説明

チューブ容器とその製造方法

【課題】簡単な構造で十分な強度を有し、内容物の取出しが容易なチューブ容器とその製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂製のチューブ部12の一端部に、直接に射出成型により雄ネジ部24と注出口22を一体に成型して成る。チューブ部12と雄ネジ部24は、同種の樹脂により成型される。チューブ部12は、押し出し成型して所定長さに切断し、切断されたチューブ部12の一端部に、直接に射出成型により雄ネジ部24と注出口22を一体成型する。この後、チューブ部12の側面に印刷を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接着剤等の粘度が高い不定形材料の内容物を収容し、側面を押してその内容物を取り出すチューブ容器とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘度が高い不定形材料の内容物を収容する容器として、柔軟な側面であるチューブ部と、チューブ部の端部を閉鎖する硬い注出口が設けられたチューブ容器がある。チューブ容器の注出口は円筒形であり、外周面には雄ネジが形成され、内周面に雌ネジが形成されたキャップが螺合されている。このようなチューブ容器の製造方法には、ブロー一体成型方法、溶着方法、インサート成型方法がある。ブロー一体成型は、チューブ部と注出口を一体にブロー成型するものであり、技術的に比較的容易で安価な製造方法である。また、溶着方法は、別々に成型されたチューブ部と注出口を溶着して連結するものである。一方、インサート成型は、特許文献1に示すようにあらかじめ成型したチューブ部に、注出口を射出成型する方法である。
【特許文献1】特開2000−72163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の技術のブロー一体成型の場合、チューブ容器の注出口は、キャップが確実に螺合されるための強度を持たせるために一定の厚さが必要であるが、この方法ではチューブ部と注出口が一体にブロー成型されるため、柔軟さが要求されるチューブ部についても比較的厚くなり、硬くて絞りにくいという問題があった。
【0004】
一方、溶着方法の場合、あらかじめチューブ部を薄くて柔軟に成型し、このチューブ部に硬さを確保して成型された注出口を溶着するため、ソフトなタッチで絞りやすいチューブ部を設けることが可能となる。しかし、チューブ部と注出口とのつなぎ目の溶着不良等により、ここから破損して内容物が漏れる可能性がある。また、チューブ部の端縁部が注出口の周面と全面的に接着していない場合、内側のチューブ部と注出口周面との間に内容物が入り、絞り残りとなることもあった。また、チューブ部の表示は、片面ずつの印刷となり、チューブ部の両脇に折れ目ができるという問題がある。またチューブ部と注出口を別に成型し溶着するため製造工程が多く、生産性が低くなり、単価が上昇するという欠点もある。
【0005】
また、特許文献1に開示されるインサート成型方法では、注出口の内周面にガス不透過性を有するバリアヘッドが設けられ、構造が複雑であった。また、チューブ部と注出口の材料が異なるため、つなぎ目の強度が十分に高いものではなく、チューブ部の端部を注出口の周縁部上方に巻き付くように接合され、この点でも構造が複雑でコストがかかるものであった。
【0006】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で十分な強度を有し、内容物の取出しが容易なチューブ容器とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、合成樹脂製のチューブ部の一端部に、直接に射出成型により雄ネジ部と注出口を一体に成型して成るチューブ容器である。さらに、前記チューブ部と前記雄ネジ部は、同種の樹脂により成型されものである。
【0008】
またこの発明は、合成樹脂製のチューブ部を押し出し成型して所定長さに切断し、切断された前記チューブ部の一端部に、直接に射出成型により雄ネジ部と注出口を一体に成型し、この後、前記チューブ部の側面に印刷を施すチューブ容器の製造方法である。
【0009】
また、この発明のチューブ容器の製造は、前記チューブ部の押し出し工程から前記印刷工程までを、一連の装置による連続した工程で順に処理するもので、押出成型部、冷却水槽、切断部、射出成型部、印刷部が連続する全自動化ラインで行われる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のチューブ容器とその製造方法によれば、簡単な構造で安価にチューブ容器を製造可能であり、注出口はキャップの取り外しや内容物の押し出し時に必要な十分な強度を有している。また、チューブ部は柔軟であり内容物の取出しは弱い力で容易に絞りだすことができ、絞り残しも少なく、むだがないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、図2はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のチューブ容器10は、適度な柔軟性を有する合成樹脂製のチューブ部12が設けられている。チューブ部12は、円筒状の側面14を有し、側面14の一端部には、側面14の半径方向にチューブ部12を潰してヒートシールした尾部16が設けられている。チューブ部12の素材は、例えばポリエチレン等であり、高い柔軟性を有している。チューブ部12は薄く形成され、厚さは例えば0.28mmである。
【0012】
チューブ部12の、尾部16と反対側の端部には、注出部18が射出成型によりチューブ部12と一体に設けられている。注出部18は、チューブ部12と同じ樹脂、例えばポリエチレンにEVAを8対2の混合比で混ぜたもので成型されている。注出部18は、側面14の開口部を閉鎖しその中心が外側へ向かうテーパ面である肩部20が設けられ、肩部20の中心には、円筒状の注出口22が、外側に突出して一体に形成されている。注出口22の外周面には、雄ネジ部24が一体に設けられている。
【0013】
注出口22には図示しないキャップが着脱可能に取り付けられ、閉鎖される。キャップは、注出口22を覆う円筒状の側面と、注出口22の開口を閉鎖する天面板が一体に設けられ、側面の内周面には注出口22の雄ネジ部24に螺合される雌ネジが一定に形成されている。
【0014】
次にこの実施形態のチューブ容器10の製造方法について、図3、図4に基づいて説明する。まず、チューブ部12の側面14を形成する長尺のチューブを、製造ラインの押出成型機25等から成る押出成型部26で成型し、次に冷却水槽28で冷却した後、切断部30で、個々のチューブ容器10のチューブ部12の長さに切断する。次に、切断されたチューブ部12を金型に取り付け、射出成型部32で注出部18をインサート成型する。
【0015】
図3は射出成型部32を示したものであり、まずチューブ部12を、その内径と外径が同じ円柱形のコア部材34に嵌める。コア部材34の上端部は、円錐形の肩部36が一体に形成され、肩部36の中央には、円柱形で外側に突出する円柱部38が一体に形成されている。円柱部38の高さは、注出口22よりも少し高い。
【0016】
次に、チューブ部12を取り付けたコア部材34を、注出部18の外側を成型する金型である包囲部40の内側に入れる。すると、注出部18を形成するキャビティ42が形成される。包囲部40の、注出口22の外周面を形成する部分には、雄ネジ部24を形成する雄ネジ用凹部44が形成されている。そして、包囲部40に設けられキャビティ42に連通するゲート46から、キャビティ42に、溶融した樹脂を射出して注出部18を成型し、チューブ部12の側面14と注出部18を物理的に接合する。なお、包囲部40はあらかじめ二分割されたものでも良く、二分割された包囲部40は取り付けや取り外しが容易となる。
【0017】
次に包囲部40を外し、コア部材24を抜いて、チューブ容器10を得る。この後、チューブ容器10の側面14に、印刷部48で商品名やマーク等、任意の絵柄50を印刷する。印刷部48では、印刷用治具を用いることにより側面14に折れ目をつけることなく両面を印刷することができる。そして製品を詰める工程で注出部18を所定の部材、例えばキャップで閉鎖し、側面14の開放端、つまり注出部18と反対側の開口部から内容物を入れ、ヒートシールで尾部16を形成して封止する。そして箱詰機で所定の運搬用箱に入れ、出荷する。
【0018】
この実施形態のチューブ容器10によれば、簡単な構造で安価であり、チューブ部12と注出部18が同じ素材で一体にインサート成型されているため、隙間なく接合されつなぎ目の強度が高く、内容物の押し出し時に必要な強度を有している。また、チューブ部12はあらかじめ柔軟で薄く成形されているため、ソフトなタッチで絞りやすく内容物の取出しは弱い力で容易に絞りだすことができ、絞り残しも少なく、むだがないものである。さらに、チューブ部12を薄くすることにより、材料費が安価となる。注出部18は厚みを有し強度を持たせて成型されているため、キャップの取り付けや取り外しを確実に行うことができる。また、チューブ容器10は、押出成型部、冷却水槽、切断部、射出成型部、印刷部が連続する全自動化ラインで製造することができ、生産性が向上し量産化が可能であり、コストを削減することもできる。
【0019】
なお、この発明のチューブ容器は、上記実施の形態に限定されるものではなく、各部材の形状は内容物の性状や使用目的にあわせて自由に変更可能である。チューブ容器の材料は、適度な強度と柔軟性を持つものであればよく、自由に選択可能である。チューブ容器の全自動化ラインは上記実施形態に限定されず、工程の順番を変更したり、他の工程を追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態のチューブ容器の正面図である。
【図2】この実施形態のチューブ容器の部分縦断面図である。
【図3】この実施形態のチューブ容器の射出成型部の金型を示す概略図である。
【図4】この実施形態のチューブ容器の製造工程を示す概略工程図である。
【符号の説明】
【0021】
10 チューブ容器
12 チューブ部
14 側面
16 尾部
18 注出部
20 肩部
22 注出口
24 雄ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のチューブ部の一端部に、直接に射出成型により雄ネジ部と注出口を一体に成型して成ることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記チューブ部と前記雄ネジ部は、同種の樹脂により成型されていることを特徴とする請求項1記載のチューブ容器。
【請求項3】
合成樹脂製のチューブ部を押し出し成型して所定長さに切断し、切断された前記チューブ部の一端部に、直接に射出成型により雄ネジ部と注出口を一体に成型し、この後、前記チューブ部の側面に印刷を施すことを特徴とするチューブ容器の製造方法。
【請求項4】
前記チューブ部の押し出し工程から前記印刷工程までを、一連の装置による連続した工程で、順に処理することを特徴とする請求項3記載のチューブ容器の製造法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−91274(P2007−91274A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283373(P2005−283373)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(597029446)
【Fターム(参考)】