説明

チューブポンプ

【課題】流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプを提供すること。
【解決手段】弾力性を有するチューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出しチューブ7内に流体を吸入するチューブポンプ1であって、チューブ7を挟むように配置され、互いに近接又は離間する少なくとも1組の押圧面を有する第1押圧部11及び第2押圧部13と、流体の逆流を防止する第1逆止弁19a及び第2逆止弁19bとを、チューブ7の上流から下流に向けて第1逆止弁19a、第1押圧部11、第2逆止弁19b及び第2押圧部13の順で備えて成り、第1押圧部11で押し潰されるチューブ7の体積V1と第2押圧部13で押し潰されるチューブ7の体積V2との体積比(V1:V2)が2:1であることを特徴とするチューブポンプ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チューブポンプに関し、さらに詳しくは、流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
弾力性を有するチューブを作動流体流路とし、外部からチューブを変形させる力を加えることにより流体の吸入及び吐出をさせる形式のポンプには、しごきポンプ、ローラポンプ、ペリスタルチックポンプ等の各種名称のものが知られている。これらは互いに名称を異にするものの、ポンプの基本的な構造原理は共通し、チューブ長手方向に沿って移動する回転押圧部材によるチューブの押圧、変形及び回転押圧部材の回転移動による連続的な変形でポンプとして作用する。このチューブは回転押圧部材と共に移動しないように常に所定の引張力がかかった状態に固定されている。つまり、このチューブにローラ等からなる回転押圧部材を複数押し当てて変形させることで隣接する回転押圧部材の間のチューブ内に密閉された作動室を画成し、この回転押圧部材がチューブ長手方向に沿って回転移動してチューブを扱くことで作動室を移動させてチューブ内の流体を移送、つまり吸入及び吐出させる。
【0003】
ところで、このポンプはチューブの屈曲部に回転するように軸支された回転押圧部材を備える必要があるから、ポンプ自体の構造が大型になって配置スペースが大きくなるという問題がある。また、このポンプのチューブは張力を与えられた状態で固定され、かつ回転押圧部材によって扱かれるから、チューブが損傷しやすく、ポンプの耐久性を損なうという問題がある。
【0004】
一方、他の形式のポンプとして、「微量液送ポンプ」に関する特許文献1には「弾性体の液送チューブの途中の側面に蠕動発生機構を押し付けて、前記液送チューブの一方から他方に液を送出する微量液送ポンプにおいて、前記液送チューブを挟んで一方側に前記液送チューブの長手方向に適宜長さを有する永久磁石を配置し、他方側に前記永久磁石の磁気吸引力によって吸引される磁性体よりなる可動子を配置し、前記永久磁石に前記永久磁石の起磁力を打ち消すためのコイルを巻回し、前記永久磁石の背面に逆U字形のヨークを固定して、前記ヨークの両端を可動子に空隙を介して対向するようにした電磁加圧装置を設けたことを特徴とする微量液送ポンプ」が記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載された微量液送ポンプは、チューブを常に張力をかけた状態に配設しかつチューブを扱く必要はないからポンプの耐久性を確保できる上、小型化もでき省スペースであるものの、連続して流体を吐出できず、例えば図3(c)のように吐出休止期間すなわち吐出休止工程が存在する。このように吐出休止期間があると、流体を一定のペースで連続して吐出する必要のある用途、例えば医療用ポンプとして、利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−52283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプを提供することに、ある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、弾力性を有するチューブの押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで前記チューブ内の流体を吐出し前記チューブ内に流体を吸入するチューブポンプであって、前記チューブを挟むように配置され、互いに近接又は離間する少なくとも1組の押圧面を有する第1押圧部及び第2押圧部と、前記流体の逆流を防止する第1逆止弁及び第2逆止弁とを、前記チューブの上流から下流に向けて前記第1逆止弁、前記第1押圧部、前記第2逆止弁及び前記第2押圧部の順で備えて成り、前記第1押圧部で押し潰される前記チューブの体積V1と前記第2押圧部で押し潰される前記チューブの体積V2との体積比(V1:V2)が2:1であることを特徴とするチューブポンプである。
【0009】
また、前記課題を解決するための手段として、
請求項2は、前記チューブが配設される第1配設面及び第2配設面を有する配設部と、前記配設部に配設された前記チューブを挟んで前記第1配設面及び前記第2配設面に対向配置された第1対向面及び第2対向面とを備え、前記第1押圧部は第1配設面及び第1対向面からなる1組の前記押圧面を有し、前記第2押圧部は第2配設面及び第2対向面からなる1組の前記押圧面を有していることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプであり、
請求項3は、前記第1配設面及び前記第2配設面は互いに対面するように略並行に配置され、前記配設部に配設された前記チューブの間に、前記第1対向面及び前記第2対向面を有し、前記第1配設面及び前記第2配設面の方向に向かって平行に往復運動する往復部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載のチューブポンプであり、
請求項4は、前記第1配設面及び前記第2配設面は互いに逆方向に面するように略並行に配置され、前記配設部に配設された前記チューブに臨む前記第1対向面及び前記第2対向面を有し、前記第1配設面及び前記第2配設面の方向に向かって平行に往復運動する往復部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載のチューブポンプである。
【0010】
さらに、前記課題を解決するための手段として、
請求項5は、前記第1押圧部及び第2押圧部の少なくとも一方は、隣接する側板同士がその延在方向の両端部で回動自在に連結されて前記チューブの外周を囲繞する管状開閉壁から成り、前記1組の押圧面は、前記側板のうち前記チューブの押し潰し方向に垂直で前記チューブの軸線を通過する仮想線に対して一方の側に位置する複数の前記側板から成る第1押圧壁と、前記仮想線に対して他方の側に位置する複数の前記側板から成る第2押圧壁とで構成されることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプであり、
請求項6は、で前記押し潰し方向は垂直に交差する2方向であり、前記第1押圧部及び第2押圧部の少なくとも一方は2組の前記押圧面を有していることを特徴とする請求項5に記載のチューブポンプある。
【0011】
さらにまた、前記課題を解決するための手段として、
請求項7は、第1逆止弁及び第2逆止弁の少なくとも一方は、前記チューブの外側に配置され、前記チューブを押し潰して閉塞する強制弁であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューブポンプであり、
請求項8は、前記強制弁は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された前記第1押圧部又は前記第2押圧部を同じように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のチューブポンプであり、
請求項9は、第1逆止弁及び第2逆止弁の少なくとも一方は、前記チューブの内部に設けられた自立弁であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューブポンプである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るチューブポンプは、チューブを挟むように配置され、互いに近接又は離間する少なくとも1組の押圧面を有する第1押圧部及び第2押圧部と、流体の逆流を防止する第1逆止弁及び第2逆止弁とを、チューブの上流から下流に向けて第1逆止弁、第1押圧部、第2逆止弁及び第2押圧部の順で備えて成るから、チューブの押圧及び押圧解除する機構が小型の簡略な構造であるうえ、チューブを扱くことなく単にチューブを押し潰す押圧及び押圧解除によって流体を逆流させることなく流体の吐出及び吸入が可能になる。したがって、この発明に係るチューブポンプは、チューブを損傷しにくく優れた耐久性を有すると共にチューブポンプ自体の構造が小さく配置スペースも低減できる。
【0013】
また、この発明に係るチューブポンプは、第1押圧部で押し潰されるチューブの体積V1と第2押圧部で押し潰されるチューブの体積V2との体積比(V1:V2)が2:1であるから、第1押圧部で押し出された流体はその半分が第2押圧部に収容されて残りの半分が吐出され、第1押圧部の後に作用する第2押圧部で押し出された流体はその全部が吐出される。したがって、この発明に係るチューブポンプは、第1押圧部及び第2押圧部の交互押し潰しによって体積V2の流体を連続的に一定のペースで吐出できる。
【0014】
したがって、この発明によれば、流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプを示す概略図である。
【図2】図2は、この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプの作用・機能を説明する概略説明図である。
【図3】図3は、この発明に係るチューブポンプの別の一例であるチューブポンプを説明する概略説明図である。
【図4】図4は、この発明に係るチューブポンプのまた別の一例であるチューブポンプを説明する概略説明図である。
【図5】図5は、この発明に係るチューブポンプのまた別の一例であるチューブポンプにおける第1押圧部の断面を示す概略断面図である。
【図6】図6は、この発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例であるチューブポンプを説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係るチューブポンプは、弾力性を有するチューブの押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで、チューブ内の流体を吐出し、チューブ内に流体を吸入するチューブポンプである。この発明に係るチューブポンプは、原理的には容積式ポンプに分類され、チューブを作動流体流路として流体の吸入及び吐出をさせる形式のポンプである点で、ローラポンプ、ペリスタルチックポンプ等と共通するが、チューブ長手方向に沿って移動しチューブを扱く回転押圧部材に代えて、チューブに沿って配置され、チューブを径方向に押し潰す押圧部を備え、このようなチューブの押圧及び押圧解除によって流体の吸入及び吐出する点で、チューブの押圧機構並びに流体の吸入及び吐出機構が異なる。この発明に係るチューブポンプにおける押圧部は、チューブを扱くのではなく、チューブを径方向に押し潰して流体を吸入及び吐出するから、チューブを所定の引張力がかかった状態に固定しなくてもよく、チューブの配設状態も特に限定されず、直線状にも屈曲した状態にも配設することができる。そして、後述するように、この発明に係るチューブポンプにおける押圧部はローラポンプの回転押圧部材に比して小型で簡略な構造を有している。
【0017】
この発明に係るチューブポンプにおける押圧部は、チューブを挟むように配置された少なくとも1組の押圧面を有している。1組の押圧面は、互いに近接してチューブの内部流路を閉塞するまでチューブを押し潰すと共に、チューブを押し潰すまで近接した状態から互いに離間してチューブの内部流路を開通させる。したがって、1組の押圧面はこのように機能するように構成され、配置されている。
【0018】
このような押圧部の第1例として、例えば、チューブを配設し互いに対面する配設面と、この配設部に配設されたチューブを挟んで配設面に対向するように配置された対向面とを有し、対向面が配設面に近接又は離間するように往復運動する押圧部が挙げられる。
【0019】
押圧部の第2例として、例えば、チューブを配設し互いに逆方向に面する配設面と、この配設部に配設されたチューブを挟んで配設面に対向するように配置された対向面とを有し、対向面が配設面に近接又は離間するように往復運動する押圧部が挙げられる。
【0020】
押圧部の第3例として、例えば、隣接する側板同士がその延在方向の両端部で回動自在に連結されてチューブの外周を囲繞する管状開閉壁で構成される押圧面を有する押圧部が挙げられる。この管状開閉壁において、1組の押圧面は、管状開閉壁を形成する複数の側板のうち、チューブの押し潰し方向に垂直でチューブの軸線を通過する仮想線に対して一方の側に位置する複数の側板から成る第1押圧壁と、仮想線に対して他方の側に位置する複数の側板から成る第2押圧壁とに区分され、これら第1押圧壁と第2押圧壁とが互いに近接又は離間するように、なっている。
【0021】
この発明に係るチューブポンプは、少なくとも2つの押圧部すなわち第1押圧部及び第2押圧部を有している。第1押圧部及び第2押圧部それぞれは押圧部のいずれをも採用することができ、複数の押圧部を組み合わせることもできる。
【0022】
この発明に係るチューブポンプにおいて、第1押圧部及び第2押圧部は互いに連続して機能することで流体を吸入し吐出する。このように第1押圧部及び第2押圧部が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、所謂「二連ポンプ」と同様に一方の押圧部による脈動が他方の押圧部によって弱められるから、1つの押圧部を備えた所謂「一連ポンプ(単連ポンプとも称する。)」に特有の大きな脈動を生じることなく、流体を吐出できる。
【0023】
この発明に係るチューブポンプにおいて、第1押圧部及び第2押圧部は、チューブに沿って配置されており、具体的には、第1押圧部はチューブの上流側に、第2押圧部はチューブの下流側にそれぞれ配置される。そして、第1押圧部の第1被押潰領域の体積V1及び第2押圧部の第2被押潰領域の体積V2それぞれは吐出する流体の体積に応じて適宜に設定され、一連ポンプに特有の大きな脈動を生じることなく一定体積の流体を連続して吐出するには、第1押圧部の第1被押潰領域の体積V1と第2押圧部の第2被押潰領域の体積V2との体積比(V1:V2)は2:1に設定される。ここで、体積V1は第1押圧部が複数存在する場合にはこれらの合計体積であって被押圧状態から閉塞状態に至るまでに押し潰される第1被押潰領域の体積であり、体積V2は第2押圧部が複数存在する場合にはこれらの合計体積であり、被押圧状態から閉塞状態に至るまでに押し潰される第2被押潰領域の体積である。
【0024】
この発明に係るチューブポンプにおける第1逆止弁及び第2逆止弁は、流体の逆流を防止する弁であればよく、チューブの外側に配置され、チューブを押し潰して閉塞する所謂「強制弁」、チューブの内部に設けられた所謂「自立弁」等、公知の弁機構を用いることができる。所謂「強制弁」はチューブを押し潰して閉塞する弁機構であるから前記押圧部で代用することもできる。また、所謂「自立弁」はチューブに予め装着又は内蔵されている弁を用いることもでき、この場合は、チューブとして逆止弁内蔵チューブを用いることができる。
【0025】
このような構成を有し、前記のように機能する、この発明に係るチューブポンプは、押圧部が小型簡略であるからチューブポンプ自体の構造が小さく配置スペースも低減できるにもかかわらず、流体を逆流させることなく連続的に一定のペースで同体積の流体を吐出でき、さらに、チューブが損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。特にチューブとして逆止弁内蔵チューブを用いるとチューブポンプ自体の構造をさらに小さくかつ簡略化できる。したがって、この発明に係るチューブポンプは流体を連続的に吐出する耐久性の高い小型のチューブポンプである。
【0026】
この発明に係るチューブポンプにおいて、弾力性を有するチューブは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、塩化ビニール、合成ゴム等の可撓性を有する材料で管体として形成されている。このチューブは流体を移送する移送路となる。この発明に係るチューブポンプにおいて、チューブは、一般的なチューブすなわち単なる中空管状のチューブを用いることができ、また、チューブポンプ自体の構造をさらに小さくかつ簡略化するには、逆止弁内蔵チューブ、例えば、電磁駆動ベローズポンプのダックビル型逆止弁内臓ベローズと類似の構造等を用いることができる。
【0027】
この発明に係るチューブポンプの一例を、図面を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプ1を図1及び図2に示す。図1は、チューブポンプ1を示す概略図であり、図2はチューブポンプ1の作用・機能を説明する概略説明図であり、チューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構が順に図2(a)〜図2(d)に示されている。このポンプ1は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第1例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ1は、弾力性を有するチューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部11、第2押圧部13、第1逆止弁19a及び第2逆止弁19bを備えている。
【0028】
このチューブポンプ1は、チューブが配設される第1配設面15a及び第2配設面15bを有する配設部14と、配設部14に配設されたチューブ7を挟んで第1配設面15aに対向配置された第1対向面12aと、配設部14に配設されたチューブ7を挟んで第2配設面15bに対向配置された第2対向面12bとを備えており、第1押圧部11は第1配設面15a及び第1対向面12aからなる1組の押圧面を有し、第2押圧部13は第2配設面15b及び第2対向面12bからなる1組の押圧面を有している。
【0029】
このチューブポンプ1は、より具体的には、第1配設面15a及び第2配設面15bは互いに対面するように略並行に配置されており、配設部14に配設されたチューブ7の間、すなわち、第1配設面15a及び第2配設面15bに屈曲するように配設されたチューブ7の屈曲部7aの内部に、第1対向面12a及び第2対向面12bを有し、第1配設面15a及び第2配設面15bの方向に向かって平行に往復運動する往復部材10を備えている。
【0030】
図1及び図2により更に詳細に説明すると、このチューブポンプ1は、ポンプ本体(図示しない。)に互いに並行になるように立設された3つの第1配設壁14a、第2配設壁14b及び第3配設壁14cを有する配設部14と、第2配設壁14b及び第3配設壁14cの間に配置され、第1対向面12a及び第2対向面12bとして機能する底面及び頂面を有する往復部材10と、各第1配設壁14a、第2配設壁14b及び第3配設壁14cを貫通するように設けられ、往復部材10に連結する貫通軸16と、第1配設壁14a及び貫通軸16の頭部の間に配置された付勢部材17と、第3配設壁14cの第2配設壁14bと反対側に連設され、貫通軸16をその軸線方向に前後進させる駆動部材18と、配設部14に配設されたチューブ7と、第2配設壁14bの端部例えば端面に対向配置された第1逆止弁19aと、第2配設壁14bに配設されたチューブ7の下流側であって往復部材10の端部例えば端面に対向配置され、第1逆止弁19aと連動する第2逆止弁19bとを備えている。
【0031】
配設部14における第1配設壁14a、第2配設壁14b及び第3配設壁14cそれぞれは互いに略並行となる表面を有しており、これら表面に沿ってチューブ7が略S字状に配設されている。具体的には、チューブ7は、第2配設壁14bの両表面に約180°に屈曲するように略U字状に配設されると共に、第2配設壁14bと第3配設壁14cとの間に配置された往復部材10の周囲に沿って約180°に屈曲するように略U字状に配設されて、全体として配設部14に略S字状に配設されている。このとき、チューブ7は、第2配設壁14b及び往復部材10で大きく変動しないように略S字状に配設されており、したがって、チューブ7の軸線方向に張力をかけた状態に固定されていない。第2配設壁14bの第1配設面15aは第1対向面12aよりも大きな面積を有しており、また、第3配設壁14cの第2配設面15bは第2対向面12bよりも大きな面積を有している。第2配設壁14b及び第3配設壁14cの距離はチューブ7の外径、1回で吐出する流体の吐出量すなわち第1押圧部11及び第2押圧部13の寸法並びに可動範囲等に応じて適宜に設定される。
【0032】
往復部材10は、第1押圧部11を形成する基体10aと、この基体10a上に連設され、第2押圧部13を形成する先端部10bとからなる。基体10a及び先端部10bそれぞれは一方向に延在する棒状体、柱体、板体等であればよく、この例においてはいずれも柱体に形成されている。基体10aの先端部10bが形成されていない側の平面が第1対向面12aとなり、先端部10bの基体10aに連設されていない側の平面が第2対向面12bとなり、第1対向面12aと第2対向面12bとは略平行になっている。すなわち、この往復部材10は、第1対向面12aとして機能する平面を有する基体10aと第2対向面12bとして機能する平面を有する先端部10bとを有し、基体10aと先端部10bとの端面がほぼ面一となるように形成されている。往復部材10における第1対向面12a及び第2対向面12bは、第1押圧部11で挟まれた第1被押潰領域8の全体積V1と第2押圧部13で挟まれた第2被押潰領域9の全体積V2との体積比(V1:V2)が2:1になるように、その寸法が設定されている。
【0033】
貫通軸16は、配設部14に配設されたチューブ7に干渉しないように、かつ、第1配設面15aに配設されたチューブ7の軸線方向に沿って2本設けられている。この貫通軸16それぞれは、駆動部材18に接続されて直線運動し、往復部材10を同期して往復運動させる。
【0034】
付勢部材17及び駆動部材18は貫通軸16を直線運動させる。付勢部材17はコイルスプリングで構成され、駆動部材18は電磁石で構成されている。
【0035】
チューブ7は前記のとおりであり、逆止弁を内蔵していない通常のチューブである。
【0036】
第1逆止弁19aは、第2配設壁14bの端部に配置され、第2配設壁14bの両表面を囲繞するように配設されたチューブ5の屈曲部を閉塞する弁体である。第2逆止弁19bは、往復部材10の端部、すなわち、第1押圧部11と第2押圧部13との間に配置され、往復部材10の端部を取り囲むように配設されたチューブ5の屈曲部を閉塞する弁体である。
【0037】
第1逆止弁19a及び第2逆止弁19bそれぞれは、チューブ7の屈曲部を押し潰して閉塞することができればよく、例えば、錐状に形成されている。第1逆止弁19a及び第2逆止弁19bは、電磁石等の駆動部材に接続されており、いずれか一方がチューブ7を閉塞する場合には他方がチューブを開通させるように、互いに連動するように連結されている。
【0038】
このような構成を有するチューブポンプ1において、第1押圧部11は、第1配設面15aに配設されたチューブ7を、第1配設面15aと共に第1配設面15aに略垂直な方向に沿って挟むように配置された第1対向面12aで構成され、第1配設面15a及び第1対向面12aで挟まれ、第1対向面12aが第1配設面15aに近接して押し潰す第1被押潰領域8をチューブ7に形成する。また、第2押圧部13は、図1及び図2に示されるように、第2配設面15bに配設されたチューブ7を、第2配設面15bと共に第2配設面15bに略垂直な方向に沿って挟むように配置された第2対向面12bで構成され、第2配設面15b及び第2対向面12bで挟まれ、第2対向面12bが第2配設面15bに近接して押し潰す第2被押潰領域9をチューブ7に形成する。
【0039】
前記構成を有するチューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構を、図2を使用して更に詳細に説明する。チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に押圧及び押圧解除するように機能することによって流体を吸入及び吐出する。このチューブポンプ1において、図1に示されるように、配設部14に略S字状になるようにチューブ7が配設されている。このときチューブ7内には送液される流体が充填されていていない空の状態でもよい。
【0040】
チューブポンプ1における流体の吸入及び吐出機構を、第2押圧部11による流体の吐出工程が終了した後に第1押圧部11による流体の吐出工程から順に説明する。
【0041】
図2は、この発明に係るチューブポンプの一例のチューブポンプにおける流体の吸入及び吐出機構を説明する概略図であり、図2(a)は第1押圧部11が流通状態で第2押圧部11が閉塞状態にあり、第1逆止弁19aが閉塞状態で第2逆止弁19bが開放状態にある配置を示す図であり、図2(b)は第1押圧部11が閉塞状態で第2押圧部13が流通状態にあり、第1逆止弁19aが閉塞状態で第2逆止弁19bが開放状態にある配置を示す図であり、図2(c)は第1押圧部11が閉塞状態で第2押圧部13が流通状態にあり、第1逆止弁19aが開放状態で第2逆止弁19bが閉塞状態にある配置を示す図であり、図2(d)は第1押圧部11が流通状態で第2押圧部13が閉塞状態であり、第1逆止弁19aが開放状態で第2逆止弁19bが閉塞状態にある配置を示す図である。
【0042】
チューブポンプ1における第2弁操作工程が終了した状態が図2(a)に示されている。この状態は、第1押圧部11が流通状態で第2押圧部13が閉塞状態にあり、第1逆止弁19aが閉塞状態で第2逆止弁19bが開放状態にある。この状態に次ぐ第1押圧部11による流体を吐出する吐出工程が実施される。具体的には、往復部材10すなわち第1対向面12aが貫通軸16、付勢部材17(図2において図示しない。)及び駆動部材18(図2において図示しない。)によって第1配設面15aに近接するように移動する。そうすると、図2(b)に示されるように、第1対向面12aと第1配設面15aとで第1被押潰領域8を閉塞すると共に、第2対向面12bが第2配設面15bから離間して第2対向面12bと第2配設面15bとで閉塞されていた第2被押潰領域9が開通する。このとき、第1逆止弁19aが閉塞状態で第2逆止弁19bが開放状態にあるから、第1被押潰領域8に吸入されている流体は、下流方向に圧送され、第1被押潰領域8から圧送される流体の半分が開通した第2被押潰領域9に一時的に吸入され、残りの半分の流体が第2被押潰領域9に収容されず、そのまま第2被押潰領域9を通過して吐出される。このようにして、第1被押潰領域8に吸入されている0.5V1=V2分の流体を吐出工程が終了する。
【0043】
次いで、吐出工程の後に第1弁操作工程が実施される。具体的には、図2(c)に示されるように、往復部材10が静止したまま、第1逆止弁19aが開放状態に移行し、第2逆止弁19bが閉塞状態に移行して、第1弁操作工程が終了する。
【0044】
次いで、第1弁操作工程の後に吸入吐出工程が実施される。具体的には、図2(d)に示されるように、往復部材10が貫通軸16、付勢部材17(図2において図示しない。)及び駆動部材18(図2において図示しない。)によって第2配設面15bに近接するように移動する。そうすると、第1対向面12aが第1配設面15aから離間して第1対向面12aと第1配設面15aとで閉塞されていた第1被押潰領域8が開通すると共に、第2対向面12bと第2配設面15bとで第2被押潰領域9を閉塞する。このとき、第1逆止弁19aが開放状態で第2逆止弁19bが閉塞状態にあるから第1被押潰領域8の開通によって体積V1の流体が第1被押潰領域8に吸入されると共に、第2被押潰領域9に吸入されている体積V2の流体は下流方向に吐出される。このようにして、第1被押潰領域8に体積V1の流体が吸入されると共に第2被押潰領域9に一時的に吸入されている体積V2の流体が吐出される吸入吐出工程が終了する。
【0045】
次いで、吸入吐出工程の後に第2弁操作工程が実施される。具体的には、図2(a)に示されるように、往復部材10が静止したまま、第1逆止弁19aが閉塞状態に移行し、第2逆止弁19bが開放状態に移行して、第2弁操作工程が終了する。
【0046】
このようにして第2弁操作工程が終了すると、チューブポンプ1における吸入・吐出工程の1サイクルが終了する。引き続き流体を吐出する場合には、図2(b)〜図2(d)に示されるように、吐出工程、第1弁操作工程、吸入吐出工程及び第2弁操作工程の2サイクル目が1サイクル目と同様にして、実施される。すなわち、2サイクル目を実施すると、第1押圧部11と第2押圧部13とが交互に機能して流体を吸入及び吐出する。
【0047】
このように、チューブポンプ1によれば、吐出工程、第1弁操作工程、吸入吐出工程及び第2弁操作工程が連続して実施され、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に機能して、V1の体積分の流体が2回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/2)V1の体積分の流体が2回に分けて連続して吐出される。このように、チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、1つの押圧部を備えた所謂「一連ポンプ」に特有の大きな脈動を生じることなく連続的に一定のペースで流体を吐出できる。そして、チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に機能するときに第1逆止弁19a及び第2逆止弁19bが閉塞状態及び開放状態を適宜に移行するから流体の逆流を防止できる。また、チューブポンプ1は、第1押圧部11及び第2押圧部13が前記したように小型の簡略な構造であるから、チューブポンプ1自体の構造が小さく配置スペースも低減できるにもかかわらず、チューブ7が損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。したがって、チューブポンプ1は小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を逆流させることなく連続的に吐出できる。
【0048】
この発明に係るチューブポンプの別の一例を、図3を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプの別の一例であるチューブポンプ2は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第2例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ2は、チューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部21、第2押圧部23、第1逆止弁29a及び第2逆止弁29bを備えている。
【0049】
このチューブポンプ2は、直線状に配設されたチューブ7の配設方向に沿って第1押圧部21及び第2押圧部23が直線状に配置されている点においてチューブポンプ1と異なる。すなわち、チューブポンプ2は、チューブ7が配設される第1配設面25a及び第2配設面25bを有する配設部24と、配設部24に配設されたチューブ7を挟んで第1配設面25aに対向配置された第1対向面22aと、配設部24に配設されたチューブ7を挟んで第2配設面25bに対向配置された第2対向面22bとを備えており、第1押圧部21は第1配設面25a及び第1対向面22aからなる1組の押圧面を有し、第2押圧部23は第2配設面25b及び第2対向面22bからなる1組の押圧面を有している。
【0050】
このチューブポンプ2は、より具体的には、第1配設面25a及び第2配設面25bは互いに逆方向に面するように略並行で直列に配置されており、配設部24に配設されたチューブ7に臨む第1対向面22a及び第2対向面22bを有し、第1配設面25a及び第2配設面25bの方向に向かって平行に往復運動する往復部材20を備えている。
【0051】
図3により更に詳細に説明すると、このチューブポンプ2は、ポンプ本体(図示しない。)に互いに並行で一方向に沿って離間するように立設された2つの第1配設壁24a及び第2配設壁24bを有する配設部24と、第1配設壁24a及び第2配設壁25bそれぞれに面する第1対向面22a及び第2対向面22bを有する往復部材20と、配設部24に配設されたチューブ7と、第1配設壁24aの上流側端部近傍に対向配置された第1逆止弁29aと、第1押圧部21及び第2押圧部23の間に位置するように配置された第2逆止弁29bとを備えている。
【0052】
配設部24における第1配設壁24a及び第2配設壁24bそれぞれは、チューブ7の外径と略同一の間隔をあけて互いに略並行となると共に、互いに対面しないように直列に配置された第1配設面25a及び第2配設面25bを有している。チューブ7は、第1配設壁24aの第1配設面25aに沿って直線状に配設されると共に、第2配設壁14bの第2配設面25bに沿って直線状に配設されて、全体として配設部24に直線状に配設されている。このとき、チューブ7は、チューブ7の軸線方向に張力をかけた状態に固定されていない。第1配設壁24aの第1配設面25aは第1対向面22aよりも大きな面積を有しており、また、第2配設壁25bの第2配設面25bは第2対向面22bよりも大きな面積を有している。
【0053】
往復部材20は、軸体20aと軸体20aの一端部から略垂直に延在する第1アーム20bと軸体20aの他端部から第1アーム20bと逆方向に向かって略垂直に延在する第2アーム20cとを有し、略S字状になっている。軸体20aは一方向に延在する棒状体、柱体、板体等に形成され、第1アーム20bと第2アーム20cとを一体的に連結している。第1アーム20bは、軸体20aの軸線方向に平坦な表面を有する注状体又は板体に形成され、軸体20aの他端部に面する表面が第1対向面22aとして機能する。第2アーム20cは、軸体20aの軸線方向に平坦な表面を有する注状体又は板体に形成され、軸体20aの一端部に面する表面が第2対向面22bとして機能する。往復部材20における第1対向面22a及び第2対向面22bは、第1押圧部21で挟まれた第1被押潰領域8の全体積V1と第2押圧部23で挟まれた第2被押潰領域9の全体積V2との体積比(V1:V2)が2:1になるように、その寸法が設定されている。往復部材20において、軸体20aの軸線長さ、第1アーム20bの厚さ及び第2アーム20cの厚さ等は、第1押圧部21又は第2押圧部23のいずれか一方が閉塞状態となるように、調整されるのが好ましい。
【0054】
チューブ7は逆止弁を1つ内蔵している逆止弁内蔵チューブであって、この内蔵逆止弁が第1押圧部21及び第2押圧部23の間に配置され第2逆止弁29bとして機能するように、配設部24に配設されている。第2逆止弁29bは、公知の構造を有していればよく、例えば、チューブ7の内壁に流体の流通方向下流側に向かって延在する少なくとも1つの舌片であり、流体が逆流すると舌片が押し戻されて流路を塞ぐようになっている。
【0055】
第1逆止弁29aは、第1配設壁24aに対向するように配置され、チューブ7を押し潰して閉塞する弁体である。この逆止弁29aは、単独で機能すること以外はチューブポンプ1の第1逆止弁19aと基本的に同様である。
【0056】
このような構成を有するチューブポンプ2において、第1押圧部21は、第1配設面25aに配設されたチューブ7を、第1配設面25aと共に第1配設面25aに略垂直な方向に沿って挟むように配置された第1対向面22aで構成され、第1配設面25a及び第1対向面22aで挟まれ、第1対向面22aが第1配設面25aに近接して押し潰す第1被押潰領域8をチューブ7に形成する。また、第2押圧部23は、第2配設面25bに配設されたチューブ7を、第2配設面25bと共に第2配設面25bに略垂直な方向に沿って挟むように配置された第2対向面22bで構成され、第2配設面25b及び第2対向面22bで挟まれ、第2対向面22bが第2配設面25bに近接して押し潰す第2被押潰領域9をチューブ7に形成する。
【0057】
前記構成を有するチューブポンプ2は第1押圧部21及び第2押圧部23の配置並びに第2逆止弁29bの流体圧による自動開閉が異なること以外はチューブポンプ1と基本的に同様であり、チューブポンプ2の流体の吸入及び吐出機構はチューブポンプ1の流体の吸入及び吐出機構と基本的に同様である。すなわち、チューブポンプ2は第1押圧部21及び第2押圧部23が交互に押圧及び押圧解除するように機能することによって流体を吸入及び吐出する。
【0058】
すなわち、第1押圧部21による流体を吐出する吐出工程は、往復部材20が第1配設面25aに近接するように移動して第1被押潰領域8が閉塞される共に第2被押潰領域9が開通されることで、実施される。そうすると、チューブポンプ1と同様に、第1被押潰領域8に吸入されている0.5V1=V2分の流体を逆流されることなく吐出する。
【0059】
次いで、第1逆止弁29aが開放状態に移行して第1弁操作工程が実施される。
【0060】
次いで、吸入吐出工程は、往復部材20が第2配設面25bに近接するように移動して第2被押潰領域9が閉塞される共に第1被押潰領域8が開通されることで、実施される。そうすると、チューブポンプ1と同様に、第1被押潰領域8に体積V1の流体が吸入されると共に第2被押潰領域9に一時的に吸入されている体積V2の流体が吐出される。
【0061】
次いで、第1逆止弁29aが閉塞状態に移行して第2弁操作工程が実施される。
【0062】
このようにしてチューブポンプ2における吸入・吐出工程の1サイクルが終了する。引き続き流体を吐出する場合には、吐出工程、第1弁操作工程、吸入吐出工程及び第2弁操作工程の2サイクル目が1サイクル目と同様にして、実施される。すなわち、2サイクル目を実施すると、第1押圧部21と第2押圧部23とが交互に機能して流体を吸入及び吐出する。
【0063】
更に、吐出工程、第1弁操作工程、吸入吐出工程及び第2弁操作工程が連続して実施され、第1押圧部21及び第2押圧部23が交互に機能して、V1の体積分の流体が2回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/2)V1の体積分の流体が2回に分けて連続して吐出される。このように、チューブポンプ2は、第1押圧部21及び第2押圧部23が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、1つの押圧部を備えた所謂「一連ポンプ」に特有の大きな脈動を生じることなく連続的に一定のペースで流体を吐出できる。第1押圧部21及び第2押圧部23が交互に機能するときに第1逆止弁29a及び第2逆止弁29bが閉塞状態及び開放状態を適宜に移行するから流体の逆流を防止できる。また、第1押圧部21及び第2押圧部23が前記したように小型の簡略な構造であるから、チューブポンプ2自体の構造が小さく、配置スペースも低減できるにもかかわらず、チューブ7が損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。さらに、チューブ7を直線状に配設できるから、チューブ7を屈曲して配設するスペースを確保できなくてもチューブポンプ2を直線的な小スペースに装着できる。したがって、チューブポンプ2は小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を連続的に吐出できる。
【0064】
この発明に係るチューブポンプのまた別の一例を、図4及び図5を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプの一例であるチューブポンプ3は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第3例の押圧部が採用されている。このチューブポンプ3は、弾力性を有するチューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって、第1押圧部31、第2押圧部33、第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bを備えている。
【0065】
このチューブポンプ3は、チューブ7と、チューブ7が配設される基板38と、基板38の表面に配設されたチューブ7を挟むように配置された第1押圧部31及び第2押圧部33と、基板38の表面に配設されたチューブ7を挟むように配置された第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bとを備え、チューブ7の配設方向の上流側から下流側に向かって、第1逆止弁36a、第1押圧部31、第2逆止弁36b及び第2押圧部33の順で、間隔を空けて直列に配列されている。
【0066】
第1押圧部31は、隣接する側板34a〜34dがその延在方向の両端部で回動自在に連結されて成る管状開閉壁30Aと、この管状開閉壁30Aを支持すると共にチューブ7に対して近接又は離間するように変形させる支持駆動部39とを備えている。
【0067】
管状開閉壁30Aは、図5に示されるように、4枚の側板32a〜32dがそれぞれ自身の両端部で枢軸35a〜35dにより連結されており、枢軸35a〜35dに垂直な断面が正方形の管状体になっている。すなわち、管状開閉壁30Aにおいて、4枚の側板32a〜32dそれぞれがチューブ7を押圧する押圧壁として、具体的には、第1押圧壁32a、第2押圧壁32b、第3押圧壁32c及び第4押圧壁32dとして、機能し、枢軸35a〜35dは連結軸線とも称することができる。この管状開閉壁30Aは、その内部にチューブ7が挿通されており、第1被押潰領域8となるチューブ7の外周を囲繞している。したがって、側板32a〜32dそれぞれは、平坦な板状部材であり、その軸線長さは、第1押圧部31で挟まれた第1被押潰領域8の全体積V1と後述する第2被押潰領域9の全体積V2との体積比(V1:V2)が2:1になるように、設定されている。
【0068】
支持駆動部39は、管状開閉壁30Aにおけるチューブ7の側方に配置された1組の枢軸35a及び35cそれぞれの軸線方向両端部を支持する支持体39aと、基板38上にチューブ7の軸線に対して略垂直に設置され、支持体39aを案内する軌条39bと、支持体39aをチューブ7に対して近接又は離間するように移動する駆動部材39cとを備えている。
【0069】
第1押圧部31における4つの支持体39aにおいて、同一の枢軸を支持する2つの支持体39aは駆動部材39cに連結する一方の支持体39aの移動によって他方の支持体39aが枢軸を介して連動するように構成されており、また、チューブ7を挟んで対向配置された2つの支持体39aはチューブ7の外周面からの距離が同一となるように、例えば図示しない連結部で連結され、構成されている。軌条39bは支持体39aの底部に係合して、チューブ7に対する支持体39aの近接移動又は離間移動を案内する。同一の枢軸を支持する2つの支持体39aを案内する2本の軌条39bは、その後方又は途中でチューブ7の軸線に沿って延在し、互いに連結している。駆動部材39cは支持体39aに接続されており、支持体39aを移動させる。駆動部材39cは例えばモータ等を採用できる。
【0070】
支持駆動部39で支持された管状開閉壁30Aは、互いに対向する1組の枢軸が近接することによって、この一組の枢軸で連結された隣接する2枚の側板が押圧面として機能してチューブ7を押圧する。このとき、この残りの1組の枢軸は互いにチューブ7から離間する。具体的には、チューブ7を囲繞するように配置された管状開閉壁30Aを形成する4枚の側板32a〜32dは、第1開閉態様として、図5(a)及び図5(b)に示されるように、チューブ7の押し潰し方向に垂直でチューブ7の軸線を通過する仮想水平線L1に対して一方の側に位置する2枚の側板32a及び32bから成る第1押圧壁31aと、仮想水平線L1に対して他方の側に位置する2枚の側板32c及び32dから成る第2押圧壁31bとに区分され、第1押圧壁31aを連結する枢軸35bと第2押圧壁31bを連結する枢軸35dとが近接又は図5(a)に示される初期状態まで離間することによって、第1押圧壁31aと第2押圧壁31bとが互いに近接又は離間して、チューブ7の押圧及び押圧解除が可能になっている。
【0071】
また、側板32a〜32dは、第2開閉態様として、図5(a)及び図5(c)に示されるように、仮想水平線L1に垂直でチューブ7の軸線を通過する仮想垂直線L2に対して一方の側に位置する2枚の側板32a及び32dから成る第3押圧壁31cと、仮想垂直線L2に対して他方の側に位置する2枚の側板32b及び32cから成る第4押圧壁31dとに区分され、第3押圧壁31cを連結する枢軸35aと第4押圧壁31dを連結する枢軸35cとが近接又は図5(a)に示される初期状態まで離間することによって、第3押圧壁31cと第4押圧壁31dとが互いに近接又は離間して、チューブ7の押圧及び押圧解除が可能になっている。このように、この管状開閉壁30Aはチューブ7の押し潰し方向が互いに垂直に交差する二方向、すなわち、仮想水平線L1及び仮想垂直線L2に設定されている。この管状開閉壁30Aは2組の押圧面を有しており、1組の押圧面は第1押圧壁31aと第2押圧壁31bとであり、他の1組の押圧面は第3押圧壁31cと第4押圧壁31dとである。
【0072】
第2押圧部33は、図4に示されるように、第1押圧部31よりもチューブ7の配設方向の下流側に配置され、その軸線長が異なること以外は第1押圧部31と基本的に同様に形成されている。すなわち、第2押圧部33は、隣接する側板34a〜34dすなわち第1押圧壁34a、第2押圧壁34b、第3押圧壁34c(図4に図示しない。)及び第4押圧壁34d(図4に図示しない。)がその延在方向の両端部で枢軸35e〜35h(図4に図示しない。)により回動自在に連結されて成る管状開閉壁30Bと、この管状開閉壁30Bを支持すると共にチューブ7に対して近接又は離間するように変形させる支持駆動部39とを備えている。この側板34a〜34dそれぞれの軸線長さは、第1被押潰領域8の全体積V1と第2被押潰領域9の全体積V2との体積比(V1:V2)が2:1になるように、設定されている。
【0073】
第2押圧部33の管状開閉壁30Bにおいても、第1押圧部31の管状開閉壁30Aと同様に、第2被押潰領域9となるチューブ7の外周を囲繞し、チューブ7を押圧する。具体的には、4枚の側板34a〜34dは、第1開閉態様として、チューブ7の押し潰し方向に垂直でチューブ7の軸線を通過する仮想水平線L1に対して一方の側に位置する2枚の側板34a及び34bから成る第1押圧壁33aと、仮想水平線L1に対して他方の側に位置する2枚の側板34c及び34dから成る第2押圧壁33bとに区分され、第1押圧壁33aを連結する枢軸35fと第2押圧壁33bを連結する枢軸35h(図4に図示しない。)とが近接又は初期状態まで離間することによって、第1押圧壁33aと第2押圧壁33b(図4に図示しない。)とが互いに近接又は離間してチューブ7の押圧及び押圧解除が可能になっている。また、側板34a〜34dは、第2開閉態様として、仮想水平線L1に垂直でチューブ7の軸線を通過する仮想垂直線L2に対して一方の側に位置する2枚の側板34a及び34d(図4に図示しない。)から成る第3押圧壁33c(図4に図示しない。)と、仮想垂直線L2に対して他方の側に位置する2枚の側板34b及び34c(図4に図示しない。)から成る第4押圧壁33d(図4に図示しない。)とに区分され、第3押圧壁33cを連結する枢軸35fと第4押圧壁33dを連結する枢軸35hとが近接又は初期状態まで離間することによって、第3押圧壁33cと第4押圧壁33dとが互いに近接又は離間してチューブ7の押圧及び押圧解除が可能になっている。このように管状開閉壁30Bは、第1押圧壁33a及び第2押圧壁33bからなる1組の押圧面と、第3押圧壁33c及び第4押圧壁33dからなる他の1組の押圧面との2組の押圧面を有している。
【0074】
第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bそれぞれは、チューブ7を押し潰して内部流路を閉塞することができればよく、例えば、チューブポンプ1と同様の構成、又は、第1押圧部31若しくは第2押圧部33と同様の構成にすることもできる。この例においては、第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bは、いずれも、図4及び図5に示されるように、その軸線長が異なること以外は第1押圧部31及び第2押圧部33と基本的に同様に形成されている。すなわち、第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bそれぞれは、隣接する側板37a〜37d(37c及び37dは図4に図示しない。)がその延在方向の両端部で枢軸37e〜37h(37hは図4に図示しない。)により回動自在に連結されて成る管状開閉壁30C及び30Dと、管状開閉壁30C及び30Dを支持すると共にチューブ7に対して近接又は離間するように変形させる支持駆動部39とを備えている。この側板37a〜37dそれぞれの軸線長さはチューブ7の内部流路を閉塞できる程度の長さに設定されている。この第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bそれぞれの管状開閉壁30C及び30Dにおいても、第1押圧部31の管状開閉壁30Aと同様に、側板37a〜37dで構成される2組の押圧面によって、チューブ7を押圧する。その具体的な開閉態様は第1押圧部31の管状開閉壁30Aと同様であるので説明を省略する。
【0075】
前記構成を有するチューブポンプ3における流体の吸入及び吐出機構を、図4及び図5を参酌して、説明する。チューブポンプ3は、第1押圧部31及び第2押圧部33が交互に押圧及び押圧解除するように機能することによって流体を吸入及び吐出する。このチューブポンプ3において、図4に示されるように、基板38の表面に直線状にチューブ7が配設されている。このときチューブ7内には流体が充填されていてもいなくてもよい。
【0076】
チューブポンプ3における流体の吸入及び吐出機構を第2押圧部33による流体の吐出工程が終了した後に第1押圧部31による流体の吐出工程から順に説明する。
【0077】
図4はこの発明に係るチューブポンプの一例のチューブポンプを示す概略図であり、図4(a)はチューブポンプの初期状態、すなわち、第1押圧部31及び第2押圧部33が流通状態で第1逆止弁36a及び第2逆止弁36aが開放状態にある配置を示す概略図であり、図4(b)は第1押圧部31が流通状態で第2押圧部33が閉塞状態にあり、第1逆止弁36aが閉塞状態で第2逆止弁36bが開放状態にある配置を示す図であり、図4(c)は第1押圧部31が閉塞状態で第2押圧部33が流通状態にあり、第1逆止弁36aが閉塞状態で第2逆止弁36bが開放状態にある配置を示す図であり、図4(d)は第1押圧部31が閉塞状態で第2押圧部33が流通状態にあり、第1逆止弁36aが開放状態で第2逆止弁36bが閉塞状態にある配置を示す図であり、図4(e)は第1押圧部31が流通状態で第2押圧部33が閉塞状態であり、第1逆止弁36aが開放状態で第2逆止弁36bが閉塞状態にある配置を示す図であり、図4(f)は第1押圧部31が流通状態で第2押圧部33が閉塞状態にあり、第1逆止弁36aが閉塞状態で第2逆止弁36bが開放状態にある配置を示す図である。
【0078】
図5はチューブポンプ3における第1押圧部31の断面を示す概略断面図であり、図5(a)は第1押圧部31の流通状態すなわち初期状態を示す概略断面図であり、図5(b)は第1押圧部31の第1開閉態様における閉塞状態を示す概略断面図であり、図5(c)は第1押圧部31の第2開閉態様における閉塞状態を示す概略断面図である。
【0079】
チューブポンプ3における第2押圧部33による流体の吐出工程が終了した状態が図4(b)に示されている。この状態は、第1押圧部31が流通状態で第2押圧部31が閉塞状態にあり、第1逆止弁36aが閉塞状態で第2逆止弁36bが開放状態にある。この状態に次ぐ第1押圧部31による流体の吐出工程が実施される。図4(c)に示されるように、具体的には、第1押圧部31において軌条39b及び駆動部材39cによって枢軸35a及び35cが互いに離間するように移動して、図5(b)に示される第1開閉態様における閉塞状態に移行しチューブ7を閉塞すると共に、第2押圧部33において軌条39b及び駆動部材39cによって互いに離間していた枢軸35e及び35gが近接するように移動する。そうすると、図5(b)に示されるように、第1押圧部31において、第1押圧壁31aと第2押圧壁13bとが近接してチューブ7を押圧して第1被押潰領域8を閉塞すると共に、第2押圧部33において、第1押圧壁33aと第2押圧壁33b(図4において図示しない。)とが初期状態まで離間して第2被押潰領域9を開通させる。このとき、図4(b)及び図4(c)に示されるように、第1逆止弁36aが閉塞状態で第2逆止弁19bが開放状態にあるから、第1被押潰領域8に吸入されている流体は、下流方向に圧送され、第1被押潰領域8から圧送される流体の半分が開通した第2被押潰領域9に一時的に吸入され、残りの半分の流体が第2被押潰領域9に収容されず、そのまま第2被押潰領域9を通過して吐出される。このようにして、第1被押潰領域8に吸入されている0.5V1=V2分の流体を吐出工程が終了する。
【0080】
次いで、吐出工程の後に第1弁操作工程が実施される。具体的には、図4(d)に示されるように、第1押圧部31及び第2押圧部33が静止したまま、第1逆止弁36aが開放状態に移行し、第2逆止弁36bが閉塞状態に移行して、第1弁操作工程が終了する。ここで、第1逆止弁36aは、軌条39b及び駆動部材39cによって互いに離間していた枢軸37e及び37gが初期状態まで近接するように移動する。そうすると、第1逆止弁36aは、図5(a)に示されるように、初期状態に復帰して、開放状態になる。一方、第2逆止弁36bは、軌条39b及び駆動部材39cによって枢軸37e及び37gが互いに離間するように移動する。そうすると、図5(b)に示される第1開閉態様における閉塞状態と同様の閉塞状態に移行して、チューブ7を閉塞する。
【0081】
次いで、第1弁操作工程の後に吸入吐出工程が実施される。具体的には、図4(e)に示されるように、第1押圧部31において軌条39b及び駆動部材39cによって互いに離間していた枢軸35a及び35cが初期状態まで近接するように移動すると共に、第2押圧部33において軌条39b及び駆動部材39cによって枢軸35e及び35gが互いに離間するように移動して、図5(b)に示される第1開閉態様における閉塞状態に移行しチューブ7を閉塞する。そうすると、図5(a)に示されるように、第1押圧部31において、第1押圧壁31aと第2押圧壁31bとが初期状態まで離間して第2被押潰領域9を流通させると共に、第2押圧部33において、図5(b)と同様に、第1押圧壁33aと第2押圧壁33bとが近接してチューブ7を押圧し第2被押潰領域9を閉塞する。このとき、図4(d)及び図4(e)に示されるように、第1逆止弁36aが開放状態で第2逆止弁36bが閉塞状態にあるから、第1被押潰領域8の開通によって体積V1の流体が第1被押潰領域8に吸入されると共に、第2被押潰領域9に吸入されている体積V2の流体は下流方向に吐出される。このようにして、第1被押潰領域8に体積V1の流体が吸入されると共に第2被押潰領域9に一時的に吸入されている体積V2の流体が吐出される吸入吐出工程が終了する。
【0082】
次いで、吸入吐出工程の後に第2弁操作工程が実施される。具体的には、図4(f)に示されるように、第1押圧部31及び第2押圧部33が静止したまま、第1逆止弁36aが閉塞状態に移行し、第2逆止弁36bが開放状態に移行して、第2弁操作工程が終了する。ここで、第1逆止弁36aは、軌条39b及び駆動部材39cによって枢軸37f及び37h(図4において図示しない。)が互いに離間するように移動する。そうすると、第1逆止弁36aは、図5(c)に示される第1開閉態様における閉塞状態と同様の閉塞状態に移行して、チューブ7を閉塞する。一方、第2逆止弁36bは軌条39b及び駆動部材39cによって互いに離間していた枢軸37e及び37gが初期状態まで近接するように移動する。そうすると、第2逆止弁36bは図5(a)に示されるように初期状態に復帰して開放状態になる。
【0083】
このようにして第2弁操作工程が終了すると、チューブポンプ3における吸入・吐出工程の1サイクルが終了する。引き続き流体を吐出する場合には、図4(c)〜図4(f)に示されるように、吐出工程、第1弁操作工程、吸入吐出工程及び第2弁操作工程の2サイクル目が1サイクル目と同様にして、実施される。すなわち、2サイクル目を実施すると、第1押圧部31と第2押圧部33とが交互に機能して流体を吸入及び吐出する。そして、第1押圧部31、第2押圧部33、第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bはいずれも、管状開閉壁30A〜30Dが第1開閉態様と第2開閉態様とに交互に押圧され、すなわち、チューブ7が互いに垂直な2方向に交互に押圧されるようになっている。
【0084】
このように、吐出工程、第1弁操作工程、吸入吐出工程及び第2弁操作工程が連続して実施され、第1押圧部31及び第2押圧部33が交互に機能して、V1の体積分の流体が2回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/2)V1の体積分の流体が2回に分けて連続して吐出される。このように、チューブポンプ3は、第1押圧部31及び第2押圧部33が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、1つの押圧部を備えた所謂「一連ポンプ」に特有の大きな脈動を生じることなく連続的に一定のペースで流体を吐出できる。そして、第1押圧部31及び第2押圧部33が交互に機能するときに第1逆止弁36a及び第2逆止弁36bが閉塞状態及び開放状態を適宜に移行するから流体の逆流を防止できる。また、第1押圧部31及び第2押圧部33が前記したように小型の簡略な構造であるから、チューブポンプ3自体の構造が小さく配置スペースも低減できるにもかかわらず、チューブ7が損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。さらに、チューブ7を直線状に配設できるから、チューブ7を屈曲して配設するスペースを確保できなくてもチューブポンプ3を直線的な小スペースに装着できる。したがって、チューブポンプ3は小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を連続的に吐出できる。
【0085】
また、図5に示されるように、管状開閉壁30A、30B、30C及び30Dが互いに垂直な2方向に交互に開閉してチューブ7を押し潰すことができるから、チューブ7を一方向に繰り返して押し潰す場合に比して、チューブ7に与えるストレスが小さく、高い耐久性を発揮する。
【0086】
この発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例を、図6を参酌して、説明する。この発明に係るチューブポンプのさらにまた別の一例であるチューブポンプ4は、第1押圧部及び第2押圧部の双方に前記第1例の押圧部が採用され、第1逆止弁及び第2逆止弁の双方に所謂「自立弁」が採用されている。このチューブポンプ4は、チューブ7の押圧及び押圧解除を繰り返し行うことでチューブ7内の流体を吐出し、チューブ7内に流体を吸入するチューブポンプであって第1押圧部11、第2押圧部13、第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dを備えている。チューブポンプ4は、図1に示されるチューブポンプ1における所謂「強制弁」である第1逆止弁19a及び第2逆止弁19bに代えて所謂「自立弁」である2つの所謂「自立弁」としての第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dを内蔵した逆止弁内蔵チューブが用いられている。したがって、チューブポンプ4は逆止弁の構造以外はチューブポンプ1と基本的に同様であるので、その構造及び流体の吸入及び吐出機構の説明は省略する。なお、第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dはチューブ7の流体圧力によって閉塞状態及び開放状態に適宜に移行するから、チューブポンプ1と異なって弁操作工程が必要なく、流体の逆流を防止できる。
【0087】
このチューブポンプ4によれば、チューブポンプ1と基本的に同様にして、吐出工程及び吸入吐出工程が連続して実施され、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に機能して、V1の体積分の流体が2回の吐出工程が実施されるうちに吸入され、(1/2)V1の体積分の流体が2回に分けて連続して吐出される。このように、第1押圧部11及び第2押圧部13が所謂「二連ポンプ」のように交互に機能することによって、1つの押圧部を備えた所謂「一連ポンプ」に特有の大きな脈動を生じることなく連続的に一定のペースで流体を吐出できる。そして、第1押圧部11及び第2押圧部13が交互に機能するときに第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dが流体圧力によって閉塞状態及び開放状態に適宜に移行するから流体の逆流を防止できる。また、第1押圧部11及び第2押圧部13が前記したように小型の簡略な構造であるから、チューブポンプ4自体の構造が小さく配置スペースも低減できるにもかかわらず、チューブ7が損傷しにくく優れた耐久性を発揮する。したがって、チューブポンプ4は小型であるにもかかわらず耐久性が高く流体を連続的に吐出でき、所謂「自立弁」である第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dを備えているから、逆止弁を積極的に操作する弁操作工程が不要になり、第1押圧部11及び第2押圧部13を連続的に機能させて動作が円滑になる。また、第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dは所謂「自立弁」であるから、これら第1逆止弁19c及び第2逆止弁19dの閉塞時すなわち押し潰し時にチューブ7内の流体を部分的に逆流させることを防止できる。
【0088】
この発明に係るチューブポンプは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記チューブポンプ1及び4においてチューブ7は略S字状に配設され、前記チューブポンプ2及び3においてチューブ7は直線状に配設されているが、この発明に係るチューブポンプにおいて、チューブは、一部が約180°に屈曲するように略U字状に配設されることも、また、一部が0°超180°以下に屈曲するように配設されることもできる。
【0089】
前記チューブポンプ1及び4は、3つの配設壁14a、14b及び14cを有しているが、この発明において、チューブポンプは往復部材を介して略並行に配置される2つの配設壁を有していればよい。
【0090】
前記チューブポンプ1及び4は基体10aと先端部10bとが一体に形成された往復部材10を備え、前記チューブポンプ2は軸体20aと第1アーム20bと第2アーム20cとが一体に形成された往復部材20を備えているが、この発明において、チューブポンプは、基体と先端部とが別々に独立して形成された少なくとも2つの往復部材、又は、第1アームと第2アームとが別々に独立して形成された少なくとも2つの往復部材を備えていてもよい。
【0091】
前記チューブポンプ3は、第1押圧部31及び第2押圧部33がいずれも2組の押圧面を有しているが、この発明において、押圧部は3以上の押圧面を有していてもよい。3以上の押圧面を有する押圧部は、押圧面の数に応じて側板及び枢軸の使用数を適宜に設定する。
【0092】
前記チューブポンプ1〜4はいずれも1つの第1押圧部及び第2押圧部を備えているが、この発明において、チューブポンプは複数の第1押圧部及び第2押圧部を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
この発明に係るチューブポンプは、各種の用途に利用でき、例えば、医療用送液ポンプ、血液移送用ポンプ、及び分析用薬液移送用ポンプ等が挙げられる。これら用途の中でも、特に流体を一定のペースで吐出する必要のある用途、例えば医療用送液ポンプ、より具体的には、血糖値等の生体成分を測定する生体成分測定装置、人工膵臓装置、人工透析装置等の送液ポンプとして好適に利用される。この発明に係るチューブポンプを医療用送液ポンプに利用する場合には、その一端が例えば輸液貯蔵容器等に接続され、その他端が輸液対象者に設けられた輸液注入部材例えばカテーテル(図示しない。)に直接又は他の接続部材例えばジョイント、他のチューブ等を介して接続されたチューブ7の前記一端と前記他端の間を基板に装着固定することによって、前記輸液貯蔵容器に貯蔵されている輸液の移送に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1、2、3、4 チューブポンプ
7 チューブ
7a 屈曲部
8 第1被押潰領域
9 第2被押潰領域
10、20 往復部材
10a 基体
10b 先端部
11、21 第1押圧部(第1押圧面)
12a、22a 第1対向面
12b、22b 第2対向面
13、23 第2押圧部(第2押圧面)
14、24 配設部
14a、24a 第1配設壁
14b、24b 第2配設壁
14c 第3配設壁
15a、25a 第1配設面
15b、25b 第2配設面
16 貫通軸
17 付勢部材(コイルスプリング)
18 駆動部材(電磁石)
19a、19c、29a、36a 第1逆止弁
19b、19d、29b、36b 第2逆止弁
20a 軸体
20b 第1アーム
20c 第2アーム
【0095】
30A、30B、30C、30D 管状開閉壁
31 第1押圧部
31a 第1押圧壁
31b 第2押圧壁
31c 第3押圧壁
31d 第4押圧壁
32a 第1側板
32b 第2側板
32c 第3側板
32d 第4側板
33 第2押圧部
33a 第1押圧壁
33b 第2押圧壁
33c 第3押圧壁
33d 第4押圧壁
34a 第1側板
34b 第2側板
34c 第3側板
34d 第4側板
35a、35b、35c、35d、35e、35f、35g、35h 枢軸
37a〜37d 側板
37e〜37h 枢軸
38 基板
39 支持駆動部
39a 支持体
39b 軌条
39c 駆動部材
L1 仮想水平線
L2 仮想垂直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性を有するチューブの押圧及び押圧解除を繰り返し行うことで前記チューブ内の流体を吐出し前記チューブ内に流体を吸入するチューブポンプであって、
前記チューブを挟むように配置され、互いに近接又は離間する少なくとも1組の押圧面を有する第1押圧部及び第2押圧部と、前記流体の逆流を防止する第1逆止弁及び第2逆止弁とを、前記チューブの上流から下流に向けて前記第1逆止弁、前記第1押圧部、前記第2逆止弁及び前記第2押圧部の順で備えて成り、
前記第1押圧部で押し潰される前記チューブの体積V1と前記第2押圧部で押し潰される前記チューブの体積V2との体積比(V1:V2)が2:1であることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
前記チューブが配設される第1配設面及び第2配設面を有する配設部と、前記配設部に配設された前記チューブを挟んで前記第1配設面及び前記第2配設面に対向配置された第1対向面及び第2対向面とを備え、
前記第1押圧部は第1配設面及び第1対向面からなる1組の前記押圧面を有し、
前記第2押圧部は第2配設面及び第2対向面からなる1組の前記押圧面を有していることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記第1配設面及び前記第2配設面は互いに対面するように略並行に配置され、
前記配設部に配設された前記チューブの間に、前記第1対向面及び前記第2対向面を有し、前記第1配設面及び前記第2配設面の方向に向かって平行に往復運動する往復部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記第1配設面及び前記第2配設面は互いに逆方向に面するように略並行に配置され、
前記配設部に配設された前記チューブに臨む前記第1対向面及び前記第2対向面を有し、前記第1配設面及び前記第2配設面の方向に向かって平行に往復運動する往復部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項5】
前記第1押圧部及び第2押圧部の少なくとも一方は、隣接する側板同士がその延在方向の両端部で回動自在に連結されて前記チューブの外周を囲繞する管状開閉壁から成り、
前記1組の押圧面は、前記側板のうち前記チューブの押し潰し方向に垂直で前記チューブの軸線を通過する仮想線に対して一方の側に位置する複数の前記側板から成る第1押圧壁と、前記仮想線に対して他方の側に位置する複数の前記側板から成る第2押圧壁とで構成されることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項6】
前記押し潰し方向は垂直に交差する2方向であり、前記第1押圧部及び第2押圧部の少なくとも一方は2組の前記押圧面を有していることを特徴とする請求項5に記載のチューブポンプ。
【請求項7】
第1逆止弁及び第2逆止弁の少なくとも一方は、前記チューブの外側に配置され、前記チューブを押し潰して閉塞する強制弁であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューブポンプ。
【請求項8】
前記強制弁は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された前記第1押圧部又は前記第2押圧部を同じように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のチューブポンプ。
【請求項9】
第1逆止弁及び第2逆止弁の少なくとも一方は、前記チューブの内部に設けられた自立弁であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューブポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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