テーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置
【課題】容器中心軸に対して胴部の傾斜角度が大きい容器であっても、確実にカール成形を行うことのできるテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を提供すること。
【解決手段】容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部1aと、前記胴部1bの下部に設けられる底部31とを有する容器1の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端1bにカール成形金型3を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置であって、前記カール成形金型3を前記容器1の胴部のテーパ方向に沿うように押し込むことでカール成形することを特徴とする。
【解決手段】容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部1aと、前記胴部1bの下部に設けられる底部31とを有する容器1の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端1bにカール成形金型3を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置であって、前記カール成形金型3を前記容器1の胴部のテーパ方向に沿うように押し込むことでカール成形することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパ付き容器を構成する胴部における上端側や下端側の開口端にカーリングを施すカール成形方法およびカール成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙製のカップ状容器において、容器の開口縁や下側の端縁を丸めてカール成形したものが使用されている。このような容器における上側の開口端のカール成形方法として、特許文献1には、シート状ブランクをほぼ筒状に加工し底板と組合せて接着剤で接着することにより筒状容器を形成し、この筒状容器の開口縁をカール処理するカール処理方法において、筒状容器の開口縁をカール処理する環状溝を有するカール用金型をカール処理に先行して予熱しておき、この予熱したカール用金型の環状溝を前記筒状容器の開口縁に押圧する筒状容器のカール処理方法およびカール処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−96408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなカール処理方法およびカール処理装置では、容器の胴部の傾斜角度にかかわらず容器軸線方向(垂直方向)にカール用金型を押し下げているので、容器中心軸線に対して胴部の傾斜角度が大きい場合には、カール用金型を押し下げた際の容器の半径方向におけるカール用金型の位置とカーリング作用を受けている開口端の半径方向での位置との差、すなわちカール成形前の容器開口縁の上端の外径とカール成形後の容器開口縁の上端の外径との差が大きくなる。そのため、カール成形初期段階でのカール用金型に対する容器の開口端部の当接位置と、カール成形終了段階でのカール用金型に対する容器の開口端部の当接位置とのズレが大きくなってしまい、これが原因となってカール成形不良が生じたり、カール用金型による容器開口端部への垂直方向荷重により容器胴部に座屈が生じたりする虞がある。
【0005】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、容器中心軸線に対して胴部の傾斜角度が大きい容器であっても、その胴部の上端縁や下端縁を確実にカール成形することができるテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形方法において、前記カール成形金型を前記容器の胴部のテーパ方向に沿うように押し込んで前記開口端に前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛けることにより前記開口端をカール成形することを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割された複数の金型部材によって前記カール成形金型を構成し、それらの金型部材を前記開口端に対して押し込むのに従って前記金型部材同士を前記容器の円周方向に離隔もしくは接近させつつ前記容器の半径方向に移動させることにより前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛け、かつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記複数の金型部材のそれぞれを、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転するロール部材によって構成し、前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って各ロール部材を自転させることを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形装置において、前記カール成形金型は、成形するべきカールの外形形状に倣った凹曲面を備え、その凹曲面が前記容器の胴部のテーパ方向に沿って前後動させるスライダーに前記カール成形金型が保持されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記カール成形金型は、前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割されかつ先端部に前記凹曲面がそれぞれ形成された複数の金型部材を備え、前記スライダーは、各金型部材毎に設けられ、前記複数の金型部材およびそれらの金型部材を保持している各スライダー部材が前記カール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記複数の金型部材のそれぞれは、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転可能に保持されかつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って自転するロール部材によって構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項4の発明によれば、カール成形金型を容器の胴部のテーパ方向に沿うように押し込むことにより、容器中心軸線に対して胴部の傾斜角度が大きい容器をカール成形する場合であっても、容器の開口端の外径に合わせてカール成形金型の成形部分の外径を小さくし、あるいは大きくすることができるため、容器の上下いずれかの開口端とカール成形金型との当接位置を一定に保つことができると共に、カール成形金型の押し込みにより容器の上下いずれかの開口端に加えられる荷重が胴部のテーパ方向に沿って負荷されるため、カール成形金型の押し込み時の荷重により容器胴部に座屈が生じることを回避または抑制することができる。
【0013】
請求項2および請求項5の発明によれば、カール成形金型が、容器の上下いずれかの開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割されており、分割された各金型部材が、カール成形金型の中心軸線方向及び半径方向に移動可能に構成されているから、カール成形する開口端に対して、胴部のテーパ方向に荷重を掛けることができ、またカール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、分割された各金型部材により容器の上下いずれかの開口端の複数の箇所を同時にカール成形できるため、容器の上下いずれかの開口端を全周で均一にカール成形することができる。
【0014】
請求項3および請求項6の発明によれば、カール成形金型が、自転可能なロール部材となっており、ロール部材は、カール成形金型の中心軸線方向及び半径方向に移動可能に構成されると共に、カール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、容器の上下いずれかの開口端とロール部材とが当接した際に、ロール部材は容器の上下いずれかの開口端との間の摩擦力により回転させられる(または自転する)ため、両者の間の摩擦は主として転がり摩擦となり、通常の滑り摩擦に比べて摩擦力が大幅に小さくなる結果、ロール部材と容器の上下いずれかの開口端との間の摩擦力を大幅に低減することができる。その結果、容器の上下いずれかの開口端とカール成形金型とが過度に擦れてカール部の表面品位を低下させることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a),(b)は、本発明の第1実施例のテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を具体的に示す概略図である。
【図2】この発明の第1実施例のカール成形装置を具体的に示す概略断面図である。
【図3】図2におけるE−E断面図である。
【図4】(a),(b)は、第2実施例のカール成形方法およびカール成形装置を具体的に示す概略構成図である。
【図5】この発明の第2実施例のカール成形装置を具体的に示す概略断面図である。
【図6】図5におけるE−E断面図である。
【図7】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の例を示す概略断面図であって、カール成形開始直前の状態を示す図である。
【図8】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の例を示す概略断面図であって、カール成形がほぼ終了した状態を示す図である。
【図9】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の他の例を示す概略断面図であって、カール成形開始直前の状態を示す図である。
【図10】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の他の例を示す概略断面図であって、カール成形がほぼ終了した状態を示す図である。
【図11】容器胴部に嵌合させられた底板における脚部をホットエアノズルによって加熱する状態を説明するための図である。
【図12】カール成形された箇所を圧着している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態について説明する。図1(a)、(b)は、本発明の第1実施例のテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を具体的に示す概略図である。本発明で対象とするテーパ付き容器1は、紙基材の両面に合成樹脂製被膜を積層したシート状ブランクの直線状の側端部を重ね合わせて円筒状に加工し、下部の外径に比べて上部の外径が大きくなるようなテーパ状に筒状胴部を形成し、筒状胴部の下端側の開口部に底板を接着したものである。具体的な容器胴部1aのテーパ形状における母線角度は、容器1の中心軸に対して5°〜45°の範囲で傾斜したものが使用でき、特に傾斜角度が比較的大きい10°〜45°の範囲で傾斜したものが好適に使用できる。図1ないし図5に示す例は、このような胴部がテーパ状の容器1の上端側の開口端1bを外側に折り返し丸めてカール部を成形する方法および装置である。
【0017】
そのカール成形装置2は、テーパ付き容器の上部開口端1bを折り返し、カール部の上面側を成形するカール成形金型3と、カール成形金型3により折り返された上部開口端1bを更に折り返してカール部の下面側を成形する下部成形金型4とを有している。
【0018】
そして、本発明のカール成形方法およびカール成形装置の第1の実施例では、カール成形金型3は、容器1の上部開口端1bの上方(あるいは先端側)にカール成形金型3の中心軸線Aと容器1の中心軸とが一致するように配置される。カール成形金型3は、容器1の上部開口端1bに沿って周方向に隙間が形成されるように4〜12個の範囲で分割されており、分割された各金型部材が、カール成形金型3の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。さらにカール成形金型3の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。分割された各金型部材の下面側には、容器1の上部開口端1bの形状に対応するように配置され、容器1の上部開口端1bと当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部5が形成されている。この成形溝部5は、中心軸線Aに対する容器胴部1aを形成している円錐面の母線の傾斜角度(母線角度)よりも大きく傾斜した内周壁6と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する外周壁7と、内周壁6と外周壁7とを接続する縦断面円弧状の湾曲面8とを有している。この湾曲面8が本発明における凹曲面に相当している。なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部5の内周壁6の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。
【0019】
また、下部成形金型4は、容器1の上部開口端1bの下方かつ容器胴部1aの外方に、容器の外周を全周的に囲むように環状に配置され、カール成形金型3の成形溝部5と対向するように、上面にカール部の成形面となる縦断面円弧状の湾曲面9が形成され、内周側の側壁面4aは、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)に沿うような傾斜面に形成されている。
【0020】
図2および図2のE−E断面図である図3に示すように第1実施例のカール成形方法およびカール成形装置では、カール成形金型3が周方向に均等に分割されており、その分割された金型部材3Aが、カール成形金型3の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。すなわち、各金型部材3Aは、カール成形を施すべき開口端の曲率とほぼ等しい曲率の円弧状をなし、それぞれの先端部(容器1側の端部)に前記成形溝部5が形成されている。これらの各金型部材3Aは、容器1に向けて前後動するスライダー10の先端部に取り付けられている。したがって、スライダー10は各金型部材3A毎に設けられている。
【0021】
そして、各スライダー10は、外周面がテーパ状に形成されたロータ11の外周面にガイド部材12を介して取り付けられている。このロータ11のテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材12はロータ11の外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材12はロータ11のテーパ角度に沿ってスライダー10を案内するように構成されている。そして、ロータ11の中心軸線は、カール成形金型3の中心軸線Aと一致するように構成されており、また、ロータ11の中心軸線と前記容器1の中心軸とが一致するようにロータ11と容器1との相対位置が決められており、ロータ11はその中心軸線Aを中心に回転するように構成されている。
【0022】
そのため、カール成形金型3の中心軸線Aと容器1の中心軸とを位置合わせした状態で、カール成形金型3を周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、分割された金型部材を中心軸線A方向下方かつ半径方向内方(斜め下方)に向かって押し込むことにより、複数の分割された金型を同時に容器1の上部開口端1bに当接させてカール成形するようになっている。カール成形装置のロータ11の内部に容器1の内部に向けて前後動(上下動)するシャフト13が設けられており、その先端に保持部材14が取り付けられている。そして、この保持部材14はカール成形時に容器1の内部に挿入され、容器内面に接触し、容器1の回転を防止する押さえとして機能する。
【0023】
詳細には、図1に示すように、初めに容器1の上部開口端1bがカール成形金型3の成形溝部5の内周壁6に当接し、そこから更にカール成形金型3を斜め下方に下降させることで、上部開口端1bがカール成形金型3の成形溝部5の内周壁6から湾曲面8を経て外周壁7へと接触しつつ折り返されるように変形させられる。
【0024】
次に、折り返された上部開口端1bが、下部成形金型4の上面に形成された湾曲面9の外周部から内周部に沿うように当接することで、上部開口端1bが容器半径方向内方かつ上方に折り曲げられ、最終的には、カール成形金型3と下部成形金型4とによって上部開口端1bが挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0025】
次に図4(a)、(b)に示す本発明のカール成形方法およびカール成形装置の第2の実施例を説明すると、第2の実施例では、カール成形金型15は、容器1の上部開口端1bの上方にカール成形金型15の中心軸線Aと容器1の中心軸とが一致するように配置されている。カール成形金型15は、自転可能な円板状の各金型部材15Aを、カール成形金型15の中心軸線Aから同一半径上でかつ上部開口端1bに沿うように周方向に間隔をおいて4〜12個の範囲で複数個有している。なお、これらの各金型部材15Aの自転中心は、前述した容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して垂直な軸線である。各金型部材15Aは、カール成形金型15の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されており、さらにカール成形金型15の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。各金型部材15Aの周縁部には、容器1の上部開口端1bと当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部16が形成されており、この成形溝部16は、第1実施例と同様に、中心軸線Aに対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも大きく傾斜した内周壁17と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する外周壁18と、内周壁17と外周壁18とを接続する縦断面円弧状の湾曲面19とを有している。
【0026】
なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部16の内周壁17の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。また、各金型部材15Aの自転軸Bは容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して直交するように設定されている。
【0027】
また、下部成形金型20は、カール成形金型15と同様に、自転可能な円板状の下部ロール部材20aを、カール成形金型15の中心軸線Aからほぼ同一半径上で容器1の上部開口端1bの下方かつ容器胴部1aの外方にカール成形金型15の各金型部材15Aと対向するように間隔をおいて4〜12個の範囲で複数個有している。下部成形金型20の中心軸線は、カール成形金型15の中心軸線Aと一致するように構成されており、下部ロール部材20aは、カール成形金型15の中心軸線Aを中心としてカール成形金型15と同期して周方向に回転(公転)可能に構成されている。円板状の下部ロール部材20aは、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)に沿うように傾斜して配置されており、下部ロール部材20aの自転軸Cは容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して直交するように設定されている。下部ロール部材20aの周縁部には、カール部の成形面となる縦断面円弧状の湾曲面21が形成され、下部ロール部材20aの円板状壁面は容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向と平行に延在するように形成されている。
【0028】
なお、下部成形金型20は、上記のような形状に限定されず、第1実施例と同様な構造でも良い。
【0029】
第2の実施例におけるカール成形装置においても、前述した第1の実施例におけるカール成形金型3と同様に、カール成形金型15は、複数に分割され、かつ分割されたそれぞれが前述した容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に前後動(上下動)するように構成されている。
【0030】
図5および図5のE−E断面図である図6に示すように、第2実施例のカール成形方法およびカール成形装置では、カール成形金型15が分割されており、その分割された各金型部材15Aが、カール成形金型15の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。すなわち、各金型部材15Aは、カール成形を施すべき開口端の曲率とほぼ等しい曲率の円弧状をなし、それぞれの先端部(容器1側の端部)に前記成形溝部16が形成されている。これらの各金型部材15Aは、容器1に向けて前後動するスライダー10の先端部に取り付けられている。したがって、スライダー10は各金型部材15A毎に設けられている。
【0031】
そして、各スライダー10は、外周面がテーパ状に形成されたロータ11の外周面にガイド部材12を介して取り付けられている。このロータ11のテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材12はロータ11の外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材12はロータ11のテーパ角度に沿ってスライダー10を案内するように構成されている。そして、ロータ11の中心軸線は、カール成形金型15の中心軸線Aと一致するように構成されており、また、ロータ11の中心軸線と前記容器1の中心軸とが一致するようにロータ11と容器1との相対位置が決められており、ロータ11はその中心軸線Aを中心に回転するように構成されている。
【0032】
そのため、カール成形金型15の中心軸線Aと容器の中心軸とを位置合わせした状態で、各金型部材15Aを周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、各金型部材15Aをカール成形金型15(容器1)の中心軸線A方向下方かつ半径方向内方(斜め下方)に向かって押し込むことにより、カール成形金型15を容器1の上部開口端1bに当接させてカール成形している。
【0033】
詳細には、図4に示すように、初めに容器1の上部開口端1bが各金型部材15Aの成形溝部16の内周壁17に当接し、そこから更にカール成形金型15を斜め下方に下降させることで、上部開口端1bが各金型部材15Aの成形溝部16の内周壁17から湾曲面19を経て外周壁18へと当接しつつ折り返されるように変形させられる。なお、この時、各金型部材15Aは、容器1の上部開口端1bとの摩擦力により、各金型部材15Aの自転軸Bを中心に自転している。次いで、折り返された上部開口端1bが、下部成形金型20の下部ロール部材20aに形成された湾曲面21の外周部22から内周部23に沿うように当接させられることで、上部開口端1bが容器半径方向内方かつ上方に折り曲げられ、最終的には、金型部材15Aと下部ロール部材20aとによって上部開口端部1bが挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0034】
なお、第1実施例と第2実施例では、容器胴部1aのテーパ形状が上部から下部に至るにつれて外径が小さくなるような容器に対してカール成形を施す方法について詳述したが、本発明は、容器胴部1aの開口部付近が上部開口端1bから下方に至るにつれて外径が大きくなるように設定されたテーパ付き胴部を有する容器1に対してカール成形を施す場合においても適用可能なものであり、この場合は、分割された金型部材やロール部材をカール成形金型3,15(容器1)の中心軸線A方向下方かつ半径方向外方に移動させることにより、カール成形金型3,15を容器1の上部開口端1bに当接させてカール成形することができる。
【0035】
また、第1実施例と第2実施例では、容器1の上部開口端1bを外側に折り返し丸めてカール部を成形しているが、本発明は、上部開口端1bをカール成形金型3,15の成形溝部5,16の外周壁7,18から湾曲面8,19を経て内周面6,17へと接触させつつ内側に折り返し丸めてカール部を成形する場合においても適用可能なものであり、さらに、容器1の容器胴部1aの上端側の開口端1bをカール成形する場合だけでなく、容器1の容器胴部1aの下端側の端部をカール成形する場合においても適用可能なものである。
【0036】
容器胴部1aの下部開口端1cをカール成形する方法および装置の例を以下に説明する。図7は、底板31が取り付けられた容器胴部1aの下部開口端1cをカール成形する例を示しており、その底板31は容器胴部1aの底部側の内径とほぼ同じ外径の底壁部31aと、その底壁部31aの外周部を下方へ折り曲げて筒状に形成された脚部31bとを備えており、その脚部31bを下側に向けた状態で、上部開口端1b側から容器胴部1aの内部に挿入され、容器胴部1aの内周面と脚部31bの外周面とが接合されている。脚部31bの容器胴部1aに対する接着は、その素材であるシート状ブランクにラミネートされている合成樹脂被膜を熱融着させることにより行ってもよく、あるいは接着剤によって行ってもよい。また、底板31は、その脚部31bの下端が、容器胴部1aにおける下部開口端1cから脚部31bの高さ程度、上側に位置するように容器胴部1aの底部側に接合されている。したがって、容器胴部1aの下端部は、底板31の脚部31bより下側に延びている。
【0037】
その下部開口端1cをカール成形する下端カール成形金型32が設けられており、この下端カール成形金型32は、前述した上部開口端1bをカール成形するためのカール成形金型3を上下反転させた構成と同様に構成されている。すなわち、これらの下端成形金型32は、容器1の下部開口端1cに沿って周方向に隙間が形成されるように4〜12個の範囲で分割されており、分割された各金型部材が、下端カール成形金型32の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。さらに下端カール成形金型32の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。分割された各金型部材の上面側には、容器1の下部開口端1cの形状に対応するように配置され、容器1の下部開口端1cに当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部33が形成されている。この成形溝部33は、中心軸線Aに対する容器胴部1aを形成している円錐面の母線の傾斜角度(母線角度)よりも大きく傾斜した外周壁34と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する内周壁35と、外周壁34と内周壁35とを接続する縦断面円弧状の湾曲面36とを有している。この湾曲面36が本発明における凹曲面に相当している。なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部33の外周壁34の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。なお、下端カール成形金型32は、容器1の下部開口端1cを内周側に湾曲させた後に、底板31の脚部31bを挟み込むように二つ折りするためのものであるから、前述した上部開口端1bをカール成形するためのカール成形金型3における下部成形金型4に対応する金型は下端カール成形金型32には設けられていない。
【0038】
下端カール成形金型32はその互いに分割された金型部材が、容器胴部1aを構成しているテーパ面の母線角度に沿って容器胴部1a側に移動することにより、その下部開口端1cをカール成形するように構成され、そのように金型部材を移動させる機構は、特には図示しないが、前述した図2に示す構成に準じた構成とされている。すなわち、各金型部材は、それぞれに対応して設けられ、かつ、容器1に向けて前後動するスライダーの先端部に取り付けられている。それらの各スライダーは、外周面がテーパ状に形成されて、容器1もしくはこれを嵌合させているマンドレルと同一軸線上に配置されたロータの外周面にガイド部材を介して取り付けられている。このロータのテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材はロータの外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材はロータのテーパ角度に沿ってスライダーを案内するように構成されている。そして、ロータの中心軸線は、下端カール成形金型32の中心軸線と一致するように構成されており、また、ロータの中心軸線と前記容器の中心軸とが一致するようにロータと容器との相対位置が決められており、ロータはその中心軸線を中心に回転するように構成されている。
【0039】
そのため、下端カール成形金型32の中心軸線と容器の中心軸とを位置合わせした状態で、下端カール成形金型32を周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、分割された金型部材を中心軸線方向上方かつ半径方向外方(斜め上方)に向かって押し込むことにより、複数の分割された金型部材を同時に容器1の下部開口端1cに当接させてカール成形するようになっている。なお、下部開口端1cのカール成形を行っている間、容器1をマンドレルに嵌合させている状態で、容器胴部1aの外面をクランパーにより押さえることにより、容器1の回転を防止する押さえとして機能させている。
【0040】
図7は、下端カール成形金型32を容器1の下部開口端1cに接触するまで容器1に接近もしくは上昇させた状態を示しており、また図8はその下端カール成形金型32を更に前進もしくは上昇させて下部開口端1c側に押し込んだ状態を示しており、その過程で、先ず、下部開口端1cが下端カール成形金型32における成形溝部33の外周壁34に当接する。その状態から下端カール成形金型32を更に前進もしくは上昇させることにより、下部開口端1cが下端カール成形金型32における成形溝部33の外周壁34から湾曲面36を経て内周壁35に接触位置を変えつつ折り返されるように変形させられる。その結果、底板31における脚部31bが下部開口端1cに挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0041】
本発明において容器1の下部開口端1cをカール成形する装置および方法は、前述した上部開口端1bをカール成形する場合と同様に、ローラを使用したものとすることができる。その例を図9および図10に示してある。これらの図に示す下端カール成形金型40は、容器1の下部開口端1cの下方に下端カール成形金型40の中心軸線Aと容器1の中心軸とが一致するように配置されている。下端カール成形金型40は、自転可能な円板状の各金型部材40Aを、下端カール成形金型40の中心軸線Aから同一半径上でかつ下部開口端1cに沿うように周方向に間隔をおいて4〜12個の範囲で複数個有している。なお、これらの各金型部材40Aの自転中心は、前述した容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して垂直な軸線である。各金型部材40Aは、下端カール成形金型40の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されており、さらに下端カール成形金型40の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。各金型部材40Aの周縁部には、容器1の下部開口端1cと当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部41が形成されており、この成形溝部41は、図7および図8に示す例と同様に、中心軸線Aに対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも大きく傾斜した外周壁42と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する内周壁43と、外周壁42と内周壁43とを接続する縦断面円弧状の湾曲面44とを有している。
【0042】
なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部41における外周壁42の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。また、各金型部材40Aの自転軸Bは容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して直交するように設定されている。なお、下端カール成形金型40を上記のようにローラ構造とした場合であっても、これは底板31の脚部31bを挟み込むように二つ折りするためのものであるから、前述した上部開口端1bをカール成形するためのカール成形金型15における下部成形金型20に対応する金型は下端カール成形金型40には設けられていない。
【0043】
下端カール成形金型40はその互いに分割された金型部材40Aが、容器胴部1aを構成しているテーパ面の母線角度に沿って容器胴部1a側に移動することにより、その下部開口端1cをカール成形するように構成され、そのように金型部材40Aを移動させる機構は、特には図示しないが、前述した図5に示す構成に準じた構成とされている。すなわち、互いに分割された各金型部材40Aは、下端カール成形金型40の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。これらの各金型部材40Aは、カール成形を施すべき開口端の曲率とほぼ等しい曲率の円弧状をなし、それぞれの先端部(容器1側の端部)に前記成形溝部41が形成されている。これらの各金型部材40Aは、容器1に向けて前後動するスライダーの先端部に取り付けられている。したがって、スライダーは各金型部材40A毎に設けられている。
【0044】
そして、各スライダーは、外周面がテーパ状に形成されたロータの外周面にガイド部材を介して取り付けられている。このロータのテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材はロータの外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材はロータのテーパ角度に沿ってスライダーを案内するように構成されている。そして、ロータの中心軸線は、カール成形金型40の中心軸線Aと一致するように構成されており、また、ロータの中心軸線と前記容器1の中心軸とが一致するようにロータと容器1との相対位置が決められており、ロータはその中心軸線Aを中心に回転するように構成されている。
【0045】
そのため、カール成形金型40の中心軸線Aと容器の中心軸とを位置合わせした状態で、各金型部材40Aを周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、各金型部材40Aをカール成形金型40(容器1)の中心軸線A方向上方かつ半径方向外方(斜め上方)に向かって押し込むことにより、カール成形金型40を容器1の下部開口端1cに当接させてカール成形するようになっている。
【0046】
図9は、下端カール成形金型40を容器1の下部開口端1cに接触するまで容器1に接近もしくは上昇させた状態を示しており、また図10はその下端カール成形金型40を更に前進もしくは上昇されて下部開口端1c側に押し込んだ状態を示しており、その過程で先ず、容器1の下部開口端1cが各金型部材40Aにおける成形溝部41の外周壁42に当接し、そこから更にカール成形金型40を斜め上方に上昇させると、下部開口端1cが各金型部材40Aの成形溝部41における外周壁42から湾曲面44を経て内周壁43に接触位置を変えつつ折り返されるように変形させられる。なお、この時、各金型部材40Aは、容器1の下部開口端1cとの摩擦力により、各金型部材40Aの自転軸Bを中心に自転している。その結果、底板31における脚部31bが下部開口端1cに挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0047】
なおここで、前述した底板31を容器胴部1aに接着する工程を簡単に説明すると、それぞれの素材の表面にラミネートされている合成樹脂フィルムを接着剤として機能させるために、底板31における脚部31bを加熱する。図11はその工程を説明するためのものであって底板31を下端側の部分に嵌合させた容器胴部1aをマンドレル50で保持し、その底部側からホットエアノズル51が挿入される。そのホットエアノズル51は、容器胴部1aの下端開口径より小さい径の円盤状の部材があって、その外周面に多数のエア噴出口が形成され、ここから所定の温度に加熱されたエアが噴射されるように構成されている。そのホットエアノズル51は容器胴部1aに嵌合させられた前記脚部31bの内周側に挿入され、その状態でホットエアを噴射することにより、前記脚部31bやその周辺部分が加熱昇温される。
【0048】
ついで、前述した図7および図8に示すようにして、もしくは図9および図10に示すようにして下部開口端1cがカール成形され、加熱昇温された脚部31bが、折り返された下部開口端1cによって挟み込まれる。
【0049】
このカール成形部分の内周側に円形状金型すなわち圧着ローラ52を挿入し、図12に示すように、その圧着ローラ52を容器1に対して偏芯させることにより、カール成形された箇所に押し付け、その状態で圧着ローラ52をカール成形された箇所の内周面に沿って転がすように回転させることにより、カール成形された箇所の全周を圧着する。すなわち、カール成形された箇所を完全に二つ折りし、底板31における脚部31bをカール成形した下部開口端1cによって挟み込んで固定する。
【0050】
このような本発明のカール成形方法およびカール成形装置によれば、カール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40を容器1の容器胴部1aのテーパ方向に沿うように押し込むので、容器1の中心軸に対して胴部の傾斜角度が大きい容器をカール成形する場合であっても、容器1の上部開口端1bあるいは下部開口端1cの外径に合わせてカール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40の成形部分の外径を小さくあるいは大きくすることができる。そのため、容器1の上部開口端1bとカール成形金型3,15との接触位置、あるいは下部開口端1cと下端カール成形金型32,40との接触位置を一定に保つことができると共に、カール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40の押し込みにより上部開口端1bあるいは下部開口端1cに加えられる荷重が胴部1bのテーパ方向に沿って負荷されるため、カール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40の押し込み時の荷重により容器胴部1aに座屈が生じることを抑制することができる。
【0051】
また、第1実施例のカール成形方法およびカール成形装置によれば、カール成形金型3が、容器1の上部開口端1bに沿って周方向に隙間が形成されるように分割されており、分割された各金型部材3Aが、カール成形金型3の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されると共に、カール成形金型3の中心軸線Aを中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、分割された各金型部材3Aにより上部開口端1bの複数の箇所を同時にカール成形できるため、上部開口端1bを全周で均一にカール成形することができる。このような作用・効果は、図7および図8に示す下部開口端1cをカール成形する例においても同様に得ることができる。
【0052】
さらに、第2実施例のカール成形方法およびカール成形装置によれば、カール成形金型15が、自転可能な各金型部材15Aとなっており、各金型部材15Aは、カール成形金型15の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されると共に、カール成形金型15の中心軸線Aを中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、上部開口端1bと各金型部材15Aとが当接した際に、各金型部材15Aは上部開口端1bとの間の摩擦力により回転させられる(または自転する)ため、各金型部材15Aと上部開口端1bとの間の摩擦は主として転がり摩擦となり、両者の摩擦力は通常の滑り摩擦の場合よりも大幅に低減される。その結果、上部開口端1bとカール成形金型15とが過度に擦れてカール部の表面品位を低下させることを防止することができる。このような作用・効果は、図7および図8に示す下部開口端1cをカール成形する例においても同様に得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…容器、 1a…容器胴部、 1b…上部開口端、 1c…下部開口端、 2…カール成形装置、 3,15…カール成形金型、 4,20…下部成形金型、 4a…側壁面、 5,16,33,41…成形溝部、 6,16,35,43…内周壁、 7,18,34,42…外周壁、 8,9,19,36,44…湾曲面、 10…スライダー、 11…ロータ、 12…ガイド部材、,32,40…下端カール成形金型、 A…中心軸線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパ付き容器を構成する胴部における上端側や下端側の開口端にカーリングを施すカール成形方法およびカール成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙製のカップ状容器において、容器の開口縁や下側の端縁を丸めてカール成形したものが使用されている。このような容器における上側の開口端のカール成形方法として、特許文献1には、シート状ブランクをほぼ筒状に加工し底板と組合せて接着剤で接着することにより筒状容器を形成し、この筒状容器の開口縁をカール処理するカール処理方法において、筒状容器の開口縁をカール処理する環状溝を有するカール用金型をカール処理に先行して予熱しておき、この予熱したカール用金型の環状溝を前記筒状容器の開口縁に押圧する筒状容器のカール処理方法およびカール処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−96408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなカール処理方法およびカール処理装置では、容器の胴部の傾斜角度にかかわらず容器軸線方向(垂直方向)にカール用金型を押し下げているので、容器中心軸線に対して胴部の傾斜角度が大きい場合には、カール用金型を押し下げた際の容器の半径方向におけるカール用金型の位置とカーリング作用を受けている開口端の半径方向での位置との差、すなわちカール成形前の容器開口縁の上端の外径とカール成形後の容器開口縁の上端の外径との差が大きくなる。そのため、カール成形初期段階でのカール用金型に対する容器の開口端部の当接位置と、カール成形終了段階でのカール用金型に対する容器の開口端部の当接位置とのズレが大きくなってしまい、これが原因となってカール成形不良が生じたり、カール用金型による容器開口端部への垂直方向荷重により容器胴部に座屈が生じたりする虞がある。
【0005】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、容器中心軸線に対して胴部の傾斜角度が大きい容器であっても、その胴部の上端縁や下端縁を確実にカール成形することができるテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形方法において、前記カール成形金型を前記容器の胴部のテーパ方向に沿うように押し込んで前記開口端に前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛けることにより前記開口端をカール成形することを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割された複数の金型部材によって前記カール成形金型を構成し、それらの金型部材を前記開口端に対して押し込むのに従って前記金型部材同士を前記容器の円周方向に離隔もしくは接近させつつ前記容器の半径方向に移動させることにより前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛け、かつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記複数の金型部材のそれぞれを、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転するロール部材によって構成し、前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って各ロール部材を自転させることを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明は、容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形装置において、前記カール成形金型は、成形するべきカールの外形形状に倣った凹曲面を備え、その凹曲面が前記容器の胴部のテーパ方向に沿って前後動させるスライダーに前記カール成形金型が保持されていることを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記カール成形金型は、前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割されかつ先端部に前記凹曲面がそれぞれ形成された複数の金型部材を備え、前記スライダーは、各金型部材毎に設けられ、前記複数の金型部材およびそれらの金型部材を保持している各スライダー部材が前記カール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記複数の金型部材のそれぞれは、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転可能に保持されかつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って自転するロール部材によって構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項4の発明によれば、カール成形金型を容器の胴部のテーパ方向に沿うように押し込むことにより、容器中心軸線に対して胴部の傾斜角度が大きい容器をカール成形する場合であっても、容器の開口端の外径に合わせてカール成形金型の成形部分の外径を小さくし、あるいは大きくすることができるため、容器の上下いずれかの開口端とカール成形金型との当接位置を一定に保つことができると共に、カール成形金型の押し込みにより容器の上下いずれかの開口端に加えられる荷重が胴部のテーパ方向に沿って負荷されるため、カール成形金型の押し込み時の荷重により容器胴部に座屈が生じることを回避または抑制することができる。
【0013】
請求項2および請求項5の発明によれば、カール成形金型が、容器の上下いずれかの開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割されており、分割された各金型部材が、カール成形金型の中心軸線方向及び半径方向に移動可能に構成されているから、カール成形する開口端に対して、胴部のテーパ方向に荷重を掛けることができ、またカール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、分割された各金型部材により容器の上下いずれかの開口端の複数の箇所を同時にカール成形できるため、容器の上下いずれかの開口端を全周で均一にカール成形することができる。
【0014】
請求項3および請求項6の発明によれば、カール成形金型が、自転可能なロール部材となっており、ロール部材は、カール成形金型の中心軸線方向及び半径方向に移動可能に構成されると共に、カール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、容器の上下いずれかの開口端とロール部材とが当接した際に、ロール部材は容器の上下いずれかの開口端との間の摩擦力により回転させられる(または自転する)ため、両者の間の摩擦は主として転がり摩擦となり、通常の滑り摩擦に比べて摩擦力が大幅に小さくなる結果、ロール部材と容器の上下いずれかの開口端との間の摩擦力を大幅に低減することができる。その結果、容器の上下いずれかの開口端とカール成形金型とが過度に擦れてカール部の表面品位を低下させることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a),(b)は、本発明の第1実施例のテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を具体的に示す概略図である。
【図2】この発明の第1実施例のカール成形装置を具体的に示す概略断面図である。
【図3】図2におけるE−E断面図である。
【図4】(a),(b)は、第2実施例のカール成形方法およびカール成形装置を具体的に示す概略構成図である。
【図5】この発明の第2実施例のカール成形装置を具体的に示す概略断面図である。
【図6】図5におけるE−E断面図である。
【図7】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の例を示す概略断面図であって、カール成形開始直前の状態を示す図である。
【図8】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の例を示す概略断面図であって、カール成形がほぼ終了した状態を示す図である。
【図9】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の他の例を示す概略断面図であって、カール成形開始直前の状態を示す図である。
【図10】下部開口端をカール成形する本発明に係る装置の他の例を示す概略断面図であって、カール成形がほぼ終了した状態を示す図である。
【図11】容器胴部に嵌合させられた底板における脚部をホットエアノズルによって加熱する状態を説明するための図である。
【図12】カール成形された箇所を圧着している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態について説明する。図1(a)、(b)は、本発明の第1実施例のテーパ付き容器のカール成形方法およびカール成形装置を具体的に示す概略図である。本発明で対象とするテーパ付き容器1は、紙基材の両面に合成樹脂製被膜を積層したシート状ブランクの直線状の側端部を重ね合わせて円筒状に加工し、下部の外径に比べて上部の外径が大きくなるようなテーパ状に筒状胴部を形成し、筒状胴部の下端側の開口部に底板を接着したものである。具体的な容器胴部1aのテーパ形状における母線角度は、容器1の中心軸に対して5°〜45°の範囲で傾斜したものが使用でき、特に傾斜角度が比較的大きい10°〜45°の範囲で傾斜したものが好適に使用できる。図1ないし図5に示す例は、このような胴部がテーパ状の容器1の上端側の開口端1bを外側に折り返し丸めてカール部を成形する方法および装置である。
【0017】
そのカール成形装置2は、テーパ付き容器の上部開口端1bを折り返し、カール部の上面側を成形するカール成形金型3と、カール成形金型3により折り返された上部開口端1bを更に折り返してカール部の下面側を成形する下部成形金型4とを有している。
【0018】
そして、本発明のカール成形方法およびカール成形装置の第1の実施例では、カール成形金型3は、容器1の上部開口端1bの上方(あるいは先端側)にカール成形金型3の中心軸線Aと容器1の中心軸とが一致するように配置される。カール成形金型3は、容器1の上部開口端1bに沿って周方向に隙間が形成されるように4〜12個の範囲で分割されており、分割された各金型部材が、カール成形金型3の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。さらにカール成形金型3の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。分割された各金型部材の下面側には、容器1の上部開口端1bの形状に対応するように配置され、容器1の上部開口端1bと当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部5が形成されている。この成形溝部5は、中心軸線Aに対する容器胴部1aを形成している円錐面の母線の傾斜角度(母線角度)よりも大きく傾斜した内周壁6と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する外周壁7と、内周壁6と外周壁7とを接続する縦断面円弧状の湾曲面8とを有している。この湾曲面8が本発明における凹曲面に相当している。なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部5の内周壁6の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。
【0019】
また、下部成形金型4は、容器1の上部開口端1bの下方かつ容器胴部1aの外方に、容器の外周を全周的に囲むように環状に配置され、カール成形金型3の成形溝部5と対向するように、上面にカール部の成形面となる縦断面円弧状の湾曲面9が形成され、内周側の側壁面4aは、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)に沿うような傾斜面に形成されている。
【0020】
図2および図2のE−E断面図である図3に示すように第1実施例のカール成形方法およびカール成形装置では、カール成形金型3が周方向に均等に分割されており、その分割された金型部材3Aが、カール成形金型3の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。すなわち、各金型部材3Aは、カール成形を施すべき開口端の曲率とほぼ等しい曲率の円弧状をなし、それぞれの先端部(容器1側の端部)に前記成形溝部5が形成されている。これらの各金型部材3Aは、容器1に向けて前後動するスライダー10の先端部に取り付けられている。したがって、スライダー10は各金型部材3A毎に設けられている。
【0021】
そして、各スライダー10は、外周面がテーパ状に形成されたロータ11の外周面にガイド部材12を介して取り付けられている。このロータ11のテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材12はロータ11の外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材12はロータ11のテーパ角度に沿ってスライダー10を案内するように構成されている。そして、ロータ11の中心軸線は、カール成形金型3の中心軸線Aと一致するように構成されており、また、ロータ11の中心軸線と前記容器1の中心軸とが一致するようにロータ11と容器1との相対位置が決められており、ロータ11はその中心軸線Aを中心に回転するように構成されている。
【0022】
そのため、カール成形金型3の中心軸線Aと容器1の中心軸とを位置合わせした状態で、カール成形金型3を周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、分割された金型部材を中心軸線A方向下方かつ半径方向内方(斜め下方)に向かって押し込むことにより、複数の分割された金型を同時に容器1の上部開口端1bに当接させてカール成形するようになっている。カール成形装置のロータ11の内部に容器1の内部に向けて前後動(上下動)するシャフト13が設けられており、その先端に保持部材14が取り付けられている。そして、この保持部材14はカール成形時に容器1の内部に挿入され、容器内面に接触し、容器1の回転を防止する押さえとして機能する。
【0023】
詳細には、図1に示すように、初めに容器1の上部開口端1bがカール成形金型3の成形溝部5の内周壁6に当接し、そこから更にカール成形金型3を斜め下方に下降させることで、上部開口端1bがカール成形金型3の成形溝部5の内周壁6から湾曲面8を経て外周壁7へと接触しつつ折り返されるように変形させられる。
【0024】
次に、折り返された上部開口端1bが、下部成形金型4の上面に形成された湾曲面9の外周部から内周部に沿うように当接することで、上部開口端1bが容器半径方向内方かつ上方に折り曲げられ、最終的には、カール成形金型3と下部成形金型4とによって上部開口端1bが挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0025】
次に図4(a)、(b)に示す本発明のカール成形方法およびカール成形装置の第2の実施例を説明すると、第2の実施例では、カール成形金型15は、容器1の上部開口端1bの上方にカール成形金型15の中心軸線Aと容器1の中心軸とが一致するように配置されている。カール成形金型15は、自転可能な円板状の各金型部材15Aを、カール成形金型15の中心軸線Aから同一半径上でかつ上部開口端1bに沿うように周方向に間隔をおいて4〜12個の範囲で複数個有している。なお、これらの各金型部材15Aの自転中心は、前述した容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して垂直な軸線である。各金型部材15Aは、カール成形金型15の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されており、さらにカール成形金型15の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。各金型部材15Aの周縁部には、容器1の上部開口端1bと当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部16が形成されており、この成形溝部16は、第1実施例と同様に、中心軸線Aに対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも大きく傾斜した内周壁17と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する外周壁18と、内周壁17と外周壁18とを接続する縦断面円弧状の湾曲面19とを有している。
【0026】
なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部16の内周壁17の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。また、各金型部材15Aの自転軸Bは容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して直交するように設定されている。
【0027】
また、下部成形金型20は、カール成形金型15と同様に、自転可能な円板状の下部ロール部材20aを、カール成形金型15の中心軸線Aからほぼ同一半径上で容器1の上部開口端1bの下方かつ容器胴部1aの外方にカール成形金型15の各金型部材15Aと対向するように間隔をおいて4〜12個の範囲で複数個有している。下部成形金型20の中心軸線は、カール成形金型15の中心軸線Aと一致するように構成されており、下部ロール部材20aは、カール成形金型15の中心軸線Aを中心としてカール成形金型15と同期して周方向に回転(公転)可能に構成されている。円板状の下部ロール部材20aは、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)に沿うように傾斜して配置されており、下部ロール部材20aの自転軸Cは容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して直交するように設定されている。下部ロール部材20aの周縁部には、カール部の成形面となる縦断面円弧状の湾曲面21が形成され、下部ロール部材20aの円板状壁面は容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向と平行に延在するように形成されている。
【0028】
なお、下部成形金型20は、上記のような形状に限定されず、第1実施例と同様な構造でも良い。
【0029】
第2の実施例におけるカール成形装置においても、前述した第1の実施例におけるカール成形金型3と同様に、カール成形金型15は、複数に分割され、かつ分割されたそれぞれが前述した容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に前後動(上下動)するように構成されている。
【0030】
図5および図5のE−E断面図である図6に示すように、第2実施例のカール成形方法およびカール成形装置では、カール成形金型15が分割されており、その分割された各金型部材15Aが、カール成形金型15の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。すなわち、各金型部材15Aは、カール成形を施すべき開口端の曲率とほぼ等しい曲率の円弧状をなし、それぞれの先端部(容器1側の端部)に前記成形溝部16が形成されている。これらの各金型部材15Aは、容器1に向けて前後動するスライダー10の先端部に取り付けられている。したがって、スライダー10は各金型部材15A毎に設けられている。
【0031】
そして、各スライダー10は、外周面がテーパ状に形成されたロータ11の外周面にガイド部材12を介して取り付けられている。このロータ11のテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材12はロータ11の外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材12はロータ11のテーパ角度に沿ってスライダー10を案内するように構成されている。そして、ロータ11の中心軸線は、カール成形金型15の中心軸線Aと一致するように構成されており、また、ロータ11の中心軸線と前記容器1の中心軸とが一致するようにロータ11と容器1との相対位置が決められており、ロータ11はその中心軸線Aを中心に回転するように構成されている。
【0032】
そのため、カール成形金型15の中心軸線Aと容器の中心軸とを位置合わせした状態で、各金型部材15Aを周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、各金型部材15Aをカール成形金型15(容器1)の中心軸線A方向下方かつ半径方向内方(斜め下方)に向かって押し込むことにより、カール成形金型15を容器1の上部開口端1bに当接させてカール成形している。
【0033】
詳細には、図4に示すように、初めに容器1の上部開口端1bが各金型部材15Aの成形溝部16の内周壁17に当接し、そこから更にカール成形金型15を斜め下方に下降させることで、上部開口端1bが各金型部材15Aの成形溝部16の内周壁17から湾曲面19を経て外周壁18へと当接しつつ折り返されるように変形させられる。なお、この時、各金型部材15Aは、容器1の上部開口端1bとの摩擦力により、各金型部材15Aの自転軸Bを中心に自転している。次いで、折り返された上部開口端1bが、下部成形金型20の下部ロール部材20aに形成された湾曲面21の外周部22から内周部23に沿うように当接させられることで、上部開口端1bが容器半径方向内方かつ上方に折り曲げられ、最終的には、金型部材15Aと下部ロール部材20aとによって上部開口端部1bが挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0034】
なお、第1実施例と第2実施例では、容器胴部1aのテーパ形状が上部から下部に至るにつれて外径が小さくなるような容器に対してカール成形を施す方法について詳述したが、本発明は、容器胴部1aの開口部付近が上部開口端1bから下方に至るにつれて外径が大きくなるように設定されたテーパ付き胴部を有する容器1に対してカール成形を施す場合においても適用可能なものであり、この場合は、分割された金型部材やロール部材をカール成形金型3,15(容器1)の中心軸線A方向下方かつ半径方向外方に移動させることにより、カール成形金型3,15を容器1の上部開口端1bに当接させてカール成形することができる。
【0035】
また、第1実施例と第2実施例では、容器1の上部開口端1bを外側に折り返し丸めてカール部を成形しているが、本発明は、上部開口端1bをカール成形金型3,15の成形溝部5,16の外周壁7,18から湾曲面8,19を経て内周面6,17へと接触させつつ内側に折り返し丸めてカール部を成形する場合においても適用可能なものであり、さらに、容器1の容器胴部1aの上端側の開口端1bをカール成形する場合だけでなく、容器1の容器胴部1aの下端側の端部をカール成形する場合においても適用可能なものである。
【0036】
容器胴部1aの下部開口端1cをカール成形する方法および装置の例を以下に説明する。図7は、底板31が取り付けられた容器胴部1aの下部開口端1cをカール成形する例を示しており、その底板31は容器胴部1aの底部側の内径とほぼ同じ外径の底壁部31aと、その底壁部31aの外周部を下方へ折り曲げて筒状に形成された脚部31bとを備えており、その脚部31bを下側に向けた状態で、上部開口端1b側から容器胴部1aの内部に挿入され、容器胴部1aの内周面と脚部31bの外周面とが接合されている。脚部31bの容器胴部1aに対する接着は、その素材であるシート状ブランクにラミネートされている合成樹脂被膜を熱融着させることにより行ってもよく、あるいは接着剤によって行ってもよい。また、底板31は、その脚部31bの下端が、容器胴部1aにおける下部開口端1cから脚部31bの高さ程度、上側に位置するように容器胴部1aの底部側に接合されている。したがって、容器胴部1aの下端部は、底板31の脚部31bより下側に延びている。
【0037】
その下部開口端1cをカール成形する下端カール成形金型32が設けられており、この下端カール成形金型32は、前述した上部開口端1bをカール成形するためのカール成形金型3を上下反転させた構成と同様に構成されている。すなわち、これらの下端成形金型32は、容器1の下部開口端1cに沿って周方向に隙間が形成されるように4〜12個の範囲で分割されており、分割された各金型部材が、下端カール成形金型32の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。さらに下端カール成形金型32の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。分割された各金型部材の上面側には、容器1の下部開口端1cの形状に対応するように配置され、容器1の下部開口端1cに当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部33が形成されている。この成形溝部33は、中心軸線Aに対する容器胴部1aを形成している円錐面の母線の傾斜角度(母線角度)よりも大きく傾斜した外周壁34と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する内周壁35と、外周壁34と内周壁35とを接続する縦断面円弧状の湾曲面36とを有している。この湾曲面36が本発明における凹曲面に相当している。なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部33の外周壁34の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。なお、下端カール成形金型32は、容器1の下部開口端1cを内周側に湾曲させた後に、底板31の脚部31bを挟み込むように二つ折りするためのものであるから、前述した上部開口端1bをカール成形するためのカール成形金型3における下部成形金型4に対応する金型は下端カール成形金型32には設けられていない。
【0038】
下端カール成形金型32はその互いに分割された金型部材が、容器胴部1aを構成しているテーパ面の母線角度に沿って容器胴部1a側に移動することにより、その下部開口端1cをカール成形するように構成され、そのように金型部材を移動させる機構は、特には図示しないが、前述した図2に示す構成に準じた構成とされている。すなわち、各金型部材は、それぞれに対応して設けられ、かつ、容器1に向けて前後動するスライダーの先端部に取り付けられている。それらの各スライダーは、外周面がテーパ状に形成されて、容器1もしくはこれを嵌合させているマンドレルと同一軸線上に配置されたロータの外周面にガイド部材を介して取り付けられている。このロータのテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材はロータの外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材はロータのテーパ角度に沿ってスライダーを案内するように構成されている。そして、ロータの中心軸線は、下端カール成形金型32の中心軸線と一致するように構成されており、また、ロータの中心軸線と前記容器の中心軸とが一致するようにロータと容器との相対位置が決められており、ロータはその中心軸線を中心に回転するように構成されている。
【0039】
そのため、下端カール成形金型32の中心軸線と容器の中心軸とを位置合わせした状態で、下端カール成形金型32を周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、分割された金型部材を中心軸線方向上方かつ半径方向外方(斜め上方)に向かって押し込むことにより、複数の分割された金型部材を同時に容器1の下部開口端1cに当接させてカール成形するようになっている。なお、下部開口端1cのカール成形を行っている間、容器1をマンドレルに嵌合させている状態で、容器胴部1aの外面をクランパーにより押さえることにより、容器1の回転を防止する押さえとして機能させている。
【0040】
図7は、下端カール成形金型32を容器1の下部開口端1cに接触するまで容器1に接近もしくは上昇させた状態を示しており、また図8はその下端カール成形金型32を更に前進もしくは上昇させて下部開口端1c側に押し込んだ状態を示しており、その過程で、先ず、下部開口端1cが下端カール成形金型32における成形溝部33の外周壁34に当接する。その状態から下端カール成形金型32を更に前進もしくは上昇させることにより、下部開口端1cが下端カール成形金型32における成形溝部33の外周壁34から湾曲面36を経て内周壁35に接触位置を変えつつ折り返されるように変形させられる。その結果、底板31における脚部31bが下部開口端1cに挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0041】
本発明において容器1の下部開口端1cをカール成形する装置および方法は、前述した上部開口端1bをカール成形する場合と同様に、ローラを使用したものとすることができる。その例を図9および図10に示してある。これらの図に示す下端カール成形金型40は、容器1の下部開口端1cの下方に下端カール成形金型40の中心軸線Aと容器1の中心軸とが一致するように配置されている。下端カール成形金型40は、自転可能な円板状の各金型部材40Aを、下端カール成形金型40の中心軸線Aから同一半径上でかつ下部開口端1cに沿うように周方向に間隔をおいて4〜12個の範囲で複数個有している。なお、これらの各金型部材40Aの自転中心は、前述した容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して垂直な軸線である。各金型部材40Aは、下端カール成形金型40の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されており、さらに下端カール成形金型40の中心軸線Aを中心として周方向に回転(公転)可能に構成されている。各金型部材40Aの周縁部には、容器1の下部開口端1cと当接させてカール成形するための縦断面U字状の成形溝部41が形成されており、この成形溝部41は、図7および図8に示す例と同様に、中心軸線Aに対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも大きく傾斜した外周壁42と、中心軸線Aとほぼ平行に延在する内周壁43と、外周壁42と内周壁43とを接続する縦断面円弧状の湾曲面44とを有している。
【0042】
なお、本実施例では、中心軸線A(容器1の中心軸)に対する容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)が11°に設定されているのに対して、中心軸線Aに対する成形溝部41における外周壁42の傾斜角度は、容器胴部1aの傾斜角度(テーパ母線角度)よりも1〜15°の角度範囲で大きく設定されている。また、各金型部材40Aの自転軸Bは容器胴部1aを形成している円錐面における母線の傾斜方向に対して直交するように設定されている。なお、下端カール成形金型40を上記のようにローラ構造とした場合であっても、これは底板31の脚部31bを挟み込むように二つ折りするためのものであるから、前述した上部開口端1bをカール成形するためのカール成形金型15における下部成形金型20に対応する金型は下端カール成形金型40には設けられていない。
【0043】
下端カール成形金型40はその互いに分割された金型部材40Aが、容器胴部1aを構成しているテーパ面の母線角度に沿って容器胴部1a側に移動することにより、その下部開口端1cをカール成形するように構成され、そのように金型部材40Aを移動させる機構は、特には図示しないが、前述した図5に示す構成に準じた構成とされている。すなわち、互いに分割された各金型部材40Aは、下端カール成形金型40の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されている。これらの各金型部材40Aは、カール成形を施すべき開口端の曲率とほぼ等しい曲率の円弧状をなし、それぞれの先端部(容器1側の端部)に前記成形溝部41が形成されている。これらの各金型部材40Aは、容器1に向けて前後動するスライダーの先端部に取り付けられている。したがって、スライダーは各金型部材40A毎に設けられている。
【0044】
そして、各スライダーは、外周面がテーパ状に形成されたロータの外周面にガイド部材を介して取り付けられている。このロータのテーパ角度は、カール成形を施すべき容器1を構成している胴部1aのテーパ角度と同じ角度、もしくは近似した角度になっている。またガイド部材はロータの外周面における母線に沿って取り付けられており、したがってガイド部材はロータのテーパ角度に沿ってスライダーを案内するように構成されている。そして、ロータの中心軸線は、カール成形金型40の中心軸線Aと一致するように構成されており、また、ロータの中心軸線と前記容器1の中心軸とが一致するようにロータと容器1との相対位置が決められており、ロータはその中心軸線Aを中心に回転するように構成されている。
【0045】
そのため、カール成形金型40の中心軸線Aと容器の中心軸とを位置合わせした状態で、各金型部材40Aを周方向に回転させながら、容器胴部1aのテーパ方向に沿うように、各金型部材40Aをカール成形金型40(容器1)の中心軸線A方向上方かつ半径方向外方(斜め上方)に向かって押し込むことにより、カール成形金型40を容器1の下部開口端1cに当接させてカール成形するようになっている。
【0046】
図9は、下端カール成形金型40を容器1の下部開口端1cに接触するまで容器1に接近もしくは上昇させた状態を示しており、また図10はその下端カール成形金型40を更に前進もしくは上昇されて下部開口端1c側に押し込んだ状態を示しており、その過程で先ず、容器1の下部開口端1cが各金型部材40Aにおける成形溝部41の外周壁42に当接し、そこから更にカール成形金型40を斜め上方に上昇させると、下部開口端1cが各金型部材40Aの成形溝部41における外周壁42から湾曲面44を経て内周壁43に接触位置を変えつつ折り返されるように変形させられる。なお、この時、各金型部材40Aは、容器1の下部開口端1cとの摩擦力により、各金型部材40Aの自転軸Bを中心に自転している。その結果、底板31における脚部31bが下部開口端1cに挟み込まれるようにしてカール成形が行われる。
【0047】
なおここで、前述した底板31を容器胴部1aに接着する工程を簡単に説明すると、それぞれの素材の表面にラミネートされている合成樹脂フィルムを接着剤として機能させるために、底板31における脚部31bを加熱する。図11はその工程を説明するためのものであって底板31を下端側の部分に嵌合させた容器胴部1aをマンドレル50で保持し、その底部側からホットエアノズル51が挿入される。そのホットエアノズル51は、容器胴部1aの下端開口径より小さい径の円盤状の部材があって、その外周面に多数のエア噴出口が形成され、ここから所定の温度に加熱されたエアが噴射されるように構成されている。そのホットエアノズル51は容器胴部1aに嵌合させられた前記脚部31bの内周側に挿入され、その状態でホットエアを噴射することにより、前記脚部31bやその周辺部分が加熱昇温される。
【0048】
ついで、前述した図7および図8に示すようにして、もしくは図9および図10に示すようにして下部開口端1cがカール成形され、加熱昇温された脚部31bが、折り返された下部開口端1cによって挟み込まれる。
【0049】
このカール成形部分の内周側に円形状金型すなわち圧着ローラ52を挿入し、図12に示すように、その圧着ローラ52を容器1に対して偏芯させることにより、カール成形された箇所に押し付け、その状態で圧着ローラ52をカール成形された箇所の内周面に沿って転がすように回転させることにより、カール成形された箇所の全周を圧着する。すなわち、カール成形された箇所を完全に二つ折りし、底板31における脚部31bをカール成形した下部開口端1cによって挟み込んで固定する。
【0050】
このような本発明のカール成形方法およびカール成形装置によれば、カール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40を容器1の容器胴部1aのテーパ方向に沿うように押し込むので、容器1の中心軸に対して胴部の傾斜角度が大きい容器をカール成形する場合であっても、容器1の上部開口端1bあるいは下部開口端1cの外径に合わせてカール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40の成形部分の外径を小さくあるいは大きくすることができる。そのため、容器1の上部開口端1bとカール成形金型3,15との接触位置、あるいは下部開口端1cと下端カール成形金型32,40との接触位置を一定に保つことができると共に、カール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40の押し込みにより上部開口端1bあるいは下部開口端1cに加えられる荷重が胴部1bのテーパ方向に沿って負荷されるため、カール成形金型3,15もしくは下端カール成形金型32,40の押し込み時の荷重により容器胴部1aに座屈が生じることを抑制することができる。
【0051】
また、第1実施例のカール成形方法およびカール成形装置によれば、カール成形金型3が、容器1の上部開口端1bに沿って周方向に隙間が形成されるように分割されており、分割された各金型部材3Aが、カール成形金型3の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されると共に、カール成形金型3の中心軸線Aを中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、分割された各金型部材3Aにより上部開口端1bの複数の箇所を同時にカール成形できるため、上部開口端1bを全周で均一にカール成形することができる。このような作用・効果は、図7および図8に示す下部開口端1cをカール成形する例においても同様に得ることができる。
【0052】
さらに、第2実施例のカール成形方法およびカール成形装置によれば、カール成形金型15が、自転可能な各金型部材15Aとなっており、各金型部材15Aは、カール成形金型15の中心軸線A方向及び半径方向に移動可能に構成されると共に、カール成形金型15の中心軸線Aを中心として周方向に回転可能に構成されていることにより、上部開口端1bと各金型部材15Aとが当接した際に、各金型部材15Aは上部開口端1bとの間の摩擦力により回転させられる(または自転する)ため、各金型部材15Aと上部開口端1bとの間の摩擦は主として転がり摩擦となり、両者の摩擦力は通常の滑り摩擦の場合よりも大幅に低減される。その結果、上部開口端1bとカール成形金型15とが過度に擦れてカール部の表面品位を低下させることを防止することができる。このような作用・効果は、図7および図8に示す下部開口端1cをカール成形する例においても同様に得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…容器、 1a…容器胴部、 1b…上部開口端、 1c…下部開口端、 2…カール成形装置、 3,15…カール成形金型、 4,20…下部成形金型、 4a…側壁面、 5,16,33,41…成形溝部、 6,16,35,43…内周壁、 7,18,34,42…外周壁、 8,9,19,36,44…湾曲面、 10…スライダー、 11…ロータ、 12…ガイド部材、,32,40…下端カール成形金型、 A…中心軸線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形方法において、
前記カール成形金型を前記容器の胴部のテーパ方向に沿うように押し込んで前記開口端に前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛けることにより前記開口端をカール成形することを特徴とするテーパ付き容器のカール成形方法。
【請求項2】
前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割された複数の金型部材によって前記カール成形金型を構成し、それらの金型部材を前記開口端に対して押し込むのに従って前記金型部材同士を前記容器の円周方向に離隔もしくは接近させつつ前記容器の半径方向に移動させることにより前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛け、かつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載のテーパ付き容器のカール成形方法。
【請求項3】
前記複数の金型部材のそれぞれを、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転するロール部材によって構成し、前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って各ロール部材を自転させることを特徴とする請求項2に記載のテーパ付き容器のカール成形方法。
【請求項4】
容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形装置において、
前記カール成形金型は、成形するべきカールの外形形状に倣った凹曲面を備え、その凹曲面を前記容器の胴部のテーパ方向に沿って前後動させるスライダーに前記カール成形金型が保持されていることを特徴とするテーパ付き容器のカール成形装置。
【請求項5】
前記カール成形金型は、前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割されかつ先端部に前記凹曲面がそれぞれ形成された複数の金型部材を備え、
前記スライダーは、各金型部材毎に設けられ、
前記複数の金型部材およびそれらの金型部材を保持している各スライダー部材が前記カール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のテーパ付き容器のカール成形装置。
【請求項6】
前記複数の金型部材のそれぞれは、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転可能に保持されかつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って自転するロール部材によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載のテーパ付き容器のカール成形装置。
【請求項1】
容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形方法において、
前記カール成形金型を前記容器の胴部のテーパ方向に沿うように押し込んで前記開口端に前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛けることにより前記開口端をカール成形することを特徴とするテーパ付き容器のカール成形方法。
【請求項2】
前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割された複数の金型部材によって前記カール成形金型を構成し、それらの金型部材を前記開口端に対して押し込むのに従って前記金型部材同士を前記容器の円周方向に離隔もしくは接近させつつ前記容器の半径方向に移動させることにより前記胴部のテーパ方向に向けた荷重を掛け、かつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載のテーパ付き容器のカール成形方法。
【請求項3】
前記複数の金型部材のそれぞれを、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転するロール部材によって構成し、前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って各ロール部材を自転させることを特徴とする請求項2に記載のテーパ付き容器のカール成形方法。
【請求項4】
容器中心軸線に対してテーパ状に傾斜した胴部と、前記胴部の下部に設けられる底部とを有する容器の上側と下側との少なくともいずれか一方の開口端にカール成形金型を当接させてカール成形するテーパ付き容器のカール成形装置において、
前記カール成形金型は、成形するべきカールの外形形状に倣った凹曲面を備え、その凹曲面を前記容器の胴部のテーパ方向に沿って前後動させるスライダーに前記カール成形金型が保持されていることを特徴とするテーパ付き容器のカール成形装置。
【請求項5】
前記カール成形金型は、前記容器の開口端に沿って周方向に隙間が形成されるように分割されかつ先端部に前記凹曲面がそれぞれ形成された複数の金型部材を備え、
前記スライダーは、各金型部材毎に設けられ、
前記複数の金型部材およびそれらの金型部材を保持している各スライダー部材が前記カール成形金型の中心軸を中心として周方向に回転可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のテーパ付き容器のカール成形装置。
【請求項6】
前記複数の金型部材のそれぞれは、前記胴部を形成しているテーパ面の母線の方向に対して垂直な軸線を中心に回転可能に保持されかつ前記金型部材を前記開口端の円周方向に回転させることに伴って自転するロール部材によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載のテーパ付き容器のカール成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−221701(P2010−221701A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39425(P2010−39425)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【出願人】(000152930)株式会社日本デキシー (14)
【出願人】(000191180)新日本工機株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【出願人】(000152930)株式会社日本デキシー (14)
【出願人】(000191180)新日本工機株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
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