果を得ることができ、リード破損を防止することができるチップオンフィルム型半導体パッケージを提供する。
【解決手段】チップオンフィルム型半導体パッケージは、フィルム201と、該フィルムの一方面上に形成された複数のリード202と、該リードの一端上に接続されるチップ203と、該チップと前記リードとの間の空間を埋め込むアンダーフィル層206と、前記フィルムの他方面上に形成され、ガラス繊維を基盤とした複合物を含む絶縁性放熱シート204と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージに関し、特に、チップがフィルム上に付着されたチップオンフィルム型(chip on film)半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)などのディスプレイ装置が低価格化、大型化、および高性能化なるにともない、ピクセル等の集積も増加されなければならない。
【0003】
このような状況のため、ディスプレイ装置内で個々のピクセルを制御するドライバー集積回路(driver IC)のリードピッチがますます微細化され、これに伴いパッケージング方法も多様に開発されてきた。
【0004】
ディスプレイ装置分野で主に利用されるパッケージング方法には、TCP(Tape Carrier Package)、チップオングラス(Chip On Glass;COG)、チップオンフィルム(Chip On Film;COF)などがある。微細ピッチ化による工程費の低減および歩留まり向上のために、1990年代の末からチップオンフィルム(COF)技術が主に使用された。
【0005】
チップオンフィルム(COF)技術は、ディスプレイドライバー集積回路(driver IC)の小型化のために開発された新しい形態のパッケージである。チップオンフィルム(COF)技術では、高解像度を有するディスプレイ装置を実現するために、テレビジョンおよびモニターの駆動周波数が60Hzから120Hzに増加すると共に、ドライバー集積回路の駆動負荷が上昇し、このため、集積回路の発熱問題が深刻になっている。
【0006】
このような発熱問題を解決するための方法が韓国登録特許第10−0771890号公報(出願人:三星電子)に開示されている。
【0007】
図1は、従来技術に係るチップオンフィルム型半導体パッケージを示した図である。
【0008】
図1に示すように、チップオンフィルム型半導体パッケージは、ドライバー集積回路チップ103、バンプ(bump)106、リード102、アンダーフィル層107、フィルム101、放熱パッド104、および絶縁テープ105を備える。前記フィルム101は、柔軟性があり、複数のリード102およびバンプ106によってドライバー集積回路チップ103に接続される。
【0009】
前記複数のリード102は、互いに分離するように配置され、リード102の一端が中央に集中するように配置される。
【0010】
前記複数のリード102およびバンプ106によって接続されるドライバー集積回路チップ103およびフィルム101の周辺には、アンダーフィル層107が埋め込まれて、ドライバー集積回路チップ103とフィルム101とを安定的に固定する。図面符号106はバンプを示す。
【0011】
一方、前記リードと接触したフィルム101の反対面には、放熱パッド104が接着剤(図示せず)によって付着される。放熱パッド104は、ドライバー集積回路チップ103の動作によって発生する熱をアンダーフィル層107およびリード102を介して外側に放熱するためのものであって、アルミニウムなどの金属類で構成することができる。
【0012】
上記のように、従来のチップオンフィルム型半導体パッケージは、金属類の放熱パッド104を用いているため、柔軟性に劣るという問題を有している。
【0013】
そして、従来では、放熱パッド104がアルミニウムなどの金属類であるため、放熱パッド104とフィルム101とを接続するためには接着剤が必ず必要であり、放熱パッド104の絶縁処理のために別の絶縁テープ105を用いるしかない。このように、絶縁テープ105を別に付着しなければならないため、製造工程上の煩わしさがある。
【0014】
また、金属類の放熱パッド104は、厚さが厚くなるとフィルム101上のリード破損(断線等)(lead broken)のような損傷が生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0771890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために提案されたものであって、その目的は、別の絶縁テープがなくてもドライバー集積回路チップの高い放熱効果を得ることができ、リード破損を防止することができるチップオンフィルム型半導体パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、上記の目的を達成するための本発明に係るチップオン半導体パッケージは、フィルムと、該フィルムの一方面上に形成された複数のリードと、該リードの一端上に接続されるチップと、該チップと前記リードとの間を埋め込むアンダーフィル層と、前記フィルムの他方面上に形成された絶縁性放熱シートとを備えることを特徴とする。前記絶縁性放熱シートは、ガラス繊維(fiber glass)基盤(base)の複合物(compound)である。また、前記絶縁性放熱シートは、シリコンフェイス(Si face)とガラス繊維とを積層した構造であってもよい。また、前記絶縁性放熱シートは、シリコンゴム(silicon rubber)、窒化ホウ素(boron nitride)、およびガラス繊維を含む複合物であってもよく、この場合、シリコンゴムの含量は19vol%〜24vol%であり、窒化ホウ素の含量は65vol%〜71vol%であり、ガラス繊維の含量は10vol%より小さいことが好ましい。また、前記絶縁性放熱シートは100μm〜200μmの厚さを有することが好ましい。また、前記絶縁性放熱シートは、液状樹脂を用いた接着剤によって前記フィルム上に付着されてもよい。前記チップは、ドライバー集積回路チップ(driver IC chip)を含むものでもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、絶縁性放熱シートを用いることにより、別の絶縁処理が不要であり、費用を低減することができる。また、絶縁性放熱シートが柔軟性を有するので、フレキシブル装置に適用が可能である。ここで、フレキシブル装置とは、曲がる装置を意味し、例えば、車両用電装部品、LED、蛍光ランプなどの放熱目的に使用可能であり、ドライバー集積回路チップ、温度制御器、中央処理装置、メモリ、その他、電子製品の薄膜形態によってヒートシンク装着ができない製品に適用することができる。また、フレキシブルタイプの印刷回路基板(flexible PCB)に絶縁性が必要な放熱シートとして用いることができ、ドライバー集積回路チップ、各種半導体製品群、およびヒートブロック(Heat block)などのヒートシンク(Heatsink)の代わりに適用可能である。
【0019】
また、本発明は、ガラス繊維基盤の複合物からなり、柔軟性を有する絶縁性放熱シートを用いることにより、引張力(tensile force)に優れ、金属類の放熱パッドでは実現できない引張力およびフレキシブル構造を要する製品群により幅広く適用が可能である。
【0020】
さらに、本発明は、ドライバー集積回路チップとフィルムとの間の温度ギャップ(Temperature Gap)を緩衝するスプレッド(Spread)効果と温度変化によるフィルムの収縮膨脹を抑制する役割を果たして、リード破損を減少させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来技術に係るチップオンフィルム型半導体パッケージを示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係るチップオンフィルム型半導体パッケージを示した図である。
【図3A】絶縁性放熱シートの一例を示した断面図である。
【図3B】図3Aによる絶縁性放熱シートの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者が本発明の技術的思想を容易に実施できる程度に詳細に説明するために、本発明の最も好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係るチップオンフィルム型半導体パッケージを示した図である。図3Aは、絶縁性放熱シートの一例を示した断面図である。図3Bは、図3Aによる絶縁性放熱シートの詳細図である。
【0024】
図2に示すように、本発明のチップオンフィルム型半導体パッケージ200は、ドライバー集積回路チップ203、バンプ205、複数のリード202、アンダーフィル層206、フィルム201、および絶縁性放熱シート204を備える。フィルム201は、柔軟性があり、複数のリード202およびバンプ205によってドライバー集積回路チップ203に接続される。
【0025】
複数のリード202は、フィルム201の下面に互いに分離するように配置され、各リード202の一端が中央に集中するように配置される。
【0026】
複数のリード202およびバンプ205によって接続されるドライバー集積回路チップ203およびフィルム201の周辺には、アンダーフィル層206が埋め込まれてドライバー集積回路チップ203とフィルム201とを安定的に固定する。つまり、ドライバー集積回路チップ203とフィルム201の間のスペースには、アンダーフィル層206が埋め込まれている。
【0027】
一方、リード202と接触したフィルム201下面の反対面(上面)には、絶縁性放熱シート204が接着剤207によって付着されている。
【0028】
まず、フィルム201は、ポリイミドPIのような絶縁層を含んで構成される。リード202は銅で構成できる。リード202とドライバー集積回路チップ203とはバンプ205を介して接続される。ここで、バンプ205はAuバンプ(金バンプ)を用いることができる。
【0029】
アンダーフィル層206は、例えば液状樹脂(liquid resin)などが使用され得る。
【0030】
絶縁性放熱シート204は、伝導性粒子が含まれた接着剤207、例えば、アクリル系接着剤によってフィルム201に付着され得る。
【0031】
絶縁性放熱シート204は、ドライバー集積回路チップ203の動作によって発生する熱を、アンダーフィル層206およびリード202を介して外側に放熱させるためのものである。
【0032】
絶縁性放熱シート204は、金属物質ではないガラス繊維を基盤とした複合物を含む。例えば、絶縁性放熱シート204は、ガラス繊維層及びシリコンフェイスを基盤とした層にガラス繊維層を積層した構造であってもよい。
【0033】
また、絶縁性放熱シート204は、シリコンゴム、窒化ホウ素、およびガラス繊維からなる複合物であってもよく、この場合、当該複合物おいて、シリコンゴムの含量は19vol%〜24vol%であり、窒化ホウ素の含量は65vol%〜71vol%であり、ガラス繊維の含量は10vol%より小さくてもよい。この場合、ガラス繊維は、複合物において基盤(ベース)となる。
【0034】
一例に、図3Aに示すように、絶縁性放熱シート204は、2枚のシリコンフェイス204A、204B間にガラス繊維204Cが挿入された構造を有することができる。このように、シリコンフェイス204A、204Bとガラス繊維204Cとが積層された構造であるため、絶縁性放熱シート204の熱伝導率は向上し、熱抵抗値は低くなる。
【0035】
図3Bに示すように、ガラス繊維204Cは格子模様形態を有することができる。
【0036】
絶縁性放熱シート204は、柔軟性(flexible)を有するガラス繊維を基盤とする複合物であるから、柔軟性に優れている。
【0037】
また、シリコンフェイス、シリコンゴム、窒化ホウ素、およびガラス繊維が絶縁性を有するので、絶縁性放熱シート204を絶縁処理するための別の絶縁テープを用いなくてもよい。このように、別の絶縁テープを用いないので、製造費用を低減することができる。
【0038】
好ましくは、絶縁性放熱シート204は、100μm〜200μmの厚さを有する。厚さが厚いほど、放熱効果が増大する。
【0039】
上記のような絶縁性放熱シート204は、ガラス繊維を基盤とするので、柔軟性を有し、これにより、ラミネート装備に別途の改造などの変更をすることなく、ロール(roll)形態で供給することができる。すなわち、リールトゥーリール(reel to reel)でラミネータ作業を行うことにより、絶縁性放熱シート204をフィルム上に容易に付着することができる。従来技術の放熱パッド104は、アルミニウムなどの金属膜を用いることから、柔軟性に劣る。
【0040】
また、ガラス繊維を基盤とする絶縁性放熱シート204は、引張力に優れ、金属類の放熱パッドでは実現できない引張力(引張性)およびフレキシブル形態を要する製品群により幅広く適用が可能である。
【0041】
下記の表1は、アルミニウム材質の放熱パッドと絶縁性放熱シートとの熱伝導率および熱抵抗値を比較した表である。
【0042】
【表1】

【0043】
表1において、絶縁性放熱シート1はBFG20Aであり、絶縁性放熱シート2はBFG20であり、絶縁性放熱シート3はBS20である。BFG20A、BFG20、BS20は、日曹商事株式会社の製品の商品名である。
【0044】
表1によれば、絶縁性放熱シート1、2、および3は、従来のアルミニウム放熱パッドと近似した熱伝導率(平均値約4.5W/mk)を有し、0.2℃/W以下の熱抵抗値を有する。
【0045】
これとともに、本発明の絶縁性放熱シートは、アルミニウム材質の放熱パッドより低い熱抵抗値および近似する熱伝導率を有する上、費用面および柔軟性において従来よりも優れており、適用分野が非常に幅広い。
【0046】
本発明の技術思想は、上記好ましい実施形態によって具体的に記述されたが、上記の実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに注意すべきである。また、この技術分野の通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施形態が可能であることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0047】
201:フィルム、202:リード、203:ドライバー集積回路チップ、
204:絶縁性放熱シート、205:バンプ、206:アンダーフィル層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムと、
該フィルムの一方面上に形成された複数のリードと、
該リードの一端上に接続されたチップと、
該チップと前記リードとの間に埋め込まれたアンダーフィル層と、
前記フィルムの他方面上に形成され、ガラス繊維を基盤とした複合物を含む絶縁性放熱シートと、
を備えることを特徴とするチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項2】
前記ガラス繊維は、格子模様形態を有することを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁性放熱シートは、シリコンフェイスとガラス繊維とを積層した構造であることを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項4】
前記絶縁性放熱シートは、シリコンゴム、窒化ホウ素、およびガラス繊維を含む複合物を有することを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項5】
前記シリコンゴムの含量は19vol%〜24vol%であり、前記窒化ホウ素の含量は65vol%〜71vol%であり、前記ガラス繊維の含量は10vol%より小さいことを特徴とする請求項4に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項6】
前記絶縁性放熱シートは、100μm〜200μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項7】
前記絶縁性放熱シートは、接着剤によって前記フィルムの他方面上に付着されることを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項8】
前記チップは、ドライバー集積回路チップを備えることを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項9】
前記アンダーフィル層は、液状樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。
【請求項10】
前記絶縁性放熱シートは、0.2℃/W以下の熱抵抗値を有することを特徴とする請求項1に記載のチップオンフィルム型半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2011−97006(P2011−97006A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88689(P2010−88689)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(505087780)マグナチップセミコンダクター有限会社 (125)
【氏名又は名称原語表記】MAGNACHIP SEMICONDUCTOR LTD
【住所又は居所原語表記】1 Hyangjeong−dong,Heungduk−gu,Cheongju City,Chung Cheong Bok−do,Korea
【Fターム(参考)】