チャンバ装置及びチャンバ装置におけるドロップレットの移動制御方法
【課題】ドロップレットをプラズマ生成領域に到達させることができるチャンバ装置を提供する。
【解決手段】チャンバ装置は、レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、前記チャンバに絶縁体を介して設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、を備えてもよい。
【解決手段】チャンバ装置は、レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、前記チャンバに絶縁体を介して設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、を備えてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チャンバ装置及びチャンバ装置におけるドロップレットの移動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、13.5nmという極端に波長の短い光と縮小光学系とを使用する、半導体露光技術が研究されている。この技術は、EUVL(Extreme
Ultraviolet Lithography:極端紫外線(EUV)露光)と呼ばれる。
【0003】
EUV光生成装置としては、例えば、LPP(Laser
Produced Plasma)式の装置が知られている。LPP式装置では、ターゲット物質のドロップレットにレーザ光を照射してプラズマを生成し、そのプラズマから放射されるEUV光を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−80255号公報
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるチャンバ装置は、レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、前記チャンバに絶縁体を介して設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、を備えてもよい。
【0006】
本開示の他の態様によるチャンバ装置は、レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図2A】図2Aは、ドロップレットの移動経路(軌道)における電位変化を示す。
【図2B】図2Bは、ドロップレットの移動経路(軌道)における印加電位の変化を示す。
【図3】図3は、第2実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図4A】図4Aは、第3実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図4B】図4Bは、第3実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図5】図5は、第4実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図6】図6は、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図7】図7は、第5実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図8A】図8Aは、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図8B】図8Bは、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図9A】図9Aは、第6実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図9B】図9Bは、第6実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図10A】図10Aは、第7実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図10B】図10Bは、第7実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図11】図11は、第8実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図12】図12は、第9実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図13】図13は、第10実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図14】図14は、第11実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図15A】図15Aは、第12実施形態に係るチャンバ装置における導体管の例を示す。
【図15B】図15Bは、第12実施形態に係るチャンバ装置における導体管の変形例を示す。
【図15C】図15Cは、第12実施形態に係るチャンバ装置における導体管の他の変形例を示す。
【図16】図16は、第13実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図17】図17は、第14実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図18】図18は、第15実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図19】図19は、第16実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図20】図20は、第17実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図21】図21は、第18実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図22】図22は、第19実施形態に係るチャンバ装置において、電極等を支持する構成を概略的に示す。
【図23】図23は、第20実施形態に係るチャンバ装置において、電極等を支持する他の構成を概略的に示す。
【図24】図24は、第21実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図25】図25は、第22実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【実施形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
第1実施形態
図1、図2A及び図2Bを参照に、第1実施形態を説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るチャンバ装置2が適用されるEUV露光システム1の全体を示す。EUV露光システム1は、例えば、チャンバ装置2と、ドライバレーザ装置3と、EUV露光装置4とを含むことができる。
【0010】
チャンバ装置2は、例えば、チャンバ10と、「ターゲット供給部」としてのドロップレットジェネレータ20、コレクタミラー30、回収部50、ダンパ70等を含んでもよい。また、チャンバ装置2は、「電位制御部」としての電位制御機構100に接続されていてもよい。チャンバ装置2は、ドライバレーザ装置3と共に、EUV光生成システムを構成してもよい。
【0011】
まず、EUV光生成システムの全体動作を説明し、次に、チャンバ装置におけるドロップレットの移動を制御する方法について説明する。
【0012】
チャンバ10は、高真空状態に保持されるのが好ましい。チャンバ10は接地されているため、チャンバ10の電位はグランド電位である。チャンバ10の内部で生成されるEUV光は、接続部6とEUV露光装置4との境界付近に設定される中間集光点(IF)に集光されて、EUV露光装置4に出力されてもよい。
【0013】
ドロップレットジェネレータ20は、絶縁体80を介してチャンバ10に取り付けられてもよい。ドロップレットジェネレータ20のノズル部22には、プラス電位が印加されるため、チャンバ10と絶縁されている必要がある。絶縁体80は、例えば、電気的絶縁性能、耐熱性能、気密性を保持するためのシール性能等を有するように構成されることが好ましい。
【0014】
ドロップレットジェネレータ20は、例えば、本体部21と、本体部21の先端側に設けられるノズル部22と、ノズル部22の先端側に図示しない絶縁部材を介してノズル部22から所定ギャップ離間して設けられる第1電極23と、絶縁部材を介して第1電極23から所定ギャップ離間して設けられる第2電極40とを含んでもよい。
【0015】
本体部21内には、ドロップレットの材料となる物質(ターゲット物質)200が収容されてもよい。ターゲット物質200には、例えば、錫(Sn)等が用いられ得るが、これに限定されない。本体部21内のターゲット物質200は、ヒータ等の加熱装置によって加熱されており、溶融状態になっていてもよい。なお、本体部21内の全てのターゲット物質200が常時溶融状態である必要はなく、少なくとも、ノズル部22から出力される時点で溶融状態になっていればよい。
【0016】
第1電極23は、先端に出力口が形成されるノズル部22に対向して設けられてもよい。第1電極23に電位が印加されると、静電気力により、ノズル部22から溶融状態のターゲット物質200が僅かに突出し得る。そして、その突出したターゲット物質200には電界が集中し、静電気力によりノズル部22の外部に出力され得る。なお、このターゲット物質200がノズル部22から突出している状態は、ターゲット物質200に物理的圧力を加えることで作られてもよい。例えば、ノズル部22の側壁に圧電素子を設け、その圧電素子を所定タイミングで機械的に変形させることにより、ノズル部22からターゲット物質200を僅かに突出させてもよい。ターゲット物質200がノズル部22から突出している状態となった後、第1電極23に電位が印加されると、上記同様にターゲット物質200をノズル部22から出力させることができる。
【0017】
ノズル部22から静電気力により出力されたターゲット物質200は、ドロップレット201となり得る。静電気力で引き出されたドロップレット201は帯電しているため、第2電極40に電位が印加されることによって加速されて、プラズマ生成領域(図2AのP4)に向けて移動し得る。本実施形態では、後述のように、ノズル部22からプラズマ生成領域に向けて、電位勾配が発生しているので、帯電したドロップレット201は、その電位勾配による力を受けながらプラズマ生成領域に向けて移動し得る。
【0018】
ドロップレット201がプラズマ生成領域に到達するタイミングで、ドライバレーザ装置3から出力されたドライバレーザ光LBがドロップレット201に照射されてもよい。ドライバレーザ装置3は、例えば、CO2パルスレーザ装置として構成されてもよい。
【0019】
ドライバレーザ装置3から出力されるドライバレーザ光LBは、ドライバレーザ装置3とチャンバ10とを接続するレーザ光路管5内を通過して、チャンバ10内に入射してもよい。ドライバレーザ光LBは、集光光学系60及びコレクタミラー30に設けられる貫通孔31を介して、ドロップレット201に照射されてもよい。
【0020】
ドロップレット201は、ドライバレーザ光LBが照射されるとプラズマ202に変化し、プラズマ202からEUV光が放射され得る。EUV光は、コレクタミラー30の反射面32で反射され、中間集光点IFに集光され得る。
【0021】
ダンパ70は、貫通孔31を通過するドライバレーザ光LBの進行方向に設けられてもよく、ドライバレーザ光LBのエネルギーを吸収して熱エネルギーに変換してもよい。ダンパ70には冷却機構が設けられてもよい。ダンパ70以外の他の要素も、冷却が必要、または、冷却が好ましい場合は、冷却機構が設けられてもよい。
【0022】
ドロップレット201にドライバレーザ光LBが照射されると、プラズマ202のほかに、デブリが発生する場合がある。デブリは、ドロップレットジェネレータ20の先端に対向してチャンバ10内に設けられる回収部50に回収されてもよい。さらに、ドロップレットジェネレータ20から出力されたドロップレット201のうち、ドライバレーザ光LBが照射されなかったドロップレット201も、回収部50に回収されてもよい。
【0023】
電位制御機構100は、電位制御領域110内にある要素(例えば、第1電極23、第2電極40、回収部50等)の電位を、電位制御装置120により制御してもよい。これにより、ドロップレット201が所定速度(図2のVt)でプラズマ生成領域に到達するための電位勾配がチャンバ10内に形成され得る。他の実施形態で後述するように、電位制御領域110内には、第1電極23、第2電極40、コレクタミラー30、回収部50、チャンバ10、ノズル部22の全部またはそれらの一部を含めることができる。
【0024】
図2A及び図2Bは、ドロップレット201の移動経路203上の電位の分布を示す。図2Aには、ノズル部22、第1電極23及び第2電極40の配置と電位変化の関係とが示されている。図2Bには、ノズル部22に印加される電位Vnzと、第1電極23に印加される電位Vplと、第2電極40に印加される電位Valとの関係が示されている。
【0025】
本実施形態では、ノズル部22にプラスの定電位Vnzが印加されてもよい。ノズル部22からドロップレット201を引き出すために電位が印加される第1電極23には、ノズル部22のプラス電位Vnzよりも低い電位Vplがパルス状に印加されてもよい(Vnz>Vpl)。このパルスの周期に応じて、ドロップレット201の生成周期が定まり得る。なお、図2Bでは、第1電極23への印加電位Vplを矩形波パルスとして印加する場合を示すが、波形は特に問わない。
【0026】
第1電極23に電位が印加されることより引き出されたドロップレット201を加速するために電位が印加される第2電極40には、第1電極23の電位Vplよりも低い電位Valが印加されてもよい(Vpl>Val)。一例として、第2電極40の電位Valは、グランド電位に設定されてもよい。
【0027】
図2Aには、ドロップレット201の移動経路203における速度が二点鎖線で示されている。以下の実施形態でも同様であるが、図中における速度及び電位分布は、本開示の理解を容易にするための概略を示している。
【0028】
ノズル部22先端が位置する位置P1では、ドロップレット201の速度は0である。ドロップレット201は、第1電極23に電位が印加されてノズル部22から引き出され、加速され得る。第1電極23が位置する位置P2において、ドロップレット201が通過する移動経路203における電位は低下する一方、ドロップレット201の速度は増加し得る。さらに、ドロップレット201は、第2電極40に電位が印加されて、さらに加速される。第2電極40が位置する位置P3における速度が、ドロップレット201の最高速度となってもよい。その後、ドロップレット201は、次第に減速しながらプラズマ生成領域P4に向けて、移動経路203上を移動してもよい。プラズマ生成領域P4におけるドロップレット201の速度は、所定速度Vt以上となっているのが好ましい。
【0029】
換言すれば、プラズマ生成領域P4において、ドロップレット201の速度が所定速度Vt以上となるように、ノズル部22の電位Vnz、第1電極23の電位Vpl、及び第2電極40の電位Valを設定してもよい。
【0030】
本実施形態では、チャンバ10は接地されているため、加速されたドロップレット201がチャンバ10の電位、及び、チャンバ10の構造物の電位に影響を受けにくいと考えられる。つまり、ドロップレット201がチャンバ10及びその構造物の電位により減速される可能性を低減できる。従って、小径のドロップレット201を所定の速度Vt以上の速度で、安定して、プラズマ生成領域に到達させることが可能となるであろう。
【0031】
本実施形態では、小径のドロップレット201を安定して速度Vt以上の速度とすることができるので、ドロップレット201がレーザ光に照射されてプラズマが生成される際の飛散物等により、後続のドロップレットの軌道が乱される可能性が少ない。この結果、各ドロップレットにほぼ同一条件でレーザ光を照射することが可能となるであろう。つまり、本実施形態では、EUV光を安定して生成することが可能となるであろう。さらに、本実施形態では、所望のEUV光の出力を得るための最小体積を持つ、比較的小さなドロップレットでも、安定したEUV光生成が行えると想定される。つまり、本実施形態では、ドロップレットの軌道がばらついて、ドロップレットに安定してレーザ光を照射できなくなる事態を回避するために、ドロップレットの体積を必要以上に大きくする必要がないと想定される。本実施形態では、必要最小限の体積をもつドロップレットを安定してプラズマ化できるので、デブリの発生を低減できるだろう。デブリが発生した場合は、そのデブリを回収部50に回収してもよい。
【0032】
さらに、ノズル部22がプラス電位に設定されるため、第1電極23に電位Vplを印加した場合に、ノズル部22をマイナス電位に設定した場合に比べて、ノズル部22の先端からの電子の電界放出を抑制できる。従って、チャンバ10内に低圧のガスが残留していたとしても、第1電極23からノズル部22への絶縁破壊が生じる可能性を低減できる。
【0033】
第2実施形態
図3を参照して第2実施形態を説明する。本実施形態を含めて以下に述べる実施形態は、第1実施形態の変形例に相当し得る。従って、第1実施形態との相違点を中心に説明する。図3は、チャンバ装置2の一部を拡大して示す説明図である。
【0034】
本実施形態では、コレクタミラー30の所定領域内に、回収部50を設けるための開口部33が形成されてもよい。所定領域とは、例えば、コレクタミラー30により集光することが可能なEUV光のうち、EUV露光装置4で使用されないEUV光の光路である領域(オブスキュレーション領域)として、定義されてもよい。
【0035】
回収部50は、例えば、筒状の回収部本体51及び回収部本体51の略中心に配置される第3電極52を備えてもよい。本実施形態では、第2電極40、コレクタミラー30、チャンバ10及び回収部50が接地されてもよい。従って、第2電極40の電位Valと、コレクタミラー30の電位と、チャンバ10の電位と、回収部50の電位は、それぞれグランド電位に設定されてもよい。
【0036】
本実施形態では、チャンバ10のみならず、コレクタミラー30等も接地されているため、ドロップレット201の移動経路203に与える影響を低減できる。これにより、ドロップレット201を安定して移動させることが可能となると想定される。
【0037】
さらに、接地された回収部50がオブスキュレーション領域に配置されるため、EUV光の利用に影響を与えずにデブリ等を回収することが可能となる。
【0038】
第3実施形態
図4A及び図4Bを参照して第3実施形態を説明する。本実施形態では、第2電極40の電位Valは、グランド電位よりも低いマイナスの電位に設定されてもよい。
【0039】
ノズル部22の電位Vnzと第2電極40の電位Valとの間の電位差は、図2に示す例と同一に設定されてもよいし、図2に示す例とは異なるように設定されてもよい。つまり、ノズル部22から第2電極40までの電位勾配は、第1実施形態における電位勾配と同一に設定されてもよいし、第1実施形態における電位勾配よりも大きく又は小さくなるように設定されてもよい。
【0040】
第4実施形態
図5及び図6を参照して第4実施形態を説明する。本実施形態の電位制御装置120は、ノズル部22の電位Vnz、第1電極23の電位Vpl、第2電極40の電位Val、チャンバ10の電位Vch、回収部本体51の電位Vcd、第3電極52の電位Vel、及びコレクタミラー30の電位Vmrをそれぞれ個別に制御してもよい。図5に示す構成の場合、電位制御領域110内には、電位Vnz、Vpl、Val、Vch、Vcd、Vel、Vmrが含まれてもよい。
【0041】
図6は、電位制御の一例を示す。図6中の太い実線は、電位変化の1つの例を示す。チャンバ10の電位Vchは、グランド電位に設定されてもよい。ノズル部22の電位Vnzは、最も高いプラス電位に設定されてもよい。ここで、最も高いプラス電位とは、図6に示す他の各要素の電位との比較において、相対的に最も高い値であることを意味する。
【0042】
第1電極23の電位Vplは、ノズル部22の電位Vnzよりも低いプラス電位に設定されてもよい。第2電極40の電位Valは、グランド電位に設定されてもよい。第3電極52の電位Velは、最も低いマイナス電位に設定されてもよい。最も低いマイナス電位とは、図6に示す各要素の電位との比較において、相対的に最も低い値であることを意味する。回収部本体(図中、回収筒と表示)51の電位Vcdは、第3電極52の電位Velよりも高い電位に設定されてもよい。コレクタミラー30の電位Vmrは、第1電極23の電位Vplよりも高く、かつ、ノズル部22の電位Vnzよりも低い電位に設定されてもよい。
【0043】
第1電極23及び第2電極40にそれぞれ電位が印加されることによって加速されたドロップレット201は、プラズマ生成領域(図6中、プラズマと表示)に向けて移動し得る。なお、図6では、本開示の理解を容易にするために、プラズマ生成領域の位置を示しているだけで、プラズマ202の電位を示すものではない。
【0044】
ドライバレーザ光LBに照射されなかったドロップレット201やデブリ等は、第3電極52に向かって移動し、回収部本体51に回収され得る。回収部本体51は、回収部本体51の略中央に位置する第3電極52よりも若干高い電位Vcdに設定されてもよい。これにより、ドライバレーザ光LBに照射されなかったドロップレット201やデブリ等は、回収部本体51の略中央部に集められ得る。
【0045】
コレクタミラー30には、プラスの電位Vmrが印加されてもよい。帯電したデブリやドライバレーザ光LBが照射されなかったドロップレット201等は、コレクタミラー30と同極性の電位を有してもよい。これにより、電気的反発力(斥力)を用いて、コレクタミラー30にデブリ等が付着するのを抑制できる。
【0046】
図6中の点線は、第2電極40が図5に示す構成から取り除かれた場合における電位変化を示す。第3電極52(及び回収部本体51)に、ドロップレット201を引き寄せるための電位が印加される場合、第2電極40は設けられなくてもよい。第3電極52(及び回収部本体51)が第2電極40の代わりを務めることができるためである。
【0047】
図6中に示すように、第1電極23の電位Vplは、電位Vnzと電位Valとの間の値で任意に設定されてもよい(Vnz>Vpl>Val)。第1電極23の電位Vplは、パルス状に印加される場合、電位Vnzと電位Valとの間で変動するのが好ましい。
【0048】
第5実施形態
図7、図8A及び図8Bを参照して第5実施形態を説明する。本実施形態を含む以下の幾つかの実施形態では、ノズル部22の電位Vnzをグランド電位に設定してもよい。図7は、本実施形態によるチャンバ装置2の構成の一例を示す。
【0049】
本実施形態のチャンバ装置2では、ドロップレットジェネレータ20は接地されていてもよい。従って、ドロップレットジェネレータ20とチャンバ10との間に絶縁体80は設けられなくてもよい。回収部50には、プラス電位が印加されてもよい。従って、回収部50とチャンバ10との間には絶縁体81が設けられてもよい。
【0050】
図7では、ドロップレット201の移動経路203上の電位分布がチャンバ10内の構造物によって影響されるのを抑制するための導体管310,320が設けられてもよい。導体管310,320については、他の実施形態の説明で詳述する。導体管310,320の電位Vfh,Vlhも、他の電位Vnz、Vpl、Val、Vch、Vcd、Velと同様に、電位制御装置120により制御されてもよい。
【0051】
図8A及び図8Bは、ノズル部22の電位Vnzがグランド電位に設定された場合の、電位設定等を示す。なお、図8A及び図8Bでは、導体管310,320の電位及び回収部50の電位は示されていない。図8Aには、ドロップレット201の移動経路203における電位及び速度が示されており、図8Bには、第1電極23にパルス状に印加される電位Vplの例と、第2電極40に印加される定電位Valの例が示されている。
【0052】
ノズル部22の電位Vnzはグランド電位に設定されるため、第1電極23の電位Vplは、グランド電位よりも高いプラス電位に設定されるのが好ましい。第2電極40の電位Valは、第1電極23の電位Vplよりも高いプラス電位に設定されるのが好ましい。
【0053】
このような構成において、マイナスに帯電したドロップレット201は、第2電極40に所定の電位が印加されることによって、所定の速度Vt以上の速度で、プラズマ生成領域P4に到達し得る。換言すれば、ドロップレット201がプラズマ生成領域P4に到達したときの速度が、所定速度Vt以上となるように、第2電極40の電位Valが設定されるのが好ましい。
【0054】
なお、第2電極40の位置P3をプラズマ生成領域P4に近づければ、所定速度Vt以上の速度を得るために必要な第2電極40の電位Valを小さくできる可能性がある。
【0055】
第6実施形態
図9A及び図9Bを参照して第6実施形態を説明する。本実施形態では、第2電極40に印加される電位を経時的に変化させてもよい。図9Aには、ノズル部22並びに第1及び第2電極23,40の配置が示されている。図9Bには、一つのドロップレット201をノズル部22から引き出して加速させる場合における、第1電極23の電位Vplと第2電極40の電位Valの経時変化が示されている。
【0056】
本実施形態では、ノズル部22から引き出されたドロップレット201が第2電極40を通過する前の期間、第2電極40の電位をプラス電位に設定してもよい。ノズル部22はグランド電位に設定されているため、ドロップレット201と第2電極40との間には、静電気力が作用する。これにより、ドロップレット201は、第2電極40に引き寄せられて加速され得る。
【0057】
ドロップレット201が第2電極40を通過する直前に、第2電極40の電位Valは、グランド電位に変更されてもよい。ドロップレット201が第2電極40を通過する時、または、ドロップレット201が第2電極40を通過した直後、のいずれかのタイミングで、第2電極40の電位Valをグランド電位に変更してもよい。あるいは、第2電極40の電位Valをグランド電位よりも低いマイナス電位に設定する構成でもよい。
【0058】
ドロップレット201が第2電極40に到達した後では、第2電極40とドロップレット201との間の静電気力を停止させてもよい。これにより、第2電極40を通過したドロップレット201が、第2電極40に引き寄せられて減速するのを抑制できる。
【0059】
さらに、第2電極40の電位Valをグランド電位よりも低いマイナス電位に設定する構成とすることで、ドロップレット201が第2電極40に到達した後で、第2電極40とドロップレット201との間に電気的反発力を作用させることができ、ドロップレット201をさらに加速することもできる。
【0060】
第7実施形態
図10A及び図10Bを参照して第7実施形態を説明する。本実施形態では、第2電極を2つの電極401,402から構成してもよい。図10Aは電極等の配置関係を示し、図10Bは各電極に印加される電位の経時変化を示す。
【0061】
図10Aに示すように、第1電極23の下流側には、上流側電極401及び下流側電極402が設けられてもよい。ここでは、ドロップレット201の進行方向を基準として、上流及び下流を定義する。
【0062】
図10Bには、上流側電極401の電位Val1、及び下流側電極402の電位Val2が示されている。上流側電極401には、所定の定電位Val1が印加されてもよい。下流側電極402には、パルス状に電位Val2が印加されてもよい。
【0063】
電位Val2について詳細に説明する。電位Val2は、第1電極23を通過したドロップレット201が電極402に到達する直前に、短時間だけプラス電位に変化させてもよい。これにより、電極401と電極402とが共同して、ドロップレット201を電気的に引き寄せ、ドロップレット201を加速させ得る。
【0064】
ドロップレット201が電極402を通過した直後に、電極402の電位Val2は、マイナス電位に変化させてもよい。これにより、ドロップレット201と電極402との間に電気的反発力を作用させて、ドロップレット201をさらに加速することができる。
【0065】
第8実施形態
図11を参照して第8実施形態を説明する。本実施形態では、加速されたドロップレット201の速度が低下するのを抑制するための導体管310が設けられてもよい。導体管310は、ドライバレーザ光LBの光路を遮らないよう構成され位置決めされてもよい。
【0066】
ドロップレット201の移動経路203のうち、第2電極40とプラズマ生成領域P4との間には、導電性を有する材料で構成される導体管310が設けられてもよい。導体管310の構成及び配置方法については、後述する。
【0067】
図11の下側には、ドロップレット201の移動経路203における電位分布が示されている。ノズル部22は接地されていてもよい。第1電極23の電位Vplは、グランド電位よりも高いプラス電位に設定されてもよい。第2電極40の電位Valは、電位Vplよりも高いプラス電位に設定されてもよい。導体管310の電位Vfhは、第2電極40の電位Valと略等しい電位に設定されてもよい(Vpl<Vfh、Vfh≒Val)。
【0068】
導電性を有する導体管310の内部の電位は、その全長にわたって略等しいと考えられる。従って、導体管310の内部を移動するドロップレット201の速度は、比較的低下しにくいと考えられる。これにより、プラズマ生成領域P4におけるドロップレット201の速度Vtをより高くすることができる。換言すれば、第2電極40の電位Valを低くした場合でも、プラズマ生成領域P4においてドロップレット201の速度が所定速度Vtとなるように構成することができる。
【0069】
導体管310は、導電性及びスパッタに耐える性質を有しているのが好ましい。そのような材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、カーボン等が挙げられる。なお、導体管310の外表面をスパッタに強い素材でコーティングする構成でもよい。そのようなコーティング材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、シリコン、カーボン、酸化アルミニウム、ジルコニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0070】
第9実施形態
図12を参照して第9実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310の電位を一定値に保持するために、フィードバック制御を行ってもよい。
【0071】
本実施形態では、電位計400を電位制御装置120に接続してもよい。電位計400は、導体管310の電位を測定して、検出信号を電位制御装置120に出力してもよい。電位制御装置120は、入力された検出信号に基づいて、導体管310の電位が目標電位Vfhと一致するように、導体管310に印加される電位を制御してもよい。
【0072】
これにより、導体管310の内部を帯電したドロップレット201が通過しても、導体管310の内部の電位をほぼ一定値に保持することができる。従って、ドロップレット210の速度低下をより一層抑制できる。
【0073】
第10実施形態
図13を参照して第10実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310を、高抵抗410を介して、グランドまたは電源に接続してもよい。導体管310の内部を、荷電粒子(ドロップレット201)が通過すると、導体管310の電位が変化し得る。そこで、本実施形態では、導体管310を高抵抗410を介して、グランド等に接続することにより、導体管310の電位が変動するのを抑制してもよい。なお、導体管310の表面に高抵抗の皮膜を形成することにより、高抵抗410を実現してもよい。
【0074】
第11実施形態
図14を参照して第11実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310の外側を絶縁部材330で覆ってもよい。絶縁部材330は、高抵抗410を介して、グランドまたは電源に接続されてもよい。荷電粒子であるドロップレット201の通過により絶縁部材330が帯電しても、絶縁部材330に蓄積された電荷は、高抵抗410を介してグランドに逃がされ得る。所定の時間で電荷をグランドに逃がすことのできる特性を有する電子部品を、高抵抗410として用いてもよい。または、導体管310を覆う絶縁部材330に、高抵抗の皮膜が形成される構成でもよい。
【0075】
第12実施形態
図15を参照して第12実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310の形状等を説明する。図15Aは、導体管310の軸に垂直な断面を示す。導体管310は、例えば、円、または、多角形のように閉じた形状に形成されてもよい。
【0076】
図15Bに示すように、導体管310には、隙間301を設けてもよい。例えば、導体管310は、略C字形の断面形状を有してもよい。
【0077】
図15Cに示すように、導体管310は、例えば、多くのリングを繋げた形状、コイル形状、メッシュ形状のように形成されてもよい。それらの場合、導体管310には、多数の隙間が形成される。その隙間のサイズは、ドロップレット201の移動経路203上の電位分布がドロップレット201の軌道を変動させても、その変動を許容できるような値に設定されてもよい。
【0078】
第13実施形態
図16を参照して第13実施形態を説明する。本実施形態では、ドロップレット201の移動経路203のうち、プラズマ生成領域までの上流側経路には、導体管(上流側導体管)310を設け、プラズマ生成領域を通過した後の下流側経路には、他の導体管(下流側導体管)320を設けてもよい。
【0079】
図16の下側に示すように、上流側導体管310の電位Vfhは、第2電極40の電位Valとほぼ等しい値に設定されてもよい。下流側導体管320の電位Vlhは、電位Vfhよりも高いプラス電位に設定されてもよい(Vlh>Vfh、Vfh≒Val)。
【0080】
上流側導体管310の電位Vfhは、第2電極40の電位Valとほぼ等しい値に設定されるため、上流側導体管310内を通過するドロップレット201の速度低下を抑制して、プラズマ生成領域に送り込むことができる。
【0081】
プラズマ生成領域を通過した、デブリまたはドライバレーザ光LBの照射されなかったドロップレット201は、下流側導体管320を通過することにより加速され得る。これにより、デブリ等は、チャンバ10内で拡散することなく、速やかに回収部50に回収され得る。
【0082】
第14実施形態
図17を参照して第14実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310,320の出入口をできるだけ小さくしてもよい。上流側導体管310の入口311及び出口312、並びに下流側導体管320の入口321及び出口322とは、ドロップレット201の移動に干渉しない程度に、できるだけ小さく設定されてもよい。
【0083】
これにより、導体管310,320の外部の電界が導体管310,320の内部に干渉して、ドロップレット201の移動に影響を与えるのを抑制できる。
【0084】
第15実施形態
図18を参照して第15実施形態を説明する。本実施形態では、下流側導体管320と回収部50とが一体化されてもよい。回収部50の筒状の回収部本体51は、導体管320として構成されてもよい。これにより、部品点数を低減できる。
【0085】
第16実施形態
図19を参照して第16実施形態を説明する。本実施形態では、上流側導体管310と第2電極40とが一体化されてもよい。第2電極40の下流側の面には、導体管310が一体的に設けられてもよい。さらに、第15実施形態で述べたように、下流側導体管320と回収部50とが一体化されてもよい。これにより、部品点数をさらに低減できる。
【0086】
第17実施形態
図20を参照して第17実施形態を説明する。本実施形態では、第16実施形態において、導体管310,320の内径をできるだけ小さくしてもよい。ここで、できるだけ小さくするとは、ドロップレット201の移動に干渉しない程度にできるだけ小さくすることを意味する。
【0087】
第18実施形態
図21を参照して第18実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310,320の取付方法の一例を説明する。導体管310,320は、例えば、ステー340及び絶縁部材82を介して、チャンバ10の壁部11に取り付けられてもよい。チャンバ10の壁部11に代えて、ドロップレットジェネレータ20にステー340が取り付けられてもよい。
【0088】
第19実施形態
図22を参照して第19実施形態を説明する。本実施形態では、長い支持部材341内に、ノズル部22の少なくとも一部、第1電極23、第2電極40、及び導体管310,320を配置してもよい。筒状の支持部材341は、ステー342及び絶縁部材82を介して、チャンバ10の壁部11またはドロップレットジェネレータ20に取り付けられてもよい。
【0089】
支持部材341には、紙面に垂直な方向からドライバレーザ光LBが入射してもよい。支持部材341は、ドライバレーザ光LBが入射及び出射するための開口部を有する、長い筒状に形成されてもよい。
【0090】
一つの支持部材341内に、ノズル部22、第1及び第2電極23,40、並びに導体管310,320を収容することにより、上記構成要素を正確に位置決めできる。さらに、取付けの手間を少なくし、部品点数も低減できる。支持部材341において上記構成要素に接触する部分は絶縁体で構成されていることが好ましい。
【0091】
第20実施形態
図23を参照して第20実施形態を説明する。本実施形態では、回収部50の電位を、移動経路203上に存在する電位のうち、最も高い値に設定する。第3電極52の電位Velと回収部本体51の電位Vcdとは同一に設定されてもよい(Vpl<Val<Vcd、Vcd=Vel)。
【0092】
回収部50に最も高いプラス電位を与えることにより、デブリまたはドライバレーザ光LBが照射されなかったドロップレット201を、加速させながら回収部50に引き寄せることができる。それにより、デブリ等の回収効率を高めることができる。なお、図23では、デブリ及びレーザ光が照射しなかったドロップレットを、デブリ等204として示している。
【0093】
さらに、第3電極52を回収部本体51の中央に設けるため、第3電極52に電界を集中させることができる。従って、より多くのデブリ等204を、回収部50に集めることができる。
【0094】
第21実施形態
図24を参照して第21実施形態を説明する。本実施形態では、ドロップレットジェネレータ20を絶縁体80を介してチャンバ10に取り付ける場合において、導体管310,320及び回収部50の電位を制御する例を示す。
【0095】
上述した導体管310,320及び回収部50に関する技術的特徴は、ノズル部22をプラス電位に設定する構成にも適用できる。
【0096】
第22実施形態
図25を参照して第22実施形態を説明する。本実施形態では、調整用電極501,502を用いて電気力線を発生させることで電位分布を変更し、ドロップレット201の移動経路203をコレクタミラー30周辺において非直線状の移動経路503としてもよい。
【0097】
ドロップレット201は、変更された移動経路503に沿って移動し、回収部50に回収され得る。これにより、デブリ等がコレクタミラー30及びチャンバ内の他の構造物に付着するのを抑制できる。
【0098】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0099】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0100】
1:EUV露光システム1、2:チャンバ装置2、3:ドライバレーザ装置、4:EUV露光装置、10:チャンバ、20:ドロップレットジェネレータ、23:引き出し電極、30:コレクタミラー、40:加速電極、50:回収部、100:電位制御機構、120:電位制御装置、201:ドロップレット、202:プラズマ、203:移動経路
【技術分野】
【0001】
本開示は、チャンバ装置及びチャンバ装置におけるドロップレットの移動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、13.5nmという極端に波長の短い光と縮小光学系とを使用する、半導体露光技術が研究されている。この技術は、EUVL(Extreme
Ultraviolet Lithography:極端紫外線(EUV)露光)と呼ばれる。
【0003】
EUV光生成装置としては、例えば、LPP(Laser
Produced Plasma)式の装置が知られている。LPP式装置では、ターゲット物質のドロップレットにレーザ光を照射してプラズマを生成し、そのプラズマから放射されるEUV光を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−80255号公報
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるチャンバ装置は、レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、前記チャンバに絶縁体を介して設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、を備えてもよい。
【0006】
本開示の他の態様によるチャンバ装置は、レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図2A】図2Aは、ドロップレットの移動経路(軌道)における電位変化を示す。
【図2B】図2Bは、ドロップレットの移動経路(軌道)における印加電位の変化を示す。
【図3】図3は、第2実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図4A】図4Aは、第3実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図4B】図4Bは、第3実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図5】図5は、第4実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図6】図6は、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図7】図7は、第5実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図8A】図8Aは、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図8B】図8Bは、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図9A】図9Aは、第6実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図9B】図9Bは、第6実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図10A】図10Aは、第7実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図10B】図10Bは、第7実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における印加電位の変化を示す。
【図11】図11は、第8実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図12】図12は、第9実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図13】図13は、第10実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図14】図14は、第11実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図15A】図15Aは、第12実施形態に係るチャンバ装置における導体管の例を示す。
【図15B】図15Bは、第12実施形態に係るチャンバ装置における導体管の変形例を示す。
【図15C】図15Cは、第12実施形態に係るチャンバ装置における導体管の他の変形例を示す。
【図16】図16は、第13実施形態に係るチャンバ装置において、ドロップレットの移動経路における電位変化を示す。
【図17】図17は、第14実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図18】図18は、第15実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図19】図19は、第16実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図20】図20は、第17実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図21】図21は、第18実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【図22】図22は、第19実施形態に係るチャンバ装置において、電極等を支持する構成を概略的に示す。
【図23】図23は、第20実施形態に係るチャンバ装置において、電極等を支持する他の構成を概略的に示す。
【図24】図24は、第21実施形態に係るチャンバ装置の構成を概略的に示す。
【図25】図25は、第22実施形態に係るチャンバ装置における電極等の配置を概略的に示す。
【実施形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0009】
第1実施形態
図1、図2A及び図2Bを参照に、第1実施形態を説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るチャンバ装置2が適用されるEUV露光システム1の全体を示す。EUV露光システム1は、例えば、チャンバ装置2と、ドライバレーザ装置3と、EUV露光装置4とを含むことができる。
【0010】
チャンバ装置2は、例えば、チャンバ10と、「ターゲット供給部」としてのドロップレットジェネレータ20、コレクタミラー30、回収部50、ダンパ70等を含んでもよい。また、チャンバ装置2は、「電位制御部」としての電位制御機構100に接続されていてもよい。チャンバ装置2は、ドライバレーザ装置3と共に、EUV光生成システムを構成してもよい。
【0011】
まず、EUV光生成システムの全体動作を説明し、次に、チャンバ装置におけるドロップレットの移動を制御する方法について説明する。
【0012】
チャンバ10は、高真空状態に保持されるのが好ましい。チャンバ10は接地されているため、チャンバ10の電位はグランド電位である。チャンバ10の内部で生成されるEUV光は、接続部6とEUV露光装置4との境界付近に設定される中間集光点(IF)に集光されて、EUV露光装置4に出力されてもよい。
【0013】
ドロップレットジェネレータ20は、絶縁体80を介してチャンバ10に取り付けられてもよい。ドロップレットジェネレータ20のノズル部22には、プラス電位が印加されるため、チャンバ10と絶縁されている必要がある。絶縁体80は、例えば、電気的絶縁性能、耐熱性能、気密性を保持するためのシール性能等を有するように構成されることが好ましい。
【0014】
ドロップレットジェネレータ20は、例えば、本体部21と、本体部21の先端側に設けられるノズル部22と、ノズル部22の先端側に図示しない絶縁部材を介してノズル部22から所定ギャップ離間して設けられる第1電極23と、絶縁部材を介して第1電極23から所定ギャップ離間して設けられる第2電極40とを含んでもよい。
【0015】
本体部21内には、ドロップレットの材料となる物質(ターゲット物質)200が収容されてもよい。ターゲット物質200には、例えば、錫(Sn)等が用いられ得るが、これに限定されない。本体部21内のターゲット物質200は、ヒータ等の加熱装置によって加熱されており、溶融状態になっていてもよい。なお、本体部21内の全てのターゲット物質200が常時溶融状態である必要はなく、少なくとも、ノズル部22から出力される時点で溶融状態になっていればよい。
【0016】
第1電極23は、先端に出力口が形成されるノズル部22に対向して設けられてもよい。第1電極23に電位が印加されると、静電気力により、ノズル部22から溶融状態のターゲット物質200が僅かに突出し得る。そして、その突出したターゲット物質200には電界が集中し、静電気力によりノズル部22の外部に出力され得る。なお、このターゲット物質200がノズル部22から突出している状態は、ターゲット物質200に物理的圧力を加えることで作られてもよい。例えば、ノズル部22の側壁に圧電素子を設け、その圧電素子を所定タイミングで機械的に変形させることにより、ノズル部22からターゲット物質200を僅かに突出させてもよい。ターゲット物質200がノズル部22から突出している状態となった後、第1電極23に電位が印加されると、上記同様にターゲット物質200をノズル部22から出力させることができる。
【0017】
ノズル部22から静電気力により出力されたターゲット物質200は、ドロップレット201となり得る。静電気力で引き出されたドロップレット201は帯電しているため、第2電極40に電位が印加されることによって加速されて、プラズマ生成領域(図2AのP4)に向けて移動し得る。本実施形態では、後述のように、ノズル部22からプラズマ生成領域に向けて、電位勾配が発生しているので、帯電したドロップレット201は、その電位勾配による力を受けながらプラズマ生成領域に向けて移動し得る。
【0018】
ドロップレット201がプラズマ生成領域に到達するタイミングで、ドライバレーザ装置3から出力されたドライバレーザ光LBがドロップレット201に照射されてもよい。ドライバレーザ装置3は、例えば、CO2パルスレーザ装置として構成されてもよい。
【0019】
ドライバレーザ装置3から出力されるドライバレーザ光LBは、ドライバレーザ装置3とチャンバ10とを接続するレーザ光路管5内を通過して、チャンバ10内に入射してもよい。ドライバレーザ光LBは、集光光学系60及びコレクタミラー30に設けられる貫通孔31を介して、ドロップレット201に照射されてもよい。
【0020】
ドロップレット201は、ドライバレーザ光LBが照射されるとプラズマ202に変化し、プラズマ202からEUV光が放射され得る。EUV光は、コレクタミラー30の反射面32で反射され、中間集光点IFに集光され得る。
【0021】
ダンパ70は、貫通孔31を通過するドライバレーザ光LBの進行方向に設けられてもよく、ドライバレーザ光LBのエネルギーを吸収して熱エネルギーに変換してもよい。ダンパ70には冷却機構が設けられてもよい。ダンパ70以外の他の要素も、冷却が必要、または、冷却が好ましい場合は、冷却機構が設けられてもよい。
【0022】
ドロップレット201にドライバレーザ光LBが照射されると、プラズマ202のほかに、デブリが発生する場合がある。デブリは、ドロップレットジェネレータ20の先端に対向してチャンバ10内に設けられる回収部50に回収されてもよい。さらに、ドロップレットジェネレータ20から出力されたドロップレット201のうち、ドライバレーザ光LBが照射されなかったドロップレット201も、回収部50に回収されてもよい。
【0023】
電位制御機構100は、電位制御領域110内にある要素(例えば、第1電極23、第2電極40、回収部50等)の電位を、電位制御装置120により制御してもよい。これにより、ドロップレット201が所定速度(図2のVt)でプラズマ生成領域に到達するための電位勾配がチャンバ10内に形成され得る。他の実施形態で後述するように、電位制御領域110内には、第1電極23、第2電極40、コレクタミラー30、回収部50、チャンバ10、ノズル部22の全部またはそれらの一部を含めることができる。
【0024】
図2A及び図2Bは、ドロップレット201の移動経路203上の電位の分布を示す。図2Aには、ノズル部22、第1電極23及び第2電極40の配置と電位変化の関係とが示されている。図2Bには、ノズル部22に印加される電位Vnzと、第1電極23に印加される電位Vplと、第2電極40に印加される電位Valとの関係が示されている。
【0025】
本実施形態では、ノズル部22にプラスの定電位Vnzが印加されてもよい。ノズル部22からドロップレット201を引き出すために電位が印加される第1電極23には、ノズル部22のプラス電位Vnzよりも低い電位Vplがパルス状に印加されてもよい(Vnz>Vpl)。このパルスの周期に応じて、ドロップレット201の生成周期が定まり得る。なお、図2Bでは、第1電極23への印加電位Vplを矩形波パルスとして印加する場合を示すが、波形は特に問わない。
【0026】
第1電極23に電位が印加されることより引き出されたドロップレット201を加速するために電位が印加される第2電極40には、第1電極23の電位Vplよりも低い電位Valが印加されてもよい(Vpl>Val)。一例として、第2電極40の電位Valは、グランド電位に設定されてもよい。
【0027】
図2Aには、ドロップレット201の移動経路203における速度が二点鎖線で示されている。以下の実施形態でも同様であるが、図中における速度及び電位分布は、本開示の理解を容易にするための概略を示している。
【0028】
ノズル部22先端が位置する位置P1では、ドロップレット201の速度は0である。ドロップレット201は、第1電極23に電位が印加されてノズル部22から引き出され、加速され得る。第1電極23が位置する位置P2において、ドロップレット201が通過する移動経路203における電位は低下する一方、ドロップレット201の速度は増加し得る。さらに、ドロップレット201は、第2電極40に電位が印加されて、さらに加速される。第2電極40が位置する位置P3における速度が、ドロップレット201の最高速度となってもよい。その後、ドロップレット201は、次第に減速しながらプラズマ生成領域P4に向けて、移動経路203上を移動してもよい。プラズマ生成領域P4におけるドロップレット201の速度は、所定速度Vt以上となっているのが好ましい。
【0029】
換言すれば、プラズマ生成領域P4において、ドロップレット201の速度が所定速度Vt以上となるように、ノズル部22の電位Vnz、第1電極23の電位Vpl、及び第2電極40の電位Valを設定してもよい。
【0030】
本実施形態では、チャンバ10は接地されているため、加速されたドロップレット201がチャンバ10の電位、及び、チャンバ10の構造物の電位に影響を受けにくいと考えられる。つまり、ドロップレット201がチャンバ10及びその構造物の電位により減速される可能性を低減できる。従って、小径のドロップレット201を所定の速度Vt以上の速度で、安定して、プラズマ生成領域に到達させることが可能となるであろう。
【0031】
本実施形態では、小径のドロップレット201を安定して速度Vt以上の速度とすることができるので、ドロップレット201がレーザ光に照射されてプラズマが生成される際の飛散物等により、後続のドロップレットの軌道が乱される可能性が少ない。この結果、各ドロップレットにほぼ同一条件でレーザ光を照射することが可能となるであろう。つまり、本実施形態では、EUV光を安定して生成することが可能となるであろう。さらに、本実施形態では、所望のEUV光の出力を得るための最小体積を持つ、比較的小さなドロップレットでも、安定したEUV光生成が行えると想定される。つまり、本実施形態では、ドロップレットの軌道がばらついて、ドロップレットに安定してレーザ光を照射できなくなる事態を回避するために、ドロップレットの体積を必要以上に大きくする必要がないと想定される。本実施形態では、必要最小限の体積をもつドロップレットを安定してプラズマ化できるので、デブリの発生を低減できるだろう。デブリが発生した場合は、そのデブリを回収部50に回収してもよい。
【0032】
さらに、ノズル部22がプラス電位に設定されるため、第1電極23に電位Vplを印加した場合に、ノズル部22をマイナス電位に設定した場合に比べて、ノズル部22の先端からの電子の電界放出を抑制できる。従って、チャンバ10内に低圧のガスが残留していたとしても、第1電極23からノズル部22への絶縁破壊が生じる可能性を低減できる。
【0033】
第2実施形態
図3を参照して第2実施形態を説明する。本実施形態を含めて以下に述べる実施形態は、第1実施形態の変形例に相当し得る。従って、第1実施形態との相違点を中心に説明する。図3は、チャンバ装置2の一部を拡大して示す説明図である。
【0034】
本実施形態では、コレクタミラー30の所定領域内に、回収部50を設けるための開口部33が形成されてもよい。所定領域とは、例えば、コレクタミラー30により集光することが可能なEUV光のうち、EUV露光装置4で使用されないEUV光の光路である領域(オブスキュレーション領域)として、定義されてもよい。
【0035】
回収部50は、例えば、筒状の回収部本体51及び回収部本体51の略中心に配置される第3電極52を備えてもよい。本実施形態では、第2電極40、コレクタミラー30、チャンバ10及び回収部50が接地されてもよい。従って、第2電極40の電位Valと、コレクタミラー30の電位と、チャンバ10の電位と、回収部50の電位は、それぞれグランド電位に設定されてもよい。
【0036】
本実施形態では、チャンバ10のみならず、コレクタミラー30等も接地されているため、ドロップレット201の移動経路203に与える影響を低減できる。これにより、ドロップレット201を安定して移動させることが可能となると想定される。
【0037】
さらに、接地された回収部50がオブスキュレーション領域に配置されるため、EUV光の利用に影響を与えずにデブリ等を回収することが可能となる。
【0038】
第3実施形態
図4A及び図4Bを参照して第3実施形態を説明する。本実施形態では、第2電極40の電位Valは、グランド電位よりも低いマイナスの電位に設定されてもよい。
【0039】
ノズル部22の電位Vnzと第2電極40の電位Valとの間の電位差は、図2に示す例と同一に設定されてもよいし、図2に示す例とは異なるように設定されてもよい。つまり、ノズル部22から第2電極40までの電位勾配は、第1実施形態における電位勾配と同一に設定されてもよいし、第1実施形態における電位勾配よりも大きく又は小さくなるように設定されてもよい。
【0040】
第4実施形態
図5及び図6を参照して第4実施形態を説明する。本実施形態の電位制御装置120は、ノズル部22の電位Vnz、第1電極23の電位Vpl、第2電極40の電位Val、チャンバ10の電位Vch、回収部本体51の電位Vcd、第3電極52の電位Vel、及びコレクタミラー30の電位Vmrをそれぞれ個別に制御してもよい。図5に示す構成の場合、電位制御領域110内には、電位Vnz、Vpl、Val、Vch、Vcd、Vel、Vmrが含まれてもよい。
【0041】
図6は、電位制御の一例を示す。図6中の太い実線は、電位変化の1つの例を示す。チャンバ10の電位Vchは、グランド電位に設定されてもよい。ノズル部22の電位Vnzは、最も高いプラス電位に設定されてもよい。ここで、最も高いプラス電位とは、図6に示す他の各要素の電位との比較において、相対的に最も高い値であることを意味する。
【0042】
第1電極23の電位Vplは、ノズル部22の電位Vnzよりも低いプラス電位に設定されてもよい。第2電極40の電位Valは、グランド電位に設定されてもよい。第3電極52の電位Velは、最も低いマイナス電位に設定されてもよい。最も低いマイナス電位とは、図6に示す各要素の電位との比較において、相対的に最も低い値であることを意味する。回収部本体(図中、回収筒と表示)51の電位Vcdは、第3電極52の電位Velよりも高い電位に設定されてもよい。コレクタミラー30の電位Vmrは、第1電極23の電位Vplよりも高く、かつ、ノズル部22の電位Vnzよりも低い電位に設定されてもよい。
【0043】
第1電極23及び第2電極40にそれぞれ電位が印加されることによって加速されたドロップレット201は、プラズマ生成領域(図6中、プラズマと表示)に向けて移動し得る。なお、図6では、本開示の理解を容易にするために、プラズマ生成領域の位置を示しているだけで、プラズマ202の電位を示すものではない。
【0044】
ドライバレーザ光LBに照射されなかったドロップレット201やデブリ等は、第3電極52に向かって移動し、回収部本体51に回収され得る。回収部本体51は、回収部本体51の略中央に位置する第3電極52よりも若干高い電位Vcdに設定されてもよい。これにより、ドライバレーザ光LBに照射されなかったドロップレット201やデブリ等は、回収部本体51の略中央部に集められ得る。
【0045】
コレクタミラー30には、プラスの電位Vmrが印加されてもよい。帯電したデブリやドライバレーザ光LBが照射されなかったドロップレット201等は、コレクタミラー30と同極性の電位を有してもよい。これにより、電気的反発力(斥力)を用いて、コレクタミラー30にデブリ等が付着するのを抑制できる。
【0046】
図6中の点線は、第2電極40が図5に示す構成から取り除かれた場合における電位変化を示す。第3電極52(及び回収部本体51)に、ドロップレット201を引き寄せるための電位が印加される場合、第2電極40は設けられなくてもよい。第3電極52(及び回収部本体51)が第2電極40の代わりを務めることができるためである。
【0047】
図6中に示すように、第1電極23の電位Vplは、電位Vnzと電位Valとの間の値で任意に設定されてもよい(Vnz>Vpl>Val)。第1電極23の電位Vplは、パルス状に印加される場合、電位Vnzと電位Valとの間で変動するのが好ましい。
【0048】
第5実施形態
図7、図8A及び図8Bを参照して第5実施形態を説明する。本実施形態を含む以下の幾つかの実施形態では、ノズル部22の電位Vnzをグランド電位に設定してもよい。図7は、本実施形態によるチャンバ装置2の構成の一例を示す。
【0049】
本実施形態のチャンバ装置2では、ドロップレットジェネレータ20は接地されていてもよい。従って、ドロップレットジェネレータ20とチャンバ10との間に絶縁体80は設けられなくてもよい。回収部50には、プラス電位が印加されてもよい。従って、回収部50とチャンバ10との間には絶縁体81が設けられてもよい。
【0050】
図7では、ドロップレット201の移動経路203上の電位分布がチャンバ10内の構造物によって影響されるのを抑制するための導体管310,320が設けられてもよい。導体管310,320については、他の実施形態の説明で詳述する。導体管310,320の電位Vfh,Vlhも、他の電位Vnz、Vpl、Val、Vch、Vcd、Velと同様に、電位制御装置120により制御されてもよい。
【0051】
図8A及び図8Bは、ノズル部22の電位Vnzがグランド電位に設定された場合の、電位設定等を示す。なお、図8A及び図8Bでは、導体管310,320の電位及び回収部50の電位は示されていない。図8Aには、ドロップレット201の移動経路203における電位及び速度が示されており、図8Bには、第1電極23にパルス状に印加される電位Vplの例と、第2電極40に印加される定電位Valの例が示されている。
【0052】
ノズル部22の電位Vnzはグランド電位に設定されるため、第1電極23の電位Vplは、グランド電位よりも高いプラス電位に設定されるのが好ましい。第2電極40の電位Valは、第1電極23の電位Vplよりも高いプラス電位に設定されるのが好ましい。
【0053】
このような構成において、マイナスに帯電したドロップレット201は、第2電極40に所定の電位が印加されることによって、所定の速度Vt以上の速度で、プラズマ生成領域P4に到達し得る。換言すれば、ドロップレット201がプラズマ生成領域P4に到達したときの速度が、所定速度Vt以上となるように、第2電極40の電位Valが設定されるのが好ましい。
【0054】
なお、第2電極40の位置P3をプラズマ生成領域P4に近づければ、所定速度Vt以上の速度を得るために必要な第2電極40の電位Valを小さくできる可能性がある。
【0055】
第6実施形態
図9A及び図9Bを参照して第6実施形態を説明する。本実施形態では、第2電極40に印加される電位を経時的に変化させてもよい。図9Aには、ノズル部22並びに第1及び第2電極23,40の配置が示されている。図9Bには、一つのドロップレット201をノズル部22から引き出して加速させる場合における、第1電極23の電位Vplと第2電極40の電位Valの経時変化が示されている。
【0056】
本実施形態では、ノズル部22から引き出されたドロップレット201が第2電極40を通過する前の期間、第2電極40の電位をプラス電位に設定してもよい。ノズル部22はグランド電位に設定されているため、ドロップレット201と第2電極40との間には、静電気力が作用する。これにより、ドロップレット201は、第2電極40に引き寄せられて加速され得る。
【0057】
ドロップレット201が第2電極40を通過する直前に、第2電極40の電位Valは、グランド電位に変更されてもよい。ドロップレット201が第2電極40を通過する時、または、ドロップレット201が第2電極40を通過した直後、のいずれかのタイミングで、第2電極40の電位Valをグランド電位に変更してもよい。あるいは、第2電極40の電位Valをグランド電位よりも低いマイナス電位に設定する構成でもよい。
【0058】
ドロップレット201が第2電極40に到達した後では、第2電極40とドロップレット201との間の静電気力を停止させてもよい。これにより、第2電極40を通過したドロップレット201が、第2電極40に引き寄せられて減速するのを抑制できる。
【0059】
さらに、第2電極40の電位Valをグランド電位よりも低いマイナス電位に設定する構成とすることで、ドロップレット201が第2電極40に到達した後で、第2電極40とドロップレット201との間に電気的反発力を作用させることができ、ドロップレット201をさらに加速することもできる。
【0060】
第7実施形態
図10A及び図10Bを参照して第7実施形態を説明する。本実施形態では、第2電極を2つの電極401,402から構成してもよい。図10Aは電極等の配置関係を示し、図10Bは各電極に印加される電位の経時変化を示す。
【0061】
図10Aに示すように、第1電極23の下流側には、上流側電極401及び下流側電極402が設けられてもよい。ここでは、ドロップレット201の進行方向を基準として、上流及び下流を定義する。
【0062】
図10Bには、上流側電極401の電位Val1、及び下流側電極402の電位Val2が示されている。上流側電極401には、所定の定電位Val1が印加されてもよい。下流側電極402には、パルス状に電位Val2が印加されてもよい。
【0063】
電位Val2について詳細に説明する。電位Val2は、第1電極23を通過したドロップレット201が電極402に到達する直前に、短時間だけプラス電位に変化させてもよい。これにより、電極401と電極402とが共同して、ドロップレット201を電気的に引き寄せ、ドロップレット201を加速させ得る。
【0064】
ドロップレット201が電極402を通過した直後に、電極402の電位Val2は、マイナス電位に変化させてもよい。これにより、ドロップレット201と電極402との間に電気的反発力を作用させて、ドロップレット201をさらに加速することができる。
【0065】
第8実施形態
図11を参照して第8実施形態を説明する。本実施形態では、加速されたドロップレット201の速度が低下するのを抑制するための導体管310が設けられてもよい。導体管310は、ドライバレーザ光LBの光路を遮らないよう構成され位置決めされてもよい。
【0066】
ドロップレット201の移動経路203のうち、第2電極40とプラズマ生成領域P4との間には、導電性を有する材料で構成される導体管310が設けられてもよい。導体管310の構成及び配置方法については、後述する。
【0067】
図11の下側には、ドロップレット201の移動経路203における電位分布が示されている。ノズル部22は接地されていてもよい。第1電極23の電位Vplは、グランド電位よりも高いプラス電位に設定されてもよい。第2電極40の電位Valは、電位Vplよりも高いプラス電位に設定されてもよい。導体管310の電位Vfhは、第2電極40の電位Valと略等しい電位に設定されてもよい(Vpl<Vfh、Vfh≒Val)。
【0068】
導電性を有する導体管310の内部の電位は、その全長にわたって略等しいと考えられる。従って、導体管310の内部を移動するドロップレット201の速度は、比較的低下しにくいと考えられる。これにより、プラズマ生成領域P4におけるドロップレット201の速度Vtをより高くすることができる。換言すれば、第2電極40の電位Valを低くした場合でも、プラズマ生成領域P4においてドロップレット201の速度が所定速度Vtとなるように構成することができる。
【0069】
導体管310は、導電性及びスパッタに耐える性質を有しているのが好ましい。そのような材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、カーボン等が挙げられる。なお、導体管310の外表面をスパッタに強い素材でコーティングする構成でもよい。そのようなコーティング材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、シリコン、カーボン、酸化アルミニウム、ジルコニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0070】
第9実施形態
図12を参照して第9実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310の電位を一定値に保持するために、フィードバック制御を行ってもよい。
【0071】
本実施形態では、電位計400を電位制御装置120に接続してもよい。電位計400は、導体管310の電位を測定して、検出信号を電位制御装置120に出力してもよい。電位制御装置120は、入力された検出信号に基づいて、導体管310の電位が目標電位Vfhと一致するように、導体管310に印加される電位を制御してもよい。
【0072】
これにより、導体管310の内部を帯電したドロップレット201が通過しても、導体管310の内部の電位をほぼ一定値に保持することができる。従って、ドロップレット210の速度低下をより一層抑制できる。
【0073】
第10実施形態
図13を参照して第10実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310を、高抵抗410を介して、グランドまたは電源に接続してもよい。導体管310の内部を、荷電粒子(ドロップレット201)が通過すると、導体管310の電位が変化し得る。そこで、本実施形態では、導体管310を高抵抗410を介して、グランド等に接続することにより、導体管310の電位が変動するのを抑制してもよい。なお、導体管310の表面に高抵抗の皮膜を形成することにより、高抵抗410を実現してもよい。
【0074】
第11実施形態
図14を参照して第11実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310の外側を絶縁部材330で覆ってもよい。絶縁部材330は、高抵抗410を介して、グランドまたは電源に接続されてもよい。荷電粒子であるドロップレット201の通過により絶縁部材330が帯電しても、絶縁部材330に蓄積された電荷は、高抵抗410を介してグランドに逃がされ得る。所定の時間で電荷をグランドに逃がすことのできる特性を有する電子部品を、高抵抗410として用いてもよい。または、導体管310を覆う絶縁部材330に、高抵抗の皮膜が形成される構成でもよい。
【0075】
第12実施形態
図15を参照して第12実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310の形状等を説明する。図15Aは、導体管310の軸に垂直な断面を示す。導体管310は、例えば、円、または、多角形のように閉じた形状に形成されてもよい。
【0076】
図15Bに示すように、導体管310には、隙間301を設けてもよい。例えば、導体管310は、略C字形の断面形状を有してもよい。
【0077】
図15Cに示すように、導体管310は、例えば、多くのリングを繋げた形状、コイル形状、メッシュ形状のように形成されてもよい。それらの場合、導体管310には、多数の隙間が形成される。その隙間のサイズは、ドロップレット201の移動経路203上の電位分布がドロップレット201の軌道を変動させても、その変動を許容できるような値に設定されてもよい。
【0078】
第13実施形態
図16を参照して第13実施形態を説明する。本実施形態では、ドロップレット201の移動経路203のうち、プラズマ生成領域までの上流側経路には、導体管(上流側導体管)310を設け、プラズマ生成領域を通過した後の下流側経路には、他の導体管(下流側導体管)320を設けてもよい。
【0079】
図16の下側に示すように、上流側導体管310の電位Vfhは、第2電極40の電位Valとほぼ等しい値に設定されてもよい。下流側導体管320の電位Vlhは、電位Vfhよりも高いプラス電位に設定されてもよい(Vlh>Vfh、Vfh≒Val)。
【0080】
上流側導体管310の電位Vfhは、第2電極40の電位Valとほぼ等しい値に設定されるため、上流側導体管310内を通過するドロップレット201の速度低下を抑制して、プラズマ生成領域に送り込むことができる。
【0081】
プラズマ生成領域を通過した、デブリまたはドライバレーザ光LBの照射されなかったドロップレット201は、下流側導体管320を通過することにより加速され得る。これにより、デブリ等は、チャンバ10内で拡散することなく、速やかに回収部50に回収され得る。
【0082】
第14実施形態
図17を参照して第14実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310,320の出入口をできるだけ小さくしてもよい。上流側導体管310の入口311及び出口312、並びに下流側導体管320の入口321及び出口322とは、ドロップレット201の移動に干渉しない程度に、できるだけ小さく設定されてもよい。
【0083】
これにより、導体管310,320の外部の電界が導体管310,320の内部に干渉して、ドロップレット201の移動に影響を与えるのを抑制できる。
【0084】
第15実施形態
図18を参照して第15実施形態を説明する。本実施形態では、下流側導体管320と回収部50とが一体化されてもよい。回収部50の筒状の回収部本体51は、導体管320として構成されてもよい。これにより、部品点数を低減できる。
【0085】
第16実施形態
図19を参照して第16実施形態を説明する。本実施形態では、上流側導体管310と第2電極40とが一体化されてもよい。第2電極40の下流側の面には、導体管310が一体的に設けられてもよい。さらに、第15実施形態で述べたように、下流側導体管320と回収部50とが一体化されてもよい。これにより、部品点数をさらに低減できる。
【0086】
第17実施形態
図20を参照して第17実施形態を説明する。本実施形態では、第16実施形態において、導体管310,320の内径をできるだけ小さくしてもよい。ここで、できるだけ小さくするとは、ドロップレット201の移動に干渉しない程度にできるだけ小さくすることを意味する。
【0087】
第18実施形態
図21を参照して第18実施形態を説明する。本実施形態では、導体管310,320の取付方法の一例を説明する。導体管310,320は、例えば、ステー340及び絶縁部材82を介して、チャンバ10の壁部11に取り付けられてもよい。チャンバ10の壁部11に代えて、ドロップレットジェネレータ20にステー340が取り付けられてもよい。
【0088】
第19実施形態
図22を参照して第19実施形態を説明する。本実施形態では、長い支持部材341内に、ノズル部22の少なくとも一部、第1電極23、第2電極40、及び導体管310,320を配置してもよい。筒状の支持部材341は、ステー342及び絶縁部材82を介して、チャンバ10の壁部11またはドロップレットジェネレータ20に取り付けられてもよい。
【0089】
支持部材341には、紙面に垂直な方向からドライバレーザ光LBが入射してもよい。支持部材341は、ドライバレーザ光LBが入射及び出射するための開口部を有する、長い筒状に形成されてもよい。
【0090】
一つの支持部材341内に、ノズル部22、第1及び第2電極23,40、並びに導体管310,320を収容することにより、上記構成要素を正確に位置決めできる。さらに、取付けの手間を少なくし、部品点数も低減できる。支持部材341において上記構成要素に接触する部分は絶縁体で構成されていることが好ましい。
【0091】
第20実施形態
図23を参照して第20実施形態を説明する。本実施形態では、回収部50の電位を、移動経路203上に存在する電位のうち、最も高い値に設定する。第3電極52の電位Velと回収部本体51の電位Vcdとは同一に設定されてもよい(Vpl<Val<Vcd、Vcd=Vel)。
【0092】
回収部50に最も高いプラス電位を与えることにより、デブリまたはドライバレーザ光LBが照射されなかったドロップレット201を、加速させながら回収部50に引き寄せることができる。それにより、デブリ等の回収効率を高めることができる。なお、図23では、デブリ及びレーザ光が照射しなかったドロップレットを、デブリ等204として示している。
【0093】
さらに、第3電極52を回収部本体51の中央に設けるため、第3電極52に電界を集中させることができる。従って、より多くのデブリ等204を、回収部50に集めることができる。
【0094】
第21実施形態
図24を参照して第21実施形態を説明する。本実施形態では、ドロップレットジェネレータ20を絶縁体80を介してチャンバ10に取り付ける場合において、導体管310,320及び回収部50の電位を制御する例を示す。
【0095】
上述した導体管310,320及び回収部50に関する技術的特徴は、ノズル部22をプラス電位に設定する構成にも適用できる。
【0096】
第22実施形態
図25を参照して第22実施形態を説明する。本実施形態では、調整用電極501,502を用いて電気力線を発生させることで電位分布を変更し、ドロップレット201の移動経路203をコレクタミラー30周辺において非直線状の移動経路503としてもよい。
【0097】
ドロップレット201は、変更された移動経路503に沿って移動し、回収部50に回収され得る。これにより、デブリ等がコレクタミラー30及びチャンバ内の他の構造物に付着するのを抑制できる。
【0098】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0099】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される修飾句「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0100】
1:EUV露光システム1、2:チャンバ装置2、3:ドライバレーザ装置、4:EUV露光装置、10:チャンバ、20:ドロップレットジェネレータ、23:引き出し電極、30:コレクタミラー、40:加速電極、50:回収部、100:電位制御機構、120:電位制御装置、201:ドロップレット、202:プラズマ、203:移動経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、
レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、
前記チャンバに絶縁体を介して設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、
前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、
を備えるチャンバ装置。
【請求項2】
前記チャンバは接地されており、
前記ターゲット供給部は、前記ターゲット物質を出力するための出力口および該出力口から離間して設けられる第1電極を含み、
前記電位制御部は、前記出力口および前記第1電極の電位を制御する、
請求項1記載のチャンバ装置。
【請求項3】
前記電位制御部は、前記出力口の電位が前記第1電極の電位より高くなるように制御する、請求項2記載のチャンバ装置。
【請求項4】
前記ターゲット供給部は、前記第1電極から離間して設けられる第2電極をさらに含み、
前記電位制御部は、前記第2電極の電位が前記第1電極の電位以下になるように制御する、
請求項2記載のチャンバ装置。
【請求項5】
前記チャンバは、前記ターゲット物質を回収するための回収部を含み、
前記前記電位制御部は、前記回収部の電位が前記第1電極の電位より低くなるように制御する、
請求項3記載のチャンバ装置。
【請求項6】
前記チャンバは、内部に配置されるコレクタミラーを含み、
前記電位制御部は、前記コレクタミラーの電位を前記出力口の電位より低く、かつ前記第1電極の電位より高くなるように制御する、
請求項3記載のチャンバ装置。
【請求項7】
前記チャンバは、前記ターゲット物質の移動経路上に配置される少なくとも1つの電位維持部を含む、請求項1記載のチャンバ装置。
【請求項8】
前記電位維持部は中空である請求項7記載のチャンバ装置。
【請求項9】
前記電位維持部は導電性を有する請求項7記載のチャンバ装置。
【請求項10】
レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、
レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、
前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、
前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、
を備えるチャンバ装置。
【請求項11】
前記チャンバおよび前記ターゲット供給部は接地されており、
前記ターゲット供給部は、前記ターゲット物質を出力するための出力口および該出力口から離間して設けられる第1電極を含み、
前記電位制御部は、前記第1電極の電位を制御する、
請求項10記載のチャンバ装置。
【請求項12】
前記電位制御部は、前記第1電極の電位が前記出力口の電位より高くなるように制御する、請求項11記載のチャンバ装置。
【請求項13】
前記ターゲット供給部は、前記第1電極から離間して設けられる第2電極をさらに含み、
前記電位制御部は、前記第2電極の電位が前記第1電極の電位以上になるように制御する、
請求項11記載のチャンバ装置。
【請求項14】
前記チャンバは、前記ターゲット物質を回収するための回収部を含み、
前記前記電位制御部は、前記回収部の電位が前記第2電極の電位より高くなるように制御する、
請求項12記載のチャンバ装置。
【請求項15】
前記チャンバは、前記ターゲット物質の移動経路上に配置される少なくとも1つの電位維持部を含む、請求項10記載のチャンバ装置。
【請求項16】
前記電位維持部は中空である請求項15記載のチャンバ装置。
【請求項17】
前記電位維持部は導電性を有する請求項15記載のチャンバ装置。
【請求項1】
レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、
レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、
前記チャンバに絶縁体を介して設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、
前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、
を備えるチャンバ装置。
【請求項2】
前記チャンバは接地されており、
前記ターゲット供給部は、前記ターゲット物質を出力するための出力口および該出力口から離間して設けられる第1電極を含み、
前記電位制御部は、前記出力口および前記第1電極の電位を制御する、
請求項1記載のチャンバ装置。
【請求項3】
前記電位制御部は、前記出力口の電位が前記第1電極の電位より高くなるように制御する、請求項2記載のチャンバ装置。
【請求項4】
前記ターゲット供給部は、前記第1電極から離間して設けられる第2電極をさらに含み、
前記電位制御部は、前記第2電極の電位が前記第1電極の電位以下になるように制御する、
請求項2記載のチャンバ装置。
【請求項5】
前記チャンバは、前記ターゲット物質を回収するための回収部を含み、
前記前記電位制御部は、前記回収部の電位が前記第1電極の電位より低くなるように制御する、
請求項3記載のチャンバ装置。
【請求項6】
前記チャンバは、内部に配置されるコレクタミラーを含み、
前記電位制御部は、前記コレクタミラーの電位を前記出力口の電位より低く、かつ前記第1電極の電位より高くなるように制御する、
請求項3記載のチャンバ装置。
【請求項7】
前記チャンバは、前記ターゲット物質の移動経路上に配置される少なくとも1つの電位維持部を含む、請求項1記載のチャンバ装置。
【請求項8】
前記電位維持部は中空である請求項7記載のチャンバ装置。
【請求項9】
前記電位維持部は導電性を有する請求項7記載のチャンバ装置。
【請求項10】
レーザ装置と共に用いられるチャンバ装置であって、
レーザ光を内部に導入するための入射口が設けられたチャンバと、
前記チャンバに設けられ、前記チャンバ内の所定の領域にターゲット物質を供給するためのターゲット供給部と、
前記チャンバ装置に接続される電位制御部と、
を備えるチャンバ装置。
【請求項11】
前記チャンバおよび前記ターゲット供給部は接地されており、
前記ターゲット供給部は、前記ターゲット物質を出力するための出力口および該出力口から離間して設けられる第1電極を含み、
前記電位制御部は、前記第1電極の電位を制御する、
請求項10記載のチャンバ装置。
【請求項12】
前記電位制御部は、前記第1電極の電位が前記出力口の電位より高くなるように制御する、請求項11記載のチャンバ装置。
【請求項13】
前記ターゲット供給部は、前記第1電極から離間して設けられる第2電極をさらに含み、
前記電位制御部は、前記第2電極の電位が前記第1電極の電位以上になるように制御する、
請求項11記載のチャンバ装置。
【請求項14】
前記チャンバは、前記ターゲット物質を回収するための回収部を含み、
前記前記電位制御部は、前記回収部の電位が前記第2電極の電位より高くなるように制御する、
請求項12記載のチャンバ装置。
【請求項15】
前記チャンバは、前記ターゲット物質の移動経路上に配置される少なくとも1つの電位維持部を含む、請求項10記載のチャンバ装置。
【請求項16】
前記電位維持部は中空である請求項15記載のチャンバ装置。
【請求項17】
前記電位維持部は導電性を有する請求項15記載のチャンバ装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−99451(P2012−99451A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67005(P2011−67005)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】
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