説明

テープ仮想化システム、テープ仮想化方法およびテープ仮想化プログラム

【課題】既存の磁気テープ使用ジョブのJCLを変更することなく、用途や目的に応じてホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や代替記憶装置を利用可能とするテープ仮想化システムを提供すること
【解決手段】テープ仮想化システムは、磁気テープ媒体へのファイルの割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報を参照しファイルの割当先を磁気テープ媒体から一次記憶装置に変換する割り当て先変換手段と、ファイルの解放要求があったときに、退避JCL雛形等に基づいて退避JCLを生成し、ファイルの入力オープン要求があったときに、復元JCL雛形等に基づいて復元JCLを生成する退避/復元JCL生成手段と、退避JCL/復元JCLに基づいてファイルの退避/復元を実行するテープ仮想化制御手段とを備えている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ仮想化システム、テープ仮想化方法およびテープ仮想化プログラムに関し、特に既存の磁気テープ使用ジョブに使用していたJCLを変更することなく、磁気テープ代替機能を使用可能とするテープ仮想化システム、テープ仮想化方法およびテープ仮想化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の仮想テープ装置の一例が、特許文献1に記載されている。
従来の仮想テープ装置は、磁気テープ装置と同じ入出力インタフェースを持ち、仮想テープ装置への入出力を変換することで、磁気テープの代わりに磁気ディスクなどの他種の記憶装置にファイルを格納するように実現している。
また、上記記憶装置を一次記憶装置として、さらに別の記憶装置(これを二次記憶装置と呼ぶ)にファイルを移動することを可能としているものもある。
二次記憶装置には、外部保管に利用可能なテープ装置や、低速であるが大容量で安価な磁気ディスク装置などさまざまなものが使用されている。
また、特許文献1に記載の発明では、ユーザの指定などに基づいて、上記一次(または二次)記憶装置を複数の種類の記憶装置から選択して利用できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−99971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の仮想テープ装置には、以下の2つの問題があった。
第1の問題点は、仮想テープを実現する専用装置が必要となり、使用できる一次記憶装置や二次記憶装置が仮想テープ装置に接続できる(組み込まれている)ものに限られてしまうということである。また、より多くの種類の記憶装置が使用できるような仮想テープ装置を実現したとしても、高額なものになってしまうという問題があった。
【0005】
第2の問題点は、仮想テープ装置は、仮想テープ装置に接続された(組み込まれた)記憶装置でファイルの移動を行うため、FTP(File Transfer Protocol)などのホストコンピュータ内のソフトウェアで実現した機能や仮想テープ装置と独立した外部記憶装置を利用できないという問題があった。
また、上記のような仮想テープ装置を利用せずに、FTPなどのホストコンピュータが持つ機能やホストコンピュータに接続された他の外部記憶装置を利用したい場合は、従来磁気テープを利用していたジョブを、FTPなどの機能や他の外部記憶装置を利用するジョブに変更する必要があった。しかし、ユーザのJCL資産は膨大であり、JCLの変更にはコストがかかるため、全てのJCLを別装置や別機能を使用するように変更することが困難であるという問題があった。
なお、本明細書では、JCLとはジョブ制御言語(Job Control Language)で記述されたジョブ記述を指し、ジョブとはこのジョブ記述に従って順に実行されるプログラム群を指す。
【0006】
本発明の目的は、既存の磁気テープ使用ジョブのJCLを変更することなく、用途や目的に応じてホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や代替記憶装置を利用可能とするテープ仮想化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の、テープ仮想化システムは、磁気テープ媒体名、この磁気テープ媒体名と一次記憶装置を対応付ける規則である割り当て先変更規則および一次記憶装置から二次記憶装置へのファイルの退避を制御する退避JCLと二次記憶装置から一次記憶装置へのファイルの復元を制御する復元JCLを生成する規則であるJCL生成規則を含む仮想テープ定義情報を記憶する仮想テープ定義情報記憶部と、退避JCLを生成するための雛形である退避JCL雛形と復元JCLを生成するための雛形である復元JCL雛形を記憶するJCL雛形記憶部と、ホストコンピュータの磁気テープ使用ジョブから磁気テープ媒体へのファイルの割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報を参照しファイルの割当先を磁気テープ媒体から一次記憶装置に変換する割り当て先変換手段と、磁気テープ使用ジョブからファイルの解放要求があったときに、テープ使用ジョブに記述されたファイル割り当て情報と退避JCL雛形とJCL生成規則に基づいて退避JCLを生成し、磁気テープ使用ジョブからファイルの入力オープン要求があったときに、ファイル割り当て情報と復元JCL雛形とJCL生成規則に基づいて復元JCLを生成する退避/復元JCL生成手段と、退避JCLに基づいてファイルの退避を実行し、復元JCLに基づいてファイルの復元を実行するテープ仮想化制御手段とを備えている(請求項1から請求項5)。
【0008】
上記テープ仮想化システムによれば、磁気テープ媒体へのファイル割り当て要求があったときに、割り当て先変換手段が、仮想テープ定義情報に従って、ファイルの割り当て先を磁気テープ使用ジョブで指定された磁気テープ媒体から磁気ディスク等の一次記憶装置へ変換する。
一次記憶装置へのデータ出力完了後に、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と退避JCL雛形とにより、一次記憶装置から二次記憶装置へファイルを退避するためのJCLが生成および実行される。また、一次記憶装置の入力に先立って、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と復元JCL雛形とにより、二次記憶装置から一次記憶装置にファイルを復元するためのJCLが生成および実行される。
そのため、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や記憶装置を利用できる。
また、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく二次記憶装置を利用することができる。
【0009】
上記テープ仮想化システムにおいて、JCL雛形記憶部には、複数の退避JCL雛形と複数の復元JCL雛形が記憶され、仮想テープ定義情報には、磁気テープ媒体毎に使用する退避JCL雛形と復元JCL雛形を特定する情報が含まれているようにしてもよい(請求項2)。
このようにすれば、仮想テープ定義情報に、磁気テープ使用ジョブにより指定された磁気テープ媒体名に応じて異なるJCL雛形を使用するように設定し、磁気テープ媒体名に応じて、異なる退避ジョブおよび復元ジョブを実行できる。
そのため、磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ複数の磁気テープ代替機能や記憶装置から任意のものを選択して利用することができる。
【0010】
上記テープ仮想化システムにおいて、仮想テープ定義情報には、磁気テープ媒体毎に退避JCLの実行の契機となる条件である退避規則が含まれ、テープ仮想化制御手段は、磁気テープ媒体毎に指定された退避規則にしたがって退避JCLを実行するようにしてもよい(請求項3)。
このようにすれば、仮想テープ定義情報に、磁気テープ毎に一次記憶装置から二次記憶装置へのファイル退避タイミングを退避規則として記述しておき、二次記憶装置への退避を待たずに一次記憶装置へのデータ出力が完了した時点で磁気テープ使用ジョブを終了することができる。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。
【0011】
上記テープ仮想化システムにおいて、退避規則は、一次記憶装置の使用記憶容量が所定の閾値を越えたときに退避JCLを実行するものとしてもよい(請求項4)。
このようにすれば、テープ仮想化制御手段は、ファイル解放要求があってもすぐには退避ジョブを実行せずに、一次記憶装置の使用記憶容量が閾値を越えたときに実行する。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。また、一次記憶装置から二次記憶装置への退避回数を減らし、システムの負荷を減らすことができる。
【0012】
上記テープ仮想化システムにおいて、退避規則は、所定の時刻に退避JCLを実行するものとしてもよい(請求項5)。
このようにすれば、テープ仮想化制御手段は、ファイル解放要求があってもすぐには退避ジョブを実行せずに、退避規則で指定された時刻に実行する。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。また、一次記憶装置から二次記憶装置への退避をシステムの負荷の低い時間帯に実行することができる。
【0013】
本発明の、テープ仮想化方法は、磁気テープ媒体名、この磁気テープ媒体名と一次記憶装置を対応付ける規則である割り当て先変更規則および一次記憶装置から二次記憶装置へのファイルの退避を制御する退避JCLと二次記憶装置から一次記憶装置へのファイルの復元を制御する復元JCLを生成する規則であるJCL生成規則を含む仮想テープ定義情報を予め記憶装置に記憶する記憶工程と、ホストコンピュータの磁気テープ使用ジョブから磁気テープ媒体へのファイルの割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報を参照しファイルの割当先を磁気テープ媒体から一次記憶装置に変換する割り当て先変換工程と、磁気テープ使用ジョブからファイルの解放要求があったときに、テープ使用ジョブに記述されたファイル割り当て情報と退避JCL雛形とJCL生成規則に基づいて退避JCLを生成し、磁気テープ使用ジョブからファイルの入力オープン要求があったときに、ファイル割り当て情報と復元JCL雛形とJCL生成規則に基づいて復元JCLを生成する退避/復元JCL生成工程と、退避JCLに基づいてファイルの退避を実行し、復元JCLに基づいてファイルの復元を実行するテープ仮想化制御工程とを備えている(請求項6から請求項10)。
【0014】
上記テープ仮想化方法によれば、割り当て先変換工程では、磁気テープ媒体へのファイル割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報に従って、ファイルの割り当て先を磁気テープ使用ジョブで指定された磁気テープ媒体から磁気ディスク等の一次記憶装置へ変換する。
一次記憶装置へのデータ出力完了後に、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と退避JCL雛形とにより、一次記憶装置から二次記憶装置へファイルを退避するためのJCLが生成および実行される。また、一次記憶装置の入力に先立って、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と復元JCL雛形とにより、二次記憶装置から一次記憶装置にファイルを復元するためのJCLが生成および実行される。
そのため、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や記憶装置を利用できる。
また、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく二次記憶装置を利用することができる。
【0015】
上記テープ仮想化方法において、記憶工程では、複数の退避JCLと複数の復元JCLを記憶装置に記憶し、仮想テープ定義情報には、磁気テープ毎に使用する退避JCL雛形と復元JCL雛形を特定する情報が含まれるようにしても良い(請求項7)。
このようにすれば、仮想テープ定義情報に、磁気テープ使用ジョブにより指定された磁気テープ媒体名に応じて異なるJCL雛形を使用するように設定し、磁気テープ媒体名に応じて、異なる退避ジョブおよび復元ジョブを実行できる。
そのため、磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ複数の磁気テープ代替機能や記憶装置から任意のものを選択して利用することができる。
【0016】
上記テープ仮想化方法において、仮想テープ定義情報には、退避JCLの実行の契機となる条件である退避規則が含まれ、テープ仮想化制御工程では、退避規則にしたがって退避JCLを実行するようにしても良い(請求項8)。
このようにすれば、仮想テープ定義情報に、磁気テープ毎に一次記憶装置から二次記憶装置へのファイル退避タイミングを退避規則として記述しておき、二次記憶装置への退避を待たずに一次記憶装置へのデータ出力が完了した時点で磁気テープ使用ジョブを終了することができる。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。
【0017】
上記テープ仮想化方法において、退避規則は、一次記憶装置の使用記憶容量が所定の閾値を越えたときに退避JCLを実行するものとしても良い(請求項9)。
このようにすれば、テープ仮想化制御工程では、ファイル解放要求があってもすぐには退避ジョブを実行せずに、一次記憶装置の使用記憶容量が閾値を越えたときに実行する。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。また、一次記憶装置から二次記憶装置への退避回数を減らし、システムの負荷を減らすことができる。
【0018】
上記テープ仮想化方法において、退避規則は、所定の時刻に退避JCLを実行するものとしても良い(請求項10)。
このようにすれば、テープ仮想化制御工程では、ファイル解放要求があってもすぐには退避ジョブを実行せずに、退避規則で指定された時刻に実行する。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。また、一次記憶装置から二次記憶装置への退避をシステムの負荷の低い時間帯に実行することができる。
【0019】
本発明の、テープ仮想化プログラムは、コンピュータに、磁気テープ媒体名、この磁気テープ媒体名と一次記憶装置を対応付ける規則である割り当て先変更規則および一次記憶装置から二次記憶装置へのファイルの退避を制御する退避JCLと二次記憶装置から一次記憶装置へのファイルの復元を制御する復元JCLを生成する規則であるJCL生成規則を含む仮想テープ定義情報を予め記憶装置に記憶する記憶機能と、ホストコンピュータの磁気テープ使用ジョブから磁気テープ媒体へのファイルの割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報を参照しファイルの割当先を磁気テープ媒体から一次記憶装置に変換する割り当て先変換機能と、磁気テープ使用ジョブからファイルの解放要求があったときに、テープ使用ジョブに記述されたファイル割り当て情報と退避JCL雛形とJCL生成規則に基づいて退避JCLを生成し、磁気テープ使用ジョブからファイルの入力オープン要求があったときに、ファイル割り当て情報と復元JCL雛形とJCL生成規則に基づいて復元JCLを生成する退避/復元JCL生成機能と、退避JCLに基づいてファイルの退避を実行し、復元JCLに基づいてファイルの復元を実行するテープ仮想化制御機能とを実行させる(請求項11から請求項15)。
【0020】
上記テープ仮想化プログラムによれば、割り当て先変換機能は、磁気テープ媒体へのファイル割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報に従って、ファイルの割り当て先を磁気テープ使用ジョブで指定された磁気テープ媒体から磁気ディスク等の一次記憶装置へ変換する。
一次記憶装置へのデータ出力完了後に、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と退避JCL雛形とにより、一次記憶装置から二次記憶装置へファイルを退避するためのJCLが生成および実行される。また、一次記憶装置の入力に先立って、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と復元JCL雛形とにより、二次記憶装置から一次記憶装置にファイルを復元するためのJCLが生成および実行される。
そのため、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や記憶装置を利用できる。
また、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく二次記憶装置を利用することができる。
【0021】
上記テープ仮想化プログラムにおいて、記憶機能を、複数の前記退避JCLと複数の前記復元JCLを前記記憶装置に記憶するものとし、仮想テープ定義情報には、磁気テープ媒体毎に使用する退避JCL雛形と復元JCL雛形を特定する情報が含まれるようにしても良い(請求項12)。
このようにすれば、仮想テープ定義情報に、磁気テープ使用ジョブにより指定された磁気テープ媒体名に応じて異なるJCL雛形を使用するように設定し、磁気テープ媒体名に応じて、異なる退避ジョブおよび復元ジョブを実行できる。
そのため、磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ複数の磁気テープ代替機能や記憶装置から任意のものを選択して利用することができる。
【0022】
上記テープ仮想化プログラムにおいて、仮想テープ定義情報には、磁気テープ媒体毎に退避JCLの実行の契機となる条件である退避規則が含まれ、テープ仮想化制御機能は、磁気テープ媒体毎に指定された退避規則にしたがって退避JCLを実行するものとしても良い(請求項13)。
このようにすれば、仮想テープ定義情報に、磁気テープ毎に一次記憶装置から二次記憶装置へのファイル退避タイミングを退避規則として記述しておき、二次記憶装置への退避を待たずに一次記憶装置へのデータ出力が完了した時点で磁気テープ使用ジョブを終了することができる。
【0023】
上記テープ仮想化プログラムにおいて、退避規則は、一次記憶装置の使用記憶容量が所定の閾値を越えたときに退避JCLを実行するものとしても良い(請求項14)。
このようにすれば、テープ仮想化制御機能は、ファイル解放要求があってもすぐには退避ジョブを実行せずに、一次記憶装置の使用記憶容量が閾値を越えたときに実行する。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。また、一次記憶装置から二次記憶装置への退避回数を減らし、システムの負荷を減らすことができる。
【0024】
上記テープ仮想化プログラムにおいて、退避規則は、所定の時刻に退避JCLを実行するものとしても良い(請求項15)。
このようにすれば、テープ仮想化制御機能では、ファイル解放要求があってもすぐには退避ジョブを実行せずに、退避規則で指定された時刻に実行する。
そのため、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。また、一次記憶装置から二次記憶装置への退避をシステムの負荷の低い時間帯に実行することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、磁気テープ媒体のファイル割り当て要求があったときに、仮想テープ定義情報に従って、ファイルの割り当て先を磁気テープ使用ジョブで指定された磁気テープ媒体から磁気ディスク等の一次記憶装置へ変換する。
一次記憶装置へのデータ出力完了後に、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則にと退避JCL雛形とにより、一次記憶装置から二次記憶装置へファイルを退避するためのJCLが生成および実行される。また、一次記憶装置の入力に先立って、ファイル割り当て情報と仮想テープ定義情報に定義したJCL生成規則と復元JCL雛形とにより、二次記憶装置から一次記憶装置にファイルを復元するためのJCLが生成および実行される。
そのため、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や記憶装置を利用できる。
また、ホストコンピュータは、磁気テープ使用ジョブを記述した磁気テープ使用JCLを変更することなく二次記憶装置を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図を参照しながら本発明の第1の実施形態であるテープ仮想化システム1の構成と動作について説明する。
図1は、テープ仮想化システム1の機能ブロック図である。
テープ仮想化システム1は、ファイルの割り当て/解放、ファイルのオープン/クローズ、データ入出力の機能を有するファイル管理12と、ファイルの割り当て先を磁気テープから磁気ディスク等の一次記憶装置へ変換する割り当て先変換手段13と、一次記憶装置と二次記憶装置間でファイルの退避/復元を行うJCLを生成する退避/復元JCL生成手段14と、ファイル管理12からの要求による退避/復元JCLの生成、生成したJCLの実行、および、ジョブの実行結果の応答などを制御する仮想テープ制御手段15とを備えている。これらの各手段は、テープ仮想システム1の図示しないCPUがテープ仮想化プログラムを実行しテープ仮想化システム1のハードウェアを制御することにより実現される。
また、テープ仮想化システム1は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置により構成されるJCL雛形記憶部26に、退避JCL生成時の入力となる退避JCL雛形18と、復元JCL生成時の入力となる復元JCL雛形19とを、RAM等の記憶装置により構成される仮想テープ定義情報記憶27に、仮想テープ定義情報24を記憶している。
【0027】
例えば、一次記憶装置16は、テープ仮想化システム1に接続され、ハードディスク装置等の磁気テープ媒体以外の記憶媒体に対して情報の書き込みと読み出しを行う記憶装置とすることができる。つまり、一次記憶装置16から見るとテープ仮想化システム1がホストコンピュータとなる。
例えば、二次記憶装置17は、テープ仮想化システム1あるいは他のホストコンピュータに接続され、LTO(Linear Tape-Open)装置等の一次記憶装置とは異なる種類の記憶媒体に対して情報の書き込みと読み出しを行う記憶装置とすることができる。
二次記憶装置17がテープ仮想化システム1に接続されている場合は、たとえば、日中は一次記憶装置16を利用して処理を高速化し、夜間に一次記憶装置16から二次記憶装置17にファイルを退避する。
二次記憶装置17が他のホストコンピュータに接続されている場合は、テープ仮想化システム1と他のコンピュータを、例えばLAN(Local Area Network)やSAN(Storage Area Network)を介して接続し、例えば、テープ仮想化システム1が実行するFTPクライアントソフトウェアにより一時記憶装置16と二次記憶装置17との間でファイル転送が可能に構成する。
【0028】
磁気テープ使用ジョブ11は、磁気テープファイルの割り当て、ファイルのオープン、データの入出力、ファイルのクローズ、ファイルの解放という流れで、ファイル管理12の機能を呼び出す。
ファイル管理12は、磁気テープ使用ジョブからの要求に応じてファイルの割り当て/解放、ファイルのオープン/クローズ、データの入出力を行う機能を提供する。このような機能を持つものは、従来から用いられており、ホストコンピュータによってはファイルシステムやデータ管理と呼ばれることもある。
テープ仮想化システム1では、ファイル管理12は上記の機能に加えて、さらに以下の処理を行う。
磁気テープファイルの割り当て要求を受けると、割り当て先変換手段13に割り当て先の変換を要求し、変換後の割り当て先に対して、ファイルの割り当てを行う。
ファイル出力後のファイル解放要求を受けると、テープ仮想化制御手段15にファイルの退避を要求し、ファイル退避の完了を待って、ファイルを解放する。
ファイルの入力オープン要求を受けると、テープ仮想化制御手段15にファイルの復元を要求し、ファイル復元の完了を待って、ファイルをオープンする。
【0029】
割り当て先変換手段13は、ファイル管理12から割り当て先の変換要求を受けると、磁気テープ使用ジョブ11の磁気テープファイル割り当て情報と、仮想テープ定義情報24に設定された割り当て先変更規則に従って、ファイルの割り当て先を磁気テープから磁気ディスクすなわち、一次記憶装置16へ変換する。
なお、従来磁気テープ媒体上に格納されるファイルは順編成ファイルと呼ばれ、出力時はファイルの先頭から順にデータを書き込み、入力時はファイルの先頭から順にデータを読み込むという特徴のファイルであり、ファイルのオープン、データの出力または入力、ファイルのクローズは、磁気ディスク上の順編成ファイルと同じアプリケーションプログラムインタフェースを利用できるため、磁気テープ使用ジョブのプログラムやJCLを修正する必要はない。また、磁気テープファイルの解放処理については、割り当て時に指定したファイル識別子(内部ファイル名、FDとも呼ぶ)を指定して解放するため、解放対象が磁気テープファイルから磁気ディスクファイルへ変わってもプログラムやJCLを修正する必要はない。
【0030】
テープ仮想化制御手段15は、ファイル管理12からファイルの退避要求を受けると、退避/復元JCL生成手段14に退避JCLの生成を要求し、その結果生成された退避JCL20を使って、退避ジョブ22を実行する。その結果、一次記憶装置16から二次記憶装置17へファイルが退避される。
また、ファイルの復元要求を受けると、退避/復元JCL生成手段14に復元JCLの生成を要求し、その結果生成された復元JCL21を使って、復元ジョブ23を実行する。その結果、二次記憶装置17から一次記憶装置16へファイルが復元される。
【0031】
退避/復元JCL生成手段14は、テープ仮想化制御手段15から退避JCLの生成要求を受けると、磁気テープ使用ジョブ11の磁気テープ割り当て情報と、仮想テープ定義情報24に設定されたJCL生成規則に従って、退避JCL雛形18を元に、一次記憶装置16から二次記憶装置17へファイルを退避するための退避JCL20を生成する。
また、復元JCLの生成要求を受けると、磁気テープ使用ジョブ11の磁気テープ割り当て情報と、仮想テープ定義情報24に設定されたJCL生成規則に従って、復元JCL雛形19を元に、二次記憶装置17から一次記憶装置16へファイルを復元するための復元JCL21を生成する。
【0032】
図2(a)に、磁気テープ使用ジョブ11内のJCLのファイル割り当て記述の例を示す。
ファイル割り当て記述30には、内部ファイル名、外部ファイル名、装置種別、媒体名などファイルをジョブに割り当てるために必要な情報が指定されている。
外部ファイル名とは、媒体上のファイルの名前である。
装置種別とは、磁気ディスクや磁気テープなどの装置の種別を表す情報である。
媒体名とは、上記ファイルを格納する記憶装置上にある媒体ごとに付けられた名前である。
内部ファイル名とは、実行したジョブのアプリケーションプログラム内部でファイルのオープン/クローズ、およびデータの入出力、ファイルの解放時に指定するファイル識別子のことで、これらの処理と割り当てたファイルとを関連づけるための識別子である。
【0033】
ジョブが実行され、ファイル割り当て記述30によりファイルが割り当てられると、ファイル管理12は、ファイル割り当て記述30ごとにファイル割り当て情報として値を保持する。
ファイル割り当て情報の例を図2(b)に示す。
ファイル割り当て情報40は、内部ファイル名41、外部ファイル名42、装置種別43、媒体名44等のファイル割り当て記述30に記述されている情報に対応したフィールドと仮想テープか否か45、変更前割り当て情報46を持ったテーブルとなっている。仮想テープか否か45には、ファイル割り当て先が変更されておらず仮想テープが未設定の場合は「未設定」、ファイル割り当て先が変更され仮想テープが設定された後は「YES」が記憶される。変更前割り当て情報46には、割り当て先の変更前は「未設定」が、割り当て先の変更後は、変更前の装置種別と媒体名が記憶される。
ファイル割り当て情報40は、以降のファイルのオープンやデータの入出力、ファイルのクローズ、ファイルの解放時に、ファイル管理12が参照する。
【0034】
図3に仮想テープ定義情報24の実施例を示す。
仮想テープ定義情報は、磁気テープ媒体名51、割り当て先変更規則52、JCL生成規則53で構成される。
磁気テープ媒体名51には、テープ仮想化システム1の対象となる仮想の磁気テープ媒体名を設定する。
割り当て先変更規則52には、割り当て先変換手段13が割り当て先を変更する一次記憶装置16を設定する。
JCL生成規則53には、退避JCL雛形18や復元JCL雛形19から、退避JCL20や復元JCL21を生成するための、置換パラメータを設定する。この置換パラメータには、退避/復元ジョブ固有のパラメータや二次記憶装置17の情報を指定するため、「置換キーワード=置換後文字列」という形で複数指定することができる。
この置換キーワードの名前は利用者が定義することができる。
【0035】
次に、図1〜8の構成図およびフローチャートを参照してテープ仮想化システム1の動作について詳細に説明する。
図4に、磁気テープ使用ジョブ11からファイルの割り当て要求があったときのファイル管理12、および、割り当て先変換手段13の動作を示す。
ファイル管理12は、ファイルの割り当て要求を受けると、その要求が磁気テープファイルの割り当て要求であれば(S101の判定がイエスであれば)、割り当て先変換手段13に割り当て先の変換を要求し、その要求が磁気テープファイル以外の割り当て要求であれば、割り当て先を変更せずにファイルの割り当てに進む(S101の判定がノー、S105)。
【0036】
割り当て先変換手段13は、磁気テープファイルのファイル割り当て情報で割り当て先として指定された媒体名を、仮想テープ定義情報24の磁気テープ媒体名51から検索する(S102)。
一致する媒体名が見つからなかった場合、ファイル割り当て先は変更せず(S103の判定がノー、S105)、一致する媒体名が見つかった場合、ファイル割り当て先を仮想テープ定義情報24の同じ行の割り当て先変更規則52に設定されている一次記憶装置16に変更する(S103の判定がイエス、S104)。
ファイル管理12は、ファイルの解放やファイルの入力オープン時に参照するために、仮想テープ(割り当て先を一時記憶装置16に変更した)か否か、および、仮想テープの場合はさらに変更前のファイル割り当て情報を「仮想テープか否か45」および「変更前割り当て情報」46に保持する(S105)。
ファイル管理12は、割り当て先に従ってファイルを割り当てる(S106)。
【0037】
図5に、磁気テープ使用ジョブ11が一次記憶装置16上のファイルにデータを出力した後、ファイルの解放要求を行ったときのファイル管理12の動作を示す。
ファイル管理12は、ファイルの解放要求を受けると、解放対象のファイルがある媒体が仮想テープ(一次記憶装置16)か否かを判定する(S111)。仮想テープでなかった場合は、ファイルの解放処理に進む(S111の判定がノー、S115)。
解放対象のファイルが仮想テープにある場合は、ファイル管理12は、実行されたジョブが出力だった否かを判定する(S112)。当該ファイルの処理が出力でなかった場合は、解放処理に進む(S112の判定がノー、S115)。
当該ファイルの処理が出力だった場合は、ファイル割り当て時に保持していた変更前のファイル割り当て情報を指定して、テープ仮想化制御手段15にファイルの退避を要求する(S112の判定がイエス、S113)。
続いてテープ仮想化制御手段15からの退避の完了通知を待ち(S114)、完了通知を受けるとファイルを解放する(S115)。
【0038】
図6に、磁気テープ使用ジョブ11が磁気テープファイルのデータを入力するためにファイルを入力オープンしたときのファイル管理12の動作を示す。
ファイル管理12は、ファイルの入力オープン要求を受けると、ファイルを割り当てた媒体から、ファイルを検索する(S121)。
ファイルが見つかった場合は、ファイルのオープン処理を継続する(S122の判定がイエス、S128)。
ファイルが見つからなかった場合、ファイル管理12は、そのファイルが格納されている媒体が仮想テープか否かを判定する(S123)。
仮想テープでなかった場合、ファイルが見つからなかった旨のエラーを呼び出し元に返却する(S123の判定がノー、S127)。
仮想テープだった場合、ファイル割り当て時に保持していた変更前のファイル割り当て情報を指定して、テープ仮想化制御手段15にファイルの復元を要求する(S123の判定がイエス、S124)。
続いてテープ仮想化制御手段15からの復元の完了通知を待つ(S125)。
完了通知を受け、復元が成功していれば、ファイルのオープン処理を継続し(S125の判定がイエス、S128)、復元に失敗していれば、復元に失敗した旨のエラーを呼び出し元に返却する(S125の判定がノー、S127)。
【0039】
図7に、ファイル管理12から退避または復元要求を受けたときのテープ仮想化制御手段15の動作を示す。
テープ仮想化制御手段15は、退避または復元要求を受けると、要求時に指定されたファイル割り当て情報と退避か復元かを指定して、退避/復元JCL生成手段14にJCLの生成を要求する(S131)。
生成されたJCLが退避/復元JCL生成手段14から返却されると、そのJCLを使用してジョブを実行し(S132)、実行したジョブの終了を待ち合わせる(S133)。
ジョブの終了が通知されると、一次記憶装置16上のファイルを削除し(S134)、ジョブの実行結果を要求元に返却する(S135)。
【0040】
図8に、テープ仮想化制御手段15からJCLの生成要求を受けたときの退避/復元JCL生成手段14の動作を示す。
退避/復元JCL生成手段14は、JCLの生成要求を受けると、要求時に指定されたファイル割り当て情報の媒体名と仮想テープ定義情報24(図3参照)の磁気テープ媒体名が一致する行を検索する(S141)。
要求が退避JCLの生成か否かを判定し(S142)、要求時に指定された退避か復元かの指示に従って、退避JCL雛形18または復元JCL雛形19をオープンする(S143またはS144)。
次に、JCL雛形から1行分のデータを読み込み(S145)、置換キーワードを検索する(S146)。 置換キーワードの検索処理では、例えば、奇数番目に現れた"%"の文字から次に現れた"%"の文字までの文字列を置換キーワードとして抜き出すようにすればよい。
置換キーワードが見つからなければ(S147の判定がノーならば)、出力JCLに書き出す処理(S155)へ進む。
【0041】
置換キーワードが見つかると置換キーワードが予約キーワードか否かを判定する(S147の判定がイエス、S148)。予約キーワードとは、利用者がJCL生成規則53の置換パラメータに指定した置換キーワード以外の文字列で、あらかじめテープ仮想化システム1で予め定義されている文字列を指す。例えば、予約キーワードは"_"で始まる文字列とし、JCL生成規則53に利用者が定義する置換パラメータのキーワードは"_"で始まらない文字列というように規定することで、予約キーワードか否かを区別できるようにしておく。
予約キーワードでなければ、S141で抜き出した行のJCL生成規則53の置換パラメータから一致するキーワードを検索し(S149)、一致するキーワードがある場合は設定されている値で置換し(S150)、キーワードのある位置が行の最後か否かを判定する(S154)。
予約キーワードであれば(S148の判定がイエスであれば)、予約キーワードがファイル割り当て情報の予約キーワードか仮想テープ定義情報の予約キーワードかを判定し(S151)、ファイル割り当て情報のキーワードであれば、ファイル割り当て情報に設定されている値で置換し(S152)、仮想テープ定義情報のキーワードであれば、S141で抜き出した仮想テープ定義情報50(図3参照)に設定されている値で置換する(S153)。
ここで、ファイル割り当て情報の予約キーワードとは、ファイル割り当て記述に指定できるパラメータごとに、内部ファイル名であれば"%_ifn%"、外部ファイル名であれば"%_efn%"、媒体名であれば"%_media%"と規定し、仮想テープ定義情報の予約キーワードとは、JCL生成規則53の置換パラメータ以外の指定に対応するもので、例えば、割り当て先変更規則の媒体名であれば、%_workdisk%と規定しているものとする。
【0042】
行の最後までキーワードの検索が終わっていなければ、S146に進み、行の最後までキーワードの検索が終わっていれば、置換した行を出力JCLに1行書き出す(S154の判定がイエス、S155)。
JCL雛形の最後の行まで読み込んでいたら、JCL雛形をクローズし(S156の判定がイエス、S157)、そうでない場合は、S145に進む。
最後に、生成したJCLをテープ仮想化制御手段15に返却する(S158)。
【0043】
テープ仮想化システム1によれば、磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ磁気テープ代替機能や記憶装置を利用できる。
その理由は、磁気テープ使用ジョブのファイル割り当て時に、割り当て先変換手段13が仮想テープ定義情報24に定義した割り当て先変更規則52を参照してファイル割り当て先を磁気テープ媒体から別の一次記憶装置16に切り替え、一次記憶装置へのデータ出力完了後に、退避/復元JCL生成手段14が仮想テープ定義情報24に定義したJCL生成規則53と退避JCL雛形18とにより、一次記憶装置から二次記憶装置へファイルを退避するための退避JCL20を生成し、それをテープ仮想化制御手段15が実行し、一次記憶装置16の入力に先立って、退避/復元JCL生成手段14が仮想テープ定義情報24に定義したJCL生成規則53と復元JCL雛形19とにより、二次記憶装置17から一次記憶装置16にファイルを復元するための復元JCL21を生成し、それをテープ仮想化制御手段15が実行するためである。
【0044】
次に、図を参照しながら本発明の第2の実施形態であるテープ仮想化システム2の構成と動作について説明する。テープ仮想化システム2の構成と動作は、テープ仮想化システム1と多くの部分が共通するので、共通する部分には図に同じ符号を付して説明を省略する。
図10は、テープ仮想化システム2の機能ブロックである。
テープ仮想化システム2は、退避JCL雛形18と復元JCL雛形19をそれぞれ複数記憶している。そのため、退避/復元JCL生成手段14aの動作と仮想テープ定義情報24aのデータ構造が図1のテープ仮想化システム1と異なっている。
【0045】
退避/復元JCL生成手段14aは、退避JCLの生成要求を受けると、磁気テープ使用ジョブ11に記述された磁気テープ割り当て情報と、仮想テープ定義情報24aに設定されたJCL生成規則に従って、退避JCL雛形18を元に、一次記憶装置16から二次記憶装置17へファイルを退避する退避JCL20を生成する。
また、退避/復元JCL生成手段14は、復元JCLの生成要求を受けると、磁気テープ使用ジョブ11に記述された磁気テープ割り当て情報と、仮想テープ定義情報24aに設定されたJCL生成規則に従って、復元JCL雛形19を元に、二次記憶装置17から一次記憶装置16へファイルを復元する復元JCL21を生成する。
このとき、退避JCL雛形や復元JCL雛形として、仮想テープ定義情報24aのJCL生成規則53aに指定された雛形が使用される。
【0046】
図11に、仮想テープ定義情報24aの一例を示す。
仮想テープ定義情報24aのデータ構造は、図3と基本的には同様であるが、JCL生成規則53aの内容が異なっている。
JCL生成規則53aには、置換パラメータの他に、JCLの生成に用いる退避JCL雛形と復元JCL雛形を指定する記述が含まれている。この記述は、行ごと(磁気テープ使用ジョブごと)に異なる設定とすることができる。
これにより、例えば、「TAPE01」という磁気テープ媒体を使用する磁気テープ使用ジョブは、退避JCL雛形「JCL01」を使ってLTOへファイルを退避することができ(図10の1行目、符号50d)、「TAPE02」という磁気テープ媒体を使用する磁気テープ使用ジョブは、退避JCL雛形「JCL11」を使ってFTPでファイルを退避することができるようになる(図10の2行目、符号50e)。
【0047】
テープ仮想化システム2の動作は、基本的には図4ないし図8に示したテープ仮想化システム1の動作と同様であるが、テープ仮想化制御手段15からJCLの生成要求を受けたときの退避/復元JCL生成手段14の動作が図8の場合と異なっている。
図12は、テープ仮想化制御手段15からJCLの生成要求を受けたときの退避/復元JCL生成手段14aの動作を示すフローチャートである。
退避/復元JCL生成手段14aは、JCLの生成要求を受けると、ファイル割り当て情報の媒体名と仮想テープ定義情報24aの磁気テープ媒体名が一致する行を取得する(S141)。
要求時に指定された退避か復元かの指示に従って(S142)、退避JCL雛形または復元JCL雛形をオープンするが、仮想テープ定義情報24aのJCL生成規則53aに設定されているJCL雛形を使用する(S163またはS164)。
以降のステップS145〜S158は、図8と同じである。
【0048】
テープ仮想化システム2によれば、磁気テープ使用JCLを変更することなく、ホストコンピュータの持つ複数の磁気テープ代替機能や記憶装置から選択して利用できる。
その理由は、仮想テープ定義情報24aに、磁気テープ割り当て情報に応じて異なる退避JCL雛形18と復元JCL雛形19を使用するように設定することで、退避/復元JCL生成手段14aが、磁気テープ使用ジョブ11のファイル割り当て記述に指定した磁気テープ媒体名に応じて、異なる退避ジョブと復元ジョブを実行できるためである。
【0049】
次に、図を参照しながら本発明の第3の実施形態であるテープ仮想化システム3の構成と動作について説明する。テープ仮想化システム3の構成と動作は、テープ仮想化システム1と多くの部分が共通するので、共通する部分には図に同じ符号を付して説明を省略する。
図13は、テープ仮想化システム3の機能ブロックである。
テープ仮想化システム3では、ファイル管理12bのファイル解放時の動作、仮想テープ制御手段15bの退避要求時の動作が図1のテープ仮想化システム1と異なる。また、仮想テープ定義情報24bに退避要求時の動作を決める退避規則が追加されている。さらに、退避状態を管理するための退避状態管理表25が追加されている。
【0050】
ファイル管理12bは、ファイル出力後のファイル解放要求を受けると、テープ仮想化制御手段15bにファイルの退避を要求する。そして、仮想テープ定義情報24bに退避規則がなければ、ファイル退避の完了を待って、ファイルを解放する。仮想テープ定義情報24bに退避規則があれば、ファイル退避の完了を待たずに、ファイルを解放する。
【0051】
テープ仮想化制御手段15bは、ファイルの退避要求を受けると、退避/復元JCL生成手段14に退避JCLの生成を要求する。そして、仮想テープ定義情報24bに退避規則がなければ、生成された退避JCL20を使って、退避ジョブ22を実行し、退避ジョブ22の実行結果を退避要求元に通知する。
仮想テープ定義情報24bに退避規則があれば、退避ジョブ22をただちには実行せず、退避規則に指定されたタイミングで退避ジョブ22を実行する。
【0052】
図15に、仮想テープ定義情報24bの一例を示す。
仮想テープ定義情報24bは、基本的には、図3または図11に示したものと同様であるが、退避規則54が追加されている。退避規則54には、退避ジョブの実行を一次記憶装置16の記憶スペース不足が発生した時に行うか(図15の1行目、符号50g)、または、指定の時刻に行うか(図15の2行目、符号50h)を指定する。指定の時刻に実行する場合は、退避時刻も合わせて設定する。スペース不足が発生した時に退避ジョブを実行する場合、スペース不足と判断するスペース量閾値はテープ仮想化システム3にあらかじめ記憶しておく。
退避規則は、上記以外の条件に基づいて設定しても良い。
【0053】
図18に、退避状態管理表25の一例を示す。
退避状態管理表25は、退避JCL名61、割り当て先変更規則62、退避規則63で構成される。
退避JCL名61には、ファイル解放時に実行しなかった退避ジョブに対応する退避JCLの名前が設定される。
割り当て先変更規則62、退避規則63には、上記退避JCL生成時に参照した仮想テープ定義情報24bの割り当て先変更規則52と退避規則54を保存する。
【0054】
次に、図16、図17、図19、図20のフローチャートを参照してテープ仮想化システム3の動作について詳細に説明する。
図16に、磁気テープ使用ジョブ11が一次記憶装置16上のファイルにデータを出力した後、ファイルの解放要求を行ったときのファイル管理12bの動作を示す。
ファイル管理12bの動作は、図5のS113とS114の間に、S181ないしS183が追加されたものである。
ファイル管理12bは、テープ仮想化制御手段15bにファイルの退避要求を行った後、仮想テープ定義情報24bから、ファイル割り当て情報の媒体名と仮想テープ定義情報の磁気テープ媒体名が一致する行を検索する(S181)。
仮想テープ定義情報24bの退避規則54を参照し(S182)、退避規則がなければ(S183の判定がノーならば)、テープ仮想化制御手段15bからの退避の完了通知を待ち(S114)、退避完了後にファイルを解放する(S115)。
退避規則があれば(S183の判定がイエスならば)、退避完了を待たずにファイルを解放する(S115)。
【0055】
図17に、ファイル管理12bから退避/復元要求を受けたときのテープ仮想化制御手段15bの動作を示す。
テープ仮想化制御手段15bの動作は、図7のS131とS132の間に、ステップS191ないしS197が追加されたものである。
テープ仮想化制御手段15bは、退避/復元JCLの生成要求後、仮想テープ定義情報24bから、ファイル割り当て情報の媒体名と仮想テープ定義情報の磁気テープ媒体名が一致する行を検索する(S191)。
退避要求でなければ(S192の判定がノーならば)、復元ジョブを実行しその結果を要求元に返却する(S132ないしS135)。
退避要求であれば(S192の判定がイエスならば)、仮想テープ定義情報24bの退避規則54を参照する(S193)。
仮想テープ定義情報24bに、退避規則がなければ(S194の判定がノーならば)、退避ジョブを実行しその結果を要求元に返却する(S132ないしS135)。
退避規則があれば(S194の判定がイエスならば)、退避JCL名、割り当て先変更規則、退避規則を退避状態管理表25に保存する(S195)。なお、生成した退避JCL20にはテープ仮想化システム3で一意に識別できる名前を付与するものとする。
退避規則が時刻指定であれば(S196の判定がイエスならば)、退避時刻にタイマーを設定し(S197)、処理を終了する。
退避規則が時刻指定でなければ(S196の判定がノーならば)、タイマーの設定は行わずに処理を終了する。
【0056】
図19に、実行されずに退避状態管理表25に保存された退避ジョブが、スペース監視により実行されるときの動作を示す。
テープ仮想化制御手段15bは、割り当て先変更規則に設定されている一次記憶装置16のスペースを監視し(S201)、記憶スペース使用量があらかじめ規定された閾値を超えているか否か判定する(S202)。スペース監視のタイミングは、例えば、インターバルで一次記憶装置16のスペース使用量を取得する方法でもよいし、一次記憶装置16に閾値を超えたことを通知する仕組みを設けるようにしても良い。
閾値を超えたことを検出すると、テープ仮想化制御手段15bは、退避状態管理表25から、退避規則63がスペース監視で、割り当て先変更規則62の媒体名が閾値を超えた一次記憶装置16と一致する行を検索する(S203)。
上記の条件を満たす行が見つかった場合、その行の退避JCL名61に設定されている退避JCLを使って、退避ジョブを実行する(S204の判定がイエス、S205)。退避ジョブの実行が終了すると(S206)、実行した退避JCL、退避状態管理表25の検索条件と一致した行、一次記憶装置16上のファイルを削除する(S207、S208)。退避状態管理表25の最後の行まで検索が終わっていなければ(S209の判定がノーならば)、S203に戻る。
【0057】
図20に、実行されずに退避状態管理表25に保存された退避ジョブが、タイムアウトにより実行されるときの動作を示す。
テープ仮想化制御手段15bは、テープ仮想化制御手段15bが図17のS197でタイマーに設定した時刻になりタイムアウト通知を受けると、タイムアウト時刻を取得する(S211)。
退避状態管理表25から退避規則63に時刻指定が含まれ、かつ、そこに記憶された退避時刻がS211で取得したタイムアウト時刻と一致する行を検索する(S212)。
上記の条件を満たす行が見つかった場合、その行の退避JCL名61に設定されている退避JCLを使って、退避ジョブを実行する(S213の判定がイエス、S214)。退避ジョブの実行が終了すると(S215)、実行した退避JCL、退避状態管理表25の検索条件に一致した行、一次記憶装置16上のファイルを削除する(S216、S217)。退避状態管理表25の最後の行まで検索が終わっていなければ(S218の判定がノーならば)、S212に戻る。
【0058】
テープ仮想化システム3によれば、磁気テープ使用ジョブの実行時間を短縮することができる。
その理由は、仮想テープ定義情報24bに、一次記憶装置16から二次記憶装置17への退避タイミングを指定する条件、例えば指定時刻や一次記憶装置16の記憶用容量不足、を設定することで、テープ仮想化制御手段15bは、二次記憶装置17へのファイル退避を待たずに一次記憶装置16へのデータ出力が完了した時点で磁気テープ使用ジョブを終了することができるためである。
【実施例】
【0059】
次に、具体的な実施例を用いてテープ仮想化システム1の動作を説明する。
図3に示すように、仮想テープ定義情報24の磁気テープ媒体名が「TAPE01」に対応する行(符号50a)には、割り当て先変更規則として、一次記憶装置の装置種別が「磁気ディスク」、媒体名が「WORKDISK1」と設定されている。
また、JCL生成規則には、置換パラメータとして、「poolid=POOL01」と設定されている。これは、図8のJCL生成処理(S150)において、JCL雛形に「%poolid%」という文字列(キーワード)が見つかった場合に「POOL01」という文字列で置き換えることを意味する。
【0060】
次に図9(a)に示すように、ファイル割り当て記述57に、内部ファイル名が「IFN01」、外部ファイル名が「FILE01」、装置種別が「磁気テープ」、媒体名が「TAPE01」と記述された磁気テープ使用ジョブ11を使ってジョブを実行した場合の動作を説明する。
なお、退避JCL雛形18は、図9(b)に示すように「INFILE」パラメータに指定された磁気ディスク上のファイルを、「POOLID」に指定されたLTO媒体上のファイルにバックアップする退避ジョブのJCL雛形である。退避ジョブの詳細な仕組みは、周知の技術であるから説明を省略する。
【0061】
まず、このジョブが磁気テープファイルへの出力処理を行ったときの動作例を説明する。
ファイルの割り当て要求では、図4のフローチャートに従って、仮想テープ定義情報24の媒体名が「TAPE01」に対応する行(図3の50a)が検索され、割り当て先変更規則52に従って、ファイルの割り当て先が、装置種別が「磁気ディスク」、媒体名が「WORKDISK1」に変更される。
以降のファイルのオープン、データの出力、ファイルのクローズ要求は、上記「WORKDISK1」上のファイル「FILE01」に対して処理される。
【0062】
ファイルの解放要求では、図5、図7、図8のフローチャートに従って、退避JCLが生成され、退避ジョブとして実行される。
このときの退避JCLの生成例を説明する。
テープ仮想化システム1のJCL生成時の予約キーワードとして、ファイル割り当て情報40の外部ファイル名は「%_efn%」、仮想テープ定義情報24の割り当て先変更規則52の媒体名は「%_workdisk%」とあらかじめ規定されているものとする。
ファイル割り当て情報40の行40a(図2(b))の外部ファイル名42より、退避JCL雛形18の「%_efn%」という文字列は「FILE01」という文字列に置き換えられ、仮想テープ定義情報24の行50a(図3)の割り当て先変更規則52より、図9(b)の退避JCL雛形18の「%_workdisk%」という文字列は「WORKDISK1」という文字列に置き換えられ、仮想テープ定義情報24の行50aのJCL生成規則53の置換パラメータより、退避JCL雛形18の「%poolid%」という文字列は「POOL01」という文字列に置き換えられ、図9(b)に示す退避JCL20が生成される。
【0063】
このJCLを使ってジョブを実行することにより、磁気ディスク媒体「WORKDISK1」(一時記憶装置16)上のファイル「FILE01」が、LTO媒体「POOL01」(二次記憶装置17)上のファイル「FILE01」にバックアップされる。このジョブの実行が終了すると、磁気ディスク媒体「WORKDISK1」上のファイル「FILE01」は削除され、退避ジョブの終了がファイル管理12に通知されると、ファイルが解放される。
【0064】
次に、磁気テープファイルの入力処理を行う磁気テープ使用ジョブ11を実行したときの動作例を説明する。
ファイル割り当て要求では、磁気テープファイルへの出力処理の場合と同じである。
ファイルの入力オープンの要求では、図6、図7、図8のフローチャートに従って、復元JCL21が生成され、ジョブとして実行される。復元JCLの生成は、図9の退避JCL雛形が復元JCL雛形のものに変わるだけなので、説明は省略する。
復元ジョブを実行することにより、LTO媒体「POOL01」(二次記憶装置17)上のファイル「FILE01」が、磁気ディスク媒体「WORKDISK1」(一時記憶装置16)上のファイル「FILE01」にリストアされる。このジョブの実行が終了すると、復元ジョブの終了がファイル管理12に通知され、ファイルのオープン処理が行われる。
以降のデータの入力、ファイルのクローズ、ファイルの解放要求は、上記「WORKDISK1」上のファイル「FILE01」に対して処理される。
【0065】
次に、具体的な実施例を用いてテープ仮想化システム2の動作を説明する。
図11に示すように、仮想テープ定義情報24aの磁気テープ媒体名51が「TAPE02」に対応する行50eには、割り当て先変更規則として、一次記憶装置16の装置種別が「磁気ディスク」、媒体名が「WORKDISK1」と設定されている。また、JCL生成規則53aには、退避JCL雛形として「JCL11」、復元JCL雛形として「JCL12」が設定され、置換パラメータとして、「ipaddr=123.456.789.123、user=user01、pswd=3245h9af、directory=/home/user01、workfile=GRP1.USER01」が設定されている。
これは、図12のJCL生成処理において、退避JCLの雛形には「JCL11」というJCLを使用し、復元JCLの雛形には「JCL12」を使用することを意味する。また、置換パラメータに指定されたキーワードが雛形JCLから見つかれば対応する文字列で置き換えることを意味する。
【0066】
次に図14(a)に示すように、ファイル記述58に、内部ファイル名が「IFN02」、外部ファイル名が「FILE02」、装置種別が「磁気テープ」、媒体名が「TAPE02」と記述された磁気テープ使用JCLを実行した場合のJCLの生成例を説明する。
なお、図14(b)に示す退避JCL雛形18は、「INFILE」パラメータに指定された磁気ディスク上のファイルを、指定されたIPアドレスのマシンの指定されたフォルダにFTPで格納する退避ジョブのJCL雛形である。
【0067】
テープ仮想化システム2のJCL生成時の予約キーワードとして、ファイル割り当て情報の外部ファイル名は「%_efn%」、仮想テープ定義情報の割り当て先変更規則の媒体名は「%_workdisk%」とあらかじめ規定されているものとする。
テープ仮想化システム1のJCL生成処理と同様に、退避JCL雛形18の「%_efn%」という文字列は「FILE02」という文字列に、「%_workdisk%」という文字列は「WORKDISK1」という文字列に、「%ipaddr%」という文字列は「123.456.789.123」という文字列に、「%user%」という文字列は「user01」という文字列に、「%pswd%」という文字列は「245h9af」という文字列に、「%directory%」という文字列は「/home/user01」という文字列に、「%workfile%」という文字列は「GRP1.USER01」という文字列に、それぞれ置き換えられて、図14(b)の退避JCL20が生成される。
この退避JCLを使ってジョブを実行することにより、磁気ディスク媒体「WORKDISK1」(一時記憶装置16)上のファイル「FILE02」が、IPアドレスが「123.456.789.123」というサーバのディスク装置(二次記憶装置17)上の「/home/user01」というフォルダにFTPで転送される。
【0068】
次に、具体的な実施例を用いてテープ仮想化システム3の動作を説明する。
図15に示すように、仮想テープ定義情報24bの磁気テープ媒体名が「TAPE01」に対応する行50gには、退避規則54に、スペース監視で退避するように設定されている。
また、磁気テープ媒体名が「TAPE02」に対応する行50hには、退避規則54に、時刻指定が設定され退避時刻が「23:00」に設定されている。
これらの設定がされているシステムで、図9(a)と図14(a)の例にあるファイル割り当て記述を持つ磁気テープにデータを出力するジョブを実行した場合、それぞれの磁気テープ使用ジョブは一次記憶装置16へファイルを格納したところで終了し、二次記憶装置17への退避は行われない。このとき作成した退避JCLはそれぞれ「退避JCL_001」、「退避JCL_002」という名前で退避状態管理表25に保存される。また、退避時刻の指定に従い「23:00」にタイマーが設定される。
【0069】
テープ仮想化制御手段15bが「WORKDISK1」のスペース使用量が閾値を超えたことを検出すると、退避状態管理表25から、退避規則63がスペース監視で、割り当て先変更規則62の媒体名が「WORKDISK1」である行を検索する。
次に、見つかった行60aの退避JCL名61に指定されている「退避JCL_001」というJCLを使って退避ジョブを実行する。
【0070】
また、テープ仮想化制御手段15bが23:00にタイムアウトの通知を受けると、退避状態管理表25から、退避規則53が時刻指定かつ退避時刻が23:00である行を検索する。
次に、見つかった行60bの退避JCL名61に指定されている「退避JCL_002」というJCLを使って退避ジョブを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態であるテープ仮想化システムの構成図である。
【図2】図2(a)は、JCLに記載するファイル割り当て記述の例を示す図である。図2(b)は、ファイル割り当て情報の例を示す図である。
【図3】仮想テープ定義情報の例を示す図である。
【図4】ファイル割り当て時のファイル管理および割り当て先変換手段の動作を示すフローチャートである。
【図5】ファイル解放時のファイル管理の動作を示すフローチャートである。
【図6】ファイルの入力オープン時のファイル管理の動作を示すフローチャートである。
【図7】退避/復元要求時のテープ仮想化制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図8】JCL生成時の退避/復元JCL生成手段の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9(a)は、磁気テープ使用JCLのファイル割り当て記述例を示す図である。図9(b)は、生成される退避JCLの例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態であるテープ仮想化システムの構成図である。
【図11】図10のテープ仮想化システムにおける仮想テープ定義情報の例を示す図である。
【図12】図10のテープ仮想化システムにおけるJCL生成時の退避/復元JCL生成手段の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態であるテープ仮想化システムの構成図である。
【図14】図14(a)は、図13のテープ仮想化システムにおける磁気テープ使用JCLのファイル割り当て記述例を示す図である。図14(b)は、図13のテープ仮想化システムで生成される退避JCLの例を示す図である。
【図15】図13のテープ仮想化システムにおける仮想テープ定義情報の例を示す図である。
【図16】図13のテープ仮想化システムにおけるファイル解放時のファイル管理の動作を示すフローチャートである。
【図17】図13のテープ仮想化システムにおける退避/復元要求時のテープ仮想化制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図18】図13の退避状態管理表の例を示す図である。
【図19】図13のテープ仮想化システムにおける一次記憶装置のスペース監視時のテープ仮想化制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図20】図13のテープ仮想化システムにおけるタイムアウト通知時のテープ仮想化制御手段の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1、2、3 テープ仮想化システム
11 磁気テープ使用ジョブ
12、12b ファイル管理
13 割り当て先変換手段
14、14a 退避/復元JCL生成手段
15、15b テープ仮想化制御手段
16 一次記憶装置
17 二次記憶装置
18 退避JCL雛形
19 復元JCL雛形
20 退避JCL
21 復元JCL
22 退避ジョブ
23 復元ジョブ
24、24a、24b 仮想テープ定義情報
25 退避状態管理表
26 JCL雛形記憶部
27 仮想テープ定義情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープ媒体名、この磁気テープ媒体名と一次記憶装置を対応付ける規則である割り当て先変更規則および前記一次記憶装置から二次記憶装置への前記ファイルの退避を制御する退避JCLと前記二次記憶装置から前記一次記憶装置への前記ファイルの復元を制御する復元JCLを生成する規則であるJCL生成規則を含む仮想テープ定義情報を記憶する仮想テープ定義情報記憶部と、
前記退避JCLを生成するための雛形である退避JCL雛形と前記復元JCLを生成するための雛形である復元JCL雛形を記憶するJCL雛形記憶部と、
ホストコンピュータの磁気テープ使用ジョブから前記磁気テープ媒体へのファイルの割り当て要求があったときに、前記仮想テープ定義情報を参照し前記ファイルの割当先を前記磁気テープ媒体から前記一次記憶装置に変換する割り当て先変換手段と、
前記磁気テープ使用ジョブから前記ファイルの解放要求があったときに、前記テープ使用ジョブに記述されたファイル割り当て情報と前記退避JCL雛形と前記JCL生成規則に基づいて前記退避JCLを生成し、前記磁気テープ使用ジョブから前記ファイルの入力オープン要求があったときに、前記ファイル割り当て情報と前記復元JCL雛形と前記JCL生成規則に基づいて前記復元JCLを生成する退避/復元JCL生成手段と、
前記退避JCLに基づいて前記ファイルの退避を実行し、前記復元JCLに基づいて前記ファイルの復元を実行するテープ仮想化制御手段とを備えたことを特徴としたテープ仮想化システム。
【請求項2】
前記JCL雛形記憶部には、複数の前記退避JCL雛形と複数の前記復元JCL雛形が記憶され、
前記仮想テープ定義情報には、前記磁気テープ媒体毎に使用する前記退避JCL雛形と前記復元JCL雛形を特定する情報が含まれていることを特徴とした請求項1に記載のテープ仮想化システム。
【請求項3】
前記仮想テープ定義情報には、前記磁気テープ媒体毎に前記退避JCLの実行の契機となる条件である退避規則が含まれ、
前記テープ仮想化制御手段は、前記磁気テープ媒体毎に指定された前記退避規則に従って前記退避JCLを実行することを特徴とした請求項1または請求項2に記載のテープ仮想化システム。
【請求項4】
前記退避規則は、前記一次記憶装置の使用記憶容量が所定の閾値を越えたときに前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項3に記載のテープ仮想化システム。
【請求項5】
前記退避規則は、所定の時刻に前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項3に記載のテープ仮想化システム。
【請求項6】
磁気テープ媒体名、この磁気テープ媒体名と一次記憶装置を対応付ける規則である割り当て先変更規則および前記一次記憶装置から二次記憶装置への前記ファイルの退避を制御する退避JCLと前記二次記憶装置から前記一次記憶装置への前記ファイルの復元を制御する復元JCLを生成する規則であるJCL生成規則を含む仮想テープ定義情報を予め記憶装置に記憶する記憶工程と、
ホストコンピュータの磁気テープ使用ジョブから前記磁気テープ媒体への前記ファイルの割り当て要求があったときに、前記仮想テープ定義情報を参照し前記ファイルの割当先を前記磁気テープ媒体から前記一次記憶装置に変換する割り当て先変換工程と、
前記磁気テープ使用ジョブから前記ファイルの解放要求があったときに、前記テープ使用ジョブに記述されたファイル割り当て情報と前記退避JCL雛形と前記JCL生成規則に基づいて前記退避JCLを生成し、前記磁気テープ使用ジョブから前記ファイルの入力オープン要求があったときに、前記ファイル割り当て情報と前記復元JCL雛形と前記JCL生成規則に基づいて前記復元JCLを生成する退避/復元JCL生成工程と、
前記退避JCLに基づいて前記ファイルの退避を実行し、前記復元JCLに基づいて前記ファイルの復元を実行するテープ仮想化制御工程とを備えたことを特徴としたテープ仮想化方法。
【請求項7】
前記記憶工程では、複数の前記退避JCLと複数の前記復元JCLを前記記憶装置に記憶し、
前記仮想テープ定義情報には、前記磁気テープ媒体毎に使用する前記退避JCL雛形と前記復元JCL雛形を特定する情報が含まれていることを特徴とした請求項6に記載のテープ仮想化方法。
【請求項8】
前記仮想テープ定義情報には、前記磁気テープ媒体毎に前記退避JCLの実行の契機となる条件である退避規則が含まれ、
前記テープ仮想化制御工程では、前記磁気テープ媒体毎に指定された前記退避規則に従って前記退避JCLを実行することを特徴とした請求項6または請求項7のいずれかひとつに記載のテープ仮想化方法。
【請求項9】
前記退避規則は、前記一次記憶装置の使用記憶容量が所定の閾値を越えたときに前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項8に記載のテープ仮想化方法。
【請求項10】
前記退避規則は、所定の時刻に前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項8に記載のテープ仮想化方法。
【請求項11】
コンピュータに、
磁気テープ媒体名、この磁気テープ媒体名と一次記憶装置を対応付ける規則である割り当て先変更規則および前記一次記憶装置から二次記憶装置への前記ファイルの退避を制御する退避JCLと前記二次記憶装置から前記一次記憶装置への前記ファイルの復元を制御する復元JCLを生成する規則であるJCL生成規則を含む仮想テープ定義情報を予め記憶装置に記憶する記憶機能と、
ホストコンピュータの磁気テープ使用ジョブから前記磁気テープ媒体への前記ファイルの割り当て要求があったときに、前記仮想テープ定義情報を参照し前記ファイルの割当先を前記磁気テープ媒体から前記一次記憶装置に変換する割り当て先変換機能と、
前記磁気テープ使用ジョブから前記ファイルの解放要求があったときに、前記テープ使用ジョブに記述されたファイル割り当て情報と前記退避JCL雛形と前記JCL生成規則に基づいて前記退避JCLを生成し、前記磁気テープ使用ジョブから前記ファイルの入力オープン要求があったときに、前記ファイル割り当て情報と前記復元JCL雛形と前記JCL生成規則に基づいて前記復元JCLを生成する退避/復元JCL生成機能と、
前記退避JCLに基づいて前記ファイルの退避を実行し、前記復元JCLに基づいて前記ファイルの復元を実行するテープ仮想化制御機能とを実行させることを特徴としたテープ仮想化プログラム。
【請求項12】
前記記憶機能は、複数の前記退避JCLと複数の前記復元JCLを前記記憶装置に記憶するものであり、
前記仮想テープ定義情報には、前記磁気テープ媒体毎に使用する前記退避JCL雛形と前記復元JCL雛形を特定する情報が含まれていることを特徴とした請求項11に記載のテープ仮想化プログラム。
【請求項13】
前記仮想テープ定義情報には、前記磁気テープ媒体毎に前記退避JCLの実行の契機となる条件である退避規則が含まれ、
前記テープ仮想化制御機能は、前記磁気テープ媒体毎に指定された前記退避規則に従って前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項11または請求項12に記載のテープ仮想化プログラム。
【請求項14】
前記退避規則は、前記一次記憶装置の使用記憶容量が所定の閾値を越えたときに前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項13に記載のテープ仮想化プログラム。
【請求項15】
前記退避規則は、所定の時刻に前記退避JCLを実行するものであることを特徴とした請求項13に記載のテープ仮想化プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−272316(P2007−272316A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94274(P2006−94274)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】