説明

テラヘルツ赤外線エリプソメーターシステムおよびその使用方法

本発明は、エリプソメーターシステムおよび偏光計システムに関し、より具体的には、300GHz以下から少なくとも1テラヘルツ(THz)超に及ぶ、好ましくは100THz超までの赤外線(IR)範囲にわたる周波数範囲で動作するエリプソメーターまたは偏光計または同様のシステムに関する。このシステムは、後進波発振器(BWO);スミスパーセル(Smith-Purcell)(SP)セル;自由電子レーザ(FE)、またはFTIR光源などの光源、および固体デバイス;およびゴーレイ(Golay)セル(GC);ボロメーター(BOL)または固体検出器などの検出器を含み;および好ましくは少なくとも1つのオッドバウンス偏光状態像回転システム(OBIRS)を含み、および任意選択で偏光子(P)、少なくとも1つの補償子(C)および/または変調器(MOD)、ならびに検光子(A)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
財政支援ステートメント
この出願の主題である発明は、Phase I ARMY STTR Contract No.W911NF-08-C-01121下において軍隊からの助成金による支援を受けて一部開発された。
【0002】
この出願の、「奇数回反射(オッドバウンス)による像回転システムおよびその使用方法(odd bounce image rotation system and method of use)」に関わる発明の部分は、Phase II SBIR Contract No. 9901510下において全米科学財団(National Science Foundation)からの助成金による支援を受けて一部開発された。
【0003】
合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0004】
技術分野
本発明は、電磁放射線源、偏光状態生成器、サンプル支持ステージ、偏光状態検出器および電磁放射線検出器を含むエリプソメーターシステムおよびポラリメーター(偏光計)(polarimeter)システムに関し、より詳細には、300GHz以下から少なくとも1テラヘルツ(THz)よりも高い範囲にまで及んでいて、赤外線(IR)範囲を超えて好ましくは100THz、またはそれよりも高い周波数範囲で動作するエリプソメーターまたは偏光計または同様の光学測定システムであって、後進波発振器;スミスパーセル(Smith-Purcell)セル;自由電子レーザ、FTIR光源(フーリエ変換赤外分光用光源)および入手可能であれば固体デバイスなどの光源;およびゴーレイ(Golay)セル;ボロメーターおよび必要ならば固体検出器などの検出器;を含み、好ましくは、一連の奇数個の反射素子を含む偏光状態像回転システムと機能的に組み合わされて、その偏光状態像回転システムに入射された偏光電磁ビームが、当該奇数個の反射素子と反射型の相互作用をし、かつ、方位は回転されているが、それ以外では偏光状態は実質的に不変で、本質的にそれずにかつ変位しない方向に出射する、エリプソメーターまたは偏光計または同様のシステムに関する。尚、ポラリメーターは、エリプソメーター(偏光計)に補償子を付加したシステムである。
【背景技術】
【0005】
エリプソメトリーの実施は、サンプルシステムの特性を決定するための非破壊的な手法として定着しており、実時間で実施することができる。このトピックに関しては多数の出版物に詳細が記載されており、そのような出版物の1つに(非特許文献1)による総括書がある。
【0006】
まず、本発明に関係するので、エリプソメーターシステムが一般的に、直線または楕円偏光状態(一般には、実質的に直線偏光)を設定する手段を含むことに留意されたい。
【0007】
続いて、概して、エリプソメトリーの最近の実施方法では、通常、既知の偏光状態にある分光的な電磁放射線のビームを、入射面において、サンプルシステムの表面の法線に対する少なくとも1つの入射角でサンプルシステムと相互作用させている(注:入射面には、調査対象のサンプルシステムの表面の法線と前記電磁放射線のビームのローカスすなわち軌跡(又はビーム経路又はビーム通路とも称す)(locus)の双方が含まれる)。前記サンプルシステムとの前記相互作用の結果による前記電磁放射線のビームの偏光状態の変化は、前記サンプルシステムの構造と組成を決める情報を与える。エリプソメトリーを実施するに当たりさらに、エリプソメーターシステムの数学的モデルおよびそれを使用することにより調査されるサンプルシステムを提案することを含み、それからエリプソメーターシステムを適用することにより実験データを得る。これに続き、一般に、サンプルシステムの特性を決定する数学的モデルのパラメータを評価するために、平方誤差を低減する数学的回帰法を適用し、得られた実験データと数学的モデルを使用して計算された値とが実質的に同じになるようにする。
【0008】
通例エリプソメトリーの目的は、サンプルシステムと相互作用するようにされる前記電磁放射線のビームの各波長および入射角に対して、サンプルシステムを特徴付けるPSI値およびDELTA値を得ることであり(PSI値は、前記電磁放射線のビームの直交成分r/rの大きさの比の変化に関係し、DELTA値は、前記直交成分rとrとの間に生じた移相すなわち位相のずれに関係する)、これらの値は、前記サンプルシステムとの相互作用によって生じる。これらを決定する式は:
ρ=r/r=Tan(Ψ)exp(iΔ)
である。
【0009】
可能性を示唆したように、エリプソメトリーを実施するには、サンプルシステムおよび適用されるエリプソメーターシステム用の数学的モデルを導き出して提供する必要がある。その観点からみれば、サンプルシステムの調査に適用されるエリプソメーターシステムは、一般的に、シーケンシャルに:
a.電磁放射線のビーム源;
b.偏光子素子;
c.任意に設けられることのある補償子用素子(compensator element);
d.(追加的な1つまたは複数の素子);
e.サンプルシステム;
f.(追加的な1つまたは複数の素子);
g.任意に設けられることのある補償子用素子(compensator element);
h.検光子素子;および
i.分光検出器システム
を備えることを理解する必要がある。
【0010】
前記構成要素b.〜i.のそれぞれを、上記a.の前記電磁放射線のビーム源から生じる電磁放射線のビームを表すベクトルに加えて、エリプソメーターシステムの数学的モデルによって正確に示す必要がある。
【0011】
通常の様々な構成のエリプソメーターは、偏光子と、検光子および補償子の双方またはいずれか一方とをデータ収集中に回転させることができ、回転偏光子(RPE)型、回転検光子(RAE)型および回転補償子(RCE)型のエリプソメーターシステムとして多様に表現することができる。使用時、素子が回転するというよりも回転可能である消光型エリプソメーターも存在することにも留意されたい。一般的に、消光型エリプソメーターシステムの使用の際には、直線偏光子によって電磁放射線のビームを直線偏光状態にして、得られる電磁放射線の偏光ビームをサンプルシステムと相互作用させ、次に検光子を、サンプルシステムを通過して進む電磁放射線のビームを効率的に無効にする(すなわち消す)方位に調整する。消光が生じる検光子の方位角により、サンプルシステムの特性を洞察できるすなわち予見する情報(insight)が得られる。
【0012】
さらに、使用時、存在するサンプルシステムが配置されたエリプソメーターシステムによってデータセットを得ることができる。このデータセットは、他のサンプルシステムが存在する場合と、エリプソメーターシステムが直通型に配置され、電磁放射線のビームを、サンプルシステムと相互作用せずにエリプソメーターシステムを真っ直ぐに通過させるようにした場合とに、連続的に得られる。複数のデータセットを用いる同時的な数学的回帰法によって、エリプソメーターを較正し、および波長域にわたって、サンプルシステムの特性を決定するPSI値およびDELTA値を評価することができる。例えば、存在する一連のサンプルシステムを用いること、およびこれらサンプルシステムと相互作用するようにされる電磁ビームを複数のシーケンシャルな偏光状態にするようにすることの双方またはいずれか一方を用いてエリプソメーターシステムにより多数のデータセットを得ることにより、多数のエリプソメーターシステムの変数のシステム較正を可能とする。
【0013】
公知の参照文献を開示する前に、PTO(米国特許商標局)のウェブサイトにおいて、
(ellipsometer & bolometer);および
(ellipsometer & ゴーレイ(Golay) cell);
の用語を含む特許および出願公開をコンピュータで検索したところヒットは1件(Tsukrukによる(特許文献1))しかなかったことに留意されたい。(特許文献1)は、エリプソメトリーおよびゴーレイ(Golay)の用語を含むが、前記素子を含むエリプソメーターシステムについては含まない。
【0014】
さらに、
(ellipsometer & backward wave oscillator);
(ellipsometer & スミスパーセル(Smith-Purcell));および
(ellipsometer & free electron laser);
の用語を含む特許および出願公開のPTOのウェブサイト検索は、Nakaharaらの(特許文献2)しかヒットしなかった。この文献には、用語エリプソメーターおよび自由電子レーザは含まれるが、前記素子の組み合わせについては説明されていない。
【0015】
Wangら、(特許文献3)は、ゴーレイ(Golay)セル検出器とスミスパーセル(Smith-Purcell)検出器の組み合わせにおいて使用される自由電子レーザについて説明しているため、興味深い。しかしながら、エリプソメトリーまたはポラリメトリー(偏光測定)への適用については説明していない。
【0016】
Brownellによる(特許文献4)では、自由電子レーザおよびスミスパーセル(Smith-Purcell)検出器の使用が説明されているが、エリプソメトリーまたはポラリメトリー(偏光測定)に関連してではない。
【0017】
(非特許文献2)では、スミスパーセル(Smith-Purcell)自由電子レーザの使用が説明されている。
【0018】
Kompfnerの(特許文献5)の開示によれば、後進波発振器について説明している。
【0019】
Epszteinの(特許文献6)の開示によれば、後進波発振器について説明している。
【0020】
THz周波数範囲で動作するエリプソメーターについて説明している公知の参照文献としては以下のものがある。
【0021】
(非特許文献3)では、汎用エリプソメトリーへのTHz電磁放射線の適用について説明されており、ここで電磁放射線THz光源は、独国のBESSYに配置されたシンクロトロンである。
【0022】
(非特許文献4)では、汎用エリプソメトリーへのTHz電磁放射線の適用について説明しており、ここで電磁放射線THz光源はシンクロトロンおよび従来の黒体である。FTIR光源およびボロメーターの使用についても述べられている。
【0023】
(非特許文献5)では、アンバイアスGaAs結晶電磁放射線THz光源およびZnTe結晶検出器の使用について説明している。
【0024】
(非特許文献6)では、30GHz〜10THzの適用について説明しており、かつ、遠赤外(FIR)周波数範囲におけるフーリエ変換分光計(FTS)の使用について、そのような手法は1THz未満では容易に適用できないことに注意を払って説明している。前記参照文献はまた、後進波発振器(BWO)と周波数逓倍器との適用について、30GHz〜3THzの範囲を網羅するためには、一般に多くのBWOおよび周波数逓倍器が前記周波数範囲を網羅する必要があることに注意を払って説明している。この論文は、フェムト秒レーザ(例えば、モードロックのTi:サファイアレーザまたはErドープされたファイバーレーザを、低温成長したGaAs製の光導電アンテナと組み合わせて)の使用を支持している。
【0025】
(非特許文献7)の論文は、モードロックのTi:サファイアレーザをボウタイ型アンテナおよびGaAs検出器アンテナと組み合わせた使用について説明している。
【0026】
Luttmanによる(特許文献7)では、エリプソメーターシステムにおけるTHz光源の使用について説明している。
【0027】
(非特許文献8)では、テラヘルツエリプソメーターについて説明している。
【0028】
(非特許文献9)では、電磁放射線を生成するテラヘルツ光源の使用について説明している。
【0029】
Herzingerらの(特許文献8)では、電磁ビームの偏光状態を回転させるための「オッドバウンス(Odd-Bounce)」システムについて説明している。(特許文献8)の発明が特許に至る出願中に開示されている特許は以下の通りである。
【0030】
Herzingerの(特許文献9)によれば、複数の反射手段との関連において単一のブルースター角偏光子について説明しており、かつ、従来技術の二重ブルースター角単一反射手段の偏光子システムについて開示されている。
【0031】
Herzingerらの(特許文献10)では、調整可能なビームアライメント補償子/リターダーと、分光エリプソメトリーへの応用について説明している。
【0032】
Johsらの(特許文献11)では、複数のベレーク(Berek)板光学リターダーシステムについて説明している。
【0033】
Johsらの(特許文献12)では、単一の三角形光学リターダー素子について説明している。
【0034】
Johsらの(特許文献13)では、デュアルチップ型のワイヤグリッド偏光子を様々な補償子/リターダーシステムと組み合わせたものについて説明している。
【0035】
Johsらの(特許文献14)では、二重の水平に向けられた三角形光学リターダーについて説明している。
【0036】
Johsらの(特許文献15)では、平行四辺形の光学リターダー素子について説明している。
【0037】
Johsらの(特許文献16)では、二重の垂直に向けられた三角形光学リターダー素子について説明している。
【0038】
Johsらの(特許文献17)および(特許文献18)の開示によれば、偏角自己補償補償子システムについて説明している。
【0039】
Johsらの(特許文献19)の開示によれば、データ収集中に検光子および偏光子が、方位の位置が固定されて維持される一方、補償子は連続的に回転させられるエリプソメーターシステムについて説明している。
【0040】
Thompsonらの(特許文献20)の開示によれば、この明細書では、赤外線波長域で使用されるエリプソメーターシステムの較正に主に適用される、数学的回帰法をベースにした二重フーリエ級数(double Fourier series)エリプソメーター較正手順を教示している。複屈折の透過性の窓様の補償子がそのシステムに存在すると説明しており、かつデータ収集中に、互いに対して回転せずにシーケンシャルに隣接する素子によって生じたリターデーションの相互関係についても説明している。
【0041】
さらに(特許文献8)で開示されている特許には、Greenらの(特許文献21);および(特許文献22)があり、これらは、回転検光子/偏光子型のエリプソメーターシステムの範囲を拡大してゼロ(0.0)度および180度に近いDELTA値の測定を可能とする方法、かつ変調器素子型のエリプソメーターを45度のPSI値に拡大することを可能とする方法を教示している。前記特許文献は、追加された、可変で透過性の複屈折型成分の存在およびデータ収集中に、認識されたキャパシティーを可能とするその適用を説明している。
【0042】
Heらの(特許文献23)の開示によれば、この明細書では、狭いスポット領域において、サンプルシステムに対して斜めの入射角で電磁放射線の偏光ビームを与えることを可能とするエリプソメーターシステムを説明している。
【0043】
(特許文献8)で説明している一般的に興味のある特許としては:
Woollamらの(特許文献24)(ビームチョッパを説明している);Johsらの(特許文献25);Greenらの(特許文献26);およびJohsらの(特許文献27);があり、エリプソメーターシステムに関連すると説明している。
【0044】
Coatesらの(特許文献28)の開示によれば、この明細書では、平面偏光電磁放射の反射単色性ビームをブルースター入射角でサンプル基板に向けて照射し、その上にある薄膜の厚さを判定することについて説明している。この明細書では、表面コーティングの厚みが異なる2つのサンプル基板を用いた較正についても説明している。
【0045】
サンプルシステムを調査するために反射電磁放射線を使用することを説明している他の特許明細書は、Coatesの(特許文献29)、(特許文献30)、および(特許文献31);およびJohnsonの(特許文献32)である。
【0046】
Bjorkらの(特許文献33)の開示によれば、この明細書では、電磁放射線のビームに複数の反射性偏光状態修正手段をシーケンシャルに個々に位置決めさせて備えているエリプソメーターシステムを説明している。(特許文献34);(特許文献35)および(特許文献36)も(特許文献33)に引用されている。偏光状態を修正するために素子からの反射を用いる、これらの特許明細書に記載されているシステムは(特に(特許文献35))、そのような素子が調査対象のサンプルの、必要な複製品でありかつそのサンプルから90度回転されている場合、電磁ビーム効果に及ぼす偏光状態修正素子(エレメント)の影響を、サンプルによって消し去ることができることに留意されたい。
【0047】
Mansuripurらの(特許文献37)は、反射率を測定する装置について開示している。
【0048】
Rosencwaigらの(特許文献38)および(特許文献39)も、電磁ビームを斜めの入射角でサンプルシステムに当てるシステムを説明している。(特許文献39)は、複数の波長および複数の入射角を使用することを提案している。同様の理由のためにGoldらの(特許文献40)も開示されている。
【0049】
確認された特許明細書のほか、(特許文献8)では、ある特定の科学論文も開示されている。(非特許文献10)も、エリプソメーターシステムを較正するための、数学的回帰法をベースにした手法について説明している。
【0050】
追加的な関連特許は、Johsの(特許文献41)である。この特許では、ビームコンバイナを含む複合多色電磁放射線ビーム光源が説明されている。
【0051】
J. A. Woollman Co., Inc.が、長年、IR-VASE(登録商標)というIR範囲のエリプソメーターを市販していることも説明している。前記機器は、10THz〜150THzの機能(ケイパビリティ:capability)を提供し、かつBomen FTIRスペクトロメータを使用する角度可変回転補償子システムを提供する。さらに、前記機器は、FTIR光源、およびワイヤグリッド偏光子によってもたらされた偏光状態を回転させるオッドバウンス像回転システムを含む。市販されているものとして、このシステムはケイパビリティが1THzまで落ちることはなく、このケイパビリティは、本発明の開発における研究によって達成されたことに留意されたい。
【0052】
THz範囲で実用化されているエリプソメトリーについて説明しているさらなる参照文献は以下の通りである。
【0053】
(非特許文献11)では、THz周波数範囲で使用するための実験的エリプソメーターが説明されている。
【0054】
(非特許文献12)では、THz周波数をもたらすための自由電子レーザの使用が説明されている。
【0055】
(非特許文献13)では、ストークスパラメータを全て決定するための概念が説明されている。
【0056】
(非特許文献14)では、汎用光磁気エリプソメトリーにおいてシンクロトロン発生電磁放射線の使用が説明されている。
【0057】
(非特許文献15)では、汎用ミュラー行列エリプソメトリーにおいてシンクロトロン発生電磁放射線が説明されている。
【0058】
(非特許文献16)では、光磁気による光学的測定においてTHz周波数を使用する誘電テンソルの決定が説明されている。
【0059】
(非特許文献17)では、広範囲の周波数にわたりTHz波の偏光状態の決定が説明されている。
【0060】
(非特許文献18)では、テラヘルツエリプソメトリーと時間域分光法との組み合わせが説明されている。
【0061】
テラヘルツ周波数範囲の電磁気光源について説明しているさらなる参照文献は以下の通りである。
【0062】
(非特許文献19)では、BWOと周波数逓倍器との組み合わせが説明されている。
【0063】
(非特許文献20)では、THz周波数をもたらすための閃亜鉛鉱半導体(GaAs、GaP)の適用が説明されている。
【0064】
(非特許文献21)では、BWOが生成されたスペクトロメータを使用して誘電体、伝導体および超伝導体の誘電応答スペクトルを直接測定する方法が説明されている。
【0065】
(非特許文献22)では、0.1〜1THzの周波数範囲で動作する携帯型THzスペクトロメータが説明されている。
【0066】
(非特許文献23)。
【0067】
2008年4月3日発行のVodopanovらの(特許文献42)では、光パルス列で半導体を照明することを含む、THz放射線を生成する方法が説明されている。
【0068】
2004年11月16日発行のStehleらの(特許文献43)および2005年1月25日発行の(特許文献2)ではまた、エリプソメーターシステムでのTHz周波数の適用を説明している。
【0069】
同時係属のPCT出願、(特許文献44)の調査報告が最近受領され、以下の参照文献を特定していることに留意されたい。
【0070】
Herzingerらの(特許文献8);Greenらの(特許文献45);Zahnらの(特許文献46);Kolodzeyらによる(特許文献47);Itsujiによる(特許文献48);
Nabetらによる(特許文献49);Woodらによる(特許文献50);Pfeifferらによる(特許文献51); (非特許文献24);および(非特許文献25)。
【0071】
特定された参照文献、(特許文献52)、(特許文献53)および(特許文献54)は全て本願明細書に参照として援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0175507号明細書
【特許文献2】米国特許第5,317,618号明細書
【特許文献3】米国特許第5,914,492号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0050269号明細書
【特許文献5】米国特許第2,985,790号明細書
【特許文献6】米国特許第2,880,355号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0027571号明細書
【特許文献8】米国特許第6,795,184号明細書
【特許文献9】米国特許第6,137,618号明細書
【特許文献10】米国特許第6,084,675号明細書
【特許文献11】米国特許第6,118,537号明細書
【特許文献12】米国特許第6,141,102号明細書
【特許文献13】米国特許第5,946,098号明細書
【特許文献14】米国特許第6,100,981号明細書
【特許文献15】米国特許第6,084,674号明細書
【特許文献16】米国特許第5,963,325号明細書
【特許文献17】米国特許第7,450,231号明細書
【特許文献18】米国特許第7,460,230号明細書
【特許文献19】米国特許第5,872,630号明細書
【特許文献20】米国特許第5,706,212号明細書
【特許文献21】米国特許第5,757,494号明細書
【特許文献22】米国特許第5,956,145号明細書
【特許文献23】米国特許第5,963,327号明細書
【特許文献24】米国特許第5,373,359号明細書
【特許文献25】米国特許第5,666,201号明細書
【特許文献26】米国特許第5,521,706号明細書
【特許文献27】米国特許第5,504,582号明細書
【特許文献28】米国特許第4,826,321号明細書
【特許文献29】米国再発行特許第34,783号明細書
【特許文献30】米国特許第4,373,817号明細書
【特許文献31】米国特許第5,045,704号明細書
【特許文献32】米国特許第5,452,091号明細書
【特許文献33】米国特許第4,647,207号明細書
【特許文献34】米国特許第4,210,401号明細書
【特許文献35】米国特許第4,332,476号明細書
【特許文献36】米国特許第4,355,903号明細書
【特許文献37】米国特許第4,838,695号明細書
【特許文献38】米国特許第4,750,822号明細書
【特許文献39】米国特許第5,595,406号明細書
【特許文献40】米国特許第5,042,951号明細書
【特許文献41】米国特許第6,268,917号明細書
【特許文献42】米国特許第7,339,718号明細書
【特許文献43】米国特許第6,819,423号明細書
【特許文献44】PCT/US09/05346号明細書
【特許文献45】米国特許第7,274,450号明細書
【特許文献46】米国特許第6,798,511号明細書
【特許文献47】米国特許出願公開第2004/0228371号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2007/0252992号明細書
【特許文献49】米国特許出願公開第2006/0289761号明細書
【特許文献50】米国特許出願公開第2007/0278407号明細書
【特許文献51】米国特許出願公開第2007/0097373号明細書
【特許文献52】米国特許出願第12/456,791号明細書
【特許文献53】米国仮特許出願第61/208,735号明細書
【特許文献54】米国仮特許出願第61/281,905号明細書
【非特許文献】
【0073】
【非特許文献1】Collins, “Automatic Rotating Element Ellipsometers: Calibration,Operation and Real-Time Applications”, Rev.Sci.Instrum., 61 (8) (1990)
【非特許文献2】Andrewsらの"Gain of a スミスパーセル(Smith-Purcell) Free Electron Laser"の論文、Phy. Rev., VoI 7, 070701 (2004)
【非特許文献3】"Terahertz Generalized Meuller-matrix Ellipsometery"、Hofmannら、Proc. of SPIE, Vol. 6120, pp. 61200D1-61200D10, (2005)
【非特許文献4】"Terahertz magneto-optic generalized ellipsometry using synchrotron and blackbody radiation"、Hofmannら、American Inst. of Physics, 77, 063902-1 through 063902-12, (2006)
【非特許文献5】"Label-free Amplified Bioaffinity Detection Using Terahertz Wave Technology"、Menikhら、Biosensors and Bioelectronics 20, 658-662 (2004)
【非特許文献6】"Spectroscopy by Pulsed Terahertz Radiation"、Hangoら、Meas. Sci. and Technol., 13 (2002), pp 1727-1738
【非特許文献7】"Measurement of Complex Optical Constants of a Highly Doped Si Wafer Using Terahertz Ellipsometry"、Nagashimaら、Applied Phys. Lett. Vol. 79, No. 24(2001年12月10日)
【非特許文献8】"Development of Terahertz Ellipsometry and its Application to Evaluation of Semiconductors"、Nagashimaら、Tech. Meeting on Light Application and Visual Science, IEEE (2002)
【非特許文献9】"Terahertz Imaging System Based on a Backward-Wave Oscillator、Dobroiuら、Applied Optics, Vol. 43, No 30(2004年10月20日)
【非特許文献10】Johsによる論文”Regression Calibration Method for Rotating Element Ellipsometers”, Thin Solid Films, 234 (1993)
【非特許文献11】"THz Ellipsometry in Theory and Experiment"、Dietzら、33rd International Conference on Infrared and Millimeter Waves and 16th International Conference on Terahertz Electronics, IRMMW-THz (2008)
【非特許文献12】"Study Terahertz Ellipsometry Setups for Measuring Metals and Dielectrics Using Free Electron Laser Light Source"、31st International Conference on Infrared and Millimeter Waves and 14th International Conference on Terahertz Electronics, IRMMW-THz (2006)
【非特許文献13】"Spectral THz Ellipsometer for the Unambiguous Determination of all Stokess Parameters"、Holldackら、30th International Conference on Infrared and Millimeter Waves and 13th International Conference on Terahertz Electronics, IRMMW-THz (2006)
【非特許文献14】"Terahertz Magneto-Optic Generalized Ellipsometry Using Synchrotron and Blackbody Radiation"、Esquinaziら、Sci. Instrum., Vol. 7, No. 6 (2006)
【非特許文献15】"Terahertz Generalized Mueller-Matrix Ellisometry"、Esquinaziら、Proc. Int. Soc. Opt. Eng., Vol. 6120, (2006)
【非特許文献16】"THz Time-Domain Magneto-Optic Ellipsometry in Reflection Geometry"、Kuwata-Gonokamiら、Trends Opt. Photonics Series, Vol. 97, (2004)
【非特許文献17】"Terahertz Polar imetry"、Gallotら、Conf. Lasers Electro-Optics, CLEO, Vol. 3 (2005)
【非特許文献18】"Evalution of Complex Optical Constants of Semiconductor Wafers using Terahertz Ellipsometry"、Hangyoら、Trends Opt. Photonics Series, Vol. 88, (2003)
【非特許文献19】"Improved Performance of Hybrid Electronic Terahertz Generators"、Hurlbutら、33rd International Conference on Infrared and Millimeter Waves and Terahertz Waves, IRMMW-THz (2008)
【非特許文献20】"Terahertz Wave Generation in Orientation-Patterned GaAs Using Resonantly Enhanced Schemes"、Vodopyanovら、SPIE-Intl. Soc. for Opt. Eng. USA, Vol. 6455, (2007)
【非特許文献21】"Terahertz BWO Spectroscopy of Conductors and Superconductors"、Gorshunovら、Quantum Electronics, Vol. 37, No. 10 (Oct 2007)
【非特許文献22】"Portable THz Spectrometers"、Kozlovら、31st International Conference on Infrared and Millimeter Waves and 14th International Conference on Terahertz Electronics, IRMMW-THz (2007)
【非特許文献23】"Terahertz Time-Domain Spectrsocopy"、Nishizawaら、Terahertz Optoelectronics, Topics Appl . Phys . 97, 203-271 (2005)
【非特許文献24】Duerr, Erik Kurtによる博士論文、"Distributed Photomixers"、Mass. Inst. Tech.、2002年9月
【非特許文献25】"Hole Diffusion Profile in a P-P+ Slicon Homojunction Determined by Terahertz and Midinfrared Spectroscopic Ellipsometry"、Hofmannら、App. Phys . Lett., 95 032102 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0074】
関連する従来技術を考慮しても、好ましくは直線偏光の方位角を制御できる電磁放射線の直線偏光ビームを提供する好適な手法と併せて、テラヘルツ領域で適用するためエリプソメーターまたはポラリメーター(偏光計)システムに対する下記の要望がある。本発明は、これら認識されている要望に応えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0075】
本発明は、300GHz以下の周波数範囲から、好ましくは赤外線の周波数範囲までにおいて適用するための実用的なエリプソメーターまたはポラリメーター(偏光計)システムとして供する光学測定システムである。従来技術では、テラヘルツ(THz)周波数においてエリプソメトリーを使用するためのシステムを提案または提供することは知られているが、そのようなことを可能にしかつ大学や産業界などにおける一般的な適用に好適な特定の実施形態は、これまでに開示されていない。本出願人の知るところによれば、市販されているTHzエリプソメーターまたは偏光計はない。エリプソメーターまたは偏光計が赤外線(IR)の周波数のケイパビリティを提供する場合には、これらのものはなおさら現存しない。
【0076】
シンクロトロンを使用してエリプソメーターにTHz周波数帯域の電磁放射線をもたらしているが、THzエリプソメトリーを稼働させることが望ましい全ての場所においてシンクロトロンを提供することはできない。本発明は多くの素子の組み合わせを提供し、それにより、市場において汎用的に適用するための新規の実用的なシステムを提供する。
【0077】
以下の説明に先立ち、いくつかの用語を定義することが有益である。まず、一般的に、テラヘルツ周波数範囲を構成すると認められている範囲は、3×1011ヘルツ(すなわち300GHz)から1.3×1012ヘルツ(すなわち1.3THz)である。テラヘルツ範囲は、マイクロ波の波長/周波数範囲(その上限値は1ミリメートルの波長を有する)と遠赤外の波長/周波数範囲(100マイクロメートルの長波長端)との間に挟まれている。
【0078】
次に、テラヘルツ(THz)電磁放射線の光源が多数存在することに留意されたい。例えば、スミスパーセル(Smith-Purcell)セルは、電子のエネルギービームを、回折格子の、刻線を刻んだ面に著しく接近させて向ける装置である。ビームの軌道に対する影響は無視できるが、テラヘルツ周波数範囲におけるチェレンコフ放射を生じさせることができ、ここでは電磁放射線の位相速度が周期的な格子によって変えられる。テラヘルツ放射の別の光源は自由電子レーザである。この光源では、電子ビームは相対論的速度で加速され、周期的な横方向磁場を通って通過させられる。磁石アレイは、電子に正弦曲線経路を形成するようにさせるためアンジュレーターまたは「ウィグラー」と称す場合もある。電子の加速によって光子が放出され、これを「シンクロトロン放射」と称す。さらに、電子の動きは、前記放出された電磁放射線のフィールドと同相であり、それゆえ、フィールドが一貫し増大する。アンジュレーターにおける振動との相互作用の結果生じる電子ビームの不安定性が電磁放射線を放出させ、その場合電子は独立して放射を行う。電子から放出された電磁放射線の波長を、電子ビームのエネルギーおよびアンジュレーターの磁場強度の双方またはいずれか一方を調節することによってテラヘルツ範囲に調節できる。テラヘルツ周波数の別の光源は後進波発振器(BWO)であり、これは、電子銃を含む真空管システムであり、その電子銃は、電子ビームを生成し、かつ電子ビームを放出された電子とは反対方向に進行する電磁波と相互作用するようにさせて、THz周波数の振動を、電子ビームに対して逆方向に進行する伝搬波との相互作用によって維持するようにする。
【0079】
テラヘルツ範囲の電磁放射線を監視するための多数の検出器が存在することについても説明する。その1つの例はゴーレイ(Golay)セルであり、これは、電磁放射線が材料に当たることによって生じる温度変化を、測定可能な信号に変換することによって動作する。一般的に、電磁放射線を黒化した材料に当てると、電磁放射線は、筐体の第1のチャンバにあるガス(例えばキセノン)を加熱し、それにより、前記第1のチャンバに隣接する変形可能な反射絞り/膜の形状を変化させる。前記絞り/膜によって第1のチャンバから分離されている第2のチャンバでは、電磁ビームを膜から光電セルへ反射させ、次いで、光電セルは、受光した電磁放射線を電気信号に変換させる。テラヘルツ範囲の電磁放射線を監視する別の検出器はボロメーターであるが、ボロメーターは、電磁放射線が黒化した金属に当たることによって起こる電気抵抗を変化させる効果を使用して動作する。
【0080】
テラヘルツ周波数の電磁放射線の固体光源および検出器があることにも留意されたい。例えば、Nagashimaらによって特定された参照文献によれば、THzパルスは、80Fs(フェムト秒)の時間幅のパルスを有するモードロックのTi−サファイアレーザによって付勢されたボウタイ型の光導電性放射線アンテナによって生成することができ、かつ検出アンテナを、薄膜LT−GaAs上に組み込められた5ミクロンのギャップを有する双極子型の光導電アンテナで形成できることが説明されている。さらに、AB Millimeter(フランス、パリ)という名称の会社が、固体光源装置および検出器装置を備える、8GHzから1000GHzまでの全範囲を網羅するシステムを供給していることが知られている。
【0081】
上記の予見的情報によれば、特許文献52には、
a1)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器と機能的に組み合わされる電磁放射線源;
a2)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線THz光源を含む偏光状態生成器;
b)サンプル支持体;
c)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ範囲の、電磁放射線を検出可能な少なくとも1つの電磁放射線検出器
からなる群から選択されるものを含むエリプソメーターまたは偏光計システムを含むシステムが開示されている。
【0082】
前記エリプソメーターまたは偏光子システムはさらに、前記THz光源と前記検出器との間に、
前記THz光源と前記サンプル支持体との間の、固定(stationary)偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子;
前記サンプル支持体と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子;
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子;および
電子−変調器、音響−変調器または光−変調器;
からなる群から選択される少なくとも1つを含み、その目的は、データ収集手順中に偏光状態を変調させることである。
【0083】
300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線THz光源を含む偏光状態生成器は、このTHz光源によってもたらされた自然偏光を利用して、個別の偏光子の使用をする必要がないが;一般に、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器と機能的に組み合わされた前記電磁放射線源は、個別の偏光子を含むことに留意されたい。
【0084】
続いて、電磁放射線THz光源は、
後進波発振器;
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル;
自由電子レーザ;および
固体光源装置;
からなる光源群から選択される少なくとも1つの光源を含み、好ましくはさらに、前記電磁放射線THz光源の後位に周波数逓倍を行う手段を含み、この周波数逓倍器は、前記THz光源から出力された電磁放射線を受光し、かつ前記光源の出力基本波と約1.6THzとの範囲内の前記電磁放射線の高調波をもたらす。
【0085】
さらに、エリプソメーターまたは偏光計システムは好ましくは、
前記電磁放射線THz光源と前記検出器との間に
少なくとも1つのオッドバウンス(すなわち奇数回反射による)偏光状態回転システムを含むと共に、当該オッドバウンス偏光状態回転システムをエリプソメーターおよび偏光計および同様のシステムに適用する方法を含む。当該オッドバウンス偏光状態回転システムがあることは、場合によってはこれを偏光状態生成器と組み合わせて、エリプソメーターシステムの偏光子を回転させずに、電磁放射線源によってもたらされた偏光状態を回転させることができる点において有益である。オッドバウンス(すなわち奇数回反射による)光学像回転システムは、特許文献8に記載されている。前記特許文献8に記載されているように、前記オッドバウンスサーブス(serves)光学像回転システムは、その伝搬方向のローカスに著しい逸脱(それること)または変位をもたらすことなく、またはその偏光状態を著しく変えることなく、直線偏光にまたは部分的に直線偏光にされた(すなわち実質的に偏光された)電磁放射線ビームの方位角を回転させる働きをする(すなわち、主要強度直交成分から他の直交成分へのエネルギーの著しいシフトを生じさせない、またはそれらの間の位相角の著しいシフトを生じさせない)。オッドバウンス光学像回転システムは、入射電磁放射線ビームをその第1の反射素子から第2の反射素子に反射させ、かつ第2の反射素子から第3の反射素子に反射させる等々のように向きを向けて設けられた一連の奇数個の反射素子であると説明できる。3つの反射素子を有するオッドバウンス光学像回転素子システムの場合、オッドバウンス光学像回転システムが、電磁放射線ビームのローカスと一致した軸の周りで、段階的にまたは連続的に回転するようにされている場合にも、3回の反射によって電磁放射線ビームを第3の反射素子から、回転された直線偏光の方位角でまたは回転された部分的に直線偏光の方位角で、かつ入力ビームのローカスから著しく逸脱も変位もしていない方向に出射させる。同じことが、任意の奇数個(例えば3、5、7など)の反射素子を含むオッドバウンス光学像回転素子システムに一般的に当てはまる。反射素子の数が多くなるほど、ビームが反射素子に対してなす入射角がより直角に近くなり、および入射角が法線に近くなるほど、収差効果が小さくなることに留意されたい。同様に、3つより多い反射素子が存在する場合、反射素子によって生じたある種の非理想性(non-idealities)を、これら反射に、一致しない(non-coincident)座標系を使用することによって打ち消すことができる。しかしながら、その見返りとして、存在する反射素子の数が多いほど、前記ビームの逸脱および変位を回避するためにシステムを調整することが困難になる。
【0086】
オッドバウンス光学像回転システムを実質的に直線偏光にする偏光素子(これは非偏光電磁放射線光源および偏光子を含むか、またはその出力として偏光電磁放射線をもたらす光源を含むことができる)とを結合することにより、偏光素子は定常状態にすなわち方位角は固定状態に維持されたままであるが、当該偏光素子から出射する電磁気の偏光ビームの方位角(そこに入射する電磁ビームのローカスに沿った位置からみて)は回転される、偏光子システムを提供できる。
【0087】
一般的に説明すると、オッドバウンス光学像回転素子システムが、それを機能的に通過する電磁放射線ビームと一致する軸の周りで360度一回転することによって、主要な強度直交成分が720度の回転を行うこととなることにも留意されたい。これは重大ではないが、前記方法の実施中に考慮にいれる必要があるとして触れておく。
【0088】
300GHz以下から1THz超に及ぶ範囲の電磁放射線検出器は、
ゴーレイ(Golay)セル;
ボロメーター;および
固体検出器
からなる検出器群から選択できる。
【0089】
加えて、前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、FTIR光源と、約1THz超の周波数範囲の前記FTIR周波数出力を検出するための検出器とを含むとともに、
300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ範囲のTHz周波数出力をもたらす、前記電磁放射線THz光源および任意選択的に設けられる周波数逓倍器と、
約1THz超のIR周波数範囲の出力をもたらす前記FTIR光源と
の間を選択するための手段を含む。
【0090】
約1THz超の周波数範囲の前記FTIR周波数出力を検出するための検出器、および300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ範囲の前記電磁放射線検出器は、それぞれ独立して、
ゴーレイ(Golay)セル;
ボロメーター;および
固体検出器
からなる検出器群から選択される。
【0091】
上述のように、好ましい実施形態では、エリプソメーターまたは偏光計システムは、好ましくは、機能的に組み合わされた周波数逓倍器を有する前記THz光源から出力を生ずるので、この出力は、前記FTIR光源からの出力と少なくとも1.0〜1.4THzの周波数において重なる。好ましくは、前記光源の各々は、選択される検出器のいずれかからの約1.0〜1.4THzの周波数範囲の出力を解析することによって実質的に同じ結果(例えば、エリプソメトリーのPSI値およびDELTA値の双方またはいずれか一方)が得られるように較正される。
【0092】
詳細には、先に述べたエリプソメーターまたは偏光計システムは:
a1)約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器と機能的に組み合わされた電磁放射線FTIR光源;および
a2)約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線FTIR光源を含む偏光状態生成器;
からなる構成要素群からの選択と、
a3)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器と機能的に組み合わされた電磁放射線THz光源;および
a4)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線THz光源を含む偏光状態生成器;
からなる構成要素群からの選択を含み、前記電磁放射線THz光源は、
後進波発振器;
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル;
自由電子レーザ;および
固体デバイス;
からなる群から選択される少なくとも1つを、好ましくは、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された周波数出力をもたらす基本出力周波数の高調波をもたらすために、周波数逓倍器と機能的に組み合わせられて、含んでいる。
【0093】
さらに、前記エリプソメーターまたは偏光計は、前記THz光源とFTIR光源との間で選択する手段を有する。
【0094】
前記エリプソメーターまたは偏光計はさらに、
b)サンプル支持体と;
c)ゴーレイ(Golay)セル検出器;
ボロメーター検出器;および
固体光源装置
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を含む電磁放射線の検出器システムを含む。
【0095】
前記好ましいエリプソメーターまたは偏光システムの実施形態はさらに、
前記選択された光源と、
前記選択された検出器との間
に少なくとも1つのオッドバウンス偏光状態回転システムを含む。
【0096】
前記エリプソメーターシステムはさらに、前記選択された光源と前記選択された検出器との間に、
前記THz光源と前記サンプル支持体との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子;
前記サンプル支持体と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子;
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子;および
電子−変調器、音響−変調器または光−変調器
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を含む。
【0097】
使用時、選択された光源と選択された検出器との選択された機能的な組み合わせを適用して、電磁放射線が前記サンプル支持体上のサンプルに当たりかつそれと相互作用してから、前記選択された検出器に入射するようにし、それにより前記検出器が出力をもたらすようにする。
【0098】
さらに、前記好ましい実施形態は、前記選択されたTHz光源と好ましくは周波数逓倍器との機能的な組み合わせからの出力と、前記FTIR光源からの出力とが、少なくとも1.0〜1.4THzの周波数で重なり、選択された検出器のいずれかからの約1.0〜1.4THzの周波数範囲で出力を解析することによって実質的に同じ結果(例えば、エリプソメトリーのPSI値およびDELTA値の双方またはいずれか一方)が得られるようにした例を提供する。
【0099】
好ましいシステムはまた、サンプルと相互作用する電磁ビームをチョッピングするためのチョッパを含む。これにより、特にデータを、疑似電磁放射線が存在するように暗くされていない室内に配置されたシステムによって得る場合にノイズが低減される。
【0100】
サンプルの特性を決定する方法は、
A)上述のようなエリプソメーターまたは偏光計を備えるステップ;
B)光源および検出器を選択するステップ;
C)前記選択された光源を適用して、実質的に偏光された電磁放射線が前記サンプル支持体上の前記サンプルに当たりかつそれと相互作用するようにし、その後、前記選択された検出器に進めて入射させて、前記検出器が出力をもたらすようにするステップ
を含む。
【0101】
前記方法はまた、好ましくは、実質的に偏光された電磁放射線をチョッピングして、前記サンプル支持体上の前記サンプルに当てかつそれと相互作用させ、その後、前記選択した検出器に進めて入射させるようにする。それにより実質的にチョッピングされたビームの内容のみに基づいた出力をもたらすためである。
【0102】
前記方法はさらに、
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を機械的可読媒体に記憶すること;
前記検出器によってもたらされた出力の少なくとも一部を解析し、および前記解析結果の少なくとも一部を機械的可読媒体に記憶すること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示すること;
前記検出器によってもたらされた出力の少なくとも一部を解析し、前記解析結果の少なくとも一部を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示すること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力が、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号をもたらすようにすること;
前記検出器によってもたらされた出力の少なくとも一部を解析し、および少なくともその一部に、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号をもたらすようにさせること
からなるステップ群から選択される少なくとも1つのステップを実行することを含む。
【0103】
前記方法はさらに、データ収集中に、前記光源と検出器との間にも存在する少なくとも1つのオッドバウンス偏光状態回転システムの少なくとも1つを連続的にまたは段階的に回転させるか、または存在する電子−、音響−または光−変調器を動作させるステップを含む。
【0104】
この方法の利点は、特にIR範囲以下の波長で動作するエリプソメーター/偏光計などのシステムにおいて、直線偏光子(または検光子)を通過する電磁放射線ビームを不利益にそらしたりすることなくまたは直線偏光子(または検光子)の複数の素子(すなわち、特許文献13に記載のような複数チップ型(tipped)ワイヤ直線偏光子)の調整を誤ることなく、直線偏光子(または検光子)を回転させることは困難であることである。前記システムは、直線偏光子および検光子のそれぞれの方位の向きを実質的に固定して設定し得るが、その代わりにオッドバウンス光学像回転素子を使用すれば、電磁ビームの方位の向きを異なる向きに回転することができる。
【0105】
さらに、好ましくは、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された周波数出力をもたらす基本出力周波数の高調波をもたらすための周波数逓倍器と機能的にそれぞれ組み合わせられる、
後進波発振器;
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル;
自由電子レーザ;および
固体デバイス;
から特に選択された素子と、
それぞれ様々なタイプの偏光子、検光子および設けられているならば補償子から選択された素子と、それぞれの動作(すなわち固定、回転可能または回転)と、データ収集中のビームチョッパ周波数と組み合わせられる
FTIR光源と;
さらには、THz範囲およびIR範囲のそれぞれでの動作用の
ゴーレイ(Golay)セル検出器;
ボロメーター検出器;および
固体光源装置;
からの特定の選択された素子との機能的な組み合わせのような、エリプソメーターまたは偏光計を構成する種々の素子の様々な選択された組み合わせが、測定されたノイズ/信号比および波長域の範囲によって定量された異なる質、例えば、エリプソメトリーのPSI値またはDELTA値の結果をもたらすことができることにも留意されたい。後者の点において、異なる波長出力をもたらしかつそれらの出力を結合させる2つのTHz光源を提供することを有利とし得ることに留意されたい。
【0106】
本願の提出時には、好ましい実施形態は後進波発振器(BWO)を、×1、×2、×3、×6および×9の性能(capability:ケイパビリティ)を有する逓倍器と組み合わせて利用すると考えられており、ゴーレイ(Golay)セルまたはボロメーターと機能的に組み合わされて、約0.12〜1.5THzの範囲で良好な結果をもたらす。さらに、10〜150THzの性能を有するジェイ・エイ・ウーラム・コーポレーション(J.A. Woollam Co.)社製のIR-VASE (登録商標)で使用されているような従来のFTIR光源は、約1.0THzまで下げた出力を提供することができることが示されている。これにより、好都合にも、THz光源とIR光源との約1.0〜1.4THzの間の重なりが可能となり、それを使用して、THz光源およびIR光源を使用して個別に得られる結果を検証することができる。加えて、検出器を冷却すること(例えば、液体ヘリウムを使用して)、および光源と検出器との異なる組み合わせには異なるようにビームチョッパ率を調整する(例えば約12から50Hzの間)のが好都合である。
【0107】
さらに、
a2)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線THz光源を含む偏光状態生成器
を含み、その後位に、少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムを含んでいるエリプソメーターまたは偏光計システムであって、当該少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムが、
少なくとも3つの奇数個の反射素子であって、前記電磁放射線源によってもたらされた電磁放射線ビームを、前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムの前記少なくとも3つの反射素子のそれぞれと相互作用させ、そこから、逸脱(ずれ)も変位もしていない軌道に沿って出射させ、さらに前記電磁放射線ビームを、サンプルシステムを支持する前記ステージ上に配置されたサンプルシステムと、前記検出器に入射する前に前記検光子と相互作用させるように、向きが向けられた当該奇数個の反射素子
を含んでいる、当該エリプソメーターまたは偏光計システムは、確かに新規であり、かつ特許性を有すると信じられている;特に、当該エリプソメーターまたは偏光計システムが、さらに少なくとも2つの回転素子を含んでいて、それぞれの回転素子が:
回転偏光子;
回転補償子;および
回転検光子
からなる回転素子群から選択された回転素子である場合には尚更である。
【0108】
加えて、エリプソメーターまたは偏光計システムを提供するステップを含む方法であって、当該ステップが
a2)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線THz光源を含む偏光状態生成器を選択し;かつ
少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムを備えること
を含み、当該少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムが、
少なくとも3つの奇数個の反射素子であって、前記電磁放射線源によってもたらされた電磁放射線ビームを前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムの前記少なくとも3つの反射素子のそれぞれと相互作用させ、そこから、逸脱(ずれ)も変位もしていない軌道に沿って出射させ、さらに前記電磁放射線ビームを、サンプルシステムを支持する前記ステージ上に配置されたサンプルシステムと、前記検出器に入射する前に前記検光子と相互作用させるように向きが向けられた当該奇数個の反射素子;
を備えている場合には、当該方法は確かに新規であり、かつ特許性を有する。
【0109】
これは、データ収集中に前記オッドバウンス光学像回転システムが:
段階的に回転される;および
連続的に回転される
からなる回転方式群から選択される回転方式で回転される場合である。
【0110】
特許性の追加的な根拠は、特に、システムが少なくとも2つの回転素子を含み、そのそれぞれが:
回転偏光子;
回転補償子;
回転検光子;および
前記オッドバウンス光学像回転システム;
からなる回転素子群から選択され、かつ前記選択された2つの回転素子が双方ともデータ収集中に連続的に回転される場合に、さらに高まる。
【0111】
また、THz範囲で動作するエリプソメーターまたは偏光計システム、およびその使用方法について説明する。当該システムのエリプソメーターまたは偏光計がチョッパを含んでいて、電磁ビームをチョッピングして実質的にチョッピングされた電磁ビームのみを検出器に供給し、および前記チョッパは少なくとも2つの回転素子と機能的に組み合わされており、それら回転素子のそれぞれが、
回転偏光子;
回転補償子;
回転検光子;および
オッドバウンス光学像回転システム;
からなる回転素子群から選択され、該少なくとも2つの回転素子がデータ収集中に回転させられる。このような構成のエリプソメーターまたは偏光計システム、およびその使用方法は、新しく、新規であり進歩性があると思われる。このことは特に、次のような場合に言える。すなわち、前記THz範囲エリプソメーターまたは偏光計システムが、少なくとも3つの奇数個の反射素子を含む少なくとも1つの連続回転式オッドバウンス光学像回転システムを含んでいて、ここでは、前記電磁放射線源によってもたらされた電磁放射線ビームが、前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムの前記少なくとも3つの反射素子のそれぞれと相互作用し、そこから、逸脱(ずれ)も変位もしていない軌道に沿って出射し、さらに前記電磁放射線ビームが、サンプルシステムを支持するための前記ステージ上に配置されたサンプルシステムと、前記検出器に入射する前に前記検光子と相互作用する場合である。
【0112】
続いて、上述の記載は、特許文献52に実質的に説明されている。下記においては、特許文献54に実質的に記載されているような、上述のものに対する変形例を説明する。
【0113】
上述において説明されているように、本発明のエリプソメーターまたは偏光計システムは:
a)
a1)約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器と機能的に組み合わされた電磁放射線のFTIR光源(S2);および
a2)約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線のFTIR光源(S2)を含む偏光状態生成器
からなる群から選択された光源
を含む。上述した構成とここで説明する構成との相違点の1つは、本願明細書で説明するシステムは、前記偏光状態生成器が、
a21)オッドバウンス偏光状態回転システムの後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子;および
a22)偏光状態生成器の入射側偏光子の後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子
からなる群から選択されることを提供することである。
【0114】
上述のように、本発明のエリプソメーターまたは偏光計システムはさらに:
a3)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす、偏光状態生成器と機能的に組み合わされた電磁放射線のTHz光源(S1)
からなる群から選択される光源を含む。
【0115】
上述の構成と下記で説明する構成との別の相違点は、本願明細書で記載するシステムでは、前記偏光状態生成器が:
a4)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線のTHz光源(S1)を含む偏光状態生成器であって、
a41)オッドバウンス偏光状態回転システムの後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子;および
a42)偏光状態生成器の入射側偏光子の後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子
からなる群から選択される偏光状態生成器である。
【0116】
上述のように、
電磁放射線の前記THz光源(S1)は、
後進波発振器(BWO);
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル(SP);および
自由電子レーザ(FE);
からなる群から選択される少なくとも1つの光源を、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された周波数出力をもたらす基本出力周波数の高調波をもたらす周波数逓倍器(M)と、任意に機能的に組み合わせて含み、および
前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記THz光源(S1)とFTIR光源(S2)との間で選択する手段を含む。
【0117】
この選択手段の後位に、
b)サンプル支持体(S)と;
c)
ゴーレイ(Golay)セル検出器(GC);および
ボロメーター検出器(BOL)
からなる群から選択される少なくとも1つの検出器を含む電磁放射線の検出器システム(D1)(D2)(D3)と
が設けられている。
【0118】
前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記選択された光源と前記選択された検出器との間に、
前記光源(S1)(S2)と前記サンプル支持体(S)との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子(P);
前記サンプル支持体(S)と前記検出器(GC)(BOL)との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子(A);および
前記光源(S)と検出器(GC)(BOL)との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子(C)(C’)
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を含む。
【0119】
使用時、選択された光源、選択されている場合の偏光状態生成器、および検出器の選択的で機能的な組み合わせを適用して、電磁放射線を前記サンプル支持体(S)上のサンプルに当ててそれと相互作用させてから、前記選択された検出器(D1)(D2)(D3)に入射させて、前記検出器が出力をもたらすようにする。
【0120】
ここで開示している特定の発明は、A2の偏光状態生成器がFTIR光源(S2)を含み、およびA4の偏光状態生成器がTHz光源(S1)を含み、a22およびa42がさらに選択されていることが分かっている。
【0121】
ここで開示している別の発明は、A2の偏光状態生成器がFTIR光源(S2)を含み、およびA4の偏光状態生成器がTHz光源(S1)を含み、a21およびa41がさらに選択されていることが分かっている。
【0122】
ここで開示している別の発明は、A2の偏光状態生成器がFTIR光源(S2)を含み、およびA4の偏光状態生成器がTHz光源(S1)を含み、a21およびa42がさらに選択されることが分かっている。
【0123】
ここで開示している別の発明は、A2の偏光状態生成器がFTIR光源(S2)を含み、およびA4の偏光状態生成器がTHz光源(S1)を含み、a22およびa41がさらに選択されることが分かっている。
【0124】
サンプルの特性を決定する方法は:
A)上述のようにエリプソメーターまたは偏光計システムを備えるステップ;
B)光源と検出器と偏光状態生成器とを選択するステップ;
C)前記選択された光源を適用して、実質的に偏光された電磁放射線を前記サンプル支持体上の前記サンプル(S)に当ててかつそれと相互作用させて、前記選択された検出器に進めて入射させて、前記検出器が出力をもたらすようにするステップ;
を含み、前記方法はさらに、
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を機械的可読媒体に記憶させること;
前記検出器によってもたらされた出力の少なくとも一部を解析し、および前記解析結果の少なくとも一部を機械的可読媒体に記憶させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を解析し、および前記解析結果の少なくとも一部を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力に基づいて、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号を生じさせること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を解析し、および少なくともその一部に基づいて、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号を生じさせること
からなる動作群から選択される少なくとも1つの動作を実行することを含む。
【0125】
ここで開示している発明の別の形態によれば、
a)1.1THz以下から1.4THz以上までに及ぶ周波数範囲の、少なくとも部分的に偏光された出力をもたらす電磁放射線源;および
b)
偏光状態生成器の入射側偏光子;および
オッドバウンス偏光状態回転システム
からなる素子群から選択された素子の後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子との直列の組み合わせからなる偏光状態生成器
を含むエリプソメーターまたは偏光計システムである。
【0126】
この直列の組み合わせの後位に続けて:
c)サンプル支持体;および
d)300GHz以下から少なくとも1.4THzまでの範囲の電磁放射線を検出可能である少なくとも1つの電磁放射線検出器
が設けられている。
【0127】
前記光源と前記検出器との間には、前記偏光状態生成器の構成要素に加えて、
前記THz光源と前記サンプル支持体との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子;
前記サンプル支持体と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子;および
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子;
からなる素子群から選択される少なくとも1つの素子が存在する。
【0128】
偏光状態生成器は、選択されたオッドバウンス偏光状態生成器と、その後位の当該偏光状態生成器の出射側偏向子とによって特徴付けられ、当該偏光状態生成器は、使用時、当該オッドバウンス偏光状態生成器が電磁放射線の少なくとも部分的に偏光されたビームをその光源から受光し、前記少なくとも部分的に偏光されたビームの偏光状態を回転させ、かつそれを、前記偏光状態出射側偏光子から出射する偏光状態の純度を高める働きをする前記偏光状態出射側偏光子を通って通過させ動作を行うことに留意されたい。
【0129】
また、偏光状態生成器は、偏光状態生成器の入射側偏光子と、その後位の当該偏光状態生成器の出射側偏光子とによって特徴付けられ、当該偏光状態生成器は、当該偏光状態生成器の前記入射側偏光子が、電磁放射線の少なくとも部分的に偏光されたビームをその光源から受光し、その後、それを、前記偏光状態出射側偏光子を通って通過させる動作を行うことにも留意されたい。前記偏光状態生成器の入射側偏光子は、光源からもたらされた電磁放射線の少なくとも部分的に偏光されたビームの有効な方位および偏光状態生成器の出射側偏光子の有効な方位が互いに対して本質的に90度をなしていることにより、電磁放射線の少なくとも部分的に偏光されたビームが偏光状態生成器の出射側偏光子を越えて伝搬するのを妨げる条件を回避させるのに供する。
【0130】
本発明のエリプソメーターまたは偏光計システムの別の形態によれば、エリプソメーターまたは偏光計システムが、
a)300GHz以下から1.1THz以上に及ぶ周波数範囲の、少なくとも部分的に偏光された出力をもたらす電磁放射線THz光源;および
b)
偏光状態生成器の入射側偏光子;および
オッドバウンス偏光状態回転システム
からなる素子群から選択される素子の後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子と直列の組み合わせからなる偏光状態生成器
を含む。
【0131】
これらの素子の後位には:
c)サンプル支持体;および
d)300GHz以下から少なくとも1.1THzまでの範囲の電磁放射線を検出可能な少なくとも1つの電磁放射線検出器
が設けられている。
【0132】
前記偏光状態生成器の構成要素に加えて、前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記光源と前記検出器との間に、
前記光源と前記サンプル支持体との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子;
前記サンプル支持体と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子;および
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子
からなる素子群から選択された少なくとも1つの素子を含む。
【0133】
本発明のエリプソメーターまたは偏光計システムの別の実施形態では、エリプソメーターまたは偏光計システムが
a)1.1THz以下から1.4THz以上に及ぶ周波数範囲の少なくとも部分的に偏光された出力をもたらす電磁放射線FTIR光源:および
b)
偏光状態生成器の入射側偏光子;および
オッドバウンス偏光状態回転システム
からなる素子群から選択された素子の後位にある、偏光状態生成器の出射側偏光子との直列の組み合わせからなる偏光状態生成器
を含む。
【0134】
次いで、前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、
c)サンプル支持体;および
d)1.1THz以下から少なくとも1.4THzまでに及ぶ範囲の電磁放射線を検出可能な少なくとも1つの電磁放射線検出器
を含む。
【0135】
前記偏光状態生成器の構成要素に加えて、前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記光源と前記検出器との間に、
前記THz光源と前記サンプル支持体との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子;
前記サンプル支持体と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子;および
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子
からなる素子群から選択される少なくとも1つの素子を含む。
【0136】
最後に、最近の判例法の観点から、本発明のシステムは、好ましくは、素子の動き(例えば、偏光子(P)、補償子(C、C’)、検光子(A)、オッドバウンス像回転システム(OB)の素子の群から選択されたいずれか1つの素子または2つ以上の素子の段階的または連続的な回転);
チョッパ(CH)の動作;サンプル(S)の位置決め;光源(S1、S2)の選択;検出器(D1、D2、D3)の選択;および光源(S1、S2、S3)および検出器(D1、D2、D3)の双方またはいずれか一方の動作を制御するコンピュータシステムを含むことを特に説明する。さらに、本発明のシステムは、検出器(D1、D2、D3)によってもたらされたデータを解析しかつ前記データまたはその解析結果を表示する働きをするコンピュータシステム(CMP)を含む。すなわち、本発明は、エリプソメーターまたは偏光計を含むコンピュータシステム(CMP)であって、前記エリプソメーターまたは偏光計の素子の動作を制御して、サンプルを特徴づけるデータ、ならびに実行された前記データの解析および前記データまたはその解析結果の表示が生成されるコンピュータシステム(CMP)であると考えられる。
【0137】
本発明を、本願明細書の詳細な説明を図面と併せて参照することで、より良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1−1】図1a〜図1cは、本発明のエリプソメーターまたは偏光計システムとして供する光学測定システムの例示的な構成を示す図、および図1dは、変調器を伴う代替的な偏光状態生成器を示す図である。
【図1−2】図1e〜図1gは、オッドバウンス像回転システムおよび偏光子の相対位置が逆になっている、図1a〜図1cと類似の光学測定システムを示す図、および図1hは、逆に配置されたオッドバウンス像回転システムの偏光子が同調して制御されていることを示す図である。
【図1−3】図1i〜図1kは、図1e−1gと類似であるが、オッドバウンス像回転システムを第2の偏光子で置き換えたものを示す図である。
【図2】図2a〜図2dは、テラヘルツ周波数の光源の様々な態様を示す図、および図2e〜図2gは、テラヘルツ周波数の例示的な検出器を示す図である。
【図3】図3aは、3つの反射素子を含むオッドバウンス像回転システムを示す図、および図3bは、5つの反射素子を含むオッドバウンス像回転システムを示す図である。
【図4】IR範囲の波長に適用するために回転補償子型エリプソメーターシステムに使用された好ましい補償子(C)(C’)(C”)を示す図である。
【図5−1】図5aは、非ブルースター角とブルースター角とを組み合わせた偏光子システムを示す図である。
【図5−2】図5bは、デュアルチップ型ワイヤグリッド偏光子システムを示す図である。
【図6】約1.0〜1.4THzの周波数範囲が重なっている、本発明の適用によって達成できるデータを示す図である。
【図7】コンピュータを使用して本発明を実施することによって得られるデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0139】
ここで図面を参照すると、図1a、図1bおよび図1cは、本発明の光学測定システムを提供する様々な手法を示す。図1aは、それぞれ後進波発振器またはスミスパーセル(Smith-Purcell)セルまたは自由電子レーザまたは固体デバイスとし得る3つの光源(S1)(S2)(S3)を示す。また、それぞれ光源(S1)(S2)(S3)からの電磁放射線を、それぞれ任意選択の、すなわち必要に応じ選択されることのある偏光子(P)(自然光源の偏光で十分とし得る)、オッドバウンス像回転システム(OB)および補償子(C)を介してサンプル(S)に向ける働きをするビームコンバイナ(BC1)(BC2)(BC3)も示す。典型例として、前記任意選択の構成要素(P)(OB)(C)を組み合わせて示してあり、この組み合わせは、従来型の偏光状態生成器(CPSG)と称せられるものであり、かつこれら構成要素は、光源(S1)(S2)(S3)によってもたらされた電磁放射線ビームを偏光させる意図で含まれている。しかしながら、本発明に関しては、いずれか選択された光源(S1)(S2)(S3)が、既に偏光されている電磁放射線ビームを提供できる可能性がある。それゆえ、本願明細書では、光源(S1)(S2)(S3)が従来型の偏光状態生成器(CPSG)の構成要素の存在を含めるかまたは含めないかは、「偏光状態生成器(PSG)」の定義内にあることを理解されたい。図1aにはまた、サンプル(S)と検出器(D1)(D2)との間に任意選択の構成要素(OB’)(C’)および(P))が示されている。検出器(D1)および(D2)には、ビームスプリッター/光指向器(director:ディレクター)によって電磁放射線が向けられていることに留意されたい。使用時、サンプル(S)の方へ進む電磁放射線ビームが様々な範囲の波長を含むように、光源(S1)(S2)および(S3)を付勢させたり、または付勢させなかったりすることができる。例えば、光源(S1)を、テラヘルツ(THz)周波数をもたらすように選択でき、および光源(S2)を、赤外線(IR)周波数をもたらすように選択でき、かつ使用中、(THz)波長または(IR)波長のどちらかのみをもたらすようにそれら光源の一方または他方を付勢させることができるし、または双方の光源を付勢させて、好ましくは約1.0THzの周波数と1.4THz以上の周波数との間で範囲が重なった、広範な組み合わせ波長範囲をもたらすことができる。光源および検出器の構成が異なって示されていることを除いて、図1aについて説明した概要は図1bおよび図1cにも同様に当てはまる。図1bに示す構成では、光源(S1)(S2)(S3)および検出器(D1)(D2)(D3)は、単純に順次にスライドさせて所定位置に動かせる。図1cでは、入力ビーム反射手段(BRI)および出力ビーム反射手段(BRO)を、1つの光源または別の光源からサンプル(S)に電磁放射線を選択的に向けるように回転可能な構成として示す。図1a〜図1cに示す構成は、何ら限定的ではなく、単なる例示にすぎない。例えば、図1aの光源選択手法、および図1bまたは図1cの検出器選択配置などの構成を選択することが可能である。さらに、光源を1つだけ(すなわちテラヘルツ周波数をもたらす光源系)提供する一方、2つの検出器(例えばゴーレイ(Golay)セルまたはボロメーター)間で選択を行うようなことは本発明の範囲内のことである。
【0140】
図1aの構成を、複数の光源のスイッチを同時に入れることによって動作させ、広範な周波数範囲を含む電磁ビームをもたらすことができることにも留意されたい。特に、何ら限定されるものではないが、そのような構成では、1.0〜1.4THzの範囲の出力をもたらすように前記光源をそれぞれ調整して、実質的に同じ結果(例えばエリプソメトリーによるPSI値およびDELTA値の双方またはいずれか一方)を、選択したいずれかの検出器からの出力が約1.0〜1.4THzの周波数範囲にあることを解析することによって、得るようにすることが有益である。これは、周波数範囲の下限値と上限値との間を連続的に提供するだけでなく、結果の精度を保証する手法でもある。著しく異なる電磁放射線源を使用して同じ結果を得るならば、どちらの光源の使用でも、良好なデータの収集ができる可能性が非常に高いとみなすことができる。
【0141】
図1dは、任意選択の偏光子(P)と、変調器(MOD)とを備える代替的な偏光状態生成器(APSG)の構成が本発明に適用できることを説明している。図1a〜図1cに示した従来型の偏光状態生成器(CPSG)の構成要素の代わりにまたはそれに加えて上述のような(APSG)構成を用いることができる。また、変調器(MOD’)を含む代替的な偏光状態検出器生成器(APSD)の構成も示している。ここでも、図1a〜図1cに示した従来型の偏光状態検出器(CPSD)の代わりにまたはそれに加えて、上述のような(APSD)構成を用いることができる。電気信号または音響信号または光信号を適用して偏光状態を変調させる変調器を含む様々なタイプの変調器が存在することに留意されたい。
【0142】
図1a〜図1dにチョッパ(CH)も示してある。チョッパ(CH)を用いて、選択した周波数でビームを「チョッピング」することができ、チョッピングされていないバックグラウンド電磁放射線とは別個に監視できるようにする。これにより、暗くしていない部屋において、ノイズによって潰されていないデータを得ることができる。図1a〜図1dの各々においてチョッパ(CH)を異なる位置に配置して示す。これは、チョッパ(CH)によってビームをチョッピングするという機能的な条件を満たせば、チョッパ(CH)を配置する位置は問わないことを示す。チョッパ(CH)を含むシステムは、実質的にチョッピングされた電磁ビームのみを検出器(D1)(D2)(D3)に提供する。
【0143】
図1eには、図1aと実質的に類似したシステムであるが、偏光状態生成器(PSG)においてオッドバウンス像回転システム(OB)が偏光子(P)の前位にあるシステムを示す。図1hもまた、オッドバウンス像回転システム(OB)および偏光子(P)の双方が、これらの回転を同期させるための手段(例えばステッパ電動機)(MOB)と(MOP)を備えていることを示す。使用時、光源(S1)からの自然な偏光状態は、オッドバウンス像回転システム(OB)によって方位が回転され、その後、偏光子(P)を通過する。このシステムでは、偏光子(P)を方位に関して回転させて、オッドバウンス像回転システム(OB)から出射する電磁ビームの偏光の方位位置に対応するようにする。この手法は非常にうまくいくことが分かっている。オッドバウンス像回転システム(OB)は、ビーム偏光の方位の向きの設定に対して実質的に役割を果たし、かつ偏光子(P)は、オッドバウンス像回転システムから出射するビームの偏光を「きれいにする」。図1fおよび図1gもまた、図1bおよび図1cと非常に類似している構成であるが、図1eおよび図1aに関して説明したのと同じ目的で、オッドバウンス像回転システム(OB)および偏光子の位置が同様に逆の位置となっている構成を示している。
【0144】
図1i〜図1kに、図1e〜図1gと類似している構成であるが、図1e〜図1gのオッドバウンス像回転システム(OB)を第2の偏光子(P’)で置き換えている構成を示す。この場合、第2の偏光子(P’)は、偏光子(P)の向きが、光源(1))(S2)(S3)から出射する自然な偏光に対して90度となってしまって放射線が偏光子を透過するのを阻止してしまうような向きとならないように、作用する。偏光子(P’)を追加することによって、偏光子(P)をいずれの方位の向きにでも設定することも可能となり、しかも依然として偏光子を通して電磁ビームを透過させることが可能である。
【0145】
ここで図2a〜図2dを参照して、様々なテラヘルツ光源の動作につき説明する。図2aは、スミスパーセル(Smith-Purcell)(SP)セルが、格子(G)を備えていてその上を電子ビーム(e−)が通過すると、THz電磁放射線が放射されることを示している。図2bは、自由電子レーザ(FE)が一連の磁極(MP)を備えていて、その上を電子ビーム(e−)が通過すると、THz電磁放射線が放射されることを示している。図2cは、後進波発振器(BWO)が導波路(WG)を備えていて、その中を電磁放射線(EM)が一方向に通過する一方で電子ビーム(e−)が反対方向に通過すると、THz電磁放射線が放射されることを示している。図2dに示す例では、テラヘルツ光源(任意に(S1)として示している)は、一般に、拡張周波数範囲の出力(例えば300GHzまたはそれ未満から少なくとも1.4THzまで)を生じさせるために、周波数逓倍器(M)が存在することを必要とすることを示している。示すものがないために図示はしないが、IR範囲の電磁放射線源が好ましくは、分光範囲の波長をもたらすフーリエ変換赤外線(FTIR)光源であることに留意されたい。(FTIR)は実際に、モノクロメーターの使用によるのではなく、多数の波長を同時に集めてデータにフーリエ変換を適用するための手段を使用して波長スペクトルの解析を行う手法に関係することに留意されたい。しかしながら、IR波長スペクトルの光源をFTIR光源とすることは一般的である。オッドバウンス像回転システム(図3aおよび図3b)はIR-VASE(登録商標)に存在しているが、10THz未満の周波数には適用されていないことに特に留意されたい。また、特にオッドバウンス像回転システムは、300GHz以下にまで下った周波数をもたらす後進波発振器(BWO)またはスミスパーセル(Smith-Purcell)セルまたは自由電子レーザを含むシステムには適用されていない。前記周波数においてオッドバウンス像回転システムを適用することが、本発明において新規なことである。FTIR光源を後進波発振器(BWO)またはスミスパーセル(Smith-Purcell)セルまたは自由電子レーザと組み合わせて、300GHz以下からIR範囲までの広範な周波数範囲にわたってエリプソメトリーを実施するための実用的なシステムを提供することも、本発明において新規なことである。
【0146】
図2eおよび図2fは、検出器(例えばゴーレイ(Golay)セル(GC)およびボロメーター(BOL))の基本的な構成要素を示す。ゴーレイ(Golay)セルは基本的に2つのチャンバ(CH1)および(CH2)を備える。使用時、電磁放射線(EM)は一方のチャンバ(CH1)に入射し、その中にあるガスを加熱して膨張させる。これにより絞り(DIA)の形状が変化し、それによりプローブビーム(PB)を第2のチャンバ(CH2)に入射させて、異なる光路に沿って反射させてから、検出器(図示せず)で検出する。図2fは、電磁放射線が、温度によって抵抗を変化させる材料(Ω)に当たることによって動作するボロメーター(BOL)を示している。また、電圧源(V)および電流検出器(I)も示す。使用時、電流の変化は、電磁放射線が材料(Ω)を加熱したことを示す。図2gに、テラヘルツ周波数の例示的な検出器を示してあり、これは、電磁放射線(EM)が当たりかつ測定可能な電圧(V)をもたらすP/N接合を備えている。さらに、多くの材料を固体デバイスに適用できるが、THz周波数範囲およびIR周波数範囲での適用に特に関連する材料は、「重水素化硫酸トリグリシン」(一般に(DTGS)と称す)であり、この材料は、必要とされる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に埋め込まれる。前記材料は、非常に高い焦電性能を示す。
【0147】
(注:図2gはまた、電圧が印加されると電磁放射線が放射されるテラヘルツ周波数の固体光源の少なくとも一部分を示しているとみなすべきである。THzおよびIR周波数範囲の双方またはいずれか一方の電磁放射線を生ずるための固体光源やそれら電磁放射線を検出するための検出器を、本願明細書で特定された他の任意のタイプの光源や検出器で代用できるかまたはそれらと組み合わせて使用できることを理解されたい)。
【0148】
ここで図3aおよび図3bを参照して説明する。図3aに、3つの反射素子(RE1)(RE2)および(RE3)を含む3回反射型のオッドバウンス像回転システム(OBIRS)を示す。これら反射素子は、逸脱または変位がそのローカスに全く入り込まないように、入力電磁放射線ビーム(EMI)が出力電磁放射線ビーム(EMO)として出射するように、相互に正しい向きで置かれている。図3bは、5回反射型のオッドバウンス像回転システム(OBIRS)を示す。ここでは、5つの反射素子(RE1’)、(RE2’)(RE3’)(RE4’)および(RE5’)が、逸脱または変位がそのローカスに全く生じないように、入力電磁放射線ビーム(EMI)が出力電磁放射線ビーム(EMO)として出射するように相互に正しい向きで置かれている。一般的に、電磁放射線の(EMI)ビームおよび(EMO)ビームの入射角が、図3aの3回反射型のオッドバウンス像回転システム(OBIRS)の場合よりも直角に近いことに留意されたい。これは、入射角が直角に近いほど、ビームに取り込まれる収差効果が小さいため有益である。しかしながら、図3bのシステムを構成するのは図3aのシステムを構成するよりも困難であることも認められる。
【0149】
図4に、IR範囲の波長に適用するために回転補償子型エリプソメーターシステムに使用するのに好ましい補償子(C)(C’)を示す。直立側面立面図に示すように、補償子システムは、それぞれ反射面を含む第1(OS1)および第2(OS2)の向き調節可能なミラー素子を含む。調節を可能にするピボット(PP1)(PP2)取付具に留意されたい。前記補償子システムはさらに、第3の素子(TE)を含み、この素子は、直立側面立面図で示すように、頂点(UP2)から左右に下方へ突出する第1の側面(IS1)および第2の側面(IS2)を有し、前記第3の素子(TE)は、内部の第1の側面と第2の側面との間に反射性境界面を提供する材料で作製されている。前記第3の素子(TE)は、第1の向き調節可能な素子(OS1)および第2の向き調節可能な素子(OS2)に対する向きを定めて置かれていて、それにより、使用時に、本質的に水平に向けられたローカスに沿って前記第1の向き調節可能な素子(OS1)および第2の向き調節可能な素子(OS2)の一方に達するようにされた入力電磁放射線ビーム(LB)は、そこから、上方へ垂直な向きで外部へと反射された後(ビーム(R1)参照)、前記第3の素子(TE)に入射し、前記第1および第2の側面の一方から本質的に内部全反射され、次いで本質的に水平のローカスに沿って進み(ビーム(R2)参照)、そして、前記第1(OS1)および第2(OS2)の側面の他方から本質的に内部全反射されて、本質的に下方へ垂直な向きのローカスに沿って進み(ビーム(R3))、その後、前記第1(OS1)および第2(OS2)の向き調節可能なミラー素子の他方から反射されて、本質的に水平な向きの(LB’)伝搬方向ローカスに沿って進む。この水平な向きの(LB’)伝搬方向ローカスは、前記補償子が電磁放射線ビームのローカスの周りを回転する場合にも、前記入力電磁放射線ビームの本質的に水平な向きのローカスから本質的に逸脱も変位もしておらず、その結果、前記入力電磁放射線ビームの直交成分間にリターデーションが生じる。また、機能性を保持しながら形状が(IS3’)となる場合がある第3の素子の下側(IS3)も示す。
【0150】
図5aおよび図5bに、図1a〜図1cに示した偏光子(P)および検光子(A)として使用できるシステムの例を示す。図5aは、非ブルースター角(NBR)成分と、非ブルースター角(BR)成分とを含む偏光子(P)を示す。図示の通過する電磁放射線ビーム(EMW)は、任意選択の補償子(C)(C’)用の補償子設計が存在してデータ収集中に回転すること、およびオッドバウンス像回転システム(OBIRS)が様々な方位角位置に段階的に調節されてデータ収集中に静止状態に設定され、それにより、固定直線偏光子(FP)および検光子(A)(A’)が静止して保持されることを示す。すなわち、本発明の好ましい適用では、回転補償子型エリプソメーターシステムにおいて、固定偏光子とオッドバウンス像回転システム(OBIRS)とを組み合わせることによって、有効的な回転可能な偏光子を提供する。これは、(IR波長域で使用されるチップ型のワイヤグリッド板偏光子のような)偏光子が回転するのが困難である一方、その内部にある構成要素のアライメントを維持し、かつ入力電磁ビーム(EMI)と出力電磁ビーム(EMO)との間に逸脱および変位の影響を及ぼさないようにする場合に有用である。
【0151】
図5bに、第1(WG1)および第2(WG2)のワイヤグリッド偏光子を備えるデュアルチップ型のワイヤグリッド偏光子システムを含む、取り得る代替的な偏光子を示す。第1および第2のワイヤグリッド偏光子(WG1)(WG2)は、それらの進相軸が互いに対して平行に向けられた偏光の当該進相軸を有し、偏光子それぞれが、本質的に平行な第1および第2の面を有する。しかしながら、(WG1)の本質的に平行な側面は、(WG2)の本質的に平行な側面に対して、角度(α)で示すように、傾斜させられていることに留意されたい。角度(α)を付ける目的は、不要な反射光(R1)および(R2)を逸らすためである。
【0152】
偏光子が電磁放射線ビームのローカスの周りを回転する場合であっても、図5aおよび図5bの両偏光子とも、そこに入力されるビームから、そこから実質的に逸脱も変位もしない出力ビームを提供することに留意されたい。
【0153】
好ましい実施形態におけるそれぞれの偏光子は出力として直線偏光をもたらすものであるが、本発明を、実質的に直線偏光にする偏光子、または部分的に直線偏光にする偏光子と共に使用できることを理解されたい。従って、特許請求の範囲において、用語「偏光子」は好ましくは直線偏光子を意味するが、部分的に直線偏光にする偏光子を含むものとして広く解釈されたい。さらに、補償子と組み合わせて、他の偏光状態を達成することができる。
【0154】
最後に、図6に、本発明の好ましい実施形態によって、THz範囲およびIR範囲の双方において(例えば300GHzから約1.4THzまで、および約1.0THz以上の周波数)においてサンプル調査が可能となることを示す。さらに、約1.4THz未満では、第1の光源(S1)を使用して電磁放射線をもたらし、かつ約1.0THz超では第2の光源(S2)を使用して電磁放射線をもたらすことを示す。図6に、約1.0〜約1.4THzの範囲の重畳範囲を示し、これは、本発明のシステムが、検出器の出力を解析して、例えば、サンプルを特徴づけるPSI値(Ψ)、(またはDELTA値(Δ))をもたらすときに、好ましくは同じ結果(例えばエリプソメトリーのPSI値およびDELKTA値の双方またはいずれか一方)をもたらすことを示す。図6は、本発明を適用することによって得られる、具体的かつ実際的な結果を示しているとみなすべきである。
【0155】
図7に、検出器(DET)(例えば図1a〜図1dのD1、D2、D3)によってもたらされ、コンピュータ(CMP)の機械的可読媒体を使用して本発明を実施することによって得られたデータ(DIS)を表示する実例を示すとともに、コンピュータ(CMP)がエリプソメーター/偏光計の素子の動作を制御できることを示す。
【0156】
本発明の主題を開示したが、教示を考慮して本発明の多くの修正例、代替例、変形例が可能であることは明白である。そのため、具体的に説明した以外でも本発明を実施でき、その範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
a1)偏光状態生成器と機能的に組み合わされ、約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線のFTIR光源(S2);および
a2)電磁放射線のFTIR光源(S2)を含み約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器であって、
a21)オッドバウンス偏光状態回転システムの後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;および
a22)偏光状態生成器の入射側偏光子の後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;
からなる群から選択される偏光状態生成器
からなる群から選択される光源と、
a3)偏光状態生成器と機能的に組み合わされ、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線のTHz光源(S1);および
a4)電磁放射線のTHz光源(S1)を含み300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす偏光状態生成器であって、
a41)オッドバウンス偏光状態回転システムの後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;および
a42)偏光状態生成器の入射側偏光子の後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;
からなる群から選択される偏光状態生成器;
からなる群から選択される光源と
b)サンプル支持体(S)と;
c)ゴーレイ(Golay)セル検出器(GC);および
ボロメーター検出器(BOL);
からなる検出器群から選択される少なくとも1つの検出器を含む電磁放射線の検出器システム(D1)(D2)(D3)と
を含み、
前記電磁放射線のTHz光源(S1)は、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された周波数出力をもたらす基本出力周波数の高調波をもたらすために必要に応じて設けられる周波数逓倍器(M)と機能的に組み合わされる、
後進波発振器(BWO);
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル(SP);および
自由電子レーザ(FE);
からなる光源群から選択される少なくとも1つの光源を含み、
前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記THz光源(S1)とFTIR光源(S2)との間の選択を行う手段を含み;
前記エリプソメーターまたは偏光計システムがさらに、前記選択された光源と前記選択された検出器との間に、
前記光源(S1)(S2)と前記サンプル支持体(S)との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子(P);
前記サンプル支持体(S)と前記検出器(GC)(BOL)との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子(A);および
前記光源(S)と検出器(GC)(BOL)との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子(C)(C’);
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を含み、使用時、選択された光源、選択された場合に含まれる偏光状態生成器、および選択された検出器を選択された機能的な組み合わせにすることにより、電磁放射線を前記サンプル支持体(S)上のサンプルに当て当該サンプルと相互作用させ、その後、前記選択された検出器(D1)(D2)(D3)に入射させて、前記検出器が出力をもたらすように構成した、エリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項2】
FTIR光源(S2)を含む前記A2の偏光状態生成器、およびTHz光源(S1)を含む前記A4の偏光状態生成器が選択され、ならびにa22の出射側偏光子およびa42の出射側偏光子がさらに選択されている、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計。
【請求項3】
FTIR光源(S2)を含む前記A2の偏光状態生成器、およびTHz光源(S1)を含む前記A4の偏光状態生成器が選択され、ならびにa21の出射側偏光子およびa41の出射側偏光子がさらに選択されている、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項4】
FTIR光源(S2)を含む前記A2の偏光状態生成器、およびTHz光源(S1)を含む前記A4の偏光状態生成器が選択され、ならびにa21の出射側偏光子およびa42の出射側偏光子がさらに選択されている、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項5】
FTIR光源(S2)を含む前記A2の偏光状態生成器、およびTHz光源(S1)を含む前記A4の偏光状態生成器が選択され、ならびにa22の出射側偏光子およびa41の出射側偏光子がさらに選択されている、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項6】
前記偏光状態生成器が:
選択されたオッドバウンス偏光状態回転システムと、これに続く前記偏光状態生成器の出射側偏光子とを備え、使用時、前記オッドバウンス偏光状態生成器が、電磁放射線の少なくとも部分的に偏光されたビームをその前記光源から受光し、前記少なくとも部分的に偏光されたビームの偏光状態を回転させてから、そのビームを、前記偏光状態出射側偏光子から出射する偏光状態の純度を改善する働きをする当該偏光状態出射側偏光子に通過させることを特徴とする、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項7】
前記偏光状態生成器は:
選択された偏光状態生成器の入射側偏光子と、これに続く前記偏光状態生成器の出射側偏光子とを備え、使用時、前記偏光状態生成器の入射側偏光子が、電磁放射線の少なくとも部分的に偏光されたビームをその前記光源から受光してから、そのビームを前記偏光状態出射側偏光子に通過させるようにし、前記偏光状態生成器の入射側偏光子は、前記光源からもたらされた電磁放射線の前記少なくとも部分的に偏光されたビームの有効方位と、その前記偏光状態生成器の出射側偏光子の有効方位とが、互いに対して本質的に90度をなしていて、それにより、電磁放射線の前記少なくとも部分的に偏光されたビームが前記偏光状態生成器の出射側偏光子を越えて進まないようにする条件の発生を回避できるように働くことを特徴とする、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項8】
少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’)が選択され、かつ、少なくとも3つの奇数個の反射素子を含み、前記電磁放射線源によってもたらされた電磁放射線ビームが、前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムの前記少なくとも3つの反射素子と相互作用し、かつ逸脱も変位もしていない軌道に沿ってそれらオッドバウンス光学像回転システムから出射し、前記電磁放射線ビームがまた、サンプルシステムを支持するためのステージ上に配置されたサンプルシステムと、前記検出器に入射する前に前記検光子と相互作用するように、少なくとも3つの前記反射素子が正しい向きに向けられている、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’)が、
3つの反射素子;および
5つの反射素子;
からなる反射素子群から選択される反射素子からなる、請求項8に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項10】
前記後進波発振器が前記光源として選択されている、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項11】
さらに、前記電磁ビームをチョッピングするチョッパ(CH)を含み、実質的に前記チョッピングされた電磁ビームのみを前記検出器に向けて供給する、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項12】
a2)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線のTHz光源(S1)を含む偏光状態生成器;
を選択することを含み、該偏光状態生成器の後位にオッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’)を備えていて、該オッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’)は:
少なくとも3つの奇数個の反射素子であって、前記電磁放射線源からもたらされた電磁放射線ビームが、前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムの前記少なくとも3つの反射素子のそれぞれと相互作用し、逸脱も変位もしていない軌道に沿ってそれら前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムから出射し、前記電磁放射線ビームがさらに、サンプルシステムを支持するための前記ステージに配置されたサンプルシステムと、前記検出器に入射する前に前記検光子と相互作用するように、正しい向きに向けられた前記少なくとも3つの反射素子
を含む、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項13】
少なくとも2つの回転素子を含み、それら回転素子のそれぞれが:
回転偏光子(P);
回転補償子(C)(C’);
回転検光子(A);および
オッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’)
からなる構成要素群から選択されている、請求項12に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項14】
2つの回転補償子(C)(C’)を含む、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項15】
回転補償子(C)(C’)および回転検光子(A)を含む、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項16】
回転補償子(C)(C’)を含み、および少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’)が選択されて連続的に回転される、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項17】
回転検光子(A)を含み、および前記オッドバウンス光学(OB)(PB)像回転システムが連続的に回転される、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項18】
さらに、前記電磁ビームをチョッピングするためにチョッパ(CH)を含み、および実質的に前記チョッピングされた電磁ビームのみを前記検出器に供給する、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項19】
さらに、前記電磁ビームをチョッピングするためのチョッパ(CH)を含み、および実質的に前記チョッピングされた電磁ビームのみを前記検出器に供給し;かつ少なくとも2つの回転素子を含み、それら各回転素子が:
回転偏光子(P);
回転補償子(C)(C’);
回転検光子(A);および
オッドバウンス光学像回転システム(OB)(OB’);
からなる回転素子群から選択されており、それらは、データ収集中回転する、請求項1に記載のエリプソメーターまたは偏光計システム。
【請求項20】
サンプルの特性を決定する方法であって:
A)エリプソメーターまたは偏光計システムを備えるステップであって、前記エリプソメーターまたは偏光計システムは、
a)
a1)約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす、偏光状態生成器と機能的に組み合わされた電磁放射線のFTIR光源(S2)と;
a2)約1THz超の周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす、電磁放射線のFTIR光源(S2)を含む偏光状態生成器であって、
a21)オッドバウンス偏光状態回転システムの後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;および
a22)偏光状態生成器の入射側偏光子の後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;
からなる群から選択される当該偏光状態生成器と
からなる光源群から選択される光源、および
a3)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす、偏光状態生成器と機能的に組み合わされた電磁放射線のTHz光源(S1)と;
a4)300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす、電磁放射線のTHz光源(S1)を含む偏光状態生成器であって、
a41)オッドバウンス偏光状態回転システムの後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;および
a42)偏光状態生成器の入射側偏光子の後位にある偏光状態生成器の出射側偏光子;
からなる群から選択される当該偏光状態生成器と
からなる光源群から選択される光源と
を含み、
電磁放射線の前記THz光源(S1)は、
後進波発振器(BWO);
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル(SP);および
自由電子レーザ(FE);
からなる光源群から選択される少なくとも1つの光源を、300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された周波数出力をもたらす、基本出力周波数の高調波をもたらす周波数逓倍器(M)と、任意に機能的に組み合わせて含み、
前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記THz光源(S1)とFTIR光源(S2)との間で選択する手段と;
b)サンプル支持体(S)と;
c)電磁放射線の検出器(D1)(D2)(D3)システムであって、
ゴーレイ(Golay)セル検出器(GC);および
ボロメーター検出器(BOL);
からなる検出器群から選択される少なくとも1つの検出器を含む、当該検出器(D1)(D2)(D3)システムと
を含み、
前記エリプソメーターまたは偏光計システムはさらに、前記選択された光源と前記選択された検出器との間に、
前記光源(S1)(S2)と前記サンプル支持体(S)との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子(P);
前記サンプル支持体(S)と前記検出器(GC)(BOL)との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子(A);および
前記光源(S)と検出器(GC)(BOL)との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子(C)(C’);
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を含んでいて、使用時、選択された光源、任意選択の偏光状態生成器、および検出器の選択的な機能的な組み合わせを適用して、電磁放射線が前記サンプル支持体上のサンプル(S)に当たってそのサンプルと相互作用し、その後前記選択された検出器(D1)(D2)(D3)に入射して、前記検出器が出力をもたらすようにする、当該ステップ;
B)光源と検出器と偏光状態生成器とを選択するステップ;
C)前記選択された光源を適用して、実質的に偏光された電磁放射線を前記サンプル支持体上の前記サンプル(S)に当てかつそのサンプルと相互作用させて、その後前記選択された検出器に進めてその検出器に入射させて、前記検出器が出力をもたらすようにするステップ;
を含み、
前記方法は、さらに:
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を機械的可読媒体に記憶させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の前記出力を解析し、および前記解析結果の少なくとも一部を機械的可読媒体に記憶させること;
前記検出器によってもたらされた出力の少なくとも一部を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の前記出力を解析し、および前記解析結果の少なくとも一部を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力に基づいて、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号を生じさせること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の前記出力を解析し、およびその解析の少なくとも一部に基づいて、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号を生じさせること
からなる動作群から選択される少なくとも1つの動作を実施することを含む方法。
【請求項21】
前記オッドバウンス偏光状態回転システム(OB)(OB’)を備えることを含み、さらに、データ収集中に、前記光源と検出器との間に存在する少なくとも1つの前記オッドバウンス偏光状態回転システム(OB)(OB’)を連続的にまたは段階的に回転させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、
前記THz光源と前記サンプル支持体との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子(P)と;
前記サンプル支持体と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子(A)と;
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子(C)(C’)と
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を連続的にまたは段階的に回転させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記THz光源と前記サンプル支持体との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子(P)と;
前記サンプル支持体(S)と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子(A)と;
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子(C)(C’)と
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を備えることを含むエリプソメーターまたは偏光計システムを備えるステップはさらに、前記選択群に、
電子−変調器、音響−変調器または光−変調器
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記THz光源(S1)と前記サンプル支持体(S)との間の、固定偏光子、回転可能偏光子または回転偏光子(P)と;
前記サンプル支持体(S)と前記検出器との間の、固定検光子、回転可能検光子または回転検光子(A)と;
前記光源と検出器との間の、固定補償子、回転可能補償子または回転補償子(C)(C’)と
からなる構成要素群から選択される少なくとも1つの構成要素を連続的にまたは段階的に回転させるステップを提供する前記選択群は、さらに、
前記電子−変調器、音響−変調器または光−変調器を動作させる可能性を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
300GHz以下から少なくとも1THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された出力をもたらす電磁放射線のTHz光源(S1)を提供するステップにおける
後進波発振器(BWO);
スミスパーセル(Smith-Purcell)セル(SP);および
自由電子レーザ(FE);
からなる選択群は、
固体光源装置
を含み、
その選択群からの前記選択が、基本出力周波数の高調波をもたらすための周波数逓倍器(M)と機能的に組み合わされて、300GHz以下から少なくとも約1.4THz超に及ぶ周波数範囲の、実質的に偏光された周波数出力をもたらし;
かつ、
電磁放射線のゴーレイ(golay)セル検出器(GC);および
電磁放射線のボロメーター検出器(BOL)
からなる選択群から選ばれた1つの前記検出器システム(D1)(D2)(D3)は、さらに:
固体検出器
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
300GHz以下から少なくとも約1.4THz超に及ぶ周波数範囲の電磁放射線の検出器(D1)を提供するステップは、前記ゴーレイ(Golay)セルを選択することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記FTIR光源(S2)からの約1THz超の電磁放射線の検出器(D2)を提供するステップは、前記ボロメーター(BOL)を選択することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
電磁放射線の前記THz光源(S1)の前記選択群が、さらに:
固体光源装置;
を含み、および前記THz光源(S1)とFTIR光源(S2)との間で選択する手段はさらに、前記固体光源装置を選択する手段を含み;
および、前記検出器の選択群はさらに:
固体検出器
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのオッドバウンス偏光状態回転システム(OB)(OB’)を選択し、かつ前記オッドバウンス偏光状態回転システム(OB)(OB’)は、少なくとも3個という奇数個の反射素子を含み、前記電磁放射線源によってもたらされた電磁放射線ビームが、前記少なくとも1つのオッドバウンス光学像回転システムの前記少なくとも3つの反射素子のそれぞれと相互作用して、逸脱も変位もしていない軌道に沿ってそれらオッドバウンス光学像回転システムから出射し、前記電磁放射線ビームがまた、サンプルシステムを支持するための前記ステージ上に配置されたサンプルシステムと相互作用し、および前記検出器に入射する前に前記検光子と相互作用するように、前記反射素子の向きが向けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
さらに、前記方法を少なくとも2回実施することを含み、そのうちの1回は選択したTHz光源(S1)を使用し、および1回は少なくとも1つの選択された検出器と共にIR光源(S2)を使用し、前記光源(S1)(S2)が双方とも、1.0〜1.4THz範囲の出力をもたらし;前記方法がさらに、前記選択された検出器のいずれかからの出力を約1.0〜1.4THzの周波数範囲において解析することによって、エリプソメトリックによる結果を含めて実質的に同じ結果を達成するように、前記2つの光源(S1)(S2)を協働させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
さらに、少なくとも1つの選択された検出器と共に、選択されたTHz光源(S1)およびIR光源(S2)の双方を使用して前記方法を実施することを含み、前記光源(S1)(S2)の双方ともが、1.0〜1.4THz範囲の出力をもたらし;前記方法がさらに、前記選択された検出器のいずれかからの出力を約1.0〜1.4THzの周波数範囲において解析することによって、エリプソメトリックによる結果を含めて実質的に同じ結果を達成するように、前記2つの光源(S1)(S2)を協働させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
光源を選択するステップが、後進波発振器を選択することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
システムを提供するステップが、さらに、ビームチョッパ(CH)を提供することを含み、実質的に前記チョッピングされた電磁ビームのみを前記検出器にもたらす、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
エリプソメーターまたは偏光計システムを提供するステップが、さらに、コンピュータ(CMP)を提供することを含み、前記コンピュータが、少なくとも1つの回転素子の回転を制御する働きをし、さらに、
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を機械的可読媒体に記憶させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の前記出力を解析し、および前記解析結果の少なくとも一部を機械的可読媒体に記憶させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の前記出力を解析し、前記解析結果の少なくとも一部を電子的および非電子的手段の双方またはいずれか一方によって表示させること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の出力に基づいて、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号をもたらすようにすること;
前記検出器によってもたらされた少なくとも一部の前記出力を解析し、およびその解析の少なくとも一部に基づいて、具体的かつ実際的な結果をもたらすように適用される信号をもたらすようにすること;
からなる動作群から選択される少なくとも1つの動作を実施する働きをし、かつ前記データおよびその解析の結果の双方またはいずれか一方の少なくとも一部を表示させる、請求項20に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533729(P2012−533729A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517486(P2012−517486)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/001758
【国際公開番号】WO2010/151304
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508293737)ジェイ・エイ・ウーラム・カンパニー・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】J.A.WOOLLAM CO.,INC.
【出願人】(312013826)ユニバーシティ オブ ネブラスカ ボード オブ リージェンツ バーナー ホール (1)
【Fターム(参考)】