説明

テレビ受信システム

【課題】デジタル地上放送の受信信号をアナログテレビ信号に変換して端末側に伝送するテレビ受信システムを、簡単且つ低コストで実現できるようにする。
【解決手段】VHF、UHF、BSの受信信号をテレビ端子15〜18まで伝送するシステムにおいて、一つのテレビ端子18に放送信号変換装置30を設ける。この装置30は、受信信号に含まれるデジタル地上放送信号を選局・復調し、復調した映像・音声信号から受信信号とは異なる放送チャンネル(UHF)のアナログテレビ信号を生成し、テレビ端子18から受信設備20へと送出する。受信設備20側の伝送経路上には、チャンネルトラップ40を設け、テレビ端子18から伝送されてきたテレビ信号を他のテレビ端子15〜17へと反射させる。また、UHFアンテナ5,6から受信増幅器12に至る経路には、アナログテレビ信号の通過を阻止するバンドエリミネータ50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ地上放送とデジタル地上放送とを含む複数のテレビ放送信号を受信し、その受信信号を伝送線を介して建造物内の複数の端末端子まで伝送するテレビ受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アナログ地上放送とデジタル地上放送とを含む複数のテレビ放送信号を受信し、その受信信号を伝送線を介して建造物内の複数の端末端子まで伝送するテレビ受信システムにおいて、端末側でアナログ地上放送とデジタル地上放送とを視聴できるようにするには、各端末端子に、アナログ地上放送の受信・復調が可能なアナログチューナ(若しくはこのチューナを内蔵したテレビ受像機)に加えて、デジタル地上放送の受信・復調が可能なデジタルチューナ(若しくはこのチューナを内蔵したテレビ受像機)を接続しなければならず、端末側に設置するテレビ受信装置のコストアップを招くという問題があった。
【0003】
そこで、こうした問題を防止するために、従来より、受信アンテナにて受信されたデジタル地上放送のテレビ放送信号を、デジタルチューナを用いて受信・復調することにより、映像信号及び音声信号を生成し、次に、この映像信号及び音声信号を変調器に入力することで、これら各信号から、受信アンテナにて受信されるテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのアナログテレビ信号を生成し、更に、その生成したアナログテレビ信号を他の受信信号(アナログ放送信号)と混合して、増幅器にて増幅した後、伝送線を介して端末側に伝送することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2003−224780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記提案のテレビ受信システムでは、デジタル地上放送のテレビ放送信号を、受信アンテナ直下で、アナログテレビ信号に変換して、他のテレビ放送信号(アナログ放送信号)と混合する必要があるため、端末側では、アナログチューナ(若しくはこのチューナを内蔵したテレビ受像機)を用いて、デジタル地上放送を視聴することができるものの、アナログ地上放送を受信するように構成された既存のテレビ受信システムを、上記提案のテレビ受信システムに変更するのは難しいという問題があった。
【0005】
つまり、上記提案のテレビ受信システムでは、デジタルチューナ、変調器、混合器等を、全て、受信アンテナ付近の屋上や屋根裏等に設置しなければならず、既存のテレビ受信システムを改修して上記提案のテレビ受信システムを構築するには、その設置場所を確保したり、電源供給経路を確保するための工事を行わなければならず、場合によっては、その工事を行うことができない、といった問題があるのである。
【0006】
また、このようにデジタルチューナや変調器を受信アンテナ付近に設置することができない場合には、例えば、図2に示すように、デジタル地上放送受信用のUHFアンテナ50と混合器56とを、既存の受信設備付近(例えば、受信設備が固定された支柱等)に設置し、デジタルチューナ52と変調器54とは、テレビ受像機等が設けられる建造物内の部屋に設置することも考えられる。
【0007】
しかし、このようにすると、UHFアンテナ50からの受信信号をデジタルチューナ52まで伝送する伝送線や、変調器54にて生成されたアナログテレビ信号を混合器56まで伝送するための伝送線を、新たに配線しなければならず、建造物の壁には、これらの伝送線をデジタルチューナ52及び変調器54が設置された部屋に引き込むための孔を穿設しなければならないことから、伝送線を配線するための工事が煩雑になるという問題がある。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、アナログ地上放送とデジタル地上放送とを含む複数のテレビ放送信号を受信する受信アンテナを備えたテレビ受信システムにおいて、デジタル地上放送の受信信号をアナログテレビ信号に変換して各端末側に伝送することができ、しかも、その変換のための機器を、大きな工事を行うことなく簡単に設置できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、アナログ地上放送とデジタル地上放送とを含む複数のテレビ放送信号を受信する1又は複数の受信アンテナと、該受信アンテナからの受信信号を増幅する受信増幅器とを備え、該増幅後の受信信号を伝送線を介して建造物内の複数の端末端子まで伝送するテレビ受信システムにおいて、
前記複数の端末端子の一つに接続され、前記伝送線を介して伝送されてきた受信信号の中からデジタル地上放送のテレビ放送信号を選局・復調して映像信号及び音声信号を生成するデジタルチューナと、
該デジタルチューナにて生成された映像信号及び音声信号から、前記受信信号とは異なる放送チャンネルのアナログテレビ信号を生成する変調器と、
該変調器にて生成されたアナログテレビ信号を増幅して、前記複数の端末端子の一つに入力することにより、該アナログテレビ信号を前記伝送線を介して前記受信アンテナ側へと伝送させるテレビ信号増幅器と、
前記受信増幅器側の伝送線上に設けられ、前記変調器にて生成されたアナログテレビ信号の通過を阻止して端末側に反射させる反射手段と、
前記受信アンテナから前記受信増幅器に至る受信信号の伝送経路上に設けられ、前記アナログテレビ放送信号の通過を阻止して、前記受信アンテナから該アナログテレビ放送信号が放射されるのを防止するフィルタ手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテレビ受信システムにおいて、反射手段はトラップであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のテレビテレビ受信システムにおいて、フィルタ手段はバンドエリミネータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のテレビ受信システムにおいては、1又は複数の受信アンテナを介して、アナログ地上放送とデジタル地上放送とを含む複数のテレビ放送信号を受信し、その受信信号を、受信増幅器にて増幅した後、建造物内の複数の端末端子まで伝送する。そして、このように端末側に伝送されるデジタル地上放送のテレビ放送信号は、その複数の端末端子の一つに接続されたデジタルチューナにより選局・復調されることにより、映像信号及び音声信号に変換され、更に、変調器にて、受信信号とは異なる放送チャンネルのアナログテレビ信号に変換される。
【0012】
また、このように生成されたアナログテレビ信号は、テレビ信号増幅器にて増幅された後、複数の端末端子の一つに入力されることから、そのアナログテレビ信号は、伝送線を介して、受信増幅器側へと伝送されることになる。
【0013】
そして、受信増幅器側の伝送線上には、変調器にて生成されたアナログテレビ信号の通過を阻止して端末側に反射させる反射手段が設けられていることから、伝送線を介して受信増幅器側へと伝送されたアナログテレビ信号は、この反射手段にて反射されて、端末側へと伝送される。
【0014】
このため、本発明のテレビ受信システムによれば、信号変換用のデジタルチューナやテレビ信号増幅器が接続された端末端子以外の端末端子には、アナログチューナ(若しくはアナログチューナを含むテレビ受像機や録画装置)を接続するだけで、アナログ地上放送とデジタル地上放送との両方を視聴できるようになる。
【0015】
そして、本発明によれば、アナログチューナ(若しくはアナログチューナを含むテレビ受像機)を利用してアナログ地上放送とデジタル地上放送との両方を視聴できるようにするために、従来のように、デジタル地上放送のテレビ放送信号をアナログテレビ信号に変換するための装置(つまり、デジタルチューナや変調器)を、受信アンテナ付近の屋上や天井裏等に設置する必要がないことから、上述した従来のテレビ受信システムに比べて、簡単且つ低コストで実現できるようになる。
【0016】
ところで、本発明のように、端末側から受信増幅器側にアナログテレビ信号を伝送するようにすると、反射手段や受信増幅器の特性によっては、アナログテレビ信号の一部が、反射手段及び受信増幅器を通って、受信アンテナ側へと伝送されることも考えられる。
【0017】
そして、このようにアナログテレビ信号が受信アンテナまで伝送されると、受信アンテナから、アナログテレビ信号に対応した放送電波が放射され、その放送電波が周囲の通信機器に悪影響を及ぼすことがある。
【0018】
しかし、本発明のテレビ受信システムでは、受信アンテナから受信増幅器に至る受信信号の伝送経路上に、端末側から伝送されてくるアナログテレビ信号の通過を阻止するフィルタ手段が設けられることから、アナログテレビ信号の一部が反射手段及び受信増幅器を通過したとしても、フィルタ手段によって、アナログテレビ信号が受信アンテナまで伝送されるのを防止することができる。よって、本発明のテレビ受信システムによれば、受信アンテナからアナログテレビ信号に対応した放送電波が放射されて、周囲の通信機器に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0019】
なお、本発明のテレビ受信システムにおいては、請求項2に記載のように、反射手段として、トラップを使用するようにすれば、アナログテレビ信号を簡単な構成で効率よく反射させることができる。
【0020】
また、請求項3に記載のように、フィルタ手段として、バンドエリミネータを使用するようにすれば、反射手段や受信増幅器を通過したアナログテレビ信号が受信アンテナ側に伝送されるのを防止できるだけでなく、アナログテレビ信号が受信増幅器側に反射されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用された実施形態のテレビ受信システムの構成を表す構成図である。
本実施形態のテレビ受信システムは、所謂ホーム共同受信を行うためのものであり、地上放送や衛星放送の各種テレビ放送信号を受信するために、住宅の屋根上に支柱2を介して設置された受信設備20を備える。
【0022】
この受信設備20には、VHF帯のアナログ地上放送電波を受信するVHFアンテナ4と、UHF帯のアナログ地上放送電波を受信するUHFアンテナ5と、UHF帯のデジタル地上放送電波を受信するUHFアンテナ6と、放送衛星(BS)を介して配信される衛星放送電波を受信するBSアンテナ8と、UHFアンテナ5、6からの受信信号を混合する混合器10と、混合器10から出力されるUHF帯の受信信号、VHFアンテナ4から出力されるVHF帯の受信信号、及び、BSアンテナ8から出力される衛星放送の受信信号(具体的にはBSアンテナ8のコンバータにてダウンコンバートされた中間周波信号:BS−IF信号)をそれぞれ所定レベルまで増幅し、これら各信号を混合して出力する受信増幅器12と、が備えられている。
【0023】
なお、本実施形態では、UHFアンテナとして、アナログ地上放送受信用のUHFアンテナ5と、デジタル地上放送受信用のUHFアンテナ6とが設けられているが、これは、受信点から見て、デジタル地上放送の送信局とアナログ地上放送の送信局とが異なる方向にあるためであり、UHF帯のアナログ地上放送とデジタル地上放送とが受信点から見て同方向に位置する送信局から送信される場合には、UHFアンテナは一つでよい。
【0024】
そして、受信増幅器12から出力される受信信号は、伝送線である同軸ケーブルを介して、住宅内に引き込まれ、分配器14にて複数系統(図では4系統)に分配された後、各部屋に設置されたテレビ端子(端末端子)15,16,17,18までそれぞれ伝送される。
【0025】
テレビ端子15〜18は、各部屋に設置されたテレビ受像機24や、ハードディスク・DVDレコーダ(HDDVD)25,ビデオテープレコーダ(VTR)26等のテレビチューナ内蔵型録画装置に受信信号を配信するためのものであり、これら各種受信装置のアンテナ入力端子に同軸ケーブルを介して接続するためのコネクタを備えている。
【0026】
そして、本実施形態では、テレビ端子15,16には、コネクタを一つ備えたものが使用され、テレビ端子17,18には、コネクタを二つ備えたものが使用されており、例えば、二つのコネクタを備えたテレビ端子17には、次のように受信装置が接続されている。
【0027】
すなわち、テレビ端子17の一方のコネクタ17aには、受信信号をVHF・UHF帯の信号とBS−IF信号とに分離するための分波器28が接続されており、この分波器28にて分波されたVHF・UHF帯の信号とBS−IF信号とを、VTR26のVHF・UHFアンテナ入力端子及びBSアンテナ入力端子に入力するようにされている。
【0028】
また、テレビ端子17のもう一つのコネクタ17bには、受信設備20からコネクタ17bに至る受信信号の伝送路(同軸ケーブルと分配器14等の伝送機器)を介して、屋根上に設置された受信増幅器12とBSアンテナ8の受信部(コンバータ)に電源電圧(直流電圧信号)を供給するための電源装置(PS)29が接続されている。
【0029】
そして、このコネクタ17bまで伝送されてきた受信信号は、電源装置29を介して分配器27に入力され、分配器27(詳しくは2分配器)にて2系統に分配されてテレビ受像機24及びHDDVD25のアンテナ入力端子に入力される。なお、分配器17とテレビ受像機24との間には、VTR26への受信信号の入力経路と同様に、分波器28が接続されており、この分波器28にて分波されたVHF・UHF帯の信号とBS−IF信号とが、テレビ受像機24のVHF・UHFアンテナ入力端子及びBSアンテナ入力端子にそれぞれ入力される。
【0030】
次に、二つのコネクタを備えたもう一つのテレビ端子18には、放送信号変換装置30が接続されている。
この放送信号変換装置30は、デジタル地上放送のテレビ放送信号を、受信信号に含まれるテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのアナログテレビ信号(VHF帯又はUHF帯のテレビ信号)に変換して、受信設備20側に送出するためのものであり、テレビ端子18の一方のコネクタ18aに入力端子が接続された分配器(詳しくは2分配器)32と、この分配器32の一方の分配出力端子に接続され、この分配器32を介して入力される受信信号の中からデジタル地上放送を選局して、映像信号及び音声信号を復元するデジタルチューナ34と、このデジタルチューナ34にて復元された映像信号及び音声信号から、受信信号に含まれるテレビ放送信号とは異なる放送チャンネルのアナログテレビ信号(UHF帯のテレビ信号)を生成する変調器36と、この変調器36にて生成されたアナログテレビ信号を増幅して、テレビ端子18の他方のコネクタ18bに入力することにより、アナログテレビ信号を同軸ケーブルを介して受信設備20側へと伝送させるテレビ信号増幅器38と、から構成されている。
【0031】
なお、分配器32のもう一方の分配出力端子には、テレビ放送を視聴するためのテレビ受像機24が接続されている。
次に、放送信号変換装置30にて生成され、テレビ端子18のコネクタ18bに入力されたアナログテレビ信号は、同軸ケーブルを介して、分配器14の一つの分配出力端子まで伝送されるが、分配器18の各分配出力端子間には端子間阻止量があるため、テレビ端子18から分配器14まで伝送されたアナログテレビ信号は、分配器14の他の分配出力端子からテレビ端子15〜17へと直接出力することができない。
【0032】
そこで、受信増幅器12から分配器14の入力端子に至る同軸ケーブル上には、放送信号変換装置30から伝送されてくるアナログテレビ信号の通過を阻止して端末側に反射させるチャンネルトラップ40が設けられている。
【0033】
このため、本実施形態によれば、放送信号変換装置30にて生成されてテレビ端子18からチャンネルトラップ40まで伝送されてきたアナログテレビ信号は、チャンネルトラップ40に反射されて、分配器14から他のテレビ端子15〜17へと伝送されることになる。従って、各テレビ端子15〜17側では、アナログチューナを内蔵した録画装置(HDDVD25、VTR26)やテレビ受像機24を接続するだけで、アナログ地上放送とデジタル地上放送との両方を視聴することができるようになる。
【0034】
また、このようにチャンネルトラップ40を設けた場合、アナログテレビ信号はチャンネルトラップ40で反射されることになるが、チャンネルトラップ40の特性によっては、アナログテレビ信号の一部が受信設備20側に伝送されてしまい、受信設備20内の受信増幅器12を通って、UHFアンテナ5,6まで伝送され、UHFアンテナ5、6から放射されることも考えられる。
【0035】
そこで、UHFアンテナ5、6からの受信信号を混合する混合器10と受信増幅器12との間の伝送経路上には、放送信号変換装置30にて生成されたアナログテレビ信号の通過を阻止するバンドエリミネータ(BEF)50が設けられている。
【0036】
従って、本実施形態では、放送信号変換装置30にて生成されたアナログテレビ信号の一部がチャンネルトラップ40を通過して受信増幅器12に入力されたとしても、アナログテレビ信号がUHFアンテナ5、6まで伝送されてこれら各アンテナ5、6から周囲に放射されるのを防止することができる。
【0037】
一方、チャンネルトラップ40の入・出力端子間や、分配器14におけるテレビ端子17側の分配出力端子と受信設備20側の入力端子との間、或いは、受信増幅器12における出力端子とBSアンテナ8側の入力端子との間には、テレビ放送信号に比べて充分周波数が低い低周波信号や直流信号を通過させる信号通過回路が内蔵されている。
【0038】
このため、電源装置(PS)29にて生成された電源電圧(直流電圧信号)は、テレビ端子17から分配器14及びチャンネルトラップ40を介して受信増幅器12に供給され、更に受信増幅器12を介してBSアンテナ8の受信部(コンバータ)にも供給されることになる。
【0039】
また、BSアンテナ8の替わりに、CSアンテナ若しくはBS・CSアンテナを受信設備20に設置した場合には、テレビ端子17から分配器14、チャンネルトラップ40、受信増幅器12を介して、これら各アンテナの受信部に、偏波切換信号や衛星切換信号を供給することもできる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のテレビ受信システムにおいては、複数のテレビ端子15〜18の一つに、デジタル地上放送のテレビ放送信号からアナログテレビ信号を生成する放送信号変換装置30を接続し、この放送信号変換装置30にて生成したアナログテレビ信号を、テレビ端子18から受信設備20側へと送出し、更に、受信設備20から分配器14に至る同軸ケーブル上に設けられたチャンネルトラップ40にて反射することにより、他のテレビ端子15〜17へと伝送するようにされている。
【0041】
このため、本実施形態によれば、従来のように放送信号変換用の装置(デジタルチューナや変調器)を受信アンテナ付近の屋上や天井裏に設置したり、新たにケーブル配線工事を行うことなく、アナログ放送受信用のテレビ受信装置を利用してアナログ地上放送とデジタル地上放送との両方を視聴し得るテレビ受信システムを構築することができるように成り、このシステムを、簡単且つ低コストで実現できるようになる。
【0042】
また、本実施形態において、放送信号変換装置30を構成しているデジタルチューナ34、変調器36、テレビ信号増幅器38には、一般に市販されている(換言すれば特別な仕様で製造されていない)ものを使用できることから、放送信号変換装置30のコストを抑え、システムの構築に要する費用を低減できる。
【0043】
また、本実施形態のテレビ受信システムにおいては、UHFアンテナ5、6からの受信信号を混合する混合器10と受信増幅器12との間にバンドエリミネータ(BEF)50を設けて、放送信号変換装置30にて生成されたアナログテレビ信号が通過するのを阻止するようにしていることから、アナログテレビ信号がUHFアンテナ5、6まで伝送されて各アンテナ5、6から周囲に放射され、周囲の通信機器に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、チャンネルトラップ40が本発明の反射手段に相当し、バンドエリミネータ(BEF)50が本発明のフィルタ手段に相当する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様を採ることができる。
【0045】
例えば、上記実施形態では、放送信号変換装置30において、同軸ケーブルからの受信信号の取り込み、及び、アナログテレビ信号の同軸ケーブルへの送出を行うために、二つのコネクタ18a、18bを備えたテレビ端子18を用いるものとして説明したが、テレビ端子18に一つのコネクタしか設けられていない場合には、分配器や分岐器等を利用して、その一つのコネクタから受信信号の取り込み、及び、アナログテレビ信号の出力を行うようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、受信増幅器12からの受信信号やチャンネルトラップ40にて反射されたアナログテレビ信号を分配器14にて分配し、その分配された信号を各テレビ端子15〜18まで伝送するものとして説明したが、分配器14に替えて分岐器を使用してもよく、また、テレビ端子15、16に分岐器からなる直列ユニットを使用して、これら各直列ユニットからテレビ端子17,18に信号を伝送するようにしてもよい。
【0047】
また次に、上記実施形態では、反射手段としてこのチャンネルトラップ40を利用したが、反射手段としては、チャンネルトラップまたはトラップと同じ作用が得られれば、これに限定されるものではない。また、チャンネルトラップ40は、放送信号変換装置30から伝送されてくるアナログテレビ信号の全周波数帯域を反射するようにしても良いし、テレビ端子15〜17に接続される受信装置側でアナログテレビ信号を受信・復調できる範囲でアナログテレビ信号の一部の周波数帯域を反射するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、放送信号変換装置30において、変調器26にて生成されたアナログテレビ信号は、テレビ信号増幅器38にて増幅するものとして説明したが、チャンネルトラップ40で反射されてテレビ端末15〜17に伝送されたアナログテレビ信号の信号レベルが受信装置にて受信・復調可能な最低信号レベル以上となる場合には、テレビ信号増幅器38を省略してもよい。
【0049】
また、上記実施形態において、放送信号変換装置30は、デジタル地上放送のテレビ放送信号からUHF帯のアナログテレビ信号を生成するものとして説明したが、放送信号変換装置30では、VHF帯のアナログテレビ信号を生成するようにしてもよい。そして、この場合には、アナログテレビ信号がVHFアンテナ4から放射されることのないよう、このアナログテレビ信号の通過を阻止するためのバンドエリミネータ50(フィルタ手段)を、VHFアンテナ4と受信増幅器12との間の伝送経路上に設けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態のテレビ受信システムの構成を表す構成図である。
【図2】従来のテレビ受信システム及びその問題点を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0051】
2…支柱、4…VHFアンテナ、5,6…UHFアンテナ、8…BSアンテナ、10…混合器、12…受信増幅器、14…分配器、15〜18…テレビ端子、20…受信設備、24…テレビ受像機、25…HDDVD、26…VTR、28…分波器、29…電源装置、30…放送信号変換装置、32…分配器、34…デジタルチューナ、36…変調器、38…テレビ信号増幅器、40…チャンネルトラップ、50…バンドエリミネータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ地上放送とデジタル地上放送とを含む複数のテレビ放送信号を受信する1又は複数の受信アンテナと、該受信アンテナからの受信信号を増幅する受信増幅器とを備え、該増幅後の受信信号を伝送線を介して建造物内の複数の端末端子まで伝送するテレビ受信システムにおいて、
前記複数の端末端子の一つに接続され、前記伝送線を介して伝送されてきた受信信号の中からデジタル地上放送のテレビ放送信号を選局・復調して映像信号及び音声信号を生成するデジタルチューナと、
該デジタルチューナにて生成された映像信号及び音声信号から、前記受信信号とは異なる放送チャンネルのアナログテレビ信号を生成する変調器と、
該変調器にて生成されたアナログテレビ信号を増幅して、前記複数の端末端子の一つに入力することにより、該アナログテレビ信号を前記伝送線を介して前記受信アンテナ側へと伝送させるテレビ信号増幅器と、
前記受信増幅器側の伝送線上に設けられ、前記変調器にて生成されたアナログテレビ信号の通過を阻止して端末側に反射させる反射手段と、
前記受信アンテナから前記受信増幅器に至る受信信号の伝送経路上に設けられ、前記アナログテレビ放送信号の通過を阻止して、前記受信アンテナから該アナログテレビ放送信号が放射されるのを防止するフィルタ手段と、
を備えたことを特徴とするテレビ受信システム。
【請求項2】
前記反射手段は、トラップであることを特徴とする請求項1に記載のテレビ受信システム。
【請求項3】
前記フィルタ手段は、バンドエリミネータであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテレビ受信システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−215036(P2007−215036A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34349(P2006−34349)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(591164613)株式会社エヌエイチケイアイテック (39)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】