説明

チップ素子

【課題】熱膨張係数が小さく使用環境の温度変化においても抵抗値の変化が少なく、断線などの問題がない品質の良い低誘電率樹脂を用いたチップ素子を提供すること。
【解決手段】基板1上に、インピーダンス素子2と、該インピーダンス素子2に接続された複数の電極3,5とを形成したチップ素子10において、前記基板1はGHz帯域における寄生容量を低減できる程度の低い誘電率を有する低誘電率材料である。さらに、前記基板1は合成樹脂と無機物とを少なくとも含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等に搭載して使用されるリードレスタイプのチップ素子に関し、特に、チップ抵抗素子及びチップインダクタンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント配線基板上に実装される部品として、チップ化されたチップ抵抗、チップインダクタ、チップコンデンサ等のチップ素子が広く使用されている。このようなチップ素子は、単位面積当たりの実装密度を向上させることができる。
【0003】
これらの部品は機能を実現するための配線構造をアルミナやフェライト等のセラミック基板上に形成し、これら配線構造をガラスもしくは樹脂などで覆うと共に、配線構造の端部に電極を形成することで完成されている。
【0004】
このように、配線構造を覆うパッケージ材料としてセラミックを用いるのは、ガラスエポキシ等のプリント配線基板等への実装時にハンダリフロー工程など、200℃〜300℃の高温工程を経ることに対しての熱的耐力を持たせるためである。
【0005】
更に、このようなチップ素子は、プリント配線基板上に実装され、例えば、信号伝送線路として広く用いられているマイクロストリップ線路等の終端抵抗や、携帯電話などの高周波信号の整合素子としても用いられている。この場合、上述の信号伝送線路の特性インピーダンスは50Ωを用いることが一般的である。
【0006】
一方、LSIなどの能動素子からこのような50Ω系の配線に十分な信号を供給するために、例えば、LSIの入出力部にはバッファ回路が形成され、このバッファ回路によって大電流を発生させることによって該50Ω系の配線を駆動することも行われている。
【0007】
いずれにしても、この種のチップ素子はより高い周波数領域、即ち、1GHz以上の周波数帯域においても使用されることが予測される。
【0008】
一方、この種のチップ素子として、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、チップ素子を形成する基板として低誘電率樹脂を用いたものが開示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示の手法では、熱的耐力があり、高周波特性の良いチップ素子が提供されるものの、使用環境の温度変化などにより、基板自身が熱膨張あるいは熱収縮し、抵抗値が使用温度に応じて変化したり断線を生じてしまう問題を生じてしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−026616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の技術的課題は、熱膨張係数が小さく使用環境の温度変化においても抵抗値の変化が少なく、断線などの問題がない品質の良い低誘電率樹脂を用いたチップ素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のチップ素子は、係る課題の解決を図るものであり、基板に、インピーダンス素子と、該インピーダンス素子に接続された複数の電極とを形成したチップ素子において、前記基板は、表裏面を有する板状又は膜状の無機物の成型物からなる基材と、前記基材の表裏面の内の少なくとも一面に形成された合成樹脂層とを有し、前記基板は室温〜100℃における熱膨張率が100ppm/℃以下であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のチップ素子は、前記チップ素子において、前記基材は、比誘電率が4以下であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のチップ素子は、前記チップ素子において、前記合成樹脂は室温〜100℃における熱膨張率が100ppm/℃以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のチップ素子は、前記チップ素子において、前記合成樹脂は、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニルエーテル樹脂、ビスマレイド・トリアジン樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シアネートエステル樹脂、及び、メラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のチップ素子は、前記いずれかのチップ素子において、前記低誘電体材料は4以下の比誘電率を有していることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のチップ素子は、前記いずれか一つの記載のチップ素子において、前記基板は、前記合成樹脂中に、前記無機物の粒子状の無機フィラー、無機繊維物、及び無機構造物の内のいずれか一種を混合してなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のチップ素子は、前記いずれか一つのチップ素子において、前記基板は、前記無機物の板状又は膜状成型物の表裏面の内の少なくとも一面に前記合成樹脂層を形成してなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のチップ素子は、前記いずれか一つのチップ素子において、前記基板は、前記合成樹脂の板状又は膜状成型物の表裏面の内の少なくとも一面に前記無機物層を形成してなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のチップ素子は、前記いずれか一つのチップ素子において、前記インピーダンス素子はチップ抵抗素子及びチップインダクタンス素子のいずれかであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電子機器は、前記いずれか一つのチップ素子を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱膨張係数が小さく使用環境の温度変化においても抵抗値の変化が少なく、断線などの問題がない品質の良い低誘電率樹脂を用いたチップ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるチップ抵抗素子を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による積層低誘電率基板を示す図である。
【図3】図3は本発明の第3の実施の形態によるチップインダクタ素子を示す分解組立て斜視図である。
【図4】図4は表1の熱膨張率と冷熱衝撃試験結果とをプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0025】
図1は本発明の第1の実施の形態によるチップ素子を示す図である。図1に示すように、第1の実施の形態によるチップ素子10は、チップ抵抗素子からなり低誘電率基板1と該低誘電率基板1上に形成された抵抗体2と、この抵抗体2との電気的接触をとるための第1の電極3と、抵抗体2の表面を保護する保護膜4と、第1の電極3との電気的接触をとるための第2の電極5とを有している。
【0026】
図2は本発明の第2の実施の形態による積層低誘電率基板を示す図である。図2を参照すると、積層低誘電率基板20は、多孔質シリカ板11の両面にポリオレフィン樹脂12をラミネート法により貼合することで形成されている。
【0027】
図3は本発明の第3の実施の形態によるチップ素子を示す分解組立斜視図である。図3を参照すると、本発明の第3の実施の形態によるチップ素子30は、積層型のチップインダクタ素子からなり、図2に示した第2の実施の形態による積層低誘電率絶縁体基板20上に導電性ペースト印刷などにより形成された配線21と下層配線がある場合に相互接続するためのビアホール(接続孔)23が形成された単位基板20a,20b,20cを積層し、少なくとも単位基板20cの側面に電極22を形成してなる。
【0028】
前述したように、本発明のチップ素子は、チップ抵抗素子及びチップインダクタ素子の少なくとも1種を含んでいる。
【0029】
本発明のチップ素子は、低誘電率基板1,20上に、インピーダンス素子と、このインピーダンス素子に接続された複数の電極とを形成したチップ素子である。このチップ素子において、前記基板1,20はGHz帯域における寄生容量を低減できる程度の低い誘電率を有する低誘電率材料であり、さらに前記基板1,20は合成樹脂と無機物とを少なくとも含んで構成されている。
【0030】
本発明において、前記合成樹脂は、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニルエーテル樹脂、ビスマレイド・トリアジン樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シアネートエステル樹脂、及び、メラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。
【0031】
特に、合成樹脂のなかでも、熱膨張率の小さい樹脂が好ましく、この合成樹脂と無機物とを複合して用いた場合に、室温〜100℃における熱膨張率が100ppm/℃以下が好ましく、50ppm/℃以下がより好ましく、30ppm/℃以下が最も好ましい。
【0032】
このような樹脂としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、液晶樹脂、ポリオレフィン樹脂、ケイ素樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などを好適に用いることができる。
【0033】
また、基板に含有する無機物は、合成樹脂に混合して用いたり、合成樹脂層に無機物層として積層して使用することも可能である。合成樹脂に混合される無機物としては、物熱膨張率を低減するために比誘電率を著しく上昇させない範囲で適宜粒子状の無機フィラーや無機繊維物、無機構造物などを添加しても良い。一方、合成樹脂層に、積層する無機物も同様に、比誘電率を著しく上昇させない範囲の無機物が好ましい。いずれの場合においても、基板の比誘電率としては、4以下であることが好ましく、3以下であることがさらに好ましい。
【0034】
このような本発明の基板の一例としては、前記合成樹脂に前記無機物として、ガラスビーズ等の粒子状の無機フィラー、アルミナ繊維等のセラミック繊維、グラスウール、ロックウール、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ゼオライト繊維等の無機繊維物、無機物によってフレーム等の一定の構造に形成した無機構造物を含有したものを例示することができる。この基板中に無機繊維物や無機構造物などを用いる場合は、あらかじめ板形状や膜形状といった板状の成型物の表裏面に前記合成樹脂層を公知のラミネート法や含浸法などによって形成し、表面を樹脂状にしても良い。この場合には表裏面の平滑性を確保しやすく、抵抗パターンのパターン形成精度が向上する利点がある。
【0035】
また、本発明の基板のもう一つの例としては、無機物が板状又は膜状成型物からなる基材の表裏面の内の少なくとも一面に前記合成樹脂層を形成したものを例示さうることができる。ここで、無機物が板状であるものであるなら、前述したものと同様に無機繊維の織物でも、フレーム構造を備えた無機構造物であってもよい良い。
【0036】
また、本発明の基板の更にもう一つの例としては、前記合成樹脂の板形状や膜形状といった板状成型物の表裏面の内の少なくとも一面に前記無機物層を公知のゾルゲル法や接着法によって形成して用いてもよい。この場合には、前記無機物層形成表面の耐熱性がさらに向上するといった効果を得ることができる。また、両者を夫々の層に積層して張り合わせ複合して用いてもよい。
【0037】
本発明の基板を用いる前記インピーダンス素子はチップ抵抗素子及びチップインダクタンス素子を好適に使用でき、基板誘電率低減の効果を十分に得ることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0039】
(実施例1)
本発明の実施例1に係るチップ抵抗素子は、図1と同様な構成を備えている。図1を参照すると、チップ素子10は、低誘電率基板1と該低誘電率基板1上に形成された抵抗体2と、抵抗体2との電気的接触をとるための第1の電極3と、抵抗体表面を保護する保護膜4と、第1の電極3との電気的接触をとるための第2の電極5とを有している。
【0040】
前記低誘電率基板1は、誘電率が2〜3で、熱分解開始温度が200〜300℃であるポリオレフィン樹脂に、粒径が100nm〜10μmのガラスビーズを分散して形成した。ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、1〜1000重量部のガラスビーズを混合することで、本発明の効果を好適に得ることができる。
【0041】
上記より投入量が少ない場合、熱膨張率が低減しにくく、上記より投入量が多い場合、基板1が脆くなるなどの問題が発生しやすい。また、ガラスビーズの粒径が100nmより小さいと分散が難しくなり工程が複雑になる問題を有しており、10μmより大きいと基板1表面にガラスビーズに起因する凹凸が発生し、抵抗体2を形成しにくくなる問題を有している。本発明の実施例1においては、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、200重量部のガラスビーズ(粒径2〜3μm)を混合した。このときの熱膨張率を測定したところ、ガラスビーズ混合前が70ppm/℃に対し、50ppm/℃まで低減できた。基板の比誘電率を空洞共振器摂動法にて測定したところ、2.9の値を得た。
【0042】
この基板1上に抵抗体2を公知のスクリーン印刷法により形成した。200℃において焼成を行い抵抗体を得た。抵抗体はこのほかにも公知のマスク蒸着法や塗布法、スパッタ法などを好適に用いることができる。次にマスク蒸着法により電極を形成し、塗布法によりSOG保護膜を5μmの厚みで形成し、チップ抵抗素子を得た。
【0043】
比較のためにガラスビーズを投入しない基板上に、同様の方法で作成したチップ抵抗素子を作成し、125℃と−40℃の冷熱衝撃試験を行ったところ、ガラスビーズを投入した基板1上に形成したチップ抵抗素子は、1000サイクルの試験においても特性変化は見られず、3000サイクルの試験で抵抗値が10%上昇した。一方、ガラスビーズを投入していない基板上に形成したチップ抵抗素子は、500サイクルで抵抗値が10%上昇した。
【0044】
次にベースとなる合成樹脂と、フィラーとしてのガラスビーズ又は液晶ポリマーとの投入量を変化させ、種々の試験片を作成し同様の試験を行ったところ、下記表1の結果を得た。
【0045】
【表1】

【0046】
上記表1の結果を熱膨張率と冷熱衝撃試験における抵抗値10%の上昇となるサイクル数の関係でプロットすると図4に示す結果を得た。上記表1及び図4から、熱膨張率が下回ると、熱膨張エポキシ樹脂は、単独使用では、熱膨張率が100ppm/℃を下回るところから特性が向上しはじめ、50ppm/℃が更に好ましく、30ppm以下が更に好ましいことがわかった。
【0047】
本発明のチップ抵抗素子は、基板として低熱膨張の低誘電率基板1を用いているため、従来に比較して寄生容量を減少することができ、以って高周波領域においても抵抗値の劣化のないチップ抵抗を形成できる。
【0048】
また、本実施例1に係るチップ抵抗素子は、寄生容量成分が小さく、高周波領域においても抵抗値の劣化のない特性を示すため、特性劣化の少ない高周波回路を形成できた。さらに、基板材料として、耐熱性が高く、熱膨張率の低い樹脂および無機物の混合物を用いるため、ハンダリフローなどの高温工程においても、熱的耐性の劣化はなく、また熱膨張率を低減しているため、断線などの不良の発生を抑制することができる。
【0049】
(実施例2)
本発明の実施例2に係る積層低誘電率基板20は、図2と同様の構成を備えている。図2を参照すると、厚み100μm、気孔率40%の多孔質シリカ板11を用いてこの両面に厚み50μmのポリオレフィン樹脂12をラミネート法により貼合し、積層低誘電率基板20を得た。この基板20の比誘電率および熱膨張率を計測したところ、それぞれ2.4および15ppm/℃であった。この基材に実施例1と同様の手法で抵抗体2を形成し、冷熱衝撃試験を行ったところ、3000サイクルにおいても抵抗上昇は生じなかった。
【0050】
(実施例3)
前述の実施例2における多孔質シリカ板に代えて、気孔率50%の多孔質アルミナ板を用いたところ、比誘電率および熱膨張率はそれぞれ2.8および 15ppm/℃であった。この基材に実施例1と同様の手法で抵抗体2を形成し、冷熱衝撃試験をおこなったところ、5000サイクルにおいて抵抗値が10%上昇した。
【0051】
(実施例4)
実施例4では、実施例2で作製した積層低誘電率基板20にさらに公知のゾルゲル法により、表面にセラミックスなどの無機物を主成分とする層を形成した。セラミックス層の材質は特に規定はされないが、本発明の実施例4では厚み0.2mmの前記積層低誘電率基板20に100nm厚のアルミナを主成分とする層を形成した。このようにすることで、前記積層低誘電率基板20の表面耐熱性が向上し、保護膜の形成時にプラズマCVD法を用いて高品質の保護膜を安定してガラス膜を形成することができる。
【0052】
実施例1および2で用いた塗布法による保護膜4(図1)と同等の性能の保護膜を厚み1μmで得ることができた。一方、表面に前記アルミナを主成分とする層を形成しないでプラズマCVD法にて保護膜を形成した場合、CVD成膜初期にプラズマ衝撃により発生した樹脂分解物が保護膜内に取り込まれ、所望の抵抗値が得られなかったり、水分等の浸入により保護膜の性能を発揮しないなどの問題を生じてしまった。
【0053】
本発明の実施例4に係るチップインダクタ素子は、図3で示すものと同様の構成を備えている。図3を参照すると、チップインダクタ素子30は、実施例2で用いた積層低誘電率絶縁体基板20上に導電性ペースト印刷などにより形成された配線21と下層配線がある場合に相互接続するためのビアホール(接続孔)23が形成された単位基板20a,20b,20cを積層し、側面に電極22を形成してなる。
【0054】
低誘電率絶縁体基板20は、配線間の寄生容量を低減する観点から低誘電率であることが望ましく、比誘電率としては、現状のセラミック系材料(比誘電率10程度もしくはそれ以上)に比べ小さければ本実施例3の効果を得ることができるが、4以下が好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下である。従来のセラミック系材料に比べ低誘電率であるため、寄生容量を減少することができ、インダクタの自己共振周波数を向上することができ、さらに、基板の熱的耐性が強化されているため、寸法安定性が向上し、使用温度の変化に伴うインダクタンス値の変化を抑えることができ、従来のセラミック基板と同等の熱特性を得ることができる。
【0055】
次に、比較例として、アルミナセラミック基板にインダクタを形成した場合と、実施例2で用いた積層低誘電率基板20にインダクタを形成した場合の特性を比較した。低周波での規格化インダクタンス値は10nHであり、アルミナセラミック基板の場合、寄生容量が50fFであり、自己共振周波数が7.1GHzであった。一方、前記積層低誘電率基板20の場合、寄生容量が12.5fFであり、自己共振周波数が14.3GHzであった。低誘電率基板を用いることで、自己共振周波数が向上し、インダクタンス素子としての使用可能周波数が向上したことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のチップ素子はGHz帯域における素子として利用できるため、GHz帯域で動作する携帯電話機、コンピュータ等の各種電気機器に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 低誘電率基板
2 抵抗体
3 第1の電極
4 保護膜
5 第2の電極
11 多孔質シリカ板
12 ポリオレフィン樹脂
10,30 チップ素子
20,20a,20b,20c 積層低誘電率絶縁体基板
21 配線
22 電極
23 ビアホール(接続孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に、インピーダンス素子と、該インピーダンス素子に接続された複数の電極とを形成したチップ素子において、
前記基板は、表裏面を有する板状又は膜状の無機物の成型物からなる基材と、前記基材の表裏面の内の少なくとも一面に形成された合成樹脂層とを有し、
前記基板は室温〜100℃における熱膨張率が100ppm/℃以下であることを特徴とするチップ素子。
【請求項2】
請求項1に記載のチップ素子において、前記基板は、比誘電率が4以下であることを特徴とするチップ素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチップ素子において、前記合成樹脂層中に、前記無機物の粒子状の無機フィラー、無機繊維物、及び無機構造物の内のいずれか一種を混合してなることを特徴とするチップ素子。
【請求項4】
請求項1乃至3の内のいずれか一項に記載のチップ素子において、前記合成樹脂は、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニルエーテル樹脂、ビスマレイド・トリアジン樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シアネートエステル樹脂、及び、メラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂を含むことを特徴とするチップ素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のチップ素子において、前記インピーダンス素子はチップ抵抗素子及びチップインダクタンス素子のいずれかであることを特徴とするチップ素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のチップ素子を用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−102247(P2013−102247A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−45602(P2013−45602)
【出願日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【分割の表示】特願2006−28607(P2006−28607)の分割
【原出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】