説明

テキスタイルプリント装置及びテキスタイルプリント方法

【課題】プリント品質向上、多彩なデザインの表現性を付与するための機能性インクを、プリント品質劣化や故障発生、図柄の再現性などの不具合なく実現することができるテキスタイルプリント装置及びそれを用いたテキスタイルプリント方法を提供する。
【解決手段】ベルト表面に接着手段を有し、布帛を貼り付けて搬送する粘着性ベルトと、該粘着性ベルトを駆動するローラと、機能性インクを付与するインクジェットヘッドと、該布帛に該機能性インクを付与した後に該布帛を乾燥する乾燥手段と、該布帛にカラーインクを付与するインクジェットヘッドとを備えたことを特徴とするテキスタイルプリント装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイルプリント装置及びテキスタイルプリント方法に関し、詳しくは、カラーインクでのプリントに先立ち、プリント品質向上と多彩なデザイン表現性を付与するための機能性インクを付与するインクジェットヘッドを備えたテキスタイルプリント装置及びそれを用いたテキスタイルプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリント技術は、デジタル画像データをもとに種々の基材上に直接プリントできるオンデマンドプリント技術として多方面で活用されている。また、インクジェット捺染分野においても、布帛上にインクジェット方式でプリントするプリント装置も、多数実用化されている。しかしながら、布帛に直接インクジェットプリント装置でプリントした場合、インクのにじみを十分に抑えることが出来ない、あるいは高い画像濃度が十分に得られないなど、品質面での改善すべき点は多々ある。
【0003】
従来は、最終的なプリント品質を改善するために、布帛に特別な処理(前処理工程という)を施したのちインクジェットプリントする場合が多いが、この前処理を用いた方法では、工程数が増加し、インクジェットプリント方式の利点であるデジタルプリントの短納期、小ロット生産適性などの特性を十分発揮したものとはいえない。また、布帛の前処理によるコスト増も大きな問題である。
【0004】
さらに、デジタルプリントの利点を生かして多彩なデザインの表現性を付与するため、種々の複合的な加工をすることの要望があるが、従来のインクジェット捺染に用いられていたプリント装置では満足いくものは得られていないのが現状である。
【0005】
インクジェットプリント方式のオンデマンドプリント特性を活かしつつ、プリント品質向上や、多彩なデザイン表現性を付与するために、カラーインクとは別の機能性液体を用意し、カラーインク付与と連続した工程で機能性液体を付与する方法が知られている。
【0006】
一方、にじみ抑制を目的として、機能性液体をインクジェットヘッドを用いて付与することで、前処理をなくす試みがされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
特許文献1に記載の方法では、にじみ防止剤を含む第1のインクで画像縁取りをする方法が開示されている。にじみ抑制剤としては、疎水性物質で水をはじく性質を有する化合物の添加が開示されているが、この方法は白地と画像部の境界のにじみ防止や、異なる特定の色相の境界のにじみ防止を目的とした発明である。この発明では、より表現力を増した階調表現をもつプリント画像でのにじみ抑制には対応できない。また、細線やディテール画像表現には向いているとは言い難い方法である。すなわち、第1のインクのプリント域とカラーインクのプリント画像を正確に合わせなければならないが、布帛を用いた場合には、布帛自身が伸縮しやすく、位置合わせも非常に困難となる。更に、第1のインク自体も布帛に対してにじむため、非常に細かい細線は原理的に描くことが困難である。
【0008】
本発明者らは、上記各方法を踏まえ、機能性液体の付与をカラーインク付与と連続的に行う方法について種々検討を進めた結果、複数の課題が存在することが判明した。
【0009】
第1の課題は、機能性液体及びカラーインクを付与すると、布帛上に付与する総液体量が多くなってしまう、これによりにじみが劣化したり、発色濃度が低下するなどの品質が劣化したり、布帛の搬送装置が汚れ、次のプリントを汚染してしまう故障などが発生することである。
【0010】
上記第1の課題を改善する方法として、機能性液体を付与後、プリンタ内に乾燥装置を設け乾燥することが考えられる。本発明者らは乾燥工程を付加した検討も行った。しかしながら、ここでは第2の課題が存在することが判明した。布帛に液体を付与し、濡らした後、乾燥すると、その過程で布帛が伸縮し、プリント図柄の再現性が劣化してしまう。特に、機能性液体の付与量が多いほど伸縮度合いは大きく、その結果、プリント図柄の再現性が著しく劣化してしまうことが判明した。
【特許文献1】特開平9−296380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、プリント品質向上、多彩なデザインの表現性を付与するための機能性インクを、プリント品質劣化や故障発生、図柄の再現性などの不具合なく実現することができるテキスタイルプリント装置及びそれを用いたテキスタイルプリント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0013】
1.ベルト表面に接着手段を有し、布帛を貼り付けて搬送する粘着性ベルトと、該粘着性ベルトを駆動するローラと、機能性インクを付与するインクジェットヘッドと、該布帛に該機能性インクを付与した後に該布帛を乾燥する乾燥手段と、該布帛にカラーインクを付与するインクジェットヘッドとを備えたことを特徴とするテキスタイルプリント装置。
【0014】
2.前記接着手段が、地貼り剤を有する手段であることを特徴とする前記1に記載のテキスタイルプリント装置。
【0015】
3.前記地貼り剤が、感熱型地貼り剤であることを特徴とする前記2に記載のテキスタイルプリント装置。
【0016】
4.前記乾燥手段は、温度制御可能な風または温風を、前記機能性インクが吐出された布帛に吹き付ける手段であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【0017】
5.前記機能性インクを付与するインクジェットヘッドは、防風手段を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【0018】
6.前記乾燥手段は、前記機能性インクが付与された布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面に接触する温度制御可能なホットプレートであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【0019】
7.前記乾燥手段は、可視光或いは遠赤外光を、前記機能性インクが吐出された布帛に照射する手段であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【0020】
8.前記乾燥手段は、前記機能性インクが付与された布帛を保持搬送する粘着性ベルトの裏面から加熱する温度制御が可能なヒートローラであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【0021】
9.前記乾燥手段は、前記機能性インクが吐出された布帛にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【0022】
10.前記1〜9のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置を用いて、布帛に機能性インクを付与し、次いで、カラーインクで記録するテキスタイルプリント方法であって、該機能性インクは、水溶性高分子、pH調整剤及びヒドロトロピー剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするテキスタイルプリント方法。
【0023】
11.前記水溶性高分子は、水酸基価が50mgKOH/g未満で、重量平均分子量が1000以上、100000以下であり、かつ25℃の水あるいはアルカリ水溶液に対して10質量%以上の溶解度を有することを特徴とする前記10のテキスタイルプリント方法。
【0024】
12.前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記10または11に記載のテキスタイルプリント方法。
【0025】
13.前記pH調整剤が、無機塩基化合物であることを特徴とする前記10〜12のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【0026】
14.前記無機塩基化合物が、カリウム塩を含有することを特徴とする前記13のテキスタイルプリント方法。
【0027】
15.前記pH調整剤が、有機酸または強酸のアンモニウム塩であることを特徴とする前記10〜12のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【0028】
16.前記ヒドロトロピー剤が、尿素誘導体、アミド化合物及びスルホンアミド化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記10〜15のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【0029】
17.前記機能性インクが、低表面張力溶剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記10〜16のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【0030】
18.前記カラーインクが、水溶性高分子を含有することを特徴とする前記10〜17のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【0031】
19.前記水溶性高分子が、酸価が100mgKOH/g以上、300mgKOH/g以下であり、かつ重量平均分子量が3000以上、30000以下であることを特徴とする前記18に記載のテキスタイルプリント方法。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、プリント品質向上、多彩なデザインの表現性を付与するための機能性インクを、プリント品質劣化や故障発生、図柄の再現性などの不具合なく実現することができるテキスタイルプリント装置及びそれを用いたテキスタイルプリント方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0034】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ベルト表面に粘着手段を有し、布帛を貼り付けて搬送する粘着性ベルトと、該粘着性ベルトを駆動するローラと、機能性インクを付与するインクジェットヘッドと、該布帛に該機能性インクを付与した後に該布帛を乾燥する乾燥手段と、該布帛にカラーインクを付与するインクジェットヘッドとを備えたことを特徴とするテキスタイルプリント装置により、プリント品質向上、多彩なデザインの表現性を付与するための機能性インクを、プリント品質劣化や故障発生、図柄の再現性などの不具合なく実現することができるテキスタイルプリント装置を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
【0035】
すなわち、機能性インク、カラーインクを連続して付与すると、付与する液体総量が、布帛のインク受容量に近い容量あるいは超えてしまい、その結果、にじみの発生や装置汚染が生じる。このため、機能性インクとしては、インクジェットヘッドから必要最小量を付与し、さらに、機能性インクはカラーインクが付与される前に、一部あるいは全部を乾燥する必要がある。このとき、布帛は機能性インクで一旦濡れて、その後乾燥されるので、収縮してしまい、カラープリントでの画像がゆがんでしまうという課題を有している。本発明では、この課題に対し、布帛が濡れた後の乾燥による収縮を防止するめ、連続した粘着性ベルトを用いて、布帛を強く貼り付けられて搬送することにより、上記各課題を解決することができたものである。
【0036】
以下、本発明のテキスタイルプリント装置及びそれを用いたテキスタイルプリント方法の詳細について説明する。
【0037】
《テキスタイルプリント装置》
〔粘着性ベルト〕
本発明のテキスタイルプリント装置においては、ベルト表面に粘着手段を有し、布帛を貼り付けて搬送する粘着性ベルトを用いることを特徴の一つとする。
【0038】
本発明に係る地貼り剤を有し布帛を貼り付けて搬送する粘着性ベルトは、連続した無端ベルトを駆動ローラにて駆動、搬送させて、粘着手段で保持した布帛を搬送する。本発明においては、粘着性ベルトが、粘着手段としてベルト表面に地貼り剤を付与した手段で、布帛と接する側の全面に地貼り剤を有し、粘着性を有することが好ましい。
【0039】
本発明のテキスタイルプリント装置においては、布帛は、ニップローラ等を介して粘着性ベルトに貼り付けられた後、機能性インクを付与するインクジェットヘッド下部に搬送される。ここで、機能性インクが付与され、その下流部に位置する機能性インクを乾燥する乾燥工程を経て、カラーインクを付与するインクジェットヘッド下部に搬送されて、カラーインクが付与され、画像が形成される。この間の連続的工程において、布帛を1つの粘着ベルト上に貼り付けたまま搬送することで、布帛の収縮を実質的に抑えることができる。カラーインクで画像記録を行った後、布帛は粘着性ベルトから剥がされ、必要に応じて乾燥工程を経た後、巻き取りローラなどに巻き取られる。
【0040】
本発明に係る粘着手段として好適に用いられる地貼り剤としては、加熱によって粘着性が発揮される感熱型の地貼り剤と加圧することで粘着性が発揮される感圧型の地貼り剤などを用いることができる。市販されているものとしては、例えば、株式会社 横浜ポリマー研究所製の捺染用地貼り剤HAシリーズ(感熱型地貼り剤)、同SIシリーズ(感圧型地貼り剤)等がある。また、特開2006−176267号、特開2006−199498号、特開2006−264805号、特開2006−264806号等の各公報に記載の地貼り剤を用いることが出来る。
【0041】
地貼り剤の粘着性ベルトへの付与方法としては、例えば、無端ベルト基材上に、塗布、または貼り付けにより付与することができる。
【0042】
(感熱型地貼り剤)
本発明において、地貼り剤として感熱型地貼り剤を用いることが好ましい。テキスタイルプリント装置内の乾燥機による熱で、地貼り剤と布帛の密着性が向上し、布帛はがれ故障が起こりにくくなり、貼り付け位置が固定されるので、プリント画像の再現性が高まる。特に、インクなどの液体が布帛に付与されると、布帛と地貼り剤との密着性は低下することが判明した、さらに、本発明で規定する構成のように、機能性インクを付与することで、付与する総液体量が増大する場合、地貼り剤と布帛がより剥がれやすくなり、このため、プリンタ装置内の乾燥機による熱で感熱型地貼り剤と布帛の密着性を向上させることは特に好ましい態様の1つである。
【0043】
さらに、感熱性地貼り剤をベルト上に塗布する際に熱エネルギーを付与する必要があるが、本発明に係る乾燥手段を、この塗布時の加熱に使用することが可能である。
【0044】
地貼り剤を有し、布帛を貼り付けて搬送する本発明に係る粘着性ベルトには、布帛の厚さや、付与するインク量により、機能性インクあるいはカラーインクによる汚れが発生する場合がある。このような場合に備え、カラーインクでプリントした後、布帛が剥がされた以降、再度布帛を貼り付けるまでの間に、ベルト洗浄機構を設けることは好ましい。機能性インクあるいはカラーインクに高分子化合物を添加した場合、該ベルト洗浄機構で、該高分子の溶解性のある洗浄液を用意し、洗浄することは好ましい。
【0045】
〔機能性インクを付与するインクジェットヘッド〕
本発明のテキスタイルプリント装置においては、機能性インクをインクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう)より付与することを特徴の一つとする。
【0046】
機能性インクをヘッドで付与することで、必要な部位に必要な量を均一にムラなく付与することが出来る。このことは機能性インクを乾燥する際の乾燥負荷を大きく低減することができる。
【0047】
機能性インクを付与するヘッドは、後述するカラーインクを付与するヘッドを搭載したキャリッジと別キャリッジに搭載することが好ましい。別キャリッジに機能性インクを付与するヘッドを搭載することで、機能性インクを付与した後、カラーインクを付与するまでの間に乾燥装置を設けて効果的に乾燥することができる観点から好ましい。
【0048】
機能性インクの吐出に用いるヘッドとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、コンチニュアス方式などさまざまな方法から選択することができる。ピエゾ方式、コンティニュアス方式は高分子材料を含むインクなどでも安定に射出する可能性が高く好ましい、特にピエゾ方式は小型で集積度が高く好ましい。
【0049】
機能性インクの吐出に用いるヘッドは、単数であっても複数用意してもよい。特に、複数用意することは好ましい。1種の機能性インクを複数ヘッドから付与すると、単位時間当たりの付与量を増やすことが出来る。また、機能性インクを複数種用意し、使い分けるなどの方法も適用することができる。布帛生地の種類、厚さや、画像ごとのカラーインク付与量が違う場合には、複数種の機能性インクを複数のヘッドに装着し、使い分ける方法は、より最適な機能化処理ができる観点から好ましい。
【0050】
機能性インクの吐出に用いるヘッドより吐出する機能性インクのインク滴滴量としては、任意に設定することができるが、好ましくは1plから100plの範囲から選択できる。
【0051】
〔乾燥手段〕
本発明のテキスタイルプリント装置においては、粘着性ベルトに固定搬送されている布帛上に機能性インクの付与した後、布帛を乾燥する乾燥手段を有することを特徴とする。
【0052】
本発明において、乾燥工程においては、付与された機能性インクの機能を最大限に発現する程度まで乾燥することが好ましい。多くの場合、機能性インクの付与により、後続のカラーインクでの記録と合わせて、総インク量が増えて、それによりにじみが発生しやすくなるため、可能な限り、布帛に付与された機能性インクの水分及び有機溶剤を乾燥することが必要である。ただし、乾燥条件としては、布帛が加熱しすぎで変質、変色しない程度にとどめる必要がある。また、過度の加熱は、粘着ベルトの特性劣化、寿命の短縮化を引き起こす恐れがあるため好ましくない。このため、布帛の温度を計測し、布帛温度に応じて加熱強度、加熱時間を制御することが好ましい。例えば、乾燥工程部の布帛表面温度を非接触または接触法により計測することができる。本発明においては、布帛表面温度を30℃から80℃の範囲で、布帛や機能性インクの組成ごとに適した温度設定をすることが好ましい。
【0053】
上記乾燥工程においては、乾燥により機能性インクが保持していた水分や有機溶剤がプリンタ内部に充満すると、乾燥速度が低下するだけでなく、プリンタ内部のセンサーなどの電気系統が腐食などを起こす可能性があるので、これらの揮発成分はプリンタ外部に排出することが好ましい。例えば、排気塔を設け、ファンなどを利用し強制的に排出することが好ましい。
【0054】
以下に、本発明のテキスタイルプリント装置において適用可能な乾燥手段の具体的な方法について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する乾燥手段にのみ限定されるものではない。
【0055】
(温度制御可能な風または温風による乾燥手段)
本発明のテキスタイルプリント装置においては、乾燥手段が温度制御可能な風または温風を、機能性インクが吐出された布帛に吹き付ける手段であることが、好ましい態様の1つである。
【0056】
この様な方法により乾燥を行う際には、布帛に吹き付けた温度制御可能な風または温風が、隣接して配置されているカラーインク吐出用のヘッドやそのヘッドから出射されたカラーインク液滴に影響を与え、カラーインクの吐出安定性や飛翔するカラーインク液滴精度を損なう恐れがあるため、最適の送風条件に制御することが重要である。
【0057】
温風付与手段としては、主には温度を付与する電熱線等の発熱体と、温風を布帛に供給するための送風ファンとで構成されている。
【0058】
〈防風手段〉
上記のような温風付与手段を用いる場合には、布帛に吹き付けた温度制御可能な風または温風が、隣接して配置されているカラーインク吐出用のヘッドやそのヘッドから出射されたカラーインク液滴への影響を防止する観点から、機能性インクを付与するインクジェットヘッドに、防風手段を設けることが好ましい。
【0059】
(ホットプレートを用いた乾燥手段)
本発明のテキスタイルプリント装置においては、乾燥手段が、機能性インクが付与された布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面に接触して配置された温度制御可能なホットプレートであることが、好ましい態様の1つである。この乾燥手段においても、布帛表面温度を測定して、ホットプレートの加熱温度を最適条件に制御することが重要である。
【0060】
(可視光或いは遠赤外光を用いた乾燥手段)
本発明のテキスタイルプリント装置においては、乾燥手段が、可視光或いは遠赤外光を、機能性インクが吐出された布帛に照射する手段であることが、好ましい態様の1つである。
【0061】
可視光或いは遠赤外光の照射に際しては、エネルギー効率を高めるため、布帛に面する反対側に反射板を設け、照射光をなるべく布帛表面に向ける工夫をすることは好ましい。
【0062】
可視光或いは遠赤外光の照射光源としては、例えば、遠赤外線ヒータとしては、ハイベック社製のHYG−CG(加熱長1700mm、定格出力4.25kW)などを用いることができる。
【0063】
(ヒートローラを用いた乾燥手段)
本発明のテキスタイルプリント装置においては、乾燥手段が、機能性インクが付与された布帛を保持搬送する粘着性ベルトの裏面から加熱する温度制御が可能なヒートローラであることが、好ましい態様の1つである。この乾燥手段においても、布帛表面温度を測定して、ヒートローラの加熱温度を最適条件に制御することが重要である。
【0064】
ヒートローラとは、中心部に外周部を過熱するための温度コントロール可能な熱源(例えば金属抵抗発熱体、ハロゲンランプなど)を装着した熱伝導性のよい金属(例えばアルミニウム,ステンレス,鉄,銅等)又はプラスチック素材(例えばベークライト等)を用いたローラで構成され、その最外周部がテフロン(登録商標)又はシリコンゴムなどによって被覆され外周が適度に加熱されている搬送ローラである。
【0065】
(マイクロ波を照射する手段を用いた乾燥手段)
本発明のテキスタイルプリント装置においては、乾燥手段が、機能性インクが吐出された布帛にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部であることが好ましい。
【0066】
マイクロ波は、周波数1GHz〜3THz、波長0.1〜300mm位のUHF〜EHF帯の総称で、2.45GHzの周波数のマイクロ波発生装置が一般的であるが、1〜100GHzの周波数のマイクロ波を用いることができる。
【0067】
例えば、2.45GHzマイクロ波照射機(四国計測工業(株)製 μ−reactor)、2.45GHzのマイクロ波を照射するマイクロ波発生装置(マグネトロン)等を挙げることができる。
【0068】
〔カラーインクの付与に用いるインクジェットヘッド〕
カラーインクの付与に用いるインクジェットヘッドとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式などさまざまな方法から選択することができる。ピエゾ方式、コンティニュアス方式は高分子材料を含むインクなどでも安定に射出する可能性が高く好ましい、特にピエゾ方式は小型で集積度が高く好ましい。
【0069】
〔テキスタイルプリント装置の構成〕
以下に、図を用いて上記説明した構成を備えたテキスタイルプリント装置について説明するが、本発明は、これら例示する図面に示す構成にのみ限定されるものではない。
【0070】
図1は、本発明のテキスタイルプリント装置の構成の一例を示す概略図である。
【0071】
図1は、本発明のテキスタイルプリント装置の粘着ベルトと、粘着性ベルトを駆動するローラと、機能性インクを付与するインクジェットヘッドと、布帛に機能性インクを付与した後に布帛を乾燥する乾燥手段と、布帛にカラーインクを付与するインクジェットヘッドの構成のみを示したものであり、本発明のテキスタイルプリント装置においては、その他に、機能性インク及びカラーインクを付与する制御手段等を備えている。
【0072】
図1において、1は、サポートロール2、搬送ロール3に保持され、無端基材ベルト上に粘着手段、特に好ましくは地貼り剤を有する粘着性ベルトである。
【0073】
右方向より搬送された布帛Pは、ニップロール4と粘着性ベルト1とで狭持され、粘着性ベルト1に固定される。次いで、機能性インクをヘッド5より布帛上に付与した後、温度制御可能な風または温風を吹き付ける手段で、内部にファン6A及び発熱体6Bを備えた温風付与手段6により付与した機能性インクを十分に乾燥した後、カラーインクをヘッド7より布帛上に付与して画像形成を行う。
【0074】
図2は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の構成を示す概略図である。
【0075】
図2に示すテキスタイルプリント装置は、上記図1に示したテキスタイルプリント装置に対し、機能性インク吐出用のヘッド5の上流側と、カラーインクを吐出するヘッド7の下流側に、それぞれ温風付与手段6を追加した構成である。機能性インク吐出用のヘッド5の上流側に設置した温風付与手段6により、布帛P及び粘着性ベルト1を加熱することにより、粘着性ベルト1が有する粘着手段に、布帛Pを強固に固定することができる。カラーインクを吐出するヘッド7の下流側に設けた温風付与手段6により、布帛に付与されたカラーインクを速やかに乾燥させることができる。
【0076】
図3は、防風手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の構成の一例を示す概略図である。
【0077】
図3に示すテキスタイルプリント装置は、上記図2に示したテキスタイルプリント装置に対し、機能性インク吐出用のヘッド5とカラーインクを吐出するヘッド7のそれぞれの両端部に、防風手段としての排気ファン8を設けた構成である。この排気ファン8を設けることにより、温風付与手段6より送風される温度制御可能な風または温風による各ヘッド5の吐出面の乾燥や吐出するインク液滴の飛翔精度への影響を防止することができる。
【0078】
図4は、防風手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の構成の他の一例を示す概略図である。
【0079】
図4に示すテキスタイルプリント装置は、上記図2に示したテキスタイルプリント装置に対し、機能性インク吐出用のヘッド5とカラーインクを吐出するヘッド7のそれぞれの両端部に、防風手段として防風壁9を設けた例を示してある。
【0080】
図5は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【0081】
図5に示すテキスタイルプリント装置は、上記図1に示したテキスタイルプリント装置に対し、更に乾燥手段として、機能性インクを付与するヘッド5の位置で、布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面、及びカラーインクを付与するヘッド7の位置で、布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面に、それぞれベルトに接触する様にホットプレート10を配置した例を示してある。
【0082】
図6は、防風手段と乾燥手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の他の例を示す概略図である。
【0083】
図6に示すテキスタイルプリント装置は、上記図5に示したテキスタイルプリント装置に対し、更に図3で説明した排気ファン8を、防風手段として機能性インク吐出用のヘッド5とカラーインクを吐出するヘッド7の温風付与手段6と対向する面側にそれぞれ設置した例である。
【0084】
図7は、防風手段と乾燥手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の他の例を示す概略図である。
【0085】
図7に示すテキスタイルプリント装置は、上記図5に示したテキスタイルプリント装置に対し、更に図4で説明した防風壁9を、防風手段として機能性インク吐出用のヘッド5とカラーインクを吐出するヘッド7の温風付与手段6の両端部に、それぞれ設置した例である。
【0086】
図8は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【0087】
図8に示すテキスタイルプリント装置は、上記図2に示したテキスタイルプリント装置に対し、乾燥手段として、温度制御可能な風または温風を吹き付ける乾燥手段6に代えて、可視光或いは遠赤外光を用いた乾燥手段11を用いた例を示している。
【0088】
乾燥手段11は、可視光或いは遠赤外光の照射光源11B(例えば、ハロゲンランプ、遠赤外線ヒータ等)と、輻射されたエネルギーを有効に布帛Pに付与するための反射板11Aにより構成されている。
【0089】
図9は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【0090】
図9に示すテキスタイルプリント装置は、乾燥手段としてホットプレート10と可視光或いは遠赤外光の照射装置11の両者を適用した例を示している。
【0091】
図10は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【0092】
図10に示す構成は、乾燥手段として、1)機能性インクを付与するヘッド5の位置で、布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面、2)ヘッド5の下流側で布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面、及び3)カラーインクを付与するヘッド7の位置で、布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面の3箇所に、それぞれベルトに接触する様にホットプレート10を配置した例を示してある。
【0093】
図11は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【0094】
図11に示すテキスタイルプリント装置は、上記図10に示したテキスタイルプリント装置に対し、乾燥手段として、ホットプレート10に代えて、内部に発熱体を備えたヒートローラ12を配置した例を示してある。
【0095】
図12は、本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【0096】
図12に示すテキスタイルプリント装置は、上記図10に示したテキスタイルプリント装置に対し、乾燥手段として、機能性インクを付与するヘッド5の上流側に可視光或いは遠赤外光の照射装置11を、機能性インクを付与するヘッド5及びカラーインクを付与するヘッド7のそれぞれの下流側に、乾燥手段としてマイクロ波照射部13設けた例を示してある。
【0097】
《機能性インク》
次いで、本発明に係る機能性インクの構成について説明する。
【0098】
本発明のテキスタイルプリント方法においては、プリント品質向上や、多彩なデザイン表現性を付与するために、機能性インクを用いることが特徴である。
【0099】
本発明に係る機能性インクは、水溶性高分子、pH調整剤及びヒドロトロピー剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする。
【0100】
〔水溶性高分子〕
本発明に係る機能性インクは、カラーインク記録によるにじみを抑制する観点から、水溶性高分子を含有することが好ましい。
【0101】
本発明に係る機能性インクに適用する水溶性高分子としては、水酸基価が50mgKOH/g未満で、重量平均分子量が1000以上、100000以下であり、かつ25℃の水あるいはアルカリ水溶液に対して10質量%以上の溶解度を有することが好ましい。
【0102】
本発明に係る水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0103】
ポリビニルピロリドンは、分子量と相関する粘性特性値で分類されており、K(コリドン)15、K30、K60(以上、東京化成工業社製)などが好ましく用いることができ、特に、K15、K30がインクジェット射出安定性が高く、かつ、にじみ抑制に効果があり好ましい。機能性インクへの添加量としては、固形分として2〜20質量%添加することが好ましい。
【0104】
ポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量が600以上のものを好ましく用いることが出来る。さらに1000以上、4000以下のものが特ににじみ抑制に効果があり好ましい。機能性インクへの添加量としては、2質量%〜20質量%添加することが好ましい。
【0105】
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物としては、ポリプロピレングリコールの末端にポリエチレンオキサイドを付加させた構造のもの、ポリエチレングリコールの末端にポリプロピレンオキサイドを付加させた構造のもの、エチレンオキサイド−プロピレノキサイドのランダム共重合体などが挙げられる。
【0106】
ポリプロピレングリコールの末端にポリエチレンオキサイドを付加させた構造のものとしては、ADEKA株式会社のアデカプルロニックL、P、Fシリーズに種々のエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド配合比率品や種々の分子量のものが市販されており、それらから選択することが出来る。特に、ポリプロピレングリコール部の分子量が2000以下で水溶性のものを好ましく用いることが出来る。具体的には、L−62、L−64、F−68、F−88,F−108、L−44、L−34、L−23などを挙げることができる。
【0107】
ポリエチレングリコールの末端にポリプロピレンオキサイドを付加させた構造のものとしては、同じくADEKA株式会社のリバースタイプ、17R−2、17R−3、17R−4などから選択して用いることが出来る。
【0108】
エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物の機能性インクへの添加量としては、2質量%〜20質量%添加することが好ましい。
【0109】
ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物としては、坂本薬品工業株式会社のSC−Eシリーズから選択して用いることができる。SC−E450、SC−E750、SC−E1000、SC−E1500などを好ましく用いることが出来る。機能性インクへの添加量としては、2質量%〜20質量%添加することが好ましい。
【0110】
ジグリセリンのポリプロピレン付加物としては、坂本薬品工業株式会社のSC−Pシリーズから選択して用いることができ、SC−P400、SC−P750、SC−P1000などを好ましく用いることが出来る。機能性インクへの添加量としては、2質量%〜20質量%添加することが好ましい。
【0111】
水溶性高分子の機能性インクへの添加量として上記に挙げた好ましい範囲については、その下限未満では十分なにじみ抑制効果が発現できず、上限より大きな添加量ではインクジェット射出が不安定になり好ましくない。
【0112】
水溶性高分子は単独で用いても複数種を併用してもよい。
【0113】
〔pH調整剤〕
本発明に係る機能性インクには、発色性向上のためのpH調整剤を添加することで、特に、カラーインクに酸性染料、あるいは反応性染料を用いた場合、プリント後の発色性向上に好ましい。
【0114】
カラーインクに反応性染料を用いる場合は、塩基性のpH調整剤を用いることが好ましい。この場合、無機塩基化合物を用いてpH調整したものが好ましい。
【0115】
無機塩基化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどを用いることができる。
【0116】
無機塩基化合物の添加量としては、0.1モル当量/L以上、1モル当量/L以下添加することが好ましい。
【0117】
特に、種々の無機塩基化合物について、機能性インクからの乾燥による析出性を評価したところ、無機塩基化合物として、カリウム塩を含む化合物が、機能性インクから析出しにくく好ましいことが判明した。同様に、酢酸塩もインクから析出しにくく好ましい。実際に、機能性インクにこれらの塩基を含有する場合、ヘッドでの乾燥目詰まりが起こりにくく好ましい。
【0118】
カリウム塩及び酢酸塩は単独で用いてもよいし、他の無機塩と併用してもよい。
【0119】
カラーインクに酸性染料を用いる場合は、弱酸性のpH調整剤を用いることが好ましい。有機酸、強酸のアンモニウム塩をもちいることができ、特に硫酸アンモニウムを好ましく用いることができる。
【0120】
〔ヒドロトロピー剤〕
本発明においては、機能性インクに発色性向上のたにヒドロトロピー剤を添加することで、特にカラーインクに酸性染料、あるいは反応性染料を用いた場合プリント後の発色性向上に好ましい。ヒドロトロピー剤としては、水溶性のアミド類、スルホンアミド類、尿素、尿素誘導体等が挙げられる。特に尿素が好ましい。
【0121】
ヒドロトロピー剤は、機能性インク中、2質量%以上、40質量%未満の量が好ましい。
【0122】
未処理の布帛のプリント後の品質向上のために機能性インクを用いる場合、上記の水溶性高分子、pH調整剤、ヒドロトロピー剤を併用することは好ましく、特に、水溶性高分子、pH調整剤、ヒドロトロピー剤を3種併用することは特に好ましい。
【0123】
また、カラーインクの布帛への浸透性を上げ、裏面までしっかり染めるため、あるいは、起毛性布帛などでの、毛足の奥まで染める目的で、機能性インクに浸透促進剤を添加することは好ましい。この場合、布帛は未処理のものであっても、従来のインクジェットプリント用前処理を施した布であってもその効果が得られるので好ましい。
【0124】
機能性インクに、前述の水溶性高分子、pH調整剤、ヒドロトロピー剤から選ばれる成分を少なくとも1種添加する場においても、浸透促進剤を併用することは好ましい。
【0125】
浸透促進剤としては、低表面張力溶剤もしくは活性剤から選択することができる。
【0126】
〔低表面張力溶剤〕
本発明においては、下記に示す低表面張力溶剤を用いることは好ましい。なお、括弧内の数値は、溶剤の表面張力値(mN/m)を表す。
【0127】
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル(28.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(27.4)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(31.8)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(33.6)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(32.1)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(25.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30.0)等が挙げられる。
【0128】
また、1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール(28.1)、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
【0129】
〔界面活性剤〕
本発明に係る機能性インクにおいて、カラーインクの染料を布帛深部により浸透させたい場合には、各種の界面活性剤を用いることができる。
【0130】
本発明で用いることのできる界面活性剤として、特に制限はないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0131】
カラーインクの染料を布帛深部によりいっそう浸透させるために、機能性インクの表面張力を20mN/m以上、35mN/m以下に制御することが好ましく、特に、シリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤を添加して表面張力を制御することが好ましい。
【0132】
(シリコーン系活性剤もしくはフッ素系活性剤)
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
【0133】
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
【0134】
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0135】
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
【0136】
《カラーインク》
本発明に適用可能なカラーインクは、色剤のほか水溶性有機溶剤、各種添加剤を含有することができる。
【0137】
〔色剤〕
カラーインクが含有する色剤としては、反応性染料、酸性染料、分散染料、顔料などを用いることができる。
【0138】
各色材の含有量としては、特に制限はないが、例えば、反応性染料の含有量としては、3質量%以上、20質量%未満であることが好ましく、更には、5質量%以上、15質量%未満であることが好ましい。特に、同一色の水性インクで最も染料濃度の高い水性インク中の反応性染料の含有量は、10質量%以上、15質量%未満であることが好ましい。
【0139】
以下、本発明に係るカラーインクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
【0140】
本発明で用いることのできる反応性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
【0141】
具体的には、
C.I.Reactive Yellow2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176、
C.I.Reactive Orange1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107、
C.I.Reactive Red2、3、3:1、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235、
C.I.Reactive Violet1、2、4、5、6、22、23、33、36、38、
C.I.Reactive Blue2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236、
C.I.Reactive Green8、12、15、19、21、
C.I.Reactive Brown2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46、
C.I.Reactive Black5、8、13、14、31、34、39等が挙げられる。
【0142】
本発明に適用可能な酸性染料としては、
C.I.Acid Yellow1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、40:1、42、44、49、59、59:1、61、65、67、72、73、79、99、104、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219219:1、220、230、232、235、241、242、246、
C.I.Acid Orange3、7、8、10、19、22、24、51、51S、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168
C.I.Acid Red1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、97:1、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415、
C.I.Acid Vioret17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126、
C.I.Acid Blue 1、7、9、15、23、25、40、61:1、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、127:1、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、258、260、264、277:1、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、
C.I.Acid Green 9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109、
C.I.Acid Brown 2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413
C.I.Acid Black 1、2、3、24、24:1、26、31、50、52、52:1、58、60、63、63S、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222、
本発明に適用可能な分散染料としては、
C.I.Disperse Yellow3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232
C.I.Disperse Orange1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
C.I.Disperse Red1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
C.I.Disperse Violet 1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
C.I.Disperse Green9、
C.I.Disperse Brown1、2、4、9、13、19
C.I.Disperse Blue3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
C.I.Disperse Black1、3、10、24等が挙げられる。
【0143】
分散染料を用いたインクジェット捺染において、高温処理で発色させる場合は、機械や布地の白場に染料が昇華することで汚染の原因とならないために、昇華堅牢度のよい分散染料を選定することが好ましい。
【0144】
本発明に適用可能な顔料としては、
カーボンブラック、
C.I.Pigment Yellow1、3、12、13、14、16、17、43、55、74、81、83、109、110、120、138、
C.I.Pigment Orange13、16、34、43、
C.I.Pigment Red2、5、8、12、17、22、23、41、112、114、122、123、146、148、149、150、166、170、220、238、245、258、
C.I.Pigment Violet19、23、
C.I.Pigment Blue15、15:1、15:3、15:5、29、
C.I.Pigment Brown 22、
C.I.Pigment Black 1、7、
C.I.Pigment White 6、
〔水溶性溶剤〕
本発明に係るカラーインクに用いることのできる水溶性溶剤としては、以下に示す具体例の有機溶剤を含有することができる。
【0145】
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
【0146】
〔水溶性高分子〕
本発明に係るカラーインクは、水溶性高分子を含有することがにじみ抑制の観点から好ましい。水溶性高分子としては、酸価が100mgKOH/g以上、300mgKOH/g以下であり、かつ重量平均分子量が3000以上、30000以下であることが好ましい。
【0147】
カラーインクに適用可能な高分子化合物としては、上記機能性インクで説明した水溶性高分子の中で、酸価及び重量平均分子量として、上記で規定する要件を、満たすものを用いることができる。
【0148】
〔その他の添加剤〕
本発明に係るカラーインクにおいては、インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加することができる。防腐剤、防黴剤としては、例えば、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などが挙げられる。
【実施例】
【0149】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0150】
《粘着性ベルトの作製》
(粘着性ベルト1の作製)
ポリウレタン(厚さ200μm)からなる無端ベルトを搬送させながら、感圧性地貼り剤として、捺染用地貼り剤SI−S(横浜ポリマー研究所製)を、地貼り剤容器より刷毛に順次供給しながら、厚さ5mmとなるように塗設して、粘着性ベルト1を作製した。
【0151】
(粘着性ベルト2の作製)
ポリウレタン(厚さ200μm)からなる無端ベルトを搬送させながら、感熱性地貼り剤として、捺染用地貼り剤SH−30(横浜ポリマー研究所製)を、地貼り剤容器より刷毛に順次供給しながら、厚さ5mmとなるように塗設して、粘着性ベルト1を作製した。
【0152】
《布帛の準備》
下記の各布帛を準備した。
【0153】
布帛1:綿天竺
布帛2:綿ブロード
布帛3:絹サテン16匁
布帛4:ナイロン(ニット)
布帛5:ポリエステル(サテン)
《機能性インクの調製》
表1に記載の各添加剤を順次混合、溶解して、機能性インクFI−1〜FI−9を調製した。
【0154】
【表1】

【0155】
なお、表1に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0156】
〈水溶性高分子〉
K30:ポリビニルピロリドンK30(東京化成工業社製、重量平均分子量:約4万、水酸基価:0mgKOH/mg、酸価:0mgKOH/mg)
F88:アデカプルロニックF88(旭電化社製、重量平均分子量:約1万、水酸基価:50mgKOH/mg未満、酸価:0mgKOH/mg)
70J:ジョンクリル70J(東京化成工業社製水溶性樹脂、重量平均分子量:16500、水酸基価:0mgKOH/mg、酸価:240mgKOH/mg)
PVA210:ポリビニルアルコールPVA210(クラレ社製、重量平均分子量:約10万、水酸基価:500mgKOH/mg以上、酸価:0mgKOH/mg)
〈水溶性有機溶剤〉
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
〈低表面張力溶剤〉
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
〈界面活性剤〉
KF351A:信越化学社製、シリコーン系界面活性剤
《カラーインクセットの調製》
〔カラーインクセット1の調製:反応性染料〕
(イエローインクY1の調製)
C.I.リアクティブイエロー95 12質量%
エチレングリコール 10質量%
プロピレングリコール 25質量%
グリセリン 3質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、イエローインクY1を調製した。
【0157】
(マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクBk1、ライトマゼンタインクLM1、ライトシアンインクLC1の調製)
上記イエローインクY1の調製において、色材としてC.I.リアクティブイエロー95(12質量%)に代えて、それぞれC.I.リアクティブレッド24(13質量%)、C.I.リアクティブブルー72(12質量%)、C.I.リアクティブブラック39(14質量%)、C.I.リアクティブレッド24(3.5質量%)、C.I.リアクティブブルー72(3質量%)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM1、シアンインクC1、ブラックインクBk1、ライトマゼンタインクLM1、ライトシアンインクLC1を調製した。
【0158】
〔カラーインクセット2の調製:反応性染料〕
(イエローインクY2の調製)
C.I.リアクティブイエロー95 12質量%
エチレングリコール 10質量%
プロピレングリコール 25質量%
グリセリン 3質量%
ジョンクリル70J(東京化成工業社製水溶性樹脂) 3質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、イエローインクY2を調製した。
【0159】
(マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクBk2、ライトマゼンタインクLM2、ライトシアンインクLC2の調製)
上記イエローインクY2の調製において、色材としてC.I.リアクティブイエロー95(12質量%)に代えて、それぞれC.I.リアクティブレッド24(13質量%)、C.I.リアクティブブルー72(12質量%)、C.I.リアクティブブラック39(14質量%)、C.I.リアクティブレッド24(3.5質量%)、C.I.リアクティブブルー72(3質量%)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM2、シアンインクC2、ブラックインクBk2、ライトマゼンタインクLM2、ライトシアンインクLC2を調製した。
【0160】
〔カラーインクセット3の調製:酸性染料〕
(イエローインクY3の調製)
C.I.アシッドイエロー79 6質量%
エチレングリコール 15質量%
プロピレングリコール 10質量%
グリセリン 3質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、イエローインクY3を調製した。
【0161】
(マゼンタインクM3、シアンインクC3、ブラックインクBk3、ライトマゼンタインクLM3、ライトシアンインクLC3の調製)
上記イエローインクY3の調製において、色材としてC.I.アシッドイエロー79(6質量%)に代えて、それぞれC.I.アシッドレッド249(5質量%)、C.I.ダイレクトブルー199(5質量%)、C.I.アシッドブラック52(6質量%)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM3、シアンインクC3、ブラックインクBk3、を調製した。また、上記イエローインクY3の調製において、色材としてC.I.アシッドイエロー79(6質量%)に代えて、C.I.アシッドレッド249(1.8質量%)、C.I.アシッドブルー199(1.6質量%)を用い、更に、プロピレングリコールの添加量を15質量%に、グリセリンの添加量を4.5質量%にそれぞれ変更した以外は同様にして、ライトマゼンタインクLM3、ライトシアンインクLC3を調製した。
【0162】
〔カラーインクセット4の調製:酸性染料〕
(イエローインクY4の調製)
C.I.アシッドイエロー79 6質量%
エチレングリコール 15質量%
プロピレングリコール 10質量%
グリセリン 3質量%
ジョンクリル70J(東京化成工業社製水溶性樹脂) 3質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、イエローインクY4を調製した。
【0163】
(マゼンタインクM4、シアンインクC4、ブラックインクBk4、ライトマゼンタインクLM4、ライトシアンインクLC4の調製)
上記イエローインクY4の調製において、色材としてC.I.アシッドイエロー79(6質量%)に代えて、それぞれC.I.アシッドレッド249(5質量%)、C.I.ダイレクトブルー199(5質量%)、C.I.アシッドブラック52(6質量%)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM4、シアンインクC4、ブラックインクBk4、を調製した。また、上記イエローインクY4の調製において、色材としてC.I.アシッドイエロー79(6質量%)に代えて、C.I.アシッドレッド249(1.8質量%)、C.I.アシッドブルー199(1.6質量%)を用い、更に、プロピレングリコールの添加量を15質量%に、ジョンクリル70Jの添加量を4.5質量%に変更した以外は同様にして、ライトマゼンタインクLM4、ライトシアンインクLC4を調製した。
【0164】
〔カラーインクセット5の調製:分散染料〕
(イエローインクY5の調製)
C.I.ディスパーズイエロー149 8質量%
リグニンスルホン酸ナトリウム 4質量%
エチレングリコール 30質量%
プロピレングリコール 10質量%
グリセリン 3質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、イエローインクY5を調製した。
【0165】
(マゼンタインクM5の調製)
上記イエローインクY5の調製において、色材としてC.I.ディスパーズイエロー149(8質量%)に代えて、C.I.ディスパーズレッド302(8質量%)を用いた以外は同様にして、マゼンタインクM5を調製した。
【0166】
(シアンインクC5、ブラックインクBk5の調製)
上記イエローインクY5の調製において、色材としてC.I.ディスパーズブルー60(7質量%)、C.I.ディスパーズブラック10(7質量%)にそれぞれ変更し、更にリグニンスルホン酸ナトリウムの添加量を3.5質量%に変更した以外は同様にして、シアンインクC5、ブラックインクBk5を調製した。
【0167】
(ライトマゼンタインクLM5の調製)
C.I.ディスパーズレッド302 2質量%
リグニンスルホン酸ナトリウム 1質量%
エチレングリコール 30質量%
プロピレングリコール 15質量%
グリセリン 4.5質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、ライトマゼンタインクLM5を調製した。
【0168】
(ライトシアンインクLC5の調製)
C.I.ディスパーズブルー60 2質量%
リグニンスルホン酸ナトリウム 1質量%
エチレングリコール 30質量%
プロピレングリコール 15質量%
グリセリン 4.5質量%
以上の各添加剤を混合した後、イオン交換水で100質量%に仕上げて、ライトシアンインクLC5を調製した。
【0169】
《プリントの作製》
〔プリント1の作成〕
(プリント装置1)
図13のa)に記載の乾燥手段を持たないプリント装置を使用した。
【0170】
粘着性ベルト1としては、上記作製した粘着性ベルト1(感圧性地貼り剤を表面に保持)を用い、布帛Pとしては、綿天竺を使用した。
【0171】
機能性インク吐出用のインクジェットヘッド5は、液滴量14pl、駆動周波数10kHz、のピエゾ形ヘッド(ノズル数512)を2基準備し、それぞれのインクジェットヘッド5に機能性インクFI−1を装填し、2つのヘッドより、機能性インクFI−1を布帛上全面に均一に付与した。1つのヘッドから7.5ml/mの量になるようDutyを調整し、2つのヘッドで計15ml/mの機能性インクFI−1を付与した。
【0172】
カラーインクセット用のインクジェットヘッド7は、液滴量14pl、駆動周波数10kHzのピエゾ形ヘッド(ノズル数512)を6基配置し、それぞれのインクジェットヘッドに、インクセット1のそれぞれのインク(Y1、M1、C1、Bk1、LM1、LC1)を充填した。
【0173】
機能性インク、カラーインクとも、720dpi×720dpiの解像度で、8パス印字モードの同条件で記録した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
【0174】
(印字画像)
幅1400mm、長さ高さ1400mmの布帛上に、Y、M、C、B、G、R、混合Bk(Y、M、C各100%)の最大濃度で、半径30mmの水玉(真円、塗りつぶし)及び、1辺30mmの正方形(塗りつぶし)、デザインプリント柄模様3種を複数描画する画像を、連続して描画した。
【0175】
(後処理)
上記印字画像をプリントした後、布帛を粘着性ベルト1から剥離し、剥離した布帛を乾燥機に入れて、70℃の送風乾燥条件で乾燥した後、ロール上に一旦巻き取った。次いで、巻き取ったプリント物を、捺染用スチーマーにて加熱発色した。その後、水洗、湯洗、ソーピング、乾燥を行って、プリント1を得た。
【0176】
〔プリント2、3の作成〕
上記プリント1の作成において、機能性インクFI−1に代えて、それぞれ機能性インクFI−2、FI−3を用いた以外は同様にして、プリント2、3を得た。
【0177】
〔プリント4の作成〕
上記プリント1の作成において、プリント装置1に代えて、下記のプリント装置2を用いた以外は同様にして、プリント4を作成した。
【0178】
(プリント装置2)
図13のb)に記載のプリント装置を使用した。
【0179】
布帛の搬送は、プリント装置1で用いた粘着性ベルト1に代えて、布帛を固定搬送しないローラ搬送方式により搬送した。また、機能性インク吐出用のインクジェットヘッド5とカラーインクセット用のインクジェットヘッド7の間に、乾燥手段(遠赤外光の照射装置11)として、ハイベック社製のHYG−CG(加熱長1700mm、定格出力4.25kW)を配置し、搬送する布帛の表面温度が55℃になるように制御して、機能性インクFI−1の乾燥を行った。
【0180】
〔プリント5の作成〕
上記プリント1の作成において、プリント装置1により機能性インクFI−1の付与を行わなかった以外は同様にして、プリント5を作成した。
【0181】
〔プリント6の作成〕
上記プリント1の作成において、プリント装置1に代えて、下記のプリント装置3を用いた以外は同様にして、プリント4を作成した。
【0182】
(プリント装置3)
図13のc)に記載のプリント装置を使用した。
【0183】
上記プリント装置1において、機能性インク吐出用のインクジェットヘッド5とカラーインクセット用のインクジェットヘッド7の間に、乾燥手段(遠赤外光の照射装置11)として、ハイベック社製のHYG−CG(加熱長1700mm、定格出力4.25kW)を配置し、搬送する布帛の表面温度が55℃になるように制御して、機能性インクFI−1の乾燥を行った以外は、同様の構成とした。
【0184】
〔プリント7、8作成〕
上記プリント6の作成において、機能性インクFI−1に代えて、それぞれ機能性インクFI−4、FI−5を用いた以外は同様にして、プリント7、8を得た。
【0185】
〔プリント9の作成〕
上記プリント8の作成において、プリント装置3に代えて、下記のプリント装置4を用いた以外は同様にして、プリント9を作成した。
【0186】
(プリント装置4)
上記プリント装置3において、粘着性ベルト1に代えて、粘着性ベルト2(感熱性地貼り剤を表面に保持)を用いた以外は同様にして、プリント装置4を作製した。
【0187】
〔プリント10の作成〕
上記プリント9の作成において、プリント装置4に代えて、下記のプリント装置5を用いた以外は同様にして、プリント10を作成した。
【0188】
(プリント装置5)
図14のa)に記載のプリント装置を使用した。
【0189】
上記プリント装置4において、乾燥手段として遠赤外光の照射装置11に代えて、内部に発熱体を備え、布帛の全巾をカバーする大きさのホットプレート10を配置し、布帛を55℃に加熱した以外は同様にして、プリント装置5を作製した。
【0190】
〔プリント11の作成〕
上記プリント10の作成において、プリント装置5に代えて、下記のプリント装置6を用いた以外は同様にして、プリント11を作成した。
【0191】
(プリント装置6)
図14のb)に記載のプリント装置を使用した。
【0192】
上記プリント装置5において、ホットプレートを更にカラーインクセット用のインクジェットヘッド7下部及びカラーインクセット用のインクジェットヘッド7の下流側に配置した以外は同様の構成として、プリント装置6を作製した。
【0193】
〔プリント12〜14の作成〕
上記プリント10の作成において、機能性インクFI−5に代えて、それぞれFI−6〜FI−8を用いた以外は同様にして、プリント12〜14を作成した。
【0194】
〔プリント15の作成〕
上記プリント11の作成において、布帛1(綿天竺)に代えて、布帛2(綿ブロード)を用いた以外は同様にして、プリント15を作成した。
【0195】
〔プリント16の作成〕
上記プリント12の作成において、布帛1(綿天竺)に代えて、布帛2(綿ブロード)を用いた以外は同様にして、プリント16を作成した。
【0196】
〔プリント17、18の作成〕
上記プリント15、16の作成において、インクセット1に代えて、それぞれインクセット2を用いた以外は同様にして、プリント17、18を作成した。
【0197】
〔プリント19、20の作成〕
上記プリント17、18の作成において、布帛2(綿ブロード)に代えて、布帛3(絹サテン16匁)を用いた以外は同様にして、プリント19、20を作成した。
【0198】
〔プリント21の作成〕
上記プリント11の作成において、機能性インクFI−1に代えて、機能性インクFI−9を用いた以外は同様にして、プリント21を作成した。
【0199】
〔プリント22の作成〕
上記プリント5の作成において、プリント装置1における粘着性ベルト1を粘着性ベルト2に変更し、布帛1(綿天竺)に代えて、布帛3(絹サテン16匁)を用い、加えてインクセット1をインクセット3に変更した以外は同様にして、プリント22を作成した。
【0200】
〔プリント23の作成〕
上記プリント9の作成において、布帛1(綿天竺)に代えて、布帛3(絹サテン16匁)を用い、機能性インクFI−5に代えて、機能性インクFI−8を用い、加えてインクセット1をインクセット3に変更した以外は同様にして、プリント23を作成した。
【0201】
〔プリント24の作成〕
上記プリント23の作成において、布帛3(絹サテン16匁)に代えて、布帛4(ナイロン)を用い、下記のプリント装置7を用い、加えてインクセット3をインクセット4に変更した以外は同様にして、プリント24を作成した。
【0202】
(プリント装置7)
図14のc)に記載のプリント装置を使用した。
【0203】
上記プリント装置5において、機能性インク吐出用のインクジェットヘッド5とカラーインクセット用のインクジェットヘッド7の間に、乾燥手段(遠赤外光の照射装置11)として、ハイベック社製のHYG−CG(加熱長1700mm、定格出力4.25kW)を配置し、搬送する布帛の表面温度が55℃になるように制御し、更に、ホットプレートを更にカラーインクセット用のインクジェットヘッド7下部及びカラーインクセット用のインクジェットヘッド7の下流側に配置した以外は同様の構成として、プリント装置7を作製した。
【0204】
〔プリント25の作成〕
上記プリント22の作成において、布帛3(絹サテン16匁)に代えて、布帛5(ポリエステル)を用い、加えてインクセット3をインクセット5に変更した以外は同様にして、プリント25を作成した。
【0205】
〔プリント26の作成〕
上記プリント24の作成において、布帛4(ナイロン)に代えて、布帛5(ポリエステル)を用い、加えてインクセット4をインクセット5に変更した以外は同様にして、プリント26を作成した。
【0206】
〔プリント27〜39の作成〕
上記プリント11の作成において、プリント装置6(図14のb))に代えて、図1〜図12に記載の各プリント装置(プリント装置8〜19)をそれぞれ用いた以外は同様にして、プリント27〜38を作成した。
【0207】
なお、図2に記載のブリント装置9の温風付与手段6としては、内部に送風ファンと発熱体を設けた構造とし、布帛表面温度が55℃となるように制御した。また、図3に記載のブリント装置10の防風手段としては、内部に排気ファンを備えた装置を用い、温風付与手段6の1/2の空気容量条件で排気した。図11に記載のブリント装置17のヒートローラとしては、中心部に外周部を加熱するための温度コントロール可能な熱源(ハロゲンランプ)を装着したステンレスを用いたローラで構成し、その最外周部をテフロン(登録商標)で被覆した搬送ローラを用い、図12に記載のブリント装置18のマイクロ波照射部としては、2.45GHzマイクロ波照射機(四国計測工業(株)製 μ−reactor)を用いた。
【0208】
各プリント装置においては、布帛の温度を55℃となるように制御した。
【0209】
《プリントの評価》
〔にじみ耐性の評価〕
上記方法により形成した1辺30mmの正方形(塗りつぶし)の境界部分のにじみの有無を目視観察し、下記の基準に従って、にじみ耐性を評価した。
【0210】
5:まったくにじみがない
4:YMCコンポジットKベタ画像(33ml/m)で、画像周辺部に若干のにじみが見られる
3:YMCコンポジットKベタ画像(33ml/m)で、画像周辺部でにじみが見られるが、B、G、Rの二次色ベタ画像(22ml/m)ではにじみはほとんどない
2:B、G、Rの二次色ベタ画像(22ml/m)で画像周辺部でもにじみが見られる
1:Y、M、C単色画像(11ml/m)でも画像周辺部でもにじみが見られる
〔汚染故障耐性の評価〕
印字画像を形成した後の発色、洗濯、乾燥工程におけるプリントの汚染状態を目視観察し、下記の基準に従って汚染故障耐性の評価を行った。
【0211】
3:汚染はまったくない
2:裏面汚染があるが、プリント後の乾燥条件強化で汚染はなくなる
1:裏面の汚染があり、実用に耐えない品質である
〔画像再現性の評価〕
印字画像の形成、発色、洗濯、乾燥後のプリントの水玉画像について、真円性を目視観察し、下記の基準に従って画像再現性を評価した。
【0212】
4:デジタルデータと同じ、真円の水玉がきれいに描画できている
3:真円性は若干崩れているところが散見されるが実用レベル
2:水玉が楕円状に変形しているのが判別でき、実用上問題がある
1:水玉が激しく楕円状に変形し、実用に耐えない
〔発色性の評価〕
Y、M、C、K、B、G、R、混合Bk(Y、M、C各100%)のすべての濃度を測定した。
【0213】
比較として、下記前処理液を調製し、布帛にマングルを使用して付与後、乾燥することで比較布帛を別途作製し、この比較布帛にプリントした試料の発色濃度の総計との比較評価を行った。
【0214】
〈反応染料用 比較布帛用前処理液〉
炭酸ナトリウム 3質量%
ポリビニルピロリドン(K30) 10質量%
尿素 5質量%
上記各添加剤を混合、溶解した後、イオン交換水で100質量%に仕上げた。
【0215】
5:比較布帛濃度に対して、同等以上の発色濃度
4:比較布帛濃度に対して、96%〜99%の発色濃度
3:比較布帛濃度に対して、91%〜95%の発色濃度
2:比較布帛濃度に対しての86%〜90%発色濃度
1:比較布帛濃度に対しての85以下の発色濃度
〔染着均一性の評価〕
各プリントを縦及び横に引っ張った際の未然着部の有無を目視観察し、下記の基準に従って染色均一性の評価を行った。
【0216】
3:布帛を縦、横に引っ張っても未染着部分が見えず均一に染まっている
2:布帛を縦、横に引っ張ると、部分的に未染着部分があるが、引っ張りを戻すと未染着部分は見えなくなる
1:布帛を縦、横に引っ張ると、未染着部分が目立ち、引っ張りを戻しても未染着部分が少し確認される
〔発色ムラ耐性の評価〕
各プリントの発色ムラの有無を目視観察し、下記の基準に従って発色ムラ耐性を評価した。
【0217】
5:ムラは全くない
4:ムラは確認できないが、左右の端の濃度が異なる
3:目立ちにくい村が数箇所ある
2:明らかなムラが数箇所ある
1:ムラが非常に多い。
【0218】
以上により得られた結果を、表2、表3に示す。
【0219】
【表2】

【0220】
【表3】

【0221】
表2、表3に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるテキスタイルプリント装置を用いて作成したプリントは、比較例に対し、にじみ耐性、汚染故障耐性、画像再現性、発色性、染着均一性及び発色ムラ耐性のいずれの特性においても、優れた特性を有していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】本発明のテキスタイルプリント装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明のテキスタイルプリント装置の他の構成を示す概略図である。
【図3】防風手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の構成の一例を示す概略図である。
【図4】防風手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の構成の他の一例を示す概略図である。
【図5】本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【図6】防風手段と乾燥手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の他の例を示す概略図である。
【図7】防風手段と乾燥手段を備えた本発明のテキスタイルプリント装置の他の例を示す概略図である。
【図8】本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【図9】本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【図10】本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【図11】本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【図12】本発明のテキスタイルプリント装置の他の乾燥手段を有する例を示す概略図である。
【図13】実施例で用いたテキスタイルプリント装置の構成を示す概略図である。
【図14】実施例で用いたテキスタイルプリント装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0223】
1 粘着性ベルト
2 サポートロール
3 搬送ロール
4 ニップロール
5 機能性インク吐出用ヘッド
6 温風付与手段
7 カラーインク吐出用ヘッド
8 排気ファン
9 防風壁
10 ホットプレート
11 可視光或いは遠赤外光を用いた乾燥手段
12 ヒートローラ
13 マイクロ波照射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト表面に接着手段を有し、布帛を貼り付けて搬送する粘着性ベルトと、該粘着性ベルトを駆動するローラと、機能性インクを付与するインクジェットヘッドと、該布帛に該機能性インクを付与した後に該布帛を乾燥する乾燥手段と、該布帛にカラーインクを付与するインクジェットヘッドとを備えたことを特徴とするテキスタイルプリント装置。
【請求項2】
前記接着手段が、地貼り剤を有する手段であることを特徴とする請求項1に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項3】
前記地貼り剤が、感熱型地貼り剤であることを特徴とする請求項2に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項4】
前記乾燥手段は、温度制御可能な風または温風を、前記機能性インクが吐出された布帛に吹き付ける手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項5】
前記機能性インクを付与するインクジェットヘッドは、防風手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項6】
前記乾燥手段は、前記機能性インクが付与された布帛を保持搬送する粘着性ベルト裏面に接触する温度制御可能なホットプレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項7】
前記乾燥手段は、可視光或いは遠赤外光を、前記機能性インクが吐出された布帛に照射する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項8】
前記乾燥手段は、前記機能性インクが付与された布帛を保持搬送する粘着性ベルトの裏面から加熱する温度制御が可能なヒートローラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項9】
前記乾燥手段は、前記機能性インクが吐出された布帛にマイクロ波を照射するマイクロ波照射部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント装置を用いて、布帛に機能性インクを付与し、次いで、カラーインクで記録するテキスタイルプリント方法であって、該機能性インクは、水溶性高分子、pH調整剤及びヒドロトロピー剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするテキスタイルプリント方法。
【請求項11】
前記水溶性高分子は、水酸基価が50mgKOH/g未満で、重量平均分子量が1000以上、100000以下であり、かつ25℃の水あるいはアルカリ水溶液に対して10質量%以上の溶解度を有することを特徴とする請求項10のテキスタイルプリント方法。
【請求項12】
前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合物、グリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、グリセリンのポリプロピレン付加物、ジグリセリンのポリエチレンオキサイド付加物、ジグリセリンのポリプロピレン付加物及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10または11に記載のテキスタイルプリント方法。
【請求項13】
前記pH調整剤が、無機塩基化合物であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【請求項14】
前記無機塩基化合物が、カリウム塩を含有することを特徴とする請求項13のテキスタイルプリント方法。
【請求項15】
前記pH調整剤が、有機酸または強酸のアンモニウム塩であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【請求項16】
前記ヒドロトロピー剤が、尿素誘導体、アミド化合物及びスルホンアミド化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【請求項17】
前記機能性インクが、低表面張力溶剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【請求項18】
前記カラーインクが、水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載のテキスタイルプリント方法。
【請求項19】
前記水溶性高分子が、酸価が100mgKOH/g以上、300mgKOH/g以下であり、かつ重量平均分子量が3000以上、30000以下であることを特徴とする請求項18に記載のテキスタイルプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−106374(P2010−106374A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276619(P2008−276619)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】