説明

テトラヒドロピロロピリミジンジオン類およびヒト好中球エラスターゼ阻害薬としてのそれらの使用

式(I)の化合物(すべての置換基は、請求項1で定義される通りである)およびその多量体は、ヒト好中球エラスターゼ活性の阻害薬であり、例えば、COPDの治療で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換された3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−d]ピリミジン−2,5−ジオンである複素環式化合物、および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト好中球エラスターゼ(HNE)は、好中球のアズール顆粒中に見出される32kDaのセリンプロテイナーゼである。それは、エラスチンに加えフィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、III型およびIV型コラーゲンを含む広範な範囲の細胞外マトリックスタンパク質の分解で役割を有する(Bieth,G.Regulation of Matrix Accumulation Mecham,R.P.(編)、Academic Press,NY,USA 1986,217〜306)。HNEは、組織構造タンパク質の分解によって傷害された組織の修復および処分を通して恒常性維持で重要な役割を演じると長らく考えられていた。それは、また、細菌侵入に対する細菌体の分解による防御に関連している。マトリックス組織に対するその効果に加えて、HNEは、IL−8の遺伝子発現の上向き調節に関与しており、さらには肺の上皮細胞からのIL−8放出を誘発する。喫煙曝露で誘発される慢性閉塞性肺疾患の動物モデルで、HNEの小分子阻害薬およびタンパク質阻害薬の両方とも、炎症反応および肺気腫の進行を抑制する(Wright,J.L.ら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.2002,166,954〜960;Churg,A.ら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.2003,168,199〜207)。したがって、HNEは、好中球の流入が特有の特徴である慢性呼吸器疾患におけるマトリックス破壊および炎症反応の増幅の両方で役割を演じる可能性がある。実際、HNEは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、肺炎および肺線維症を含むいくつかの肺疾患で役割を演じると考えられる。それは、組織再構築が関連するいくつかの心血管疾患、例えば、心不全、および急性心筋梗塞に続く虚血性組織損傷の発生にも関与している。
【0003】
COPDは、そのすべてが気流制限の一因となる3つの異なる病理学的状態、すなわち、慢性気管支炎、肺気腫および末梢気道病変を包含する包括的用語である。一般に、この3つのすべてが、COPDを呈する患者に様々な程度で存在し、3つのすべてが、COPD患者の気管支肺胞洗浄(BAL)液中で観察される好中球数の増加によって支持されるように、好中球介在性炎症のためである可能性がある(Thompson,A.B.;Daughton,D.ら、Am.Rev.Respir.Dis.1989,140,1527〜1537)。COPDの主な発病決定因子は、プロテアーゼ−アンチプロテアーゼバランス(「エラスターゼ:アンチエラスターゼ仮説」としても知られる)であり、HNEと、α1−アンチトリプシン(α−AT)、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)およびプレ−エラフィンなどの内因性アンチプロテアーゼとの不均衡が、COPDの各種の炎症性障害をもたらすと長らく考えられていた。プロテアーゼ阻害因子α1−アンチトリプシンの遺伝子欠損を有する個体は、やがては重症度を増す肺気腫を発症する(Laurrell,C.B.;Erikkson,S.、Scand.J.Clin.Invest.1963,15,132〜140)。それゆえ、HNEの過剰は、破壊的であり、弾性の喪失および肺中での気道の肺胞付着の破壊を伴う肺組織形態の破壊(肺気腫)につながり、一方、同時に、微小血管透過性および粘液分泌過多を増大させる(慢性気管支炎)。
【0004】
多量体リガンドは、適切な足場を介して一緒につなぎ留められた多数の結合領域からなる。それゆえ、個々の結合領域は単一分子中に一緒に連結され、該多量体が、多数の活性部位と逐次的に段階を追った方式で結合して高い親和性相互作用を生じさせる可能性を高める(Handl,H.L.ら、Expert Opin.Ther.Targets 2004,8,565〜586;Han,Y.F.ら、Bioorg.Med.Chem.Letts.1999,7,2569〜2575)。また、比較的大きな解離速度をもつ多数の結合相互作用(逐次的または並行的)は、合同して、多量体リガンドに対して全体的小さな解離速度をもたらすことができる。したがって、適切なリンカーおよびリガンドからなる分子は、効能および/または作用持続時間に関して単量体リガンドの単独に優る利点を示すことが期待できる。多量体化合物は、経口で生物学的に利用可能であるとは思われず(リピンスキーの「5の法則」により予想されるように)、このことは、吸入経路による肺への投与を目標にしている場合、吸入投与の後でさえ薬物の大部分が胃腸管に入ると思われるので、有利である可能性がある。したがって、このような化合物は、吸入投与後の全身性曝露の低下、それゆえ、経口で投与される治療法に優る毒性プロフィールの改善を示すことが期待できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、HNEの阻害薬であり、かつHNE活性が役割を演じる疾患または状態を治療するのに有用である新規な化合物を提供する。本発明の化合物は、単量体として、または特に、リンカー骨格を介して共有結合で連結された二量体などの多量体の形態で吸入により局所的に肺へ適用する場合に使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、本発明は、式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
Aは、アリールまたはヘテロアリールであり、
Dは、酸素または硫黄であり、
、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、ヒドロキシ、またはC〜C−アルコキシもしくはC〜C−アルケニルオキシ(ここで、C〜C−アルキルおよびC〜C−アルコキシは、さらにハロゲン、ヒドロキシおよびC〜C−アルコキシからなる群から選択される1〜3個の同一または異なる基で置換されていてもよい)であり、
RおよびRは、それぞれ独立に、式−[X]−[Alk−[Q]−[Alk−[X−Zの基を表し、
ここで、
k、m、n、pおよびqは、独立に0または1であり、
AlkおよびAlkは、それぞれ独立に、エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)またはアミノ(−NR−)(ここで、Rは水素またはC〜Cアルキルである)結合を必要に応じて含んでいてもよい、必要に応じて置換されたC〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレン基を表し、
Qは、
(i)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−S(R)−、−N(R)−、−N(R)(R)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRC(=O)NR−、−NRC(=NR)NR−、−C(=NR)NR−、−NRC(=NR)−(ここで、R、R、RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルであるか、あるいはRとRまたはRとRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7個の環原子からなる単環式複素環を形成している)、または
(ii)3〜6個の環メンバーを有する必要に応じて置換された二価の単環式または二環式の炭素環または複素環基を表し、
Xは、−(C=O)−、−S(O)−、−C(=O)O−、−(C=O)NR−または−S(O)NR−(ここで、Rは、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)を表し、
は、−O−、−S−または−NHを表し、かつ
Zは、水素、または3〜6個の環メンバーを有する必要に応じて置換された単環式または二環式の炭素環または複素環基である]の化合物を提供する。
【0009】
本発明には、リンカー骨格を介して共有結合で連結された2、3または4分子の上式(I)の化合物を含む多量体化合物も含まれる。
【0010】
上式(I)の化合物およびその多量体は、その塩、特に薬学的に許容される塩、N−オキシド、水和物および溶媒和物の形態で調製できる。本明細書中の化合物に対する任意の特許請求の範囲、または「本発明の化合物」、「本発明に関わる化合物」、式(I)の化合物などに対する言及には、このような化合物の塩、N−オキシド、水和物および溶媒和物が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の化合物は、HNEが関与する疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙で誘発される肺気腫および嚢胞性線維症を治療または予防するのに有用であり得る。
【0012】
それゆえ、本発明の他の態様は、(i)本発明の化合物および薬学的に許容される担体または賦形剤を含有する医薬組成物、ならびに(ii)HNEが関与する疾患または状態の治療または予防のための医薬を製造するための本発明の化合物の使用である。
(用語)
本明細書中で使用する場合、用語「(C〜C)アルキル」(aおよびbは整数)は、a〜b個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を指す。したがって、例えばaが1でbが6なら、該用語には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが含まれる。
【0013】
本明細書中で使用する場合、用語「(C〜C)アルケニル」(aおよびbは整数)は、a〜b個の炭素原子を有し、該当するなら立体化学がEまたはZの少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルケニル部分を指す。したがって、例えばaが2でbが6なら、該用語には、例えば、ビニル、アリル、1−および2−ブテニル、ならびに2−メチル−2−プロペニルが含まれる。
【0014】
本明細書中で使用する場合、用語「C〜Cアルキニル」(aおよびbは整数)は、a〜b個の炭素原子を有し、かつさらに1つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。したがって、例えばaが1でbが6なら、該用語には、例えば、エチニル(−C≡CH)、1−プロピニル、1−および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル,4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルおよび5−ヘキシニルが含まれる。
【0015】
本明細書中で使用する場合、用語「二価の(C〜C)アルキレン基」(aおよびbは整数)は、a〜b個の炭素原子および2つの未結合原子価を有する飽和炭化水素鎖を指す。
【0016】
本明細書中で使用する場合、用語「二価の(C〜C)アルケニレン基」(aおよびbは整数)は、2〜6個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を有する二価の炭化水素鎖を指す。
【0017】
本明細書中で使用する場合、制限されていない用語「炭素環」は、そのすべてが炭素である16個までの環原子を有する単環式、二環式または三環式基を指し、アリールおよびシクロアルキルを含む。
【0018】
本明細書中で使用する場合、制限されていない用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する単環式の飽和炭素環式基を指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。
【0019】
本明細書中で使用する場合、制限されていない用語「アリール」は、単環式、二環式または三環式の炭素環式芳香族基を指し、共有結合で直接的に連結された2つの単環式炭素環式芳香族環を有する基を含む。このような基の例が、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0020】
本明細書中で使用する場合、制限されていない用語「ヘテロアリール」は、S、NおよびOから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式の芳香族基を指し、共有結合で直接連結された、2つのこのような単環式環、または1つのこのような単環式環と1つの単環式アリール環を有する基を含む。このような基の例が、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0021】
本明細書中で使用する場合、制限されていない用語「ヘテロシクリル」または「複素環」または「ヘテロシクロアルキル」は、上で定義したような「ヘテロアリール」を含み、その非芳香族的意味は、S、NおよびOから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式の非芳香族基、ならびに1つまたは複数のこのようなヘテロ原子を含み、別のこのような基または単環式炭素環式基に共有結合で連結された基を指す。このような基の例が、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンゾフラニル、ピラニル、イソキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0022】
それが出現する文脈で別途指定されない限り、用語「置換された」は、本明細書中の任意の部分に適用される場合、4つまでの適合性のある置換基で置換されていることを意味し、その置換基のそれぞれは、独立に、例えば、(C〜C)アルキル、シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、メルカプト、メルカプト(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルチオ、フェニル、5または6個の環原子を有する単環式ヘテロアリール、ハロ(フルオロ、ブロモおよびクロロを含む)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(−CN)、オキソ、−COOH、−COOR、−COR、−SO、−CONH、−SONH、−CONHR、−SONHR、−CONR、−SONR、−NH、−NHR、−NR、−OCONH、−OCONHR、−OCONR、−NHCOR、−NHCOOR、−NRCOOR、−NHSOOR、−NRSOOH、−NRSOOR、−NHCONH、−NRCONH、−NHCONHR、−NRCONHR、−NHCONRまたは−NRCONRでよく、ここで、RおよびRは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、フェニル、または5または6個の環原子を有する単環式ヘテロアリールであるか、あるいはRおよびRが、同一の窒素原子に結合しているなら、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルなどの環状アミノ環を形成する。「必要に応じた置換基」は、前述の置換基群の1つでよい。
【0023】
本明細書中で使用する場合、用語「塩」には、塩基付加塩、酸付加塩および第4級塩が含まれる。酸性である本発明の化合物は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、バリウムおよびマグネシウム)などの塩基との;有機塩基(例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリントリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リシン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンなど)との薬学的に許容される塩を含む塩を形成できる。塩基性であるそれらの化合物(I)は、無機酸(例えば、塩酸または臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸など)との、および有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸、およびマンデル酸など)との薬学的に許容される塩を含む塩を形成できる。塩基性窒素を有するそれらの化合物(I)は、塩素イオン、臭素イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、コハク酸イオン、ヘミコハク酸イオン、ナフタレン−ビススルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、キシナホ酸イオンなどの薬学的に許容される対イオンを伴う第4級アンモニウム塩も形成できる。
【0024】
1つまたは複数の現実のまたは潜在的なキラル中心を含む本発明の化合物は、不斉炭素原子の存在のため、各キラル中心でRまたはSの立体化学をもついくつかのジアステレオ異性体として存在できる。本発明には、このようなジアステレオ異性体のすべておよびそれらの混合物が含まれる。
【0025】
式(I)の本発明の単量体化合物において、任意の適合性のある組合せで、原子Dは、OまたはSでよいが、Oが一般に好ましい。
【0026】
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり、アリールまたはヘテロアリールの例として前に挙げた環のいずれか、特にフェニルおよび5または6個の環原子を有する単環式ヘテロアリールでよい。具体例には、2−および3−ピリジルなどのピリジル、またはピリミジン−2−イルなどのピリミジニルが含まれるが、現在のところ、Aはフェニルであるのが好ましい。
【0027】
およびRは、式(I)に関して定義した水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、ヒドロキシまたはC〜C−アルコキシもしくはC〜C−アルケニルオキシを含む置換基型のいずれかから選択できる。このような置換基の具体例には、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、メチル、メトキシおよび−C≡CHが含まれる。例えば、−ARは、4−シアノフェニルまたは4−エチニルフェニルでよい。
【0028】
およびRも、式(I)に関して定義した置換基型のいずれかから選択できるが、本発明の化合物の1つの一般的に好ましい型において、Rは水素であり、かつRは3−トリフルオロメチル、3−クロロまたは3−ブロモである。
【0029】
現在のところ、本発明の単量体は、RおよびR置換基が結合領域から遠く離れて配置され、溶媒に向かって伸びている阻害薬としてHNEと相互作用することができると考えられる。それゆえ、そのような基は、溶解性およびその他の薬物動態特性を調節するための部位を提供する。したがって、RおよびRは、広範囲に変化することができ、式(I)に関して式−[X]−[Alk−[Q]−[Alk−[X−Zの基として定義される。その定義によれば、k、m、n、pおよびqは、すべて0でもよく、Zは水素でよく、その結果RおよびRは、それ自体水素でよい。しかし、多くの他のクラスのRおよびR置換基は、該変数に対する値の異なる組合せを選択することによって包含される。
【0030】
例えば、RまたはRは、C〜C−アルキル、ホルミル、アミノカルボニル、モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、C〜C−シクロアルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、N−(C〜C−アルキルスルホニル)−アミノカルボニル、N−(C〜C−アルキルスルホニル)−N−(C〜C−アルキル)−アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールカルボニルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルから選択することができ、ここで、C〜C−アルキル、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、アミノ、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、N−(モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル)−アミノカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される1〜3個の同一または異なる基で置換されていてもよい。
【0031】
本発明の化合物の特定のサブクラスにおいて、Rおよび/またはRは、式−[X]−[Alk−[Q]−[Alk−[X−Zの基であり、ここで、mは0であり、k、p、nおよびqはそれぞれ1であり、Qは−N(R)または−N(R)(R)−であり、R、R、Alk、Alk、XおよびZは式(I)に関して定義した通りである。このサブクラスで、Xは、例えば、−O−でよく、Zは、例えば必要に応じて置換されたフェニル、または5もしくは6個の環原子を有する単環式ヘテロアリールでよい。
【0032】
本発明の化合物において、RおよびRの一方は、他方が水素以外の置換基であるなら、水素でよい。
【0033】
RおよびR基の他のタイプは、式(VIIIA)、(VIIIB)または(VIIIC)
【0034】
【化2】

【0035】
(式中、R4Aは水素またはC〜C−アルキルであり、sは1または2である)を有する。
【0036】
RおよびRのさらなるタイプは、式(IX)
【0037】
【化3】

【0038】
を有し、式中、
4Bは、水素またはC〜C−アルキルであり、
4C、R4D、R4Eは、それぞれ、C〜C−アルキルであり、それらが結合している窒素は第4級であり、かつ正電荷を有し、さらには、R4C、R4D、R4Eの任意の2つは、一緒になって、酸素または窒素から選択される第2のヘテロ原子を必要に応じて含む環を形成することができるか、あるいは、
4C、R4D、R4Eの1つは孤立電子対であり、他の基は上で定義した通りであり、かつそれらが結合している窒素は第3級であり、
v1およびv2は、それぞれ独立に0〜5である。
【0039】
RおよびR基の他のタイプは、以下
【0040】
【化4】

【0041】
から選択される基であり、式中、
4Bは、水素またはC〜C−アルキルであり、
4C、R4D、R4Eは、それぞれ、C〜C−アルキルであり、それらが結合している窒素は第4級であり、かつ正電荷を有し、さらにはR4C、R4D、R4Eの任意の2つは、一緒になって、酸素または窒素から選択される第2のヘテロ原子を必要に応じて含む環を形成することができるか、あるいは、
4C、R4D、R4Eの1つは孤立電子対であり、他の基は上で定義した通りであり、かつそれらが結合している窒素は第3級であり、
4FおよびR4Iは、独立に、水素またはC〜C−アルキルであり、
4GおよびR4Hは、独立に、水素またはC〜C−アルキルであるか、あるいは、R4GおよびR4Hは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7個の環原子からなる単環式複素環を形成し、かつ
v1およびv2は、それぞれ独立に0〜5である。
【0042】
本発明の多量体化合物では、2、3または4分子の本発明の単量体化合物が、リンカー骨格を介して共有結合で連結される。リンカー骨格は、HNE酵素と相互作用するうえで積極的な役割を演じる必要がなく、その役割は、1つまたは複数の単量体要素と酵素との間の結合性接触を可能にするだけである。それゆえ、リンカー骨格について広範な範囲の化学作用を考えることができる。さらに、単量体要素のリンカー骨格への結合点は、採用予定の特定リンカーの化学作用に従って選択することができる。現在のところ、2、3または4つの単量体分子が、式(I)で示されるそれらの各窒素原子を介して、RまたはRに連結されるようにリンカー骨格に連結されることが好ましい。
【0043】
さらに、現在のところ、たった2つの単量体がそのように連結されることが好ましい。後者の場合、リンカー骨格は、例えば、該鎖中に2〜12個の炭素原子を有する二価で直鎖の飽和または不飽和の炭化水素基でよく、ここで、1つまたは複数の炭素は、環中または各環中に3〜7個の環原子を有する二価の単環式または二環式の炭素環または複素環基によって、あるいは−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−、−N(R)−、−N(R)(R)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRC(=O)NR−、−NRC(=NR)NR−、−C(=NR)NR−、または−NRC(=NR)−で置き換えられることができ、ここで、R、R、RおよびRは、独立に、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、かつRおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキル、HO−(C〜Cアルキル)−、RN−(C〜Cアルキル)−またはHOC(=O)−(C〜Cアルキル)−であるか、あるいは、RとR、またはRとR、またはRとRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7個の環原子からなる単環式複素環を形成する。
【0044】
リンカー骨格の1つまたは複数の−(CH)−の基が、二価の単環式または二環式の炭素環または複素環基で置き換えられている場合、前記の基は、例えば、次のもの
【0045】
【化5】

【0046】
から選択できる。
【0047】
リンカー骨格は、例えば、次の構造(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(G)および(E)、
【0048】
【化6】

【0049】
の1つを有することができる。
【0050】
上記タイプの具体的なリンカー骨格には、本明細書中の二量体化合物の実施例中で提供されるものが含まれる。
【0051】
かくして、本発明の多量体の1つの好ましいサブセットは、式M−L−Mを有し、式中、Lは、例えばリンカー骨格として前に考察した類の二価のリンカー基であり、MおよびMは、それぞれ独立に、式(IA)
【0052】
【化7】

【0053】
(式中、D、AおよびR〜Rは、前に定義し考察した通りである)の基であり、好ましくは、MおよびMが同一である。
【0054】
本発明の多量体の別の好ましいサブセットは、式M−L−Mを有し、式中、Lは、例えばリンカー骨格として前に考察した類の二価のリンカー基であり、MおよびMは、それぞれ独立に、式(IB)
【0055】
【化8】

【0056】
(式中、D、AおよびR、R、R、RおよびRは、前に定義し考察した通りである)の基であり、ここでもまた、MおよびMが同一であることが一般には好ましい。
【0057】
式(IA)および(IB)のこのような二量体化合物の具体例には、本明細書の実施例の化合物が含まれる。
【0058】
本発明の化合物の治療上の有用性は、ヒト好中球エラスターゼの作用によって少なくとも部分的に介在されることが知られている任意の疾患に関する。例えば、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、肺炎および肺線維症を治療するのに有益であり得る。
【0059】
本発明は、また、活性成分として本発明の化合物を含有する医薬製剤に関する。肺の炎症性疾患を予防および治療するために、他の化合物を本発明の化合物と組み合わせることができる。したがって、本発明は、また、治療上有効な量の本発明の化合物および1種または複数種の他の治療薬を含有する、肺の炎症性疾患を予防および治療するための医薬組成物に関する。
【0060】
本発明の化合物との併用療法に適した治療薬には、(1)コルチコステロイド、例えば、フルチカゾンまたはブデソニド、(2)β2−アドレナリン受容体作用薬、例えばサルメテロールまたはフォルメテロール、(3)ロイコトリエン調節薬、例えば、モンテルカストまたはプランルカスト、(4)抗コリン薬、例えば、選択的ムスカリン−3(M3)受容体拮抗薬(チオトロピュームブロミドなど)、(5)ホスホジエステラーゼ−IV(PDE−IV)阻害薬、例えば、ロフルミラストまたはシロミラスト、(6)コデインまたはデキストラモルファンなどの鎮咳薬、および(7)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、イブプロフェンまたはケトプロフェンが含まれる。
【0061】
第1活性成分と第2活性成分との重量比は、変えることができ、各成分の有効投与量によって決まる。一般に、それぞれの有効投与量が使用される。
【0062】
本発明の化合物の予防的または治療的投与量の大きさは、もちろん、治療すべき状態の重症度の性質および個々の化合物およびその投与経路によって変化し、一般には、薬剤技術の分野で要求されるような臨床試験によって決定される。それは、また、個々の患者の年齢、体重および反応により変化する。一般に、1日当たり投与量の範囲は、単回または分割投与で、哺乳動物の体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、好ましくは1kg当たり0.01mg〜約50mg、最も好ましくは1kg当たり0.1mg〜10mgの範囲内にある。一方、場合によっては、これらの限界の範囲を超える投与量を使用することが必要である可能性もある。
【0063】
本発明の別の態様は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。用語「組成物」は、医薬組成物の場合、活性成分(群)および担体を構成する不活性成分(群)(薬学的に許容される賦形剤)を含有する製品、ならびに任意の2種以上の成分からなる組合せ、複合または凝集に、あるいは1種または複数種の成分の解離に、あるいは1種または複数種の成分のその他のタイプの反応または相互作用に直接または間接的に由来する任意の製品を包含すると解釈される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物、さらなる活性成分(群)および薬学的に許容される賦形剤を混合することによって作られる任意の組成物を包含する。
【0064】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有し、薬学的に許容される担体および必要に応じてその他の治療用成分を含むこともできる。用語「薬学的に許容される塩」は、無機の塩基または酸および有機の塩基または酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基または酸から調製される塩を指す。
【0065】
任意の適切な投与経路を採用して、哺乳動物、特にヒトに有効な投与量の本発明の化合物を提供できる。治療的使用では、活性化合物を、任意の都合のよい適切なまたは効果的な経路で投与できる。適切な投与経路は、当業者に公知であり、経口、静脈内、直腸、非経口、局所、眼内、経鼻、口内および肺が含まれる。吸入による送達が好ましい。
【0066】
吸入による投与に適した組成物は、公知であり、このような組成物での使用のために知られている担体および/または希釈剤を含むことができる。組成物は、0.01〜99重量%の活性化合物を含むことができる。好ましくは、単位投与量は、活性化合物を1μg〜10mgの量で含有する。
【0067】
最も適切な投与量レベルは、当業者に公知の任意の適切な方法により決定できる。しかし、任意の個々の患者に対する具体的な量は、使用される具体的化合物の活性、患者の年齢、体重、食事、一般的健康状態および性別、投与時間、投与経路、排泄速度、他の薬物の使用、および治療を受けている疾患の重症度を含む種々の因子によって決まることが理解されよう。
【0068】
吸入で送達する場合、活性化合物は、好ましくは微粒子の形態である。それらの微粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥およびミクロ化を含む各種の技術によって調製できる。
【0069】
例を挙げれば、本発明の組成物は、ネブライザーからの送達のための懸濁液として、または例えば加圧式定量噴霧式吸入器(PMDI)中で使用するための液体噴射剤中のエアロゾルとして調製できる。PMDI中で使用するのに適した噴射剤は、当業者に公知であり、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl2F2)およびHFA−152(CH4F2およびイソブタン)が含まれる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を使用する送達のための乾燥粉末の形態である。多くのタイプのDPIが知られている。
【0071】
投与によって送達するための微粒子は、送達および放出を助ける賦形剤を用いて製剤することができる。例えば、乾燥粉末製剤では、微粒子を、DPIから肺への流入を助ける大きな担体粒子を用いて製剤できる。適切な担体粒子は公知であり、乳糖の粒子が含まれ、それらの粒子は、90μmを超える質量メディアン空気力学的直径を有することができる。
【0072】
エアゾールをベースにした製剤の場合、好ましい組成物は、
本発明の化合物 24mg/キャニスター
レシチン、NF Liq.Conc. 1.2mg/キャニスター
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/キャニスター
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/キャニスター、である。
【0073】
本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患または状態の治療/予防/抑制または改善で使用される他の薬物と組み合わせて使用できる。このような他の薬物は、本発明の化合物と同時にまたは逐次的に、1つの経路でかつそのために通常的に使用される量で投与できる。本発明の化合物を1種または他の複数種の薬物と同時に使用する場合には、本発明の化合物に加えてこのような他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加えて1種または複数種の他の活性成分をも含有する組成物が含まれる。
【0074】
本発明の薬剤は、吸入形態で投与できる。エアゾールの発生は、例えば、圧力駆動ジェットアトマイザーまたは超音波アトマイザーを使用して、好ましくは噴射剤駆動式定量エアゾールまたは例えば吸入カプセルまたはその他の「乾燥粉末」送達システムからの噴射剤を含まないミクロ化活性化合物形態の投与を使用して行うことができる。
【0075】
活性化合物は、使用する吸入器システムに応じて記載されているように投与することができる。活性化合物に加え、投与形態は、さらに、例えば、噴射剤(例えば、定量エアゾールの場合のFrigen)、界面活性物質、乳化剤、安定剤、保存剤、風味料、増量剤(例えば、粉末吸入器の場合の乳糖)などの賦形剤、あるいは適切ならさらなる活性化合物を含有することができる。
【0076】
吸入の目的のためには、患者に適切である吸入技術を使用して最適粒子径のエアゾールを発生し投与できる多数のシステムが利用可能である。特に粉末吸入器の場合には、アダプター(スペーサー、エクスパンダー)および梨型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、および定量エアゾール用のパフ噴霧(puffer spray)を噴出する自動デバイス(Autohaler(登録商標))の使用に加え、いくつかの技術的解決法を利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)または例えば欧州特許公開第0505321号に記載されているような吸入器)。
(合成方法)
本発明の化合物は、適切な材料を使用して以下のスキームおよび実施例の方法に従って調製することができ、さらに、以下の具体例で例示される。さらに、本明細書中に含まれる開示によって説明される方法を利用することによって、当業者は、本発明で特許請求される本発明のさらなる化合物を容易に調製できる。しかし、実施例中で例示される化合物は、本発明と考えられる唯一の部類を構成すると解釈すべきでない。実施例は、さらに、本発明の化合物の調製についての詳細を例示する。当業者は、次の調製方法の条件および工程に関する周知の変形形態を使用してこれらの化合物を調製できることを容易に理解するであろう。
【0077】
本発明の化合物は、それらの薬学的に許容される塩、例えば、本明細書中で前述した塩などの形態で単離できる。単離された塩に対応する遊離の酸または塩基の形態は、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸および塩酸などの適切な塩基または酸を用いる中和、および遊離された遊離の酸または塩基の有機溶媒中への抽出、それに続く蒸発によって生成させることができる。この方法で単離された遊離形態は、さらに、有機溶媒中への溶解、それに続く適切な酸または塩基の添加、それに続く蒸発、沈殿、または再結晶によって別の薬学的に許容される塩に変換できる。
【0078】
本発明の化合物の調製で使用される中間体中の反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、チオまたはカルボキシ)を、化合物の形成につながる反応中でのそれら官能基の望ましくない関与を回避するために、保護することが必要である場合がある。通常の保護基、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.Wutsの著作「Protective groups in organic chemistry」John Wiley and Sons、1999年に記載の保護基を使用できる。
【0079】
本発明の化合物は、スキーム1および2に示す経路に従って調製できる。
【0080】
【化9】

【0081】
【化10】

【実施例】
【0082】
以下の実施例により本発明を説明する。
(全般的な実験詳細)
すべての溶媒および市販試薬は、受け入れたものをそのまま使用した。生成物をIsolute(商標)SPE Si IIカートリッジを使用して精製した場合、「Isolute SPE Siカートリッジ」とは、粒子形状が不規則で、50μmの平均径および公称60Åの多孔度を有する未結合性活性シリカを含む充填済みポリプロピレンカラムを指す。Isolute(商標)SCX−2カートリッジを使用した場合、「Isolute SCX−2カートリッジ」とは、非エンドキャップ型のプロピルスルホン酸で官能化されたシリカの強陽イオン交換吸着剤を含む充填済みポリプロピレンカラムを指す。「Isolute Al−Nカートリッジ」とは、50〜200μmの平均粒子径、120Åの細孔直径を有する中性アルミナを含む充填済みポリプロピレンカラムを指す。
分取HPLCの条件:
HPLCシステム1:
C18−逆相カラム(粒子径が7μmの100×22.5mm内径、Genesisカラム)、5mL/分の流量で、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とをBが1%/分で増加するグラジエントで溶離。230nmでUV検出。特記した場合、化合物はギ酸塩として得られた。
HPLCシステム2:
C18−逆相エンドキャップカラム(粒子径が5μmの250×21.2mm Geminiカラム)、代表的には17mL/分の流量で、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とをBが1%/分で増加するグラジエントで溶離。254nmでUV検出。特記した場合、化合物はギ酸塩として得られた。
HPLCシステム3:
C18−逆相エンドキャップカラム(粒子径が5μmの250×21.2mm Geminiカラム)、代表的には17mL/分流量で、A(水)とB(アセトニトリル)とをBが1%/分で増加するグラジエントで溶離。254nmでUV検出。
HPLCシステム4:
C18−逆相エンドキャップカラム(粒子径が5μmの250×21.2mm Geminiカラム)、代表的には17mL/分の流量で、A(水)とB(MeOH)とをBが1%/分で増加するグラジエントで溶離。254nmでUV検出。
HPLCシステム5:
C18−逆相カラム(粒子径が5μmの250×21.2mm Lunaカラム)、15mL/分の流量で、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とをBが1%/分で増加するグラジエントで溶離。254nmでUV検出。特記した場合、化合物はギ酸塩として得られた。
LC−MS 方法1
C18−逆相カラム(粒子径が3μmの30×4.6mm Phenomenex Luna)を備えたWaters Platform LC、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とで溶離。グラジエント:
グラジエント−時間 流量(mL/分) %A %B
0.00 2.0 95 5
0.50 2.0 95 5
4.50 2.0 5 95
5.50 2.0 5 95
6.00 2.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインのUV検出器を備えたMSに100μLのスプリットで)
MSのイオン化法−エレクトロスプレー(陽および陰イオン)
LC−MS 方法2
C18−逆相カラム(粒子径が3μmの30×4.6mm Phenomenex Luna)を備えたWaters Micromass ZMD、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とで溶離。グラジエント:
グラジエント−時間 流量(mL/分) %A %B
0.00 2.0 95 5
0.50 2.0 95 5
4.50 2.0 5 95
5.50 2.0 5 95
6.00 2.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインのUV検出器を備えたMSに100μLのスプリットで)
MSのイオン化法−エレクトロスプレー(陽および陰イオン)
LC−MS 方法3
C18−逆相カラム(粒子径が5μmの100×3.0mm Higgins Clipeus)を備えたMicromass Platform LCT、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とで溶離。グラジエント:
グラジエント−時間 流量(mL/分) %A %B
0.00 1.0 95 5
1.00 1.0 95 5
15.00 1.0 5 95
20.00 1.0 5 95
22.00 1.0 95 5
25.00 1.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインのUV検出器を備えたMSに100μLのスプリットで)
MSのイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオン)
LC−MS 方法4
C18−逆相カラム(粒子径が5μmの100×3.0mm Higgins Clipeus)を備えたWaters Micromass ZQ2000、A(水+0.1%ギ酸)とB(アセトニトリル+0.1%ギ酸)とで溶離。グラジエント:
グラジエント−時間 流量(mL/分) %A %B
0.00 1.0 95 5
1.00 1.0 95 5
15.00 1.0 5 95
20.00 1.0 5 95
22.00 1.0 95 5
25.00 1.0 95 5
検出−MS、ELS、UV(インラインのUV検出器を備えたMSに100μLのスプリットで)
MSのイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオン)
実験の部で使用される省略形
DCM=ジクロロメタン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
IMS=工業用メチル化スピリット
RT=室温
Rt=保持時間
THF=テトラヒドロフラン
次の中間体は、示した参照文献に従って調製できる。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
(中間体14)
【0086】
【化11】

【0087】
ポリリン酸(17.2g)をTHF(90mL)に懸濁し、3,5−ジフルオロフェニル尿素(5.40g、31.4ミリモル)、4−シアノベンズアルデヒド(4.94g、37.6ミリモル)およびアセト酢酸エチル(3.97mL、31.4ミリモル)を添加しながら機械的に撹拌した。生じた混合物を17時間加熱還流し、次いで、室温に48時間放置した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を水とEtOAcとの間に分配させた。有機層を、水、炭酸ナトリウム水溶液、水、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。生じたフォームを、DCMで負荷し、17.5〜20〜25%EtOAc/イソヘキサンで溶離するBiotage(商標)フラッシュクロマトグラフィーカートリッジ(90g)で2つのバッチに分けて精製した。かくして得られたフォームをイソヘキサン/EtOと共に磨り潰し、次いで、濾過により白色固体として集め、2:1のイソヘキサン:EtOでの1回の置換洗浄にかけ、真空オーブン中で乾燥した。
収量:6.63g(53%)。
LC−MS(方法1):Rt=3.55分、m/z=398[M+H]
(中間体15)
【0088】
【化12】

【0089】
中間体15は、4−ヨードベンズアルデヒド、アセト酢酸エチルおよび3−(トリフルオロメチル)フェニル尿素から中間体14の調製で使用したのと同様の方法を使用して調製した。
収率:(25%)
LC−MS(方法1):Rt=4.17分、m/z=531[M+H]
(中間体16)
【0090】
【化13】

【0091】
中間体1(5.00g、11.7ミリモル)をクロロホルム(140mL)に溶解し、撹拌しながら臭素(1.87g、11.7ミリモル)を滴下した。30分後、さらに数滴の臭素を橙色が残存するまで添加した。揮発物を蒸発させると黄色フォームが得られた。
収量:定量的
LC−MS(方法2):Rt=3.82分、m/z=508/510[M+H]
次の中間体を同様の方法で調製した。
【0092】
【表3】

【0093】
(中間体22)
【0094】
【化14】

【0095】
中間体13(32mg、0.029ミリモル)をクロロホルム(2mL)に溶解し、臭素(4滴)を添加した。溶液を室温で1時間撹拌した後、揮発物を蒸発させた。クリーム色のフォームとして生成物を得た。
収量:定量的
LC−MS(方法2):Rt=3.35分、m/z=1182[M]
次の中間体を同様の方法で調製した。
【0096】
【表4】

【0097】
(中間体29)
【0098】
【化15】

【0099】
中間体1(1.00g、2.331ミリモル)を無水DMF(25mL)に溶解し、溶液をアルゴン下で−10℃まで冷却した。水素化ナトリウム(60%/ミネラルオイル懸濁物)(93mg、2.331ミリモル)を添加し、反応混合物を、発泡が止まるまで撹拌した。N−Boc−3−ブロモプロピルアミン(610mg、2.563ミリモル)を添加し、0℃でさらに2.5時間撹拌を継続した後、飽和塩化アンモニウム水(60mL)およびEtOAc(60mL)を添加した。有機層を分離し、水溶液をEtOAc(60mL)でさらに抽出した。有機抽出物を合わせ、水(50mL)および飽和食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、蒸発させた。残留物を、0〜30%EtOAc/ペンタンで溶離するIsolute(商標)Si IIカートリッジで精製して淡黄色オイルとして生成物を得た。
収量:783mg(57%)
LC−MS(方法2):Rt=4.31分、m/z=585[M−H]
(中間体30)
【0100】
【化16】

【0101】
中間体29(776mg、1.32ミリモル)をDCM(20mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(236mg、1.32ミリモル)を添加した。溶液を室温で1.5時間撹拌し、次いで、混合物を、DCM(80mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)、水(50mL)および食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)した。蒸発させると淡黄色ガムが得られた。
収量:定量的
LC−MS(方法2):Rt=4.36分、m/z=565/567[M−Boc+2H]
(中間体31)
【0102】
【化17】

【0103】
中間体30(731mg、1.099ミリモル)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(277mg、3.297ミリモル)および2Mエチルアミン/THF(0.8mL、1.65ミリモル)を添加した。混合物を、80℃で3.5時間加熱し、放冷し、濾過し、蒸発させた。残留物を、DCM(70mL)と水(50mL)との間に分配させた。有機層を、分離し、蒸発させ、粗生成物を、40〜80%EtOAc/ペンタンで溶離するIsolute(商標)Si IIカートリッジ(10g)で精製してクリーム色のフォームとして生成物を得た。
収量:297mg(46%)
LC−MS(方法2):Rt=3.71分、m/z=582[M−H]
(中間体32)
【0104】
【化18】

【0105】
中間体31(292mg、0.501ミリモル)を20%TFA/DCM(20mL)に溶解した。2時間後、揮発物を蒸発させ、残留物をMeOHに溶解して、MeOHで前処理されたIsolute(商標)SCX−2カートリッジ(5g)に負荷した。MeOHでフラッシュ洗浄した後、生成物を2Mアンモニア/MeOHで溶離した。UV活性のある画分を蒸発させると淡黄色ガムとして純粋な生成物が得られた。
収量:221mg(91%)
LC−MS(方法2):Rt=2.33分、m/z=484[M+H]
(中間体33)
【0106】
【化19】

【0107】
中間体32(214mg、0.443ミリモル)をDCM(10mL)に溶解し、1,1’−チオカルボニルジピリドン(51mg、0.222ミリモル)を添加した。溶液を室温で48時間放置し、次いで、樹脂に結合したアミンで15分間処理した。濾過した後、溶媒を蒸発させ、粗生成物を、0〜5%MeOH/EtOAcで溶離するIsolute(商標)Si IIカートリッジ(5g)で精製した。生成物を含む画分を合わせて蒸発させ、残留物をMeOHに溶解し、Isolute(商標)SCX−2カートリッジ(5g)に通し、さらにメタノールでフラッシュ洗浄した。蒸発させると白色フォームが得られた。
収量:160mg(36%)
LC−MS(方法2):Rt=3.91分、m/z=1009[M+H]
(中間体34)
【0108】
【化20】

【0109】
中間体34は、中間体1およびブロモ酢酸tert−ブチルから、中間体29の合成で使用したのと同様の方法を使用して調製した。
収率:(80%)
LC−MS(方法2):Rt=4.31分、m/z=488[M+H−tBu]
(中間体35)
【0110】
【化21】

【0111】
中間体35は、中間体34から、中間体30の調製で使用したのと同様の方法を使用して調製した。
収率:(41%)
LC−MS(方法2):Rt=4.41分、m/z=566/568[M+H−tBu]
(中間体36)
【0112】
【化22】

【0113】
中間体35(467mg、0.751ミリモル)のアセトニトリル(15mL)溶液をN,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン(54mg、0.375ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(252mg、3.00ミリモル)で処理した。反応物を80℃で3.5時間加熱した。混合物を放冷した後、濾過し、濾液を蒸発させた。Isolute(商標)Si IIカートリッジ(10g)を使用し、1〜20%MeOH/EtOAcで溶離するクロマトグラフィーにより、白色固体として純粋な生成物を得た。
収量:182mg(43%)
LC−MS(方法2):Rt=3.22分、m/z=1136[M+H]
(中間体37)
【0114】
【化23】

【0115】
中間体36(177mg、0.156ミリモル)をDCM(30mL)とヨードメタン(8mL)との混合物に溶解した。室温で3日間放置した後、揮発物を蒸発させ、残留物をアセトニトリル(13mL)に溶かした。ヨードメタン(4mL)および炭酸水素ナトリウム(39mg、0.468ミリモル)を添加し、混合物を還流下に80℃で加熱した。17時間後、揮発物を蒸発させ、残留物をDCM(50mL)と水(50mL)との間に分配させた。有機相を分離し、乾燥(NaSO)した。蒸発させるとベージュ色のフォームが得られた。
収量:181mg(91%)
LC−MS(方法2):Rt=3.20分、m/z=1150[M]
(中間体38)
【0116】
【化24】

【0117】
中間体38は、中間体16および0.5当量の(2−アミノエチル){2−[(2−アミノエチル)tert−ブトキシカルボニルアミノ]エチル}カルバミン酸tert−ブチルエステルから、中間体36の合成で使用したのと同様の方法で調製した。
収率:(61%)
LC−MS(方法2):Rt=3.58分、m/z=1009[M+H]
(中間体39)
【0118】
【化25】

【0119】
中間体39中のtert−ブチルオキシカルボニル保護基は、中間体31の脱保護について説明したのと類似の方法を使用して除去した。
収率:(89%)
LC−MS(方法2):Rt=2.17分、m/z=909[M+H]
(中間体40)
【0120】
【化26】

【0121】
中間体39(219mg、0.241ミリモル)と1,1’−チオカルボニルジピリドン(28mg、0.121ミリモル)とのDCM(10mL)溶液を室温で24時間放置した。1,1’−チオカルボニルジピリドンのさらなる部分(20mg、0.086ミリモル)を添加し、4時間後、反応混合物をアミン樹脂で処理した。混合物を、15分間撹拌し、濾過し、MeOHでコンディショニングしたIsolute(商標)SCX−2カートリッジ(10g)に負荷した。カートリッジをMeOHでフラッシュ洗浄し、溶出液を蒸発させた。白色固体を、0〜10%MeOH/EtOAcで溶離するIsolute(商標)Si IIカートリッジ(10g)でのクロマトグラフィーにかけた。蒸発させると白色固体が得られた。
収量:150mg(66%)
LC−MS(方法2):Rt=3.00分、m/z=951[M+H]
(中間体41)
【0122】
【化27】

【0123】
実施例23の化合物(130mg、0.117ミリモル)のトリエチルアミン(0.5mL)とDMF(0.5mL)との溶液を脱気した後、(トリメチルシリル)アセチレン(34μL、0.235ミリモル)、ヨウ化銅(I)(1.7mg、3モル%)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(8.4mg、5モル%)を添加し、次いで、アルゴン下に115℃で2時間加熱撹拌した。冷却した混合物を希硫酸(25mL)中に注ぎ、EtOAc(2×25mL)で抽出した。これらの抽出物を食塩水(10mL)で洗浄した後、有機相を単離し、乾燥(MgSO)し、濾過し、真空で濃縮した。Isolute(商標)Si IIカートリッジを使用し、0〜10%MeOH/DCMのグラジエントで溶離して精製を達成した。生成物はクリーム色の固体として単離された。
収量:48mg(39%)
LC−MS(方法1):Rt=3.36分、m/z=1050[M+H]
(中間体42)
【0124】
【化28】

【0125】
中間体16(200mg、0.394ミリモル)と(3−アミノブチル)メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(370mg、1.83ミリモル)とのアセトニトリル(10mL)溶液を40℃で2時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物をMeOHに溶解して、MeOHでコンディショニングされたIsolute(商標)SCX−2カートリッジ(5g)に負荷した。生成物をMeOHでフラッシュ洗浄した。
収量:225mg(98%)
LC−MS(方法2):Rt=3.63分、m/z=484[M+H−Boc]
(中間体43)
【0126】
【化29】

【0127】
中間体42を、中間体31と同様の方法で脱保護した。
収率:(94%)
LC−MS(方法2):Rt=2.11分、m/z=484[M+H]
(中間体44)
【0128】
【化30】

【0129】
中間体3(219mg、0.379ミリモル)をアセトニトリル(13mL)に溶解し、2Mメチルアミン/THF溶液(2mL)を添加した。溶液を50℃で3時間加熱し、次いで、溶液を室温で3日間放置した。揮発物を蒸発させ、残留物をDCM(100mL)と水(80mL)との間に分配させた。有機層を分離し、乾燥(NaSO)した。蒸発させると白色のフォームが得られた。
収量:170mg(85%)
LC−MS(方法2):Rt=2.67分、m/z=529[M+H]
(中間体45)
【0130】
【化31】

【0131】
中間体44(165mg、0.313ミリモル)とフェノキシプロピルブロミド(67mg、0.313ミリモル)とのアセトニトリル(10mL)溶液を炭酸水素ナトリウム(53mg、0.626ミリモル)で処理し、反応混合物を80℃で4日間加熱した。溶液を、MeOHでコンディショニングしたIsolute(商標)SCX−2カートリッジ(5g)上にデカントした。カートリッジをMeOHでフラッシュ洗浄し、次いで、生成物を2M NH/MeOHで溶離した。蒸発させると無色のガムが得られた。
収量:105mg(51%)
LC−MS(方法1):Rt=2.98分、m/z=663[M+H]
(中間体46)
【0132】
【化32】

【0133】
中間体45(100mg、0.151ミリモル)のクロロホルム(6mL)溶液を臭素(10μL)で処理した。1時間後、臭素のさらなる部分(20μL)を添加した。揮発物を蒸発させてジ臭素化生成物を得た。
収量:定量的
LC−MS(方法2):Rt=3.12分、m/z=821[M+H]
(実施例1)
【0134】
【化33】

【0135】
中間体16(200mg、0.394ミリモル)のアセトニトリル(5mL)溶液に、2Mメチルアミン/THF溶液(197μL、0.394ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(165mg、1.97ミリモル)を添加した。溶液を80℃で16時間加熱し、次いで、混合物を濾過した。生成物をHPLCシステム1で精製し、純粋物を含む画分を合わせ、凍結乾燥した。生成物が黄色固体として得られた。
収量:62mg(38%)
LCMS(方法3):Rt=8.67分、m/z=413[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.73 (s, 3H), 3.78 (d, 1H), 3.83 (d, 1H), 5.44 (d, 1H), 7.67-7.82 (m, 5H), 7.85-7.90 (m, 2H), 7.91 (m, 1H), 8.19 (d, 1H) ppm.
次の実施例化合物を中間体16およびアミンから同様の方法で調製した。
【0136】
【表5】

【0137】
(実施例8)
【0138】
【化34】

【0139】
ヘキサメチレンジアミン(0.197ミリモル)のアセトニトリル(5mL)溶液に、中間体16(200mg、0.394ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(165mg、1.97ミリモル)を添加し、反応混合物を80℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで、溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をHPLCシステム1で精製した。生成物を含む画分を合わせ、凍結乾燥した。生成物は白色固体として得られた。
収量:50mg(29%)
LCMS(方法3):m/z=879[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.09 (br s, 4H); 1.29 (br s, 4H); 3.02-3.20 (m, 4H); 3.79 (s, 4H); 5.44 (d, 2H); 7.68-7.92 (m, 16H); 8.19 (d, 2H) ppm.
実施例8に類似の方法で、表記の中間体および適切なジアミンから次の化合物を調製した。
【0140】
【表6】

【0141】
【表7】

【0142】
【表8】

【0143】
(実施例24)
【0144】
【化35】

【0145】
中間体28のアセトニトリル(5mL)溶液に、NaHCO(92mg、1.10ミリモル)および2Mエチルアミン/THF(220μL、0.44ミリモル)を添加した。反応混合物を80℃で3.5時間加熱した。さらなる量の2Mエチルアミン/THF(220μL、0.44ミリモル)を添加し、混合物を80℃で4時間加熱した。混合物を濾過し、揮発物を蒸発させた。HPLCシステム1を使用して粗生成物を精製し、画分を合わせ、凍結乾燥して生成物を得た。HPLCシステム1を使用して生成物をさらに精製した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥して、クリーム色の固体として生成物を得た。
収量:16mg(7%)
LC−MS(方法3):Rt=8.69分、m/z=1064.06[M]
同様の方法で次の実施例化合物を調製した。
【0146】
【表9】

【0147】
(実施例30)
【0148】
【化36】

【0149】
中間体23(195mg、0.146ミリモル)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、NaHCO(61mg、0.73ミリモル)および2Mエチルアミン/THF(1.5mL、2.917ミリモル)を添加した。反応混合物を、80℃で4時間加熱し、次いで、濾過し、蒸発させた。残留物をMeOH(12mL)に溶解し、KCO(242mg、1.75ミリモル)の水(5mL)溶液を添加した。混合物を室温で撹拌し、30分後、EtOAc(50mL)および水(50mL)を添加した。有機溶液を単離し、食塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、蒸発させた。粗生成物を、HPLCシステム1を使用して精製し、凍結乾燥して、淡クリーム色の固体として生成物を得た。
収量:49mg(31%)
LC−MS(方法3):Rt=8.96分、m/z=1078.08[M+H]
(実施例31)
【0150】
【化37】

【0151】
中間体41(45mg、0.043ミリモル)のTHF(2mL)撹拌溶液に、室温でテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド溶液(1M/THF、45μL、0.045ミリモル)を添加した。1.5時間後、溶媒を真空で除去し、水(25mL)を添加し、EtOAc(2×25mL)で抽出した。これらの抽出物を食塩水(10mL)で洗浄した後、有機相を単離し、乾燥(MgSO)し、濾過し、真空で濃縮した。Isolute(商標)Si IIカートリッジを使用し、0〜10%MeOH/DCMのグラジエントを使用して精製すると、クリーム色の固体が得られた。HPLCシステム2を使用してさらに精製し、続いて、MeOHで通液洗浄したSCX−2カートリッジを使用して単離した後、生成物を2Mアンモニア/MeOHで回収し、オフホワイトの固体として標題化合物を得た。
収量:17mg(43%)
LC−MS(方法3):Rt=8.53分、m/z=906.28[M+H]
(実施例32)
【0152】
【化38】

【0153】
実施例17の化合物(50mg、0.055ミリモル)のアセトニトリル(2mL)溶液に、過剰のヨードメタン(500μL)および炭酸水素ナトリウム(14mg、0.16ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、真空で蒸発させた。粗生成物をHPLCシステム1で精製した。生成物を含む画分を合わせ、凍結乾燥した。
収量:31mg(54%)
LCMS(方法3):m/z=922.08[M]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.71 (br m, 4H); 2.82 (s, 6H); 2.99-3.30 (m, 8H); 3.81 (s, 4H); 5.40 (d, 2H); 7.61-7.90 (m, 16H); 8.21 (d, 2H) ppm.
同様の方法を使用して次の実施例化合物を調製した。
【0154】
【表10】

【0155】
(実施例38)
【0156】
【化39】

【0157】
中間体28(347mg、0.256ミリモル)およびN,N−ジメチルエチレンジアミン(135mg、1.536ミリモル)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(193mg、2.30ミリモル)を添加した。反応混合物を80℃で5時間加熱した後、それを濾過して蒸発させた。粗生成物を、HPLCシステム1を使用して精製し、純粋な画分を合わせ、凍結乾燥して淡クリーム色の固体として二ギ酸塩を得た。
収量:45mg(14%)
LC−MS(方法3):Rt=5.81分、m/z=575.79[M]2+/2
(実施例39)
【0158】
【化40】

【0159】
中間体33(155mg、0.154ミリモル)をIMS(20mL)に溶解し、ヨードメタン(4mL)を添加した。溶液を室温で3日間放置した。揮発物を蒸発させ、残留物を2Mアンモニア/EtOH(7mL)に再溶解した。反応物を50℃で48時間加熱し、濃縮し、残留物を、HPLCシステム1を使用して精製し、凍結乾燥して白色固体として生成物を得た。
収量:35mg(23%)
LC−MS(方法3):Rt=9.44分、m/z=992.04[M+H]
(実施例40)
【0160】
【化41】

【0161】
実施例40の化合物は、中間体24および(2−アミノエチル)トリメチルアンモニウムクロリド塩酸塩から、実施例38の合成で使用したのと同様の方法で調製した。粗生成物を、HPLCシステム1を使用して精製し、凍結乾燥して白色固体を得た。
収率:(20%)
LC−MS(方法3):Rt=6.17分、m/z=539.86[M]2+/2
(実施例41)
【0162】
【化42】

【0163】
中間体37(175mg、0.137ミリモル)をTFA(5mL)とDCM(15mL)との混合物で処理した。溶液を室温で3時間放置し、次いで、揮発物を蒸発させた。残留物を少量のDCMに溶解し、ジエチルエーテルを添加した。沈殿したクリーム色の固体を濾過、乾燥した。
収量:150mg(95%)
LC−MS(方法3):Rt=8.39分、m/z=1038.09[M]
(実施例42)
【0164】
【化43】

【0165】
実施例41の化合物(130mg、0.133ミリモル)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(30mg、0.399ミリモル)およびDIPEA(146μL、1.13ミリモル)をDMF(7mL)に溶解し、HATU(94mg、0.249ミリモル)を添加した。溶液を室温で30分間放置し、DMFを蒸発させた。残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で処理し、DCM(3×80mL)で抽出した。有機抽出物を蒸発させると淡黄色のガムが得られ、これを、HPLCシステム1を使用して精製した。純粋な画分を凍結乾燥して、白色固体として二ギ酸塩を得た。
収量:96mg(61%)
LC−MS(方法3):Rt=5.99分、m/z=589.75[M]2+/2
(実施例43)
【0166】
【化44】

【0167】
実施例43の化合物は、中間体40から実施例39の合成で使用したのと同様の方法を使用して調製した。生成物を、HPLC生成物システム1を使用して精製し、ギ酸塩として生成物を得た。
収率:(20%)
LC−MS(方法3):Rt=8.03分、m/z=934.47[M+H]
(実施例44)
【0168】
【化45】

【0169】
実施例17の化合物(6.28g、6.92ミリモル)をアセトニトリル(100mL)に溶解し、30%ブロモメタン/アセトニトリル溶液(60mL)を添加した。溶液を、密封金属管中、80℃で加熱した。24時間後、溶媒をほぼ半量まで減少させ、次いで、水で希釈した。溶液を凍結乾燥してクリーム色の固体を得た。
収量:定量的
LC−MS(方法3):Rt=7.92分、m/z=922.37[M]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.71 (br m, 4H); 2.82 (s, 6H); 2.99-3.30 (m, 8H); 3.81 (s, 4H); 5.40 (d, 2H); 7.61-7.90 (m, 16H); 8.21 (d, 2H) ppm.
同様の方法で次の実施例化合物を調製した。
【0170】
【表11】

【0171】
(実施例48)
【0172】
【化46】

【0173】
実施例17の化合物(150mg、0.165ミリモル)および2−ブロモエタノール(420mg、1.65ミリモル)をアセトニトリル(2mL)に溶解し、溶液を80℃で120時間加熱した。揮発物を蒸発させ、生成物を、HPLCシステム3を使用して精製した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥してクリーム色の固体を得た。
収量:42mg(25%)
LC−MS(方法4):Rt=7.67分、m/z=952.34[M]
中間体17およびアルキルハライドから同様の方法を使用して次の実施例化合物を調製した。
【0174】
【表12】

【0175】
(実施例51)
【0176】
【化47】

【0177】
コハク酸(5.9mg、0.0499ミリモル)の水(2mL)溶液を、酸化銀(I)(11.6mg、0.0499ミリモル)を含むチューブに添加した。混合物を暗所で17時間撹拌した後、実施例44の化合物(100mg、0.0997ミリモル)のTHF(2mL)とアセトニトリル(0.5mL)との溶液を添加した。撹拌を3日間継続し、次いで、混合物を濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をHPLCシステム3で精製した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥して淡黄色固体を得た。
収量:29mg(30%)
LC−MS(方法4):Rt=7.70分、m/z=922.33[M]
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ = 1.84 (br m, 8H); 2.45 (4H, s); 2.92 (s, 12H); 3.14 (m, 8H); 3.30 (m, 8H); 3.91 (m、溶媒で部分的に交換される); 5.51 (s, 4H); 7.64-7.82 (m, 32H) ppm.
同様の方法で次の化合物を調製した。
【0178】
【表13】

【0179】
NMRデータ:
実施例52
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ = 1.84 (br m, 8H); 2.92 (s, 12H); 3.14 (m, 8H); 3.30 (m, 8H); 3.91 (m、溶媒で部分的に交換される); 5.51 (s, 4H); 6.60 (2H, s); 7.64-7.82 (m, 32H) ppm.
実施例53
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ = 1.84 (br m, 8H); 2.92 (s, 12H); 3.14 (m, 8H); 3.30 (m, 8H); 3.91 (m、溶媒で部分的に交換される); 5.51 (s, 4H); 6.18 (2H, s); 7.64-7.82 (m, 32H) ppm.
実施例54
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ = 1.84 (br m, 8H); 2.92 (s, 12H); 3.14 (m, 8H); 3.30 (m, 8H); 3.91 (m、溶媒で部分的に交換される); 4.22 (2H, s); 5.51 (s, 4H); 7.64-7.82 (m, 32H) ppm.
実施例55
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.71 (br m, 8H); 2.82 (s, 12H); 2.99-3.30 (m, 16H); 3.81 (s, 8H); 5.40 (d, 4H); 7.34 (dd, 2H); 7.61-7.90 (m, 16H); 8.12 (m, 4H); 8.81 (d, 2H) ppm.
実施例56
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.71 (br m, 8H); 2.56 (s, 4H); 2.82 (s, 12H); 2.99-3.30 (m, 16H); 3.81 (s, 8H); 5.40 (d, 4H); 7.61-7.90 (m, 32H); 8.21 (d, 4H) ppm.
(実施例57)
【0180】
【化48】

【0181】
実施例44の化合物(100mg、0.0997ミリモル)をMeOH(50ml)に溶解し、MeOHでコンディショニングしたIsolute(商標)SCX−2カートリッジに負荷した。カートリッジをMeOHでフラッシュ洗浄し、次いで生成物を1.25M HCl/MeOH(60mL)で溶離した。溶媒を蒸発させ、生成物を、HPLCシステム3を使用して精製した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥して白色固体を得た。
収量:35mg(37%)
LC−MS(方法4):Rt=7.72分、m/z=922.22[M]
(実施例58)
【0182】
【化49】

【0183】
実施例57の化合物(956mg、0.998ミリモル)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、トシル酸ナトリウム(290mg、1.50ミリモル)を添加した。反応混合物をアルゴン下に80℃で17時間加熱した。冷却した後、固体を濾別し、濾液を蒸発させた。生成物を、0〜6%MeOH/DCMで溶離するIsolute(商標)Al−Nカートリッジ(10g)で精製し、クリーム色の固体として生成物を得た。
収量:5.03(46%)
LC−MS(方法3):Rt=7.97分、m/z=922.38[M]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.71 (br m, 4H); 2.24 (s, 3H); 2.82 (s, 6H); 2.99-3.30 (m, 8H); 3.81 (s, 4H); 5.40 (d, 2H); 7.10 (d, 2H); 7.43 (d, 2H); 7.61-7.90 (m, 16H); 8.21 (d, 2H) ppm.
(実施例59)
【0184】
【化50】

【0185】
実施例32の化合物をHPLCシステム5に通した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥してオフホワイトの固体を得た。
LC−MS(方法3):Rt=7.86分、m/z=922.15[M]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.71 (br m, 4H); 2.82 (s, 6H); 2.99-3.30 (m, 8H); 3.81 (s, 4H); 5.40 (d, 2H); 7.61-7.90 (m, 16H); 8.21 (d, 2H); 8.27 (s, 1H) ppm.
(実施例60)
【0186】
【化51】

【0187】
実施例60の化合物は、中間体43から、中間体45の合成で使用したのと同様の方法を使用して調製した。
収率:(36%)
LC−MS(方法4):Rt=7.49分、m/z=618.34[M+H]
(実施例61)
【0188】
【化52】

【0189】
実施例61の化合物は、実施例60の化合物から、実施例44の合成で使用したのと同様の方法を使用して調製した。
収量:定量的
LC−MS(方法3):Rt=7.87分、m/z=632.29[M]
(実施例62)
【0190】
【化53】

【0191】
中間体46(124mg、0.151ミリモル)のアセトニトリル(6mL)溶液を2Mエチルアミン/THF溶液(755μL、1.51ミリモル)で処理した。溶液を室温で17時間放置した。溶媒を蒸発させて得られた残留物を、HPLCシステム2を使用して精製した。
収量:24mg(48%)
LC−MS(方法4):Rt=8.74分、m/z=738.35/740.30[M+H]
(実施例63)
【0192】
【化54】

【0193】
実施例63の化合物は、実施例62の化合物から、実施例44の化合物の調製で使用したのと類似の方法を使用して調製した。
収量:定量的
LC−MS(方法3):Rt=9.11分、m/z=752.31/754.31[M]
(実施例64)
【0194】
【化55】

【0195】
実施例64の化合物は、実施例60の合成中に得られた。HPLC(システム2)の過程で対イオンの交換が生じた。
収率:(9%)
LC−MS(方法4):Rt=8.72分、m/z=752.46[M]
(実施例65)
【0196】
【化56】

【0197】
実施例44の化合物(50mg、0.0499ミリモル)の水(1mL)とTHF(1mL)との溶液を酸化銀(I)(5.76mg、0.0248ミリモル)で処理した。18時間後、混合物を濾過し、濾液をコハク酸(2.94mg、0.0248ミリモル)で処理した。1時間後に、混合物を、HPLCシステム4を使用して精製した。生成物は白色固体として得られた。
収量:10mg(20%)
LC−MS(方法4):Rt=3.19分、m/z=954.19[M+H]
(実施例66)
【0198】
【化57】

【0199】
実施例18の化合物(30mg、0.0335ミリモル)および2−ブロモエタノール(92mg、0.774ミリモル)を炭酸ナトリウム(62mg、0.774ミリモル)の存在するアセトニトリル(5mL)に溶解し、反応混合物を撹拌下に80℃で48時間加熱した。懸濁液を濾過、濃縮し、残留物を、HPLDシステム3を使用して精製した。生成物を含む画分を合わせ、凍結乾燥して白色の綿毛状粉末を得た。
収量:14mg(39%)
LC−MS(方法3):Rt=7.84分、m/z=982.42[M]
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物を、それらのHNE阻害活性について試験した。
(蛍光性ペプチド基質)
アッセイは、96ウェルプレート中、100μLのアッセイ総容積で実施した。酵素(ヒト白血球エラスターゼ、Sigma E8140)の最終濃度は、0.00036単位/ウェルであった。ペプチド基質(MeO−Suc−Ala−Ala−Pro−ValAMC、Calbiochem #324745)は、100μMの最終濃度で使用した。DMSOの最終濃度はアッセイ緩衝液(0.05M Tris.HCl、pH7.5、0.1M NaCl、0.1M CaCl、0.0005%brij−35)中、1%であった。
【0200】
酵素を添加することによって酵素反応を開始した。室温で酵素反応を実施し、30分後に50μLの大豆トリプシン阻害剤(Sigma T−9003)を50μg/ウェルの最終濃度で添加することによって反応を停止した。380nmの励起および460nmの発光フィルターを使用したFLEXstation(Molecular Devices)で蛍光を読み取った。範囲が1000nM〜0.051nMの10種の濃度からなる濃度系列から、化合物の能力を測定した。結果は、それぞれ二つ組で実施した2つの独立な実験の平均値である。
(蛍光標識化エラスチンの使用)
アッセイは、96ウェルプレート中、100μLのアッセイ総容積で実施した。酵素(ヒト白血球エラスターゼ、Sigma E8140)の最終濃度は、0.002単位/ウェルであった。ウシ頚部靭帯からの蛍光で標識され可溶化されたエラスチン(Molecular Probes、E−12056)を15μg/mLの最終濃度で使用した。DMSOの最終濃度は、アッセイ緩衝液(0.1M Tris−HCl、pH8.0、0.2mMアジ化ナトリウムを含む)中、2.5%であった。
【0201】
酵素を添加することによって酵素反応を開始した。酵素反応は室温で実施し、120分後に読み取った。蛍光は、485nmの励起および530nmの発光フィルターを使用したFLEXstation(Molecular Devices)で読み取った。範囲が25000nM〜1nMの10種の濃度からなる濃度系列から、化合物の能力を測定した。結果は、それぞれ二つ組で実施した2つの独立な実験の平均値である。
【0202】
実施例23を除く実施例のすべての化合物は、1〜50nMの範囲で活性を有した。実施例23の化合物は、50〜500nMの範囲で活性を有した。
(ラットにおいてHNEで誘発される肺出血)
ラットへのヒト好中球エラスターゼ(HNE)の点滴注入は、急性の肺損傷を引き起こした。この損傷の程度は、肺出血を測定することによって評価できる。完全に隔離されて飼育され、かつ受入れ時に特定の微生物との非接触を保証された雄性Sprague Dawleyラット(175〜220g)は、Harlan UK Ltd.から入手した。動物の重量を測定し、処理群にランダムに割り当てた(1群当たり7〜12尾の動物)。
【0203】
使用するビヒクルは1%DMSO/生理食塩水とした。阻害薬を1%DMSOに溶解した後、0.9%生理食塩水を添加した。
【0204】
各研究で動物を使用して種々の経路で肺に局所的に送達されるエラスターゼ阻害薬の効力を測定した。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)を投与する30分〜6時間前に投与量を与える場合には、吸入麻酔薬イソフルラン(4%)で、あるいはHNE投与の少なくとも30分前に予備投与量を与える場合には、hypnorm:hypnovel:水(1.5:1:2、2.7mL/kgで)でラットを最終的に麻酔し、Penn Centuryミクロ噴霧器を使用する経口による気管内(i.t.)、または鼻孔へ液体を滴下することによる鼻腔内で投与される。動物は、ビヒクルまたは化合物を0.5mL/kgの投与容積で受け入れた。
【0205】
投与後に回復された動物は、最終的にhypnorm:hypnovel:水(1.5:1:2、2.7mL/kgで)麻酔した。十分に麻酔されたら、Penn Centuryミクロ噴霧器を使用してHNE(600単位/mL)または無菌生理食塩水を100μLの容積で経口気管点滴注入により投与した。動物を温度調節された箱内に温かく保持し、終末までの継続麻酔を確実にするのに要求されるような麻酔薬の投与量まで補給した。
【0206】
HNE投与の1時間後に動物を犠牲にした(0.5mL〜1mLのペントバルビトンナトリウム)。気管を曝露し、2つの気管輪の間に小さな切れ目を作り、カニューレ(ゲイジ10、外径2〜10mm、Portex Ltd.)が肺に向かって気管内にほぼ2cm挿入されることを可能にした。カニューレは、綿結紮糸を用いて固定した。次いで、肺を、新鮮なヘパリン化(10単位/mL)リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)の4mLアリコートで3回洗浄した(BAL)。得られたBALFは、遠心分離するまで氷上に保持した。
【0207】
BALFを、4〜10℃に冷却された遠心機中、1000rpmで10分間遠心分離した。上清液を棄て、細胞ペレットを1mLの0.1%CETAB/PBSに再懸濁し、細胞を溶解した。細胞溶解液を、血液含有量についての分光分析を行うことができるまで凍結した。ラット全血の0.1%CETAB/PBS溶液を作製することによって標準を調製した。
【0208】
解凍された100μLの各溶解細胞懸濁液を96ウェル平底プレートの別々のウェルに入れた。すべてのサンプルを二つ組で試験し、100μLの0.1%CETAB/PBSをブランクとしてプレートに含めた。各ウェルの内容物のODを、Spectramax250(Molecular Devices)を使用して415nmで測定した。
【0209】
0.1%CETAB/PBS中の異なる濃度(30、10、7、3、1、0.3、0.1μL/mL)の血液のOD(415nm)を測定することによって標準曲線を作図した。
【0210】
各実験サンプル中の血液量を、標準曲線と比較して計算した。次いで、データを以下の通り解析した。
1)二つ組に対する平均ODを計算した。
2)ブランクに対する値を他のすべてのサンプルに対する値から引き算した。
3)データを査定して分布の正規性を評価した。
【0211】
実施例17、18、26、27、30、32、40、41、42、43、49、59、61および64の化合物は、上記アッセイで試験され、対照に比較して出血血液量を低下させるのに有効であることがわかった。例えば、実施例32の化合物は、HNEの1時間前に30mg/kgでit投与すると、対照に比較して67%の統計的に有意な出血の低下を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

[式中、
Aは、アリールまたはヘテロアリールであり、
Dは、酸素または硫黄であり、
、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、ヒドロキシ、またはC〜C−アルコキシもしくはC〜C−アルケニルオキシ(ここで、C〜C−アルキルおよびC〜C−アルコキシは、さらにハロゲン、ヒドロキシおよびC〜C−アルコキシからなる群から選択される1〜3個の同一または異なる基で置換されていてもよい)であり、
RおよびRは、それぞれ独立に、式−[X]−[Alk−[Q]−[Alk−[X−Zの基を表し、
ここで、
k、m、n、pおよびqは、独立に0または1であり、
AlkおよびAlkは、それぞれ独立に、エーテル(−O−)、チオエーテル(−S−)またはアミノ(−NR−)(ここで、Rは、水素またはC〜Cアルキルである)結合を必要に応じて含んでいてもよい必要に応じて置換されたC〜Cアルキレン、またはC〜Cアルケニレン基を表し、
Qは、
(i)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−S(R)−、−N(R)−、−N(R)(R)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRC(=O)NR−、−NRC(=NR)NR−、−C(=NR)NR−、−NRC(=NR)−(ここで、R、R、RおよびRは、独立に、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであるか、あるいはRとRまたはRとRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7個の環原子からなる単環式複素環を形成している)、または
(ii)3〜6個の環メンバーを有する必要に応じて置換された二価の単環式または二環式の炭素環または複素環基を表し、
Xは、−(C=O)−、−S(O)−、−C(=O)O−、−(C=O)NR−または−S(O)NR−(ここで、Rは、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである)を表し、
は、−O−、−S−、または−NHを表し、かつ
Zは、水素、または3〜6個の環メンバーを有する必要に応じて置換された単環式または二環式の炭素環または複素環基である]。
【請求項2】
、RおよびRが、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、ヒドロキシ、またはC〜C−アルコキシもしくはC〜C−アルケニルオキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、RおよびRが、それぞれ独立に、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、メチル、メトキシおよび−C≡CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、フェニル、ピリジルまたはピリミジニルである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
およびRの一方が、メチル、−C≡CHまたはシアノである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
−ARが、4−シアノフェニルまたは4−エチニルフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
DがOである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり、Rが、3−トリフルオロメチル、3−クロロまたは3−ブロモである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
および/またはRが、式−[X]−[Alk−[Q]−[Alk−[X−Zの基であり、ここで、mは0であり、k、p、nおよびqはそれぞれ1であり、Qは−N(R)または−N(R)(R)−であり、かつR、R、Alk、Alk、XおよびZは請求項1で定義した通りである、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
が−O−である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Zが、必要に応じて置換されたフェニル、または5もしくは6個の環原子を有する単環式ヘテロアリールである、請求項9または請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
RおよびRの一方が、水素である、請求項9から11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
RまたはRが、C〜C−アルキル、ホルミル、アミノカルボニル、モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、C〜C−シクロアルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、N−(C〜C−アルキルスルホニル)−アミノカルボニル、N−(C〜C−アルキルスルホニル)−N−(C〜C−アルキル)−アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールカルボニルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルから選択され、ここで、C〜C−アルキル、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、アミノ、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、N−(モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル)−アミノカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される1〜3個の同一または異なる基で置換されていてもよい、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
Rおよび/またはRが、式(VIIIA)、(VIIIB)または(VIIIC)
【化2】

の基(ここで、R4Aは、水素またはC〜C−アルキルであり、sは1または2である)を表す、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
Rおよび/またはRが、式(IX)
【化3】

[式中、
4Bは、水素またはC〜C−アルキルであり、
4C、R4D、R4Eは、それぞれ、C〜C−アルキルであり、かつそれらが結合している窒素は、第4級であり、かつ正電荷を有し;さらには、R4C、R4D、R4Eのいずれか2つは、一緒になって、酸素または窒素から選択される第2のヘテロ原子を必要に応じて含む環を形成しているか、あるいは、
4C、R4D、R4Eの1つは、孤立電子対であり、残りの基は上で定義した通りであり、かつそれらが結合している窒素は第3級であり、かつ
v1およびv2は、それぞれ独立に0〜5である]
の基を表す、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
Rおよび/またはRが、次のもの
【化4】

[式中、
4Bは、水素またはC〜C−アルキルであり、
4C、R4D、R4Eは、それぞれC〜C−アルキルであり、かつそれらが結合している窒素は、第4級であり、かつ正電荷を有し、さらにはR4C、R4D、R4Eのいずれか2つは、一緒になって、酸素または窒素から選択される第2のヘテロ原子を必要に応じて含む環を形成しているか、あるいは、
4C、R4D、R4Eの1つは孤立電子対であり、残りの基は上で定義した通りであり、かつそれらが結合している窒素は第3級であり、
4FおよびR4Iは、独立に、水素またはC〜C−アルキルであり、
4GおよびR4Hは、独立に、水素またはC〜C−アルキルであるか、またはR4GおよびR4Hが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい、5〜7個の環原子からなる単環式複素環を形成し、かつ
v1およびv2は、それぞれ独立に0〜5である]
から選択される基を表す、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
RまたはRが、両方ではないが、水素である、請求項13から16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
RまたはRが、両方ではないが、C〜C−アルキル、ホルミル、アミノカルボニル、モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、C〜C−シクロアルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、N−(C〜C−アルキルスルホニル)−アミノカルボニル、N−(C〜C−アルキルスルホニル)−N−(C〜C−アルキル)−アミノカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールカルボニルまたはヘテロシクロアルキルカルボニルから選択され、ここで、C〜C−アルキル、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、アミノ、モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、N−(モノ−およびジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル)−アミノカルボニル、N−(C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル)−アミノカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される1〜3個の同一または異なる基で置換されていてもよい、請求項13から16のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
リンカー骨格を介して共有結合で連結されている請求項1から16のいずれかに記載の化合物の2、3または4個の分子を含む、多量体化合物。
【請求項20】
請求項1から16のいずれかに記載の2、3または4個の化合物の分子が、式(I)に示したそれらの各窒素原子を介してRに連結されるように、リンカー骨格に連結されている、請求項19に記載の多量体化合物。
【請求項21】
式M−L−Mを有し、ここで、Lは二価のリンカー基であり、かつMおよびMは、それぞれ独立に、式(IA)
【化5】

(式中、D、AおよびR〜Rは、請求項1から18のいずれかで定義された通りである)の基である、多量体化合物。
【請求項22】
請求項7に記載の2、3または4個の分子が、式(I)に示したそれらの各窒素原子を介してRに連結されるように、リンカー骨格に連結されている、請求項19に記載の多量体化合物。
【請求項23】
式M−L−Mを有し、ここで、Lは二価のリンカー基であり、かつMおよびMは、それぞれ独立に、式(IB)
【化6】

(式中、D、AおよびR、R、R、RおよびRは、請求項1から18のいずれかで定義された通りである)の基である、多量体化合物。
【請求項24】
MとMが同一である、請求項21または請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
リンカー骨格またはリンカー基Lが、該鎖中に2〜12個の炭素原子を有する二価で直鎖の飽和または不飽和の炭化水素基であり、ここで、1つまたは複数の炭素は、環中にまたは各環中に3〜7個の環原子を有する二価の単環式または二環式炭素環または複素環基によって、あるいは−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−、−N(R)−、−N(R)(R)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、−S(O)NR−、−NRS(O)−、−NRC(=O)NR−、−NRC(=NR)NR−、−C(=NR)NR−または−NRC(=NR)−で置き換えられていてもよく、ここで、R、R、RおよびRは、独立に、水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、かつRおよびRは、独立に、水素、C〜CアルキルもしくはC〜Cシクロアルキル、HO−(C〜Cアルキル)−、RN−(C〜Cアルキル)−またはHOC(=O)−(C〜Cアルキル)−であるか、あるいはRとRまたはRとRまたはRとRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OおよびSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい5〜7個の環原子からなる単環式複素環を形成している、請求項21、請求項23または請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
リンカー骨格またはリンカー基Lの1つまたは複数の−(CH)−基が、以下
【化7】

から選択される二価の単環式または二環式炭素環または複素環基で置き換えられている、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
リンカー骨格またはリンカー基Lが、次の構造(A)、(B)、(C)、(D)および(E)
【化8】

の1つを有する、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
リンカー骨格またはリンカー基Lが、次の構造(G)および(E)
【化9】

の1つを有する、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物、または本明細書中の実施例のいずれかの化合物の構造を有する請求項19に記載の多量体化合物。
【請求項30】
薬学的に許容される塩の形態の、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項31】
式(X)、(Y)または(Z)
【化10】

(式中、Aは、薬学的に許容されるアニオンである)
を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項32】
治療で使用するための、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項33】
請求項1から31のいずれかに記載の化合物、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項34】
HNEが関与する疾患または状態の治療または予防で使用するための医薬を製造するための、請求項1から31のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項35】
HNEが関与する疾患または状態の治療方法であって、このような疾患を患う被験体に有効量の請求項1から31のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項36】
疾患または状態が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性肺気腫または嚢胞性線維症である、請求項34に記載の使用、または請求項35に記載の治療方法。
【請求項37】
疾患または状態が、喘息、鼻炎、乾癬、皮膚炎(アトピー性および非アトピー性)、クローン病、潰瘍性大腸炎または過敏性腸疾患である、請求項34に記載の使用、または請求項35に記載の治療方法。

【公表番号】特表2009−535389(P2009−535389A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508463(P2009−508463)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001638
【国際公開番号】WO2007/129060
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(507259730)アージェンタ ディスカバリー リミテッド (23)
【Fターム(参考)】