チョークレバー装置
【課題】ホルダー本体のネジ部は略全長にわたって全ねじ構造とすると共に、ネジ部の一部に断面を略小判型形状とすることで、ホルダー本体の周方向の回転方向の荷重に対して強度を高くすること。
【解決手段】ホルダー本体2のネジ部21は軸方向の略全長にわたって断面を円形とし、ネジ部21の先端側の両側に細幅のスリット22を形成する。スリット22の奥面は直線状の平面部23とし、この平面部23が取付面53の両側の直線部55にそれぞれ位置決めされて取り付けられる。これにより、ホルダー本体2の周方向の回転を規制する。ホルダー本体2に周方向に回転させる力が加わっても、(b)に示すA点とB点との2カ所で回転のトルクを受けることになり、高トルクに対応可能であり、ホルダー本体2の周方向の回転を不可にすることができる。
【解決手段】ホルダー本体2のネジ部21は軸方向の略全長にわたって断面を円形とし、ネジ部21の先端側の両側に細幅のスリット22を形成する。スリット22の奥面は直線状の平面部23とし、この平面部23が取付面53の両側の直線部55にそれぞれ位置決めされて取り付けられる。これにより、ホルダー本体2の周方向の回転を規制する。ホルダー本体2に周方向に回転させる力が加わっても、(b)に示すA点とB点との2カ所で回転のトルクを受けることになり、高トルクに対応可能であり、ホルダー本体2の周方向の回転を不可にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用のチョークレバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動二輪車には、寒冷時におけるエンジンの始動を容易にするためにチョーク装置が設けられている。このチョーク装置は、例えば運転者がチョークレバーを操作することによりチョーク弁が開放し、エンジン内に供給される燃料の濃度を高めて、寒冷時のエンジン始動を容易にするものである。
【0003】
この自動二輪車用のチョークレバー装置に関しては、例えば下記に挙げる特許文献1〜3がある。
【0004】
【特許文献1】特公平2−1718号公報
【特許文献2】特開平11−345529号公報
【特許文献3】特開2001−90608号公報
【0005】
上記特許文献1では、チョークレバーのリング状基部をハンドルパイプに対して回動自在に取り付けるとともに、ハンドルグリップに隣接するライトコントロールスイッチ用ブラケットと、該ハンドルグリップの前方に配されるクラッチレバーの基部を支承するクラッチレバーブラケットの間に臨むように、前記リング状基部から径方向に略直線的に延出するチョークレバーを配設するようにしたものである。
これにより、ライトコントロールスイッチとチョークレバーとが重なり合うことがないようにチョークレバーをハンドル部分に設けてレバーの誤操作を防止し、また、チョークレバーが両側のブラケットにより保護されて外力によって破壊されることがないようにしている。
【0006】
また、上記特許文献2では、二輪車のグリップ近傍に設けたスイッチケースの底面に凹部を形成すると共に、該凹部の運転者側の側壁に細幅の横長状角窓を形成し、該角窓からチョークレバーの先端部を突出させて配置すると共に、前記凹部の下面開口部を裏蓋で覆っているものである。これにより、チョークレバーの外観を向上させると共に転倒時の破損のおそれを低減している。
【0007】
上記特許文献3はチョーク弁の保持機構であり、気化器本体に結合される空気清浄器の基板の一側方に円弧状の突条を設け、該突条の一面に沿ってチョークレバーを回動可能に軸支持し、チョークレバーの先端に設けた係合片を、前記突条の反対側の面に設けたくぼみへ係合可能に構成しているものである。これにより、チョークレバーと係合片により突条が両面から挟まれるので、チョークレバーの変形が抑えられ、長期にわたりチョーク弁を全閉、半開、全開などの所定の開度に保持できるとしている。
【0008】
ところで、図15は従来のチョークレバー装置101の運転席側から見たレイアウト図を示し、両側にグリップ102を設けたハンドル103を軸支する部分に該チョークレバー装置101が配設されている。
【0009】
図16(a)は上記チョークレバー装置101の正面図を示し、同図(b)はチョークレバー装置101の破断側面図を、同図(c)は同図(b)のC−C断面図をそれぞれ示している。このチョークレバー装置101は、ホルダー本体104と、このホルダー本体104の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体105と、ホルダー本体104の他端側に固着具106により一端側がカシメて固定されているアウターケーブル107と、このアウターケーブル107内に移動自在に配索されて一端側が上記レバー本体105側に連結され、他端に係止具110を固着したコントロールケーブル111と、ホルダー本体104の一端側に設けられているキャップ112と、チョークレバー装置101を自動二輪車に取り付けるためのナット113等で構成されている。
【0010】
図17は上記レバー本体105を示し、同図(a)はレバー本体105の正面図を、同図(b)は断面図を、同図(c)は(b)のA−A断面図をそれぞれ示している。このレバー本体105は、操作用のレバー114と、このレバー114にピン115により一端が回動自在に連結されている略円柱状のシャフト116で構成されている。このシャフト116の他端に上記コントロールケーブル111の一端が連結される。
【0011】
また、レバー本体105のシャフト116は、図16(b)に示すように上記ホルダー本体104の内部に位置して、レバー114の引き操作、戻し操作に応じてシャフト116がホルダー本体104内を摺動自在ないし移動自在となっている。
シャフト116の断面は図17(c)に示すように略D字状に形成されていて、また、ホルダー本体104の穴の断面も略D字状に形成されており、シャフト116の平面部117をホルダー本体104の挿通孔の平面部(図示せず)に当接していることで、ホルダー本体104に対するレバー本体105の周方向の回転を規制している。
【0012】
図18はホルダー本体104を示し、内部には両端を開口した挿通孔120が穿孔されていて、この挿通孔120に上記レバー本体105のシャフト116が挿入される。そして、この挿通孔120の図中左側の部分の断面が上述したように略D字状に形成されている。
また、ホルダー本体104の一端側にはヘッド部121が一体に形成されており、このヘッド部121の近傍にナット113が螺進自在に装着するためのネジ部122が螺刻されている。
【0013】
上記ホルダー本体104のネジ部122の断面は図16(c)に示すように略D字状に形成されていて、この略D字状による平面部123はネジ部122の全長にわたって形成されている。このネジ部122の平面部123に対応して、チョークレバー装置101を取り付ける自動二輪車側の後述する取付面の穴の一部が直線状に形成され、この直線状の部分にネジ部122の平面部123を当接して、ホルダー本体104の周方向の回転を規制するようにしている。
【0014】
なお、図19はキャップ112の破断側面図を示し、このキャップ112は、図20に示すゴム製のカバー124を介してホルダー本体104のヘッド部121に装着されるようになっている。すなわち、カバー124をホルダー本体104のヘッド部121に覆設し、このヘッド部121を覆設する形でキャップ112がカバー124を介して装着される。カバー124はゴム製のために、キャップ112に対して摩擦力が大となり、ホルダー本体104からのキャップ112の脱落を防止している。
【0015】
ここで、図16(b)において、レバー114をピン115を軸にして図中の左方に操作すると、コントロールケーブル111が引き操作されて図外のチョーク弁が開放し、エンジン内に供給される燃料の濃度を高めて、寒冷時のエンジン始動を容易にする。エンジン内に供給される燃料の濃度を低くする場合には、レバー114を先程とは逆の戻し操作を行なう。
レバー114の操作の際、レバー本体105のシャフト116の断面形状を略D字状としていることで、ホルダー本体104に対するレバー114の周方向の回転を規制している。
【0016】
ところがかかる従来例において、レバー114の回転規制をシャフト116のD字状の平面部117で行なっているために、レバー114の回転方向の荷重に対して強度が低いという問題がある。
【0017】
また、図21(a)はホルダー本体104のネジ部122の断面図を示し、図21(b)はチョークレバー装置101のホルダー本体104を取り付ける板状の取付面130に設けてある取付用の取付穴131を示している。この取付穴131は略U字状に形成されていて、ネジ部122の平面部123に対応した部分だけ直線状として直線部132が形成されている。そして、ホルダー本体104の上下方向の下半分に対応させて直線部132以外の部分は円形に形成してある。
【0018】
ホルダー本体104に周方向に回転させようとする力が働くと、図21(b)に示すA点の1カ所のみで回転のトルクを受けているのみであり、そのため、回転方向の荷重に対して強度が低く、また、ホルダー本体104のネジ部122の全長がD字状のため、軸力も断面を円形とした全ねじ構造に対して低いという問題もある。
【0019】
また、自動二輪車側の取付面にチョークレバー装置101を固定する場合においても、ナット113の端面がフラットになっているため、過大なスライド荷重が掛かった場合、ずれ易い形状となっている。
さらには、チョークレバー装置101の先端側は、高温となるエンジン側に配置されており、用途的に負圧がかかる部位に用いられているため、アウターケーブル107内やホルダー本体104内に浸水するという問題があった。アウターケーブル107内やホルダー本体104内が浸水すると、コントロールケーブル111等にサビが発生し、作動不良の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なく下記に示す目的を備えたチョークレバー装置を提供するものである。
(1)ホルダー本体のネジ部は略全長にわたって全ねじ構造とすると共に、ネジ部の一部に断面を略小判型形状とすることで、ホルダー本体の周方向の回転方向の荷重に対して強度を高くすること。
(2)ホルダー本体とキャップには周方向の回転を拘束する嵌合形状としてキャップの回転を防止し、また、キャップにはレバーの周方向の回転を防止すると共にレバーの操作のガイド可能としてレバーの操作性を向上させること。
(3)ホルダー本体に外気とアウターケーブルの内部に連通する穴を設け、この穴を柔軟な繊維構造の多孔質体で覆って防水性を向上させること。
(4)ホルダー本体を挟み込むナットの端面に溝を設け、相手の取付面にはこの溝に位置する突起を設けて、この突起を溝に挿入することで、過大なスライド荷重が掛かった場合でも、ずれを防止し、これにより取り付け強度を高くすること。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本発明の請求項1に記載のチョークレバー装置では、車体の板状の取付面53に設けられている取付穴54に取り付けられるホルダー本体2と、このホルダー本体2の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体3と、前記ホルダー本体2の他端側に連結されてチョーク弁の引き操作を行なうケーブル7と、前記ホルダー本体2の外周面に螺刻されているネジ部21に螺着することで前記取付穴54に該ホルダー本体2を固定するナット11とで構成され、
前記ホルダー本体2のネジ部21の断面形状を該ネジ部21の略全長にわたって円形とすると共に、該ネジ部21の先端側の箇所の両側に細幅のスリット22を設けて該スリット22の奥面を直線状とした平面部23を形成し、
前記取付面53の取付穴54の両側に前記ホルダー本体2の平面部23に対応させた直線状の直線部55を形成していることを特徴としている。
【0022】
請求項2に記載のチョークレバー装置では、前記ホルダー本体2の一端側に該ホルダー本体2の一端部分を覆うキャップ10の先端面の両側に前記レバー本体3のレバー12の操作をガイドすると共に、ホルダー本体2の軸方向に突出するガイド部31を設け、この両ガイド部31間に形成されるガイド溝32内にレバー12の基部33を揺動自在に配設していることを特徴としている。
【0023】
請求項3に記載のチョークレバー装置では、前記ナット11の先端面に全周にわたる溝30を設け、この溝30に挿入される突起60を前記取付面53に設けていることを特徴としている。
【0024】
請求項4に記載のチョークレバー装置では、前記ホルダー本体2の表面に、該ホルダー本体2内と外部とを連通する穴24を穿設すると共に、柔軟で繊維構造の多孔質体からなるチューブ51により前記穴24を覆設していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1に記載のチョークレバー装置によれば、前記ホルダー本体2のネジ部21の断面形状を該ネジ部21の略全長にわたって円形とすると共に、該ネジ部21の先端側の箇所の両側にスリット22を設けて該スリット22の奥面を直線状とした平面部23を形成し、前記取付面53の取付穴54の両側に前記ホルダー本体2の平面部23に対応させた直線状の直線部55を形成しているので、ホルダー本体2に周方向に回転させる力が加わっても、取付穴54の一方の直線部55の上部または下部、他方の直線部55の下部または上部の2カ所で回転のトルクを受けることになり、高トルクに対応可能であり、ホルダー本体2の周方向の回転を不可にすることができる。また、ホルダー本体2のネジ部21は、細幅のスリット22を除いて全ねじ構造としているので、ねじの軸力を高くすることができる。
【0026】
請求項2に記載のチョークレバー装置によれば、前記ホルダー本体2の一端側に該ホルダー本体2の一端部分を覆うキャップ10の先端面の両側に前記レバー本体3のレバー12の操作をガイドすると共に、ホルダー本体2の軸方向に突出するガイド部31を設け、この両ガイド部31間に形成されるガイド溝32内にレバー12の基部33を揺動自在に配設しているので、ガイド溝32を形成しているガイド部31によりレバー12はホルダー本体2の周方向の回転が規制されることになり、同時にレバー12の引き操作や戻し操作は両側のガイド部31により案内されるため、レバー12の操作性を向上させることができる。
【0027】
請求項3に記載のチョークレバー装置によれば、前記ナット11の先端面に全周にわたる溝30を設け、この溝30に挿入される突起60を前記取付面53に設けているので、過大なスライド荷重が掛かった場合でも、ずれを防止することができ、これにより、チョークレバー装置1の取付面53への取付強度を高くすることができる。
【0028】
請求項4に記載のチョークレバー装置によれば、前記ホルダー本体2の表面に、該ホルダー本体2内と外部とを連通する穴24を穿設すると共に、柔軟で繊維構造の多孔質体からなるチューブ51により前記穴24を覆設しているので、呼吸弁(エアベント)となって、ホルダー本体2内やアウターケーブル5内の熱を通し、また防水効果をもたらしている。そのため、コントロールケーブル7のサビの発生を防止し、作動不良を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は本発明のチョークレバー装置1の正面図を示し、同図(b)はチョークレバー装置1の破断側面図を示している。
このチョークレバー装置1は、ホルダー本体2と、このホルダー本体2の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体3と、ホルダー本体2の他端側に固着具4により一端側がカシメ固定されているアウターケーブル5と、このアウターケーブル5内に移動自在に配索されて一端側が上記レバー本体3側に連結され、他端に図外のチョーク弁に係止する係止部6を固着したコントロールケーブル7と、ホルダー本体2の一端側に設けられているキャップ10と、チョークレバー装置1を自動二輪車に取り付けるためのナット11等で構成されている。
【0030】
図2はホルダー本体2部分の拡大図を示し、また、図3(a)はレバー本体3の正面図を、同図(b)はレバー本体3の断面図をそれぞれ示している。図4はホルダー本体2の破断側面図を示し、図5は図4のA−A断面図を、図6は図4のB−B断面図を、図7は図6のC−C断面図をそれぞれ示している。
レバー本体3は図3に示すように、運転者が操作する合成樹脂製のレバー12と、金属製で円柱状のシャフト13とで構成されていて、シャフト13の一端はピン14を介して回動自在に連結されている。また、シャフト13の他端は上記コントロールケーブル7と連結固定される。なお、シャフト13の断面は従来のようにD字状ではなく、円形に形成してある。
【0031】
ホルダー本体2は図4に示すように、その軸方向の全長にわたって両端が開口している挿通孔15が穿孔されており、この挿通孔15に上記レバー本体3のシャフト13及びコントロールケーブル7が摺動自在ないし移動自在に挿入される。
ホルダー本体2の一端側には略円柱状のヘッド部16が一体に形成されていて、このヘッド部16の先端側に凹溝17が周設されている。また、図4及び図5に示すように、ヘッド部16の基部の両側には外側方に向けて突出する立方体状の凸部20がそれぞれ一体に形成されている。なお、この凸部20の表面は曲面形状としてある。
【0032】
ホルダー本体2のヘッド部16に隣接する部位には上記ナット11が螺着されるネジ部21がホルダー本体2の軸方向に沿って所定寸法螺刻されている。このネジ部21はヘッド部16まで形成され、且つ断面を円形とした全ねじ構造としている。そして、図6に示すように、ヘッド部16の端面とネジ部21の端部との間のネジ部21の両側には、細幅のスリット22がそれぞれ形成されており、このスリット22が形成されることで、ネジ部21の断面を略小判型の形状としている。
そして、スリット22の奥面は直線状の平面部23とし、この平面部23に対応させてチョークレバー装置1を取り付ける取付面の取付穴の両側の辺が直線状となっている。この取付穴の直線状の辺にホルダー本体2の平面部23を位置決めさせることで、ホルダー本体2の周方向の回転を防止している。なお、チョークレバー装置1が取り付けられる取付面や、この取付面に形成されている取付穴については後述する。
【0033】
また、ホルダー本体2の中央部分より他端側の位置に、外気と挿通孔15の内部とを連通する穴24が穿孔されていて、この穴24の近傍の外周部は一段凹んだ凹段部25としている。さらに、ホルダー本体2の他端は固着具4によりアウターケーブル5の一端とカシメ固定される連結部26としている。
【0034】
図8はホルダー本体2のネジ部21にナット11を螺着した場合の破断側面図を示し、図9(a)はこのナット11の正面図を、図9(b)はナット11の破断側面図をそれぞれ示している。
図8及び図9に示すように、ナット11の先端部には突条のフランジ部27が一体に周設されていて、ナット11の先端面にはフランジ部27にかけて溝30周設されている。
【0035】
図10はホルダー本体2の一端側のヘッド部16に嵌着される略円筒状のキャップ10を示し、図11は図10(a)のA−A断面図を示している。このキャップ10の先端面の両側には略山形のガイド部31がホルダー本体2の軸方向に沿ってそれぞれ一体に突設されており、この両ガイド部31間をガイド溝32としている。
このガイド溝32内にレバー12の基部33(図2参照)が遊嵌され、そのため、ガイド溝32の幅(両ガイド部31間の寸法)は、レバー12の基部33の厚み(ピン115の軸方向)より若干広く設定してある。
【0036】
また、キャップ10の中央部分にはレバー12のシャフト13が挿通する孔34が穿孔されており、この孔34の一方はガイド溝32に連通し、孔34の他方はホルダー本体2のヘッド部16が位置する凹状の収容部35に連通している。また、収容部35の内部には段部36が周設されている。さらに、キャップ10の他端の外周の両側には凹部37が切り欠き形成されており、この凹部37にホルダー本体2のヘッド部16の凸部20が凹凸嵌合ないし挿入されるようになっている。
【0037】
上記キャップ10をホルダー本体2のヘッド部16に嵌着する場合、図12に示すゴム製のカバー41を介して嵌着される。このカバー41は、略ベレー帽子状に形成されていて、カバー41の一方の中央部分にはレバー本体3のシャフト13が挿通される孔42が穿設されている。また、カバー41の内部にはホルダー本体2のヘッド部16の先端部分が挿入される空間部43が形成されており、この空間部43に連通する開口部44の周縁部には厚肉の縁部45が形成されている。そして、この縁部45の外周面には突条の突部46が一体に周設されている。なお、カバー41をゴム製としているので、上記突部46も当然に弾力性を備えている。
【0038】
図13はホルダー本体2に穿設した穴24を覆うためのチューブ51を示し、このチューブ51を図4及び図8に示すようにホルダー本体2の凹段部25の部分に装着することで、このチューブ51により穴24を覆設するようにしている。このチューブ51は、柔軟性を有する繊維構造の多孔質であり、通気性に優れ、且つ強い撥水性能を有し、また、ほとんどの酸、アルカリ、溶剤に対して安定であり、さらには強い引っ張り強度を有している。
このチューブ51をホルダー本体2の凹段部25に装着して穴24を覆うことで、呼吸弁(エアベント)となって、ホルダー本体2内やアウターケーブル5内の熱を通し、また防水効果をもたらしている。そのため、コントロールケーブル7のサビの発生を防止し、作動不良を無くすことができる。
【0039】
ホルダー本体2のヘッド部16にキャップ10を装着する場合には、図2に示すように、カバー41の開口部44を介してヘッド部16の先端部を圧入ないし挿入していき、カバー41の内面にヘッド部16の先端面が圧接ないし当接すると共に、カバー41の縁部45がヘッド部16の凹溝17に圧入ないし挿入される。これによりキャップ10はヘッド部16に強固に固定される。
次に、キャップ10をカバー41を覆うようにして嵌め込んでいくと、キャップ10の段部36の面がカバー41の先端面の外周部に圧接してキャップ10の嵌め込みが位置決めされる。このとき、同時にキャップ10の内周面にカバー41の外周面に突設した突部46が弾接し、キャップ10はカバー41(ホルダー本体2のヘッド部16)に強固に嵌着されることになる。
【0040】
次に、レバー本体3のシャフト13にコントロールケーブル7の一端を連結した状態であって、コントロールケーブル7の他端には係止部6を固着していない状態で、コントロールケーブル7をキャップ10からホルダー本体2の挿通孔15及びアウターケーブル5の内部に挿入していく。
そして、レバー本体3のレバー12をキャップ10のガイド溝32内に遊嵌し、アウターケーブル5より突出しているコントロールケーブル7の他端に係止部6を固着する。この状態が図1や図2に示す状態である。
【0041】
図14(a)はホルダー本体2のスリット22部分の断面図を示し、図14(b)はチョークレバー装置1を自動二輪車の板状の取付面53の取付穴54を示している。この取付穴54は略U字状に形成されており、ホルダー本体2の平面部23に対応した取付穴54の両側は直線状とした直線部55を形成している。また、取付穴54の曲線状の下部はホルダー本体2の下部の曲線状の部分と同じ大きさとしている。
チョークレバー装置1の自動二輪車の取付面53への取り付けは、ホルダー本体2のスリット22の部分を取付穴54の両側の直線部55に挿入していき、その後、ナット11をホルダー本体2のネジ部21に螺進していくことで、チョークレバー装置1が取付面53に固定される。
【0042】
このとき、ホルダー本体2の両側のスリット22の平面部23が取付面53の両側の直線部55にそれぞれ位置決めされて取り付けられるものであり、これにより、ホルダー本体2の周方向の回転を規制する。
ホルダー本体2に周方向に回転させる力が加わっても、図14(b)に示すA点とB点との2カ所で回転のトルクを受けることになり、高トルクに対応可能であり、ホルダー本体2の周方向の回転を不可にすることができる。また、図中の矢印と反対方向に力が加わった場合でも、同様に2カ所で回転トルクを受けることで、ホルダー本体2の周方向の回転を不可能にしている。なお、ホルダー本体2を取り付ける取付穴54の形状は図14(b)に示すU字状の形状に限らず、完全な穴形状でも両側に直線部55を形成したものであれば良く、また、どのような穴形状でも良い。
【0043】
また、上記のナット11をネジ部21に螺進していく場合、図14(b)に示すように取付穴54の近傍に設けた突起60をナット11の溝30に挿入し、さらにナット11を螺進していき螺着する。このようにナット11の溝30に取付面53に設けた突起60を挿入していることで、過大なスライド荷重が掛かった場合でも、ずれを防止することができ、これにより、チョークレバー装置1の取付面53への取付強度を高くすることができる。
【0044】
また、レバー12はキャップ10のガイド溝32に遊嵌しているので、該ガイド溝32を形成しているガイド部31によりレバー12はホルダー本体2の周方向の回転が規制されることになる。同時にレバー12の引き操作や戻し操作は両側のガイド部31により案内されるため、レバー12の操作性を向上させることができる。
【0045】
また、ホルダー本体2のネジ部21は、細幅のスリット22を除いて全ねじ構造としているので、ねじの軸力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるチョークレバー装置の正面図及び破断側面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるホルダー本体部分の拡大破断側面図である。
【図3】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるレバー本体の正面図及び破断側面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるホルダー本体の拡大破断側面図である。
【図5】本発明の実施の形態における図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における図4のB−B断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における図4のC−C断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるナットを螺着した場合のホルダー本体の拡大破断側面図である。
【図9】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるナットの正面図及び破断側面図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明の実施の形態におけるキャップの平面図、側面図及び正面図である。
【図11】本発明の実施の形態における図10(a)のA−A断面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるカバーの断面図である。
【図13】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるチューブの正面図及び側面図である。
【図14】(a)(b)は本発明の実施の形態における説明図である。
【図15】運転席側から見た場合のチョークレバー装置のレイアウトを示す図である。
【図16】(a)(b)は従来例のチョークレバー装置の正面図及び破断側面図である。
【図17】(a)(b)は従来例のレバー本体の正面図及び断面図であり、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図18】従来例のホルダー本体の破断側面図である。
【図19】従来例のキャップの破断側面図である。
【図20】従来例のカバーの断面図である。
【図21】(a)(b)は従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 チョークレバー装置
2 ホルダー本体
3 レバー本体
7 コントロールケーブル
10 キャップ
11 ナット
12 レバー
21 ネジ部
22 スリット
23 平面部
24 穴
30 溝
31 ガイド部
32 ガイド溝
33 基部
51 チューブ
53 取付面
54 取付穴
55 直線部
60 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用のチョークレバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動二輪車には、寒冷時におけるエンジンの始動を容易にするためにチョーク装置が設けられている。このチョーク装置は、例えば運転者がチョークレバーを操作することによりチョーク弁が開放し、エンジン内に供給される燃料の濃度を高めて、寒冷時のエンジン始動を容易にするものである。
【0003】
この自動二輪車用のチョークレバー装置に関しては、例えば下記に挙げる特許文献1〜3がある。
【0004】
【特許文献1】特公平2−1718号公報
【特許文献2】特開平11−345529号公報
【特許文献3】特開2001−90608号公報
【0005】
上記特許文献1では、チョークレバーのリング状基部をハンドルパイプに対して回動自在に取り付けるとともに、ハンドルグリップに隣接するライトコントロールスイッチ用ブラケットと、該ハンドルグリップの前方に配されるクラッチレバーの基部を支承するクラッチレバーブラケットの間に臨むように、前記リング状基部から径方向に略直線的に延出するチョークレバーを配設するようにしたものである。
これにより、ライトコントロールスイッチとチョークレバーとが重なり合うことがないようにチョークレバーをハンドル部分に設けてレバーの誤操作を防止し、また、チョークレバーが両側のブラケットにより保護されて外力によって破壊されることがないようにしている。
【0006】
また、上記特許文献2では、二輪車のグリップ近傍に設けたスイッチケースの底面に凹部を形成すると共に、該凹部の運転者側の側壁に細幅の横長状角窓を形成し、該角窓からチョークレバーの先端部を突出させて配置すると共に、前記凹部の下面開口部を裏蓋で覆っているものである。これにより、チョークレバーの外観を向上させると共に転倒時の破損のおそれを低減している。
【0007】
上記特許文献3はチョーク弁の保持機構であり、気化器本体に結合される空気清浄器の基板の一側方に円弧状の突条を設け、該突条の一面に沿ってチョークレバーを回動可能に軸支持し、チョークレバーの先端に設けた係合片を、前記突条の反対側の面に設けたくぼみへ係合可能に構成しているものである。これにより、チョークレバーと係合片により突条が両面から挟まれるので、チョークレバーの変形が抑えられ、長期にわたりチョーク弁を全閉、半開、全開などの所定の開度に保持できるとしている。
【0008】
ところで、図15は従来のチョークレバー装置101の運転席側から見たレイアウト図を示し、両側にグリップ102を設けたハンドル103を軸支する部分に該チョークレバー装置101が配設されている。
【0009】
図16(a)は上記チョークレバー装置101の正面図を示し、同図(b)はチョークレバー装置101の破断側面図を、同図(c)は同図(b)のC−C断面図をそれぞれ示している。このチョークレバー装置101は、ホルダー本体104と、このホルダー本体104の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体105と、ホルダー本体104の他端側に固着具106により一端側がカシメて固定されているアウターケーブル107と、このアウターケーブル107内に移動自在に配索されて一端側が上記レバー本体105側に連結され、他端に係止具110を固着したコントロールケーブル111と、ホルダー本体104の一端側に設けられているキャップ112と、チョークレバー装置101を自動二輪車に取り付けるためのナット113等で構成されている。
【0010】
図17は上記レバー本体105を示し、同図(a)はレバー本体105の正面図を、同図(b)は断面図を、同図(c)は(b)のA−A断面図をそれぞれ示している。このレバー本体105は、操作用のレバー114と、このレバー114にピン115により一端が回動自在に連結されている略円柱状のシャフト116で構成されている。このシャフト116の他端に上記コントロールケーブル111の一端が連結される。
【0011】
また、レバー本体105のシャフト116は、図16(b)に示すように上記ホルダー本体104の内部に位置して、レバー114の引き操作、戻し操作に応じてシャフト116がホルダー本体104内を摺動自在ないし移動自在となっている。
シャフト116の断面は図17(c)に示すように略D字状に形成されていて、また、ホルダー本体104の穴の断面も略D字状に形成されており、シャフト116の平面部117をホルダー本体104の挿通孔の平面部(図示せず)に当接していることで、ホルダー本体104に対するレバー本体105の周方向の回転を規制している。
【0012】
図18はホルダー本体104を示し、内部には両端を開口した挿通孔120が穿孔されていて、この挿通孔120に上記レバー本体105のシャフト116が挿入される。そして、この挿通孔120の図中左側の部分の断面が上述したように略D字状に形成されている。
また、ホルダー本体104の一端側にはヘッド部121が一体に形成されており、このヘッド部121の近傍にナット113が螺進自在に装着するためのネジ部122が螺刻されている。
【0013】
上記ホルダー本体104のネジ部122の断面は図16(c)に示すように略D字状に形成されていて、この略D字状による平面部123はネジ部122の全長にわたって形成されている。このネジ部122の平面部123に対応して、チョークレバー装置101を取り付ける自動二輪車側の後述する取付面の穴の一部が直線状に形成され、この直線状の部分にネジ部122の平面部123を当接して、ホルダー本体104の周方向の回転を規制するようにしている。
【0014】
なお、図19はキャップ112の破断側面図を示し、このキャップ112は、図20に示すゴム製のカバー124を介してホルダー本体104のヘッド部121に装着されるようになっている。すなわち、カバー124をホルダー本体104のヘッド部121に覆設し、このヘッド部121を覆設する形でキャップ112がカバー124を介して装着される。カバー124はゴム製のために、キャップ112に対して摩擦力が大となり、ホルダー本体104からのキャップ112の脱落を防止している。
【0015】
ここで、図16(b)において、レバー114をピン115を軸にして図中の左方に操作すると、コントロールケーブル111が引き操作されて図外のチョーク弁が開放し、エンジン内に供給される燃料の濃度を高めて、寒冷時のエンジン始動を容易にする。エンジン内に供給される燃料の濃度を低くする場合には、レバー114を先程とは逆の戻し操作を行なう。
レバー114の操作の際、レバー本体105のシャフト116の断面形状を略D字状としていることで、ホルダー本体104に対するレバー114の周方向の回転を規制している。
【0016】
ところがかかる従来例において、レバー114の回転規制をシャフト116のD字状の平面部117で行なっているために、レバー114の回転方向の荷重に対して強度が低いという問題がある。
【0017】
また、図21(a)はホルダー本体104のネジ部122の断面図を示し、図21(b)はチョークレバー装置101のホルダー本体104を取り付ける板状の取付面130に設けてある取付用の取付穴131を示している。この取付穴131は略U字状に形成されていて、ネジ部122の平面部123に対応した部分だけ直線状として直線部132が形成されている。そして、ホルダー本体104の上下方向の下半分に対応させて直線部132以外の部分は円形に形成してある。
【0018】
ホルダー本体104に周方向に回転させようとする力が働くと、図21(b)に示すA点の1カ所のみで回転のトルクを受けているのみであり、そのため、回転方向の荷重に対して強度が低く、また、ホルダー本体104のネジ部122の全長がD字状のため、軸力も断面を円形とした全ねじ構造に対して低いという問題もある。
【0019】
また、自動二輪車側の取付面にチョークレバー装置101を固定する場合においても、ナット113の端面がフラットになっているため、過大なスライド荷重が掛かった場合、ずれ易い形状となっている。
さらには、チョークレバー装置101の先端側は、高温となるエンジン側に配置されており、用途的に負圧がかかる部位に用いられているため、アウターケーブル107内やホルダー本体104内に浸水するという問題があった。アウターケーブル107内やホルダー本体104内が浸水すると、コントロールケーブル111等にサビが発生し、作動不良の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なく下記に示す目的を備えたチョークレバー装置を提供するものである。
(1)ホルダー本体のネジ部は略全長にわたって全ねじ構造とすると共に、ネジ部の一部に断面を略小判型形状とすることで、ホルダー本体の周方向の回転方向の荷重に対して強度を高くすること。
(2)ホルダー本体とキャップには周方向の回転を拘束する嵌合形状としてキャップの回転を防止し、また、キャップにはレバーの周方向の回転を防止すると共にレバーの操作のガイド可能としてレバーの操作性を向上させること。
(3)ホルダー本体に外気とアウターケーブルの内部に連通する穴を設け、この穴を柔軟な繊維構造の多孔質体で覆って防水性を向上させること。
(4)ホルダー本体を挟み込むナットの端面に溝を設け、相手の取付面にはこの溝に位置する突起を設けて、この突起を溝に挿入することで、過大なスライド荷重が掛かった場合でも、ずれを防止し、これにより取り付け強度を高くすること。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本発明の請求項1に記載のチョークレバー装置では、車体の板状の取付面53に設けられている取付穴54に取り付けられるホルダー本体2と、このホルダー本体2の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体3と、前記ホルダー本体2の他端側に連結されてチョーク弁の引き操作を行なうケーブル7と、前記ホルダー本体2の外周面に螺刻されているネジ部21に螺着することで前記取付穴54に該ホルダー本体2を固定するナット11とで構成され、
前記ホルダー本体2のネジ部21の断面形状を該ネジ部21の略全長にわたって円形とすると共に、該ネジ部21の先端側の箇所の両側に細幅のスリット22を設けて該スリット22の奥面を直線状とした平面部23を形成し、
前記取付面53の取付穴54の両側に前記ホルダー本体2の平面部23に対応させた直線状の直線部55を形成していることを特徴としている。
【0022】
請求項2に記載のチョークレバー装置では、前記ホルダー本体2の一端側に該ホルダー本体2の一端部分を覆うキャップ10の先端面の両側に前記レバー本体3のレバー12の操作をガイドすると共に、ホルダー本体2の軸方向に突出するガイド部31を設け、この両ガイド部31間に形成されるガイド溝32内にレバー12の基部33を揺動自在に配設していることを特徴としている。
【0023】
請求項3に記載のチョークレバー装置では、前記ナット11の先端面に全周にわたる溝30を設け、この溝30に挿入される突起60を前記取付面53に設けていることを特徴としている。
【0024】
請求項4に記載のチョークレバー装置では、前記ホルダー本体2の表面に、該ホルダー本体2内と外部とを連通する穴24を穿設すると共に、柔軟で繊維構造の多孔質体からなるチューブ51により前記穴24を覆設していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1に記載のチョークレバー装置によれば、前記ホルダー本体2のネジ部21の断面形状を該ネジ部21の略全長にわたって円形とすると共に、該ネジ部21の先端側の箇所の両側にスリット22を設けて該スリット22の奥面を直線状とした平面部23を形成し、前記取付面53の取付穴54の両側に前記ホルダー本体2の平面部23に対応させた直線状の直線部55を形成しているので、ホルダー本体2に周方向に回転させる力が加わっても、取付穴54の一方の直線部55の上部または下部、他方の直線部55の下部または上部の2カ所で回転のトルクを受けることになり、高トルクに対応可能であり、ホルダー本体2の周方向の回転を不可にすることができる。また、ホルダー本体2のネジ部21は、細幅のスリット22を除いて全ねじ構造としているので、ねじの軸力を高くすることができる。
【0026】
請求項2に記載のチョークレバー装置によれば、前記ホルダー本体2の一端側に該ホルダー本体2の一端部分を覆うキャップ10の先端面の両側に前記レバー本体3のレバー12の操作をガイドすると共に、ホルダー本体2の軸方向に突出するガイド部31を設け、この両ガイド部31間に形成されるガイド溝32内にレバー12の基部33を揺動自在に配設しているので、ガイド溝32を形成しているガイド部31によりレバー12はホルダー本体2の周方向の回転が規制されることになり、同時にレバー12の引き操作や戻し操作は両側のガイド部31により案内されるため、レバー12の操作性を向上させることができる。
【0027】
請求項3に記載のチョークレバー装置によれば、前記ナット11の先端面に全周にわたる溝30を設け、この溝30に挿入される突起60を前記取付面53に設けているので、過大なスライド荷重が掛かった場合でも、ずれを防止することができ、これにより、チョークレバー装置1の取付面53への取付強度を高くすることができる。
【0028】
請求項4に記載のチョークレバー装置によれば、前記ホルダー本体2の表面に、該ホルダー本体2内と外部とを連通する穴24を穿設すると共に、柔軟で繊維構造の多孔質体からなるチューブ51により前記穴24を覆設しているので、呼吸弁(エアベント)となって、ホルダー本体2内やアウターケーブル5内の熱を通し、また防水効果をもたらしている。そのため、コントロールケーブル7のサビの発生を防止し、作動不良を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は本発明のチョークレバー装置1の正面図を示し、同図(b)はチョークレバー装置1の破断側面図を示している。
このチョークレバー装置1は、ホルダー本体2と、このホルダー本体2の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体3と、ホルダー本体2の他端側に固着具4により一端側がカシメ固定されているアウターケーブル5と、このアウターケーブル5内に移動自在に配索されて一端側が上記レバー本体3側に連結され、他端に図外のチョーク弁に係止する係止部6を固着したコントロールケーブル7と、ホルダー本体2の一端側に設けられているキャップ10と、チョークレバー装置1を自動二輪車に取り付けるためのナット11等で構成されている。
【0030】
図2はホルダー本体2部分の拡大図を示し、また、図3(a)はレバー本体3の正面図を、同図(b)はレバー本体3の断面図をそれぞれ示している。図4はホルダー本体2の破断側面図を示し、図5は図4のA−A断面図を、図6は図4のB−B断面図を、図7は図6のC−C断面図をそれぞれ示している。
レバー本体3は図3に示すように、運転者が操作する合成樹脂製のレバー12と、金属製で円柱状のシャフト13とで構成されていて、シャフト13の一端はピン14を介して回動自在に連結されている。また、シャフト13の他端は上記コントロールケーブル7と連結固定される。なお、シャフト13の断面は従来のようにD字状ではなく、円形に形成してある。
【0031】
ホルダー本体2は図4に示すように、その軸方向の全長にわたって両端が開口している挿通孔15が穿孔されており、この挿通孔15に上記レバー本体3のシャフト13及びコントロールケーブル7が摺動自在ないし移動自在に挿入される。
ホルダー本体2の一端側には略円柱状のヘッド部16が一体に形成されていて、このヘッド部16の先端側に凹溝17が周設されている。また、図4及び図5に示すように、ヘッド部16の基部の両側には外側方に向けて突出する立方体状の凸部20がそれぞれ一体に形成されている。なお、この凸部20の表面は曲面形状としてある。
【0032】
ホルダー本体2のヘッド部16に隣接する部位には上記ナット11が螺着されるネジ部21がホルダー本体2の軸方向に沿って所定寸法螺刻されている。このネジ部21はヘッド部16まで形成され、且つ断面を円形とした全ねじ構造としている。そして、図6に示すように、ヘッド部16の端面とネジ部21の端部との間のネジ部21の両側には、細幅のスリット22がそれぞれ形成されており、このスリット22が形成されることで、ネジ部21の断面を略小判型の形状としている。
そして、スリット22の奥面は直線状の平面部23とし、この平面部23に対応させてチョークレバー装置1を取り付ける取付面の取付穴の両側の辺が直線状となっている。この取付穴の直線状の辺にホルダー本体2の平面部23を位置決めさせることで、ホルダー本体2の周方向の回転を防止している。なお、チョークレバー装置1が取り付けられる取付面や、この取付面に形成されている取付穴については後述する。
【0033】
また、ホルダー本体2の中央部分より他端側の位置に、外気と挿通孔15の内部とを連通する穴24が穿孔されていて、この穴24の近傍の外周部は一段凹んだ凹段部25としている。さらに、ホルダー本体2の他端は固着具4によりアウターケーブル5の一端とカシメ固定される連結部26としている。
【0034】
図8はホルダー本体2のネジ部21にナット11を螺着した場合の破断側面図を示し、図9(a)はこのナット11の正面図を、図9(b)はナット11の破断側面図をそれぞれ示している。
図8及び図9に示すように、ナット11の先端部には突条のフランジ部27が一体に周設されていて、ナット11の先端面にはフランジ部27にかけて溝30周設されている。
【0035】
図10はホルダー本体2の一端側のヘッド部16に嵌着される略円筒状のキャップ10を示し、図11は図10(a)のA−A断面図を示している。このキャップ10の先端面の両側には略山形のガイド部31がホルダー本体2の軸方向に沿ってそれぞれ一体に突設されており、この両ガイド部31間をガイド溝32としている。
このガイド溝32内にレバー12の基部33(図2参照)が遊嵌され、そのため、ガイド溝32の幅(両ガイド部31間の寸法)は、レバー12の基部33の厚み(ピン115の軸方向)より若干広く設定してある。
【0036】
また、キャップ10の中央部分にはレバー12のシャフト13が挿通する孔34が穿孔されており、この孔34の一方はガイド溝32に連通し、孔34の他方はホルダー本体2のヘッド部16が位置する凹状の収容部35に連通している。また、収容部35の内部には段部36が周設されている。さらに、キャップ10の他端の外周の両側には凹部37が切り欠き形成されており、この凹部37にホルダー本体2のヘッド部16の凸部20が凹凸嵌合ないし挿入されるようになっている。
【0037】
上記キャップ10をホルダー本体2のヘッド部16に嵌着する場合、図12に示すゴム製のカバー41を介して嵌着される。このカバー41は、略ベレー帽子状に形成されていて、カバー41の一方の中央部分にはレバー本体3のシャフト13が挿通される孔42が穿設されている。また、カバー41の内部にはホルダー本体2のヘッド部16の先端部分が挿入される空間部43が形成されており、この空間部43に連通する開口部44の周縁部には厚肉の縁部45が形成されている。そして、この縁部45の外周面には突条の突部46が一体に周設されている。なお、カバー41をゴム製としているので、上記突部46も当然に弾力性を備えている。
【0038】
図13はホルダー本体2に穿設した穴24を覆うためのチューブ51を示し、このチューブ51を図4及び図8に示すようにホルダー本体2の凹段部25の部分に装着することで、このチューブ51により穴24を覆設するようにしている。このチューブ51は、柔軟性を有する繊維構造の多孔質であり、通気性に優れ、且つ強い撥水性能を有し、また、ほとんどの酸、アルカリ、溶剤に対して安定であり、さらには強い引っ張り強度を有している。
このチューブ51をホルダー本体2の凹段部25に装着して穴24を覆うことで、呼吸弁(エアベント)となって、ホルダー本体2内やアウターケーブル5内の熱を通し、また防水効果をもたらしている。そのため、コントロールケーブル7のサビの発生を防止し、作動不良を無くすことができる。
【0039】
ホルダー本体2のヘッド部16にキャップ10を装着する場合には、図2に示すように、カバー41の開口部44を介してヘッド部16の先端部を圧入ないし挿入していき、カバー41の内面にヘッド部16の先端面が圧接ないし当接すると共に、カバー41の縁部45がヘッド部16の凹溝17に圧入ないし挿入される。これによりキャップ10はヘッド部16に強固に固定される。
次に、キャップ10をカバー41を覆うようにして嵌め込んでいくと、キャップ10の段部36の面がカバー41の先端面の外周部に圧接してキャップ10の嵌め込みが位置決めされる。このとき、同時にキャップ10の内周面にカバー41の外周面に突設した突部46が弾接し、キャップ10はカバー41(ホルダー本体2のヘッド部16)に強固に嵌着されることになる。
【0040】
次に、レバー本体3のシャフト13にコントロールケーブル7の一端を連結した状態であって、コントロールケーブル7の他端には係止部6を固着していない状態で、コントロールケーブル7をキャップ10からホルダー本体2の挿通孔15及びアウターケーブル5の内部に挿入していく。
そして、レバー本体3のレバー12をキャップ10のガイド溝32内に遊嵌し、アウターケーブル5より突出しているコントロールケーブル7の他端に係止部6を固着する。この状態が図1や図2に示す状態である。
【0041】
図14(a)はホルダー本体2のスリット22部分の断面図を示し、図14(b)はチョークレバー装置1を自動二輪車の板状の取付面53の取付穴54を示している。この取付穴54は略U字状に形成されており、ホルダー本体2の平面部23に対応した取付穴54の両側は直線状とした直線部55を形成している。また、取付穴54の曲線状の下部はホルダー本体2の下部の曲線状の部分と同じ大きさとしている。
チョークレバー装置1の自動二輪車の取付面53への取り付けは、ホルダー本体2のスリット22の部分を取付穴54の両側の直線部55に挿入していき、その後、ナット11をホルダー本体2のネジ部21に螺進していくことで、チョークレバー装置1が取付面53に固定される。
【0042】
このとき、ホルダー本体2の両側のスリット22の平面部23が取付面53の両側の直線部55にそれぞれ位置決めされて取り付けられるものであり、これにより、ホルダー本体2の周方向の回転を規制する。
ホルダー本体2に周方向に回転させる力が加わっても、図14(b)に示すA点とB点との2カ所で回転のトルクを受けることになり、高トルクに対応可能であり、ホルダー本体2の周方向の回転を不可にすることができる。また、図中の矢印と反対方向に力が加わった場合でも、同様に2カ所で回転トルクを受けることで、ホルダー本体2の周方向の回転を不可能にしている。なお、ホルダー本体2を取り付ける取付穴54の形状は図14(b)に示すU字状の形状に限らず、完全な穴形状でも両側に直線部55を形成したものであれば良く、また、どのような穴形状でも良い。
【0043】
また、上記のナット11をネジ部21に螺進していく場合、図14(b)に示すように取付穴54の近傍に設けた突起60をナット11の溝30に挿入し、さらにナット11を螺進していき螺着する。このようにナット11の溝30に取付面53に設けた突起60を挿入していることで、過大なスライド荷重が掛かった場合でも、ずれを防止することができ、これにより、チョークレバー装置1の取付面53への取付強度を高くすることができる。
【0044】
また、レバー12はキャップ10のガイド溝32に遊嵌しているので、該ガイド溝32を形成しているガイド部31によりレバー12はホルダー本体2の周方向の回転が規制されることになる。同時にレバー12の引き操作や戻し操作は両側のガイド部31により案内されるため、レバー12の操作性を向上させることができる。
【0045】
また、ホルダー本体2のネジ部21は、細幅のスリット22を除いて全ねじ構造としているので、ねじの軸力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるチョークレバー装置の正面図及び破断側面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるホルダー本体部分の拡大破断側面図である。
【図3】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるレバー本体の正面図及び破断側面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるホルダー本体の拡大破断側面図である。
【図5】本発明の実施の形態における図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における図4のB−B断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における図4のC−C断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるナットを螺着した場合のホルダー本体の拡大破断側面図である。
【図9】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるナットの正面図及び破断側面図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明の実施の形態におけるキャップの平面図、側面図及び正面図である。
【図11】本発明の実施の形態における図10(a)のA−A断面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるカバーの断面図である。
【図13】(a)(b)は本発明の実施の形態におけるチューブの正面図及び側面図である。
【図14】(a)(b)は本発明の実施の形態における説明図である。
【図15】運転席側から見た場合のチョークレバー装置のレイアウトを示す図である。
【図16】(a)(b)は従来例のチョークレバー装置の正面図及び破断側面図である。
【図17】(a)(b)は従来例のレバー本体の正面図及び断面図であり、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図18】従来例のホルダー本体の破断側面図である。
【図19】従来例のキャップの破断側面図である。
【図20】従来例のカバーの断面図である。
【図21】(a)(b)は従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 チョークレバー装置
2 ホルダー本体
3 レバー本体
7 コントロールケーブル
10 キャップ
11 ナット
12 レバー
21 ネジ部
22 スリット
23 平面部
24 穴
30 溝
31 ガイド部
32 ガイド溝
33 基部
51 チューブ
53 取付面
54 取付穴
55 直線部
60 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の板状の取付面(53)に設けられている取付穴(54)に取り付けられるホルダー本体(2)と、このホルダー本体(2)の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体(3)と、前記ホルダー本体(2)の他端側に連結されてチョーク弁の引き操作を行なうケーブル(7)と、前記ホルダー本体(2)の外周面に螺刻されているネジ部(21)に螺着することで前記取付穴(54)に該ホルダー本体(2)を固定するナット(11)とで構成され、
前記ホルダー本体(2)のネジ部(21)の断面形状を該ネジ部(21)の略全長にわたって円形とすると共に、該ネジ部(21)の先端側の箇所の両側に細幅のスリット(22)を設けて該スリット(22)の奥面を直線状とした平面部(23)を形成し、
前記取付面(53)の取付穴(54)の両側に前記ホルダー本体(2)の平面部(23)に対応させた直線状の直線部(55)を形成していることを特徴とするチョークレバー装置。
【請求項2】
前記ホルダー本体(2)の一端側に該ホルダー本体(2)の一端部分を覆うキャップ(10)の先端面の両側に前記レバー本体(3)のレバー(12)の操作をガイドすると共に、ホルダー本体(2)の軸方向に突出するガイド部(31)を設け、この両ガイド部(31)間に形成されるガイド溝(32)内にレバー(12)の基部(33)を揺動自在に配設していることを特徴とする請求項1に記載のチョークレバー装置。
【請求項3】
前記ナット(11)の先端面に全周にわたる溝(30)を設け、この溝(30)に挿入される突起(60)を前記取付面(53)に設けていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチョークレバー装置。
【請求項4】
前記ホルダー本体(2)の表面に、該ホルダー本体(2)内と外部とを連通する穴(24)を穿設すると共に、柔軟で繊維構造の多孔質体からなるチューブ(51)により前記穴(24)を覆設していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のチョークレバー装置。
【請求項1】
車体の板状の取付面(53)に設けられている取付穴(54)に取り付けられるホルダー本体(2)と、このホルダー本体(2)の一端側に揺動自在に設けられているレバー本体(3)と、前記ホルダー本体(2)の他端側に連結されてチョーク弁の引き操作を行なうケーブル(7)と、前記ホルダー本体(2)の外周面に螺刻されているネジ部(21)に螺着することで前記取付穴(54)に該ホルダー本体(2)を固定するナット(11)とで構成され、
前記ホルダー本体(2)のネジ部(21)の断面形状を該ネジ部(21)の略全長にわたって円形とすると共に、該ネジ部(21)の先端側の箇所の両側に細幅のスリット(22)を設けて該スリット(22)の奥面を直線状とした平面部(23)を形成し、
前記取付面(53)の取付穴(54)の両側に前記ホルダー本体(2)の平面部(23)に対応させた直線状の直線部(55)を形成していることを特徴とするチョークレバー装置。
【請求項2】
前記ホルダー本体(2)の一端側に該ホルダー本体(2)の一端部分を覆うキャップ(10)の先端面の両側に前記レバー本体(3)のレバー(12)の操作をガイドすると共に、ホルダー本体(2)の軸方向に突出するガイド部(31)を設け、この両ガイド部(31)間に形成されるガイド溝(32)内にレバー(12)の基部(33)を揺動自在に配設していることを特徴とする請求項1に記載のチョークレバー装置。
【請求項3】
前記ナット(11)の先端面に全周にわたる溝(30)を設け、この溝(30)に挿入される突起(60)を前記取付面(53)に設けていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチョークレバー装置。
【請求項4】
前記ホルダー本体(2)の表面に、該ホルダー本体(2)内と外部とを連通する穴(24)を穿設すると共に、柔軟で繊維構造の多孔質体からなるチューブ(51)により前記穴(24)を覆設していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のチョークレバー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−157040(P2008−157040A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343685(P2006−343685)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコ−ポレ−ション (362)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコ−ポレ−ション (362)
【Fターム(参考)】
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