説明

テトラヒドロゲラニルアセトンの製造方法

本発明は、アセトンとシトラールのアルドール縮合、それに続く水素化により、テトラヒドロゲラニルアセトン(テトラヒドロプソイドイオノン)を製造するための方法に関する。本発明はまた、フィトール、イソフェイトール、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体の製造を目的とする、上記のようして得られたテトラヒドロゲラニルアセトンの使用にも関する。本発明はさらに、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトンとシトラールをアルドール縮合した後、水素化することにより、テトラヒドロゲラニルアセトンを製造するための方法に関する。本発明は、さらに、フィトール、イソフィトール、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造するための前記テトラヒドロゲラニルアセトンの使用に関する。加えて、本発明は、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラヒドロゲラニルアセトン(THGAC、ヘキサヒドロプソイドイオノン)は、イソフィトールを製造するための出発材料として用いられ、イソフィトールは、ビタミンEおよびビタミンKを製造するための反応体として用いられる(例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版 CD-Rom, “Vitamins”, 第4章11参照のこと)。
【0003】
シトラールからプソイドイオノンを製造するためには、多数の方法が知られている。
【0004】
Organic Syntheses, Coll. 第3巻、747 -750で、A. Russellらは、塩基としてナトリウムエトキシドを用いた、シトラールとアセトンのアルドール縮合によるプソイドイオノンの製造を記載している。
【0005】
PL-A 147748には、56℃の塩基性イオン交換器でのシトラールとアセトンの縮合によりイオノンを製造する方法が記載されている。これによれば、アセトンとシトラールを触媒と一緒にフラスコ内で回分式に5時間攪拌する。この方法の欠点は、空間−時間収率が非常に低いことである。
【0006】
ドイツ国特許出願第33 19 430号には、管状反応器において、100〜280℃および10〜60バールで、水素の存在下にてメチルケトンと不飽和アルデヒドを縮合することにより高収率でケトンを製造することが記載されている。
【0007】
触媒としてLiOHを用いて、アセトンとシトラールを反応させることにより、プソイドイオノンを調製する一方法が米国特許第4,874,900号に記載されている。これによれば、反応は、回分式または連続的に−20〜240℃の温度で実施する。また、反応混合物が適切な温度で液相を維持するように、圧力を調節する。回分操作の場合には、反応体をタンク内で攪拌し、反応の終了後触媒をろ過により除去するが、連続的方法では、触媒を充填したカラムから、プレミックスした反応体を吸入排出する。いずれの場合にも、反応終了後CO2で反応混合物を中和し、過剰ケトンを蒸留により除去する。この方法では、アセトンとシトラールのモル比:20モル/モルで、89.5%のシトラール収率が達成されるが、これは工業規模の製造には不十分である。
【0008】
ドイツ国特許出願第31 14 071号には、高温で過剰量のケトンとアルデヒドを反応させることにより、プソイドイオノンを製造する方法が記載されている。
【0009】
米国特許第3,480,577号には、NaOHの水溶液の存在下でシトラールをアセトンと反応させることが記載されている。
【0010】
欧州特許出願第1 103 538号には、1〜15個の炭素原子を有するアルデヒドおよび/またはケトンの塩基触媒アルドール縮合により、α,β不飽和ケト化合物を製造する方法が記載されている。
【0011】
欧州特許出願第62 291号は、管状反応器において、NaOH触媒下で、シトラールをアセトンと反応させることによるプソイドイオノンの連続的製造方法を開示している。
【0012】
ヘキサヒドロプソイドイオノンへのプソイドイオノンの水素化も従来の技術にすでに記載されている。
【0013】
例えば、米国特許第2,272,122号には、水素を含むPd/Cで、50〜100℃の温度および高圧下にてプソイドイオノンを懸濁水素化することによる、ヘキサヒドロプソイドイオノンの製造が記載されている。
【0014】
英国特許第788,301号には、THGACの製造方法が記載されているが、そこでは、最後の工程で、ゲラニルアセトンまたはジヒドロゲラニルアセトンを水素化してTHGACを得る。
【0015】
WO 94/12457には、5%Pd/Cを用いてプソイドイオノンを水素化することによるヘキサヒドロプソイドイオノンの製造が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、ヘキサヒドロプソイドイオノン(テトラヒドロゲラニルアセトン)、すなわち、フィトール、イソフィトール、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体の合成に主要な物質である中間体を技術的に簡易で、しかも経済的に実現可能な手段により提供することができる総合的方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、上記の目的は、以下の工程を含むテトラヒドロゲラニルアセトンの製造方法を提供することにより達成される:
I.少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物を含む水性アルカリの存在下でシトラールとアセトンのアルドール縮合により、プソイドイオノンを含む縮合物を形成した後、
II.上記縮合物の水素化を実施する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
テトラヒドロゲラニルアセトン(以後、THGACとも呼ぶ)を製造する本発明の方法は、2つの工程IおよびIIが2つの別の工程として実施されるように実施するのが好ましい。
【0019】
驚くことに、本発明の方法は、従来の方法と比較して、過剰に存在するアセトンの副反応による不要な副産物、例えば、4-メチル-3-ペンテン-2-オンの形成を顕著に低減できることがわかっている。アセトンの節約以外に、これによって、処分しなければならない廃棄物が減少するという結果も生じる。本発明の方法のさらに別の利点は、中間体として得られるプソイドイオノンも、必要に応じて、他の価値ある物質を製造するのに使用することができる点である。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態では、この手順は、連続的に、
a.10〜120℃の温度でシトラール、過剰のアセトンおよびアルカリ水溶液を混合することにより、均質な溶液を調製し、
b.次に、アセトンの沸点より10〜120℃高い温度で、かつ、対応する蒸気圧より106〜107 Pa高いが、少なくとも反応混合物の自己加熱圧に一致する圧力下で、逆混合を防止しながら、液状の均質な反応混合物を反応器(2〜300分の滞留時間を可能にする)に通過させ、
c.減圧下で反応混合物を冷却し、
d.蒸気を用いた向流において反応混合物から過剰アセトンを除去し、
e.こうして得られた粗生成物を精留カラムで精製した後、
f.得られたプソイドイオノン(pseudoionone)を水素化することにより、テトラヒドロゲラニルアセトンを取得する。
【0021】
本発明に関して述べるオレフィン的に単−または多不飽和化合物は、各ケースで二重結合異性体の形態で、あるいはそれらの混合物の形態で存在、または使用もしくは取得することができる。
【0022】
水性アルカリとは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化リチウムの水溶液を意味するが、好ましくは水酸化ナトリウム溶液である。使用するアルカリ金属水酸化物の濃度は、0.005〜50重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0023】
本発明の方法の好ましい実施形態では、10〜120℃、好ましくは50℃以下の温度で、反応体、シトラール、アセトンおよび水の均質な混合物に添加する水性アルカリの量は、均質混合後に均質に溶解するだけの量である。分離する水およびアルカリ金属水酸化物がある場合には、これらを除去した後、最も沸点が低い成分(この場合アセトン)の沸点より10〜120℃高い温度、かつ106〜107 Paの圧力p(ここで、pは、反応温度での反応混合物の蒸気圧)で、逆混合を防止しながら、残る均質反応混合物を反応器(2〜300分、好ましくは5〜30分の滞留時間を可能にする)に通過させる。反応混合物を減圧により冷却させ、過剰なアセトンの一部を蒸発させ、再利用することができる。残ったアセトンは、蒸気を含む向流において反応混合物から除去するのが有利であり、その際、この蒸気は、触媒塩基が中和され、4〜9のpHが確立するのに十分な塩基を含むのが好ましく、この塩基は所与の条件(例えば、蟻酸または酢酸)下で蒸発可能である。続いて、プソイドイオノンを含む粗生成物を乾燥させ、精留カラム、好ましくは、例えば、ドイツ国特許出願第3302525号または欧州特許出願第804 951号に記載されているように仕切りカラムを用いて、精製することができる。これにより、粗生成物から過剰のシトラールおよび不要な二次成分、例えば、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンおよび/または4-メチル-3-ペンテン-2-オンが除去される。
【0024】
これらの二次成分は、例えば、水の存在下で塩基の作用により、例えば、必要に応じて高温で、水酸化ナトリウム水溶液により、アセトンに再度結合させるのが有利である。このようにして得られたアセトンは、必要であれば、再利用することができ、これは本発明の方法においては好ましい。
【0025】
驚くことに、均質に溶解するだけの量のアルカリ金属水酸化物と一緒にアセトンとシトラールを反応器内で加工温度より低い温度で混合し、水性アルカリで飽和させた均質混合物を管状反応器内でそれ以上混合せずに自己加熱圧力下で所望の反応温度に至らしめると、アルカリ金属水酸化物による異種触媒作用において、特に、反応混合物の調製中に副反応として起こる二次および分解生成物の形成を抑制することができる。
【0026】
混合物に溶解せず、従って、反応器入口に残った余分な水性アルカリを除去するのが有利である。これは、例えば、反応器の上流に位置する、あるいは、反応器の底部に組み込んだ分離器により実施することができる。また、反応混合物に対して高濃度、すなわち、約10〜50重量%、好ましくは35〜45重量%の水性アルカリを計量することにより、再循環させようとするケトンから過剰の水を除去し、これによって、反応混合物から水を除去すると同時に、反応混合物に必要量のアルカリ金属水酸化物を溶解させることも有利である。
【0027】
反応は、5〜50倍、さらに好ましくは20〜25倍のモル過剰量のアセトンを用いて実施することにより、用いたシトラールに対して最適な収率を達成するのが好ましい。アセトンの非変換部分は反応領域の下流で、好ましくは、107〜109 mPaabsの圧力下で除去し、合成のために新鮮なアセトンに送り戻す。
【0028】
驚くことに、シトラール−アセトン混合物の含水率も非常に重要である。これは、アルデヒド−ケトン混合物に均質に溶解させることができるアルカリ金属水酸化物の量に影響を与えることがわかっている。アルデヒド−ケトン混合物の含水率は、1〜15重量%であるのが好ましい。意外にも、アルカリ金属水酸化物の溶解量は反応速度だけではなく、不要な副産物の割合にも影響することもわかっている。また、反応器上流の過剰な液体を除去するのも有利である。従来の技術とは対照的に、これにより副産物の形成を少なくすることができる。副産物は、感受性の高い不飽和アルデヒド(例えば、シトラール)の場合に、有意な影響を及ぼし、収率を低下させる。
【0029】
反応器の下流に発生するケトン成分(従って、この場合、水性アセトンの形態)の部分から、例えば、反応混合物の蒸気ストリッピングにより水を工程中に導入するのが有利である。これにより、技術的複雑さが少なく、しかも低レベルのエネルギー消費で、過剰なアセトンを除去することができるため、経済的に有意である。というのは、再循環の前に煩雑な乾燥は余計な労力を必要とするからである。あるいは、シトラールとアセトンの無水混合物を使用し、非常に希薄なアルカリ金属水酸化物溶液を用いて、必要量の水(約1〜15重量%)中で混合することも可能である。逆に、濃縮したアルカリ金属水酸化物溶液を用いる場合には、極めて高い含水率を有するシトラールとアセトンの混合物を用いることもできる。この場合、反応が制御されない様式で開始するのを防ぐために、低い混合温度が求められる。同時に、アルカリ金属水酸化物は一部しか有機相に移動しないことから、アルカリ金属水酸化物の消費が起こる。これによって、シトラール−アセトン混合物から水が部分的に除去されるため、除去および処分しなければならない。
【0030】
好ましくは、均質な反応溶液を自己加熱圧力下の管状反応器内で加熱するが、その際、所与の滞留時間での反応温度は、シトラールの変換が60〜98%、さらに好ましくは85〜95%となり、しかも、非変換シトラールが除去され、反応に再循環されるように選択するのが好ましい。管状反応器の寸法は、可能であれば、逆混合が起こらないように、平均滞留時間が好ましくは2〜300分、特に5〜30分であるような寸法である。
【0031】
管状反応器内の逆混合を最小限にするのが好ましい。これは、例えば、乱流を防止する上で十分に大きな反応器直径により、あるいは、いずれかの種類の層流実質(internals)により達成される。これは予想外であり、例えば、ドイツ国特許出願第31 14 07号によれば、反応条件下で十分な乱流が起こるように管状反応器を設計しなければならないとする従来の技術とは矛盾するものである。
【0032】
反応混合物は大気圧まで減圧するのが好ましく、蒸発により過剰アセトンの一部を冷却する。残ったアセトンは、等モル量の揮発性酸を添加しておいた蒸気を用いた向流において排除するのが好ましく、その最中に、触媒塩基を中和し、凝縮物により希釈する。カラム充填物の好ましい使用により、アセトンと水以外に、有意な量の生成物はカラム上部で一切得られないため、所望の量を含むアセトンを回収できるように、カラムへの還流を調節すれば有利である。アセトンの含水率を調節するためには、市販の組織化充填要素で充填したストリッピングカラムを選択し、好ましくは液体状態で回収したアセトンの10〜90%の量でカラムを湿潤させることが好ましい。酸の量は、好ましくは、次の調製に好都合である4〜9のpHがこの時点で確立するような量である。水相の除去後、プソイドイオノンを含む粗生成物を加熱し、減圧下に維持したフラッシュ容器中に噴霧することにより乾燥させるのが好ましい。そこから精留カラムに導き、同カラムにてプソイドイオノンを精製することにより不純物を除去し、非変換シトラールも除去してそこから再循環に供給するのが好ましい。再循環は、欧州特許出願第804 951号に記載のように仕切りカラムにおいて実施するのが好ましく、ここで、2つの側方引出しを用いることにより、適切な純度で両主要画分(プソイドイオノンとシトラール)を1工程で取得するのが好ましい。
【0033】
このようにして得たプソイドイオノンの水素化(本発明に従い後に実施しようとするもの)は、原則として、プソイドイオノンのテトラヒドロプソイドイオノン(THGAC)への変換を達成するのに好適な方法であればどんな方法によって実施してもよい。使用する試薬および観察すべき反応パラメーターは広範囲にわたって変動しうる。
【0034】
本発明の方法の好ましい一実施形態では、水素化は、触媒粒子の輸送を阻害する装置を通して、得られたプソイドイオノンが、触媒粒子を懸濁させた液相に導かれるように実施するが、その際、上記触媒は炭素−酸素二重結合に対し炭素−炭素二重結合を優先して水素化することができる。
【0035】
この方法では、触媒粒子の輸送は、適切な手段(例えば、反応器内の実質)により阻害されている、すなわち、触媒粒子は、周囲の液体の比較して強力に引き止められているため、触媒粒子と比較して高い相対流量の液相が得られる。懸濁粒子の大きな体積に基づく表面積によって、高い空間−時間収率が達成される。
【0036】
本発明の方法に関して好ましい水素化方法を実施するのに好適な装置は、欧州特許出願第798 039号に記載されている。
【0037】
触媒粒子の輸送を阻害する装置は、触媒粒子の平均直径の2〜2,000倍、特に5〜500倍、さらに好ましくは5〜100倍の水力直径を有するオリフィスまたは流路を備えているのが好ましい。
【0038】
水力直径は、非円形流路構造の同等直径を表す上で、当業者には周知のパラメーターである。一オリフィスの水力直径は、該オリフィスの横断面とその円周の4倍の商として定義される。横断面が二等辺三角形の形状をした流路の場合には、水力直径は以下のように表すことができる:
【数1】

【0039】
(式中、bは底辺、hは高さ、sは三角形の合同辺の長さである)。
【0040】
好適な装置のオリフィスまたは流路は一般に、0.5〜20 mm、好ましくは1〜10 mm、さらに好ましくは1〜3mmを有する。
【0041】
典型的には、0.0001〜2mm、好ましくは0.001〜1mm、さらに好ましくは0.005〜0.1mmの平均直径を有する触媒粒子を用いる。
【0042】
触媒粒子の輸送を阻害する装置は、台、編物、好ましくはプラスチック、例えば、ポリウレタンまたはメラミン樹脂、もしくはセラミック製の連続気泡構造、あるいは、蒸留および抽出技術から、原理が(すなわち、幾何学的形状により)すでに周知の充填要素から構成することができる。しかし、本発明の目的のために、充填物は、原則として、蒸留および抽出技術の分野の同等実質より通常2〜10倍実質的に小さい水力直径を有する。
【0043】
好適な充填要素は、特に、例えば、Montz A3、Sulzer BX、DXおよびEX設計のメタルファブリック充填物またはワイヤーメッシュ充填物である。メタルファブリック充填物に代わり、その他の織物、編物もしくはフェルト材料からなる充填物を用いてもよい。好適な充填要素としてさらに、例えば、Montz B1またはSulzer Mellapak設計に従い、好ましくは穿孔もしくはその他大きなオリフィスのない、平面または波形金属シートも挙げられる。また、エキスパンディットメタルからなる、電流の流れに利用可能な充填物、例えば、Montz BSH型の充填物も有利である。本発明に関する充填物の適切性に対する重要な要因はその形状ではなく、むしろ、その充填物におけるオリフィスの大きさと流路の幅である。
【0044】
好ましい実施形態では、液相に向いている装置の表面は、触媒粒子の平均直径の0.1〜10倍、好ましくは0.5〜5倍の範囲の粗面度を有する。平均粗面度の値Ra(DIN 4768/1)が0.001〜0.01 mmである表面を有する材料が好ましい。ステンレス鋼線充填物を用いる場合には、適切な粗面度は、酸素の存在下での熱処理、例えば、約800℃の温度にて組織を熱処理することにより達成される。
【0045】
液相は、少なくとも80重量%、特に少なくとも90重量%のヘキサヒドロプソイドイオノンを含む。すなわち、液相は有意な量の希釈剤を含まない。好ましくはないが、液相は、希釈剤、例えば、C1-C4-アルカノール(例:メタノール)を含んでもよい。
【0046】
用いる水素源ガスは一般に、少なくとも99.5容量%の純度を有する水素ガスである。これは、液相に存在するカルボニル化合物に基づき、少なくとも計算量、通常、1〜20%の過剰量を用いる。
【0047】
用いる触媒は、炭素−酸素二重結合に対し炭素−炭素二重結合を優先して水素化することができる市販の懸濁触媒でよい。特に有用な触媒は、活性成分として少なくともパラジウムを含むものである。パラジウム以外に、触媒は、更に別の活性成分、例えば、亜鉛、カドミウム、白金、銀もしくは稀土類金属(例:セリウム)を含んでもよい。触媒は、金属および/または酸化物の形態で用いることができる。支持材料に活性成分を塗布するのが好ましい。好適な支持材料の例として、SiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3、または黒鉛、カーボンブラックもしくは活性化炭素のような炭素が挙げられる。その容易な懸濁性のために、活性化炭素が好ましい。パラジウム含有率は、触媒の総重量に対し0.1〜10重量%、特に、0.5〜7重量%、さらに好ましくは2〜6重量%であるのが好ましい。
【0048】
懸濁させた触媒材料は、液相に導入してもよく、通常の方法を用いてその中に分布させる。
【0049】
触媒粒子の輸送を阻害する装置は、典型的に、反応器内の複数の実質(internals)であり、これらは、反応混合物が反応器を通過するとき、この装置を必ず通るように構成されている。すなわち、上記実質は反応器の空いている横断面のほぼ全体を充填するものである。上記実質は、液相の流れ方向に沿って反応器の全長にわたって延在することが好ましいが、必ずしも必要ではない。
【0050】
ジェットノズル反応器、気泡カラムもしくは管束反応器のように様々な型の反応器が適している。中でも、特に好適な反応器は、前記実質が個々の管に収容されている鉛直気泡カラムまたは管束反応器である。
【0051】
並流で、好ましくは重力に逆らって、反応器を通過するように水素源ガスおよび液相を導くのが好ましい。例えば、インジェクターノズルを用いて、気相を液相と均質に混合する。液相の表面速度は100 m3/m2時以下、特に100〜250 m3/m2時であるのが好ましく、また、気相のそれは100 m3/m2時(STP)以上、特に100〜250 m3/m2時(STP)であるのが好ましい。十分に高い表面速度を達成するために、反応器を出る気相および液相の副流を再循環させるのが好ましい。
【0052】
水素化流出液に懸濁させた触媒粒子は、通常の方法、例えば、沈降、遠心分離、ケークろ過もしくは直交流ろ過により除去する。
【0053】
1〜100バール、さらに好ましくは1〜50バール、特に1〜20バールの圧力下で水素化を実施するのが好ましい。反応温度は20〜150℃、さらに好ましくは20〜120℃、特に40〜80℃である。
【0054】
本発明の方法は、添付の図面と、以下に示す実施例により説明する。
【0055】
図1は、好ましい水素化方法を実施するのに適したプラントの概略を示し、このプラントは、触媒粒子の輸送を阻害する組織化充填物2を有する反応器(気泡カラム)1を含んでなる。管路3から液体を反応器に導入し、管路4から水素ガスを導入する。循環ガス5を新鮮なガスと混合し、混合ノズル6を用いて、ポンプ14により懸濁液11を循環させる。反応器流出液を、管路7を介して分離容器8に移し、容器8内で気相を分離し、管路9を介して除去する。このガスの副流を管路10によって回収することにより、気体不純物の蓄積を制限する。残りは管路5を介して反応器に導く。懸濁させた触媒は、直交流フィルター12により引き止められるため反応器系に残り、触媒を含まない液相だけが管路13を介して排出するため、これを回収する。熱交換器15を用いて、反応器系内の温度を正確に調節することができる。
【0056】
図2は、波形組織の層の概略を示す。本発明に従い使用可能な組織化充填物は、2以上のこのような層を上に重ねて配置することにより得られる。各層は、横断面が、合同な辺s、底辺bおよび高さhを有する二等辺三角形の形状をした流路を含む。
【0057】
シトラールとアセトンのアルドール縮合、続いて縮合生成物に存在するプソイドイオノンの水素化という2つの別の製造工程により、フィトール、イソフィトール、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造するための、出発材料または中間体としてある程度まで適したテトラヒドロゲラニルアセトンが得られる。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、前述した価値のある物質および活性成分を製造するための本発明の方法により製造されたテトラヒドロゲラニルアセトンの使用に関する。
【0059】
前述した化合物は一般に、化粧品および医薬製剤ならびに該分野での使用のための添加剤または活性成分として、また、中でもヒトおよび動物の栄養分野においても広範な用途が考えられる。
【0060】
本発明のさらに別の形態は、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造する目的で、特に経済的に実現可能で、かつ技術的に有利な総合的方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
a)前記の方法に従ってテトラヒドロゲラニルアセトンを調製し、
b)こうして得られたテトラヒドロゲラニルアセトンをハロゲン化ビニルマグネシウムと反応させることにより、3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールを調製し、
c)得られた3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールをジケテンまたはアセト酢酸エチルと反応させることにより、対応するエステルを調製し、
d)得られたエステルをキャロル反応で転位させることにより、6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを調製し、
e)得られた6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを水素と反応させることにより、6,10,14-トリメチル-ペンタデカン-2-オンを調製し、
f)得られた6,10,14-トリメチル-ペンタデカン-2-オンをハロゲン化ビニルマグネシウムと反応させることにより、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールを調製し、
g)3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールの反応により、トコフェロールを調製した後、
h)必要であれば、こうして得られたトコフェロールをアセチル化する。
【0061】
あるいは、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体はまた、本発明の方法を用いて、以下の工程を含む総合的方法を適用することにより、有利に製造することができる:
a)塩基性物質の存在下でシトラールをアセトンとアルドール縮合することにより、プソイドイオノンを含む縮合物を形成し、
b)縮合物に存在するプソイドイオノンを水素化することにより、6,10-ジメチル-2-ウンデカノンを調製し、
c)こうして得られた6,10-ジメチル-2-ウンデカノンを塩基性化合物の存在下でアセチレンと反応させることにより、3,7,11-トリメチル-1-ドデシン-3-オールを調製し、
d)パラジウム、銀および/またはビスマスおよび一酸化炭素を含む触媒の存在下で、上記3,7,11-トリメチル-1-ドデシン-3-オールを水素と反応させることにより、3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールを調製し、
e)上記3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールをジケテンまたはアセト酢酸エチルと反応させることにより、対応するエステルを調製し、
f)得られたエステルを転位させ、キャロル反応により、6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを調製し、
g)得られた6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを水素と反応させることにより、6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンを調製し、
h)得られた6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンを塩基の存在下でアセチレンと反応させることにより、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデシン-3-オールを調製し、
i)パラジウム、銀および/またはビスマスおよび一酸化炭素を含む触媒の存在下で、上記3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデシン-3-オールを水素と反応させることにより、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールを調製し、
j)3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールの反応により、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を調製した後、
k)必要であれば、得られたトコフェロールをアセチル化する。
【0062】
以下に示す実施例により、本発明を説明するが、これは本発明をなんら制限するものではない。
【実施例】
【0063】
実施例1:テトラヒドロゲラニルアセトンの製造
a)プソイドイオノンの製造
1,000 kg/時のシトラールを9,000 kg/時の約95%アセトンおよび80 kgの5%NaOHと混合し、容積が約6m3の反応器から均質な混合物を70℃および5108 mPaで吸入排出した。
【0064】
後処理(実施例1b参照)の流出液と一緒に、反応器流出液をフラッシュ容器に送った。液相および蒸気相の両方を、組織化充填物を備えたストリッピングカラムの側方に導入した。中和のために酢酸を添加しておいた蒸気を含む向流でストリッピングカラムを加熱した。
【0065】
生成物混合物からアセトンを完全に排除してから、ストリッピングカラムの精留セクションで濃縮した。含水率が約5〜6%の約8,600 kg/時のアセトンを調製し、約400 kg/時の乾燥アセトンの添加後、補充して反応器に送り戻した。
【0066】
粗生成物として得られたプソイドイオノンを、>95℃の温度でストリッピングカラムの下部末端から凝縮水と一緒に連続的に排出させた。各相を分離し、凝縮水を後処理に送った(実施例1b参照)。こうして得られたプソイドイオノンをフラッシュ容器中に50 mバールで噴霧し、その際、低沸点溶剤の残留物と溶解水を除去し、これらも同様に後処理に送った。2つの側方引出しを備えた仕切りカラムでフラッシュ容器の排出液を連続的に精留し、4つの画分に分離した:上部から、低沸点溶剤をさらに除去し、同様に後処理に送った。供給側の上側方引出しで、約80 kg/時のシトラールを除去し、工程中に再循環させた。また、供給側の下側方引出しでは、約1,100 kg/時のプロイドイオノンを取得した。カラム底部から連続的に排出させ、下流の短路蒸留に送り、そこで、連行された価値のある生成物を回収し、精留カラムに送り戻した。
【0067】
b)後処理
低沸点溶剤(実質的に、ジアセトンアルコール(ヒドロキシメチルペンタノン=HMP)と、若干の酸化メシチル(メチルペンテノン=MO))からアセトンの副産物として得られた縮合生成物を、凝縮水を含むストリッピングカラムから抽出した。相の分離後、水酸化ナトリウム溶液で水相をアルカリ化し、蒸気で加熱してから、組織化充填物を含むストリッピングカラムの側方に導入した。ストリッピングカラムにおいて、向流の蒸気で加熱を実施した。これにより、縮合生成物をアセトンに結合させ、形成されたアセトンを上部から同量の蒸気と一緒に排除し、アセトン回収部に送った(実施例a)).抽出水中のHMPに基づく減少は>90%であった。
【0068】
実施例3:テトラヒドロゲラニルアセトンへの水素化
実施例1aにより製造した1,000 kg/時のプソイドイオノンを、充填要素を備え、容積が6m3の循環反応器に連続的に吸入排出した。反応器入口のインジェクターノズルから循環を通過させ、これにより水素を導入した。活性化炭素に基づき5%パラジウムからなる懸濁触媒に対し、106 Paの圧力および60℃の温度の水素雰囲気下で水素化を実施した。
【0069】
反応器流出液から気体分離器内の過剰水素を除去し、分離した水素を反応器に戻した。直交流フィルターにより液相を連続的に吸入排出して反応器中に戻した。1,030 kg/時のテトラヒドロゲラニルアセトンを取得したが、これはそれ以上処理せずに、トコフェロールの製法における次の製造段階に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】好ましい水素化方法を実施するのに適したプラントの概略図である。
【図2】波形組織の層の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
I.少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物を含む水性アルカリの存在下でシトラールとアセトンのアルドール縮合により、プソイドイオノンを含む縮合物を形成した後;
II.上記縮合物の水素化を実施する;
を含むテトラヒドロゲラニルアセトンの製造方法
【請求項2】
工程IおよびIIを別々にかつ順次実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の工程:
連続的に、
a.10〜120℃の温度でシトラール、過剰のアセトンおよび水性アルカリを混合することにより、均質な溶液を調製し、
b.次に、アセトンの沸点より10〜120℃高い温度で、かつ、対応する蒸気圧より106〜107 Pa高いが、少なくとも反応混合物の自己加熱圧に一致する圧力下で、逆混合を防止しながら、液状の均質な反応混合物を反応器(2〜300分の滞留時間を可能にする)に通過させ、
c.減圧下で反応混合物を冷却し、
d.蒸気を用いた向流において反応混合物から過剰アセトンを除去し、
e.こうして得られた粗生成物を精留カラムで精製した後、
f.得られたプソイドイオノンを水素化することにより、テトラヒドロゲラニルアセトンを取得する
を含む請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
反応の前に、前記均質な混合物から水性アルカリの非溶解部分を除去することにより、前記シトラール、アセトンおよび水性アルカリの均質な溶液を調製する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
反応領域から下流の非変換部分を107〜5×108 mPaabsの圧力下で除去し、新鮮なアセトンを合成にフィードバックすることにより、5〜50倍のモル過剰量のアセトンを添加する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
所与滞留時間の反応温度は、シトラールの変換が60〜98%となるように選択し、非変換シトラールは除去して反応に再循環させる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
反応に用いるアセトンの含水率が1〜15重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
水性アルカリにおける反応に用いるアルカリ金属水酸化物の濃度が、0.005〜50重量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
用いるアセトンは、実質的に、反応後に除去される過剰アセトンからなり、これは1〜15重量%の含水率を有し、これに、無水アセトンまたは含水率が1〜15重量%の含水アセトンのいずれを添加してもよい、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ストリッピングカラムを用いて、反応混合物からアセトンを除去することにより、アセトンの含水率を調節するが、上記ストリッピングカラムは、市販の組織化充填要素で充填し、これを10〜90%の量の回収アセトンで潤す、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
プソイドイオノンを含む粗生成物に存在する副産物を除去し、水の存在下で塩基の作用によりアセトンに変換させる、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
水素源ガスの存在下で、炭素−酸素二重結合に対し炭素−炭素二重結合を優先して水素化することができる触媒の懸濁粒子を用いて、水素化を液相で実施する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
活性成分がパラジウムである触媒を用いて、水素化を実施する、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
触媒粒子の輸送を阻害する装置で水素化を実施する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
触媒の輸送を阻害する装置が、編物、台、連続気泡フォーム構造もしくは充填要素である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水力直径が、触媒粒子の平均直径の2〜2,000倍であるオリフィスまたは流路を備えた、前記触媒粒子の輸送を阻害する装置を用いる、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
直交流フィルターを用いて、水素化の生成物を触媒懸濁液から連続的に除去する、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
0.0001〜2mmの直径を有する触媒粒子を水素化に用いる、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
100 m3/m2時以上の表面速度で、前記液相および水素源ガスを前記触媒粒子の輸送を阻害する装置に通過させる、請求項10〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
水素化における液相が少なくとも80重量%のヘキサヒドロプソイドイオノンを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
水素化の反応圧力を1〜100バールabsの範囲から選択する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
水素化の反応温度を20〜120℃の範囲から選択する、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
フィトール、イソフィトール、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造するための、請求項1〜22のいずれかに従って得られたテトラヒドロゲラニルアセトンの使用。
【請求項24】
トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造する方法であって、以下の工程:
a)請求項1〜22のいずれかに従ってテトラヒドロゲラニルアセトンを調製し、
b)こうして得られたテトラヒドロゲラニルアセトンをハロゲン化ビニルマグネシウムと反応させることにより、3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールを調製し、
c)得られた3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールをジケテンまたはアセト酢酸エチルと反応させることにより、対応するエステルを調製し、
d)得られたエステルをキャロル反応で転位させることにより、6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを調製し、
e)得られた6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを水素と反応させることにより、6,10,14-トリメチル-ペンタデカン-2-オンを調製し、
f)得られた6,10,14-トリメチル-ペンタデカン-2-オンをハロゲン化ビニルマグネシウムと反応させることにより、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールを調製し、
g)3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールの反応により、トコフェロールを調製した後、
h)必要であれば、こうして得られたトコフェロールをアセチル化する
を含む上記方法。
【請求項25】
トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を製造する方法であって、以下の工程:
a)塩基性物質の存在下でシトラールをアセトンとアルドール縮合することにより、プソイドイオノンを含む縮合物を形成し、
b)縮合物に存在するプソイドイオノンを水素化することにより、6,10-ジメチル-2-ウンデカノンを調製し、
c)こうして得られた6,10-ジメチル-2-ウンデカノンを塩基性化合物の存在下でアセチレンと反応させることにより、3,7,11-トリメチル-1-ドデシン-3-オールを調製し、
d)パラジウム、銀および/またはビスマスおよび一酸化炭素を含む触媒の存在下で、上記3,7,11-トリメチル-1-ドデシン-3-オールを水素と反応させることにより、3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールを調製し、
e)上記3,7,11-トリメチル-1-ドデセン-3-オールをジケテンまたはアセト酢酸エチルと反応させることにより、対応するエステルを調製し、
f)得られたエステルを転位させ、キャロル反応により、6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを調製し、
g)得られた6,10,14-トリメチル-5-ペンタデセン-2-オンを水素と反応させることにより、6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンを調製し、
h)得られた6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンを塩基の存在下でアセチレンと反応させることにより、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデシン-3-オールを調製し、
i)パラジウム、銀および/またはビスマスおよび一酸化炭素を含む触媒の存在下で、上記3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデシン-3-オールを水素と反応させることにより、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールを調製し、
j)3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセン-3-オールの反応により、トコフェロールおよび/またはトコフェロール誘導体を調製した後、
k)必要であれば、得られたトコフェロールをアセチル化する
を含む上記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−516250(P2007−516250A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543486(P2006−543486)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014070
【国際公開番号】WO2005/056508
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】