説明

チューナブルフィルタ、チューナブルデュプレクサ、及び、それらを用いた移動通信端末

【課題】送信周波数と受信周波数として異なる帯域を用いて、送受信同時動作を行なう移動通信端末において、小型で信頼性が高く且つ複数のバンドに対応可能な移動通信端末を提供する。
【解決手段】入力端子、出力端子、4つの固定コンデンサ、3つの可変容量コンデンサ、3つの固定コイルを有し、前記可変容量コンデンサの一端は接地し他端は固定コイルに接続して3組の直列LC接続回路を構成し、3組の直列LC接続回路のコイルの可変容量コンデンサとの接続他端はすべて接続し、入力端子、各組の可変容量コンデンサと固定コイルの接続点、及び出力端子の間に、固定コンデンサを接続し、各組の可変容量コンデンサの容量値を変化させることにより、通過帯域と抑圧帯域の周波数を可変とすることにより、チューナブルフィルタ、及び、チューナブルデュプレクサを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末向けのチューナブル(周波数可変)フィルタ、チューナブルデュプレクサ、及び、それらを用いた移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話は既に実用化されているWCDMA方式等のほか、LTE方式等の新しい方式が検討されている。WCDMA方式やLTE方式は、送受信同時動作のため、送信周波数と受信周波数は異なる帯域を用いている。これらの方式においては、送受信帯域を分離するデュプレクサが用いられる。
【0003】
WCDMA方式やLTE方式は、複数の周波数Bandがあり、所望の高周波特性を得るために、移動通信端末用フロントエンド内には、それぞれの周波数Bandごとにデュプレクサを備えている。更にLTE方式は、高速化を実現するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を採用しているため、受信回路はアンテナの数だけ必要となる。従って、今後、通信の高速化に伴い、受信回路規模増大が予想されるため、デュプレクサをチューナブルに切り替える技術が必要とされる。特許文献1には、デュプレクサをチューナブルに切り替えるためのチューナブルフィルタ技術とキャンセラ技術の記載がある。キャンセラ技術は、チューナブルフィルタから出力される受信信号に含まれる送信信号の漏洩成分と受信帯域の熱雑音の漏洩成分をキャンセルする。よって、チューナブルフィルタの帯域外信号抑圧量は、設計上の制約から従来の否チューナブル、即ち、周波数固定のデュプレクサと比較して約20dB不足する傾向にあるものの、キャンセラ技術と併用することにより実用化が可能となる。
【0004】
従来のチューナブルフィルタは、例えば、特許文献2のように、誘電体基板の上に構成した3本のメアンダーラインインダクタと略λ/4の長さを有する5本の伝送線路と、3つの一端が接地されたバラクタを接続し、バラクタの容量を可変とすることにより高周波可変フィルタを得ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2009-277142号
【特許文献2】特開2010-45478号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2では、誘電体基板に多数のメアンダーラインインダクタやλ/4の長さの伝送線路を構成しているために、デバイスのサイズが大きくなってしまうという欠点があった。この欠点は、特に低い周波数におけるチューナブルフィルタを構成する際に、メアンダライニンダクタやλ/4の長さの伝送線路の長さが長くなるため顕著となる。
WCDMA方式やLTE方式では、Band1〜Band17が規定されており、今後さらにバンドが増加する方向にある。これらマルチバンドに移動通信端末が対応するためには、デュプレクサのチューナブル化によるフロントエンド部の小型化とともに、チューナブルフィルタの小型化が有効である。
【0007】
本発明の目的は、送信周波数と受信周波数として異なる帯域を用いて、送受信同時動作を行なう移動通信端末において、小型で信頼性が高く且つ複数のバンドに対応可能な移動通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を改善するため、一例として特許請求の範囲に記載の構成を用いる。具体的には、例えば、入力端子と、出力端子と、第一の可変容量コンデンサと第一の固定コイルとが接続された第一の直列LC接続回路と、第二の可変容量コンデンサと第二の固定コイルとが接続された第二の直列LC接続回路と、第三の可変容量コンデンサと第三の固定コイルとが接続された第三の直列LC接続回路と、一端が入力端子に接続され、他端が第一の可変容量コンデンサと第一の固定コイルとの接続点に接続された第一の固定コンデンサと、一端が出力端子に接続され、他端が第二の可変容量コンデンサと第二の固定コイルとの接続点に接続された第二の固定コンデンサと、一端が第一の可変容量コンデンサと第一の固定コイルとの接続点に接続され、他端が第三の可変容量コンデンサと第三の固定コイルとの接続点に接続された第三の固定コンデンサと、一端が第二の可変容量コンデンサと第二の固定コイルとの接続点に接続され、他端が第三の可変容量コンデンサと第三の固定コイルとの接続点に接続された第四の固定コンデンサと、を備え、前記可変容量コンデンサの容量値を変化させることにより、通過帯域と抑圧帯域の周波数を可変としたことを特徴とするチューナブルフィルタを用いる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型で信頼性が高く且つ複数のバンドに対応可能な移動通信端末向を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施例における比較的高周波数に対応したチューナブルフィルタの構成例を示す回路図である。
【図2】第1の実施例のチューナブルフィルタにおいて、Band1の最高周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性である。
【図3】第1の実施例のチューナブルフィルタにおいて、Band3の最低周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性である。
【図4】第2の実施例における比較的低周波数に対応したチューナブルフィルタの構成例を示す回路図である。
【図5】第2の実施例のチューナブルフィルタにおいて、Band8の最高周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性である。
【図6】第2の実施例のチューナブルフィルタにおいて、Band17の最高周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性である。
【図7】第3の実施例のチューナブルフィルタモジュールを示す回路図である。
【図8】第4の実施例の比較的高周波数に対応したチューナブルデュプレクサを示す回路図である。
【図9】第4の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、Band1の最高周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性である。
【図10】第4の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、Band3の最低周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性である。
【図11】第5の実施例の比較的低周波数に対応したチューナブルデュプレクサを示す回路図である。
【図12】第5の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、Band8の最高周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性である。
【図13】第5の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、Band17の最低周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性である。
【図14】第6の実施例のチューナブルデュプレクサモジュールを示す回路図である。
【図15】第7の実施例の、本発明のチューナブルフィルタモジュール、及び、チューナブルデュプレクサモジュールをマルチバンド対応の移動通信端末に適用した一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明をする。
【実施例1】
【0012】
図1は、第1の実施例における比較的高周波数に対応したチューナブルフィルタの構成例を示す回路図である。本チューナブルフィルタは、入力端子1Hから出力端子2Hへの、あるいはその逆方向の通過特性として得られる。
1組目の可変容量コンデンサ10Hと固定コイル7Hの接続点と入力端子1Hの間に第1の固定コンデンサ3Hを接続し、2組目の可変容量コンデンサ11Hと固定コイル8Hの接続点と1組目の可変容量コンデンサ10Hと固定コイル7Hの接続点を第2の固定コンデンサ4Hで接続し、前記2組目の可変容量コンデンサ11Hと固定コイル8Hの接続点と3組目の可変容量コンデンサ12Hと固定コイル9Hの接続点を第3の固定コンデンサ5Hで接続し、3組目の可変容量コンデンサ12Hと固定コイル9Hの接続点と出力端子2Hの間に第4の固定コンデンサ6Hを接続し、可変容量コンデンサ10H、11H、12Hの、それぞれ、固定コイル7H、8H、9Hとの接続とは反対側の端は接地され、固定コイル7H、8H、9Hの、それぞれ、可変容量コンデンサ10H、11H、12Hとの接続とは反対側の端はそれぞれ接続されている。
【0013】
本チューナブルフィルタは、可変容量コンデンサ10H、11H、12Hの容量値を変化させることにより、固定コンデンサ3H、6H、固定コイル7H、9H、及び、可変容量コンデンサ10H、12Hの共振回路により形成される通過帯域と、略固定コイル8Hと可変容量コンデンサ11Hの共振回路により形成される阻止帯域(ノッチ)の周波数を可変としたことを特徴とするチューナブルフィルタを構成している。
【0014】
ここで、固定コイル7H、8H、9Hの定数は、それぞれ、略4.3nH、4.1nH、4.3nHであり、動作周波数において略90のQ値を有する巻き線コイルを使用している。また、固定コンデンサ3H、4H、5H、6Hの定数は、それぞれ、略0.41pF、0.01pF、0.01pF、0.41pFである。固定コンデンサ4H、及び、5Hの容量値は非常に小さいため、それぞれ、固定コイル7Hと固定コイル8Hの搭載ランド間の浮遊容量、及び、固定コイル8Hと固定コイル9Hの搭載ランド間の浮遊容量で構成することができるため、実用的には、搭載せずに削除することによりデバイスのサイズを小さくすることが可能である。固定コンデンサ3H、6Hはチップコンデンサより構成される。また、可変容量コンデンサ10H、11H、12Hの定数は、可変容量コンデンサ10H と12Hが略0.8pF〜1.35pF、可変容量コンデンサ11Hが略1.53pF〜2.07pFでBand1の受信帯域の最も高い周波数のチャンネルから、Band3の受信帯域の最も低い周波数のチャンネルまでフィルタ特性を可変とすることができる。即ち、本チューナブルフィルタの定数は、2組目の可変容量コンデンサ11Hと固定コイル8Hを中心に入力端子1H側、出力端子2H側で対称の定数となっている。可変容量コンデンサ10H、11H、12Hは、MEMS可変容量コンデンサにより構成されている。
【0015】
図2は、第1の実施例のチューナブルフィルタにおいて、可変容量コンデンサ10H と12Hが0.8pF、可変容量コンデンサ11Hが1.53pFの場合のBand1の最高周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性を示す。図2に示したように、Band1の最高周波数帯域(2.17GHz)で通過帯域を構成し、Band1の送信帯域の最高周波数帯域(1.98GHz)で阻止帯域を構成したBand1用受信フィルタが構成されている。
【0016】
図3は、可変容量コンデンサ10H と12Hが1.35pF、可変容量コンデンサ11Hが2.07pFの場合のBand3の最低周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性を示す。図3に示したように、Band3の最低周波数帯域(1.805GHz)で通過帯域を構成し、Band3の送信帯域の最低周波数帯域(1.71GHz)で阻止帯域を構成したBand3用受信フィルタが構成されている。
図2、及び、図3により、可変容量コンデンサ10H、12Hを略0.8pF〜1.35pF、可変容量コンデンサ11Hを略1.53pF〜2.07pFの間で可変にすることでBand1とBand3の周波数帯域の範囲に含まれるバンド、例えば、Band2、Band4、Band9等にも対応することが可能である。
【実施例2】
【0017】
図4は、第2の実施例における比較的低周波数に対応したチューナブルフィルタの構成例を示す回路図である。本チューナブルフィルタは、入力端子1Lから出力端子2Lへの、あるいはその逆方向の通過特性として得られる。
1組目の可変容量コンデンサ10Lと固定コイル7Lの接続点と入力端子1Lの間に第1の固定コンデンサ3Lを接続し、2組目の可変容量コンデンサ11Lと固定コイル8Lの接続点と1組目の可変容量コンデンサ10Lと固定コイル7Lの接続点を第2の固定コンデンサ4Lで接続し、前記2組目の可変容量コンデンサ11Lと固定コイル8Lの接続点と3組目の可変容量コンデンサ12Lと固定コイル9Lの接続点を第3の固定コンデンサ5Lで接続し、3組目の可変容量コンデンサ12Lと固定コイル9Lの接続点と出力端子2Lの間に第4の固定コンデンサ6Lを接続し、可変容量コンデンサ10L、11L、12Lの、それぞれ、固定コイル7L、8L、9Lとの接続とは反対側の端は接地され、固定コイル7L、8L、9Lの、それぞれ、可変容量コンデンサ10L、11L、12Lとの接続とは反対側の端はそれぞれ接続されている。
第1の実施例で説明した動作原理と同様に、可変容量コンデンサ10L、11L、12Lの容量値を変化させることにより、適用帯域の周波数を可変としたことを特徴とするチューナブルフィルタを構成している。
【0018】
ここで、固定コイル7L、8L、9Lの定数は、それぞれ、略11.5nH、7.9nH、11.5nHであり、動作周波数において略90のQ値を有する巻き線コイルを使用している。また、固定コンデンサ3L、4L、5L、6Lの定数は、それぞれ、略0.83pF、0.15pF、0.15pF、0.83pFである。固定コンデンサ4L、及び、5Lの容量値は非常に小さいため、それぞれ、固定コイル7Lと固定コイル8Lの搭載ランド間の浮遊容量、及び、固定コイル8Lと固定コイル9Lの搭載ランド間の浮遊容量で構成することができるため、実用的には、搭載せずに削除することによりデバイスのサイズを小さくすることが可能である。固定コンデンサ3L、6Lはチップコンデンサより構成される。また、可変容量コンデンサ10L、11L、12Lの定数は、可変容量コンデンサ10L と12Lが略1.20pF〜3.02pF、可変容量コンデンサ11Lが略3.12pF〜5.77pFでBand8の受信帯域の最も高い周波数のチャンネルから、Band17の受信帯域の最も低い周波数のチャンネルまでフィルタ特性を可変とすることができる。即ち、本チューナブルフィルタの定数は、2組目の可変容量コンデンサ11Lと固定コイル8Lを中心に入力端子1L側、出力端子2L側で対称の定数となっている。可変容量コンデンサ10L、11L、12Lは、MEMS可変容量コンデンサにより構成されている。
【0019】
図5は、第2の実施例のチューナブルフィルタにおいて、可変容量コンデンサ10Lと12Lが1.2pF、可変容量コンデンサ11Lが3.12pFの場合のBand8の最高周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性を示す。図5に示したように、Band8の最高周波数帯域(0.96GHz)で通過帯域を構成し、Band8の送信帯域の最高周波数帯域(0.915GHz)で阻止帯域を構成したBand8用受信フィルタが構成されている。
【0020】
図6は、可変容量コンデンサ10L と12Lが3.02pF、可変容量コンデンサ11Lが5.77pFの場合のBand17の最低周波数帯域に対応した受信フィルタの周波数特性を示す。図6に示したように、Band17の最低周波数帯域(0.734GHz)で通過帯域を構成し、Band17の送信帯域の最低周波数帯域(0.704GHz)で阻止帯域を構成したBand17用受信フィルタが構成されている。
図5、及び、図6により、可変容量コンデンサ10L、12Lを略1.2pF〜3.02pF、可変容量コンデンサ11Lを略3.12pF〜5.77pFの間で可変にすることでBand8とBand17の周波数帯域の範囲に含まれるバンド、例えば、Band5、Band6等にも対応することが可能である。
【実施例3】
【0021】
図7は、第3の実施例のチューナブルフィルタモジュールを示す回路図である。本実施例において、ハイバンド用チューナブルフィルタ27は、第1の実施例のチューナブルフィルタを、また、ローバンド用チューナブルフィルタ28は、第2の実施例のチューナブルフィルタを使用している。ハイバンド用チューナブルフィルタ27の入力端子1Hとローバンド用チューナブルフィルタ28の入力端子1Lは、SPDT(Single Pole Dual Throw)スイッチ20を介してアンテナ21に接続されている。即ち、SPDTスイッチ20により、ハイバンド用チューナブルフィルタ27あるいはローバンド用チューナブルフィルタ28のどちらか一方がスイッチングにより選択されアンテナ21に切り替え接続される。SPDTスイッチはCMOS、SOS(Silicon on Sapphire)、あるいは、GaAsスイッチにより構成される。本構成のチューナブルフィルタモジュールは、WCDMAやLTE等の通信システムの略すべてのBandをカバーするダイバーシティ受信回路として使用することが可能である。
【実施例4】
【0022】
図8は、第4の実施例の比較的高周波数に対応したチューナブルデュプレクサを示す回路図である。図8に示したように、受信用チューナブルフィルタ31と送信用チューナブルフィルタ32の入力端をアンテナ22Hに接続することにより、受信信号と送信信号を分波するチューナブルデュプレクサを構成している。チューナブルフィルタの構成は、第1実施例のチューナブルフィルタの構成と同一であり、通過帯域と阻止帯域をチューナブルにする動作原理は、第1実施例で説明した動作原理と同一である。以下、受信用チューナブルフィルタ31の構成を説明する。
1組目の可変容量コンデンサ10HRと固定コイル7HRの接続点とアンテナ22Hの間に第1の固定コンデンサ3HRを接続し、2組目の可変容量コンデンサ11HRと固定コイル8HRの接続点と1組目の可変容量コンデンサ10HRと固定コイル7HRの接続点を第2の固定コンデンサ4HRで接続し、前記2組目の可変容量コンデンサ11HRと固定コイル8HRの接続点と3組目の可変容量コンデンサ12HRと固定コイル9HRの接続点を第3の固定コンデンサ5HRで接続し、3組目の可変容量コンデンサ12HRと固定コイル9HRの接続点と受信端子2HRの間に第4の固定コンデンサ6HRを接続し、可変容量コンデンサ10HR、11HR、12HRの、それぞれ、固定コイル7HR、8HR、9HRとの接続とは反対側の端は接地され、固定コイル7HR、8HR、9HRの、それぞれ、可変容量コンデンサ10HR、11HR、12HRとの接続とは反対側の端はそれぞれ接続されている。
可変容量コンデンサ10HR、11HR、12HRの容量値を変化させることにより、帯域の周波数を可変としたことを特徴とする受信用チューナブルフィルタ31を構成している。
【0023】
ここで、固定コイル7HR、8HR、9HRの定数は、それぞれ、略4.3nH、4.1nH、4.3nHであり、動作周波数において略90のQ値を有する巻き線コイルを使用している。また、固定コンデンサ3HR、4HR、5HR、6HRの定数は、それぞれ、略0.41pF、0.01pF、0.01pF、0.41pFである。固定コンデンサ4HR、及び、5HRの容量値は非常に小さいため、それぞれ、固定コイル7HRと固定コイル8HRの搭載ランド間の浮遊容量、及び、固定コイル8HRと固定コイル9HRの搭載ランド間の浮遊容量で構成することができるため、実用的には、搭載せずに削除することによりデバイスのサイズを小さくすることが可能である。固定コンデンサ3HR、6HRはチップコンデンサより構成される。また、可変容量コンデンサ10HR、11HR、12HRの定数は、可変容量コンデンサ10HR と12HRが略0.8pF〜1.35pF、可変容量コンデンサ11HRが略1.53pF〜2.07pFでBand1の受信帯域の最も高い周波数のチャンネルから、Band3の受信帯域の最も低い周波数のチャンネルまでフィルタ特性を可変とすることができる。即ち、本チューナブルフィルタの定数は、2組目の可変容量コンデンサ11HRと固定コイル8HRを中心にアンテナ22H側、受信端子2HR側で対称の定数となっている。可変容量コンデンサ10HR、11HR、12HRは、MEMS可変容量コンデンサにより構成されている。
【0024】
次に送信用チューナブルフィルタ32の構成を説明する。
1組目の可変容量コンデンサ10HTと固定コイル7HTの接続点とアンテナ22Hの間に第1の固定コンデンサ3HTを接続し、2組目の可変容量コンデンサ11HTと固定コイル8HTの接続点と1組目の可変容量コンデンサ10HTと固定コイル7HTの接続点を第2の固定コンデンサ4HTで接続し、前記2組目の可変容量コンデンサ11HTと固定コイル8HTの接続点と3組目の可変容量コンデンサ12HTと固定コイル9HTの接続点を第3の固定コンデンサ5HTで接続し、3組目の可変容量コンデンサ12HTと固定コイル9HTの接続点と送信端子2HTの間に第4の固定コンデンサ6HTを接続し、可変容量コンデンサ10HT、11HT、12HTの、それぞれ、固定コイル7HT、8HT、9HTとの接続とは反対側の端は接地され、固定コイル7HT、8HT、9HTの、それぞれ、可変容量コンデンサ10HT、11HT、12HTとの接続とは反対側の端はそれぞれ接続されている。
可変容量コンデンサ10HT、11HT、12HTの容量値を変化させることにより、帯域の周波数を可変としたことを特徴とする送信用チューナブルフィルタ32を構成している。
【0025】
ここで、固定コイル7HT、8HT、9HTの定数は、それぞれ、略4.4nH、4.5nH、4.4nHであり、動作周波数において略90のQ値を有する巻き線コイルを使用している。また、固定コンデンサ3HT、4HT、5HT、6HTの定数は、それぞれ、略0.67pF、0.01pF、0.01pF、0.67pFである。固定コンデンサ4HT、及び、5HTの容量値は非常に小さいため、それぞれ、固定コイル7HTと固定コイル8HTの搭載ランド間の浮遊容量、及び、固定コイル8HTと固定コイル9HTの搭載ランド間の浮遊容量で構成することができるため、実用的には、搭載せずに削除することによりデバイスのサイズを小さくすることが可能である。固定コンデンサ3HT、6HTはチップコンデンサより構成される。また、可変容量コンデンサ10HT、11HT、12HTの定数は、可変容量コンデンサ10HT と12HTが略0.95pF〜1.50pF、可変容量コンデンサ11HTが略1.16pF〜1.7pFでBand1の送信帯域の最も高い周波数のチャンネルから、Band3の送信帯域の最も低い周波数のチャンネルまでフィルタ特性を可変とすることができる。即ち、本チューナブルフィルタの定数は、2組目の可変容量コンデンサ11HTと固定コイル8HTを中心にアンテナ22H側、送信端子2HT側で対称の定数となっている。可変容量コンデンサ10HT、11HT、12HTは、MEMS可変容量コンデンサにより構成されている。
【0026】
図9は、第4の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、可変容量コンデンサ10HRと12HRが0.8pF、可変容量コンデンサ11HRが1.53pF、可変容量コンデンサ10HTと12HTが0.95pF、可変容量コンデンサ11HTが1.16pFの場合のBand1の最高周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性を示す。図9において太線がアンテナ22Hから受信端子2HRへの通過特性、細線が送信端子2HTからアンテナ22Hへの通過特性、中細線が送信端子2HTから受信端子2HRへのアイソレーション特性を示す。図9に示したように、受信用チューナブルフィルタ31の2組目の可変容量コンデンサ11HRと固定コイル8HRの共振周波数が送信用チューナブルフィルタ32の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。また、送信用チューナブルフィルタ32の2組目の可変容量コンデンサ11HTと固定コイル8HTの共振周波数が受信用チューナブルフィルタ31の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。これにより、送信端子2HTから受信端子2HRへのアイソレーション特性に関して良好な特性を得ることができる。
【0027】
図10は、第4の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、可変容量コンデンサ10HRと12HRが1.35pF、可変容量コンデンサ11HRが2.05pF、可変容量コンデンサ10HTと12HTが1.50pF、可変容量コンデンサ11HTが1.7pFの場合のBand3の最低周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性を示す。図10において太線がアンテナ22Hから受信端子2HRへの通過特性、細線が送信端子2HTからアンテナ22Hへの通過特性、中細線が送信端子2HTから受信端子2HRへのアイソレーション特性を示す。図10に示したように、受信用チューナブルフィルタ31の2組目の可変容量コンデンサ11HRと固定コイル8HRの共振周波数が送信用チューナブルフィルタ32の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。また、送信用チューナブルフィルタ32の2組目の可変容量コンデンサ11HTと固定コイル8HTの共振周波数が受信用チューナブルフィルタ31の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。これにより、送信端子2HTから受信端子2HRへのアイソレーション特性に関して良好な特性を得ることができる。
【実施例5】
【0028】
図11は、第5の実施例の比較的低周波数に対応したチューナブルデュプレクサを示す回路図である。図11に示したように、受信用チューナブルフィルタ33と送信用チューナブルフィルタ34の入力端をアンテナ22Lに接続することにより、受信信号と送信信号を分波するチューナブルデュプレクサを構成している。チューナブルフィルタの構成は、第1実施例のチューナブルフィルタの構成と同一であり、通過帯域と阻止帯域をチューナブルにする動作原理は、第1実施例で説明した動作原理と同一である。以下、受信用チューナブルフィルタ33の構成を説明する。
1組目の可変容量コンデンサ10LRと固定コイル7LRの接続点とアンテナ22Lの間に第1の固定コンデンサ3LRを接続し、2組目の可変容量コンデンサ11LRと固定コイル8LRの接続点と1組目の可変容量コンデンサ10LRと固定コイル7LRの接続点を第2の固定コンデンサ4LRで接続し、前記2組目の可変容量コンデンサ11LRと固定コイル8LRの接続点と3組目の可変容量コンデンサ12LRと固定コイル9LRの接続点を第3の固定コンデンサ5LRで接続し、3組目の可変容量コンデンサ12LRと固定コイル9LRの接続点と受信端子2LRの間に第4の固定コンデンサ6LRを接続し、可変容量コンデンサ10LR、11LR、12LRの、それぞれ、固定コイル7LR、8LR、9LRとの接続とは反対側の端は接地され、固定コイル7LR、8LR、9LRの、それぞれ、可変容量コンデンサ10LR、11LR、12LRとの接続とは反対側の端はそれぞれ接続されている。
可変容量コンデンサ10LR、11LR、12LRの容量値を変化させることにより、帯域の周波数を可変としたことを特徴とする受信用チューナブルフィルタ33を構成している。
【0029】
ここで、固定コイル7LR、8LR、9LRの定数は、それぞれ、略11.5nH、7.92nH、11.5nHであり、動作周波数において略90のQ値を有する巻き線コイルを使用している。また、固定コンデンサ3LR、4LR、5LR、6LRの定数は、それぞれ、略0.83pF、0.15pF、0.15pF、0.83pFである。固定コンデンサ4LR、及び、5LRの容量値は非常に小さいため、それぞれ、固定コイル7LRと固定コイル8LRの搭載ランド間の浮遊容量、及び、固定コイル8LRと固定コイル9LRの搭載ランド間の浮遊容量で構成することができるため、実用的には、搭載せずに削除することによりデバイスのサイズを小さくすることが可能である。固定コンデンサ3LR、6LRはチップコンデンサより構成される。また、可変容量コンデンサ10LR、11LR、12LRの定数は、可変容量コンデンサ10LR と12LRが略1.2pF〜3.02pF、可変容量コンデンサ11LRが略3.15pF〜5.8pFでBand8の受信帯域の最も高い周波数のチャンネルから、Band17の受信帯域の最も低い周波数のチャンネルまでフィルタ特性を可変とすることができる。即ち、本チューナブルフィルタの定数は、2組目の可変容量コンデンサ11LRと固定コイル8LRを中心にアンテナ22L側、受信端子2LR側で対称の定数となっている。可変容量コンデンサ10LR、11LR、12LRは、MEMS可変容量コンデンサにより構成されている。
【0030】
次に送信用チューナブルフィルタ34の構成を説明する。
1組目の可変容量コンデンサ10LTと固定コイル7LTの接続点とアンテナ22Lの間に第1の固定コンデンサ3LTを接続し、2組目の可変容量コンデンサ11LTと固定コイル8LTの接続点と1組目の可変容量コンデンサ10LTと固定コイル7LTの接続点を第2の固定コンデンサ4LTで接続し、前記2組目の可変容量コンデンサ11LTと固定コイル8LTの接続点と3組目の可変容量コンデンサ12LTと固定コイル9LTの接続点を第3の固定コンデンサ5LTで接続し、3組目の可変容量コンデンサ12LTと固定コイル9LTの接続点と送信端子2LTの間に第4の固定コンデンサ6LTを接続し、可変容量コンデンサ10LT、11LT、12LTの、それぞれ、固定コイル7LT、8LT、9LTとの接続とは反対側の端は接地され、固定コイル7LT、8LT、9LTの、それぞれ、可変容量コンデンサ10LT、11LT、12LTとの接続とは反対側の端はそれぞれ接続されている。
可変容量コンデンサ10LT、11LT、12LTの容量値を変化させることにより、帯域の周波数を可変としたことを特徴とする送信用チューナブルフィルタ34を構成している。
【0031】
ここで、固定コイル7LT、8LT、9LTの定数は、それぞれ、略14.5nH、7.5nH、14.5nHであり、動作周波数において略90のQ値を有する巻き線コイルを使用している。また、固定コンデンサ3LT、4LT、5LT、6LTの定数は、それぞれ、略1.32pF、0.3pF、0.3pF、1.32pFである。固定コンデンサ4LT、及び、5LTの容量値は非常に小さいため、それぞれ、固定コイル7LTと固定コイル8LTの搭載ランド間の浮遊容量、及び、固定コイル8LTと固定コイル9LTの搭載ランド間の浮遊容量で構成することができるため、実用的には、搭載せずに削除することによりデバイスのサイズを小さくすることが可能である。固定コンデンサ3LT、6LTはチップコンデンサより構成される。また、可変容量コンデンサ10LT、11LT、12LTの定数は、可変容量コンデンサ10LT と12LTが略0.88pF〜2.30pF、可変容量コンデンサ11LTが略2.11pF〜4.55pFでBand8の送信帯域の最も高い周波数のチャンネルから、Band17の送信帯域の最も低い周波数のチャンネルまでフィルタ特性を可変とすることができる。即ち、本チューナブルフィルタの定数は、2組目の可変容量コンデンサ11LTと固定コイル8LTを中心にアンテナ22L側、送信端子2LT側で対称の定数となっている。可変容量コンデンサ10LT、11LT、12LTは、MEMS可変容量コンデンサにより構成されている。
図12は、第5の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、可変容量コンデンサ10LRと12LRが1.2pF、可変容量コンデンサ11LRが3.15pF、可変容量コンデンサ10LTと12LTが0.88pF、可変容量コンデンサ11LTが2.11pFの場合のBand8の最高周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性を示す。図12において太線がアンテナ22Lから受信端子2LRへの通過特性、細線が送信端子2LTからアンテナ22Lへの通過特性、中細線が送信端子2LTから受信端子2LRへのアイソレーション特性を示す。図11に示したように、受信用チューナブルフィルタ33の2組目の可変容量コンデンサ11LRと固定コイル8LRの共振周波数が送信用チューナブルフィルタ34の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。また、送信用チューナブルフィルタ34の2組目の可変容量コンデンサ11LTと固定コイル8LTの共振周波数が受信用チューナブルフィルタ33の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。これにより、送信端子2LTから受信端子2LRへのアイソレーション特性に関して良好な特性を得ることができる。
【0032】
図13は、第5の実施例のチューナブルデュプレクサにおいて、可変容量コンデンサ10LRと12LRが3.02pF、可変容量コンデンサ11LRが5.80pF、可変容量コンデンサ10LTと12LTが2.30pF、可変容量コンデンサ11LTが4.55pFの場合のBand17の最低周波数帯域に対応したデュプレクサの周波数特性を示す。図13において太線がアンテナ22Lから受信端子2LRへの通過特性、細線が送信端子2LTからアンテナ22Lへの通過特性、中細線が送信端子2LTから受信端子2LRへのアイソレーション特性を示す。図13に示したように、受信用チューナブルフィルタ33の2組目の可変容量コンデンサ11LRと固定コイル8LRの共振周波数が送信用チューナブルフィルタ34の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。また、送信用チューナブルフィルタ34の2組目の可変容量コンデンサ11LTと固定コイル8LTの共振周波数が受信用チューナブルフィルタ33の通過帯域に略一致しておりノッチを形成している。これにより、送信端子2LTから受信端子2LRへのアイソレーション特性に関して良好な特性を得ることができる。
【実施例6】
【0033】
図14は、第6の実施例のチューナブルデュプレクサモジュールを示す回路図である。本実施例において、ハイバンド用チューナブルデュプレクサ25は、第4の実施例のチューナブルデュプレクサを、また、ローバンド用チューナブルデュプレクサ26は、第5の実施例のチューナブルデュプレクサを使用している。ハイバンド用チューナブルフィルタ25のアンテナ側端子22HPとローバンド用チューナブルデュプレクサ26のアンテナ側端子22LPは、SPDTスイッチ24を介してアンテナ23に接続されている。即ち、SPDTスイッチ24により、ハイバンド用チューナブルデュプレクサ25あるいはローバンド用チューナブルデュプレクサ26のどちらか一方がスイッチングにより選択されアンテナ23に切り替え接続される。SPDTスイッチはCMOS、SOS(Silicon on Sapphire)、あるいは、GaAs(ガリウムヒ素)材料を使用したスイッチにより構成される。本構成のチューナブルデュプレクサモジュールは、WCDMAやLTE等の通信システムの略すべてのBandをカバーする移動通信モジュールとして使用することが可能である。
以上の全ての実施例において、固定コイルは巻き線コイルを使用したが、動作周波数において、Q値が略60以上であれば例えば、シリコン等の基板上に巻き線を作り込んだIPD(Integrated Passive Device)によるコイル、あるいは、チップ積層コイル等、他の手段を使用することも可能である。また、本実施例において、固定コンデンサは、チップコンデンサを使用したが、IPDに作り込んだコンデンサやMEMSコンデンサ、あるいは、積層基板内に内層パターンとして構成する等、他の手段を適用することも可能である。また、本実施例において、可変容量コンデンサは、MEMS可変容量コンデンサを使用したが、バリキャップ等、他の手段を使用することも可能である。
また、上記実施例で採用した定数は一例であり、本定数以外の定数を適宜使用することにより、チューナブルフィルタを構成することができ、Band7やBand11等上記以外のBandにも対応可能である。さらに、上記は、WCDMAやLTEで使用されるBandを例に挙げたが、定数を適宜調整することにより適用周波数を調整することにより、4G(第4世代移動通信システム)にも適用可能である。
【実施例7】
【0034】
図15は、第7の実施例の、本発明のチューナブルフィルタモジュール、及び、チューナブルデュプレクサモジュールをマルチバンド対応の移動通信端末に適用した一例を示すブロック図である。本ブロック図に示したように、本移動体端末は、ハイバンド用チューナブルデュプレクサ25、ローバンド用チューナブルデュプレクサ26、SPDTスイッチ24、及び、アンテナ23で構成されるチューナブルデュプレクサモジュールとハイバンド用チューナブルフィルタ27、ローバンド用チューナブルフィルタ28、SPDTスイッチ20、及び、アンテナ21で構成されるチューナブルフィルタモジュールを具備し、メインの通信はチューナブルデュプレクサモジュールを介して信号の授受を行い、受信品質の改善のため、ダイバーシティ受信回路としてチューナブルフィルタモジュールが使用されている。上記、チューナブルデュプレクサモジュールのハイバンドの受信端子2HR、送信端子2HTはハイバンド用妨害波と歪キャンセラブロック35に接続されており、ローバンドの受信端子2LR、送信端子2LTはローバンド用妨害波と歪キャンセラブロック36に接続されている。ハイバンド、及び、ローバンドの受信信号と送信信号のそれぞれは、LNAとPAを介して、後段の信号処理を行うRF-ICとBB(Base Band)ブロックに接続される。また、上記、チューナブルフィルタモジュールのハイバンドの受信端子2Hはハイバンド用妨害波と歪キャンセラブロック37に接続されており、ローバンドの受信端子2Lはローバンド用妨害波と歪キャンセラブロック38に接続されている。ハイバンド、及び、ローバンドの受信信号は、LNAを介して、後段の信号処理を行うRF-ICとBBブロックに接続される。
【0035】
本構成の移動通信端末を用いることにより、デュプレクサやダイバーシティー用のフィルタを多数具備することなく、例えば、図15の「チューナブルデュプレクサ対応Band例」に示したような、マルチバンドに対応することができ、機器の小型化、簡略化することができる。また、本実施例の構成では、非常に良好な受信感度を得るためにダイバーシティ受信回路としてチューナブルフィルタモジュールを具備したが、この機能を具備せず、簡略化のためメインの信号処理を行うチューナブルデュプレクサモジュールのみを具備する構成も可能である。
【符号の説明】
【0036】
1H,1L 入力端子
2H,2L 出力端子
2HR,2LR 受信端子
2HT,2LT 送信端子3H,4H,5H,6H,3L,4L,5L,6L,3HR,4HR,5HR,6HR,3HT,4HT,5HT,6HT,3LR,4LR,5LR,6LR,3LT,4LT,5LT,6LT 固定コンデンサ
7H,8H,9H,7L,8L,9L,7HR,8HR,9HR,7HT,8HT,9HT,7LR,8LR,9LR,7LT,8LT,9LT 固定コイル10H,11H,12H,10L,11L,12L,10HR,11HR,12HR,10HT,11HT,12HT,10LR,11LR,12LR,10LT,11LT,12LT 可変容量コンデンサ
20,24 SPDTスイッチ
22HP,22LP アンテナ側端子
21,22H,22L,23 アンテナ
25 ハイバンド用チューナブルデュプレクサ
26 ローバンド用チューナブルデュプレクサ
27 ハイバンド用チューナブルフィルタ
28 ローバンド用チューナブルフィルタ
31,33 受信用チューナブルフィルタ
32,34 送信用チューナブルフィルタ
35,37 ハイバンド用妨害波と歪キャンセラブロック
36,38 ローバンド用妨害波と歪キャンセラブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と、
出力端子と、
第一の可変容量コンデンサと第一の固定コイルとが接続された第一の直列LC接続回路と、
第二の可変容量コンデンサと第二の固定コイルとが接続された第二の直列LC接続回路と、
第三の可変容量コンデンサと第三の固定コイルとが接続された第三の直列LC接続回路と、
一端が前記入力端子に接続され、他端が前記第一の可変容量コンデンサと前記第一の固定コイルとの接続点に接続された第一の固定コンデンサと、
一端が前記出力端子に接続され、他端が前記第二の可変容量コンデンサと前記第二の固定コイルとの接続点に接続された第二の固定コンデンサと、
一端が前記第一の可変容量コンデンサと前記第一の固定コイルとの接続点に接続され、他端が前記第三の可変容量コンデンサと前記第三の固定コイルとの接続点に接続された第三の固定コンデンサと、
一端が前記第二の可変容量コンデンサと前記第二の固定コイルとの接続点に接続され、他端が前記第三の可変容量コンデンサと前記第三の固定コイルとの接続点に接続された第四の固定コンデンサと、
を備え、
前記可変容量コンデンサの容量値を変化させることにより、通過帯域と抑圧帯域の周波数を可変としたことを特徴とするチューナブルフィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のチューナブルフィルタを略1.5GHzよりも高い周波数の帯域に適用した高周波数用チューナブルフィルタと、
請求項1に記載のチューナブルフィルタを略1.5GHzよりも低い周波数の帯域に適用した低周波数用チューナブルフィルタと、
SPDT(Single Pole Dual Throw)スイッチと
を備え、
前記SPDTスイッチの入力側端子はアンテナへ接続され、2つのthrow側端子は、それぞれ前記高周波数用チューナブルフィルタと前記低周波数用チューナブルフィルタに接続され、
前記SPDTスイッチによってアンテナに接続するチューナブルフィルタを高周波数用、及び、低周波数用とでスイッチングにより選択可能としたことを特徴とするチューナブルフィルタモジュール。
【請求項3】
請求項1記載のチューナブルフィルタを、第一のチューナブルフィルタ及び第二のチューナブルフィルタとして備えたチューナブルデュプレクサであって、
前記第一及び第二のチューナブルフィルタの入力端はアンテナへ接続され、
前記第一のチューナブルフィルタの前記第三の可変容量コンデンサと前記第三の固定コイルの共振周波数を前記第二のチューナブルフィルタの通過帯域にあわせるよう前記可変容量コンデンサと前記固定コイルの定数を調節し、
前記第二のチューナブルフィルタの前記第三の可変容量コンデンサと前記第三の固定コイルの共振周波数を前記第二のチューナブルフィルタの通過帯域にあわせるよう前記可変容量コンデンサと前記固定コイルの定数を調節することを特徴とするチューナブルデュプレクサ。
【請求項4】
請求項3に記載のチューナブルデュプレクサを略1.5GHzよりも高い周波数の帯域に適用した高周波数用チューナブルデュプレクサと、
請求項3に記載のチューナブルデュプレクサを略1.5GHzよりも低い周波数の帯域に適用した低周波数用チューナブルデュプレクサと、
SPDT(Single Pole Dual Throw)スイッチと
を備え、
前記SPDTスイッチの入力側端子はアンテナへ接続され、2つのthrow側の端子は、それぞれ前記高周波数用チューナブルデュプレクサと前記低周波数用チューナブルデュプレクサに接続することにより、
前記SPDTスイッチによって前記アンテナに接続するチューナブルデュプレクサを高周波数用、及び、低周波数用とでスイッチングにより選択可能としたことを特徴とするチューナブルデュプレクサモジュール。
【請求項5】
前記固定コイルを巻き線コイルとしたことを特徴とする請求項1記載のチューナブルフィルタ。
【請求項6】
前記固定コイルを巻き線コイルとしたことを特徴とする請求項2記載のチューナブルフィルタモジュール。
【請求項7】
前記固定コイルを巻き線コイルとしたことを特徴とする請求項3記載のチューナブルデュプレクサ。
【請求項8】
前記固定コイルを巻き線コイルとしたことを特徴とする請求項3記載のチューナブルデュプレクサモジュール。
【請求項9】
前記可変容量コンデンサをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)可変容量コンデンサとしたことを特徴とする請求項1記載のチューナブルフィルタ。
【請求項10】
前記可変容量コンデンサをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)可変容量コンデンサとしたことを特徴とする請求項2記載のチューナブルフィルタモジュール。
【請求項11】
前記可変容量コンデンサをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)可変容量コンデンサとしたことを特徴とする請求項3記載のチューナブルデュプレクサ。
【請求項12】
前記可変容量コンデンサをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)可変容量コンデンサとしたことを特徴とする請求項4記載のチューナブルデュプレクサモジュール。
【請求項13】
請求項2記載のチューナブルフィルタモジュールと、
請求項4記載のチューナブルデュプレクサモジュールと、
妨害波キャンセラブロックと、
歪キャンセラブロックとを備えたことを特徴とする移動通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−100180(P2012−100180A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248047(P2010−248047)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】