説明

テープドライブ装置

【課題】テープドライブ装置がフォーマット情報によりテープ媒体識別子を画定できるようにする。
【解決手段】テープドライブ装置100は、装填されたテープ媒体104と該テープドライブ装置との間でデータを転送するデータ転送装置を有する。該データ転送装置にデータ処理装置108が接続されて前記装填されたテープ媒体のフォーマットを行う。該テープ媒体のフォーマットは前記テープ媒体の識別子を使用して行われる。該識別子は、後の参照に備えてフォーマット情報と共にテープ媒体上に書き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に磁気テープ媒体の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数十年にわたり、情報はテープドライブを使用して磁気テープ媒体に記憶されてきた。初期には、磁気テープが初期のフィルムプロジェクタのフィルムのように大型のリールに巻き付けられていた。更に近年になると、磁気テープは通常、カートリッジ又はカセット内に収容され、カートリッジの内部で供給リールから巻き取りリールに延出するようになった。こういったカートリッジ用途では、通常、リーダテープがリールに取り付けられる。次いで、スプライシングテープがリーダを磁気テープに接続し、磁気テープはリールに巻き付く。カートリッジは供給リールのみを備える場合もあれば、供給リール及び巻き取りリールを備える場合もある。
【0003】
システムによっては、磁気テープには長手方向トラック(例えば、テープの主長方向に沿って延在するトラック)が記録されているものがある。またシステムによっては、磁気テープの経路は、テープが、磁気テープ上の螺旋状のストライプ又はトラックを変換するようドラムの周囲に少なくとも部分的に巻き付けられるようなものである。カートリッジによっては、カートリッジがテープドライブ内に装填されると変位し、それによって磁気テープをテープドライブの動作要素(例えば、テープガイド、テープ搬送機構、及び変換要素)に対して露出させる蓋等を有するものがある。またカートリッジによっては、カートリッジがテープドライブ内に装填されるとテープドライブの動作要素が延出して入る窓等が作られているものがある。
【0004】
テープドライブに装填された際にテープ/カートリッジが特定の種類のものであると識別されるいくつかの従来技術による技法が開発されている。
【0005】
米国特許第6,385,001号には、透明の識別窓部を有するテープ媒体が示されている。該識別窓部は、媒体が所定の線速度で搬送される際に媒体又はカートリッジの所定の特徴を提供するよう選定された長さを有するものである。
【0006】
英国公開特許第2266402号には、テープフォーマットを自動的に認識するための少なくとも1つの不透明ストライプがリーダテープ上に配置された透明スプライス又はスプライシングテープを有するテープ媒体が開示されている。テープドライブは、光センサの出力信号を監視することによりテープ媒体のデータ記憶部とリーダテープとの接合部を見つける回路を有する。センサ出力信号の切り替わりが検出されたとき、これは、不透明ストライプが存在すること及びカセットがデータ記憶を意図したものであることを示している。
【0007】
http://www.ecma.chから入手可能な規格ECMA-288(1999年6月)は、その第9章第16節に対応する媒体認識システム(MRS)を示している。この規格によれば、透明なストライプと不透明なストライプが交互になった所定パターンが、テープの物理的な開始部分(すなわちリーダテープが磁気テープに接合する箇所)においてスプライシングテープの全長に沿って存在することになる。不透明ストライプとリーダテープとの組み合わせの光透過率は最大で5%となる。透明ストライプとリーダテープとの組み合わせの光透過率は最小で60%となる。規格ECMA-288の付録Bには、テープの光透過率を測定する測定機器及び測定方法の一般原理が示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、装填されたテープ媒体とテープドライブ装置との間でデータを転送するためのデータ転送装置を備えたテープドライブ装置が提供される。該データ転送装置には、装填されたテープ媒体をフォーマットするためのデータ処理装置が結合される。該データ処理装置は、テープ媒体識別子を使用してテープ媒体をフォーマットする。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、テープドライブ装置は、テープドライブ装置がフォーマット動作を行うたびにカウンタ値を変更するカウンタを有する。例えば、カウンタは、各フォーマット動作毎にインクリメント又はデクリメントされる。データ処理装置は、該カウンタ値を使用してテープ媒体識別子を画定する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、テープドライブ装置は、ベンダID、プロダクトID、及び/又はドライブシリアルナンバー等のテープドライブ識別子(ID)を記憶するための不揮発性メモリを有する。データ処理装置は、かかる1つ又は2つ以上のテープドライブ識別子を使用して一意のテープ媒体識別子を画定する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、テープドライブ装置は、カートリッジ媒体フォーマット情報を読み出すためのリーダを有する。このようなカートリッジ媒体フォーマット情報は、例えば規格ECMA−288で規定されているいわゆる認識穴により符号化することができる。データ処理装置は、該カートリッジ媒体フォーマット情報を使用して、テープ媒体識別子を画定する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、テープドライブ装置は、テープからパターンを読み出すための光リーダを有する。例えば、該パターンは、テープのリーダ部及び/又はトレーラ部に配置されたバーコードである。該バーコードは、テープ媒体の製造業者の識別子、フォーマットの世代を含むテープフォーマット情報、及び/又は他の種類の情報等の様々な種類の情報を保持することができる。該パターンによって保持される情報は復号化されてデータ処理装置に提供される。データ処理装置は該復号化されたパターン情報を使用してテープ媒体識別子を画定する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、テープ媒体をフォーマットすることは、テープ上にフラグメントを画定することにより行われる。デジタルデータストレージ(DDS)テープ媒体の場合、これは、DAT160フォーマットでは、各トラック毎に384個のフラグメントを画定することにより行われる。各フラグメントはフラグメント番号を有する。例えば、フラグメントには0〜383までの番号が付される。各フラグメントは、ユーザデータを受け取るためのデータ部、及び各種制御情報を記憶するヘッダ部を有する。好ましくは、少なくともいくつかのフラグメントのヘッダ部を使用して、テープ媒体フォーマット情報の一部としてテープ媒体識別子が書き込まれる。例えば、テープ媒体識別子は、テープ媒体の参照エリアのフラグメントの少なくともサブセットのヘッダ部に書き込まれる。該参照エリアは、フォーマット情報を書き込む役割を果たすテープ媒体の一部である。好ましくは、参照エリアはテープ媒体の物理的な開始部分近くに配置される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、テープ媒体をフォーマットすることは、テープ媒体の参照エリアにフラグメントに書き込むことを含む。テープ媒体識別子は、参照エリアの少なくともいくつかのフラグメントに書き込まれる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、1トラックの一組のフラグメントは少なくとも第1のサブセット及び第2のサブセットを有する。フラグメントの第1のサブセットは、テープ媒体識別子の第1の部分を記憶する役割を果たし、フラグメントの第2のサブセットは、テープ媒体識別子の第2の部分を記憶する役割を果たす。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも第1のサブセット及び第2のサブセットはモジュロ基準を使用して識別される。例えば、テープ媒体識別子の第1の部分は、それぞれのフラグメント番号と同じモジュロを有する全てのフラグメントのヘッダに記憶される。同様に、一意のテープ媒体識別子の第2の部分は、それぞれのフラグメント番号とは別のモジュロを有するフラグメントの全てのヘッダに記憶される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、データ処理装置はホストコンピュータからリフォーマットコマンドを受け取ることができる。該リフォーマットコマンドに応じてテープ媒体識別子がテープ媒体から読み出される。この一意のテープ媒体識別子は、テープ媒体識別子がリフォーマットにかかわらず不変であるようにリフォーマット動作を行う際に再使用される。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、装填されたテープ媒体とテープドライブ装置との間でデータを転送するデータ転送装置と、該データ転送装置に結合されてテープ媒体からテープ媒体識別子を読み出すデータ処理装置とを有する、テープドライブ装置に関する。
【0019】
例えば、該テープドライブ装置は、イベントログの生成等のためにテープ媒体識別子をローカルに使用することができ、及び/又はテープ媒体識別子をテープドライブ装置からバックアップアプリケーションプログラム又はテープライブラリコントローラに提供することができる。
【0020】
別の態様では、本発明は、リムーバブル情報記憶要素の格納及び取り出しを行うライブラリに関するものである。該リムーバブル情報記憶要素は、一意の情報記憶要素識別子を含むフォーマット情報を記憶するための不揮発性メモリを有する。ライブラリは、リムーバブル情報記憶要素を格納するための格納セルのアレイ、及びリムーバブル情報記憶要素から情報を読み出すための少なくとも1つのドライブを有する。リムーバブル情報記憶要素を格納セルと少なくとも1つのドライブとの間で搬送するために、アクセス機構が使用される。該少なくとも1つのドライブはテープ媒体からフォーマット情報を読み出すことができる。該ライブラリのコントローラは、アクセス機構に指示してリムーバブル情報記憶要素の1つを格納セルから少なくとも1つのドライブへと移動させ、データリーダ装置に指示して複数のリムーバブル情報記憶要素のうちの1つの不揮発性メモリから一意の識別子を読み出させ、該一意の情報記憶要素識別子をカートリッジマップに入力するように動作可能である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、ライブラリのコントローラは、アクセス機構及び少なくとも1つのドライブに指示して、アレイ内に格納されているリムーバブル情報記憶要素の一意の情報記憶要素識別子を全て順次読み出させることにより、格納セルアレイの目録を作成するように動作可能である。その結果として、リムーバブル情報記憶要素がアレイ内のどこにあるかについての情報を保持したカートリッジマップが提供される。
【0022】
以下に、本発明の実施形態を例としてのみ図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に、テープ媒体104を装填及び排出すると共にデータを読み書きするために必要に応じてテープ媒体104を先送りし又は巻き戻すテープドライブ機構102を有するテープドライブ100を示す。DDS(デジタルデータストレージ)テープドライブでは、読み書きヘッド106がヘリカルスキャニングドラムに搭載され、該ヘリカルスキャニングドラムが回転して、テープの走行方向に対して斜めの動きでテープを通過するようヘッドを掃引する。
【0024】
テープドライブ100のプロセッサ108はファームウェア110を実行する役割を果たす。該ファームウェア110は、装填されたテープ媒体104とテープドライブ100との間でデータを転送する命令112を含む。更に、ファームウェア110は、テープ媒体104をフォーマットする命令114及びテープ媒体104の識別子を画定する命令116を含む。
【0025】
テープドライブ100は、データ120を記憶する不揮発性記憶装置118を有する。例えば、データ120は、テープドライブ100の一意のドライブID又はテープドライブ100の別の一意の識別子である。命令116は、データ120を使用してテープ媒体104の識別子を画定する。
【0026】
テープドライブ100は、ネットワーク124を介してコンピュータ126との通信リンクを確立するインタフェース122を有する。コンピュータ126は、バックアップアプリケーションプログラム130及び解析プログラムツール132を実行するためのプロセッサ128を有する。コンピュータ126にはモニタ134が結合される。
【0027】
動作に際し、テープ媒体104はテープ機構102によって装填される。これにより命令114が呼び出される。命令114はヘッド106を動作させて、テープ媒体がフォーマットされているか否かを判断する。テープ媒体104が既にフォーマットされている場合、命令112は、テープドライブ100がインタフェース122においてバックアップアプリケーションプログラム130から受け取った書き込みコマンド136又は読み出しコマンド138を実行することができる。
【0028】
テープ媒体104がフォーマットされていない場合には、命令114が、一組のテープ媒体内のテープ媒体104を明確に識別するテープ媒体104の識別子を画定するための命令116を呼び出す。これは、テープ媒体104(例えば、テープカートリッジ及び/又はテープ)からパターンを読み出して復号化し、該復号化されたパターンを使用してテープ媒体識別子を画定することによって行うことができる。該パターンは、例えば、テープ媒体104内にあっても、その表面にあっても、又はテープ媒体104に取り付けてもよく、例えば、パターンは、テープ媒体の穴により、及び/又はテープ上の光学的に読み取り可能なパターンにより形成することができる。特に、光テープ技術を該パターンの実施に使用することができることに留意されたい。
【0029】
復号化されたパターンに加えて、テープ媒体識別子を画定するために他の情報を使用することもできる。本明細書で考える実施形態において、命令116は、不揮発性記憶装置118からデータ120を読み出し、該データ120を使用してテープ媒体104の識別子を画定する。これは、該データ120を、テープドライブ100のカウンタ(図1に示さず)により送られるカウンタ値と組み合わせることによって行うことができる。例えば、カウンタは、テープドライブ装置がフォーマット動作を行うたびにインクリメントされるカウンタ値を有する。テープドライブ100がクロックを有する場合には、実際の時刻値もテープ媒体104の識別子を画定するために利用することができる。
【0030】
テープ媒体104の一意の識別子を画定した後、命令114はテープ媒体104に対してフォーマット動作を行う。テープ媒体104のフォーマット動作にはフラグメントを画定することが含まれる。各フラグメントは、ユーザデータを受け取るためのデータ部と、制御及び/又はフォーマット情報を受け取るためのヘッダ又はトレーラ等の制御部とを有する。命令114は、識別子又は識別子の一部を、フラグメントの制御部の少なくともサブセット内に書き込む。好ましくは、テープ媒体をフォーマットする場合、テープ媒体の特定部分のフラグメントのみが書き込まれる。例えば、テープの参照エリア内にある少なくともいくつかのフラグメントの制御部が、識別子の書き込みに使用される。参照エリア内のフラグメントのユーザ部は典型的にはユーザデータの書き込みには使用されない。
【0031】
図2に、フォーマット動作によりテープ媒体104に画定されるトラック140を概略的に示す。該トラック140は複数のフラグメント142を含む。各フラグメント142は、ユーザデータを受け取るためのデータ部144と、各種制御及びフォーマットデータを受け取るためのヘッダ部146とを有する。テープ媒体104の一意の識別子は、カートリッジID148としてフラグメント142のヘッダ部146に書き込まれる。
【0032】
本明細書で考える例では、完全なカートリッジID148が、トラック140のフラグメント142の全てのヘッダ部146に書き込まれる。これは本質的なことではないが、サブセットのフラグメント142の全てのヘッダ部146がカートリッジID148を受け取るようなトラック140のフラグメント142のサブセットを画定することができることに留意することが重要である。
【0033】
更なる代替例として、フラグメント142の少なくとも第1のサブセット及び第2のサブセットが画定される。この場合、カートリッジID148は複数部分に分割され、それらがヘッダ部146に書き込まれる。例えば、カートリッジID148が、第1のストリング及び第2のストリングへと分割される。第1のストリングは第1のサブセットのフラグメント142のヘッダ部146に記憶され、第2のストリングは第2のサブセットのフラグメント142のヘッダ部146に記憶される。
【0034】
好ましくは、テープ媒体の参照エリア内のフラグメントのみが識別子の受け取りに使用される。参照エリア内のフラグメントは、ユーザデータをデータ部144に書き込むために使用されてもされなくてもよい。好ましくは、これらフラグメントのデータ部は、ユーザデータの書き込みに使用されず、ゼロで満たされる。代替的には、データ部144の内容は「何でも構わない」である。
【0035】
図3に、図1のテープドライブ100の動作モードを示す。
【0036】
ステップ300において、フォーマットされていないテープカートリッジがテープ機構により装填される。ステップ302において、フラグメントのフラグメントインデックスFがF=0に設定される。ステップ304において、第1のフラグメントFがテープに書き込まれ、カートリッジIDがフラグメントのヘッダに書き込まれる。ステップ306において、インデックスFがインクリメントされて、制御がステップ304に戻る。
【0037】
図4に、テープドライブの代替的な一実施形態を示す。図1の実施形態の構成要素に対応する図4の実施形態の構成要素を同様の符号で示す。
【0038】
本明細書で考える好ましい実施形態では、ベンダID450、プロダクトID452、及びシリアルナンバー454が、ファームウェア410内に埋め込まれる。ファームウェア410は、ベンダID450、プロダクトID452、及びシリアルナンバー454の不揮発性記憶を提供する。
【0039】
ファームウェア410の命令456は、カウンタ値を提供するカウンタを実施する。該カウンタは、命令414がテープフォーマット動作を実行するたびにインクリメントされる。
【0040】
命令458は、センサ460により提供されるセンサ信号のセンサ信号復号器を実施する。センサ460は、テープ媒体104のカートリッジの認識穴を検知する機械的なセンサであってもよく、又はテープ媒体404のテープ462に取り付けられた光学パターンを読み出すバーコードリーダ等の光センサ460であってもよい。認識穴が読み取られ復号化されてカートリッジ媒体フォーマットが読み出され、及び/又は光パターンが読み出されてカートリッジパターンコードが提供される。命令416は、ベンダID450、プロダクトID452、シリアルナンバー454、命令456により提供されるカウンタ値、カートリッジ媒体フォーマット、及び/又はカートリッジパターンコードを使用して、テープ媒体104の識別子を画定する。
【0041】
更に、テープドライブ400は、イベントテーブル466を生成するためのイベントログ464を有する。該イベントテーブル466は、記録された各イベント毎にエントリを有する。各ログエントリは、記録されたイベントが関連するテープ媒体のカートリッジID(すなわち識別子)を含む。
【0042】
好ましくは、命令414は、ヘッド406を通過するテープ462の走行方向に対して斜めにテープ462上にトラックを画定することにより、フォーマットを実行する。各トラックは、所定数のフラグメント(例えば384個のフラグメント)を有する。各フラグメントはフラグメント番号を有する。換言すれば、テープ462の各トラックは、フラグメント番号0〜フラグメント番号383までの384個のフラグメントを有する。
【0043】
命令414は、フラグメント番号のモジュロを計算することにより、各トラックのフラグメントの4つのサブセットを画定する。該サブセットのうちの1つに属するフラグメントは、テープ媒体104の識別子の一部を受け取る。
【0044】
本明細書で説明する好ましい実施形態では、識別子は以下の構成要素から構成される。
【0045】
−ベンダID
−プロダクトID
−シリアルナンバー
−カートリッジフォーマットコード(認識穴から取得)
−カートリッジパターンコード(光学的な可読パターンから取得)
−カウンタ値
フラグメントの4つのサブセットが、テープ媒体104の識別子の様々な構成要素を記憶するために画定される。好ましくは、以下の定義が用いられる。
【0046】
【数1】

【0047】
ここで、modはモジュロ演算子、Fはフラグメント番号である。本明細書で考える例では、モジュロ16が計算される。モジュロ16演算子は、Fを16で除算し、該除算の結果のみを返す。
【0048】
Fのモジュロ16が0である場合、各フラグメントはフラグメントの第1のサブセットに属し、ベンダID、プロダクトID、及び10文字のシリアルナンバーのうちの文字9,10がこのフラグメントのヘッダ部に記憶される。フラグメント番号Fのモジュロ16が1である場合、シリアルナンバーのうちの文字5〜8がそのフラグメントのヘッダ部に記憶され、フラグメント番号Fのモジュロ16が2である場合、シリアルナンバーのうちの文字1〜4がヘッダ部に記憶される。フラグメント番号Fのモジュロ16が3である場合、カートリッジパターンコード、カートリッジフォーマットコード、及びカウンタ値がそのフラグメントのヘッダ部に記憶される。
【0049】
テープ媒体404をフォーマットした後、命令412は、書き込みコマンド436及び読み出しコマンド438を実行することができる。例えば、書き込みコマンド又は読み出しコマンドが失敗した場合には、命令412により対応するイベントエントリが作成され、イベントテーブル466に入力される。テープ媒体404の識別子(すなわちカートリッジID)が、テープ462に記憶されているフラグメントのヘッダ部から読み出され、イベントエントリの一部としてイベントテーブル466に書き込まれる。本明細書で考える実施形態では、カートリッジIDは、ベンダID、プロダクトID、シリアルナンバー、カートリッジフォーマットコード、カートリッジパターンコード、及びカウンタ値から構成される。これら構成要素は、イベントログ464に書き込まれるカートリッジIDを提供する所定の順序で連結される。
【0050】
イベントログ464は、テープドライブ400のインタフェース422からエクスポートして、ネットワーク424を介して伝送して解析ツール432で解析することができる。該解析ツール432は、イベントテーブル466を統計的な基礎として使用して失敗の統計的な解析を目的として使用することができる。その解析結果はモニタ434上に出力することができる。
【0051】
図5に、対応するフローチャートを示す。ステップ500において、テープカートリッジがテープ機構により装填される。ステップ502において、テープドライブはテープカートリッジが既にフォーマットされているか否かを判断する。テープカートリッジがフォーマットされていない場合、制御はステップ504に進み、フォーマットカウンタをインクリメントする。
【0052】
ステップ506において、カートリッジ媒体フォーマットがカートリッジ認識穴から読み取られる。ステップ508において、カートリッジパターンコードが、テープのリーダ部又はトレーラ部にあるパターンを光学的に読み取ることにより読み出される。更に、ベンダID、プロダクトID、及びドライブシリアルナンバーがテープドライブのファームウェアから読み出される。その結果、カートリッジID又はカートリッジIDの一部をフラグメントの少なくともサブセットに書き込むことにより、テープ媒体のフォーマット(ステップ510)に使用されるテープ媒体のカートリッジIDが画定される。フォーマットが完了した後、ステップ512において、テープドライブは読み出しコマンド及び書き込みコマンドを実行することができる。
【0053】
図6に、テープ462に取り付けられた光学的な可読パターンの一例を示す。テープ462は、情報を磁気的に記憶する磁気テープコーティングを有する磁気部468を有する。該テープ462は終了部470を有する。本明細書で考える好ましい実施形態では、該終了部470はテープ462の光学的に透明なテープリーダである。
【0054】
終了部470はバーコード472を有する。該バーコード472は、テープ462又は該テープ462を収容するテープカートリッジに関する様々な種類の情報を保持することができる。バーコード472に含まれる情報の例としては、テープ媒体404のフォーマット世代、製造業者、テープ媒体404のシリアルナンバー及び/又はその他の特性(テープの厚さ、磁気コーティング組成、及び/又はテープ媒体404が予め記録されているか否か)が挙げられる。その代わりに、又はそれに加えて、バーコード472により保持される情報は、テープカートリッジフォーマット世代等のテープカートリッジに関連し、及び/又はテープ媒体に加えてテープ媒体の収容に使用されているリール及びシェルを含むテープカートリッジアセンブリの特性に関連するものとなる。
【0055】
図7に、テープ462に取り付けられた光学的な可読パターンの代替的な一実施形態を示す。図7に示すように、テープ462は、磁気部468と終了部470とを接合するスプライシングテープ478を有する。終了部470は境界部476を有する。スプライシングテープ478はこの境界部476内へと延びている。
【0056】
本明細書で考える好ましい実施形態では、光学的な可読パターンは11ビットから成る。ビット位置1〜4は同期ワードを構成し、ビット位置5〜11はコードワードを構成する。ビット値「0」は各ビット位置の透明ストライプで表され、論理「1」のビット値は各ビット位置の不透明ストライプで表される。同期ワードは、光センサによるコードワードの読み出しを容易にし、該コードワードは、テープ462及び/又はそのテープカートリッジに関連する各種情報を保持することができる。
【0057】
本実施形態は、一意のテープ媒体識別子をフォーマット情報に埋め込みやすくするため、特に有利である。該テープ媒体識別子を使用して、一組のテープ媒体内のテープ媒体を明確に識別し、及び/又はテープ媒体を大域的に識別することができる。例えば、テープ媒体識別子を使用して診断目的等のためにイベントログを生成することができる。テープ媒体識別子の別の用途は、テープライブラリのカートリッジマップを生成することである。
【0058】
図8に、格納セル804,806,808,810,812,...のアレイ802を有するテープライブラリ801を示す。テープカートリッジ814,816,118,820,822...が各格納セル804,806,808,810,812,...に格納されている。テープカートリッジ814,816,...のそれぞれ1つが複数のフラグメントにフォーマットされる。該複数のフラグメントの少なくとも1つのサブセットは、各テープカートリッジの識別子の少なくとも構成要素を保持するヘッダ部を有する。
【0059】
アクセス機構830は、テープカートリッジ814,816,...から選択された1つを格納セルとテープドライブユニット800との間で搬送するオートチェンジャ機構を提供する。例えば、アクセス機構830はカートリッジを把持するグリッパを備える。アクセス機構830及びテープドライブユニット800の動作は、ライブラリコントローラ834により制御される。該ライブラリコントローラ834は、コンピュータプログラム838を実行するマイクロプロセッサ836を有する。ライブラリコントローラ834はメモリ840に結合され、テーブル842の記憶、並びにテーブル842からのデータの更新及び読み出しを行う。テーブル842は、装填されたテープカートリッジの各々毎の格納セルを識別するカートリッジマップを提供する。
【0060】
テープドライブユニット800は、図1及び図4にそれぞれ示すテープドライブ100,400と同様の設計のものである。ホストシステム846は、バックアップデータを記憶するため、及び/又はデータリカバリの目的で、テープライブラリ801に結合される。
【0061】
動作に際して、アレイ802にテープカートリッジ814,816,818,...が装填される。これは、操作者により手動で、又は操作者がライブラリ801の施錠前扉(図示せず)を開くことなくライブラリ801にカートリッジを追加又は除去できるようにする入出力ステーションにより行うことができる。
【0062】
施錠前扉を閉じることによりプログラム838が呼び出され、ライブラリ801の目録作成が行われる。プログラム838は、各フラグメントのヘッダ部から各識別子を読み出すために、テープカートリッジ814,816,818,...をアレイ802からテープドライブユニット800へと順次移動させるようアクセス機構830に指示する。アレイ802におけるテープカートリッジの位置、すなわち格納セル座標が、各カートリッジID、すなわちテープ媒体の識別子と共に、テーブル842に入力される。アレイ802に装填されている全てのテープカートリッジがこのようにして処理された後、テーブル842は、装填された各テープカートリッジの格納セルを識別することにより完全なカートリッジマップを提供する。
【0063】
テープライブラリ801はテープカートリッジにバーコードラベルを必要としないことに留意されたい。これは光バーコードラベルリーダが必要ないという有利を有する。別の利点は、バーコードラベルに依存する従来技術によるテープライブラリと比較して信頼性が向上し、システムのダウンタイムが短縮されることである。これは、テープフォーマット情報の一部としてカートリッジIDを記憶することが、従来技術のバーコードラベルが受ける機械的な損耗を受けないことによる。
【0064】
本発明のこの実施形態は、一意の情報記憶要素識別子をリムーバブル情報記憶要素に記憶することにより、リムーバブル情報記憶要素に取り付けられたバーコードラベルを読み出すための光学的なバーコードリーダが必要なくなるため、特に有利である。バーコードラベルではなくリムーバブル情報記憶要素自体を使用することにより、従来技術によるバーコードラベルが受ける機械的な損耗が回避されるという更なる利点がある。ライブラリのこのような動作は、従来技術によるライブラリシステムにおいて、バーコードラベルが読み取り不能になったとき又は失われたときに発生し得る中断をなくすことができるため、より信頼性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】テープドライブ装置の第1の一実施形態を示す概略的なブロック図である。
【図2】フォーマットされたテープ媒体の部分図である。
【図3】テープ媒体のフォーマット処理に含まれる各ステップを示すフローチャートである。
【図4】テープドライブの代替的な一実施形態を示す概略的なブロック図である。
【図5】図4のテープドライブを用いたテープ媒体のフォーマット処理に含まれる各ステップを示すフローチャートである。
【図6】テープ媒体の一実施形態の部分図である。
【図7】テープ媒体の第2の一実施形態の部分図である。
【図8】ライブラリのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープドライブ装置であって、
テープ媒体を含む媒体装置と該テープドライブ装置との間でデータを転送するデータ転送装置と、
前記媒体装置からパターンを読み出し、該パターンを復号化してテープ媒体識別子を画定するために使用するリーダと、
前記データ転送装置に結合されたデータ処理装置であって、前記テープ媒体に転送される前記データが前記テープ媒体識別子を含むように所定のフォーマットに従ってデータを処理するように動作可能なデータ処理装置と
を備えるテープドライブ装置。
【請求項2】
カウンタを更に含み、前記データ処理装置が該カウンタにより提供されるカウンタ値を使用して前記テープ媒体識別子を画定する、請求項1に記載のテープドライブ装置。
【請求項3】
テープドライブ識別子を記憶する不揮発性メモリを更に含み、前記データ処理装置が、該テープドライブ識別子を使用して前記テープ媒体識別子を画定するよう構成されている、請求項1又は請求項2に記載のテープドライブ装置。
【請求項4】
前記媒体装置からテープ媒体フォーマット情報を読み出す第1のリーダを更に備え、前記データ処理装置が、該テープ媒体フォーマット情報を使用して前記テープ媒体識別子を画定するよう構成されている、請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のテープドライブ装置。
【請求項5】
前記テープ媒体からパターンを読み出す第2のリーダを更に備え、前記データ処理装置が、該パターンを復号化し、該復号化されたパターンを使用して前記テープ媒体識別子を画定するよう動作することが可能である、請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のテープドライブ装置。
【請求項6】
前記データ処理装置が、前記データを複数のフラグメントへとフォーマットするように動作することが可能であり、前記複数のフラグメントの各々が少なくとも1つの制御部を有する、請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のテープドライブ装置。
【請求項7】
前記データ処理装置が、前記複数のフラグメントのサブセットを選択するよう動作することが可能であり、前記テープ媒体識別子が、該サブセットのフラグメントの各制御部に書き込まれる、請求項6に記載のテープドライブ装置。
【請求項8】
前記データ処理装置が、少なくとも第1のデータ及び第2のデータを使用して前記テープ媒体識別子を画定し、前記各制御部に前記第1のデータを書き込むために前記フラグメントの第1のサブセットを選択し、及び前記各制御部に前記第2のデータを書き込むために前記フラグメントの第2のサブセットを選択するよう動作することが可能である、請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載のテープドライブ装置。
【請求項9】
前記データ処理装置が、前記フラグメントの前記少なくとも第1及び第2のサブセットを選択するためにフラグメントインデックスのモジュロを計算するように動作することが可能である、請求項8に記載のテープドライブ装置。
【請求項10】
前記データ処理装置が、リフォーマットコマンドを受け取り、及び前記テープ媒体から前記テープ媒体識別子を読み出してリフォーマットに同じテープ媒体識別子を再使用するよう動作することが可能である、請求項1ないし請求項9の何れか一項に記載のテープドライブ装置。
【請求項11】
テープドライブ装置においてテープ媒体を含むテープ媒体装置をフォーマットする方法であって、
前記テープ媒体装置のパターンからデータを読み出し、
該データを使用してテープ媒体識別子を画定し、
該テープ媒体識別子を使用して前記テープ媒体をフォーマットする、
という各ステップを含む方法。
【請求項12】
前記パターンを復号化するステップを更に含み、該復号化されたパターンが前記テープ媒体識別子の画定に使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パターンが、前記媒体装置のカートリッジハウジングに形成された認識穴のパターンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンが、前記テープ媒体の前記テープ内、前記テープ上、又は前記テープに取り付けられた光学的な可読パターンである、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記テープ媒体を複数のフラグメントへとフォーマットするステップを更に含み、その各フラグメントがフォーマットデータを受け取るための少なくとも1つの制御部を有する、請求項11ないし請求項14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記フラグメントのサブセットを選択するステップを更に含み、前記テープ媒体識別子が該サブセットの該フラグメントの前記制御部に書き込まれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記テープ媒体識別子の第1の構成要素及び第2の構成要素のそれぞれを前記制御部に書き込むために前記フラグメントの少なくとも第1のサブセット及び第2のサブセットを選択するステップを更に含む、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各フラグメントがフラグメントインデックスを有し、前記少なくとも1つのサブセットを選択するために前記フラグメントインデックスのモジュロを計算するステップを更に含む、請求項15ないし請求項17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項11ないし請求項18の何れか一項に記載の方法を実行するための命令を含む、テープドライブ装置を制御するためのコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
テープドライブ装置であって、
テープ媒体と該テープドライブ装置との間でデータを転送するデータ転送装置と、
該データ転送装置に結合されたデータ処理装置と、
前記テープ媒体から、テープ媒体識別子を含むフォーマット情報を読み出すように動作することが可能なデータ処理装置とを備えており、
前記テープ媒体が複数のフラグメントへとフォーマットされ、その各フラグメントがフラグメント番号を有し、前記データ処理装置が、該フラグメント番号のモジュロを計算し、前記テープ媒体識別子を保持する前記フラグメントのサブセットを識別するように動作することが可能である、テープドライブ装置。
【請求項21】
イベントログを更に備え、該イベントログ内の各エントリが前記テープ媒体識別子を含む、請求項20に記載のテープドライブ装置。
【請求項22】
複数のリムーバブル情報記憶要素の格納及び取り出しを行うライブラリであって、該リムーバブル情報記憶要素が、情報記憶要素識別子を含むフォーマット情報を有し、該ライブラリが、
前記リムーバブル情報記憶要素を格納する格納セルのアレイと、
前記リムーバブル情報記憶要素から前記フォーマット情報を読み出す少なくとも1つのドライブと、
前記格納セルと前記少なくとも1つのドライブとの間で前記リムーバブル情報記憶要素を搬送するアクセス機構と、
コントローラであって、
a)前記複数のリムーバブル情報記憶要素のうちの1つを前記格納セルから前記少なくとも1つのドライブへ移動させるよう前記アクセス機構に指示し、
b)前記情報記憶要素識別子を含む前記フォーマット情報を提供するよう前記ドライブに指示し、
c)前記情報記憶要素識別子をカートリッジマップに入力する
よう動作することが可能なコントローラと
を備えているライブラリ。
【請求項23】
前記コントローラが、前記アレイに格納されている全てのリムーバブル記憶要素に対して前記ステップ(a)〜(c)を行うことにより前記アレイの目録を作成するよう動作することが可能である、請求項22に記載のライブラリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−114210(P2006−114210A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−298515(P2005−298515)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】