説明

チップ型電子部品収納台紙

【課題】 チップ型電子部品を収納するキャビティの環境条件の変化による寸法変化のない、又は少ない部品収納用台紙の提供。
【解決手段】 台紙を三層抄き板紙から作製し、この台紙内キャビティの寸法変化率を、23℃、50%RH、24時間の条件下の寸法を基準として、60°、90%RH、24時間の条件下のMD方向寸法変化率=5.5%以下、CD方向寸法変化率=11.0%以下にコントロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製チップ型電子部品収納台紙に関するものである。より詳しく述べるならば本発明は、環境下の温湿度変化によるチップ部品の挿入不良および取り出し不良がなく、又は少なく、作業性の優れたチップ型電子部品収納台紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ型電子部品収納台紙は、チップ型電子部品のキャリア(収納保持材)であって、通常、台紙用板紙を下記のように加工処理をして製造される。
(1)台紙用板紙をテープ状に所定の幅にスリットする。
(2)得られた板紙テープに所定大きさの角孔と丸孔を形成する。角孔はチップ型電子部品収納のために用いられ、丸孔は部品充填機内において、台紙を所定距離だけ進行させるために用いられる。
(3)台紙の裏面(ボトム側)にボトムカバーテープを接着して、角孔及び丸孔の底面を形成する。なお、角孔を穿孔する代りに、台紙テープに所定の大きさの角状エンボンス加工を施して有底孔を形成することもあり、この場合、この工程(3)は省略される。台紙にカバーテープを接着するには、台紙の裏面にカバーテープを重ね、カバーテープ上から熱と圧力を加える方法いわゆるヒートシール法が用いられる。
(4)前記台紙内の角孔中にチップ型電子部品を充填する。
(5)台紙の表面(トップ側)にヒートシール法によってトップカバーテープを接着して角孔を閉鎖する。
(6)得られたチップ収縮台紙テープを所定の大きさのカセットリールに巻き付け、チップ型電子部品と共に出荷する。
(7)最終ユーザーにおいてトップカバーテープを台紙表面から剥がして角孔を開口し、それに収納されているチップ型電子部品を取り出す。
【0003】
上記の製造及び使用方法に基づき、収納台紙に求められる性能は、(1)充填されたチップ部品に悪影響を及ぼさないこと、(2)カバーテープが十分な接着強さで接着され保持されるように、台紙の表面が十分な平滑性を有すること、(3)台紙に施される各種処理に耐え得る十分な機械的強度を有すること、及び(4)チップ部品を挿入するための角孔(以下これをキャビティと記す)が正確な寸法を有していること、等である。
【0004】
収納台紙の品質欠陥に基づく実用上の問題の1つは、キャビティ寸法の不良に起因するチップ型電子部品の挿入不良および取り出し不良である。
【0005】
これまで、台紙のキャビティ形成性を改良する手段として、特開2000−43975号公報(特許文献1)及び特開2002−53195号公報(特許文献2)には、紙の密度をコントロールする方法が開示されており、また、特開2003−95320号公報(特許文献3)には、紙の縦方向および横方向の破断伸び率をコントロールすることによりキャビティ加工性を管理する方法が開示されている。しかし、上記方法のいずれも、作業環境における温湿度変化に起因するキャビティの形状寸法変化に十分対応できるものではなく、このため、環境変化に起因するチップ挿入不良および取り出し不良などの発生を十分防止できるものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−43975号公報
【特許文献2】特開2002−53195号公報
【特許文献3】特開2003−95320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、紙製のチップ型電子部品収納台紙において、チップ部品を収納するキャビティの形状及び寸法変化を抑制し、チップ型電子部品の挿入不良および取り出し不良の発生のない、又は少ないチップ型電子部品収納台紙を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来の多層板紙のチップ型電子部品収納台紙において、一定の環境温湿度変化に伴う台紙内キャビティの寸法変化率を、所定値以下にコントロールすることにより、環境変化に起因するチップ型電子部品の挿入不良および取り出し不良の発生が著しく減少することを見出し、この知見に基いて本発明を完成させた。
【0009】
本発明のチップ型電子部品を収納するチップ型電子部品収納台紙は、多層抄き板紙からなり、かつチップ型電子部品を収納する複数のキャビティを有する台紙であって、温度23℃、相対湿度50%で24時間放置した後の前記台紙内キャビティの寸法を基準として、これを温度60℃、相対湿度90%において24時間放置した後の台紙内キャビティの、MD方向における寸法変化率が5.5%以下であり、かつCD方向における寸法変化率が11.0%以下であることを特徴とするものである。
本発明のチップ型電子部品収納台紙において、前記台紙内のキャビティのMD方向における寸法変化率が4.0%以下であり、かつCD方向における変化率が9.0%以下であることが好ましい。
本発明のチップ型電子部品収納台紙において、前記台紙用多層抄き板紙の、JIS P8113に従って、測定されたMD方向及びCD方向の引張強さの比が1.10〜2.50であり、かつ前記台紙用多層抄き板紙を20℃の蒸留水に5分間浸漬した時の吸水率が、前記板紙の浸漬前の質量の40質量%以下であることが好ましい。
本発明のチップ型電子部品収納台紙において、前記多層抄き板紙は、その少なくとも1層が短網ワイヤーまたは長網ワイヤーを用いて抄紙形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のチップ型電子部品収納台紙は、環境温湿度の変化に起因するチップ部品の挿入不良および取り出し不良を防止し、作業性を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のチップ型電子部品収納台紙は、多層抄き板紙からなり、かつチップ型電子部品を収納する複数のキャビティを有する台紙において、このキャビティ付き台紙を、温度23℃、相対湿度50%で24時間放置した後の前記台紙内キャビティの寸法を基準として、このキャビティ付台紙を、温度60℃、相対湿度90%において24時間放置した後の前記台紙内のキャビティの、MD方向における寸法変化率が5.5%以下にコントロールされており、かつCD方向における変化率が11.0%以下にコントロールされている。このような本発明のチップ型電子部品収納台紙は、環境温湿度変化に起因するチップ部品の挿入不良および取り出し不良の発生を防止できる。前記条件下における台紙内のキャビティのMD方向における寸法変化率が4.0%以下にコントロールされ、かつCD方向における変化率が9.0%以下にコントロールされていると、チップ部品の挿入不良及び取り出し不良の発生に対する防止効果がさらに大きくなる。
【0012】
つまり、温度23℃、相対湿度50%の環境条件から温度60℃、相対湿度90%の環境条件への変化に伴う台紙内キャビティの寸法変化率を前記上限値以下に低くすることによって、高湿条件時に、チップ部品の挿入不良および取り出し不良の原因となるキャビティ形状寸法の変化、及びキャビティ内部に発生するケバ繊維の膨らみを緩和することができ、かつ高湿から低湿に環境条件が変化したときにも、キャビティ寸法の変化を抑制することができ、それによってチップ部品の挿入不良および取り出し不良の発生を防止できる。
【0013】
また、本発明の台紙においては、台紙を形成している多層抄き板紙のJIS P8113、「紙および板紙−引張特性試験方法」によって測定されたMD方向及びCD方向の引張強さの比が1.10〜2.50であり、かつ前記台紙用多層抄き板紙を、20℃の水中に5分間浸漬したときの吸水量が、前記板紙の浸漬前の質量の40質量%以下であることがさらに好ましい。また、台紙用多層抄き板紙の引張強さのMD/CD比が1.10〜2.10であることがさらに好ましい。
【0014】
すなわち、台紙用多層抄き板紙の引張強さのMD/CD比を1.10〜2.50にコントロールすることによって、温湿度変化に起因する台紙内キャビティの寸法変化、特にCD方向におけるキャビティの形状寸法変化を抑制することができる。また水に浸漬したときの台紙用多層抄き板紙の吸水量を小さくすることによって、高温多湿下における台紙の水分吸収を防止でき、キャビティ形状変化を抑制することができる。
【0015】
本発明で使用される台紙用多層抄き板紙を形成するための原料パルプには格別の制限はなく、例えば、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ、非木材繊維パルプ等を単独で使用してもよいし、その複数種を組み合わせて使用してもよい。但し繊維形態が均一なパルプを使用することが好ましい。特に、繊維形態が均一な広葉樹パルプを、単独種で使用する事が好ましい。また、これらのパルプの叩解機には格別の制限はなく、適宜の叩解機を用いて叩解することができる。
【0016】
本発明で使用される叩解機には特に限定はなく、ビーター機、ジョルダン機、デラックス・ファイナー(DF)機、ダブル・ディスク・レファイナー(DDR)機等の種々の叩解機が使用できる。また、叩解の程度についても格別の限定はないが、抄紙適性のすぐれたパルプを製造することができるように、カナディアン・スタンダード・フリーネス:250〜550ml程度の叩解処理が好ましい。また、台紙内キャビティに発生するバリの防止、および環境変化に起因するキャビティ寸法形状の変化を防止するために、多層抄き板紙の構成層間のパルプフリーネス差は50ml以下であること事が好ましい。
【0017】
また、多層抄き板紙用パルプの水性スラリーには、必要に応じて種々の内添薬品を使用できる。例えば、ロジン系サイズ剤、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル共重合体、スチレン・オレフィン共重合体、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸などのような製紙用の、天然および合成内添サイズ剤、各種紙力増強剤、濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤、タルク等の填料、染料等を使用することができる。
【0018】
本発明では、多層抄き板紙から台紙を製造する際のキャビティ形成性を向上させるために、かつ温湿度変化に伴う寸法変化を小さくさせるために、分子量が100万以上の両性ポリアクリルアミド紙力剤を、パルプ質量に対し0.8質量%以上添加することが好ましい。さらに好ましくは分子量250万以上の両性ポリアクリルアミド紙力剤を、0.8質量%以上の割合で添加する。また、台紙用多層抄き板紙を20℃の蒸留水に5分間浸漬したときの吸水率が、浸漬前の板質質量の40質量%以下となるように、サイズ度をコントロールすることが好ましい。
【0019】
また、本発明では、台紙とボトムカバーテープ、及びボトムカバーテープとの接着性、およびケバ防止効果を向上させるために、収納台紙の表面及び裏面に、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリルアミド、アクリル系樹脂、スチレンーブタジエン系樹脂、スチレンーイソプレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンー酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニルービニルアルコール系樹脂、ウレタン系樹脂などの1種以上からなる下地塗料を適宜塗布してもよい。さらに塗布手段についても、例えばバーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーターやサイズプレスやキャレンダーコーター等のロールコーター、ビルブレードコーター、又はベルバパコーター等を用いることができる。
【0020】
本発明のチップ型電子部品収納台紙用多層抄き板紙の坪量は、台紙中に収納するチップ型電子部品の大きさに応じて、一般に200〜1000g/mの範囲内に設定することが好ましい。このような坪量範囲内にある場合、台紙用多層抄き板紙の抄造方法として、地合いの取り易い多層抄きを用いることが好ましく、このとき、その少なくとも1層を、短網ワイヤー又は長網ワイヤーを用いる抄紙工程によって形成することが好ましく、このようにすると、J/W比を適宜に調整することが可能になり、MD/CD寸法変化率比を小さく制御し、CD方向の伸縮を小さくコントロールすることが容易になる。
【実施例】
【0021】
本発明を下記実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。配合、濃度等を示す「部」、「%」の数値は、固型分または有効成分の質量を基準とするものである。また、特に記載の無い限り、抄造された紙は、JIS P8111に従って前処理を行った後に、測定及びテストに供した。尚、キャビティの寸法変化率測定方法、引張強さのMD/CD比、板紙を水中に浸漬したときの吸水量、実装テストの条件の詳細を下記に示す。
【0022】
<寸法変化率の測定方法>
供紙板紙を8mm幅のテープ状にスリットし、このテープ状板紙をJIS C 0806−3に従って、日本オートマチックマシン社製のACP505S型エンボス機を用い、2mm間隔で、寸法:CD方向0.66mm、MD方向0.36mm、Z軸方向(深さ)0.35mmのキャビティをプレス成型して電子部品収納台紙を製造した。この台紙を、23℃、50%の環境下に24時間放置後、キャビティを、その上方から電子顕微鏡にて写真撮影し、キャビティのMD方向(T1,mm)、CD方向の寸法(Y1,mm)を測定した。次に、上記台紙を60℃、90%の環境下に24時間放置後、上記と同様に電子顕微鏡にて、キャビティを写真撮影し、そのMD方向(T2,mm)、CD方向の寸法(Y2,mm)を測定した。キャビティの寸法変化率は、下記式によりMD方向寸法変化率T(%)、CD方向寸法変化率Y(%)を算出した。
T=〔(T2−T1)〕×100/T1
Y=〔(Y2−Y1)〕×100/Y1
【0023】
<引張強さのMD/CD比>
JIS P8113、「紙および板紙−引張特性試験方法」に従って、供試台紙用多層抄き板紙のMD方向及びCD方向の引張強さを測定し、得られた測定値のMD/CD比を算出した。
【0024】
<吸水率測定>
供試台紙用多層抄き板紙を8mm幅のテープ状にスリットし、長さ150mmのテープ状板紙試料5枚を調製し、この5枚試料の合計重量(W1g)を測定した。次に5枚の試料を20℃の蒸留水中に5分間浸漬し、引き上げて直ちにロ紙で各試料の表裏の水滴を除去し、5枚吸水試料の合計重量(W2g)を測定した。5枚の試料の浸漬前後の質量差(W2−W1)が吸水量である。次の式により試料の吸水率M(%)を算出した。
M=〔(W2−W1)×100〕/W1
【0025】
<実装テスト>
温度23℃、相対湿度45%の環境下で、台紙用多層抄き板紙を8mm幅のテープ状にスリットし、このテープ状板紙の片側にJIS C 0806−3に従って、寸法:直径1.54mmの丸穴を4mm間隔で、形成し、それと同時に、テープ状板紙の他側に寸法CD方向0.66mm、MD方向0.36mm、Z軸方向(深さ)0.35mmの角形プレスポケットを、2mm間隔で形成した。このプレスポケット中に、寸法:縦0.6mm、横0.3mm、高さ0.30mmのコンデンサーチップを充填し、次いで、台紙の開孔側表面に、トップカバーテープを、東京ウェルズ(株)製の「TWA6601」(商標)を使用して貼着した。前記トップカバーテープの貼着条件は、ヒートシール温度:190℃、ヒートシール圧力:3.5kg、テーピング速度:2400タクト/minであった。次に、温度28℃、相対湿度68%の環境下で、松下電器産業(株)製の実装機:モデルPanasert MSRを使用し、600個/minの実装速度で、2万個のコンデンサーチップを前記台紙のプレスポケットから取り出して、を実装した、その実装工程中のコンデンサーチップの飛び出しによる実装ミスの回数をカウントした。
【0026】
実施例1
表層、中層、裏層の三層抄き板紙を製造した。このとき、表層用パルプには、針葉樹クラフトパルプA30質量%、広葉樹晒クラフトパルプB70質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)460mlに調製したものを用い、中層用パルプには、針葉樹クラフトパルプA10質量%、広葉樹晒クラフトパルプB90質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)410mlに調製したものを用い、裏層用パルプには、広葉樹晒クラフトパルプBを単独でダブル・ディスク・リファイナーでCSF(カナダスタンダード フリーネス)470mlまで叩解し、調製したものを用いた。それぞれのパルプスラリーに硫酸バンドを、パルプ質量に対し2.0質量%の割合で添加し、サイズ剤としてサイズパインN−771(商標、荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)0.50質量%を添加し、紙力剤として、ポリストロン117(商標、荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)1.0質量%を添加した。上記3種のパルプスラリーを、長網3層抄合わせ抄造機に供給し、J/W比1.15で、表層100g/m2、中層200g/m2、裏層50g/m2の坪量で抄合わせ、さらにサイズプレス機でケン化度88モル%、重合度1000のポリビニルアルコールを乾燥塗布量として1.0g/m2塗布し、得られた紙に抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理を施した。坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙用三層抄き板紙を製造した。この板紙を用いて、台紙を製造し、実装テストに供した。結果を表1に示す。
【0027】
実施例2
実施例1と同様にチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の製造に際し、表層用パルプには、広葉樹晒クラフトパルプB単独をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)460mlに調製したものを用い、中層用パルプには、広葉樹晒クラフトパルプB単独をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)410mlに調製したものを用い、裏層用パルプには広葉樹晒クラフトパルプBを単独でダブル・ディスク・リファイナーでCSF(カナダスタンダード フリーネス)470mlまで叩解したものを用いた。結果を表1に示す。
【0028】
実施例3
実施例1と同様にチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の製造に際し、表層用パルプには、広葉樹晒クラフトパルプB単独をダブル・ディスク・リファイナーで叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)430mlに調製したものを用い、中層用パルプには、広葉樹晒クラフトパルプB単独をダブル・ディスク・リファイナーで叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)410mlに調製したものを用い、裏層用パルプには、広葉樹晒クラフトパルプBを単独でダブル・ディスク・リファイナーでCSF(カナダスタンダード フリーネス)430mlまで叩解したものを用いた。結果を表1に記す。
【0029】
実施例4
実施例2と同様にして坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の抄紙に際しJ/W比を1.30に変更した。結果を表1に記す。
【0030】
実施例5
実施例1と同様にして坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の抄紙に際し、短網1層(表層)と円網Kホーマー2層抄き合せ抄造機を用いた。結果を表1に記す。
【0031】
実施例6
実施例2と同様にして、坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の抄紙に際し、表、中、裏層それぞれのパルプスラリーに、硫酸バンドを、パルプ質量に対し1.0質量%の割合で添加し、サイズ剤としてサイズパインN−771(商標、荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)0.30質量%を使用した。結果を表1に記す。
【0032】
実施例7
実施例2と同様にして、坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の抄紙に際し、各層用パルプスラリーに紙力剤として、ポリストロン117(荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)0.3質量%を添加した。結果を表1に記す。
【0033】
実施例8
実施例3と同様にして坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の抄紙に際し、短網3層抄き合せ抄造機を用いた。結果を表1に記す。
【0034】
実施例9
実施例1と同様にして、坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、三層抄き板紙の抄紙に際し、各層用パルプスラリーに紙力剤として、ポリストロン117(商標)の代りにポリストロン1250(荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)1.0質量%を使用した。結果を表1に記す。
【0035】
比較例1
実施例5と同様にして、坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造し、実装テストに供した。但し、抄紙に際し、J/W比を1.30とした。結果を表1に記す。
【0036】
比較例2
表層、中層、裏層からなる三層抄き板紙を抄紙した。このとき表層用パルプには針葉樹クラフトパルプA40質量%、広葉樹晒クラフトパルプB60質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)480mlに調製したものを用い、中層用パルプには針葉樹クラフトパルプA30質量%、広葉樹晒クラフトパルプB70質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)420mlに調製したものを用い、裏層用パルプには広葉樹晒クラフトパルプBを単独でダブル・ディスク・リファイナーでCSF(カナダスタンダード フリーネス)480mlまで叩解して調製したものを用いた。それぞれのパルプスラリーに硫酸バンドをパルプ質量に対し2.0質量%の割合で添加し、サイズ剤としてサイズパインN−771(商標、荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)0.50質量%を添加し、紙力剤として、ポリストロン117(商標、荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)1.0質量%を添加した。上記三種のパルプスラリーを、円網順流バット3層抄合わせ抄造機に供し、表層100g/m2、中層200g/m2、裏層50g/m2の坪量で抄合わせ、得られた紙そしてサイズプレス機でケン化度88モル%、重合度1000のポリビニルアルコールを、乾燥塗布量1.0g/m2で塗布し、さらに抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理して、坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。この台紙を実装テストに供した。結果を表1に記す。
【0037】
比較例3
表層、中層、裏層からなる三層抄き板紙を製造した。このとき表層用パルプには針葉樹クラフトパルプA30質量%、広葉樹晒クラフトパルプB70質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)530mlに調製したものを用い、中層用パルプには、針葉樹クラフトパルプA25質量%、広葉樹晒クラフトパルプB75質量%をダブル・ディスク・リファイナーで混合叩解し、CSF(カナダスタンダード フリーネス)450mlに調製したものを用い、裏層用には広葉樹晒クラフトパルプBを単独でダブル・ディスク・リファイナーでCSF(カナダスタンダード フリーネス)500mlまで叩解し、調製したものを用いた。それぞれのパルプスラリーに、硫酸バンドを、パルプ質量に対し2.0質量%の割合で添加し、サイズ剤としてサイズパインN−771(商標、荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)0.50質量%を添加し、紙力剤として、ポリストロン117(商標、荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)1.0質量%を添加した。上記3種のパルプスラリーを円網順流バット3層抄合わせ抄造機に供して表層100g/m2、中層200g/m2、裏層50g/m2の坪量で抄合わせ、得られた紙にさらにサイズプレス機でケン化度88モル%、重合度1000のポリビニルアルコールを、乾燥塗布量1.0g/m2で塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量350g/m2、厚さ0.42mmのチップ型電子部品収納台紙を製造した。この台紙を実装テストに供した。結果を表1に記す。
【0038】
得られた試料のキャビティの寸法変化率、引張強さの縦/横比、基材を浸漬させた際の吸水量、実装テストを前述の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のチップ型電子部品収納台紙は、環境下の温湿度変化に伴って発生するチップ部品の挿入不良及び取り出し不良がなく、又は少なく、作業性が著しく向上しているため、実用上の利用可能性の高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層抄き板紙からなり、かつチップ型電子部品を収納する複数のキャビティを有する台紙であって、温度23℃、相対湿度50%で24時間放置した後の前記台紙内キャビティの寸法を基準として、これを温度60℃、相対湿度90%において24時間放置した後の台紙内キャビティの、MD方向における寸法変化率が5.5%以下であり、かつCD方向における寸法変化率が11.0%以下であることを特徴とするチップ型電子部品を収納するチップ型電子部品収納台紙。
【請求項2】
前記台紙内のキャビティのMD方向における寸法変化率が4.0%以下であり、かつCD方向における変化率が9.0%以下である請求項1に記載のチップ型電子部品収納台紙。
【請求項3】
前記台紙用多層抄き板紙の、JIS P8113に従って、測定されたMD方向及びCD方向の引張強さの比が1.10〜2.50であり、かつ前記台紙用多層抄き板紙を20℃の蒸留水に5分間浸漬した時の吸水率が、前記板紙の浸漬前の質量の40質量%以下である、請求項1又は2に記載のチップ型電子部品収納台紙。
【請求項4】
前記多層抄き板紙は、その少なくとも1層が短網ワイヤーまたは長網ワイヤーを用いて抄紙形成されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチップ型電子部品収納台紙。

【公開番号】特開2006−96361(P2006−96361A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281724(P2004−281724)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】