説明

テレビインターホンシステム

【課題】低照度に露出時間を長くするためにカメラのフレームレートが低下したときでも、フレーム補間技術を利用することで滑らかな画像を得るテレビインターホンシステムに関する。
【解決手段】居住者を呼び出すと共に来訪者を撮像する玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応じて来訪者と通話が可能であり来訪者を視認することができる居室親機から構成されるテレビインターホンシステムであって、子機には光学像を電気信号に変換する撮像部と、撮像部で作成された映像信号の測光を行う測光部と、測光部で測定した測光値によって撮像部で生成される画像のフレームレートを制御するフレームレート制御部と、映像信号のフレームレートが低下したときに動画像のフレーム間から中間画像を生成して実在フレームの間に挿入するフレーム補間処理部を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビインターホンシステムに係わり、特に、低照度に露出時間を長くするためにカメラのフレームレートが低下したときでも、フレーム補間技術を利用することで滑らかな画像を得るテレビインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、来訪者があった場合に、来訪者を確認することができるようなセキュリティを向上させたテレビインターホンシステムが求められている。例えば、来訪者の確認が困難となる夜間時でも視認性を高める工夫がなされている。具体的な方法として、フレームレートを低下、つまり露光時間を長くすることで撮像素子に蓄積される電荷量を増加させていた。なお、電荷量を増加させることで映像信号を大きくさせることができる。従って、夜間時でもカメラ映像の視認性を高めていた(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
一方、上記のテレビインターホンシステムにおいて、カメラのフレームレートを低下させると画面に表示される単位時間当たりのフレーム数が低下、つまり映像の滑らかさが低下してしまい見難いという問題も含んでいた。この映像の見難さ、つまり、単位時間当たりの表示フレーム数を増加させる技術として、フレーム補間方法がある。このフレーム補間方法は、入力信号である動画像フレームからそれらフレーム間に存在するであろうフレームを予測・内挿することで、単位時間当たりの表示フレーム数を増加させるものであり、このフレーム補間によってフレーム間のつながりが滑らかになるだけでなく、表示のボケ感がなくなるなどの利点が得ることができる(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−049946
【特許文献2】特開2009−273048
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法及び装置を戸建住宅等に設置されるインターホンシステムに適用するにあたっては、動画像フレームを補間するための有効な手段が何ら考慮されていないのが現実であった。
そこで、本発明はこの難点を解消するためになされたもので、昼夜問わず、玄関子機のカメラにて撮像された映像を、劣化のない鮮明な映像で居室親機の表示部に出力することにより、視認性および防犯性を向上させたテレビインターホンシステムを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、居住者を呼び出すと共に来訪者を撮像する玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応じて来訪者と通話が可能であり来訪者を視認することができる居室親機から構成されるテレビインターホンシステムであって、子機には光学像を電気信号に変換する撮像部と、撮像部で作成された映像信号の測光を行う測光部と、測光部で測定した測光値によって撮像部で生成される画像のフレームレートを制御するフレームレート制御部と、映像信号のフレームレートが低下したときに動画像のフレーム間から中間画像を生成して実在フレームの間に挿入するフレーム補間処理部を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、フレーム補間処理部は、所定時間ごとに映像信号の垂直同期信号からフレームレートを測定するフレームレート測定部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、子機カメラが撮像するシーンが夜間など暗くてカメラが露光を長くしてフレームレートを下げて動解像度が悪くなる様な時でも滑らかな映像を得ることが出来るので来訪者の確認に役立つ。請求項2の発明によれば、カメラ動作時の照明環境の変化に自動で対応することができ出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るテレビインターホンシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のテレビインターホンシステムを好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。図1にはテレビインターホンシステムのブロック図を示しており、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機1と、呼び出しに対して居住者が応答するための居室親機2とで構成されている。
玄関子機1には、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン106と、来訪者を撮像し映像信号を出力する撮像部101と、撮像部101の映像信号から画面の分割測光を行い測光値を算出する測光部105と、撮像部101のフレームレートを制御するフレームレート制御部104と、映像信号を取り込み動画像のフレーム間から中間画像を生成して実在フレームの間に挿入し動画像のフレームレートを改善して映像信号を出力するフレーム補間処理部102と、映像信号の垂直同期信号からフレームレートを測定してフレーム補間処理部102に補間を行わせるかどうか制御するフレームレート測定部1021と、撮像部101からの映像信号を変調する変調部103と、居室親機2と通話を行うための通話部107、玄関子機1の各部を制御するための子機CPU108、居室親機2と通信をおこなうための子機I/F109を備えている。
【0010】
居室親機2には、来訪者から居室親機2が呼び出されたときに応答操作を行うための通話ボタン203と、変調部103からの変調信号を映像信号に復調する復調部202と、映像信号を出力する表示部201と、居住者が来訪者と通話するための通話部204と、居室親機2の各部を制御するための親機CPU205と、玄関子機1と通信を行うための親機I/F206を備えている。
【0011】
このように構成されたテレビインターホンシステムについて、以下、動作を説明する。尚、玄関子機からの一般的な呼び出し、及び呼び出しに対する居室親機からの応答動作の説明は本発明の要部ではないので省略し、玄関子機で撮像された映像信号の処理の動作説明を行う。
まず、フレームレートを制御させるための動作説明を行う。
来訪者が玄関子機1の呼出ボタン106を押下すると子機CPU108の制御によって撮像部101は来訪者の動画の撮像を開始する。すると、撮像部101で撮像された映像の輝度信号の平均値(以下、測光値と呼ぶ)が測光部105にて求められる。フレームレート制御部104は、この測光値が所定値以上(以下、高照度と呼ぶ)であった場合は、映像が滑らかに視認できるフレームレート、例えば30fpsとなるよう撮像部101を制御する。また、測光値が所定値以下(以下、低照度と呼ぶ)であった場合は、露出時間を長くするために撮像部101の単位時間当たりに切るシャッター回数を減らす、つまりフレームレートを低下、例えば15fpsとなるよう撮像部101を制御する。この動作によって、高照度のときは30fps、低照度のときは15fpsのフレームレートで撮像を行う。なお、低照度のときは、撮像部101に蓄積される1フレーム当たりの電荷量を大きくすることができ、視認性の高い映像を生成することができる。
【0012】
次に、フレームレートを補完する動作の説明を行う。
フレームレート測定部1021は、撮像部101から出力される映像信号の垂直同期信号によりフレームレートを測定している。フレームレート測定部1021によりフレームレートを測定し、フレームレートが30fpsの時、フレームレート補間処理部102はそのまま映像信号を変調部103へと出力する。映像信号は変調部103で変調映像信号に変調され子機I/F109、親機I/F206を経由して復調部202へと伝送される。復調部202は変調映像信号を復調し、フレームレート30fpsの映像を表示部201にて表示される。
【0013】
また、フレームレート測定部1021によりフレームレートを測定した結果15fpsの時、フレームレート補間処理部102では、撮像部101から送信されてきた映像信号のフレーム間に新しいフレームを補完する処理を行う。具体的なフレーム補間処理手段としては、例えば、前述の先行技術文献に記載した特開2009−273048に開示されたフレーム補間部を引用している。従って、フレームレート補間処理部102にてフレームレート15fpsであった映像信号を30fpsの映像信号として変調部103へと出力する。映像信号は変調部103で変調映像信号に変調され子機I/F109、親機I/F206を経由して復調部202へと伝送される。復調部202は変調映像信号を復調し、フレームレート30fpsの映像を表示部201にて表示することができる。この動作によって、低照度のとき、撮像部101で撮像された15fpsの映像信号が30fpsに補完されることによって、滑らかな映像を表示することができる。
【0014】
上記の動作によって、昼夜問わず、玄関子機のカメラにて撮像された映像を、劣化のない鮮明な映像で居室親機の表示部にて表示することにより、視認性および防犯性を向上させる事ができる。
【符号の説明】
【0015】
1・・・ 玄関子機
101・・・ 撮像部
102・・・ フレームレート補間処理部
104・・・ フレームレート制御部
105・・・ 測光部
2・・・ 居室親機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出すと共に来訪者を撮像する玄関子機(1)と、前記玄関子機からの呼び出しに応じて前記来訪者と通話が可能であり来訪者を視認することができる居室親機(2)から構成されるテレビインターホンシステムであって、前記子機には光学像を電気信号に変換する撮像部(101)と、前記撮像部で作成された映像信号の測光を行う測光部(105)と、前記測光部で測定した測光値によって前記撮像部で生成される画像のフレームレートを制御するフレームレート制御部(104)と、前記映像信号のフレームレートが低下したときに動画像のフレーム間から中間画像を生成して実在フレームの間に挿入するフレーム補間処理部(102)を備えたことを特徴とするテレビインターホンシステム
【請求項2】
前記フレーム補間処理部は、所定時間ごとに映像信号の垂直同期信号からフレームレートを測定するフレームレート測定部(1021)を備えたことを特徴とする請求項1記載のテレビインターホンシステム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−160049(P2011−160049A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18011(P2010−18011)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】