説明

テレビインターホン装置

【課題】 居住者が電子パン/チルト操作を行ったとしても、録画装置には撮像しているカメラの全画面が記録され、録画映像に対しても電子パン/チルト操作を可能とするテレビインターホン装置を提供する。
【解決手段】 居室親機2に、玄関子機1のカメラ3が撮像した映像を録画する録画部13、映像のパン/チルトを行う操作部15、撮像映像を電子パン/チルト処理をする電子パン/チルト処理部19を設け、録画部13は常にカメラ3が撮像する全画面映像を録画し、電子パン/チルト処理部19は、録画部13に録画された映像に対してもパン/チルト処理を実行可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来訪者を撮像するカメラを備えて、居住者は来訪者映像を見ながら応答できるテレビインターホン装置に関し、特に映像のパン/チルト操作が可能なテレビインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関子機に来訪者を撮像するカメラを設けると共に、居室親機にその撮像映像を出画するモニタを設けて、居住者が玄関子機からの呼び出しに応答する際、来訪者映像を見ながら応答できるテレビインターホン装置が普及している。このようなテレビインターホン装置において、モニタに表示される来訪者の出画位置を変更したり、映像の一部を拡大して見ることできるように電子パン/チルトを可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。このように電子パン/チルト機能を備えることで、カメラの撮像方向を変更したり、レンズにズーム機能を設けることなく、カメラ撮像映像の中の見たい部分を拡大してモニタに出画させることができた。
【0003】
また、カメラが撮像した映像を録画する機能を備えたものが普及している。この録画機能は、留守時に来た来訪者の映像を録画して留守時の訪問者を確認したり、居住者がモニタを見ている時に録画したい来訪者であったら出画映像を録画するのに使用され、不審者等の記録を残すのに便利であった(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平5−176213号公報
【特許文献2】特開2005−102091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように居住者がモニタを見ている時に録画される映像はモニタに出画されている映像となるため、パン/チルト或いはズーム操作した映像が出画されている場合は、同様にパン/チルト或いはズームした同一映像が録画され、モニタに出画されずに死角となっている部分が録画されることはなかった。そのため、パン/チルト操作で見たい部分のみをモニタに出画できても、逆にモニタに表示されずに死角になった周囲の領域に関して後から確認する手段がなく、パン/チルト操作が防犯上必ずしも有効な手段ではなかった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、居住者が電子パン/チルト操作を行ったとしても、録画装置には撮像しているカメラの全画面が記録され、録画映像に対しても電子パン/チルト操作を可能とするテレビインターホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像するカメラを具備し、居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、カメラの撮像映像を表示するモニタを具備し、玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有するテレビインターホン装置であって、玄関子機、居室親機の何れか一方に、カメラが撮像した映像を録画する録画部を設けると共に、居室親機にカメラが撮像した映像のパン/チルト操作を行うパン/チルト操作部と、パン/チルト処理を実行する電子パン/チルト処理部とを設け、録画部は、常にカメラが撮像する全画面映像を録画し、電子パン/チルト処理部は、録画部に録画された映像に対してもパン/チルト処理を実行可能としたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、録画部に録画される映像は常にカメラが撮像する全画面映像であるため、カメラの撮像映像をパン/チルト操作して死角となる領域が発生しても、その間録画することで後から死角となっていた領域を確認できる。而も、録画映像に対してもパン/チルト操作できるので、防犯性を高めることができる。
また、録画部の映像データとカメラが撮像する映像データを同一の形式にできるので、カメラの撮像映像のパン/チルト処理する回路で録画映像をパン/チルト処理でき、録画映像の電子パン/チルト処理のために別途パン/チルト処理部を必要としない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラの撮像映像をパン/チルト操作して死角となる領域が発生しても、その間録画することで後から死角となっていた領域を確認できる。而も、録画映像に対してもパン/チルト操作できるので、防犯性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るテレビインターホン装置のブロック図を示し、1は玄関等に設置されて来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機、2は居室に設置されて玄関子機1からの呼び出しに居住者が応答するための居室親機である。
【0011】
玄関子機1は、レンズ3a、CCDセンサ3b、電子回路にて構成される画像処理部3cを備えたカメラ3、映像信号を伝送するために変調を行う変調部4、通話するためのマイク5及びスピーカ6、このマイク5及びスピーカ6を制御する電子回路にて構成される音声部7、呼出ボタン8、居室親機2と通信するためのインターフェース(子機IF)9を備えている。
【0012】
居室親機2は、玄関子機1と通信するためのインターフェース(親機IF)11、伝送されてきた映像信号を復調する復調部12、映像を録画しておくための録画部13、映像を出画するモニタ14、出画映像のパン/チルト操作や各種操作を行う操作部15、通話するためのマイク16及びスピーカ17、電子回路にて構成されマイク16及びスピーカ17を制御する音声部18、モニタ14に出画された映像のパン/チルトを実行する電子パン/チルト処理部19、居室親機2の各回路を制御すると共に玄関子機1を制御するCPUを備えた制御部20を備えている。
【0013】
このように構成されたテレビインターホン装置は次のように動作する。玄関子機1の呼出ボタン8が操作されると、呼出信号が子機IF9を介して居室親機2に伝送され、親機IF11を介して制御部20で認識される。呼出信号を受信した制御部20は、音声部18を制御してスピーカ17から呼出音を鳴動させる一方、カメラ起動信号を玄関子機1に送信し、カメラ3が来訪者の撮像を開始する。
起動したカメラ3の撮像映像は、変調部4でFM変調されて居室親機2に伝送され、復調部12で元の映像信号に復調される。こうして、電子パン/チルト処理部19、ビデオアンプを介してモニタ14に出画される。
【0014】
そして、スピーカ17からの呼出音に気づいた居住者により応答操作がなされると、居室親機2と玄関子機1との間で通話路が形成され、居住者はモニタ14に出画された来訪者映像を見ながら来訪者と通話が実施される。
このとき、即ち応答する際あるいは応答中に、操作部15が操作されてパン/チルト操作が成されると、電子パン/チルト処理部19により出画映像のパン/チルトが行われる。この操作は、例えばモニタ14上に設けられたタッチパネルにより行われ、タッチした部位の映像が拡大される。こうして、出画画像の任意部位のズーム処理(パン/チルト処理)を実施する。尚、モニタ14に最初に出画する映像は、カメラ3が撮像する全画面映像となっている。
【0015】
また、応答操作の如何に関わらず、モニタ14に映像出画中に操作部15の操作により録画操作が成されたら、復調部12で復調された直後の映像が録画される。この録画される映像信号は、パン/チルト操作により変化することのない信号であり、常にカメラ3が撮像している全画面映像が録画される。
この録画映像の再生は操作部15の所定の操作で実施され、パン/チルト処理部19を介してモニタ14に出画される。そして、この時パン/チルト操作を行えば、電子パン/チルト処理部19が動作してカメラ3撮像映像の場合と同様にパン/チルト処理を実行し、任意部位の拡大映像がモニタ14に出画される。
【0016】
このように、録画部に録画される映像は常にカメラが撮像する全画面映像であるため、カメラの撮像映像をパン/チルト操作して死角となる領域が発生しても、その間録画することで後から死角となっていた領域を確認できる。而も、録画映像に対してもパン/チルト操作できるので、防犯性を高めることができる。
また、録画部の映像データとカメラが撮像する映像データを同一の形式にできるので、カメラの撮像映像のパン/チルト処理する回路で録画映像をパン/チルト処理でき、録画映像の電子パン/チルト処理のために別途パン/チルト処理部を必要としない。
【0017】
尚、上記実施形態では、録画部13を居室親機2に設けているが、玄関子機1に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るテレビインターホン装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・玄関子機、2・・居室親機、3・・カメラ、13・・録画部、14・・モニタ、15・・操作部(パン/チルト操作部)、19・・電子パン/チルト処理部、20・・制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するカメラを具備し、居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、前記カメラの撮像映像を表示するモニタを具備し、前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有するテレビインターホン装置であって、
前記玄関子機、前記居室親機の何れか一方に、前記カメラが撮像した映像を録画する録画部を設けると共に、前記居室親機に、前記カメラが撮像した映像のパン/チルト操作を行うパン/チルト操作部と、パン/チルト処理を実行する電子パン/チルト処理部とを設け、前記録画部は、常に前記カメラが撮像する全画面映像を録画し、前記電子パン/チルト処理部は、前記録画部に録画された映像に対してもパン/チルト処理を実行可能としたことを特徴とするテレビインターホン装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−111753(P2009−111753A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282240(P2007−282240)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】