説明

チロシナーゼ阻害剤

【課題】 キシランを用いた付加価値の高い配糖体を合成し、特に、ハイドロキノングルコシドに替わるハイドロキノンキシロシドを提供する。
【解決手段】Bacillus
subtilis菌由来のフェノール配糖化酵素を用い、チロシナーゼ活性阻害活性を有するハイドロキノンオリゴ配糖体を効率よく製造する方法を開発し、重合度が異なる配糖体を製造した。このうち、新規化合物ハイドロキノン-β-ペンタオースに顕著なチロシナーゼ阻害活性があることを示し、美白剤への適用が可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なチロシナーゼ阻害剤に関する。ハイドロキシキシロシドを含有するチロシナーゼ阻害剤に関し、その製造法およびチロシナーゼ阻害剤を含む美白剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロキノングルコシド(アルブチン)は美白効果、チロシナーゼ阻害活性、活性酸素抑制等さまざまな効果を有することが知られている(非特許文献1から4)。また、二価のフェノール類であるカテコールやレゾラシノール配糖体についても皮膚色素沈着の予防や治療に有効であることが知られている(非特許文献5)。
【0003】
木質バイオマスであるキシランの利用として、キシランの加水分解を行うキシラナーゼを用いたキシロオリゴ糖の生産、キシロオリゴ糖やキシロースを原料としたキシリトールやエタノール生産など産業的利用が図られている。また、動物飼料の調製、食品添加物、医薬品、パンなどの食品や飲料の生産、繊維においてセルロースパルプの漂白などに利用されている。
【0004】
このキシランを用いて、付加価値の高い配糖体の合成を目的とし、発明者らは研究を行い、先の出願、特願2007−023648において開示したように、効率のよいフェノール配糖化酵素を得ることができた。本出願においては、さらに研究を進め化粧品等の素材として利用することが期待されるハイドロキノンオリゴキシロシドの製造に成功した。
【非特許文献1】Funayama, M., Arakawa, H., Yamamoto,R., Nishino, T., Shin, T. and Murao, S.: Effect of α- and β-arubutin onactivity of tyrosinases from mushroom, and mouse melanoma. Biosci. Biotech. Biochem.,59,143-144 (1995).
【非特許文献2】Nishimura, T., Kometani, T., Okada, S., Ueno, N. and Yamamto,T.: Inhibitory effects of hydroquinone-α-glucoside onmelanin synthesis. Yakugaku Zasshi, 115, 626-632 (1995).
【非特許文献3】Funayama, M., Arakawa, H., Yamamoto, R., Nishino, T., Shin, T. andMurao, S.: Effect of α- and β-arubutin on activity of tyrosinases frommushroom, and mouse melanoma. Biosci. Biotech. Biochem., 59, 143-144 (1995).
【非特許文献4】Nishimura, T., Kometani,T., Okada, S., Ueno, N. and Yamamto, T.: Inhibitory effects ofhydroquinone-α-glucoside on melanin synthesis. Yakugaku Zasshi, 115, 626-632 (1995).
【非特許文献5】Omori, H.: Fragrance Journal, 14, 118 (1995). 本チロシナーゼ阻害剤を製造することに用いられる配糖化反応は、アルコール類やフェノール類に糖を付加する反応であり、配糖化酵素によって触媒される。供与体となる化合物の性質は配糖化によって変えることができるため、一部の配糖化酵素は、有用物質生産に利用されている。
【0005】
発明者は自然界より分離された微生物が産生するキシラン分解酵素のいくらかに対してキシランを糖供与体としたオリゴキシロ配糖体の生成を発明した。たとえば、先に述べたように、Bacillus属細菌においてポリフェノール性物質に特異的な新規配糖化酵素を見出した。本酵素は、新規な細菌由来のオリゴキシロ転移活性を有する配糖化酵素であり、キシランと多価フェノール類から、多価フェノールにキシロオリゴ糖が付加したオリゴキシロ配糖体を生成する点に特徴がある。これまで酵素合成や有機合成を含めて配糖体の合成は数多く報告されているものの、単糖が結合したものがほとんどであった。これはオリゴ糖を糖受容体にしたものがほとんどであることや有機合成においてオリゴ糖を結合させた配糖体の合成を行うことが非常に困難であったからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイドロキノンで知られている美白効果の増強を目的として、ハイドロキノングルコシドに替わる、よりチロシナーゼ阻害活性を有するハイドロキノンオリゴキシロシドを提供する。
キシランはセルロースとともに農林水産資源の主成分であり、再生利用資源の中でも最も年間生産量の多いものである。したがってキシラン有効利用法が環境問題やエネルギー問題に貢献しうるところが大きいと考えられる。既に、キシランを加水分解した際に生成するキシロオリゴ糖は整腸作用や難消化性、
非齲蝕原性が知られており、機能性食品素材としての利用がなされている。ハイドロキノンオリゴキシロシドはキシロオリゴ糖を構造内に有していることから安全性も期待され、さらに既知のハイドロキノングルコシド(アルブチン)より付加価値を有した化粧品または医薬品等、ひいては機能性食品素材としての性質が期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者の先の特許出願(特願2007−023648)において、効率のよいフェノール配糖化酵素を得ることができた。本フェノール配糖化酵素の供与体として、ハイドロキノンを選ぶことにより、ハイドロキノンオリゴキシロシドという配糖化体を得ることができる。さらに、本発明の配糖化体の製造方法および精製により、キシロオリゴ糖の数が異なる化合物を得ることが可能となり、それらのチロシナーゼ阻害活性を測定することができる。
驚くべきことに、ハイドロキノンオリゴキシロシドは従来のハイドロキノングルコシドに比べ、著しいチロシナーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)ハイドロキノン−β−キシロース、ハイドロキノン−β−キシロビオース、ハイドロキノン−β−キシロトリオース、ハイドロキノン−β−ペンタオースおよび/またはそれらの水和物、溶媒和物、それらの塩からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上のハイドロキノンオリゴキシロシドを含有するチロシナーゼ阻害剤を提供する。
(2)ハイドロキノンに奇数個のキシロシドが結合しているハイドロキノンオリゴキシロシド[ハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドという]の1つまたは2つ以上のハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシリシドを含有するチロシナーゼ阻害剤に関する。ここにおいて奇数個の数は、1から21の奇数、好ましくは1から11の奇数、さらに好ましくは1から5の奇数が挙げられる。ハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドは、フリー体であっても、精製方法等により水和物であっても、溶媒和物であってもよく、さらには、これらの塩であってもよい。
(3)ハイドロキノン−β−ペンタオースおよび/またはその水和物、溶媒和物、それらの塩を含有するチロシナーゼ阻害剤に関する。
(4)上記(1)から(3)のいずれかに関わる、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、Bacillus subtilis菌由来のフェノール配糖化酵素を用いることを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法に関する。
(5)上記(1)から(3)のいずれかに関わる、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、Bacillus subtilis KT12株のフェノール配糖化酵素を用い、10%ジメチルスルホキシドおよび5%界面活性剤の存在下で、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造し、反応産物からの還元糖の除去をアニリン処理にて行うことを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法に関する。ここにおいて、ジメチルスルホキシドの濃度は、5%から20%であってよく、好ましくは7%から15%であり、より好ましくは10%である。界面活性剤は、好ましくは非イオン型界面活性剤であり、より好ましくは、Tween 20(登録商標)であり、その濃度は、0.5%から20%であればよく、好ましくは2%から7%であり、より好ましくは5%である。
(6)本発明は、上記(1)から(3)のいずれかに関わる、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造するためのフェノール配糖化酵素の新規な構造遺伝子(xynA)を挿入されたpGEMxynAに関する。
(7)配列番号1に示される上記(6)の挿入DNA配列であって、新規な構造遺伝子(xynA)である酵素遺伝子に関する。
(8)さらに、構造遺伝子(xynA)のDNA配列がコードしているアミノ酸配列で表される酵素に関する。本酵素を用いるとフェノール配糖化を効率よく行うことができる。
(9)上記(1)から(3)のいずれかに関わる、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、プラスミドpGEMxynAに挿入されているフェノール配糖化酵素遺伝子を用いることを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法に関する。
(10)上記(1)から(3)のいずれかに関わる、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、プラスミドpGEMxynAに挿入されている酵素遺伝子にコードされているフェノール配糖化酵素を用い、10%ジメチルスルホキシドおよび5%界面活性剤の存在下で、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造し、反応産物からの還元糖の除去をアニリン処理にて行うことを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法に関する。ここにおいて、ジメチルスルホキシドの濃度は、5%から20%であってよく、好ましくは7%から15%であり、より好ましくは10%である。界面活性剤は、好ましくは非イオン型界面活性剤であり、より好ましくは、Tween 20(登録商標)であり、その濃度は、0.5%から20%であればよく、好ましくは2%から7%であり、より好ましくは5%である。
(11)上記(1)から(3)のいずれかに関わる、チロシナーゼ阻害剤を活性成分として含む食用または化粧用組成物に関する。
(12)上記(1)から(3)のいずれかに関わる、チロシナーゼ阻害剤を活性成分として含む美白剤に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、一般に用いられているチロシナーゼ阻害剤であるアルブチンより、チロシナーゼ阻害活性が著しく高いハイドロキノンオリゴキシロシドを提供することができ、より強力な美白剤の使用が可能となる。また、ハイドロキノンオリゴキシロシドの効率のよい製造法は、本製造法により得られる配糖化体の商業的利用価値を著しく高める効果が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための酵素は、Bacillus subtilis菌から単離・調整することができ、好ましくは、かかるBacillus subtilis菌は、スギ葉圏またはヒノキ葉圏に生息するキシラン資化菌であり、さらに好ましくは、Bacillus subtilis KT12株、Bacillus subtilis YR12株である。本発明の、キシロシドを生産させるには、特にBacillus subtilis KT12株がその生産性が高いことから好適であった。
Bacillus subtilis KT12株は、キシラナーゼ活性に対するカテコール配糖体活性が約40倍であることが特徴である。
また、発明者がクローニングした配糖化酵素を使用すれば、効率よく配糖体の製造が可能である。つまり、配糖化体の製造には、xynAと名づけた酵素遺伝子にコードされる配糖化酵素を用いればよく、本酵素遺伝子については、実施例の欄の記載にて詳細な説明を行っている。
【0011】
本発明では、配糖化体の数の種類が異なるものを製造し、その製造法として、より製造効率が上がる工夫を施し、さらに未反応体の精製方法を見出すことにより、多くのキシロシドの製造に成功し、構造と活性の観点で分析を行うことが可能となった。キシロシドの
生成物として、短鎖から長鎖(重合度=1〜5)までのハイドロキノンオリゴキシロシドの製造・精製に成功した。なお、重合度が10、さらに約20までのキシロシドの製造を薄層クロマトグラフィー(TLC)にて確認した。
【0012】
長鎖の糖を結合させた配糖体の合成例は見当たらず、かつ細菌由来酵素を用いた合成例はない。通常受容体(ヒドロキノン)換算で約25%が配糖体に転換されていたさらに、10−20%ジメチルスルホキシド(DMSO)および5−20%界面活性剤(Tween 20 登録商標)の存在下ではさらなる収率の上昇がTLCにて確認された。また、一部の金属イオンにおいて反応促進や加水分解阻害が確認された。
ハイドロキノンオリゴキシロシドまたはカテコールオリゴキシロシドの製造は、前述のフェノール配糖化酵素、好ましくは分子量約20,000を有する、Bacillus subtilis菌由来のフェノール配糖化酵素、さらに好ましくは、Bacillus subtilis KT12株を用いて行えばよい。これらの酵素の粗精製分画、または精製された酵素を用いればよく、好ましくはクローニングされた菌株であるBacillus subtilis KT12株のブイヨン液体培地にて増殖させた菌体外酵素、つまり培養液から精製された酵素を用いる。さらに好ましくは、Bacillus subtilis KT12株ゲノムからクローニングされた、xynA酵素遺伝子にコードされたxynA酵素を用いる。
さらに、配糖化反応後の、還元等の除去には、アニリン処理を用いた。
得られた配糖体は、実施例で述べるように酸加水分解処理を施し、結合している糖の分析等を行いその構造を決定した。
ハイドロキノンオリゴキシリシドは、チロシナーゼ活性を測定した。
表1(ハイドロキノン配糖体のチロシナーゼ阻害活性の比較)にその結果を示す。
【0013】
【表1】



【0014】
表において、HX1はハイドロキノン-β-キシロシド、HX2はハイドロキノン-β-キシロビオース、HX3はハイドロキノン-β-キシロトリオース、HX4はハイドロキノン-β-キシロテトラオース、HX5はハイドロキノン-β-キシロペンタオース、H-α-G1はハドロキノンα-グルコシド、H-β-G1はハイドロキノンβ-グルコシドを示すものとする。
これより、ハイドロキノン-β-キシロシド、ハイドロキノン-β-キシロビオース、ハイドロキノン-β-キシロトリオース、およびハイドロキノン-β-キシロペンタオースは、ハイドロキノン-β-グルコシドつまりアルブチンと同等か、より強いチロシナーゼ阻害活性を有していることが明らかとなった。
なお、ハイドロキノン-β-キシロトリオース、ハイドロキノン-β-キシロテトラオース、およびハイドロキノン-β-キシロペンタオースは、新規な化合物である。
【0015】
さらにハイドロキノンオリゴキシロシドは重合度が高くなるに連れて、低濃度においても高いチロシナーゼ阻害活性を呈した。加えるに、奇数個のキシロシドが結合した時の方がチロシナーゼ阻害活性が高く、例えば、ハイドロキノン-β-キシロシド、ハイドロキノン-β-キシロトリオース、ハイドロキノン-β-キシロペンタオースは倍々に活性が上昇していっている。先に述べたように、配糖化体のキシロースの数は、重合度10から約20まで確認されたので、ここにおいて奇数個の数(重合度)は、1から21の奇数、好ましくは1から11の奇数、さらに好ましくは1から5の奇数が挙げられる。これらのハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドは、フリー体であっても、精製方法等により水和物であっても、溶媒和物であってもよく、さらには、これらの塩であってもよい。
1から5のハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドは、例えば、水に対し著しく溶解性が向上することが確認され、この溶解性とチロシナーゼ阻害活性との両面で、ハイドロキノン-β-キシロペンタオースが最も美白剤としての資質が高いものと判断された。キシロシドの重合度が約25を超え配糖体の数が増すことで、疎水性基が増加することにより溶解度は低下してくると考えられる。また、多糖類で知られている細胞毒性が顕著となるとも考えられる。
【0016】
ハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドの奇数個のものが、著しいチロシナーゼ阻害活性を有することは、チロシナーゼの結合部位および活性部位への影響が考えられ、キシロオリゴ糖の大きさが奇異数個で、特に活性部位への空間的影響、例えば活性部位と基質との遮断、を引きおこすか、または結合部位に親和性良く結合し、酵素の活性構造に変化を与え機能を低下させるものと考えている。この考えからも、あまり重合度が高くないものが、チロシナーゼ阻害活性の観点では、有効な効果を生じさせるものと判断できる。
さらにこれから先の応用としては、キシランは木質バイオマスとして自然界に2番目に多い多糖である、これらの利用は重要な課題となっている。本発明により、キシランから化粧品素材として期待されるハイドロキノンオリゴキシロシドの製造に成功した。本発明は、同時に活性酸素除去能など他の生理活性に対する期待性も高い。木質バイオマス利用の一端として、付加価値の高い化粧品素材合成は環境問題やエネルギー問題において貢献しうる。本発明により、木質利用の一端として化粧品素材合成を提唱する。
【0017】
チロシナーゼは、メラニン合成に重要な酵素であり、その活性阻害は優れた美白効果を奏する。よって、本発明の著しいチロシナーゼ阻害活性を有するハイドロキノンオリゴきしロシドは、美白剤の有効成分として使用することができる。
本明細書における塩とは、医薬品として使用されうる塩であれば特に限定されない。ハイドロキノンオリゴキシロシドが形成する塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基との塩;リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩およびアンモニウム塩が挙げられる。当該塩は、酸付加塩であってもよく、かかる塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。
さらに、ハイドロキノンオリゴキシロシドには、水和物、医薬として許容な各種溶媒和物や結晶多形等も含まれる。
【0018】
本発明のチロシナーゼ阻害剤として使用できるハイドロキノンオリゴキシロシドを含有する美白剤は、種々の剤形、例えば、経皮投与または貼付剤、軟膏、ローション、またはエアゾール剤とすることができるが、これらには限定されない。これらの製剤は、製剤化工程において通常用いられる公知の方法により製造することができる。
本美白剤は、一般に用いられる各種成分を含みうるものであり、例えば、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤等を含みうる。また本発明の美白剤は、持続性または徐放性剤形であってもよい。
美白剤として使用する場合の、本発明チロシナーゼ阻害剤の含量は、チロシナーゼ活性効果を呈すればよいので、0.001%から5%であればよく、好ましくは0.01%から3%であり、より好ましくは、0.1%から1%である。
【0019】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によってなんら限定して解釈されるものではない。
【実施例1】
【0020】
(試薬類並びに実験方法)
(試薬類)
ポテトデキストロース寒天(PDA)、酵母エキス(Bacto YEAST EXTRACT)はDIFCO社の製品、乾燥ブイヨン(Nutrient Broth)は日本製薬株式会社(Nissui)の製品、およびキシラン(Birchwood由来)はSIGMA社製の製品を、使用した。その他の試薬類はすべて市販の特級、もしくはそれに順ずるものを使用した。
(使用菌株)
キシランを供与体とした配糖化に富んだ酵素を産生するBacillus subtilis KT12株を用いた。
【0021】
(各種培地組成および使用方法)
(A)ブイヨン液体培地
3.0%(w/v%) ブンヨン加えた培地を調製後、オートクレーブ滅菌(121℃,20分)して使用した。ブイヨン寒天培地においては、調製時に、2.0%寒天を加えた。
(フェノール配糖化酵素の取得)
酵素の大量取得のため、1000 ml容三角フラスコを用いて培養を行った。(A)のブイヨン培地200 mlを分注し、オートクレーブを用いて滅菌(121℃,20分)後、予め100 ml容三角フラスコに(A)のブイヨン培地20 mlを用いて前培養(培養時間24時間)した培養液をクリーベンチ内で一定量(菌体濁度(A660)が0.1になるように調製した)移植し、30℃、180 rpmの条件で2日間培養した。培養後、冷却遠心分離(4℃,5,000×g,30 min)を行い、菌体と上清液に分離し、上清液について菌体外酵素として活性評価を行った。酵素の精製においては、培養液を70%硫安沈殿、Phenyl-TOPEAL、Sephadex G-75カラムクロマトグラフィーに供し、精製酵素を取得した。
【0022】
(ハイドロキノン配糖体およびカテコール配糖体合成)
酵素液の多糖類に対する配糖化能は、キシラン0.1g、ハイドロキノン0.1g、100
mM酢酸塩緩衝液(pH 5.0)0.5 ml、酵素液1.5 mlを37℃にて24時間反応させ、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて、ハイドロキノン配糖体の生成を確認した。
また、カテコール配糖体を、種々カテコールをハイドロキノンの代わりに上記用量にて加え同様に合成を行った。
(TLCによる反応生成物の確認)
ワットマンシリカゲルプレートLK6D(Whatman社製)を用いて、単糖、オリゴ糖、配糖体の確認の際は展開溶媒(酢酸エチル:酢酸:水=3:1:1(v/v))を用いて展開した後、十分乾燥させた。その後、発色試薬として、有機化合物全般に対しては、硫酸:メタノール=1:4(v/v)を十分に散布後、100℃、約5分間加熱を行った。
(HPLCによる配糖体の定量)
ハイドロキノン配糖体の定量法については、HPLCを用いた測定を行った。内部標準物質としてバニリンを終濃度0.2 mg/mlとなるように加えた。なお、HPLC操作条件は次の通りである。分析計、D-7500型クロマトデータ処理装置(日立製作所社製);カラム、YMC-Pack ODS-AQ(4.6×30 cm,YMC社製);溶媒、アセトニトリル:水=1:5(v/v);流速、1.0 ml/min;検出波長、280 nm;試料量、5μl、L-7400型UV検出器(日立製作所社製)。配糖化の総転移率の測定は糖受容体の減少量にて行った。
【0023】
(酸加水分解)
転移反応物を約1%濃度で蒸留水に溶解したものを試料とした。試料500μlを軟質ガラス小試験管に移し、トリフルオロ酢酸(TFA)25μlを加えた。封管を行った後、100℃にて5〜120分間加熱処理を行った。
(NMR)
精製産物の同定において、NMR手法を用いた。装置としてJNM-ECA600 (JEOL, Japan)、TH5ATFG2プローブを用いた。精製配糖体約100 mgをD2O(deuterium oxide)0.8
mlに溶解し、5 mmφ試料管を用いて30℃にて測定した。化学シフトは1H、13C共に外部標準物質として、DDSを用い基準とした。DPFGSE-TOCSY測定のDPFGSE照射パルス幅は33, 66 ms、Mixing TimeはCX2:100 ms、CX3:80 ms、CX4:80 msと順次変化させて測定した。また、NOEおよびROEについてはMixing
Time を400 msにし測定した。
(チロシナーゼ活性測定および阻害活性の算出法)
チロシナーゼ活性は、L-DOPA(Sigma, Japan)を基質として用い、25℃において市販のマッシュルーム由来チロシナーゼ(Sigma、Japan)を加えることにより増加するドーパキノンの生成を475 nmの吸光度を測定することで測定した。反応液組成を表2に示す。チロシナーゼ阻害活性(%)は、表2に示した通りの反応系において、25℃にて3分間の反応を475 nmにおける吸光度を測定し、コントロールとの一定時間当たりの吸光度の増加量を相対値にて比較し算出した。具体的な算出法を下に示す。また、IC50は阻害活性が50%になる時の阻害剤の濃度である。
(コントロールの吸光度変化‐試料液の吸光度変化)x 100/(コントロールの吸光度変化)
【0024】
【表2】

【0025】
(実験結果)
(ハイドロキノンオリゴキシロ配糖体合成)
Bacillus subtilis KT12を培養して得られる培養液を用いて、キシランを糖供与体とし、糖受容体としてハイドロキノンおよびカテコールを用いたオリゴキシロ配糖体の合成を検討した。反応条件は500 ml容三角フラスコに供与体5g、受容体5gを加えて、100 mM酢酸塩緩衝液50
mlに溶解させた後、酵素溶液150 mlを加え、30℃、24時間反応を行った。また反応促進剤として、15%DMSOおよび1%Tween 20を加えた。反応後、それぞれの配糖体の生成をTLCおよびHPLCによって確認した。(図1および2)
(ハイドロキノンおよびカテコール配糖体精製)
それぞれの配糖体の構造解析のため、配糖体の精製を検討した。ハイドロキノン配糖体およびカテコール配糖体は2種類の精製法によって精製された。(A)反応溶液を活性炭カラムに供した後、セルロース分配カラムにて精製を行う。(B)反応溶液をアニリン処理、活性炭カラム、シリカゲルカラム、Bio-Gel P-2ゲルろ過クロマトグラフィーにて精製が可能であった。それぞれの特徴として、(A)は短時間での精製が可能であり、(B)はキシロース糖鎖重合度の低いものから高いまで全てのオリゴキシロ配糖体の精製が可能である。これら精製手法は幅広いオリゴキシロ配糖体の精製に適用可能であった。
【0026】
ハイドロキノンオリゴキシロ配糖体の具体的な精製例を示す。
24時間の酵素反応後、遠心分離(10,000×g,20分間)、吸引ろ過(No.131,ADVANTEC社製)を用いて不溶物質を除去し、反応ろ液を得た。
(A):活性炭カラム(25×300 mm i.d.)は活性炭をエタノールで十分に洗浄後10倍量の蒸留水にて置換後に使用した。反応ろ液に対して、活性炭カラムに吸着後、500ml蒸留水にて洗浄(未反応カテコール除去)を行った。その後、20、40%エタノール(ステップワイズ)にて溶出を行った。TLCにて配糖体の溶出が確認された20、40%エタノール画分を回収した。その後、エバポレーターを用いて、濃縮を行った後、少量の溶媒に溶解させた。セルロース分配カラム(25×5000 mm i.d.)は、溶媒として使用するエタノール:1-ブタノール:水=1:10:2を一昼夜通液させたものを使用した。濃縮させたサンプルをのせ、セルロース分配カラムクロマトグラフィーを行った。各フラクラクションをフラクションコレクターにて回収し、TLCにて配糖体の溶出が確認された画分をHX2としてFra.41-43、HXH3としてFra.48-57、HX4としてFra.63-72までを回収した。得られた精製産物はエバポレーターおよび凍結乾燥機にて粉体とした。
(B):得られた反応ろ液に対し、アニリン処理による還元糖の除去を行った。還元糖1gに対して、10 mlのアニリン:酢酸=5:2混合液を加え、80℃にて4時間反応を行った。その後、エーテルを用いて未反応アニリンや還元糖との反応物を除去し、活性炭カラムクロマトグラフィー(25×300 mm i.d.)を行った。活性炭はエタノールで十分に洗浄後10倍量の蒸留水にて置換後に使用した。反応ろ液に対して、活性炭カラムに吸着後、500
ml蒸留水にて洗浄(未反応カテコール除去)を行った。その後、20、40%エタノール、50%アセトン(ステップワイズ)にて溶出を行った。TLCにて配糖体の溶出が確認された画分を回収し、エバポレーターを用いて、濃縮を行った後、少量のエタノールに溶解させた。シリカゲル 60(Merck, Germany)を酢酸エチルにて膨潤させた後、エタノール溶解各分においてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った。溶出は100%エタノールにて行った。溶出された分画をエバポレーターにて濃縮し、粉体とした後、水にて溶解させた。その後、Bio-Gel P-2にてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。各フラクラクションをフラクションコレクターにて回収し、TLCにて配糖体の溶出が確認された画分を精製産物として回収した。得られた精製産物はエバポレーターおよび凍結乾燥機にて粉体とした。
【0027】
(反応生成物の酸加水分解)
それぞれの精製標品の構造解析のため、0.5%トリフルオロ酢酸(TFA)にて酸加水分解を行った。処理時間は0、5、15、120分間、処理温度100℃とした。これら酸加水分解産物についてTLCを行った。
ハイドロキノン配糖体であるHX1は酸加水分解初期にキシロースが確認され、HX2からはキシロビオース,HX3からはキシロトリオースがTLC上に確認された。
本結果より,精製された配糖体がハイドロキノンキシロシド、ハイドロキノンキシロビオース、ハイドロキノンキシロトリオースであることが示された。同様にカテコールにおいてもCX1は酸加水分解初期にキシロースが確認され、CX2からはキシロビオース,CX3からはキシロトリオースがTLC上に確認された。それぞれにおいても顕著なオリゴキシロシドを有する配糖体の生産が示された。(図1および2)
また、得られた精製標品をNMRにて解析した。その結果、β型配糖体に特徴的なアノマー由来プロトンがδ4.87-5.00付近に0.5 ppm程度低磁場シフトしているのが観察された。その結合定数Jd=6.2-7.3
Hzであった。糖鎖骨格の確認およびアグリコンとの結合を一次元DPFGSE-TOCSYおよびNOESYにて解析した。それぞれHX1およびHX5までそれぞれキシロピラノシル残基の存在と糖鎖同士の結合および糖鎖とアグリコンとの結合がそれぞれ測定された。
以上結果を踏まえて、得られた例の一部として、ハイドロキノンオリゴキシロ配糖体類の構造を示す(図3)。さらに帰属結果を表3および4に示す。
【0028】
(チロシナーゼ活性阻害作用)
得られた各種配糖体を添加したチロシナーゼ反応液の経時的な吸光度の変化を図4および5に示した。ハイドロキノンオリゴキシロ配糖体は、無添加のコントロールと比較して、チロシナーゼによって生じる吸光値の上昇を濃度依存的に明らかに抑制していた。これら結果を踏まえ、チロシナーゼ阻害活性をIC50にて示した結果を示す(表1)。奇数値のキシロピラノシル残基が結合したハイドロキノンオリゴキシロ配糖体において、その阻害活性は倍以上に上昇し、高いチロシナーゼ活性阻害剤としての生理活性を有していた。一方で、カテコールオリゴキシロシドについては、無添加のコントロールと比較して、チロシナーゼによって生じる吸光値の上昇を上回った結果となった。カテコールと比べてチロシナーゼに対する反応性は重合度が高くなるに連れて低いものとなった。カテコール配糖体において、美白効果が示されていることから、本カテコールオリゴキシロシドについては、今後のメラニン合成系における阻害剤となっていることが予想される。
【0029】
【表3】

【0030】





















【表4】




【0031】
(配糖化酵素のクローニング)
Bacillus
subtilis KT12より精製された本配糖化酵素のN末端アミノ酸配列はFamilly 11キシラナーゼとの相同性が100%であった。本酵素はFamilly11キシラナーゼと高い構造の類似性を有していることを推定し、本酵素の構造遺伝子(xynAと名づける)示す)のクローニングおよび一次構造の決定を行った。
【0032】
NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)による検索結果を基として、最も相同性が高かったBacillus
subtilis由来エンドキシラナーゼ(Accession no. AAD10834)のN末端及びC末端配列より以下のプライマーを設計した。
Xyn primer forward:
5’-ATGTTTAAGTTTAAAAAGAATTTCTTAGTT-3’
Xyn primer reverse:
5’-TTACCACACTGTTACGTTAGAACTTCCACT-3’
Bacillus
subtilis KT12のゲノムの抽出はIsoplant DNA抽出キット(Nippon Gene社製)を用いて行った。PCRによる増幅はTakara Ex TaqTM (Takara社製)を用いて行った。Bacillus subtilis KT12由来ゲノムDNA2 μLを用い、終濃度1 pmolの XynA primer forwardとXynA primer reverse、10×Bufferを2.5 μL、dNTPを2.5 μL、Taq polymeraseを0.25 μLを加え、全量25 μLになるように調製した。
反応条件は5 min 94ºC、35サイクルの増幅反応(1 min 94ºC, 1 min 54ºC, 1 min 72ºC)、10 min 72ºCにて行った。xynA遺伝子の増幅確認はアガロースゲル電気泳動にて行った。
xynA遺伝子の増幅が確認されたサンプルをアガロースゲル電気泳動の後、ゲルからの切り出し回収を行った。
【0033】
産物の精製はWizard® SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて行った。精製されたxynA遺伝子はpGEM®-T Easy Vector (Promega社製)を用い、TAクローニングを行った。
50 μLのコンピテントセル(E. coli JM109)に、ライゲーション反応を行ったプラスミドpGEMxynA
5 μLを加え、エレクトロポレーションにてE. coli
JM109を形質転換させた。
形質転換体E. coli JM109/pGEMxynAを、100 μMのIPTG、1 mg/mLのX-Galを含むLB/Amp寒天培地に塗布した。37ºC, 24時間培養の後、Positiveなコロニー(白色のコロニー)を選択し、LB液体培地にて培養を行った。
培養後、アルカリプレップ法を用い、プラスミドpGEMxynAを抽出した。得られたプラスミドpGEMxynAに対してEcoRI処理を行った。結果、約650 bpのXynA構造遺伝子挿入断片が確認された。(図6にアガロースゲル電気泳動像を示す。)
【0034】
調製されたプラスミドpGEMxynAの粗抽出液を用い、RNase処理とポリエチレングリコール沈殿(PEG沈)を行った後、上記設計プライマーとM13プライマーを用いて、シークエンス反応の後、DNAシークエンサーを用いてxynA構造遺伝子の一次構造解析を行った。決定したxynA構造遺伝子のDNA配列を配列表1に示す。
また、アミノ酸の一次構造を一文字表記の配列として、以下に示す。決定された本xynA構造遺伝子において、培養液より精製された本配糖化酵素のN末端アミノ酸配列と一致した配列が確認され、同一の酵素であることも確認できた。
【0035】
アミノ酸配列は、
MFKFKKNFLVGLTAAFMSISMFSATASAAGTDYWQ
NWTDGGGTVNAVNGSGGNYSVNWSNTGNFVVGK
GWTTGSPFRTINYNAGVWAPNGNGYLTLYGWTRA
PLIEYYVVDSWGTYRPTGTYKGTVKSDGGTYDIYT
TTRYNAPSIDSDNTTFTQYWSVRQSKRPTGSNAAI
TFSNHVNAWKSHGMNLGSNWAYQVLATEGYKSSG
SSNVTVW
となります。
【0036】
なお、プラスミドpGEMxynAは、国立大学法人 千葉大学 産学連携・知的財産機構 機構長が、ブタペスト条約に基づき、微生物の国際寄託手続きを、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに行い、同センター長より、平成20年6月20日付けにて、原寄託についての受領書を受けている。寄託者が付した識別のための表示は、pGEMxynAであり、受領番号は、FERM ABP−10983である。

【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】培養上清中の菌体外酵素の配糖化活性評価をTLCにより行った結果を示す。M;マーカー、+;カテコール存在下、−;カテコール非存在下、A;アルブチン、X1;キソロース、X2;キシロビオース、X3;キシロトリオース、およびCXはカテコールキシロシドを示す。
【図2】図1のデンシトメトリーの図である。
【図3】ハイドロキノンオリゴキシロ配糖体類の構造を示す。
【図4】得られた各種配糖体を添加したチロシナーゼ反応液の経時的な吸光度の変化を示した図である。
【図5】得られた各種配糖体を添加したチロシナーゼ反応液の経時的な吸光度の変化を示した図である。
【図6】pGEMxynAプラスミドのEcoRI消化後のアガロースゲル電気泳動像である。
【配列表フリーテキスト】
【0038】
配列番号1:クローニングされたxynA遺伝子。
配列番号2:xynA遺伝子がコードするアミノ酸配列。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロキノン−β−キシロース、ハイドロキノン−β−キシロビオース、ハイドロキノン−β−キシロトリオース、ハイドロキノン−β−ペンタオースおよび/またはそれらの水和物、溶媒和物、それらの塩からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上のハイドロキノンオリゴキシロシドを含有するチロシナーゼ阻害剤。
【請求項2】
ハイドロキノンに奇数個のキシロシドが結合しているハイドロキノンオリゴキシロシド[ハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドという]の1つまたは2つ以上のハイドロキノン−オリゴ(奇数個)キシロシドを含有するチロシナーゼ阻害剤。
【請求項3】
ハイドロキノン−β−ペンタオースおよび/またはその水和物、溶媒和物、それらの塩を含有するチロシナーゼ阻害剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、Bacillus subtilis菌由来のフェノール配糖化酵素を用いることを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、Bacillus subtilis KT12株のフェノール配糖化酵素を用い、10%ジメチルスルホキシドおよび5%界面活性剤の存在下で、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造し、反応産物から還元糖の除去をアニリン処理にて行うことを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法。
【請求項6】
pGEMxynA(原寄託の受領番号;FERM ABP−10983)
【請求項7】
配列番号1に記載のDNA配列で表される酵素遺伝子
【請求項8】
配列番号1に記載のDNA配列がコードしているアミノ酸配列で表される酵素
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、プラスミドpGEMxynAに挿入されているフェノール配糖化酵素遺伝子を用いることを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造する方法であって、プラスミドpGEMxynAに挿入されている酵素遺伝子にコードされているフェノール配糖化酵素を用い、10%ジメチルスルホキシドおよび5%界面活性剤の存在下で、ハイドロキノンオリゴキシロシドを製造し、反応産物から還元糖の除去をアニリン処理にて行うことを手段とするハイドロキノンオリゴキシロシドの製造法。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載の、チロシナーゼ阻害剤を活性成分として含む食用または化粧用組成物。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項に記載の、チロシナーゼ阻害剤を活性成分として含む美白剤。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−28038(P2009−28038A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170103(P2008−170103)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】