チューブリン結合活性を有するコンブレタスタチンアナログ
極めて優れた細胞毒性ならびにチューブリン重合を抑制する顕著な能力を示すコンブレタスタチン(combretastatin)のアナログが見いだされている。当該化合物は、ヒトにおいて癌を治療するための優れた臨床的候補薬である。さらに、これらのリガンドの一部は、プロドラッグとして腫瘍選択的血管標的化学療法薬であること、または非悪性増殖性血管構造の選択的防止および/または破壊を生じさせる血管標的活性を有することを良好に示し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年6月14日に出願された表題「Combretastatin Analogs with Tubulin Binding Activity」の米国仮出願第60/690,689号に対する優先権を主張する。上で参照された出願の全内容は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細胞骨格タンパク質であるチューブリンは、充実性腫瘍を治療するために特に最も魅力的な治療薬標的である。特に高い効果が得られるクラスの化学療法薬は、チューブリンとの直接結合相互作用を通してその抗腫瘍作用を媒介する。この臨床的に前途有望なクラスの治療薬は、チューブリン結合剤もしくは抗チューブリン剤と呼ばれており、有糸分裂細胞分裂を促進するために必要とされる微小管構造へのαβ−チューブリンヘテロダイマーの集合を効果的に阻害することによって強力な腫瘍細胞毒性を示す(Li & Sham,Expert Opin.Ther.Patents.,2002)。
【0003】
現在のところ、最も広範囲に認識されていて臨床的に有用な抗チューブリン化学療法薬は、タキソールなどのタキサン類(Schiff et al.,Nature,1979)とともにビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイド類(Owellen et al.,Cancer Res.,1976)である。さらに、リゾキシン(Rao et al.,Tetrahedron Lett.,1992)、コンブレタスタチン類(Pettit et al.,Can.J.Chem.,1982)、キュラシンA(Gerwick et al.,J.Org.Chem.,1994)、ポドフィロトキシン(Coretese et al.,I.Biol.Chem.,1977)、エポチロンAおよびB(Nicolau et al.,Nature,1997)、ドラスタチン−10(Pettit et al.,J.Am.Chem.Soc,1987)、およびウェルウィスタチン(Welwistatin)(Zhang et al.,Molecular Pharmacology,1996)などの天然生成物、ならびにフェンスタチン(Phenstatin)(Pettit GR et al.,J.Med.Chem.,1998)、2−スチリルキナゾリン(styrylquinazolin)−4(3H)−オン(「SQO」、Jiang et al.,J.Med.Chem.,1990)、シス−およびトランス−スチルベンの高酸化誘導体、およびジヒドロスチルベン(Cushman et al.,J.Med.Chem.,1991)を含む合成アナログは、全部がチューブリン結合およびその後の有糸分裂を含む作用機序を通して腫瘍細胞毒性を媒介することが知られている。
【0004】
通常は、細胞有糸分裂の中期中に核膜が破壊され、チューブリンは、それに分裂中の染色体が付着するようになる微小管紡錘体装置の形成を促進する中心体(微小管重合中心とも呼ばれる)を形成することができる。引き続いての紡錘体装置の集合および解離は、各娘細胞が染色体の全補体を含有するように後期中の娘染色体の分離を緩和する。抗増殖剤もしくは抗有糸分裂剤として、チューブリン結合剤は、増殖中の腫瘍細胞において発生する相当に急速な有糸分裂を利用する。腫瘍細胞内でチューブリンに結合して紡錘体装置の形成を阻害することによって、チューブリン結合剤は患者の緩徐に分裂中の正常細胞への作用を相当に小さく抑えながら有意な腫瘍細胞毒性を引き起こすことができる。
【0005】
チューブリン結合部位相互作用の正確な性質はほとんど知られていないままであり、それらはチューブリン結合剤の各クラス間で明確に相違する。光親和性標識およびその他の結合部位解明技術は、チューブリン上の3つの重要な結合部位を同定した:1)コルヒチン部位(Williams et al.,J.Biol.Chem.,1985);2)ビンカアルカロイド部位(Safa et al.,Biochemistry,1987);および3)それにタキソールが結合する重合化微小管上の部位(Lin et al.,Biochemistry,1989)。この研究の重要な態様は、チューブリンのαおよびβ両方のサブユニットの「小分子」結合ドメインについての、分子レベルでの詳細な離解を必要とする。α,βチューブリンヘテロダイマーの三次構造は、電子結晶学として知られている技術を用いて3.7Åの解像度でDowningおよび同僚らによって1998年に報告された(Nogales et al.,Nature,1998)。この輝かしい業績で頂点に達した数十年に及ぶ研究はこの構造の解明に向けられており、光親和性および化学親和性標識化などの技術を用いて、コルヒチン部位などの小分子結合部位の同定を促進するはずである(Chavan et al.,Bioconjugate Chem.,1993;Hahn et al.,Photochem.PhotobioL,1992)。
【0006】
コルヒチン部位に結合する新規薬物には、多数のチューブリン結合剤が腫瘍自体とは対照的に悪性の増殖性腫瘍血管構造に対する活性も示すことが証明されているので、さらに重要視されている。抗血管化学療法は、腫瘍増殖を支持する脈管構造の増殖を標的とする薬物の開発に重点を置く癌化学療法の新生領域である。抗血管癌療法における研究の多くは血管新生として知られる新規な血管形成のプロセスを理解すること、および新規な血管の形成を阻害する抗血管形成剤を同定することに集中してきた。血管新生は、腫瘍内皮細胞の増殖および腫瘍の増殖を支持する新規脈管構造の生成を特徴とする。この増殖は、腫瘍自体によって産生する所定の成長因子によって刺激される。これらの成長因子の1つである血管内皮成長因子(「VEGF」)は、その同種受容体の制限およびアップレギュレートされた発現によって、内皮細胞に対して相当に特異的である。様々な抗血管形成戦略は、腫瘍血管構造の増殖および確立を防止するために生化学的経路における1つまたは複数の工程でこのシグナリングプロセスを阻害するために開発されてきた。しかし、抗血管形成療法は緩徐に作用し、所望の作用を生成するためには数ヵ月間から数年間の期間にわたって長期的に投与されなければならない。
【0007】
血管標的薬剤(「VTA」)は、血管破壊剤もしくは血管傷害剤としても知られており、別個のクラスの抗血管化学療法薬である。腫瘍を発生する新規微小血管形成を破壊する抗血管形成薬とは対照的に、VTAは確立された腫瘍血管構造を選択的に標的とし、腫瘍血流の広範囲の活動停止を引き起こすことによって充実性腫瘍を攻撃する。VTAの単回投与は、数分間から数時間の時間内に腫瘍新生血管構造の迅速かつ選択的活動停止を引き起こすことができ、最終的には低酸素症および栄養枯渇の誘導による腫瘍壊死をもたらす。このVTA作用の血管媒介性細胞毒性機序は、既存の腫瘍血管構造を妨害するよりむしろ新規な腫瘍血管新生の形成を阻害する抗血管形成剤の機序とは相当に大きく離れている。他の物質が腫瘍血管構造を破壊することが知られているが、それらもまたそれらの最高耐量で実質的な正常組織毒性も示す点で相違している。これとは対照的に、真正VTAは、それらの最高耐量の一部分でそれらの血管活動停止活性を保持している。チューブリン結合VTAは腫瘍内皮細胞の微小管細胞骨格を選択的に不安定化し、最終的に腫瘍血管の閉塞および腫瘍への血流の血洞停止をもたらす細胞の形状における著しい変化を引き起こすと考えられている(Kanthou et al.,Blood,2002)。
【0008】
コンブレタスタチンA4ホスフェートプロドラッグ(CA4P)は血管標的活性を備えることが知られている世界中の化合物の相当に少数の集団に含まれる主要な新規候補物質の1つである(特許文献1;Chaplin et al.,Anticancer Res.,1999;Tozer et al.,Cancer Res.,1999;Pettit and Rhodes,Anti−Cancer Drug Des.,1998;Iyer et al.,Cancer Res.,1998;Dark et al.,Cancer Res.,1997)。その親フェノール化合物であるコンブレタスタチンA−4(CA4)は、1970年代にGeorge R.Pettit教授(アリゾナ州立大学)によってSouth African bush willow(Combretum caffrum)から単離体として見いだされた。CA4は、チューブリン重合の強力な阻害剤であり、β−チューブリン上のコルヒチン部位に結合する。興味深いことに、CA4自体は腫瘍血管構造の破壊を示さないが、CA4Pは腫瘍血管構造の破壊に関して極めて活性である。このために、CA4Pのリン酸エステル部分は、脱リン酸化を受けるとチューブリン重合の阻害を通して腫瘍細胞を破壊する強力なチューブリン結合剤CA4が現れる。
【0009】
CA4Pは、現在は臨床開発中の1群のチューブリン結合VTAの中でも主要な薬物である。見いだされている他のチューブリン結合VTA類には、コルチシノイド(colchicinoid)ZD6126(Davis et al.,Cancer Research,2002)およびコンブレタスタチンアナログAVE8032(Lejeune et al.,Proceedings of the AACR.,2002)が含まれる。これらの進歩にもかかわらず、充実性腫瘍癌を治療および維持するための攻撃的な化学療法戦略は、依然として構造的に新規かつ生物学的により強力な化合物の開発に依存している。本発明は、強力な抗増殖活性および腫瘍細胞毒性を備える構造的に新規なクラスのチューブリン結合剤組成物を提供することによってこの緊迫した必要に対応する。
【特許文献1】米国特許第5,561,122号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、チューブリン集合および腫瘍細胞増殖を阻害できるチューブリン結合剤として機能するコンブレタスタチンアナログの発見に関する。これらのコンブレスタチンアナログは、ヒドロキシル成分およびアリールアルコキシ基などの構造的特徴を備えて適切に修飾された非チューブリン結合分子テンプレートの賢明な組み合わせの結果として生じる。さらに、本発明は、血管増殖性疾患および腫瘍疾患の1つまたは複数の症状を治療、予防もしくは緩和する場合に有用な化合物を提供する。本発明の化合物は、腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を減少させることに、およびチューブリン重合を阻害するためにもさらに有用である。
【0011】
1つの一般態様では、本発明は、以下の一般式I:
【0012】
【化15】
(式中、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0013】
式Iの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式Iのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式Iのまた別の実施形態では、nは2もしくは3である。
【0014】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式II:
【0015】
【化16】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0016】
式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R7はHである。式IIのさらにまた別の実施形態では、nは2もしくは3である。
【0017】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIa:
【0018】
【化17】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している;
R1、R3、R4およびR5は各々、独立してH、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0019】
式IIaの1つの実施形態では、R4およびR5はOCH3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは1である。式IIaのまた別の実施形態では、nは3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは4である。
【0020】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIb:
【0021】
【化18】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;およびnは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0022】
式IIbの1つの実施形態では、R4はHもしくはOHであり、R5はOHである。式IIaもしくはIIbの特定の実施形態では、R1およびR3はHである。式IIaもしくはIIbの他の実施形態では、R1はOHであり、R3はHである。式IIaもしくはIIbのさらに他の実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IIbのまた別の実施形態では、nは1である。式IIbのまた別の実施形態では、nは3である。式IIbのまた別の実施形態では、nは4である。
【0023】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式III:
【0024】
【化19】
(式中、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
およびR1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0025】
式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0026】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IV:
【0027】
【化20】
(式中、
破線は、独立して一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0028】
式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0029】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVa:
【0030】
【化21】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している;および
R1、R3、R4およびR5は各々、独立してH、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0031】
式IVaの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVaの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVaのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVaのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0032】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVb:
【0033】
【化22】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している;
R1、R3、R4およびR5は各々、独立してH、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0034】
式IVbの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVbの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVbのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVbのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0035】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式V:
【0036】
【化23】
(式中、R6は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0037】
式Vの別の実施形態では、R6は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Vのさらにまた別の実施形態では、R6はOHである。
【0038】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VI:
【0039】
【化24】
(式中、
R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0040】
式VIの1つの実施形態では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのまた別の実施形態では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式VIのまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0041】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VII:
【0042】
【化25】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、OH、ホスフェートおよびOCH3からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0043】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VIII:
【0044】
【化26】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0045】
式VIIIの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式VIIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式VIIIのまた別の実施形態では、nは0である。式VIIIのまた別の実施形態では、nは2である。式VIIIのまた別の実施形態では、nは3である。
【0046】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IX:
【0047】
【化27】
(式中、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IXのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IXのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0048】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式X:
【0049】
【化28】
(式中、R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Xの1つの実施形態では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Xのまた別の実施形態では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Xのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式Xのまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0050】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式XII:
【0051】
【化29】
(式中、R1、R4、R5およびR6は各々、独立して、OHおよびOCH3からなる群から選択され、X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0052】
また別の一般態様では、本発明は、動物における血管増殖性疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の環置換二環式縮合環系を投与する工程であって、このとき二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0053】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0054】
また別の実施形態では、血管増殖性疾患は、悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする。また別の実施形態では、悪性増殖性血管構造には腫瘍もしくはその他の腫瘍疾患が結び付いている。さらにまた別の実施形態では、増殖性疾患は、非悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする。さらにまた別の実施形態では、非悪性増殖性血管構造には、湿性もしくは加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、糖尿病性分子的水腫(diabetic molecular edema)、ブドウ膜炎、もしくは角膜血管新生を含む群から選択される眼疾患が結び付いている。さらにまた別の実施形態では、非悪性増殖性血管構造には、乾癬、慢性関節リウマチ、アテローム、再狭窄、カポジ肉腫、血管腫(haemangioma)などの非眼性疾患状態、および一般には血管増殖を特徴とする炎症性疾患が結び付いている。
【0055】
また別の態様では、本発明は、腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を選択的に減少させるための方法であって、環置換二環式縮合環系を投与する工程であって、このとき二環式縮合環系環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åであり、それにより隣接する領域内での組織の実質的壊死を伴わずに腫瘍領域内の組織の実質的壊死を引き起こす工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0056】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0057】
また別の実施形態では、腫瘍血流量における減少は、正常腫瘍血流量が治療中止後に回復されるように可逆性である。
【0058】
また別の態様では、本発明は、動物における腫瘍疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の環置換二環式縮合環系を投与する工程であって、このとき二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0059】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0060】
また別の実施形態では、本化合物は、有糸分裂の阻害に起因する腫瘍細胞毒性を誘発する直接的結果を有する。
【0061】
また別の態様では、本発明は、チューブリン含有系を環置換二環式縮合環系と接触させる工程であって、このとき二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである工程によってチューブリン重合を阻害するための方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0062】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0063】
また別の実施形態では、本系は腫瘍細胞である。
【0064】
また別の態様では、本発明は、医薬上適切な担体中に式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物を含有する医薬製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
(発明の詳細な説明)
新規な細胞分裂抑制薬の発見は、エストロゲン受容体(ER)と相互作用し、チューブリン結合のために必須と思われる構造的機能(すなわち、ヒドロキシル、アリールアルコキシ基、所定のハロゲン置換基など)を用いて修飾される分子テンプレート(スカフォールド)の慎重な組み合わせの結果として生じた。詳細には、メトキシアリール官能基は、所定のアナログでのコルヒチン結合部位での相互作用の増加にとって重要であると思われる(Shirai et al.,Biomedical Chem.Lett.1994)。本発明者らの初期の設計および合成の努力は、Eli Lilly and Co.(Jones et al.,J.Med Chem.1984;Grese et al.,J.Med Chem.,1997;Palkowitz et al.,J.Med Chem.,1997)によって開発された選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)であるラロキシフェンを連想させる構造的モチーフ、ならびにコルヒチンおよびコンブレスタチンチューブリン結合剤を含有するベンゾ[b]チオフェンリガンドに集中していた。
【0066】
この設計は、伝統的なエストロゲン受容体(ER)結合化合物はコルヒチンを想起させる構造モチーフを用いて修飾できること、そしてチューブリン重合の特異的阻害剤を生成するためのコンブレスタチンA4が本発明者らによる極めて活性のベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、およびインドールアンチチューブリンならびに細胞分裂抑制薬の調製によって妥当性が検証されたことを前提としている(米国特許第5,886,025号;第6,162,930号;第6,350,777号;および第6,593,374号;PCT特許公開WO01/19794;Mullica et al.,J.Chem.Cryst,1998;Pinney,et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1999)。各試験シリーズにおける主要化合物は、様々なヒト癌細胞系に対する顕著な生物活性を示している。
【0067】
本発明者らの仮説をさらに支持して、最近の試験は、所定のエストロゲン受容体(ER)結合化合物(例、2−メトキシエストラジオール)がチューブリンと相互作用し、構造的に修飾されたエストラジオールコンジナーとしてチューブリン集合を阻害できることを証明している(D’Amato et al.,Proc.Natl.Acad Sci,.1994;Cushman et al.,J.Med Chem.,1995;Hamel et al.,Biochemistry,1996;Cushman et al.,J.Med.Chem.,1997)。エストラジオールは、おそらくヒトにおける最も重要なエストロゲンであり、この化合物へのメトキシアリールモチーフの添加はそれをチューブリンと相互作用性にする点で興味深く有益である。さらに、2−メトキシエストラジオールがエストラジオールの天然ほ乳類代謝産物であり、妊娠中に特に顕著な細胞成長調節の役割を果たすこともまた注目に値する。
【0068】
ベンゾ[b]チオフェン構築体の構造−活性関係についての1つの分析は、トリメトキシフェニル環および4−メトキシフェニル環の隣接配置の重要性を強調してきた。理論で結び付けなくても、環間の架橋原子でのsp1ハイブリダイゼーションに沿って2つのアリール環の偽性pi積み重ねは、チューブリン結合特性を維持するために重要である。これらの要素に加えて、2つのアリール環間の中心間距離が重要である。この距離をCA4の距離(4.7Å)に近づけるための最適化は、チューブリンのコルヒチン結合部位に対する分子の結合親和性を改善する。2つの環間への2つの隣接原子のスペーサー成分の導入は、分子が偽性pi積み重ねのために自己調整するより多くの自由を許容することによってチューブリン結合特性を改善する。同様に、二重結合の導入による自由回転のための制限はより良好な生物活性を生じさせた。
【0069】
驚くべきことに、本明細書に記載した新規なコンブレスタチンアナログは、分子に増加した柔軟性を付与する5、6、7、もしくは8員環の存在にもかかわらず抗増殖性およびチューブリン結合特性を維持している。
【0070】
(I)用語の定義)
本明細書で使用するように、かぎ括弧内の用語は、複数形または単数形のいずれであっても、指示した意味を有する:
アミノ酸アシルアミノ基における「アミノ酸アシルアミノ基」は、アミノ酸に由来するアシル基である。アミノ酸は、a−アミノ酸、p−アミノ酸およびy−アミノ酸を列挙することができる。好ましいアミノ酸の例には、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、バリン、イソロイシン、オルニチン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、フェニルアラニン、システイン、メチオニン、アルギニン、P−アラニン、トリプトファン、プロリン、ヒスチジンなどが含まれる。好ましいアミノ酸はセリンであり、好ましいアミノ酸アシル基はセリンアミドである。
【0071】
「アミン」は、遊離アミンNH2もしくは低級アルキルアミノを意味する。
【0072】
「動物」は、任意の温血哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0073】
「アルキル」は、1〜8個の炭素原子を含有する基を意味し、直鎖状または分枝状であってよい。アルキル基は、任意に置換された直鎖状、分枝状または環状飽和炭化水素基である。置換される場合は、アルキル基は、任意の利用できる付着点で、規定されたように4つまでの置換基Rで置換されてよい。アルキル基がアルキル基と置換されていると言われる場合は、これは「分枝状アルキル基」と互換的に使用される。代表的な未置換のそのような基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどが含まれる。代表的な置換基には、以下の基の1つまたは複数が含まれるがそれらに限定されない:ハロ(例、F、Cl、Br、I)、ハロアルキル(例、CC13もしくはCF3)、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシ(−COOH)、アルキルカルボニルオキシ(−C(O)R)、アルキルカルボニルオキシ(−OCOR)、アミノ(−NH2)、カルバモイル(−NHCOOR−もしくは−OCONHR−)、尿素(−NHCONHR−)またはチオール(−SH)。規定したアルキル基は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合または1つまたは複数の炭素−炭素三重結合をさらに含んでいてよい。
【0074】
本明細書の用語「アリール」には、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてよい5および6員の単環式芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが含まれる。アリール基には、例えばナフチル、キノリル、インドリルなどの多環式縮合芳香族基もまた含まれる。環構造内にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」、「ヘテロアリール」もしくは「ヘテロ芳香族」ともまた呼ぶことができる。芳香族環は、1つまたは複数の環位置で、上述したような例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族成分などの置換基で置換することができる。アリール基は、多環式(例、テトラリン)を形成できるように芳香族ではない脂環式もしくは複素環と縮合もしくは架橋することもできる。
【0075】
用語「アルケニル」および「アルキニル」には、上述のアルキル類と長さおよび可能な置換が類似であるが少なくとも1つの二重もしくは三重結合を各々含有している不飽和脂肪族基が含まれる。
【0076】
炭素の数が他に規定されていない限り、「低級アルキル」は、上記に規定した、しかしその主鎖構造内に1〜10個の炭素、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(例、「C1−C6−アルキル」)を意味する。同様に、「低級アルケニル」、「低級アルコキシ」および「低級アルキニル」は類似の鎖長を有する。好ましいアルキル基は低級アルキルである。さらに、「Cx−Cy−アルキル」(式中、xは1〜5であり、yは2〜10である)との表現は、特定範囲の炭素の特定のアルキル基(直鎖状もしくは分枝状)を示している。例えば、「C1−C4−アルキル」の表現には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびイソブチルが含まれるが、それらに限定されない。さらに、用語「C3−6−シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれるが、それらに限定されない。これらのアルキル基、ならびにシクロアルキル基は、さらに置換されていてよい。
【0077】
用語「ヘテロシクリル」もしくは「複素環基」には、環構造が1〜4個のヘテロ原子を含んでいる3〜10員の環構造、より好ましくは4〜7員の環が含まれる。ヘテロシクリル基には、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、例えばアゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどが含まれる。複素環は、1つまたは複数の位置で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族成分などの上述したような置換基で置換することができる。
【0078】
「アロイル」は、−(C=O)−アリール基(式中、アリールは上記に規定されている)を意味する。アリール基は、カルボニル架橋を通してコア化合物に結合している。
【0079】
「シクロアルキル」は、炭素原子間の交番もしくは共鳴二重結合を伴わずに、3〜15個の炭素原子を含有するアルキルの一種である。これは1〜4個の環を含有することができる。代表的な未置換のそのような基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどが含まれる。代表的な置換基には、以下の基の1つまたは複数が含まれる:ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオールおよび/またはアルキルチオ。
【0080】
「ハロゲン」もしくは「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素もしくはヨウ素を意味する。
【0081】
「低級アルコキシ」は、−O−アルキル基(式中、アルキルは上記に規定されている)を意味する。アルコキシ基は、酸素架橋を通してコア化合物に結合している。アルコキシ基は、直鎖状もしくは分枝状であってよい;だが直鎖状が好ましい。例には、メトキシ、エチルオキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、i−プロポキシなどが含まれる。好ましいアルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含有しており、特に好ましいアルコキシ基は1〜3個の炭素原子を含有している。最も好ましいアルコキシ基はメトキシである。
【0082】
「低級アルキルアミノ」は、1つまたは2つのアルキル基がアミノ窒素、すなわちNH(アルキル)に結合している基である。窒素は、アルキル基をコア化合物に連結する架橋である。例には、NHMe、NHEt、NHPrなどが含まれる。
【0083】
用語「ヘテロ原子」には、炭素もしくは水素以外の任意の元素の原子が含まれる。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄およびリンである。
【0084】
本明細書で使用する用語「アリールアルデヒド」には、式Ar−C(O)H(式中、Arはアリール成分(上記に記載)であり、―C(O)Hはホルミルもしくはアルデヒド基である)で表される化合物が含まれる。
【0085】
「プロドラッグ」は、インビボ(生体内)で代謝変換されると活性薬を生成する、薬物の前駆体形を意味する。本発明の好ましいプロドラッグには、本明細書に規定したホスフェート、ホスホルアミデート、またはアミノ酸アシル基が含まれる。ホスフェートエステル塩成分には、(−OP(O)(O−アルキル)2もしくは(−OP(O)(O−NH4+)2)もまた含まれてよい。好ましい実施形態では、本発明のプロドラッグは、活性薬のフェノール成分もしくはアミン成分とホスフェート、ホスホルアミデート、またはアミノ酸アシル基との置換を含んでいる。プロドラッグを調製するための様々な方法は当業者には知られている(例えば、Pettit and Lippert,Anti−Cancer Drug Design,(2000),15,203−216を参照されたい)。
【0086】
「フェノール成分」は、本明細書では、それがアリール環上のR基を意味する場合のヒドロキシル基を意味する。
【0087】
「ホスフェート」、「ホスフェート成分」、もしくは「ホスフェートプロドラッグ塩」は、ホスフェート二塩成分(−OP(O)(O−M+)2)、ホスフェートトリエステル成分(−OP(O)(OR)2)もしくはホスフェートエステル塩成分(−OP(O)(OR)(O−M+)(式中、Mは塩であり、Rは任意の適切なアルキルもしくは分枝状アルキル置換基(2つのR基は同一のアルキル基であっても混合されてもよい)、もしくはベンジル、またはアリール基となるように選択される)を意味する。塩Mは、有益にはNa、KおよびLiであるが、本発明はこの点において限定されない。
【0088】
「ホスホルアミデート」は、ホスホルアミデートエステル塩成分(−NP(O)(OR)(O−M+)、ホスホルアミデートジエステル成分(−NP(O)(OR)2)、もしくはホスホルアミデート二塩成分(−NP(O)(O−M+)2)(式中、Mは塩であり、Rは任意の適切なアルキルもしくは分枝状アルキル置換基(2つのR基は同一のアルキル基であっても混合されてもよい)、もしくはベンジル、またはアリール基となるように選択される)を意味する。塩Mは、有益にはNa、KおよびLiであるが、本発明はこの点において限定されない。
【0089】
「塩」は、医薬上許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、および酒石酸塩などの酸付加塩;Na、K、Liなどのアルカリ金属カチオン;MgもしくはCaなどのアルカリ土類金属塩;または本明細書に全体として参照して組み込まれるPCT国際出願WO02/22626もしくはWO00/48606に記載されているような有機アミン塩を含むことができる。代表的な有機アミン塩は、本発明の化合物のトロメタミン(TRIS)塩およびアミノ酸塩(例、ヒスチジン塩)である。
【0090】
本明細書で使用する用語「治療する工程」(もしくは「治療する」)には、結果として生じる症状を防止する、予防する、限定する、および緩徐化する、停止させる、または進行、重症度を逆転させることを含む一般に容認された意味が含まれる。そこで、本発明の方法は、治療的および予防的投与のどちらも含んでいる。
【0091】
「チューブリン結合剤」は、Aβ−チューブリンヘテロダイマーもしくは微小管のいずれかに結合することができ、微小管の集合もしくは解離を妨害できるチューブリンのリガンドもしくは化合物を意味する。
【0092】
「有効量」は、患者へ単回もしくは複数回投与すると、診断もしくは治療下にある患者において所望の作用を提供する化合物の量もしくは用量を意味する。有効量は、知られている技術を使用して、そして類似の状況下で入手された結果を観察することによって当業者のような担当診断医が容易に決定することができる。投与される化合物の有効量もしくは用量を決定する場合には、担当診断医によって、哺乳動物の種;そのサイズ、年齢および全身健康状態;関係する特定疾患、疾患の関与度もしくは重症度;個々の患者の応答;投与される特定化合物;投与様式;投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性;選択された投与レジメン;併用薬物の使用;およびその他の関連状況を含むがそれらに限定されない要素が考慮に入れられる。
【0093】
(II)発明の化合物)
本発明の化合物は、6員環で置換された二環式縮合環系を特徴とするコンブレスタチンアナログである。そのような化合物は、本明細書では「環置換二環式縮合環系」もしくは「コンブレスタチンアナログ」と呼ぶ。例示するために、環置換二環式縮合環系の例を以下に示す:
【0094】
【化30】
XおよびY環は二環式縮合環成分を構成し、Z環は6員環成分を構成する。破線は独立して一重もしくは二重線を意味し、nは0、1、2もしくは3であってよい。以下に示す環置換二環式縮合環系の炭素は、以下で例示する式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの場合と同様に、追加の官能基で個別に置換することができる。二環式縮合環系の例には、1,2−ジヒドロ−ナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン、ナフタレン、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン、6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン、7H−ベンゾシクロヘプテン、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ベンゾシクロオクテン、5H−ベンゾシクロヘプテン、5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン、および5,6−ジヒドロ−ベンゾシクロオクテン、ならびに5,8−ジヒドロ−ベンゾシクロオクテンが含まれるが、それらに限定されない。6員環の例には、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサ−l,3−ジエンおよびベンゼンが含まれるが、それらに限定されない。
【0095】
特定の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基(環Z)と外環(環X)との中心間距離は、4〜7Åである。好ましい実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。本明細書で使用する用語「中心間距離」は、環置換二環式縮合環系の環置換基と環置換二環式縮合環系の外環の幾何中心間の距離を意味する。本明細書で使用する用語「環置換二環式縮合環系の外環」は、6員環で置換されていない環置換二環式縮合環系の環を意味する。
【0096】
1つの一般態様では、本発明は、以下の一般式I:
【0097】
【化31】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Iの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式Iのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。
【0098】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式II:
【0099】
【化32】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R7はHである。
【0100】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIa:
【0101】
【化33】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0102】
式IIaの1つの実施形態では、R4およびR5はOCH3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは1である。式IIaのまた別の実施形態では、nは3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは4である。
【0103】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIb:
【0104】
【化34】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0105】
式IIbの1つの実施形態では、R4はHもしくはOHであり、R5はOHである。式IIbのまた別の実施形態では、R4はHもしくはホスフェートであり、R5はホスフェートである。式IIbのまた別の実施形態では、nは1である。式IIbのまた別の実施形態では、nは3である。式IIbのまた別の実施形態では、nは4である。
【0106】
式IIaもしくはIIbの特定の実施形態では、R1およびR3はHである。式IIaもしくはIIbの他の実施形態では、R1はOHであり、R3はHである。式IIaもしくはIIbの他の実施形態では、R1はホスフェートであり、R3はHである。式IIaもしくはIIbのさらに他の実施形態では、R1およびR3はOCH3である。
【0107】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式III:
【0108】
【化35】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびR1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0109】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IV:
【0110】
【化36】
(式中、破線は、独立して一重もしくは二重結合を示す;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0111】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVa:
【0112】
【化37】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;および
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0113】
式IVaの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVaの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVaのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVaのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0114】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVb:
【0115】
【化38】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;および
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0116】
式IVbの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVbの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVbのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVaのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0117】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式V:
【0118】
【化39】
(式中、R6は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Vの別の実施形態では、R6は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Vのさらにまた別の実施形態では、R6はHである。
【0119】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VI:
【0120】
【化40】
(式中、R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式VIの1つの態様では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのまた別の態様では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのさらにまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式VIのまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0121】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VII:
【0122】
【化41】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、OH、ホスフェートおよびOCH3からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0123】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VIII:
【0124】
【化42】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Iの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式Iのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。
【0125】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IX:
【0126】
【化43】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;および環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0127】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式X:
【0128】
【化44】
(式中、R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式VIの1つの態様では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのまた別の態様では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのさらにまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式VIのまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0129】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式XI:
【0130】
【化45】
(式中、R1、R4、R5およびR6は各々、独立して、OH、ホスフェート、およびOCH3からなる群から選択され、X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0131】
また別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した本発明の化合物を含有する任意の新規な化合物または医薬組成物を含んでいる。例えば、本明細書に記載した化合物(例、表Iおよび表II)を含有する化合物および医薬組成物は、それらのプロドラッグおよび例えば医薬上許容される塩などのそれらの塩を含めて、本発明の一部である。式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物と同様に、表Iおよび表IIの化合物もまた「本発明の化合物」であると見なされる。
【0132】
本発明の特定の化合物には、それらの各々が本発明の個別実施形態であると見なされる以下の表Iおよび表IIの化合物が含まれる。重心距離は、化合物の名称の後の括弧内に含まれている。
【0133】
【表1−1】
【0134】
【表1−2】
【0135】
【表1−3】
【0136】
【表2−1】
【0137】
【表2−2】
本発明の化合物は、当技術分野において知られている標準の有機合成方法にしたがって合成できる。本発明の化合物のための合成方法は、本明細書に含まれる実験の部および図面にも記載されている。
【0138】
本発明の化合物の酸付加塩は、最も適切には医薬上許容される酸から形成され、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸および例えばコハク酸、マレイン酸、酢酸もしくはフマル酸などの有機酸を用いて形成されるものが含まれる。例えばシュウ酸塩のような他の医薬上許容されない他の塩は式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物の単離において、ならびに本発明の化合物を実験で使用するため、またはその後の医薬上許容される酸付加塩へ変換させるために使用することができる。本発明の溶媒和物および水化物もまた本発明の範囲内に含まれる。
【0139】
所定の化合物塩の所望の化合物塩への変換は、所定の塩の水溶液が例えば炭酸ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどの塩基の溶液で処理されて遊離塩基が遊離させられ、これが次にエーテルなどの適切な溶媒中で抽出される標準技術を適用することによって達成される。遊離塩基は、次に水性部分から分離され、乾燥させられ、所望の塩を得るために必要な酸で処理される。
【0140】
本発明の所定の化合物のインビボで加水分解可能なエステルもしくはアミドは、遊離ヒドロキシもしくはアミノ官能基を有するそれらの化合物を塩化メチレンもしくはクロロホルムなどの不活性溶媒中で塩基の存在下において所望のエステルの酸塩化物で処理することによって形成できる。適切な塩基には、トリエチルアミンもしくはピリジンが含まれる。これとは反対に、遊離カルボキシ基を有する本発明の化合物は、活性化の後に適切な塩基の存在下で所望のアルコールを用いた処理を含むことができる標準条件を用いてエステル化できる。
【0141】
(III)癌および他の悪性増殖性疾患の治療)
本発明のコンブレスタチンアナログは、様々なヒト癌細胞系に対して顕著な細胞毒性を示す。薬剤がチューブリン集合および微小管形成を阻害する能力は、多数の抗癌剤の重要な特性である。細胞骨格および紡錘体装置を含む微小管の崩壊は、細胞が細胞分裂の完了に成功する能力を劇的に妨害することができる。
【0142】
本発明の化合物は、活動的に増殖する細胞に対して高度に細胞毒性であり、それらの有糸分裂を阻害し、正常な静止細胞には比較的に影響を及ぼさないままで頻回にそれらの選択的アポトーシスを誘発する。したがって、本発明の化合物の抗増殖性もしくは有糸分裂抑制特性を使用すると、悪性もしくは新生物腫瘍または以下を含む癌の細胞の増殖を直接的に阻害する、または直接細胞毒性を付与することができる:
1)例えば膀胱、乳房、結腸、直腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、下咽頭、食道、胆嚢、尿路、卵巣、子宮頸、子宮、膵臓、胃、内分泌腺(甲状腺、副腎、および下垂体を含む)、前立腺、精巣および皮膚の癌などの、扁平上皮癌を含む癌;
2)白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞白血病およびBurkettリンパ腫を含む、リンパ球系の造血系腫瘍;
3)急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および急性前骨髄球性白血病を含む、骨髄細胞系の造血系腫瘍;
4)線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉細胞起源の腫瘍;
5)星状細胞種、神経芽細胞腫、神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、神経腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫を含む、中枢および末梢神経系および髄膜の腫瘍;および
6)黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、xenoderoma pigmentosum、keratoctanthoma、甲状腺濾胞状癌、未分化甲状腺癌およびカポジ肉腫を含むその他の腫瘍。
【0143】
または、本発明の化合物は、例えば内皮、動脈、血管、もしくは腫瘍によって形成された新生血管構造などの悪性増殖性血管構造にそれらが及ぼす作用に起因して上述の腫瘍および癌の成長および増殖の間接的制御を付与することができる。これらの抗血管特性には、増殖性腫瘍血管構造の可逆性もしくは不可逆性、部分的もしくは完全のいずれであっても選択的破壊、損傷、または閉塞が含まれるがそれらに限定されない。
【0144】
本発明の化合物は、単独で、または充実性腫瘍癌を治療するために患者へ便宜的に投与される放射線療法および/または他の化学療法と組み合わせてのいずれかで使用した場合に上述した腫瘍および癌を治療するためにもまた有用な可能性がある。例えば、本発明の化合物は、以下のメカニズム的クラスの1つから選択された化学療法薬と一緒に投与することができる:
1.アルキル化剤:ヌクレオチドにアルキル基を付与する化合物。アルキル化DNAは、自己 複製することができず、細胞増殖が停止する。代表的なアルキル化剤には、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、ブスルファン、dacarbaine、メトトレキセート、5−FU、cytosine arabinosoide、もしくは6−チオグアニンが含まれる。
【0145】
2.抗血管形成剤:腫瘍血管構造の形成を阻害する化合物。代表的な抗血管形成剤には、TNP−470もしくはAvastin(商標)が含まれる。
【0146】
3.抗腫瘍性抗生物質:抗菌性および細胞毒性活性を有する化合物。
【0147】
そのような化合物は、酵素もしくは有糸分裂を化学的に阻害する、または細胞膜を変化させることによってDNAを妨害することもできる。代表的な抗腫瘍性抗生物質には、アクチノマイシン−D、ブレオマイシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、およびドキソルビシンが含まれる。
【0148】
4.トポイソメラーゼ阻害剤:DNA複製を阻害することによってトポイソメラーゼ活性を妨害する物質。そのような物質には、CPT−11およびトポテカンが含まれる。
【0149】
5.ホルモン療法:抗エストロゲン薬が含まれるがそれらに限定されない。代表的な抗エストロゲン薬はタモキシフェンである。
【0150】
6.抗微小管化合物。本発明の化合物は、例えば、コンブレスタチンA−1ジホスフェート、コンブレスタチンA−4ホスフェート、ビンクリスチン、パクリタキセル、タキソテール、エトポシド、およびビンブラスチンを含む他の抗微小管化合物と併用することができる。
【0151】
さらに他の実施形態では、本発明の化合物は、白金配位化合物(例、カルボプラチン、シスプラチン、もしくはオキサリプラチン)と一緒に投与することができる。
【0152】
(IV)非悪性血管増殖性疾患の治療)
他の実施形態では、本発明の化合物ならびにそれらのアナログは、血管標的薬剤(VTA)として使用することができるので、内皮、動脈、血管、もしくは新生血管構造に腫瘍は結び付いていないが、それでも望ましくない、または病理的な血管形成によって形成されている非悪性血管増殖性疾患の治療のためにもまた有用である。そのような疾患状態には、制限なく以下が含まれる:
1)湿性もしくは加齢性黄斑変性、近視性黄斑変性、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、糖尿病性黄斑水腫、ブドウ膜炎、新生血管緑内障、皮膚潮紅、水晶体後方線維増殖症、色素線状症、眼ヒストプラスマ症、および角膜新生血管形成などの眼疾患;
2)子宮内膜症、乾癬、慢性関節リウマチ、Osier−Webber症候群、創傷肉芽形成などの炎症性疾患;および
3)アテローム硬化症、アテローム、再狭窄、血管腫、再狭窄などの心血管疾患。
【0153】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、眼の網膜組織における非悪性血管増殖性疾患の治療のための本発明の化合物の投与に向けられる。網膜組織の新生血管形成もしくは「網膜症」は、血管増殖を特徴とする病原性状態であり、程度の様々な視覚不全を伴う様々な眼疾患において発生する。血液網膜関門(BRB)は、網膜毛細血管と網膜組織との間の所定の物質に対する輸送障壁を形成する特殊な無窓の緊密に結合した内皮細胞から構成される。網膜症と結び付いている網膜の発生期血管は、充実性腫瘍と結び付いている血管に極めて類似して異常である。チューブリン集合の阻害剤であるチューブリン結合剤および血管標的薬剤は、これらの血管がBRBと構造的類似性を共有していないので異常な血管を攻撃することができる。チューブリン結合剤は、それらが腫瘍血管構造に行うのと極めて同様に疾患の進行を停止させることができる。湿性黄斑変性、増殖性糖尿病性網膜症もしくは未熟児網膜症などの網膜症と結び付いている網膜新生血管形成の薬理学的制御のためのVTAの投与は、治療選択肢をほとんど利用できない患者にとって潜在的に有益であろう。
【0154】
本発明の化合物は、血管疾患、特別にはアテローム硬化症および再狭窄の治療において使用するためにもまた企図されている。アテローム硬化症は、血管疾患の最も一般的な形態であり、極めて重要な身体器官への不十分な血液供給をもたらし、結果として心臓発作、脳卒中、および腎不全を生じさせる。さらに、アテローム硬化症は、高血圧および糖尿病に苦しんでいる患者、ならびに喫煙者において主要な合併症を誘発する。アテローム硬化症は、通常は血管緊張を制御する動脈壁における正常血管平滑筋細胞(VSMC)の一部は、血流量を調節し、それらの性質を変化させ、「癌様」挙動を発生する、慢性血管傷害の1つの形態である。これらのVSMCは、異常に増殖性になり、それらが血管裏層を侵襲してその中に広がることを可能にさせる物質(成長因子、組織変性酵素および他のタンパク質)を分泌し、血流を遮断し、血管に局所的血液凝固による完全な遮断に異常に高感受性にさせ、その動脈によって血液供給される組織の死を生じさせる。
【0155】
矯正外科手術後の狭窄もしくは動脈狭窄の再発である再狭窄は、アテローム硬化症の進行形である。最近得られた証拠は、冠動脈狭窄症は冠状静脈グラフトおよび心臓同種移植アテローム硬化症とともに、特発性アテローム硬化症を生じさせる同一病原性プロセスの極めて進行形を表すと見なすことができるという血管傷害の統一的仮説を支持している。再狭窄は、同様にアテローム硬化症性病変における後期にも一般的である、血小板由来成長因子(PDGF)および塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む強力な成長調節分子を含む血管傷害に対する複雑な一連の線維増殖性応答に起因し、結果として血管平滑筋細胞増殖、移動および新生内膜集積を生じさせる。
【0156】
再狭窄は、冠動脈バイパス手術(CAB)、動脈内膜切除術、および心臓移植後に、ならびに特別には心臓バルーン血管形成術、アテレクトミー、レーザーアブレーションもしくは血管内ステント術後に発生し(それらの各々において患者の3分の1が6カ月以内に再狭窄を再発生する)、そして症状の再発(または死亡)の原因となり、しばしば反復血行再建術を必要とする。最近10年間にわたる研究および血管形成術、バイパスグラフト術および動脈内膜切除術を含むアテローム硬化症性疾患の様々な内科的および外科的治療の一次成功率における改善にもかかわらず、後期再狭窄に起因する続発性不全は患者の30〜50%において発生し続けている。反復血行再建術による手術は時間および金銭を消費し、患者にとって不都合であり、合併症もしくは死亡の重大な危険性をもたらすことがある。再狭窄を防止するために最も有効な方法は、細胞レベルにある。
【0157】
(V)化合物の用量および投与)
典型的な1日量は、約0.1mg/kg〜約1,000mg/kgの本発明の活性化合物を含有するであろう。好ましくは、1日量は,約10mg/kg〜約100mg/kg、および最も好ましくは約10mgであろう。
【0158】
本明細書に記載した状態、疾患もしくは障害に罹患した患者の治療を行う場合には、本発明の化合物は、化合物を有効量で生体内利用可能にする任意の形態もしくは様式で全身性投与することができる。全身性投与は、疾患もしくは罹患器官もしくは組織から測定可能な距離で離れている部位での血流内への本発明の化合物の投与によって遂行できる。例えば、本発明の化合物は、経口、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、鼻腔内、直腸内、経口腔的などで投与できる。経口もしくは静脈内投与は、腫瘍疾患もしくは癌を治療するために一般に好ましい。または、本化合物は疾患もしくは罹患器官もしくは組織での本発明の化合物の直接的な局所投与によって非全身性投与することができる。非悪性増殖性血管構造もしくは新生血管形成の存在を特徴とする眼疾患の治療は、硝子体内注射、テノン嚢下注射、点眼薬、イオントフォレーシス、局所製剤およびインプラントおよび/またはインサートなどの非全身性投与方法を用いて達成できる。処方製剤を調製する分野の当業者であれば、選択された化合物の特定の特性、治療すべき疾患状態、疾患の病期、および他の関連状況に依存して、投与の適正な形状および様式を容易に選択することができる。
【0159】
当業者には、本発明において使用される化合物の全部が塩を形成できること、および医薬品の塩形は、それらがしばしば遊離塩基より容易に結晶化かつ精製されるために一般に使用されることは理解されるであろう。あらゆる場合に、塩として上述した医薬品の使用は本明細書の記載において企図されており、しばしば好ましく、そしてすべての化合物の医薬上許容される塩はそれらの名称に含まれている。
【0160】
また別の態様によると、本発明は、本発明の化合物もしくは上記に規定したそれらの医薬上許容される塩および医薬上許容される希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物を提供する。
【0161】
本医薬組成物は、よく知られていて容易に入手できる成分を用いて知られている方法によって調製される。本発明の組成物を製造する場合には、有効成分は、通常は担体と混合され、もしくは担体で希釈され、もしくは担体内に封入され、そしてカプセル、サシェ剤の形状、紙もしくは他の容器内に入れられてよい。担体が希釈剤として機能する場合は、担体は、有効成分のビヒクル、賦形剤、もしくは溶媒として作用する固体、半固体、または液体物質であってよい。本組成物は、例えば、重量で10%までの活性化合物を含有する錠剤、ピル剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、エマルジョン剤、液剤、シロップ剤、エーロゾル剤、軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射液、および無菌包装散剤の形状にあってよい。
【0162】
適切な担体、賦形剤、および希釈剤の一部の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、ガム、アカシア、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、シロップ水、メチルセルロース、ヒドロキシル安息香酸メチルおよびプロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油が含まれる。本調製物は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存剤、甘味料、またはフレーバー剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、当分野においてよく知られている方法を使用することによって患者に投与した後の有効成分の迅速、持続性、もしくは遅延性放出を提供できるように調製できる。
【0163】
本組成物は、好ましくは、各用量が約1mg〜約500mg、より好ましくは約5mg〜約300mg(例えば25mg)の有効成分を含有する、単位製剤に調製される。用語「単位製剤」は、各単位が適切な医薬担体、希釈剤、もしくは賦形剤と結び付いて、所望の治療作用を生成するために計算された規定量の活性物質を含有している、ヒト被験者および他の哺乳動物のための単一用量として適切な物理的に別個の単位を意味している。
【0164】
以下の調製実施例は例示するためだけであり、決して本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0165】
本発明の組成物は、1つまたは複数の医薬上許容される担体を用いて従来方法で調製できる。そこで、本発明の組成物は、経口、経口腔、経皮(例、パッチ)、鼻内、非経口(例、静脈内、筋肉内もしくは皮下)もしくは直腸投与のために、または吸入もしくは通気法による投与のために適切な形態で調製することができる。
【0166】
または、本発明の化合物は、リポソームの形態で投与できる。当技術分野において知られるように、リポソームは一般にリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散している単層もしくは多層水和液晶によって形成される。リポソームを形成できる任意の非毒性、生理学的に許容され代謝可能な液体を使用できる。リポソーム形にある組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、天然および合成両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Prescott Ed.,Methods in Cell Biology,Volume XTV,Academic Press,New York,NY,1976,p33を参照されたい)。
【0167】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例、ラクトース、リン酸カルシウムの微結晶セルロース);潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);錠剤崩壊剤(ジャガイモデンプンもしくはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤を用いて従来型手段によって調製される錠剤もしくはカプセル剤の形状を取ることができる。錠剤は、当技術分野においてよく知られている方法によってコーティングできる。経口投与するための液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤もしくは懸濁剤の形態を取ることができる、またはそれらは水もしくは他の適切なビヒクルを用いて使用前に復元するための乾燥製品として提示されてよい。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例、ソルビトールシロップ、メチルセルロースもしくは水素添加食用脂);乳化剤(例、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例、アーモンド油、油性エステルもしくはエチルアルコール);および保存剤(例、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの医薬上許容できる添加物を用いて従来型手段によって調製できる。
【0168】
経口腔投与のためには、本組成物は従来方法で調製された錠剤もしくはロゼンジ剤の形状を取ることができる。
【0169】
本発明の活性化合物は、従来型カテーテル法技術もしくは注入を用いることを含めて、注射による非経口投与のために調製できる。注射用製剤は、単位製剤で、例えばアンプル中または保存剤が添加された多用量容器で提供されてよい。本組成物は、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液、液剤もしくはエマルジョンなどの形態を取ることができ、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの調製用物質することを含有している。または、有効成分は、例えば無菌発熱物質無含有の水などの適切なビヒクルを用いて使用前に復元するための散剤形にあってよい。
【0170】
本発明の活性化合物は、例えば、坐剤またはカカオ脂もしくは他のグリセリドなどの従来型坐剤用基剤を含有している油性停留浣腸などの直腸用組成物で調製することもできる。
【0171】
鼻内投与もしくは吸入による投与のためには、本発明の活性化合物は患者によって圧搾もしくはポンピングされるポンプ型スプレー容器からの液剤もしくは懸濁剤の形状で、または適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくは他の適切な気体を使用して、加圧式容器もしくはネブライザーからのエーロゾルスプレー提示として便宜的に送達される。加圧エーロゾルの場合には、用量単位は、規定量を送達するための弁を用意することによって決定できる。加圧式容器もしくはネブライザーは、本活性化合物の液剤もしくは懸濁剤を含有していてよい。吸入器もしくは粉吹き器に入れて使用するためのカプセルもしくはカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本発明の化合物とラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末状基剤の混合粉体を含有して調製できる。
【0172】
本化合物の錠剤もしくはカプセル剤は、個々に、または適切な時点に2回以上投与できる。徐放性調製物中の化合物を本化合物を投与することもまた可能である。
【0173】
医師は、個々の患者に最も適合するであろう、そして特定患者の年齢、体重および応答に伴って変動するであろう実際の用量を決定するであろう。上記の要領は、平均的場合の典型である。当然ながら、個々の場合にはより高用量もしくは低用量範囲が有益であり、そのような用量範囲は本発明の範囲内に含まれる。
【0174】
本発明の化合物は、吸入によって、もしくは坐剤もしくはペッサリーの形態で投与することができる、またはそれらはローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは散布剤の形態で局所的に投与することができる。経皮的投与の代替手段は、皮膚パッチの使用である。例えば、それらはポリエチレングリコールもしくは流動パラフィンの水性エマルジョンからなるクリーム剤に組み込むことができる。それらは、1〜10重量%の濃度で、必要に応じた安定剤および保存料と一緒に白ろうもしくは白色ワセリン基剤からなる軟膏に組み込むことができる。
【0175】
「投与する工程」は、当業者には知られている、被験者に化合物を投与するいずれかの標準方法を意味する。例には、静脈内、筋肉内もしくは腹腔内投与が含まれるがそれらに限定されない。
【0176】
本発明のためには、「医薬上許容される担体」は、任意の標準医薬担体を意味する。適切な担体の例は当技術分野においてよく知られており、リン酸緩衝生理食塩液、POLYSORB 80を含有するリン酸緩衝生理食塩液、水、油/水型エマルジョンなどのエマルジョン、および様々なタイプの湿潤剤などの標準の医薬担体のいずれかを含むことができるが、それらに限定されない。その他の担体には、無菌液剤、錠剤、コーティング錠、およびカプセル剤もまた含むことができる。
【0177】
典型的には、そのような担体は、デンプン、牛乳、糖、所定タイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸もしくはそれらの塩、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、タルク、植物脂肪もしくは油、ガム、グリコールなどの賦形剤、または他の知られている賦形剤を含有している。そのような担体は、フレーバー剤および着色剤または他の成分をさらに含むことができる。そのような担体を含む組成物は、よく知られている従来方法によって調製される。
【0178】
「有効量」を決定する方法は当業者にはよく知られており、患者のサイズおよび使用される担体を含むがそれらに限定されない要素に左右される。
【0179】
以下では、本発明を作製および使用する方法およびプロセスについて記載しているが、限定するのではなく例示している以下の実施例および調製物を参照することによって詳細に規定する。当業者には、材料および方法の両方に対して、本発明の目的および対象から逸脱せずに、多数の修飾を実施できることは明白であろう。
【実施例】
【0180】
(材料および方法)
化学薬品は、Aldrich Chemical Company社、Fisher Scientific社およびACROS Chemicals社から市販で入手し、購入したまま直接的に使用した。アセトン、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルなどの溶媒は購入したままで使用し、他の溶媒は標準方法によって精製した。テトラヒドロフラン(THF)は金属カリウムおよびベンゾフェノンの上方に通して乾燥させ、使用前に新たに蒸留した;塩化メチレン(CH2Cl2)は、水素化カルシウムを用いて乾燥させ、使用前に蒸留した。トリエチルアミンは水素化カルシウムの上方に通して蒸留し、密封ボトル内に保存した。
【0181】
反応は、薄層クロマトグラフィ(TLC)および/またはガスクロマトグラフィによって追跡した。生成物の精製は、シリカゲルを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィを用いて実施した。薄層クロマトグラフィのためのシリカゲルプレートおよびカラムクロマトグラフィのためのシリカゲル(260〜400メッシュ)は、Merck EM Science社から入手した。
【0182】
1Hおよび13C NMRスペクトルは、AMX 360MHz(13Cについては90MHz、および31Pについては145MHz)またはDPX Avance 300MHz(13Cについては75MHz、および31Pについては120MHz)のBriiker NMR分光計を用いて、重水素化クロロホルムおよび重水素化メチルスルホキシドもしくは酸化ジュウテリウム中で記録した。ピークは、Hzで表示したカップリング定数(J)を用いて一重線(s)、二重線(d)、doublet of doublet(dd)、三重線(t)、もしくは多重線(m)として列挙した。高分解能質量スペクトルは、VG/Fisons GC/NASS高分解能質量分析計を用いて入手した。元素分析は、Atlantic Microlab社(ジョージア州ノークロス)から入手した。融点は、Thomas−Hoover融点装置を用いて決定し、補正しなかった。
【0183】
詳細にはPdを用いる多くの反応において、メタノールはエタノールに置換することができ、その逆も可能である。さらに、AlCl3はTiCl4で置換することができ、その逆も同様である。
【0184】
(実施例1:代表的なコンブレスタチンアナログの合成)
(3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンの合成(2;図1を参照))
(6−メトキシ−1−メチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(27):)
還流凝縮器およびマグネティック・スターバーを装備した、乾燥した500mLの3つ首丸底フラスコに水素化ナトリウム(3.0g、172.89mmol)を装填した。反応用フラスコを窒素下に置き、35mLの無水DMSOを加えた。反応混合液を70〜75℃へ加熱し、水素発生が終了するまでその温度で攪拌した。この反応混合液を室温へ冷却し、さらに25mLのDMSOを加えた。ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム(46.57g、115.26mmol)を1時間かけて少量ずつ加えた。容易な攪拌を促進するために、さらに25mLのDMSOを加えた。添加の完了後、反応混合液を20分間攪拌した。10mLの無水DMSO中に溶解させた6−メトキシテトラロン(10.156g、57.63mmol)を反応混合液に加えた。次に、この反応混合液を60〜65℃へ加熱し、その温度で8時間にわたり攪拌した。この反応混合液を150mLのクラッシュアイスおよび150mLのヘキサンを含有する500mLのエルレンマイヤーフラスコ中に注ぎ込んだ。生じた混合液を15分間にわたり強力に攪拌し、次にヘキサンで抽出した。結合有機相をDMSO:水(1:1)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、3:97のEtOAc:ヘキサン)による精製で白色固体として9.42g(94%)の27が得られた。Rf:0.71、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0185】
【化46】
(2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(28):)
2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(28)は、Miller et al.の方法(Miller et al.J.Org.Chem.1978,43(8),1569)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0186】
アジ化シアンの調製:微細な粉末状のアジ化シアン(8.58g、132mmol)を40mLの無水アセトニトリル中の臭化シアン(13.98g、132mmol)の0℃溶液へ迅速に加えた。この反応混合液を0℃で4時間攪拌し、アジ化シアン(7.18g、105.61mmol)を含有する透明な上清溶液を濾過し、環拡大反応のために使用した。
【0187】
環拡大反応:環外オレフィン27(4.6g、26.40mmol)は、窒素下で250mLの丸底フラスコ内に装填した。40mLの無水メタノール:アセトニトリル(1:1)を反応フラスコに加え、反応混合液を室温で攪拌した。これに新しく調製したアジ化シアン(7.18g、105.61mmol)を加え、反応混合液を室温で48時間にわたり攪拌した。25mLの6MのHClを加え、この反応液を50℃で4時間攪拌した。この反応混合液を次に室温へ冷却し、エーテルを用いて抽出した(2×200mL)。エーテル抽出液は中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させた。有機相は、爆発性アジ化物を除去するためにセライト層を用いて封をした塩基性アルミナのカラムに通して濾過した。溶媒を蒸発させた後のフラッシュカラムクロマトグラフィ(8:92、EtOAc:ヘキサン)による精製によって、3.33gの28(冷凍するとオフホワイトの固体)が得られた。Rf:0.38、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0188】
【化47】
(2−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプタン(29):)
アマルガム化亜鉛は、100mLの丸底フラスコ内で4gのZn粉末および400mgの塩化水銀、4mLの水および0.25mLの濃HClを10分間にわたり振とうすることによって調製した。上清液をデカンテーションし、28(215mg、1.13mmol)を加え、次に15mLの濃HClを加えた。反応混合液を次に3時間にわたり還流させた。反応混合液を冷却し、エーテルで抽出し(20mL×3)、結合エーテル抽出物を中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。化合物は中性アルミナ上でフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した。生成物29は適正なヘキサン中で入手した(140mg、74%)。Rf値:0.535、(10:90、EtOAc:ヘキサン)。
【0189】
【化48】
(2−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(30):)
29(3.42g、19.4mmol)を500mLの丸底フラスコ内に取り、これに40mLの氷酢酸、次に5mLの水および20mLの酢酸中に溶解させたCrO3(5.82g、58.21mmol)を滴下した。添加が完了した後、反応混合液を室温で24時間攪拌した。反応混合液に100mLの水を加え、次にエーテルを用いて抽出した(100×3)。次に結合エーテル抽出液は、水相がアルカリ性になるまで5% NaOH水溶液で洗浄した。有機相は中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(中性アルミナ)による精製によって無色油として910mg(25%)の生成物が得られた。生成物は10:90(EtOAc:ヘキサン)中で入手した。
【0190】
【化49】
(2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オール(32):)
200mLの無水エーテルを窒素下で500mLの丸底フラスコ中の3,4,5−トリメトキシブロモベンゼン(1.23g、4.97mmol)に加えた。反応混合液の温度を−78℃にした。n−ブチルリチウム(4.5mL、11.25mmol)を滴下した。反応混合液を次に温度が徐々に−30℃へ上昇するまで攪拌した。25mLの無水エーテル中に溶解させた30(0.86g、4.5mmol)を滴下し、反応混合液は温度が室温に加温するまで攪拌した。25mLの水を加え、生成物はエーテルを用いて抽出し(3×50)、結合有機相は無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、20:80のEtOAc:ヘキサン)による精製で淡黄色油として800mg(49%)の32が得られた。Rf:0.16、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0191】
(3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン(2):)
250mLの丸底フラスコ中に入れた20mLの酢酸および100mLの水中の32(800mg、2.23mmol)の混合液を12時間還流させた。反応混合液を冷却し、ジクロロメタンを用いて抽出し(3×25mL)、結合有機相を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(10:90、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、白色結晶として690mg(91%)の2が得られた。Rf:0.43、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0192】
【化50】
(3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンの合成(1;図1を参照))
(2−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ベンゾスベラン(benzosuberan)(31):)
3,4,5−トリメトキシブロモベンゼン(0.91g、3.68mmol)を500mLの丸底フラスコ中に装填し、窒素下に置いた。70mLの無水エーテルを加え、温度を−78℃にした。n−ブチルリチウム(2.94mL、7.36mmol)を滴下した。反応混合液を次に温度が徐々に−30℃へ上昇するまで攪拌した。20mLの無水エーテル中に溶解させた28(0.7g、3.68mmol)を滴下し、反応混合液は温度が室温に加温するまで攪拌した。25mLの水を反応混合液に加え、エーテルを用いて抽出し(3×30mL)、結合有機相は無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、20:80のEtOAc:ヘキサン)による精製で淡黄色油として500mg(29%)の31が得られた。
【0193】
(3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン(1):)
250mLの丸底フラスコ中に入れた12mLの酢酸および60mLの水中の31(500mg、1.4mmol)の混合液を12時間還流させた。反応混合液を冷却し、ジクロロメタンを用いて抽出し(3×20mL)、結合有機相を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(10:90、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、白色結晶として60mg(13%)の1が得られた。
【0194】
【化51】
(2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オールの合成(3;図1を参照))
(2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(33):)
2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(33)は、Ghatak et al.の方法(Ghatak,et al.,Tet.Lett.(2003),44:4145)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0195】
sec−ブチルリチウム(100mL、110mmol)中のしっかりと攪拌した6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(14.05g、86.67mmol)の溶液に、窒素下の0℃で、新しく蒸留したN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミエン(13.61mL)を滴下した。添加が完了した後、反応混合液を室温で1時間攪拌した。次に、反応混合液を再び0℃へ冷却し、ホウ酸トリメチル(12.55mL、110mmol)を滴下し、反応混合液を室温で1時間攪拌した。反応混合液を再び0℃に冷却し戻し、7mLの氷酢酸を滴下し、反応混合液を0℃にさせ、次に35重量%の過酸化水素水溶液(15mL)を滴下した。反応混合液を室温で12時間攪拌し続けた。飽和塩化アンモニウム(100mL)を加えた。有機相を分離して収集し、水相をエーテルで抽出した。結合有機相は(必要であれば)食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、インバキュオで濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、2:98、EtOAc:ヘキサン)による精製は、3.5g(23%)の33を9.7g(63.1%)の7−ヒドロキシ−6−メトキシ−(1,2,3,4−テトラヒドロ)ナフタレン(5:95のEtOAc:ヘキサン中で入手)と一緒に産生した。Rf値は、33については0.48(15:85、EtOAc:ヘキサン)、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−1−テトラヒドロナフタレンについては0.37である。
【0196】
【化52】
(5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(34):)
5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(34)は、Bringmann et al.の方法(Bringmann et al.,J.Org.Chem.(2002),67(16),5595)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0197】
33(4.55g、25.5mmol)は、還流凝縮器を装備した250mLの丸底フラスコ内に窒素ガス下で装填した。50mLの無水アセトン、次に炭酸セシウム(66.55g、204.3mmol)を加えた。2−ブロモプロパン(23.94mL、255.0mmol)を加え、反応混合液を12時間還流させた。溶媒を濾過し、インバキュオで蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、1:99、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、5.2g(93%)の5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(34)が得られた。Rf値:0.615(15:85、EtOAc:ヘキサン)。
【0198】
【化53】
(5−イソプロポキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(35):)
34(120mg、0.55mmol)を100mLの丸底フラスコ内に計量して入れ、5mLの水:ジオキサン(5:95)液を加え、反応液を窒素下に配置した。5mLのジオキサン中に溶解させた2,4−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(0.25g、1.09mmol)の溶液を反応混合液に滴下した。反応混合液を12時間にわたり攪拌した。分離した固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、10mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、生じた反応混合液はエーテルを用いて抽出し(3×20mL)、結合有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、インバキュオで蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、30:70のEtOAc:ヘキサン)による精製で90mg(71%)の35が得られた。Rf値:0.458、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0199】
【化54】
(5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1−メチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(36):)
還流凝縮器およびマグネティック・スターバーを装備した、乾燥した250mLの3つ首丸底フラスコに窒素下で水素化ナトリウム(1.09g、47.4mmol)を装填した。20mLの無水ジメチルスルホキシドを加え、この反応混合液を30分間にわたり水素発生が終了するまで70〜75℃へ加熱した。反応混合液はこの時点で緑色に変色するので、その後に反応混合液を室温へ冷却し、さらに15mLのDMSOを加えた。ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム(12.76g、31.57mmol)を30時間かけて少量ずつ加えた。さらに15mLのDMSOを加え、反応混合液を室温で20分間攪拌した。5mLの無水DMSO中に溶解させた35(3.73g、15.8mmol)を反応混合液に加え、温度を60〜65℃へ上昇させ、その温度で8時間攪拌した。この反応混合液を75mLのクラッシュアイスおよび75mLのヘキサンを含有する250mLのエルレンマイヤーフラスコ中に注ぎ込んだ。生じた混合液を15分間にわたり強力に攪拌し、次にヘキサンで抽出した。結合有機相をDMSO:水(1:1)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5:95、EtOAc:ヘキサン)による精製で320mg(10%)の36が得られた。Rf−0.632、(ヘキサン中の30%酢酸エチル)。
【0200】
【化55】
(1−イソプロポキシ−2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(37):)
1−イソプロポキシ−2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(37)は、McMurry et al.の方法(McMurry et al.,J.Org.Chem.(1973),38(16),2821)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0201】
アジ化シアンの調製:微細な粉末状のアジ化シアン(0.51g、7.8mmol)を5mLの無水アセトニトリル中の臭化シアン(0.83g、7.8mmol)の0℃溶液へ迅速に加えた。この反応混合液を0℃で4時間攪拌し、アジ化シアン(0.53g、7.8mmol)を含有する透明な上清溶液を濾過し、環拡大反応のために使用した。
【0202】
環拡大反応:外環オレフィン(320mg、1.3mmol)を50mLの丸底フラスコ中に装填し、窒素下に置いた。5mLのメタノール:アセトニトリル(1:1)を反応フラスコに加え、反応混合液を室温で攪拌した。これに新しく調製したアジ化シアン(0.53g、7.8mmol)を加え、反応混合液を室温で48時間にわたり攪拌した。5mLの6MのHClを加え、この反応液を50℃で4時間攪拌した。この反応混合液を次に室温へ冷却し、エーテルを用いて抽出した(2×30mL)。エーテル抽出液は中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させた。有機相は、爆発性アジ化物を除去するためにセライト層を用いて封をした塩基性アルミナのカラムに通して濾過した。溶媒を蒸発させた後のフラッシュカラムクロマトグラフィ(8:92、EtOAc:ヘキサン)による精製によって、110mg(33%)の37が得られた(オフホワイトの固体)。Rf:0.476、(70:30、ヘキサン:酢酸エチル)。
【0203】
【化56】
(1−イソプロポキシ−2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−オール(40):)
3,4,5−トリメトキシブロモベンゼン(1.49g、6.05mmol)を200mLの無水エーテルを窒素下で溶解させ、反応混合液を−78℃へ冷却した。n−ブチルリチウム(3.2mL、8.06mmol)を滴下した。反応混合液を次に温度が徐々に−30℃へ上昇するまで攪拌した。25mLの無水エーテル中に溶解させた37(1g、4.03mmol)を滴下し、反応混合液は温度が室温に加温するまで攪拌した。30mLの水を加え、有機相を分離した。水相はエーテルを用いて抽出し(2×50)、結合有機相は無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、30:70のEtOAc:ヘキサン)による精製で1.1g(66%)の40が得られた。Rf:0.15、(70:30、Hex:EA)。
【0204】
(4−イソプロポキシ−3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン(41):)
250mLの丸底フラスコ中に入れた30mLの酢酸および100mLの水中のSM(40)(1.1g、2.64mmol)の混合液を12時間還流させた。反応混合液を冷却し、ジクロロメタンを用いて抽出し(3×25mL)、結合有機相を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(10:90、酢酸エチル:ヘキサン)によって精製すると、白色結晶として1g(95%)の4−イソプロポキシ−3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンが得られた。Rf:56、(60:40、Hex:EA)。
【0205】
【化57】
(2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール(3):)
41(220mg、0.55mmol)を15mLの無水ジクロロメタン中に室温の窒素下で溶解させた。塩化アルミニウム(147mg、1.1mmol)を加え、反応混合液を10分間攪拌した。10mLの水を加え、生成物はジクロロメタ中で抽出し(2×20mL)、結合有機相は無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、減圧下で蒸発させて、カラムクロマトグラフィによって精製した。生成物3、81mg(収率41%)はヘキサン中の10%酢酸エチル中で得られた。Rf:0.54、(60:40、Hex:EA)。
【0206】
【化58】
(実施例2:任意のリンカーの合成)
本発明の化合物は、カルボニル基がコアスベレン(suberene)(もしくはジヒドロナフタレン)環とペンダントアリール環との間に導入されているベンゾイル置換基をさらに含んでいてよい。さらに、ベンゾイル置換基のカルボニル基は、チューブリンと同一もしくは類似の生物学的有効性を維持している新規な化合物を生成するために酸素と置換することができる。これらの化合物は、求核基としてトリメトキシフェノール性アニオンを利用する付加脱離反応によって調製できる。チオエーテル(−S−)、第2級アルコール(−CH(OH)−、およびメチレン(−CH2−)を含む、アリール−アリール環間の他の連結原子を想定できる。これらの化合物は、置換アリールとクロメン環との間の1原子架橋を形成すると企図されている。例えば、第2級アルコールは、対応するケトン(−C=O)−を水素化ホウ素ナトリウムにより還元することによって作製することができ、メチレンはトリフルオロ酢酸を用いる還元によって作製できる。または、単一共有結合は1原子リンカーに置換できる。
【0207】
((2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23;図9を参照))
(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23)は、当技術分野において知られている方法(Atmaram et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1999),9,2119;Koo,JACS.(1953),75(18),1891;Pettit et al.,J.Med.Chem.(2000),43,2731;Uffe et al.,Tet Lett.(2005),46,4261)を用いて、および以下に記載するように調製した。
【0208】
(5−オキソ−5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸メチルエステル(60):)
75gのポリリン酸(Acros)を250mLの丸底フラスコ内に装填し、次に1,2,3−トリメトキシベンゼン(5.0g、29.73mmol)およびモノ−メチルグルタル酸(6.516g、44.60mmol)を添加した。反応混合液を2.5時間にわたり45℃で機械的に攪拌した。次に反応混合液は約250mLの氷を含有する1,000mLのビーカー内に注ぎ入れ、全生成物が沈殿するまでしっかりと攪拌した。黄褐色の生成物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。この段階では、精製は必要としなかった。6.78g(77%)の生成物が入手され、これはNMRによると純粋であった。
【0209】
【化59】
(5−オキソ−5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸(61):)
6.78gの水酸化ナトリウムを100mLの丸底フラスコ内の25mLのメタノール中に溶解させた。反応混合液を室温に冷却させ、60(6.78g、22.90mmol)および次に5mLの水を加え、この反応混合液を30分間にわたり還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合液は希塩酸を用いて中和させ、反応混合液をエーテルにより抽出し(100×3)、結合有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(20:80、EA:Hex)によって精製すると7.05g(定量的収率)の61が得られた。
【0210】
【化60】
(5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸(62):)
5−オキソ−5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸(7.05g、24.97mmol)を不活性雰囲気下で100mLの無水エタノール中に溶解させ、2.0gのPd−Cを加えた。真空によって窒素ガスを除去し、フラスコ内に水素ガスを通過させた。反応混合液を1時間にわたり攪拌した。反応の完了はTLCによって確認した。反応混合液をセライトに通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させると、NMRによって純粋であった6.48g(97.74%)の62(無色油)が得られた。
【0211】
【化61】
(1,2,3−トリメトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(63):)
60(6.48g、24.19mmol)を250mLの丸底フラスコ内に量り入れ、次に75gのポリリン酸を加えた。反応混合液を2.5時間にわたり45℃で機械的に攪拌した。反応混合液を250mLの氷中に注ぎ入れ、全ポリリン酸が溶解するまで攪拌した。生じた溶液はジクロロメタンを用いて抽出し(100×3)、結合有機相は無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィ(92:8、ヘキサン:酢酸エチル)による精製で3.0g(50%)の63が得られた。生成物はNMRによって純粋であった。
【0212】
【化62】
((1,2,3−トリメトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾヘプテン)−5−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(64):)
(1,2,3−トリメトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾヘプテン)−5−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(64)は、Pinney et al.の方法(Pinney et al.,Steroids.(1992),57(5),222)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0213】
64(8.21g、32.81mmol)には150mLの無水エタノール、次にp−トルエンスルホニルヒドラジド(6.11g、32.81mmol)を窒素下で溶解させた。反応混合液は固体が溶解するまで室温で5分間攪拌した。P−トルエンスルホン酸一水和物(0.28g、0.05mmol)を加え、反応混合液を12時間攪拌し続けた。生成物が白色固体として沈殿したので、これを濾過し、氷温エタノールで洗浄し、乾燥させた(13.50g、収率98%)。Rf:0.325、(60:40、Hex:EA)。
【0214】
【化63】
((2,3−ビス−ベンジルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノール(94):)
36mLの新しく蒸留したTMEDAを250mLの丸底フラスコ内に窒素下で装填した。n−BuLi(5.89mL、14.72mmol)を加え、反応混合液を−50℃へ冷却させた。64(1.54g、3.68mmol)を加え、反応混合液を室温へ加温するために攪拌したが、これは約7時間を要した。2,3−ジベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(5.13g、14.72mmol)を加え、反応混合液を1時間攪拌した。25mLの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。結合有機相を水性CuSO4、次に食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(16:84のEA:ヘキサン)による精製で淡黄色油として1.02g(収率48%)の生成物(94)が得られた。Rf:0.56、(60:40、Hex:EA)。
【0215】
【化64】
((2,3−ビス−ベンジルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(95):)
94(0.94g、1.62mmol)を20mLの無水ジクロロメタン中に溶解させ、これを無水ジクロロメタン中のDess−Martinペルヨージナン(2.7g、6.5mmol)の溶液に窒素下で加えた。この反応混合液を1時間半攪拌し、次に水(30mL)、さらに1.3MのNaOH溶液(50mL)および50mLのジクロロメタンを加えた。有機相を1.3MのNaOH溶液(50mL)、次に100mLの水を用いて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(10:90のEtOAc:ヘキサン)による精製で生成物として淡黄色油(0.69g、収率73%)が得られた。Rf:0.43、(60:40、Hex:EA)。
【0216】
【化65】
((2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23):)
(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23)は、Felix et al.の方法(Felix,et al.,J.Org.Chem.(1978),43(21),4194)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0217】
95(0.69g、1.19mmol)は窒素下で20mLの無水EtOH中に溶解させ、反応混合液は25℃の温度を維持するために水浴中に浸漬した。1.2gのPd−Cおよび次に1,4−シクロヘキサジエン(1.13mL、11.90mmol)を加え、この反応混合液を7時間攪拌した。この反応混合液を完了についてTLCによって監視した(Rf:0.32、60:40、Hex:EA)。この反応混合液をセライトに通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、回転蒸発させ、カラムクロマトグラフィ(20:80、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、黄色油として0.3g(63%)の23が得られた。
【0218】
【化66】
((3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノンの合成(24;図9を参照))
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノール(96):)
20mLの新しく蒸留したTMEDAを250mLの丸底フラスコ内に窒素下で装填した。n−BuLi(4.8mL、9.60mmol)を加え、反応混合液を−50℃へ冷却させた。68(1.0g、2.40mmol)を加え、反応混合液を室温へ加温するために攪拌したが、これは約7時間を要した。3−イソプロポキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(1.9g、9.60mmol)を加え、反応混合液を1時間攪拌した。25mLの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した(2×50mL)。結合有機相を水性CuSO4、次に食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(16:84、EA:Hex)による精製で淡黄色油として0.3g(収率29%)の96が得られた。Rf:0.30、(60:40、Hex:EA)。
【0219】
【化67】
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(97):)
20mLの無水ジクロロメタン中に溶解させた96(0.30g、0.70mmol)を無水ジクロロメタン中のDess−Martinペリオジナン(1.48g、3.50mmol)の溶液に窒素下で加えた。この反応混合液を室温で1時間半攪拌し、次に水(30mL)、さらに1.3MのNaOH溶液(50mL)および50mLのジクロロメタンを加えた。有機相を1.3MのNaOH溶液(50mL)、次に100mLの水を用いて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(10:90のEtOAc:ヘキサン)による精製で生成物97として淡黄色油(0.170g、収率57%)が得られた。Rf:0.62、(40:60、Hex:EA)。
【0220】
【化68】
((3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(24):)
97(0.07g、0.16mmol)を10mLの無水CH2Cl2中に0℃の窒素下で溶解させた。無水AlCl3(44mg、0.33mmol)を加え、反応混合液を0℃で2分間攪拌した。飽和NH4Cl(5mL)を加え、有機相を分離した。水相はCH2Cl2(10mL)を用いて抽出し、結合有機相はNa2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(30:70、EtOAc:ヘキサン)による精製で生成物24(35mg、収率56%)として黄褐色油が得られた。Rf:0.23、(60:40、Hex:EA)。
【0221】
【化69】
((3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンの合成(22;図8を参照))
(4−オキソ−4−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−酪酸メチルエステル(55):)
75gのポリリン酸(Acros)、1,2,3−トリメトキシベンゼン(5.0g、29.73mmol)、およびモノ−メチルスクシネート(5.9g、44.59mmol)の混合液を45℃で2.5時間にわたり機械的に攪拌した。次に反応混合液は約250mLの氷を含有する1,000mLのビーカー内に注ぎ入れ、全生成物が沈殿するまでしっかりと攪拌した。黄褐色の生成物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。6.1g(72%)の55が入手され、これはNMRによると純粋であった。
【0222】
【化70】
(4−オキソ−4−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−酪酸(56):)
5.95gの水酸化ナトリウムを500mLの丸底フラスコ内の200mLのメタノール中に溶解させた。反応混合液を室温に冷却させ、55(6.78g、22.90mmol)、次に20mLの水および100mLのメタノールを加え、この反応混合液を30分間にわたり還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合液は希塩酸を用いて中和させ、反応混合液をエーテルにより抽出し(100×3)、結合有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(20:80、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると5.43g(94%)の黄褐色の56が得られた。
【0223】
【化71】
(4−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−酪酸(57):)
56(5.43g、20.24mmol)を250mLの丸底フラスコ内に装填し、100mLの無水エタノール、次に1.0gのPd−Cを加え、反応フラスコ内の全空気が排気されるまで反応フラスコを真空下に置いた。次に、水素ガスは水素ガスを充填したバルーンを用いてフラスコ内に通過させた。反応混合液を1時間にわたり攪拌した。反応の完了はTLCによって確認した。反応混合液をセライトに通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させると、5.42g(定量的)の57(無色油)が得られた。Rf:0.45、(70:30、Hex:EA)。
【0224】
【化72】
(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(58):)
59(4.44g、17.46mmol)を250mLの丸底フラスコ内に量り入れ、次に80gのポリリン酸を加えた。反応混合液を4時間にわたり70℃で機械的に攪拌した。反応混合液を250mLの氷中に注ぎ入れると生成物は黄褐色の固体として沈殿したので、これを濾過し、真空下で乾燥させると2.96g(72%)の生成物が得られた。Rf:0.36、(70:30、Hex:EA)。
【0225】
【化73】
((5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(59):)
(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(59)は、Pinney et al.の方法(Pinney et al.,Steroids.(1992),57(5),222)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0226】
63(2.96g、12.53mmol)には150mLの無水エタノール、次にp−トルエンスルホニルヒドラジド(2.33g、12.53mmol)を窒素下で溶解させた。反応混合液は固体が溶解するまで室温で5分間攪拌し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.11g、0.63mmol)を加え、反応混合液を12時間攪拌し続けた。生成物が白色固体として沈殿したので、これを濾過し、氷温エタノールで洗浄し、乾燥させた(4.65g、収率92%)。
【0227】
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノール(92):)
25mLの新しく蒸留したTMEDAを100mLの丸底フラスコ内に窒素下で装填した。n−BuLi(4.65mL、9.89mmol)を加え、反応混合液を−50℃へ冷却させた。59(1.0g、2.47mmol)を加え、反応混合液を室温へ加温するために攪拌したが、これは約7時間を要した。3−イソプロポキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(1.92g、9.89mmol)を加え、反応混合液を1時間攪拌した。25mLの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。結合有機相を水性CuSO4、次に食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(16:84、EA:Hex)による精製で淡黄色油として0.70g(収率69%)の生成物が得られた。Rf:0.31、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0228】
【化74】
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ナフタレン−1−イル)−メタノン(93):)
SM(92)(0.94g、1.62mmol)を20mLの無水ジクロロメタン中に溶解させ、これを無水ジクロロメタン中のDess−Martinペリオジナン(2.7g、6.5mmol)の溶液に窒素下で加えた。この反応混合液を1時間半攪拌し、次に水(30mL)、さらに1.3MのNaOH溶液(50mL)および50mLのジクロロメタンを加えた。有機相を1.3MのNaOH溶液(50mL)、次に100mLの水を用いて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(10:90のEtOAc:ヘキサン)による精製で生成物として淡黄色油(0.69g、収率73%)が得られた。Rf:0.43、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0229】
【化75】
((7,8,9−トリメトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(69;図4を参照))
(6−オキソ−6−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ヘキサン酸メチルエステル(65):)
150gのポリリン酸(Acros)を機械的スターラーを装備した250mLの丸底フラスコ内で1,2,3−トリメトキシベンゼン(10.0g、59.47mmol)、およびモノ−アジピン酸メチル(13.04mL g、89.20mmol)の混合液に加えた。反応混合液を2.5時間にわたり45℃で攪拌した。次に反応混合液は約500mLの氷を含有する1,000mLのビーカー内に注ぎ入れ、しっかりと攪拌した。黄褐色の生成物が沈殿したのでこれを濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。17.18g(93%)の65が入手され、これはNMRによると純粋であった。Rf:0.42、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0230】
【化76】
(6−オキソ−6−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ヘキサン酸(66):)
17gの水酸化ナトリウムを1,000mLの丸底フラスコ内の200mLのメタノール中に溶解させた。反応混合液を室温に冷却させ、66(6.78g、22.90mmol)、次に60mLの水および300mLの無水メタノールを加え、この反応混合液を30分間にわたり還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合液は希塩酸を用いて中和させ、反応混合液をエーテルにより抽出し(200×3)、結合有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(30:70、EtOAc:Hex)によって精製すると12.86g(78%)の淡黄色の57が得られた。Rf:0.15、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0231】
【化77】
(6−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ヘキサン酸(67):)
57(12.86g、43.40mmol)を250mLの丸底フラスコ内に装填し、300mLの無水エタノール、次に4.0gの10重量%のPd−Cを加え、反応フラスコ内の全空気が排気されるまで反応フラスコを真空下に置いた。次に、水素ガスは水素ガスを充填したバルーンを用いてフラスコ内に通過させた。反応混合液を12時間にわたり攪拌した。反応の完了はTLCによって確認した。反応混合液をセライトに通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させると、11.7g(96%)の67(無色油)が得られた。Rf:0.49、(50:50、Hex:EA)。
【0232】
【化78】
(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾシクロオクテン−5−オン(68):)
61(2.0g、7.06mmol)および40gのポリリン酸の混合液は45℃で4時間にわたり機械的に攪拌した。この反応混合液を100mLの氷中に注ぎ入れ、生じた水溶液はDCM(2×100mL)を用いて抽出した。結合有機相を水、次に食塩液で洗浄し、無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(7:93、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると1.32g(71%)の無色の65が得られた。Rf:0.38、(75:25、ヘキサン:EtOAc)。
【0233】
【化79】
((5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(69):)
68(1.32g、4.99mmol)は30mLの無水エタノール中に溶解させ、次にp−トルエンスルホニルヒドラジド(0.93g、4.99mmol)を窒素下で加えた。反応混合液は固体が溶解するまで室温で5分間攪拌し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.043g、0.25mmol)を加え、反応混合液を12時間攪拌し続けた。生成物が白色固体として沈殿したので、これを濾過し、氷温エタノールで洗浄し、乾燥させた(1.27g、収率59%)。
【0234】
【化80】
図5(下方パネル)は、化合物9を合成するための経路を示している。
【0235】
図3は、化合物5を合成するための経路を示している。
【0236】
図5(上方パネル)は、化合物10を合成するための経路を示している。
【0237】
(実施例3:中間体Iの合成(図11))
(3−ヒドロキシ−4−メトキシブロモベンゼン)
500mLの丸底フラスコ内に2,4−ジブロモアニソール(5.0g、18.8mmol)、次に200mLの無水テトラヒドロフランを窒素下で装填した。反応混合液を次に−78℃へ冷却し、n−ブチルリチウム(16.11mL、22.56mmol)を滴下した。反応混合液を30分間にわたり−78℃で攪拌した。反応混合液を次に0℃へ冷却し、トリメチルボレート(2.57mL、22.56mmol)を滴下した。反応混合液を30分間にわたり室温で攪拌した。5mLの氷酢酸を加え、次に滴下法で10mLの35重量%の過酸化水素を加えた。反応液を室温で12時間攪拌し続けた。反応は1N HClを用いて停止させ、酢酸エチルを用いて抽出し(100×3)、結合有機相は無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィによる精製によって1g(26%)の3−ヒドロキシ−4−メトキシブロモベンゼン(白色結晶)が得られた。(96:4、ヘキサン:酢酸エチル)。
【0238】
(実施例4:チューブリン重合の阻害)
チューブリン重合に対するIC50値は、以前に記載された方法(Bai et al.,Cancer Research,1996)にしたがって決定し、以下の表3に要約した。精製チューブリンは、以前に記載されたようにウシ脳細胞から得られた(Hamel and Lin,Biochemistry,1984)。様々な量の阻害剤は、精製チューブリンと一緒に37℃で15分間にわたりプレインキュベートした。インキュベーション期間後、反応液を冷却し、チューブリン重合を誘導するためにGTPを加えた。次に重合を350nmでGilford分光光度計で監視した。最終反応混合液(0.25mL)は1.5mg/mLのチューブリン、0.6mg/mLの微小管関連タンパク質(MAP)、0.5mMのGTP、0.5mMのMgCl2、4%のDMSOおよび0.1Mの4−モルホリンエタンスルホン酸塩バッファー(MES、pH6.4)を含有していた。IC50は、阻害剤の不在下で発生する阻害量に関してチューブリン重合を50%阻害するために必要な阻害剤の量である。
【0239】
【表3】
(実施例5:癌細胞系に対するインビトロ阻害細胞毒性活性)
新しく調製した化合物は、以前に記載された国立癌研究所の方法に類似するアッセイ系を用いてヒト腫瘍に由来する様々な細胞系に対する細胞毒性活性について評価した(Monks et al.,J.Natl.Cancer Inst.,1991)。手短には、特定細胞タイプおよび予測される標的細胞密度(細胞増殖特性に基づいて1ウエル当たり5,000〜40,000cells)にしたがって希釈した細胞懸濁液は、96ウエルマイクロタイタープレートへピペットによって加えた(100μL)。接種菌は、安定化のために37℃で24〜28時間にわたりプレインキュベートした。阻害剤化合物を用いたインキュベーションは、5%のCO2の雰囲気および100%湿度で48時間にわたり持続させた。細胞増殖の決定は、細胞のインサイチュー固定、その後の細胞高分子の塩基性アミノ酸に結合するタンパク質結合色素であるスルホローダミンB(SRB)を用いた染色によって実施した。可溶化染色は分光光度計によって測定した。
【0240】
数種の化合物をヒトP388白血球細胞系に対する細胞毒性活性について評価した。有効量もしくはED50値(細胞増殖の50%を阻害するために必要とされる有効量として規定されている)を測定した。これらおよび追加の化合物は、中枢神経系(「CNS」、SF−268)、膵臓(BXPC−3)、非小細胞肺癌(「肺−NSC」、NCI−H460)、乳腺(MCF−7)、結腸(KM20L2)、卵巣(OVCAR−3)、および前立腺(DU−145)を含む数種の他のヒト癌細胞系に対する増殖阻害活性に関して評価した。結果は、以下の表4に記載されている。増殖阻害GI50(腫瘍細胞増殖を50%阻害するために必要とされる用量であると規定されている)は、各細胞系について列挙されている。
【0241】
【表4】
(実施例6:腫瘍血流の阻害)
本発明の化合物の抗血管作用を、蛍光ビーズアッセイを用いて担癌マウスにおいて評価した。MHEC−5T血管内皮腫の腫瘍モデルは、Fox Chase CB−17重症複合型免疫不全症(「SCID」)マウスの右側腹部内に0.5×106培養形質変換細胞マウス真菌血管内皮細胞系(「MHEC5−T」)細胞の皮下注射によって確立した。移植した腫瘍が500mm3のサイズ(壊死の発生を伴わないサイズ)に達したときに、マウスに0.1〜50mg/kgの範囲の用量で食塩液コントロールまたは化合物の単回腹腔内(i.p.)注射を実施した。処置の24時間後、マウスには尾静脈内に0.25mLの希釈したFluoSphereビーズ(生理的生理的食塩液中に1:6)に静脈内注射し、3分後に致死させ、腫瘍を低温切開のために切除した。厚さ8μmの腫瘍低温切開片は定量的蛍光顕微鏡を用いて直接的に試験した。血管は注射したビーズから青色蛍光によって指示された。定量のために、各群で処置した3種の腫瘍由来の3切片についての画像解析を試験し、血管閉塞をコントロールに対する腫瘍組織面積(mm2)当たりの血管面積(mm2)のパーセンテージとして表示した(「%VAPM」)。
【0242】
(実施例7:中空糸アッセイによるインビボでの腫瘍増殖制御の評価)
ヒト腫瘍細胞をポリフッ化ビニリデン(PVDF)中で増殖させ、各細胞系をマウス腹腔内(IP)および皮下(SC)膜区画内へ注射した。マウスには2種の試験用量の化合物を腹腔内注射した。コントロール動物には希釈剤を注射した。ホルマザン色素(MTT)変換アッセイを使用して、本リガンドの抗ガン作用を評価するために生育可能な細胞塊を決定した。化合物処置したサンプルの平均光学密度をコントロール動物の平均光学密度で割ることによってT/C(%)を計算した。
【0243】
(代替実施形態)
本明細書で開示かつ要求した組成物および方法のすべては、本開示に照らすと過度の実験を行わずに作製かつ実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに本明細書に記載した組成物および/または方法ならびに方法の工程または工程順序に変更を加えられることは明白であろう。より詳細には、同一もしくは類似の結果を達成しながら化学的かつ生理学的に関連している所定の物質を本明細書に記載した物質と置換できることも明白であろう。そのような当業者には明白な類似の置換物および修飾は、添付の特許請求項によって規定される本発明の精神、範囲および範囲内に含まれると見なされる。
【0244】
任意の当業者には、これらは、偽性pi−pi積み重ねを受けることのできる類似の分子立体構造を生じさせるであろう方法でコンブレスタチンアナログの分子スカフォールドの周囲にトリメトキシアリールおよびトリメトキシアロイル基を付加する様々な方法があることが容易に明白であろう。さらに、トリメトキシアリールモチーフはチューブリン結合を増強させるために最高であると思われるが、三置換パターンもしくは二置換(1つのタイプのアルコキシ成分と)および一置換(相違するアルコキシ成分と)いずれかとしての、または3種のタイプのアルコキシ成分を用いるアルコキシ置換基(例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、アリルオキシなど)のまた別の組み合わせもまた良好なチューブリン結合特性を有することも極めて可能性が高い。アリールアルコキシ基を有する代わりに、単純にアリール−アルキルおよびアリール−アルケニル成分を置換し、それでもまだ高い細胞毒性プロファイルを維持することも可能であることもまた考えられる。フェノール基もまたこれらの記載したクロメンリガンドへの活性を有する可能性がある。これらのいずれかの合成クロメンリガンドの合成は当業者には極めて簡単であり、しばしば最初の出発物質の様々な選択しか含まないであろう。これらの代替のリガンドを調製するためには、本明細書に開示したものと同一の合成スキームまたは類似のスキームをほんのわずかな修飾を加えるだけで使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】本発明の代表的な化合物である化合物1および2の合成経路を示した図である。
【図2】本発明の代表的な化合物である化合物3および4の合成経路を示した図である。
【図3】本発明の代表的な化合物である化合物5および6の合成経路を示した図である。
【図4】中間体I、II、IIIおよびIVの合成について記載した参考文献の列挙を含む、本発明の化合物の合成において使用した様々な中間体の合成経路を示した図である。
【図5】本発明の代表的な化合物である化合物7、8、9、10、11、12、13および14の合成経路を示した図である。
【図6】本発明の代表的な化合物である化合物15、16、17および18の合成経路を示した図である。
【図7】本発明の代表的な化合物である化合物19および20の合成経路を示した図である。
【図8】本発明の代表的な化合物である化合物21および22の合成経路を示した図である。
【図9】本発明の代表的な化合物である化合物23および24の合成経路を示した図である。
【図10】本発明の代表的な化合物である化合物25および26の合成経路を示した図である。
【図11】本発明の一部の化合物の調製において使用される中間体である中間体Iの合成経路を示した図である。
【図12】本発明の一部の化合物の調製において使用される中間体である中間体IIの合成経路を示した図である。
【図13】本発明の代表的なホスフェートプロドラッグおよびその医薬上許容される塩の合成経路を示した図である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年6月14日に出願された表題「Combretastatin Analogs with Tubulin Binding Activity」の米国仮出願第60/690,689号に対する優先権を主張する。上で参照された出願の全内容は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細胞骨格タンパク質であるチューブリンは、充実性腫瘍を治療するために特に最も魅力的な治療薬標的である。特に高い効果が得られるクラスの化学療法薬は、チューブリンとの直接結合相互作用を通してその抗腫瘍作用を媒介する。この臨床的に前途有望なクラスの治療薬は、チューブリン結合剤もしくは抗チューブリン剤と呼ばれており、有糸分裂細胞分裂を促進するために必要とされる微小管構造へのαβ−チューブリンヘテロダイマーの集合を効果的に阻害することによって強力な腫瘍細胞毒性を示す(Li & Sham,Expert Opin.Ther.Patents.,2002)。
【0003】
現在のところ、最も広範囲に認識されていて臨床的に有用な抗チューブリン化学療法薬は、タキソールなどのタキサン類(Schiff et al.,Nature,1979)とともにビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイド類(Owellen et al.,Cancer Res.,1976)である。さらに、リゾキシン(Rao et al.,Tetrahedron Lett.,1992)、コンブレタスタチン類(Pettit et al.,Can.J.Chem.,1982)、キュラシンA(Gerwick et al.,J.Org.Chem.,1994)、ポドフィロトキシン(Coretese et al.,I.Biol.Chem.,1977)、エポチロンAおよびB(Nicolau et al.,Nature,1997)、ドラスタチン−10(Pettit et al.,J.Am.Chem.Soc,1987)、およびウェルウィスタチン(Welwistatin)(Zhang et al.,Molecular Pharmacology,1996)などの天然生成物、ならびにフェンスタチン(Phenstatin)(Pettit GR et al.,J.Med.Chem.,1998)、2−スチリルキナゾリン(styrylquinazolin)−4(3H)−オン(「SQO」、Jiang et al.,J.Med.Chem.,1990)、シス−およびトランス−スチルベンの高酸化誘導体、およびジヒドロスチルベン(Cushman et al.,J.Med.Chem.,1991)を含む合成アナログは、全部がチューブリン結合およびその後の有糸分裂を含む作用機序を通して腫瘍細胞毒性を媒介することが知られている。
【0004】
通常は、細胞有糸分裂の中期中に核膜が破壊され、チューブリンは、それに分裂中の染色体が付着するようになる微小管紡錘体装置の形成を促進する中心体(微小管重合中心とも呼ばれる)を形成することができる。引き続いての紡錘体装置の集合および解離は、各娘細胞が染色体の全補体を含有するように後期中の娘染色体の分離を緩和する。抗増殖剤もしくは抗有糸分裂剤として、チューブリン結合剤は、増殖中の腫瘍細胞において発生する相当に急速な有糸分裂を利用する。腫瘍細胞内でチューブリンに結合して紡錘体装置の形成を阻害することによって、チューブリン結合剤は患者の緩徐に分裂中の正常細胞への作用を相当に小さく抑えながら有意な腫瘍細胞毒性を引き起こすことができる。
【0005】
チューブリン結合部位相互作用の正確な性質はほとんど知られていないままであり、それらはチューブリン結合剤の各クラス間で明確に相違する。光親和性標識およびその他の結合部位解明技術は、チューブリン上の3つの重要な結合部位を同定した:1)コルヒチン部位(Williams et al.,J.Biol.Chem.,1985);2)ビンカアルカロイド部位(Safa et al.,Biochemistry,1987);および3)それにタキソールが結合する重合化微小管上の部位(Lin et al.,Biochemistry,1989)。この研究の重要な態様は、チューブリンのαおよびβ両方のサブユニットの「小分子」結合ドメインについての、分子レベルでの詳細な離解を必要とする。α,βチューブリンヘテロダイマーの三次構造は、電子結晶学として知られている技術を用いて3.7Åの解像度でDowningおよび同僚らによって1998年に報告された(Nogales et al.,Nature,1998)。この輝かしい業績で頂点に達した数十年に及ぶ研究はこの構造の解明に向けられており、光親和性および化学親和性標識化などの技術を用いて、コルヒチン部位などの小分子結合部位の同定を促進するはずである(Chavan et al.,Bioconjugate Chem.,1993;Hahn et al.,Photochem.PhotobioL,1992)。
【0006】
コルヒチン部位に結合する新規薬物には、多数のチューブリン結合剤が腫瘍自体とは対照的に悪性の増殖性腫瘍血管構造に対する活性も示すことが証明されているので、さらに重要視されている。抗血管化学療法は、腫瘍増殖を支持する脈管構造の増殖を標的とする薬物の開発に重点を置く癌化学療法の新生領域である。抗血管癌療法における研究の多くは血管新生として知られる新規な血管形成のプロセスを理解すること、および新規な血管の形成を阻害する抗血管形成剤を同定することに集中してきた。血管新生は、腫瘍内皮細胞の増殖および腫瘍の増殖を支持する新規脈管構造の生成を特徴とする。この増殖は、腫瘍自体によって産生する所定の成長因子によって刺激される。これらの成長因子の1つである血管内皮成長因子(「VEGF」)は、その同種受容体の制限およびアップレギュレートされた発現によって、内皮細胞に対して相当に特異的である。様々な抗血管形成戦略は、腫瘍血管構造の増殖および確立を防止するために生化学的経路における1つまたは複数の工程でこのシグナリングプロセスを阻害するために開発されてきた。しかし、抗血管形成療法は緩徐に作用し、所望の作用を生成するためには数ヵ月間から数年間の期間にわたって長期的に投与されなければならない。
【0007】
血管標的薬剤(「VTA」)は、血管破壊剤もしくは血管傷害剤としても知られており、別個のクラスの抗血管化学療法薬である。腫瘍を発生する新規微小血管形成を破壊する抗血管形成薬とは対照的に、VTAは確立された腫瘍血管構造を選択的に標的とし、腫瘍血流の広範囲の活動停止を引き起こすことによって充実性腫瘍を攻撃する。VTAの単回投与は、数分間から数時間の時間内に腫瘍新生血管構造の迅速かつ選択的活動停止を引き起こすことができ、最終的には低酸素症および栄養枯渇の誘導による腫瘍壊死をもたらす。このVTA作用の血管媒介性細胞毒性機序は、既存の腫瘍血管構造を妨害するよりむしろ新規な腫瘍血管新生の形成を阻害する抗血管形成剤の機序とは相当に大きく離れている。他の物質が腫瘍血管構造を破壊することが知られているが、それらもまたそれらの最高耐量で実質的な正常組織毒性も示す点で相違している。これとは対照的に、真正VTAは、それらの最高耐量の一部分でそれらの血管活動停止活性を保持している。チューブリン結合VTAは腫瘍内皮細胞の微小管細胞骨格を選択的に不安定化し、最終的に腫瘍血管の閉塞および腫瘍への血流の血洞停止をもたらす細胞の形状における著しい変化を引き起こすと考えられている(Kanthou et al.,Blood,2002)。
【0008】
コンブレタスタチンA4ホスフェートプロドラッグ(CA4P)は血管標的活性を備えることが知られている世界中の化合物の相当に少数の集団に含まれる主要な新規候補物質の1つである(特許文献1;Chaplin et al.,Anticancer Res.,1999;Tozer et al.,Cancer Res.,1999;Pettit and Rhodes,Anti−Cancer Drug Des.,1998;Iyer et al.,Cancer Res.,1998;Dark et al.,Cancer Res.,1997)。その親フェノール化合物であるコンブレタスタチンA−4(CA4)は、1970年代にGeorge R.Pettit教授(アリゾナ州立大学)によってSouth African bush willow(Combretum caffrum)から単離体として見いだされた。CA4は、チューブリン重合の強力な阻害剤であり、β−チューブリン上のコルヒチン部位に結合する。興味深いことに、CA4自体は腫瘍血管構造の破壊を示さないが、CA4Pは腫瘍血管構造の破壊に関して極めて活性である。このために、CA4Pのリン酸エステル部分は、脱リン酸化を受けるとチューブリン重合の阻害を通して腫瘍細胞を破壊する強力なチューブリン結合剤CA4が現れる。
【0009】
CA4Pは、現在は臨床開発中の1群のチューブリン結合VTAの中でも主要な薬物である。見いだされている他のチューブリン結合VTA類には、コルチシノイド(colchicinoid)ZD6126(Davis et al.,Cancer Research,2002)およびコンブレタスタチンアナログAVE8032(Lejeune et al.,Proceedings of the AACR.,2002)が含まれる。これらの進歩にもかかわらず、充実性腫瘍癌を治療および維持するための攻撃的な化学療法戦略は、依然として構造的に新規かつ生物学的により強力な化合物の開発に依存している。本発明は、強力な抗増殖活性および腫瘍細胞毒性を備える構造的に新規なクラスのチューブリン結合剤組成物を提供することによってこの緊迫した必要に対応する。
【特許文献1】米国特許第5,561,122号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、チューブリン集合および腫瘍細胞増殖を阻害できるチューブリン結合剤として機能するコンブレタスタチンアナログの発見に関する。これらのコンブレスタチンアナログは、ヒドロキシル成分およびアリールアルコキシ基などの構造的特徴を備えて適切に修飾された非チューブリン結合分子テンプレートの賢明な組み合わせの結果として生じる。さらに、本発明は、血管増殖性疾患および腫瘍疾患の1つまたは複数の症状を治療、予防もしくは緩和する場合に有用な化合物を提供する。本発明の化合物は、腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を減少させることに、およびチューブリン重合を阻害するためにもさらに有用である。
【0011】
1つの一般態様では、本発明は、以下の一般式I:
【0012】
【化15】
(式中、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0013】
式Iの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式Iのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式Iのまた別の実施形態では、nは2もしくは3である。
【0014】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式II:
【0015】
【化16】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0016】
式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R7はHである。式IIのさらにまた別の実施形態では、nは2もしくは3である。
【0017】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIa:
【0018】
【化17】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している;
R1、R3、R4およびR5は各々、独立してH、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0019】
式IIaの1つの実施形態では、R4およびR5はOCH3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは1である。式IIaのまた別の実施形態では、nは3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは4である。
【0020】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIb:
【0021】
【化18】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;およびnは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0022】
式IIbの1つの実施形態では、R4はHもしくはOHであり、R5はOHである。式IIaもしくはIIbの特定の実施形態では、R1およびR3はHである。式IIaもしくはIIbの他の実施形態では、R1はOHであり、R3はHである。式IIaもしくはIIbのさらに他の実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IIbのまた別の実施形態では、nは1である。式IIbのまた別の実施形態では、nは3である。式IIbのまた別の実施形態では、nは4である。
【0023】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式III:
【0024】
【化19】
(式中、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
およびR1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0025】
式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0026】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IV:
【0027】
【化20】
(式中、
破線は、独立して一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0028】
式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0029】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVa:
【0030】
【化21】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している;および
R1、R3、R4およびR5は各々、独立してH、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0031】
式IVaの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVaの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVaのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVaのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0032】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVb:
【0033】
【化22】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している;
R1、R3、R4およびR5は各々、独立してH、低級アルコキシ、ヒドロキシル、およびホスフェートからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0034】
式IVbの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVbの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVbのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVbのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0035】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式V:
【0036】
【化23】
(式中、R6は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0037】
式Vの別の実施形態では、R6は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Vのさらにまた別の実施形態では、R6はOHである。
【0038】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VI:
【0039】
【化24】
(式中、
R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0040】
式VIの1つの実施形態では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのまた別の実施形態では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式VIのまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0041】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VII:
【0042】
【化25】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、OH、ホスフェートおよびOCH3からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0043】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VIII:
【0044】
【化26】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0045】
式VIIIの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式VIIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式VIIIのまた別の実施形態では、nは0である。式VIIIのまた別の実施形態では、nは2である。式VIIIのまた別の実施形態では、nは3である。
【0046】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IX:
【0047】
【化27】
(式中、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IXのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IXのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0048】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式X:
【0049】
【化28】
(式中、R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Xの1つの実施形態では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Xのまた別の実施形態では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Xのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式Xのまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0050】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式XII:
【0051】
【化29】
(式中、R1、R4、R5およびR6は各々、独立して、OHおよびOCH3からなる群から選択され、X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0052】
また別の一般態様では、本発明は、動物における血管増殖性疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の環置換二環式縮合環系を投与する工程であって、このとき二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0053】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0054】
また別の実施形態では、血管増殖性疾患は、悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする。また別の実施形態では、悪性増殖性血管構造には腫瘍もしくはその他の腫瘍疾患が結び付いている。さらにまた別の実施形態では、増殖性疾患は、非悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする。さらにまた別の実施形態では、非悪性増殖性血管構造には、湿性もしくは加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、糖尿病性分子的水腫(diabetic molecular edema)、ブドウ膜炎、もしくは角膜血管新生を含む群から選択される眼疾患が結び付いている。さらにまた別の実施形態では、非悪性増殖性血管構造には、乾癬、慢性関節リウマチ、アテローム、再狭窄、カポジ肉腫、血管腫(haemangioma)などの非眼性疾患状態、および一般には血管増殖を特徴とする炎症性疾患が結び付いている。
【0055】
また別の態様では、本発明は、腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を選択的に減少させるための方法であって、環置換二環式縮合環系を投与する工程であって、このとき二環式縮合環系環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åであり、それにより隣接する領域内での組織の実質的壊死を伴わずに腫瘍領域内の組織の実質的壊死を引き起こす工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0056】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0057】
また別の実施形態では、腫瘍血流量における減少は、正常腫瘍血流量が治療中止後に回復されるように可逆性である。
【0058】
また別の態様では、本発明は、動物における腫瘍疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の環置換二環式縮合環系を投与する工程であって、このとき二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0059】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0060】
また別の実施形態では、本化合物は、有糸分裂の阻害に起因する腫瘍細胞毒性を誘発する直接的結果を有する。
【0061】
また別の態様では、本発明は、チューブリン含有系を環置換二環式縮合環系と接触させる工程であって、このとき二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである工程によってチューブリン重合を阻害するための方法を提供する。1つの実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物によって表される。また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0062】
また別の実施形態では、環置換二環式縮合環系は、3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される。
【0063】
また別の実施形態では、本系は腫瘍細胞である。
【0064】
また別の態様では、本発明は、医薬上適切な担体中に式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物を含有する医薬製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
(発明の詳細な説明)
新規な細胞分裂抑制薬の発見は、エストロゲン受容体(ER)と相互作用し、チューブリン結合のために必須と思われる構造的機能(すなわち、ヒドロキシル、アリールアルコキシ基、所定のハロゲン置換基など)を用いて修飾される分子テンプレート(スカフォールド)の慎重な組み合わせの結果として生じた。詳細には、メトキシアリール官能基は、所定のアナログでのコルヒチン結合部位での相互作用の増加にとって重要であると思われる(Shirai et al.,Biomedical Chem.Lett.1994)。本発明者らの初期の設計および合成の努力は、Eli Lilly and Co.(Jones et al.,J.Med Chem.1984;Grese et al.,J.Med Chem.,1997;Palkowitz et al.,J.Med Chem.,1997)によって開発された選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)であるラロキシフェンを連想させる構造的モチーフ、ならびにコルヒチンおよびコンブレスタチンチューブリン結合剤を含有するベンゾ[b]チオフェンリガンドに集中していた。
【0066】
この設計は、伝統的なエストロゲン受容体(ER)結合化合物はコルヒチンを想起させる構造モチーフを用いて修飾できること、そしてチューブリン重合の特異的阻害剤を生成するためのコンブレスタチンA4が本発明者らによる極めて活性のベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、およびインドールアンチチューブリンならびに細胞分裂抑制薬の調製によって妥当性が検証されたことを前提としている(米国特許第5,886,025号;第6,162,930号;第6,350,777号;および第6,593,374号;PCT特許公開WO01/19794;Mullica et al.,J.Chem.Cryst,1998;Pinney,et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1999)。各試験シリーズにおける主要化合物は、様々なヒト癌細胞系に対する顕著な生物活性を示している。
【0067】
本発明者らの仮説をさらに支持して、最近の試験は、所定のエストロゲン受容体(ER)結合化合物(例、2−メトキシエストラジオール)がチューブリンと相互作用し、構造的に修飾されたエストラジオールコンジナーとしてチューブリン集合を阻害できることを証明している(D’Amato et al.,Proc.Natl.Acad Sci,.1994;Cushman et al.,J.Med Chem.,1995;Hamel et al.,Biochemistry,1996;Cushman et al.,J.Med.Chem.,1997)。エストラジオールは、おそらくヒトにおける最も重要なエストロゲンであり、この化合物へのメトキシアリールモチーフの添加はそれをチューブリンと相互作用性にする点で興味深く有益である。さらに、2−メトキシエストラジオールがエストラジオールの天然ほ乳類代謝産物であり、妊娠中に特に顕著な細胞成長調節の役割を果たすこともまた注目に値する。
【0068】
ベンゾ[b]チオフェン構築体の構造−活性関係についての1つの分析は、トリメトキシフェニル環および4−メトキシフェニル環の隣接配置の重要性を強調してきた。理論で結び付けなくても、環間の架橋原子でのsp1ハイブリダイゼーションに沿って2つのアリール環の偽性pi積み重ねは、チューブリン結合特性を維持するために重要である。これらの要素に加えて、2つのアリール環間の中心間距離が重要である。この距離をCA4の距離(4.7Å)に近づけるための最適化は、チューブリンのコルヒチン結合部位に対する分子の結合親和性を改善する。2つの環間への2つの隣接原子のスペーサー成分の導入は、分子が偽性pi積み重ねのために自己調整するより多くの自由を許容することによってチューブリン結合特性を改善する。同様に、二重結合の導入による自由回転のための制限はより良好な生物活性を生じさせた。
【0069】
驚くべきことに、本明細書に記載した新規なコンブレスタチンアナログは、分子に増加した柔軟性を付与する5、6、7、もしくは8員環の存在にもかかわらず抗増殖性およびチューブリン結合特性を維持している。
【0070】
(I)用語の定義)
本明細書で使用するように、かぎ括弧内の用語は、複数形または単数形のいずれであっても、指示した意味を有する:
アミノ酸アシルアミノ基における「アミノ酸アシルアミノ基」は、アミノ酸に由来するアシル基である。アミノ酸は、a−アミノ酸、p−アミノ酸およびy−アミノ酸を列挙することができる。好ましいアミノ酸の例には、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、バリン、イソロイシン、オルニチン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、フェニルアラニン、システイン、メチオニン、アルギニン、P−アラニン、トリプトファン、プロリン、ヒスチジンなどが含まれる。好ましいアミノ酸はセリンであり、好ましいアミノ酸アシル基はセリンアミドである。
【0071】
「アミン」は、遊離アミンNH2もしくは低級アルキルアミノを意味する。
【0072】
「動物」は、任意の温血哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0073】
「アルキル」は、1〜8個の炭素原子を含有する基を意味し、直鎖状または分枝状であってよい。アルキル基は、任意に置換された直鎖状、分枝状または環状飽和炭化水素基である。置換される場合は、アルキル基は、任意の利用できる付着点で、規定されたように4つまでの置換基Rで置換されてよい。アルキル基がアルキル基と置換されていると言われる場合は、これは「分枝状アルキル基」と互換的に使用される。代表的な未置換のそのような基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどが含まれる。代表的な置換基には、以下の基の1つまたは複数が含まれるがそれらに限定されない:ハロ(例、F、Cl、Br、I)、ハロアルキル(例、CC13もしくはCF3)、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシ(−COOH)、アルキルカルボニルオキシ(−C(O)R)、アルキルカルボニルオキシ(−OCOR)、アミノ(−NH2)、カルバモイル(−NHCOOR−もしくは−OCONHR−)、尿素(−NHCONHR−)またはチオール(−SH)。規定したアルキル基は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合または1つまたは複数の炭素−炭素三重結合をさらに含んでいてよい。
【0074】
本明細書の用語「アリール」には、0〜4個のヘテロ原子を含んでいてよい5および6員の単環式芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが含まれる。アリール基には、例えばナフチル、キノリル、インドリルなどの多環式縮合芳香族基もまた含まれる。環構造内にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」、「ヘテロアリール」もしくは「ヘテロ芳香族」ともまた呼ぶことができる。芳香族環は、1つまたは複数の環位置で、上述したような例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族成分などの置換基で置換することができる。アリール基は、多環式(例、テトラリン)を形成できるように芳香族ではない脂環式もしくは複素環と縮合もしくは架橋することもできる。
【0075】
用語「アルケニル」および「アルキニル」には、上述のアルキル類と長さおよび可能な置換が類似であるが少なくとも1つの二重もしくは三重結合を各々含有している不飽和脂肪族基が含まれる。
【0076】
炭素の数が他に規定されていない限り、「低級アルキル」は、上記に規定した、しかしその主鎖構造内に1〜10個の炭素、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(例、「C1−C6−アルキル」)を意味する。同様に、「低級アルケニル」、「低級アルコキシ」および「低級アルキニル」は類似の鎖長を有する。好ましいアルキル基は低級アルキルである。さらに、「Cx−Cy−アルキル」(式中、xは1〜5であり、yは2〜10である)との表現は、特定範囲の炭素の特定のアルキル基(直鎖状もしくは分枝状)を示している。例えば、「C1−C4−アルキル」の表現には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびイソブチルが含まれるが、それらに限定されない。さらに、用語「C3−6−シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれるが、それらに限定されない。これらのアルキル基、ならびにシクロアルキル基は、さらに置換されていてよい。
【0077】
用語「ヘテロシクリル」もしくは「複素環基」には、環構造が1〜4個のヘテロ原子を含んでいる3〜10員の環構造、より好ましくは4〜7員の環が含まれる。ヘテロシクリル基には、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、例えばアゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどが含まれる。複素環は、1つまたは複数の位置で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族成分などの上述したような置換基で置換することができる。
【0078】
「アロイル」は、−(C=O)−アリール基(式中、アリールは上記に規定されている)を意味する。アリール基は、カルボニル架橋を通してコア化合物に結合している。
【0079】
「シクロアルキル」は、炭素原子間の交番もしくは共鳴二重結合を伴わずに、3〜15個の炭素原子を含有するアルキルの一種である。これは1〜4個の環を含有することができる。代表的な未置換のそのような基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどが含まれる。代表的な置換基には、以下の基の1つまたは複数が含まれる:ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオールおよび/またはアルキルチオ。
【0080】
「ハロゲン」もしくは「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素もしくはヨウ素を意味する。
【0081】
「低級アルコキシ」は、−O−アルキル基(式中、アルキルは上記に規定されている)を意味する。アルコキシ基は、酸素架橋を通してコア化合物に結合している。アルコキシ基は、直鎖状もしくは分枝状であってよい;だが直鎖状が好ましい。例には、メトキシ、エチルオキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、i−プロポキシなどが含まれる。好ましいアルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含有しており、特に好ましいアルコキシ基は1〜3個の炭素原子を含有している。最も好ましいアルコキシ基はメトキシである。
【0082】
「低級アルキルアミノ」は、1つまたは2つのアルキル基がアミノ窒素、すなわちNH(アルキル)に結合している基である。窒素は、アルキル基をコア化合物に連結する架橋である。例には、NHMe、NHEt、NHPrなどが含まれる。
【0083】
用語「ヘテロ原子」には、炭素もしくは水素以外の任意の元素の原子が含まれる。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄およびリンである。
【0084】
本明細書で使用する用語「アリールアルデヒド」には、式Ar−C(O)H(式中、Arはアリール成分(上記に記載)であり、―C(O)Hはホルミルもしくはアルデヒド基である)で表される化合物が含まれる。
【0085】
「プロドラッグ」は、インビボ(生体内)で代謝変換されると活性薬を生成する、薬物の前駆体形を意味する。本発明の好ましいプロドラッグには、本明細書に規定したホスフェート、ホスホルアミデート、またはアミノ酸アシル基が含まれる。ホスフェートエステル塩成分には、(−OP(O)(O−アルキル)2もしくは(−OP(O)(O−NH4+)2)もまた含まれてよい。好ましい実施形態では、本発明のプロドラッグは、活性薬のフェノール成分もしくはアミン成分とホスフェート、ホスホルアミデート、またはアミノ酸アシル基との置換を含んでいる。プロドラッグを調製するための様々な方法は当業者には知られている(例えば、Pettit and Lippert,Anti−Cancer Drug Design,(2000),15,203−216を参照されたい)。
【0086】
「フェノール成分」は、本明細書では、それがアリール環上のR基を意味する場合のヒドロキシル基を意味する。
【0087】
「ホスフェート」、「ホスフェート成分」、もしくは「ホスフェートプロドラッグ塩」は、ホスフェート二塩成分(−OP(O)(O−M+)2)、ホスフェートトリエステル成分(−OP(O)(OR)2)もしくはホスフェートエステル塩成分(−OP(O)(OR)(O−M+)(式中、Mは塩であり、Rは任意の適切なアルキルもしくは分枝状アルキル置換基(2つのR基は同一のアルキル基であっても混合されてもよい)、もしくはベンジル、またはアリール基となるように選択される)を意味する。塩Mは、有益にはNa、KおよびLiであるが、本発明はこの点において限定されない。
【0088】
「ホスホルアミデート」は、ホスホルアミデートエステル塩成分(−NP(O)(OR)(O−M+)、ホスホルアミデートジエステル成分(−NP(O)(OR)2)、もしくはホスホルアミデート二塩成分(−NP(O)(O−M+)2)(式中、Mは塩であり、Rは任意の適切なアルキルもしくは分枝状アルキル置換基(2つのR基は同一のアルキル基であっても混合されてもよい)、もしくはベンジル、またはアリール基となるように選択される)を意味する。塩Mは、有益にはNa、KおよびLiであるが、本発明はこの点において限定されない。
【0089】
「塩」は、医薬上許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、および酒石酸塩などの酸付加塩;Na、K、Liなどのアルカリ金属カチオン;MgもしくはCaなどのアルカリ土類金属塩;または本明細書に全体として参照して組み込まれるPCT国際出願WO02/22626もしくはWO00/48606に記載されているような有機アミン塩を含むことができる。代表的な有機アミン塩は、本発明の化合物のトロメタミン(TRIS)塩およびアミノ酸塩(例、ヒスチジン塩)である。
【0090】
本明細書で使用する用語「治療する工程」(もしくは「治療する」)には、結果として生じる症状を防止する、予防する、限定する、および緩徐化する、停止させる、または進行、重症度を逆転させることを含む一般に容認された意味が含まれる。そこで、本発明の方法は、治療的および予防的投与のどちらも含んでいる。
【0091】
「チューブリン結合剤」は、Aβ−チューブリンヘテロダイマーもしくは微小管のいずれかに結合することができ、微小管の集合もしくは解離を妨害できるチューブリンのリガンドもしくは化合物を意味する。
【0092】
「有効量」は、患者へ単回もしくは複数回投与すると、診断もしくは治療下にある患者において所望の作用を提供する化合物の量もしくは用量を意味する。有効量は、知られている技術を使用して、そして類似の状況下で入手された結果を観察することによって当業者のような担当診断医が容易に決定することができる。投与される化合物の有効量もしくは用量を決定する場合には、担当診断医によって、哺乳動物の種;そのサイズ、年齢および全身健康状態;関係する特定疾患、疾患の関与度もしくは重症度;個々の患者の応答;投与される特定化合物;投与様式;投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性;選択された投与レジメン;併用薬物の使用;およびその他の関連状況を含むがそれらに限定されない要素が考慮に入れられる。
【0093】
(II)発明の化合物)
本発明の化合物は、6員環で置換された二環式縮合環系を特徴とするコンブレスタチンアナログである。そのような化合物は、本明細書では「環置換二環式縮合環系」もしくは「コンブレスタチンアナログ」と呼ぶ。例示するために、環置換二環式縮合環系の例を以下に示す:
【0094】
【化30】
XおよびY環は二環式縮合環成分を構成し、Z環は6員環成分を構成する。破線は独立して一重もしくは二重線を意味し、nは0、1、2もしくは3であってよい。以下に示す環置換二環式縮合環系の炭素は、以下で例示する式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの場合と同様に、追加の官能基で個別に置換することができる。二環式縮合環系の例には、1,2−ジヒドロ−ナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン、ナフタレン、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン、6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン、7H−ベンゾシクロヘプテン、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−ベンゾシクロオクテン、5H−ベンゾシクロヘプテン、5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン、および5,6−ジヒドロ−ベンゾシクロオクテン、ならびに5,8−ジヒドロ−ベンゾシクロオクテンが含まれるが、それらに限定されない。6員環の例には、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサ−l,3−ジエンおよびベンゼンが含まれるが、それらに限定されない。
【0095】
特定の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基(環Z)と外環(環X)との中心間距離は、4〜7Åである。好ましい実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、4〜5Åである。また別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、5〜6Åである。さらにまた別の実施形態では、二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は、6〜7Åである。本明細書で使用する用語「中心間距離」は、環置換二環式縮合環系の環置換基と環置換二環式縮合環系の外環の幾何中心間の距離を意味する。本明細書で使用する用語「環置換二環式縮合環系の外環」は、6員環で置換されていない環置換二環式縮合環系の環を意味する。
【0096】
1つの一般態様では、本発明は、以下の一般式I:
【0097】
【化31】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Iの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式Iのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。
【0098】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式II:
【0099】
【化32】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、Xは一重結合である。式IIのまた別の実施形態では、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIのさらにまた別の実施形態では、R7はHである。
【0100】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIa:
【0101】
【化33】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0102】
式IIaの1つの実施形態では、R4およびR5はOCH3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは1である。式IIaのまた別の実施形態では、nは3である。式IIaのまた別の実施形態では、nは4である。
【0103】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IIb:
【0104】
【化34】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0105】
式IIbの1つの実施形態では、R4はHもしくはOHであり、R5はOHである。式IIbのまた別の実施形態では、R4はHもしくはホスフェートであり、R5はホスフェートである。式IIbのまた別の実施形態では、nは1である。式IIbのまた別の実施形態では、nは3である。式IIbのまた別の実施形態では、nは4である。
【0106】
式IIaもしくはIIbの特定の実施形態では、R1およびR3はHである。式IIaもしくはIIbの他の実施形態では、R1はOHであり、R3はHである。式IIaもしくはIIbの他の実施形態では、R1はホスフェートであり、R3はHである。式IIaもしくはIIbのさらに他の実施形態では、R1およびR3はOCH3である。
【0107】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式III:
【0108】
【化35】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;およびR1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0109】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IV:
【0110】
【化36】
(式中、破線は、独立して一重もしくは二重結合を示す;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式IVのさらにまた別の実施形態では、破線は一重結合であり、Xは一重結合であり、およびフェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0111】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVa:
【0112】
【化37】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;および
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0113】
式IVaの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVaの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVaのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVaのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0114】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IVb:
【0115】
【化38】
(式中、フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;および
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ホスフェート、およびヒドロキシルからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0116】
式IVbの1つの実施形態では、R1およびR3はOCH3である。式IVbの1つの実施形態では、R4およびR5はOHである。式IVbのまた別の実施形態では、R4およびR5はホスフェートである。式IVaのさらにまた別の実施形態では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。
【0117】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式V:
【0118】
【化39】
(式中、R6は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Vの別の実施形態では、R6は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式Vのさらにまた別の実施形態では、R6はHである。
【0119】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VI:
【0120】
【化40】
(式中、R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式VIの1つの態様では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのまた別の態様では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのさらにまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式VIのまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0121】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VII:
【0122】
【化41】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、OH、ホスフェートおよびOCH3からなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0123】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式VIII:
【0124】
【化42】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;およびnは0、1、2もしくは3である)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式Iの1つの実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ホスフェートおよびホスホルアミデートからなる群から選択される。式Iのまた別の実施形態では、Xは一重結合である。
【0125】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式IX:
【0126】
【化43】
(式中、破線は、一重もしくは二重結合を示す;Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、N、N(H)、OおよびSからなる群から選択される;R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;および環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」に結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R1、R2、およびR3は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式IIIのまた別の実施形態では、Xは一重結合であり、R4、R5、およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。
【0127】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式X:
【0128】
【化44】
(式中、R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される;およびフェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。式VIの1つの態様では、R1およびR3は、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのまた別の態様では、R5およびR6は各々、独立して、H、OCH3、ホスフェートおよびOHからなる群から選択される。式VIのさらにまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「a」に結合している。式VIのまた別の態様では、フェニル環「Z」は炭素「b」に結合している。
【0129】
また別の一般態様では、本発明は、以下の一般式XI:
【0130】
【化45】
(式中、R1、R4、R5およびR6は各々、独立して、OH、ホスフェート、およびOCH3からなる群から選択され、X1、X2、X3、X4およびX5は各々、X1、X2、X3、X4およびX5のうちの少なくとも1つがCでもC(H)でもないことを前提に、独立してC、C(H)、およびNからなる群から選択される)のコンブレスタチンアナログまたは医薬上許容されるそれらの塩を提供する。
【0131】
また別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載した本発明の化合物を含有する任意の新規な化合物または医薬組成物を含んでいる。例えば、本明細書に記載した化合物(例、表Iおよび表II)を含有する化合物および医薬組成物は、それらのプロドラッグおよび例えば医薬上許容される塩などのそれらの塩を含めて、本発明の一部である。式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物と同様に、表Iおよび表IIの化合物もまた「本発明の化合物」であると見なされる。
【0132】
本発明の特定の化合物には、それらの各々が本発明の個別実施形態であると見なされる以下の表Iおよび表IIの化合物が含まれる。重心距離は、化合物の名称の後の括弧内に含まれている。
【0133】
【表1−1】
【0134】
【表1−2】
【0135】
【表1−3】
【0136】
【表2−1】
【0137】
【表2−2】
本発明の化合物は、当技術分野において知られている標準の有機合成方法にしたがって合成できる。本発明の化合物のための合成方法は、本明細書に含まれる実験の部および図面にも記載されている。
【0138】
本発明の化合物の酸付加塩は、最も適切には医薬上許容される酸から形成され、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸および例えばコハク酸、マレイン酸、酢酸もしくはフマル酸などの有機酸を用いて形成されるものが含まれる。例えばシュウ酸塩のような他の医薬上許容されない他の塩は式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、IVb、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物の単離において、ならびに本発明の化合物を実験で使用するため、またはその後の医薬上許容される酸付加塩へ変換させるために使用することができる。本発明の溶媒和物および水化物もまた本発明の範囲内に含まれる。
【0139】
所定の化合物塩の所望の化合物塩への変換は、所定の塩の水溶液が例えば炭酸ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどの塩基の溶液で処理されて遊離塩基が遊離させられ、これが次にエーテルなどの適切な溶媒中で抽出される標準技術を適用することによって達成される。遊離塩基は、次に水性部分から分離され、乾燥させられ、所望の塩を得るために必要な酸で処理される。
【0140】
本発明の所定の化合物のインビボで加水分解可能なエステルもしくはアミドは、遊離ヒドロキシもしくはアミノ官能基を有するそれらの化合物を塩化メチレンもしくはクロロホルムなどの不活性溶媒中で塩基の存在下において所望のエステルの酸塩化物で処理することによって形成できる。適切な塩基には、トリエチルアミンもしくはピリジンが含まれる。これとは反対に、遊離カルボキシ基を有する本発明の化合物は、活性化の後に適切な塩基の存在下で所望のアルコールを用いた処理を含むことができる標準条件を用いてエステル化できる。
【0141】
(III)癌および他の悪性増殖性疾患の治療)
本発明のコンブレスタチンアナログは、様々なヒト癌細胞系に対して顕著な細胞毒性を示す。薬剤がチューブリン集合および微小管形成を阻害する能力は、多数の抗癌剤の重要な特性である。細胞骨格および紡錘体装置を含む微小管の崩壊は、細胞が細胞分裂の完了に成功する能力を劇的に妨害することができる。
【0142】
本発明の化合物は、活動的に増殖する細胞に対して高度に細胞毒性であり、それらの有糸分裂を阻害し、正常な静止細胞には比較的に影響を及ぼさないままで頻回にそれらの選択的アポトーシスを誘発する。したがって、本発明の化合物の抗増殖性もしくは有糸分裂抑制特性を使用すると、悪性もしくは新生物腫瘍または以下を含む癌の細胞の増殖を直接的に阻害する、または直接細胞毒性を付与することができる:
1)例えば膀胱、乳房、結腸、直腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、下咽頭、食道、胆嚢、尿路、卵巣、子宮頸、子宮、膵臓、胃、内分泌腺(甲状腺、副腎、および下垂体を含む)、前立腺、精巣および皮膚の癌などの、扁平上皮癌を含む癌;
2)白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞白血病およびBurkettリンパ腫を含む、リンパ球系の造血系腫瘍;
3)急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および急性前骨髄球性白血病を含む、骨髄細胞系の造血系腫瘍;
4)線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉細胞起源の腫瘍;
5)星状細胞種、神経芽細胞腫、神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、神経腫、神経膠腫、神経膠芽細胞腫を含む、中枢および末梢神経系および髄膜の腫瘍;および
6)黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、xenoderoma pigmentosum、keratoctanthoma、甲状腺濾胞状癌、未分化甲状腺癌およびカポジ肉腫を含むその他の腫瘍。
【0143】
または、本発明の化合物は、例えば内皮、動脈、血管、もしくは腫瘍によって形成された新生血管構造などの悪性増殖性血管構造にそれらが及ぼす作用に起因して上述の腫瘍および癌の成長および増殖の間接的制御を付与することができる。これらの抗血管特性には、増殖性腫瘍血管構造の可逆性もしくは不可逆性、部分的もしくは完全のいずれであっても選択的破壊、損傷、または閉塞が含まれるがそれらに限定されない。
【0144】
本発明の化合物は、単独で、または充実性腫瘍癌を治療するために患者へ便宜的に投与される放射線療法および/または他の化学療法と組み合わせてのいずれかで使用した場合に上述した腫瘍および癌を治療するためにもまた有用な可能性がある。例えば、本発明の化合物は、以下のメカニズム的クラスの1つから選択された化学療法薬と一緒に投与することができる:
1.アルキル化剤:ヌクレオチドにアルキル基を付与する化合物。アルキル化DNAは、自己 複製することができず、細胞増殖が停止する。代表的なアルキル化剤には、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、ブスルファン、dacarbaine、メトトレキセート、5−FU、cytosine arabinosoide、もしくは6−チオグアニンが含まれる。
【0145】
2.抗血管形成剤:腫瘍血管構造の形成を阻害する化合物。代表的な抗血管形成剤には、TNP−470もしくはAvastin(商標)が含まれる。
【0146】
3.抗腫瘍性抗生物質:抗菌性および細胞毒性活性を有する化合物。
【0147】
そのような化合物は、酵素もしくは有糸分裂を化学的に阻害する、または細胞膜を変化させることによってDNAを妨害することもできる。代表的な抗腫瘍性抗生物質には、アクチノマイシン−D、ブレオマイシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、およびドキソルビシンが含まれる。
【0148】
4.トポイソメラーゼ阻害剤:DNA複製を阻害することによってトポイソメラーゼ活性を妨害する物質。そのような物質には、CPT−11およびトポテカンが含まれる。
【0149】
5.ホルモン療法:抗エストロゲン薬が含まれるがそれらに限定されない。代表的な抗エストロゲン薬はタモキシフェンである。
【0150】
6.抗微小管化合物。本発明の化合物は、例えば、コンブレスタチンA−1ジホスフェート、コンブレスタチンA−4ホスフェート、ビンクリスチン、パクリタキセル、タキソテール、エトポシド、およびビンブラスチンを含む他の抗微小管化合物と併用することができる。
【0151】
さらに他の実施形態では、本発明の化合物は、白金配位化合物(例、カルボプラチン、シスプラチン、もしくはオキサリプラチン)と一緒に投与することができる。
【0152】
(IV)非悪性血管増殖性疾患の治療)
他の実施形態では、本発明の化合物ならびにそれらのアナログは、血管標的薬剤(VTA)として使用することができるので、内皮、動脈、血管、もしくは新生血管構造に腫瘍は結び付いていないが、それでも望ましくない、または病理的な血管形成によって形成されている非悪性血管増殖性疾患の治療のためにもまた有用である。そのような疾患状態には、制限なく以下が含まれる:
1)湿性もしくは加齢性黄斑変性、近視性黄斑変性、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、糖尿病性黄斑水腫、ブドウ膜炎、新生血管緑内障、皮膚潮紅、水晶体後方線維増殖症、色素線状症、眼ヒストプラスマ症、および角膜新生血管形成などの眼疾患;
2)子宮内膜症、乾癬、慢性関節リウマチ、Osier−Webber症候群、創傷肉芽形成などの炎症性疾患;および
3)アテローム硬化症、アテローム、再狭窄、血管腫、再狭窄などの心血管疾患。
【0153】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、眼の網膜組織における非悪性血管増殖性疾患の治療のための本発明の化合物の投与に向けられる。網膜組織の新生血管形成もしくは「網膜症」は、血管増殖を特徴とする病原性状態であり、程度の様々な視覚不全を伴う様々な眼疾患において発生する。血液網膜関門(BRB)は、網膜毛細血管と網膜組織との間の所定の物質に対する輸送障壁を形成する特殊な無窓の緊密に結合した内皮細胞から構成される。網膜症と結び付いている網膜の発生期血管は、充実性腫瘍と結び付いている血管に極めて類似して異常である。チューブリン集合の阻害剤であるチューブリン結合剤および血管標的薬剤は、これらの血管がBRBと構造的類似性を共有していないので異常な血管を攻撃することができる。チューブリン結合剤は、それらが腫瘍血管構造に行うのと極めて同様に疾患の進行を停止させることができる。湿性黄斑変性、増殖性糖尿病性網膜症もしくは未熟児網膜症などの網膜症と結び付いている網膜新生血管形成の薬理学的制御のためのVTAの投与は、治療選択肢をほとんど利用できない患者にとって潜在的に有益であろう。
【0154】
本発明の化合物は、血管疾患、特別にはアテローム硬化症および再狭窄の治療において使用するためにもまた企図されている。アテローム硬化症は、血管疾患の最も一般的な形態であり、極めて重要な身体器官への不十分な血液供給をもたらし、結果として心臓発作、脳卒中、および腎不全を生じさせる。さらに、アテローム硬化症は、高血圧および糖尿病に苦しんでいる患者、ならびに喫煙者において主要な合併症を誘発する。アテローム硬化症は、通常は血管緊張を制御する動脈壁における正常血管平滑筋細胞(VSMC)の一部は、血流量を調節し、それらの性質を変化させ、「癌様」挙動を発生する、慢性血管傷害の1つの形態である。これらのVSMCは、異常に増殖性になり、それらが血管裏層を侵襲してその中に広がることを可能にさせる物質(成長因子、組織変性酵素および他のタンパク質)を分泌し、血流を遮断し、血管に局所的血液凝固による完全な遮断に異常に高感受性にさせ、その動脈によって血液供給される組織の死を生じさせる。
【0155】
矯正外科手術後の狭窄もしくは動脈狭窄の再発である再狭窄は、アテローム硬化症の進行形である。最近得られた証拠は、冠動脈狭窄症は冠状静脈グラフトおよび心臓同種移植アテローム硬化症とともに、特発性アテローム硬化症を生じさせる同一病原性プロセスの極めて進行形を表すと見なすことができるという血管傷害の統一的仮説を支持している。再狭窄は、同様にアテローム硬化症性病変における後期にも一般的である、血小板由来成長因子(PDGF)および塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む強力な成長調節分子を含む血管傷害に対する複雑な一連の線維増殖性応答に起因し、結果として血管平滑筋細胞増殖、移動および新生内膜集積を生じさせる。
【0156】
再狭窄は、冠動脈バイパス手術(CAB)、動脈内膜切除術、および心臓移植後に、ならびに特別には心臓バルーン血管形成術、アテレクトミー、レーザーアブレーションもしくは血管内ステント術後に発生し(それらの各々において患者の3分の1が6カ月以内に再狭窄を再発生する)、そして症状の再発(または死亡)の原因となり、しばしば反復血行再建術を必要とする。最近10年間にわたる研究および血管形成術、バイパスグラフト術および動脈内膜切除術を含むアテローム硬化症性疾患の様々な内科的および外科的治療の一次成功率における改善にもかかわらず、後期再狭窄に起因する続発性不全は患者の30〜50%において発生し続けている。反復血行再建術による手術は時間および金銭を消費し、患者にとって不都合であり、合併症もしくは死亡の重大な危険性をもたらすことがある。再狭窄を防止するために最も有効な方法は、細胞レベルにある。
【0157】
(V)化合物の用量および投与)
典型的な1日量は、約0.1mg/kg〜約1,000mg/kgの本発明の活性化合物を含有するであろう。好ましくは、1日量は,約10mg/kg〜約100mg/kg、および最も好ましくは約10mgであろう。
【0158】
本明細書に記載した状態、疾患もしくは障害に罹患した患者の治療を行う場合には、本発明の化合物は、化合物を有効量で生体内利用可能にする任意の形態もしくは様式で全身性投与することができる。全身性投与は、疾患もしくは罹患器官もしくは組織から測定可能な距離で離れている部位での血流内への本発明の化合物の投与によって遂行できる。例えば、本発明の化合物は、経口、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、鼻腔内、直腸内、経口腔的などで投与できる。経口もしくは静脈内投与は、腫瘍疾患もしくは癌を治療するために一般に好ましい。または、本化合物は疾患もしくは罹患器官もしくは組織での本発明の化合物の直接的な局所投与によって非全身性投与することができる。非悪性増殖性血管構造もしくは新生血管形成の存在を特徴とする眼疾患の治療は、硝子体内注射、テノン嚢下注射、点眼薬、イオントフォレーシス、局所製剤およびインプラントおよび/またはインサートなどの非全身性投与方法を用いて達成できる。処方製剤を調製する分野の当業者であれば、選択された化合物の特定の特性、治療すべき疾患状態、疾患の病期、および他の関連状況に依存して、投与の適正な形状および様式を容易に選択することができる。
【0159】
当業者には、本発明において使用される化合物の全部が塩を形成できること、および医薬品の塩形は、それらがしばしば遊離塩基より容易に結晶化かつ精製されるために一般に使用されることは理解されるであろう。あらゆる場合に、塩として上述した医薬品の使用は本明細書の記載において企図されており、しばしば好ましく、そしてすべての化合物の医薬上許容される塩はそれらの名称に含まれている。
【0160】
また別の態様によると、本発明は、本発明の化合物もしくは上記に規定したそれらの医薬上許容される塩および医薬上許容される希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物を提供する。
【0161】
本医薬組成物は、よく知られていて容易に入手できる成分を用いて知られている方法によって調製される。本発明の組成物を製造する場合には、有効成分は、通常は担体と混合され、もしくは担体で希釈され、もしくは担体内に封入され、そしてカプセル、サシェ剤の形状、紙もしくは他の容器内に入れられてよい。担体が希釈剤として機能する場合は、担体は、有効成分のビヒクル、賦形剤、もしくは溶媒として作用する固体、半固体、または液体物質であってよい。本組成物は、例えば、重量で10%までの活性化合物を含有する錠剤、ピル剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、エマルジョン剤、液剤、シロップ剤、エーロゾル剤、軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射液、および無菌包装散剤の形状にあってよい。
【0162】
適切な担体、賦形剤、および希釈剤の一部の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、ガム、アカシア、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、シロップ水、メチルセルロース、ヒドロキシル安息香酸メチルおよびプロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油が含まれる。本調製物は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存剤、甘味料、またはフレーバー剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、当分野においてよく知られている方法を使用することによって患者に投与した後の有効成分の迅速、持続性、もしくは遅延性放出を提供できるように調製できる。
【0163】
本組成物は、好ましくは、各用量が約1mg〜約500mg、より好ましくは約5mg〜約300mg(例えば25mg)の有効成分を含有する、単位製剤に調製される。用語「単位製剤」は、各単位が適切な医薬担体、希釈剤、もしくは賦形剤と結び付いて、所望の治療作用を生成するために計算された規定量の活性物質を含有している、ヒト被験者および他の哺乳動物のための単一用量として適切な物理的に別個の単位を意味している。
【0164】
以下の調製実施例は例示するためだけであり、決して本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0165】
本発明の組成物は、1つまたは複数の医薬上許容される担体を用いて従来方法で調製できる。そこで、本発明の組成物は、経口、経口腔、経皮(例、パッチ)、鼻内、非経口(例、静脈内、筋肉内もしくは皮下)もしくは直腸投与のために、または吸入もしくは通気法による投与のために適切な形態で調製することができる。
【0166】
または、本発明の化合物は、リポソームの形態で投与できる。当技術分野において知られるように、リポソームは一般にリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散している単層もしくは多層水和液晶によって形成される。リポソームを形成できる任意の非毒性、生理学的に許容され代謝可能な液体を使用できる。リポソーム形にある組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、天然および合成両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Prescott Ed.,Methods in Cell Biology,Volume XTV,Academic Press,New York,NY,1976,p33を参照されたい)。
【0167】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例、ラクトース、リン酸カルシウムの微結晶セルロース);潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);錠剤崩壊剤(ジャガイモデンプンもしくはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤を用いて従来型手段によって調製される錠剤もしくはカプセル剤の形状を取ることができる。錠剤は、当技術分野においてよく知られている方法によってコーティングできる。経口投与するための液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤もしくは懸濁剤の形態を取ることができる、またはそれらは水もしくは他の適切なビヒクルを用いて使用前に復元するための乾燥製品として提示されてよい。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例、ソルビトールシロップ、メチルセルロースもしくは水素添加食用脂);乳化剤(例、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例、アーモンド油、油性エステルもしくはエチルアルコール);および保存剤(例、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの医薬上許容できる添加物を用いて従来型手段によって調製できる。
【0168】
経口腔投与のためには、本組成物は従来方法で調製された錠剤もしくはロゼンジ剤の形状を取ることができる。
【0169】
本発明の活性化合物は、従来型カテーテル法技術もしくは注入を用いることを含めて、注射による非経口投与のために調製できる。注射用製剤は、単位製剤で、例えばアンプル中または保存剤が添加された多用量容器で提供されてよい。本組成物は、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液、液剤もしくはエマルジョンなどの形態を取ることができ、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの調製用物質することを含有している。または、有効成分は、例えば無菌発熱物質無含有の水などの適切なビヒクルを用いて使用前に復元するための散剤形にあってよい。
【0170】
本発明の活性化合物は、例えば、坐剤またはカカオ脂もしくは他のグリセリドなどの従来型坐剤用基剤を含有している油性停留浣腸などの直腸用組成物で調製することもできる。
【0171】
鼻内投与もしくは吸入による投与のためには、本発明の活性化合物は患者によって圧搾もしくはポンピングされるポンプ型スプレー容器からの液剤もしくは懸濁剤の形状で、または適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくは他の適切な気体を使用して、加圧式容器もしくはネブライザーからのエーロゾルスプレー提示として便宜的に送達される。加圧エーロゾルの場合には、用量単位は、規定量を送達するための弁を用意することによって決定できる。加圧式容器もしくはネブライザーは、本活性化合物の液剤もしくは懸濁剤を含有していてよい。吸入器もしくは粉吹き器に入れて使用するためのカプセルもしくはカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本発明の化合物とラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末状基剤の混合粉体を含有して調製できる。
【0172】
本化合物の錠剤もしくはカプセル剤は、個々に、または適切な時点に2回以上投与できる。徐放性調製物中の化合物を本化合物を投与することもまた可能である。
【0173】
医師は、個々の患者に最も適合するであろう、そして特定患者の年齢、体重および応答に伴って変動するであろう実際の用量を決定するであろう。上記の要領は、平均的場合の典型である。当然ながら、個々の場合にはより高用量もしくは低用量範囲が有益であり、そのような用量範囲は本発明の範囲内に含まれる。
【0174】
本発明の化合物は、吸入によって、もしくは坐剤もしくはペッサリーの形態で投与することができる、またはそれらはローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは散布剤の形態で局所的に投与することができる。経皮的投与の代替手段は、皮膚パッチの使用である。例えば、それらはポリエチレングリコールもしくは流動パラフィンの水性エマルジョンからなるクリーム剤に組み込むことができる。それらは、1〜10重量%の濃度で、必要に応じた安定剤および保存料と一緒に白ろうもしくは白色ワセリン基剤からなる軟膏に組み込むことができる。
【0175】
「投与する工程」は、当業者には知られている、被験者に化合物を投与するいずれかの標準方法を意味する。例には、静脈内、筋肉内もしくは腹腔内投与が含まれるがそれらに限定されない。
【0176】
本発明のためには、「医薬上許容される担体」は、任意の標準医薬担体を意味する。適切な担体の例は当技術分野においてよく知られており、リン酸緩衝生理食塩液、POLYSORB 80を含有するリン酸緩衝生理食塩液、水、油/水型エマルジョンなどのエマルジョン、および様々なタイプの湿潤剤などの標準の医薬担体のいずれかを含むことができるが、それらに限定されない。その他の担体には、無菌液剤、錠剤、コーティング錠、およびカプセル剤もまた含むことができる。
【0177】
典型的には、そのような担体は、デンプン、牛乳、糖、所定タイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸もしくはそれらの塩、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、タルク、植物脂肪もしくは油、ガム、グリコールなどの賦形剤、または他の知られている賦形剤を含有している。そのような担体は、フレーバー剤および着色剤または他の成分をさらに含むことができる。そのような担体を含む組成物は、よく知られている従来方法によって調製される。
【0178】
「有効量」を決定する方法は当業者にはよく知られており、患者のサイズおよび使用される担体を含むがそれらに限定されない要素に左右される。
【0179】
以下では、本発明を作製および使用する方法およびプロセスについて記載しているが、限定するのではなく例示している以下の実施例および調製物を参照することによって詳細に規定する。当業者には、材料および方法の両方に対して、本発明の目的および対象から逸脱せずに、多数の修飾を実施できることは明白であろう。
【実施例】
【0180】
(材料および方法)
化学薬品は、Aldrich Chemical Company社、Fisher Scientific社およびACROS Chemicals社から市販で入手し、購入したまま直接的に使用した。アセトン、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルなどの溶媒は購入したままで使用し、他の溶媒は標準方法によって精製した。テトラヒドロフラン(THF)は金属カリウムおよびベンゾフェノンの上方に通して乾燥させ、使用前に新たに蒸留した;塩化メチレン(CH2Cl2)は、水素化カルシウムを用いて乾燥させ、使用前に蒸留した。トリエチルアミンは水素化カルシウムの上方に通して蒸留し、密封ボトル内に保存した。
【0181】
反応は、薄層クロマトグラフィ(TLC)および/またはガスクロマトグラフィによって追跡した。生成物の精製は、シリカゲルを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィを用いて実施した。薄層クロマトグラフィのためのシリカゲルプレートおよびカラムクロマトグラフィのためのシリカゲル(260〜400メッシュ)は、Merck EM Science社から入手した。
【0182】
1Hおよび13C NMRスペクトルは、AMX 360MHz(13Cについては90MHz、および31Pについては145MHz)またはDPX Avance 300MHz(13Cについては75MHz、および31Pについては120MHz)のBriiker NMR分光計を用いて、重水素化クロロホルムおよび重水素化メチルスルホキシドもしくは酸化ジュウテリウム中で記録した。ピークは、Hzで表示したカップリング定数(J)を用いて一重線(s)、二重線(d)、doublet of doublet(dd)、三重線(t)、もしくは多重線(m)として列挙した。高分解能質量スペクトルは、VG/Fisons GC/NASS高分解能質量分析計を用いて入手した。元素分析は、Atlantic Microlab社(ジョージア州ノークロス)から入手した。融点は、Thomas−Hoover融点装置を用いて決定し、補正しなかった。
【0183】
詳細にはPdを用いる多くの反応において、メタノールはエタノールに置換することができ、その逆も可能である。さらに、AlCl3はTiCl4で置換することができ、その逆も同様である。
【0184】
(実施例1:代表的なコンブレスタチンアナログの合成)
(3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンの合成(2;図1を参照))
(6−メトキシ−1−メチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(27):)
還流凝縮器およびマグネティック・スターバーを装備した、乾燥した500mLの3つ首丸底フラスコに水素化ナトリウム(3.0g、172.89mmol)を装填した。反応用フラスコを窒素下に置き、35mLの無水DMSOを加えた。反応混合液を70〜75℃へ加熱し、水素発生が終了するまでその温度で攪拌した。この反応混合液を室温へ冷却し、さらに25mLのDMSOを加えた。ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム(46.57g、115.26mmol)を1時間かけて少量ずつ加えた。容易な攪拌を促進するために、さらに25mLのDMSOを加えた。添加の完了後、反応混合液を20分間攪拌した。10mLの無水DMSO中に溶解させた6−メトキシテトラロン(10.156g、57.63mmol)を反応混合液に加えた。次に、この反応混合液を60〜65℃へ加熱し、その温度で8時間にわたり攪拌した。この反応混合液を150mLのクラッシュアイスおよび150mLのヘキサンを含有する500mLのエルレンマイヤーフラスコ中に注ぎ込んだ。生じた混合液を15分間にわたり強力に攪拌し、次にヘキサンで抽出した。結合有機相をDMSO:水(1:1)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、3:97のEtOAc:ヘキサン)による精製で白色固体として9.42g(94%)の27が得られた。Rf:0.71、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0185】
【化46】
(2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(28):)
2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(28)は、Miller et al.の方法(Miller et al.J.Org.Chem.1978,43(8),1569)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0186】
アジ化シアンの調製:微細な粉末状のアジ化シアン(8.58g、132mmol)を40mLの無水アセトニトリル中の臭化シアン(13.98g、132mmol)の0℃溶液へ迅速に加えた。この反応混合液を0℃で4時間攪拌し、アジ化シアン(7.18g、105.61mmol)を含有する透明な上清溶液を濾過し、環拡大反応のために使用した。
【0187】
環拡大反応:環外オレフィン27(4.6g、26.40mmol)は、窒素下で250mLの丸底フラスコ内に装填した。40mLの無水メタノール:アセトニトリル(1:1)を反応フラスコに加え、反応混合液を室温で攪拌した。これに新しく調製したアジ化シアン(7.18g、105.61mmol)を加え、反応混合液を室温で48時間にわたり攪拌した。25mLの6MのHClを加え、この反応液を50℃で4時間攪拌した。この反応混合液を次に室温へ冷却し、エーテルを用いて抽出した(2×200mL)。エーテル抽出液は中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させた。有機相は、爆発性アジ化物を除去するためにセライト層を用いて封をした塩基性アルミナのカラムに通して濾過した。溶媒を蒸発させた後のフラッシュカラムクロマトグラフィ(8:92、EtOAc:ヘキサン)による精製によって、3.33gの28(冷凍するとオフホワイトの固体)が得られた。Rf:0.38、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0188】
【化47】
(2−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプタン(29):)
アマルガム化亜鉛は、100mLの丸底フラスコ内で4gのZn粉末および400mgの塩化水銀、4mLの水および0.25mLの濃HClを10分間にわたり振とうすることによって調製した。上清液をデカンテーションし、28(215mg、1.13mmol)を加え、次に15mLの濃HClを加えた。反応混合液を次に3時間にわたり還流させた。反応混合液を冷却し、エーテルで抽出し(20mL×3)、結合エーテル抽出物を中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。化合物は中性アルミナ上でフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製した。生成物29は適正なヘキサン中で入手した(140mg、74%)。Rf値:0.535、(10:90、EtOAc:ヘキサン)。
【0189】
【化48】
(2−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(30):)
29(3.42g、19.4mmol)を500mLの丸底フラスコ内に取り、これに40mLの氷酢酸、次に5mLの水および20mLの酢酸中に溶解させたCrO3(5.82g、58.21mmol)を滴下した。添加が完了した後、反応混合液を室温で24時間攪拌した。反応混合液に100mLの水を加え、次にエーテルを用いて抽出した(100×3)。次に結合エーテル抽出液は、水相がアルカリ性になるまで5% NaOH水溶液で洗浄した。有機相は中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(中性アルミナ)による精製によって無色油として910mg(25%)の生成物が得られた。生成物は10:90(EtOAc:ヘキサン)中で入手した。
【0190】
【化49】
(2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オール(32):)
200mLの無水エーテルを窒素下で500mLの丸底フラスコ中の3,4,5−トリメトキシブロモベンゼン(1.23g、4.97mmol)に加えた。反応混合液の温度を−78℃にした。n−ブチルリチウム(4.5mL、11.25mmol)を滴下した。反応混合液を次に温度が徐々に−30℃へ上昇するまで攪拌した。25mLの無水エーテル中に溶解させた30(0.86g、4.5mmol)を滴下し、反応混合液は温度が室温に加温するまで攪拌した。25mLの水を加え、生成物はエーテルを用いて抽出し(3×50)、結合有機相は無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、20:80のEtOAc:ヘキサン)による精製で淡黄色油として800mg(49%)の32が得られた。Rf:0.16、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0191】
(3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン(2):)
250mLの丸底フラスコ中に入れた20mLの酢酸および100mLの水中の32(800mg、2.23mmol)の混合液を12時間還流させた。反応混合液を冷却し、ジクロロメタンを用いて抽出し(3×25mL)、結合有機相を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(10:90、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、白色結晶として690mg(91%)の2が得られた。Rf:0.43、(30:70、EtOAc:ヘキサン)。
【0192】
【化50】
(3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンの合成(1;図1を参照))
(2−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ベンゾスベラン(benzosuberan)(31):)
3,4,5−トリメトキシブロモベンゼン(0.91g、3.68mmol)を500mLの丸底フラスコ中に装填し、窒素下に置いた。70mLの無水エーテルを加え、温度を−78℃にした。n−ブチルリチウム(2.94mL、7.36mmol)を滴下した。反応混合液を次に温度が徐々に−30℃へ上昇するまで攪拌した。20mLの無水エーテル中に溶解させた28(0.7g、3.68mmol)を滴下し、反応混合液は温度が室温に加温するまで攪拌した。25mLの水を反応混合液に加え、エーテルを用いて抽出し(3×30mL)、結合有機相は無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、20:80のEtOAc:ヘキサン)による精製で淡黄色油として500mg(29%)の31が得られた。
【0193】
(3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン(1):)
250mLの丸底フラスコ中に入れた12mLの酢酸および60mLの水中の31(500mg、1.4mmol)の混合液を12時間還流させた。反応混合液を冷却し、ジクロロメタンを用いて抽出し(3×20mL)、結合有機相を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(10:90、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、白色結晶として60mg(13%)の1が得られた。
【0194】
【化51】
(2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オールの合成(3;図1を参照))
(2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(33):)
2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(33)は、Ghatak et al.の方法(Ghatak,et al.,Tet.Lett.(2003),44:4145)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0195】
sec−ブチルリチウム(100mL、110mmol)中のしっかりと攪拌した6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(14.05g、86.67mmol)の溶液に、窒素下の0℃で、新しく蒸留したN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミエン(13.61mL)を滴下した。添加が完了した後、反応混合液を室温で1時間攪拌した。次に、反応混合液を再び0℃へ冷却し、ホウ酸トリメチル(12.55mL、110mmol)を滴下し、反応混合液を室温で1時間攪拌した。反応混合液を再び0℃に冷却し戻し、7mLの氷酢酸を滴下し、反応混合液を0℃にさせ、次に35重量%の過酸化水素水溶液(15mL)を滴下した。反応混合液を室温で12時間攪拌し続けた。飽和塩化アンモニウム(100mL)を加えた。有機相を分離して収集し、水相をエーテルで抽出した。結合有機相は(必要であれば)食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、インバキュオで濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、2:98、EtOAc:ヘキサン)による精製は、3.5g(23%)の33を9.7g(63.1%)の7−ヒドロキシ−6−メトキシ−(1,2,3,4−テトラヒドロ)ナフタレン(5:95のEtOAc:ヘキサン中で入手)と一緒に産生した。Rf値は、33については0.48(15:85、EtOAc:ヘキサン)、7−ヒドロキシ−6−メトキシ−1−テトラヒドロナフタレンについては0.37である。
【0196】
【化52】
(5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(34):)
5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(34)は、Bringmann et al.の方法(Bringmann et al.,J.Org.Chem.(2002),67(16),5595)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0197】
33(4.55g、25.5mmol)は、還流凝縮器を装備した250mLの丸底フラスコ内に窒素ガス下で装填した。50mLの無水アセトン、次に炭酸セシウム(66.55g、204.3mmol)を加えた。2−ブロモプロパン(23.94mL、255.0mmol)を加え、反応混合液を12時間還流させた。溶媒を濾過し、インバキュオで蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、1:99、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、5.2g(93%)の5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(34)が得られた。Rf値:0.615(15:85、EtOAc:ヘキサン)。
【0198】
【化53】
(5−イソプロポキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(35):)
34(120mg、0.55mmol)を100mLの丸底フラスコ内に計量して入れ、5mLの水:ジオキサン(5:95)液を加え、反応液を窒素下に配置した。5mLのジオキサン中に溶解させた2,4−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(0.25g、1.09mmol)の溶液を反応混合液に滴下した。反応混合液を12時間にわたり攪拌した。分離した固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、10mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、生じた反応混合液はエーテルを用いて抽出し(3×20mL)、結合有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、インバキュオで蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、30:70のEtOAc:ヘキサン)による精製で90mg(71%)の35が得られた。Rf値:0.458、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0199】
【化54】
(5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1−メチレン−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン(36):)
還流凝縮器およびマグネティック・スターバーを装備した、乾燥した250mLの3つ首丸底フラスコに窒素下で水素化ナトリウム(1.09g、47.4mmol)を装填した。20mLの無水ジメチルスルホキシドを加え、この反応混合液を30分間にわたり水素発生が終了するまで70〜75℃へ加熱した。反応混合液はこの時点で緑色に変色するので、その後に反応混合液を室温へ冷却し、さらに15mLのDMSOを加えた。ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム(12.76g、31.57mmol)を30時間かけて少量ずつ加えた。さらに15mLのDMSOを加え、反応混合液を室温で20分間攪拌した。5mLの無水DMSO中に溶解させた35(3.73g、15.8mmol)を反応混合液に加え、温度を60〜65℃へ上昇させ、その温度で8時間攪拌した。この反応混合液を75mLのクラッシュアイスおよび75mLのヘキサンを含有する250mLのエルレンマイヤーフラスコ中に注ぎ込んだ。生じた混合液を15分間にわたり強力に攪拌し、次にヘキサンで抽出した。結合有機相をDMSO:水(1:1)で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5:95、EtOAc:ヘキサン)による精製で320mg(10%)の36が得られた。Rf−0.632、(ヘキサン中の30%酢酸エチル)。
【0200】
【化55】
(1−イソプロポキシ−2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(37):)
1−イソプロポキシ−2−メトキシ−5,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン(37)は、McMurry et al.の方法(McMurry et al.,J.Org.Chem.(1973),38(16),2821)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0201】
アジ化シアンの調製:微細な粉末状のアジ化シアン(0.51g、7.8mmol)を5mLの無水アセトニトリル中の臭化シアン(0.83g、7.8mmol)の0℃溶液へ迅速に加えた。この反応混合液を0℃で4時間攪拌し、アジ化シアン(0.53g、7.8mmol)を含有する透明な上清溶液を濾過し、環拡大反応のために使用した。
【0202】
環拡大反応:外環オレフィン(320mg、1.3mmol)を50mLの丸底フラスコ中に装填し、窒素下に置いた。5mLのメタノール:アセトニトリル(1:1)を反応フラスコに加え、反応混合液を室温で攪拌した。これに新しく調製したアジ化シアン(0.53g、7.8mmol)を加え、反応混合液を室温で48時間にわたり攪拌した。5mLの6MのHClを加え、この反応液を50℃で4時間攪拌した。この反応混合液を次に室温へ冷却し、エーテルを用いて抽出した(2×30mL)。エーテル抽出液は中性になるまで水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させた。有機相は、爆発性アジ化物を除去するためにセライト層を用いて封をした塩基性アルミナのカラムに通して濾過した。溶媒を蒸発させた後のフラッシュカラムクロマトグラフィ(8:92、EtOAc:ヘキサン)による精製によって、110mg(33%)の37が得られた(オフホワイトの固体)。Rf:0.476、(70:30、ヘキサン:酢酸エチル)。
【0203】
【化56】
(1−イソプロポキシ−2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−6−オール(40):)
3,4,5−トリメトキシブロモベンゼン(1.49g、6.05mmol)を200mLの無水エーテルを窒素下で溶解させ、反応混合液を−78℃へ冷却した。n−ブチルリチウム(3.2mL、8.06mmol)を滴下した。反応混合液を次に温度が徐々に−30℃へ上昇するまで攪拌した。25mLの無水エーテル中に溶解させた37(1g、4.03mmol)を滴下し、反応混合液は温度が室温に加温するまで攪拌した。30mLの水を加え、有機相を分離した。水相はエーテルを用いて抽出し(2×50)、結合有機相は無水硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、30:70のEtOAc:ヘキサン)による精製で1.1g(66%)の40が得られた。Rf:0.15、(70:30、Hex:EA)。
【0204】
(4−イソプロポキシ−3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン(41):)
250mLの丸底フラスコ中に入れた30mLの酢酸および100mLの水中のSM(40)(1.1g、2.64mmol)の混合液を12時間還流させた。反応混合液を冷却し、ジクロロメタンを用いて抽出し(3×25mL)、結合有機相を硫酸マグネシウムの上方に通して乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(10:90、酢酸エチル:ヘキサン)によって精製すると、白色結晶として1g(95%)の4−イソプロポキシ−3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンが得られた。Rf:56、(60:40、Hex:EA)。
【0205】
【化57】
(2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール(3):)
41(220mg、0.55mmol)を15mLの無水ジクロロメタン中に室温の窒素下で溶解させた。塩化アルミニウム(147mg、1.1mmol)を加え、反応混合液を10分間攪拌した。10mLの水を加え、生成物はジクロロメタ中で抽出し(2×20mL)、結合有機相は無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、減圧下で蒸発させて、カラムクロマトグラフィによって精製した。生成物3、81mg(収率41%)はヘキサン中の10%酢酸エチル中で得られた。Rf:0.54、(60:40、Hex:EA)。
【0206】
【化58】
(実施例2:任意のリンカーの合成)
本発明の化合物は、カルボニル基がコアスベレン(suberene)(もしくはジヒドロナフタレン)環とペンダントアリール環との間に導入されているベンゾイル置換基をさらに含んでいてよい。さらに、ベンゾイル置換基のカルボニル基は、チューブリンと同一もしくは類似の生物学的有効性を維持している新規な化合物を生成するために酸素と置換することができる。これらの化合物は、求核基としてトリメトキシフェノール性アニオンを利用する付加脱離反応によって調製できる。チオエーテル(−S−)、第2級アルコール(−CH(OH)−、およびメチレン(−CH2−)を含む、アリール−アリール環間の他の連結原子を想定できる。これらの化合物は、置換アリールとクロメン環との間の1原子架橋を形成すると企図されている。例えば、第2級アルコールは、対応するケトン(−C=O)−を水素化ホウ素ナトリウムにより還元することによって作製することができ、メチレンはトリフルオロ酢酸を用いる還元によって作製できる。または、単一共有結合は1原子リンカーに置換できる。
【0207】
((2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23;図9を参照))
(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23)は、当技術分野において知られている方法(Atmaram et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1999),9,2119;Koo,JACS.(1953),75(18),1891;Pettit et al.,J.Med.Chem.(2000),43,2731;Uffe et al.,Tet Lett.(2005),46,4261)を用いて、および以下に記載するように調製した。
【0208】
(5−オキソ−5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸メチルエステル(60):)
75gのポリリン酸(Acros)を250mLの丸底フラスコ内に装填し、次に1,2,3−トリメトキシベンゼン(5.0g、29.73mmol)およびモノ−メチルグルタル酸(6.516g、44.60mmol)を添加した。反応混合液を2.5時間にわたり45℃で機械的に攪拌した。次に反応混合液は約250mLの氷を含有する1,000mLのビーカー内に注ぎ入れ、全生成物が沈殿するまでしっかりと攪拌した。黄褐色の生成物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。この段階では、精製は必要としなかった。6.78g(77%)の生成物が入手され、これはNMRによると純粋であった。
【0209】
【化59】
(5−オキソ−5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸(61):)
6.78gの水酸化ナトリウムを100mLの丸底フラスコ内の25mLのメタノール中に溶解させた。反応混合液を室温に冷却させ、60(6.78g、22.90mmol)および次に5mLの水を加え、この反応混合液を30分間にわたり還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合液は希塩酸を用いて中和させ、反応混合液をエーテルにより抽出し(100×3)、結合有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(20:80、EA:Hex)によって精製すると7.05g(定量的収率)の61が得られた。
【0210】
【化60】
(5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸(62):)
5−オキソ−5−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ペンタン酸(7.05g、24.97mmol)を不活性雰囲気下で100mLの無水エタノール中に溶解させ、2.0gのPd−Cを加えた。真空によって窒素ガスを除去し、フラスコ内に水素ガスを通過させた。反応混合液を1時間にわたり攪拌した。反応の完了はTLCによって確認した。反応混合液をセライトに通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させると、NMRによって純粋であった6.48g(97.74%)の62(無色油)が得られた。
【0211】
【化61】
(1,2,3−トリメトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(63):)
60(6.48g、24.19mmol)を250mLの丸底フラスコ内に量り入れ、次に75gのポリリン酸を加えた。反応混合液を2.5時間にわたり45℃で機械的に攪拌した。反応混合液を250mLの氷中に注ぎ入れ、全ポリリン酸が溶解するまで攪拌した。生じた溶液はジクロロメタンを用いて抽出し(100×3)、結合有機相は無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィ(92:8、ヘキサン:酢酸エチル)による精製で3.0g(50%)の63が得られた。生成物はNMRによって純粋であった。
【0212】
【化62】
((1,2,3−トリメトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾヘプテン)−5−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(64):)
(1,2,3−トリメトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾヘプテン)−5−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(64)は、Pinney et al.の方法(Pinney et al.,Steroids.(1992),57(5),222)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0213】
64(8.21g、32.81mmol)には150mLの無水エタノール、次にp−トルエンスルホニルヒドラジド(6.11g、32.81mmol)を窒素下で溶解させた。反応混合液は固体が溶解するまで室温で5分間攪拌した。P−トルエンスルホン酸一水和物(0.28g、0.05mmol)を加え、反応混合液を12時間攪拌し続けた。生成物が白色固体として沈殿したので、これを濾過し、氷温エタノールで洗浄し、乾燥させた(13.50g、収率98%)。Rf:0.325、(60:40、Hex:EA)。
【0214】
【化63】
((2,3−ビス−ベンジルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノール(94):)
36mLの新しく蒸留したTMEDAを250mLの丸底フラスコ内に窒素下で装填した。n−BuLi(5.89mL、14.72mmol)を加え、反応混合液を−50℃へ冷却させた。64(1.54g、3.68mmol)を加え、反応混合液を室温へ加温するために攪拌したが、これは約7時間を要した。2,3−ジベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(5.13g、14.72mmol)を加え、反応混合液を1時間攪拌した。25mLの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。結合有機相を水性CuSO4、次に食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(16:84のEA:ヘキサン)による精製で淡黄色油として1.02g(収率48%)の生成物(94)が得られた。Rf:0.56、(60:40、Hex:EA)。
【0215】
【化64】
((2,3−ビス−ベンジルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(95):)
94(0.94g、1.62mmol)を20mLの無水ジクロロメタン中に溶解させ、これを無水ジクロロメタン中のDess−Martinペルヨージナン(2.7g、6.5mmol)の溶液に窒素下で加えた。この反応混合液を1時間半攪拌し、次に水(30mL)、さらに1.3MのNaOH溶液(50mL)および50mLのジクロロメタンを加えた。有機相を1.3MのNaOH溶液(50mL)、次に100mLの水を用いて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(10:90のEtOAc:ヘキサン)による精製で生成物として淡黄色油(0.69g、収率73%)が得られた。Rf:0.43、(60:40、Hex:EA)。
【0216】
【化65】
((2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23):)
(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(23)は、Felix et al.の方法(Felix,et al.,J.Org.Chem.(1978),43(21),4194)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0217】
95(0.69g、1.19mmol)は窒素下で20mLの無水EtOH中に溶解させ、反応混合液は25℃の温度を維持するために水浴中に浸漬した。1.2gのPd−Cおよび次に1,4−シクロヘキサジエン(1.13mL、11.90mmol)を加え、この反応混合液を7時間攪拌した。この反応混合液を完了についてTLCによって監視した(Rf:0.32、60:40、Hex:EA)。この反応混合液をセライトに通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、回転蒸発させ、カラムクロマトグラフィ(20:80、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、黄色油として0.3g(63%)の23が得られた。
【0218】
【化66】
((3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノンの合成(24;図9を参照))
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノール(96):)
20mLの新しく蒸留したTMEDAを250mLの丸底フラスコ内に窒素下で装填した。n−BuLi(4.8mL、9.60mmol)を加え、反応混合液を−50℃へ冷却させた。68(1.0g、2.40mmol)を加え、反応混合液を室温へ加温するために攪拌したが、これは約7時間を要した。3−イソプロポキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(1.9g、9.60mmol)を加え、反応混合液を1時間攪拌した。25mLの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した(2×50mL)。結合有機相を水性CuSO4、次に食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(16:84、EA:Hex)による精製で淡黄色油として0.3g(収率29%)の96が得られた。Rf:0.30、(60:40、Hex:EA)。
【0219】
【化67】
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(97):)
20mLの無水ジクロロメタン中に溶解させた96(0.30g、0.70mmol)を無水ジクロロメタン中のDess−Martinペリオジナン(1.48g、3.50mmol)の溶液に窒素下で加えた。この反応混合液を室温で1時間半攪拌し、次に水(30mL)、さらに1.3MのNaOH溶液(50mL)および50mLのジクロロメタンを加えた。有機相を1.3MのNaOH溶液(50mL)、次に100mLの水を用いて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(10:90のEtOAc:ヘキサン)による精製で生成物97として淡黄色油(0.170g、収率57%)が得られた。Rf:0.62、(40:60、Hex:EA)。
【0220】
【化68】
((3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン(24):)
97(0.07g、0.16mmol)を10mLの無水CH2Cl2中に0℃の窒素下で溶解させた。無水AlCl3(44mg、0.33mmol)を加え、反応混合液を0℃で2分間攪拌した。飽和NH4Cl(5mL)を加え、有機相を分離した。水相はCH2Cl2(10mL)を用いて抽出し、結合有機相はNa2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(30:70、EtOAc:ヘキサン)による精製で生成物24(35mg、収率56%)として黄褐色油が得られた。Rf:0.23、(60:40、Hex:EA)。
【0221】
【化69】
((3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンの合成(22;図8を参照))
(4−オキソ−4−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−酪酸メチルエステル(55):)
75gのポリリン酸(Acros)、1,2,3−トリメトキシベンゼン(5.0g、29.73mmol)、およびモノ−メチルスクシネート(5.9g、44.59mmol)の混合液を45℃で2.5時間にわたり機械的に攪拌した。次に反応混合液は約250mLの氷を含有する1,000mLのビーカー内に注ぎ入れ、全生成物が沈殿するまでしっかりと攪拌した。黄褐色の生成物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。6.1g(72%)の55が入手され、これはNMRによると純粋であった。
【0222】
【化70】
(4−オキソ−4−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−酪酸(56):)
5.95gの水酸化ナトリウムを500mLの丸底フラスコ内の200mLのメタノール中に溶解させた。反応混合液を室温に冷却させ、55(6.78g、22.90mmol)、次に20mLの水および100mLのメタノールを加え、この反応混合液を30分間にわたり還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合液は希塩酸を用いて中和させ、反応混合液をエーテルにより抽出し(100×3)、結合有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(20:80、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると5.43g(94%)の黄褐色の56が得られた。
【0223】
【化71】
(4−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−酪酸(57):)
56(5.43g、20.24mmol)を250mLの丸底フラスコ内に装填し、100mLの無水エタノール、次に1.0gのPd−Cを加え、反応フラスコ内の全空気が排気されるまで反応フラスコを真空下に置いた。次に、水素ガスは水素ガスを充填したバルーンを用いてフラスコ内に通過させた。反応混合液を1時間にわたり攪拌した。反応の完了はTLCによって確認した。反応混合液をセライトに通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させると、5.42g(定量的)の57(無色油)が得られた。Rf:0.45、(70:30、Hex:EA)。
【0224】
【化72】
(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(58):)
59(4.44g、17.46mmol)を250mLの丸底フラスコ内に量り入れ、次に80gのポリリン酸を加えた。反応混合液を4時間にわたり70℃で機械的に攪拌した。反応混合液を250mLの氷中に注ぎ入れると生成物は黄褐色の固体として沈殿したので、これを濾過し、真空下で乾燥させると2.96g(72%)の生成物が得られた。Rf:0.36、(70:30、Hex:EA)。
【0225】
【化73】
((5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(59):)
(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(59)は、Pinney et al.の方法(Pinney et al.,Steroids.(1992),57(5),222)にしたがって、および以下に記載するように調製した。
【0226】
63(2.96g、12.53mmol)には150mLの無水エタノール、次にp−トルエンスルホニルヒドラジド(2.33g、12.53mmol)を窒素下で溶解させた。反応混合液は固体が溶解するまで室温で5分間攪拌し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.11g、0.63mmol)を加え、反応混合液を12時間攪拌し続けた。生成物が白色固体として沈殿したので、これを濾過し、氷温エタノールで洗浄し、乾燥させた(4.65g、収率92%)。
【0227】
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノール(92):)
25mLの新しく蒸留したTMEDAを100mLの丸底フラスコ内に窒素下で装填した。n−BuLi(4.65mL、9.89mmol)を加え、反応混合液を−50℃へ冷却させた。59(1.0g、2.47mmol)を加え、反応混合液を室温へ加温するために攪拌したが、これは約7時間を要した。3−イソプロポキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(1.92g、9.89mmol)を加え、反応混合液を1時間攪拌した。25mLの水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した(2×100mL)。結合有機相を水性CuSO4、次に食塩液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(16:84、EA:Hex)による精製で淡黄色油として0.70g(収率69%)の生成物が得られた。Rf:0.31、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0228】
【化74】
((3−イソプロポキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ナフタレン−1−イル)−メタノン(93):)
SM(92)(0.94g、1.62mmol)を20mLの無水ジクロロメタン中に溶解させ、これを無水ジクロロメタン中のDess−Martinペリオジナン(2.7g、6.5mmol)の溶液に窒素下で加えた。この反応混合液を1時間半攪拌し、次に水(30mL)、さらに1.3MのNaOH溶液(50mL)および50mLのジクロロメタンを加えた。有機相を1.3MのNaOH溶液(50mL)、次に100mLの水を用いて洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、濾過し、次に溶媒を減圧下で除去した。粗生成物のカラムクロマトグラフィ(10:90のEtOAc:ヘキサン)による精製で生成物として淡黄色油(0.69g、収率73%)が得られた。Rf:0.43、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0229】
【化75】
((7,8,9−トリメトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(69;図4を参照))
(6−オキソ−6−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ヘキサン酸メチルエステル(65):)
150gのポリリン酸(Acros)を機械的スターラーを装備した250mLの丸底フラスコ内で1,2,3−トリメトキシベンゼン(10.0g、59.47mmol)、およびモノ−アジピン酸メチル(13.04mL g、89.20mmol)の混合液に加えた。反応混合液を2.5時間にわたり45℃で攪拌した。次に反応混合液は約500mLの氷を含有する1,000mLのビーカー内に注ぎ入れ、しっかりと攪拌した。黄褐色の生成物が沈殿したのでこれを濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させた。17.18g(93%)の65が入手され、これはNMRによると純粋であった。Rf:0.42、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0230】
【化76】
(6−オキソ−6−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ヘキサン酸(66):)
17gの水酸化ナトリウムを1,000mLの丸底フラスコ内の200mLのメタノール中に溶解させた。反応混合液を室温に冷却させ、66(6.78g、22.90mmol)、次に60mLの水および300mLの無水メタノールを加え、この反応混合液を30分間にわたり還流させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、反応混合液は希塩酸を用いて中和させ、反応混合液をエーテルにより抽出し(200×3)、結合有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムの上方に通して乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(30:70、EtOAc:Hex)によって精製すると12.86g(78%)の淡黄色の57が得られた。Rf:0.15、(40:60、EtOAc:ヘキサン)。
【0231】
【化77】
(6−(2,3,4−トリメトキシ−フェニル)−ヘキサン酸(67):)
57(12.86g、43.40mmol)を250mLの丸底フラスコ内に装填し、300mLの無水エタノール、次に4.0gの10重量%のPd−Cを加え、反応フラスコ内の全空気が排気されるまで反応フラスコを真空下に置いた。次に、水素ガスは水素ガスを充填したバルーンを用いてフラスコ内に通過させた。反応混合液を12時間にわたり攪拌した。反応の完了はTLCによって確認した。反応混合液をセライトに通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させると、11.7g(96%)の67(無色油)が得られた。Rf:0.49、(50:50、Hex:EA)。
【0232】
【化78】
(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−6H−ベンゾシクロオクテン−5−オン(68):)
61(2.0g、7.06mmol)および40gのポリリン酸の混合液は45℃で4時間にわたり機械的に攪拌した。この反応混合液を100mLの氷中に注ぎ入れ、生じた水溶液はDCM(2×100mL)を用いて抽出した。結合有機相を水、次に食塩液で洗浄し、無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(7:93、EtOAc:ヘキサン)によって精製すると1.32g(71%)の無色の65が得られた。Rf:0.38、(75:25、ヘキサン:EtOAc)。
【0233】
【化79】
((5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン)−1−p−トルエンスルホニルヒドラゾン(69):)
68(1.32g、4.99mmol)は30mLの無水エタノール中に溶解させ、次にp−トルエンスルホニルヒドラジド(0.93g、4.99mmol)を窒素下で加えた。反応混合液は固体が溶解するまで室温で5分間攪拌し、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.043g、0.25mmol)を加え、反応混合液を12時間攪拌し続けた。生成物が白色固体として沈殿したので、これを濾過し、氷温エタノールで洗浄し、乾燥させた(1.27g、収率59%)。
【0234】
【化80】
図5(下方パネル)は、化合物9を合成するための経路を示している。
【0235】
図3は、化合物5を合成するための経路を示している。
【0236】
図5(上方パネル)は、化合物10を合成するための経路を示している。
【0237】
(実施例3:中間体Iの合成(図11))
(3−ヒドロキシ−4−メトキシブロモベンゼン)
500mLの丸底フラスコ内に2,4−ジブロモアニソール(5.0g、18.8mmol)、次に200mLの無水テトラヒドロフランを窒素下で装填した。反応混合液を次に−78℃へ冷却し、n−ブチルリチウム(16.11mL、22.56mmol)を滴下した。反応混合液を30分間にわたり−78℃で攪拌した。反応混合液を次に0℃へ冷却し、トリメチルボレート(2.57mL、22.56mmol)を滴下した。反応混合液を30分間にわたり室温で攪拌した。5mLの氷酢酸を加え、次に滴下法で10mLの35重量%の過酸化水素を加えた。反応液を室温で12時間攪拌し続けた。反応は1N HClを用いて停止させ、酢酸エチルを用いて抽出し(100×3)、結合有機相は無水Na2SO4の上方に通して乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。カラムクロマトグラフィによる精製によって1g(26%)の3−ヒドロキシ−4−メトキシブロモベンゼン(白色結晶)が得られた。(96:4、ヘキサン:酢酸エチル)。
【0238】
(実施例4:チューブリン重合の阻害)
チューブリン重合に対するIC50値は、以前に記載された方法(Bai et al.,Cancer Research,1996)にしたがって決定し、以下の表3に要約した。精製チューブリンは、以前に記載されたようにウシ脳細胞から得られた(Hamel and Lin,Biochemistry,1984)。様々な量の阻害剤は、精製チューブリンと一緒に37℃で15分間にわたりプレインキュベートした。インキュベーション期間後、反応液を冷却し、チューブリン重合を誘導するためにGTPを加えた。次に重合を350nmでGilford分光光度計で監視した。最終反応混合液(0.25mL)は1.5mg/mLのチューブリン、0.6mg/mLの微小管関連タンパク質(MAP)、0.5mMのGTP、0.5mMのMgCl2、4%のDMSOおよび0.1Mの4−モルホリンエタンスルホン酸塩バッファー(MES、pH6.4)を含有していた。IC50は、阻害剤の不在下で発生する阻害量に関してチューブリン重合を50%阻害するために必要な阻害剤の量である。
【0239】
【表3】
(実施例5:癌細胞系に対するインビトロ阻害細胞毒性活性)
新しく調製した化合物は、以前に記載された国立癌研究所の方法に類似するアッセイ系を用いてヒト腫瘍に由来する様々な細胞系に対する細胞毒性活性について評価した(Monks et al.,J.Natl.Cancer Inst.,1991)。手短には、特定細胞タイプおよび予測される標的細胞密度(細胞増殖特性に基づいて1ウエル当たり5,000〜40,000cells)にしたがって希釈した細胞懸濁液は、96ウエルマイクロタイタープレートへピペットによって加えた(100μL)。接種菌は、安定化のために37℃で24〜28時間にわたりプレインキュベートした。阻害剤化合物を用いたインキュベーションは、5%のCO2の雰囲気および100%湿度で48時間にわたり持続させた。細胞増殖の決定は、細胞のインサイチュー固定、その後の細胞高分子の塩基性アミノ酸に結合するタンパク質結合色素であるスルホローダミンB(SRB)を用いた染色によって実施した。可溶化染色は分光光度計によって測定した。
【0240】
数種の化合物をヒトP388白血球細胞系に対する細胞毒性活性について評価した。有効量もしくはED50値(細胞増殖の50%を阻害するために必要とされる有効量として規定されている)を測定した。これらおよび追加の化合物は、中枢神経系(「CNS」、SF−268)、膵臓(BXPC−3)、非小細胞肺癌(「肺−NSC」、NCI−H460)、乳腺(MCF−7)、結腸(KM20L2)、卵巣(OVCAR−3)、および前立腺(DU−145)を含む数種の他のヒト癌細胞系に対する増殖阻害活性に関して評価した。結果は、以下の表4に記載されている。増殖阻害GI50(腫瘍細胞増殖を50%阻害するために必要とされる用量であると規定されている)は、各細胞系について列挙されている。
【0241】
【表4】
(実施例6:腫瘍血流の阻害)
本発明の化合物の抗血管作用を、蛍光ビーズアッセイを用いて担癌マウスにおいて評価した。MHEC−5T血管内皮腫の腫瘍モデルは、Fox Chase CB−17重症複合型免疫不全症(「SCID」)マウスの右側腹部内に0.5×106培養形質変換細胞マウス真菌血管内皮細胞系(「MHEC5−T」)細胞の皮下注射によって確立した。移植した腫瘍が500mm3のサイズ(壊死の発生を伴わないサイズ)に達したときに、マウスに0.1〜50mg/kgの範囲の用量で食塩液コントロールまたは化合物の単回腹腔内(i.p.)注射を実施した。処置の24時間後、マウスには尾静脈内に0.25mLの希釈したFluoSphereビーズ(生理的生理的食塩液中に1:6)に静脈内注射し、3分後に致死させ、腫瘍を低温切開のために切除した。厚さ8μmの腫瘍低温切開片は定量的蛍光顕微鏡を用いて直接的に試験した。血管は注射したビーズから青色蛍光によって指示された。定量のために、各群で処置した3種の腫瘍由来の3切片についての画像解析を試験し、血管閉塞をコントロールに対する腫瘍組織面積(mm2)当たりの血管面積(mm2)のパーセンテージとして表示した(「%VAPM」)。
【0242】
(実施例7:中空糸アッセイによるインビボでの腫瘍増殖制御の評価)
ヒト腫瘍細胞をポリフッ化ビニリデン(PVDF)中で増殖させ、各細胞系をマウス腹腔内(IP)および皮下(SC)膜区画内へ注射した。マウスには2種の試験用量の化合物を腹腔内注射した。コントロール動物には希釈剤を注射した。ホルマザン色素(MTT)変換アッセイを使用して、本リガンドの抗ガン作用を評価するために生育可能な細胞塊を決定した。化合物処置したサンプルの平均光学密度をコントロール動物の平均光学密度で割ることによってT/C(%)を計算した。
【0243】
(代替実施形態)
本明細書で開示かつ要求した組成物および方法のすべては、本開示に照らすと過度の実験を行わずに作製かつ実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに本明細書に記載した組成物および/または方法ならびに方法の工程または工程順序に変更を加えられることは明白であろう。より詳細には、同一もしくは類似の結果を達成しながら化学的かつ生理学的に関連している所定の物質を本明細書に記載した物質と置換できることも明白であろう。そのような当業者には明白な類似の置換物および修飾は、添付の特許請求項によって規定される本発明の精神、範囲および範囲内に含まれると見なされる。
【0244】
任意の当業者には、これらは、偽性pi−pi積み重ねを受けることのできる類似の分子立体構造を生じさせるであろう方法でコンブレスタチンアナログの分子スカフォールドの周囲にトリメトキシアリールおよびトリメトキシアロイル基を付加する様々な方法があることが容易に明白であろう。さらに、トリメトキシアリールモチーフはチューブリン結合を増強させるために最高であると思われるが、三置換パターンもしくは二置換(1つのタイプのアルコキシ成分と)および一置換(相違するアルコキシ成分と)いずれかとしての、または3種のタイプのアルコキシ成分を用いるアルコキシ置換基(例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、アリルオキシなど)のまた別の組み合わせもまた良好なチューブリン結合特性を有することも極めて可能性が高い。アリールアルコキシ基を有する代わりに、単純にアリール−アルキルおよびアリール−アルケニル成分を置換し、それでもまだ高い細胞毒性プロファイルを維持することも可能であることもまた考えられる。フェノール基もまたこれらの記載したクロメンリガンドへの活性を有する可能性がある。これらのいずれかの合成クロメンリガンドの合成は当業者には極めて簡単であり、しばしば最初の出発物質の様々な選択しか含まないであろう。これらの代替のリガンドを調製するためには、本明細書に開示したものと同一の合成スキームまたは類似のスキームをほんのわずかな修飾を加えるだけで使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】本発明の代表的な化合物である化合物1および2の合成経路を示した図である。
【図2】本発明の代表的な化合物である化合物3および4の合成経路を示した図である。
【図3】本発明の代表的な化合物である化合物5および6の合成経路を示した図である。
【図4】中間体I、II、IIIおよびIVの合成について記載した参考文献の列挙を含む、本発明の化合物の合成において使用した様々な中間体の合成経路を示した図である。
【図5】本発明の代表的な化合物である化合物7、8、9、10、11、12、13および14の合成経路を示した図である。
【図6】本発明の代表的な化合物である化合物15、16、17および18の合成経路を示した図である。
【図7】本発明の代表的な化合物である化合物19および20の合成経路を示した図である。
【図8】本発明の代表的な化合物である化合物21および22の合成経路を示した図である。
【図9】本発明の代表的な化合物である化合物23および24の合成経路を示した図である。
【図10】本発明の代表的な化合物である化合物25および26の合成経路を示した図である。
【図11】本発明の一部の化合物の調製において使用される中間体である中間体Iの合成経路を示した図である。
【図12】本発明の一部の化合物の調製において使用される中間体である中間体IIの合成経路を示した図である。
【図13】本発明の代表的なホスフェートプロドラッグおよびその医薬上許容される塩の合成経路を示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IV:
【化1】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
破線は、独立して一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;および
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項2】
前記式IVの化合物は、
(1)3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;(2)3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;(3)2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;(4)2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;(5)2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;(6)2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;(9)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(11)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(12)2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;(13)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(14)2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;(31)2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;(32)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(15)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(16)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(17)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(18)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(23)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(24)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(25)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(26)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式IVa:
【化2】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;および
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項4】
式III:
【化3】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項5】
式V:
【化4】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
R6は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項6】
式VI:
【化5】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;および
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項7】
式VII:
【化6】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、OHおよびOCH3からなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項8】
式I:
【化7】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項9】
前記環置換二環式縮合環系は、式II:
【化8】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記式IIの化合物は:
(7)3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(8)2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;(10)2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;(27)2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;(28)2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;(29)3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(30)3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(19)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(20)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(21)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(22)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式IIa:
【化9】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項12】
式IIb:
【化10】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項13】
動物における血管増殖性疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の環置換二環式縮合環系を投与する工程を包含し、該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである、方法。
【請求項14】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化11】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
動物における血管増殖性疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
前記血管増殖性疾患は、悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記悪性増殖性血管構造が、腫瘍もしくは他の腫瘍疾患に関連している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記血管増殖性疾患は、非悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記非悪性増殖性血管構造が、湿性もしくは加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、糖尿病性分子的水腫、ブドウ膜炎、もしくは角膜血管新生を含む群から選択される眼疾患に関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非悪性増殖性血管構造が、乾癬、慢性関節リウマチ、アテローム、再狭窄、カポジ肉腫、血管腫などの非眼性疾患状態、および血管増殖を特徴とする炎症性疾患に関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を選択的に減少させるための方法であって、環置換二環式縮合環系を投与する工程を包含し、ここで該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åであり、それにより隣接する領域内での組織の実質的壊死を伴わずに該腫瘍領域内の組織の実質的壊死を引き起こす、方法。
【請求項22】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化12】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を選択的に減少させるための方法であって、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
動物における腫瘍疾患を治療するための方法であって、動物に環置換二環式縮合環系を投与する工程を包含し、ここで該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである、方法。
【請求項25】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化13】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
動物における腫瘍疾患を治療するための方法であって、動物に式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
前記化合物は、有糸分裂の阻害に起因する腫瘍細胞毒性を誘発する直接的結果を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
チューブリン含有系を環置換二環式縮合環系と接触させることによりチューブリン重合を阻害するための方法であって、該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである、方法。
【請求項29】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化14】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
チューブリン含有系を式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物と接触させることによる、チューブリン重合を阻害するための方法。
【請求項31】
前記系は腫瘍細胞である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
医薬上適切な担体中に式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物を含有する医薬製剤。
【請求項1】
式IV:
【化1】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
破線は、独立して一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;および
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項2】
前記式IVの化合物は、
(1)3−メトキシ−8−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテネル;(2)3−メトキシ−9−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン;(3)2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;(4)2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;(5)2−メトキシ−6−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−1−オール;(6)2−メトキシ−5−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−1−オール;(9)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(11)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(12)2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−フェノール;(13)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(14)2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−フェノール;(31)2−メトキシ−5−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−フェノール;(32)3−メトキシ−6−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(15)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(16)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(17)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−6−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(18)(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−メタノン;(23)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(24)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−8,9−ジヒドロ−7H−ベンゾシクロヘプテン−5−イル)−メタノン;(25)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンおよび(26)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(1,2,3−トリメトキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−ベンゾシクロオクテン−5−イル)−メタノンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式IVa:
【化2】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している;および
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項4】
式III:
【化3】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項5】
式V:
【化4】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
R6は、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項6】
式VI:
【化5】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
R1、R3、R5、およびR6は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;および
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項7】
式VII:
【化6】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、OHおよびOCH3からなる群から選択される、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項8】
式I:
【化7】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項9】
前記環置換二環式縮合環系は、式II:
【化8】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記式IIの化合物は:
(7)3−メトキシ−6−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(8)2−メトキシ−5−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−フェノール;(10)2−メトキシ−5−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;(27)2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−フェノール;(28)2−メトキシ−5−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−フェノール;(29)3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(30)3−メトキシ−6−(6,7,8−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,2−ジオール;(19)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(20)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(4,5,6−トリメトキシ−3H−インデン−1−イル)−メタノン;(21)(2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンおよび(22)(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−(5,6,7−トリメトキシ−3,4−ジヒドロ−ナフタレン−1−イル)−メタノンからなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式IIa:
【化9】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項12】
式IIb:
【化10】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩であって、ここで、
フェニル環「Z」はいずれかの炭素「a」もしくは「b」へ結合している、
R1、R3、R4、およびR5は各々、独立して、H、低級アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群から選択される;
Xは、一重結合およびC(O)からなる群から選択される;および
nは1、2、3もしくは4である、
化合物または医薬上許容されるそれらの塩。
【請求項13】
動物における血管増殖性疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の環置換二環式縮合環系を投与する工程を包含し、該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである、方法。
【請求項14】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化11】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
動物における血管増殖性疾患を治療するための方法であって、動物に有効量の式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
前記血管増殖性疾患は、悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記悪性増殖性血管構造が、腫瘍もしくは他の腫瘍疾患に関連している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記血管増殖性疾患は、非悪性増殖性血管構造の存在を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記非悪性増殖性血管構造が、湿性もしくは加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、糖尿病性分子的水腫、ブドウ膜炎、もしくは角膜血管新生を含む群から選択される眼疾患に関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非悪性増殖性血管構造が、乾癬、慢性関節リウマチ、アテローム、再狭窄、カポジ肉腫、血管腫などの非眼性疾患状態、および血管増殖を特徴とする炎症性疾患に関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を選択的に減少させるための方法であって、環置換二環式縮合環系を投与する工程を包含し、ここで該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åであり、それにより隣接する領域内での組織の実質的壊死を伴わずに該腫瘍領域内の組織の実質的壊死を引き起こす、方法。
【請求項22】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化12】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
腫瘍領域の少なくとも一部分への血流を選択的に減少させるための方法であって、式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
動物における腫瘍疾患を治療するための方法であって、動物に環置換二環式縮合環系を投与する工程を包含し、ここで該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである、方法。
【請求項25】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化13】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
動物における腫瘍疾患を治療するための方法であって、動物に式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
前記化合物は、有糸分裂の阻害に起因する腫瘍細胞毒性を誘発する直接的結果を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
チューブリン含有系を環置換二環式縮合環系と接触させることによりチューブリン重合を阻害するための方法であって、該二環式縮合環系の環置換基と外環との中心間距離は4〜7Åである、方法。
【請求項29】
前記環置換二環式縮合環系は、式I:
【化14】
の化合物または医薬上許容されるそれらの塩によって表され、ここで、
破線は、一重もしくは二重結合を示す;
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は各々、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、アミン、ホスフェート、ホスホルアミデート、およびアミノ酸アシル基からなる群から選択される;
Xは、一重結合、CH2、O、S、N(H)、およびC(O)からなる群から選択される;および
nは0、1、2もしくは3である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
チューブリン含有系を式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XもしくはXIIの化合物と接触させることによる、チューブリン重合を阻害するための方法。
【請求項31】
前記系は腫瘍細胞である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
医薬上適切な担体中に式I、II、IIa、IIb、III、IV、IVa、V、VI、VII、VIII、IX、XおよびXIIの化合物を含有する医薬製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−546706(P2008−546706A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517095(P2008−517095)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/023251
【国際公開番号】WO2006/138427
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507408855)ベイラー ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/023251
【国際公開番号】WO2006/138427
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507408855)ベイラー ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
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