説明

テレビジョン受像機

【課題】テレビジョン受像機において,外部装置から入力される映像信号に基づき映像表示を行う場合の焼き付きの発生を防止できること。
【解決手段】映像信号を液晶パネル4及び液晶駆動回路3による描画用のフレーム信号へ変換するにあたり,主映像画面生成部22又はガンマ補正部27により,外部装置から外部信号入力インターフェース7を通じて入力される外部入力映像信号を前記フレーム信号へ変換するときの階調レベルを,テレビジョン放送信号からチューナ1により抽出された放送番組映像信号を前記フレーム信号へ変換するときの階調レベルよりも低く制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,外部装置から映像信号を入力するインターフェースを備えたテレビジョン受像機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置は,表示の輝度が高く変化のない映像を長時間表示し続けると,その後に他の映像を表示した場合でも,長時間表示された映像の残像が残ってしまう焼き付きが生じる。
前記焼き付きには,不可逆性の焼き付きと可逆性の焼き付きとがある。
例えば,ブラウン管方式の映像表示装置は,表示の輝度が高く変化のない映像を長時間表示し続けると,前記ブラウン管の裏側に塗布されている蛍光塗料の劣化により,前記不可逆性の焼き付きが生じる。また,プラズマ表示装置においても,表示の輝度が高く変化のない映像を長時間表示し続けると,画素ごとに設けられた発光体が同じパターンで高輝度で発光し続けることにより劣化し,前記不可逆性の焼き付きが生じる。一般に,前記不可逆性の焼き付きは,同じ映像を数百時間以上継続して表示させた場合に顕在化することが多い。
【0003】
一方,液晶表示装置においては,表示の輝度が高く変化のない映像を長時間表示し続けると,液晶の配向状態が長時間一定に保持されることによって前記可逆性の焼き付きが生じる。この可逆性の焼き付きは,液晶パネルの帯電によるものであるため,非通電状態での長時間の放置や,全く異なる色の画像を交互に繰り返して表示させること等によりって解消する。
従前の一般的な液晶表示装置は,同じ映像を数十時間以上継続して表示させた場合に前記可逆性の焼き付きが顕在化することが多い。
また,昨今の液晶テレビジョン受像機は,バックライトの省電力化のために,開口率の高い液晶パネルを備えるものがある。そのような液晶テレビジョン受像機には,同じ映像を十数時間程度継続して表示させただけでも前記可逆性の焼き付きが顕在化するものがある。
【0004】
また,前記焼き付きを防止する従来技術は,以下の各文献に示されている。
例えば,特許文献1には,画像表示コンピュータの表示装置において,一定時間以上継続してキー入力が検知されない場合に,映像表示の輝度を低下させる技術について示されている。
また,特許文献2には,表示映像のアスペクト比に応じて,アスペクト比の異なる映像の境界位置での輝度の段差ができないように映像の輝度を調節する技術について示されている。
また,特許文献3には,高品位テレビジョンディスプレイに親画面と子画面とを並列表示させる場合に,外部から子画面用の映像信号が入力されいときに代替の映像を子画面に表示させることにより,親画面と子画面との境界位置での焼き付きを防止する技術について示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02−007090号公報
【特許文献2】特開平02−137585号公報
【特許文献3】特開平02−215292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,映像表示装置の一例であるテレビジョン受像機は,テレビジョン放送信号から映像信号を抽出するチューナを備えている。また,通常,テレビジョン受像機は,外部装置から映像信号を入力する外部信号入力インターフェースも備えている。そして,テレビジョン受像機は,それら映像信号に基づいて各画素の階調のレベルを表す描画用信号を生成し,その描画用信号に基づいてディスプレイに映像を表示する機能を備えている。前記階調のレベルが高ければ,表示映像の輝度が高くなる。
一般に,テレビジョン受像機において,前記チューナにより抽出された映像信号に基づく映像表示がなされている場合,表示画像の内容が逐次変化するため,前記焼き付きはほとんど生じない。ここで,テレビジョン受像機自体が,自装置に関するOSD(On Screen Display)表示の画面等,静止画を含む映像を表示部に表示させる場合もある。しかしながら,その場合は,テレビジョン受像機は,そもそも前記焼き付きが生じないように前記階調のレベルを低めに抑えた前記描画用信号を生成すればよい。
【0007】
一方,テレビジョン受像機において,前記外部信号入力インターフェースを通じて入力される映像信号に基づく映像表示がなされる場合に,以下の理由により前記焼き付きが生じやすいという問題点があった。
例えば,前記外部信号入力インターフェースに接続されている外部装置が,パーソナルコンピュータなどの計算機やゲーム機等である場合,その外部装置から得られる映像信号の画像には,ウインドウ枠の画像などの光輝度の静止画像が含まれる含まれることが多い。そのため,テレビジョン受像機において,外部の計算機やゲーム機等から入力される映像信号に基づく映像を表示部に長時間表示し続けると,前記焼き付きが生じやすい。
同様に,前記外部信号入力インターフェースを通じて入力される映像信号が,DVDプレイヤーなどの映像再生装置が出力するメニュー画面やEPG(Electronic Program Guide)の表示画面,OSD表示の画面などの映像信号である場合も,前記焼き付きが生じやすい。一般に,前記映像再生装置は,テレビジョン受像機における前記焼き付けの防止を考慮することなく高輝度の映像信号を出力するからである。特に,開口率の高い液晶パネルを備えた液晶テレビジョン受像機では,前記外部信号入力インターフェースを通じた映像表示を比較的短時間継続するだけで前記可逆性の焼き付きが顕在化するため,上記問題点が顕著となる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,外部装置から入力される映像信号に基づき映像表示を行う場合の焼き付きの発生を防止できるテレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係るテレビジョン受像機は,次の(1)〜(5)に示される各構成要素を備える。
(1)テレビジョン放送信号から第1の映像信号を抽出するチューナ。
(2)外部装置から第2の映像信号を入力する外部信号入力インターフェース。
(3)各画素の階調のレベルを表す描画用信号に基づいて映像を表示する映像表示手段。
(4)前記第1の映像信号を前記描画用信号へ変換する第1の信号変換手段。
(5)前記第2の映像信号を,前記第1の信号変換手段よりも前記階調のレベルを低く制限して前記描画用信号へ変換する第2の信号変換手段。
【0009】
本発明に係るテレビジョン受像機によれば,外部装置から入力される前記第2の映像信号に基づく映像表示を行う場合に,その第2の映像信号が,前記階調のレベルを低く抑えた前記描画用信号へ変換される。その結果,前記映像表示手段における焼き付きの発生を防止できる。
例えば,前記第1の信号変換手段及び前記第2の信号変換手段が,各々異なる補正係数を用いてガンマ補正処理を行うことが考えられる。
これにより,テレビジョン受像機が一般的に備えるガンマ補正機能を有効活用して外部入力映像の表示輝度の低減機能を実現できる。また,前記ガンマ補正機能を有効活用することにより,外部入力映像の表示輝度の低減処理を非線形な処理により実現することも容易となる。
また,前記第2の信号変換手段が,次の(5−1)又は(5−2)のいずれかに示される処理を行うことが考えられる。
(5−1)前記第2の信号変換手段が,前記第1の信号変換手段により設定される前記階調のレベルに対し,前記第2の映像信号の輝度レベルが高くなるにつれて徐々に低くなる前記階調のレベルを設定する。
(5−2)前記第2の信号変換手段が,前記第2の映像信号の輝度レベルが予め定められたしきいレベル以下であるときには,前記第1の信号変換手段と同じ前記階調のレベルを設定し,前記第2の映像信号の輝度レベルが前記しきいレベルを超えているときには,該輝度レベルが高くなるにつれて前記第1の信号変換手段により設定される前記階調のレベルに対して徐々に低くなる前記階調のレベルを設定する。
前記(5−1)及び前記(5−2)に示される信号変換によれば,表示色の連続性を損なうことなく,外部入力映像の表示輝度の低減機能を実現できる。
さらに,前記(5−2)に示される信号変換によれば,前記第2の映像信号の輝度レベルが,前記焼き付きの原因となり得る高いレベルである場合にのみ前記階調のレベルの制限機能が有効となる。その結果,前記第2の映像信号の輝度レベルが前記焼き付きの原因とならない低レベルから中レベルである場合には,前記第2の映像信号の本来の表示色を維持できる。
【0010】
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに,次の(6)に示される構成要素を備えることが考えられる。
(6)前記外部信号入力インターフェースに接続されている前記外部装置について,少なくとも計算機を含む装置の種類を判別する外部装置判別手段。
この場合,前記第2の信号変換手段が,前記外部装置判別手段の判別結果に応じて前記階調のレベルを低く制限する程度を変更することが考えられる。
前述したように,前記外部信号入力インターフェースに接続されている外部装置が,パーソナルコンピュータなどの計算機である場合,その計算機から得られる映像信号の画像に光輝度の静止画像が含まれることが多く,前記焼き付きが生じやすい。そのため,前記外部装置が計算機である場合に,前記階調のレベルをより低く抑えて前記焼き付きをより確実に防止することが考えられる。
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに,次の(7)に示される構成要素を備えることが考えられる。
(7)前記第2の映像信号が特定の画像内容を表示するものであるか否かを判別する画像内容判別手段。
この場合,前記第2の信号変換手段が,前記画像内容判別手段により前記第2の映像信号が前記特定の画像内容を表示するものであると判別された場合にのみ前記第1の信号変換手段よりも前記階調のレベルを制限する信号変換を行うことが考えられる。
ここで,前記特定の画像内容とは,例えば,メニュー画面やEPGの表示画面,OSD表示の画面等である。
これにより,前記第2の映像信号が,前記焼き付きの原因となり得る前記特定の画像内容を表示するものである場合にのみ前記階調のレベルの制限機能が有効となる。その結果,前記第2の映像信号が,前記焼き付きの原因とならない動画の映像信号である場合に,本来の画質を維持できる。
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに,次の(8)に示される構成要素を備えることが考えられる。
(8)前記外部信号入力インターフェースに接続された前記外部装置から情報を取得する外部情報取得手段。
前記外部装置から取得される情報は,例えば,前記第2の映像信号の内容に関する情報や,前記外部装置の種類に関する情報等である。
この場合,前記画像内容判別手段が,前記外部情報取得手段により取得された情報に基づいて前記第2の映像信号が前記特定の画像内容を表示するものであるか否かを判別することが考えられる。
また,前記外部装置判別手段が,前記外部情報取得手段により取得された情報に基づいて前記外部装置の種類を判別することも考えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,テレビジョン受像機において,外部装置から入力される映像信号に基づき映像表示を行う場合の焼き付きの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの概略構成図。
【図2】テレビジョン受像機Xの描画用信号変換処理の第1例における変換前後の信号レベルの対応関係を示す図。
【図3】テレビジョン受像機Xの描画用信号変換処理の第2例における変換前後の信号レベルの対応関係を示す図。
【図4】テレビジョン受像機Xにおいて比較される外部入力映像信号のフレームごとの輝度ヒストグラムの模式図。
【図5】テレビジョン受像機Xの描画用信号変換処理による階調レベルの変換後上限値の変化を示す図。
【図6】テレビジョン受像機Xの映像表示位置シフト処理により映像表示位置が変化する様子を表す図。
【図7】一般的なガンマ補正における補正前後の信号レベルの対応関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
まず,図1に示される概略構成図を参照しつつ,本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの構成について説明する。前記テレビジョン受像機Xは,外部装置から映像信号を入力するインターフェースを備えた液晶表示タイプのテレビジョン受像機である。
図1に示されるように,前記テレビジョン受像機Xは,チューナ1,マルチコアCPU2,液晶駆動回路3,液晶パネル4,調光回路5,バックライト6,外部信号入力インターフェース7及びEEPROM8(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等を備えている。
前記チューナ1は,テレビジョン放送信号から指定されたチャンネルの放送番組の映像信号及び音響信号を抽出する電子部品である。さらに,前記チューナ1は,デジタル方式の前記テレビジョン放送信号から,映像信号及び音響信号以外のいわゆるデータ放送の情報も抽出する。前記データ放送の情報には,例えば,EPG(Electronic Program Guide)の情報や放送番組ごとに提供されるその他の情報等が含まれる。
前記外部信号入力インターフェース7は,外部装置と接続されることにより,その外部装置から映像信号及び音響信号を入力するインターフェースである。
前記マルチコアCPU2は,複数のコアプロセッサが集積されたCPU(Central Processing Unit)であり,当該テレビジョン受像機Xにおける映像信号や音響信号に関する信号処理や制御を実行する。
例えば,前記マルチコアCPU2は,前記チューナ1及び前記外部信号入力インターフェース7を通じて得られる映像信号に基づいて,動画における1コマの画像を構成する各画素の3原色(R,G,B)それぞれの階調レベルを表すフレーム信号を順次生成し,そのフレーム信号を前記液晶駆動回路3に伝送する映像信号処理を行う。なお,前記フレーム信号は,各画素の階調のレベルを表す描画用信号である。
さらに,前記マルチコアCPU2は,前記チューナ1及び前記外部信号入力インターフェース7を通じて得られる音響信号に対し,イコライズ処理等の音響信号処理を実行する。処理後の音響信号は,不図示の音響アンプ及びスピーカを通じて出力される。
前記マルチコアCPU2には,前記チューナ1から出力される映像信号及び音響信号と,前記外部信号入力インターフェース7を通じて外部装置から入力される映像信号及び音響信号とが入力される。以下,便宜上,前記チューナ1から出力される映像信号を放送番組映像信号,外部装置から前記外部信号入力インターフェース7を通じて入力される映像信号を外部入力映像信号と称する。
前記マルチコアCPU2において,複数の前記コアプロセッサは,それぞれが所定のプログラムを実行することによって画像処理,制御及びその他の演算処理を実行する。例えば,複数の前記マルチコアCPU2は,それぞれ後述する制御部21,主映像画面生成部22,データ放送画面生成部23,OSD画面生成部24,ヒストグラム演算部25,画面合成部26及びガンマ補正部27として機能する。なお,図1には示されていないが,前記マルチコアCPU2には,音響信号に関する処理を行う前記コアプロセッサも含まれている。
【0015】
前記液晶駆動回路3は,前記マルチコアCPU2から所定周期で順次伝送されてくる前記フレーム信号に基づいて,そのフレーム信号に対応する1フレーム分の映像(1コマの画像)を前記液晶パネル4に順次表示させる回路である。
より具体的には,前記液晶駆動回路3は,液晶表示パネルに設けられた各画素の液晶素子に対し,R,G,B3原色それぞれの階調レベル(映像輝度のレベルといってもよい)に応じた電圧の階調信号を供給する。これにより,前記液晶パネル4は,前記フレーム信号に応じた映像を表示する。
即ち,前記液晶駆動回路3及び前記液晶パネル4は,各画素の階調のレベルを表す描画用信号である前記フレーム信号に基づいて映像を表示する映像表示手段の一例である。
前記調光回路5は,前記マルチコアCPU2における前記制御部21からの制御指令に従って,前記バックライト6の光源に対する供給電力,即ち,前記バックライト6の輝度を,例えばPWM制御によって調節する回路である。
なお,前記調光回路5は,例えばFPGAやASIC等により具現化されている。
前記バックライト6は,映像を表示する前記液晶パネル4の背面側に配置され,複数のLED又は複数の蛍光管などを光源として前記液晶パネル4を照明する照明手段である。
【0016】
また,前記外部信号入力インターフェース7は,コンポーネント端子71及びHDMI回路72(High Definition Multimedia Interface)を備えている。
前記コンポーネント端子71は,映像の3原色の信号を含むコンポーネント信号の入力端子である。
前記HDMI回路72は,デジタルの映像信号及び音声信号を同時に,ベースバンド方式で外部装置から自装置へ伝送する信号伝送インターフェースである。映像信号及び音声信号の伝送は,TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)ラインを通じて行われる。
また,前記HDMI回路72は,前記TMDSラインとは別のCEC(Consumer Electronics Control)ラインを通じて,映像信号及び音響信号以外の制御情報を伝送する機能も備えている。前記CECラインを通じた情報伝送は双方向で可能である。
以下,便宜上,前記コンポーネント端子71に接続される外部装置を第1外部装置,前記HDMI回路72に接続される外部装置を第2外部装置と称する。また,前記第1外部装置から前記コンポーネント端子71を通じて入力される映像信号を第1外部入力映像信号,前記第2外部装置から前記HDMI回路72を通じて入力される映像信号を第2外部入力映像信号と称する。
また,前記放送番組映像信号,前記第1外部入力映像信号及び前記第2外部入力映像信号のことを,以下,主映像信号と総称する。
【0017】
次に,前記マルチコアCPU2における各構成要素の処理について説明する。
前記制御部21は,当該テレビジョン受像機Xが備える各構成要素の制御処理を実行するものである。
例えば,前記制御部21は,不図示のリモート操作器の操作キーを通じた操作入力を検知し,その操作入力の内容に応じた各種の処理を実行する。
より具体的には,前記制御部21は,前記リモート操作器におけるチャンネル指定の操作入力に応じて,指定されたチャンネルの放送番組の信号がテレビジョン放送信号から抽出されるよう,前記チューナ1を制御する。また,前記制御部21は,前記リモート操作器における音量調節の操作入力に応じて不図示の音響アンプを制御することにより,放送番組の出力音響の音量を調節する。
【0018】
また,前記データ放送画面生成部23は,前記チューナ1により抽出された前記データ放送の情報を前記液晶パネル4により映像として表示するための描画用信号であるデータ放送画面信号を生成する。前記データ放送画面信号は,例えば,前記EPGの情報に基づく番組表の画面を描画するための信号等である。
また,前記OSD画面生成部24は,当該テレビジョン受像機Xの内部パラメータをユーザの操作に応じて設定するためにその内部パラメータを前記液晶パネル4に表示するための描画用信号であるOSD画面信号を生成する。前記内部パラメータには,例えば,前記バックライト6の基準となる輝度を調整するパラメータや,表示色の色合いやコントラストを調整するパラメータ,放送チャンネルの設定に関するパラメータ等が含まれる。
前記データ放送画面生成部23は,前記制御部21からの制御指令に従って,必要な場合にのみ前記データ放送画面信号を生成する。同様に,前記OSD画面生成部24も,前記制御部21からの制御指令に従って,必要な場合にのみ前記OSD画面信号を生成する。
【0019】
また,前記主映像画面生成部22,前記画面合成部26及び前記ガンマ補正部27は,前記主映像信号における前記放送番組映像信号及び前記外部入力映像信号それぞれを,所定の変換規則に従って前記フレーム信号へ変換する処理を実行する。
即ち,前記主映像画面生成部22は,前記放送番組映像信号,前記第1外部入力映像信号及び前記第2外部入力映像信号のうち,前記制御部21から指定される1つ又は複数の映像信号を,その映像信号に対応した描画用信号である主映像用フレーム信号へ変換する。その際,前記主映像画面生成部22は,前記放送番組映像信号を前記主映像用フレーム信号へ変換する場合と,前記第1外部入力映像信号及び前記第2外部入力映像信号を前記主映像用フレーム信号へ変換する場合とで,異なる変換規則に基づいて信号変換処理を実行する。その詳細については後述する。
【0020】
また,前記画面合成部26は,必要に応じて,前記主映像用フレーム信号に対し,前記データ放送画面生成部23及び前記OSD画面生成部24により生成される他の描画用信号を合成する処理を実行する。前記他の描画用信号には,前記データ放送画面信号と前記OSD画面信号とが含まれる。
即ち,前記画面合成部26は,前記データ放送画面生成部23及び前記OSD画面生成部24各々により生成される他の描画用信号が存在しない場合には,前記主映像用フレーム信号をそのまま後段の前記ガンマ補正部27へ伝送する。一方,前記データ放送画面生成部23及び前記OSD画面生成部24各々により生成される他の描画用信号が存在する場合には,前記主映像用フレーム信号の一部を前記他の描画用信号に置き換えた信号である合成フレーム信号を生成し,それを前記ガンマ補正部27へ伝送する。
以下,前記ガンマ補正部27に入力される前記主映像用フレーム信号又は前記合成フレーム信号のことを一次フレーム信号と称する。また,前記ガンマ補正部27から前記液晶駆動回路3へ伝送される前記フレーム信号のことを二次フレーム信号と称する。
【0021】
前記ガンマ補正部27は,前記画面合成部26を通じて入力される前記一次フレーム信号に対してガンマ補正を施し,補正後の前記二次フレーム信号を出力する。前記ガンマ補正は,前記二次フレーム信号に基づく前記液晶パネル4の表示色が,前記二次フレーム信号の基礎となる前記放送番組映像信号や前記外部入力映像信号の本来の表示色に近づくように前記一次フレーム信号を補正する処理である。
図7は,一般的なガンマ補正における補正前後の信号レベルの対応関係を示す図である。一般に,ガンマ補正では,補正前後の信号の階調レベルの最小値(=0)及び最大値(=Lmax)は同じであるが,それらの中間の階調レベルについて被線形の補正処理を行う。
【0022】
以下,前記主映像画面生成部22による前記主映像信号から前記主映像用フレーム信号への変換処理についてさらに詳説する。
前記主映像画面生成部22は,前記外部入力映像信号については,ぞの放送番組映像信号における3原色各々の信号値が表す輝度レベルが,そのまま前記主映像用フレーム信号における3原色各々の階調レベルとなるように前記主映像フレーム信号を生成する。この処理を行う前記主映像画面生成部22が,前記第1の信号変換手段の一例である。
一方,前記主映像画面生成部22は,前記外部入力映像信号については,その外部入力映像信号における3原色各々の信号値が表す輝度レベルよりも,前記主映像用フレーム信号における3原色各々の階調レベルの方が低い値となるように前記主映像フレーム信号を生成する。この処理を行う前記主映像画面生成部22が,前記第2の信号変換手段の一例である。
以下,前記外部入力映像信号と前記外部入力映像信号との各々について,異なる信号変換規則に従って描画用の前記主映像用フレーム信号へ変換する処理のことを描画用信号変換処理と称する。
【0023】
図2は,前記描画用信号変換処理の第1例における変換前後の信号レベルの対応関係を示す図である。
図2における破線のグラフg11は,前記描画用信号変換処理における前記放送番組映像信号の輝度レベルYiと前記主映像用フレーム信号の階調レベルLy1との対応関係を表す。また,図2における実線のグラフg12は,前記描画用信号変換処理における前記外部入力映像信号の輝度レベルYiと前記主映像用フレーム信号の階調レベルLy1との対応関係を表す。ここで,前記放送番組映像信号及び前記外部入力映像信号の輝度レベルYiの最小値が0,最大値がLmaxであるとする。例えば,Lmax=255である。
図2に示されるように,前記描画用信号変換処理の第1例では,前記主映像画面生成部22が,前記放送番組映像信号を前記主映像用フレーム信号へ変換する場合(g11)よりも,前記外部入力映像信号を前記主映像用フレーム信号へ変換する場合(g12)の方が,前記主映像用フレーム信号における階調のレベルを低く制限する。
前記描画用信号変換処理の第1例では,前記外部入力映像信号の輝度レベルYiを(Lyp/Lmax)倍にした前記階調レベルLy1を設定する。これにより,変換後の前記主映像フレーム信号の階調レベルが上限値Lyp以下の範囲に制限される。以下,Lypのことを変換後上限値と称する。
なお,前記外部入力映像信号の輝度レベルYiから前記階調レベルLy1への変換係数は,上記のような比例係数の他,ルックアップテーブルによる変換係数等も考えられる。
【0024】
また,図2に示されるように,前記外部入力映像信号から前記主映像フレーム信号への変換により設定される変換後の階調レベルは,前記放送番組映像信号から前記主映像フレーム信号への変換により設定される変換後の階調レベルに対し,前記外部入力映像信号の輝度レベルが高くなるにつれて徐々に低くなる。
これにより,表示色の連続性を損なうことなく,前記外部入力映像信号に基づく表示映像の輝度低減機能を実現できる。
前記変換後上限値Lypは,前記液晶パネル4の特性に応じて予め設定される値である。即ち,階調レベルが所定の許容上限値Laに設定された前記二次フレーム信号に基づく映像が,前記液晶パネル4において継続的に表示された場合であっても,前記液晶パネル4において前記焼き付きが生じないとする。その場合,前記変換後上限値Lypには,前記許容上限値Laが予め設定される。なお,前記液晶パネル4において生じ得る前記焼き付きは,前記可逆性の焼き付きである。
これにより,前記テレビジョン受像機Xにおいては,前記外部装置から入力される前記外部入力映像信号に基づき映像表示を行う場合に,前記液晶パネル4における前記焼き付きの発生を防止できる。
また,前記放送番組映像信号は,その輝度レベルが逐次変化する動画の映像信号であるため,前記放送番組映像信号に基づき映像表示が行われる場合においても,前記液晶パネル4における前記焼き付きは生じない。
【0025】
ところで,前記主映像画面生成部22が前記描画用信号変換処理を行う場合,前記データ放送画面信号又は前記OSD画面信号に前記許容上限値Laを超える階調レベルが設定された場合,前記液晶パネル4に前記焼き付きが生じ得る。
そこで,前記データ放送画面生成部23は,階調レベルを前記許容上限値La以下の範囲に制限した前記データ放送信号を生成する。同様に,前記OSD画面生成部24は,階調レベルを前記許容上限値La以下の範囲に制限した前記OSD画面信号を生成する。
これにより,前記液晶パネル4において,前記データ放送画面信号や前記OSD画面信号に基づく映像が長時間継続して表示されれた場合でも,前記液晶パネル4における前記焼き付きの発生を防止できる。
【0026】
次に,図3を参照しつつ,前記描画用信号変換処理の第2例について説明する。
図3は,前記描画用信号変換処理の第2例における変換前後の信号レベルの対応関係を示す図である。
この第2例は,前記主映像画面生成部22ではなく,前記ガンマ補正部27において前記描画用信号変換処理を行う例である。
図3における破線のグラフg21は,前記放送番組映像信号から生成された前記一次フレーム信号の階調レベルLxと前記二次フレーム信号の階調レベルLy2との対応関係を表す。また,図3における実線のグラフg22は,前記外部入力映像信号から生成された前記一次フレーム信号の階調レベルLxと前記二次フレーム信号の階調レベルLy2との対応関係を表す。
【0027】
前記第2例は,前記描画用信号変換処理における前記放送番組映像信号用の信号変換の内容と前記外部入力映像信号用の信号変換の内容とが,各々異なるガンマ補正の補正係数により定まる例である。この第2例においても,ガンマ補正後(前記描画用信号変換処理後)の前記二次フレーム信号の階調レベルが前記変換後上限値Lyp以下の範囲に制限される。図3に示されるようなガンマ補正の補正係数は,前記ガンマ補正部27がアクセス可能な前記EEPROM8に予め記憶されている。そして,前記ガンマ補正部27は,補正対象とする前記一次フレーム信号の基礎となる映像信号の種類(前記放送番組映像信号又は前記外部入力映像信号)に応じて,使用するガンマ補正係数を切り替える。なお,前記一次フレーム信号の基礎となる映像信号の種類は,例えば,前記制御部21から通知される。
また,前記第2例では,前記一次フレーム信号の階調レベルLx,即ち,前記外部入力映像信号の輝度レベルが予め定められたしきいレベルLsh以下であるときには,その一次フレーム信号が前記放送番組映像信号に基づく信号である場合と,前記外部入力映像信号に基づく信号である場合とで,前記一次フレーム信号において同じ階調レベルを設定する。
さらに,図3に示される前記第2例では,前記一次フレーム信号の階調レベルLx,即ち,前記外部入力映像信号の輝度レベルLxが前記しきいレベルLshを超えている場合にのみ階調レベルの制限処理が行われる。その際,前記外部入力映像信号から前記主映像フレーム信号への変換により設定される変換後の階調レベルは,前記放送番組映像信号から前記主映像フレーム信号への変換により設定される変換後の階調レベルに対し,前記外部入力映像信号の輝度レベルが前記しきいレベルLshに対し高くなるにつれて徐々に低くなる。
この第2例においても,前記第1例と同様に,表示色の連続性を損なうことなく,外部入力映像の表示輝度の低減機能を実現できる。
さらに,この第2例によれば,前記外部入力映像信号の輝度レベルが,前記焼き付きの原因となり得る高いレベルである場合にのみ前記階調レベルの制限機能が有効となる。その結果,前記外部入力映像信号の輝度レベルが前記焼き付きの原因とならない低レベルから中レベルである場合には,前記外部入力映像信号の本来の表示色を維持できる。
なお,この第2例においては,前記データ放送画面生成部23及び前記OSD画面生成部24は,前記データ放送画面信号及び前記OSD画面信号における階調レベルを前記許容上限値La以下の範囲に制限する必要はない。
【0028】
ところで,前記外部入力映像信号に基づく映像が前記液晶パネル4に表示される場合であっても,その映像の内容が動画である場合には,特に階調レベルの制限を行わなくても前記焼き付きは生じない。
そこで,前記テレビジョン受像機Xにおいては,前記外部入力映像信号の1フレーム分ごとの変化が予め定められた程度に小さい状態で所定時間以上継続した場合にのみ,前記描画用信号変換処理を実行する。
即ち,前記テレビジョン受像機Xにおいては,前記ヒストグラム演算部25が,前記外部入力映像信号の1フレーム分ごとの輝度のヒストグラムを算出する。
さらに,前記ヒストグラム演算部25は,前記外部入力映像信号の1フレーム分ごとの輝度のヒストグラムを逐次比較する。
図4は,前記ヒストグラム演算部25により算出及び比較される前記外部入力映像信号のフレームごとの輝度ヒストグラムの模式図である。
例えば,前記ヒストグラム演算部25は,N番目の1フレーム分の前記外部入力映像信号が入力されるごとに,そのN番目のフレームにおける前記輝度のヒストグラムと1回前の(N−1)番目のフレームにおける前記輝度のヒストグラムとの間の変化量を算出する。その変化量は,例えば,前記輝度のヒストグラムにおける輝度レベルごとの度数の差の合計値や平均値などが考えられる。
また,前記焼き付きは高輝度の映像部分について生じる。そのため,前記輝度のヒストグラムにおける前記許容上限値Laを超える輝度レベルごとの度数の差の合計値や平均値などを,前記輝度のヒストグラムの変化量として算出することも考えられる。
そして,前記ヒストグラム演算部25は,前記輝度ヒストグラムの変化量が予め定められた設定値を下回る状態が,予め設定された制限開始時間twだけ継続した場合に,所定の制限開始指令を前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサに対して出力する。前記制限開始指令は,前記描画用信号変換処理を開始させる指令である。前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサは,前記第1例では前記主映像画面生成部22であり,前記第2例では前記ガンマ補正部27である。
前記制限開始時間twも,前記許容上限値Laと同様に,前記液晶パネル4の特性に応じて予め設定される時間である。即ち,階調レベルが前記許容上限値Laを超える前記二次フレーム信号に基づく映像表示が前記制限開始時間twが経過するまで継続されても,前記液晶パネル4に前記焼き付きが生じない。
これにより,画質に影響を与える前記描画用信号変換処理の実行頻度が,必要最小限に抑えられる。
【0029】
また,前述したように,前記外部入力映像信号における輝度レベルが前記許容上限値La以下であれば,特に階調レベルの制限を行わなくても前記焼き付きは生じない。
そこで,前記ヒストグラム演算部25が,N番目のフレームにおける前記輝度のヒストグラムに前記許容上限値Laを超える信号成分が含まれることを必要条件として,前記制限開始指令を前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサに対して出力することが考えられる。
【0030】
また,前記制限開始指令の出力後,前記変換後上限値Lypが最大値Lmaxから前記許容上限値Laへ急激に切り替えられると,前記外部映像信号に基づく表示映像の明るさが急激に変化し,ユーザに違和感を生じさせてしまう。
そこで,前記テレビジョン受像機Xでは,前記描画用信号変換処理において,前記制限開始指令が出力された後,前記変換後上限値Lypを,信号値の最大値Lmaxから前記許容上限値Laまで徐々に変更する。
図5は,前記テレビジョン受像機Xの前記描画用信号変換処理による前記変換後上限値Lypの変化を示す図である。
前記ヒストグラム演算部25は,前記輝度ヒストグラムの変化量が予め定められた設定値を下回る状態の継続時間tを監視し,その継続時間tが予め設定された前記制限開始時間twを経過した時点で前記制限開始指令を出力する。
そして,前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサ(22又は27)は,前記制限開始時間twの経過時点から,前記変換後上限値Lypを,予め定められた変更ペースΔLで,信号値の最大値Lmaxから前記許容上限値Laまで徐々に変更する。前記変更ペースΔLが,前記焼き付きが生じない範囲でごく小さな値に設定されていれば,ユーザが表示映像の明るさの変化にほとんど気付かないようにできる。
【0031】
ところで,以上に示した実施形態では,前記描画用信号変換処理の開始までに,前記制限開始時間twの経過を監視する前記継続時間tは,前記輝度ヒストグラムの変化量が予め定められた設定値を下回る状態の継続時間であったが,その他の例も考えられる。
例えば,前記テレビジョン受像機Xにおける前記液晶パネル4による映像表示の継続時間を,前記制限開始時間twの経過を監視する前記継続時間tとする実施例も考えられる。以下,そのような第1の実施例について説明する。
前記テレビジョン受像機Xにおいて,前記制御部21は,不図示の前記リモート操作器に対する電源ON操作が検知されたときに,それに応じて前記液晶パネル4による映像表示を開始させる。
そこで,前記制御部21が,前記リモート操作器に対する電源ON操作を検知してから,前記リモート操作器に対する電源OFF操作が検知されるまでの間,前記液晶パネル4による映像表示の継続時間tをカウントアップする。そして,その継続時間tが前記制限開始時間twを経過した時点で,前記制御部21が,前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサ(22又は27)に対して前記制限開始指令を出力する。
以上に示した第1の実施例によっても,画質に影響を与える前記描画用信号変換処理の実行頻度を少ない頻度に抑えることができる。
【0032】
また,前記第1の実施例において,前記液晶パネル4による映像表示の継続が途絶えてから再び映像表示が開始されるまでの時間が短時間である場合には,前記映像表示の継続時間tをリセットしない方が望ましい。そこで,前記制御部21が,前記第1の実施例において以下の処理を行うことも考えられる。
例えば,前記制御部21が,前記リモート操作器に対する電源OFF操作を検知した際に,その時点の時刻と前記映像表示の継続時間tとを前記EEPROM8に記録する。そして,前記制御部21が,前記リモート操作器に対する電源ON操作を検知した際に,前回の電源OFF操作時に記録した時刻から現在時刻までの経過時間t'が予め設定された時間tmin未満であるか否かを判別する。さらに,前記時間t'が前記時間tmin未満であるときには,前記制御部21は,前回の電源OFF操作時に記録した前記映像表示の継続時間tを初期値として映像表示の継続時間tのカウントアップを行う。そうでない場合には,前記制御部21は,0を初期値として映像表示の継続時間tのカウントアップを行う。
これにより,前記液晶パネル4による映像表示の継続が途絶えてから再び映像表示が開始されるまでの時間が短時間である場合でも,前記液晶パネル4における前記焼き付きの発生を防止できる。
【0033】
また,前述した実施形態又は前記第1の実施例における前記描画用信号変換処理を,前記外部入力映像信号が特定の画像内容を表示するものである場合にのみ実行する実施例も考えられる。以下,そのような第2の実施例について説明する。
当該第2の実施例においては,前記制御部21が,前記外部入力映像信号が予め定められた特定の画像内容を表示するものであるか否かを判別する画像内容判別処理を実行する。前記特定の画像内容とは,例えば,メニュー画面やEPGの表示画面,OSD表示の画面等であり,その画像を前記液晶パネル4に継続して表示させた場合に前記焼き付きが生じやすい静止画を表す。
前記制御部21は,例えば,前記HDMI回路72に接続された前記第2外部装置から前記CECラインを通じて前記第2外部入力映像信号の種類の情報を取得し,その情報に基づいて前記外部入力映像信号が前記特定の画像内容を表示するものであるか否かを判別する。
さらに,前記制御部21が,前記画像内容判別処理により,前記外部入力映像信号が前記特定の画像内容を表示するものであると判別した場合にのみ,前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサ(22又は27)に対して所定の制限許可指令を出力する。前記コアプロセッサ(22又は27)は,前記制限許可指令を受けた場合にのみ,前記描画用信号変換処理を実行する。即ち,前記主映像画面生成部22又は前記ガンマ補正部27は,前記制御部21から前記制限許可指令を受けている場合にのみ,前記外部入力映像信号に基づくフレーム信号の階調レベルの制限処理を実行する。
以上に示した第2の実施形態によれば,前記外部入力映像信号が,前記液晶パネル4に前記焼き付きを生じさせやすい信号である場合にのみ前記描画用信号変換処理が行われるので,画質に影響を与える前記描画用信号変換処理の実行頻度を必要最小限に抑えることができる。
なお,前記制御部21が,前記外部信号入力インターフェース7に接続された前記外部装置から情報を取得する前記外部情報取得手段の一例である。
【0034】
また,前述した実施形態又は前記第1の実施例において,前記外部信号入力インターフェース7に接続されている前記外部装置の種類を判別し,その判別結果に応じて,前記描画用信号変換処理の変換規則(変換係数)を変更することや,特定の種類である場合にのみ前記描画用信号変換処理を行う第3の実施例も考えられる。以下,そのような第3の実施例について説明する。
当該第3の実施例においては,前記制御部21が,前記HDMI回路72に接続された前記第2外部装置の種類を判別する外部装置判別処理を実行する。例えば,前記制御部21は,前記HDMI回路72に接続された前記第2外部装置から前記CECラインを通じて前記第2外部装置の種類の情報を取得し,その情報に基づいて前記第2外部装置の種類を判別する。
前記外部装置判別処理において判別対象となる前記第2外部装置の種類は,パーソナルコンピュータに代表される計算機,ゲーム機,録画再生装置などである。ここで,計算機やゲーム機は,その出力映像に高輝度の静止画像の領域が含まれる場合が多い。以下,出力映像に特に高輝度の静止画像の領域が含まれることが多い計算機やゲーム機などのことを,計算機類と称する。
そこで,前記制御部21が,前記外部装置判別処理により,前記第2外部装置の種類が前記計算機類であると判別した場合に,前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサ(22又は27)に対して所定の制限強化指令を出力する。そして,前記コアプロセッサ(22又は27)は,前記制限強化指令を受けた場合には,前記第2外部入力映像信号についての前記描画用信号変換処理に用いる変換係数を,変換後の階調レベルをより低く抑える係数へ変更する。
これにより,前記第2外部装置が前記計算機類である場合の前記液晶パネル4における前記焼き付きの防止効果が高まる。
一方,前記制御部21が,前記外部装置判別処理により,前記第2外部装置の種類が前記計算機類であると判別した場合にのみ,前記描画用信号変換処理を実行する前記コアプロセッサ(22又は27)に対して前記制限許可指令を出力することも考えられる。この場合,前記コアプロセッサ(22又は27)は,前記制限許可指令を受けた場合にのみ,前記描画用信号変換処理を実行する。
これにより,前記第2外部装置が,前記液晶パネル4に前記焼き付きを生じさせやすい映像信号を出力する装置である場合にのみ前記描画用信号変換処理が行われるので,画質に影響を与える前記描画用信号変換処理の実行頻度を必要最小限に抑えることができる。
【0035】
また,前記テレビジョン受像機Xが,前述した実施形態及び実施例における前記描画用信号変換処理と併せて,又は前記描画用信号変換処理に代えて,以下に示す映像表示位置シフト処理を実行することも考えられる。
以下,前記主映像画面生成部22が,前記映像表示位置シフト処理を行う第4の実施例について説明する。
前記映像表示位置シフト処理は,前記外部入力映像信号に基づく描画用の前記主映像フレーム信号を生成する際に,その映像の表示位置が極めて遅い速度で二次元方向において徐々に変化するように前記主映像フレーム信号を生成する処理である。
図6は,前記映像表示位置シフト処理により,前記液晶パネル4において前記外部入力映像信号に基づく映像の表示位置が変化する様子を表す図である。
一般に,前記焼き付きは,階調レベルの高い領域と階調レベルの低い領域との境界線の位置において顕著となる。例えば,図6に示されるように,階調レベルの高いウインドウ枠の領域と階調レベルの低い背景領域との境界線の位置において前記焼き付きが顕著となる。
そこで,当該第4の実施例では,前記外部入力映像信号の映像の表示位置を,前記液晶パネル4において横方向及び縦方向に極めて遅い速度で移動させるように前記主映像フレーム信号を生成する。即ち,前記主映像フレーム信号における各階調レベルの位置を徐々にシフトさせる。その移動速度(シフト速度)は,人の視覚においてその移動をほとんど認知できない程度に遅い速度とする。また,映像の移動範囲は,表示映像のオーバースキャンの範囲内で行う。これにより,前記境界線の位置が固定されず,目立つ前記焼き付きの発生を防止できる。また,ユーザに,映像の表示位置の変化による違和感もほとんど生じさせないで済む。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は,テレビジョン受像機への利用が可能である。
【符号の説明】
【0037】
X :テレビジョン受像機
1 :チューナ
2 :マルチコアCPU
3 :液晶駆動回路
4 :液晶パネル
5 :調光回路
6 :バックライト
7 :外部信号入力インターフェース
8 :EEPROM
21 :制御部
22 :主映像画面生成部
23 :データ放送画面生成部
24 :OSD画面生成部
25 :ヒストグラム演算部
26 :画面合成部
27 :ガンマ補正部
71 :コンポーネント端子
72 :HDMI回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送信号から第1の映像信号を抽出するチューナと,外部装置から第2の映像信号を入力する外部信号入力インターフェースと,各画素の階調のレベルを表す描画用信号に基づいて映像を表示する映像表示手段と,を備えたテレビジョン受像機であって,
前記第1の映像信号を前記描画用信号へ変換する第1の信号変換手段と,
前記第2の映像信号を,前記第1の信号変換手段よりも前記階調のレベルを低く制限して前記描画用信号へ変換する第2の信号変換手段と,
を具備してなることを特徴とするテレビジョン受像機。
【請求項2】
前記第1の信号変換手段及び前記第2の信号変換手段が,各々異なる補正係数を用いてガンマ補正処理を行うものである請求項1に記載のテレビジョン受像機。
【請求項3】
前記第2の信号変換手段が,前記第1の信号変換手段により設定される前記階調のレベルに対し,前記第2の映像信号の輝度レベルが高くなるにつれて徐々に低くなる前記階調のレベルを設定してなる請求項1又は2のいずれかに記載のテレビジョン受像機。
【請求項4】
前記第2の信号変換手段が,前記第2の映像信号の輝度レベルが予め定められたしきいレベル以下であるときには,前記第1の信号変換手段と同じ前記階調のレベルを設定し,前記第2の映像信号の輝度レベルが前記しきいレベルを超えているときには,該輝度レベルが高くなるにつれて前記第1の信号変換手段により設定される前記階調のレベルに対して徐々に低くなる前記階調のレベルを設定してなる請求項1又は2のいずれかに記載のテレビジョン受像機。
【請求項5】
前記外部信号入力インターフェースに接続されている前記外部装置について,少なくとも計算機を含む装置の種類を判別する外部装置判別手段を備え,
前記第2の信号変換手段が,前記外部装置判別手段の判別結果に応じて前記階調のレベルを低く制限する程度を変更してなる請求項1〜4のいずれかに記載のテレビジョン受像機。
【請求項6】
前記第2の映像信号が特定の画像内容を表示するものであるか否かを判別する画像内容判別手段を具備し,
前記第2の信号変換手段が,前記画像内容判別手段により前記第2の映像信号が前記特定の画像内容を表示するものであると判別された場合にのみ前記第1の信号変換手段よりも前記階調のレベルを制限する信号変換を行ってなる請求項1〜4のいずれかに記載のテレビジョン受像機。
【請求項7】
前記外部信号入力インターフェースに接続された前記外部装置から情報を取得する外部情報取得手段を具備し,
前記画像内容判別手段が,前記外部情報取得手段により取得された情報に基づいて前記第2の映像信号が前記特定の画像内容を表示するものであるか否かを判別してなる請求項6に記載のテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−192948(P2010−192948A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32126(P2009−32126)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】