説明

テープ印字装置、テープ印字装置のテープ切断方法及びそのテープ切断方法を実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体

【課題】 テープ部材に施すフルカット処理又はハーフカット処理の切断処理の種類の指定、及びテープ部材における切断位置の指定を簡単に寸法精度よく行うことができるテープ印字装置、そのテープ印字装置のテープ切断方法、及び、そのテープ切断方法を実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体を提供する。
【解決手段】 テープ印字装置は、プレビュー画面に表示されるキャラクタのデータの印刷イメージにおいてタッチパネルの入力操作位置に基づいてテープ部材における切断位置を設定し、その手書き入力された線図に基づいてテープ部材に対する切断の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印字装置と、該テープ印字装置においてテープ部材を切断する方法と、テープ部材を切断する方法をテープ印字装置に実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
印字テープと剥離テープとを積層してなるテープ部材を収納したテープカセットを装置内にセットし、そのテープ部材の印字テープに対して、キーボード等の入力手段から入力された、或いは他の機器から出力された文字等を印字することで、固有のラベルを作成する装置としてテープ印字装置がある。
【0003】
このようなテープ印字装置では、テープ部材に印字を行い、その印字済み部分であるラベル領域をテープ部材から切り離すフルカット処理を行うが、出来上がったラベルの印字テープ部分を剥離テープ部分から剥離し易くするために、ラベル領域内において、ハーフカット手段によって印字テープのみを切断するハーフカット処理を行うものがある。
【0004】
しかしながら、上記テープ印字装置では、ハーフカットがラベルにおける印字テープ部分の剥離し易さを目的としているため、ハーフカット位置が常にラベル領域の定位置になっていた。そこで、下記の特許文献1には、印字テープの所望の位置にハーフカットを行うことができるようにして、印字テープの剥離テープからの剥離し易さを維持しつつ、所望の長さのラベルを作成することができるテープ印字装置が提案されている。また、このテープ印字装置では、ハーフカットの場合と同様にフルカット位置も所望の位置に指定できるようにしている。すなわち、上記テープ印字装置では、先ずカットの種類を設定する画面において、フルカット又はハーフカットを指定し、更に、そのハーフカット又はフルカット位置を、長さ指定、分割指定、段落指定又は文字指定の何れかによって指定するものである。つまり、長さ指定では、長さ寸法の入力によって切断位置を指定し、分割指定では、ラベル領域を分割する分割数の入力によってラベル領域の分割位置でカット位置を指定し、段落指定及び前記文字指定では、カーソル操作によって表示画面に表示される文字列の段落単位、或いは文字単位でカット位置を指定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−285486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1のテープ印字装置では、設定画面において、フルカット又はハーフカットの何れかのカットの種類を選択し、更に、選択したカット処理におけるテープカット位置を設定するべく、選択画面における選択操作、或いは寸法入力操作、或いは編集画面上でのカーソル移動操作などを行う必要があり、そのテープ切断のための設定に手間がかかり、面倒であった。また、必ずしも使用者が所望する寸法精度で切断位置を指定することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、テープ部材に施すフルカット処理又はハーフカット処理の切断処理の種類の指定、及びテープ部材における切断位置の指定を簡単に寸法精度よく行うことができるテープ印字装置、そのテープ印字装置のテープ切断方法、及びそのテープ切断方法を実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るテープ印字装置は、印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される前記テープ部材に印字を行う印字手段と、該印字手段によって印字された前記テープ部材のラベル領域を前記テープ部材から切り離すべく印字テープ及び剥離テープを共に切断するフルカット手段と、前記ラベル領域において印字テープのみを切断するハーフカット手段とを備えたテープ印字装置であって、前記テープ部材に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力されたキャラクタのデータの前記テープ部材における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示画面に表示する表示手段と、前記表示手段の表示画面上に設けられ、その表示画面に前記プレビュー画面が表示された状態で手書き入力操作によって前記テープ部材の切断に関する情報を入力するタッチパネルと、前記プレビュー画面に表示される前記キャラクタのデータの印刷イメージ上において前記タッチパネルの入力操作位置に基づいて前記テープ部材における切断位置を設定すると共に、その手書き入力された線図に基づいて前記テープ部材に対する切断処理の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定手段と、前記搬送手段、前記印字手段、前記フルカット手段及び前記ハーフカット手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記搬送手段に前記テープ部材を搬送させつつ、前記印字手段に前記キャラクタのデータに基づいて印字を行わせると共に、前記切断設定手段によって設定された切断位置及び切断種類の情報に基づいて、前記テープ部材に設定される切断位置で前記フルカット手段又は前記ハーフカット手段を動作させることを特徴とする。
【0009】
前記プレビュー画面は、前記切断設定手段の設定に基づいて、フルカット及び/又はハーフカットを表わすカットイメージを、前記キャラクタのデータの印刷イメージ上の設定された切断位置に表示するように構成されることを特徴とする。
【0010】
前記プレビュー画面は、前記タッチパネルに対する所定の操作に基づいて、前記キャラクタのデータの印刷イメージを前記テープ部材の長さに沿った一方の方向及び他方の方向にスクロール表示可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
前記プレビュー画面は、前記タッチパネルに対する前記所定の操作とは異なる操作に基づいて、スクロール表示中の前記キャラクタのデータの印刷イメージの移動を停止可能に構成していることを特徴とする。
【0012】
前記切断設定手段は、前記タッチパネルの手書き入力操作によって描画される線図の線種を判別する描画線種判別手段を備え、前記描画線種判別手段によって判別された線種に応じてフルカット又はハーフカットの切断種類を設定することを特徴とする。
【0013】
前記切断設定手段は、前記タッチパネルの手書き入力操作時の操作筆圧を検知する筆圧検知手段を備え、前記筆圧検知手段によって得られた筆圧レベルに応じてフルカット又はハーフカットの切断種類を設定することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るテープ印字装置におけるテープ切断方法は、印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される前記テープ部材に印字を行う印字手段と、該印字手段によって印字された前記テープ部材のラベル領域を前記テープ部材から切り離すべく印字テープ及び剥離テープを共に切断するフルカット手段と、前記ラベル領域において印字テープのみを切断するハーフカット手段とを備えたテープ印字装置におけるテープ切断方法であって、前記テープ部材に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力するキャラクタ入力処理と、前記キャラクタ入力処理によって入力されたキャラクタのデータの前記テープ部材における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示画面に表示する表示処理と、前記表示処理によって前記プレビュー画面が表示された状態で、前記表示画面上に設けられるタッチパネルからの手書き入力操作によって前記テープ部材の切断に関する情報を入力する切断情報入力処理と、前記プレビュー画面に表示される前記キャラクタのデータの印刷イメージ上において前記タッチパネルの入力操作位置に基づいて前記テープ部材における切断位置を設定すると共に、その手書き入力された線図に基づいて前記テープ部材に対する切断処理の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定処理と、前記搬送手段によって搬送されるテープ部材に対して前記印字手段によって印字が行われる印字中、又はその印字後に、前記切断設定処理によって設定された切断位置及び切断種類の情報に基づいて、前記テープ部材に設定される切断位置で前記フルカット手段又はハーフカット手段を動作させて前記テープ部材に対してフルカット又はハーフカットを行うテープ切断処理と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記テープ切断方法において、更に、前記切断設定処理の設定に基づいてフルカット及び/又はハーフカットを表わすカットイメージを、前記キャラクタのデータの印刷イメージ上の設定された切断位置に表示する切断設定確認処理を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る記録媒体は、印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される前記テープ部材に印字を行う印字手段と、該印字手段によって印字された前記テープ部材のラベル領域を前記テープ部材から切り離すべく印字テープ及び剥離テープを共に切断するフルカット手段と、前記ラベル領域において印字テープのみを切断するハーフカット手段とを備えたテープ印字装置におけるテープ切断方法を実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記テープ部材に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力するキャラクタ入力処理と、前記キャラクタ入力処理によって入力されたキャラクタのデータの前記テープ部材における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示画面に表示する表示処理と、前記表示処理によって前記プレビュー画面が表示された状態で、前記表示画面上に設けられるタッチパネルからの手書き入力操作によって前記テープ部材の切断に関する情報を入力する切断情報入力処理と、前記プレビュー画面に表示される前記キャラクタのデータの印刷イメージ上において前記タッチパネルの入力操作位置に基づいて前記テープ部材における切断位置を設定すると共に、その手書き入力された線図に基づいて前記テープ部材に対する切断処理の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定処理と、前記搬送手段によって搬送されるテープ部材に対して前記印字手段によって印字が行われる印字中、又はその印字後に、前記切断設定処理によって設定された切断位置及び切断種類の情報に基づいて、前記テープ部材に設定される切断位置で前記フルカット手段又はハーフカット手段を動作させて前記テープ部材に対してフルカット又はハーフカットを行うテープ切断処理と、を行うテープ印字装置におけるテープ切断方法を実現するためのプログラムが記憶されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テープ部材に施すフルカット処理又はハーフカット処理の切断処理の種類、及びテープ部材における切断位置の指定を所定の簡単な操作によって同時に行うことができるテープ印字装置、そのテープ印字装置のテープ切断方法、及びそのテープ切断方法を実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体を提供することができる。また、テープ部材に対して寸法精度よく切断位置を指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係るテープ印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係るテープ印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るテープ印字装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例におけるプレビュー表示中のスクロール方向を切り替える操作に関する説明図である。
【図5】本発明の実施例におけるプレビュー表示中にフルカット位置を指定する操作に関する説明図である。
【図6】本発明の実施例におけるプレビュー表示中にハーフカット位置を指定する操作に関する説明図である。
【図7】本発明の実施例におけるプレビュー表示中に既に指定された切断位置をキャンセルさせる操作に関する説明図である。
【図8】本発明の実施例に係るテープ印字装置でのラベル作成の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例に係るテープ印字装置により作成されるラベルの切断設定処理の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。テープ印字装置1は、印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材31を搬送し印字を行い、テープ部材31の全層を切断するフルカット手段とされるフルカット機構17と、上記印字テープだけを切断するハーフカット手段とされるハーフカット機構18と、を備える。また、テープ印字装置1は、テープ部材31に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力する入力手段としての入力部3と、入力部3によって入力されたキャラクタのデータのテープ部材31における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示する表示手段とされる表示部4と、を備える。更に、テープ印字装置1は、表示部4の表示画面上に設けられ表示画面にプレビュー画面が表示された状態でテープ部材31の切断に関する情報を手書き操作により入力するタッチパネル60と、入力部3やタッチパネル60によって入力されたキャラクタのデータから印字データを生成する印字データ生成手段として機能する制御部40と、を備える。そして、制御部40は、タッチパネル60の設定入力によりテープ部材31の切断種類と切断位置を同時に設定する切断設定手段としても機能する。また、制御部40は、フルカット機構17、ハーフカット機構18、入力部3、表示部4、タッチパネル60、及び上記印字データ生成手段を制御してテープ部材31を上記切断設定手段で設定した切断位置で切断する制御手段としても機能する。
【0020】
更に、テープ印字装置1における表示部4は、プレビュー画面を表示させた際に、タッチパネル60への入力操作により該印字情報を左右に移動させるスクロール表示を可能としている。
【0021】
また、テープ印字装置1における表示部4は、プレビュー画面を左右に移動させるスクロール表示をタッチパネル60への入力操作により停止可能としている。
【0022】
更に、テープ印字装置1における制御部40は、タッチパネル60の手書き入力操作によって描画される線図の描画時の描画線種判別手段としても機能する。そして、描画線種判別手段は、切断位置における切断種類を判別する。
【0023】
また、テープ印字装置1における制御部40は、タッチパネル60の手書き入力操作によって描画される描画時の操作筆圧を検知する筆圧検知手段としても機能する。そして、筆圧検知手段は、得られた筆圧レベルで切断位置での切断種類を判別する。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係るテープ印字装置1の平面図であり、図2は、このテープ印字装置1に使用するテープカセット21の外観及びテープ印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。テープ印字装置1は、表面に印字面を備え裏面が粘着面とされた印字テープと、粘着面に貼付される剥離テープと、が積層されて形成されたテープ部材31に文字等を印字する装置である。
【0025】
このテープ印字装置1は、図1に示すように、筐体2の上面に入力部3、表示部4及びカセット装填部8を開閉可能に覆う開閉蓋5が設けられている。また、図示しないが、筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子、電源コードが接続される電源端子、メモリーカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も形成されている。
【0026】
入力部3は、文字データを入力する文字入力キー、印字開始を指示する印字キー、入力文字を確認するために表示部4にプレビュー表示させるための印刷プレビューキー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印字モードの設定や各種設定処理を行なう種々の制御キーによって構成されている。表示部4は、液晶表示装置であり、入力された文字や記号などのキャラクタのデータを表示したり、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等を表示する。
【0027】
また、このテープ印字装置1は、手書き認識用のタッチパネル60を、表示部4の表示画面上に備える。そして、テープ印字装置1は、タッチパネル60への入力操作のためにタッチペン64を有する。
【0028】
図1に図示するように、表示部4は表示範囲の小さい小型の液晶パネルであるため、入力編集画面では、入力される文字や記号などのキャラクタのデータの数が画面内に表示可能な数を超えると入力順に画面外にオーバーフローするようになっている。また、ラベルに印字すべきキャラクタのデータの入力編集後、そのラベルの印刷イメージをプレビュー表示する場合には、テープ長方向にラベルの印刷イメージをスクロール表示して画面の表示範囲を超えるラベルの印刷イメージを表示可能にしている。
【0029】
開閉蓋5の内側には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。また、カセット装填部8内には、テープ印字機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。このテープ印字機構45は、縦方向に配列された印字素子と、印字ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間でテープ部材31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸13と、を備える。
【0030】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印字テープ及び剥離テープを幅方向に切断するフルカット手段としてのフルカット機構17と、テープ部材31の印字テープのみを切断するハーフカット手段としてのハーフカット機構18が組み込まれている。
【0031】
更に、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0032】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。また、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別する所定のテープ種別検出スイッチ16が形成されている。そして、テープ印字装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ種別検出スイッチ16の幾つか、或いは全部が係合し、係合したテープ種別検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ種別検出スイッチ16の組み合わせによってテープカセット21のテープ幅、テープ色等の種類を判別できるようになっている。
【0033】
つまり、このテープ印字装置1は、テープカセット21の種類が内蔵するテープ部材31の種類やテープ部材31の幅によって異なるため、このテープカセット21の種類を判別することによって、印字対象物であるテープの幅、テープ色等を識別することができ、制御部40がテープ幅に適合した印字データを作成することができるようになっている。
【0034】
このテープ印字装置1は、印字の指示がされると、テープ部材31及びインクリボン35をテープカセット21から繰り出し、プラテンローラ12とサーマルヘッド11の間にこれらのテープ部材31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込ませて、搬送させる。そして、サーマルヘッド11が印字データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクが印字テープに熱転写されて印字テープに印字が行われる。一方、印字済のラベル領域をテープ部材31から切り離すと共に、テープ部材31の剥離テープからの剥離を容易にするべく、印字テープへの印字の途中、或いは印字終了後に、テープ部材31に設定される切断位置がフルカット機構17又はハーフカット機構18の位置まで搬送されると、切断種類の設定に応じて何れかのカット機構が作動してテープ部材31が幅方向に切断されてハーフカット又はフルカットの切断処理が行われ、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0035】
図3は、このテープ印字装置1の回路構成を示すブロック図である。このテープ印字装置1は、図3に示すように、制御手段、印字データ生成手段、切断設定手段、描画線種判別手段及び筆圧検知手段としての制御部40を備える。そして、この制御部40には、記憶手段としてのROM41、RAM42及び補助記憶装置44、入力手段としての入力部3及びタッチパネル60が接続されている。更に、制御部40には、表示部4を駆動させる表示部駆動回路63が接続されている。
【0036】
制御部40は、入力部3やタッチパネル60によって入力された文字やキャラクタのデータから印字データを生成する印字データ生成手段である。また、制御部40は、タッチパネル60の設定入力によりテープ部材31の切断種類と切断位置を同時に設定する切断設定手段でもある。更に、制御部40は、タッチパネル60に描画された際に、描画された線種を判定する描画線種判別手段でもあり、描画線種判別手段として描画された線種が実線なのか破線なのか等を判別する。
【0037】
なお、描画された線種を判別するにあたっては、制御部40がタッチパネル60へのタッチペン64による描画時の筆圧を検知する筆圧検知手段を有し、筆圧に応じて描かれた直線の線種を実線や破線等と判別するようにしても構わない。
【0038】
また、制御部40は、タッチパネル60でタッチペン64による文字入力として手書き文字が描画されると、パネル上に描画された位置を検出し、表示部駆動回路63を駆動してタッチパネル60に入力された文字や線を表示させる。また、制御部40は、描画された線の形を解析して、候補となる文字を抽出させる。
【0039】
また、制御部40には、各種の機構を駆動させるためのヘッド駆動回路51とステップモータ駆動回路52とカッターモータ駆動回路53とが接続されている。
【0040】
そして、制御部40は、CPUであって、入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラム等を起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0041】
ROM41は、入力部3から入力された文字を印字するためのプログラム、印字フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット等が記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体として機能する。また、このROM41としては、EPROM等の書込みが可能なROMが使用される場合もあり、書込み可能なROMが使用される場合には、ROM41が補助記憶装置44としても機能する。
【0042】
RAM42は、キー入力された文字や文字間隔等の印字情報を記憶する入力データメモリ、入力された印字情報が展開された印字パターンデータが記憶される印字データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリ等の各領域が確保され、印字処理等に必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタ等が設けられている。
【0043】
補助記憶装置44は、テープ印字装置1に内蔵されたハードディスクやテープ印字装置1に接続されるメモリーカード等によって構成されている。
【0044】
ヘッド駆動回路51は、印字情報や書式設定の情報に従って印字手段であるサーマルヘッド11を制御し、テープ部材31に印字する。ステップモータ駆動回路52は、搬送手段を駆動させる回路であって、プラテンローラ12やリボン巻取軸13を回転させるステップモータ46を制御し、所定の速度で長手方向にテープ部材31を搬送する。カッターモータ駆動回路53は、フルカット手段及びハーフカット手段等の手段を制御する駆動回路であり、フルカット機構17及びハーフカット機構18で使用されるカッターモータ48を制御する。
【0045】
ここで、本発明のテープ印字装置1における印字されたテープ部材31の切断位置の指定方法に関して表示部4の表示画面と操作方法とを合せて説明する。先ず図4を用いて、既に文字入力された入力文字65を左方向にスクロールさせながらプレビュー表示させ、切断位置を指定するためにスクロールを一旦停止させて、プレビュー表示を右方向にスクロールさせる操作について説明する。
【0046】
テープ印字装置1では、既にラベル作成用の入力文字65として「SAMPLE」「頭上注意」「Watch your head」非常口のマークとなる絵文字が入力部3等により入力されており、制御部40は、入力された入力文字65を一旦RAM42の入力データメモリにキャラクタのデータとして格納する。
【0047】
制御部40は、RAM42の入力データメモリにキャラクタのデータとして格納されている入力文字65の切断位置を指定させるために印刷プレビューキーが押下されることによりプレビュー表示モードに遷移し、表示部駆動回路63を制御してRAM42の入力データメモリに格納されている入力文字65を表示部4に表示させる。なお、表示部4は、小型の液晶パネルであることから、単一のパネル内で表示できない入力文字65の際には冒頭だけを先ず表示させ、必要に応じて表示領域を移動させる等のスクロール表示を行う。特に長文の場合にはパネル上に全文を表示させることができないことから、文字が次々とパネル外に移行するように画面をスクロールさせる。
【0048】
図4に示した表示部4にプレビュー表示として「SAMPLE」「頭上注意」「Watch your head」非常口のマークとなる絵文字からなる入力文字65の冒頭の「SAMPL」が表示されている。そして、プレビュー表示が左にスクロールされると表示部4に「頭上注意」の部分が表示される。スクロール表示中にタッチパネル60をタッチペン64でタッチすることにより、スクロールが停止される。
【0049】
そして、スクロール停止中にタッチパネル60においてタッチペン64により、左から右に横線を引くことにより、制御部40は、文字入力でなく設定入力と判断し、表示部4におけるスクロール方向を逆転させる。すると、入力文字65の冒頭部分に戻りプレビュー表示として「AMPLE」と「頭」の部分が表示される。即ちスクロール表示中にタッチパネル60においてタッチペン64で横線を引くことにより、制御部40は、設定入力と判断して表示部4に表示されているプレビュー表示を左右に移動させることができる。そして、プレビュー表示を左右に移動させることにより、切断位置の指定を自由に設定することができる。
【0050】
次に、既に文字入力された入力文字65をプレビュー表示させ、フルカット位置を指定するために表示画面のスクロールを一旦停止させてフルカット位置を指定させる操作について図5を用いて説明する。
【0051】
図5に示した表示部4にプレビュー表示として「SAMPLE」「頭上注意」「Watch your head」非常口のマークとなる絵文字からなる入力文字65の冒頭の「SAMPL」が表示されている。そして、プレビュー表示が左にスクロールされると表示部4に「AMPLE」と「頭」の部分が表示される。スクロール表示中のタッチパネル60においてタッチペン64で画面をタッチすることによりスクロールが停止される。
【0052】
スクロール停止中に「AMPLE」と「頭」の間に切断位置を指定する場合には、タッチパネル60でタッチペン64によりフルカットを指示する縦方向の実線を「SAMPLE」と「頭上注意」の間にタッチパネル60の上端近傍から下端近傍に至る直線として描くことにより、フルカットの切断位置が指定される。
【0053】
これにより制御部40は、縦の実線を設定入力と判断して、指定されたフルカット切断位置の情報を印字情報が記憶されているRAM42の入力データメモリに格納する。そして制御部40は、表示部駆動回路63及びタッチパネル表示部駆動回路61を制御して、フルカット位置を示すマークを表示部4のプレビュー表示に反映させる。図5に示したように、表示部4のプレビュー表示に反映されるフルカット位置を示すマークは、切断種類としてのフルカットを示す縦一本線で表示される。
【0054】
更に、既に文字入力された入力文字65をプレビュー表示させ、ハーフカット位置を指定するために表示画面のスクロールを一旦停止させてハーフカット位置を指定させる操作について図6を用いて説明する。
【0055】
図6に示した表示部4にプレビュー表示として「SAMPLE」「頭上注意」「Watch your head」非常口のマークとなる絵文字からなる入力文字65の冒頭の「SAMPL」が表示されている。そして、プレビュー表示が左にスクロールされると表示部4に「意」と非常口のマークとなる絵文字の部分が表示される。そして、スクロール表示中のタッチパネル60においてタッチペン64で画面をタッチすることによりスクロールが停止される。「意」と非常口のマークとなる絵文字の間に切断位置を指定する場合には、タッチパネル60においてタッチペン64によりハーフカットを指示する縦方向の破線を「意」と非常口のマークとなる絵文字の間でタッチパネル60の上端近傍から下端近傍まで直線的に描くことにより、ハーフカットの切断位置が指定される。
【0056】
これにより制御部40は、縦の破線を文字入力でなく設定入力と判断して指定されたハーフカット切断位置の情報をRAM42の入力データメモリに格納する。そして制御部40は、表示部駆動回路63を制御して、ハーフカット位置を示すマークを表示部4のプレビュー表示内容に反映させる。図6に示したように、表示部4のプレビュー表示に反映されるハーフカット位置を示すマークは、切断種類としてのハーフカットを示す縦の破線で表示される。
【0057】
そして、既に文字入力された入力文字65をプレビュー表示させ、既に指定されている切断位置をキャンセルするために表示画面のスクロールを一旦停止させて切断位置をキャンセルする操作について図7を用いて説明する。
【0058】
図7に示した表示部4に、プレビュー表示として「SAMPLE」「頭上注意」「Watch your head」非常口のマークとなる絵文字からなる入力文字65の「AMPLE」と「頭」の部分が表示されており、「AMPLE」と「頭」の間にはフルカット位置を示すマークが表示されている。そして、スクロール表示中のタッチパネル60においてタッチペン64で画面をタッチすることによりスクロールが停止される。
【0059】
タッチパネル60においてタッチペン64により「AMPL」と「頭」の間の切断位置を指定するマークと交差するようにして斜線を引くことにより既に指定されていた切断位置がキャンセルされる。
【0060】
切断位置がキャンセルされると、制御部40は、切断位置として格納されている切断位置の情報を入力データメモリから消去する。そして制御部40は、切断位置がキャンセルされると表示部4にプレビュー表示されている切断位置を示すマークである縦の直線を消すこととする。
【0061】
以下、本実施例のテープ印字装置1に係るラベル作成フローを、フローチャートを用いて説明する。図8は、使用者のキャラクタのデータ入力から印字と切断処理までのラベル作成を示すフローチャートである。
【0062】
使用者により文字や記号などのキャラクタのデータを入力部3にて入力されると、制御部40は、入力されたキャラクタのデータを一旦RAM42の入力データメモリに格納するキャラクタ入力処理(S10)を行う。
【0063】
そして、印刷プレビューキーが押下されることによりプレビュー表示モードに遷移し、
ラベルの印刷イメージが表示部4に表示された状態で、使用者のタッチパネル操作に基づいて切断設定処理(S20)が行われる。すなわち、テープ種別検出スイッチ16によって検出されたテープ幅の情報に基づいて、キャラクタのデータのパターンが表示される。こうして、図9に示すように、使用者がプレビュー表示されたラベル印刷イメージ上においてタッチパネル60を介してのタッチペン64による手書き操作を行うことによってテープ切断位置及びテープ切断の種類の設定が行われる。
【0064】
そして、使用者により印刷の指示がされると、制御部40が各駆動回路を制御することによりテープ部材31及びインクリボン35をテープカセット21から繰り出し、これらのテープ部材31及びインクリボン35がプラテンローラ12とサーマルヘッド11の間に重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。そして、サーマルヘッド11が印字データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクが印字テープに熱転写されて印字テープに印字が行われる。一方、印字済のラベル領域をテープ部材31から切り離すと共に、印字テープの剥離テープからの剥離を容易にするべく、印字テープへの印字の途中、或いは印字終了後に、テープ部材31に設定される切断位置がフルカット機構17又はハーフカット機構18の位置まで搬送されると、切断種類の設定に応じて何れかのカット機構が作動してテープ部材31が幅方向に切断されてハーフカット又はフルカットの切断処理が行われ、1枚のテープ状のラベルが作成される印刷/切断処理(S30)が行われる。
【0065】
次に、本実施例のテープ印字装置1に係る切断設定する方法に関してフローチャートを用いて説明する。図9は、使用者がテキストエディタで印字内容を入力後に印刷プレビューキーを押下することにより表示部4に表示されるプレビュー表示の開始から終了までを示すフローチャートである。
【0066】
制御部40は、RAM42の入力データメモリに格納されている印字内容をプレビュー表示させるにあたって、表示部駆動回路63を制御して、表示内容の冒頭部分のパネル表示可能範囲だけを表示させた後、スクロールにより表示内容を左側に移動させるプレビュー表示処理(ステップS100)を開始する。
【0067】
そして、制御部40は、スクロールによる表示内容の末端が表示部4の左端まで到達したかどうかを判定するスクロール完了判定(ステップS105)を実行する。表示内容の末端が表示部4の左端まで到達すれば、プレビュー表示の終了となる。一方、未だ表示内容の末端が表示部4の左端まで到達していなければ、引き続きスクロールにより表示内容を左側に移動させ、ペン入力待機処理(ステップS110)に進む。
【0068】
制御部40は、スクロールにより表示内容を左側に移動させている最中、ペン入力待機処理(ステップS110)として、タッチペン64によるタッチ操作の有無をタッチパネル60を介して監視する。タッチペン64によるタッチ操作が有れば、スクロール停止処理(ステップS120)に進み、タッチペン64によるタッチ操作の無ければ、引き続きスクロールにより表示内容を左側に移動させるスクロール表示処理(ステップS115)に進み、次いでスクロール完了判定(ステップS105)に戻る。
【0069】
制御部40は、スクロール停止処理(ステップS120)として、表示部駆動回路63を制御して、表示部4のスクロールを停止させ、表示内容を停止した状態で保持させる。
【0070】
制御部40が表示部4の表示内容を停止させると、テープ印字装置1は、タッチペン64によるペン入力の待機状態となる。そして、制御部40は、使用者によりタッチペン64によるペン入力が行われると、タッチパネル60を介してペン入力を検出してペン入力処理(ステップS125)を実行する。
【0071】
制御部40は、ペン入力処理(ステップS125)として、使用者によるペン操作がいかなる内容かを検出するためにタッチパネル60によるタッチ位置を示す位置情報を受信する。これにより制御部40は、使用者によるペン操作がいかなるものかを判定するペン操作判定処理(ステップS130)を行う。
【0072】
制御部40は、使用者によるペン操作がフルカット切断位置を指定されたことを示す縦の実線を入力されたのかどうかを判定するフルカット位置指定判定(ステップS135)を行う。使用者によるペン操作がフルカット切断位置を指定されたことを示す縦の実線であれば、フルカット位置設定処理(ステップS140)に進み、そうでなければ、使用者によるペン操作がハーフカット切断位置を指定されたことを示す縦の破線であるかどうかを判定するハーフカット位置指定判定(ステップS145)に進む。
【0073】
制御部40は、フルカット位置設定処理(ステップS140)として、表示部4に表示されるラベルの印刷イメージ(テープ部材31及びキャラクタのデータを含み、テープ部材31の幅とキャラクタのデータの文字サイズや間隔ピッチを印刷されるラベルと同じ寸法比率で表したイメージ)を表示させる。使用者のペン操作によるタッチパネル60への表示画面縦方向に描画される縦の実線の最初のタッチ点のテープ長方向の位置(表示画面では、横方向の位置)、或いは、その縦の実線のテープ長方向の平均値の位置がフルカット切断位置として決められる。そして、制御部40は、その印刷イメージにおけるラベル(テープ部材31)の先端の上端を基準点としてタッチパネル60におけるタッチ点の位置座標と判断する。次に、制御部40は、その表示上の座標に相当する印字パターンデータのテープ部材上の位置をフルカット位置として入力データメモリに格納する。そして、制御部40は、表示部駆動回路63を制御して、そのカット位置にフルカットを表す予め決められたカット線表示のイメージを表示するべく、ラベルの印刷イメージにそのカット線表示のイメージを加えた新たな表示パターンデータを生成し、その表示パターンデータによって表示部4のプレビュー画面の表示を更新する表示更新処理(ステップS190)を実行する。
【0074】
制御部40は、ハーフカット位置指定判定(ステップS145)として使用者によるペン操作がハーフカット切断位置を指定されたことを示す縦の破線を入力されたのかどうかを判定する。使用者によるペン操作がハーフカット切断位置を指定されたことを示す縦の破線であれば、ハーフカット位置設定処理(ステップS150)に進み、そうでなければ、使用者によるペン操作が既に設定されているフルカット位置又はハーフカット位置をキャンセルするために斜線入力されたのかどうかを判定する切断位置キャンセル判定(ステップS155)に進む。
【0075】
制御部40は、ハーフカット位置設定処理(ステップS150)として、前述のフルカット位置設定処理(ステップS140)の場合と同様な手順によってハーフカット位置を入力データメモリに格納する。そして、制御部40は、表示部駆動回路63を制御して、そのカット位置にハーフカットを表す予め決められたカット線表示のイメージを表示するべく、ラベルの印刷イメージに前記カット線表示のイメージを加えた新たな表示パターンデータを生成し、その表示パターンデータによって表示部4のプレビュー画面の表示を更新する表示更新処理(ステップS190)を実行する。
【0076】
制御部40は、切断位置キャンセル判定(ステップS155)として、使用者によるペン操作が既に設定されているフルカット位置又はハーフカット位置をキャンセルするために斜線入力されたのかどうかを判定する。使用者によるペン操作が既に設定されているフルカット位置又はハーフカット位置をキャンセルするために斜線入力されたのであれば、既に設定されている切断位置とペン操作により入力された斜線が交わっているかどうかを判定する切断位置削除判定(ステップS160)に進み、そうでなければ、使用者によるペン操作が表示内容のスクロール方向を決定するために横線入力されたのかどうかを判定するスクロール方向判定(ステップS170)に進む。
【0077】
制御部40は、切断位置削除判定(ステップS160)として、使用者によるペン操作による斜線入力が既に設定されている切断位置と交わっているかどうかを判定し、交わっていると判定すれば、切断位置キャンセル処理(ステップS165)を行い、入力データメモリに格納されている印字情報と合せて格納されている切断位置を示す情報を入力データメモリから消去する。そして、制御部40は、表示部駆動回路63を制御して、表示部4の表示内容から切断位置を示すマークを消去させて表示内容を更新させる表示更新処理(ステップS190)を実行する。また、斜線入力が既に設定されている切断位置と交わっていないと判定すれば、停止した表示画面におけるペン入力の待機状態となる。
【0078】
制御部40は、スクロール方向判定(ステップS170)として、使用者によるペン操作が表示内容のスクロール方向を決定するための横線を入力されたのかどうかを判定する。使用者によるペン操作が表示内容のスクロール方向を決定するために横線入力されたのであれば、停止しているプレビュー表示を再びスクロールさせるにあたって、画面表示を右から左に移動させるのか、又は画面表示を左から右に移動させるのかを判定するスクロール方向決定処理(ステップS175)に進む。
【0079】
制御部40は、スクロール方向決定処理(ステップS175)として、使用者によるペン操作が表示内容のスクロール方向を決定するために右から左への横線であれば、表示部駆動回路63を制御して、停止していた表示画面をスクロールさせて左側に移動させる。一方、制御部40は、スクロール方向決定処理(ステップS175)として、使用者によるペン操作が表示内容のスクロール方向を決定するために左から右への横線であれば、表示部駆動回路63を制御して、停止していた表示画面をスクロールさせて右側に移動させるスクロール処理(ステップS115)を行い、次いでスクロール完了判定(ステップS105)に戻る。
【0080】
以上のように本実施例によれば、使用者がテープ部材31に施すフルカット処理又はハーフカット処理の切断処理の種類の指定、及びテープ部材31における切断位置の指定を簡単に行うことができるテープ印字装置1を提供することができる。
【0081】
また、本実施例におけるテープ印字装置1は、使用者が切断したい位置を簡単に指定することができると共に、一旦指定した切断位置をキャンセルさせることが容易なことから、操作ミス等により誤った切断位置を指定しても、キャンセルさせて改めて切断位置を指定して、目的のラベルを作成することができる。
【0082】
そして、本実施例においてテープ印字装置1におけるタッチパネル60は、タッチペン64より描かれる線種として実線や破線を簡単に設定することができることから、破線によりハーフカット位置、実線によりフルカット位置等のように入力操作が簡便になり、目的のラベルを速やかに作成することができる。
【0083】
また、本実施例においてテープ印字装置1におけるタッチパネル60は、例えば描画時の操作筆圧を検知する筆圧検知手段を有し、タッチペン64による画面タッチの筆圧を検出するようにして、筆圧の強弱により線種として実線、破線とを自由に切り替えるようにすることができるので、破線によりハーフカット位置、実線によりフルカット位置等のように入力操作が簡便になり、目的のラベルを速やかに作成することができる。
【0084】
更に、本実施例におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施例で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施例の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施例で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0085】
なお、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 テープ印字装置 2 筐体
3 入力部 4 表示部
5 開閉蓋 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ 13 リボン巻取軸
15 カセット受部 16 テープ種別検出スイッチ
17 フルカット機構 18 ハーフカット機構
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 テープ部材
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM 42 RAM
44 補助記憶装置 45 テープ印字機構
46 ステップモータ 48 カッターモータ
51 ヘッド駆動回路 52 ステップモータ駆動回路
53 カッターモータ駆動回路 60 タッチパネル
63 表示部駆動回路 64 タッチペン
65 入力文字


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される前記テープ部材に印字を行う印字手段と、該印字手段によって印字された前記テープ部材のラベル領域を前記テープ部材から切り離すべく印字テープ及び剥離テープを共に切断するフルカット手段と、前記ラベル領域において印字テープのみを切断するハーフカット手段とを備えたテープ印字装置であって、
前記テープ部材に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力されたキャラクタのデータの前記テープ部材における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示画面に表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面上に設けられ、その表示画面に前記プレビュー画面が表示された状態で手書き入力操作によって前記テープ部材の切断に関する情報を入力するタッチパネルと、
前記プレビュー画面に表示される前記キャラクタのデータの印刷イメージ上において前記タッチパネルの入力操作位置に基づいて前記テープ部材における切断位置を設定すると共に、その手書き入力された線図に基づいて前記テープ部材に対する切断処理の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定手段と、
前記搬送手段、前記印字手段、前記フルカット手段及び前記ハーフカット手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記搬送手段に前記テープ部材を搬送させつつ、前記印字手段に前記キャラクタのデータに基づいて印字を行わせると共に、前記切断設定手段によって設定された切断位置及び切断種類の情報に基づいて前記テープ部材に設定される切断位置で前記フルカット手段又は前記ハーフカット手段を動作させることを特徴とするテープ印字装置。
【請求項2】
前記プレビュー画面は、前記切断設定手段の設定に基づいて、フルカット及び/又はハーフカットを表わすカットイメージを、前記キャラクタのデータの印刷イメージ上の設定された切断位置に表示するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のテープ印字装置。
【請求項3】
前記プレビュー画面は、前記タッチパネルに対する所定の操作に基づいて、前記キャラクタのデータの印刷イメージを前記テープ部材の長さに沿った一方の方向及び他方の方向にスクロール表示可能に構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のテープ印字装置。
【請求項4】
前記プレビュー画面は、前記タッチパネルに対する前記所定の操作とは異なる操作に基づいて、スクロール表示中の前記キャラクタのデータの印刷イメージの移動を停止可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載のテープ印字装置。
【請求項5】
前記切断設定手段は、前記タッチパネルの手書き入力操作によって描画される線図の線種を判別する描画線種判別手段を備え、
前記描画線種判別手段によって判別された線種に応じてフルカット又はハーフカットの切断種類を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のテープ印字装置。
【請求項6】
前記切断設定手段は、前記タッチパネルの手書き入力操作時の操作筆圧を検知する筆圧検知手段を備え、
前記筆圧検知手段によって得られた筆圧レベルに応じてフルカット又はハーフカットの切断種類を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のテープ印字装置。
【請求項7】
印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される前記テープ部材に印字を行う印字手段と、該印字手段によって印字された前記テープ部材のラベル領域を前記テープ部材から切り離すべく印字テープ及び剥離テープを共に切断するフルカット手段と、前記ラベル領域において印字テープのみを切断するハーフカット手段とを備えたテープ印字装置におけるテープ切断方法であって、
前記テープ部材に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力するキャラクタ入力処理と、
前記キャラクタ入力処理によって入力されたキャラクタのデータの前記テープ部材における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示画面に表示する表示処理と、
前記表示処理によって前記プレビュー画面が表示された状態で、前記表示画面上に設けられるタッチパネルからの手書き入力操作によって前記テープ部材の切断に関する情報を入力する切断情報入力処理と、
前記プレビュー画面に表示される前記キャラクタのデータの印刷イメージ上における前記タッチパネルの入力操作位置に基づいて、前記テープ部材における切断位置を設定すると共に、その手書き入力された線図に基づいて前記テープ部材に対する切断処理の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定処理と、
前記搬送手段によって搬送されるテープ部材に対して前記印字手段によって印字が行われる印字中、又はその印字後に、前記切断設定処理によって設定された切断位置及び切断種類の情報に基づいて前記テープ部材に設定される切断位置で前記フルカット手段又はハーフカット手段を動作させて前記テープ部材に対してフルカット又はハーフカットを行うテープ切断処理と、
を備えることを特徴とするテープ印字装置におけるテープ切断方法。
【請求項8】
更に、前記切断設定処理の設定に基づいてフルカット及び/又はハーフカットを表わすカットイメージを、前記キャラクタのデータの印刷イメージ上の設定された切断位置に表示する切断設定確認処理を備えることを特徴とする請求項7に記載のテープ印字装置におけるテープ切断方法。
【請求項9】
印字テープと剥離テープとが積層されたテープ部材を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される前記テープ部材に印字を行う印字手段と、該印字手段によって印字された前記テープ部材のラベル領域を前記テープ部材から切り離すべく印字テープ及び剥離テープを共に切断するフルカット手段と、前記ラベル領域において印字テープのみを切断するハーフカット手段とを備えたテープ印字装置におけるテープ切断方法を実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記テープ部材に印字するための文字や記号などのキャラクタのデータを入力するキャラクタ入力処理と、
前記キャラクタ入力処理によって入力されたキャラクタのデータの前記テープ部材における印刷イメージを表すプレビュー画面を表示画面に表示する表示処理と、
前記表示処理によって前記プレビュー画面が表示された状態で、前記表示画面上に設けられるタッチパネルからの手書き入力操作によって前記テープ部材の切断に関する情報を入力する切断情報入力処理と、
前記プレビュー画面に表示される前記キャラクタのデータの印刷イメージ上において前記タッチパネルの入力操作位置に基づいて前記テープ部材における切断位置を設定すると共に、その手書き入力された線図に基づいて、前記テープ部材に対する切断処理の種類をフルカット又はハーフカットの何れかに設定する切断設定処理と、
前記搬送手段によって搬送されるテープ部材に対して前記印字手段によって印字が行われる印字中、又はその印字後に、前記切断設定処理によって設定された切断位置及び切断種類の情報に基づいて前記テープ部材に設定される切断位置で前記フルカット手段又はハーフカット手段を動作させて前記テープ部材に対してフルカット又はハーフカットを行うテープ切断処理と、
を行うテープ印字装置におけるテープ切断方法を実現するためのプログラムが記憶されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−62985(P2011−62985A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217651(P2009−217651)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】