説明

テキスタイルを処理する方法

本発明は、被覆されたテキスタイルを製造する方法であって、
テキスタイル基材を、
(A)少なくとも1種の疎水性のポリマー、
(B)任意に、少なくとも1種のアミノ含有化合物、及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
を含む水溶液で処理する工程、及び該工程の後に行われる、
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)少なくとも1種のアミノ−含有化合物及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の少なくとも1種の固体、
を含む更なる水溶液で処理する工程、
を含むことを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆されたテキスタイルを製造する方法であって、
テキスタイル基材を、
(A)少なくとも1種の疎水性のポリマー、
(B)任意に、少なくとも1種のアミノ含有化合物、及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
を含む水溶液で処理する工程、及び該工程の後に行われる、
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)少なくとも1種のアミノ−含有化合物及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の少なくとも1種の固体、
を含む更なる水溶液で処理する工程、
を含むことを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この数年、テキスタイル(織物:textile)は、汚れ防止特性を改良するために、粒子状の物質で被覆されている(例えば、特許文献1(EP−A1296283)、参照)。
【0003】
特許文献2(WO02/84013)は、ポリエステルのファイバーを(例えば、このファイバーを、懸濁液中、1%のAeroperl8200疎水化シリカゲルを含むデカリンのホットバスに80℃で通すことにより、)疎水化することを提案している。
【0004】
特許文献3(WO02/84016)は、ポリエステル繊維を、(懸濁液中、1%のAeroperl8200疎水化シリカゲルを含む加熱されたDMSO(dimethyl sulfoxide)に、50℃で 通すことにより、)疎水化することを提案している。
【0005】
疎水化の何れの方法においても、溶媒は、ファイバーが部分的に溶解するように選択される。これには、有機溶媒が大量に必要となり、そして、何れの場合であっても望ましくはない。更に、有機溶媒での処理は、ファイバーの機械的特性に影響を及ぼす。
【0006】
有機溶媒を大量に使用することを避けるために、テキスタイルを、好ましくは(1種以上の分散剤を使用して分散された粒子を含む)水性処方物で処理することが提案されている(例えば、特許文献4(WO2004/074568)及び特許文献5(WO2005/113883)、参照)。
【0007】
多くの場合における問題の一つは、テキスタイルへの粒子の付着を改良することにある。この理由は、粒子の付着なしでは、汚れ防止効果は耐久性がないからである。
【0008】
付着を改良するために、特許文献6(WO2004/074568)及び特許文献7(WO2005/113883)は、(例えば、下塗り剤を使用して)結合層を施すことを提案している。特許文献8(WO2004/074568)及び特許文献9(WO2005/113883)では、特に、N,N−ジメチルオール−4,5−ジヒドロキシエチレンウレア(DMDHEU)が、下塗り剤(プライマー)として提案されている。この結合層は、粒子を施す前に、別に施され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP−A1296283
【特許文献2】WO02/84013
【特許文献3】WO02/84016
【特許文献4】WO2004/074568
【特許文献5】WO2005/113883
【特許文献6】WO2004/074568
【特許文献7】WO2005/113883
【特許文献8】WO2004/074568
【特許文献9】WO2005/113883
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、現存する方法を更に改良することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、上述した方法で達成されることがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的において、テキスタイル(textile)、又は他にテキスタイル材料は、例えば、一方では、ファイバー、ロービング、ヤーン、スレッド(糸)であり、そして他方では、テキスタイルファブリック、例えば、織物、ニット、不織布及びガーメントである。特に好ましくは、例えば、アウトドアテキスタイルを製造するために使用されるテキスタイルファブリックである。帆、傘、防水シート、グランドシート、テーブルクロス、オーニング及び家具用カバー、例えば椅子、ブランコ又はベンチカバーが例示される。
【0013】
本発明の目的のためのテキスタイルは、異なる材料で構成可能である。例は、天然ファイバー、及び合成ファイバー及びブレンドファイバーである。天然ファイバーの例は、シルク、ウール及びコットンである。合成ファイバーの例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ライオセル(lyocell)、ポリ乳酸(PLA)及びビスコースである。同様に、変性(改質:modify)された天然ファイバーを、本発明の方法で被覆しても良く、例えば、セルロースアセテートである。
【0014】
本発明の方法は、所定の水溶液を使用して行なわれる。本発明のための水溶液(aqueous liquor)は、室温では揮発性(volatil)の部分に対して、及び水を少なくとも約5質量%含むことができる溶液を意味する。好ましくは、水溶液は、少なくとも25質量%の水を含み、より好ましくは少なくとも50質量%、最も好ましくは少なくとも75質量%の水を含む。水の最大含有量は、室温で揮発性(volatile)の部分に対して100質量%、好ましくは97質量%、特に好ましくは95質量%である。
【0015】
本発明に従い水溶液は、水に加え、有機溶媒を含んで良く、有機溶媒の例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルグリコール)、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール及び異性体、n−オクタノール及び異性体、n−ドデカノール及び異性体である。有機溶媒は、本発明に従い使用される水溶液の、0.2〜50質量%及び好ましくは0.5〜35質量%であっても良い。従って、室温では液体の部分に対し、水の含有量が100質量%の状態では、水溶液は、有機溶媒を含まない。
【0016】
本発明の方法は、複数工程を有する。テキスタイルは、複数の異なる水溶液、特に全く異なる2種の溶液で、複数の処理を受け、特に処理を2回受ける。
【0017】
テキスタイルは、
(A)少なくとも1種の疎水性のポリマー、
(B)任意に、少なくとも1種のアミノ含有化合物(アミノ基含有化合物)、及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
を含む、少なくとも1種、好ましくは正確に1種の水溶液で処理される。
【0018】
上記1つ以上の処理工程は、複数の処理工程が関わる場合であっても、ここでは、第1の処理工程又は本発明の方法の第1の処理工程と称される。従って、必要とされる1種以上の水溶液は、第1の水溶液と称される。
【0019】
第1の水溶液は、
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の少なくとも1種の固体、略して固体(C)を含まない。
【0020】
ここで、「固体(C)を含まない」は、水溶液の固体(C)の部分が、0.1g/l未満、及び好ましくは0〜0.01g/lの範囲を意味すると理解される。
【0021】
この工程の次に、
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)少なくとも1種のアミノ−含有化合物及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の少なくとも1種の固体、
を含む更なる水溶液で処理する工程が行われる。
【0022】
上記1つ以上の処理工程は、複数の処理工程が関わる場合であっても、ここでは、第2の処理工程又は本発明の方法の第2の処理工程と称される。従って、必要とされる1種以上の水溶液は、第2の水溶液と称される。
【0023】
本発明の方法で使用される第1の水溶液は、少なくとも1種の疎水性ポリマー(A)を含む。
【0024】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1種の疎水性ポリマー(A)は、25℃での水への溶解性が1g/l未満のエチレン性不飽和の疎水性モノマーのポリマー又はコポリマーを含む。コポリマーでは、疎水性モノマーは、コポリマーの少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも75質量%を形成している。
【0025】
好ましいモノマーは、C2−C24−オレフィン、特に2〜24個の炭素原子を有するα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン又は1−オクタデセン;
ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、cis−スチルベン、トランス−スチルベン、ジオレフィン、例えば1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、又はイソプレン、C5−C18−シクロオレフィン、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルンネン、二量体のシクロペンタジエン、
1−C20−アルコールの(meth)アクリル酸エステル、例えばメチル(meth)アクリレート、エチル(meth)アクリレート、n−プロピル(meth)アクリレート、イソプロピル(meth)アクリレート、n−ブチル(meth)アルリレート、イソブチル(meth)アクリレート、tert−ブチル(meth)アクリレート、2−エチルヘキシル(meth)アクリレート、n−オクチル(meth)アクリレート、n−デシル(meth)アクリレート、n−ドデシル(meth)アクリレート、n−エイコシル(meth)アクリレート、の群から選ばれ、及び最も好ましくは、ハロゲン化モノマー及びシロキサン基を有するモノマーの群から選ばれる。
【0026】
少なくとも1種のハロゲン化(コ)モノマーを重合状態で含む疎水性ポリマー(A)は、ハロゲン化(コ)ポリマー(A)とも称される。
【0027】
ハロゲン化モノマーは、塩素化オレフィン、例えばビニルクロリド及びビニリデンクロリドを含む。疎水性ポリマー(A)がフッ素化された(コ)ポリマーを含むことが特に好ましい。
【0028】
最も好ましいハロゲン化モノマーは、フッ化オレフィン(fluorous olefin)、例えば、ビニリデンフルオリド、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化又は過フッ化C3−C11−カルボン酸のビニルエステル(例えば、US2,592,069及びUS2,732,370に記載されている)、フッ化又は過フッ化アルコールの(meth)アクリル酸エステル、例えば、フッ化又は過フッ化C3−C14−アルキルアルコール、例えば、HO−CH2−CH2−CF3、HO−CH2−CH2−C25、HO−CH2−CH2−n−C37、HO−CH2−CH2−iso−C37、HO−CH2−CH2−n−C49、HO−CH2−CH2−n−C613、HO−CH2−CH2−n−C817、HO−CH2−CH2−n−C1021、HO−CH2−CH2−n−C1225の(meth)アクリル酸エステル(例えば、US2,642,416、US3,239,557、BR1,118,007、US3,642,296に記載されている)である。
【0029】
同様に、コポリマー、例えば式IIのエステルを有するグリシジル(meth)アクリレート
【0030】
【化1】

【0031】
(但し、
4が、水素、CH3、C25であり、
5が、CH3、C25であり、
xが、4〜12の整数、及び最も好ましくは6〜8の整数であり、
yが、1〜11の整数、及び最も好ましくは1〜6の整数である)
又はフッ化カルボン酸のビニルエステルを有するグリシジル(meth)アクリレートが好ましい。
【0032】
有用なコポリマーは、更に、フッ化又は過フッ化C3−C12−アルキルアルコールの(meth)アクリル酸エステルのコポリマー、例えば、HO−CH2−CH2−CF3、HO−CH2−CH2−C25、HO−CH2−CH2−n−C37、HO−CH2−CH2−iso−C37、HO−CH2−CH2−n−C49、HO−CH2−CH2−n−C511、HO−CH2−CH2−n−C613、HO−CH2−CH2−n−C715;これに非ハロゲン化C1−C20−アルコールの(meth)アクリル酸エステル、例えば、メチル(meth)アクリレート、エチル(meth)アクリレート、n−ブチル(meth)アクリレート、n−プロピル(meth)アクリレート、2−エチルヘキシル(meth)アクリレート、n−オクチル(meth)アクリレート、n−デシル(meth)アクリレート、n−ドデシル(meth)アクリレート、n−エイコシル(meth)アクリレートを有するもの、又はエチレン性不飽和のカルボン酸、例えばメタクリル酸を有するものである。
【0033】
適切なハロゲン化(コ)ポリマー(B)の概要は、例えばM.Lewin et al.,Chemical Processing of Fibers and Fabrics,PartB,Volume 2,Marcel Dekker,New York(1984),pages172ff.及びpages178−182に記載されている。
【0034】
更なる適切なフッ化ポリマーは、例えば、DE 199 120 810に開示されている。
【0035】
シロキサン基を有するオレフィンの群から、例えば、一般式IIIa〜IIIc
【0036】
【化2】

【0037】
(但し、変数が以下のように定義される:
6が、
1−C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル;好ましくは、C1−C6−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、より好ましくは、C1−C4−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル、及び特にメチル
6−C14−アリール、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル及び9−フェナントリル、好ましくは、フェニル、1−ナフチル、及び2−ナフチル、より好ましくはフェニル、
3−C12−シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、及びシクロドデシル;
好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル
又はSi(CH33
から選択される。
7が、メチル又は水素である。
aが、2〜10000の整数、特に100以下の整数である。
bが、0〜6の整数、及び特に1〜2の整数である。)
のオレフィンを記載しても良い。
【0038】
固体(C)(下記参照)は、有機ポリマーを含む場合、疎水性ポリマー(A)は、固体(C)とは異なり、及び好ましくは、疎水性ポリマー(A)は、好ましくはハロゲン化されたポリマー(A)であり、及び特にフッ化ポリマーである。
【0039】
本発明の方法に使用される、第1の水溶液は、更に(B)任意に、少なくとも1種のアミノ−含有化合物及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド、及び任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物を含み、該縮合生成物は、ここでは、略して「縮合生成物(B)」とも称される。好ましくは、本発明の方法に使用される第1の水溶液は、少なくとも1種の縮合生成物(B)を含む。
【0040】
アミノ含有化合物は、少なくとも1種、好ましくは2種以上、好ましくは2種又は3種の一級アミノ基を、分子ごとに有する有機化合物を含む。例えば、1,2−エチレンジアミン及び1,3−プロピレンジアミンが可能である。アミノ含有化合物として、ウレア(尿素)を使用することが好ましい。
【0041】
アルデヒドは、脂肪族アルデヒド、例えばアセトアルデヒドを含むことが好ましく、及びホルムアルデヒドを含むことが特に好ましい。
【0042】
ジアルデヒドは、好ましくは脂肪族ジアルデヒド、例えばグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド及び特にグリオキサルを含む。
【0043】
本発明の一実施の形態では、縮合生成物(B)は、一般式IV
【0044】
【化3】


の化合物を含む。
【0045】
本発明の一実施の形態では、縮合生成物(C)は、一般式I
【0046】
【化4】


の化合物を含む。ここで、式IとIVの変数記号は、以下のように定義される。
1 は、各場合において異なるか、又は好ましくは同一であり、そして分岐(枝分かれ)した、又は好ましくは非分岐(枝分かれしていない)のC1−C6−アルキル、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシルから選ばれ、より好ましくは、直鎖状C1−C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、及びn−ブチル、(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3、好ましくは(CH2CH2O)m3(但し、mは、1〜50の整数である)、及び好ましくはハロゲンである。
2 は、存在する場合、各場合において、異なるか、又は好ましくは同一であり、そして分岐した、又は好ましくは非分岐のC1−C6−アルキル、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシルから選ばれ、より好ましくは、直鎖状C1−C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、及びn−ブチル、(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3、好ましくは(CH2CH2O)m3(但し、mは、1〜50の整数である)、及び好ましくはハロゲンである。
3 は、ハロゲン及びC1−C20−アルキルから選ばれ、好ましくはエチル、及び特に好ましくはメチルである。
【0047】
式I中、R1とR2が、各場合において同一であることが特に好ましい。
【0048】
縮合生成物(B)が、N,N−ジメチロール−4,5−ジヒドロキシエチレンウレア(DMDHEU)を含むことが極めて好ましい。
【0049】
本発明の方法の第2の処理工程で使用される水溶液は、上述した少なくとも1種の疎水性ポリマー(A)及び少なくとも1種の縮合生成物(B)を含む。
【0050】
本発明の方法の第2の処理工程で使用される水溶液は、更に、少なくとも1種の固体を粒子の状態で含み、該固体は、固体(C)とも称される。
【0051】
一実施の形態では、固体(C)の割合は、水溶液について、少なくとも5.5g/l、好ましくは少なくとも7g/l、及び最も好ましくは、少なくとも10g/lである。
【0052】
最大の割合は、水溶液について、約150g/l、及び好ましくは25g/l以下である。固体(C)は、天然の有機物又は無機物であって良く、無機物が好ましい。
【0053】
適切な固体(C)の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン及びポリスレン、及びこれらの相互間のコポリマー、又は、更なる1種以上のオフェリンとのコポリマーであり、該オレフィンは、例えば、スチレン、メチル、アクリレート、エチルアクリレート、メチル(meth)アクリレート、ブチルアクリレート、ブチル(meth)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル(meth)アクリレート、無水マレイン酸又はN−メチルマレイミドである。好ましいポリエチレン又はポリプロピレンは、例えばEP−A0761696に記載されている。
【0054】
特に適切な固体(C)は、無機材料、特に固体無機酸化物、(元素周期表の第3〜14族の)カーボネート、ホスフェート、シリケート、例えば、カルシウムオキシド、シリコンジオキシド(二酸化ケイ素)又はアルミニウムオキシド、カルシウムカーボネート、カルシウムサルフェート、又はカルシウムシリケートで、アルミニウムオキシド及びシリコンジオキシドが好ましい。特に好ましくは、そのシリカゲル状態のシリコンジオキシドである。ヒュームドシリカゲルが、極めて好ましい。固体無機酸化物は、400〜800℃に加熱することにより、又は好ましくは物理吸着又は化学吸着又は有機金属化合物によって疎水化することができる。この目的のために、被覆工程の前の粒子が、例えば、有機金属化合物と反応される。ここで、該有機金属は、少なくとも1種の官能基、例えば、アルキルリチウム化合物、例えば、メチルリチウム、n−ブヒルリチウム又はn−ヘキシルリチウム又はシラン、例えばヘキサメチルジシラザン、オクチルトリメトキシシラン、及び特に、ハロゲン化シラン、例えばメチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン又はジクロロジメチルシランを含む。
【0055】
本発明の一実施の形態は、疎水化した固体無機酸化物と、対応する疎水化されていない固体無機酸化物の混合物を、例えば、100:0〜0:100、好ましくは99:1〜60:40、及びより好ましくは99:1〜80:20の質量割合で使用する。
【0056】
1種以上の固体(C)について、「疎水性」は、1種以上の固体(C)の水への溶解度が、室温で測定して1g/l未満、好ましくは0.3g/l未満であることを意味する。
【0057】
固体(C)は、室温で測定して、水との接触角が90°以上になることも可能である。
【0058】
固体(C)は、無機材料の場合、天然の多孔性であることが好ましい。多孔性構造は、DIN66131で測定されるBET表面積によって最も良く特徴付けられる。使用される固体(A)は、好ましくはBET表面積が、5〜1000m2/gの範囲、好ましくは10〜800m2/gの範囲、及びより好ましくは20〜500m2/gの範囲である。
【0059】
固体(C)は、粒子の状態で存在する。平均粒子径は、(中央値、数平均)は、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも3nm及びより好ましくは少なくとも6nmである。最大粒子径(中央値、数平均)は、500nm、好ましくは350nm、及びより好ましくは100nmである。粒子径は、通常使用される手段、例えば透過電子顕微鏡によって測定することができる。
【0060】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1種の固体(C)が球状の粒子として存在し、このことは、少なくとも75質量%、及び好ましくは少なくとも90質量%が球状の状態で存在し、そして他の粒子が(粒度の細かい)粒状で存在する固体(C)を含むことが意図されている。
【0061】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1種の固体(C)は、凝集体(集合体)を形成することができる。固体(C)が凝集体及び/又は塊(これらは、2〜数千の一次粒子から成り、及び球状の形状を有することができる)の状態で存在する場合、記載した事項は、一次粒子の粒子形状及び寸法である。
【0062】
本発明の方法の第2の処理工程で使用される水溶液は、1種以上の疎水性ポリマーを含み、該疎水性ポリマーは、疎水性ポリマー(A)の中に列挙したポリマーから選ばれる。この(又はこれらの)疎水性ポリマー(A)は、本発明の方法の第1の処理工程で使用される疎水性ポリマー(A)と同一であることが好ましい。
【0063】
本発明の方法で使用される水溶液は、1種以上の界面活性剤(D)(該界面活性剤(D)は、イオン性又は非イオン性乳化剤から選択される)を含んでも良い。
【0064】
界面活性剤(D)(表面活性剤(D))として有用な非イオン性乳化剤は、例えば、エトキシル化したモノ−、ジ−、及びトリアルキルフェノール(エトキシル化の程度:3〜50、アルキル基:C4−C12)及びエトキシル化した脂肪アルコール(エトキシル化の程度:3〜80、アルキル基:C8−C36)を含む。これらの例は、Lutensol(登録商標)grades(BASF Aktiengesellschaftより)である。
【0065】
界面活性剤(D)として有用なアニオン性乳化剤は、例えば、アルキルサルフェート(アルキル基:C8−C12)の、硫酸モノエステルのエトキシル化アルカノール(エトキシル化の程度:4〜30、アルキル基:C12−C18)の、及びエトキシル化アルキルフェノール(エトキシル化の程度:3〜50、アルキル基:C4−C12)の、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12−C18)の、及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9−C18)の、アルカリ金属−及びアンモニウム塩を含む。
【0066】
有用なカチオン性乳化剤は、通常、C6−C18−アルキル−、C6−C18−アラルキル、又は複素環−(heterocycly-)含有の、1級、2級、3級又は4級アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、及びアミン酸化物の塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩、及びホスホニウム塩である。記載して良い例は、ドデシルアンモニムアセテート、又は対応するヒドロクロリド、種々の2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルパラフィン酸エステルのクロリド又はアセテート、N−セチルピリジニウムクロリド、N−ラウリルピリジニウムサルフェート及びN−セチル−N,N,N−トリミチルアンモニウムブロミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、及びGemini界面活性剤N,N’−(ラウリルジメチル)エチレンジアミンジブロミドである。種々の更なる例が、H.Stache,Tensid−Taschenbuch,Carl−Hanser−Verlag,Munich,Vienna,1981及びMcCutcheon’s,Emulsifiers&Detergents,MC Publishing Company,Glen Rock,1989に見出される。
【0067】
特に好ましいカチオン性乳化剤は、アルコキシル化脂肪アミン、特にエトキシル化C10−C20−脂肪アミンで、エトキシル化の程度が、平均で2〜12のものである。
【0068】
界面活性剤(D)として極めて適切な乳化剤はポリマー性乳化剤である。これは、例えばエチレンと以下のものとのコポリマー、すなわち、(エチレンと)少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−又はジカルボン酸、又はα,β−不飽和モノ−又はジカルボン酸の少なくとも1種の無水物例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸とのコポリマーである。カルボキシル基は、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム又はアミン、例えば、アミン、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−(n−ブチル)ジエタノールアミン又はN,N−ジメチルエタノールアミンで、部分的に、又は好ましくは完全に中和することができる。
【0069】
表面−活性化合物(D)の割合は広い範囲から選ぶことができ、そして水溶液について、0〜20g/lの範囲、好ましくは0.2〜10g/lの範囲が可能である。
【0070】
本発明の一実施の形態では、本発明の方法に使用される水溶液は、1種以上の添加剤(E)を含んでも良い。適切なものは、例えば、湿潤剤(wetting agent)、消泡剤(発泡防止剤)、通気剤、架橋剤(硬化剤)、フロー助剤、及び増粘剤、及び特に、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及び部分的に鹸化したポリビニルアセテートである。
【0071】
添加剤(E)として、1種以上の湿潤剤を使用して良く、該湿潤剤は、例えば、アルキルポリグリコシド、アルキルホスホネート、アルキルフェニルホスホネート、アルキルホスホネート、及びアルキルフェニルホスホネートである。
【0072】
添加剤(E)として、1種以上の消泡剤(発泡防止剤)を使用して良く、該消泡剤は、例えば、室温では液体の、非エトキシル化又は1回又は複数回エトキシル化したシリコーンである。
【0073】
添加剤(E)として、1種以上の増粘剤(thickening agent)を使用して良く、該増粘剤は、例えば、天然又は合成に由来するものである。適切な合成増粘剤は、ポリ(meth)アクリル化合物、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、例えば、ポリアクリルアミド、及びポリウレタンである。特に適切なものは、コポリマーであって、85質量%〜95質量%がアクリル酸、4質量%〜15質量%がアクリルアミド及び0.01質量%〜1質量%が(meth)アクリルアミドで、式V
【0074】
【化5】

【0075】
(但し、
8が、メチル又は好ましくはハロゲンで、分子量MWが100000〜2000000g/molの範囲のものである)
から誘導可能なものである。天然由来の増粘剤の例は、寒天、カラギナン、変性のり(変性スターチ)及び変性セルロースである。
【0076】
添加剤(E)として、1種以上の架橋剤(硬化剤)を使用しても良い。例は、イソシアヌレート及び特に疎水化したイソシアヌレート及び混合状態の疎水化ジイソシアネート/イソシアヌレート、例えば、C1−C4−アルキルポリエチレングリコールと反応した、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートである。このような架橋剤の例は、EP−A0486881から公知である。更なる例は、オキシムキャップしたイソシアネート/ジイソシアネート/イソシアヌレート、特に、ブトキシム−キャップのジイソシアネート及びブトキシム−キャップのイソシアヌレートである。
【0077】
添加剤(E)として、1種以上のフロー助剤を使用して良く、該フロー助剤は、例えば、エチレングリコールである。
【0078】
添加剤(E)として、1種以上の通気剤を使用して良く、該通気剤は、例えば、モノ−又はデカ以下にエトキシル化した1種以上のGuerbetアルコーである。
【0079】
好ましい添加剤(E)として、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、又は部分的に鹸化したポリビニルアセテート、特に0.1〜70モル%鹸化したポリビニルアセテートを使用しても良い。更なる好ましい添加剤(E)は、ポリビニルアセテート又は部分的に鹸化したポリビニルアセテートとポリビニルアルコールの混合物である。
【0080】
好ましい添加剤(E)として、弱酸又は弱塩基を、pH調節剤として使用しても良い。適切なものは、例えば、アンモニウム塩、例えば、NH4Cl及び(NH4)2SO4である。カルボン酸、例えば、酢酸又はクエン酸を使用することも可能である。
【0081】
添加剤(E)として、1種以上の殺生物剤を使用しても良い。殺生物剤の例は、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−one(“BIT“)(Aveciaからのブランド、Proxel(登録商標)として市販されている)及びそのアルカリ金属塩である。他の適切な殺生物剤は、2−メチル−2H−イソチアゾール−3−one(“MIT“)及び5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾール−3−one(“CIT“)が例示される。通常、水溶液に対して10〜150ppmの殺生物剤で充分である。
【0082】
本発明の好ましい実施の形態では、本発明の方法で使用される第1の水溶液は、少なくとも1種の添加剤(E)、最も好ましくは少なくとも1種の架橋剤を含む。
【0083】
本発明の一実施の形態では、第1の水溶液は:
2〜60g/l及び好ましくは5〜40g/lの疎水性ポリマー(A)、
0〜150g/l及び好ましくは40〜120g/lの縮合生成物(B)、
0.1g/l未満及び好ましくは0〜0.01g/lの固体(C)、
0〜20g/l及び好ましくは0.2〜10g/lの界面活性化合物(D)、
全部で0〜150g/l及び好ましくは5〜100g/lの添加剤(E)、
を含む。
【0084】
本発明の一実施の形態では、第2の水溶液は、
2〜60g/l及び好ましくは5〜40g/lの疎水性ポリマー(A)、
50〜150g/l及び好ましくは50〜120g/lの縮合生成物(B)、
5.5〜150g/l及び好ましくは6〜25g/lの固体(C)、
0〜20g/l及び好ましくは0.2〜10g/lの界面活性化合物(D)、
全部で0〜150g/l及び好ましくは25〜100g/lの添加剤(E)、
を含む。
【0085】
残りは、各場合において、例えば連続相である。
【0086】
本発明の方法は、テキスタイル材料を水溶液で処理することによって行われる。
【0087】
本発明が行われる温度に、問題はない。液体温度は、10〜80℃の範囲に設定しても良く、及び15〜60℃の範囲に設定することが好ましい。
【0088】
ウェットピックアップ(溶液の受入)は、本発明では、5質量%〜85質量%のウェットピックアップ、及び好ましくは10質量%〜70質量%のウェットピックアップになるように選択することができる。
【0089】
本発明の方法は、テキスタイル(textile)に仕上げを施すために通常使用される機械、例えばパッド−マングル中で行うことができる。適切なものは、テキスタイル垂直供給パッド−マングルで、テキスタイル垂直供給パッド−マングルの主要な要素は、相互に押圧状態で接触した2個のローラー(該2個のローラーの間をテキスタイルが通される)である。液体は、ローラーの上側に満たされ。そしてテキスタイルを濡らす。圧力によりテキスタイルが絞られ、そして一定の添加状態が維持される。
ボウル(容器)を有するパッドマングル(該ボウル内で、テキスタイルが水溶液で飽和され、次に一対のローラーにテキスタイルが通される)が好ましい。圧力によりテキスタイルが絞られそして一定の添加状態が維持される。
【0090】
本発明に従う処理の後の(処理された)テキスタイルは、テキスタイル工業では通常の方法によって乾燥させることができる。
【0091】
本発明に従う処理の次に、熱処理を行うことができ、該熱処理は、連続的又は非連続的(バッチ式)に行うことができる。熱処理の継続時間は、広い範囲で選択することができる。熱処理は、代表例では、約10秒〜約30分の継続時間で行うことができ、特に30秒〜5分の継続時間で行うことができる。温度処理は、温度を180℃以下、好ましくは150℃以下に加熱することによって行われる。当然、熱処理の温度をファブリック(繊維)の感受性に適合させる必要がある。
【0092】
熱処理の適切な方法の例は、熱風乾燥である。
【0093】
本発明の方法は、多くの場合、改良されたウェットピックアップを提供する。
【0094】
本発明は、更に、本発明の方法によって被覆されたテキスタイル(該テキスタイルを、本発明のテキスタイルと称する)を提供する。本発明のテキスタイルでは、被覆物は、一層の状態で設けられる。本発明のテキスタイルは、良好な定着性(fastness)、例えば摩擦定着性を示すのみならず、極めて良好な汚れ防止特性及び低い透水性及び高い堅さをも示す。本発明のテキスタイルは、アウトドア分野、例えば傘及びオーニング用のテキスタイルを製造するのに特に有用であるが、家具カバー用にも有用である。
【0095】
更に、本発明は、オーニング、フード又は防水シートとして、又はこれらを製造するために本発明のテキスタイルを使用する方法を提供する。本発明は、更に、本発明のテキスタイルを使用して製造したアーニング、フード又は防水シートを提供する。
【0096】
更に、本発明は、
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)好ましくは、少なくとも1種のアミノ−含有化合物及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド、及び任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物(略して縮合生成物(B))、
(D)少なくとも1種の界面活性化合物(略して界面活性化合物(D))、
(E)好ましくは1種以上の添加剤、
を含み、且つ
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の固体(略して固体(C))、
を有しない、
水溶液を提供する。
【0097】
疎水性ポリマー(A)、縮合生成物(B)、界面活性化号物(D)及び添加剤(E)及び固体(C)の定義は、上述した定義である。
【0098】
本発明の一実施の形態では、縮合生成物(B)は、ウレアと少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド、及び任意に少なくとも1種のアルコールの縮合生成物を含む。
【0099】
本発明の一実施の形態では、疎水性ポリマーは、フッ化(フッ素化)(コ)ポリマーを含む。
【0100】
本発明の一実施の形態では、縮合生成物(B)は、一般式IV
【0101】
【化6】


の化合物を含む。
【0102】
本発明の一実施の形態では、縮合生成物(B)は、一般式I
【0103】
【化7】

【0104】
(但し、式I及びIVの変数が以下のように定義される、
1が、各場合において、同一又は異なり、及び水素、C1−C6−アルカリ、
(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3及び好ましくは(CH2CH2O)m3から選択され、そして、mは、1〜50の整数であり、
2が、各場合において、同一又は異なり、及び水素、C1−C6−アルカリ、(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3及び好ましくは(CH2CH2O)m3から選択され、そして、mは、1〜50の整数であり、
3が、水素及びC1−C20−アルキルから選択される)
の化合物を含む。
【0105】
本発明の一実施の形態では、本発明の水溶液は、
2〜60g/l及び好ましくは5〜40g/lの疎水性ポリマー(A)、
0〜150g/l及び好ましくは40〜120g/lの縮合生成物(B)、
0〜20g/l及び好ましくは0.2〜10g/lの界面活性化合物(D)、
全部で0〜全部で150g/l及び好ましくは25〜100g/lの添加剤(E)、及び
0.1g/l未満及び好ましくは0〜0.01g/lの固体(C)、
を含む。
【0106】
本発明の水溶液が、少なくとも1種の添加剤(E)を含むことが特に好ましく、少なくとも1種の架橋剤を含むことが最も好ましい。
【0107】
本発明の一実施の形態では、本発明の溶液は、pHを2〜9の範囲、好ましくは3.5〜7.5の範囲に有する。
【0108】
本発明の溶液は、本発明の方法において、第1の溶液として特に有用である。
【0109】
更に本発明は、本発明の水溶液を製造するための方法(ここでは、本発明の製造方法とも称される)を提供する。本発明の製造方法は、疎水性ポリマー(A)、縮合生成物(B)、及び任意に界面活性化合物(D)及び任意に1種以上の添加剤(E)の成分を、それぞれ又は相互に、そして水と(例えば攪拌して)混合することにより行うことができる。成分の順序、すなわち、疎水性ポリマー(A)、縮合生成物(B)、及び任意に界面活性化合物(D)及び任意に1種以上の添加剤(E)の成分の順序は任意である。しかしながら、1種以上の成分、特に疎水性ポリマー(A)及び縮合生成物(B)が、水又は溶媒と予備混合した状態で使用されることが好ましい。
【0110】
本発明の製造方法は、所望の如何なる温度であっても行うことができるが、特に、5〜95℃の温度範囲で行うことができる。室温が好ましい。
【0111】
実施例を使用して本発明を説明する。
【0112】
水性混合物についての量は、他に明確な記載がなければ、常に固体含有量に基いている。
I.本発明の水溶液の製造
以下の物質を使用した:
疎水性ポリマー(A.1):10質量%のメタクリル酸及び90質量%のCH2=C(CH3)COO−CH2−CH2−CH2−n−C817から形成され、Mnが3500g/mol(ゲル浸透クロマトグラフィー)のランダムコポリマーの水性分散液(30質量%の固体含有量)
縮合生成物(B.1):化合物I.1(DMDHEU)
【0113】
【化8】

【0114】
縮合生成物(B.2):化合物I.2
【0115】
【化9】

【0116】
固体(C.1):DIN66131で測定して、BET表面積が225m2/g、一次粒子径:10nm(平均値、数平均)のジメチルシロキサン−変性(改質)ヒュームドシリカ
(D.1):n−C1225−N(CH2CH2−O−CH2CH2−OH)2
(D.2):イソ−C1021(OCH2CH25OH
(E.1):部分的に鹸化したポリビニルアセテートの45質量%の水性分散液、Tg:33℃、
(E.2):プロピレングリコール(30質量%)及びn−C1837(OCH2CH215OH(10質量%)中、三量体のヘキサメチレンジイソシアネートの60質量%溶液
(E.3):ポリアクリルイミド
HOAC:60質量%の水性酢酸
Butylglyk.:エチレングリコールn−ブチルエーテル(ブチルグリコール)
【0117】
共通の手順:
表1に基く成分を混合し、そして水を加えて1lとし、テキスタイル基材(textile substrate)を処理するために使用される第1の水溶液、WF1.2〜WF1.4(それぞれ、本発明のもの)、又は比較試験のための水溶液であるV−WF.1を得た。
【0118】
更に、表2に基く成分を混合し、テキスタイル基材を処理するために使用される第2の水溶液、WF2.1〜WF2.4を得た。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
織ポリエステルファブリックの例における、テキスタイル基材を、本発明で処理するための、共通の手順:
ベース質量が220g/m2の織ポリエステルファブリックを、表1に従う本発明の水溶液で(Mathis(model HVF12085)からのパッドマングル上で、)処理した。ロールの絞り圧は、4バールであった。これは、ウェットピックアップが30%であった。供給速度は、10m/minであった。次に、処理したポリエステルファブリクを、テンター上で、120℃で1分間乾燥させた。次の熱処理を、185℃で1分間、循環空気を使用して行なった。この後、ファブリックを、表2に従う第2の水溶液で(Mathis(model HVF12085)からのパッドマングル上で、)処理した。ローラの絞り圧は4バールであった。これによるウェットピックアップは、22%(WF2.1)又は11%(WF2.2〜WF2.4)であった。供給速度は、10m/minであった。次に、処理したポリエステルファブリックをテンター上で、120℃で1分間、乾燥させた。次の熱処理を、185℃で1分間、循環空気を使用して行なった。これにより、本発明に従い処理されたポリエステルファブリックPES.2〜PES.4及び比較ポリエステルファブリックV−PES.1を得た。
【0122】
使用特性(performance property)を、表3に示す。
【0123】
【表3】

【0124】
動力学的なロールオフ角度(巻出角度):
本発明に従い処理した、試験対象のテキスタイルサンプルを手作業で張り、そして平坦な木製板に釘で固定した。この木製板の傾斜は、1°〜90°の範囲で連続的に調節可能であった。そして、排管(カニューレ)を使用し、10mmの高さから、テキスタイルサンプル上に、水滴を個々に落下させた。液滴は、4.7mgの質量であった。傾斜の角度を徐々に低下させ、これにより、液滴が玉状になって流れ、付着の状態が観察されない状態が開始する傾斜角度まで低下させた。結果を表2に示す。
【0125】
玉状効果、(水の)吸収及び浸透(水の浸透性)は、それぞれ水に基くものであった。水の吸収を、Bundesmann,DIN53888に従って試験した。
【0126】
新鮮なウッドランド蜂蜜をピペットで取り、5cmの高さから、本発明のテキスタイル(該テキスタイルは、20°の角度で固定されている)に落下させた。蜂蜜の挙動を表に示した。但し、
++は、水が、残留物を残すことなく、丸い液滴で流れ去ることを示す。
+は、水が、流去る時に、小さな涙状になることを示す。
0は、水が、流去る時に、目に見える(はっきりとした)小さな涙状になることを示す。
−は、水が、湿潤効果を有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆されたテキスタイルを製造する方法であって、
テキスタイル基材を、
(A)少なくとも1種の疎水性のポリマー、
(B)少なくとも1種のアミノ含有化合物、及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の、任意の縮合生成物、
を含む水溶液で処理する工程、及び該工程の後に行われる、
(A)少なくとも1種のポリマー、
(B)少なくとも1種のアミノ含有化合物、及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の少なくとも1種の固体、
を含む更なる水溶液で処理する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記縮合生成物(B)が、ウレア及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び任意に少なくとも1種のアルコール含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疎水性ポリマー(A)が、フッ素化された(コ)ポリマーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
水溶液での処理の次に熱処理が行われることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記縮合生成物(B)が、一般式I
【化1】


(但し、変数が以下のように定義される、
1が、各場合において、同一又は異なり,、及び水素、C1−C6−アルカリ、
(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3及び(CH2CH2O)m3から選択され、そして、mは、1〜50の整数であり、
2が、各場合において、同一又は異なり、及び水素、C1−C6−アルカリ、
(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3及び(CH2CH2O)m3から選択され、そして、mは、1〜50の整数であり、
3が、水素及びC1−C20−アルキルから選択される)
の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記更なる水溶液が、少なくとも1種の界面活性化合物(D)を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1の水溶液又は更なる水溶液が、湿潤剤、消泡剤(発泡防止剤)、通気剤、架橋剤(硬化剤)、フロー助剤、及び増粘剤、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及び部分的に鹸化したポリビニルアセテートから選択される少なくとも1種の添加剤(E)を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の方法で処理されたテキスタイル。
【請求項9】
請求項8に記載のテキスタイルを、オーニング、フード又は防水シートとして、又はこれらのために使用する方法。
【請求項10】
請求項8に記載のテキスタイルを使用して製造されたオーニング、フード又は防水シート。
【請求項11】
(A)少なくとも1種の疎水性ポリマー、
(B)少なくとも1種のアミノ含有化合物、及び少なくと1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び、任意に少なくとも1種のアルコールの少なくとも1種の縮合生成物、
(E)湿潤剤、消泡剤(発泡防止剤)、通気剤、架橋剤(硬化剤)、フロー助剤、及び増粘剤、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及び部分的に鹸化したポリビニルアセテートから選択される少なくとも1種の添加剤、
を含み、且つ
(C)平均粒子径が1〜500nmの範囲の、粒子状の少なくとも1種の固体、
を有しないことを特徴とする水溶液。
【請求項12】
前記縮合生成物(B)が、ウレア及び少なくとも1種のアルデヒド又はジアルデヒド及び任意に少なくとも1種のアルコール含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記疎水性ポリマー(A)が、フッ素化された(コ)ポリマーを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の水溶液。
【請求項14】
前記縮合生成物(B)が、一般式I
【化2】


(但し、変数が以下のように定義される、
1が、各場合において、同一又は異なり及び水素、C1−C6−アルカリ、
(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3及び(CH2CH2O)m3から選択され、そして、mは、1〜50の整数であり、
2が、各場合において、同一又は異なり、及び水素、C1−C6−アルカリ、
(CHCH3−CH2−O)m−R3、(CH2−CHCH3−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−O)m−R3、(CH2−CH2−CH2−CH2−O)m−R3及び(CH2CH2O)m3から選択され、そして、mは、1〜50の整数であり、
3が、水素及びC1−C20−アルキルから選択される)
の化合物を含むことを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載の水溶液。

【公表番号】特表2010−523828(P2010−523828A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500193(P2010−500193)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053089
【国際公開番号】WO2008/119646
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】