説明

チャック付き袋体の製造方法及びその装置

【課題】チャック付き袋体の製造において、チャックを安定的に取り付け可能とする。
【解決手段】 この装置は、帯状シートの左右側辺を形成する袋体の左右側部とし、チャック配置部2のチャック移動部は、第1及び第2の挟持体の間にチャックを挟んで、両挟持体をチャック配置部2のチャック供給部側から上シートと中シート片との間へシートの移動方向と交差する方向に移動させ、上シートの下面へ、シートを横断するようにチャックを配置し、両挟持体に線状のバネ材である押圧体を備え、押圧体は、基端側が挟持体へ固定され、一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸び、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対し斜めに固定され、且つ、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置され、チャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制しつつ、シート側への移動を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、チャック付き袋体の製造方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や医療品をはじめ、種々の物品を収容する袋体として、現在広く、樹脂製のシートにて形成された袋体が普及している。
このような袋体は、特許文献1へ示すように、前面部及び後面部を形成する2枚の、矩形のシートを重ねて形成されたものであり、両シート間において、夫々の底辺同士、更に、夫々の左右側辺同士が融着され、底辺と対向する辺が開口部とされ、当該開口部にチャックが設けられている。チャックは、開口部側の辺に沿って設けられ、開口部を開閉自在に閉鎖するものである。
【0003】
このようなチャック付きの袋体の製造方法について、従来は、特許文献2へ示すように、帯状のシートを2枚重ねた状態にして、この帯状のシートを当該シートの長手方向に送り、この長手方向への移動中、長尺のチャックを、両シート間にてシートの長手方向に沿ってシートへ融着して行くものであり、この移動中、帯状のシートの長手方向に間隔を開け且つ当該長手方向と交差する方向に伸びるよう2枚のシートの融着し、更に、帯状のシートの移動方向を前後方向としてシートの左右についてチャックと反対側を、シートの長手方向に沿って融着することで、帯状シートの長手方向に複数の胞を形成するものであった。
最終的には、帯状シートの長手方向と交差する方向の融着部分を、当該融着に沿って切断することによって胞を分割し、複数のチャック付き袋体を形成することができる。即ち、切断により、上記の帯状シートの長手方向に沿った融着部分が袋体の底辺となり、シートの長手方向と交差する方向に伸びる融着部分即ち切断された融着部分が、袋体の左右の辺となり、チャックが設けられた辺が開口部となる。尚、上記融着部分の切断によって、帯状シートの長手方向に伸びるチャックも、各胞即ち各袋体ごとに分割され、各袋体の開口部を開閉自在に閉鎖できるものとする。
【0004】
一方、チャック付き袋体の製造装置としては、チャックの取り付けと、上記各辺の融着(胞形成)までを行うものとし、チャックと融着部分が形成された帯状のシートは、ロール状に巻かれて被包装物を包装する先まで搬送され、帯状シートの切断(各胞の分割)は、内容物の包装を行う先で実行されるが一般的である。また、被包装物を収容してから各辺を融着し袋体を形成する場合も多々有り、当該チャック付き袋体の製造装置としては、帯状の2枚のシート間にチャックを取り付けてロール状に巻き取るのみとすることも、通常よく行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−206166号公報
【特許文献2】特開昭63−202436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のように、帯状のシートの長手方向に沿ってチャックを取り付ける場合、チャックは開口部となる辺の付近に形成される必要があるので、帯状シートの幅方向の左右何れかに寄った状態となり、チャック取り付け後に巻き取られた帯状シートは、円柱状のロールとならずに、左右端の何れか一方が何れか他方よりも膨らんだロールとなってしまい、取り扱いが非常に面倒なものとなっていたのである。
このため、本願の発明者は、チャックを帯状シートの長手方向即ち製造中の帯状シートの移動方向に対して、チャックを当該方向と交差する方向に取り付けることを考えた。このようにチャックを、シートの長手方向に対して間隔を開けて、シートの幅方向沿って設ければ、帯状シートを巻き取った後、円柱状のロールとすることができるからである。
しかし、現実には、帯状のシートの長手方向と交差する方向について、チャックをシートへ安定的に挿入し配置するのは困難であることが分かった。従来のシートの長手方向に沿ってチャックを取り付ける場合のように、シートに追従してチャックをシートの長手方向に繰り出して行けば連続的にチャックをシートへ取り付けて行くことができるものとは異なり、間欠的にチャックをとりつける必要が有るからである。このため、チャックをシートへ安定的に取り付けるには全く異なる工夫が必要であった。
上記の事情に鑑み、本願発明は、帯状シートに対して安定して、チャックを取り付けて行くことが出来るチャック付き袋体の製造方法及びその製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、夫々樹脂シートにて形成され間に被収容物が収容される上面部及び下面部と、上下両面部をシールする、左右の側部と、前部と、底となる後部と、前部付近にて上面部に設けられ左右に伸びる開封部と、開封部を開閉自在に閉鎖するチャックとを備えたチャック付き袋体の製造装置について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、この装置は、袋体の上面部を採取可能な帯状シートを、当該帯状シートの長手方向に移動させるシート送り部と、帯状シートと別体の上記チャックを、帯状シートの下面へ沿わせるチャック配置部と、帯状シートの下面へ沿わされたチャックを、帯状シートの下面へ融着するチャック融着部とを備える。帯状シートの左右側部を、形成する袋体の左右側部とし、チャック配置部は、帯状シートの移動方向を前後方向として、帯状シートの右方又は左方側に位置するチャック供給部と、チャック供給部から受け取ったチャックを帯状シートの下面へ移動させるチャック移動部とを備える。チャック移動部は、第1挟持体と、第2挟持体と、駆動部とを備え、両挟持体の間に、チャックを挟んで、駆動部にて両挟持体をチャック供給部側から帯状シートへ向け帯状シートの移動方向と交差する方向に移動させることにより、帯状シートを横断するようにチャックを帯状シートの下面へ配置する。第1及び第2の両挟持体は、夫々チャックを押圧する押圧体を備える。押圧体は、弾性を有する線状のバネ材であり、先端側を自由端とし基端側が挟持体へ固定され、一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸びると共に、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対して斜めに固定されたものである。第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とは、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置されている。押圧体は、夫々先端側にてチャックと当接し、弾性により撓ることにてチャックを押圧し、シートへ向け移動中の両挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容して、チャックが帯状シートへ融着された後は、チャックを帯状シートへ残して、両挟持体をチャック供給部側へ移動できる。
【0008】
本願の請求項2に係る発明は、上記本願の請求項1に係る発明にあって、次の構成を採るチャック付き袋体の製造装置を提供する。
ここで、チャックは、互いに別体に形成された係止部と被係止部とにて構成されると共に係止部が被係止部に係止された状態にて帯状シートへ融着されるものであり、係止部と被係止部とは、夫々帯状シートへ融着される基板を備え、係止部と被係止部の一方は、基板の表面側に雌部を備え、係止部と被係止部の他の一方は、雌部に強制嵌合することができる雄部を備え、更に被係止部の基板は、帯状シートの移動経路の下流側に向け係止部の基板よりも幅の大きな延設部を備え、当該延設部の表面側には開封部を開封するためのピールコードがチャックの長手方向に沿って仮止めされたものである。
チャック融着部は、帯状シート移動経路中において、帯状シートの上方に配置された第1融着部と、帯状シートを挟んで第1融着部の下方に配置された第1受部と、第1融着部よりも帯状シートの下流側において帯状シートの上方に配置された第2融着部と、帯状シートを挟んで第2融着部の下方に配置された第2受部とを備える。第1融着部と第1受部とは帯状シートを挟んで近接・離反でき、第2融着部と第2受部とは帯状シートを挟んで近接・離反できる。チャック配置部は、チャック切断部を備える。チャック供給部は、長尺のチャックを供給する。チャック移動部は、上記の第1及び第2挟持体が設けられたシャトル部を備える。上記の駆動部は、シートの移動方向と交差する方向にシャトル部を移動させる。第1及び第2挟持体は、夫々シャトル部の移動方向について伸びる、帯状シートの横幅よりも長い長尺の板状体であり、両挟持体は、互いの間に隙間を開けて、並べられたものであり、駆動部による上記シャトル部の駆動により先端側を、第1融着部と第1受部との間において、帯状シートの下面へ配位させる。第1及び第2の両挟持体の先端側が帯状シートの下面へ配位された状態において、上記の押圧体は、帯状シートよりもチャック供給部側に位置するように両挟持体の上面へ、当該上面へ沿うように設けられ、チャックを保持していない状態において、押圧体の先端側は、両挟持体間の隙間の上に伸びる。第1及び第2の挟持体間の隙間は、係止部と被係止部とが備える長尺の上記基板夫々の横幅よりも小さい。第1及び第2挟持体の隙間が係止状態のチャックの雌雄嵌合部分を受容することにより、第1及び第2挟持体は、係止部の基板を両挟持体の上方へ被係止部の基板を両挟持体の下方へ夫々配置すると共に、押圧体が嵌合状態の雄部又は雌部と当接して撓り両挟持体間の隙間から後退することにて嵌合状態の雄部又は雌部を押圧し、長尺のチャックを両挟持体の隙間に沿って保持する。シャトル部は、第1及び第2挟持体の上記移動によって、第1融着部と第1受部との間へ、第1及び第2挟持体に保持されたチャックを配置する。第1融着部は、第1受部と近接することにより、上から、帯状シートと、係止部の基板と、第1及び第2挟持体と、被係止部の基板の延設部より後方の部分とを、第1受部との間に挟み、係止部の基板裏面を帯状シートの下面に融着する。シャトル部は、帯状シートに融着されたチャックを残し第1及び第2挟持体をチャック供給部側へ後退させるものであり、両挟持体は、当該後退によって次にシートへ取り付けられる後続のチャックを両挟持体の隙間に両挟持体の基端側から受け入れて行く。チャック切断部は、第1及び第2挟持体の帯状シートからの退出後、融着されたチャックを後続のチャックから切断する。シート送り部は、少なくともチャックが帯状シート下面へ沿わされ融着されてチャック切断部により切断される間、シートの移動を停止させ、チャック切断後帯状シートを移動させて、チャックを第2融着部と第2受部との間に配置させる。第2融着部は、第2受部と近接することにより、上から、帯状シートと、被係止部の基板の延設部とを、第2融着部と第2受部との間に挟み、被係止部の基板表面とピールコードとを帯状シートの下面に融着する。
【0009】
本願の請求項3に係る発明は、夫々樹脂シートにて形成され間に被収容物が収容される上面部及び下面部と、上下両面部をシールする、左右の側部と、前部と、底となる後部と、前部付近にて上面部に設けられ左右に伸びる開封部と、開封部を開閉自在に閉鎖するチャックとを備えたチャック付き袋体の製造方法において、次の構成を採るものを提供する。
即ち、この方法は、袋体の上面部を採取可能な帯状シートを、当該帯状シートの長手方向に移動させるシート送り部と、帯状シートと別体の上記チャックを、帯状シートの下面へ沿わせるチャック配置部と、帯状シートの下面へ沿わされたチャックを、帯状シートの下面へ融着するチャック融着部とを用い、帯状シートの左右側部を、形成する袋体の左右側部とし、チャック配置部には、帯状シートの移動方向を前後方向として、帯状シートの右方又は左方側に位置するチャック供給部と、チャック供給部から受け取ったチャックを帯状シートの下面へ移動させるチャック移動部とを備えたものを用い、チャック移動部には、第1挟持体と、第2挟持体と、駆動部とを備えたものを用い、両挟持体の間に、チャックを挟んで、駆動部にて両挟持体をチャック供給部側から帯状シートへ向け帯状シートの移動方向と交差する方向に移動させることにより、帯状シートを横断するようにチャックを帯状シートの下面へ配置させ、第1及び第2の両挟持体には、夫々チャックを押圧する押圧体を備えたものを用い、押圧体に、弾性を有する線状のバネ材を用い、押圧体の先端側を自由端とし基端側を挟持体へ固定して、押圧体を一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸びると共に、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対して斜めに固定されたものとし、第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とを、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置しておき、押圧体を夫々先端側にてチャックと当接させて、弾性により撓らせることにてチャックを押圧することで、シートへ向け移動中の両挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容して、チャックが帯状シートへ融着された後は、チャックを帯状シートへ残して、両挟持体をチャック供給部側へ移動させる。
【0010】
本願の請求項4に係る発明は、夫々樹脂シートにて形成され間に被収容物が収容される上面部及び下面部と、上下両面部をシールする、左右の側部と、前部と、底となる後部と、前部付近にて上面部に設けられ左右に伸びる開封部と、開封部を開閉自在に閉鎖するチャックとを備えたチャック付き袋体の製造方法において、次の構成を採る。
ここで、チャックは、互いに別体に形成された係止部と被係止部とにて構成されると共に係止部が被係止部に係止された状態にて、帯状シートへ融着されるものであり、係止部と被係止部とは、夫々帯状シートへ融着される基板を備え、係止部と被係止部の一方は、基板の表面側に雌部を備え、係止部と被係止部の他の一方は、雌部に強制嵌合することができる雄部を備え、更に被係止部の基盤は、帯状シートの移動経路の下流側に向け係止部の基板よりも幅の大きな延設部を備え、当該延設部の表面側には開封部を開封するためのピールコードがチャックの長手方向に沿って仮止めされたものである。
この方法は、シート供給部と、シート送り部と、チャック配置部と、チャック融着部と、チャック切断部と、ピールパンチ部と、サイドシール部と、シート巻取り部とを用いて、順に、シート供給工程と、チャック配置工程と、係止部融着工程と、チャック準備工程と、チャック切断工程と、被係止部融着工程と、ピールパンチ工程と、サイドシール工程と、シート巻取り工程とを、順次遂行するものであり、シート供給工程において、シート送り部により、複数の袋体の上面部と下面部とを採取可能な2枚の帯状シートのうち、一方を、上面部を採取する上方シートとし、他の一方を、下面部を採取する下方シートとして、上方及び下方の両シートを、シート送り部により、夫々シートが巻かれたシート供給部から引き出し、上方及び下方の両シート同士を対面した状態にして並走させることにて夫々移動させ、上方及び下方シートの移動方向を、目的とする袋体の前後方向と一致させるものとし、シート送り部にて、次のチャック配置工程から被係止部融着工程が完了するまで、上方シートと下方シートの間に、当該各工程の作業に必要な間隔を開けて、上方及び下方シートを移動させ、チャック配置工程において、上方シートの移動方向を前後方向として、上方シートの右方又は左方側に位置するチャック供給部と、チャック供給部から受け取ったチャックを上方シートの下面へ移動させるチャック移動部とを備えるチャック配置部を用いるものであり、チャック移動部には、上方シートの横幅よりも長い長尺の板状体であり且つ互いの間に隙間を開けて並べられた第1及び第2挟持体と、第1及び第2挟持体夫々の上面に設けられた押圧体と、駆動部とを備えたものを用い、押圧体には、弾性を有する線状のバネ材を用いると共に、押圧体の先端側を自由端とし基端側を挟持体へ固定しておき、押圧体を一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸びるものとし、押圧体の基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対して斜めに固定しておき、第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とを、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置しておき、第1及び第2の両挟持体の間に、係止状態のチャックの雌雄嵌合部分を受容させ、押圧体夫々の先端側をチャックと当接させて、弾性により押圧体を撓らせることにてチャックの嵌合状態の雄部又は雌部を押圧し、係止部の基板を両挟持体の上方へ被係止部の基板を両挟持体の下方へ夫々配置し、駆動部にて第1及び第2挟持体を、上方シートの長手方向と交差する方向に移動させ、上方シートの下面へ上方シートを横断するようにチャックを沿わせ、押圧体先端側のチャックの嵌合状態の雄部又は雌部への上記押圧により、シートへ向け移動中の両挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容し、係止部融着工程において、チャック融着部に、上方シート移動経路中において、上方シートの上方に配置された第1融着部と、上方シートを挟んで第1融着部の下方に配置された第1受部と、第1融着部よりも上方シートの下流側において上方シートの上方に配置された第2融着部と、上方シートを挟んで第2融着部の下方に配置された第2受部とを備え、第1融着部と第1受部とは上方シートを挟んで近接・離反でき、第2融着部と第2受部とは上方シートを挟んで近接・離反できるものを用い、第1融着部を第1受部と近接させることにより、上から、上方シートと、係止部の基板と、第1及び第2挟持体と、被係止部の基板の延設部より後方の部分とを、第1受部との間に挟み、係止部の基板裏面を上方シートの下面に融着し、チャック準備工程において、上方シート下面へ係止部が融着されたチャックを残して、第1及び第2の両挟持体をチャック供給部側へ後退させ、当該後退によって次にシートへ取り付けられる後続のチャックを両挟持体の隙間に両挟持体の基端側から受け入れて行くものであり、チャック切断工程において、チャック切断部により、第1及び第2挟持体の上方シートからの退出後、上方シートへ係止部が融着されたチャックを後続のチャックから切断し、
被係止部融着工程において、シート送り部にて、チャック融着部の第2融着部と第2受部との間に上方シートを移動させ、第2融着部を第2受部と近接させることにより、上から、上方シートと、被係止部の基板の延設部とを、第2融着部と第2受部との間に挟み、被係止部の基板表面とピールコードとを上方シートの下面に融着し、被係止部の上方シートへの融着後、シート送り部は、上方シートと下方シートとを重ね合わせて移動させ、ピールパンチ工程において、重ね合わされた上方及び下方シートについて、ピールコードの一端付近に、当該ピールコードを摘んで引き易くするためのパンチを施し、サイドシール工程において、サイドシール部により、重ね合わされた上方及び下方シートに対して、袋体の左右側部となる部分を、夫々シールし、シート巻取り工程において、シート巻取り部により、一体とされた上方及び下方シートを巻き取る。
【発明の効果】
【0011】
本願の各発明は、帯状シートを当該シートの長手方向へ送り、チャックを帯状シートの下面へ当該シートを横断する方向に取り付けて行く、チャック付き袋体の製造方法及びその製造装置を提供できた。即ち、本願の各発明は、シートに取り付けられるチャックを、帯状シートの下面へ間欠的に、安定的して配置して行くことを可能とした。
具体的には、本願の各発明は、帯状シートの下面へ向け移動中の第1及び第2の挟持体に対し、押圧体によるチャックの押圧により、チャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容して、チャックがシートへ融着された後は、チャックを当該シートと中シート片との間へ残して、両挟持体をチャック供給部側へ移動できるものとした。
とりわけ、第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とを、チャックの移動方向について互いに、同じ位置に配置するものではなく、異なる位置に配置することにより、軟質のチャックを傷め難いものとした。
特に、本願の各発明は、上面部に開封部を有するチャック付き袋体の製造に適する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は製造の目的とする袋体の略平面図、(B)はこの袋体への取り付け前のチャックの係止部と被係止部とを分離した状態を示す略断面図、(C)は(B)に示すチャックの係止部と被係止部とを係止した状態を示す略断面図、(D)は袋体の一部切欠要部拡大平面図。尚(B)及び(C)は袋体Mとの関係ではシートを省いた図1(A)のX−X略断面図を示すものとなる。
【図2】(A)は本願発明係る装置にて形成を予定する開封前のチャック付き袋体の要部拡大一部切欠断面図、(B)は当該袋体を開封する様子を示す要部拡大一部切欠断面図、(C)は開封後当該袋体のチャックを開口した即ち係止を解除した状態を示す要部拡大一部切欠断面図。
【図3】本願発明の一実施の形態に係る装置の全体略側面図。
【図4】図3の装置の使用状態を示す一部切欠要部拡大略端面図。
【図5】(A)は図3へ示す装置の一部切欠要部略平面図、(B)は(A)のY−Y略断面図。
【図6】本願発明の一実施の形態に係る上記装置の要部斜視図。
【図7】本願発明に係るチャック付き袋体の製造方法のフローを示す説明図。
【図8】(A)はチャック配置部が上方シートm1へチャックcを配置する状態を示す略正面図、(B)はチャック融着部(第1融着部)が配置されたチャックcを上方シートへ融着する状態を示す略正面図、(C)チャック配置部を上方及シートm1から後退させる状態を示す略正面図、(D)はチャック切断部により上方シートm1へ融着されたチャックcが後続のチャックcから切断される状態を示す略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
(袋体の構成)
はじめに、製造の目的とする袋体について説明すると、この袋体は、2枚の樹脂製の帯状シートから、複数形成されるものである。
図1(A)へ及び図2(A)示す通り、個々の袋体Mは、平面視において、上記帯状シートの一方から採取された上面部Maと、帯状シートの他の一方から採取され上面部に重なる下面部Mbとを備える。袋体Mは、平面視略矩形ものであり、夫々左右の側部M1,2と、前部M3と、底となる後部M4とを備える。この前後左右の周縁部分M1〜M4にて、上面部Maと下面部Mbとがシールされている。上面部Maは、図2(A)へ示す通り、前部付近に開封部Kが設けられている。開封部Kは、左右に伸びる引き千切りテープ即ちピールコードTを備える。また、上面部Maは、開封された開封部Kを開閉自在に閉鎖するチャックcを備える。即ち、この袋体は、平面視略矩形のチャック付き袋体である。
上記のチャックcは、上面部Maの下面に設けられて左右に伸びるものであり、具体的には、チャックcは、左右側部M1,M2間の幅分と同じ長さを備えた長尺のものであり、開封部Kに沿って左右に伸びる。開封部Kの開封により開口する上面部Maをチャックcが開閉自在に閉鎖する。
尚、図1(A)において、一点鎖線で、本願発明において袋体Mを採取する帯状のシートm(m1,m2)を示し、二点鎖線で、背景技術の欄にて説明した従来の帯状シートを示す。また、図1(A)において、実線の矢印は、本願発明における帯状シートの送り方向を示し、破線の矢印は、背景技術の欄にて説明した製造中の帯状シートの送り方向を示している。図1(A)へ示すように、送り中の帯状シートの側部m'3,m'4が袋体Mの前後端となり且つ当該送り方向に沿ってチャックが取り付けられる従来の袋体の製造と異なり、本願発明では、送り中の帯状シートの側部m3,m4が、袋体Mの左右の側部M1,M2となり、チャックcは、袋体の製造過程における帯状シートの送り方向と交差する方向に設けられる。シートの左右の側部M1,M2の双方又は一方には、必要に応じて、チャックcの端部付近のシールを確実に行うために、ポイントシールがなされる。
図2(B)へ示すように、引き千切りテープTを引き上げて、上面部Maを開封する。開封後、図2(C)へ示す通り、チャックcを開けて、被収容物の袋体内への出し入れができる。上記のピールコードTには、従来周知の樹脂製のものを採用する。この実施の形態において、シートへの取り付け前において、ピールコードTは、チャックcに仮止めされている。
引き千切りの際に、ピールコードTの端部を摘み易いように、図1(D)へ示すように、パンチ(ピールパンチ)にて、シート(左側部M1)の、ピールコードTの一端周囲に、テープの端部を摘み易くするためのタブTaが打ち抜かれている。図1(D)のNは、タブTa形成に対する補強のため、シール部分が拡張された拡張シール部を示している。
【0014】
(チャックの構成)
チャックcは、図1(B)(C)へ示す通り、係止部c1と、係止部c1と別体に形成された被係止部c2とから構成される。図1(B)は係止部c1と被係止部c2とを分離した状態を示し、図1(C)は係止部c1を被係部c2へ係止した状態を示す。係止部c1と被係止部c2とは、夫々、裏面がシートへ融着される基板c3を備え、係止部c1と被係止部c2の何れか一方の基板c3には、基板c3の表面側に突出する雄部c4が、何れか他方には、基板c3の表面側に突出する雌部c5が設けられている。図1(B)(C)において、c30は基板c3の裏面を示している。
上記の雌部c5へ雄部c4を強制嵌合することにより、係止部c1と被係止部c2との係止がなされる。この実施の形態では、係止部c1が雄部c4を備え、被係止部c2が雌部c5を備え、雌雄両部c4,c5は、何れも断面略C字のチャンネル状に形成され、基板c3と一体にされている。上記強制嵌合にて、雄部c4が呈するC字が、雌部c5が呈するC字の内側に挿入される。
図1(B)(C)へ示す通り、被係止部c2の基板c3は、前方に向け即ち後述する帯状シートの移動経路の下流側に向け係止部の基板よりも幅の大きな延設部c6を備え、当該延設部c6の表面側には開封部を開封するためのピールコードTがチャックcの長手方向に沿って仮止めされたものである。係止部c1を被係止部c2へ係止したチャックcにおいて、被係止部c2の基板c3の延設部c6は、係止部c1の基板c3よりも前方へ伸びる。ピールコードTの仮止めは、開封時、チャックcの上記延設部c6を傷めずに簡単に離れることができる程度に、ピールコードTを延設部c6へ固定するものである。
【0015】
(製造装置の構成)
次に、本願発明に係る装置について説明する。
本願発明は、最終製品として袋体を完成するものの他、袋体完成前のシートへのチャックの取り付けを主とする中間工程のみの処理を行うものも含む。
この実施の形態に係る装置は、上記のチャック付き袋体の製造工程において、帯状シートに対する、チャックの取り付けと、袋体の左右側部のシールまでの工程を行い、チャック取り付けと袋体の上記左右のシール後、帯状のシートを巻取るものであり、被包装物の収容や、前部及び後部部の融着、複数の袋体にシートを分離する工程は、別途の装置にて行なう。
尚、各部の相対的な配置を説明する便宜上、2枚の帯状の樹脂製シートm1,m2の、一方を上方シートm1として略水平に配置し、他の一方を下方シートm2として上方シートm1の下方へ略水平に配置するものとして、送られて行くシートの下流側を前方、上流側を後方とし、各部の上下前後左右を定める。即ち、図中、説明の便宜上、Uは上方を、Sは下方を、Fは前方(送られるシートの下流側)を、Bは後方(送られるシートの上流側)を、Lは左方を、Rは右方を夫々示す。このような方向は、絶対的なものではなく、例えば、ここで示す上方以外の他の何れかの方向を上方として、前後左右を定めることを排除するものではない。尚、帯状シートの上方・下方と、目的とする袋体の上面部Maと下面部Mbの上下とは、対応する。
【0016】
この装置は、図3へ示す通り、シート供給部a1と、シート送り部と、チャック配置部2と、チャック融着部3と、チャック切断部4(図6)と、ポイントシール部a3と、ピールパンチ部a4と、サイドシール部a5と、シート巻取り部a6とを備える。
チャック融着部3は、係止融着部3aと、被係止部融着部3bとを備える。
以下、この装置の各部の構成について順に説明する。
【0017】
(シート供給部a1)
シート供給部a1は、複数の袋体の上面部と下面部とを採取可能な、横幅の等しい、2枚の帯状シート即ち上方及び下方シートm1,m2について両シートを合わせた状態にし当該シートの長手方向にシートを移動させるものである。
具体的に説明する。シート供給部a1は、上方シート保持部a11と下方シート保持部a12とを備える。上方シート保持部a11は、帯状シートの一方である上方シートm1を巻いたウエブを、シートの引き出し方向に回転可能に保持する周知の手段である。下方シート保持部a12は、帯状シートの他の一方である下方シートm2を巻いたウエブを、シートの引き出し方向に回転可能に保持する周知の装置である。各シート保持部は、周知の装置を用いて実施すればよい。
【0018】
(シート送り部)
シート送り部は、引き合わせガイド手段10と、送りガイド手段11とを備える。
引き合わせガイド手段10は、シート供給部a1の上方シート保持部a11に保持された上方シートm1と、シート供給部a1の下方シート保持部a12に保持された下方シートm2の、引き出しを案内して、上方及び下方シートm1,m2を上下に合わせた状態とする周知の装置である。この引き合わせガイド手段10は、上方及び下方シートm1,m2の夫々或いは上方及び下方シートm1,m2の少なくとも一方と当接する、一つ又は複数のガイドローラにて実施することができる。
送りガイド手段11は、上下のシート保持部から引き出された帯状の上方及び下方シートm1,m2を、下流側のシート巻取り部a5に向け案内するものであり、複数のローラにて構成することができる。
【0019】
送りガイド手段11を構成するローラ群について、図3へ示す。
送りガイド手段11は、帯状の上方及び下方シートm1,m2の移動経路において、シートの上流側(図3右側)から下流側(図3左側)へ向け、順に、第1駆動用ローラ12,13の対、分岐用ローラ14,14、案内用ローラ15、第2駆動用ローラ16a,17aの対、第3駆動用ローラ16b,17bの対、第4駆動用ローラ16c,17cの対を有する。
上下の一対の駆動用ローラの少なくとも一方は、モータなどの駆動手段(図示せず。)から動力を得て回転する駆動ローラである。引き合わせガイド手段10にて対向する帯状の上方及び下方シートm1,m2は、重なった状態にて、接触し合う第1駆動用ローラ12,13間に挟まれて、下流側へ送られる。
分岐用ローラ14は、上方及び下方シートm1,m2間へ介在し、第1駆動用ローラ12,13にて重ねて送り出された上方及び下方シートm1,m2を上下に引き離して、両シート間m1,m2間の間隔を開け、後述するチャック配置部2乃至チャック融着部3(係止部融着部3a及び被係止部融着部3b)によるチャック取り付けのためのスペースを確保する。この実施の形態では、分岐用ローラ14は、下方シートm2を上方シートm1から下方に引き離すものである。
【0020】
案内用ローラ15は、上方シートm1から引き離された下方シートm2と当接して上方シートm1に下方シートm2を近づけつつ、下方シートm2を下流側に案内する。
上下の一対の第2駆動用ローラ16a,17aの少なくとも一方は、上記駆動ローラとして、モータなどの駆動手段(図示せず。)から動力を得て回転する。第2駆動用ローラ16a,17aは、上下に引き離されていた上方及び下方シートm1,m2を重ねて挟み、下流側へ送り出す。
図示はしないが、この装置の制御部により、上記の第1乃至第4の駆動用ローラの駆動ローラは、後述するチャックの上方シートへの配置から係止部c1の上方シートm1への融着後チャックの切断が終わるまでの間、被係止部c2の上方シートm1への融着の間、ポイントシールの間、及び、ピールパンチの間回転を止め、シートの送りを停止する。作業(自動)が完了すると、上記駆動ローラは、回転を再開し、シートを再び送る。そして、チャックの上方シートへの配置やチャック切断は、各装置に位置センサを設けて動作の開始や終了位置を検出して、ローラの停止・再開の制御を行うことができる。また、位置の検出に当っては、帯状シートにマークを印刷しておき、当該マークを光学センサにて検出するものとしても実施できる。図3のa2は、上記光学センサである、マークセンサを示している。このマークセンサa2は、チャック融着完了を検出し、次のピールパント部の作動のタイミングを図る(作動までの時間のカウント開始する)起点とする。
チャックの上方シートへの配置から係止部c1の上方シートm1への融着後チャックの切断が終わるまでの間の停止中、シートの先行する部分即ち下流側の部分は被係止部融着部3bにて停止しており被係止部c2の上方シートm1への融着が施され、このとき、シートの更に先行する部分即ち更に下流側の部分はポイントシール部にて停止しておりポイントシールが施され、シートのまた更に先行する部分即ちまた更に下流側の部分はピールパンチ部にて停止しておりピールパンチが施される。このように、シート送り部は、間欠的にシートを送るものとし、各作業は、シートの停止のタイミングを合わせて実施される。
【0021】
(チャック配置部2)
図6へ示す通り、チャック配置部2は、上方シートm1の送り方向即ち上方シートm1の移動方向において、分岐用ローラ14,14にて、下方シートm2が上方シートm1から離された区間に配置される。
チャック配置部2は、チャック供給部(図示せず。)と、チャック移動部21とを備える。
チャック供給部は、図示を省略するが、平面視において、上記の通り上方シートm1及び下方シートm2の移動方向(帯状の上方及び下方シートm1,m2の長手方向)を前後方向として、送られてくる上方及び下方シートm1,m2の右方又は左方側に位置する。この実施の形態では、後方B側から前方F側へ送られてくる上方及び下方シートm1,m2に対して、チャック配置部2は、チャック供給部を含め、上方及び下方シートm1,m2の右側Rに配置されている。但し、チャック配置部2は、上方及び下方シートm1,m2の左側Lに配置されるものとしても実施できる。
チャック供給部は、複数の袋体分のチャックcを採取することが可能な長尺のチャックcを、ウエブ状に巻回して保持し、その係止部c1と係止部c2とを係止した状態にして供給する周知の装置である。
チャック移動部21は、チャック供給部からチャックcを引き出し、シートに対するチャックの配置を行う。
【0022】
具体的に説明すると、チャック移動部21は、シャトル部22と、ガイド部27と、駆動部とを備える。
シャトル部22には、夫々少なくとも表面がチタンからなる、第1挟持体23と、第2挟持体24とが設けられている。
この実施の形態において、ガイド部27は、シャトル部22の移動を案内するレールであり、駆動部(図示せず。)は、シャトル部22に取り付けられたモータと、当該モータによって駆動されるキャスタ(車輪)とを備える。但し、チャック移動部は、油圧などの流体圧を利用した周知のアクチュエータにて、シャトル部22を移動させるものとしてもよく、或いは周知の他の移動手段にて、シャトル部22を移動させるものとしてもよい。
第1及び第2の両挟持体23,24は、夫々自身の移動方向について伸びる、長尺の板状体である。第1及び第2の挟持体23,24は、互いの間に隙間Gを開けて、平行に並べられたものであり、駆動部の駆動により、シャトル部22が移動して、第1及び第2の挟持体23,24の先端側を、上方及び下方シートm1,m2間において上方シートm1の裏面へ沿わせる。
【0023】
詳しく説明すると、ガイド部27を構成するレールは、平面視において、上方及び下方シートm1,m2の左右何れか一方から、上方シートm1の移動方向に対して交差する方向、より具体的には上方シートm1の移動方向に対して直角に伸びる。
駆動部は、ガイド部27のレールに沿ってシャトル部22を移動させることにて、チャック供給部が配置されたシートの左方又は右方の離れた位置(図6において右方R)からシート側(図6において左方L)へ向け、シートの移動方向と交差直交する方向にシャトル部22を移動させ、上方及び下方シートm1,m2間であって上方シートm1の下面へ第1及び第2の挟持体24,25を、上面シートm1を横断するように沿わせる。この実施の形態では、駆動部は、シャトル部22をシートの移動方向と直交する方向に移動させて、上方シートm1の下面へのチャックcの上記配置を行う。
但し、上記レールについては、シートの移動方向と交差する方向に伸びるものとすれば良く、実際に上方シートm1と交差させる必要はない。寧ろシートの移動を阻害しないよう、レールの先端側を、シートの移動経路内へ入り込まないように、即ち交差しないように配置するのが好ましい。
シャトル部22は、レールの基端側即ちチャック供給部側から、上記レールの先端位置までしか移動できないが、長尺の第1及び第2の両挟持体23,24は、シャトル部22から更に上方シートm1側へ伸び、シャトル部22がレールの先端側にあるとき、実際にシートm1と交差し、上方シートm1下面へ向け、上方シートm1のほぼ左右全幅に渡って配置可能な長さ、シャトル部22から上方シートm1側へ突出する。
尚、上記の図6は、第1及び第2の挟持体23,24が、チャック保持前の、上方シートm1の下面からチャック供給部側へ後退し、全体を上方及び下方シートm1,m2から露出した状態を示している。
【0024】
図5(A)(B)へ示す通り、第1及び第2の挟持体23,24は、夫々チャックcを押圧する押圧体25,26を備える。以下必要に応じ、第1挟持体23が備える押圧体25を第1押圧体25と、第2挟持体24が備える押圧体26を第2押圧体26と呼ぶ。
第1及び第2の両押圧体25,26は、夫々、弾性を有する線状のバネ材である。第1押圧体25は、先端側を自由端とし基端側が第1挟持体23へ固定され、平面視において、固定された第1挟持体23から第2の挟持体24へ向けて伸びると共に、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックcの移動方向即ち長尺の両挟持体23,24の伸びる方向に対し斜めに固定されている。第2押圧体26は、先端側を自由端とし基端側が第2挟持体24へ固定され、平面視において、固定された第2挟持体24から第1の挟持体23へ向けて伸びると共に、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックcの移動方向即ち長尺の両挟持体23,24の伸びる方向に対し斜めに固定されている。言い換えると、第1及び第2の押圧体25,26の夫々は、その先端側を基端側よりも、上方シートm1側へ寄るように斜めに取り付けられている。
また、第1押圧体27と第2押圧体26とは、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置されている。
この実施の形態では、シャトル部22の上面に設けられたネジ孔(図示せず。)と、第1及び第2の挟持体23,24を上下に貫通する孔(図示せず。)に、ネジ或いはボルトなどの周知の固定具a...aが通され、両挟持体23,24は、シャトル部22上面へ、互いに平行に並べられた状態に固定されている。そして、この固定具a,aにて、上記押圧体25,26の基部側は、第1及び第2の挟持体23,24の上面へ固定される。具体的には、固定具aの座面と、第1及び第2の挟持体の上面とにて、線状の押圧体25,25の基部側を挟む。但し、押圧体25,26の第1及び第2の挟持体23,24への固定は、シャトル部22への第1及び第2の挟持体23,24の固定を兼ねる固定具に頼るのではなく、別途の固定手段を用いて行うものとしてもよい。
上記の通り、シャトル部22の上面の固定具a,aにて固定されることにより、押圧体25,26の夫々は、第1及び第2の両挟持体23,24の先端側が上方シートm1下面へ配置された状態において、移送経路上のシートよりもチャック供給部側に位置するよう第1及び第2の挟持体23,24の上面へ配置されている。
【0025】
第1及び第2の挟持体23,24とその押圧体25,26について、更に詳しく説明する。
線状の押圧体25,26の夫々は、上記の通り、固定具a,aの座面と挟持体の上面に挟まれることにて、第1及び第2の挟持体23,24の上面に沿うように取り付けられ、チャックcを保持していない状態において、押圧体25,26の先端側は、第1及び第2の両挟持体間の隙間Gの上に位置する。
図5(B)へ示す第1及び第2の挟持体23,24間の隙間Gは、チャックcの係止部c1と被係止部c2とが備える上記基板c3,c3夫々の横幅w1,w2(図1(B))よりも小さいものであり、係止部c1と被係止部c2の一方、この実施の形態において被係止部c2が備える上記雌部c5の嵌合状態のときの横幅w3(図1(C))とほぼ同じか、この横幅w3より若干大きなものである。
また、シャトル部22の上面には、第1及び第2の挟持体23,24の隙間Gの下方に第1及び第2の挟持体23,24の長手方向に沿って伸びる溝bが設けられている。この溝bの横幅は、チャックcの上基板の横幅w1,w2の夫々よりも大きく、隙間Gを含め第1挟持体23と第2挟持体24の夫々の横幅を合計した幅よりも小さい。
溝bの前後端は、シャトル部22の前面と後面に達する。即ち、溝bは、シャトル部22の前後にて開放されているのである。
図6へ示す通り、並べられた第1及び第2の両挟持体23,24については、平面視において、先端側が剣のように先窄まりに形成された部分を備える。
【0026】
チャックcは、係止部c1と被係止部c2とが係止された状態にして(図1(C))、図5(A)(B)へ示すように、第1及び第2の挟持体24,25の間に挿入される。詳しくは、係止状態のチャックcの雌雄嵌合部分即ち嵌合状態の雄部c4と雌部c5とが、第1及び第2の挟持体23,24の後端側(図6の右方R)から、両挟持体23,24の上記隙間Gへ挿入されるのである。このとき、係止部c1の基板c3は、第1及び第2の挟持体23,24の上面側に位置する。また被係止部c2の基板c3は、第1及び第2の挟持体23,24の下面側に位置し、上記溝bの中に収容された状態となる。
上記隙間Gへ、係止状態のチャックcの雌雄嵌合部分が挿入されることにより、押圧体25,26の先端側は、チャックcの雌雄嵌合部分、この実施の形態において特に雄部c4の基部と当接し、押圧体25,26の基端側へ押し戻され、押圧体25,26は夫々弾性にて撓り、第1及び第2の挟持体23,24の基端側、即ちチャック供給部側へ後戻りできないように、チャックcを保持する。
尚、この実施の形態では、係止部c1が雄部c4を備え、被係止部c2が雌部c5を備えるものとし、押圧部は、雄部c4の基部を押圧するものとした。この他、被係止部c2が雄部c4を備え、係止部c1が雌部c5を備えるものとし、押圧部は、雌部c5の基部を押圧するものとしても実施できる。
上下方向について、分岐用ローラ14,14と案内用ローラ15の間における上方シートm1下面の位置と、シャトル部22が上記レールに置かれた状態の第1及び第2の挟持体23,24の位置とは同じであり、上記レールは、チャック供給部側から、シート側へ略水平に伸びて、シャトル部22の水平移動をガイドし、両挟持体23,24を、上方シートm1の下面へ案内する。
長尺の第1及び第2の両挟持体23,24は、シャトル部22から、少なくとも上方シートm1の横幅分、上方シートm1側へ略水平に伸びるものであるため、不安定とならないように、上方シートm1の近傍(右横)において、図6へ示す通り、第1及び第2の挟持体23,24の先端側が通される貫通部29を備えた、サブガイド部28がレール先端側に設けられている。図6において、第1及び第2の挟持体23,24の先端の形状を示すために、サブガイド部28は一点鎖線で、透視した状態に表す。
【0027】
(係止部融着部3a)
チャック融着部3が備える係止部融着部3aは、図4へ示すように、上方シートm1の移動経路中、チャック配置部2にてチャックcが上方シートm1へ沿わされる位置に配置される。
係止部融着部3aは、上方シートm1の上方に配置された第1融着部31と、上方シートm1の下方に配置された第1受部32と、第1上下駆動部(図示せず。)とを備える。
第1融着部31と第1受部32とは上方シートm1の送り方向について、同じ位置に配置される
第1上下駆動部の作動によって、第1融着部31と第1受部32とは上方シートを挟んで近接・離反できる。第1融着部31には、発熱装置或いは超音波の発生装置など周知の融着手段を備えたものを採用する。第1受部32は、近接する第1融着部31を受け第1融着部31との間に、係止部c1の基板c3と、第1及び第2挟持体23,24と、被係止部c2の基板c3の延設部より後方の部分を挟むものであり、融着手段を備えない。
第1融着部31と第1受部32のシートの送り方向の幅は、係止部c1の基板の横幅即ちシートの送り方向の幅とほぼ同じか若干大きい。
第1融着部31と第1受部32のシートの送り方向と直交する方向の幅は、上方シートm1の左右の幅と同じか大きい。
【0028】
(チャック切断部4)
チャック切断部4(図6)は、平面視において、チャック供給部側に後退した状態の第1及び第2の挟持体23,24の先端とシートとの間に位置する。チャック切断部4は、チャックcを切断することが可能な刃を有する。即ち、チャック切断部4は切断のため移動する切断刃と、固定された受け刃とを備えるが、図面の煩雑を避けるため、図6(及び後述の図8)において、切断刃のみ図示する。
【0029】
(被係止部融着部3b)
チャック融着部3が備える被係止部融着部3bは、図4へ示すように、上方シートm1の移動経路中、係止部融着部3aの下流側に配置される。この実施の形態では、被係止部融着部3bは、係止部融着部3aから約50cm、上方シートm1の移動経路の下流側に配置されている。
被係止部融着部3bは、上方シートm1の上方に配置された第2融着部33と、上方シートm1の下方に配置された第2受部34と、第2上下駆動部(図示せず。)とを備える。
第2融着部33と第2受部34とは上方シートm1の送り方向について、同じ位置に配置される
第2上下駆動部の作動によって、第2融着部33と第2受部34とは上方シートを挟んで近接・離反できる。第2融着部33には、発熱装置或いは超音波の発生装置など周知の融着手段を備えたものを採用する。第2受部33は、近接する第2融着部33を受け第2融着部31との間に、被係止部c2の基板c3の延設部c6を挟むものであり、融着手段を備えない。
第2融着部33と第2受部34のシートの送り方向の幅は、被係止部c2の基板c3の延設部c6のシートの送り方向についての幅とほぼ同じか若干大きい。
第2融着部33と第2受部34のシートの送り方向と直交する方向の幅は、上方シートm1の左右の幅と同じか大きい。
第2融着部33は、ピールコード融着部を兼ねるものであり、延設部c6の上方シートm1下面への融着と共に、延設部c6表面へ仮止めされたピールコードTを上方シートm1下面へ融着するものである。
【0030】
(ポイントシール部a3)
ポイントシール部a3は、前述のポイントシールをシートに施す周知の装置であり、上方及び下方シートm1,m2の上下から、チャックcの両端付近を更にシールする。ポイントシール部a3は、チャック融着部の下流側に設けられている。ポイントシールが不要であれば、ポイントシール部a3を設けずに実施することもできる。また、本願発明に係る装置ではなく、他の装置にてポイントシールを行なうものとしてもよい。
【0031】
(ピールパンチ部a4)
ピールパンチ部a4は、シートに対しピールコードTの一端付近へ、前述のパンチを施す周知の装置である。この実施の形態において、ポイントシール部a3の下流側に配置されている。但し、この位置に限定するものではなく、また、この発明に係る装置ではなく、他の装置にてピールパンチを施すものとしてもよい。
【0032】
(サイドシール部a5)
サイドシール部a5は、チャックcが取り付けられて第2駆動用ローラ16a,17a間を通過して重ねられた上方及び下方シートm1,m2の、移動経路途中に設けられたものである。サイドシール部a5は、袋体の左右両側部m3,m4を形成すべく、当該位置を熱融着する。サイドシール部a4は、周知の装置を用いて実施することができる。
この実施の形態において、サイドシール部a5は、シールを行う左右融着部a51と、冷却部a52とを備える。
【0033】
(シート巻取り部a6)
シート巻取り部a6は、サイドシール部a5にて、左右側部のシールが施された後の帯状の上方及び下方シートm1、m2をウエブ状に巻き取る装置であり、周知の装置を用いて実施することができる。
【0034】
(製造方法)
次に、この装置を用いた本願発明のチャック付き袋体の製造方法のフローについて説明する。
このチャック付き袋体の製造方法は、図7へ示す通り、順に、シート供給工程k1と、チャック配置工程k2と、係止部融着工程k3と、チャック準備工程k4と、チャック切断工程k5と、被係止部融着工程k6と、ポイントシール工程k7と、ピールパンチ工程k8と、サイドシール工程k9と、シート巻取り工程k10とを遂行するものである。
【0035】
(シート供給工程k1)
シート供給工程k1において、上記シート送り部の駆動ローラの駆動によって、上記シート供給部から帯状の上方及び下方シートm1,m2が引き出される。
引き出された上方及び下方シートm1,m2は、下流の巻取り部に向けて送られる。
【0036】
(チャック配置工程k2)
チャック配置工程k2は、上記チャック配置部2によって、下流に向けて送られてくる上方シートm1の下面へチャックcを配置する工程である。
この工程において、チャックcは、図6へ示す第1及び第2の挟持体23,24の隙間Gへ、図5(A)(B)へ示すように挟まれ、チャック供給部から引き出されて行く。
即ち、チャック配置部2は、第1及び第2の挟持体23,24の間に係止状態のチャックcの雄部c4の基部を挟み、駆動部にてシャトル部22を移動させるものであり、両挟持体23,24をチャック供給部側から上方シートm1の下面へ向け、上方シートm1の移動方向と交差する方向に移動させる。この移動により、上方及び下方の両シートm1,m2間において、図8(A)へ示す通り、上方シートm1を横断するように上方シートm1の下面へチャックcを配置する。
第1及び第2の挟持体23,24がチャックcを図8(A)へ示すように配置する際、シート送り部は、前述の通り駆動ローラを停止させる。
このチャックcのシートへの配置に際して、第1及び第2の押圧体25,26は、図5(A)へ示す通り、撓ることにてチャックcの雄部c4の基部を押圧し、シートへ向け移動中の第1及び第2の挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックcの第1及び第2の挟持体23,24に対する上方シート側への移動を許容する。
【0037】
(係止部融着工程k3)
チャック融着部3の上下の融着部31,32の間において、チャックcがチャック配置部2にて上方シートm1下面へ送り込まれることにより、処理は係止部融着工程k3に移行する。具体的には、位置センサなどのセンサ(図示せず)にてチャック配置部2の第1及び第2の挟持体23,24或いはシャトル部22のチャックcの位置を検出するものとし、当該センサによって、第1及び第2の挟持体23,24のシート間への移動完了を検出することにより、処理は、係止部融着工程k3に移行する。係止部融着工程k3において、第1上下駆動部により、第1融着部31を、第1受部32へ近接させ、上方シートm1から上方へ離れていた第1融着部31を、上方シートm1の表面(上面)に押し当てつつ、第1及び第2の両挟持体23,24の上方に配置された係止部c1の基板c3裏面c30へ、押し付ける。
上記の通り、第1融着部31を第1受部33と近接させることにより、上から、上方シートm1と、係止部c1の基板c3と、第1及び第2挟持体23,24と、被係止部c2の基板c3の延設部c6より後方の部分とを、第1受部32との間に挟み、係止部c1の基板c3裏面c30を上方シートm1の下面に融着するのである。即ち、図4における実線の各矢印の指し示す面同士が融着により一体とされるのである。融着中、第1及び第2の両挟持体23,24は、チャックcの上下の基板c3,c3同士の間にて、両基板c3,c3がくっ付くのを防ぐ、セパレータとして機能する。
【0038】
(チャック準備工程k4)
チャック準備工程k4は、次にシートへ融着されるチャックcを第1及び第2の両挟持体23,24の隙間Gへ配備する工程である。
この工程について詳しく説明する。
図4及び図8(B)へ示すように、上下の第1及び第2融着部31,32の発熱部34,34の夫々は、チャックcの基板c3,c3夫々の裏面c30,c30と当接するものであるが、第1及び第2の両挟持体23,24とは直接接触しない。
一方、第1及び第2の両挟持体23,24の第1及び第2の押圧体25,26は、前記の通り、チャックcがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、両挟持体23,24に対する上方シートm1側へのチャックcの移動を許容するものである。第1及び第2押圧体25,26の当該作用により、図8(C)へ示すように、シャトル部22を、駆動部によってチャック供給部側へ後退させることにて、上方シートm1へ融着されたチャックcを残して第1及び第2の両挟持体23,24のみ円滑に後退させることができる。
この第1及び第2の両挟持体23,24の当該後退に伴い次に融着される部分を、第1及び第2の両挟持体23,24の間の隙間Gへ順次入り込むことになる。即ち、第1及び第2の両挟持体23,24は、当該後退によって次にシートへ取り付けられる後続のチャックを両挟持体の隙間Gへその基端側から自動的に受け入れて行くことになる。このようにして、次のチャックcが第1及び第2の挟持体23,24間へ配備される。
前述の通り、第1及び第2の挟持体23,24をチタンにて形成することにより、表面の滑りがよく、チャックcに対する剥離性が良好で、上記の後退がより円滑に行える。
【0039】
(チャック切断工程k5)
第1及び第2の両挟持体23,24が、第1融着部31と第1受部32から抜け出て完全にチャック供給部側へ後退した後、このチャック切断工程k5にて、図8(D)へ示す通り、チャック切断部4が、チャックc1へ切断刃を振り下ろし、上方シートm1へ融着されたチャックcを次に融着予定の後続のチャックcから切り離す。チャック切断部4の作動のタイミングは、位置センサなどのセンサにて第1及び第2の挟持体23,24又はシャトル部22の位置を検出することによって図ればよい。
チャック切断工程k5後、第1上下駆動部にて、第1融着部31と第1受部32とは離れ、元の位置に戻る。シート送り部の駆動ローラは、再び回転を開始し、シートを下流側へ送る。
【0040】
(被係止部融着工程k6)
チャック切断工程k5後、シート送り部によってシートは係止部融着部3aから下流へ移動し、被係止部融着部3bが配置された位置に到達する。図4において、係止部融着部3aと、被係止融着部3bとは、隣接するように描かれているが、実際には前述の通り、被係止融着部3bは係止部融着部3aよりも上方シートm1の下流側へ約50cm離れた位置に設けられている。
図4へ示す通り、被係止部融着部3bが備える、第2融着部33と第2受部34との間に、チャックcの被係止部c2の基板c3の延設部c6が到達した際、第2融着部33を第2受部34と近接させることにより、上から、上方シートm1と、被係止部c2の基板c3の当該延設部c6とを、第2融着部33と第2受部34との間に挟み、被係止部c2の基板c3表面とピールコードTとを上方シートm1の下面に融着する。
この工程k6にて、上方シートm1は、図4へ示す通り、第2融着部33により、被係止部c2の延設部c6表面へ仮止めされているピールコードTを、上方シートm1の下面へ融着する。即ち、図4の破線の矢印が指し示す面同士が融着され一体とされる。
尚、図4の白抜きの三角にて示す、ピールコードTの後部はシールされない。ピールコードT後部をシールしないことにより、上方シートm1の開封が円滑に行える。
【0041】
(ポイントシール工程k7)
被係止部融着工程k6後、シート送り部にて、上方及び下方シートm1,m2は更に下流へ移動し、ポイントシール工程k7により、前述のポイントシール部a3にて、シートのチャックcの左右両端付近がポイントシールされる。
【0042】
(ピールパンチ工程k8)
ポイントシール工程k7後、シート送り部にて、上方及び下方シートm1,m2は更に下流へ移動し、ピールパンチ工程k8において、前述のピールパンチ部a4により、シートの、引き千切りテープTの一端付近がパンチされる。
【0043】
(サイドシール工程k9)
ピールパンチ工程k8後、シート送り部にて、シートは更に下流に移動し、到達したサイドシール部a5の左右融着部a51において、前述の前後シール部により袋体の左右両側部となる部分が加熱され、シールされる。そして、続く冷却部a52にて、形成されたサイドシールが冷却される。
【0044】
(シート巻取り工程k10)
シート送り部にて、上方及び下方シートm1,m2は、更に、前後シール部から更に下流に送られ、前述のシート巻取り部a6によって、帯状シートの状態のまま巻き取られる。
この実施の形態では、既述の通り、他で、被収納物を前後の両シール間に収納した後、シートの左右をシールするものであり、ここでは、サイドシール部によるシールの後、帯状シートは、上記の通り、シート巻取り部に巻き取られて処理が完了する。
【0045】
この実施の形態に係る装置は、チャック付き袋体の製造工程において、帯状シートに対するチャックの取り付けと、サイドシールの形成までを行い、チャック取り付けと左右のシール後は、帯状のシートのまま巻取るものであり、被収容物を収容する工程や、前後部をシールする工程、複数の袋体にシートを分離する工程は、別途の装置にて行なうものとしたが、この装置において、被収容物の充填手段や、袋体前後のシール手段、帯状シートの切断手段などを備えるものとし、他で行うものとした各工程を、この装置にて行うものとしても実施できる。
【0046】
上記において、袋体の開封部がシートの長手方向に直交するものとして、チャックの取り付け方向を、シートの長手方向と直交するものとしたが、袋体の開封部となる部分に沿ってチャックを取り付けることができればよく、開封部がシートの長手方向に対して斜めであれば、チャックの送りも、開口部に合わせてシートの長手方向に対して斜めとなるように行えばよい。
また、目的とする袋体は、左右両側部や底となる後部、前部に、「まち」を備えないものとしたが、「まち」を備えるものとしても実施できる。
【符号の説明】
【0047】
1 シート送り部
2 チャック配置部
3 チャック融着部
4 チャック切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々樹脂シートにて形成され間に被収容物が収容される上面部及び下面部と、上下両面部をシールする、左右の側部と、前部と、底となる後部と、前部付近にて上面部に設けられ左右に伸びる開封部と、開封部を開閉自在に閉鎖するチャックとを備えたチャック付き袋体の製造装置において、
袋体の上面部を採取可能な帯状シートを、当該帯状シートの長手方向に移動させるシート送り部と、
帯状シートと別体の上記チャックを、帯状シートの下面へ沿わせるチャック配置部と、
帯状シートの下面へ沿わされたチャックを、帯状シートの下面へ融着するチャック融着部とを備え、
帯状シートの左右側部を、形成する袋体の左右側部とし、
チャック配置部は、帯状シートの移動方向を前後方向として、帯状シートの右方又は左方側に位置するチャック供給部と、チャック供給部から受け取ったチャックを帯状シートの下面へ移動させるチャック移動部とを備え、
チャック移動部は、第1挟持体と、第2挟持体と、駆動部とを備え、両挟持体の間に、チャックを挟んで、駆動部にて両挟持体をチャック供給部側から帯状シートへ向け帯状シートの移動方向と交差する方向に移動させることにより、帯状シートを横断するようにチャックを帯状シートの下面へ配置するものであり、
第1及び第2の両挟持体は、夫々チャックを押圧する押圧体を備え、
押圧体は、弾性を有する線状のバネ材であり、先端側を自由端とし基端側が挟持体へ固定され、一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸びると共に、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対して斜めに固定されたものであり、
第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とは、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置され、
押圧体は、夫々先端側にてチャックと当接し、弾性により撓ることにてチャックを押圧し、シートへ向け移動中の両挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容して、チャックが帯状シートへ融着された後は、チャックを帯状シートへ残して、両挟持体をチャック供給部側へ移動できるものとしたことを特徴とするチャック付き袋体の製造装置。
【請求項2】
チャックは、互いに別体に形成された係止部と被係止部とにて構成されると共に係止部が被係止部に係止された状態にて帯状シートへ融着されるものであり、係止部と被係止部とは、夫々帯状シートへ融着される基板を備え、係止部と被係止部の一方は、基板の表面側に雌部を備え、係止部と被係止部の他の一方は、雌部に強制嵌合することができる雄部を備え、更に被係止部の基板は、帯状シートの移動経路の下流側に向け係止部の基板よりも幅の大きな延設部を備え、当該延設部の表面側には開封部を開封するためのピールコードがチャックの長手方向に沿って仮止めされたものであり、
チャック融着部は、帯状シート移動経路中において、帯状シートの上方に配置された第1融着部と、帯状シートを挟んで第1融着部の下方に配置された第1受部と、第1融着部よりも帯状シートの下流側において帯状シートの上方に配置された第2融着部と、帯状シートを挟んで第2融着部の下方に配置された第2受部とを備え、第1融着部と第1受部とは帯状シートを挟んで近接・離反でき、第2融着部と第2受部とは帯状シートを挟んで近接・離反でき、
チャック配置部は、チャック切断部を備え、
チャック供給部は、長尺のチャックを供給するものであり、
チャック移動部は、上記の第1及び第2挟持体が設けられたシャトル部を備え、
上記の駆動部は、シートの移動方向と交差する方向にシャトル部を移動させるものであり、
第1及び第2挟持体は、夫々シャトル部の移動方向について伸びる、帯状シートの横幅よりも長い長尺の板状体であり、両挟持体は、互いの間に隙間を開けて、並べられたものであり、駆動部による上記シャトル部の駆動により先端側を、第1融着部と第1受部との間において、帯状シートの下面へ配位させ、
第1及び第2の両挟持体の先端側が帯状シートの下面へ配位された状態において、上記の押圧体は、帯状シートよりもチャック供給部側に位置するように両挟持体の上面へ、当該上面へ沿うように設けられ、チャックを保持していない状態において、押圧体の先端側は、両挟持体間の隙間の上に伸びるものであり、
第1及び第2の挟持体間の隙間は、係止部と被係止部とが備える長尺の上記基板夫々の横幅よりも小さいものであり、
第1及び第2挟持体の隙間が係止状態のチャックの雌雄嵌合部分を受容することにより、第1及び第2挟持体は、係止部の基板を両挟持体の上方へ被係止部の基板を両挟持体の下方へ夫々配置すると共に、押圧体が嵌合状態の雄部又は雌部と当接して撓り両挟持体間の隙間から後退することにて嵌合状態の雄部又は雌部を押圧し、長尺のチャックを両挟持体の隙間に沿って保持するものであり、
シャトル部は、第1及び第2挟持体の上記移動によって、第1融着部と第1受部との間へ、第1及び第2挟持体に保持されたチャックを配置し、
第1融着部は、第1受部と近接することにより、上から、帯状シートと、係止部の基板と、第1及び第2挟持体と、被係止部の基板の延設部より後方の部分とを、第1受部との間に挟み、係止部の基板裏面を帯状シートの下面に融着するものであり、
シャトル部は、帯状シートに融着されたチャックを残し第1及び第2挟持体をチャック供給部側へ後退させるものであり、両挟持体は、当該後退によって次にシートへ取り付けられる後続のチャックを両挟持体の隙間に両挟持体の基端側から受け入れて行くものであり、
チャック切断部は、第1及び第2挟持体の帯状シートからの退出後、融着されたチャックを後続のチャックから切断するものであり、
シート送り部は、少なくともチャックが帯状シート下面へ沿わされ融着されてチャック切断部により切断される間、シートの移動を停止させ、チャック切断後帯状シートを移動させて、チャックを第2融着部と第2受部との間に配置させるものであり、
第2融着部は、第2受部と近接することにより、上から、帯状シートと、被係止部の基板の延設部とを、第2融着部と第2受部との間に挟み、被係止部の基板表面とピールコードとを帯状シートの下面に融着するものであることを特徴とする請求項1記載のチャック付き袋体の製造装置。
【請求項3】
夫々樹脂シートにて形成され間に被収容物が収容される上面部及び下面部と、上下両面部をシールする、左右の側部と、前部と、底となる後部と、前部付近にて上面部に設けられ左右に伸びる開封部と、開封部を開閉自在に閉鎖するチャックとを備えたチャック付き袋体の製造方法において、
袋体の上面部を採取可能な帯状シートを、当該帯状シートの長手方向に移動させるシート送り部と、
帯状シートと別体の上記チャックを、帯状シートの下面へ沿わせるチャック配置部と、
帯状シートの下面へ沿わされたチャックを、帯状シートの下面へ融着するチャック融着部とを用い、
帯状シートの左右側部を、形成する袋体の左右側部とし、
チャック配置部には、帯状シートの移動方向を前後方向として、帯状シートの右方又は左方側に位置するチャック供給部と、チャック供給部から受け取ったチャックを帯状シートの下面へ移動させるチャック移動部とを備えたものを用い、
チャック移動部には、第1挟持体と、第2挟持体と、駆動部とを備えたものを用い、両挟持体の間に、チャックを挟んで、駆動部にて両挟持体をチャック供給部側から帯状シートへ向け帯状シートの移動方向と交差する方向に移動させることにより、帯状シートを横断するようにチャックを帯状シートの下面へ配置させ、
第1及び第2の両挟持体には、夫々チャックを押圧する押圧体を備えたものを用い、
押圧体に、弾性を有する線状のバネ材を用い、押圧体の先端側を自由端とし基端側を挟持体へ固定して、押圧体を一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸びると共に、基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対して斜めに固定されたものとし、
第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とを、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置しておき、
押圧体を夫々先端側にてチャックと当接させて、弾性により撓らせることにてチャックを押圧することで、シートへ向け移動中の両挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容して、チャックが帯状シートへ融着された後は、チャックを帯状シートへ残して、両挟持体をチャック供給部側へ移動させることを特徴とするチャック付き袋体の製造方法。
【請求項4】
夫々樹脂シートにて形成され間に被収容物が収容される上面部及び下面部と、上下両面部をシールする、左右の側部と、前部と、底となる後部と、前部付近にて上面部に設けられ左右に伸びる開封部と、開封部を開閉自在に閉鎖するチャックとを備えたチャック付き袋体の製造方法において、
チャックは、互いに別体に形成された係止部と被係止部とにて構成されると共に係止部が被係止部に係止された状態にて、帯状シートへ融着されるものであり、係止部と被係止部とは、夫々帯状シートへ融着される基板を備え、係止部と被係止部の一方は、基板の表面側に雌部を備え、係止部と被係止部の他の一方は、雌部に強制嵌合することができる雄部を備え、更に被係止部の基盤は、帯状シートの移動経路の下流側に向け係止部の基板よりも幅の大きな延設部を備え、当該延設部の表面側には開封部を開封するためのピールコードがチャックの長手方向に沿って仮止めされたものであり、
シート供給部と、シート送り部と、チャック配置部と、チャック融着部と、チャック切断部と、ピールパンチ部と、サイドシール部と、シート巻取り部とを用いて、順に、シート供給工程と、チャック配置工程と、係止部融着工程と、チャック準備工程と、チャック切断工程と、被係止部融着工程と、ピールパンチ工程と、サイドシール工程と、シート巻取り工程とを、順次遂行するものであり、
シート供給工程において、シート送り部により、複数の袋体の上面部と下面部とを採取可能な2枚の帯状シートのうち、一方を、上面部を採取する上方シートとし、他の一方を、下面部を採取する下方シートとして、上方及び下方の両シートを、シート送り部により、夫々シートが巻かれたシート供給部から引き出し、上方及び下方の両シート同士を対面した状態にして並走させることにて夫々移動させ、上方及び下方シートの移動方向を、目的とする袋体の前後方向と一致させるものとし、
シート送り部にて、次のチャック配置工程から被係止部融着工程が完了するまで、上方シートと下方シートの間に、当該各工程の作業に必要な間隔を開けて、上方及び下方シートを移動させ、
チャック配置工程において、上方シートの移動方向を前後方向として、上方シートの右方又は左方側に位置するチャック供給部と、チャック供給部から受け取ったチャックを上方シートの下面へ移動させるチャック移動部とを備えるチャック配置部を用いるものであり、
チャック移動部には、上方シートの横幅よりも長い長尺の板状体であり且つ互いの間に隙間を開けて並べられた第1及び第2挟持体と、第1及び第2挟持体夫々の上面に設けられた押圧体と、駆動部とを備えたものを用い、
押圧体には、弾性を有する線状のバネ材を用いると共に、押圧体の先端側を自由端とし基端側を挟持体へ固定しておき、押圧体を一方の挟持体から他方の挟持体へ向けて伸びるものとし、押圧体の基端側を先端側よりもチャック供給側へ寄るようチャックの移動方向に対して斜めに固定しておき、第1挟持体の押圧体と第2挟持体の押圧体とを、チャックの移動方向について、互いに異なる位置に配置しておき、
第1及び第2の両挟持体の間に、係止状態のチャックの雌雄嵌合部分を受容させ、押圧体夫々の先端側をチャックと当接させて弾性により押圧体を撓らせることにてチャックの嵌合状態の雄部又は雌部を押圧し、係止部の基板を両挟持体の上方へ被係止部の基板を両挟持体の下方へ夫々配置し、
駆動部にて第1及び第2挟持体を、上方シートの長手方向と交差する方向に移動させ、上方シートの下面へ上方シートを横断するようにチャックを沿わせ、
押圧体先端側のチャックの嵌合状態の雄部又は雌部への上記押圧により、シートへ向け移動中の両挟持体に対しチャックがチャック供給部側へ後戻りするのを抑制すると共に、チャックの両挟持体に対するシート側への移動を許容し、
係止部融着工程において、チャック融着部に、上方シート移動経路中において、上方シートの上方に配置された第1融着部と、上方シートを挟んで第1融着部の下方に配置された第1受部と、第1融着部よりも上方シートの下流側において上方シートの上方に配置された第2融着部と、上方シートを挟んで第2融着部の下方に配置された第2受部とを備え、第1融着部と第1受部とは上方シートを挟んで近接・離反でき、第2融着部と第2受部とは上方シートを挟んで近接・離反できるものを用い、
第1融着部を第1受部と近接させることにより、上から、上方シートと、係止部の基板と、第1及び第2挟持体と、被係止部の基板の延設部より後方の部分とを、第1受部との間に挟み、係止部の基板裏面を上方シートの下面に融着し、
チャック準備工程において、上方シート下面へ係止部が融着されたチャックを残して、第1及び第2の両挟持体をチャック供給部側へ後退させ、当該後退によって次にシートへ取り付けられる後続のチャックを両挟持体の隙間に両挟持体の基端側から受け入れて行くものであり、
チャック切断工程において、チャック切断部により、第1及び第2挟持体の上方シートからの退出後、上方シートへ係止部が融着されたチャックを後続のチャックから切断し、
被係止部融着工程において、シート送り部にて、チャック融着部の第2融着部と第2受部との間に上方シートを移動させ、第2融着部を第2受部と近接させることにより、上から、上方シートと、被係止部の基板の延設部とを、第2融着部と第2受部との間に挟み、被係止部の基板表面とピールコードとを上方シートの下面に融着し、
被係止部の上方シートへの融着後、シート送り部は、上方シートと下方シートとを重ね合わせて移動させ、
ピールパンチ工程において、重ね合わされた上方及び下方シートについて、ピールコードの一端付近に、当該ピールコードを摘んで引き易くするためのパンチを施し、
サイドシール工程において、サイドシール部により、重ね合わされた上方及び下方シートに対して、袋体の左右側部となる部分を、夫々シールし、
シート巻取り工程において、シート巻取り部により、一体とされた上方及び下方シートを巻き取るものであることを特徴とするチャック付き袋体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−183664(P2011−183664A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51270(P2010−51270)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(509100575)ウツオ化工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】